【実施例】
【0014】
まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。
図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。尚、以下の説明において、
図1の手前側(遊技者側)をパチンコ遊技機1の前面側、奥側(内方側)を背面側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
【0015】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示略)と、この外枠(図示略)に開閉可能に取り付けられた前面枠(図示略)と、で主に構成されている。この前面枠の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ一側を中心に開閉可能に設けられている。
【0016】
図1に示すように、ガラス扉枠102の下方に取り付けられた下扉枠103の前面上部には、遊技媒体(遊技球)としての遊技球(打球)を貯留可能な遊技球貯留部としての打球供給皿(上皿とも言う)3が上面に形成された上皿部3aが、パチンコ遊技機1の前方(パチンコ遊技機1の前面方向)に向けて突設されている。また、この上皿部3aの下方には、後述する操作レバー600が揺動自在に軸支されるとともに、上面に余剰球貯留皿(下皿とも言う)4が形成された下皿部4a(突出部)が、パチンコ遊技機1の前方(パチンコ遊技機1の前面方向)に向けて突設されている。その右側方には、遊技球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。
【0017】
操作レバー600は、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガースイッチが内設されたトリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者が操作レバー600の操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作レバー600の下部における下皿4aの本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検知するために四方向に配置されたレバースイッチ510a〜510dが設けられていればよい。
【0018】
また、上皿3を形成する部材には、例えば上皿3本体の上面における手前側の所定位置(例えば操作レバー600の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能な操作ボタン516が設けられている。操作ボタン516は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。操作ボタン516の設置位置における上皿の本体内部などには、操作ボタン516に対してなされた遊技者の操作行為を検知するボタンスイッチ516a(
図2を参照)が設けられていればよい。尚、これら操作レバー600及び操作ボタン516は、遊技中における所定のタイミングで遊技者が操作することで、各種演出を実行するためにも使用されるとともに、後述するように、音量や輝度(光量)を遊技者が設定するためにも使用される。
【0019】
下扉枠103の前面左右側には、左右一対のスピーカ27a,27bが配設されている。
【0020】
ガラス扉枠102の背面には、前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた遊技盤6が配置されている。尚、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0021】
遊技盤6は、遊技領域7が遊技盤面(前面)側に形成されたベニヤ板からなり、遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技盤ユニット250が一体的に組み付けられている。
【0022】
遊技領域7の中央付近には、演出用の飾り図柄(演出図柄ともいう)を変動表示(可変表示ともいう)する複数の変動表示領域を含む演出表示装置9が、遊技盤6の開口の臨むように設けられている。演出図柄(識別情報)の変動表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(
図2参照)によって制御される。
【0023】
尚、本実施例では、不透明な遊技盤6を使用しているので演出表示装置9を、遊技盤6の図示しない開口に臨むように配置しているが、透明な遊技盤6を使用する場合には、透明な遊技盤を通して演出表示装置9の表示を遊技者が視認できるので、開口を設けないようにしても良い。
【0024】
遊技盤6の所定箇所には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄(識別情報)を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8(
図2参照)が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(演出図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄の変動(可変)表示を行う。演出表示装置9は、後述する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(
図2参照)等の各デバイスによって制御される。
【0025】
特別図柄表示器8は、例えば0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aと、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。
【0026】
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動口15aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技や小当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動時間(可変表示時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第2始動口15bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技や小当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動時間(可変表示時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0027】
これら第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bにおける変動表示と演出表示装置9における演出図柄の変動(可変)表示とは、後述するように、該第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bにおける変動表示が開始されること連動して開始され、該第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bにおける変動表示が停止されることと連動して停止されるように同期しており、これら演出表示装置9における識別情報である演出図柄の変動(可変)表示も、変動表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動口15aまたは第2始動口15bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技や小当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動時間(可変表示時間)が経過すると表示結果(演出図柄の組合せによる停止図柄)を導出表示する。
【0028】
演出表示装置9の下方には、遊技球を受け入れ可能な入賞領域としての第1始動口15aおよび第2始動口15bを有する始動入賞装置15が設けられている。始動入賞装置15では、上部に第1始動口15aが設けられ、その下部に第2始動口15bが設けられている。第2始動口15bの左右には、開閉動作をすることが可能な態様で一対の可動片13,13が設けられている。第1始動口15aは、上方を向いて開口しており、常に遊技球の進入(受け入れ)が可能な状態となっている。一方、第2始動口15bは、上方に第1始動口15aの周囲の構造物が設けられ、左右に可動片13,13が設けられているため、可動片13,13が閉状態であるときに遊技球の進入(受け入れ)が不可能な状態となり、可動片13,13が開状態であるときに遊技球の進入(受け入れ)が可能な状態となる。このように、第1始動口15aは入賞のしやすさが変化せず、第2始動口15bは可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する。
【0029】
尚、始動入賞装置15は、可動片13,13が閉状態になっている状態において、第2始動口15bに入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていても良い。また、始動入賞装置15は、始動口として、入賞のしやすさが変化しない第1始動口15aのみが設けられたものであっても良く、可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する第2始動口15bのみが設けられたものであっても良い。
【0030】
始動入賞装置15の可動片13,13は、後述する開放条件が成立したときに、ソレノイド16によって駆動されることにより、閉状態から所定期間開状態とされた後、閉状態とされる。始動入賞装置15の可動片13,13が開状態となることにより、遊技球が第2始動口15bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態(第1の状態)となる。一方、始動入賞装置15の可動片13,13が閉状態となることにより、遊技球が第2始動口15bに入賞しなくなり(始動入賞しにくくなり)、遊技者にとって不利な状態(第2の状態)となる。第1始動口15aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。また、第2始動口15bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。
【0031】
遊技盤6の所定箇所には、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bに入った有効入賞球の記憶数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18(
図2参照)が設けられている。特別図柄保留記憶表示器18は、保留記憶数を入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、第1始動口15aまたは第2始動口15bに始動入賞があるごとに、保留記憶の記憶データが1増えて、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、保留記憶の記憶データが1減って、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。具体的には、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、点灯状態をシフトする。尚、この例では、第1始動口15aまたは第2始動口15bへの入賞による保留記憶数に上限数(4個まで)が設けられている。しかし、これに限らず、保留記憶数の上限数は、4個以上の値にしても良く、4個よりも少ない値にしても良い。
【0032】
始動入賞装置15の下部には、ソレノイド21によって開閉される開閉板を用いた特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、開閉板によって開閉される大入賞口が設けられており、大当り遊技状態において開閉板が遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)に制御され、大当り遊技状態以外の状態において開閉板が遊技者にとって不利な閉状態(第2の状態)に制御される。このように、特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となるときに開放条件が成立する。特別可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球は、そのままカウントスイッチ23で検出される。
【0033】
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10(
図2参照)における変動表示が開始される。この実施例では、図示しない左右のLED(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行なわれ、例えば、変動表示の終了時に左側のLEDが点灯すれば当りになる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となったときに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放条件が成立し、始動入賞装置15における可動片13,13が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した有効通過球の記憶数、すなわち、始動通過記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41(
図2参照)が設けられている。ゲート32への遊技球の通過があるごとに、始動通過記憶の記憶データが1増えて、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10における変動表示が開始されるごとに、始動通過記憶の記憶データが1減って、点灯するLEDを1減らす。
【0034】
遊技盤6には、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域として、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30よりなる複数の通常入賞口が設けられる。第1通常入賞口29への遊技球の入賞は、第1入賞口スイッチ29aによって検出される。第2通常入賞口30への遊技球の入賞は、第2入賞口スイッチ30aによって検出される。尚、第1始動口15a、第2始動口15b、および、大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域を構成する。また、遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aが内蔵される装飾発光部25L,25Rが設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を回収するアウト口26がある。
【0035】
遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27L,27Rが設けられ、左右下部には、効果音を発する2つのスピーカ27a,27bが設けられている。尚、以下の説明では、スピーカ27L,27R,27a,27bと総称してスピーカ27と表記する場合がある。遊技領域7の外周には、回転体用LED等の各種LEDが内蔵される天ランプモジュール530と、左枠LED28b(
図2参照)が内蔵される左発光部28Lおよび右枠LED28c(
図2参照)が内蔵される右発光部28Rが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。これら回転体用LED、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾用LEDは、パチンコ遊技機1に設けられている装飾発光体の一例である。
【0036】
そして、この例では、左発光部28Lの所定箇所に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、右枠LED28cの所定箇所に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。
【0037】
賞球LED51、球切れLED52、装飾LED25a、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530内の各LED等の各種発光手段は、主基板31から出力される演出制御コマンドに基づき演出制御用マイクロコンピュータ81から出力される信号に基づいて点灯制御(LED制御)される。また、スピーカ27L,27R,27a,27bからの音出力制御(音制御)も、演出制御用マイクロコンピュータ81により実施される。
【0038】
遊技者の打球操作ハンドル5の操作により図示しない打球発射装置から発射された遊技球は、打球誘導レール(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を流下してくる。遊技球が、第1始動口15aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されるか、または、第2始動口15bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
【0039】
特別図柄表示器8並びに演出表示装置9における図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。停止時の図柄(停止図柄)が特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。この特別可変入賞球装置20が開放されている状態がラウンドと呼ばれ、大当り遊技状態において15ラウンドのような所定回数実行される。
【0040】
停止時の特別図柄表示器8並びに演出表示装置9における図柄が大当り図柄のうちの予め定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率(大当り確率)が、大当り遊技状態と異なる通常状態である通常遊技状態よりも高くなる確率変動状態(以下、確変状態と呼ぶ)という遊技者にとってさらに有利な状態になる。以下、確変状態は、高確率状態(高確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。また、非確変状態は、低確率状態(低確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。
【0041】
また、特別図柄表示器8並びに演出表示装置9での変動表示の停止時における図柄の表示結果が、確変大当り図柄である場合には、大当り遊技状態後に変動時間短縮状態である時短状態に所定期間に亘り制御される。時短状態とは、通常遊技状態に比べて、特別図柄表示器8、演出表示装置9、および、普通図柄表示器10のそれぞれの変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御状態をいう。さらに、時短状態中には、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、開放回数が増加させられる、いわゆる電チューサポート制御が実行される。時短状態中では、図柄の変動表示時間が短縮されるので、後述する保留記憶数が早期に消化され、保留記憶数の上限(例えば「4」)を超えて発生した始動入賞が無効になってしまう状態を減少でき、短期間に頻繁に表示結果を導出表示して早期に大当り表示結果を導出表示しやすくなるので、時間効率的な観点で変動表示の表示結果が大当り図柄の表示結果となりやすくなり、遊技者にとって有利な遊技状態となる。このように、確変大当りの場合は、大当り遊技状態の終了後の所定期間において、高確率状態かつ時短状態に制御されることとなる。大当り遊技状態の終了後の所定期間に亘る時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、または、特別図柄および演出図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)行なわれるまでの、いずれか一方の条件が成立するまで継続される。
【0042】
また、入賞に応じた遊技球の払出しの面から考えると、時短状態は、非時短状態と比べて、普通図柄の変動表示時間が短縮され、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の1度の開放回数が多くされることに基づいて、通常遊技状態と比べて始動入賞装置15の可動片13,13が開放状態となりやすい。したがって、時短状態では、第2始動口15bへの入賞(始動入賞が有効である場合と無効である場合との両方を含む)が生じやすくなるため、遊技領域7へ打込んだ遊技球数(打込球数)に対して、入賞に応じた賞球として払出される遊技球数(払出球数)の割合が、通常遊技状態と比べて多くなる。一般的に、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合は、「ベース」と呼ばれる。例えば、100球の打込球数に対して40球の払出球数があったときには、ベースは40(%)となる。この実施例の場合では、例えば通常遊技状態のような非時短状態よりもベースが高い時短状態を高ベース状態と呼び、逆に、そのような高ベース状態と比べてベースが低い通常遊技状態のような非時短状態を低ベース状態と呼ぶ。
【0043】
このように、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合が一般的に「ベース」と呼ばれるが、例えば1分間等の単位時間における遊技球の最大発射数は、一定数に制限されている。このため、「ベース」は、単位時間において、遊技領域に設けられた複数の入賞口への入賞による賞球の払出球数の合計値によっても示すことができる。例えば、単位時間における遊技球の最大発射数を100球とすると、単位時間における入賞による賞球の払出球数の合計値は、一般的な「ベース」の値と一致することとなる。このような関連性に基づいて、本実施形態では、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30のそれぞれを異常監視対象入賞口としており、該異常監視対象入賞口の入賞による賞球の払出球数の合計値は、ベースと呼ばれ、入賞に関する異常監視の対象として用いられる。
【0044】
確変状態(高確率状態)と非確変状態(低確率状態)とのどちらの状態であるかは、確変状態においてセットされるフラグである確変フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。また、時短状態(高ベース状態)と非時短状態(低ベース状態)とのどちらの状態であるかは、時短状態においてセットされるフラグである時短フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。
【0045】
また、前述の時短状態に制御されていない状態においては、特別図柄の保留記憶数が所定個数以上となるごとに、特別図柄および演出図柄の変動表示時間を短縮する記憶変動短縮状態に制御する記憶変動短縮制御が行なわれる。記憶変動短縮制御は、特別図柄の保留記憶数が所定個数未満となった段階で終了する。したがって、時短状態に制御されていない状態においても、特別図柄および演出図柄の変動表示時間が短縮される場合がある。
