特許第6243554号(P6243554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243554
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20171127BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20171127BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
   H02M7/48 N
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-565740(P2016-565740)
(86)(22)【出願日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】JP2014084228
(87)【国際公開番号】WO2016103379
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 勝
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−124557(JP,A)
【文献】 特開2008−67491(JP,A)
【文献】 特開平10−215585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00−11/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の電力変換装置を備え、
前記第1の電力変換装置は、
第1の交流電源からの交流電力を直流電力に変換する第1のコンバータと、
直流電力を交流電力に変換する第1のインバータと、
前記第1の電力変換装置の出力電圧が交流電圧になるように前記第1のコンバータおよび前記第1のインバータを制御する第1の制御装置とを含み、
前記第1の交流電源から交流電力が供給される場合は、前記第1のコンバータで生成された直流電力が電力蓄積装置に蓄えられるとともに前記第1のインバータに供給され、前記第1の交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は、前記電力蓄積装置の直流電力が前記第1のインバータに供給され、
前記第2の電力変換装置は、
第2の交流電源からの交流電力を直流電力に変換する第2のコンバータと、
前記第2のコンバータで生成された直流電力を交流電力に変換する第2のインバータと、
前記第2のインバータに与えられる直流電圧が予め定められた第1の電圧よりも高い第1の場合は、前記第2の電力変換装置の出力電圧が正弦波状で負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧になり、前記第2のインバータに与えられる直流電圧が前記予め定められた第1の電圧よりも低い第2の場合は、前記第2の電力変換装置の出力電圧が前記負荷にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ前記負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧となるように、前記第2のコンバータおよび前記第2のインバータのうちの少なくとも前記第2のインバータを制御する第2の制御装置とを含み、
前記第1および第2のインバータのうちのいずれか一方のインバータから前記負荷に交流電力が供給され、当該一方のインバータが故障した場合は他方のインバータから前記負荷に交流電力が供給される、無停電電源装置。
【請求項2】
前記予め定められた第1の電圧は、前記第2の電力変換装置が前記負荷の許容入力電圧範囲の下限値の交流電圧を出力するために最低限必要とされる電圧である、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記波形歪を有する交流電圧の波形は台形波状である、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記第2の制御装置は、
前記第1の場合は、前記第2のインバータに与えられる直流電圧の2分の1よりも小さな振幅の正弦波状の交流電圧を出力するように前記第2のインバータを制御し、
前記第2の場合は、前記第2のインバータに与えられる直流電圧の2分の1よりも大きな振幅の正弦波状の交流電圧を出力するように前記第2のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記第2の制御装置は、前記第2の場合における前記第2のインバータのスイッチング周波数を前記第1の場合における前記第2のインバータのスイッチング周波数よりも低下させる、請求項4に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記第2のコンバータは前記第2の交流電源から供給される交流電圧を整流する整流器を含み、
前記第2の制御装置は前記第2のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記第2のコンバータは前記第2の交流電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する複数のスイッチング素子を含み、
前記第2の制御装置は前記第2のコンバータおよび前記第2のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項8】
前記第2の電力変換装置は、さらに、前記第2のコンバータによって生成された直流電力を蓄える電気二重層コンデンサを含み、
前記第2の交流電源から交流電力が供給される場合は、前記第2のコンバータで生成された直流電力が前記電気二重層コンデンサに蓄えられるとともに前記第2のインバータに供給され、前記第2の交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は、前記電気二重層コンデンサの直流電力が前記第2のインバータに供給される、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項9】
前記第2の制御装置は、前記第2の電力変換装置の出力電圧の位相が前記第1の電力変換装置の出力電圧の位相に一致するように前記第2のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項10】
前記第1のインバータから前記負荷に交流電力が供給され、前記第1のインバータが故障した場合は前記第2のインバータから前記負荷に交流電力が供給される、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項11】
前記第2の電力変換装置は、さらに、前記第2の交流電源から供給される交流電力と前記第2のインバータで生成された交流電力とを受け、前記第2のインバータが正常である場合は前記第2のインバータで生成された交流電力を前記負荷に与え、前記第2のインバータが故障した場合は前記第2の交流電源から供給される交流電力を前記負荷に与える切換回路を含む、請求項10に記載の無停電電源装置。
【請求項12】
前記第2のインバータから前記負荷に交流電力が供給され、前記第2のインバータが故障した場合は前記第1のインバータから前記負荷に交流電力が供給される、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項13】
前記第2の交流電源から交流電力が供給されている場合は前記第2のインバータから前記負荷に交流電力が供給され、前記第2の交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は前記第1のインバータから前記負荷に交流電力が供給される、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項14】
