(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子スコープの組み立てを行う場合、挿入管にケーブルを通す前に撮像素子の動作確認が行われる。撮像素子の動作確認では、撮像素子から引き出された複数のケーブルが回路基板に接続される。複数のケーブルは、例えば、撮像素子に駆動電圧を印加するためのケーブル、撮像素子から出力される画素信号を伝送するためのケーブル、アース線などである。撮像素子の動作確認が終了すると、複数のケーブルは一旦回路基板から外される。回路基板から外されたケーブルは、電子スコープの挿入管に先端側から通され、再度回路基板に接続される。
【0005】
このように、挿入管にケーブルを通す前に撮像素子の動作確認を行うことによって、撮像素子に初期不良があり、撮像素子を交換する必要がある場合においても、電子スコープを分解することなく容易に撮像素子の交換を行うことができる。
【0006】
しかし、このような組み立て工程では、ケーブルを挿入管に通す前と後に複数のケーブルを回路基板へ半田付けする必要があり、時間と手間がかかるという問題がある。また、各ケーブルは挿入管に通すために細径のものが使用され、回路基板はコネクタ部内に配置するために小型に設計されている。複数の細径のケーブルを小型に設計された回路基板に半田付けする場合、接触不良やショートが発生し、電子スコープが正常に動作しなくなる虞がある。
【0007】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撮像素子に接続される導線の配線が容易な内視鏡用電子スコープ及び内視鏡用電子スコープの組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態の内視鏡用電子スコープは、被写体を撮像して撮像信号を生成する撮像素子と、体腔内に挿入される挿入管と、挿入管内に形成された導線挿入路と、コネクタを有し、所定の方向に長尺な中継基板と、一端が中継基板に、他端が撮像素子にそれぞれ接続され、中継基板から所定の方向と略平行な方向に引き出され且つ導線挿入路内をその全長に亘って引き回されている複数の導線と、コネクタと着脱可能に接続されるレセプタクルを有する回路基板と、を備える。中継基板は、所定の方向を導線挿入路の軸線方向に合わせた状態で導線挿入路に挿通可能なサイズを有する。
【0009】
このような構成によれば、中継基板を挿入管の導線挿入路に通すことにより、中継基板に接続された複数の導線を導線挿入路に通すことができる。また、コネクタとレセプタクルを接続することによって撮像素子と回路基板とが電気的に接続される。そのため、電子スコープを組み立てる場合に、複数の導線の配線を容易に行うことができる。
【0010】
また、内視鏡用電子スコープは、挿入管の中空部の断面積をSpと定義し、導線挿入路の断面積をShと定義したときに、次の条件式
0.2≦Sh/Sp≦0.5
を満たしてもよい。
【0011】
また、中継基板に所定の貫通孔が形成されていてもよい。この場合、貫通孔に通されたねじによって中継基板と回路基板とを固定することにより、コネクタとレセプタクルとの接続が補強される。
【0012】
また、貫通孔は、中継基板の所定の方向において中継基板の一端に寄せた位置に形成されていてもよい。この場合、中継基板は、貫通孔の形成位置に近い端部が面取りされている。
【0013】
また、複数の導線は、貫通孔から離れる方向に引き出されていてもよい。
【0014】
また、回路基板は、中継基板より引き出された複数の配線を束ねて把持する把持部を有してもよい。
【0015】
また、中継基板は、両面配線基板であってもよい。この場合、複数の配線の一部は、中継基板の第一面に接続され第一面から引き出されており、複数の配線の残りは、第一面と反対の第二面に接続され第二面から引き出されている。
【0016】
中継基板は、複数の配線の各々と接続される複数のパッド電極を有してもよい。この場合、複数のパッド電極はそれぞれ、所定の方向に長尺な形状を有する。
【0017】
