(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力供給制御部は、センサネットワークを経由して指令を受けると、前記電源と前記発振型センサとの間の電力供給ラインの接続を開始する、請求項1乃至3の何れかに記載のセンサネットワーク用センサ装置。
前記データ処理・通信手段は、前記発振型センサからの出力信号を処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段から入力したデータを外部へ送信する通信手段とを備え、
前記電力供給制御部は、前記電源と前記データ処理手段との間の電力供給ラインと、前記電源と前記通信手段との間の電力供給ラインと、をそれぞれ別々に制御する、請求項1に記載のセンサネットワーク用センサ装置。
機械的な振動子により発振する発振型センサと、前記発振型センサからの信号を処理して外部に送信するデータ処置・通信手段と、を備えたセンサネットワーク用センサ装置により、センサネットワークへデータを送信するに当たり、
前記発振型センサを起動し、
前記発振型センサの発振が安定した後に、前記データ処理・通信手段を起動し、
前記データ処理・通信手段の起動状態及び前記センサネットワークへの通信接続状態が確認されると、前記発振型センサからの信号を前記データ処理・通信手段で処理して前記センサネットワークへデータを送信する、センサネットワークへのデータ送信方法。
機械的な振動子により発振する発振型センサと、前記発振型センサからの信号を処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段から入力されたデータを外部に送信する通信手段と、を備えたセンサネットワーク用センサ装置により、センサネットワークへデータを送信するに当たり、
前記発振型センサを起動し、
前記発振型センサの発振が安定した後に、前記データ処理手段及び前記通信手段の何れかを起動し、
前記データ処理手段及び前記通信手段の何れかの起動状態が確認されると、未起動の前記通信手段又は前記データ処理手段を起動し、この起動を確認すると、前記発振型センサからの信号を前記データ処理手段で処理し、前記通信手段を経由して前記センサネットワークへデータを送信する、センサネットワークへのデータ送信方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、非特許文献2に示すような発振型センサを用いて間欠動作を行うと、発振器が起動して安定するまでに時間を要し、精度の維持と低電力化とを両立することが難しい。
【0011】
そこで、本発明の目的は、精度と低電力化の両立を図るセンサネットワーク用センサ装置と、センサネットワークへのデータ送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段を採用する。
[1] 機械的な振動子により発振する発振型センサと、
前記発振型センサからの出力信号を処理し、外部へデータ送信するデータ処理・通信手段と、
前記発振型センサ及び前記データ処理・通信手段に対して電力を供給する電源と、
前記電源と前記発振型センサとの間の電力供給ラインの接続、及び、前記電源と前記データ処理・通信手段との間の電力供給ラインの接続、をそれぞれ制御する電力供給制御部と、
を備え、
前記電力供給制御部は、前記電源と前記発振型センサとの間の電力供給ラインを接続した後に、前記電源と前記データ処理・通信手段との間の電力供給ラインを接続する、センサネットワーク用センサ装置。
[2] さらに、前記発振型センサの発振状態を監視する監視部を備え、
前記電力供給制御部が、前記監視部による監視状態に基いて、前記電源と前記データ処理・通信手段との間の電力供給ラインを接続する、前記[1]に記載のセンサネットワーク用センサ装置。
[3] さらに、前記データ処理・通信手段の起動状態を監視する別の監視部を備え、
前記別の監視部は、前記データ処理・通信手段の起動状態及びセンサネットワークとの通信接続状態を確認すると、前記データ処理・通信手段に対し、前記センサネットワークへのデータ通信を開始するよう指示する、前記[1]又は[2]に記載のセンサネットワーク用センサ装置。
[4] 前記電力供給制御部は、センサネットワークを経由して指令を受けると、前記電源と前記発振型センサとの間の電力供給ラインの接続を開始する、前記[1]乃至[3]の何れかに記載のセンサネットワーク用センサ装置。
[5] 前記データ処理・通信手段は、前記発振型センサからの出力信号を処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段から入力したデータを外部へ送信する通信手段とを備え、
前記電力供給制御部は、前記電源と前記データ処理手段との間の電力供給ラインと、前記電源と前記通信手段との間の電力供給ラインと、をそれぞれ別々に制御する、請求項[1]に記載のセンサネットワーク用センサ装置。
[6] 前記発振型センサは表面弾性波センサである、前記[1]乃至[5]の何れかに記載のセンサネットワーク用センサ装置。
