(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243607
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】アルミニウム合金線、電線、ケーブル、ワイヤハーネス、及び、アルミニウム合金線の製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 21/00 20060101AFI20171127BHJP
H01B 1/02 20060101ALI20171127BHJP
H01B 5/02 20060101ALI20171127BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20171127BHJP
C22F 1/04 20060101ALI20171127BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20171127BHJP
【FI】
C22C21/00 A
H01B1/02 B
H01B5/02 Z
H01B7/00
H01B7/00 301
C22F1/04 H
C22F1/04 D
!C22F1/00 691B
!C22F1/00 691C
!C22F1/00 694A
!C22F1/00 630A
!C22F1/00 630K
!C22F1/00 661A
!C22F1/00 625
!C22F1/00 602
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-8721(P2013-8721)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-139334(P2014-139334A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】後藤 潤大
【審査官】
光本 美奈子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−112620(JP,A)
【文献】
特開2001−254160(JP,A)
【文献】
特開昭62−063655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00
C22F 1/00〜3/02
H01B 1/02
H01B 5/02
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)マグネシウムの原子基準含有量(M)(at%)とケイ素(Si)の原子基準含有量(S)(at%)とが、下記式(1)および式(2)で示される範囲であり、残部がアルミニウムおよび不可避不純物により構成されるアルミニウム合金線であり、
(ロ)断面における金属組織の平均結晶粒サイズが3μm以上20μm以下であり、
(ハ)断面における金属組織の析出物サイズが100nm以下であり、かつ、
(ニ)断面における析出物の数密度が1個/μm2以上であり、
引張強さが150MPa以上、引張伸び率が10%以上、かつ、導電率が50%IACS以上であることを特徴とするアルミニウム合金線。
[数1]
0.2 ≦ M ≦ 1.19 ……(1)
−0.81M+1.44 ≦ S ≦ −1.54M+2.31 ……(2)
【請求項2】
請求項1に記載のアルミニウム合金線を導体として有することを特徴とする電線。
【請求項3】
請求項1に記載のアルミニウム合金線を導体として有することを特徴とするケーブル。
【請求項4】
請求項2に記載の電線を有することを特徴とする自動車用ワイヤハーネス。
【請求項5】
(イ)原料を、マグネシウムの原子基準含有量(M)(at%)とケイ素(Si)の原子基準含有量(S)(at%)とを、下記式(1)および式(2)で示される範囲として、残部をアルミニウムおよび不可避不純物により構成し、
前記原料を鋳造することにより得られた鋳造塊を伸線して、伸線したものに溶体化処理を施した後、最終線径まで断面減少率99%以上で更に伸線加工し、次いで200℃以上250℃以下で0.5時間以上1時間以下の時効処理を施し、
(ロ)断面における金属組織の平均結晶粒サイズが3μm以上20μm以下であり、
(ハ)断面における金属組織の析出物サイズが100nm以下であり、かつ、
(ニ)断面における析出物の数密度が1個/μm2以上であるアルミニウム合金線を製造することを特徴とするアルミニウム合金線の製造方法。
[数2]
0.2 ≦ M ≦ 1.19 ……(1)
−0.81M+1.44 ≦ S ≦ −1.54M+2.31 ……(2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金線、および、このアルミニウム合金線を導体として用いる電線およびケーブル、並びに、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
導体用アルミニウム合金線として、特許文献1には、Mg
を0.2%以上1.
0%以下、Siを0.1%以上1.
