(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243624
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】バスバモジュール及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H01M 2/20 20060101AFI20171127BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
H01M2/20 A
H01M2/10 M
H01M2/10 S
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-97538(P2013-97538)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-220069(P2014-220069A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 茂之
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
【審査官】
松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−138333(JP,A)
【文献】
特開2013−033710(JP,A)
【文献】
特開2012−227004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10−34
H01R 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各電極が直線上に並ぶように配列された複数の電池のうち隣接する電池の電極同士を接続することでこれら複数の電池を直列に接続する複数のバスバと、
前記複数のバスバを収容するケースと、を備えたバスバモジュールであって、
前記ケースには、前記各バスバを収容する複数の収容部と、該各収容部に連結される複数の連結部と、が設けられ、
前記各収容部は、前記バスバを載置させる底壁と、該底壁から立設して前記バスバを取り囲む周壁と、を備え、
前記連結部には、前記底壁に向かって突出して形成されて、前記底壁に載置された前記バスバを押し付ける押さえ部が設けられ、
前記押さえ部は、前記各収容部に対して1つのみ設けられ、
前記押さえ部と前記底壁との間に前記バスバが挟まれて前記収容部に保持されることを特徴とするバスバモジュール。
【請求項2】
各電極が直線上に並ぶように配列された複数の電池のうち隣接する電池の電極同士を接続することでこれら複数の電池を直列に接続する複数のバスバと、
前記複数のバスバを収容するケースと、を備えたバスバモジュールであって、
前記ケースには、前記各バスバを収容する複数の収容部と、該各収容部に連結される複数の連結部と、が設けられ、
前記各収容部は、前記バスバを載置させる底壁と、該底壁から立設して前記バスバを取り囲む周壁と、を備え、
前記連結部には、前記底壁に向かって突出して形成されて、前記底壁に載置された前記バスバを押し付ける押さえ部が設けられ、前記押さえ部と前記底壁との間に前記バスバが挟まれて前記収容部に保持され、
前記各バスバに接続されるとともに、前記収容部に収容される端子をさらに備え、
前記押さえ部には、前記端子が前記収容部に収容された状態で、前記端子の外縁に当接する位置、及び/又は、前記端子に接続された電線に当接する位置に当接部が設けられていることを特徴とするバスバモジュール。
【請求項3】
前記端子が、板状の端子本体と、該端子本体の周縁の一部から延出された電線接続部と、を備え、
前記当接部が、前記電線接続部に当接する位置にあることを特徴とする請求項2に記載のバスバモジュール。
【請求項4】
前記端子は、前記バスバに重ねて接続され、
前記押さえ部が、前記底壁と対向する面に段差を有し、
前記押さえ部が、前記端子を前記底壁に押し付けることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のバスバモジュール。
【請求項5】
前記複数の収容部に並設されて、前記端子に接続される電線を前記配列方向に沿って配索させる配索部をさらに備え、
前記連結部には、前記配索部の開口を覆うカバーが設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のうち何れか一項に記載のバスバモジュール。
【請求項6】
正極及び負極が交互に逆向きに重ね合わされた複数の電池から構成された電池集合体と、
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載されたバスバモジュールと、を備えたことを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバモジュール及び電源装置に係り、特に、複数の電池を直列に接続するためのバスバモジュールと、当該バスバモジュールを有する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリット自動車などには、前記電動モータの駆動源として上記電源装置が搭載されている。この電源装置には、特許文献1に記載されたような電池配線モジュールが用いられている。
【0003】
図5に示す電池配線モジュール110は、一端に正の電極101、他端に負の電極102を有する単電池100を交互に逆向きに重ね合わせて形成した単電池群100Aに取り付けられて、重ね合わせた単電池100同士を直列に接続するものである。
【0004】
電池配線モジュール110は、左右に隣り合う単電池100の電極端子101、102間を接続する複数の接続部材103と、各接続部材103に重ねられ電線W1の端末部に接続されて単電池100の電圧を検知する複数の電圧検知端子104と、接続部材103、電圧検知端子104を収容する合成樹脂製の樹脂プロテクタ105とを備えて構成されている。
【0005】
樹脂プロテクタ105は、各接続部材103を保持する複数の保持部150と、電圧検知端子104に接続される電線W1が通される電線通し部151とを有している。
【0006】
保持部150は、その周壁の内面に、接続部材103の離脱を規制する撓み変形自在な係止片152を有している。接続部材103が係止片152の内方側に突出する部分の下側に配されることで接続部材103の離脱が規制される。
【0007】