[7] 前記機械的な振動子が、水晶振動子又は圧電薄膜振動子である、前記[1]乃至[6]の何れかに記載のセンサネットワーク用センサ装置。
[8] 機械的な振動子により発振する発振型センサと、前記発振型センサからの信号を処理して外部に送信するデータ処置・通信手段と、を備えたセンサネットワーク用センサ装置により、センサネットワークへデータを送信するに当たり、
前記発振型センサを起動し、
前記発振型センサの発振状態が安定した後に、前記データ処理・通信手段を起動し、
前記データ処理・通信手段の起動状態及び前記センサネットワークへの通信接続状態が確認されると、前記発振型センサからの信号を前記データ処理・通信手段で処理して前記センサネットワークへデータを送信する、センサネットワークへのデータ送信方法。
[9] 機械的な振動子により発振する発振型センサと、前記発振型センサからの信号を処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段から入力されたデータを外部に送信する通信手段と、を備えたセンサネットワーク用センサ装置により、センサネットワークへデータを送信するに当たり、
前記発振型センサを起動し、
前記発振型センサの発振が安定した後に、前記データ処理手段及び前記通信手段の何れかを起動し、
前記データ処理手段及び前記通信手段の何れかの起動状態が確認されると、未起動の前記通信手段又は前記データ処理手段を起動し、この起動を確認すると、前記発振型センサからの信号を前記データ処理手段で処理し、前記通信手段を経由して前記センサネットワークへデータを送信する、センサネットワークへのデータ送信方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発振型センサを起動し、発振型センサの発振が安定するとデータ処理・通信手段又はデータ処理手段若しくは通信手段が起動されるので、発振型センサが安定に発振するまでの間、データ処理・通信手段又はデータ処理手段若しくは通信手段が消費電力を無駄に消費せず、低消費電力化を実現することができる。また同時に、発振型センサが安定しないとデータ処理・通信手段又はデータ処理手段若しくは通信手段が起動しないため、センサの情報が無駄に外部に送信されず、低い精度のデータが外部に送信されることもない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
[センサネットワーク用センサ装置の基本的な構成]
図1は、本発明の実施形態に係るセンサネットワーク用センサ装置の構成図である。本発明の実施形態に係るセンサネットワーク用センサ装置10は、
図1に示すように、発振型センサ11と、データ処理・通信手段12と、電源13と、電力供給制御部14とを備える。
【0017】
発振型センサ11は、機械的な振動子により発振するユニットであり、そのユニットにはLC発振器を備える。発振型センサ11が機械的な振動子による発振器から構成されることにより、計測値の変化を発振周波数の変化として出力することができ、耐ノイズ性を有する。
【0018】
発振型センサ11は、
図1に示す形態にあっては、測定用発振器11aと、参照用発振器11bと、からなっている。測定用発振器11aは被測定物に取り付けられ、被測定物が歪むことにより、共振周波数が変化する。すると、データ処理・通信手段12に対して、測定用発振器11aからの信号と参照用発振器11bからの参照信号とが入力されるので、共振周波数の変化として、被測定物の情報が得られる。被測定物の情報を取得する際に共振周波数の変化を求めているため、ゲージ率(ゲージファクタ)を大きく改善している。
【0019】
発振型センサ11としては、電力供給ラインに接続される表面弾性波(SAW:surface acoustic wave)センサを用いることができる。従来のSAWセンサを用いた場合には、アンテナとSAW遅延線とでタグを構成し、タグに電波を外部から送信し、その反射波を解析することにより、タグに加わる物理量を検出している。このようなタグ自身は駆動に電源が不要であるので低消費電力化に資する。ところが、タグとの間で電波を送受信するのに必要なインタロゲータが不可欠となるので、電源供給系統を備えないSAWセンサは好ましくはない。また、SAWタグとインタロゲータとは一対一で送受信するため、センサネットワークには適さない。
【0020】
ここで、機械的な振動子としては、水晶振動子や圧電薄膜振動子など圧電効果を利用した素子が機械電気変換の観点から好ましい。
【0021】
データ処理・通信手段12は、発振型センサ11からの出力信号を処理し、外部へデータ送信するユニットである。データ処理・通信手段12は、
図1に示す形態では、ミキサー12aと、コンパレータ12bと、周波数カウンタ12cと、通信部12dと、アンテナ12eと、を備える。
【0022】
ミキサー12aは、発振型センサ11の測定用発振器11aからの出力信号と参照用発振器11bからの出力信号との入力を受け、両信号の差分を出力する。即ち、測定用発振器11aからの出力信号f
