(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記相互量子論理クロックが、前記読み出しパルスを伝搬するために少なくとも1つの入力ジョセフソン接合のトリガリングを容易にするために前記相互量子論理クロック信号を前記入力段に供給するように、前記量子ビットの第1の量子状態において前記読み出しパルスに応じて、前記出力パルスを伝搬するために少なくとも1つの出力ジョセフソン接合のトリガリングを容易にするために前記相互量子論理クロック信号を前記出力段に供給するように、且つ前記量子ビットの第1及び第2の量子状態のそれぞれの1つに基づいて、前記第1及び第2のジョセフソン接合の1つにおけるトリガリングを容易にするために、前記相互量子論理クロック信号を前記相互量子論理比較器に供給するように構成される、請求項2に記載のシステム。
前記相互量子論理クロック信号が、対称的な方法で前記入力段、前記出力段及び前記相互量子論理比較器に供給され、前記量子ビットが、少なくとも1つの誘導結合を介して前記相互量子論理クロック信号から実質的に分離される、請求項2に記載のシステム。
前記量子ビットが、第1の量子状態において第1の方向に、且つ第2の量子状態において第2の方向に、前記第1及び第2のジョセフソン接合のそれぞれを通って流れる前記バイアス電流を生成するために、前記相互量子論理比較器に誘導的に結合され、前記バイアス電流が、前記読み出しパルスに対して前記第1及び第2のジョセフソン接合のそれぞれに関連する相対閾値を変更するために供給される、請求項1に記載のシステム。
前記第1の方向において前記第1のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第1のジョセフソン接合をトリガして前記出力パルスを生成するように前記読み出しパルスに追加され、
前記第1の方向において前記第2のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第2のジョセフソン接合がトリガするのを防ぐために、前記読み出しパルスから減じられ、
前記第2の方向において前記第1のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第1のジョセフソン接合のトリガリングを防ぐために、前記読み出しパルスから減じられ、
前記第2の方向において前記第2のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第2のジョセフソン接合をトリガするために前記読み出しパルスに追加される、請求項5に記載のシステム。
前記第1及び第2のジョセフソン接合並びに前記第3及び第4のジョセフソン接合に対して対称的に供給される相互量子論理クロック信号を生成するように構成された相互量子論理クロックを更に備え、
前記読み出しパルスが、前記相互量子論理クロック信号の第1のサイクルとほぼ同期される、請求項7に記載のシステム。
分路抵抗器が、位相量子ビットに対して対称的に配置されるように、前記相互量子論理比較器が、相互量子論理クロック信号及び前記相互量子論理比較器を対称的に相互接続する前記分路抵抗器を含む、請求項1に記載のシステム。
前記読み出しパルスを伝搬するように少なくとも1つの入力ジョセフソン接合のトリガリングを容易にするために、前記相互量子論理クロック信号を前記入力段に供給すること、
量子ビットの第1の量子状態における前記読み出しパルスに応じて前記出力パルスを伝搬するように少なくとも1つの出力ジョセフソン接合のトリガリングを容易にするために、前記相互量子論理クロック信号を前記出力段に供給すること、
前記量子ビットの第1及び第2の量子状態のそれぞれの1つに基づいて、前記第1及び第2のジョセフソン接合の1つにおけるトリガリングを容易にするために、前記相互量子論理クロック信号を相互量子論理比較器に供給すること、を更に備える、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、概して量子及び古典的デジタル超伝導回路(quantum and classical digital superconducting circuit)に関し、特に量子ビット読み出し用の相互量子論理(reciprocal quantum logic : RQL)比較器に関する。RQL読み出しシステムは、読み出しパルスが供給される入力段を含むことができる。入力段は、読み出しパルスが伝播できる少なくとも1つの入力ジョセフソン接合(input Josephson junction)を含むことができる。読み出しパルスは、位相量子ビット(phase qubit)の量子状態を判定するために、外部RQL回路などから供給することができる。