【0046】
演出表示装置9において変動表示される演出図柄は、特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示の装飾効果を高めるために、特別図柄の変動表示と所定の関係を有して変動表示される装飾的な意味合いがある図柄である。このような図柄についての所定の関係には、例えば、特別図柄の変動表示が開始されたときに演出図柄の変動表示が開始する関係、および、特別図柄の変動表示の終了時に特別図柄の表示結果が導出表示されるときに演出図柄の表示結果が導出表示されて演出図柄の変動表示が終了する関係等が含まれる。特別図柄表示器8により予め定められた大当り図柄が表示結果として導出表示されるときには、演出表示装置9により、左、中、右図柄がゾロ目となる大当り図柄の組合せが表示結果として導出表示される。このような特別図柄による大当り図柄の表示結果および演出図柄による大当り図柄の組合せの表示結果は、大当り表示結果という。
【0047】
特別図柄表示器8と演出表示装置9とは変動表示結果が前述したような対応関係になるため、以下の説明においては、これらをまとめて変動表示部と呼ぶ場合がある。
【0048】
次に、リーチ表示態様(リーチ)について説明する。本実施形態におけるリーチ表示態様(リーチ)とは、停止した図柄が大当り図柄の一部を構成しているときに未だ停止していない図柄については変動表示が行なわれていること、および、すべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態である。
【0049】
例えば、演出表示装置9において、図柄が停止することで大当りとなる有効ライン(本実施例の場合は横1本の有効ライン)が予め定められ、その有効ライン上の一部の表示領域に予め定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行なわれている状態(例えば、演出表示装置9における左、中、右の変動表示領域のうち左、右の表示領域に同一の図柄が停止表示されている状態で中の表示領域は未だ変動表示が行なわれている状態)、および、有効ライン上の表示領域のすべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態(例えば、演出表示装置9における左、中、右の表示領域のすべてに変動表示が行なわれており、常に同一の図柄が揃っている状態で変動表示が行なわれている状態)をリーチ表示態様またはリーチという。
【0050】
また、リーチの際に、通常と異なる演出がLEDや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(演出図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、演出表示装置9の背景画像の表示態様(例えば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別(特定)のリーチをスーパーリーチという。
【0051】
また、演出表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなる可能性がある旨を報知する擬似連等の大当り予告演出が行なわれる場合がある。
【0052】
この実施例の場合は、大当りとして、後述するように通常大当りCおよび確変大当りAというような複数種類の大当りが設けられている。以下の説明においては、大当りの種類を特定せずに単に「大当り」と示すときは、これら複数種類の大当りを代表して示す場合である。
【0053】
通常大当りCは、大当り遊技状態の終了後に前述した確変状態にならず、かつ、時短状態にならないことにより、低確率状態、かつ、低ベース状態となる大当り(非確変大当り)である。このような、低確率状態かつ低ベース状態となった状態は、低確低ベース状態と呼ばれる。確変大当りAは、大当り遊技状態の終了後に確変状態になり、かつ、所定期間に亘り時短状態になる高確率状態、かつ、高ベース状態となる大当りである。このような、高確率状態かつ高ベース状態となった状態は、高確高ベース状態と呼ばれる。確変大当りとなった後においては、所定期間が経過すると時短状態が終了し、高確率状態、かつ、低ベース状態になる。このような、高確率状態かつ低ベース状態となった状態は、高確低ベース状態と呼ばれる。
【0054】
図2は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、
図2には、パチンコ遊技機1に搭載されている払出制御基板37、及び、演出制御基板80も示されている。主基板(遊技制御基板)31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)となる遊技制御用マイクロコンピュータ156と、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30aからの信号の他、電源断信号およびクリア信号、リセット信号等の各種信号を遊技制御用マイクロコンピュータ156に与える入力回路58と、始動入賞装置15の可動片13,13を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、および、大入賞口内の経路を切り替えるためのソレノイド21aを遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令にしたがって駆動する出力回路59と、が搭載されている。
【0055】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55、およびプログラムにしたがって制御動作を行うプロセッサであるCPU56、および、I/Oポート57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。
【0056】
遊技制御用マイクロコンピュータ156においては、CPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行する。したがって、以下に説明するような遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的にはCPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、CPU56を含む遊技制御用マイクロコンピュータ156で実現されている。
【0057】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、クロック信号を発生させるクロック回路、システムリセット手段として機能するリセットコントローラ、乱数回路、および、CPU56に割込要求信号を送出するCTCを内蔵する。
【0058】
乱数回路は、特別図柄および演出図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否かを判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。この乱数回路は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新させていき、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0059】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路から数値データを乱数値R(ランダムR)として読出し、その数値データに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを判定する。そして、大当りとすると判定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。尚、大当りとするか否かの判定は、実際には特別図柄および演出図柄の変動表示の開始時に、始動入賞時に抽出した乱数値に基づいて実行される。また、乱数回路が発生させた乱数は、確変とするか否かを決定するための確変判定用乱数や、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定用乱数など、大当りとするか否かの判定以外の判定用乱数として用いても良い。
【0060】
クロック回路は、システムクロック信号をCPU56に出力し、このシステムクロック信号を分周して生成した所定の周期の基準クロック信号CLKを、各乱数回路に出力する。リセットコントローラは、ローレベルの信号が一定期間入力されたとき、CPU56および各乱数回路に所定の初期化信号を出力して、遊技制御用マイクロコンピュータ156をシステムリセットする。
【0061】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板(図示略)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電源電力の供給が停止したときである電源断時でも、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータとは、バックアップデータとして、RAM55に保存される。制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。
【0062】
さらに、電源基板(図示略)からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力回路58に入力される。電源断信号は、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力回路58に入力される。クリア信号は、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。
【0063】
尚、本実施例では、主基板31とともに、演出制御基板80にもバックアップ電源が供給されていて、演出制御基板80についても主基板31と同様にバックアップされている。また、本実施例では、電断信号の出力回路やバックアップ電源の電源回路を電源基板に設けた形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの電断信号の出力回路やバックアップ電源の電源回路を主基板31に設けるようにしても良いし、主基板31と演出制御基板80とに個別の電断信号の出力回路やバックアップ電源の電源回路を設けるようにしても良い。
【0064】
また、複数のスイッチのそれぞれは、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに接続されている。これにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、複数のスイッチのそれぞれから各スイッチの入力状態を示す入力検出信号を受ける。
【0065】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156が搭載する出力回路78は、CPU56が出力する演出制御コマンドを演出制御基板80に送信(出力)する。また、出力回路78は、CPU56が出力する制御信号を、特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に送信(出力)する。
【0066】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、演出制御基板80に表示制御、音制御、および、LED制御を含む演出制御を指令するための制御信号としての演出制御コマンド(演出制御信号)を、出力回路78を介して送信する。
【0067】
遊技制御用マイクロコンピュータ156が演出制御基板80に対して送信する演出制御コマンドには、客待ちデモ指定コマンドや変動表示コマンドが含まれる。
【0068】
客待ちデモ指定コマンドは、遊技制御用マイクロコンピュータ156が客待ちデモンストレーション時の表示を指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)であり、特別図柄の変動が終了してから所定時間が経過したことに応じて送出され、該客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたときには、演出表示装置9に所定の客待ちデモ画面が表示される。つまり、通常においては、遊技者が交替するときには、遊技者が不在となる期間が存在するので、これら客待ちデモ指定コマンドは、遊技者が交替することで遊技者が不在となったと想定されるときに出力される。
【0069】
尚、本実施例の遊技制御用マイクロコンピュータ156は、特別図柄の変動が終了してから所定時間が経過することで演出制御基板80に対して客待ちデモ指定コマンドを送出しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技制御
用マイクロコンピュータ156は、始動入賞が発生せず保留記憶数が0且つ大当り遊技中や小当り遊技中でなければ、特別図柄の変動終了後、前記所定時間の経過を待たずして直ぐに演出制御基板80に対して客待ちデモ指定コマンドを送出するようにしても良い。このように遊技制御用マイクロコンピュータ156が特別図柄の変動終了後、前記所定時間の経過を待たずして直ぐに演出制御基板80に対して客待ちデモ指定コマンドを送出する場合、演出制御基板80は、コマンド解析処理において受信した演出制御コマンドを客待ちデモ指定コマンドと判定した時点から前記所定時間の計測を開始し、該所定時間が経過することで演出表示装置9に所定の客待ちデモを表示させるようにすれば良い。
【0070】
尚、本実施例では、パチンコ遊技機1において遊技者が遊技を実施していない状態の他、遊技者が遊技を実施していても、大当り遊技中または小当り遊技中ではなく、保留記憶が存在せずに演出図柄の変動が所定期間実行されていない状態を非遊技状態として定義する。
【0071】
また、変動表示コマンドは、特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9において変動表示される演出図柄の変動パターンを指定するために、変動開始時に送信される演出制御コマンドであり、変動開始を指定するためのコマンドである。
【0072】
演出制御基板80には、遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、演出表示装置9での演出表示の表示制御や効果音(演出音)の出力制御を行う演出制御用マイクロコンピュータ81等の電気部品制御手段が搭載されている。
【0073】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81が、遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9の表示制御、並びにスピーカ27L,27R,27a,27bからの音出力制御を行う。
【0074】
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81が、レバースイッチ510a〜510dやボタンスイッチ516aからの検出信号を検知することで、操作レバー600の操作や操作ボタン516の遊技者による操作を検知する。
【0075】
また、演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技盤6に設けられているステージLED25bの表示制御を行うとともに、枠側に設けられている賞球LED51、球切れLED52、左枠LED28b、右枠LED28c、並びに天ランプモジュール530内の各LEDの点灯制御を行う。
【0076】
図3に示すように、演出制御基板80は、CPU86、RAM85を含む演出制御用マイクロコンピュータ81を搭載している。演出制御基板80において、CPU86は、内蔵のROM84に格納されたプログラムに従って動作し、入力回路260を介して演出制御コマンドを受信する。このうち、ROM84には、各種の演出において演出表示装置9に表示する画像に関するデータや表示の開始タイミングや終了タイミング等のタイムチャート等が演出の種別毎に記憶されている。また、CPU86は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)262に、演出表示装置9に表示する画像の生成やバックライト9cの発光強度の調整等の演出表示装置9の表示制御を行わせる表示制御処理を実施する。
【0077】
この実施例では、演出制御用マイクロコンピュータ81と共動して演出表示装置9の表示制御を行うVDP262が演出制御基板80に搭載されている。
【0078】
VDP262は、
図3に示すように、スプライト画像として用いる画像要素データとしてのキャラクタ(人物、動物、文字、図形、記号等の画像データ、CGデータとも呼ぶ)などのデータが格納されるCGROM205、フレームバッファ領域(VRAM領域)として使用されるSDRAM210(シンクロナスDRAM)とともに表示制御回路を構成する。
【0079】
CPU86は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP262に出力する。CGROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP262は、CPU86の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP262は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
【0080】
また、この実施例では、演出制御用マイクロコンピュータ81(CPU86)と共動して、各スピーカ27L,27R,27a,27bから出力する音を再生する音声合成IC173とD/AコンバータIC177並びに該D/AコンバータIC177にてアナログ信号に変換された音信号(再生音)を増幅するデジタルアンプ175が演出制御基板80に搭載されており、CPU86は、主基板31からの演出制御コマンドにもとづいて音声データIDを音声合成IC173に出力して、該音声データIDに対応する音声データを音声合成IC173に再生させる。
【0081】
音声合成IC173は、演出制御用マイクロコンピュータ81から音声データIDが入力されると、該入力された音声データIDに基づいて、後述する音データROM174a及び音データRAM174bに記憶された音声データを特定し、該特定した音声データを、音声や効果音のアナログ信号に変換して、各スピーカ27L,27R、27a,27b毎に個別に再生しデジタルアンプ175に出力する。デジタルアンプ175は、D/AコンバータIC177の出力レベルを、演出制御用マイクロコンピュータ81(CPU86)により設定されている音量に増幅して各スピーカ27L,27R,27a,27bに出力する。
【0082】
音声合成IC173には、
図3に示すように、音データROM174aがローカルに接続されている。この音データROM174aには、音声データIDに対応付けて該音声データIDが該当する演出コマンドにより実施される各種演出に対応した音を出力するための各スピーカ27L,27R,27a,27b毎の音声データが記憶されている。つまり、これら音声データは、演出期間(例えば演出図柄の変動期間)において各スピーカ27L,27R,27a,27bから出力する音声または演出音を再生するためのデータの集まりである。
【0083】
また、音声合成IC173には、音データRAM174bがローカルに接続されている。尚、本実施例における音声合成IC173は、後述するように、遊技者が入力したカタカナの任意の文字列で構成される文字情報に基づいて、該文字情報に対応する音声を合成する音声データ合成処理機能を有している。該音声データ合成処理機能により予め合成された合成済音声データは、各合成済音声データを特定可能な合成済音声データIDに対応付けて音データRAM174bに記憶される。更に、音声合成IC173は、合成した合成済音声データの合成済音声データIDを演出制御用マイクロコンピュータ81に通知する。
【0084】
尚、音データRAM174bに記憶された合成済音声データは、後述するリーチ演出中に該音データRAM174bから読み出されて出力されるようになっており、リーチ演出の複数の再生タイミングに応じて複数の合成済音声データが記憶されている。また、演出制御用マイクロコンピュータ81のRAM85には、遊技者が入力した文字情報が記憶される。
【0085】
演出制御用マイクロコンピュータ81のROM84には、遊技者が文字情報を入力しなかった場合等に備えて、予め記憶された複数の既定文字情報(非入力時文字情報,記憶済み文字情報)が記憶されている。尚、この既定文字情報は後述するリーチ演出中において表示される字幕の構成に用いられる。更に、音データROM174aには、各既定文字情報に対応した音声データである既定音声データ(記憶済み音声データ)が記憶されている。また、既定音声データは、既定文字情報を音声合成して作成した音声データであってもよいし、既定文字情報を人間が実際に読み上げた声を録音した作成した音声データであってもよい。
【0086】
図4(A)は、本実施例で用いられる演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。演出制御コマンドは、例えば2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を示し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビットは「0」とされる。尚、
図4(A)に示されたコマンド形態は一例であって、他のコマンド形態を用いてもよい。また、この例では、制御コマンドが2つの制御信号で構成されることになるが、制御コマンドを構成する制御信号数は、1であってもよいし、3以上の複数であってもよい。
【0087】
図4(A)に示す例において、コマンド8001Hは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定する第1変動開始コマンドである。コマンド8002Hは、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定する第2変動開始コマンドである。コマンド81XXHは、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアで変動表示される演出図柄などの変動パターン(変動時間)を指定する変動パターン指定コマンドである。ここで、XXHは不特定の16進数であることを示し、演出制御コマンドによる指示内容に応じて任意に設定される値であればよい。変動パターン指定コマンドでは、指定する変動パターンなどに応じて、異なるEXTデータが設定される。
【0088】
コマンド8CXXHは、特別図柄や演出図柄などの変動表示結果を指定する変動表示結果通知コマンドである。変動表示結果通知コマンドでは、例えば