out1が下記式(1)で示されるとすると、
f
out1=発振周波数f
o+外乱f
d+歪みによる周波数シフト量Δf (1)
参照用周波数f
out2は下記式(2)で示され、
f
out2=発振周波数f
o+外乱f
d (2)
ミキサー12aからの出力は、歪みによる周波数シフト量Δfに依存する。
【0023】
コンパレータ12bは、ミキサー12aからの出力波形を方形波に整形する。これによって、コンパレータ12bの後段において、出力波形をデジタル波形として処理することが可能となる。ここで、ミキサー12aからの出力周波数は歪みによる周波数シフト量Δfに相当する。
【0024】
周波数カウンタ12cは、コンパレータ12bから出力される方形波をデジタル波形として一定時間内カウントし、通信部12dに出力する。
【0025】
通信部12dは、アンテナ12eを介在して外部のセンサネットワークを経由して中継局や監視局と無線で通信接続をする機能を備えると共に、その通信接続により周波数カウンタ12cから入力されたセンサの情報をデジタル信号として出力する。通信部12dには、アンテナ12eを介在して外部のセンサネットワークに対してテストパケットを送受信する機能を備える。
【0026】
電源13は、発振型センサ11及びデータ処理・通信手段12に対して電力を供給する。ここでの電源13は、外部から電力の供給を受けてもよいし、エネルギーハーベストのような自然エネルギーを用いて自ら発電により電力を生み出してもよい。すなわち、センサネットワーク用センサ装置10が屋外に設置される場合には、センサネットワーク用センサ装置10は図示しない給電線に接続されていたり、センサネットワーク用センサ装置10が図示しない自家発電機を備えたりしてもよい。
【0027】
電力供給制御部14は、電源13と発振型センサ11との間の電力供給ラインの接続、電源13とデータ処理・通信手段12との間の電力供給ラインの接続を、それぞれ制御する。これにより、電源13は、発振型センサ11に対してのみ電力を供給することで先行駆動することができ、発振型センサ11の状況に応じてデータ処理・通信手段12に電力の供給を開始することができる。
【0028】
このように、本発明の実施形態では、電力供給制御部14が、電源13と発振型センサ11との間の電力供給ラインを接続することにより発振型センサ11を先行駆動した後に、電源13とデータ処理・通信手段12との間の電力供給ラインを接続する。よって、発振型センサ11が安定に発振した後に、データ処理・通信手段12に対して電力を供給するため、発振型センサ11の安定に必要な時間、データ処理・通信手段12に電力を供給する必要がない。発振型センサ11の安定は、センサネットワーク用センサ装置10の精度を決める要因となる。よって、精度の維持と省電力化との両方に資する。
【0029】
データ処理・通信手段12を構成するミキサー12a、コンパレータ12b、周波数カウンタ12c及び通信部12dは半導体増幅回路により構成されるため、暖気運転を必要とせず、起動時間が極めて短い。そのため、発振型センサ11を起動して安定発振するために必要な時間に比べて、データ処理・通信手段12の起動時間は無視できる程度である。よって、発振型センサ11の消費電力量を抑えることができる。
【0030】
[さらに好ましい実施形態に係るセンサネットワーク用センサ装置]
図1に示すように、センサネットワーク用センサ装置10は発振監視手段15、データ処理通信監視手段16の何れか一方又は双方を備えることが好ましい。
【0031】
発振監視手段15は、発振型センサ11の発振状態を監視する監視部である。発振監視手段15は、例えば、発振型センサ11から出力される信号における周波数、波長、振幅などの波の一以上の要素をモニタリングし、波の一以上の要素が所定の範囲に収まっている場合には、発振が安定していると判断する。このように、発振監視手段15による発振型センサ11の監視状態に応じて、つまり発振型センサ11の発振が安定すると、電源13とデータ処理・通信手段12との電力供給ラインを接続する。なお、発振の安定性を判断する際には、外乱要素により時系列変化を取り除く必要があるところ、本発明の実施形態では、センサネットワーク用センサ装置10が配置される環境下の温度、湿度など、チップレベルでの範囲で一様とみなすことができる外乱要素は、測定用発振器11aの出力と参照用発振器11bの出力とをミキサー12aでミキシングすることにより、取り除くことができる。
【0032】
発振監視手段15は、
図1に示す形態では電力供給制御手段14とは別のユニットとして設けているが、電力供給制御手段14に内在させてもよく、例えば、電源13と発振型センサ11との電力供給ラインを接続してから所定の時間経過したら、電源13とデータ処理・通信手段12との電力供給ラインを接続するようにしてもよい。発振型センサ11を先行駆動して所定の時間経過すると、発振型センサ11が安定して発振する。また、時間経過による安定性を推定することにより、発振監視手段15の消費電力を抑えることができる。所定時間の経過に関しては、発振型センサ11の発振回数をカウントするようにしてもよい。