前記第1のインバータから前記負荷に交流電力を供給し、前記第1のインバータが故障した場合は前記第2のインバータから前記負荷に交流電力を供給する第1のモードと、前記第2のインバータから前記負荷に交流電力を供給し、前記第2のインバータが故障した場合または前記第2の交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は前記第1のインバータから前記負荷に交流電力を供給する第2のモードとのうちの選択された方のモードが実行される、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項15】
前記第1の制御装置は、前記第1の電力変換装置の出力電圧が正弦波状で定格電圧になるように、前記第1のコンバータおよび前記第1のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項16】
前記第1の制御装置は、前記第1のインバータに与えられる直流電圧が予め定められた第2の電圧よりも高い場合は、前記第1の電力変換装置の出力電圧が正弦波状で定格電圧になり、前記第1のインバータに与えられる直流電圧が前記第2の電圧よりも低い場合は、前記第1の電力変換装置の出力電圧が前記負荷にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ前記負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧となるように、前記第1のコンバータおよび前記第1のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項17】
前記予め定められた第2の電圧は、前記第1の電力変換装置が前記負荷の許容入力電圧範囲の下限値の交流電圧を出力するために最低限必要とされる電圧である、請求項16に記載の無停電電源装置。
【請求項18】
前記第1の制御装置は、前記第1のインバータに与えられる直流電圧が予め定められた第2の電圧よりも高い場合は、前記第1の電力変換装置の出力電圧が正弦波状で前記負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧となり、前記第1のインバータに与えられる直流電圧が前記第2の電圧よりも低い場合は、前記第1の電力変換装置の出力電圧が前記負荷にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ前記負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧となるように、前記第1のコンバータおよび前記第1のインバータを制御する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項19】
前記予め定められた第2の電圧は、前記第1の電力変換装置が前記負荷の許容入力電圧範囲の下限値の交流電圧を出力するために最低限必要とされる電圧である、請求項18に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無停電電源装置に関し、特に、第1および第2の交流電源から交流電力を受ける無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無停電電源装置は、第1の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換するインバータと、インバータで生成された交流電力と第2の交流電源から供給される交流電力とのうちのいずれか一方の交流電力を負荷に与える切換回路とを備える。第1の交流電源から交流電力が供給されている場合は、第1のコンバータで生成された直流電力がバッテリに蓄えられるとともにインバータに供給され、インバータで生成された交流電力が負荷に供給される。
【0003】
第1の交流電源からの交流電力の供給が停止された停電時は、バッテリの直流電力がインバータに供給され、インバータで生成された交流電力が負荷に供給される。インバータが故障した場合は、第2の交流電源からの交流電力が切換回路を介して負荷に供給される。したがって、停電時やインバータが故障した場合でも負荷の運転を継続することができる。このような無停電電源装置は、たとえば特開2010−124557号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−124557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の無停電電源装置では、インバータが故障した場合は第2の交流電源の出力電圧がそのまま負荷に印加されるので、第2の交流電源の出力電圧が負荷の許容入力電圧範囲よりも上昇した場合は負荷が破損する恐れがある。逆に、第2の交流電源の出力電圧が負荷の許容入力電圧範囲よりも低下した場合は負荷の運転が停止する恐れがある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、インバータが故障し、かつ交流電源の出力電圧が変動する場合でも負荷の運転を継続することが可能な無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る無停電電源装置は、第1および第2の電力変換装置を備えたものである。第1の電力変換装置は、第1の交流電源からの交流電力を直流電力に変換する第1のコンバータと、直流電力を交流電力に変換する第1のインバータと、第1の電力変換装置の出力電圧が交流電圧になるように第1のコンバータおよび第1のインバータを制御する第1の制御装置とを含む。第1の交流電源から交流電力が供給される場合は、第1のコンバータで生成された直流電力が電力蓄積装置に蓄えられるとともに第1のインバータに供給され、第1の交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は、電力蓄積装置の直流電力が第1のインバータに供給される。第2の電力変換装置は、第2の交流電源からの交流電力を直流電力に変換する第2のコンバータと、第2のコンバータで生成された直流電力を交流電力に変換する第2のインバータと、第2のインバータに与えられる直流電圧が予め定められた第1の電圧よりも高い第1の場合は、第2の電力変換装置の出力電圧が正弦波状で負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧になり、第2のインバータに与えられる直流電圧が予め定められた第1の電圧よりも低い第2の場合は、第2の電力変換装置の出力電圧が負荷にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧となるように、第2のコンバータおよび第2のインバータのうちの少なくとも第2のインバータを制御する第2の制御装置とを含む。第1および第2のインバータのうちのいずれか一方のインバータから負荷に交流電力が供給され、当該一方のインバータが故障した場合は他方のインバータから負荷に交流電力が供給される。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る無停電電源装置では、第1のコンバータおよび第1のインバータを含む第1の電力変換装置に加え、第2のコンバータおよび第2のインバータを含み、負荷の許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する第2の電力変換装置が設けられ、第1および第2のインバータのうちのいずれか一方のインバータから負荷に交流電力が供給され、そのインバータが故障した場合は他方のインバータから負荷に交流電力が供給される。したがって、第1または第2のインバータが故障し、かつ交流電源の交流電圧が変動する場合でも、負荷の運転を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1による無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に示した電力変換装置3の構成を示す回路ブロック図である。
図3図2に示したコンバータおよびインバータの構成を示す回路図である。
図4図1に示した電力変換装置4の構成を示す回路ブロック図である。