RQL読み出しシステムはまた、読み出しパルスに応じて、位相量子ビットの第1の量子状態で出力パルスを伝播するように構成された出力段を含むことができる。位相量子ビットが第2の量子状態である場合に、出力パルスは、読み出しパルスに応じて出力段において供給されない。RQL読み出しシステムはまた、位相量子ビットに結合される第1のジョセフソン接合及び第2のジョセフソン接合を含むRQL比較器を含む。位相量子ビットの量子状態は、第1及び第2のジョセフソン接合のそれぞれに関連する相対閾値を設定することができる。例として、位相量子ビットは、位相量子ビットの量子状態に依存して、ジョセフソン接合を通して第1の方向又は第2の方向のいずれかにバイアス電流フローを供給するために、RQL比較器に誘導的に結合され得る。従って、第1及び第2のジョセフソン接合の1つは、読み出しパルスに応答して、それぞれ第1及び第2のジョセフソン接合を通るバイアス電流の電流フローの方向に基づいたバイアス電流が読み出しパルスに追加されるか又は読み出しパルスから減じられることに基づいてトリガして出力段において出力パルスを供給するか又は供給しない。
【0008】
RQL読み出しシステムはまた、入力段、出力段及びRQL比較器のそれぞれにRQLクロック信号を供給するRQLクロックを含む。位相量子ビットが、RQL比較器に誘導的に結合され得るので、位相量子ビットは、RQLクロック及び関連する分路抵抗器(shunt resistor)から効果的に分離することができる。その結果、位相量子ビットは、位相量子ビットのコヒーレンス時間の劣化をほぼ防ぐために、電位ノイズ源から分離される。RQLクロック信号は、読み出しパルスがRQLクロック信号の第1のサイクル(例えば正のサイクル)において供給され得るように、ジョセフソン接合のトリガリング(triggering)を容易にする(facilitate)ために入力段、出力段及びRQL比較器においてジョセフソン接合の閾値に影響することができる。RQLクロック信号の第2のサイクル(例えば負のサイクル)中に、負のパルスは、それぞれのジョセフソン接合をリセットするために供給され、従って、位相量子ビットの量子状態の後続の読み出しを可能にすることができる。
【0009】
図1は、RQL読み出しシステム10の例を示す。RQL読み出しシステム10は、超伝導量子ビット12から量子状態を読み出すために、様々な量子及び古典的コンピューティング環境において実現することができる。例として、RQL読み出しシステム10の少なくとも一部は、超伝導環境において集積回路(IC)上に実現することができる。
図1の例において、量子ビット12は、位相量子ビットとして構成される。例えば、位相量子ビット12は、超伝導ループ(例えばインダクタ)に埋め込まれるジョセフソン接合として配置することができる。従って、位相量子ビット12の「1」及び「ゼロ」量子状態は、(例えば約3μA未満の電流差を有する)位相量子ビット12のインダクタにおける一磁束量子の存在又は欠如によって異なり得る。
【0010】
RQL読み出しシステム10はまた、入力段14、出力段16及びRQL比較器18を含む。入力段14は、読み出し動作中など、位相量子ビット12の量子状態を読み出すために供給される読み出しパルスRD_PLSを伝搬するように構成される。例として、入力段14が、読み出しパルスRD_PLSを伝搬するために連続してトリガできる少なくとも1つの入力ジョセフソン接合を含むことができるように、読み出しパルスRD_PLSは、外部回路から生成される。同様に、出力段16は、位相量子ビット12の第1の量子状態における読み出しパルスRD_PLSに応じて生成される出力パルスOUTを伝搬するように構成される。例えば、出力段16は、位相量子ビット12が第1の量子状態であることを示す出力パルスOUTを伝搬するために連続してトリガできる少なくとも1つの出力ジョセフソン接合を含むことができる。反対に、位相量子ビット12が第2の量子状態である場合に、出力パルスOUTは、生成されない。従って、出力パルスOUTは、位相量子ビット12が第2の量子状態である場合に、読み出しパルスRD_PLSに応じては出力段16において伝搬されない。
【0011】
RQL比較器18は、読み出しパルスRD_PLSに応じて位相量子ビット12の量子状態を判定するように、且つ位相量子ビット12が第1の量子状態である場合に出力パルスOUTを生成するように構成される。従って、位相量子ビット12の量子状態は、他の量子又は古典的回路に示すことができる。例えば、出力パルスOUTは、量子誤差補正、又は様々な他の量子若しくは古典的処理用途のために実現することができる。
図1の例において、位相量子ビット12は、バイアス電流I
Qが、RQL比較器18を通って流れることができるように、RQL比較器18に対称的に結合されるように示されている。バイアス電流I
