特許第6243553号(P6243553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243553
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-565739(P2016-565739)
(86)(22)【出願日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】JP2014084227
(87)【国際公開番号】WO2016103378
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 勝
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−218200(JP,A)
【文献】 特開2008−67491(JP,A)
【文献】 特開平10−215585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交流電源から交流電力が供給される通常時は、前記第1の交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を電力蓄積装置に蓄えるとともに交流電力に変換して負荷に供給し、前記第1の交流電源からの交流電力の供給が停止された停電時は、前記電力蓄積装置の直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給する常用無停電電源装置と、
第2の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を前記常用無停電電源装置の故障時に前記負荷に供給する予備用電力変換装置とを備え、
前記予備用電力変換装置は、
前記第2の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する第1のコンバータと、
前記第1のコンバータで生成された直流電力を交流電力に変換する第1のインバータと、
前記第1のコンバータによって生成される直流電圧が予め定められた電圧よりも高い第1の場合は、前記予備用電力変換装置の出力電圧が正弦波状で前記負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧になり、前記第1のコンバータによって生成される直流電圧が前記予め定められた電圧よりも低い第2の場合は、前記予備用電力変換装置の出力電圧が前記負荷にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ前記負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧となるように、前記第1のコンバータおよび前記第1のインバータのうちの少なくとも前記第1のインバータを制御する第1の制御装置とを含む、無停電電源システム。
【請求項2】
前記予め定められた電圧は、前記予備用電力変換装置が前記負荷の許容入力電圧範囲の下限値の交流電圧を出力するために最低限必要とされる電圧である、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記波形歪を有する交流電圧の波形は台形波状である、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記第1の制御装置は、
前記第1の場合は、前記第1のコンバータで生成された直流電圧の2分の1よりも小さな振幅の正弦波状の交流電圧を出力するように前記第1のインバータを制御し、
前記第2の場合は、前記第1のコンバータで生成された直流電圧の2分の1よりも大きな振幅の正弦波状の交流電圧を出力するように前記第1のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記第1の制御装置は、前記第2の場合における前記第1のインバータのスイッチング周波数を前記第1の場合における前記第1のインバータのスイッチング周波数よりも低下させる、請求項4に記載の無停電電源システム。
【請求項6】
前記第1のコンバータは前記第2の交流電源から供給される交流電圧を整流する整流器を含み、
前記第1の制御装置は前記第1のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項7】
前記第1のコンバータは前記第2の交流電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する複数のスイッチング素子を含み、
前記第1の制御装置は前記第1のコンバータおよび前記第1のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項8】
前記第1の制御装置は、前記予備用電力変換装置の出力電圧の位相が前記常用無停電電源装置の出力電圧の位相に一致するように前記第1のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項9】
前記常用無停電電源装置は、
前記第1の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する第2のコンバータと、
直流電力を交流電力に変換する第2のインバータと、
前記常用無停電電源装置の出力電圧が正弦波状で定格電圧の交流電圧となるように前記第2のコンバータおよび前記第2のインバータを制御する第2の制御装置とを含み、
前記通常時は前記第2のコンバータで生成された直流電力が前記電力蓄積装置に蓄えられるとともに前記第2のインバータに供給され、前記停電時は前記電力蓄積装置の直流電力が前記第2のインバータに供給される、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項10】
前記常用無停電電源装置は、さらに、前記第2のインバータで生成された交流電力と前記予備用電力変換装置からの交流電力とを受け、前記第2のインバータが正常である場合は前記第2のインバータで生成された交流電力を前記負荷に与え、前記第2のインバータが故障した場合は前記予備用電力変換装置からの交流電力を前記負荷に与える第1の切換回路を含む、請求項9に記載の無停電電源システム。
【請求項11】