図5図4に示したコンバータおよびインバータの構成を示す回路図である。
図6図4に示した電力変換装置4の動作を示すタイムチャートである。
図7図1に示した電力変換装置3の効率と電力変換装置4の効率とを比較する図である。
図8】この発明の実施の形態2による無停電電源装置に含まれる電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図9】この発明の実施の形態3による無停電電源装置に含まれる電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図10】この発明の実施の形態4による無停電電源装置に含まれる電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図11図10に示したコンバータおよびインバータの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無停電電源装置1の構成を示すブロック図である。図1において、この無停電電源装置1は、交流入力端子T1、バイパス入力端子T2、バッテリ端子T3、交流出力端子T4,操作部2、および電力変換装置3,4を備える。
【0011】
交流入力端子T1は、商用交流電源5から商用周波数の交流電力を受ける。バイパス入力端子T2は、バイパス交流電源6から商用周波数の交流電力を受ける。バッテリ端子T3は、バッテリ(電力蓄積装置)7に接続される。バッテリ7の代わりにコンデンサが接続されていても構わない。交流出力端子T4は、負荷8に接続される。負荷8は、交流電力によって駆動される。
【0012】
バイパス交流電源6は、商用交流電源5と同じものであってもよいし、異なるものであっても構わない。ここでは、商用交流電源5とバイパス交流電源6は同じものであるとする。商用交流電源5およびバイパス交流電源6の出力電圧は、通常時であっても変動(増減)する場合がある。波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧によって負荷8を駆動させることが好ましいが、負荷8にとって許容される範囲内であれば波形歪を有し、かつ負荷8にとって許容される入力電圧範囲内の交流電圧によって負荷8を駆動させることも可能である。
【0013】
操作部2は、無停電電源装置1の使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部2を操作することにより、無停電電源装置1の電源をオン/オフしたり、電力変換装置3を常用して電力変換装置4を予備とする第1のモードと、電力変換装置4を常用して電力変換装置3を予備とする第2のモードとのうちのいずれか一方のモードを選択することが可能となっている。
【0014】
電力変換装置3は、商用交流電源5から交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ7に蓄えるとともに交流電力に変換し、商用交流電源5からの交流電力の供給が停止された停電時は、バッテリ7の直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置3は、商用交流電源5の出力電圧が変動した場合でも、バッテリ7の直流電力を用いて波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧を出力する。
【0015】
電力変換装置4は、バイパス交流電源6から供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置4は、バイパス交流電源6の出力電圧が十分に高い場合は、波形歪の無い正弦波状で負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する。電力変換装置4は、バイパス交流電源6の出力電圧が低下した場合は、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する。電力変換装置3の効率は、電力変換装置4の効率よりも低い。
【0016】
電力変換装置3と電力変換装置4は、通信回線L1によって互いに接続されており、通信回線L1を介して情報の授受を行なう。たとえば、電力変換装置3は、電力変換装置3が故障した場合はその旨を示す信号を電力変換装置4に送信する。電力変換装置4は、電力変換装置4が故障した場合はその旨を示す信号を電力変換装置3に送信する。換言すると、電力変換装置3は電力変換装置4が正常に動作しているか否かを監視し、電力変換装置4は電力変換装置3が正常に動作しているか否かを監視している。
【0017】
次に、この無停電電源装置1の動作について説明する。操作部2を用いて第1のモードが選択された場合、電力変換装置3が正常であるときは電力変換装置3から負荷8に交流電力が供給され、電力変換装置3が故障した場合は電力変換装置4から負荷8に交流電力が供給される。商用交流電源5からの交流電力の供給が停止された停電時は、電力変換装置3はバッテリ7の直流電力を交流電力に変換して負荷8に供給する。
【0018】
操作部2を用いて第2のモードが選択された場合、電力変換装置4が正常であるときは電力変換装置4から負荷8に交流電力が供給され、電力変換装置4が故障した場合は電力変換装置3から負荷8に交流電力が供給される。バイパス交流電源6からの交流電力の供給が停止された停電時は、電力変換装置3がバッテリ7の直流電力を交流電力に変換して負荷8に供給する。
【0019】
したがって、停電が発生した場合や、常用の電力変換装置3または4が故障した場合でも、負荷8の運転を継続することができる。交流電源5,6の出力電圧が変動する場合でも、負荷8の運転を継続することができる。さらに、電力変換装置4は、バイパス交流電源6の出力電圧が低下した場合でも、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を交流電圧に発生させて、負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧を出力する。したがって、バイパス交流電源6の出力電圧が低下した場合でも負荷8の運転を継続することができる。
【0020】
図2は、電力変換装置3の構成を示す回路ブロック図である。電力変換装置3は、商用交流電源5からの三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して負荷8に供給するものであるが、図面および説明の簡単化のため、図2では一相分の回路のみが示されている。
【0021】
図2において、この電力変換装置3は、電磁接触器11,16,21、ヒューズ12,15、交流リアクトル13,19、コンバータ14、平滑用電解コンデンサ17、インバータ18、コンデンサ20、および制御装置22を備える。
【0022】
電磁接触器11、ヒューズ12、および交流リアクトル13は、交流入力端子T1とコンバータ14の入力ノードとの間に直列接続される。電磁接触器11は、制御装置22によって制御され、電力変換装置3の使用時はオンされ、たとえば電力変換装置3の保守および点検時にオフされる。ヒューズ12は、過電流が流れた場合にブローされ、商用交流電源5、電力変換装置3などを保護する。電磁接触器11とヒューズ12の間のノードN1に現れる交流入力電圧VI1の瞬時値は、制御装置22によって検出される。交流入力電圧VI1の検出値に基づいて、商用交流電源5から交流電力が正常に供給されているか否か(すなわち停電の発生の有無)などが判別される。
【0023】
交流リアクトル13は、低域通過フィルタを構成し、商用交流電源5からコンバータ14に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ14で発生するスイッチング周波数の信号が商用交流電源5に通過することを防止する。
【0024】
コンバータ14は、順変換器であって制御装置22によって制御され、商用交流電源5から交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換して電源ノードN2に出力する。コンバータ14の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。商用交流電源5からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ14の運転は停止される。
