特許第6243580号(P6243580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243580フォトンカウンティングCTのための心臓再構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243580
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】フォトンカウンティングCTのための心臓再構成
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   A61B6/03 370B
   A61B6/03 350P
   A61B6/03ZDM
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-519490(P2017-519490)
(86)(22)【出願日】2015年10月12日
(65)【公表番号】特表2017-529978(P2017-529978A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】IB2015057791
(87)【国際公開番号】WO2016063171
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】62/065,939
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】プロクサ ローランド
(72)【発明者】
【氏名】コエラー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グラス マイケル
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/070583(WO,A1)
【文献】 特開2011−56167(JP,A)
【文献】 特開2007−117719(JP,A)
【文献】 特表2008−525081(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/123041(WO,A1)
【文献】 特開2006−101926(JP,A)
【文献】 特開2012−61326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックスが、第一の心臓運動を有する第一の心臓運動フェーズの間、第一のフラックスレベルにあり、第二の心臓運動を有する第二の心臓運動フェーズの間、第二のフラックスレベルにあり、前記第一のフラックスレベルは前記第二のフラックスレベルより低くなり、前記第一の心臓運動は前記第二の心臓運動よりも大きくなるように、心周期信号と協調して前記第一のフラックスレベルと前記第二の異なるフラックスレベルとの間で放出放射線のフラックスを変調するステップと、
前記変調放出放射線を検出するステップと、
前記検出される変調放出放射線を示す投影データを生成するステップと、
第一の再構成ウィンドウを用いて前記投影データを再構成するステップであって、第一のボリュメトリック画像データを生成するために、前記第一の心臓運動フェーズ及び前記より低い第一のフラックスレベルに対応する前記投影データの第一のサブセットに第一の重み付けを適用し、前記第二の心臓運動フェーズ及び前記より高い第二のフラックスレベルに対応する前記投影データの第二のサブセットに第二の異なる重み付けを適用し、前記第一の重み付けは前記第二の重み付けより大きくなる、ステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記第一の重み付けは非ゼロ値を有し、前記第二の重み付けはゼロの値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の心臓運動フェーズに対応する前記投影データの全セットに前記第一の重み付けを適用するステップ
を更に有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の心臓運動フェーズに対応する前記投影データの第一のサブセットに前記第一の重み付けを適用するステップ
を更に有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
第二の再構成ウィンドウを用いて前記投影データを再構成するステップであって、第二のボリュメトリック画像データを生成するために、前記第二の心臓運動フェーズ及び前記より高い第二のフラックスレベルに対応する前記投影データの前記第二のサブセットに第三の重み付けを適用し、前記第一の心臓運動フェーズ及び前記より低い第一のフラックスレベルに対応する前記投影データの前記第一のサブセットに第四の重み付けを適用し、前記第三の重み付けは前記第四の重み付けより大きくなる、ステップ
