(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
磁路形成部材と、磁石を有しその回転動作によって前記磁路形成部材に与える磁束を変化させる回転部材および、前記磁路形成部材内の磁束の変化によって電力が誘導される発電コイルを有する発電ユニットと、
前記回転部材に回転力を与える切換え部材と、前記切換え部材を動作させて前記回転部材を回転させる操作部材とが設けられており、
1個の前記発電ユニットならびに1個の前記切換え部材に対して複数の前記操作部材が設けられており、どの前記操作部材が操作されたときも、前記操作部材から前記切換え部材に移動力が与えられて、前記回転部材が回転させられることを特徴とする発電入力装置。
前記切換え部材を初期位置に付勢するばね部材が設けられ、複数の前記操作部材のどれが操作されたときであっても、前記切換え部材が前記初期位置とは逆方向の切換え位置へ移動させられる請求項1記載の発電入力装置。
複数の前記操作部材の操作方向が、前記切換え部材の移動方向と交差しており、それぞれの前記操作部材と前記切換え部材との間にカム機構が設けられている請求項2記載の発電入力装置。
第1の操作部材が操作されると、前記発電ユニットが移動し、前記発電ユニットと前記切換え部材との相対動作で前記回転部材が回転させられ、他の操作部材が操作されると、前記切換え部材が移動し、前記切換え部材と前記発電ユニットとの相対動作で前記回転部材が回転させられる請求項1記載の発電入力装置。
前記第1の操作部材と前記他の操作部材は、操作方向が同じであり、前記他の操作部材の操作力によって前記切換え部材を移動させる揺動伝達機構が設けられている請求項4記載の発電入力装置。
複数の操作部材のどれが操作されたかを検知する検知部材が設けられており、前記検知部材は、前記コイルに誘導された電力で動作する請求項1ないし6のいずれかに記載の発電入力装置。
前記コイルに誘導された電力で動作する信号処理回路が設けられており、前記信号処理回路では、前記電力を受け前記検知部材からの検知信号を受けたときにどの操作部材が操作されたかを識別して、複数の前記操作部材ごとに異なる信号が生成される請求項7記載の発電入力装置。
前記切換え部材が一方へ移動したときに、複数の前記操作部材の操作ごとに異なる信号が生成され、前記切換え部材が他方へ移動したときは、単一の解除信号が生成される請求項8記載の発電入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来の発電入力装置は、1個の回転体に対して1個の操作部材が設けられたものであるため、複数の操作部材を設けて、それぞれの操作部材の操作に対応する操作信号を生成するために、発電入力装置を複数ユニット設けることが必要であった。
【0006】
そのため、必要とされる操作部材の数だけ回転体や発電コイルを設けなくてはならなくなり、小型の機器を低コストで製造するのが困難となる。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、1つの発電ユニットを複数の操作部材で操作できるようにした発電入力装置を提供することを目的としている。
【0008】
また本発明は、複数の操作部材のどれが操作されたかも検知することができる発電入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発電入力装置は、磁路形成部材と、磁石を有しその回転動作によって前記磁路形成部材に与える磁束を変化させる回転部材および、前記磁路形成部材内の磁束の変化によって電力が誘導される発電コイルを有する発電ユニットと、
前記回転部材に回転力を与える切換え部材と、前記切換え部材を動作させて前記回転部材を回転させる操作部材とが設けられており、
1個の前記発電ユニットならびに1個の前記切換え部材に対して複数の前記操作部材が設けられており、どの前記操作部材が操作されたときも、前記操作部材から前記切換え部材に移動力が与えられて、前記回転部材が回転させられることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の発電入力装置は、複数の操作部材のいずれかを操作することで共通の切換え部材を移動させて、共通の発電ユニットで発電することができる。よって、最少の発電ユニットで発電された電力で多様な操作が可能になる。
【0011】
本発明の発電入力装置は、前記切換え部材を初期位置に付勢するばね部材が設けられ、複数の前記操作部材のどれが操作されたときであっても、前記切換え部材が前記初期位置とは逆方向の切換え位置へ移動させられるものとして構成できる。