【0025】
電源ノードN2は、ヒューズ15および電磁接触器16を介してバッテリ端子T3に接続される。ヒューズ15は、過電流が流れた場合にブローされ、電力変換装置3、バッテリ7などを保護する。電磁接触器16は、制御装置22によって制御され、電力変換装置3の使用時はオンされ、たとえば電力変換装置3およびバッテリ7の保守および点検時にオフされる。平滑用電解コンデンサ17は、電源ノードN2に接続され、電源ノードN2の電圧を平滑化させる。電源ノードN2に現れる直流電圧VDC1の瞬時値は、制御装置22によって検出される。
【0026】
インバータ18は、逆変換器であって制御装置22によって制御され、コンバータ14で生成された直流電力またはバッテリ7の直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力ノード18aに出力する。すなわちインバータ18は、通常時はコンバータ14から電源ノードN2を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、停電時はバッテリ7から供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ18の出力電圧は所望の値に制御可能になっている。
【0027】
インバータ18の出力ノード18aは交流リアクトル19を介して電磁接触器21の一方端子に接続され、電磁接触器21の他方端子は交流出力端子T4に接続される。コンデンサ20は、電磁接触器21の一方端子に接続される。交流リアクトル19およびコンデンサ20は、低域通過フィルタを構成し、インバータ18で生成された商用周波数の交流電力を交流出力端子T4に通過させ、インバータ18で発生するスイッチング周波数の信号が交流出力端子T4に通過することを防止する。
【0028】
電磁接触器21は、制御装置22によって制御され、電力変換装置3の使用時はオンされ、たとえばインバータ18の故障時や電力変換装置3の保守および点検時にオフされる。交流出力端子T4に現れる交流出力電圧VOの瞬時値は、制御装置22によって検出される。
【0029】
制御装置22は、操作部2からの信号および電力変換装置4の制御装置38(図4参照)から通信回線L1を介して与えられる信号に基づいて動作し、交流入力電圧VI1、直流電圧VDC1、および交流出力電圧VOの瞬時値を検出し、それらの検出値に基づいて電力変換装置3全体を制御する。すなわち、制御装置22は、交流入力電圧VI1の検出値に基づいて商用交流電源5からの交流電力の供給が停止されたか否かを検出する。制御装置22は、第1のモード時(または第2のモード時に電力変換装置4が故障した場合)において商用交流電源5から交流電力が供給されている場合は、交流入力電圧VI1の位相に同期してコンバータ14およびインバータ18を制御する。
【0030】
制御装置22は、直流電圧VDC1が所望の目標直流電圧VDCT1になるようにコンバータ14を制御する。制御装置22は、出力電圧VOが波形歪の無い正弦波状に変化し、かつ定格電圧になるようにインバータ18を制御する。制御装置22は、出力電圧VOの位相が入力電圧VI1の位相に一致するようにインバータ18を制御する。
【0031】
制御装置22は、第1のモード時(または第2のモード時に電力変換装置4が故障した場合)において商用交流電源5からの交流電力の供給が停止された場合は、コンバータ14の運転を停止させるとともにインバータ18の運転を継続させる。直流電圧VDC1がバッテリ7の放電終止電圧よりも低下した場合は、インバータ18の運転を停止させる。
【0032】
さらに、制御装置22は、第1のモード時にインバータ18が故障した場合は、その旨を示す信号を通信回線L1を介して電力変換装置4の制御装置38に送信する。制御装置22は、第2のモード時に制御装置38から通信回線L1を介してインバータ34(図4参照)が故障した旨の信号が送信された場合は、インバータ18を瞬時に駆動させる。
【0033】
図3は、コンバータ14およびインバータ18の構成を示す回路図である。図3において、コンバータ14は入力ノード14a〜14c、スイッチング素子S1〜S6、およびダイオードD1〜D6を含み、インバータ18はスイッチング素子S11〜S16、ダイオードD11〜D16、および出力ノード18a〜18cを含む。
【0034】
コンバータ14の入力ノード4a〜4cは、商用交流電源5からの三相交流電圧をそれぞれ受ける。スイッチング素子S1〜S3の一方電極は直流正母線LP1に接続され、それらの他方電極はそれぞれ入力ノード4a〜4cに接続される。スイッチング素子S4〜S6の一方電極はそれぞれ入力ノード4a〜4cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN1に接続される。ダイオードD1〜D6は、それぞれスイッチング素子S1〜S6に逆並列に接続される。平滑用電解コンデンサ17は、直流正母線LP1と直流負母線LN1の間に接続され、母線LP1,LN1間の直流電圧VDC1を平滑化させる。
【0035】
インバータ18のスイッチング素子S11〜S13の一方電極は直流正母線LP1に接続され、それらの他方電極はそれぞれ出力ノード18a〜18cに接続される。スイッチング素子S14〜S16の一方電極はそれぞれ出力ノード18a〜18cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN1に接続される。ダイオードD11〜D16は、それぞれスイッチング素子S11〜S16に逆並列に接続される。
【0036】
スイッチング素子S1〜S6,S11〜S16の各々は、制御装置22によって制御され、商用交流電源5からの三相交流電圧VIに同期して所定のタイミングでオン/オフされる。スイッチング素子S1〜S3は三相交流電圧VI1に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S1〜S3がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S4〜S6がオフ/オンされる。スイッチング素子S11〜S13は三相交流電圧VI1に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S11〜S13がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S14〜S16がオフ/オンされる。
【0037】
商用交流電源5からの三相交流電圧VI1とスイッチング素子S1〜S6をオン/オフさせるタイミングとの位相差を調整することにより、直流電圧VDC1を所望の電圧に調整することが可能となっている。また、スイッチング素子S11〜S16の各々をオンさせる時間を調整することにより出力電圧VOを所望の電圧に調整することが可能となっている。
【0038】
制御装置22は、コンバータ14およびインバータ18を運転させる場合は、直流電圧VDC1が所定の目標電圧VDCT1になるようにコンバータ14のスイッチング素子S1〜S6の各々をオン/オフさせるとともに、出力電圧VOが波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧になるようにインバータ18のスイッチング素子S11〜S16の各々をオン/オフさせる。出力電圧VOの振幅は、VDCT1/2よりも小さな値にされる。さらに制御装置22は、出力電圧VOの位相が入力電圧VI1の位相に一致するようにインバータ18のスイッチング素子S11〜S16の各々をオン/オフさせる。
【0039】
ここで、電力変換装置3の動作について説明する。まず、操作部2を用いて第1のモードが選択され、電力変換装置3が負荷8に交流電力を出力する場合について説明する。商用交流電源5から交流電力が供給されている通常時では、電磁接触器11,16,21がオンされている。商用交流電源5から供給される交流電力は、コンバータ14によって直流電力に変換される。コンバータ14によって生成された直流電力は、バッテリ7に蓄えられるとともに、インバータ18によって交流電力に変換されて負荷8に供給される。