0%以下、Cuを
0.1%以上
0.5%以下含有し、残部がAl及び不純物からなり、前記Mg及びSiの質量比Mg/Siが
0.8≦Mg/Si≦2.7を満たす配合のアルミニウム合金線が開示されている。
【0003】
この合金線は、「鋳造(連続鋳造あるいはビレット鋳造)、圧延、溶体化処理、時効処理、伸線処理、最終熱処理」の工程で製造することで、引張強さ120〜200MPa、伸び率10%以上、導電率58%IACS以上の直径
0.2〜1.5mmのアルミニウム合金線を製造することが可能となる。
【0004】
このような技術において、昨今の自動車軽量化の二一ズから、アルミニウム電線に対して、その細径化の要求が高まっている。自動車用アルミニウム電線の規格としては、JASO D603があるが、この規格によると、最も小さい電線サイズは、0.75sq(断面積が0.75mm
2)であり、また、導体を構成する素線の性能として、引張り強が70MPa以上、伸びが10%以上、導電率が58%IACS以上と定められている。
【0005】
この0.75sqより細い導体サイズは、JASO D611に規定される自動車用銅電線のサイズを参考とすると、
0.5sq(断面積が0.5mm
2)、0.35sq(断面積が0.35mm
2)、0.22sq(断面積が0.22mm
2)、
0.13sq(断面積が0.13mm
2)の各規格が将来的に予想される。
【0006】
ここで、一般に、導体サイズが小さくなると共に、電線の耐荷重は低下するので、このような細い導体を供給する場合には、素線の高強度化が必要となる。例えば、0.5sq以下の導体サイズでは、導体サイズが
0.75sqの電線と同等の電線の耐荷重性能を得るためには、素線には100MPa以上の引張り強さが
望まれる。
【0007】
特許文献1で提案されているアルミニウム合金線では、上記のように引張強さ120〜200MPa、伸び率10%以上、導電率58%IACS以上の、直径0.2〜1.5mmのアルミニウム合金線を製造することが可能であると記載されているが、上記で述べた
0.75sqより細いアルミニウム電線の導体として用いた場合に、素線強度の不足が懸念される。このように、高強度、十分な伸び、及び、十分な導電性と云う要求を全て満足する導体用アルミニウム合金線が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4646998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、自動車用電線のアルミニウ導体として、導体断面積が
0.75sqより細いアルミニウム電線において、十分な強度、十分な伸び、及び、十分な導電性と云う要求を全て満足することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決する上で、次のような技術的な困難に直面した。
【0011】
強加工により高い加工ひずみが残った組織に時効処理を施す場合、転位線や結晶粒界面上に粗大なMg
2Si安定層が析出しやすくなるため、時効硬化能(時効による強度増加量)はひずみ量の増加に伴い低下し、また、延性も低下することが予想される。
【0012】
このような問題を避けるためにT6処理工程(JIS規格に基づく熱処理工程;最終線径において溶体化処理を施し、加工ひずみを除去した後に時効処理を施す)が適当と思われたが、検討の結果、このT6処理工程では、溶体化処理により、結晶粒が線径に対して極端に粗大となり(例えば、線径φ320μmに対して結晶粒が100μmとなる)、強度は高いものの脆性的な特性を有する材料となることが判明した。
【0013】
そこで、本発明者等は、加工ひずみが残留している状態で時効処理した場合でも、できるだけ結晶粒内に微細な析出物が形成されるようなマグネシウムおよびケイ素の添加量、時効処理条件、時効処理時の加工ひずみ等について種々の検討を行って、本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明のアルミニウム合金線は、上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、(イ)マグネシウムの原子基準含有量(M)(at%)とケイ素(Si)の原子基準含有量(S)(at%)とが、下記式(1)および式(2)で示される範囲であり、残部がアルミニウムおよび不可避不純物により構成されるアルミニウム合金線であり、(ロ)断面における金属組織の平均結晶粒サイズが3μm以上20μm以下であり、(ハ)断面における金属組織の析出物サイズが100nm以下であり、かつ、(ニ)断面における析出物の数密度が1個/μm
2以上であ
り、引張強さが150MPa以上、引張伸び率が10%以上、かつ、導電率が50%IACS以上であることを特徴とするアルミニウム合金線である。
【0015】
[数1]
0.2 ≦ M ≦ 1.19 ……(1)
−0.81M+1.44 ≦ S ≦ −1.54M+2.31……(2)
【0016】
また、本発明の
電線は、請求項2に記載の通り、
請求項1に記載のアルミニウム合金線を導体として有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の
ケーブルは、請求項3に記載の通り、
請求項1に記載のアルミニウム合金線を導体として有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の