本発明の実施形態の内視鏡用電子スコープの組立方法は、体腔内に挿入される挿入管内に形成された導線挿入路を備える内視鏡用電子スコープの組立方法であって、所定のワイヤ治具を複数の導線が接続された中継基板に接続するワイヤ接続工程と、中継基板に接続されたワイヤ治具を、導線挿入路に挿入して通すことにより、中継基板及び複数の導線を導線挿入路に通す挿通工程と、導線挿入路に通された中継基板とワイヤ治具との接続を解除するワイヤ接続解除工程と、導線挿入路に通された中継基板が有するコネクタと、回路基板が有するレセプタクルとを接続する回路接続工程とを含む。
【0018】
また、ワイヤ接続工程では、ワイヤ治具の端部に設けられた鉤部が中継基板に設けられた貫通孔に通されることにより、ワイヤ治具と中継基板とが接続され、回路接続工程では、貫通孔にねじが通されて中継基板と回路基板が固定されることにより、コネクタとレセプタクルとの接続が補強されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の内視鏡用電子スコープ及び内視鏡用電子スコープの組立方法によれば、電子スコープを組み立てる場合に、撮像素子に接続される導線の配線を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態にかかる内視鏡システムについて説明する。
【0022】
[内視鏡システム1の構成]
図1は、本実施形態の内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示す内視鏡システム1は、医療用の撮像システムであり、電子スコープ100、内視鏡プロセッサ200及びモニタ300を有している。
【0023】
電子スコープ100は、挿入管100Aとコネクタ部100Bとを有している。挿入管100A内には、対物光学系101、撮像ユニット102及び照明光学系103が設けられている。コネクタ部100B内には、回路基板11が設けられている。回路基板11には、撮像素子ドライバ104及びAFE(Analog Front End)105が含まれている。また、コネクタ部100Bから挿入管100Aの先端部100Cにかけてライトガイド106が配置されている。撮像ユニット102と回路基板11とは、複数の導線14及び中継基板13によって接続されている。
【0024】
図2は、挿入管100Aについて、自身の軸線と直交する方向における断面図である。挿入管100Aは円筒形状を有している。挿入管100A内には、軸線方向に沿って導線挿入路(ケーブルチャネル)21、ステーコイル22及びライトガイド106が設けられている。導線挿入路21には複数の導線(
図2では不図示。後述の
図3参照。)が挿入され通されている。ステーコイル22内には、湾曲ワイヤ(不図示)が通されている。湾曲ワイヤは、挿入管100Aを湾曲させるために用いられる。
【0025】
挿入管100Aは、人の体腔内に挿入されるために細径に設計されている。鼻腔や咽頭を観察するための内視鏡では、例えば、挿入管100Aの外径が4mm〜8mm程度、内径(中空部の直径)が4mm〜6mm程度に設計されている。また、導線挿入路21も挿入管100Aの内径に合わせて細径に設計されている。
【0026】
図3は、導線挿入路21について、自身の軸線と直交する方向における断面図である。
図3に示されるように、導線挿入路21には複数の導線14(
図3においては、便宜上、一本の導線にのみ指示線を付す。)が挿入され通されている。複数の導線14は、例えば、撮像ユニット102に駆動電圧を印加するためのケーブル(Vdd1、Vdd2)、撮像ユニット102の動作を制御するためのクロック信号を伝送するケーブル(Sub、VL、RG)、撮像ユニット102から出力される画素信号を伝送するケーブル(V0〜V6、H1、H2)、アース線(Gnd)等である。導線14の数は、撮像ユニット102の仕様によって異なるが、10本〜20本程度である。また、各導線14は、絶縁体のチューブ(不図示)によって被覆されている。各導線14のチューブを含めた外径は、0.4mm〜1.0mm程度である。
【0027】
内視鏡プロセッサ200は、内視鏡用の画像処理装置が組み込まれており、システムコントローラ201、タイミングコントローラ202、光源ユニット203、画像処理ユニット204及びフロントパネル205を備えている。光源ユニット203は、光源ドライバ203A、光源203B、集光レンズ203Cを有している。
【0028】
システムコントローラ201は、内視鏡システム1を構成する各要素を制御する。タイミングコントローラ202は、信号の処理タイミングを調整するクロック信号を内視鏡システム1内の各回路に送信する。