図4(B)に示すように、変動表示結果が「ハズレ」であるか「大当り」であるかの決定結果(事前決定結果)や、変動表示結果が「大当り」となる場合の大当り種別を複数種類のいずれとするかの決定結果(大当り種別決定結果)に応じて、異なるEXTデータが設定される。より具体的には、コマンド8C00Hは、変動表示結果が「ハズレ」となる旨の事前決定結果を示す第1変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C01Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「非確変」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第2変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C02Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「確変」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第3変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C03Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第4変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C04Hは、変動表示結果が「小当り」となる旨の事前決定結果を示す第5変動表示結果通知コマンドである。
【0089】
コマンド8F00Hは、演出表示装置9における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアで演出図柄の変動停止(確定)を指定する図柄確定コマンドである。コマンド95XXHは、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドである。遊技状態指定コマンドでは、例えばパチンコ遊技機1における現在の遊技状態に応じて、異なるEXTデータが設定される。具体的な一例として、コマンド9500Hを時短制御と確変制御がいずれも行われない遊技状態(低確低ベース状態、通常状態)に対応した第1遊技状態指定コマンドとし、コマンド9501Hを時短制御が行われる一方で確変制御は行われない遊技状態(低確高ベース状態、時短状態)に対応した第2遊技状態指定コマンドとする。また、コマンド9502Hを確変制御が行われる一方で時短制御は行われない遊技状態(高確低ベース状態、時短なし確変状態)に対応した第3遊技状態指定コマンドとし、コマンド9503Hを時短制御と確変制御がともに行われる遊技状態(高確高ベース状態、時短付確変状態)に対応した第4遊技状態指定コマンドとする。
【0090】
コマンドA0XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態の開始を示す演出画像の表示を指定する当り開始指定コマンド(「ファンファーレコマンド」ともいう)である。コマンドA1XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンドである。コマンドA2XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドである。コマンドA3XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態の終了時における演出画像の表示を指定する当り終了指定コマンドである。
【0091】
当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、例えば変動表示結果通知コマンドと同様のEXTデータが設定されることなどにより、事前決定結果や大当り種別決定結果に応じて異なるEXTデータが設定されてもよい。あるいは、当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、事前決定結果及び大当り種別決定結果と設定されるEXTデータとの対応関係を、変動表示結果通知コマンドにおける対応関係とは異ならせるようにしてもよい。大入賞口開放中通知コマンドや大入賞口開放後通知コマンドでは、例えば通常開放大当り状態や短期開放大当り状態におけるラウンドの実行回数(例えば「1」〜「15」)に対応して、異なるEXTデータが設定される。
【0092】
コマンドB100Hは、第1始動口15aが形成する第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ14aにより検出されて始動入賞(第1始動入賞)が発生したことに基づき、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームを実行するための第1始動条件が成立したことを通知する第1始動口入賞指定コマンドである。コマンドB200Hは、第2始動口15bが形成する第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ14bにより検出されて始動入賞(第2始動入賞)が発生したことに基づき、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立したことを通知する第2始動口入賞指定コマンドである。
【0093】
コマンドC1XXHは、保留表示エリアなどにて特図保留記憶数を特定可能に表示するために、第1特図保留記憶数を通知する第1保留記憶数通知コマンドである。コマンドC2XXHは、保留表示エリアなどにて特図保留記憶数を特定可能に表示するために、第2特図保留記憶数を通知する第2保留記憶数通知コマンドである。第1保留記憶数通知コマンドは、例えば第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第1始動条件が成立したことに基づいて、第1始動口入賞指定コマンドが送信されるときに、主基板31から演出制御基板80に対して送信される。第2保留記憶数通知コマンドは、例えば第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第2始動条件が成立したことに基づいて、第2始動口入賞指定コマンドが送信されるときに、主基板31から演出制御基板80に対して送信される。また、第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドは、第1開始条件と第2開始条件のいずれかが成立したときに、特図ゲームの実行が開始されることなどに対応して送信されるようにしてもよい。
【0094】
第1保留記憶数通知コマンドは、第1始動入賞の発生により第1始動条件が成立したときに、第1特図保留記憶数の増加を通知するものとして送信される。また、第2保留記憶数通知コマンドは、第2始動入賞の発生により第2始動条件が成立したときに、第2特図保留記憶数の増加を通知するものとして送信される。
【0095】
本実施例では、保留記憶情報として、第1始動入賞口と第2始動入賞口とのいずれに始動入賞したかを指定する第1始動口入賞指定コマンドや第2始動口入賞指定コマンドを送信するとともに、第1特図保留記憶数や第2特図保留記憶数を指定する第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドを送信する。尚、保留記憶数が増加したときに、第1特図保留記憶数または第2特図保留記憶数が増加したことを示す保留記憶数加算指定コマンド(第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算指定コマンド)を送信する一方、保留記憶数が減少したときに、第1特図保留記憶数または第2特図保留記憶数が減少したことを示す保留記憶数減算指定コマンド(第1保留記憶数減算指定コマンドまたは第2保留記憶数減算指定コマンド)を送信するようにしてもよい。
【0096】
第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドに代えて、合計保留記憶数を通知する合計保留記憶数通知コマンドを送信するようにしてもよい。すなわち、合計保留記憶数の増加(または減少)を通知するための合計保留記憶数通知コマンドが用いられてもよい。
【0097】
コマンドC4XXHおよびコマンドC6XXHは、入賞時判定結果の内容を示す演出制御コマンド(入賞時判定結果指定コマンド)である。このうち、コマンドC4XXHは、入賞時判定結果として、変動表示結果が「大当り」となるか否かや「小当り」となるか否か、大当り種別(確変や非確変や突確)の判定結果を示す図柄指定コマンドである。また、コマンドC6XXHは、入賞時判定結果として、変動パターン種別決定用の乱数値MR3がいずれの決定値の範囲となるかの判定結果(変動パターン種別の判定結果)を示す変動カテゴリコマンドである。
【0098】
本実施例では、後述する始動入賞判定処理(ステップS101)内で実行される入賞時乱数値判定処理において、始動入賞の発生に基づき、変動表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否か、大当りの種別、変動パターン種別決定用の乱数値MR3がいずれの決定値の範囲になるかを判定する。そして、図柄指定コマンドのEXTデータに、変動表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されることを指定する値や、大当り種別(確変や非確変や突確)を指定する値を設定し、演出制御基板80に対して送信する制御を行う。また、変動カテゴリコマンドのEXTデータに判定結果としての乱数値MR3が含まれる決定値の範囲を指定する値を設定し、演出制御基板80に対して送信する制御を行う。演出制御基板80に搭載された演出制御用CPU86は、図柄指定コマンドに設定されている値に基づいて、変動表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されるか否か、大当り種別を認識できるとともに、変動カテゴリコマンドに設定されている値に基づいて、変動パターン種別決定用の乱数値MR3が所定範囲の決定値に含まれる場合には変動パターン種別を認識できる。
【0099】
図柄指定コマンドの一例として、コマンドC400Hを変動表示結果が「ハズレ」となる場合に応じた第1図柄指定コマンドとし、コマンドC401Hを変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「確変」となる場合に応じた第2図柄指定コマンドとし、コマンドC402Hを変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「非確変」となる場合に応じた第3図柄指定コマンドとし、コマンドC403Hを変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となる場合に応じた第4図柄指定コマンドとし、コマンドC404Hを変動表示結果が「小当り」となる場合に応じた第5図柄指定コマンドとする。尚、図柄指定コマンドに設定されるEXTデータと、変動表示結果通知コマンドに設定されるEXTデータとを共通化してもよい。
【0100】
変動カテゴリコマンドの一例として、例えば、コマンドC600Hを合計保留記憶数に応じて判定閾値が異なる「非リーチ」の変動表示態様となる場合に応じた第1変動カテゴリコマンドとし、コマンドC601Hを合計保留記憶数にかかわらず共通して「スーパーリーチ」の変動表示態様となる場合に応じた第2変動カテゴリコマンドとし、コマンドC602Hを「非リーチ」と「スーパーリーチ」以外の変動表示態様(例えばノーマルリーチ)となる場合に応じた第3変動カテゴリコマンドとする。
【0101】
主基板31に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ156は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(ReadOnlyMemory)54と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(RandomAccessMemory)55と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(CentralProcessingUnit)56と、I/O(Input/Outputport)57とを備えて構成される。
【0102】
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ156では、CPU56がROM54から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU56がROM54から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU56がRAM55に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU56がRAM55に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU56がI/O57を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU56がI/O57を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
【0103】
図5は、主基板31の側においてカウントされる乱数値を例示する説明図である。
図5に示すように、本実施例では、主基板31の側において、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3、変動パターン決定用の乱数値MR4、普図表示結果決定用の乱数値MR5のそれぞれを示す数値データが、カウント可能に制御される。尚、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。こうした遊技の進行を制御するために用いられる乱数は、遊技用乱数ともいう。
【0104】
遊技制御用マイクロコンピュータ156の乱数回路は、これらの乱数値MR1〜MR5の一部または全部を示す数値データをカウントするものであればよい。CPU56は、例えば遊技制御カウンタ設定部に設けられたランダムカウンタといった、乱数回路とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを更新することで、乱数値MR1〜MR5の一部を示す数値データをカウントするようにしてもよい。
【0105】
特図表示結果決定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける特別図柄などの変動表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かや、変動表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御するか否かを、決定するために用いられる乱数値であり、例えば「1」〜「65535」の範囲の値をとる。大当り種別決定用の乱数値MR2は、変動表示結果を「大当り」とする場合における演出図柄の変動表示態様である大当り種別を「非確変」、「確変」、「突確」のいずれかに決定するために用いられる乱数値であり、例えば「1」〜「100」の範囲の値をとる。
【0106】
変動パターン種別決定用の乱数値MR3は、特別図柄や演出図柄の変動表示における変動パターン種別を、予め用意された複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値であり、例えば「1」〜「251」の範囲の値をとる。変動パターン決定用の乱数値MR4は、特別図柄や演出図柄の変動表示における変動パターンを、予め用意された複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値であり、例えば「1」〜「997」の範囲の値をとる。普図表示結果決定用の乱数値MR5は、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける変動表示結果を「普図当り」とするか「普図ハズレ」とするかなどの決定を行うために用いられる乱数値であり、例えば「3」〜「13」の範囲の値をとる。
【0107】
図6は、本実施例における変動パターンを示している。本実施例では、変動表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、演出図柄の変動表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、変動表示結果が「大当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。尚、変動表示結果が「ハズレ」で演出図柄の変動表示態様が「非リーチ」である場合に対応した変動パターンは、非リーチ変動パターン(「非リーチハズレ変動パターン」ともいう)と称され、変動表示結果が「ハズレ」で演出図柄の変動表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンは、リーチ変動パターン(「リーチハズレ変動パターン」ともいう)と称される。また、非リーチ変動パターンとリーチ変動パターンは、変動表示結果が「ハズレ」となる場合に対応したハズレ変動パターンに含まれる。変動表示結果が「大当り」である場合に対応した変動パターンは、大当り変動パターンと称される。
【0108】
大当り変動パターンやリーチ変動パターンには、ノーマルリーチα、ノーマルリーチβ、ノーマルリーチγといったノーマルリーチのリーチ演出が実行されるノーマルリーチ変動パターンと、スーパーリーチα、スーパーリーチβ、スーパーリーチγといったスーパーリーチのリーチ演出が実行されるスーパーリーチ変動パターンとがある。変動表示結果が「小当り」である場合に対応した変動パターンは、小当り変動パターンと称される。大当り変動パターンと小当り変動パターンは、変動表示結果が「大当り」または「小当り」となる場合に対応した当り変動パターンに含まれる。
【0109】
図6に示すように、本実施例におけるノーマルリーチα、ノーマルリーチβ、ノーマルリーチγといったノーマルリーチのリーチ演出が実行されるノーマルリーチ変動パターンの特図変動時間については、ノーマルリーチαのリーチ演出が実行される変動パターンが最も特図変動時間が短く設定されており、ノーマルリーチγのリーチ演出が実行される変動パターンが最も特図変動時間が長く設定されている(ノーマルリーチ演出が実行されるノーマルリーチ変動パターンの特図変動時間:ノーマルリーチγ>ノーマルリーチβ>ノーマルリーチα)。
【0110】
また、本実施例におけるスーパーリーチα、スーパーリーチβ、スーパーリーチγといったスーパーリーチのリーチ演出が実行されるスーパーリーチ変動パターンの特図変動時間については、スーパーリーチαのスーパーリーチ演出が実行される変動パターンが最も特図変動時間が短く設定されており、スーパーリーチγのスーパーリーチ演出が実行される変動パターンが最も特図変動時間が長く設定されている(スーパーリーチ演出が実行されるスーパーリーチ変動パターンの特図変動時間:スーパーリーチγ>スーパーリーチβ>スーパーリーチα)。
【0111】
尚、本実施例では、前述したようにスーパーリーチγ、スーパーリーチβ、スーパーリーチα、ノーマルリーチγ、ノーマルリーチβ、ノーマルリーチαの順に変動表示結果が「大当り」となる大当り期待度が高くなるように設定されているため、ノーマルリーチ変動パターン及びスーパーリーチ変動パターンにおいては変動時間が長いほど大当り期待度が高くなっている。
【0112】
図7は、本実施例における変動パターン種別を示している。
図6に示す各変動パターンは、
図7に示す複数の変動パターン種別のうち、少なくとも1つの変動パターン種別に含まれている。すなわち、各変動パターン種別は、例えば演出図柄の変動表示中に実行される演出動作の態様などに基づいて分類(グループ化)された単一または複数の変動パターンを含むように構成されていればよい。
【0113】
一例として、複数の変動パターンをリーチ演出の種類(演出態様)で分類(グループ化)して、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態とならない変動パターンが含まれる変動パターン種別と、ノーマルリーチ(ノーマルリーチα、ノーマルリーチβまたはノーマルリーチγ)を伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別と、スーパーリーチ(スーパーリーチα、スーパーリーチβまたはスーパーリーチγ)を伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別とに分ければよい。また、スーパーリーチを伴う変動パターンについては、リーチ演出の内容(例えばスーパーリーチαであるかスーパーリーチβであるかスーパーリーチγであるか)に応じて、異なる変動パターン種別に分類されるようにしてもよい。あるいは、所定の変動表示演出が実行されるか否かなどに応じて、異なる変動パターン種別に分類されるようにしてもよい。他の一例として、複数の変動パターンを演出図柄の変動表示時間などに応じて、分類(グループ化)してもよい。複数の変動パターン種別のうちには、共通の変動パターンを含んで構成されたものがあってもよい。
【0114】
図7に示すように、各変動パターン種別には、変動表示態様や変動表示の内容に応じて、1つまたは複数の変動パターンが分類される。
図6に示す変動パターンの具体的な分類については、例えば
図12に示すように設定された変動パターン決定テーブル134から特定することができる。すなわち、変動パターン決定テーブル134において、各変動パターン種別に応じて決定値が割り当てられた変動パターンは、その変動パターン種別に含まれるように分類されている。
【0115】
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ156が備えるROM54には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種の選択用データ、テーブルデータなどが格納されている。例えば、ROM54には、CPU56が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、設定テーブルなどを構成するデータが記憶されている。また、ROM54には、CPU56が主基板31から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するテーブルデータや、
図6に示すような変動パターンを複数種類格納する変動パターンテーブルを構成するテーブルデータなどが、記憶されている。
【0116】
図8は、ROM54に記憶される特図表示結果決定テーブルの構成例を示している。本実施例では、特図表示結果決定テーブルとして、
図8(A)に示す第1特図表示結果決定テーブル130Aと、
図8(B)に示す第2特図表示結果決定テーブル130Bとが、予め用意されている。第1特図表示結果決定テーブル130Aは、第1特別図柄表示器8aによる第1特図を用いた特図ゲームにおいて変動表示結果となる確定特別図柄が導出表示される以前に、その変動表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かや、変動表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御するか否かを、特図表示結果決定用の乱数値MR1に基づいて決定するために参照されるテーブルである。第2特図表示結果決定テーブル130Bは、第2特別図柄表示器8bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて変動表示結果となる確定特別図柄が導出表示される以前に、その変動表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かや、変動表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御するか否かを、特図表示結果決定用の乱数値MR1に基づいて決定するために参照されるテーブルである。