【0012】
この場合に、例えば、複数の前記操作部材の操作方向が、前記切換え部材の移動方向と交差しており、それぞれの前記操作部材と前記切換え部材との間にカム機構が設けられているものとなる。
【0013】
また、本発明の発電入力装置は、第1の操作部材が操作されると、前記発電ユニットが移動し、前記発電ユニットと前記切換え部材との相対動作で前記回転部材が回転させられ、他の操作部材が操作されると、前記切換え部材が移動し、前記切換え部材と前記発電ユニットとの相対動作で前記回転部材が回転させられるものとして構成できる。
【0014】
この場合に、前記第1の操作部材と前記他の操作部材は、操作方向が同じであり、前記他の操作部材の操作力によって前記切換え部材を移動させる揺動伝達機構が設けられているものとして構成できる。また、前記他の操作部材は複数設けることが可能である。
【0015】
本発明の発電入力装置は、複数の操作部材のどれが操作されたかを検知する検知部材が設けられており、前記検知部材は、前記コイルに誘導された電力で動作することが好ましい。
【0016】
この構成では、前記コイルに誘導された電力で動作する信号処理回路が設けられており、前記信号処理回路では、前記電力を受け前記検知部材からの検知信号を受けたときにどの操作部材が操作されたかを識別して、複数の前記操作部材ごとに異なる信号が生成される。
【0017】
上記構成では、発電コイルからの電力で検知部材が起動し、検知部材からの検知信号によってどの操作部材が操作されたのかが解るので、共通の発電ユニットの起電力を使用して複数の操作部材ごとに異なる操作信号を生成することが可能になる。
【0018】
本発明の発電入力装置は、前記切換え部材が一方へ移動したときに、複数の前記操作部材の操作ごとに異なる信号が生成され、前記切換え部材が他方へ移動したときは、単一の解除信号が生成されることが好ましい。
【0019】
上記のようにそれぞれの操作部材において解除信号を共通としておくことにより、信号処理回路の処理動作が簡単になり、しかも複数の操作部材を使用して多様な入力操作が可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、複数の操作部材で発電ユニットと切換え部材を共通に使用しているため、最少の発電ユニットを使用して多様な操作を行うことができる。
【0021】
特に、どの操作部材が操作されたのかを検知する検知部材を設けておくと、発電ユニットからの電力を使用して、操作された操作部材ごとに異なる操作信号を生成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1と
図2に示す本発明の第1の実施の形態の発電入力装置1は、X1方向が左方向でX2方向が右方向、Y1方向が前方でY2方向が後方、Z1方向が上方でZ2方向が下方である。なお、後に説明する切換え部材20の移動方向はX1−X2方向であり、X1へ移動したときが切換え部材20の初期位置であり、X2方向へ移動したときが切換え部材20の切換え位置である。
【0024】
発電入力装置は支持ベース10を有している。支持ベース10は、合成樹脂材料などの非磁性材料で形成されている。
図2に示すように、支持ベース10には、後方(Y2方向)に、左右方向(X1−X2方向)に延びる案内凹部11が形成されている。
図2では省略されているが、支持ベース10の後方には、
図3に示される背部ベース13が設けられており、支持ベース10と背部ベース13とが固定ねじなどで互いに固定されている。
【0025】
支持ベース10の案内凹部11内に切換え部材(切換えスライダ)20が嵌合している。切換え部材20は、後方が背部ベース13で支持された状態で、案内凹部11内でX1−X2方向へ移動自在に支持されている。切換え部材20は合成樹脂材料などの非磁性材料で形成されている。
【0026】
図2に示すように、支持ベース10には前方へ突出する突部14が形成されており、突部14の内部にX1−X2方向に延びる摺動空間15が前後方向(Y1−Y2方向)に貫通して設けられている。前記切換え部材20には前方(Y1方向)へ突出する付勢突起21が設けられ、付勢突起21が摺動空間15に摺動自在に挿入されている。摺動空間15に2個の圧縮コイルばね25が収納されており、圧縮コイルばね25は、摺動空間15のX2側の内壁部15aと付勢突起21との間に圧縮された状態で介在している。この圧縮コイルばね25の弾性力により、切換え部材20はX1方向に向けて付勢されている。
【0027】