【0040】
電力変換装置3の出力電圧VOは、波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧に維持される。商用交流電源5の出力電圧が一時的に低下した場合でも、電源ノードN2の電圧VDC1はバッテリ7によって一定電圧に維持され、出力電圧VOは正弦波状で定格電圧の交流電圧に維持される。
【0041】
商用交流電源5からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ14の運転が停止され、バッテリ7の直流電力がインバータ18に供給される。インバータ18は、バッテリ7から供給される直流電力を交流電力に変換して負荷8に供給する。したがって、停電が発生した場合でも、バッテリ7に直流電力が蓄えられている期間は、負荷8の運転を継続することができる。
【0042】
通常時においてインバータ18が故障した場合は、インバータ18のスイッチング素子S11〜S16はオフ状態に固定されるとともに、インバータ18が故障した旨の信号が電力変換装置4に送信されて電力変換装置4から負荷8に交流電力が供給される。なお、電力変換装置4の出力電圧の位相は、電力変換装置3の出力電圧VOの位相に同期されているので、電力変換装置4から負荷8に交流電力が供給されるときに過電流が流れることはない。
【0043】
操作部2を用いて第2のモードが選択された場合は、電力変換装置4から負荷8に交流電力が供給される。電力変換装置4が正常である場合は、コンバータ14が運転されて直流電圧VDC1が目標電圧VDCTに維持されるとともに、インバータ18の運転は停止され、インバータ18のスイッチング素子S11〜S16はオフ状態に固定される。
【0044】
このとき制御装置22は、交流電圧VI1に同期してスイッチング素子S11〜S16を制御するための制御信号を内部で生成しており、電力変換装置4が故障した場合は即座にスイッチング素子S11〜S16を制御できる状態で待機している。このため、電力変換装置4が故障した旨が電力変換装置4の制御装置38から通知されると、電力変換装置3から負荷8に交流電力が瞬時に供給される。
【0045】
図4は、電力変換装置4の構成を示す回路ブロック図である。電力変換装置4は、バイパス交流電源6からの三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換するものであるが、図面および説明の簡単化のため、図4では一相分の回路のみが示されている。
【0046】
図4において、この電力変換装置4は、交流リアクトル31,35、コンバータ32、平滑用電解コンデンサ33、インバータ34、コンデンサ36、電磁接触器37、および制御装置38を備える。
【0047】
交流リアクトル31は、バイパス入力端子T2とコンバータ32の入力ノードとの間に接続される。交流リアクトル31は、低域通過フィルタを構成し、バイパス交流電源6からコンバータ32に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ32で発生するスイッチング周波数の信号がバイパス交流電源6に通過することを防止する。バイパス入力端子T2に現れる交流入力電圧VI2の瞬時値は、制御装置38によって検出される。
【0048】
コンバータ32は、整流器であり、交流電力を直流電力に変換して電源ノードN12に出力する。コンバータ32の出力電圧は、バイパス交流電源6の出力電圧に応じて変化する。平滑用電解コンデンサ33は、電源ノードN12に接続され、電源ノードN12の電圧を平滑化させる。電源ノードN12に現れる直流電圧VDC2の瞬時値は、制御装置38によって検出される。
【0049】
インバータ34は、逆変換器であって制御装置38によって制御され、コンバータ32で生成された直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力ノード34aに出力する。インバータ34の出力電圧は所望の値に制御可能になっている。
【0050】
インバータ34の出力ノード34aは交流リアクトル35を介して電磁接触器37の一方端子に接続され、電磁接触器37の他方端子は交流出力端子T4に接続される。コンデンサ36は、電磁接触器37の一方端子に接続される。交流リアクトル35およびコンデンサ36は、低域通過フィルタを構成し、インバータ34で生成された商用周波数の交流電力を交流出力端子T4に通過させ、インバータ34で発生するスイッチング周波数の信号が交流出力端子T4に通過することを防止する。
【0051】
電磁接触器37は、電力変換装置4の使用時はオンされ、たとえばインバータ34の故障時や電力変換装置4の保守および点検時にオフされる。交流出力端子T4に現れる交流出力電圧VOの瞬時値は、制御装置38によって検出される。
【0052】
制御装置38は、操作部2からの信号および電力変換装置3の制御装置22から通信回線L1を介して与えられる信号に基づいて動作し、交流入力電圧VI2、直流電圧VDC2、および交流出力電圧VOの瞬時値を検出し、それらの検出値に基づいて電力変換装置4全体を制御する。
【0053】
すなわち、制御装置38は、交流入力電圧VI2の検出値に基づいてバイパス交流電源6からの交流電力の供給が停止されたか否かを検出する。制御装置38は、第2のモード時(または第1のモード時に電力変換装置3が故障した場合)においてバイパス交流電源6から交流電力が供給されている場合は、交流入力電圧VI2の位相に同期してインバータ34を制御する。このとき制御装置38は、出力電圧VOの位相が入力電圧VI2の位相に一致するようにインバータ34を制御する。ここでは商用交流電源5とバイパス交流電源6は同じものであるとしているので、電力変換装置4の出力電圧VOの位相は電力変換装置3の出力電圧VOの位相に一致する。
【0054】
制御装置38は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が予め定められた下限電圧VLよりも高い場合は、波形歪の無い正弦波状で負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOが出力されるようにインバータ34を制御する。制御装置38は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が予め定められた下限電圧VLよりも低い場合は、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOが出力されるようにインバータ34を制御する。下限電圧VLは、電力変換装置4が負荷8の許容入力電圧範囲の下限値の交流電圧VOを出力するために最低限必要とされる直流電圧である。
【0055】
さらに、制御装置38は、第2のモード時においてバイパス交流電源6からの交流電力の供給が停止された場合は、その旨を示す信号を通信回線L1を介して電力変換装置3の制御装置22に送信する。制御装置38は、第2のモード時においてインバータ34が故障した場合は、その旨を示す信号を通信回線L1を介して電力変換装置3の制御装置22に送信する。制御装置22は、第1のモード時に制御装置22から通信回線L1を介してインバータ18が故障した旨の信号が送信された場合は、インバータ34を瞬時に駆動させる。
【0056】
図5は、コンバータ32およびインバータ34の構成を示す回路図である。図5において、コンバータ32は入力ノード32a〜32cおよびダイオードD21〜D26を含み、インバータ34はスイッチング素子S31〜S36、ダイオードD31〜D36、および出力ノード34a〜34cを含む。
【0057】