Qのフロー方向は、位相量子ビット12の量子状態に基づくことができる。例えば、位相量子ビット12は、バイアス電流I
QがRQL比較器18を通って流れるために磁気的に誘導されるように、RQL比較器18に誘導的に結合され得る。本明細書で説明されるように、「誘導結合」は、1つのインダクタを通る電流フローが、それぞれのインダクタの共通コアを通る磁界に基づいて、もう一方のインダクタを通る電流フローを誘導するようなそれぞれのインダクタ間の磁気結合を指す。
【0012】
図1の例において、RQL比較器18は、位相量子ビット12に対して対称的に配置できるジョセフソン接合20を含む。例として、RQL比較器18は、バイアス電流I
Qの一部が通って流れ、それぞれ出力段16に結合される第1のジョセフソン接合20及び第2のジョセフソン接合20を含むことができる。従って、電流ループにおけるバイアス電流I
Qの方向は、読み出しパルスRD_PLSに応じて、第1及び第2のジョセフソン接合20の1つを選択的にトリガするために、第1及び第2のジョセフソン接合20のそれぞれにおける閾値に不均等に影響を及ぼすことができる。その結果、位相量子ビット12の第1の量子状態において、第1のジョセフソン接合はトリガして出力パルスOUTを供給することができる。例として、第1のジョセフソン接合20を通って流れるバイアス電流I
Qは、第1のジョセフソン接合20の閾値を超えるように読み出しパルスRD_PLSに追加され、従って、第1のジョセフソン接合20をトリガして出力パルスOUTを生成することができる。反対に、位相量子ビット12の第2の量子状態において、第2のジョセフソン接合はトリガして出力パルスOUTが出力段16において伝搬するのを防ぐことができる。例として、第1のジョセフソン接合20を通って流れるバイアス電流I
Qは、第1のジョセフソン接合20をトリガしないために第1のジョセフソン接合20の閾値に達しないように、しかし代わりに第2のジョセフソン接合20をトリガし、結果として出力パルスOUTの非生成に帰着するように、読み出しパルスRD_PLSから減じることができる。
【0013】
RQL読み出しシステム10はまた、RQLクロック信号CLKを生成するように構成されるRQLクロック22を含む。例として、RQLクロック信号CLKは、非常に高い周波数(例えば数十ギガヘルツ)を有するような4相(例えば直交)クロック信号とすることができる。
図1の例において、RQLクロック信号CLKは、入力段14、出力段16及びRQL比較器18に供給されるように示されている。読み出しパルスRD_PLSは、RQLクロック信号CLKと組み合わされた場合に、それぞれのジョセフソン接合のトリガリングを容易にするために、入力段における入力ジョセフソン接合、出力段における出力ジョセフソン接合、及びRQL比較器18におけるジョセフソン接合20の少なくとも一部の閾値を超えることができる。例えば、読み出しパルスは、RQLクロック信号CLKの第1のサイクル(例えば正のサイクル)において供給することができ、RQLクロック信号CLKの第2のサイクル(例えば負のサイクル)中に、負パルスが、それぞれのジョセフソン接合をリセットするために供給され得る。例として、RQLクロック信号CLKは、ジョセフソン接合20がRQLクロック信号CLKに対して対称的に配置されるように、コモンモード接続でRQL比較器18に供給することができる。従って、入力段14におけるRQLクロック信号CLKの平衡接続(balanced connection)に基づいて、出力段16、RQL比較器18、RQLクロック信号CLK、及び関連する分路抵抗器は、バイアス電流I
Qを不平衡にしない。加えて、RQL比較器18への位相量子ビット12の誘導結合のために、RQLクロック信号CLKは、位相量子ビット12から効果的に分離される。
【0014】
従って、RQL読み出しシステム10は、実質的に緩和されたデコヒーレンス(decoherence)を備えた非常に迅速な方法で、位相量子ビット12の量子状態を読み出すための方法を提供する。RQL読み出しシステム10が、RQLベースの量子論理を実現するので、RQL読み出しシステム10は、実質的に最小の損失及び発熱(例えば、局所的な発熱を引き起こさずに約20mKの温度で動作する)で、非常に高速なデータ速度(例えば、1ナノ秒未満で量子状態を読み出す)で位相量子ビット12の量子状態の読み出しを提供するように構成することができる。加えて、ジョセフソン接合20の配置及びバイアス電流I
Qのそれぞれの相互作用を考慮したRQL比較器18の均衡のとれた製造に基づいて、RQL読み出しシステム10は、例えばほぼ3μA未満の電流振幅変化を識別でき、従って非常に高い感度を達成することができる。更に、RQLクロック信号CLKからの位相量子ビット12の分離に基づき、且つRQLクロック信号CLKの平衡配置(balanced arrangement)に基づいて、RQL読み出しシステム10は、位相量子ビット12の量子状態のデコヒーレンスを実質的に軽減することができる。