【0117】
第1特図表示結果決定テーブル130Aでは、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常状態または時短状態(低確状態)であるか、確変状態(高確状態)であるかに応じて、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される数値(決定値)が、「大当り」や「小当り」、「ハズレ」の特図表示結果に割り当てられている。第2特図表示結果決定テーブル130Bでは、遊技状態が通常状態または時短状態(低確状態)であるか、確変状態(高確状態)であるかに応じて、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される数値(決定値)が、「大当り」や「ハズレ」の特図表示結果に割り当てられている。
【0118】
第1特図表示結果決定テーブル130Aや第2特図表示結果決定テーブル130Bにおいて、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される決定値を示すテーブルデータは、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定結果に割り当てられる決定用データとなっている。第1特図表示結果決定テーブル130Aと第2特図表示結果決定テーブル130Bのそれぞれでは、遊技状態が確変状態(高確状態)であるときに、通常状態または時短状態(低確状態)であるときよりも多くの決定値が、「大当り」の特図表示結果に割り当てられている。これにより、パチンコ遊技機1において確変制御が行われる確変状態(高確状態)では、通常状態または時短状態(低確状態)であるときに比べて、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定される確率が高くなる。すなわち、第1特図表示結果決定テーブル130Aと第2特図表示結果決定テーブル130Bのそれぞれでは、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態であるときに、通常状態や時短状態であるときに比べて大当り遊技状態に制御すると決定される確率が高くなるように、決定用データが大当り遊技状態に制御するか否かの決定結果に割り当てられている。
【0119】
第1特図表示結果決定テーブル130Aの設定例では、所定範囲の決定値(「30000」〜「30350」の範囲の値)が「小当り」の特図表示結果に割り当てられている。その一方で、第2特図表示結果決定テーブル130Bの設定例では、「小当り」の特図表示結果に決定値が割り当てられていない。このような設定により、第1特別図柄表示器8aによる第1特図を用いた特図ゲームを開始するための第1開始条件が成立したことに基づいて変動表示結果の判定を行う場合と、第2特別図柄表示器8bによる第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立したことに基づいて変動表示結果の判定を行う場合とで、特図表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御すると決定される割合を、異ならせることができる。
【0120】
特に、第2特図を用いた特図ゲームでは特図表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御すると決定されることがないので、例えば時短状態(低確高ベース状態)や確変状態(高確高ベース状態)といった、第2始動口15bが形成する第2始動入賞口に遊技球が進入しやすい遊技状態において、賞球を得ることが困難な小当り遊技状態の頻発を回避して、遊技の間延びによる遊技興趣の低下を防止できる。尚、第2特図表示結果決定テーブル130Bにおいても、第1特図表示結果決定テーブル130Aにおける設定とは異なる所定範囲の決定値が、「小当り」の特図表示結果に割り当てられるようにしてもよい。例えば、第2特図表示結果決定テーブル130Bでは、第1特図表示結果決定テーブル130Aに比べて少ない決定値が、「小当り」の特図表示結果に割り当てられてもよい。こうして、時短状態や確変状態といった高ベース状態であるときには、通常状態や時短なし確変状態といった低ベース状態であるときよりも、小当り遊技状態に制御すると決定される割合が低くなるようにしてもよい。あるいは、第1開始条件と第2開始条件のいずれが成立したかにかかわらず、共通の特図表示結果決定テーブルを参照して、特図表示結果の決定を行うようにしてもよい。
【0121】
図9は、ROM54に記憶される大当り種別決定テーブル131の構成例を示している。大当り種別決定テーブル131は、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定されたときに、大当り種別決定用の乱数値MR2に基づき、大当り種別を複数種類のいずれかに決定するために参照されるテーブルである。大当り種別決定テーブル131では、特図ゲームにおいて変動表示(変動)が行われた特別図柄が第1特図(第1特別図柄表示器8aによる特図ゲーム)であるか第2特図(第2特別図柄表示器8bによる特図ゲーム)であるかに応じて、大当り種別決定用の乱数値MR2と比較される数値(決定値)が、「非確変」や「確変」、「突確」といった複数種類の大当り種別に割り当てられている。
【0122】
大当り種別決定テーブル131の設定例では、変動特図が第1特図であるか第2特図であるかに応じて、「突確」の大当り種別に対する決定値の割当てが異なっている。すなわち、変動特図が第1特図である場合には、所定範囲の決定値(「82」〜「99」の範囲の値)が「突確」の大当り種別に割り当てられる一方で、変動特図が第2特図である場合には、「突確」の大当り種別に対して決定値が割り当てられていない。このような設定により、第1特別図柄表示器8aによる第1特図を用いた特図ゲームを開始するための第1開始条件が成立したことに基づいて大当り種別を複数種類のいずれかに決定する場合と、第2特別図柄表示器8bによる第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立したことに基づいて大当り種別を複数種類のいずれかに決定する場合とで、大当り種別を「突確」に決定する割合を、異ならせることができる。特に、第2特図を用いた特図ゲームでは大当り種別を「突確」として短期開放大当り状態に制御すると決定されることがないので、例えば時短制御に伴う高開放制御により、第2始動口15bが形成する第2始動入賞口に遊技球が進入しやすい遊技状態において、賞球を得ることが困難な短期開放大当り状態の頻発を回避して、遊技の間延びによる遊技興趣の低下を防止できる。
【0123】
尚、変動特図が第2特図である場合にも、変動特図が第1特図である場合とは異なる所定範囲の決定値が、「突確」の大当り種別に割り当てられるようにしてもよい。例えば、変動特図が第2特図である場合には、変動特図が第1特図である場合に比べて少ない決定値が、「突確」の大当り種別に割り当てられてもよい。あるいは、変動特図が第1特図であるか第2特図であるかにかかわらず、共通のテーブルデータを参照して、大当り種別の決定を行うようにしてもよい。
【0124】
図10及び
図11は、ROM54に記憶される変動パターン種別決定テーブルの構成例を示している。本実施例では、変動パターン種別決定テーブルとして、
図10(A)に示す大当り変動パターン種別決定テーブル132Aと、
図10(B)に示す小当り変動パターン種別決定テーブル132Bと、
図11(A)に示すハズレ変動パターン種別決定テーブル(通常時)133Aと、
図11(B)に示すハズレ変動パターン種別決定テーブル(時短制御中)133Bとが、予め用意されている。
【0125】
大当り変動パターン種別決定テーブル132Aは、特図表示結果を「大当り」にすると決定(事前決定)されたときに、大当り種別の決定結果に応じて、変動パターン種別を、変動パターン種別決定用の乱数値MR3に基づいて、複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。大当り変動パターン種別決定テーブル132Aでは、大当り種別の決定結果が「非確変」や「確変」、「突確」のいずれであるかに応じて、変動パターン種別決定用の乱数値MR3と比較される数値(決定値)が、変動パターン種別CA3−1〜変動パターン種別CA3−2、変動パターン種別CA4−1及び変動パターン種別CA4−2のいずれかに割り当てられている。
【0126】
大当り変動パターン種別決定テーブル132Aでは、大当り種別が複数種類のいずれに決定されたかに応じて、各変動パターン種別に決定される割合が異なるように、決定値が各変動パターン種別に割り当てられている部分がある。例えば、大当り種別が「非確変」であるか「確変」であるかに応じて、変動パターン種別CA3−1〜変動パターン種別CA3−2に対する決定値の割当てが異なっている。これにより、大当り種別を複数種類のいずれにするかの決定結果に応じて、同一の変動パターン種別に決定される割合を異ならせることができる。
【0127】
また、大当り変動パターン種別決定テーブル132Aでは、大当り種別が複数種類のいずれに決定されたかに応じて、異なる変動パターン種別に決定値が割り当てられている部分がある。例えば、大当り種別が「非確変」又は「確変」である場合には、変動パターン種別CA3−1〜変動パターン種別CA3−2に対して決定値が割り当てられている一方で、変動パターン種別CA4−1及び変動パターン種別CA4−2に対しては決定値が割り当てられていない。これに対して、大当り種別が「突確」である場合には、変動パターン種別CA4−1及び変動パターン種別CA4−2に対して決定値が割り当てられている一方で、変動パターン種別CA3−1〜変動パターン種別CA3−2に対しては決定値が割り当てられていない。これにより、特図表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」に応じて短期開放大当り状態に制御される場合には、通常開放大当り状態に制御される場合とは異なる変動パターン種別に決定することができる。
【0128】
尚、大当り種別が「非確変」や「確変」、「突確」のいずれかに決定された場合に、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常状態や確変状態、時短状態のいずれであるかに応じて、各変動パターン種別に対する決定値の割当てを異ならせるようにしてもよい。これにより、遊技状態が複数種類のいずれであるかに応じて、同一の変動パターン種別に決定される割合を異ならせることができる。また、大当り種別が「非確変」や「確変」、「突確」のいずれかに決定された場合に、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常状態や確変状態、時短状態のいずれであるかに応じて、異なる変動パターン種別に決定値が割り当てられるようにしてもよい。これにより、遊技状態が複数種類のいずれであるかに応じて、異なる変動パターン種別に決定することができる。
【0129】
ハズレ変動パターン種別決定テーブル(通常時)133Aと、ハズレ変動パターン種別決定テーブル(時短制御中)133Bは、特図表示結果を「ハズレ」にすると決定(事前決定)されたときに、変動パターン種別を、変動パターン種別決定用の乱数値MR3に基づいて、複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。ここで、ハズレ変動パターン種別決定テーブル(通常時)133Aは、例えば遊技状態が通常状態であるときに使用テーブルとして選択される。これに対して、ハズレ変動パターン種別決定テーブル(時短制御中)133Bは、例えば遊技状態が確変状態や時短状態であるときに、時短制御が行われていることに対応する使用テーブルとして選択される。
【0130】
ハズレ変動パターン種別決定テーブル(通常時)133Aとハズレ変動パターン種別決定テーブル(時短制御中)133Bとでは、互いに各変動パターン種別に決定される割合が異なるように、決定値が各変動パターン種別に割り当てられている部分がある。これにより、遊技状態が通常状態であるか確変状態や時短状態において時短制御中であるかに応じて、同一の変動パターン種別に決定される割合を異ならせることができる。ハズレ変動パターン種別決定テーブル(通常時)133Aとハズレ変動パターン種別決定テーブル(時短制御中)133Bとでは、異なる変動パターン種別に決定値が割り当てられている部分がある。これにより、遊技状態が通常状態であるか確変状態や時短状態において時短制御中であるかに応じて、異なる変動パターン種別に決定することができる。
【0131】
図12は、ROM54に記憶される変動パターン決定テーブル134の構成例を示している。変動パターン決定テーブル134は、変動パターン種別の決定結果に応じて、変動パターン決定用の乱数値MR4に基づき、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。変動パターン決定テーブル134では、変動パターン種別に応じて、変動パターン決定用の乱数値MR4と比較される数値(決定値)が、単一または複数の変動パターンに割り当てられている。
【0132】
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ156が備えるRAM55は、その一部または全部が所定の電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであればよい。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特図プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存されるようにすればよい。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。
【0133】
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ156が備えるI/O57は、遊技制御用マイクロコンピュータ156に伝送された各種信号を取り込むための入力ポートと、遊技制御用マイクロコンピュータ156の外部へと各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成されている。
【0134】
図2に示すように、演出制御基板80には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU86と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM84と、演出制御用CPU86のワークエリアを提供するRAM55と、演出制御用CPU86とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路と、I/O87とが搭載されている。
【0135】
一例として、演出制御基板80では、演出制御用CPU86がROM84から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、演出制御用CPU86がROM84から固定データを読み出す固定データ読出動作や、演出制御用CPU86がRAM55に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、演出制御用CPU86がRAM55に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、演出制御用CPU86がI/O87を介して演出制御基板80の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、演出制御用CPU86がI/O87を介して演出制御基板80の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
【0136】
演出制御用CPU86、ROM84、RAM55は、演出制御基板80に搭載された1チップの演出制御用マイクロコンピュータに含まれてもよい。
【0137】
図2に示す演出制御基板80に搭載されたROM84には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM84には、演出制御用CPU86が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。
【0138】
一例として、ROM84には、演出制御用CPU86が各種の演出装置(例えば演出表示装置9やスピーカ27L,27R,27a,27b、遊技効果ランプ及び装飾用LED、演出用模型など)による演出動作を制御するために使用する演出制御パターンを複数種類格納した演出制御パターンテーブルが記憶されている。演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。演出制御パターンテーブルには、例えば特図変動時演出制御パターンと、予告演出制御パターンと、各種演出制御パターン等が、格納されていればよい。
【0139】
特図変動時演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、特図ゲームにおいて特別図柄の変動が開始されてから特図表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるまでの期間における、演出図柄の変動表示動作やリーチ演出、再抽選演出などにおける演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出表示動作といった、様々な演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。予告演出制御パターンは、例えば、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。
【0140】
特図変動時演出制御パターンのうちには、例えばリーチ演出を実行する変動パターンごとに、それぞれのリーチ演出における演出態様を異ならせた複数種類のリーチ演出制御パターンが含まれてもよい。
【0141】
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作を説明する。
【0142】
主基板31では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ156が起動し、CPU56によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU56は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM55がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU56へ送出され、CPU56は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。尚、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
【0143】
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU56は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、
図13のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。
図13に示す遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU56は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、入力回路58を介してゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23といった各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する(ステップS11)。続いて、所定のメイン側エラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする(ステップS12)。この後、所定の情報出力処理を実行することにより、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する(ステップS13)。
【0144】
情報出力処理に続いて、主基板31の側で用いられる乱数値MR1〜MR5といった遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する(ステップS14)。この後、CPU56は、特別図柄プロセス処理を実行する(ステップS15)。特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置20における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
【0145】
特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄プロセス処理が実行される(ステップS16)。CPU56は、普通図柄プロセス処理を実行することにより、普通図柄表示器10における表示動作(例えばセグメントLEDの点灯、消灯など)を制御して、普通図柄の変動表示や第2始動口15bにおける可動翼片の傾動動作設定などを可能にする。
【0146】
普通図柄プロセス処理を実行した後、CPU56は、コマンド制御処理を実行することにより、主基板31から演出制御基板80などのサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる(ステップS17)。一例として、コマンド制御処理では、遊技制御バッファ設定部に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/O57に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板80に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすることなどにより、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能にする。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
【0147】
図14は、特別図柄プロセス処理として、
図13に示すステップS15にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU56は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS101)。該始動入賞判定処理を実行した後、CPU56は、遊技制御フラグ設定部に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、ステップS110〜S120の処理のいずれかを選択して実行する。
【0148】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定する。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示結果に対応して、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄や小当り図柄、ハズレ図柄のいずれか)が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0149】