を更に有する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
1に等しい前記第一の重み付けを、前記検出器のカウントレート限界を示す所定の閾値を超えない、前記検出器に照射される前記X線フラックスに応答して前記投影データに適用するステップと、
ゼロに等しい前記第二の重み付けを、前記検出器のカウントレート限界を示す前記所定の閾値を超える、前記検出器に照射される前記X線フラックスに応答して前記投影データに適用するステップと
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第二の再構成ウィンドウで前記投影データを再構成するステップであって、前記第二のボリュメトリック画像データを生成するために、前記第二の心臓運動フェーズ及び前記より高い第二のフラックスレベルに対応する前記投影データの前記第二のサブセットに第三の重み付けを適用し、前記第一の心臓運動フェーズ及び前記より低い第一のフラックスレベルに対応する前記投影データの前記第一のサブセットに第四の重み付けを適用し、前記第三の重み付けは前記第四の重み付けより大きくなる、ステップ
を更に有する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第二の心臓運動フェーズに隣接する一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズに対応する前記投影データに前記第一の重み付けを適用するステップ
を更に有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズは前記第二の心臓運動フェーズの前に発生する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズは前記第二の心臓運動フェーズの後に発生する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズの前記第一のサブセットは前記第二の心臓運動フェーズの前に発生し、前記一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズの前記第二のサブセットは前記第二の心臓運動フェーズの後に発生する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
検査領域の周りを回転し、前記検査領域を横切る放射線を放出するように構成される放射線源と、
フラックスが、第一の心臓運動を有する第一の心臓運動フェーズの間、第一のフラックスレベルにあり、第二の心臓運動を有する第二の心臓運動フェーズの間、第二のフラックスレベルにあり、前記第一のフラックスレベルは前記第二のフラックスレベルより低くなり、前記第一の心臓運動は前記第二の心臓運動よりも大きくなるように、心周期信号と協調して前記第一のフラックスレベルと前記第二の異なるフラックスレベルとの間で放出放射線の前記フラックスを変調するために前記放射線源を制御するように構成される放射線源コントローラと、
前記検査領域を横切る放射線を検出し、前記検出される放射線を示す信号を生成するように構成される、画素の放射線感受性のアレイと、
第一の再構成ウィンドウを用いて前記投影データを再構成するように構成される再構成器であって、前記第一のボリュメトリック画像データを生成するために、前記第一の心臓運動フェーズ及び前記より低い第一のフラックスレベルに対応する前記投影データの第一のサブセットに第一の重み付けを適用し、前記第二の心臓運動フェーズ及び前記より高い第二のフラックスレベルに対応する前記投影データの第二のサブセットに第二の異なる重み付けを適用し、前記第一の重み付けは前記第二の重み付けより大きくなる、再構成器と
を有する、イメージングシステム。
【請求項13】
前記第一の重み付けは非ゼロ値を有し、前記第二の重み付けはゼロである、請求項12に記載のイメージングシステム。
【請求項14】
前記第一の重み付けは前記第一の心臓運動フェーズに対応する前記投影データの全セットに適用される、請求項12又は13に記載のイメージングシステム。
【請求項15】
前記第一の重み付けは前記第一の心臓運動フェーズに対応する前記投影データの第一のサブセットに適用される、請求項12又は13に記載のイメージングシステム。
【請求項16】
前記再構成器は、第二の再構成ウィンドウを用いて前記投影データを再構成するように更に構成され、第二のボリュメトリック画像データを生成するために、前記第二の心臓運動フェーズ及び前記より高い第二のフラックスレベルに対応する前記投影データの前記第二のサブセットに第三の重み付けを適用し、前記第一の心臓運動フェーズ及び前記より低い第一のフラックスレベルに対応する前記投影データの前記第一のサブセットに第四の重み付けを適用し、前記第三の重み付けは前記第四の重み付けより大きくなる、請求項13又は14に記載のイメージングシステム。