【0033】
発振監視手段15は、測定用発振器11aの発振状態と参照用発振器11bの発振状態の何れを監視してもよいが、測定用発振器11aは被測定物の物理量を測定するため、おかれている環境下で所定の範囲に収まり難いことが考えられる。そのため、発振監視手段15は、参照用発振器11bの発振状態を監視する方が好ましい。
【0034】
データ処理通信監視手段16は、データ処理・通信手段12の起動状態を監視するための発振監視手段とは別の監視部である。データ処理通信監視手段16は、データ処理・通信手段12の起動状態、センサネットワークとの通信接続状態を確認するユニットである。
【0035】
データ処理通信監視手段16は、外部、即ちセンサネットワークに対してテストパケットを送受信して通信路を確保してから、電力供給制御部14によってミキサー12a、コンパレータ12b及び周波数カウンタ12cの起動を行う方が好ましい。これは、テストパケットの送受信に際して、センサネットワークという外部の予期しない要因により通信路確保に時間を要する可能性が高いからである。
【0036】
もっとも、電力供給制御部14は、低消費電力化のために、ミキサー12a、コンパレータ12b、周波数カウンタ12c、通信部12dの消費電力の大小を基準に、各ユニットの起動の順序を定めてもよい。その場合でも、通信部12dによるテストパケットの送受信に時間を要すると考えられる場合には通信部12dを最初に起動し、その後、ミキサー12a、コンパレータ12b及び周波数カウンタ12cの各起動時間と各消費電力で電力の大小を基準に、未起動の残部を順に起動させてもよい。
【0037】
データ処理通信監視手段16は、ミキサー12a、コンパレータ12b、周波数カウンタ12c、通信部12dの各部を起動するのに要する時間を見積もっておいて、その時間が経過すると、データ処理・通信手段12の起動及び通信路形成の完了と判断してもよい。
【0038】
データ処理通信監視手段16は、これらの何れかの手法で、データ処理・通信手段12の起動状態及びセンサネットワークとの通信接続状態を確認すると、データ処理・通信手段12に対し、センサネットワークへのデータ通信を開始するよう指示する。
【0039】
[センサネットワーク]
図2は、本発明の実施形態に係るセンサネットワーク用センサ装置を用いて構築されるセンサネットワークの一例を示す図である。センサネットワーク1は、例えば
図2に示されるように、一以上の中継局2と、一以上の監視局3とを備え、センサネットワーク用センサ装置10からのセンサの情報を取得可能に構築される。監視局3は質問局とも呼ばれる。中継局2や監視局3は何れか一方の種類だけでもよく、中継局2だけの場合には中継局2が監視局3を兼任する。センサネットワーク1において、センサネットワーク用センサ装置10は無線により通信することを前提としているが、有線による通信でもよい。中継局2同士、中継局2と監視局3との間は有線通信でも無線通信でもよい。
【0040】
監視局3は中継局2を経由して、また、監視局3を兼任する中継局2は、センサネットワーク用センサ装置10からのセンサの情報を取得し、センサネットワーク用センサ装置10が設置されている環境や交通システムの構造物、建物の構造物その他の被測定対象物の情報を取得することができる。
【0041】
その際、各センサネットワーク用センサ装置10において、定められた日時に電力供給制御手段14が電源13から発振型センサ11への電源供給ラインを接続するようにしてもよい。または、監視局3や中継局2によるトリガーがセンサネットワーク用センサ装置10に送信されて、センサネットワーク用センサ装置10の電力供給制御手段14を起動し、これにより、電力供給制御手段14が電源13から発振型センサ11への電源供給ラインを接続するようにしてもよい。その場合、トリガーは複雑なものを用いず、電波としてID(identification)を含んだビーコンを用い、受信機能の一部のみを動作しておくことにより、ビーコンのIDを判読することができるようにする。これにより、従来の仕様と比べて消費電力が大きく抑制される。
【0042】
[センサネットワークへのデータ送信方法]
図1に示すセンサネットワーク用センサ装置10によるセンサネットワークへのデータ送信方法を説明する。
【0043】
図3は本発明の実施形態に係るセンサネットワークへのデータ送信方法のフローチャートであり、
図4(a)は、
図3に示す「データ処理・通信手段の準備終了か」(STEP4)の一部を示し、(b)はその残部を示す図である。
【0044】
センサネットワーク用センサ装置10は、前述したように、定められた日時又は外部からビーコンの電波などのトリガーを受けて、電力供給制御手段14が電源13から発振型センサ11への電源供給ラインを接続する。これにより、発振型センサ11が起動する(STEP1)。