コンバータ32の入力ノード32a〜32cは、バイパス交流電源6からの三相交流電圧をそれぞれ受ける。ダイオードD21〜D23のアノードはそれぞれ入力ノード32a〜32cに接続され、それらのカソードはともに直流正母線LP2に接続される。ダイオードD24〜D26のアノードは直流負母線LN2に接続され、それらのカソードはそれぞれ入力ノード32a〜32cに接続される。バイパス交流電源6からの三相交流電圧は、ダイオードD21〜D26によって全波整流されて直流電圧VDC2に変換される。平滑用電解コンデンサ33は、直流正母線LP2と直流負母線LN2の間に接続され、母線LP2,LN2間の直流電圧VDC2を平滑化させる。
【0058】
インバータ34のスイッチング素子S31〜S33の一方電極は直流正母線LP2に接続され、それらの他方電極はそれぞれ出力ノード34a〜34cに接続される。スイッチング素子S34〜S36の一方電極はそれぞれ出力ノード34a〜34cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN2に接続される。ダイオードD31〜D36は、それぞれスイッチング素子S31〜S36に逆並列に接続される。
【0059】
スイッチング素子S31〜S36の各々は、制御装置38によって制御され、バイパス交流電源6からの三相交流電圧VI2に同期して所定のタイミングでオン/オフされる。スイッチング素子S31〜S33は三相交流電圧VI2に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S31〜S33がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S34〜S36がオフ/オンされる。スイッチング素子S31〜S36の各々をオンさせる時間を調整することにより出力電圧VOを所望の電圧に調整することが可能となっている。
【0060】
制御装置38は、インバータ34を運転させる場合は、出力電圧VOの位相が入力電圧VI2の位相に一致するようにスイッチング素子S31〜S36の各々をオン/オフさせる。制御装置38は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも高い場合は、波形歪の無い正弦波状で負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOが出力されるようにスイッチング素子S31〜S36の各々をオン/オフさせる。
【0061】
さらに制御装置38は、電源ノードN12の直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも低い場合は、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOが出力されるようにスイッチング素子S31〜S36の各々をオン/オフさせる。
【0062】
図6(a)(b)は、電力変換装置4の出力電圧VOの波形を示すタイムチャートである。図6(a)は直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも高い場合における出力電圧VOの波形を示し、図6(b)は直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも低い場合における出力電圧VOの波形を示している。
【0063】
図6(a)に示すように、VDC2>VLである場合、直流電圧VDC2は入力電圧VI2に応じたレベルの電圧2×V1となる。制御装置38は、振幅がV1よりも小さな所定値A1の正弦波状の交流電圧VOを出力するようにインバータ34を制御する。出力電圧VOは、負荷8の許容入力電圧範囲内の電圧に維持される。この場合は、直流電圧V1が交流電圧VOの振幅A1よりも大きいので、出力電圧VOは歪の無い正弦波となる。
【0064】
図6(b)に示すように、VDC2<VLである場合、直流電圧VDC2は入力電圧VI2に応じたレベルの電圧2×V2となる。V2<V1である。この場合に、振幅がV2よりも小さな所定値の正弦波状の交流電圧VOを出力するようにインバータ34を制御すると、出力電圧VOが負荷8の許容入力電圧範囲の下限値よりも低下してしまう。
【0065】
そこで、制御装置38は、振幅がV2よりも大きな所定値A2の正弦波状の交流電圧VOを出力するようにインバータ34を制御する。この場合は、直流電圧V2が交流電圧VOの振幅A2よりも小さいので、出力電圧VOは−V2〜+V2の範囲内に制限され、出力電圧VOの波形は正弦波状ではなく台形波状になる。振幅を同じにした場合、正弦波状の交流電圧の電圧値(実効値)よりも台形波状の交流電圧の電圧値の方が大きくなる。したがって、出力電圧VOを負荷8の許容入力電圧範囲内の電圧に維持することが可能となる。
【0066】
図7は、電力変換装置3の効率η(%)と電力変換装置4の効率η(%)とを比較する図である。図7の横軸は電力変換装置3,4の定格容量PRに対する負荷容量PLの割合PL/PR(%)を示し、図7の縦軸は電力変換装置3,4の効率η(%)を示している。効率ηは、交流電源5,6から供給される交流電力PIに対する負荷8に供給される交流電力POの割合PO/PI(%)である。曲線C1,C2は、それぞれ電力変換装置3,4の効率ηを示している。電力変換装置3では、PL/PRを20,40,60,80,100%に設定すると効率ηはそれぞれ94.5,96.4,96.8,96.9,96.8%となった。
【0067】
これに対して電力変換装置4では、PL/PRを20,40,60,80,100%に設定すると効率ηはそれぞれ94.4,96.5,97.0,97.1,97.1%となった。つまり、PL/PRが40〜100%である通常の使用範囲では、電力変換装置3の効率ηよりも電力変換装置4の効率ηの方が高くなった。これは、電力変換装置3ではコンバータ14のスイッチング素子S1〜S6においてスイッチング損失および導通損失が発生するのに対し、電力変換装置4ではコンバータ32にスイッチング素子が含まれないからである。
【0068】
次に、図1図7で示した無停電電源装置の動作について説明する。初期状態では、電力変換装置3,4が正常であり、商用交流電源5およびバイパス交流電源6の各々から交流電力が供給されているものとする。まず、使用者によって操作部2が操作されて第1のモードが選択された場合について説明する。
【0069】
この場合は、電力変換装置3において商用交流電源5から供給される交流電力が直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ7に蓄えられるとともに交流電力に変換されて負荷8に供給される。電力変換装置3の出力電圧VOは、波形歪の無い正弦波状の交流電圧となり、一定の定格電圧に維持される。
【0070】
商用交流電源5の出力電圧VI1が一時的に低下した場合でも、バッテリ7によって電源ノードN2の直流電圧VDC1が一定に維持され、電力変換装置3の出力電圧VOは一定の定格電圧に維持される。負荷8は、電力変換装置3から供給される交流電力によって駆動される。
【0071】
電力変換装置3によって負荷8を駆動させている場合に、商用交流電源5からの交流電力の供給が停止されたとき、すなわち停電が発生したときは、電力変換装置3においてコンバータ14の運転が停止され、バッテリ7の直流電力がインバータ18によって交流電力に変換されて負荷8に供給される。したがって、停電が発生した場合でもバッテリ7に直流電力が蓄えられている期間は負荷8の運転を継続することができる。
【0072】
電力変換装置3によって負荷8を駆動させている場合に、インバータ18が故障した場合は、電力変換装置4のインバータ34が瞬時に動作し、電力変換装置4で生成された交流電力が負荷8に供給され、負荷8の運転が継続される。さらに、電磁接触器21がオフされてインバータ18と交流出力端子T4の間が電気的に切り離される。
【0073】
電力変換装置4では、バイパス交流電源6から供給される交流電力が直流電力に変換され、その直流電力が交流電力に変換されて負荷8に供給される。バイパス交流電源6の出力電圧VI2が十分に高い場合はVDC2>VLとなり、電力変換装置4の出力電圧VOは、波形歪の無い正弦波状の交流電圧となり、負荷8の許容入力電圧範囲内の電圧に維持される。
【0074】
