特許第6243620号(P6243620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243620
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】車両のLNT制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/04 20060101AFI20171127BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171127BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20171127BHJP
   F02D 41/08 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F02D41/04 305A
   F01N3/08 B
   F01N3/24 R
   F02D41/08 305
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-85572(P2013-85572)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-118966(P2014-118966A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0148621
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金必勝
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−291058(JP,A)
【文献】 特開平10−121944(JP,A)
【文献】 特開2005−030246(JP,A)
【文献】 特開2001−20781(JP,A)
【文献】 特開2004−150296(JP,A)
【文献】 特開2014−25451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−11/00
F02D 41/00−41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NOx吸着量によってLNTのNOx再生が必要であるかを判断する再生必要判断段階と、
LNTのNOx再生が必要な場合、LNTの温度が所定の基準温度未満であるかを判断するLNT温度判断段階と、
上記LNT温度が上記基準温度以上の場合、リッチモードを実行するリッチ進行段階と、
上記LNT温度が上記基準温度未満の場合、上記リッチ進行段階に先立ってリッチ状態で燃料を噴射するプレリッチ段階と、
をさらに含んで構成され、
上記プレリッチ段階以後、上記リッチ進行段階以前には、稀薄な燃焼状態であるリーン状態で所定時間維持するリッチモード分離段階が含まれ、

上記プレリッチ段階は、上記リッチ進行段階に比べて短い時間持続するように設定され、
リッチモード分離段階は、上記プレリッチ段階によって上昇する温度がLNTの所定の基準温度に反映されるまで必要な時間持続するように設定されること、を特徴とする車両のLNT制御方法。
【請求項2】
上記リッチ進行段階以後、リッチモードを終了する条件が充足されたかを判断してリッチモードを終了するリッチモード終了段階、
をさらに含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のLNT制御方法。
【請求項3】
上記リッチモード終了段階では、上記リッチ進行段階の遂行によってLNTに吸着されていたNOx吸着量が0になるか、LNTの前端と後端のラムダセンサ値が同じになれば、リッチモードを終了する条件が充足されたものと判断すること、を特徴とする請求項2に記載の車両のLNT制御方法。
【請求項4】
上記LNT温度を判断する基準温度は、LNTの温度に伴うNOx転換率が最大になる温度に設定されること、を特徴とする請求項1に記載の車両のLNT制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のLNT制御方法に関するものであって、より詳しくは、LNTのNO
x浄化性能を向上させることができるようにリッチモードを具現する技術に関するもので
ある。
【背景技術】
【0002】
LNT(Lean NOx Trap)は、排気ガス中のNOxを吸着してから、濃厚
な燃焼状態であるリッチモード(Rich Mode)で吸着したNOxを濃厚な排気ガ
ス中のHC、COのような還元剤によってN2に還元させる浄化装置である。
【0003】
しかし、上記したようなリッチモードでLNTから脱着された全てのNOxが還元され
るわけではなく、排出されるNOxがあるところ、このような現象をNOxのスリップと
いい、スリップしないでLNTで還元されるNOxの比率をNOx転換率という。
【0004】
上記のようなNOxのスリップは、LNTの温度に伴うNOx転換率に大きく影響を受
けるようになるところ、図1は、LNTの温度に伴うNOx転換率を例示したもので、2
00〜350℃区間では温度が高いほどNOx転換効率がいいが、350℃以上では温度
が増加するほどNOx転換率が減少することが分かる。
【0005】
上記図1を参照すれば、LNTに吸着されたNOxをN2に還元させる時、50%以上
転換可能なところでリッチモードを実施するのが効率的であり、そうでない場合、リッチ
モードでN2に還元されずNOxの形で多量にスリップすることが分かる。
【0006】
従来は、LNTのNOx吸着量が増加してリッチモードに進入しNOxの還元作用が開
始された後、LNTに吸着されていたNOx吸着量が0になるか、LNTの前端と後端の
ラムダセンサ値が同じになれば、LNTに吸着されていたNOxが全て還元されたためと
判断して、上記リッチモードを終了するように構成される。
【0007】
上記したように従来のLNTリッチモード制御は、LNTの温度に伴うNOx浄化率に
ついての考慮がなくて、LNTの温度が低い領域でリッチモードに進入する場合には、L
NTから脱着してスリップするNOxが増加する問題点がある。
【0008】