【0045】
次に、発振型センサ11が安定して発振するまで(STEP2でYes)、ループを繰り返す。発振型センサ11の発振が安定しているか否かは、発振監視手段15により、発振型センサ11の出力信号の波の要素の何れか一つ以上が所定の範囲に収まっているか、又は発振型センサ11の起動開始から所定時間経過したかによって決せられる。
【0046】
STEP2でYesとなると、電力供給制御手段14が電源13からデータ処理・通信手段12への電源供給ラインを接続する。これにより、データ処理・通信手段12が起動する(STEP3)。
【0047】
次に、データ処理・通信手段12の準備が完了するまで(STEP4でYes)、ループを繰り返す。データ処理・通信手段12の準備が完了するか否かは、データ処理通信監視手段16により、テストパケットの送受信で通信路の確保が完了していること及び、ミキサー12a、コンパレータ12b及び周波数カウンタ12cの起動が完了していること又はやデータ処理・通信手段12の起動開始から所定時間経過したことによって決せられる。
【0048】
STEP4の具体的な処理の一つは、
図4(a)に示すように、通信部12dの起動(STEP4a)と、通信接続完了の判断(STEP4b)とで基本構成される。通信部12dは、テストパケットをセンサネットワーク1の中継局2やその監視局3を経由して監視局3に送信し、返信されたテストパケットを判断することにより、通信路の確立が完了しているか否かを判断する。
【0049】
STEP4の具体的な処理の別の一つは、
図4(b)に示すように、ミキサー12a、コンパレータ12b、周波数カウンタ12cを決められた順に起動し(STEP4c)、これらの各部で構成されるデータ処理ユニットが安定しているかを判断する(STEP4d)。安定していない場合には、判断ループを繰り返す。また、必ずしもデータ処理ユニットの安定性を判断する必要はなく、データ処理ユニットの各部を起動してから何れも各所定時間を経過したことで判断ループをクリアしてもよい。
【0050】
STEP4でYesとなると、発振型センサ11によるセンサの信号をデータ処理・通信手段12で処理してセンサネットワークを経由して中継局2や監視局3に送信する。
【0051】
その後、電力供給制御手段14は、電源13から発振型センサ11への電源供給ライン、電源13からデータ処理・通信手段12への電源供給ラインを切断する(STEP6)。これにより、センサネットワーク用センサ装置10は再び休眠状態となる。
【0052】
本発明の実施形態に係るセンサネットワークへのデータの送信方法では、機械的な振動子により発振する発振型センサ11と、発振型センサ11からの信号を処理して外部に送信するデータ処置・通信手段12と、を備えたセンサネットワーク用センサ装置10により、センサネットワークへデータを送信する。先ず、電力供給制御手段14により電源13から発振型センサ11への電源供給ラインを接続することにより発振型センサ11を起動する。次に、発振監視手段15により発振型センサ11の発振状態が安定したことを確認するか、発振型センサ11の起動からの時間経過により発振型センサ11の発振状態が安定したとして、電力供給制御手段14により電源13からデータ処理・通信手段12への電源供給ラインを接続する。これによりデータ処理・通信手段12を起動する。その後、データ処理・通信手段12が安定して起動すると共にセンサネットワークを経由した通信接続の確認をした後に、発振型センサ11からの信号をデータ処理・通信手段12で処理してセンサネットワークへデータを送信する。そして、所定の時間経過すると、又はセンサネットワーク1からの返信により、電力供給制御手段14による電源供給ラインの何れも切断する。
【0053】
このように、センサネットワーク用センサ装置10を間欠的に起動しても、発振型センサ11が安定して発振した後に、センサの情報を中継局2や監視局3に送信する。よって、省電力化と精度の維持という両立し難い要請を満たすことができる。
【0054】
これにより、交通システムの構造物などの建築・土木の各種インフラの状況を適時に入手することができ、必要な時に必要な処置をとることができる。
【0055】
[別の実施形態に係るセンサネットワークへのデータ送信方法]
本発明の実施形態に係るセンサネットワーク用センサ装置10は、
図1に示す構成に限られない。
図5は、本発明の実施形態に係るセンサネットワーク用センサ装置に関し、
図1とは異なる構成図である。
図5に示すセンサネットワーク用センサ装置20において、
図1と同一又は対応するユニットについては同一の符号を付している。
【0056】
図5に示すセンサネットワークシステム20は、
図1とは異なり、データ処理・通信手段12の代わりにデータ処理手段21と通信手段22とを備える。センサネットワークシステム20は、
図1と同様に、発振型センサ11と、電源13と、電力供給制御部14と、を備える。
【0057】
データ処理手段21は、発振型センサ11からの出力信号を処理し、通信手段22に出力する。データ処理手段21は、