【0015】
RQL読み出しシステム10が、RQL読み出しシステム10のコンポーネントを相互接続する、且つ/又はそれらのコンポーネントに含まれる1つ又は複数の回路装置を含むように、RQL読み出しシステム10が、単純化して示されていることを理解されたい。例えば、本明細書で説明されているように、用語「結合される」は、電流及び/又は電流パルスが、1つ又は複数のインダクタ又は他の装置を通して、結合されたコンポーネント間に流れることができるように、関連する量子回路における1つ又は複数の回路装置(例えばインダクタ)を通した電気的結合を指すことができる。従って、RQL読み出しシステム10における装置間の結合は、インダクタ及び/又は他の回路装置を通した結合を含むことができる。
【0016】
図2は、RQL読み出し回路50の例を示す。RQL読み出し回路50は、
図1の例におけるRQL読み出しシステム10に対応することができる。従って、RQL読み出し回路50は、位相量子ビット52から量子状態を読み出すために、様々な量子及び古典的コンピューティング環境において実現することができる。例として、RQL読み出し回路50の少なくとも一部は、超伝導環境(例えば極低温)においてIC上に実現することができる。
【0017】
RQL読み出し回路50はまた、入力段54、出力段56及びRQL比較器58を含む。入力段54は、読み出し動作中など、位相量子ビット52の量子状態を読み出すために供給される読み出しパルスRD_PLSを伝搬するように構成される。例として、入力段54が、連続してトリガして読み出しパルスRD_PLSを伝搬する少なくとも1つの入力ジョセフソン接合を含むことができるように、読み出しパルスRD_PLSは、外部回路から生成される。入力段54は、読み出しパルスRD_PLSが供給される際に通るインダクタセットを含む。
図2の例において、入力段54は、第1のインダクタL
1、第2のインダクタL
2、第3のインダクタL
3及び第4のインダクタL
4を含む。入力段54はまた、第1及び第2のインダクタL
1及びL
2、並びに低電圧レール(例えばグランド)に結合される第1のジョセフソン接合J
1を含み、且つ第3及び第4のインダクタL
3及びL
4並びに低電圧レールに結合される第2のジョセフソン接合J
2を含む。
【0018】
第1及び第2のジョセフソン接合J
1及びJ
2は、第2、第3及び第4のインダクタL
2、L
3及びL
4を介し、入力段54に沿って読み出しパルスRD_PLSを伝搬するために連続してトリガするように構成される。
図2の例において、RQL読み出し回路50は、誘導結合61(例えば変圧器)及びインダクタL
C1を介して、第2及び第3のインダクタL
2及びL
3間で入力段54に供給されるRQLクロック信号CLKを生成するように構成されるRQLクロック60を含む。従って、RQLクロック信号CLKは、第1及び第2のジョセフソン接合J
1及びJ
2のトリガリングを容易にする。例として、読み出しパルスRD_PLSは、第1及び第2のジョセフソン接合J
1及びJ
2が、読み出しパルスRD_PLSに応じてトリガする十分な電流を有することができるように、RQLクロック信号CLKの正のサイクルとほぼ同時に供給され得る。
図2の例において、RQLクロック信号CLKは、インダクタL
C2及び抵抗器R
1を介してグランドに分路される。入力段54の配置において、抵抗器R
1はまた、第1及び第2のジョセフソン接合J
1及びJ
2用の共通の分路抵抗器として設けられる。その結果、インダクタL
3は、位相量子ビット52の量子ビットコヒーレンス時間における抵抗器ノイズの影響を更に軽減するなどのために、位相量子ビット52に対する抵抗器R
1の追加の誘導分離を提供することができる。
【0019】
RQL比較器58は、読み出しパルスRD_PLSに応じて位相量子ビット52の量子状態を判定するように、且つ位相量子ビット52が第1の量子状態である場合に、出力パルスOUTを生成するように構成される。
図2の例において、位相量子ビット52のインダクタL
PQ1は、インダクタL
PQ2を通して、且つ(例えば電流I
Qに作用するインダクタンスを実質的に軽減するために)誘導性コモンモードチョークとして配置される変圧器62を通して、位相量子ビット52の量子状態に基づいて電流I
Qを誘導するためにインダクタL
PQ2に誘導的に結合されるように示されている。
図2の例において、電流I
Qは、反対方向に流れる電流I
Q1及びI
Q2として示されている。しかしながら、電流I
Q1及びI
Q2が、位相量子ビット52の量子状態に依存して、反対方向に流れる電流I
Qに対応することを理解されたい。例えば、電流I