【請求項17】
前記再構成器は、第二の再構成ウィンドウを用いて前記投影データを再構成するように更に構成され、第二のボリュメトリック画像データを生成するために、前記第二の心臓運動フェーズに対応する前記投影データの前記第二のサブセットに第三の重み付けを適用し、前記第一の心臓運動フェーズに対応する前記投影データの前記第一のサブセットに第四の重み付けを適用し、前記第三の重み付けは前記第四の重み付けより大きくなる、請求項13に記載のイメージングシステム。
【請求項18】
前記第一の重み付けは前記第二の心臓運動フェーズに隣接する一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズに対応する前記投影データに適用される、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項19】
前記一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズは前記第二の心臓運動フェーズの前又は後の少なくとも一つに発生する、請求項18に記載のイメージングシステム。
【請求項20】
前記一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズの前記第一のサブセットは前記第一の心臓運動フェーズの前に発生し、前記一つ又はそれより多くの心臓運動フェーズの前記第二のサブセットは前記第一の心臓運動フェーズの後に発生する、請求項18に記載のイメージングシステム。
【請求項21】
コンピュータ読取り可能な命令でエンコードされるコンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、フラックスが、第一の心臓運動を有する第一の心臓運動フェーズの間、第一のフラックスレベルにあり、第二の心臓運動を有する第二の心臓運動フェーズの間、第二のフラックスレベルにあり、前記第一のフラックスレベルは前記第二のフラックスレベルより低くなり、前記第一の心臓運動は前記第二の心臓運動よりも大きくなるように、心周期信号と協調して前記第一のフラックスレベルと前記第二の異なるフラックスレベルとの間で放出放射線のフラックスを変調させ、
前記変調される放出放射線を検出する検出器によって生成される投影データを受けさせ、
第一の再構成ウィンドウを用いて投影データを再構成させ、第一のボリュメトリック画像データを生成するために、前記第一の心臓運動フェーズ及び前記より低い第一のフラックスレベルに対応する前記投影データの第一のサブセットに第一の重み付けを適用し、前記第二の心臓運動フェーズ及び前記より高い第二のフラックスレベルに対応する前記投影データの第二のサブセットに第二の異なる重み付けを適用し、前記第一の重み付けは前記第二の重み付けより大きくなる、コンピュータ読取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概してフォトンカウンティング検出器による心臓イメージングに関し、コンピュータ断層撮影(CT)への特定の適用で記述される。 しかしながら、以下は他イメージングアプリケーションにも適している。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)スキャナは、X線放射線を放射するX線管を含む。 放射線は視野内における被験体又は対象物を横切り、それによって減衰される。 検出器アレイは、視野を横切る放射線を検出して、それを示す信号を生成する。 再構成器は信号を再構成して、ボリュメトリック画像データを生成する。
【0003】
スペクトルイメージングのために構成されるコンピュータ断層撮影スキャナは、フォトンカウンティング検出器ピクセルを含んでいる。 このようなピクセルにより、生成信号は電流又は電圧を含み、各々は、検出されるフォトンのエネルギーを示すピーク振幅又はピーク高さを有する。 信号は、エネルギー分解されて、その後処理される。 再構成器は、スペクトル及び非スペクトルボリュメトリック画像データを再構成する。
【0004】
心臓CTは、スキャンの間、心臓運動を仮想的に止めるようにすることが必要とされるので、高速ガントリ回転の間、十分な信号対雑音比を得るため、高いフラックスを必要とする。高いフラックス心臓CTスキャンの場合、検出器のいくつかは、高いフラックスを受ける。 たとえば、患者が小さな減衰のみを有する、患者の周辺及び/又は患者の肺を横切る放射線を受ける検出器は高いフラックスを受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念なことに、フォトンカウンティング検出器ピクセルは、限られたカウントレートを有する。 