図2に示すように、切換え部材20には前方(Y1方向)に向く一対の操作カム22,22が設けられている。操作カム22は、圧縮コイルばね25の設置領域を挟んで、X1−X2方向に間隔を空けて配置されている。それぞれの操作カム22は、カム凹部22aのX2側の内壁面であり、上方(Z1方向)に向かうにしたがって右方向(X2方向)へ向かう傾斜面である。切換え部材20のX2側の端部には、切換えカム23が形成されている。切換えカム23は切換え部材20を前後に貫通するカム溝(カム穴)であり、上方(Z1方向)へ向かうにしたがって左方向(X1方向)へ向かうように傾斜して形成されている。
【0028】
図2に示すように、支持ベース10の上面には操作穴16,16が開口し、支持ベース10の後部には、操作穴16,16の下で上下に延びる摺動溝17,17が形成されている。操作穴16,16に対して、上方から操作部材27,27が挿入されている。操作部材27,27は合成樹脂などの非磁性材料で形成されている。操作部材27,27は前方(Y1方向)に向く摺動突部27b,27bが上下に連続して形成されており、摺動突部27b,27bが摺動溝17,17に嵌合し、操作部材27,27が個別に上下方向(Z1−Z2方向)へ移動可能となっている。
【0029】
それぞれの操作部材27,27には後方(Y2方向)へ突出するフォロワー部27c,27cが一体に形成されており、フォロワー部27c,27cが、切換え部材20に形成された前記操作カム22に摺動できるように対向している。操作カム22とフォロワー部27c,27cとで、操作カム機構が構成されている。図示省略されているが、操作部材27,27と支持ベース10との間には、操作部材27,27を個別に下向きに付勢して、フォロワー部27c,27cを操作カム22,22に圧接させる付勢部材が設けられている。
【0030】
操作部材27,27の上端は操作押圧部27a,27aとなっており、上方に配置された図示しない操作釦で操作押圧部27a,27aが押され、操作部材27,27が個別に下向きに押圧操作される。
【0031】
操作部材27,27の移動方向(Z1−Z2方向)は、切換え部材20の移動方向(X1−X2方向)と直交する向きである。
図3(B)に示すように、複数の操作部材27,27のいずれかが下向きに押されると、切換え部材20が右方向へ移動させられる。
【0032】
なお、発電入力装置1には、複数の操作部材27のどれが操作されたかを検知する検知部材45が設けられている。検知部材45は
図5に示す回路図に示されている。第1の実施の形態では、操作部材27が2個設けられているため、検知部材45が少なくとも1個必要である。例えば、一方の操作部材27に磁石が設けられ、支持ベース10または背部ベース13に、検知部材45として磁気センサが用いられる。また、検知部材45として、少なくとも一方の操作部材27が操作されたことを検知する機械的なスイッチが使用されてもよい。
【0033】
図2に示すように、支持ベース10には、前後方向(Y1−Y2方向)へ貫通する切換え窓12が形成されており、切換え部材20に設けられた切換えカム23が切換え窓12の後方に対向している。
【0034】
図1と
図2に示すように、支持ベース10に形成された切換え窓12に回転部材30が収納されている。回転部材30は、磁石31と、前記磁石31を挟む第1の磁化部材32および第2の磁化部材33を有している。
図4の断面図にも示すように、磁石31は、板状であり、一方の板表面が第1の着磁面31aで、他方の板表面が第2の着磁面31bである。第1の着磁面31aと第2の着磁面31bは異なる磁極に着磁されている。第1の磁化部材32は第1の着磁面31aに密着し、第2の磁化部材33は第2の着磁面31bに密着している。
【0035】
図4に示すように、回転部材30は後方(Y2側)からブラケット34で保持されており、
図2に示すように、回転部材30の左側(X1側)に、ブラケット34の左側部34aが位置し、右側(X2側)に右側部34bが位置している。ブラケット34の左側部34aには、X1方向に突出する支持軸35aが一体に形成され、右側部34bにはX2方向へ突出する支持軸35bが一体に形成されている。支持ベース10に開口する切換え窓12には、左側の内側壁に軸受け溝12aが形成され、右側の内側壁に軸受け溝12bが形成されている。支持ベース10の前部にストッパ部材18が固定される。ストッパ部材18には後方へ向けて突出する規制突部18a,18aが一体に形成されている。
【0036】
回転部材30が、切換え窓12の内部に装着されるときは、支持軸35aが軸受け溝12aに挿入され、支持軸35bが軸受け溝12bに挿入され、ストッパ部材18の規制突部18a,18aが軸受け溝12a,12bに嵌合して、支持軸35a,35bが抜け止めされる。これにより、