前記予備用電力変換装置は、さらに、前記第1のインバータで生成された交流電力と第3の交流電源から供給される交流電力とを受け、前記第1のインバータが正常である場合は前記第1のインバータで生成された交流電力を前記第1の切換回路に与え、前記第1のインバータが故障した場合は前記第3の交流電源から供給される交流電力を前記第1の切換回路に与える第2の切換回路を含む、請求項10に記載の無停電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無停電電源システムに関し、特に、常用無停電電源装置の故障時に負荷に交流電力を供給する予備用電力変換装置を備えた無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開2005−218200号公報(特許文献1)には、常用無停電電源装置と予備用無停電電源装置を備えた無停電電源システムが開示されている。商用交流電源から交流電力が供給されている通常時は、常用無停電電源装置が、商用交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリに蓄えるとともに交流電力に変換して負荷に供給する。商用交流電源からの交流電力の供給が停止された停電時は、常用無停電電源装置が、バッテリの直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する。常用無停電電源装置の故障時には、予備用無停電電源装置が常用無停電電源装置の代わりに交流電力を負荷に供給する。したがって、停電時や常用無停電電源装置の故障時でも負荷の運転を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−218200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の無停電電源システムでは、常用と予備用の無停電電源装置が設けられていたので、システムが大型でコスト高になるという問題がある。そこで、バッテリを使用しない簡単な構成の電力変換装置で予備用無停電電源装置を置換することが考えられる。しかし、単に予備用無停電電源装置を簡単な構成の電力変換装置で置換しただけでは、交流電源から供給される交流電圧が低下した場合に電力変換装置の出力電圧も低下してしまい、負荷の運転が停止してしまう。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、交流電源から供給される交流電圧が変動した場合でも負荷の運転を継続することが可能な小型で低コストの無停電電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る無停電電源システムは、第1の交流電源から交流電力が供給される通常時は、第1の交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を電力蓄積装置に蓄えるとともに交流電力に変換して負荷に供給し、第1の交流電源からの交流電力の供給が停止された停電時は、電力蓄積装置の直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する常用無停電電源装置と、第2の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を常用無停電電源装置の故障時に負荷に供給する予備用電力変換装置とを備えたものである。予備用電力変換装置は、第2の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する第1のコンバータと、第1のコンバータで生成された直流電力を交流電力に変換する第1のインバータと、第1のコンバータによって生成される直流電圧が予め定められた電圧よりも高い第1の場合は、予備用電力変換装置の出力電圧が正弦波状で負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧になり、第1のコンバータによって生成される直流電圧が予め定められた電圧よりも低い第2の場合は、予備用電力変換装置の出力電圧が負荷にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧となるように、第1のコンバータおよび第1のインバータのうちの少なくとも第1のインバータを制御する第1の制御装置とを含む。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る無停電電源システムでは、電力蓄積装置を使用しない予備用電力変換装置を設けたので、システムの小型化および低コスト化を図ることができる。さらに、予備用電力変換装置は、第1のコンバータで生成される直流電圧が予め定められた電圧よりも低下した場合でも、負荷にとって許容範囲内の波形歪を交流電圧に発生させて、負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する。したがって、第2の交流電源から供給される交流電圧が変動した場合でも負荷の運転を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1による無停電電源システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示した常用無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図3図2に示したコンバータおよびインバータの構成を示す回路図である。
図4図1に示した予備用電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
図5図4に示したコンバータおよびインバータの構成を示す回路図である。
図6図4に示した予備用電力変換装置の動作を示すタイムチャートである。
図7図1に示した常用無停電電源装置の効率と予備用電力変換装置の効率とを比較する図である。
図8】この発明の実施の形態2による無停電電源システムの構成を示すブロック図である。
図9図8に示した予備用電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
図10】この発明の実施の形態3による無停電電源システムの構成を示すブロック図である。
図11図10に示した予備用電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
図12図11に示したコンバータおよびインバータの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無停電電源システムの構成を示すブロック図である。図1において、この無停電電源システムは、N台(ただし、Nは1以上の整数である)の常用無停電電源装置U1〜UNと、予備用電力変換装置B1とを備える。
【0010】
常用無停電電源装置Un(ただし、nは1以上でN以下の整数である)は、商用交流電源PS1から交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリに蓄えるとともに交流電力に変換して負荷LDnに供給する。常用無停電電源装置Unは、商用交流電源PS1からの交流電力の供給が停止された停電時は、バッテリの直流電力を交流電力に変換して負荷LDnに供給する。
【0011】
