(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6243584
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】検査用導電性接触子、および半導体検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20171127BHJP
G01R 31/26 20140101ALI20171127BHJP
【FI】
G01R1/067 B
G01R31/26 J
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-539049(P2017-539049)
(86)(22)【出願日】2017年2月1日
(86)【国際出願番号】JP2017003586
【審査請求日】2017年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-26041(P2016-26041)
(32)【優先日】2016年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】広中 浩平
(72)【発明者】
【氏名】相馬 一也
(72)【発明者】
【氏名】荘司 哲
(72)【発明者】
【氏名】山口 諒輔
【審査官】
荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4417206(US,A)
【文献】
特開平10−214649(JP,A)
【文献】
実開昭58−96259(JP,U)
【文献】
特開2014−085207(JP,A)
【文献】
実開昭61−79273(JP,U)
【文献】
特開2013−130516(JP,A)
【文献】
米国特許第4571540(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06−1/073
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と、
前記第1の端部と対向する第2の端部とを有し、
前記第1の端部は、第1から第4の直線状リッジと第1から第5の頂点を有し、
前記第1から第4の直線状リッジは互いに隔たれ、かつ十字を形成するように配置され、
前記第1から第4の頂点は前記第1の端部の外周にあり、それぞれ前記第1の直線状リッジと前記第2の直線状リッジの間、前記第2の直線状リッジと前記第3の直線状リッジの間、前記第3の直線状リッジと前記第4の直線状リッジの間、前記第4の直線状リッジと前記第1の直線状リッジの間に設けられる、導電性接触子。
【請求項2】
前記第1から第4の直線状リッジは、前記導電性接触子の半径の方向に対して平行である、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項3】
前記第1から第4の直線状リッジは、前記第5の頂点と同一平面上に存在する、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項4】
前記第5の頂点は前記十字の交点に位置する、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項5】
前記第5の頂点は、前記第1から第4の頂点が形成する面と異なる平面上に存在する、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項6】
前記導電性接触子の軸に平行な方向において、前記第1から第4の頂点の各々と前記第2の端部までの距離は、前記第1から第4の直線状リッジの各々と前記第2の端部までの距離よりも小さい、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項7】
前記第1から第4の直線状リッジの各々は、前記導電性接触子の半径よりも短い、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項8】
前記第1から第4の直線状リッジの各々は、前記導電性接触子の外周に達する、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項9】
前記第1から第4の直線状リッジは、前記第1から第4の頂点と同一平面上に存在し、
前記平面は前記導電性接触子の半径の方向に平行である、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項10】
前記第5の頂点は、前記第1から第4の頂点が形成する面上に存在する、請求項1に記載の導電性接触子。
【請求項11】