結果として、フォトンカウンティング検出器ピクセルで構成されるCTスキャナは、高いフラックス心臓CT調査のために適切でない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本方法は、フラックスが、第一の心臓運動を有する第一の心臓運動フェーズの間、第一のフラックスレベルにあり、第二の心臓運動を有する第二の心臓運動フェーズの間、第二のフラックスレベルにあり、第一のフラックスレベルは第二のフラックスレベルより低くなり、第一の心臓運動は第二の心臓運動よりも大きくなるように、心周期信号と協調して第一のフラックスレベルと第二の異なるフラックスレベルとの間で放出放射線のフラックスを変調するステップを含む。本方法は、変調される放出放射線を検出するステップと、検出される変調放出放射線を示す投影データを生成するステップを更に含む。本方法は、第一の再構成ウィンドウで投影データを再構成するステップであって、第一のボリュメトリック画像データを生成するために、第一の心臓運動フェーズ及びより低い第一のフラックスレベルに対応する投影データの第一のサブセットに第一の重み付けを適用し、第二の心臓運動フェーズ及びより高い第二のフラックスレベルに対応する投影データの第二のサブセットに第二の異なる重み付けを適用し、第一の重み付けは第二の重み付けより大きくなる、ステップを更に含む。
【0007】
別の態様において、イメージングシステムは、検査領域の周りを回転し、検査領域を横切る放射線を放出するように構成される放射線源を含む。放射線源コントローラは、フラックスが、第一の心臓運動を有する第一の心臓運動フェーズの間、第一のフラックスレベルにあり、第二の心臓運動を有する第二の心臓運動フェーズの間、第二のフラックスレベルにあり、第一のフラックスレベルは第二のフラックスレベルより低くなり、第一の心臓運動は第二の心臓運動よりも大きくなるように、心周期信号と協調して第一のフラックスレベルと第二の異なるフラックスレベルとの間で放出放射線のフラックスを変調するために放射線源を制御するように構成される。画素の放射線感受性のアレイは、検査領域を横切る放射線を検出し、検出される放射線を示す信号を生成するように構成される。再構成器は、第一の再構成ウィンドウを用いて投影データを再構成し、第一のボリュメトリック画像データを生成するために、第一の心臓運動フェーズ及びより低い第一のフラックスレベルに対応する投影データの第一のサブセットに第一の重み付けを適用し、第二の心臓運動フェーズ及びより高い第二のフラックスレベルに対応する投影データの第二のサブセットに第二の異なる重み付けを適用し、第一の重み付けは第二の重み付けより大きくなるように構成される。
【0008】
更に他の態様において、コンピュータ読取り可能な記憶媒体がコンピュータ読取り可能な命令でエンコードされ、プロセッサで実行されるとき、プロセッサに、フラックスが、第一の心臓運動を有する第一の心臓運動フェーズの間、第一のフラックスレベルにあり、第二の心臓運動を有する第二の心臓運動フェーズの間、第二のフラックスレベルにあり、第一のフラックスレベルは第二のフラックスレベルより低くなり、第一の心臓運動は第二の心臓運動よりも大きくなるように、心周期信号と協調して第一のフラックスレベルと第二の異なるフラックスレベルとの間で放出放射線のフラックスを変調させ、変調される放出放射線を検出する検出器によって生成される投影データを受けさせ、第一の再構成ウィンドウを用いて投影データを再構成させ、それは、第一のボリュメトリック画像データを生成するために、第一の心臓運動フェーズ及びより低い第一のフラックスレベルに対応する投影データの第一のサブセットに第一の重み付けを適用し、第二の心臓運動フェーズ及びより高い第二のフラックスレベルに対応する投影データの第二のサブセットに第二の異なる重み付けを適用し、第一の重み付けは第二の重み付けより大きくなる。
【0009】
本発明は、様々な構成要素及び構成要素の構成、並びに様々なステップ及びステップの構成の形態を取ることができる。図面は、好ましい実施形態を例示する目的のものにすぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】フォトンカウンティング検出器ピクセルのアレイを備えるイメージングシステムの例を図示する。
図2】ECG信号の例を図示する。
図3】ECG信号例に関連するフラックス変調パターンの例を図示する。
図4】ECG信号例に関連する心臓再構成ウィンドウの例を図示する。
図5】ECG信号例に関連する肺再構成ウィンドウの例を図示する。
図6】ECG信号例に関連する肺再構成ウィンドウの他の例を図示する。
図7】ECG信号例に関連する肺再構成ウィンドウの他の例を図示する。