【0029】
光源203Bは、光源ドライバ203Aによって駆動制御され、白色光を放射する。光源203Bには、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが用いられる。光源203Bから放射された照明光は集光レンズ203Cを介してライトガイド106に入射され、電子スコープ100の先端部100Cに向けてライトガイド106内を導波される。ライトガイド106は、例えば、複数の光ファイバを束ねたLCB(Light Carrying Bundle)である。
【0030】
ライトガイド106内を導波された照明光は、先端部100C内に配置されたライトガイド106の端面より射出される。ライトガイド106の端面より射出された照明光は、照明光学系103を介して先端部100Cから射出され、被写体を照明する。被写体で反射された照明光(反射光)は、対物光学系101を介して撮像ユニット102に入射される。撮像ユニット102は撮像素子(不図示)を有している。撮像ユニット102に入射された反射光は、撮像素子が備える各画素の受光面上で被写体像を結ぶ。
【0031】
撮像素子は、それぞれグリーン(G)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)のカラーフィルタを有する、G、Cy、Mg、Yeの画素を備えている。各画素は、結像した被写体像を光量に応じた電荷として蓄積して、G、Cy、Mg、Yeの各色に対応した画素信号(G画素信号、Cy画素信号、Mg画素信号、Ye画素信号)に変換する。変換された各画素信号は、AFE105によって信号増幅処理やA/D変換処理が施されて、内視鏡プロセッサ200の画像処理ユニット204に送信される。撮像素子には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
【0032】
画像処理ユニット204で受信された画素信号は、所定の信号処理によって映像信号に変換されモニタ300に送信される。モニタ300は、画像処理ユニット204から受信した映像信号に基づいて観察画像を表示する。
【0033】
〔回路基板及び中継基板の詳細構成〕
次に、回路基板11及び中継基板13の構成について詳細に説明する。
【0034】
図4は、回路基板11及び中継基板13の側面図である。中継基板13は両面実装基板であり、一部の導線14が一方の面に半田付けによって接続されており、残りの導線14が他方の面に半田付けによって接続されている。半田盛り部分を含む複数の導線14と中継基板13との接続箇所付近は、絶縁体のチューブ14Aによって全体が被覆されている。チューブ14Aは、例えば、熱収縮チューブである。各導線14の他端(中継基板13と接続されていない端部)は、撮像ユニット102と接続されている。
【0035】
中継基板13はコネクタ13Aを有し、回路基板11はレセプタクル11Aを有している。コネクタ13Aは、レセプタクル11Aと着脱可能に接続される。コネクタ13Aとレセプタクル11Aとが接続されることにより、回路基板11は撮像ユニット102と電気的に接続される。また、回路基板11は、不図示の配線によってプロセッサ200と接続されている。以下では、説明の便宜上、導線14が引き出されている方向を前方、その反対側を後方と定義する。また、回路基板11のうち、中継基板13と接続されている側を上方、その反対側を下方と定義する。
【0036】
回路基板11は、複数の導線14を把持するためのクランプ11Cを有している。クランプ11Cが複数の導線14を束ねて(又は複数の導線14とチューブ14Aとをまとめて)把持することにより、導線14に外力が加わった場合であっても、中継基板13と導線14との接続箇所に対する荷重の集中が避けられる。また、外力が導線14を介して中継基板13に伝達することが防がれるため、外力によってコネクタ13Aとレセプタクル11Aとの接続が解除されることが防がれる。クランプ11Cは、例えば、周知の結束バンドや折り曲げ可能な金属板である。
【0037】
中継基板13の後方側の端部(後方側に寄せた位置)には、上下方向に貫通する貫通孔13Bが設けられている。また、回路基板11の貫通孔13Bと対応する位置には、めねじを有する(タップが切られている)スペーサ11Bが設けられている。中継基板13と回路基板11は、貫通孔13Bに通されたねじ(おねじ)15がスペーサ11Bに締結されることにより固定される。これにより、コネクタ13Aとレセプタクル11Aとの接続が補強(接続が解除されることが防止)される。