Q1は、第1の量子状態を有する位相量子ビット52に基づいて、第1の方向に流れる電流I
Qに対応することができ、電流I
Q2は、第2の量子状態を有する位相量子ビット52に基づいて、第2の方向に流れる電流I
Qに対応することができる。従って、電流I
Q1及びI
Q2は、位相量子ビット52の量子状態に基づいた大きさ及び方向において、ほぼ等しい。
【0020】
位相量子ビット52は、インダクタL
PQ2、変圧器62、入力段54に結合されるインダクタL
I1、及び出力段56に結合されるインダクタL
O1を介して、RQL比較器58に誘導的に結合される。RQL比較器58は、ノード64においてインダクタL
I1にそれぞれ結合されるジョセフソン接合J
3及びJ
4、並びにノード66においてインダクタL
O1にそれぞれ結合されるジョセフソン接合J
5及びJ
6を含む。ジョセフソン接合J
4及びJ
5は、インダクタL
RQ1及びL
RQ2を介して結合され、ジョセフソン接合J
3及びJ
6は、グランドに結合される。加えて、RQLクロック信号CLKは、誘導結合68(例えば変圧器)並びにインダクタL
C3及びL
C4のペアを介して、インダクタL
RQ1及びL
RQ2間にコモンモード方法で供給され、分路抵抗器R
2は、インダクタL
C3及びL
C4をグランドに相互接続する。従って、位相量子ビット52は、RQL比較器58に対称的に結合され、RQL比較器58は、そのRQL比較器58における回路コンポーネントに関して対称である。前述と同様に、RQLクロック信号CLKは、ジョセフソン接合においてジョセフソン接合のトリガリングを容易にする。例として、読み出しパルスRD_PLSは、ジョセフソン接合J
3が、ジョセフソン接合J
5及びJ
6に読み出しパルスRD_PLSを伝搬でき、且つジョセフソン接合J
5及びJ
6の1つが、読み出しパルスRD_PLSに応じてトリガする十分な電流を有することができるように、RQLクロック信号CLKの正のサイクルとほぼ同時に供給され得る。
図2の例において、分路抵抗器が所与の回路の各ジョセフソン接合と並列に設けられる典型的な超伝導回路用途に対立するものとして、抵抗器R
2は、ジョセフソン接合J
3、J
4、J
5及びJ
6に対する共通分路抵抗器として、位相量子ビット52に対して対称的に配置される。従って、抵抗器R
2の対称的な共通分路配置は、位相量子ビット52のコヒーレンス時間を劣化させる可能性があるノイズの存在を実質的に軽減する。
【0021】
前述のように、バイアス電流I
Qのフロー方向は、位相量子ビット52の量子状態に基づくことができ、電流I
Q1としてインダクタL
O1を通ってノード66に流れ込むか、又は電流I
Q2としてインダクタL
O1を通ってノード66から外へ流れる。
図2の例において、電流I
Q1は、ノード66において分岐するように示されており、電流I
Q1の第1の部分(電流I
J51として示されている)は、ジョセフソン接合J
5を通ってインダクタL
RQ2に流れ、電流I
Q1の第2の部分(電流I
J61として示されている)は、ジョセフソン接合J
6を通ってグランドに流れる。同様に、電流I
Q2は、ノード66において合流するように示され、電流I
Q2の第1の部分(電流I
J52として示されている)は、ジョセフソン接合J
5を通ってノード66に流れ、電流I
Q2の第2の部分(電流I
J62として示されている)は、グランドからジョセフソン接合J
6を通ってノード66に流れる。従って、電流I
J51及びI
J61は、電流I
Q1、つまり位相量子ビット52の第1の量子状態に対応し、電流I
J52及びI
J62は、電流I
Q2、つまり位相量子ビット52の第2の量子状態に対応する。従って、電流I
J51及びI
J61、並びに電流I
J52及びI
J62は、読み出しパルスRD_PLSに対してジョセフソン接合J
5及びJ
6の相対閾値を変化させる。
【0022】
読み出し動作中に、読み出しパルスRD_PLSは、ジョセフソン接合J
3をトリガするために、入力段54を通り(例えばジョセフソン接合J
1及びJ
2を介してインダクタL
1、L
2、L
3及びL
4を通り)、且つインダクタL
I1を通って伝搬する。従って、読み出しパルスRD_PLSは、インダクタL
RQ1及びL
RQ2を通ってジョセフソン接合J
5及びJ
6に伝搬される。従って、バイアス電流I
Qは、位相量子ビット52の量子状態に基づいて、ジョセフソン接合J
5及びJ
6に関して、読み出しパルスRD_PLSに追加されるか又は読み出しパルスRD_PLSから減じられる。
【0023】
例えば、位相量子ビット52の第1の量子状態において、電流I
Q1は、ノード66に流れ込み、これにより、電流I
J51は、ノード66からジョセフソン接合J
5を通って流れ、電流I
J61は、ノード66からジョセフソン接合J
6を通って流れる。電流I
J51が、ジョセフソン接合J