図8】実施例による方法の例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナのようなイメージングシステム100の例を図示する。 イメージングシステム100は、回転ガントリ102及び静止ガントリ104を含む。 回転ガントリ102は、静止ガントリ104によって回転可能に支持される。 回転ガントリ102は、縦又はz軸について検査領域106のまわりを回転するように構成される。 イメージングシステム100は、スキャンの前に、その間、及び/又はその後に、検査領域106の被験体又は対象物を支持する被験体支持部107を更に含む。 被験体支持部107は、検査領域106に、又はそれから被験体又は対象物をロード及び/又はアンロードするように用いられることもできる。
【0012】
図の例において、心周期モニタ108と特徴識別子110は、心臓スキャンのためにイメージングシステム100例で使用される。 1つの例において、心周期モニタ108及び/又は特徴識別子110は、イメージングシステム100の部分である。 他の例において、心周期モニタ108及び/又は心周期機能識別子110は、イメージングシステム100から分離される。 心周期モニタ108は被験体上及び/又はその近くに配置されるセンサーから電気信号を受け取って、心電図(ECG又はEKG)のような心臓の電気的活動を示す心周期信号を生成する。
【0013】
図2は、2つの心周期202及び204を備えるECG信号200の副部分の例を示す。 図2において、第一又はy軸206はミリボルト(mV)の単位の電圧を表し、第二又はx軸208は時間を表す。 心周期202及び204の各々は、心室収縮期の期間210及び心室拡張期の期間212を含む。 通常、心室収縮期の期間210は、心周期202及び204のQRS群216のRピーク214の直後に始まって、T波218の終端の近くで終わる。 収縮期の期間210の間に、心室は収縮して(QRS群216)、それから再分極化する(T波218)。
【0014】
心室拡張期期間は、U波220(乳頭筋再分極化)及びP波222(心房収縮)を含む。 心室拡張期期間212の間、心臓は弛緩し、心室は循環する血液で充満する。 R-R間隔224は、心周期202及び204のRピーク214に対して、心周期の期間を表す。 領域226は、心臓の運動が心周期の他の領域に対して最小で、「静的フェーズ」と称されている領域に対応する。通常、このような領域は、R-R間隔224におよそ40%、70%などに位置される。
【0015】
図 1及び2に関して、特徴識別子110は、心周期モニタ108によって生成される心周期信号の所定の特徴を特定するように構成される。 たとえば、特徴識別子110は、特定波(例えば、QRS群216、T波218、U波220、P波222及び/又は他の波)のピークを特定するように構成される。 1つの非限定的な例において、特徴識別子110がRピーク214を特定するように構成される。これは、電圧レベル閾値化及び/又は他のアプローチを通じて実現されることができる。特定されると、特徴識別子110は心周期の所定の特徴が特定されたことを示すトリガー信号を生成する。
【0016】
図1に関して、イメージングシステム100は回転ガントリ102によって回転可能に支持されるX線管のような放射線源112を更に含む。 放射線源112は検査領域106のまわりで回転ガントリ102により回転して、検査領域106を横切る放射線を発生させて、放射するように構成される。 イメージングシステム100は、放射線源コントローラ114を更に含む。 放射線源コントローラ114は、生成される放射線のフラックスを変調するように構成される。 たとえば、放射線コントローラ114は、フラックスを変調するために、放射線源112のカソード熱電流を選択的に変化させ、放射線源112の電子の流れを妨げるようにチャージし、放射される放射線をフィルタリングすることなどができる。 図の例において、放射線源コントローラ114は、所定の変調パターンに基づいてフラックスを変調する。
【0017】
図3は、ECG信号200に関連する変調パターン300を示す。図3において、第一又はy軸302は、ミリアンペア(mA)の単位の電流を表す。 図示される変調パターン300は、x-(時間)軸208をECG信号200と共有する。 この例において、変調パターン300は、より高いフラックスレベル304及びより低い(非ゼロの)フラックスレベル306の間の生成される放射線のフラックスをスイッチする(切り替える)。 更に、変調パターン300は、静的フェーズ226に対応する時間ウィンドウ308のための生成される放射線のフラックスをより高いフラックスレベル304及び静的フェーズ226の外部のより低いフラックスレベル306にスイッチする。他の実施例において、変調パターン300は、異なる及び/又はさらなるフェーズのために、個別及び/又は連続態様等で、二つよりも多くの異なるフラックスレベルの間でスイッチすることができる。バリエーションにおいて、変調パターンは、管電流及びそれゆえにフラックスはゼロである一つ又はそれより多くの領域も含む。 これは、ビーム経路において、又はそこから位置されることができる管及び/又は物理的なフィルタをスイッチングするグリッドで実現されることができる。