予備用電力変換装置B1は、バイパス交流電源PS2から供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換し、常用無停電電源装置U1〜UNのうちのいずれかの常用無停電電源装置Unの故障時や保守点検時に、その常用無停電電源装置Unの代わりに交流電力を負荷LDnに供給する。したがって、停電が発生した場合や、常用無停電電源装置Unの故障時および保守点検時でも、負荷LD1〜LDNの運転を継続することができる。
【0012】
バイパス交流電源PS2は、商用交流電源PS1と同じものであってもよいし、異なるものであっても構わない。ここでは、商用交流電源PS1とバイパス交流電源PS2は同じものであるとする。商用交流電源PS1およびバイパス交流電源PS2の出力電圧は、通常時であっても変動(増減)する場合がある。波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧によって負荷LDnを駆動させることが好ましいが、負荷LDnにとって許容される範囲内であれば波形歪を有し、かつ負荷LDnにとって許容される入力電圧範囲内の交流電圧によって負荷LDnを駆動させることも可能である。
【0013】
常用無停電電源装置Unは、商用交流電源PS1の出力電圧が変動した場合でも、バッテリの直流電力を用いて波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧を出力する。予備用電力変換装置B1は、バイパス交流電源PS2の出力電圧が十分に高い場合は、波形歪の無い正弦波状で負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する。予備用電力変換装置B1は、バイパス交流電源PS2の出力電圧が低下した場合は、負荷LDnにとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する。
【0014】
したがって、バッテリを使用しない簡単な構成の予備用電力変換装置B1を設けたので、バッテリを使用する予備用無停電電源装置が設けられていた従来に比べ、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0015】
さらに、予備用電力変換装置B1は、バイパス交流電源PS2の出力電圧が低下した場合でも、負荷LDnにとって許容範囲内の波形歪を交流電圧に発生させて、負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する。したがって、バイパス交流電源PS2から供給される交流電圧が変動した場合でも負荷LDnの運転を継続することができる。
【0016】
図2は、常用無停電電源装置Unの構成を示す回路ブロック図である。常用無停電電源装置Unは、商用交流電源PS1からの三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して負荷LDnに供給するものであるが、図面および説明の簡単化のため、図2では一相分の回路のみが示されている。
【0017】
図2において、この常用無停電電源装置Unは、交流入力端子T1、バイパス入力端子T2、および交流出力端子T3を備える。交流入力端子T1は、商用交流電源PS1から商用周波数の交流電力を受ける。バイパス入力端子T2は、予備用電力変換装置B1から商用周波数の交流電力を受ける。交流出力端子T3は、負荷LDnに接続される。負荷LDnは、交流電力によって駆動される。
【0018】
この常用無停電電源装置Unは、さらに、遮断器1,13、電磁接触器2,5,11,15、交流リアクトル3,9、コンバータ4、バッテリ6、平滑用電解コンデンサ7、インバータ8、コンデンサ10、電流検出器12、半導体スイッチ14、操作部16、および制御装置17を備える。
【0019】
遮断器1、電磁接触器2、および交流リアクトル3は、交流入力端子T1とコンバータ4の入力ノードとの間に直列接続される。遮断器1および電磁接触器2は、常用無停電電源装置Unの使用時はオンされ、たとえば常用無停電電源装置Unの保守および点検時にオフされる。電磁接触器2と交流リアクトル3の間のノードN1に現れる交流入力電圧VI1の瞬時値は、制御装置17によって検出される。交流入力電圧VI1の検出値に基づいて、停電の発生の有無などが判別される。
【0020】
交流リアクトル3は、低域通過フィルタを構成し、商用交流電源PS1からコンバータ4に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ4で発生するスイッチング周波数の信号が商用交流電源PS1に通過することを防止する。
【0021】
コンバータ4は、順変換器であって制御装置17によって制御され、商用交流電源PS1から交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換して電源ノードN2に出力する。コンバータ4の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。商用交流電源PS1からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ4の運転は停止される。平滑用電解コンデンサ7は、電源ノードN2に接続され、電源ノードN2の電圧を平滑化させる。電源ノードN2に現れる直流電圧VDC1の瞬時値は、制御装置17によって検出される。
【0022】
電源ノードN2は、電磁接触器5を介してバッテリ6に接続される。電磁接触器5は、常用無停電電源装置Unの使用時はオンされ、たとえば常用無停電電源装置Unおよびバッテリ6の保守および点検時にオフされる。バッテリ(電力蓄積装置)6は、コンバータ4で生成された直流電力を蓄える。バッテリ6の代わりにコンデンサが接続されていても構わない。
【0023】
インバータ8は、逆変換器であって制御装置17によって制御され、コンバータ4で生成された直流電力またはバッテリ6の直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力ノード8aに出力する。すなわちインバータ8は、通常時はコンバータ4から電源ノードN2を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、停電時はバッテリ6から供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ8の出力電圧は所望の値に制御可能になっている。
【0024】
インバータ8の出力ノード8aは交流リアクトル9を介して電磁接触器11の一方端子に接続され、電磁接触器11の他方端子(ノードN3)は交流出力端子T3に接続される。コンデンサ10は、電磁接触器11の一方端子に接続される。交流リアクトル9およびコンデンサ10は、低域通過フィルタを構成し、インバータ8で生成された商用周波数の交流電力を交流出力端子T3に通過させ、インバータ8で発生するスイッチング周波数の信号が交流出力端子T3に通過することを防止する。
【0025】