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、変動表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かの事前決定結果などに基づき、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データを用いて変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定する処理や、変動パターン種別の決定結果に基づき、変動パターン決定用の乱数値MR4を示す数値データを用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。変動パターン設定処理が実行されて特別図柄の変動表示が開始されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0150】
ステップS110の特別図柄通常処理やステップS111の変動パターン設定処理により、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄や特別図柄および演出図柄の変動表示時間を含む変動パターンが決定される。すなわち、特別図柄通常処理や変動パターン設定処理は、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3、変動パターン決定用の乱数値MR4を用いて、特別図柄や演出図柄の変動表示態様を決定する処理を含んでいる。
【0151】
ステップS112の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理などが含まれている。例えば、ステップS112の特別図柄変動処理が実行されるごとに、遊技制御タイマ設定部に設けられた特図変動タイマにおける格納値である特図変動タイマ値を1減算あるいは1加算して、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームであるか、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームであるかにかかわらず、共通のタイマによって経過時間の測定が行われる。また、計測された経過時間が変動パターンに対応する特図変動時間に達したか否かの判定も行われる。このように、ステップS112の特別図柄変動処理は、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームでの特別図柄の変動や、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームでの特別図柄の変動を、共通の処理ルーチンによって制御する処理となっていればよい。そして、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0152】
ステップS113の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bにて特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部152に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われ、大当りフラグがオンである場合には特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。その一方で、大当りフラグがオフであり、小当りフラグがオンである場合には、特図プロセスフラグの値が“8”に更新される。また、大当りフラグと小当りフラグがともにオフである場合には、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0153】
ステップS114の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大当り開放前処理には、変動表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。このときには、例えば大当り種別が「非確変」、「確変」、「突確」のいずれであるかに対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を設定するようにしてもよい。一例として、大当り種別が「非確変」または「確変」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、通常開放大当り状態とする設定が行われればよい。一方、大当り種別が「突確」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「0.1秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、短期開放大当り状態とする設定が行われればよい。このときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
【0154】
ステップS115の大当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この大当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間やカウントスイッチ23によって検出された遊技球の個数などに基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。そして、大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、大入賞口扉用のソレノイド82に対するソレノイド駆動信号の供給を停止させる処理などを実行した後、特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
【0155】
ステップS116の大当り開放後処理は、特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大当り開放後処理には、大入賞口を開放状態とするラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達したか否かを判定する処理や、大入賞口開放回数最大値に達した場合に大当り終了指定コマンドを送信するための設定を行う処理などが含まれている。そして、ラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達していないときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される一方、大入賞口開放回数最大値に達したときには、特図プロセスフラグの値が“7”に更新される。
【0156】
ステップS117の大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この大当り終了処理には、演出表示装置9やスピーカ27遊技効果ランプなどといった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、大当り遊技状態の終了に対応して確変制御や時短制御を開始するための各種の設定を行う処理などが含まれている。こうした設定が行われたときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0157】
尚、大当り終了処理においては、遊技制御バッファ設定部に記憶されている大当り種別バッファ値を読み出して、大当り種別が「非確変」、「確変」、「突確」のいずれであったかを特定する。そして、特定した大当り種別が「非確変」ではないと判定された場合には、確変制御を開始するための設定(確変フラグのセット)を行う。
【0158】
また、特定した大当り種別が「非確変」である場合には、時短制御を開始するための設定(時短フラグのセットと時短制御中に実行可能な特図ゲームの上限値に対応して予め定められたカウント初期値(例えば「100」)を時短回数カウンタにセット)を行う。
【0159】
ステップS118の小当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“8”のときに実行される。この小当り開放前処理には、変動表示結果が「小当り」となったことに基づき、小当り遊技状態において大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。一例として、変動表示結果が「小当り」となったときには、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となったときと同様に、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「0.1秒」に設定するとともに、大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、小当り遊技状態とする設定が行われればよい。このときには、特図プロセスフラグの値が“9”に更新される。
【0160】
ステップS119の小当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“9”のときに実行される。この小当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間などに基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、大入賞口扉用のソレノイド21に対する駆動信号の供給を停止させる処理などが実行されればよい。
【0161】
ステップS120の小当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“10”のときに実行される。この小当り終了処理には、演出表示装置9やスピーカ27、遊技効果ランプなどといった演出装置により、小当り遊技状態の終了を報知する演出動作が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理などが含まれている。ここで、小当り遊技状態が終了するときには、確変フラグや時短フラグの状態を変更しないようにして、小当り遊技状態となる以前のパチンコ遊技機1における遊技状態を継続させる。小当り遊技状態の終了時における待ち時間が経過したときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0162】
図15は、特別図柄通常処理として、
図14のステップS110にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図15に示す特別図柄通常処理において、CPU56は、まず、第2特図保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(ステップS231)。第2特図保留記憶数は、第2特別図柄表示器8bによる第2特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である。例えば、ステップS231の処理では、遊技制御カウンタ設定部154に記憶されている第2保留記憶数カウント値を読み出し、その読出値が「0」であるか否かを判定すればよい。
【0163】
ステップS231にて第2特図保留記憶数が「0」以外であるときには(ステップS231;No)、第2特図保留記憶部にて保留番号「1」に対応して記憶されている保留データとして、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データをそれぞれ読み出す(ステップS232)。このとき読み出された数値データは、例えば変動用乱数バッファなどに格納されて、一時記憶されればよい。
【0164】
ステップS232の処理に続いて、例えば第2保留記憶数カウント値を1減算して更新することなどにより、第2特図保留記憶数を1減算させるように更新するとともに、第2特図保留記憶部にて保留番号「1」より下位のエントリ(例えば保留番号「2」〜「4」に対応するエントリ)に記憶された乱数値MR1〜MR3を示す保留データを、1エントリずつ上位にシフトする(ステップS233)。また、ステップS233の処理では、遊技制御カウンタ設定部にて合計保留記憶数カウンタが記憶する合計保留記憶数カウント値を1減算するように更新してもよい。このときには、変動特図指定バッファの格納値である変動特図指定バッファ値を「2」に更新する(ステップS234)。
【0165】
ステップS231にて第2特図保留記憶数が「0」であるときには(ステップS231;Yes)、第1特図保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(ステップS235)。第1特図保留記憶数は、第1特別図柄表示器8aによる第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である。例えば、ステップS235の処理では、遊技制御カウンタ設定部にて第1保留記憶数カウンタが記憶する第1保留記憶数カウント値を読み出し、その読出値が「0」であるか否かを判定すればよい。このように、ステップS235の処理は、ステップS231にて第2特図保留記憶数が「0」であると判定されたときに実行されて、第1特図保留記憶数が「0」であるか否かを判定する。これにより、第2特図を用いた特図ゲームは、第1特図を用いた特図ゲームよりも優先して実行が開始されることになる。
【0166】
尚、第2特図を用いた特図ゲームが第1特図を用いた特図ゲームよりも優先して実行されるものに限定されず、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口を遊技球が進入(通過)して始動入賞が発生した順に、特図ゲームの実行が開始されるようにしてもよい。この場合には、始動入賞が発生した順番を特定可能なデータを記憶するテーブルを設けて、その記憶データから第1特図と第2特図のいずれを用いた特図ゲームの実行を開始するかが決定できればよい。
【0167】
ステップS235にて第1特図保留記憶数が「0」以外であるときには(ステップS235;No)、第1特図保留記憶部にて保留番号「1」に対応して記憶されている保留データとして、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データをそれぞれ読み出す(ステップS236)。このとき読み出された数値データは、例えば変動用乱数バッファなどに格納されて、一時記憶されればよい。
【0168】
ステップS236の処理に続いて、例えば第1保留記憶数カウント値を1減算して更新することなどにより、第1特図保留記憶数を1減算させるように更新するとともに、第1特図保留記憶部にて保留番号「1」より下位のエントリ(例えば保留番号「2」〜「4」に対応するエントリ)に記憶された乱数値MR1〜MR3を示す保留データを、1エントリずつ上位にシフトする(ステップS237)。また、ステップS237の処理では、遊技制御カウンタ設定部154にて合計保留記憶数カウンタが記憶する合計保留記憶数カウント値を1減算するように更新してもよい。このときには、変動特図指定バッファ値を「1」に更新する(ステップS238)。
【0169】
ステップS234,S238の処理のいずれかを実行した後には、特別図柄の変動表示結果である特図表示結果を「大当り」と「ハズレ」のいずれとするかを決定するための使用テーブルとして、変動特図指定バッファ値に対応する特図表示結果決定テーブルを選択してセットする(ステップS239)。例えば、変動特図指定バッファ値が「1」である場合には第1特図表示結果決定テーブル130Aを使用テーブルにセットする。一方、変動特図指定バッファ値が「2」である場合には第2特図表示結果決定テーブル130Bを使用テーブルにセットする。続いて、変動用乱数バッファに格納された特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データを、「大当り」や「小当り」、「ハズレ」の各特図表示結果に割り当てられた決定値と比較して、特図表示結果を「大当り」と「小当り」と「ハズレ」のいずれとするかを決定する(ステップS240)。
【0170】
ステップS239では現在の遊技状態に対応した特図表示結果決定用テーブルデータが選択されていることから、ステップS240の処理では、特図ゲームなどの変動表示が開始されるときの遊技状態が確変状態であるか否かに応じて、異なる決定用データを用いて特図表示結果を「大当り」とするか否かが決定される。例えば、特図ゲームなどの変動表示が開始されるときの遊技状態が通常状態又は時短状態であるときには、第1特図表示結果決定テーブル130Aや第2特図表示結果決定テーブル130Bにおいて遊技状態が通常状態又は時短状態の場合に対応するテーブルデータが、通常決定用データとして選択され、これを参照して乱数値MR1に対応する特図表示結果を決定する。これに対して、特図ゲームなどの変動表示が開始されるときの遊技状態が確変状態であるときには、第1特図表示結果決定テーブル130Aや第2特図表示結果決定テーブル130Bにおいて遊技状態が確変状態の場合に対応するテーブルデータが、特別決定用データとして選択され、これを参照して乱数値MR1に対応する特図表示結果を決定する。
【0171】
ステップS240にて特図表示結果を決定した後には、その特図表示結果が「大当り」であるか否かを判定する(ステップS241)。そして、「大当り」であると判定された場合には(ステップS241;Yes)、遊技制御フラグ設定部152に設けられた大当りフラグをオン状態にセットする(ステップS242)。このときには、大当り種別を複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとして、大当り種別決定テーブル131を選択してセットする(ステップS243)。こうしてセットされた大当り種別決定テーブル131を参照することにより、変動用乱数バッファに格納された大当り種別決定用の乱数値MR2を示す数値データを、「非確変」、「確変」、「突確」の各大当り種別に割り当てられた決定値のいずれと合致するかに応じて、大当り種別を複数種別のいずれとするかを決定する(ステップS244)。
【0172】
ステップS244の処理にて大当り種別を決定することにより、大当り遊技状態の終了後における遊技状態を、時短状態と、時短状態よりも遊技者にとって有利度が高い確変状態とのうち、いずれの遊技状態に制御するかが、変動表示結果としての確定特別図柄が導出される以前に決定されることになる。こうして決定された大当り種別に対応して、例えば遊技制御バッファ設定部に設けられた大当り種別バッファの格納値である大当り種別バッファ値を設定することなどにより(ステップS245)、決定された大当り種別を記憶させる。一例として、大当り種別が「非確変」であれば大当り種別バッファ値を「0」とし、「確変」であれば「1」とし、「突確」であれば「2」とすればよい。
【0173】
ステップS241にて「大当り」ではないと判定された場合には(ステップS241;No)、その特図表示結果が「小当り」であるか否かを判定する(ステップS246)。そして、「小当り」であると判定されたときには(ステップS246;Yes)、遊技制御フラグ設定部152に設けられた小当りフラグをオン状態にセットする(ステップS247)。
【0174】
ステップS246にて「小当り」ではないと判定された場合や(ステップS246;No)、ステップS245、S247の処理のいずれかを実行した後には、大当り遊技状態や小当り遊技状態に制御するか否かの事前決定結果、さらには、大当り遊技状態とする場合における大当り種別の決定結果に対応して、確定特別図柄を設定する(ステップS248)。一例として、ステップS246にて特図表示結果が「小当り」ではないと判定された場合には、特図表示結果を「ハズレ」とする旨の事前決定結果に対応して、ハズレ図柄となる「−」の記号を示す特別図柄を、確定特別図柄に設定する。その一方で、ステップS246にて特図表示結果が「小当り」であると判定された場合には、特図表示結果を「小当り」とする旨の事前決定結果に対応して、小当り図柄となる「2」の数字を示す特別図柄を、確定特別図柄に設定する。また、ステップS241にて特図表示結果が「大当り」であると判定された場合には、ステップS244における大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄となる「3」、「5」、「7」の数字を示す特別図柄のいずれかを、確定特別図柄に設定する。すなわち、大当り種別を「非確変」とする決定結果に応じて、通常開放ラウンド大当り図柄のうち通常大当り図柄となる「3」の数字を示す特別図柄を、確定特別図柄に設定する。また、大当り種別を「確変」とする決定結果に応じて、通常開放ラウンド大当り図柄のうち確変大当り図柄となる「7」の数字を示す特別図柄を、確定特別図柄に設定する。大当り種別を「突確」とする決定結果に応じて、短期開放大当り図柄となる「5」の数字を示す特別図柄を、確定特別図柄に設定する。
【0175】
ステップS248にて確定特別図柄を設定した後には、特図プロセスフラグの値を変動パターン設定処理に対応した値である“1”に更新してから(ステップS249)、特別図柄通常処理を終了する。ステップS235にて第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数が「0」である場合には(ステップS235;Yes)、所定のデモ表示設定を行ってから(ステップS250)、特別図柄通常処理を終了する。このデモ表示設定では、例えば演出表示装置9において所定の演出画像を表示することなどによるデモンストレーション表示(デモ画面表示)を指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)が、主基板31から演出制御基板80に対して送信済みであるか否かを判定する。このとき、送信済みであれば、そのままデモ表示設定を終了する。これに対して、未送信であれば、客待ちデモ指定コマンドを送信するための設定を行ってから、デモ表示設定を終了する。
【0176】
図16は、変動パターン設定処理として、
図14のステップS111にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示す変動パターン設定処理において、CPU56は、まず、大当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS261)。そして、大当りフラグがオンであれば(ステップS261;Yes)、変動パターン種別を複数種別のいずれかに決定するための使用テーブルとして、大当り変動パターン種別決定テーブル132Aを選択してセットする(ステップS262)。
【0177】
ステップS261にて大当りフラグがオフであるときには(ステップS261;No)、小当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS264)。そして、小当りフラグがオンであれば(ステップS264;Yes)、変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとして、小当り変動パターン種別決定テーブル132Bを選択してセットする(ステップS265)。
【0178】