図4に示すように、回転部材30は、支持軸35a,35bを中心として、切換え窓12内で回転自在に支持される。
【0037】
図4に示すように、ブラケット34には、後方へ突出するフォロワー突部36が一体に形成されており、フォロワー突部36が、切換え部材20に形成された切換えカム23に摺動自在に挿入されている。そのため、切換え部材20の移動力によって、回転部材30を回動させることが可能となる。切換えカム23とフォロワー突部36とで、切換えカム機構が構成されている。
【0038】
図2に示すように、支持ベース10の前方(Y1方向)に向く面はヨーク支持面10aになっており、ヨーク支持面10aに、磁路形成部材(磁路ヨーク)40が固定される。磁路形成部材40の右側(X2側)の端部には、空間を空けて上下に対向する上側対向端面41と下側対向端面42が設けられている。磁路形成部材40は、磁性材料で形成されており、上側対向端面41から下側対向端面面42にかけて、ほぼU字経路で内部を磁束が通過できるように構成されている。磁路形成部材40は、内部を磁束が通過できれば、1つの部材で一体に形成されていてもよいし、複数の部材が組み合わされて構成されていてもよい。
【0039】
磁路形成部材40の下側の部分はボビン46に挿入されており、ボビン46に発電コイル47が巻かれている。磁路形成部材40がヨーク支持面10aに固定されると、ボビン46と発電コイル47は、支持ベース10に形成された開口部19の内部に収められる。また、磁路形成部材40が支持ベース10に組み付けられると、
図4に示すように、前記回転部材30が、磁路形成部材40の上側対向端面41と下側対向端面42との間に位置する。
【0040】
この実施の形態では、回転部材30と磁路形成部材40と発電コイル47とで発電ユニットが構成されている。
【0041】
次に、前記発電入力装置1の動作について説明する。
図3(A)に示すように、複数の操作部材27のいずれに対しても操作力が与えられていないとき、切換え部材20は圧縮コイルばね25の弾性力によって左側(X1側)へ移動した初期位置にある。このとき、それぞれの操作カム22により、全ての操作部材27が上方(Z1方向)へ持ち上げられている。
【0042】
図3(B)に示すように、右側の操作部材27の操作押圧部27aに下向きの操作力Fが与えられると、右側の操作部材27のフォロワー突部27cから操作カム22に下向きに摺動力が与えられ、切換え部材20が右方向(X2方向)へ移動させられて、切換え位置に至る。
【0043】
右側の操作部材27が操作されることなく、左側に配置された操作部材27の操作押圧部27aに対して下向きの操作力Fが与えられたときも、同様にして、切換え部材20が右方向(X2方向)へ移動させられる。
【0044】
切換え部材20が初期位置にあるとき、
図4(A)に示すように、切換え部材20に設けられた切換えカム23によって、フォロワー突部36が下向きに移動させられ、回転部材30が時計方向へ回動した初期姿勢になっている。複数の操作部材27のいずれかが下向きに押されて、切換え部材20が切換え位置へ移動させられると、
図4(B)に示すように、切換えカム23によってフォロワー突部36が持ち上げられ、回転部材30が反時計方向へ回動して切換え姿勢となる。そして、操作部材27に対する操作力Fが解除されると、圧縮コイルばね25の付勢力によって切換え部材20が初期位置に戻され、回転部材30が
図4(A)に示す初期姿勢に復帰する。
【0045】
図4(A)に示すように、回転部材30が初期姿勢のときの磁束経路は、磁石31→第2の磁化部材33→第2の磁化部材33の下端面33a→下側対向端面42→磁路形成部材40→上側対向端面41→第1の磁化部材32の上端面32a→第1の磁化部材32である。回転部材30が、
図4(B)に示す切換え姿勢になると、磁束経路は、磁石31→第2の磁化部材33→第2の磁化部材33の上端面33b→上側対向端面41→磁路形成部材40→下側対向端面42→第1の磁化部材32の下端面32b→第1の磁化部材32である。
【0046】
いずれかの操作部材27が押されて、回転部材30が
図4(A)に示す初期姿勢から
図4(B)に示す切換え姿勢へ回動する間に、磁路形成部材40の内部の磁束の向きが急激に変化するため、発電コイル47に、
図6に示す第1の起電力V1が発生し、コイル巻き線に第1の誘導電流が流れる。操作部材27に対する操作力Fが解除され、回転部材30が
図4(A)の切換え姿勢から