3からインダクタL
RQ1及びL
RQ2を通って伝搬される読み出しパルスRD_PLSに対して反対に流れるので、電流I
J51は、読み出しパルスRD_PLSが減じられる(例えばジョセフソン接合J
5の閾値を増加させる)。従って、ジョセフソン接合J
5は、位相量子ビット52の第1の量子状態においてトリガしない。しかしながら、電流I
J61が、ジョセフソン接合J
3からインダクタL
RQ1及びL
RQ2を通って伝搬される読み出しパルスRD_PLSと同じ方向に流れるので、電流I
J61は、読み出しパルスRD_PLSに追加される(例えばジョセフソン接合J
6の閾値を低下させる)。従って、ジョセフソン接合J
6は、位相量子ビット52の第1の量子状態においてトリガする。
【0024】
別の例として、位相量子ビット52の第2の量子状態において、電流I
Q2は、ノード66から流れ、従って電流I
J52は、ジョセフソン接合J
5を通ってノード66に流れ込み、電流I
J62は、ジョセフソン接合J
6を通ってノード66に流れ込む。電流I
J52が、ジョセフソン接合J
3からインダクタL
RQ1及びL
RQ2を通って伝搬される読み出しパルスRD_PLSと同じ方向に流れるので、電流I
J52は、読み出しパルスRD_PLSに追加される(例えばジョセフソン接合J
5の閾値を低下させる)。従って、ジョセフソン接合J
5は、位相量子ビット52の第2の量子状態においてトリガする。しかしながら、電流I
J62が、ジョセフソン接合J
3からインダクタL
RQ1及びL
RQ2を通って伝搬される読み出しパルスRD_PLSと反対方向に流れるので、電流I
J62は、読み出しパルスRD_PLSから減じられる(例えばジョセフソン接合J
6の閾値を増加させる)。従って、ジョセフソン接合J
6は、位相量子ビット52の第2の量子状態においてトリガしない。
【0025】
出力段56は、ジョセフソン接合J
6のトリガリングに応じて、つまり位相量子ビット52の第1の量子状態において生成される出力パルスOUTを伝搬するように構成される。出力段56は、入力段54に対してほぼ同様に(例えば対称的に)配置されるように、
図2の例に示されている。
図2の例において、出力段56は、出力パルスOUTが、ジョセフソン接合J
6からインダクタL
O1を通って伝搬する際に通るインダクタセットを含む。
図2の例において、出力段56は、第1のインダクタL
5、第2のインダクタL
6、第3のインダクタL
7及び第4のインダクタL
8を含む。出力段56はまた、第3及び第4のインダクタL
7及びL
8並びにグランドに結合される第1のジョセフソン接合J
7を含み、且つ第1及び第2のインダクタL
5及びL
6並びにグランドに結合される第2のジョセフソン接合J
8を含む。第1及び第2のジョセフソン接合J
7及びJ
8は、第2、第3及び第4のインダクタL
6、L
7及びL
8を介し出力段56に沿って出力パルスOUTを伝搬するために連続してトリガするように構成される。
図2の例において、RQLクロック信号CLKは、誘導結合70(例えば変圧器)及びインダクタL
C5を介して、第2及び第3のインダクタL
6及びL
7間で出力段56に供給され、インダクタL
C6及び抵抗器R
3を介してグランドに分路される。出力段56の配置において、抵抗器R
3はまた、第1及び第2のジョセフソン接合J
7及びJ
8用の共通分路抵抗器として設けられる。その結果、インダクタL
6は、位相量子ビット52の量子ビットコヒーレンス時間に対する抵抗器ノイズの影響を更に軽減するためなど、位相量子ビット52に対する抵抗器R
3の追加の誘導分離を提供することができる。
【0026】
従って、RQLクロック信号CLKは、第1及び第2のジョセフソン接合J
7及びJ
8のトリガリングを容易にする。従って、位相量子ビット52の第1の量子状態における読み出しパルスRD_PLSに応答したジョセフソン接合J
6のトリガリングに応じて、出力パルスOUTは、位相量子ビット52の第1の量子状態を示すために、出力段56において供給される。反対に、位相量子ビット52の第2の量子状態における読み出しパルスRD_PLSに応答したジョセフソン接合J
6の代わりのジョセフソン接合J
5のトリガリングに応じて、出力パルスOUTは、位相量子ビット52の第2の量子状態を示すために、出力段56において供給されない。
【0027】
RQL読み出し回路50が、
図2の例に制限されないことを理解されたい。例として、入力段54及び出力段56は、
図2の例に示されているようには制限されず、1つ若しくは複数の追加のジョセフソン接合及び/又は1つ若しくは複数の追加のインダクタなど、追加の回路コンポーネントを含むことができる。加えて、本明細書で説明される読み出し動作は、位相量子ビット52の読み出しに制限されず、電流フロー方向に基づく論理又は量子状態を有する様々な他の量子ビット又は回路装置が、RQL読み出し回路50において実現され得る。従って、RQL読み出し回路50は、様々な方法で構成することができる。