ステップS264にて小当りフラグがオフであるときには(ステップS264;No)、例えば遊技制御フラグ設定部に設けられた時短フラグがオンであるか否かを判定することなどにより、遊技状態が確変状態や時短状態で時短制御が行われる時短制御中であるか否かを判定する(ステップS266)。そして、時短制御中ではないときには(ステップS266;No)、変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとして、ハズレ変動パターン種別決定テーブル(通常時)133Aを選択してセットする(ステップS267)。ステップS266にて時短制御中である場合には(ステップS266;Yes)、ハズレ変動パターン種別決定テーブル(時短制御中)133Bを選択し、変動パターン種別を決定するための使用テーブルにセットする(ステップS268)。尚、ステップS267,S268の処理のいずれかを実行したときには、例えば遊技制御カウンタ設定部154に設けられた合計保留記憶数カウンタの格納値を読み取ることなどにより、合計保留記憶数を特定するとよい。
【0179】
ステップS262,S265,S267,S268の処理のいずれかを実行した後には、例えば変動用乱数バッファなどに格納されている変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データなどに基づき、使用テーブルにセットされた変動パターン種別決定テーブルを参照することにより、変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定する(ステップS269)。ここで、ステップS269の処理では、第1始動条件が成立したことに基づき第1特別図柄表示器8aにより第1特図を用いて実行される特図ゲームに対応した演出図柄の変動パターン種別を決定するか、第2始動条件が成立したことに基づき第2特別図柄表示器8bにより第2特図を用いて実行される特図ゲームに対応した演出図柄の変動パターン種別を決定するかにかかわらず、共通のランダムカウンタなどによって更新される変動パターン種別決定用となる共通の乱数値MR3を示す数値データを用いて、共通の処理モジュールにより変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定することができる。
【0180】
大当りフラグがオンであるときには、大当り変動パターン種別決定テーブル132Aを構成するテーブルデータのうちから、大当り種別に応じたテーブルデータを選択し、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データに対応する決定値が割り当てられた変動パターン種別を決定できればよい。こうして、CPU56は、特図表示結果を「大当り」にする決定結果に対応して予め複数用意された変動パターン種別のうちから、いずれかの変動パターン種別に決定できればよい。
【0181】
小当りフラグがオンであるときには、小当り変動パターン種別決定テーブル132Bを参照し、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データに対応する決定値が割り当てられた変動パターン種別を決定できればよい。こうして、CPU56は、特図表示結果を「小当り」にする決定結果に対応して予め用意された変動パターン種別に決定できればよい。
【0182】
大当りフラグと小当りフラグがともにオフであるときには、ステップS269の処理にて変動パターン種別を決定することにより、演出図柄の変動表示態様を「リーチ」とするか否かが決定される。すなわち、ステップS269の処理には、変動表示結果が「ハズレ」となる場合に、演出図柄の変動表示状態をリーチ状態とするか否かを決定する処理が含まれている。
【0183】
ステップS269にて変動パターン種別を決定した後には、変動パターン決定テーブル134を選択し、変動パターンを複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとしてセットする(ステップS270)。続いて、変動パターン決定用の乱数値MR4を示す数値データに基づき、ステップS270にてセットした変動パターン決定テーブル134を参照することにより、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する(ステップS271)。
【0184】
変動パターン決定用の乱数値MR4を示す数値データは、ステップS271の処理が実行されるときに乱数回路や遊技制御カウンタ設定部154のランダムカウンタなどから抽出されてもよいし、第1始動入賞口や第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が検出された始動入賞時に抽出されたものを、乱数値MR1〜MR3とともに、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における保留情報として記憶しておいてもよい。
【0185】
ステップS271の処理では、第1始動条件が成立したことに基づき第1特別図柄表示器8aにより第1特図を用いて実行される特図ゲームに対応した演出図柄の変動パターンを決定するか、第2始動条件が成立したことに基づき第2特別図柄表示器8bにより第2特図を用いて実行される特図ゲームに対応した演出図柄の変動パターンを決定するかにかかわらず、共通のランダムカウンタなどによって更新される変動パターン決定用となる共通の乱数値MR4を示す数値データを用いて、共通の処理モジュールにより変動パターンを複数種類のいずれかに決定することができる。また、ステップS271の処理では、ステップS269における変動パターン種別の決定結果にかかわらず、変動パターン決定用となる共通の乱数値MR4を示す数値データを用いて、共通の処理モジュールにより変動パターンを複数種類のいずれかに決定することができる。
【0186】
ステップS271にて変動パターンを決定した後には、その変動パターンの決定結果に応じた特別図柄の変動表示時間である特図変動時間を設定する(ステップS272)。特別図柄の変動表示時間となる特図変動時間は、特図ゲームにおいて特別図柄の変動を開始してから変動表示結果(特図表示結果)となる確定特別図柄が導出表示されるまでの所要時間である。
【0187】
ステップS272の処理を実行した後、変動特図指定バッファ値に応じて、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームのいずれかを開始させるように、特別図柄の変動を開始させるための設定を行う(ステップS273)。一例として、変動特図指定バッファ値が「1」であれば、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図の表示を更新させる駆動信号を送信するための設定を行う。一方、変動特図指定バッファ値が「2」であれば、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図の表示を更新させる駆動信号を送信するための設定を行う。
【0188】
ステップS273の処理に続いて、特別図柄の変動開始時用となる各種コマンドを送信するための設定を行う(ステップS274)。例えば、変動特図指定バッファ値が「1」である場合に、CPU56は、主基板31から演出制御基板80に対して遊技状態指定コマンド、第1変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、変動表示結果通知コマンド、第1保留記憶数通知コマンドを順次に送信するために、予め用意された第1変動開始用コマンドテーブルのROM54における記憶アドレス(先頭アドレス)を示す設定データを、遊技制御バッファ設定部155に設けられた送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタによって指定されたバッファ領域に格納する。他方、変動特図指定バッファ値が「2」である場合に、CPU56は、主基板31から演出制御基板80に対して遊技状態指定コマンド、第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、変動表示結果通知コマンド、第2保留記憶数通知コマンドを順次に送信するために、予め用意された第2変動開始用コマンドテーブルのROM54における記憶アドレスを示す設定データを、送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタによって指定されたバッファ領域に格納する。その後、特図プロセスフラグの値を特別図柄変動処理に対応した値である“2”に更新してから(ステップS275)、変動パターン設定処理を終了する。
【0189】
ステップS274でのコマンド送信設定に基づいて、変動パターン設定処理が終了してから
図13に示すステップS17のコマンド制御処理が実行されるごとに、主基板31から演出制御基板80に対して遊技状態指定コマンド、第1変動開始コマンドまたは第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、変動表示結果通知コマンド、第1保留記憶数通知コマンドまたは第2保留記憶数通知コマンドが、順次に送信されることになる。尚、これらの演出制御コマンドが送信される順番は任意に変更可能であり、例えば変動表示結果通知コマンドを最初に送信してから、第1変動開始コマンドまたは第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、第1保留記憶数通知コマンドまたは第2保留記憶数通知コマンドの順などで送信されるようにしてもよい。
【0190】
次に、演出制御基板80における動作を説明する。
【0191】
演出制御基板80では、電源基板等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU86が起動して、
図17のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。
図17に示す演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU86は、まず、所定の初期化処理を実行して(ステップS71)、RAM55のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板80に搭載されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等を行う。その後、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行う(ステップS72)。タイマ割込みフラグは、例えばCTCのレジスタ設定に基づき、所定時間(例えば2ミリ秒)が経過するごとにオン状態にセットされる。このとき、タイマ割込みフラグがオフであれば(ステップS72;No)、ステップS72の処理を繰り返し実行して待機する。
【0192】
また、演出制御基板80の側では、所定時間が経過するごとに発生するタイマ割込みとは別に、主基板31から演出制御コマンドを受信するための割込みが発生する。この割込みは、例えば主基板31からの演出制御INT信号がオン状態となることにより発生する割込みである。演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みが発生すると、演出制御用CPU86は、自動的に割込み禁止に設定するが、自動的に割込み禁止状態にならないCPUを用いている場合には、割込み禁止命令(DI命令)を発行することが望ましい。演出制御用CPU86は、演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みに対応して、例えば所定のコマンド受信割込み処理を実行する。このコマンド受信割込み処理では、I/O87に含まれる入力ポートのうちで、出力回路78を介して主基板31から送信された制御信号を受信する所定の入力ポートより、演出制御コマンドとなる制御信号を取り込む。このとき取り込まれた演出制御コマンドは、例えば演出制御バッファ設定部に設けられた演出制御コマンド受信用バッファに格納する。一例として、演出制御コマンドが2バイト構成である場合には、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)を順次に受信して演出制御コマンド受信用バッファに格納する。その後、演出制御用CPU86は、割込み許可に設定してから、コマンド受信割込み処理を終了する。
【0193】
ステップS72にてタイマ割込みフラグがオンである場合には(ステップS72;Yes)、タイマ割込みフラグをクリアしてオフ状態にするとともに(ステップS73)、コマンド解析処理を実行する(ステップS74)。ステップS74にて実行されるコマンド解析処理では、例えば主基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156から送信されて演出制御コマンド受信用バッファに格納されている各種の演出制御コマンドを読み出した後に、その読み出された演出制御コマンドに対応した設定や制御などが行われる。
【0194】
ステップS74にてコマンド解析処理を実行した後には、演出制御プロセス処理を実行する(ステップS75)。ステップS75の演出制御プロセス処理では、例えば演出表示装置9の表示領域における演出画像の表示動作、スピーカ27からの音声出力動作、遊技効果ランプ及び装飾用LEDといった装飾発光体における点灯動作、演出用模型における駆動動作といった、各種の演出装置を用いた演出動作の制御内容について、主基板31から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定などが行われる。
【0195】
ステップS75の演出制御プロセス処理に続いて、演出用乱数更新処理が実行され(ステップS76)、演出制御に用いる各種の乱数値として、演出制御カウンタ設定部のランダムカウンタによってカウントされる演出用乱数を示す数値データを、ソフトウェアにより更新する。尚、本実施例では、演出用乱数更新処理をタイマ割り込み毎に実施した形態を例示したが、例えば、ステップS72の前において演出用乱数更新処理を実行することで、タイマ割り込みが発生するまでの期間中においても、随時、演出用乱数更新処理を実行するようにしても良い。
【0196】
ステップS76にて演出用乱数更新処理を実行した後には、文字情報入力処理が実行される(ステップS77)。ステップS77の文字情報入力処理では、後述するリーチ演出中に出力される合成音声(読上用選手名)の基となる文字情報を、遊技者の入力操作により受け付ける処理が行われる。尚、この文字情報入力処理において受け付けた文字情報の音声を音声合成した合成済音声データが予め作成され、この合成済音声データが音データRAM174bに記憶される。
【0197】
ステップS77の文字情報入力処理に続いて、パチンコ遊技機1において遊技が所定時間行われていない(非遊技状態)ことを条件に遊技者によって入力された文字情報を初期化し、音データRAM174bに記憶された合成済音声データをクリアする設定初期化処理(ステップS78)が行われる。その後、ステップS72の処理に戻る。
【0198】
図18は、演出制御プロセス処理として、
図17のステップS75にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図18に示す演出制御プロセス処理において、演出制御用CPU86は、例えば演出制御フラグ設定部などに設けられた演出プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS170〜S177の処理のいずれかを選択して実行する。
【0199】
ステップS170の変動表示開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。この変動表示開始待ち処理は、主基板31からの第1変動開始コマンドあるいは第2変動開始コマンドなどを受信したか否かに基づき、始動入賞時受信コマンドバッファの第1特図保留記憶または第2特図保留記憶のバッファ番号「0」に格納されている受信コマンドに基づく演出表示装置9における演出図柄の変動表示を開始するか否かを判定する処理などを含んでいる。
【0200】
ステップS171の変動表示開始設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。この変動表示開始設定処理は、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bによる特図ゲームにおいて特別図柄の変動表示が開始されることに対応して、演出表示装置9における演出図柄の変動表示や、その他の各種演出動作を行うために、特別図柄の変動パターンや表示結果の種類などに応じた確定演出図柄や各種の演出制御パターンを決定する処理などを含んでいる。
【0201】
ステップS172の変動表示中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。この変動表示中演出処理において、演出制御用CPU86は、演出制御タイマ設定部に設けられた演出制御プロセスタイマにおけるタイマ値に対応して、演出制御パターンから各種の制御データを読み出し、演出図柄の変動表示中における各種の演出制御を行う。こうした演出制御を行った後、例えば特図変動時演出制御パターンから演出図柄の変動表示終了を示す終了コードが読み出されたこと、あるいは、主基板31から伝送される図柄確定コマンドを受信したことなどに対応して、演出図柄の変動表示結果となる最終停止図柄としての確定演出図柄を完全停止表示させる。特図変動時演出制御パターンから終了コードが読み出されたことに対応して確定演出図柄を完全停止表示させるようにすれば、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに対応する変動表示時間が経過したときに、主基板31からの演出制御コマンドによらなくても、演出制御基板80の側で自律的に確定演出図柄を導出表示して変動表示結果を確定させることができる。確定演出図柄を完全停止表示したときには、演出プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0202】
ステップS173の特図当り待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“3”のときに実行される処理である。この特図当り待ち処理において、演出制御用CPU86は、主基板31から伝送された当り開始指定コマンドの受信があったか否かを判定する。そして、当り開始指定コマンドを受信したきに、その当り開始指定コマンドが大当り遊技状態の開始を指定するものであれば、演出プロセスフラグの値を大当り中演出処理に対応した値である“6”に更新する。これに対して、当り開始指定コマンドを受信したときに、その当り開始指定コマンドが小当り遊技状態の開始を指定するものであれば、演出プロセスフラグの値を小当り中演出処理に対応した値である“4”に更新する。また、当り開始指定コマンドを受信せずに、演出制御プロセスタイマがタイムアウトしたときには、特図ゲームにおける特図表示結果が「ハズレ」であったと判断して、演出プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。
【0203】
ステップS174の小当り中演出処理は、演出制御プロセスフラグの値が“4”のときに実行される処理である。この小当り中演出処理において、演出制御用CPU86は、例えば小当り遊技状態における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出画像を演出表示装置9の表示画面に表示させることや、スピーカ27から音声や効果音を出力させること、遊技効果ランプや装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、小当り遊技状態における各種の演出制御を実行する。また、小当り中演出処理では、例えば主基板31からの当り終了指定コマンドを受信したことに対応して、演出プロセスフラグの値を小当り終了演出に対応した値である“5”に更新する。
【0204】
ステップS175の小当り終了演出処理は、演出制御プロセスフラグの値が“5”のときに実行される処理である。この小当り終了演出処理において、演出制御用CPU86は、例えば小当り遊技状態の終了などに対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出画像を演出表示装置9の表示画面に表示させることや、スピーカ27から音声や効果音を出力させること、遊技効果ランプや装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、小当り遊技状態の終了時における各種の演出制御を実行する。その後、演出プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。
【0205】
ステップS176の大当り中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“6”のときに実行される処理である。この大当り中演出処理において、演出制御用CPU86は、例えば大当り遊技状態における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出画像を演出表示装置9の表示画面に表示させることや、スピーカ27から音声や効果音を出力させること、遊技効果ランプや装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、大当り遊技状態における各種の演出制御を実行する。また、大当り中演出処理では、例えば主基板31からの当り終了指定コマンドを受信したことに対応して、演出制御プロセスフラグの値をエンディング演出処理に対応した値である“7”に更新する。
【0206】
ステップS177のエンディング演出処理は、演出プロセスフラグの値が“7”のときに実行される処理である。このエンディング演出処理において、演出制御用CPU86は、例えば大当り遊技状態の終了などに対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出画像を演出表示装置9の表示画面に表示させることや、スピーカ27から音声や効果音を出力させること、遊技効果ランプや装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、大当り遊技状態の終了時における各種の演出制御を実行する。その後、演出プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。
【0207】
図19は、変動表示開始設定処理として、
図18のステップS171にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示す変動表示開始設定処理において、演出制御用CPU86は、先ず、例えば主基板31から伝送された変動表示結果通知コマンドにおけるEXTデータを読み取ることなどにより、特図表示結果が「ハズレ」となるか否かを判定する(ステップS522)。特図表示結果が「ハズレ」となる旨の判定がなされたときには(ステップS522;Yes)、例えば主基板31から伝送された変動パターン指定コマンドにおけるEXTデータを読み取ることなどにより、指定された変動パターンが演出図柄の変動表示態様を「非リーチ」とする場合に対応した非リーチ変動パターンであるか否かを判定する(ステップS523)。
【0208】