請求項1に記載の前記導電性接触子を有する導電性接触子ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の前記導電性接触子ユニットを有する半導体検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置に関する。例えば半導体集積回路や表示装置など、半導体を用いた回路を有する電子部品、あるいはこれを含む電子機器の検査に用いるための導電性接触子(針状接触子)、および導電性接触子を備える半導体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路はほぼ全ての電子部品、電子機器(以下、纏めて電子部品と記す)に用いられており、半導体基板上に多数の薄膜(絶縁膜、導電膜、半導体膜など)を形成・加工して作製される。液晶表示装置、EL(Electroluminescence)表示装置などに代表される表示装置も電子部品の一種であり、ガラスやプラスチックの基板上に作製されるという相違はあるものの、半導体集積回路と同様、数多くの薄膜形成工程を経て形成される。
【0003】
薄膜形成工程は異物の混入を高度に規制する環境下で行われるものの、数百以上の工程を含むため、基板や回路の損傷や、パターニング不良の発生などを完全に抑制することは困難である。このため、電子部品に対して種々の特性を検査して不良品の混入を防止する必要がある。
【0004】
電子部品の電気特性を検査する場合、一般的に半導体検査装置と呼ばれる検査装置を用いて行われる。この検査では、半導体集積回路上に形成された電極や配線に対して導電性接触子と呼ばれる細い針状電極の先端を接触させ、種々の電気的情報を取得する。電極や配線の大きさは半導体集積回路にも依存するが、小さい場合には百数十μm四方の領域である。したがって、精度の良い検査を行うためには、このような狭い面積の電極や配線に対して導電性接触子を確実に電気的に接触させることが重要である。
【0005】
さらに、電極や配線は必ずしも水平に配置されているとは限られず、また、その形状も平面に限られない。例えば半導体集積回路が形成された半導体チップを内蔵するパッケージを測定する場合、パッケージから引き伸ばされたリード端子は湾曲した構造を有している場合がある。また、パッケージ上に形成された球状の半田ボールを検査用電極として使用する場合もある。このため、電極や配線と導電性接触子との電気的接触を確実に行うため、様々な形状の端部を有する導電性接触子が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−329789号公報
【特許文献2】特開2008−157904号公報
【特許文献3】WO2013/018809号公報
【特許文献4】特許第5783715号公報
【特許文献5】特開2009−198238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題の一つは、検査対象である半導体集積回路、あるいはこれを含む電子部品の電極あるいは配線との電気的接触を確実に達成できる導電性接触子を提供することである。本発明の課題の一つは、耐久性、例えば電極あるいは配線と接触する端部の耐久性に優れた導電性接触子を提供することである。本発明の課題の一つは、導電性接触子ユニットに導電性接触子を設置する際、電極あるいは配線の形状を考慮する必要性を低減可能な導電性接触子を提供することである。本発明の課題の一つは、上記導電性接触子を一つ、あるいは二つ以上備える導電性接触子ユニット、またはこれを備える半導体検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、第1の端部と、第1の端部と対向する第2の端部を有する導電性接触子である。第1の端部は、第1から第4の直線状リッジと第1から第5の頂点を有しており、第1から第4の直線状リッジは互いに隔たれ、かつ十字を形成するように配置される。第1から第4の頂点は第1の端部の外周にあり、それぞれ第1の直線状リッジと第2の直線状リッジの間、第2の直線状リッジと第3の直線状リッジの間、第3の直線状リッジと第4の直線状リッジの間、第4の直線状リッジと第1の直線状リッジの間に設けられる。
【0009】
第1から第4の直線状リッジは導電性接触子の半径の方向に対して平行でもよい。また、第1から第4の直線状リッジは、第5の頂点と同一平面上に存在してもよい。
【0010】
第5の頂点は、十字の交点に位置していてもよい。あるいは第1から第4の頂点が形成する面と同一平面上に存在してもよく、異なる平面上に存在していてもよい。
【0011】
前記導電性接触子の軸に平行な方向において、第5の頂点と第2の端部までの距離は、第1から第4の直線状リッジの各々と第2の端部までの距離よりも小さくてもよい。
【0012】
前記導電性接触子の軸に平行な方向において、第1から第4の頂点の各々と第2の端部までの距離は、第1から第4の直線状リッジの各々と第2の端部までの距離よりも小さくてもよい。
【0013】
第1から第4の直線状リッジの各々は、導電性接触子の半径よりも短くてもよい。
【0014】
第1から第4の頂点は、導電性接触子の外周面に存在していてもよい。
【0015】
第1から第4の直線状リッジの各々は、導電性接触子の外周面に達していてもよい。
【0016】