電磁接触器11は、制御装置17によって制御され、インバータ8によって生成された交流電力を負荷LDnに供給するインバータ給電モード時にはオンされ、予備用電力変換装置B1からの交流電力を負荷LDnに供給するバイパス給電モード時にはオフされる。
【0026】
ノードN3に現れる交流出力電圧VO1の瞬時値は、制御装置17によって検出される。電流検出器12は、ノードN3と交流出力端子T3の間に流れる負荷電流IO1を検出し、その検出値を示す信号を制御装置17に与える。
【0027】
遮断器13および半導体スイッチ14は、バイパス入力端子T2とノードN3の間に直列接続される。遮断器13は、常用無停電電源装置Unの使用時はオンされ、たとえば常用無停電電源装置Unの保守および点検時にオフされる。半導体スイッチ14は、サイリスタを含み、制御装置17によって制御される。半導体スイッチ14は、通常はオフし、インバータ8が故障した場合に瞬時にオンし、予備用電力変換装置B1からの交流電力を負荷LDnに供給する。半導体スイッチ14は、オンしてから所定時間経過後にオフする。
【0028】
電磁接触器15は、半導体スイッチ14に並列接続され、制御装置17によって制御される。電磁接触器15は、インバータ8によって生成された交流電力を負荷LDnに供給するインバータ給電モード時にはオフされ、予備用電力変換装置B1からの交流電力を負荷LDnに供給するバイパス給電モード時にはオンされる。また電磁接触器15は、インバータ8が故障した場合にオンし、予備用電力変換装置B1からの交流電力を負荷LDnに供給する。つまり、インバータ8が故障した場合は、半導体スイッチ14が瞬時に所定時間だけオンするとともに電磁接触器15がオンする。これは、半導体スイッチ14が過熱されて破損するのを防止するためである。
【0029】
操作部16は、無停電電源システムの使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部16を操作することにより、無停電電源装置Unの電源をオン/オフしたり、バイパス給電モードおよびインバータ給電モードのうちのいずれかのモードを選択したり、種々のパラメータを制御装置17に記憶させることが可能となっている。
【0030】
制御装置17は、操作部16からの信号に基づいて動作し、交流入力電圧VI1、直流電圧VDC1、交流出力電圧VO1、および負荷電流IO1の瞬時値を検出し、それらの検出値に基づいて無停電電源装置Un全体を制御する。すなわち、制御装置17は、交流入力電圧VI1の検出値に基づいて停電が発生したか否かを検出し、交流入力電圧VI1の位相に同期してコンバータ4およびインバータ8を制御する。
【0031】
さらに制御装置17は、直流電圧VDC1が所望の目標直流電圧VDCT1になるようにコンバータ4を制御する。さらに制御装置17は、出力電圧VO1が波形歪の無い正弦波状に変化し、かつ定格電圧になるようにインバータ8を制御する。さらに制御装置17は、出力電圧VO1の位相が入力電圧VI1の位相に一致するようにインバータ8を制御する。
【0032】
図3は、コンバータ4およびインバータ8の構成を示す回路図である。図3において、コンバータ4は入力ノード4a〜4c、スイッチング素子S1〜S6、およびダイオードD1〜D6を含み、インバータ8はスイッチング素子S11〜S16、ダイオードD11〜D16、および出力ノード8a〜8cを含む。
【0033】
コンバータ4の入力ノード4a〜4cは、商用交流電源PS1からの三相交流電圧をそれぞれ受ける。スイッチング素子S1〜S3の一方電極は直流正母線LP1に接続され、それらの他方電極はそれぞれ入力ノード4a〜4cに接続される。スイッチング素子S4〜S6の一方電極はそれぞれ入力ノード4a〜4cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN1に接続される。ダイオードD1〜D6は、それぞれスイッチング素子S1〜S6に逆並列に接続される。平滑用電解コンデンサ7は、直流正母線LP1と直流負母線LN1の間に接続され、母線LP1,LN1間の直流電圧VDC1を平滑化させる。
【0034】
インバータ8のスイッチング素子S11〜S13の一方電極は直流正母線LP1に接続され、それらの他方電極はそれぞれ出力ノード8a〜8cに接続される。スイッチング素子S14〜S16の一方電極はそれぞれ出力ノード8a〜8cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN1に接続される。ダイオードD11〜D16は、それぞれスイッチング素子S11〜S16に逆並列に接続される。
【0035】
スイッチング素子S1〜S6,S11〜S16の各々は、制御装置17によって制御され、商用交流電源PS1からの三相交流電圧VIに同期して所定のタイミングでオン/オフされる。スイッチング素子S1〜S3は三相交流電圧VI1に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S1〜S3がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S4〜S6がオフ/オンされる。スイッチング素子S11〜S13は三相交流電圧VI1に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S11〜S13がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S14〜S16がオフ/オンされる。
【0036】
商用交流電源PS1からの三相交流電圧VI1とスイッチング素子S1〜S6をオン/オフさせるタイミングとの位相差を調整することにより、直流電圧VDC1を所望の電圧に調整することが可能となっている。また、スイッチング素子S11〜S16の各々をオンさせる時間を調整することにより出力電圧VO1を所望の電圧に調整することが可能となっている。
【0037】
制御装置17は、直流電圧VDC1が所定の目標電圧VDCT1になるようにコンバータ4のスイッチング素子S1〜S6の各々をオン/オフさせるとともに、出力電圧VO1が波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧になるようにインバータ8のスイッチング素子S11〜S16の各々をオン/オフさせる。出力電圧VO1の振幅は、VDCT1/2よりも小さな値にされる。さらに制御装置17は、出力電圧VO1の位相が入力電圧VI1の位相に一致するようにインバータ8のスイッチング素子S11〜S16の各々をオン/オフさせる。
【0038】
ここで、常用無停電電源装置Unの動作について説明する。商用交流電源PS1から交流電力が供給されている通常時では、遮断器1,13および電磁接触器2,5,11がオンされ、半導体スイッチ14および電磁接触器15がオフされている。商用交流電源PS1から供給される交流電力は、コンバータ4によって直流電力に変換される。コンバータ4によって生成された直流電力は、バッテリ6に蓄えられるとともに、インバータ8によって交流電力に変換されて負荷LDnに供給される。