ステップS523にて非リーチ変動パターンであると判定された場合には(ステップS523;Yes)、非リーチ組合せを構成する最終停止図柄となる確定演出図柄の組合せを決定する(ステップS524)。一例として、ステップS524の処理では、まず、演出制御カウンタ設定部に設けられたランダムカウンタ等により更新される左確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM84などに予め記憶された所定の左確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定演出図柄のうち演出表示装置9の表示領域における「左」の演出図柄表示エリアに停止表示される左確定演出図柄を決定する。次に、演出制御カウンタ設定部に設けられたランダムカウンタ等により更新される右確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM84などに予め記憶された所定の右確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定演出図柄のうち演出表示装置9の表示領域における「右」の演出図柄表示エリアに停止表示される右確定演出図柄を決定する。このときには、右確定図柄決定テーブルにおける設定などにより、右確定演出図柄の図柄番号が左確定演出図柄の図柄番号とは異なるように、決定されるとよい。続いて、演出制御カウンタ設定部に設けられたランダムカウンタ等により更新される中確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM84などに予め記憶された所定の中確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定演出図柄のうち演出表示装置9の表示領域における「中」の演出図柄表示エリアに停止表示される中確定演出図柄を決定する。尚、ステップS524の処理では、変動図柄予告を実行中である場合に対応して、所定のチャンス目図柄となる非リーチ組合せの確定演出図柄を決定すればよい。
【0209】
ステップS523にて非リーチ変動パターンではないと判定された場合には(ステップS523;No)、リーチ組合せを構成する最終停止図柄となる確定演出図柄の組合せを決定する(ステップS525)。一例として、ステップS525の処理では、まず、演出制御カウンタ設定部に設けられたランダムカウンタ等により更新される左右確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM84などに予め記憶された所定の左右確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定演出図柄のうち演出表示装置9の表示領域における「左」と「右」の演出図柄表示エリアにて揃って停止表示される図柄番号が同一の演出図柄を決定する。さらに、演出制御カウンタ設定部に設けられたランダムカウンタ等により更新される中確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM84などに予め記憶された所定の中確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定演出図柄のうち演出表示装置9の表示領域における「中」の演出図柄表示エリアにて停止表示される中確定演出図柄を決定する。ここで、例えば中確定演出図柄の図柄番号が左確定演出図柄及び右確定演出図柄の図柄番号と同一になる場合のように、確定演出図柄が大当り組合せとなってしまう場合には、任意の値(例えば「1」)を中確定演出図柄の図柄番号に加算または減算することなどにより、確定演出図柄が大当り組合せとはならずにリーチ組合せとなるようにすればよい。あるいは、中確定演出図柄を決定するときには、左確定演出図柄及び右確定演出図柄の図柄番号との差分(図柄差)を決定し、その図柄差に対応する中確定演出図柄を設定してもよい。
【0210】
ステップS522にて特図表示結果が「ハズレ」ではないと判定されたときには(ステップS522;No)、特図表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」である場合、または、特図表示結果が「小当り」である場合であるか、これら以外の場合であるかを判定する(ステップS526)。「突確」または「小当り」であると判定されたときには(ステップS526;Yes)、例えば開放チャンス目といった、「突確」の場合や「小当り」の場合に対応した最終停止図柄となる確定演出図柄の組合せを決定する(ステップS527)。一例として、変動パターン指定コマンドにより変動パターンPC1−1〜PC1−3のいずれかが指定された場合に対応して、複数種類の開放チャンス目のうち、いずれかを構成する最終停止図柄となる確定演出図柄の組合せを決定する。この場合には、演出制御カウンタ設定部に設けられたランダムカウンタ等により更新されるチャンス目決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM84などに予め記憶された所定のチャンス目決定テーブルを参照することなどにより、開放チャンス目のいずれかを構成する確定演出図柄の組合せを決定すればよい。また、変動パターン指定コマンドにより変動パターンPC1−4または変動パターンPC1−5のいずれかが指定された場合には、例えばステップS525と同様の処理を実行することにより、リーチ組合せを構成する最終停止図柄となる確定演出図柄の組合せを決定すればよい。
【0211】
ステップS526にて「突確」または「小当り」以外の「非確変」または「確変」であると判定されたときには(ステップS526;No)、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定演出図柄の組合せを決定する(ステップS528)。一例として、ステップS528の処理では、まず、演出制御カウンタ設定部のランダムカウンタなどにより更新される大当り確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、続いてROM84などに予め記憶された所定の大当り確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、演出表示装置9の画面上で「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアに揃って停止表示される図柄番号が同一の演出図柄を決定する。このときには、大当り種別が「非確変」、「確変」のいずれであるか等に応じて、異なる演出図柄を確定演出図柄とする決定が行われるようにしてもよい。
【0212】
具体的な一例として、大当り種別が「非確変」である場合には、複数種類の通常図柄のうちいずれか1つの演出図柄を選択して、非確変大当り組合せを構成する確定演出図柄に決定すればよい。また、大当り種別が「確変」である場合には、複数種類の通常図柄または確変図柄のうちからいずれか1つの演出図柄を選択して、非確変大当り組合せまたは確変大当り組合せを構成する確定演出図柄に決定すればよい。
【0213】
ステップS524,S525,S527,S528の処理のいずれかを実行した後には、変動中予告演出の実行の有無と、実行する場合における変動中予告演出の演出態様に対応した変動中予告パターンとを決定する変動中予告演出設定処理を実行する(ステップS529)。
【0214】
その後、その他の変動表示中における演出の実行設定を行う(ステップS530)。一例として、ステップS530の処理では、変動中予告演出が決定されていないこと等を条件に、これら変動中予告演出とは異なる演出、例えば、演出図柄が変化して、3つの演出図柄を一体化した特殊識別情報を表示する特殊演出や、各演出態様に対応するメニュー項目が、順次、縮小されることで複数のメニュー項目が選択肢として表示され、表示された複数のメニュー項目のうちから1のメニュー項目が決定されて、該決定されたメニュー項目の演出態様に移行する示唆演出等を実行するための設定が行われてもよい。
【0215】
その後、受信した変動パターン指定コマンドから特定される変動パターンや、変動中予告演出設定処理にて格納されたステップアップ予告演出の内容等に基づいて、演出制御パターンを予め用意された複数パターンのいずれかに決定する(ステップS531)。このとき、演出制御用CPU86は、例えば変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンなどに対応して、複数用意された特図変動時演出制御パターンのいずれかを選択し、使用パターンとしてセットする。
【0216】
ステップS531の処理を実行した後には、例えば変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに対応して、演出制御タイマ設定部に設けられた演出制御プロセスタイマの初期値を設定する(ステップS532)。続いて、演出表示装置9における演出図柄などの変動を開始させるための設定を行う(ステップS533)。このときには、例えばステップS531にて使用パターンとして決定された特図変動時演出制御パターンに含まれる表示制御データが指定する表示制御指令をVDP262等に対して伝送させることなどにより、演出表示装置9の画面上に設けられた「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアにて演出図柄の変動を開始させればよい。その後、演出プロセスフラグの値を変動表示中演出処理に対応した値である“2”に更新してから(ステップS534)、変動表示開始設定処理を終了する。
【0217】
図20は、変動表示中演出処理として、
図18のステップS172にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図20に示す変動表示中演出処理において、演出制御用CPU86は、先ず、例えば演出制御プロセスタイマ値などに基づいて、変動パターンに対応した変動表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS541)。一例として、ステップS541の処理では、演出制御プロセスタイマ値を更新(例えば1減算)し、更新後の演出制御プロセスタイマ値に対応して演出制御パターンから終了コードが読み出されたときなどに、変動表示時間が経過したと判定すればよい。
【0218】
ステップS541にて変動表示時間が経過していない場合には(ステップS541;No)、変動中予告演出を実行するための変動中予告演出期間であるか否かを判定する(ステップS542)。変動中予告演出期間は、例えば、変動中予告演出設定処理で決定された予告演出制御パターンごとに予め定められていればよい。ステップS542にて変動中予告演出期間であるときには(ステップS542;Yes)、変動中予告演出を実行するための予告演出動作制御を行う(ステップS543)。
【0219】
一例として、ステップS543の処理では、各変動中予告演出に対応する予告演出制御パターンなどから読み出した演出制御実行データ(例えば表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、操作検出制御データなど)に応じて、演出画像の表示や効果音の出力、ランプの点灯、レバースイッチ510a〜510dやボタンスイッチ516
aの操作受付、演出用模型の動作などのうち、一部または全部を含めた所定の演出動作を行うために、各種指令を作成して各デバイスに対して伝送させればよい。
【0220】
そして、ステップS542にて変動中予告演出期間でないとき(ステップS542;No)、または、ステップS543の処理の実行後は、ノーマルリーチ演出及びスーパーリーチ演出を実行するためのリーチ演出期間であるか否かを判定する(ステップS544a)。リーチ演出期間は、所定のリーチ演出に対応して選択されたリーチ演出制御パターンにおいて、予め定められていればよい。リーチ演出期間である場合は(ステップS544a;Yes)、スーパーリーチγ演出であるか否かを判定する(ステップS544b)。
【0221】
ステップS544bにおいてスーパーリーチγ演出である場合は(ステップS544b;Yes)、音データRAM174bに合成済音声データが記憶されているか否かを判定する(ステップS544c)。ここで、音データRAM174bに合成済音声データが記憶されている場合には(ステップS544c;Yes)、リーチ演出中に出力されるセリフ音声に含まれる読上用音声(読上用選手名)の再生用データを、合成済音声データに変更し(ステップS544d)、ステップS545に進む。一方、音データRAM174bに合成済音声データが記憶されていない場合には(ステップS544c;No)、音データROM174aに記憶された複数の既定音声データ(記憶済み音声データ)から任意の既定音声データをランダムに選択し(ステップS544e)、リーチ演出中に出力される読上用音声の再生用データを、選択した既定音声データに変更し(ステップS544f)、ステップS545に進む。
【0222】
尚、後述するように、合成済音声データまたは既定音声データは、スーパーリーチγのリーチ演出中に再生する際の基準パターン及び各パターンA〜Jの各再生タイミングに対応して音データROM174aまたは音データRAM174bに記憶されている。演出制御用CPU86は、各再生タイミングに対応する音声データIDを音声合成IC173に出力することで、音データROM174aまたは音データRAM174bに記憶された各合成済音声データまたは各既定音声データを指定する。
【0223】
ステップS544bにおいてスーパーリーチγ演出でない場合は(ステップS544b;No)、ステップS544dの処理の実行後、または、ステップS544fの処理の実行後は、リーチ演出を実行するための演出動作制御を実行する(ステップS545)。尚、リーチ演出を実行するための演出動作制御を実行する際に、セリフ音声に含まれる読上用音声(読上用選手名)の出力タイミングである場合には、合成済音声データ(または既定音声データ)の再生を行う。
【0224】
ステップS544aにおいてリーチ演出期間でない場合は(ステップS544a;No)、または、ステップS545の処理の実行後は、例えば変動パターンに対応した特図変動時演出制御パターンにおける設定などに基づいて、その他、演出図柄の変動表示動作を含めた演出動作制御、例えば、擬似連演出の演出動作制御を行ってから(ステップS546)、変動表示中演出処理を終了する。
【0225】
一方、ステップS541において、変動表示時間が経過している場合には(ステップS541;Yes)、主基板31から伝送される図柄確定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS547)。このとき、図柄確定コマンドの受信がなければ(ステップS547;No)、変動表示中演出処理を終了して待機する。尚、変動表示時間が経過した後、図柄確定コマンドを受信することなく所定時間が経過した場合には、図柄確定コマンドを正常に受信できなかったことに対応して、所定のエラー処理が実行されるようにしてもよい。
【0226】
ステップS547にて図柄確定コマンドの受信があった場合には(ステップS547;Yes)、例えば演出制御基板80のVDP262等に対して所定の表示制御指令を伝送させることといった、演出図柄の変動表示において表示結果となる最終停止図柄(確定演出図柄)を導出表示させる制御を行う(ステップS548)。また、当り開始指定コマンド受信待ち時間として予め定められた一定時間を設定し(ステップS549)、演出プロセスフラグの値を特図当り待ち処理に対応した値である“3”に更新してから(ステップS550)、変動表示中演出処理を終了する。
【0227】
図21は、演出制御プロセス処理における演出図柄変動停止処理を示すフローチャートである。演出図柄変動停止処理において、CPU86は、先ず、図柄確定コマンド受信フラグがセットされているか否か確認する(ステップS861)。
【0228】
図柄確定コマンド受信フラグがセットされていない場合は(ステップS861;No)、演出図柄変動停止処理を終了し、図柄確定コマンド受信フラグがセットされている場合は(ステップS861;Yes)、図柄確定コマンド受信フラグをリセットし(ステップS862)、演出図柄表示結果格納領域に格納されているデータ(停止図柄を示すデータ)に従って停止図柄を導出表示する制御を行う(ステップS863)。
【0229】
次いで、CPU86は、大当りとすることに決定されているか否か確認する(ステップS865)。大当りとすることに決定されているか否かは、例えば、変動表示結果指定コマンド格納領域に格納されている変動表示結果指定コマンドによって確認できる。
【0230】
大当りとすることに決定されている場合は(ステップS865;Yes)、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理に応じた値に更新し(ステップS866)、大当りとしないことに決定されている場合は(ステップS865;No)、CPU86は、演出制御プロセスフラグの値を変動パターン指定コマンド受信待ち処理に応じた値に更新する(ステップS867)。そして、ステップS866またはステップS867の実行後、パチンコ遊技機1において演出図柄の変動表示が実行されない期間を監視する設定初期化タイマに所定期間を設定し(ステップ868)、演出図柄変動停止処理を終了する。尚、該設定初期化タイマは、演出図柄の変動が開始されることでリセットされるようになっている(ステップS830参照)。
【0231】
図22は、
図17に示された演出制御メイン処理における文字情報入力処理を示すフローチャートである。文字情報入力処理では、CPU86は、先ず、演出図柄プロセスフラグが0であるか否かを判定する(ステップSh1)。演出図柄プロセスフラグが0でない場合は(ステップSh1;No)、ステップSh14に進み、演出図柄プロセスフラグが0である場合は(ステップSh1;Yes)、保留記憶があるか否かを判定する(ステップSh2)。保留記憶数の有無は、主基板31から受信した演出制御コマンドに含まれる第1保留記憶数通知及び第2保留記憶数通知のコマンドを参照すれば良い。保留記憶がある場合は(ステップSh2;Yes)、ステップSh14に進み、保留記憶数が無い場合は(ステップSh2;No)、コマンド受信バッファに未解析コマンドが有るか否かを判定する(ステップSh3)。コマンド受信バッファに未解析コマンドがある場合は(ステップSh3;Yes)、ステップSh14に進み、コマンド受信バッファに未解析コマンドが無い場合は(ステップSh3;No)、文字入力操作受付処理中か否かを判定する(ステップSh4)。
【0232】
ステップSh4において、文字入力操作受付処理中である場合には、ステップSh6に進む。一方、文字入力操作受付処理中でない場合には、遊技者によって操作ボタン516の長押し操作有りか否かを判定する(ステップSh5)。つまり、本実施例では、大当り遊技中または小当り遊技中でなく、且つ保留記憶が存在せず演出図柄が変動していない場合に遊技者によって操作ボタン516の長押し操作有りか否かを判定している。
【0233】
操作ボタン516の長押し操作が無い場合は(ステップSh5;No)、ステップSh14に進み、操作ボタン516の長押し操作が有る場合は(ステップSh5;Yes)、文字入力操作受付処理を実行する(ステップSh6)。
【0234】
本実施例における文字入力操作受付処理では、後述するリーチ演出中に出力される合成音声(読上用音声)の基となる文字情報を、遊技者の入力操作により受け付ける。後述するリーチ演出中には、遊技者が入力した文字情報が選手名となって読み上げられるようになっている。尚、文字入力操作受付処理では、遊技者が操作レバー600及び操作ボタン516を操作することにより、選手名を直接入力するようになっているが、本実施例では、選手名を直接入力する場合のみならず、遊技者が所定のパスワードを入力することで選手名が自動的に入力されるようもなっている。
【0235】
具体的には、
図28(a)に示すように、デモ画面中においては、操作ボタン516の長押し操作を促す案内が表示されており、遊技者によって操作ボタン516の長押し操作が有ると、文字入力操作受付処理の実行が開始されて入力方法を選択する入力方法選択画面に切り替わる。
図28(b)に示すように、入力方法選択画面において、遊技者は、選手名を直接入力するか、パスワード入力により行うかを選択できる。
【0236】
尚、入力方法選択画面において、遊技者が「パスワード入力」を選択すると、特に図示はしないが、複数の数字で構成されるパスワード(入力情報)を入力するパスワード入力画面に切り替わる。具体的な説明は後述するが、このパスワード入力画面において遊技者が操作レバー600及び操作ボタン516を操作することによりパスワードを入力すると、選手名が自動的に文字情報として入力される。
【0237】
また、入力方法選択画面において、遊技者が「選手名入力」を選択すると、
図29(a)に示すように、50音順に並んだ各文字を選択することで任意の選手名を入力できる選手名入力画面に切り替わる。この選手名入力画面において、遊技者が操作レバー600及び操作ボタン516を操作することにより選手名が文字情報として入力される。
【0238】
文字入力操作受付処理を実行中において、CPU86は、画面上に表示された「入力完了」の選択入力部が選択操作されたか否かを判定する(ステップSh7)。ここで、「入力完了」が選択操作されていない場合は(ステップSh7;No)、ステップSh12に進む。一方、「入力完了」が選択操作された場合は(ステップSh7;Yes)、入力された文字情報がリーチ演出中に使用できない文字列(NGワード)であるか否かを判定する(ステップSh8)。演出制御用マイクロコンピュータ81のROM84には、予め公序良俗に反する言葉であるNGワードが多数記憶されており、CPU86は、遊技者が入力した文字情報がこのNGワードと一致するか否かを判定する。
【0239】
ステップSh8において、入力された文字情報がNGワードである場合には、入力された文字情報が使用できない文字情報であり、再入力の必要がある旨を表示し(Sh13)、ステップSh12に進む。一方、入力された文字情報がNGワードでない場合には、ステップSh9に進む。
【0240】
ステップSh9において、CPU86は、遊技者が入力した文字情報に基づいて該文字情報に対応する音声を合成する音声データ合成処理を行う。この音声データ合成処理では、各音素構成に対応する音声信号を、遊技者が入力した文字情報の音素構成の順に配置して合成する。そして、この合成した音声データを合成済音声データとして音データRAM174bに記憶する(ステップSh10)。尚、遊技者が入力した文字情報も、演出制御用マイクロコンピュータ81のRAM85に記憶され、後述するリーチ演出中において表示される字幕の構成に用いられる。
【0241】
次いで、CPU86は、イントネーション選択受付処理を実施する(ステップSh11)。本実施例におけるイントネーション選択受付処理では、後述するリーチ演出中に入力された文字情報(選手名)を出力する際に、自然な発音に聞こえるように、文字情報の読み上げる際のイントネーション(抑揚)を選択できる。CPU86は、入力された文字情報に基づいて、該文字情報のイントネーションを数パターン作成する。尚、本実施例では、文字情報全体の抑揚(強弱)の変化をイントネーションと称し、文字情報における1つ1つの文字の強弱をアクセントと称して説明する。
【0242】
具体的には、
図29(b)に示すように、イントネーション選択画面に切り替り、このイントネーション選択画面では、複数(本実施例では4つ)のイントネーションの選択入力部が表示され、遊技者が操作レバー600及び操作ボタン516を操作することにより、画面上のカーソルを動かして所定のイントネーションの選択入力部が選択できる。尚、各イントネーションの選択入力部に対応して、該イントネーションで出力された文字情報を試聴できる選択入力部も設けられている。
【0243】