上記の発明の背景になる技術として説明された事項は、本発明の背景についての理解増
進のためのものであるだけで、この技術分野で通常の知識を有した者にすでに知られた従
来技術に該当することを認めるものとして受け入れられてはならないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0062614号公報(KR10201100 62614A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記したような問題点を解決するために案出されたものであって、LNT適
用車両でLNTの温度に応じてリッチモードを差別化して具現することにより、LNT温
度が相対的に低い状況で脱着されたNOxのスリップ量が増大することを防止し、NOx
浄化率を高めることができるようにした車両のLNT制御方法を提供するところにその目
的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の車両のLNT制御方法は、
NOx吸着量によってLNTのNOx再生が必要であるかを判断する再生必要判断段階と、
LNTのNOx再生が必要な場合、LNTの温度が所定の基準温度未満であるかを判断するLNT温度判断段階と、
上記LNT温度が上記基準温度以上の場合、リッチモードを実行するリッチ進行段階と、
上記LNT温度が上記基準温度未満の場合、上記リッチ進行段階に先立ってリッチ状態で燃料を噴射するプレリッチ段階と、
をさらに含んで構成され、
上記プレリッチ段階以後、上記リッチ進行段階以前には、稀薄な燃焼状態であるリーン状態で所定時間維持するリッチモード分離段階が含まれ、
上記プレリッチ段階は、上記リッチ進行段階に比べて短い時間持続するように設定され、
リッチモード分離段階は、上記プレリッチ段階によって上昇する温度がLNTの所定の基準温度に反映されるまで必要な時間持続するように設定されること、を特徴とする
【発明の効果】
【0012】
本発明は、LNT適用車両でLNTの温度に応じてリッチモードを差別化して具現する
ことにより、LNTの温度が相対的に低い状況で脱着されたNOxのスリップ量が増大す
ることを防止し、NOx浄化率を高めることができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来のLNT温度によるNOx転換率のグラフ。
図2】本発明による車両のLNT制御方法の実施例を図示した順序図。
図3】本発明による車両のLNT制御方法を整理したブロック図。
図4】本発明による車両のLNT制御方法によるリッチモードの例をグラフで図示 した図面。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2ないし図4を参照すれば、本発明の車両のLNT制御方法{LNT CONTRO
L METHOD FOR VEHICLE}の実施例は、NOx吸着量によってLNT
のNOx再生が必要であるかを判断する再生必要判断段階S10と、 LNTのNOx再
生が必要な場合、LNTの温度が所定の基準温度未満であるかを判断するLNT温度判断
段階S20と、 上記LNT温度が上記基準温度以上の場合、リッチモードを実行するリ
ッチ進行段階S50と、 上記LNT温度が上記基準温度未満の場合、上記リッチ進行段
階S50に先立ってリッチ状態で燃料を噴射するプレリッチ段階S30を含んで構成さ
れる。
【0015】
ここで、上記LNT温度を判断する基準温度は、LNTの温度に伴うNOx転換率が最
大になる温度に設定されるところ、例えば図1のようなLNTでは350℃になるのであ
る。
【0016】
すなわち、上記再生必要判断段階S10でNOxの再生が必要であると判断される場合
に、上記LNT温度判断段階S20によって、LNT温度が上記基準温度より低い場合に
は、プレリッチ段階S30以後にリッチ進行段階S50を遂行して、結局リッチモード
を2回に分けて実行することにより、プレリッチ段階S30によってLNTの温度が上
昇するようにした後に、本格的なリッチモードである上記リッチ進行段階S50を遂行し
て、LNTのNOx転換率を上昇させた状態でリッチモードを実行してNOxの再生効率
をより向上させることができるようにしたものである。
【0017】
勿論、上記LNTの温度が上記基準温度以上の場合には、上記プレリッチ段階S30
を遂行せずに、そのまま上記リッチ進行段階S50を遂行する。
【0018】
上記プレリッチ段階S30以後、上記リッチ進行段階S50以前には、稀薄な燃焼状
態であるリーン状態で所定時間維持するリッチモード分離段階S40が含まれる。
【0019】
記プレリッチ段階S30は、上記リッチ進行段階S50に比べて短い時間持続する
ように設定され、リッチモード分離段階S40は、上記プレリッチ段階S30によって
上昇する温度がLNTの担体温度に反映されるまで必要な時間持続するように設定される
ことが望ましい。
【0020】
上記リッチ進行段階S50以後、リッチモードを終了する条件が充足されたかを判断し
てリッチモードを終了するリッチモード終了段階S60を遂行し、上記リッチモード終了
段階S60では、上記リッチ進行段階S50の遂行によってLNTに吸着されていたNO
x吸着量が0になるか、LNTの前端と後端のラムダセンサ値が同じになれば、リッチモ
ードを終了する条件が充足されたものと判断する。
【0021】
以上のように、本発明は、リッチモードを実行するにおいて、LNTの温度に応じて、
上記基準温度未満では上記プレリッチ段階S30とリッチモード分離段階S40を実行
してLNTの担体温度を上昇させた状態で上記リッチ進行段階S50を実行して、NOx
のスリップ量を低減させ、十分な還元作用がなされることができるようにしてLNTの浄
化効率を上昇させることができるようにする。
【0022】
本発明は、特定の実施例に関して図示して説明したが、以下の特許請求の範囲によって
提供される本発明の技術的思想を脱しない限度内で、本発明が多様に改良及び変化される
ことができるということは当業界で通常の知識を有した者において自明なことである。
【符号の説明】
【0023】
S10、再生必要判断段階
S20、LNT温度判断段階
S30、プレリッチ段階
S40、リッチモード分離段階
S50、リッチ進行段階
S60、リッチモード終了段階
図1
図2
図3
図4