【0039】
常用無停電電源装置Unの出力電圧VO1は、波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧に維持される。商用交流電源PS1の出力電圧が一時的に低下した場合でも、電源ノードN2の電圧VDC1はバッテリ6によって一定電圧に維持され、出力電圧VO1は正弦波状で定格電圧の交流電圧に維持される。
【0040】
商用交流電源PS1からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ4の運転が停止され、バッテリ6の直流電力がインバータ8に供給される。インバータ8は、バッテリ6から供給される直流電力を交流電力に変換して負荷LDnに供給する。したがって、停電が発生した場合でも、バッテリ6に直流電力が蓄えられている期間は、負荷LDnの運転を継続することができる。
【0041】
通常時においてインバータ8が故障した場合は、半導体スイッチ14が瞬時にオンし、予備用電力変換装置B1から半導体スイッチ14を介して負荷LDnに交流電力が供給される。次いで電磁接触器15がオンするとともに電磁接触器11がオフし、半導体スイッチ14がオフする。これにより、予備用電力変換装置B1から電磁接触器15を介して負荷LDnに交流電力が供給される。なお、予備用電力変換装置B1の出力電圧の位相は、常用無停電電源装置U1〜UNの出力電圧VO1の位相に同期されているので、半導体スイッチ14がオンした時に過電流が流れることはない。
【0042】
図4は、予備用電力変換装置B1の構成を示す回路ブロック図である。予備用電力変換装置B1は、バイパス交流電源PS2からの三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して常用無停電電源装置U1〜UNの各々に供給するものであるが、図面および説明の簡単化のため、図4では一相分の回路のみが示されている。
【0043】
図4において、この予備用電力変換装置B1は、交流入力端子T5および交流出力端子T6を備える。交流入力端子T5は、バイパス交流電源PS2から商用周波数の交流電力を受ける。交流出力端子T6は、常用無停電電源装置U1〜UNのバイパス入力端子T2に接続される。
【0044】
この予備用電力変換装置B1は、さらに、遮断器21、電磁接触器22,30、交流リアクトル23,28、コンバータ24、平滑用電解コンデンサ26、インバータ27、コンデンサ29、電流検出器31、操作部32、および制御装置33を備える。
【0045】
遮断器21、電磁接触器22、および交流リアクトル23は、交流入力端子T5とコンバータ24の入力ノードとの間に直列接続される。遮断器21および電磁接触器22は、予備用電力変換装置B1の使用時はオンされ、たとえば予備用電力変換装置B1の保守および点検時にオフされる。電磁接触器22と交流リアクトル23の間のノードN11に現れる交流入力電圧VI2の瞬時値は、制御装置33によって検出される。
【0046】
交流リアクトル23は、低域通過フィルタを構成し、バイパス交流電源PS2からコンバータ24に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ24で発生するスイッチング周波数の信号がバイパス交流電源PS2に通過することを防止する。
【0047】
コンバータ24は、整流器であり、交流電力を直流電力に変換して電源ノードN12に出力する。コンバータ24の出力電圧は、バイパス交流電源PS2の出力電圧に応じて変化する。平滑用電解コンデンサ26は、電源ノードN12に接続され、電源ノードN12の電圧を平滑化させる。電源ノードN12に現れる直流電圧VDC2の瞬時値は、制御装置33によって検出される。
【0048】
インバータ27は、逆変換器であって制御装置33によって制御され、コンバータ24で生成された直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力ノード27aに出力する。インバータ27の出力電圧は所望の値に制御可能になっている。
【0049】
インバータ27の出力ノード27aは交流リアクトル28を介して電磁接触器30の一方端子に接続され、電磁接触器30の他方端子(ノードN13)は交流出力端子T6に接続される。コンデンサ29は、電磁接触器30の一方端子に接続される。交流リアクトル28およびコンデンサ29は、低域通過フィルタを構成し、インバータ27で生成された商用周波数の交流電力を交流出力端子T6に通過させ、インバータ27で発生するスイッチング周波数の信号が交流出力端子T6に通過することを防止する。
【0050】
電磁接触器30は、予備用電力変換装置B1の使用時はオンされ、たとえば予備用電力変換装置B1の保守および点検時にオフされる。ノードN13に現れる交流出力電圧VO2の瞬時値は、制御装置33によって検出される。電流検出器31は、ノードN13と交流出力端子T6の間に流れる負荷電流IO2を検出し、その検出値を示す信号を制御装置33に与える。
【0051】
操作部32は、無停電電源システムの使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部32を操作することにより、予備用電力変換装置B1の電源をオン/オフしたり、種々のパラメータを制御装置33に記憶させることが可能となっている。
【0052】
制御装置33は、操作部32からの信号に基づいて動作し、交流入力電圧VI2、直流電圧VDC2、交流出力電圧VO2、および負荷電流IO2の瞬時値を検出し、それらの検出値に基づいて予備用電力変換装置B1全体を制御する。すなわち、制御装置33は、出力電圧VO2の位相が入力電圧VI2の位相に一致するようにインバータ27を制御する。ここでは商用交流電源PS1とバイパス交流電源PS2は同じものであるとしているので、予備用電力変換装置B1の出力電圧VO2の位相は常用無停電電源装置U1〜UNの出力電圧VO1の位相に一致する。
【0053】
さらに制御装置33は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が予め定められた下限電圧VLよりも高い場合は、波形歪の無い正弦波状で負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧VO2が出力されるようにインバータ27を制御する。さらに制御装置33は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が予め定められた下限電圧VLよりも低い場合は、負荷LDnにとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧VO2が出力されるようにインバータ27を制御する。下限電圧VLは、予備用電力変換装置B1が負荷LDnの許容入力電圧範囲の下限値の交流電圧VOを出力するために最低限必要とされる直流電圧である。