そして、イントネーション選択受付処理では、CPU86は、遊技者が選択したイントネーションによって合成済音声データを修正し、該合成済音声データを基準パターンの音声データとして音データRAM174bに記憶する。
【0244】
次いで、CPU86は、ステップSh12において、画面上に表示された「メニューに戻る」の選択入力部が選択操作されたか否かを判定する。ここで、「メニューに戻る」の選択入力部が選択操作された場合には、ステップSh15に進む。一方、「メニューに戻る」の選択入力部が選択操作されていない場合には、文字情報入力処理を終了する。
【0245】
また、CPU86は、前述したように、演出図柄プロセスフラグが0でない場合(ステップSh1;No)、保留記憶がある場合(ステップSh2;Yes)、コマンド受信バッファに未解析コマンドがある場合(ステップSh3;Yes)、または、操作ボタン516の長押し操作が無い場合(ステップSh5;No)に進むステップSh14において、文字入力操作受付処理の実行中であるか否かを判定する(ステップSh14)。ここで、文字入力操作受付処理が実行中でない場合は(ステップSh14;No)、文字情報入力処理を終了し、文字入力操作受付処理が実行中である場合は(ステップSh14;Yes)、文字入力操作受付処理を終了してから(ステップSh14)、文字情報入力処理を終了する。
【0246】
図23は、
図17に示された演出制御メイン処理における設定初期化処理を示すフローチャートである。設定初期化処理では、CPU86は、先ず、遊技者により入力された文字情報等の設定値が有るか否かを判定する(ステップSr1)。遊技者による設定値が有るか否かは、音データRAM174bに合成済音声データが記憶されているか否で判定すれば良い。遊技者による設定値が無い場合は(ステップSr1;No)、設定初期化処理を終了し、遊技者による設定値が有る場合は(ステップSr1;Yes)、演出制御プロセスフラグを参照し、該演出制御プロセスフラグが変動パターン指定コマンド受信待ち処理に対応した値であるか否かを判定する(ステップSr2)。つまり、ステップSr2では、大当り遊技中または小当り遊技中ではなく、演出図柄の変動が実行されていない状態であるか否かを判定する。演出制御プロセスフラグが変動パターン指定コマンド受信待ち処理に対応した値でない場合は(ステップSr2;No)、設定初期化処理を終了し、演出制御プロセスフラグが変動パターン指定コマンド受信待ち処理に対応した値である場合は(ステップSr2;Yes)、設定初期化タイマの値を1減算更新し(ステップSr3)、設定初期化タイマの値が0であるか否かを判定する(ステップSr4)。
【0247】
設定初期化タイマの値が0でない場合は(ステップSr4;No)、設定初期化処理を終了し、設定初期化タイマの値が0である場合は(ステップSr4;Yes)、演出制御用マイクロコンピュータ81のRAM85に記憶された文字情報、及び音データRAM174bに記憶された合成済音声データをクリアし(ステップSr5)、設定初期化処理を終了する。
【0248】
このように、非遊技状態である場合に遊技者が入力した文字情報や、該文字情報に基づく合成済音声データをクリアすることで、遊技者がパチンコ遊技機1における遊技を終了した後、遊技者や遊技場の店員が特別な操作を行うことなく、遊技者が入力した文字情報や合成済音声データを消去できるので、パチンコ遊技機1の利便性を向上できる上、次の遊技者がパチンコ遊技機1で遊技を開始したとしても、前の遊技者が入力した文字情報や合成済音声データが引き継がれてしまうことを抑制することができる。
【0249】
また、本実施例では、非遊技状態が一定期間継続することで初期化タイマが0となると、遊技者が入力した文字情報や合成済音声データをクリアしているが、本発明はこれに限定されず、非遊技状態中に日付が変わった場合は、該非遊技状態が一定期間継続していなくとも、遊技者が入力した文字情報や合成済音声データをクリアするようにしてもよい。
【0250】
次に、本実施例におけるリーチ演出(スーパーリーチγ演出)及び音声データ合成処理について
図24から
図27、
図30から
図33を参照して詳述する。
【0251】
本実施例では、スーパーリーチγの変動パターンの変動が開始されると、複数の水泳選手が競泳する演出が開始される。演出表示装置9の表示画面には、先ず、
図30に示すように、リーチ演出において競泳のスタート時には、複数の選手が競泳用プールの飛び込み台の上に配置される。遊技者が入力した文字情報に基づく選手名(読上用選手名)が付けられた選手も配置されており、演出音とともに、競泳を実況中継するアナウンサーの声が出力される。この実況中継を行う際に、遊技者が入力した読上用選手名をアナウンサーが読み上げるようになっており、当該読上用選手名の読み上げの際に用いられる音声データには、音データRAM174bに記憶された合成済音声データが用いられる(
図20の変動表示中演出処理のステップS544d参照)。
【0252】
尚、音データRAM174bに合成済音声データが記憶されていない場合、即ち遊技者が事前に選手名の入力を行っていない場合には、任意の選手名が適宜設定されるようになっており、該任意の選手名に対応する既定音声データが用いられる(
図20の変動表示中演出処理のステップS544f参照)。
【0253】
また、演出表示装置9の表示領域の左上方部には、演出図柄を小さく表示した小図柄が表示される。更に、演出表示装置9の表示領域の下部には、競泳を実況中継するアナウンサーの声に対応した字幕が表示される。
【0254】
本実施例におけるリーチ演出では、変動パターンがスーパーリーチγのリーチ演出が実行されるときに、競泳を実況中継するアナウンサーの声が出力され、スーパーリーチγ以外のリーチ演出(例えば、スーパーリーチαやスーパーリーチβ)が実行されるときには、競泳を実況中継するアナウンサーの声が出力されずに演出音のみが出力される。つまり、リーチ演出において実況中継するアナウンサーの声が出力されたときには、変動パターンがスーパーリーチγであることを遊技者に示唆することができる。
【0255】
また、
図31に示すように、スーパーリーチγのリーチ演出において競泳のレース中には、アナウンサーの実況中継において、遊技者が入力した読上用選手名が連呼される。そして、変動表示結果が「大当り」である場合には、演出図柄の変動表示結果となる大当り図柄の最終停止図柄の表示とともに、遊技者が入力した読上用選手名が付けられた選手が優勝する演出が行われて当該選手名が読み上げられる。また、変動表示結果が「ハズレ」である場合には、演出図柄の変動表示結果となる最終停止図柄の表示とともに、遊技者が入力した読上用選手名が付けられた選手が入賞できなかった演出が行われて当該選手名が読み上げられる。
【0256】
このように、スーパーリーチγのリーチ演出中において、読上用選手名が読み上げられるタイミングが複数設けられており、各タイミングにおいて、実況中継するアナウンサーが読上用選手名を読み上げる抑揚パターンが異なっている。つまり各タイミングに応じて、抑揚パターン異なる各合成済音声データを再生するようになっている。
【0257】
図24(a)に示すように、大当り時のスーパーリーチγのリーチ演出が開始されると、変動表示が所定時間なされる。この変動表示中には、演出表示装置9の表示画面に演出図柄が表示され、左右の図柄が揃ってリーチ状態となる。そして、前述した複数の水泳選手が競泳する演出が開始される(
図30参照)。また、競泳のスタート時には、アナウンサーがレース前に選手名を読み上げる演出がなされる。
【0258】
尚、読上用選手名に対応する合成済音声データには、その出力時間や再生速度やアクセントパターンやアクセント部分やアクセント強さ等のパラメータ値(設定値)が設定されている。本実施例では、競泳のスタート時に読み上げられるパラメータ値が基準パターンとなっている。
【0259】
また、競泳のレース中には、複数のタイミングでアナウンサーが選手名を連呼する(
図31参照)。この選手名を連呼する態様は、競泳のスタート時に選手名を読み上げることと比較して早口となっており、レースの序盤から終盤になるに連れてさらに早口になり、その音量が大きくなり、アクセントの強さも強くなっていく。つまり、レース前の選手名の読み上げ態様(基準パターン)とレース中の選手名の読み上げ態様(パターンA〜E)とが異なるとともに、レース中の各タイミングにおいても、選手名の読み上げ態様(パターンA〜E)がそれぞれ異なっている。
【0260】
そして、競泳の演出結果が大当りの時には、優勝した選手名が読み上げられるようになっている。尚、本実施例では、ゴール直前の選手名の連呼(パターンE)、及びコール直後の選手名の読み上げ(パターンF)の音量が最も大きく、アクセントの強さも強くなっている。また、表彰台にて優勝した選手名を読み上げるときも(パターンG)、基準パターンと比較してアクセントの強さ等が異なっている。
【0261】
図24(b)に示すように、はずれ時のスーパーリーチγのリーチ演出では、スタート時からレース中盤までの選手名を読み上げ態様(基準パターン、パターンA〜D)は、大当り時のリーチ演出と同一となっている。また、はずれ時のリーチ演出では、レール終盤から演出終了までの演出内容が当り時のリーチ演出と異なっており、レール終盤から演出終了までの間に、実況中継するアナウンサーが読上用選手名を読み上げる際の読み上げ態様(パターンH〜I)が異なっている。
【0262】
尚、音データRAM174bには、各パターンに対応する複数の合成済音声データが記憶されており、リーチ演出に各パターンに対応する合成済音声データが読み出されて再生されるようになっている。
【0263】
図25に示すように、演出制御用マイクロコンピュータ81のRAM85には、音声出力パターンテーブルが記憶される。この音声出力パターンテーブルには、パターン内容の項目に対応付けて、リーチ演出における演出内容や、出力時間や再生速度やアクセントパターンやアクセント部分やアクセント強さ等が登録されている。尚、競泳のスタート時に選手名を読み上げるときのパラメータ値を基準パターンとするとともに、該基準パターンとの差異が各パターンA〜Jに対応付けて登録されている。例えば、基準パターンの出力時間を基準値とすると、パターンAの出力時間は、基準値を−20%した値として登録され、基準パターンの再生速度を基準値とすると、パターンAの再生速度は、基準値を+8%した値として登録される。
【0264】
次に、前述した文字情報入力処理(
図22参照)においてCPU86が実行する音声データ合成処理について詳述する。
【0265】
図26(a)に示すように、遊技者がリーチ演出中の選手に付ける選手名として「スーパーセブン」という文字情報を入力したとすると、音声データ合成処理では、各文字に対応する音素構成を抽出する。例えば、「ス」の文字であれば、その音素構成は、子音である「s」と母音である「u」とで構成される。また、長音符「ー」については、直前の母音を用いるものとしている。「スーパーセブン」という7文字の文字情報は、「suupaasebun」という11個の音素構成となる。
【0266】
尚、例えば、
図27(a)に示すように、遊技者がリーチ演出中の選手に付ける選手名として「スター」という3文字の文字情報を入力したとすると、「sutaa」という5個の音素構成となる。尚、音素構成は当該例示に限らず、一般的に普及している音声合成処理に用いられている音素構成であればいかなるものでもよい。
【0267】
また、
図26(b)及び
図27(b)に示すように、リーチ演出中において、競泳のスタート時に選手名を読み上げるときに、実況中継するアナウンサーが発声するセリフの再生時間中、選手名を読み上げる出力時間(t秒)は、一定となるように設定されている。この出力時間は、選手名の文字情報、即ち音素数に係らず一定の出力時間となっており、この出力時間に合わせた基準パターンの音声データを作成する必要がある。
【0268】
そこで、
図26(d)及び
図27(d)に示すように、選手名としての文字情報が「スーパーセブン」である場合には、11個の各音素構成を長めに出力するとともに、出力時間が長くても不自然に聞こえ難い部分、例えば、長音符「ー」の音素構成の出力時間を長くして、他の音素構成をほぼ均等の出力時間として、「スーパーセブン」の音声データの出力時間を、セリフの再生時間中に選手名を読み上げる出力時間(t秒)に合わせるようにする。また、選手名としての文字情報が「スター」である場合には、5個の各音素構成の全ての出力時間を長くするとともに、長音符「ー」の音素構成の出力時間を長く構成し、「スター」の音声データの出力時間を、セリフの再生時間中に選手名を読み上げる出力時間(t秒)に合わせるようにする。
【0269】
このように、遊技者が入力した文字情報から基準パターンとなる音声データを作成する。また、この基準パターンの音声データは、前述したイントネーション選択受付処理(
図22参照)において、選択されたイントネーション(抑揚)になるように作成されている。このイントネーションは、各音素構成の出力時間及びアクセントの強弱で構成されており、基準パターンにおけるイントネーションを基準となるアクセントパターンAとしている。更に、基準となるアクセントパターンAと異なるアクセントパターンB〜Hが設定される(
図25参照)。尚、各アクセントパターンB〜Hは、基準となるアクセントパターンAを各演出内容に合わせて変化させたものとなっている。基準となるアクセントパターンAを設定して該アクセントパターンAを変化させて各アクセントパターンB〜Hとすることで、各音声データを再生したときに自然な発声として聞こえるようにしている。各演出内容の各パターンA〜Jに対応するアクセントパターンA〜Hが設定されているが、演出内容の各パターンが異なっていても(例えば、パターンA〜C)、アクセントパターンが同じもの(例えば、アクセントパターンB)が用いられる場合もある。
【0270】
また、
図26(c)及び
図27(c)に示すように、リーチ演出中において、競泳のレース中に選手名を連呼するとき、例えば、演出内容がパターンDのときには、基準パターンのときと比較して、実況中継するアナウンサーが発声するセリフの再生時間が短く、かつ当該セリフ再生時間中に選手名が連呼される。つまり、選手名を読み上げる出力時間(t’秒)は、基準パターンのときよりも短くなる。
【0271】
そこで、
図26(e)及び
図27(e)に示すように、選手名としての文字情報が「スーパーセブン」である場合には、11個の各音素構成を短めに出力するとともに、例えば、直前の母音「u」や「a」と重なる長音符「ー」の音素構成の出力時間を短くして、自然な発声に近づけるようにし、演出内容がパターンDのときに選手名を読み上げる出力時間(t’秒)に合わせるようにする。また、選手名としての文字情報が「スター」である場合には、5個の各音素構成の全ての出力時間を短くして、演出内容がパターンDのときの出力時間(t’秒)に合わせるようにする。また、出力時間が短くなることに応じて再生速度が速くなり、該再生時間が変化することに応じて、音声波形の周波数や、振幅や、波形の高低(音のピッチ)や、語尾の上げ下げや、音色等も適宜変更して音声データを作成する。
【0272】
また、基準パターンとその他のパターンとで、文字情報を発声するときのアクセント部分が異なっていてもよい。例えば、「スーパーセブン」の音素構成である「suupaasebun」において、基準パターンでは、音素構成の「u」と「a」の部分を強いアクセントとし、他のパターンDでは、音素構成の「s」の部分を強いアクセントとする。このようにすることで、同じ「スーパーセブン」の音素構成が発声された場合であっても、聞こえる印象が異なるものとなり、リーチ演出の状況に応じてアクセント部分を適宜変更することで、自然な発声に聞こえるようになる。また、各パターンに応じて、音素構成全体のアクセントの強弱を変更するようにしてもよいし、音素構成全体の音量の高低を変更するようにしてもよい。
【0273】
このように、CPU86は、遊技者が入力した文字情報に応じて、基準パターンや各再生パターンA〜Jに対応する各合成済音声データを作成し、音データRAM174bに記憶する(
図22の文字情報入力処理のステップSh10参照)そして、CPU86は、スーパーリーチγのリーチ演出中に選手名を読み上げる際に、基準パターン及び各パターンA〜Jの再生タイミングに合わせて、音データRAM174bに記憶された各合成済音声データを再生するようになっている。
【0274】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、演出制御用マイクロコンピュータ81のCPU86は、文字情報の音声データを、聞こえ方の異なる複数の音態様にて音声合成可能であって、文字情報の音声データを、遊技の進行に応じた基準パターンの再生タイミング(第1のタイミング)とこの第1のタイミングとは異なる各パターンA〜Jの再生タイミング(第2のタイミング)とで、異なる音態様にて音声合成して出力することで、遊技者が入力した入力情報に基づいた文字情報による音声データの音態様が、遊技の進行に応じて異なるようになるので、パチンコ遊技機1の興趣を向上できる。
【0275】
また、本実施例によれば、遊技者が入力した入力情報に基づいた文字情報による音声の音態様が、スーパーリーチγのリーチ演出中において異なるようになるので、リーチ演出の演出効果を高めることができる。
【0276】
また、本実施例によれば、
図20に示す変動表示中演出処理のステップS544e,S544fにおいてCPU86が任意の既定音声データをランダムに選択し、リーチ演出中に出力される読上用音声を既定音声データに変更する部分、及び該既定音声データをリーチ演出中に出力することで、遊技者が文字情報(入力情報)を入力していないときでも、既定文字情報(非入力時文字情報)の音声(既定音声データ)が出力されるので、文字情報が入力されていない場合におけるパチンコ遊技機1の興趣低下を防ぐことができる。
【0277】
また、本実施例によれば、CPU86が実行する音声データ合成処理において、文字情報を分割した各音素毎に、異なる複数の音態様にて音声合成可能であって、文字情報を分割した各音素のうち特定の部分の音態様を異なる音態様にて音声合成することで、文字情報全体の音態様ではなく、文字情報の一部分の音態様が異なるようになるので、文字情報全体の音態様を異なるものとする場合に比較して、遊技者の違和感を低減できる。
【0278】
また、本実施例によれば、CPU86が実行する音声データ合成処理において、文字情報の長さに応じた音態様にて音声合成されるので、文字情報の長さが変化することによって不適切な音態様にて音声合成されてしまうことを防ぐことができる。
【0279】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0280】
例えば、前記実施例では、本発明の遊技機としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明の遊技機はこれに限定されるものではなく、遊技媒体としてメダルを使用して遊技を行うスロットマシンであっても良い。
【0281】
また、前記実施例では、遊技者が入力した文字情報に基づいて、リーチ演出中において再生される合成済音声データが作成されているが、文字情報と合成済音声データの内容が必ずしも一致するものでなくてもよく、例えば、遊技者が自分の名前等の所定の情報(入力情報)を入力して、該名前等に対応したニックネーム等を合成済音声データとして作成してもよいし、入力した所定の情報(入力情報)の一部、例えば、名字のみ、または名前のみを合成済音声データとして作成してもよい。
【0282】
また、前記実施例では、遊技結果を示唆する示唆演出としてスーパーリーチγのリーチ演出を例示しているが、示唆演出は、スーパーリーチγのリーチ演出のみならず、その他のリーチ演出であるスーパーリーチαやスーパーリーチβ、またはノーマルリーチ等であってもよいし、大当りとなる可能性がある旨を報知する擬似連等の大当り予告演出等であってもよい。
【0283】
また、前記実施例では、合成済音声データが再生されるタイミングがスーパーリーチγ等のリーチ演出期間となっているが、合成済音声データが再生されるタイミングは、リーチ演出期間のみならず、その他の期間、例えば、予告演出等の演出期間に合成済音声データが再生されてもよいし、デモ画面の表示期間に再生されてもよい。
【0284】
また、前記実施例では、遊技者が文字情報を入力する文字情報入力処理において、合成済音声データを作成し、この合成済音声データを音データRAM174bに記憶しておき、この記憶された合成済音声データをリーチ演出中に再生するようになっているため、リーチ演出中に音声合成を作成する必要がなく、リーチ演出中における音声合成IC173の処理負荷が低減されるようになっている。尚、合成済音声データは、必ずしも遊技者が文字情報を入力したときに作成する必要はなく、例えば、文字情報入力処理にて遊技者が入力した文字情報を記憶しておき、該文字情報に基づいて音声合成IC173がリーチ演出中に合成済音声データを作成するものであってもよい。
【0285】
また、前記実施例では、前述したように、
図28(b)の入力方法選択画面において、遊技者が「パスワード入力」を選択すると、複数の数字で構成されるパスワード(入力情報)を入力するパスワード入力画面に切り替わり、このパスワード入力画面において遊技者が操作レバー600及び操作ボタン516を操作することによりパスワードを入力すると、選手名が自動的に文字情報として入力される。具体的には、遊技者は、携帯端末等を介してインターネットに接続されたサイトサーバにアクセスし、リーチ演出時に用いる選手名等の文字情報を入力する。そして、サイトサーバでは、文字情報を所定規則に応じて複数の数字で構成されるパスワードに変換するようになっており、サイトサーバは、文字情報に基づいて変換したパスワードを遊技者の携帯端末に送信する。パチンコ遊技機1の演出制御用マイクロコンピュータ81のCPU86は、パスワードを所定規則に応じて文字情報(読上用選手名)に変換するようになっており、パスワード入力画面において遊技者がパスワードを入力したことに応じて、当該パスワードを文字情報に変換し、この文字情報に対応する音声データの作成を行うようにしている。
【0286】
また、前記実施例では、前述したように、予め記憶された複数の既定文字情報(記憶済み文字情報)が、演出制御用マイクロコンピュータ81のROM84に記憶されている。尚、音データROM174aには、各既定文字情報に対応した音声データである既定音声データ(記憶済み音声データ)が記憶されている。前記実施例では、遊技者が文字情報を入力しなかった場合等に備えて、既定文字情報や既定音声データが設けられているが、遊技者が入力する文字情報を予め想定して、該想定される文字情報やこれに対応する音声データを記憶するようにしてもよい。
【0287】
例えば、具体的に変形例として説明すると、選手名として人名を用いる場合は、「サトウ」や「スズキ」等の一般人名や有名選手名等を既定文字情報としてROM84に記憶するとともに、これに対応する既定音声データを音データROM174aに記憶しておく。更に、演出制御用マイクロコンピュータ81のCPU86は、遊技者が入力した文字情報とROM84に記憶されている既定文字情報とが一致するか否かを判定する。該判定において、遊技者が入力した文字情報と既定文字情報とが一致しなかった場合は、遊技者が入力した文字情報に基づいて合成済音声データを作成し、該音声データをリーチ演出中に再生する。一方、遊技者が入力した文字情報と既定文字情報とが一致した場合は、既定文字情報に対応する既定音声データをリーチ演出中に再生する。このようにすることで、文字情報が既定文字情報(記憶済み文字情報)である場合には、予め記憶されている既定音声データ(記憶済み音声データ)を再生して出力するため、音声合成を実行する文字情報を低減できるので、これら音声合成するための処理負荷を低減することができる。