【0018】
図1に戻って、イメージングシステム100は放射線感受性検出器ピクセル116の1又は2次元アレイ115を更に含む。 ピクセル116は、検査領域106の間に放射線源112に対向して位置され、検査領域106を横切る放射線を検出して、それを示す電気信号(投影データ)を生成する。 図の例において、ピクセル116は直接変換フォトンカウンティング検出器ピクセルを含む。 このようなピクセルにより、生成信号は、検出されるフォトンのエネルギーを示すピーク振幅又はピーク高さを有する電流又は電圧を含む。 直接変換フォトンカウンティング検出器ピクセルは、CdTe、CdZnTe、Si、Ge、GaAs又は他の直接変換物質のような何れかの適切な直接変換物質も含む。
【0019】
イメージングシステム100は、検出器ピクセル116によって出力される電気信号を処理して、検出されるフォトンのエネルギーを示す電圧のようなパルス又は他のパルスを生成するパルスシェーパー118を更に含む。 バリエーションにおいて、検出器ピクセル116によって出力される電気信号は前処理(例えば、増幅等)され、パルスシェーパー118は前処理される信号を処理する。 イメージングシステム100は、エネルギーがパルスを識別するエネルギー識別器120を更に含む。 図の例において、エネルギー識別器120は、パルスの振幅を関心エネルギーに対応する少なくとも1つのエネルギー閾値と比較する、少なくとも1つのコンパレーター122を含む。コンパレーター122は、検出されるフォトンのエネルギーが閾値の上か、又は下かを示す出力信号を生成する。
【0020】
イメージングシステム100は、各々の閾値のためのカウント値をインクリメント(又はデクリメント)するカウンター124を更に含む。 たとえば、特定の閾値のためのコンパレーター122の出力は、パルスの振幅が対応する閾値を上回ることを示すとき、その閾値のためのカウント値はインクリメントされる。 イメージングシステム100は、異なるエネルギー範囲に対応する、カウントされるパルスをエネルギービンに割り当てるビナー126を更に含む。たとえば、ビンは2つの閾値の間のエネルギー範囲のために規定される。 この例の場合、ビナー126は、より高い閾値のためでなく低い閾値のためのカウントをもたらすフォトンを、2つの閾値の間のエネルギー範囲のために規定されるビンに割り当てる。
【0021】
イメージングシステム100は、スペクトル及び/又は非スペクトルアルゴリズムを使用してビニングされるデータを再構成して、スペクトル及び/又は非スペクトルボリュメトリック画像データを生成する再構成器128を更に含む。 再構成器128は、フィルタ補正逆投影法、反復法及び/又は他の再構成アルゴリズムを使用することができる。 これは、重み付け及び非重み付け再構成アルゴリズムを含む。 以下に詳細に説明するように、重み付け再構成アルゴリズム例は、フラックスがより高いフラックスレベル304にあるときに収集される投影データのために、より大きく投影データを重み付けする。 別の例において、重み付け再構成アルゴリズムは、フラックスがより低いフラックスレベル306にあるときに収集される投影データのために、より大きく投影データを重み付けする。
【0022】
このようなアルゴリズムは、図3に示される変調パターン300及び/又はそれが心周期の静的フェーズの間、高いレベルにあるようにフラックスを制御する他のフラックス変調パターンを使用する心臓調査によく適している。たとえば、フラックスが静的フェーズ226のためにより高いフラックスレベル304にあるときに収集される投影データのために、より大きく投影データを重み付けする重み付け再構成アルゴリズムは心臓のボリュメトリック画像データを生成するように使用されることができ、フラックスが他のフェーズのためにより低いフラックスレベル306にあるときに収集される投影データのために、より大きく投影データを重み付けする重み付け再構成アルゴリズムは、肺(及び随意に被験体の周辺)のボリュメトリック画像データを生成するのに用いられることができる。
【0023】
これは、以下に記載されているように、実現されることができる。 スキャンの前に、管電流変調パターンは決定される。 たとえば、パターンは、最後のRピーク後の300ミリ秒(300ミリ秒)電流を強化し、更に300ミリ秒後に、再び電流を減らす。このパターンは、特定の長さのほぼ安定した鼓動を仮定する。 再構成のために、画像は心周期の70%で再構成される。 より高いフラックスレベル304の期間は、再構成のために必要なゲーティングウィンドウ幅より長くなりうる。 その場合、フラックスがより高いフラックスレベル304にあるとき、重み付けは必ずしも高くなる必要はない。 しかしながら、フラックスがより高いフラックスレベル304にあるとき、重み付けは常に高くなることができる。
【0024】