【0028】
図3は、タイミング
図100の例を示す。タイミング
図100は、RQL読み出し回路50のタイミングに対応することができる。従って、
図3の例の以下の説明において、
図2の例に対して参照がなされる。タイミング
図100は、電流I
Qが、位相量子ビット52の第1の量子状態において電流I
Q1として供給されることを電流I
Q1の正の大きさが示し、且つ電流I
Qが、位相量子ビット52の第2の量子状態において電流I
Q2として供給されることを電流I
Q1の負の大きさが示すように、電流I
Q1を示す。タイミング
図100はまた、読み出しパルスRD_PLS、電流I
J51、電流I
J61及び出力パルスOUTを示す。電流I
J51は、電流I
Qが、第2の量子状態において電流I
Q2として供給される場合に、負の大きさを有するように示され、且つ電流I
Qが、第1の量子状態において電流I
Q1として供給される場合に、電流I
J52に対応する正の大きさを有するように示される。同様に、電流I
J61は、電流I
Qが、第2の量子状態において電流I
Q1として供給される場合に、負の大きさを有するように同様に示され、且つ電流I
Qが、第1の量子状態において電流I
Q2として供給される場合に、電流I
J62に対応する正の大きさを有するように示される。
【0029】
時間T
0において、電流I
Q1は、位相量子ビット52が第2の量子状態であるように、負である。読み出しパルスRD_PLSは、RQLクロック信号CLKの正のサイクルと同時などに、入力段54において供給される。電流I
J51は、時間T
0において負であり、従って、ジョセフソン接合J
5に関して読み出しパルスRD_PLSに追加される。電流I
J61もまた負であり、ジョセフソン接合J
6に関して読み出しパルスRD_PLSから減じられる。従って、ジョセフソン接合J
5はトリガし、ジョセフソン接合J
6は、トリガしない。その結果、出力パルスOUTは、生成されず、出力段56に沿って伝搬されない。これにより、出力段56は、位相量子ビット52が、第2の量子状態であることを示す。時間T
1において、読み出しパルスRD_PLSは、RQL読み出し回路50のジョセフソン接合をリセットするために、RQLクロック信号CLKの負のサイクルとほぼ同時などに、負パルスとして供給される。時間T
2において、読み出しパルスRD_PLSは、再び供給され、前述と同様に、位相量子ビット52の表示が第2の量子状態であることに帰着する。時間T
3において、読み出しパルスRD_PLSは、RQL読み出し回路50のジョセフソン接合をリセットするために、負パルスとして再び供給される。
【0030】
時間T
4において、電流I
Q1は、位相量子ビット52が第1の量子状態であるように、正である。読み出しパルスRD_PLSは、入力段54で供給され、電流I
J51は、正であり、従ってジョセフソン接合J
5に関して読み出しパルスRD_PLSから減じられる。電流I
J61は、同様に正であり、従って、ジョセフソン接合J
6に関して読み出しパルスRD_PLSに追加される。これにより、ジョセフソン接合J
5はトリガせず、ジョセフソン接合J
6は、トリガする。その結果、出力パルスOUTは、生成され、出力段56に沿って伝搬される。このため、出力段56は、位相量子ビット52が第1の量子状態であることを示す。時間T
5において、読み出しパルスRD_PLSは、RQL読み出し回路50のジョセフソン接合をリセットするために、負パルスとして供給される。時間T
6において、読み出しパルスRD_PLSは、再び供給され、前述と同様に、位相量子ビット52の表示が再び第1の量子状態であることに帰着する。時間T
7において、読み出しパルスRD_PLSは、RQL読み出し回路50のジョセフソン接合をリセットするために、負パルスとして再び供給される。
【0031】
上記で説明した前述の構造及び機能的特徴を考慮すれば、本発明の様々な態様による方法論は、
図4に関連してよりよく理解されよう。説明の単純化のために
図4の方法論は、連続的に実行するように示され説明されているが、本発明が、示された順序によって限定されないことを理解し認識されたい。何故なら、幾つかの態様が、本発明に従って、本明細書で示され説明されているものと異なる順序で且つ/又は異なる態様と同時に行われ得るからである。更に、全ての示された特徴が、本発明の態様に従って方法論を実行するために要求され得るわけではない。
【0032】
図4は、位相量子ビット(例えば位相量子ビット12)の量子状態を読み出すための方法150の例を示す。152において、バイアス電流(例えばバイアス電流I