【0038】
図5(a)、
図5(b)はそれぞれ、中継基板13単体を上方側から見た図(正面図)、中継基板13単体を下方側から見た図(背面図)である。
図5(a)、
図5(b)に示されるように、中継基板13は前後方向に長尺な形状を有している。また、中継基板13は、前後方向と直交する方向の寸法は比較的小さく設定されている。中継基板13の上方側の面及び下方側の面には、導線14を接続するための複数のパッド電極13Cが設けられている。各パッド電極13Cは前後方向に長尺な形状を有する。各パッド電極13Cは中継基板13にプリントされたパタンを通してコネクタ13Aと電気的に接続されている。貫通孔13Bの周りはアース用の電極13Dが設けられている。中継基板13と回路基板11とがねじ15によって締結されると、アース用の電極13Dが回路基板11のスペーサ11Bと接触する。スペーサ11Bは導電性を有し、回路基板11のアース電極(不図示)と接続されている。そのため、中継基板13と回路基板11とは、アース用の電極13D及びスペーサ11Bを介してアースが共通化される。また、中継基板13の貫通孔13Bが設けられている側(後方側)の端部(角)Rは、面取りされている。
【0039】
図6(a)、
図6(b)はそれぞれ、複数の導線14が接続された中継基板13を上方側から見た図(正面図)、複数の導線14が接続された中継基板13を下方側から見た図(背面図)である。
図6(a)、
図6(b)に示されるように、各導線14は、後方の端がパッド電極13Cに半田付けによって接続され、前方に向かって引き出されている。各パッド電極13Cは前後方向に長尺な形状を有しているため、各導線14の軸線方向を前後方向と略平行に配置することにより、パッド電極13Cと導線14とを比較的容易に半田付けすることができる。
【0040】
[電子スコープ100の組立方法]
次に、電子スコープ100の組立方法について説明する。電子スコープ100の組立工程には、撮像ユニット102の動作を確認する工程(撮像ユニット102の動作確認工程)、挿入管100A内(導線挿入路21内)に複数の導線14を通す工程(導線14の挿通工程)及び複数の導線14を配線(結線)する工程(導線14の配線工程)が含まれる。
【0041】
〔撮像ユニット102の動作確認工程〕
撮像ユニット102の動作確認工程では、まず、中継基板13に設けられた複数のパッド電極13Cの各々に、撮像ユニット102から引き出された導線14が半田付けによって接続される。半田盛り部分を含むパッド電極13Cと導線14との接続箇所付近は、チューブ14Aによって全体が被覆される。次いで、中継基板13のコネクタ13Aと回路基板11のレセプタクル11Aとが接続される。コネクタ13Aとレセプタクル11Aとを接続することにより、撮像ユニット102と回路基板11とが電気的に接続される。回路基板102をプロセッサ200と接続することにより、プロセッサ200を用いた撮像ユニット102の動作確認を行うことができる。この動作確認によって、撮像ユニット102に初期不良があるか否かが調べられる。撮像ユニット102に初期不良があると判定された場合、撮像ユニット102が交換され、再度、交換された撮像ユニット102の動作確認が行われる。動作確認によって撮像ユニット102に初期不良が無いと判定された場合、一旦、コネクタ13Aとレセプタクル11Aとの接続が解除される。
【0042】
〔導線14の挿通工程〕
次に、導線14の挿通工程及び配線工程について説明する。
図7は、導線14の挿通工程を説明するための図である。
【0043】
まず、導線挿入路21内にワイヤ治具30が挿入され通される。ワイヤ治具30の材料には、例えば、金属や樹脂が用いられる。ワイヤ治具30は、一端の端部30Aが鉤形状を有している。ワイヤ治具30は、導線挿入路21の基端側(後方側)から、鉤形状を有する端部30Aが挿入され通される(
図7(a))。ワイヤ治具30の端部30Aが導線挿入路21の先端側(前方側)から突出するまで通されると、端部30Aに中継基板13が接続される(