第1から第4の直線状リッジは、第1から第4の頂点と同一平面上に存在してもよい。また、その平面は半径の方向に平行でもよい。
【0017】
本出願の一実施形態は、導電性接触子を有する導電性接触子ユニットである。
【0018】
本発明の一実施形態は、導電性接触子ユニットを有する半導体検査装置である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の一実施形態の半導体検査装置の斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の導電性接触子の斜視図である。
【
図3A】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の導電性接触子の斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の導電性接触子の斜視図である。
【
図7A】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図7B】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の導電性接触子の斜視図である。
【
図9A】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図9B】本発明の一実施形態の導電性接触子の断面図である。
【
図10】実施例のサンプル2の導電性接触子の斜視図である。
【
図11】実施例における導電性接触子の耐久性テストの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0022】
本明細書ならびに請求の範囲において、複数の直線や点が同一の平面上に存在するという表記は、これら複数の直線や点が近接した二つの平面間に存在することを意味しており、同じ平面内に完全に存在している場合のみならず、略、あるいは実質的に同一平面内に存在する場合も含む。また、複数の直線のベクトルがある平面に対して3°以内の角度で交わる場合も、これらの直線が同一平面上に存在していると定義する。
【0023】
(第1実施形態)
<1.半導体検査装置の構成>
図1Aは第1実施形態に係る本発明の半導体検査装置の構成を示す模式図である。半導体検査装置100は、導電性接触子ユニット120と、それに備えられた導電性接触子110を有する。導電性接触子110は1つ以上であればよく、通常複数(例えば数十から数千)の導電性接触子110が設置される。導電性接触子110は回路基板140との間で電気信号の授受を行う。なお
図1Aでは、回路基板140はテスタ150と接続される。テスタ150には計測電源152やLCR測定器154、パルス発生器156などのユニットが含まれる。
【0024】
図1Bは
図1Aで示した導電性接触子110、および導電性接触子ユニット120の断面模式図である。
図1Bに示すように、導電性接触子110は導電性接触子ユニット120に収納されており、末端部(第1の端部230)が露出している。この第1の端部230が検査対象170の電極や配線と接触し、電気特性が測定される。検査対象170は、例えば半導体基板上に形成された集積回路や、集積回路がパッケージングされたICパッケージなどが挙げられる。なお、第1の端部230に対向する第2の端部が240である。
【0025】
導電性接触子ユニット120は、樹脂やセラミックなどの絶縁物を用いて形成される。複数の導電性接触子110は、高さが揃うように配置されている。また、検査対象の電極や配線パターンに応じてその配置を決定してもよい。導電性接触子110は導電性材料を含み、例えば金、銅、ニッケル、パラジウム、タングステンなどの金属、あるいは上記金属の合金を含む。あるいは導電性材料を含み、かつ表面を金などを用いてめっき加工してもよい。
【0026】
導電性接触子110は、第1のプランジャ200と第2のプランジャ210を有している。第1のプランジャ200は、その端部、すなわち第1の端部230において検査対象170の電極や配線と電気的な接触を行う。第1と第2のプランジャ200、210は円柱形状を有することが好ましく、本実施形態でも円柱状の形状として説明を行う。
【0027】
導電性接触子ユニット120にはさらにコイルばね220が備えられており、導電性接触子110の第1の端部230が検査対象170の電極や配線と接触する際、コイルばね220が軸方向に伸縮することによって検査対象への衝撃をやわらげることができる。
【0028】
<2.導電性接触子先端部の構成>
図2に導電性接触子110の第1の端部230の斜視図を示す。
図2に示すように第1の端部230には、図中、太線で示される4つの直線状リッジ(第1から第4の直線状リッジ)R1からR4、および5つの頂点(第1から第5の頂点)T1からT5を有している。
【0029】
図3Aと
図3Bはそれぞれ、
図2で示した点線A1−A2とB1−B2における断面模式図である。
図2および