【0054】
図5は、コンバータ24およびインバータ27の構成を示す回路図である。図5において、コンバータ24は入力ノード24a〜24cおよびダイオードD21〜D26を含み、インバータ27はスイッチング素子S31〜S36、ダイオードD31〜D36、および出力ノード27a〜27cを含む。
【0055】
コンバータ24の入力ノード24a〜24cは、バイパス交流電源PS2からの三相交流電圧をそれぞれ受ける。ダイオードD21〜D23のアノードはそれぞれ入力ノード24a〜24cに接続され、それらのカソードはともに直流正母線LP2に接続される。ダイオードD24〜D26のアノードは直流負母線LN2に接続され、それらのカソードはそれぞれ入力ノード24a〜24cに接続される。バイパス交流電源PS2からの三相交流電圧は、ダイオードD21〜D26によって全波整流されて直流電圧VDC2に変換される。平滑用電解コンデンサ26は、直流正母線LP2と直流負母線LN2の間に接続され、母線LP2,LN2間の直流電圧VDC2を平滑化させる。
【0056】
インバータ27のスイッチング素子S31〜S33の一方電極は直流正母線LP2に接続され、それらの他方電極はそれぞれ出力ノード27a〜27cに接続される。スイッチング素子S34〜S36の一方電極はそれぞれ出力ノード27a〜27cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN2に接続される。ダイオードD31〜D36は、それぞれスイッチング素子S31〜S36に逆並列に接続される。
【0057】
スイッチング素子S31〜S36の各々は、制御装置33によって制御され、バイパス交流電源PS2からの三相交流電圧VI2に同期して所定のタイミングでオン/オフされる。スイッチング素子S31〜S33は三相交流電圧VI2に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S31〜S33がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S34〜S36がオフ/オンされる。スイッチング素子S31〜S36の各々をオンさせる時間を調整することにより出力電圧VO2を所望の電圧に調整することが可能となっている。
【0058】
制御装置33は、出力電圧VO2の位相が入力電圧VI2の位相に一致するようにスイッチング素子S31〜S36の各々をオン/オフさせる。さらに制御装置33は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも高い場合は、波形歪の無い正弦波状で負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧VO2が出力されるようにスイッチング素子S31〜S36の各々をオン/オフさせる。
【0059】
さらに制御装置33は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも低い場合は、負荷LDnにとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧VO2が出力されるようにスイッチング素子S31〜S36の各々をオン/オフさせる。
【0060】
図6(a)(b)は、予備用電力変換装置B1の出力電圧VO2の波形を示すタイムチャートである。図6(a)は直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも高い場合における出力電圧VO2の波形を示し、図6(b)は直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも低い場合における出力電圧VO2の波形を示している。
【0061】
図6(a)に示すように、VDC2>VLである場合、直流電圧VDC2は入力電圧VI2に応じたレベルの電圧2×V1となる。制御装置33は、振幅がV1よりも小さな所定値A1の正弦波状の交流電圧VO2を出力するようにインバータ27を制御する。出力電圧VO2は、負荷LDnの許容入力電圧範囲内の電圧に維持される。この場合は、直流電圧V1が交流電圧VO2の振幅A1よりも大きいので、出力電圧VO2は歪の無い正弦波となる。
【0062】
図6(b)に示すように、VDC2<VLである場合、直流電圧VDC2は入力電圧VI2に応じたレベルの電圧2×V2となる。V2<V1である。この場合に、振幅がV2よりも小さな所定値の正弦波状の交流電圧VO2を出力するようにインバータ27を制御すると、出力電圧VO2が負荷LDnの許容入力電圧範囲の下限値よりも低下してしまう。
【0063】
そこで、制御装置33は、振幅がV2よりも大きな所定値A2の正弦波状の交流電圧VO2を出力するようにインバータ27を制御する。この場合は、直流電圧V2が交流電圧VO2の振幅A2よりも小さいので、出力電圧VO2は−V2〜+V2の範囲内に制限され、出力電圧VO2の波形は正弦波状ではなく台形波状になる。振幅を同じにした場合、正弦波状の交流電圧の電圧値(実効値)よりも台形波状の交流電圧の電圧値の方が大きくなる。したがって、出力電圧VO2を負荷LDnの許容入力電圧範囲内の電圧に維持することが可能となる。
【0064】
図7は、常用無停電電源装置Unの効率η(%)と予備用電力変換装置B1の効率η(%)とを比較する図である。図7の横軸は装置Un,B1の定格容量PRに対する負荷容量PLの割合PL/PR(%)を示し、図7の縦軸は装置Un,B1の効率η(%)を示している。効率ηは、交流電源PS1,PS2から供給される交流電力PIに対する負荷LDnに供給される交流電力POの割合PO/PI(%)である。常用無停電電源装置Unでは、PL/PRを20,40,60,80,100%に設定すると効率ηはそれぞれ94.5,96.4,96.8,96.9,96.8%となった。
【0065】
これに対して予備用電力変換装置B1では、PL/PRを20,40,60,80,100%に設定すると効率ηはそれぞれ94.4,96.5,97.0,97.1,97.1%となった。つまり、PL/PRが40〜100%である通常の使用範囲では、常用無停電電源装置Unの効率ηよりも予備用電力変換装置B1の効率ηの方が高くなった。これは、常用無停電電源装置Unではコンバータ4のスイッチング素子S1〜S6においてスイッチング損失および導通損失が発生するのに対し、予備用電力変換装置B1ではコンバータ24にスイッチング素子が含まれないからである。したがって、従来のように予備用の無停電電源装置を設けるよりも、予備用電力変換装置B1を使用する方が効率ηが高くなる。
【0066】
次に、図1図7で示した無停電電源システムの動作について説明する。初期状態では、常用無停電電源装置U1〜UNおよび予備用電力変換装置B1が正常であり、商用交流電源PS1およびバイパス交流電源PS2の各々から交流電力が供給されているものとする。