このように、心臓のボリュメトリック画像データは、診断目的のために適切な信号対雑音比を有する。 更に、肺のボリュメトリック画像データは、ピクセル116の放射線感度の高いアレイのフォトンカウンティング検出器ピクセルの限られたカウントレートによってもたらされるアーチファクトを含まない。更に、被験体ドーズは、フラックス304のより高いレベルで完全にスキャンされることに対して減らされる。
【0025】
心臓のボリュメトリック画像データ及び肺のボリュメトリック画像データは、ディスプレイスクリーンの、異なる、オーバラップする、又は同じディスプレイウィンドウにおいて並列に視覚的に表示されることができる。更に、心臓のボリュメトリック画像データ及び肺のボリュメトリック画像データは、代わりに、視覚的に表示されることができる。 画像プロセッサ130は、単一のボリュメトリック画像データセットを形成するために、心臓のボリュメトリック画像データ及び肺のボリュメトリック画像データを結合するように用いられることができる。このために、1つの例において、心臓又は肺は、セグメント化され、肺のボリュメトリック画像データ又は心臓のボリュメトリック画像データと結合されることができる。
【0026】
イメージングシステム100は、オペレーターコンソール132としての役割を果たし、ディスプレイのような出力装置及びキーボード、マウス等のような入力装置を含む計算システムを更に含む。コンソール132に常駐するソフトウェアは、ユーザーがシステム100の操作を制御することを可能にする。 たとえば、コンソール132は、フラックスを変調し、特定の再構成アルゴリズムを使用するために、特定されるイメージングプロトコルに基づいて、イメージングプロトコル(例えば、フラックス変調及び重み付け再構成による心臓イメージングプロトコル)を特定し、スキャンを開始し、放射線源コントローラ114及び再構成器128を制御するように用いられることができる。
【0027】
心臓モニタ108、特徴識別子110、パルスシェーパー118、識別器120、コンパレーター122、カウンター124、ビナー126、再構成器128、画像プロセッサ130及びコンソール132が電気回路及び/又はソフトウェア/ファームウェアによって実施されることができることは評価されるべきである。 たとえば、コンソール132は一つ又はそれより多くのプロセッサ(例えば、中央演算処理ユニット、マイクロプロセッサなど)及び一つ又はそれより多くのプロセッサで実行されるとき、一つ又はそれより多くのプロセッサに、ここに記述される機能の一つ又はそれより多くを実行させる、コンピュータ実行可能な命令でエンコードされる(一時的なメモリを除外し、物理メモリを含む)コンピュータ読取り可能な媒体を含む。
【0028】
上で簡潔に述べられるように、再構成器128は重み付け再構成アルゴリズムを使用することができる。 以下は、重み付け再構成アルゴリズムの例を記述する。 概して、各々の再構成ウィンドウの幅は、全てのボクセルが少なくとも180度(180°)プラスファン角度に対して(又は平行コーンビームリビニングへのファンビームの後の180°に対して)源によって放射されるように、再構成の完全性条件によって決定される。
【0029】
図4は、ECG 200及び変調パターン300に関連して再構成ウィンドウ400を用いる再構成アルゴリズム例を示す。 この例において、再構成ウィンドウ400は、心臓のための心臓再構成ウィンドウである。 この例において、心臓再構成ウィンドウ400は、静的フェーズ226に対応し、放射線源電流がより高いフラックスレベル304で変調される期間内にある。他の実施例において、心臓再構成ウィンドウ400は、より狭くなるか、又はより広くなることができ、放射線源電流がより低いフラックスレベル306で変調される時間をカバーすることを含む。
【0030】
図 5、6及び7はそれぞれ、ECG 200及び変調パターン300に関連して再構成ウィンドウ500、600及び700を用いる再構成アルゴリズム例を示す。これらの図において、再構成ウィンドウ500、600及び700は、肺のための呼吸再構成ウィンドウである。
【0031】
図5において、呼吸再構成ウィンドウ500は、放射線源電流がより低いフラックスレベル306で変調される全時間をカバーする。 図6において、呼吸再構成ウィンドウ600は、放射線源電流がより低いフラックスレベル306で変調される時間の部分のみをカバーする。 図7において、呼吸再構成ウィンドウ700は、心臓再構成ウィンドウ400(図4)のすぐ近くにあるが、放射線源電流がより低いフラックスレベル306で変調される場合だけである。
【0032】
結果として、図7の呼吸再構成ウィンドウ700の場合、心臓及び肺画像の動き状態は最小の差を有する。 呼吸再構成ウィンドウ700は、(図7で示されるように)心臓再構成ウィンドウ400の前又は後の何れかに位置される。バリエーションにおいて、呼吸再構成ウィンドウ700は、心臓再構成ウィンドウ400の前の部分及び後の部分に分割され得る。