図5に示す形態では、ミキサー21aと、コンパレータ21bと、周波数カウンタ21cとを備え、これらの各部は
図1に示す各部と同様の機能を有するが、周波数カウンタ21cはコンパレータ21bから出力される方形波をデジタル波形として一定時間内カウントし、通信手段22に出力する。
【0058】
通信手段22は、データ処理手段21から入力されたデータを外部に送信する。通信手段22は、通信部22aと、アンテナ22bとを備え、これらの各部は
図1に示す各部と同様の機能を有する。
【0059】
電源13は、発振型センサ11、データ処理手段21及び通信手段22に対して電力を供給する。電源13の源は
図1に示す場合と同様である。
【0060】
電力供給制御部14は、電源13と発振型センサ11との間の電力供給ラインの接続、電源13とデータ処理手段21との間の電力供給ラインの接続、電源13と通信手段22との間の電力供給ラインの接続を、それぞれ制御する。これにより、電源13は、発振型センサ11に対してのみ電力を供給することで先行駆動することができ、発振型センサ11の状況に応じてデータ処理手段21、通信手段22に電力の供給の何れか一方を開始し、最後に残りの手段に電力供給を開始することができる。
【0061】
このように、本発明の実施形態では、電力供給制御部14が、電源13と発振型センサ11との間の電力供給ラインを接続することにより発振型センサ11を先行駆動した後に、電源13とデータ処理手段21との間の電力供給ライン、電源13と通信手段22との間の電力供給ラインの何れか一方を先に接続し、続いて残りのラインを接続する。よって、発振型センサ11が安定に発振した後に、データ処理手段21及び通信手段22の何れかへ電力を供給し、未起動のデータ処理手段21及び通信手段22の何れかへ電力を供給する。そのため、発振型センサ11の安定に必要な時間、データ処理手段21、通信手段22に電力を供給する必要がない。発振型センサ11の安定は、センサネットワーク用センサ装置10の精度を決める要因となる。よって、精度の維持と省電力化との両方に資する。また、データ処理手段21、通信手段22の何れかへの起動を先行するため、より省電力化に資する。
【0062】
センサネットワーク用センサ装置20は、
図1に示すデータ処理通信監視手段16の代わりにデータ処理監視手段23、通信監視手段24の何れか一方又は双方と発振監視手段15とを備えることが好ましい。
【0063】
発振監視手段15は、
図5に示す形態では電力供給制御部14とは別のユニットとして設けているが、電力供給制御部14に内在させてもよく、例えば、電源13と発振型センサ11との電力供給ラインを接続してから所定の時間経過したら、電源13とデータ処理手段21との電力供給ライン、電源13と通信手段22との電力供給ラインの何れかのラインを接続するようにしてもよい。発振型センサ11を先行駆動して所定の時間経過すると、発振型センサ11が安定して発振する。また、時間経過による安定性を推定することにより、発振監視手段15の消費電力を抑えることができる。所定時間の経過に関しては、発振型センサ11の発振回数をカウントするようにしてもよい。
【0064】
データ処理監視手段23は、データ処理手段21の起動状態を監視するための手段であり、発振監視手段15とは別の監視部である。データ処理監視手段23は、データ処理手段21の起動状態を確認する。
【0065】
通信監視手段24は、通信手段22の起動状態を監視するための手段であり、発振監視手段15とは別の監視部である。通信監視手段24は、センサネットワークとの通信接続状態を確認する。
【0066】
例えば、センサネットワーク用センサ装置20に通信監視手段24を備えておく。この場合、電力供給制御部14が、電源13と発振型センサ11との間の電力供給ラインを接続することにより発振型センサ11を先行駆動した後に、電源13と通信手段22との間の電力供給ラインを接続する。通信手段22は外部、即ちセンサネットワークに対してテストパケットを送受信し、通信監視手段24が通信路の確保を確認する。その上で、電力供給制御部14が電源13とデータ処理手段21との間の電力供給ラインを接続し、ミキサー21a、コンパレータ21b及び周波数カウンタ21cの起動を行う。これは、テストパケットの送受信に際して、センサネットワークという外部の予期しない要因により通信路確保に時間を要する可能性が高いからである。
【0067】
それとは逆に、センサネットワーク用センサ装置20にデータ処理監視手段23を備えておく。この場合、電力供給制御部14が、電源13と発振型センサ11との間の電力供給ラインを接続することにより発振型センサ11を先行駆動した後に、電源13とデータ処理手段21との間の電力供給ラインを接続する。すると、ミキサー21a、コンパレータ21b及び周波数カウンタ21cが起動する。データ処理監視手段23がデータ処理手段21の起動状態を確認するか又は所定の時間が経過したら、電源13と通信手段22との間の電力供給ラインを接続する。通信手段22が外部、即ちセンサネットワークに対してテストパケットを送受信し、通信監視手段24が通信路を確保する。データ処理手段21を起動するために時間と電力との積が、通信手段22を軌道するために必要な時間と電力量との積が大きい場合には有効である。