自動車用ワイヤハーネスは、請求項4に記載の通り、
請求項2に記載の電線を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明のアルミニウム合金線の製造方法は、請求項5に記載の通り、(イ)
原料を、マグネシウムの原子基準含有量(M)(at%)とケイ素(Si)の原子基準含有量(S)(at%)と
を、下記式(1)および式(2)で示される範囲
として、残部
をアルミニウムおよび不可避不純物により構成し、
前記原料を鋳造することにより得られた鋳造塊を伸線して、伸線したものに溶体化処理を施した後、最終線径まで断面減少率99%以上で更に伸線加工し、次いで200℃以上250℃以下で0.5時間以上1時間以下の時効処理を施し、(ロ)断面における金属組織の平均結晶粒サイズが3μm以上20μm以下であり、(ハ)断面における金属組織の析出物サイズが100nm以下であり、かつ、(ニ)断面における析出物の数密度が1個/μm
2以上であ
るアルミニウム合金線を製造することを特徴とする。
[数2]
0.2 ≦ M ≦ 1.19 ……(1)
−0.81M+1.44 ≦ S ≦ −1.54M+2.31 ……(2)
【発明の効果】
【0021】
本発明のアルミニウム合金線によれば、自動車用電線のアルミニウム導体として用いた場合、導体断面積が
0.75sqより細いアルミニウム電線において、十分な強度、十分な伸び、及び、十分な導電性と云う要求を全て満足する電線を実現させることができる。
また、導体断面積が0.35sqの電線において望まれる、150MPa以上の引張り強さを有するアルミニウム合金線を得ることができる。また、素線として求められるこのような高強度で、自動車用電線の導体として適度な伸びと導電性とを有するアルミニウム合金線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、式(1)および式(2)で示される範囲を図示した図面である。
【
図2】
図2は本発明にかかる電線(被覆電線)のモデル断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のアルミニウム合金線において、その組成は、マグネシウムの原子基準含有量(M)(at%)とケイ素(Si)の原子基準含有量(S)(at%)とが、下記式(1)および式(2)で示される範囲であり、残部がアルミニウムおよび不可避不純物により構成されることが必要である。なお、
図1において、横軸をマグネシウムの原子基準含有量(M)(at%)とし、縦軸をケイ素(Si)の原子基準含有量(S)(at%)としたときに、ハッチングされた三角形として示される範囲(境界を含む)が式(1)および式(2)を満足する範囲である。
【0024】
[数
3]
0.2 ≦ M ≦ 1.19 ……(1)
−0.81M+1.44 ≦ S ≦ −1.54M+2.31 ……(2)
【0025】
マグネシウムの量が少なすぎると強度が150PMa未満となり、多すぎると伸びが10%未満となる。
【0026】
また、マグネシウムに対するケイ素の量が少なすぎると強度が150PMa未満となり、多すぎると伸びが10%未満となる。
【0027】
本発明のアルミニウム合金線の構成成分は、上記マグネシウムおよびケイ素以外はアルミニウムであるが、不可避不純物が含有されていてもよい。不可避不純物としては、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、ルビジウム(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)などが挙げられ、0.07質量%以下であることが、本発明の効果を損なわないために好ましい。
【0028】
本発明のアルミニウム合金線の断面における金属組織の平均結晶粒サイズが3μm以上20μm以下であることが必要である。
【0029】
金属組織の平均結晶粒サイズが小さすぎると伸びが10%未満となる。また素線のサイズに対して平均結晶粒サイズが大きすぎても伸びが10%未満となる。
【0030】
そして、本発明のアルミニウム合金線の断面における金属組織の析出物サイズが100nm以下であることが必要である。
【0031】
金属組織中には、Mg
2SiやSiなどの析出物が生じるがこれら析出物サイズが大きすぎると強度が150PMa未満となる。
【0032】
さらに、断面における析出物の数密度が1個/μm
2以上であることが必要である。析出物の数密度が少なすぎると強度が150PMa未満となる。
【0033】
ここで、このようなアルミニウム合金線は次のようにして得ることができる。
【0034】
原料にJIS H 2102に規定される1種アルミニウム地金、純MgまたはAl−Mg合金、Al−Si合金を使用し、これらを所定の配合比になるように調合して、るつぼ等の容器で溶解した後に、鋳型に流し込んで鋳造塊を得る。この鋳造塊を圧延機、伸線により所定のサイズまで加工し、例えば520℃程度以上に加熱して溶体化処理を施した後、空冷し、次いで、伸線機により所定の最終線径(例えば、
0.5sq、0.35sq、0.22sq、
0.13sq等)まで断面減少率99%以上で伸線加工し、必要に応じて巻き取る。圧延までの工程は、連続鋳造圧延機を用いても可能である。
【0035】
次いで、時効処理を行う。処理条件としては、200℃以上250℃以下で
0.5時間以上1時間以下である。
【0036】