図4(B)の初期姿勢へ回動するときも、磁路形成部材40の内部の磁束の向きが急激に変化するため、発電コイル47に、
図6に示す第2の起電力V2が発生し、コイル巻き線に第2の誘導電流が流れる。
【0047】
図5は、
図1と
図2に示す発電入力装置1に付属する制御回路50を示している。
回転部材30が、
図4(A)に示す初期姿勢から
図4(B)に示す切換え姿勢へ回動すると、発電コイル47に発生した第1の起電力V1(第1の誘導電流)によって、ダイオード群53を経てコンデンサ54が充電されさらに放電されて、起電力ライン55に与えられる第1の起電力V1に基づく電流の波長が少し増長される。波長が増長された電流は電力ライン56から整流回路57に与えられて直流に変換され、信号処理回路58と送信回路59の電源入力部に直流電力が供給される。同時に、磁気センサなどを備えた検知部材45にも直流電力が供給される。
【0048】
発電コイル47の巻き線の一方の端部51から、ON信号ライン64が引き出されている。ON信号ライン64にダイオード61が設けられて、第1の起電力V1に基づく電流を通過させる。いずれかの操作部材27が操作されて第1の起電力V1が発生すると、ダイオード61を通過した電流は抵抗R1に流れ、抵抗R1で設定された電圧値に基づくON信号が、信号処理装置58のON入力部58aに与えられる。
【0049】
信号処理回路58では、ON入力部58aへON信号が与えられると、操作部材27が操作されたものと認識する。さらに、第1の起電力V1で起動された検知部材45からの検知信号が与えられるため、どちらの操作部材27が操作されたのかを認識することができる。
【0050】
操作部材27への操作力Fが除去され、回転部材30が
図4(B)に示す切換え姿勢から
図4(A)に示す初期姿勢へ復帰すると、第2の起電力V2により、ダイオード群53を経てコンデンサ54に充電されさらに放電されて、電流の波長が増長され、この電流が、電力ライン56から整流回路57に与えられて直流電流が生成される。そして、第1の起電力V1のときと同様に、信号処理回路58と送信回路59の電源入力部に直流電力が供給される。
【0051】
ただし、回転部材30が
図4(B)の姿勢から
図4(A)の初期姿勢へ復帰するときには、発電コイル47の巻き線の他方の端部52から、第2の起電力V2に基づく電流がOFF信号ライン62を経てダイオード63に与えられる。そして、抵抗R2で決められる電圧値のOFF信号が、信号処理回路58のOFF入力部58bに入力する。これにより、信号処理回路58では、操作部材27への操作力Fが解除されたものと認識する。
【0052】
信号処理回路58は、第1の起電力V1または第2の起電力V2が与えられて動作可能となり、信号処理回路58では、操作部材27が押されたON信号が得られたときに操作信号が生成される。また、第1の起電力V1によって起動する検知部材45からの検知出力を参照することで、どの操作部材27が操作されたかを識別することができる。よって、右側の操作部材27が押されたときと左側の操作部材27が押されたときとで相違する操作信号が生成される。ただし、操作力Fが解除されたときは、それまで押されていたのがどの操作部材であっても同じ解除信号が生成される。
【0053】
2種類の操作信号と1種類の解除信号は、第1の起電力V1または第2の起電力V2が与えられて動作する送信回路59のデータ入力部に与えられ、RF送信や赤外線送信によって外部の回路に信号が送信される。
【0054】
次に、
図7以下に基づいて、本発明の第2の実施の形態の発電入力装置101について説明する。
【0055】
第2の実施の形態においては、第1の実施の形態の発電入力装置1と同じ機能を発揮する部分は、構造や形状が相違していても、第1の実施の形態と同じ符号を付して説明する。
【0056】
図7と
図8は、発電入力装置101を半分に切断した状態で示している。発電入力装置101は、天井部を有する円筒形状の非磁性の支持ベース111と、支持ベース111の下側(Z2側)の開口部を塞ぐ非磁性の背部ベース113を有しており、支持ベース111の内部が機構収納部となっている。
【0057】
支持ベース111の天井部の中央に、上下に延びる円筒状のユニット支持空間112が形成されており、ユニット支持空間112の内部の発電ユニット120が収納されている。発電ユニット120は非磁性材料で形成されたユニットケース121を有している。ユニットケース121は円筒形のケースであり、ユニット支持空間112の内部で上下方向(Z1−Z2)方向へ摺動自在に支持されている。
【0058】
ユニットケース121の内部には磁路形成部材40,40が設けられている。