バイパス交流電源6の出力電圧VI2が低下してVDC2<VLとなった場合は、電力変換装置4の出力電圧VOは、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を有する交流電圧となり、負荷8の許容入力電圧範囲内の電圧に維持される。
【0075】
次に、使用者によって操作部2が操作されて第2のモードが選択された場合について説明する。この場合は、電力変換装置4において、バイパス交流電源6から供給される交流電力が直流電力に変換され、その直流電力が交流電力に変換されて負荷8に供給される。バイパス交流電源6の出力電圧VI2が十分に高い場合はVDC2>VLとなり、波形歪の無い正弦波状で、負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOが負荷8に供給される。バイパス交流電源6の出力電圧VI2が低下してVDC2<VLとなった場合は、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を有し、負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOが負荷8に供給される。
【0076】
電力変換装置4によって負荷8を駆動させている場合に、バイパス交流電源6からの交流電力の供給が停止されたとき、すなわち停電が発生したときは、電力変換装置3においてコンバータ14の運転が停止され、バッテリ7の直流電力がインバータ18によって交流電力に変換されて負荷8に供給される。したがって、停電が発生した場合でもバッテリ7に直流電力が蓄えられている期間は負荷8の運転を継続することができる。電力変換装置3の出力電圧VOは、波形歪の無い正弦波状の交流電圧となり、一定の定格電圧に維持される。
【0077】
電力変換装置4によって負荷8を駆動させている場合に、インバータ34が故障した場合は、電力変換装置3のインバータ18が瞬時に動作し、電力変換装置3で生成された交流電力が負荷8に供給され、負荷8の運転が継続される。さらに、電磁接触器37がオフされてインバータ34と交流出力端子T4の間が電気的に切り離される。電力変換装置3の出力電圧VOは、波形歪の無い正弦波状の交流電圧となり、一定の定格電圧に維持される。
【0078】
商用交流電源5の出力電圧VI1が一時的に低下した場合でも、バッテリ7によって電源ノードN2の直流電圧VDC1が一定に維持され、電力変換装置3の出力電圧VOは一定の定格電圧に維持される。負荷8は、電力変換装置3から供給される交流電力によって駆動される。
【0079】
電力変換装置3によって負荷8を駆動させている場合に、商用交流電源5からの交流電力の供給が停止されたとき、すなわち停電が発生したときは、電力変換装置3においてコンバータ14の運転が停止され、バッテリ7の直流電力がインバータ18によって交流電力に変換されて負荷8に供給される。したがって、停電が発生した場合でもバッテリ7に直流電力が蓄えられている期間は負荷8の運転を継続することができる。
【0080】
以上のように、この実施の形態1では、商用交流電源5の出力電圧を正弦波状で定格電圧に変換する電力変換装置3と、バイパス交流電源6の出力電圧を負荷8の許容入力電圧範囲内の電圧に変換する電力変換装置4とが設けられ、電力変換装置3,4のうちのいずれか一方の電力変換装置から負荷8に交流電力が供給され、その電力変換装置が故障した場合は他方の電力変換装置から負荷8に交流電力が供給される。したがって、交流電源5,6の出力電圧が変動し、かつ電力変換装置3,4のうちのいずれか一方の電力変換装置が故障した場合でも、負荷8の運転を継続することができる。
【0081】
さらに、電力変換装置4は、コンバータ32で生成される直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも低下した場合でも、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を交流電圧に発生させて、負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOを出力する。したがって、バイパス交流電源6の出力電圧が低下した場合でも負荷8の運転を継続することができる。
【0082】
さらに、電力変換装置3を常用し、電力変換装置3が故障した場合に電力変換装置4を使用する第1のモードと、電力変換装置4を常用し、電力変換装置4が故障した場合に電力変換装置3を使用する第2のモードとのうちにの選択された方のモードが実行される。したがって、負荷8の仕様に応じて負荷8に供給する交流電力の質を変えることができる。
【0083】
さらに、コンバータ32として6つのダイオードD21〜D26を含む整流器を使用したので、コンバータ32における電力損失を小さく抑制することができる。
【0084】
なお、直流電圧VDC2が下限電圧VLよりも低下した場合は、さらに、インバータ34のスイッチング素子S31〜S36をオン/オフさせるスイッチング周波数を低下させて電力変換装置4の出力電圧VOに波形歪を発生させても構わない。この場合は、インバータ34のスイッチング素子S31〜S36をオン/オフさせる回数を減らすので、スイッチング素子S31〜S36におけるスイッチング損失を減らすことができ、電力変換装置4の効率ηをさらに上げることができる。
【0085】
本実施の形態1では、電力変換装置3は、常に波形歪の無い正弦波状で定格電圧の交流電圧VOを出力したが、これに限るものではなく、電源ノードN2の直流電圧VDC1が下限電圧VLよりも低下した場合は、電力変換装置4と同様に、負荷8にとって許容範囲内の波形歪を有し、かつ負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOを出力しても構わない。この場合は、停電時における負荷8の運転時間を長くすることができる。
【0086】
さらに、電力変換装置3は、電源ノードN2の直流電圧VDC1が下限電圧VLよりも高い場合でも、電力変換装置4と同様に、正弦波状で、かつ負荷8の許容入力電圧範囲内の交流電圧VOを出力しても構わない。この場合は、直流電圧VDC1を低下させることにより、スイッチング素子S1〜S6,S11〜S16における導通損失およびスイッチング損失を低減することができる。
【0087】
本実施の形態1では、商用交流電源5の出力電圧の位相とバイパス交流電源6の出力電圧の位相とは同じである場合について説明したが、本願発明は商用交流電源5の出力電圧の位相とバイパス交流電源6の出力電圧の位相とが異なる場合にも適用可能である。ただし、その場合は、電力変換装置4の制御装置38が商用交流電源5の出力電圧の位相に同期してインバータ34のスイッチング素子S31〜S36を制御するか、あるいは電力変換装置3の制御装置22がバイパス交流電源6の出力電圧の位相に同期してインバータ18のスイッチング素子S11〜S16を制御する必要がある。これにより、交流電源5,6の出力電圧の位相が一致しない場合でも、電力変換装置3,4の出力電圧の位相を一致させることができ、電力変換装置3,4のうちの一方の電力変換装置のインバータが故障して他方の電力変換装置のインバータを動作させる場合でも過電流が流れることはない。
【0088】
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2による無停電電源装置に含まれる電力変換装置40の構成を示す回路ブロック図であって、図4と対比される図である。図8を参照して、この電力変換装置40が図4の電力変換装置4と異なる点は、電源ノードN12に電気二重層コンデンサ41が接続されている点である。
【0089】
この電力変換装置40では、バイパス交流電源6から交流電力が供給されている通常時は、バイパス交流電源6からの交流電力がコンバータ32によって直流電力に変換され、その直流電力が電気二重層コンデンサ41に蓄えられるとともに、インバータ34に供給される。バイパス交流電源6からの交流電力の供給が一時的に停止された瞬停時は、電気二重層コンデンサ41の直流電力がインバータ34に供給される。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0090】