図3Aに示すように、第1から第4の直線状リッジR1からR4は、互いに同一平面上に存在しており、かつ互いに隔たれている。また、その方向は導電性接触子110の半径方向(図中、x軸方向)に平行である。すなわち、第1から第4の直線状リッジR1からR4は、図中y軸で示した方向に平行な導電性接触子の中心軸に向かって放射状に延びている。本実施形態では、第1から第4の直線状リッジR1からR4は十字を形成するように設けられている。すなわち、第1の直線状リッジR1と第3の直線状リッジR3は同一直線(第1の直線)上に存在し、第2の直線状リッジR2と第4の直線状リッジR4は同一直線(第2の直線)上に存在し、かつ、第1の直線と第2の直線は直交している。なお、第1の直線と第2の直線とのなす角は直角に限られず、任意の角度に設定することができる。
【0030】
図2および
図3Bに示すように、第1から第4の頂点T1からT4は同一平面上に存在する。また、その平面は導電性接触子の半径方向に平行である。本実施形態では、第5の頂点T5も前記平面上に存在する。すなわち、第1の頂点T1から第5の頂点T5全てが同一平面上に存在する。また、第5の頂点T5は、第1の直線状リッジR1と第3の直線状リッジR3を通る直線(第1の直線)と、第2の直線状リッジR2と第4の直線状リッジR4を通る直線(第2の直線)との交点に存在する。
【0031】
なお、本実施形態では
図1Bや
図3A、
図3Bで示すように、第1の端部230は先端方向に向かうに従って直径が小さくなり、その先に直線状リッジR1からR4と頂点T1からT5が設けられている。すなわち、直線状リッジR1からR4の端部および頂点T1からT4は、いずれも第1の端部230の最大直径部分の断面よりも内側に形成されている。
【0032】
本実施形態では第1の頂点T1から第5の頂点T5の全てが同一平面上に存在する例を記載するが、本発明の実施形態はこれに限られることはなく、例えば第5の頂点T5が、他の頂点T1からT4で形成される平面外に存在していてもよい。また本実施形態では、第1から第5の頂点T1からT5の全てが、第1から第4の直線状リッジR1からR4が形成する面と同じ面に存在しているが、本発明の実施形態はこれに限られることはなく、例えば第5の頂点のみが第1から第4の直線状リッジR1からR4が形成する面と同じ面に存在し、他の頂点が前記面外に存在してもよい。さらに本実施形態では、第1の端部230は先端方向に向かうに従って直径が小さくなり、その先に直線状リッジR1からR4と頂点T1からT5が形成されるが、本発明の実施形態はこれに限られることはなく、第1の端部230は先端まで円柱状の形状を維持し、その先に、直線状リッジR1からR4と頂点T1からT5を設けてもよい。上述した実施形態は後述する。
【0033】
このような形状を有する第1の端部230は、例えば円柱状の第1のプランジャ200を旋盤加工時に回転式切削工具などを用いて形成することができる。この場合、第1から第4の直線状リッジR1からR4は互いに隔たることになり、その長さは導電性接触子110の半径よりも短い。より具体的には、第1から第4の直線状リッジR1からR4各々の長さは、第1の端部230を包含する第1のプランジャ200の最大半径よりも小さい。また、好ましくは10μm以上であり、かつ第1の端部230の先端部の直径の15%以下である。さらに、第1から第4の直線状リッジR1からR4の各々は、導電性接触子110の外周に達する。つまり、第1から第4の直線状リッジR1からR4の各々は、第1の端部230を包含する第1のプランジャ200の側面から中心軸方向に向かって伸びている。
【0034】
一方、第1から第4の頂点T1からT4は、導電性接触子110の側面に存在する。換言すると、第1から第4の頂点T1からT4は、第1の端部230を包含する第1のプランジャ200の外周に位置する。
【0035】
このような端部形状を有する導電性接触子110は、複数の線を接触部位として検査対象の電極や配線と接触することができる。例えば平面状の電極や配線に対して垂直な方向から接触を行う場合、第1から第4の直線状リッジR1からR4の全てが電気的接触に寄与することができる。第5の頂点T5が第1から第4の直線状リッジR1からR4が含まれる平面と同一平面上に存在する場合には、第1から第4の直線状リッジR1からR4に加え、第5の頂点T5も電気的接触に寄与する。これに対し、例えば特許文献1や4、5には複数の円錐状あるいは角錐状の接触部を有する導電性接触子が開示されているが、この場合、電極や配線との接触は複数の点のみで行われる。したがって、本実施形態の端部形状を採用することで、より確実な電気的接触が可能になるだけでなく、導電性接触子110の端部の摩耗や欠損を防止、あるいは軽減することが可能である。
【0036】
また、検査対象の電極や配線に対して斜め方向から接触を行う場合でも、少なくとも2つの直線状リッジが電気的接触に寄与することができる。一方、特許文献2では単一の直線状リッジを端部に有する導電性接触子が開示されているが、この場合、電極や配線に対して斜め方向から接触を試みると、一つの点のみでの接触となる。したがって、本実施形態の末端形状を用いることで、検査対象とのより確実な電気的接触が可能となる。