図11と
図12に示すように、ユニットケース121の内部では、磁路形成部材40と磁路形成部材40との間に磁芯40aが渡されている。磁路形成部材40,40と磁芯40aは共に磁性材料で形成されており、磁芯40aは磁路形成部材の一部を構成している。
図12に示すように、磁芯40aの周囲に発電コイル47が巻かれている。
【0059】
一方の磁路形成部材40と他方の磁路形成部材40の間に軸受け部材118が装着されている。軸受け部材118は左右両側部に、縦方向に延びる保持溝118a,118aが形成されており、保持溝118a,118aは、2つの磁路形成部材40のそれぞれの端部40a,40aに上方から差し込まれるようにして固定されている。
【0060】
軸受け部材118には回転部材30が支持されている。
図12に示すように、回転部材30は、磁石31と第1の磁化部材32および第2の磁化部材33が積層されて構成されており、磁石31と磁化部材32,33は非磁性材料で形成されたブラケット34に保持されている。回転部材30と磁路形成部材40,40と磁芯40aおよび発電コイル47、さらにはこれらを収納するユニットケース121によって発電ユニット120が構成されている。
【0061】
前記ブラケット34には上方(Z1側)に向けて突出する支持軸35aと下側へ突出する支持軸35b(図には現れていない)とが一体に形成されている。軸受け部材118の上部に形成された軸受け穴118bに支持軸35aが支持され、下部に形成された軸受け穴に支持軸35bが支持されて、回転部材30は上下に延びる軸を回転として回動自在となっている。
【0062】
図7と
図8に示すように、支持ベース111の内部に切換え部材20が設けられている。切換え部材20の下部は摺動軸部20aとなっており、ユニットケース121の底部に開口する摺動穴121aに摺動自在に挿入されている。切換え部材20に切換えカム23が形成されており、回転部材30を保持するブラケット34に形成されたフォロワー突部36が切換えカム23に摺動自在に挿入されている。切換えカム23とフォロワー突部36とで切換えカム機構が構成されている。
【0063】
ユニットケース121の天井内面121bと、切換え部材20の左右両側に延びる腕部20b,20bとの間に圧縮コイルばね(図示せず)が圧縮された状態で介在しており、ユニットケース121内では、切換え部材20が常に下向き(Z2方向)へ付勢されている。
【0064】
図7に示すように、支持ベース111の中央部に第1の操作部材127aが下向きに移動できるように設けられており、第1の操作部材127aがユニットケース121の上面に当接している。背部ベース113の中央部の上方に、第2の操作部材127bが設けられている。第2の操作部材127bは、切換え部材20に形成された摺動軸部20aの下端部に嵌合されて固定されている。
【0065】
図7に示すように、支持ベース111では、第1の操作部材127aを囲むようにして複数の他の操作部材127cが設けられている。他の操作部材127cは合計6個設けられており、それぞれが下向きに押圧操作可能となっている。
【0066】
それぞれの他の操作部材127cの下部に、揺動伝達機構131が設けられている。揺動伝達機構131の内端部131aは、第2の操作部材127bの下側に当接している。揺動伝達機構131の他端部に、検知部材45が固定されている。それぞれの検知部材45は、他の操作部材127cの下側に対向している。
【0067】
前記検知部材45は、タクティールフィーリングを生じさせるスイッチ機構であるタクティールスイッチである。その構造はメカニカル接点式の押しボタンスイッチであり、例えば、絶縁樹脂製のケース内に、押しボタンと、金属製の反転ばねからなる可動接点と、固定接点とが配置されている。他の操作部材127cによって押しボタンが押されると、前記可動接点が反転してクリック感触を創出しながら固定接点と接離し、電気的な導通状態が切り替えられる。それぞれの検知部材45は、フレキシブルケーブルを介して
図5に示すのと同様の信号処理回路58に接続されている。
【0068】
次に、第2の実施の形態の発電入力装置101の動作を説明する。
図7と
図8は、いずれの操作部材も操作されていない状態を示している。このとき、圧縮コイルばねによって、ユニットケース121の天井内面121bと切換え部材20とが上下方向へ反発させられているため、発電ユニット120の回転部材30に設けられたフォロワー突部36は、切換え部材20に形成された切換えカム23の上端部に移動している。このとき、発電ユニット120では、回転部材30が