この実施の形態2では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、電力変換装置40で生成された交流電力によって負荷8が駆動されている場合に、バイパス交流電源6からの交流電力の供給が一時的に停止された場合でも、電気二重層コンデンサ41に直流電力が蓄えられている間は負荷8の運転を継続することができる。
【0091】
なお、電気二重層コンデンサ41に蓄えられる直流電力はバッテリ7に蓄えられる直流電力よりも小さいので、本実施の形態2は、バイパス交流電源6の瞬間的または短時間(たとえば数秒間)の停電時に負荷8の運転を継続することができるが、長時間の停電時に負荷8の運転を継続することはできない。
【0092】
[実施の形態3]
図9は、この発明の実施の形態3による無停電電源装置に含まれる電力変換装置50の構成を示す回路ブロック図であって、図4と対比される図である。図9を参照して、この電力変換装置50が図4の電力変換装置4と異なる点は、電磁接触器51,53および半導体スイッチ52が追加されている点である。
【0093】
電磁接触器51の一方端子はバイパス入力端子T2に接続され、その他方端子は交流リアクトル31を介してコンバータ32の入力ノードに接続される。電磁接触器51は、制御装置38によって制御され、電力変換装置50の使用時はオンされ、たとえば電力変換装置50の保守および点検時にオフされる。
【0094】
半導体スイッチ52は、バイパス入力端子T2と交流出力端子T4の間に接続される。半導体スイッチ52は、サイリスタを含み、制御装置38によって制御される。半導体スイッチ52は、通常はオフし、第2のモード時にインバータ34が故障した場合に瞬時にオンし、バイパス交流電源6からの交流電力を交流出力端子T4に通過させる。半導体スイッチ52は、オンしてから所定時間経過後にオフする。
【0095】
電磁接触器53は、半導体スイッチ52に並列接続され、制御装置38によって制御される。電磁接触器53は、インバータ34によって生成された交流電力を交流出力端子T4に与えるインバータ給電モード時にはオフされ、バイパス交流電源6からの交流電力を交流出力端子T4に与えるバイパス給電モード時にはオンされる。電磁接触器37は、インバータ給電モード時にはオンされ、バイパス給電モード時にはオフされる。
【0096】
また電磁接触器53は、第2のモード時においてインバータ34が故障した場合にオンし、バイパス交流電源6からの交流電力を交流出力端子T4に与える。電磁接触器37は、インバータ34が故障した場合にオフする。つまり、インバータ34が故障した場合は、半導体スイッチ52が瞬時に所定時間だけオンするとともに電磁接触器53がオンし、電磁接触器37がオフする。これは、半導体スイッチ52が過熱されて破損するのを防止するためである。操作部2を操作することにより、インバータ給電モードとバイパス給電モードのうちのいずれかの給電モードを手動で選択することも可能となっている。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0097】
この実施の形態3では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、第2のモード時において電力変換装置3のインバータ18が故障した後に電力変換装置4のインバータ34が交流電力を負荷8に供給している場合にさらにインバータ34が故障した場合でも、バイパス交流電源6から負荷8に交流電力を供給して負荷8の運転を継続することができる。
【0098】
[実施の形態4]
図10は、この発明の実施の形態4による無停電電源装置に含まれる電力変換装置55の構成を示す回路ブロック図であって、図4と対比される図である。図10を参照して、この電力変換装置55が図4の電力変換装置4と異なる点は、コンバータ32および制御装置38がそれぞれコンバータ56および制御装置57と置換されている点である。
【0099】
制御装置57は、入力電圧VI2(バイパス交流電源6の出力電圧)に同期してコンバータ56を制御する。コンバータ56は、制御装置57によって制御され、バイパス交流電源6からの交流電力を直流電力に変換して電源ノードN12に出力する。コンバータ56は、入力電圧VI2の振幅に応じたレベルの直流電圧VDC2を出力する。
【0100】
図11は、コンバータ56およびインバータ34の構成を示す回路図であって、図5と対比される図である。インバータ34の構成は、図5で示した通りである。コンバータ56は入力ノード56a〜56c、スイッチング素子S21〜S26、およびダイオードD21〜D26を含む。
【0101】
コンバータ56の入力ノード56a〜56cは、バイパス交流電源6からの三相交流電圧をそれぞれ受ける。スイッチング素子S21〜S23の一方電極は直流正母線LP2に接続され、それらの他方電極はそれぞれ入力ノード37a〜37cに接続される。スイッチング素子S24〜S26の一方電極はそれぞれ入力ノード37a〜37cに接続され、それらの他方電極は直流負母線LN2に接続される。ダイオードD21〜D26は、それぞれスイッチング素子S21〜S26に逆並列に接続される。平滑用電解コンデンサ33は、直流正母線LP2と直流負母線LN2の間に接続され、母線LP2,LN2間の直流電圧VDC2を平滑化させる。
【0102】
スイッチング素子S21〜S26の各々は、制御装置57によって制御され、バイパス交流電源6からの三相交流電圧VI2に同期して所定のタイミングでオン/オフされる。スイッチング素子S21〜S23は三相交流電圧VI2に同期してオン/オフされ、スイッチング素子S21〜S23がオン/オフされたときにそれぞれスイッチング素子S24〜S26がオフ/オンされる。これにより、交流電圧VI2の振幅に応じたレベルの直流電圧VDC2が生成される。
【0103】
このコンバータ56の出力電圧VDC2は、図5のコンバータ32の出力電圧VDC2よりもダイオードDの順方向の降下電圧の2倍分だけ高くなる。したがって、その分だけ負荷8を駆動させることが可能な入力電圧VI2(バイパス交流電源6の出力電圧)の下限値を低くすることができる。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0104】
この実施の形態4では、実施の形態1と同じ効果が得られる他、負荷8を駆動させることが可能な入力電圧VI2(バイパス交流電源6の出力電圧)の下限値を低くすることができる。
【0105】
なお、この実施の形態4では、入力電圧VI2の振幅のレベルに応じてコンバータ56の出力電圧VDC2を変化させたが、これに限るものではなく、入力電圧VI2が所定値よりも高い場合はコンバータ56の出力電圧VDC2を一定値に維持し、入力電圧VIが所定値よりも低い場合はコンバータ56の出力電圧VDC2を可能な限り大きな値にしても構わない。交流電圧VI2の位相とスイッチング素子S21〜S26をオン/オフさせるタイミングの位相との差を調整することにより、コンバータ56の出力電圧VDC2を所望の値に調整することが可能となっている。
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明でなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1 無停電電源装置、2 操作部、3,4,40,50,55 電力変換装置、L1 通信回線、5 商用交流電源、6 バイパス交流電源、7 バッテリ、8 負荷、T1 交流入力端子、T2 バイパス入力端子、T3 バッテリ端子、T4 交流出力端子、11,16,21,37,51,53 電磁接触器、12,15 ヒューズ、13,19,31,35 交流リアクトル、14,32,56 コンバータ、17,33 平滑用電解コンデンサ、18,34 インバータ、20,36 コンデンサ、22,38,57 制御装置、S1〜S6,S11〜S16,S21〜S26,S31〜S36 スイッチング素子、D1〜D6,D11〜D16,D21〜D26,D31〜D36 ダイオード、41 電気二重層コンデンサ、52 半導体スイッチ。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11