【0037】
さらに、単一の直線状リッジを端部に有する場合、導電性接触子は二回回転軸(C2軸:180度の回転によって同一の状態を与える回転軸)しか持たないため、中心軸に沿った回転次第では、直線状リッジが電極や配線と接触する向きが大きく変化する。したがって、中心軸に沿った回転を禁止するように導電性接触子ユニットに設置する必要があり、導電性接触子を収納するために導電性ユニットに設けられる開口部の形状を、例えば楕円や多角形にする必要がある。これに対し本実施形態の導電性接触子は四回回転軸(C4軸:90度の回転によって同一の状態を与える回転軸)を有するため、導電性接触子の中心軸に沿った回転の影響が小さく、導電性接触子ユニットへ設置する際、中心軸に沿った回転を考慮する必要性が無い。したがって、開口部の形状を円形にすることができ、導電性接触子ユニットの加工性を向上させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる末端形状を有する導電性接触子について、
図4、
図5A、
図5Bを用いて説明する。
図4は導電性接触子110の第1の端部230の斜視図、
図5Aと
図5Bはそれぞれ、
図4で示した点線A1−A2とB1−B2における断面模式図である。
【0039】
第1実施形態と同様に、導電性接触子110の第1の端部230には、4つの直線状リッジ(第1から第4の直線状リッジ)R1からR4、および5つの頂点(第1から第5の頂点)T1からT5を有している。第1実施形態と異なる点は、第5の頂点T5が第1から第4の直線状リッジR1からR4と同一平面上に存在するものの、第1から第4の頂点T1からT4は上記平面とは異なる平面上に存在する点である。より具体的には、第5の頂点T5は、第1の直線状リッジR1と第3の直線状リッジR3を通る直線(第1の直線)と第2の直線状リッジR2と第4の直線状リッジR4を通る直線の交点に存在しているが、第1から第4の頂点T1からT4は、より第2の端部240に近い位置に存在している。つまり、第1から第4の頂点T1からT4は、図中のy軸に沿って、より低い位置に存在している。上述した構成以外は実施形態1と同じであり、詳細な記述は省略する。
【0040】
実施形態1と同様に、このような端部形状を有する導電性接触子110も、第1から第4の直線状リッジによる複数の線、および第5の頂点T5によって、4つの直線と1つの点を接触部位として検査対象の電極や配線と接触することができる。したがって、より確実な電気的接触が可能になるだけでなく、導電性接触子110の端部の摩耗や欠損を防止、あるいは軽減することが可能である。また、本実施形態の末端形状もC4軸を有するため、導電性接触子ユニットへ設置する際、中心軸に沿った回転を考慮する必要性を軽減することが可能であり、導電性接触子ユニットの加工性を向上させることができる。
【0041】
また、球状の半田ボールを検査用電極として使用する場合、その大きさにも依存するが、種々の接触様式で電気的接触が可能になる。例えば、第1の直線状リッジR1中の一点、第1の頂点T1、および第5の頂点T5を用いて電気的接触が可能である。したがって、検査対象の電極や配線とより確実な電気的接触が可能となる。
【0042】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1および第2実施形態とは異なる末端形状を有する導電性接触子について、
図6、
図7A、
図7Bを用いて説明する。
図6は導電性接触子110の第1の端部230の斜視図、
図7Aと
図7Bはそれぞれ、
図6で示した点線A1−A2とB1−B2における断面模式図である。
【0043】
第1、および第2実施形態と同様に、導電性接触子110の第1の端部230には、4つの直線状リッジ(第1から第4の直線状リッジ)R1からR4、および5つの頂点(第1から第5の頂点)T1からT5を有している。第1、および第2実施形態と異なる点は、第1から第5の頂点T1からT5は互いに同一平面上に存在するものの、第1から第4の直線状リッジR1からR4が含まれる平面とは異なる平面上に位置しており、かつ、より第2の端部240に近いという点である。すなわち、y軸方向に関し、第1から第5の頂点は第1から第4の直線状リッジR1からR4よりもより低い位置に存在している。上述した構成以外は実施形態1と同じであり、詳細な記述は省略する。
【0044】
実施形態1および2と同様に、このような端部形状を有する導電性接触子110も、第1から第4の直線状リッジによる複数の線によって、4つの直線を接触部位として検査対象の電極や配線と接触することができる。したがって、より確実な電気的接触が可能になるだけでなく、導電性接触子110の端部の摩耗や欠損を防止、あるいは軽減することが可能である。また、本実施形態の末端形状もC4軸を有するため、導電性接触子ユニットへ設置する際、中心軸に沿った回転を考慮する必要性を軽減することが可能であり、導電性接触子ユニットの加工性を向上させることができる。