【0033】
非反復再構成の非限定的な例は、「コーン-ビームCTのためのアパーチャ重み付け心臓再構成」(Koken, 物理医療生物学51 (2006) 3433-3448)に記述される。 反復再構成の非限定的な例は、「ARTを使う心臓コーン-ビームCTボリューム再構成」(ニールセン、医療物理、32(4) (2005) 851-860)に記述される。 Kokenから、適切な再構成が、等式 1で示されるように公式化されることができる。
ここで
はオブジェクトポイントを表し、
はオブジェクト関数を表し、l及び
はインデックスを表し、
は重み付け関数を表し、P4(φ、u、h)は前処理される投影データを表し、
はxy-平面に投影される平行線の角度を表し、
及び
はオブジェクトポイントの投影される検出器座標を表す。
【0034】
心臓再構成に対して、
となり、ここでωcは心臓重み付けを表し、ωapはアパーチャ重み付けを表し、
となる。肺再構成に対して、
となり、ここで全ての
に対して
になり、さもなければ0になる。
【0035】
他の実施例において、検出器へのX線フラックスが検出器のカウントレート限界を示す所定の閾値を上回らない、すべての投影に対して
になり、検出器へのX線フラックスが検出器のカウントレート限界を示す所定の閾値を上回る、すべての投影に対して
になる。この実施例は、過度のフラックスレベルがハードウェア、ソフトウェア、及び/又はその他を通じて検出器自体の範囲内で検出されることができる構成によく適している。
【0036】
他の実施例において、
は境界上のcos2スムージング、心臓フェーズポイントまでの最小時間距離又はデータの180度プラスファン角度(それより大きくない)を保証する時間幅を含む。
となり、ここで
は全ての
に対して1になり、さもなければ0になる。この例において、Isatは検出器が飽和する強度であり、ここに記憶されるように、
は重み付け関数である。
【0037】
図8は、ここに記述される実施例による方法を例示する。
【0038】
これらの方法の操作の順序は限定的なものではないことを理解されたい。従って、本明細書では、他の順序も企図される。更に、1つ若しくは複数の操作が省かれてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の追加の操作が含まれてもよい。
【0039】
802において、患者はフォトンカウンティング検出器ピクセルを備えるイメージングシステムの被験体支持部にロードされ、スキャンのためにイメージング領域に関して位置される。
【0040】
804において、放射線放出フラックスは少なくとも第一のフラックスレベル及び第二のフラックスレベルの間で変調され、第一のフラックスレベルは第二のフラックスレベルより高く、静的フェーズの間の放射線放出フラックスがより高いフラックスなるように、変調は患者の心周期の静的フェーズと協調する。
【0041】
806において、スキャンが実行され、投影データが生成される。 スキャンは環状、ヘリカルステップのためのゲーティングされる再構成、(例えば、軸の)シュート、及び/又は、他はスキャンになり得ることは評価される。
【0042】
808において、投影データは、静的フェーズの外側の一つ又はそれより多くのフェーズに対応する投影データの第二の部分より高い、静的フェーズに対応する投影データの第一の部分を重み付けして心臓ボリュメトリック画像データを生成する心臓重み付け再構成アルゴリズムで再構成される。
【0043】
810において、投影データは、より高い静的フェーズに対応する投影データの第一の部分より高い静的フェーズの外側の一つ又はそれより多くのフェーズに対応する投影データの第二の部分を重み付けして呼吸ボリュメトリック画像データを生成する肺重み付け再構成アルゴリズムで再構成される。
【0044】
812において、ここに、及び/又は他において議論されるように、心臓ボリュメトリック画像データ及び呼吸ボリュメトリック画像データが表示される。
【0045】
ここに議論される少なくとも部分の方法は、コンピュータ可読記憶媒体(即ち物理メモリ及び他の非一時的媒体)にエンコードされる又は埋め込まれたコンピュータ可読命令によって実施されてよく、それらのコンピュータ可読命令は、コンピュータプロセッサによって実行されるときに、プロセッサに上述した操作を実施させる。追加又は代替として、コンピュータ可読命令の少なくとも1つは、信号、搬送波、及び他の一時的な媒体によって搬送される。
【0046】
好ましい実施形態を参照して本発明を述べてきた。上記の詳細な説明を読んで理解すれば、修正形態及び変形形態が想到されよう。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、全てのこのような修正形態及び変形形態を含むものと解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8