図12に示す初期姿勢となっている。
【0069】
図9は、支持ベース111の中央部に位置する第1の操作部材127aが操作力Fによって下向きに押された動作状態を示している。このとき、第1の操作部材127aと共にユニットケース121および発電ユニット120が下降する。切換え部材20は第2の操作部材127bと共に揺動伝達機構131の内端部131aに押し付けられているため、切換え部材20が動くことなく、発電ユニット120が下降する。このとき、回転部材30に設けられたフォロワー突部36が、切換え部材20に形成された切換えカム23の内部を下側へ移動し、回転部材30が、
図12に示す初期姿勢から反時計方向へ回動する。
【0070】
第1の操作部材127aに対する操作力Fが解除されると、ユニットケース121の天井内面121bと切換え部材20との間に設けられた圧縮コイルばねの付勢力によって、ユニットケース121が発電ユニット120と共に上昇し、第1の操作部材127aも元の位置へ復帰し、回転部材30も
図12に示す初期姿勢に復帰する。
【0071】
図12に示すように、第1の操作部材127aが初期姿勢のとき、回転部材30の第1の磁化部材32が磁路形成部材40の対向端面42に対向し、第2の磁化部材33が他方の対向端面41に対向している。第1の操作部材127aが押され、回転部材30が反時計方向へ回動して切換え姿勢になると、第1の磁化部材32が対向端面41に対向し、第2の磁化部材33が対向端面42に対向する。このときの磁路形成部材40内に流れる磁束の変化によって、
図6に示す第1の起電力V1が発生する。
【0072】
また、第1の操作部材127aに対する操作力Fが解除されると、回転部材30が
図12に示す初期姿勢に復帰し、このとき発電コイル47によって、第2の起電力V2が生じる。
【0073】
図10は、6個設けられている他の操作部材127cのひとつに操作力Fがえられた状態を示している。この操作力Fは、検知部材45を介して揺動伝達機構131に与えられ、揺動伝達機構131が揺動し、第2の操作部材127bを介して切換え部材20が上方へ持ち上げられる。発電ユニット120が動くことなく、切換え部材20が持ち上げられるため、切換えカム23によって、回転部材30が
図12に示す初期姿勢から反時計方向へ回動させられる。よって、発電コイル47から
図6に示す第1の起電力V1が得られる。
【0074】
揺動伝達機構131には復帰ばね132が設けられているため、他の操作部材127cに対する操作力Fが除去されると、揺動伝達機構131が復帰動作し、
図7と
図8に示す初期位置へ復帰する。このときは、切換え部材20が下降するため、切換えカム23によって、回転部材30が
図12に示す初期姿勢に復帰させられ、発電コイル47から
図6に示す第2の起電力V2が得られる。
【0075】
このように、第1の操作部材127aが押されたときと、他の操作部材127cのいずれかが押されたときとで、発電ユニット120の発電動作は同じである。
図5に示す回路においては、第1の操作部材127aが押されたときと、他の操作部材127cのいずれかが押されたときの双方において、信号処理回路58のON入力部58aにON信号が与えられる。また、第1の操作部材127aと他の操作部材127cに対する操作力Fが解除されると、いずれの場合にも、信号処理回路58のOFF入力部58bにOFF信号が与えられる。
【0076】
図7以下に示す発電入力装置101は、全ての他の操作部材127cの下側にタクティールスイッチなどの検知部材45が設けられているので、検知部材45の検知信号により、複数の他の操作部材127cのうちのどれが操作されたかを識別することができる。なお、第1の操作部材127aには検知部材45が設けられていない。よって、第1の起電力V1で起動した信号処理回路58では、検知部材45の信号を受信することで、他の操作部材127cのうちのどれが操作されたかを知ることができる。さらに、ON信号を受信したときに、検知部材45の信号が検知されないときは、第1の操作部材127aが操作されたと認識することができる。よって、信号処理回路58では、操作された操作部材に応じた操作信号を生成することができる。
【0077】
また、第1の操作部材127aへの操作力Fが解除されたとき、および他の操作部材127cへの操作力Fが解除されて、第2の起電力V2が生じ、信号処理回路58にOFF信号が入力されたときは、常に同じ解除信号が生成される。
【0078】
なお、第2の実施の形態において、下側に位置している第2の操作部材127bを指で上向きに押し上げる操作が可能となるように構成されてもよい。