【0068】
[別の実施形態に係るセンサネットワークへのデータ送信方法]
図6は、本発明の実施形態に係るセンサネットワークへのデータ送信方法に関し、
図3とは異なるフローチャートである。
図5に示すセンサネットワーク用センサ装置20によるセンサネットワークへのデータ送信方法を説明する。
【0069】
センサネットワーク用センサ装置10は、前述したように、定められた日時又は外部からビーコンの電波などのトリガーを受けて、電力供給制御部14が電源13から発振型センサ11への電源供給ラインを接続する。これにより、発振型センサ11が起動する(STEP11)。
【0070】
次に、発振型センサ11が安定して発振するまで(STEP12でYes)、ループを繰り返す。発振型センサ11の発振が安定しているか否かは、発振監視手段15により、発振型センサ11の出力信号の波の要素の何れか一つ以上が所定の範囲に収まっているか又は発振型センサ11の起動開始から所定時間経過したかによって決せられる。
【0071】
STEP12でYesとなると、電力供給制御部14が電源13から通信手段22への電源供給ラインを接続する。これにより、通信手段22が起動する(STEP13)。
【0072】
次に、通信手段22の準備が完了するまで(STEP14でYes)、ループを繰り返す。通信手段22の準備が完了するか否かは、テストパケットの送受信で通信路の確保が完了していること、通信手段22の起動開始から所定時間経過したかによって決せられる。通信部22aは、テストパケットをセンサネットワーク1の中継局2やその監視局3を経由して監視局3に送信し、返信されたテストパケットを判断することにより、通信路の確立が完了しているか否かを判断する。
【0073】
STEP14でYesとなると、電力供給制御部14が電源13からデータ処理手段21への電源供給ラインを接続する。これにより、データ処理手段21が起動する(STEP15)。
【0074】
次に、データ処理手段21の起動が完了するまで(STEP16でYes)、ループを繰り返す。データ処理手段21の起動が完了するか否かは、データ処理監視手段23により、ミキサー21a、コンパレータ21b、周波数カウンタ21cを決められた順に起動し、これらの各部で構成されるデータ処理手段21が安定しているかを判断する。安定していない場合には、判断ループを繰り返す。また、必ずしもデータ処理手段21の安定性を判断する必要はなく、データ処理ユニットの各部を起動してから何れも各所定時間を経過したことで判断ループをクリアしてもよい。
【0075】
STEP16でYesとなると、発振型センサ11によるセンサの信号をデータ処理手段21で処理して通信手段22に出力し、通信手段22からセンサネットワークを経由して中継局2や監視局3に送信する(STEP17)。
【0076】
その後、電力供給制御部14は、電源13から発振型センサ11への電源供給ライン、電源13からデータ処理手段21への電源供給ライン、電源13から通信手段22への電源供給ラインを切断する(STEP18)。これにより、センサネットワーク用センサ装置20は再び休眠状態となる。
【0077】
本発明の実施形態に係るセンサネットワークへのデータの送信方法では、機械的な振動子により発振する発振型センサ11と、発振型センサ11からの信号を処理するデータ処理手段21と、データ処理手段21からの入力されたデータを外部に送信する通信手段22と、を備えたセンサネットワーク用センサ装置20により、センサネットワークへデータを送信する。先ず、電力供給制御部14により電源13から発振型センサ11への電源供給ラインを接続することにより発振型センサ11を起動する。次に、発振監視手段15により発振型センサ11の発振状態が安定したことを確認するか、発振型センサ11の起動からの時間経過により発振型センサ11の発振状態が安定したとして、電力供給制御部14により電源13から通信手段22への電源供給ラインを接続する。これにより通信手段22を起動する。その後、センサネットワークを経由した通信接続の確認を確認するか、通信手段22が起動してからの経過時間により通信路が確立したとして、電力供給制御部14により電源13からデータ処理手段21への電源供給ラインを接続する。これによりデータ処理手段21を起動する。データ処理手段21が安定すると、発振型センサ11からの信号をデータ処理手段21で処理し、通信手段22を経由してセンサネットワークへデータを送信する。そして、所定の時間経過すると、又はセンサネットワーク1からの返信により、電力供給制御部14による電源供給ラインの何れも切断する。
【0078】