図7(b))。具体的には、鉤形状の端部30Aが中継基板13の貫通孔13Bに通され引っ掛けられる。ワイヤ治具30の端部30Aと中継基板13とが接続されると、ワイヤ治具30は導線挿入路21の基端側に向かって引っ張られる。中継基板13は、後方側の(貫通孔13Bの形成位置に近い)端部を先頭にワイヤ治具30によって牽引され、導線挿入路21内に通される(
図7(c))。そのため、中継基板13は、導線挿入路21内において、中継基板13の長尺な方向(前後方向)が導線挿入路21の軸線方向に合うように(沿うように)、その姿勢が維持される。中継基板13は、前後方向と直交する幅方向の寸法が導線挿入路21の内径(直径)よりも小さい。そのため、中継基板13を導線挿入路21内に通すことができる。また、中継基板13の後方側の端部Rは面取りされているため、中継基板13を導線挿入路21内をスムーズに通すことができる。中継基板13が導線挿入路21内に通されることにより、中継基板13と接続された導線14も導線挿入路21内に通される。なお、導線14は、導線挿入路21よりも長尺に設定されている。そのため、中継基板13が導線挿入路21内を牽引され、導線挿入路の後方側から突出された時点では、導線14の撮像ユニット102と接続された先端部は、導線挿入路21の前方に配置されている。撮像ユニット102は、導線挿入路21の前方に配置された状態で、別の組立工程で挿入管100Aの先端側に固定される。
【0044】
〔導線14の配線工程〕
中継基板13が導線挿入路21の後端側から突出されるまで牽引されると、中継基板13の貫通孔13Bとワイヤ治具30の端部30Aとの接続が解除される。次いで、中継基板13のコネクタ13Aと回路基板11のレセプタクル11Aとが接続される。これにより、撮像ユニット102と回路基板11とが電気的に接続される。更に、中継基板13と回路基板11は、ねじ15が貫通孔13Bに通されスペーサ11Bに締結されることによって互いに固定される。これにより、コネクタ13Aとレセプタクル11Aとの接続が補強される。また、複数の導線14は、クランプ11Cによって把持される。
【0045】
次に、導線挿入路21の寸法について説明する。本実施形態では、挿入管100Aの中空部の断面積をSpと定義し、導線挿入路21の断面積をShと定義すると、次の条件(1)
0.2≦Sh/Sp≦0.5 ・・・(1)
が満たされている。なお、中空部の断面積Spは、
図2における挿入管100Aの内壁20Aで囲われた領域の断面積を示している。また、中空部の断面積Spには、導線挿入路21、ライトガイド106及びステーコイル22が配置されている領域の面積が含まれる。一方、導線挿入路21の断面積Shは、導線挿入路21の外壁21Aで囲われた領域の面積を示している。また、断面積Shには、複数の導線14が配置されている中空部の領域の面積が含まれる。すなわち、条件(1)は、挿入管100Aの中空部において、導線挿入路21が占める割合を規定している。
【0046】
条件(1)の上限値を上回る場合、挿入管100Aの中空部における導線挿入路21の占める割合が大きすぎるため、挿入管100A内に、ライトガイド106及びステーコイル22を通し難くなる。また、条件(1)の上限値を上回る場合、挿入管100A内において、導線挿入路21とライトガイド106及びステーコイル22とが干渉し、導線挿入路21、ライトガイド106及びステーコイル22の何れかに断線や変形などが生じる虞がある。
【0047】
導線挿入路21がライトガイド106やステーコイル22と干渉することによって変形すると、導線挿入路21の断面形状は例えば楕円形状又はひょうたん形状になる。導線挿入路21の断面形状が楕円形やひょうたん形状に変形すると、導線挿入路21に挿入可能な中継基板13の向き(軸線の周りの角度)に制約が生じ、中継基板13及び導線14を導線挿入路21に通し難くなる。
【0048】
条件(1)の下限値を下回る場合、挿入管100Aの中空部における導線挿入路21の占める割合が小さいため、導線挿入路21がライトガイド106やステーコイル22と干渉して変形する可能性は低くなる。しかし、条件(1)の下限値を下回る場合、導線挿入路21が細くなり、導線挿入路21内に中継基板13及び導線14を通し難くなる虞がある。
【0049】
本実施形態では、条件(1)が満たされていることにより、導線挿入路21がライトガイド106やステーコイル22との干渉によって変形することが抑制されると共に、導線挿入路21内に中継基板13及び導線14を通し難くなることが抑制される。