【0067】
この場合は、各常用無停電電源装置Unにおいて商用交流電源PS1から供給される交流電力が直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ6に蓄えられるとともに交流電力に変換されて負荷LDnに供給される。各常用無停電電源装置Unの出力電圧VO1は、波形歪の無い正弦波状の交流電圧となり、一定の定格電圧に維持される。
【0068】
商用交流電源PS1の出力電圧VI1が一時的に低下した場合でも、バッテリ6によって電源ノードN2の直流電圧VDC1が一定に維持され、各常用無停電電源装置Unの出力電圧VO1は一定の定格電圧に維持される。各負荷LDnは、対応する常用無停電電源装置Unから供給される交流電力によって駆動される。
【0069】
予備用電力変換装置B1では、バイパス交流電源PS2から供給される交流電力が直流電力に変換され、その直流電力が交流電力に変換されて各常用無停電電源装置Unのバイパス入力端子T2に供給される。バイパス交流電源PS2の出力電圧VI2が十分に高い場合はVDC2>VLとなり、予備用電力変換装置B1の出力電圧VO2は、波形歪の無い正弦波状の交流電圧となり、負荷LDnの許容入力電圧範囲内の電圧に維持される。
【0070】
バイパス交流電源PS2の出力電圧VI2が低下してVDC2<VLとなった場合は、予備用電力変換装置B1の出力電圧VO2は、負荷LDnにとって許容範囲内の波形歪を有する交流電圧となり、負荷LDnの許容入力電圧範囲内の電圧に維持される。
【0071】
ある常用無停電電源装置Unにおいてインバータ8が故障した場合は、半導体スイッチ14が瞬時にオンし、予備用電力変換装置B1で生成された交流電力が半導体スイッチ14を介して負荷LDnに供給される。電磁接触器11がオフし、電磁接触器15がオンした後、半導体スイッチ14がオフする。これにより、予備用電力変換装置B1で生成された交流電力が電磁接触器15を介して負荷LDnに供給され、負荷LDnの運転が継続される。
【0072】
常用無停電電源装置Unの保守および点検を行なう場合は、操作部16を用いてインバータ給電モードからバイパス給電モードに切り換えられる。この場合も、半導体スイッチ14がオンし、予備用電力変換装置B1で生成された交流電力が半導体スイッチ14を介して負荷LDnに供給される。電磁接触器11がオフし、電磁接触器15がオンした後、半導体スイッチ14がオフする。これにより、予備用電力変換装置B1で生成された交流電力が電磁接触器15を介して負荷LDnに供給され、負荷LDnの運転が継続されるとともに、常用無停電電源装置Unの保守および点検が行なわれる。
【0073】
常用無停電電源装置U1〜UNによって負荷LD1〜LDNを駆動させている場合に、商用交流電源PS2からの交流電力の供給が停止されたとき、すなわち停電が発生したときは、各常用無停電電源装置Unにおいてコンバータ4の運転が停止され、バッテリ6の直流電力がインバータ8によって交流電力に変換されて負荷LDnに供給される。したがって、停電が発生した場合でもバッテリ6に直流電力が蓄えられている期間は負荷LDnの運転を継続することができる。
【0074】
以上のように、この実施の形態1では、バッテリを使用しない簡単な構成の予備用電力変換装置B1を設けたので、常用無停電電源装置Unと同じ構成の予備用無停電電源装置が設けられていた従来に比べ、システムの小型化、低コスト化、高効率化を図ることができる。
【0075】
さらに、予備用電力変換装置B1は、コンバータ24で生成される直流電圧VDC2が予め定められた下限電圧VLよりも低下した場合でも、負荷LDnにとって許容範囲内の波形歪を交流電圧VO2に発生させて、負荷LDnの許容入力電圧範囲内の交流電圧VO2を出力する。したがって、バイパス交流電源PS2から供給される交流電圧が変動した場合でも負荷LDnの運転を継続することができる。
【0076】
なお、直流電力VDC2が下限電圧VLよりも低下した場合は、さらに、インバータ27のスイッチング素子S31〜S36をオン/オフさせるスイッチング周波数を低下させて予備用電力変換装置B1の出力電圧VO2に波形歪を発生させても構わない。この場合は、インバータ27のスイッチング素子S31〜S36をオン/オフさせる回数を減らすので、スイッチング素子S31〜S36におけるスイッチング損失を減らすことができ、予備用電力変換装置B1の効率ηをさらに上げることができる。
【0077】
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2による無停電電源システムの構成を示すブロック図であって、図1と対比される図である。図8を参照して、この無停電電源システムが図1の無停電電源システムと異なる点は、予備用電力変換装置B1が予備用電力変換装置B2で置換されている点である。予備用電力変換装置B2は、商用交流電源PS1から交流電力を受ける交流入力端子T5と、バイパス交流電源PS2から交流電力を受けるバイパス入力端子T7と、常用無停電電源装置U1〜UNのバイパス入力端子T2に接続された交流出力端子T6とを含む。
【0078】
図9は、予備用電力変換装置B2の構成を示す回路ブロック図であって、図4と対比される図である。図9を参照して、この予備用電力変換装置B2が図4の予備用電力変換装置B1と異なる点は、バイパス入力端子T7,遮断器34、半導体スイッチ35、および電磁接触器36が追加されている点である。交流入力端子T5は商用交流電源PS1の出力電圧を受けるので、制御装置33は、商用交流電源PS1の出力電圧に同期してインバータ27を制御する。したがって、予備用電力変換装置B2の出力電圧VO2の位相は、商用交流電源PS1の出力電圧の位相と同じになる。
【0079】
遮断器34および半導体スイッチ35は、バイパス入力端子T7とノードN13の間に直列接続される。遮断器34は、予備用電力変換装置B2の使用時はオンされ、たとえば予備用電力変換装置B2の保守および点検時にオフされる。半導体スイッチ35は、サイリスタを含み、制御装置33によって制御される。半導体スイッチ35は、通常はオフし、インバータ27が故障した場合に瞬時にオンし、バイパス交流電源PS2からの交流電力を交流出力端子T6に通過させる。半導体スイッチ35は、オンしてから所定時間経過後にオフする。
【0080】
電磁接触器36は、半導体スイッチ35に並列接続され、制御装置33によって制御される。電磁接触器36は、インバータ27によって生成された交流電力を交流出力端子T6に与えるインバータ給電モード時にはオフされ、バイパス交流電源PS2からの交流電力を交流出力端子T6に与えるバイパス給電モード時にはオンされる。
【0081】