このように、センサネットワーク用センサ装置10を間欠的に起動しても、発振型センサ11が安定して発振した後に、センサの情報を中継局2や監視局3に送信する。よって、省電力化と精度の維持という両立し難い要請を満たすことができる。また、データ処理手段21と通信手段22とを別々に起動するため、より省電力化を図ることができる。
【0079】
図7は、本発明の実施形態に係るセンサネットワークへのデータ送信方法に関し、
図3及び
図6とは異なるフローチャートである。
図5に示すセンサネットワーク用センサ装置20によるセンサネットワークへのデータ送信方法を説明する。STEP21〜STEP22までは、
図6のSTEP11〜12と同様である。
【0080】
STEP22でYesとなると、電力供給制御部14が電源13からデータ処理手段21への電源供給ラインを接続する。これにより、データ処理手段21が起動する(STEP23)。
【0081】
次に、データ処理手段21の起動が完了するまで(STEP24でYes)、ループを繰り返す。データ処理手段21の起動が完了するか否かは、データ処理監視手段23により、ミキサー21a、コンパレータ21b、周波数カウンタ21cを決められた順に起動し、これらの各部で構成されるデータ処理手段21が安定しているかを判断する。安定していない場合には、判断ループを繰り返す。また、必ずしもデータ処理手段21の安定性を判断する必要はなく、データ処理手段21の各部を起動してから何れも各所定時間を経過したことで判断ループをクリアしてもよい。
【0082】
STEP24でYesとなると、電力供給制御部14が電源13から通信手段22への電源供給ラインを接続する。これにより、通信手段22が起動する(STEP25)。
【0083】
次に、通信手段22の準備が完了するまで(STEP26でYes)、ループを繰り返す。通信手段22の準備が完了するか否かは、通信監視手段24により、テストパケットの送受信で通信路の確保が完了していること、通信手段22の起動開始から所定時間経過したかによって決せられる。通信部22aは、テストパケットをセンサネットワーク1の中継局2やその監視局3を経由して監視局3に送信し、返信されたテストパケットを判断することにより、通信路の確立が完了しているか否かを判断する。
【0084】
STEP26でYesとなると、発振型センサ11によるセンサの信号をデータ処理手段21で処理して通信手段22に出力し、通信手段22からセンサネットワークを経由して中継局2や監視局3に送信する(STEP27)。
【0085】
その後、電力供給制御部14は、電源13から発振型センサ11への電源供給ライン、電源13からデータ処理手段21への電源供給ライン、電源13から通信手段22への電源供給ラインを切断する(STEP28)。これにより、センサネットワーク用センサ装置20は再び休眠状態となる。
【0086】
本発明の実施形態に係るセンサネットワークへのデータの送信方法では、機械的な振動子により発振する発振型センサ11と、発振型センサ11からの信号を処理するデータ処理手段21と、データ処理手段21からの入力されたデータを外部に送信する通信手段22と、を備えたセンサネットワーク用センサ装置20により、センサネットワークへデータを送信する。先ず、電力供給制御部14により電源13から発振型センサ11への電源供給ラインを接続することにより発振型センサ11を起動する。次に、発振監視手段15により発振型センサ11の発振状態が安定したことを確認するか、発振型センサ11の起動からの時間経過により発振型センサ11の発振状態が安定したとして、電力供給制御部14により電源13からデータ処理手段21への電源供給ラインを接続する。これによりデータ処理手段21を起動する。その後、データ処理手段21の安定を確認するか、又は、データ処理手段21が起動してからの経過時間によりデータ処理手段21が安定したと仮定して、電力供給制御部14により電源13から通信手段22への電源供給ラインを接続する。これにより通信手段22を起動する。センサネットワークを経由した通信接続の確認を確認するか、又は通信手段22が起動してからの経過時間により通信路が確立したと仮定して、発振型センサ11からの信号をデータ処理21で処理し、通信手段22を経由してセンサネットワークへデータを送信する。そして、所定の時間経過すると、又はセンサネットワーク1からの返信により、電力供給制御部14による電源供給ラインの何れも切断する。
【0087】
このように、センサネットワーク用センサ装置10を間欠的に起動しても、発振型センサ11が安定して発振した後に、センサの情報を中継局2や監視局3に送信する。よって、省電力化と精度の維持という両立し難い要請を満たすことができる。また、データ処理手段21と通信手段22とを別々に起動するため、より省電力化を図ることができる。
【0088】
本発明の実施形態は前述した事項に限定されることなく、センサネットワーク用センサ装置が配備される場所、センサによる情報の利用形態に応じて適宜変更してもよい。例えば、時間経過をモニタする場合には、発振型センサの発振回数をカウントしてそれをタイマーとして用いてもよい。