【0050】
図8(a)、
図8(b)はそれぞれ、本実施形態の挿入管100Aの断面図である。
図8(a)はSh/Spが0.4の場合の挿入管100Aの断面図である。
図8(b)は、Sh/Spが0.27の場合の挿入管100Aの断面図である。
【0051】
図8(a)では、導線挿入路21がライトガイド106及びステーコイル22と干渉して変形しない程度にSh/Spが大きく設定されている。これにより、導線挿入路21への中継基板13及び導線14の挿入し易さを確保しつつ、挿入管100Aを細径にできる。
【0052】
図8(b)では、導線挿入路21の径が中継基板13及び導線14が挿入できる範囲で小さく設定されると共に、Sh/Spが小さく設定されている。これにより、挿入管100A内のスペースにゆとりができ、導線挿入路21、ライトガイド106及びステーコイル22を挿入管100A内に挿入し易くなる。
【0053】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0054】
本実施形態における導線14の挿通工程では、
図7(a)〜
図7(c)に示されるように、まず、ワイヤ治具30が導線挿入路21に通される。次いで、ワイヤ治具30の端部30Aと中継基板13とが接続され、ワイヤ治具30によって中継基板13及び導線14が導線挿入路21内を牽引される。しかし、別の実施形態における導線14の挿通工程では、ワイヤ治具30が導線挿入路21に挿入される前に、ワイヤ治具30の端部30Aと中継基板13とが接続されてもよい。この場合、ワイヤ治具30の端部30Aとは反対側の端部が、導線挿入路21の先端側(前方側)から挿入され通される。これにより、中継基板13はワイヤ治具30によって牽引され、導線挿入路21に通される。
【0055】
また、本実施形態におけるワイヤ治具30の端部30Aは鉤形状に限定されない。端部30Aは、鉤形状を有する代わりに、留め金が設けられていてもよい。これにより、中継基板13及び導線14を導線挿入路21に通している途中でワイヤ治具30と中継基板13との接続が解除されてしまうことを防止できる。また、ワイヤ治具30の端部30Aは、貫通孔13Bに通して結びつけられるように、高い可撓性(柔軟性)を有していてもよい。
【0056】
また、本実施形態において、複数の導線14は、一つの中継基板13のパッド電極13Cに接続されるが本発明はこれに限定されない。例えば、複数の電極14は2つのグループに分けられ、各グループの導線14はそれぞれ、異なる中継基板に接続されてもよい。
図9は、本実施形態の変形例における中継基板13の上面図である。
図9に示されるように、本実施形態の変形例では、中継基板13は、一体に成形された2つの中継基板113A及び中継基板113Bを有している。中継基板113Aと中継基板113Bとの境界にはVカット13Vが入れられており、Vカット13V部分を割ることで中継基板113Aと中継基板113Bとは分離される。このように中継基板13を2つの中継基板113A、中継基板113Bに分けることにより、一つの中継基板(中継基板113A又は中継基板113B)に接続される導線14の数を減らすことができる。これにより、中継基板13の前後方向と直交する幅方向の寸法を小さくすることができ、中継基板13を細径に設計された挿入管100Aの導線挿入路21に挿入し易くすることができる。
【0057】
本実施形態の変形例における導線14の挿通工程では、中継基板113Aと中継基板113Bとは一体となって(Vカット13V部分が割られずに)導線挿入路21に挿入され通される。中継基板13(中継基板113A、113B)が導線挿入路21に通されると、Vカット13V部分が割られて中継基板113Aと中継基板113Bは分離される。
【0058】
図10は、本発明の変形例における、回路基板11及び中継基板113A、中継基板113Bの側面図である。中継基板113A、中継基板113Bはそれぞれ、コネクタ113AA、コネクタ113BAを有している。また、回路基板11は、2つのレセプタクル11Aを有している。2つのレセプタクル11Aにはそれぞれ、コネクタ113AA、コネクタ113BAが着脱可能に接続される。これにより、撮像ユニット102と回路基板11とが電気的に接続される。