【0045】
また、球状の半田ボールを検査用電極として使用する場合、その大きさにも依存するが、第1から第4の直線状リッジR1からR4各々の一点、合計4つの点での電気的接触も可能であり検査対象の電極や配線とより確実な電気的接触が可能となる。
【0046】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1乃至第3実施形態とは異なる末端形状を有する導電性接触子について、
図8、
図9A、
図9Bを用いて説明する。
図8は導電性接触子110の第1の端部230の斜視図、
図9Aと
図9Bはそれぞれ、
図4で示した点線A1−A2とB1−B2における断面模式図である。なお、第1乃至第3実施形態と同じ構成に関しての記述は省略する。
【0047】
第1乃至第3実施形態と同様に、導電性接触子110の第1の端部230には、4つの直線状リッジ(第1から第4の直線状リッジ)R1からR4、および5つの頂点(第1から第5の頂点)T1からT5を有している。第1から第4の直線状リッジR1からR4、および第1から第5の頂点T1からT5は同一平面上に存在する。
【0048】
本実施形態に係る導電性接触子110と第1実施形態に係るそれとの相違は、後者では第1の端部230は先端方向に向かうに従って直径が小さくなり、その先に直線状リッジR1からR4と頂点T1からT5が設けられている。これに対して本実施形態の導電性接触子110では、第1の端部230の直径は一定であり、その先端部に直線状リッジR1からR4と頂点T1からT5が設けられている。
【0049】
実施形態1と同様に、このような端部形状を有する導電性接触子110も、第1から第4の直線状リッジによる複数の線、および第1から第5の頂点T1からT5によって、4つの直線と5つの点を接触部位として検査対象の電極や配線と接触することができる。したがって、より確実な電気的接触が可能になるだけでなく、導電性接触子110の端部の摩耗や欠損を防止、あるいは軽減することが可能である。また、本実施形態の末端形状もC4軸を有するため、導電性接触子ユニットへ設置する際、中心軸に沿った回転を考慮する必要性を軽減することが可能であり、導電性接触子ユニットの加工性を向上させることができる。
【0050】
また、球状の半田ボールを検査用電極として使用する場合、その大きさにも依存するが、種々の接触様式で電気的接触が可能になる。例えば、第1の直線状リッジR1中の一点、第1の頂点T1、および第5の頂点T5を用いて電気的接触が可能である。したがって、検査対象の電極や配線とより確実な電気的接触が可能となる。
【実施例】
【0051】
本実施例では、本実施形態2で示した導電性接触子110の耐久性試験、およびその結果を記す。耐久性試験は、
図4に示した導電性接触子110を導電性接触子ユニット120に設置し、上部から半田めっきされた金属板を導電性接触子110押し当てることによって行った。この操作を繰り返し、導電性接触子110の第1の端部230の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、先端部の摩耗量を測定した(サンプル1)。比較として、
図10に示すような、先端部に4つの頂点を有するものの直線状のリッジを持たない導電性接触子(サンプル2)に対しても同様の試験を行った。
【0052】
図11に耐久性テストの結果を示すように、サンプル1の方が先端部の摩耗量が小さいことが分かった。例えば金属板の押し当て回数が10
6回数の時、
図10で示す先端構造を有するサンプル2では摩耗量が25μmを超えるのに対し、本発明に係る導電性接触子110のサンプル1の摩耗量は15μm程度であった。このように、本発明に係る導電性接触子は物理的な衝撃に対して高い耐久性を有しており、端部の摩耗や欠損を防止できることが確認された。
【0053】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0054】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【符号の説明】
【0055】
100:半導体検査装置、110:導電性接触子、120:導電性接触子ユニット、140:回路基板、150:テスタ、152:計測電源、154:LCR測定器、156:パルス発生器、170:検査対象、200:第1のプランジャ、210:第2のプランジャ、220:コイルばね、230:第1の端部、240:第2の端部
【要約】
第1の端部と、第1の端部と対向する第2の端部とを有する導電性接触子を提供する。第1の端部は、第1から第4の直線状リッジと第1から第5の頂点を有し、第1から第4の直線状リッジは互いに隔たれ、かつ十字を形成するように配置される。第1から第4の頂点は第1の端部の外周にあり、それぞれ第1の直線状リッジと第2の直線状リッジの間、第2の直線状リッジと第3の直線状リッジの間、第3の直線状リッジと第4の直線状リッジの間、第4の直線状リッジと第1の直線状リッジの間に設けられる。