また電磁接触器36は、インバータ27が故障した場合にオンし、バイパス交流電源PS2からの交流電力を交流出力端子T6に与える。つまり、インバータ27が故障した場合は、半導体スイッチ35が瞬時に所定時間だけオンするとともに電磁接触器36がオンする。これは、半導体スイッチ35が過熱されて破損するのを防止するためである。操作部32を操作することにより、インバータ給電モードとバイパス給電モードのうちのいずれかの給電モードを手動で選択することも可能となっている。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0082】
この実施の形態2では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、予備用電力変換装置B2のインバータ27が故障した場合でも、バイパス交流電源PS2から負荷LDnに交流電力を供給して負荷LDnの運転を継続することができる。
【0083】
なお、商用交流電源PS1の出力電圧の位相とバイパス交流電源PS2の出力電圧の位相とが異なる場合において、インバータ給電モードからバイパス給電モードに切り換えるときは、インバータ27を制御し、出力電圧VO2の位相をバイパス交流電源PS2の出力電圧の位相に一致させた後に電磁接触器30をオフさせるとともに電磁接触器36をオンさせることが好ましい。
【0084】
バイパス給電モードからインバータ給電モードに切り換えるときは、インバータ27を制御し、出力電圧VO2の位相をバイパス交流電源PS2の出力電圧の位相に一致させた後に電磁接触器36をオフさせるとともに電磁接触器30をオンさせ、その後に出力電圧VO2の位相を徐々に変えて商用交流電源PS1の出力電圧の位相に一致させることが好ましい。これにより、過電流が流れたり、負荷LDnの運転が不安定になることを防止することができる。
【0085】
[実施の形態3]
図10は、この発明の実施の形態3による無停電電源システムの構成を示すブロック図であって、図8と対比される図である。図10を参照して、この無停電電源システムが図8の無停電電電源システムと異なる点は、予備用電力変換装置B2が予備用電力変換装置B3で置換されている点である。
【0086】
図11は、予備用電力変換装置B3の構成を示す回路ブロック図であって、図9と対比される図である。図11を参照して、この予備用電力変換装置B3が図9の予備用電力変換装置B2と異なる点は、コンバータ24および制御装置33がそれぞれコンバータ37および制御装置38と置換されている点である。
【0087】
制御装置38は、入力電圧VI2(商用交流電源PS1の出力電圧)に同期してコンバータ37を制御する。コンバータ37は、制御装置38によって制御され、商用交流電源PS1からの交流電力を直流電力に変換して電源ノードN12に出力する。コンバータ37は、入力電圧VI2の振幅に応じたレベルの直流電圧VDC2を出力する。
【0088】
図12は、コンバータ37およびインバータ27の構成を示す回路図であって、図5と対比される図である。インバータ27の構成は、図5で示した通りである。コンバータ37は入力ノード37a〜37c、スイッチング素子S21〜S26、およびダイオードD21〜D26を含む。
【0089】
コンバータ37の入力ノード37a〜37cは、商用交流電源PS1からの三相交流電圧をそれぞれ受ける。スイッチング素子S21〜S23の一方電極は直流正母線LP2に接続され、それらの他方電極はそれぞれ入力ノード37a〜37cに接続される。スイッチング素子S24〜S26の一方電極はそれぞれ入力ノード37a〜37cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN2に接続される。ダイオードD21〜D26は、それぞれスイッチング素子S21〜S26に逆並列に接続される。平滑用電解コンデンサ26は、直流正母線LP2と直流負母線LN2の間に接続され、母線LP2,LN2間の直流電圧VDC2を平滑化させる。
【0090】
スイッチング素子S21〜S26の各々は、制御装置38によって制御され、商用交流電源PS1からの三相交流電圧VI2に同期して所定のタイミングでオン/オフされる。スイッチング素子S21〜S23は三相交流電圧VI2に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S21〜S23がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S24〜S26がオフ/オンされる。これにより、交流電圧VI2の振幅に応じたレベルの直流電圧VDC2が生成される。
【0091】
このコンバータ37の出力電圧VDC2は、図9のコンバータ24の出力電圧VDC2よりもダイオードDの順方向の降下電圧の2倍分だけ高くなる。したがって、その分だけ負荷LDnを駆動させることが可能な入力電圧VI2(商用交流電源PS1の出力電圧)の下限値を低くすることができる。他の構成および動作は、実施の形態2と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0092】
この実施の形態3では、実施の形態2と同じ効果が得られる他、負荷LDnを駆動させることが可能な入力電圧VI2(商用交流電源PS1の出力電圧)の下限値を低くすることができる。
【0093】
なお、この実施の形態3では、入力電圧VI2の振幅のレベルに応じてコンバータ37の出力電圧VDC2を変化させたが、これに限るものではなく、入力電圧VI2が所定値よりも高い場合はコンバータ37の出力電圧VDC2を一定値に維持し、入力電圧VIが所定値よりも低い場合はコンバータ37の出力電圧VDC2を可能な限り大きな値にしても構わない。交流電圧VI2の位相とスイッチング素子S21〜S26をオン/オフさせるタイミングの位相との差を調整することにより、コンバータ37の出力電圧VDC2を所望の値に調整することが可能となっている。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明でなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
U1〜UN 常用無停電電源装置、B1〜B3 予備用電力変換装置、PS1 商用交流電源、PS2 バイパス交流電源、LD1〜LDN 負荷、T1,T5 交流入力端子、T2,T7 バイパス入力端子、T3,T6 交流出力端子、1,13,21,34 遮断器、2,5,11,15,22,30,36 電磁接触器、3,9,23,28 交流リアクトル、4,24,37 コンバータ、6 バッテリ、7,26 平滑用電解コンデンサ、8,27 インバータ、10,29 コンデンサ、12,31 電流検出器、14,35 半導体スイッチ、16,32 操作部、17,33,38 制御装置、S1〜S6,S11〜S16,S21〜S26,S31〜S36 スイッチング素子、D1〜D6,D11〜D16,D21〜D26,D31〜D36 ダイオード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12