時効処理の温度が低すぎると伸びが10%未満となる場合があり、高すぎると強度が150PMa未満となる場合がある。特に好ましい範囲は230℃以上240℃以下である。
【0037】
また、時効処理の処理時間が短すぎると伸びが10%未満となる場合があり、長すぎると強度が150PMa未満となる場合がある。特に好ましい時間としては0.5時間以上0.75時間以下である。
【0038】
このような時効処理を行った後、通常の芯線と同様に、必要に応じて撚り合わせや圧縮を行って導体を得た後、押出成形により被覆電線(
図2に本発明に係るアルミニウム金属線を芯線1とした被覆電線のモデル断面図を示す。図中符号2は被覆層である)とし、あるいは複数本束ねて一本に外装してケーブル、ワイヤーハーネスとする。時効処理は、より合わせ、圧縮を行った後に行うことも可能である。
【0039】
このようにして得た電線は、十分な強度、十分な伸び、そして、十分な導電性を有するため、自動車用アルミニウム細径電線として好適に用いることができる。
【0040】
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のアルミニウム合金線、電線、ケーブル、及び、ワイヤハーネスは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
【0041】
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のアルミニウム合金線、電線、ケーブル、及び、ワイヤハーネスを適宜改変することができる。このような改変によってもなお本発明のアルミニウム合金線、電線、ケーブル、及び、ワイヤハーネスを具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
【実施例】
【0042】
以下に本発明のアルミニウム金属線について実施例を示してより具体的に説明する。
【0043】
<鋳造工程>
マグネシウム、ケイ素をそれぞれ表1に示した実施例1〜9、比較例1〜4のそれぞれの配合比となるようにアルミニウムに配合して、るつぼで溶解した後に、鋳型に流し込んで、それぞれ鋳造塊を得た。
【0044】
<圧延・伸線工程>
上記それぞれの鋳造塊を圧延機、伸線機により所定のサイズまで加工を行い、線径φ18mm(後述する減面率99.9%の延伸加工用)、φ3.2mm(後述する減面率99%の延伸加工用)の2種類の圧延後材料を得た。ここまでの工程は連続鋳造圧延機、伸線機を使用しても可能である。
【0045】
<溶体化処理工程>
上記の圧延・伸線後材料のそれぞれに、520℃、30分の溶体化処理を行い、溶体化後材料を得た。このときの不可避不純物についてICP発光分析装置を用いて分析したところ、主として亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、ルビジウム(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)が含有されており、その量はいずれの鋳造塊においても0.07質量%以下であった。
【0046】
<伸線加工工程>
上記の溶体化後材料について、空冷後、それぞれ伸線機を用いて、表1に示す減面率で伸線加工を行いボビンにそれぞれ巻き取った。なお、これら金属線の最終線径はφ322μmであった。
【0047】
<時効処理>
上記で伸線加工を行って得た金属線を、巻き取ったままの状態で、それぞれ表1に示す条件で時効処理を行った。その後、空冷して、13種類の時効処理を行ったアルミニウム金属線を得た。
【0048】
<評価>
上記13種類の時効化処理を行ったアルミニウム金属線について、クロスセクションポリッシャを用いて切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、平均結晶粒サイズ、平均析出物サイズ、および、平均析出物数密度を調べた。
【0049】
具体的には、平均結晶粒サイズは、素線断面の中心から外周部に向かって150μm×50μmの範囲でEBSDにより結晶方位測定を行った結果から、結晶方位差2°以上を結晶粒界として、判別した結晶粒のサイズについて、面積比による加重平均で求めた。
【0050】
平均析出物サイズは、TEM/EDX分析によるAl、Mg、Siの元素マッピングでMg
2Si析出物、及び、Si析出物を確認し、無作為に選んだ計50個、の析出物のサイズについて、算術平均して求めた。
【0051】
平均析出物数密度はTEM/EDX分析によるAl、Mg、Siの元素マッピングでMg
2Si析出物、及び、Si析出物を確認し、確認した析出物の個数を測定し、面積で除して求めた。
【0052】
また、上記13種類の溶体化処理を行ったアルミニウム金属線について、JIS Z2241に準拠して、引張強度と伸び率を測定し、またJIS H0505に準拠して導電率を測定した。
【0053】
これら評価結果を表1に併せて記載した。
【0054】
また、
図3に、実施例9に係るアルミニウム金属線の断面の走査型電子顕微鏡による写真を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1より、本発明に係るアルミニウム金属線は、引張強度が150MPa以上、伸び率が10%以上、そして、導電率が50%IACSであることが求められると想定される、細径アルミニウム電線の基準想定値をいずれも満足していることが理解される。
【符号の説明】
【0057】
1 芯線
2 被覆層