Q)が、位相量子ビットの第1の量子状態において第1の方向(例えばバイアス電流I
Q1)に、且つ位相量子ビットの第2の量子状態において第2の方向(例えばバイアス電流I
Q2)に、第1のジョセフソン接合(例えばジョセフソン接合J
6)及び第2のジョセフソン接合(例えばジョセフソン接合J
5)を通して供給される。154において、読み出しパルス(例えば読み出しパルスRD_PLS)が、RQLクロック信号(例えばRQLクロック信号CLK)の第1のサイクルで印加され、読み出しパルスは、入力段(例えば入力段14)において、第1及び第2のジョセフソン接合に伝搬される。156において、位相量子ビットは、第1の方向に供給されているバイアス電流と読み出しパルスとに基づいてトリガしている第1のジョセフソン接合に応じ、出力段(例えば出力段16)において出力パルス(例えば出力パルスOUT)を受信することに基づいた第1の量子状態にあるか、又は第2の方向に供給されているバイアス電流と読み出しパルスとに基づいてトリガしている第2のジョセフソン接合に応じ、出力段において出力パルスを受信しないことに基づいた第2の量子状態にあるかを判定される。
【0033】
上記で説明したものは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で全ての考えられるコンポーネント又は方法論の組み合わせを説明することは不可能であるが、しかし当業者は、本発明の多くの更なる組み合わせ及び置き換えが可能であることを理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に入る全てのかかる変更、修正及び変形を包含するように意図されている。
以下に、上記各実施形態から把握できる技術思想を記載する。
(付記1)
相互量子論理(RQL)読み出しシステムであって、
相互量子論理クロック信号を生成するように構成された相互量子論理クロックと、
少なくとも1つの入力ジョセフソン接合を介して読み出しパルスが伝搬される際に沿う入力段であって、前記読み出しパルスが、前記相互量子論理クロック信号の第1のサイクルで供給される入力段と、
前記相互量子論理クロック信号の第1のサイクル中に、少なくとも1つの出力ジョセフソン接合を介して出力パルスを伝搬するように構成された出力段と、
位相量子ビットに誘導的に結合される第1のジョセフソン接合及び第2のジョセフソン接合と、相互量子論理比較器及び前記位相量子ビットに対して対称的に配置される分路抵抗器とを含む相互量子論理比較器であって、前記第1及び第2のジョセフソン接合のそれぞれに関連する相対閾値が、前記読み出しパルスに応じ第1の量子状態において前記出力段で前記出力パルスを供給するように、且つ前記読み出しパルスに応じ第2の量子状態において前記出力段で前記出力パルスを供給しないように、前記位相量子ビットの第2の量子状態に対して前記位相量子ビットの第1の量子状態において変化する前記相互量子論理比較器と、備えるシステム。
(付記2)
前記位相量子ビットが、第1の量子状態において第1の方向に、且つ第2の量子状態において第2の方向に、前記第1及び第2のジョセフソン接合を流れるバイアス電流を生成し、前記バイアス電流が、前記第1及び第2のジョセフソン接合のそれぞれに関連する相対閾値を変更するように供給される、付記1に記載のシステム。
(付記3)
前記第1の方向において前記第1のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第1のジョセフソン接合をトリガして前記出力パルスを生成するために、前記読み出しパルスに追加され、
前記第1の方向において前記第2のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第2のジョセフソン接合がトリガするのを防ぐために、前記読み出しパルスから減じられ、
前記第2の方向において前記第1のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第1のジョセフソン接合のトリガリングを防ぐために、前記読み出しパルスから減じられ、
前記第2の方向において前記第2のジョセフソン接合を通る前記バイアス電流が、前記第2のジョセフソン接合をトリガするために、前記読み出しパルスに追加される、付記2に記載のシステム。
(付記4)
前記相互量子論理比較器が、第3のジョセフソン接合及び第4のジョセフソン接合を更に備え、
前記第1及び第2のジョセフソン接合が、前記出力段に結合され、前記第3及び前記第4のジョセフソン接合が、前記入力段に結合される、付記1に記載のシステム。
(付記5)
前記相互量子論理クロック信号が、前記位相量子ビットに対して対称的に供給され、前記読み出しパルスが、前記相互量子論理クロック信号の前記第1のサイクルとほぼ同期される、付記1に記載のシステム。