さらに保持部150は、各電圧検知端子104の角部を挿通させる通し孔150Aと、電圧検知端子104が載置される高さ位置(接続部材103の上面の位置)に設けられ、各電圧検知端子104を位置決め(回り止め)するための凹部150Bと、を有している。各電圧検知端子104の角部を通し孔150Aに通しつつ凹部150Bに嵌め込むことにより、各電圧検知端子104は、保持部150に装着される。
【0008】
電線通し部151には、電線W1を電線通し部151内に保持するための一対の爪部151Aが電線W1の上部において対向して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−37987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の電池配線モジュール110にあっては、保持部150に、係止片152、通し孔150A、凹部150Bなどの、接続部材103や電圧検知端子104などの金属部品を保持部150に保持させるための構造を設けていたため、樹脂プロテクタ105を成型するための金型が複雑になる問題があった。さらに、接続部材103や電圧検知端子104などの金属部品を樹脂プロテクタ105に組み付ける際に、例えば、係止片152が削れたり、破損したりすることで、金属部品の樹脂プロテクタ105への組み付けが不十分となり、電池配線モジュール110を単電池群100Aに組み付ける際、或いは、単電池群100Aに組み付けた電池配線モジュール110を輸送する際の、部品の脱落の原因になる虞があった。
【0011】
本発明は、バスバを樹脂ケースに保持させるためのロックの数を低減させることで、樹脂ケースの構造の簡素化を図ったバスバモジュール及び電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の本発明は、各電極が直線上に並ぶように配列された複数の電池のうち隣接する電池の電極同士を接続することでこれら複数の電池を直列に接続する複数のバスバと、前記複数のバスバを収容するケースと、を備えたバスバモジュールであって、前記ケースには、前記各バスバを収容する複数の収容部と、該各収容部に連結される複数の連結部と、が設けられ、前記各収容部は、前記バスバを載置させる底壁と、該底壁から立設して前記バスバを取り囲む周壁と、を備え、前記連結部には、前記底壁に向かって突出して形成されて、前記底壁に載置された前記バスバを押し付ける押さえ部が設けられ、
前記押さえ部は、前記各収容部に対して1つのみ設けられ、前記押さえ部と前記底壁との間に前記バスバが挟まれて前記収容部に保持されることを特徴とするバスバモジュールである。
【0013】
請求項2記載の本発明は
、各電極が直線上に並ぶように配列された複数の電池のうち隣接する電池の電極同士を接続することでこれら複数の電池を直列に接続する複数のバスバと、前記複数のバスバを収容するケースと、を備えたバスバモジュールであって、前記ケースには、前記各バスバを収容する複数の収容部と、該各収容部に連結される複数の連結部と、が設けられ、前記各収容部は、前記バスバを載置させる底壁と、該底壁から立設して前記バスバを取り囲む周壁と、を備え、前記連結部には、前記底壁に向かって突出して形成されて、前記底壁に載置された前記バスバを押し付ける押さえ部が設けられ、前記押さえ部と前記底壁との間に前記バスバが挟まれて前記収容部に保持され、前記各バスバに接続されるとともに、前記収容部に収容される端子をさらに備え、前記押さえ部には、前記端子が前記収容部に収容された状態で、前記端子の外縁に当接する位置、及び/又は、前記端子に接続された電線に当接する位置に当接部が設けられていることを特徴とする
バスバモジュールである。
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の本発明において、前記端子が、板状の端子本体と、該端子本体の周縁の一部から延出された電線接続部と、を備え、前記当接部が、前記電線接続部に当接する位置にあることを特徴とする。
【0014】
請求項
4記載の本発明は、請求項2
または請求項3記載の本発明において、前記端子は、前記バスバに重ねて接続され、前記押さえ部が、前記底壁と対向する面に段差を有し、前記押さえ部が、前記端子を前記底壁に押し付けることを特徴とする。
【0015】
請求項
5記載の本発明は、請求項2
乃至請求項請求項
4のうち何れか一項に記載の本発明において、前記複数の収容部に並設されて、前記端子に接続される電線を前記配列方向に沿って配索させる配索部をさらに備え、前記連結部には、前記配索部の開口を覆うカバーが設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項
6記載の本発明は、正極及び負極が交互に逆向きに重ね合わされた複数の電池から構成された電池集合体と、請求項1乃至請求項
5のうちいずれか一項に記載されたバスバモジュールと、を備えたことを特徴とする電源装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、
6記載の本発明によれば、ケースには、各バスバを収容する複数の収容部と、該各収容部に連結される複数の連結部と、が設けられ、各収容部は、バスバを載置させる底壁と、該底壁から立設してバスバを取り囲む周壁と、を備え、連結部には、底壁に向かって突出して形成されて、底壁に載置されたバスバを押し付ける押さえ部が設けられ、押さえ部と底壁との間にバスバが挟まれて収容部に保持されるから、従来技術のように、保持部に接続部材などの金属部品を保持させるための構造を設ける必要がなくなる、或いは、前記保持させるための構造の数を減らすことができ、よって、ケースの構造が単純になり、これに伴って、ケースを成型するための金型の構造を単純にすることができる。また、接続部材(バスバ)を保持部(収容部)に係止させるための係止片が削れたり、破損することが抑制されるとともに、仮に、係止片が削れたり、破損することがあったとしても、押さえ部により、バスバが収容部に保持されているから、ケースからの部品の脱落を抑制することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、各バスバに接続される端子をさらに備え、押さえ部には、端子の外縁に当接する位置、及び/又は、端子に接続された電線に当接する位置に当接部が設けられているから、例えば、端子を回転させる外力が作用した際においても、端子の外縁に当接部が当接されて、端子の回転を抑止することができる。また、例えば、端子を回転させる外力が作用した際においても、端子に接続された電線に当接部を当接させることで、電線の移動を抑止することができる。
【0019】
請求項
4記載の発明によれば、押さえ部が、底壁と対向する面に段差を有し、押さえ部が、端子を底壁に押し付けるから、前記保持部に部品を保持させるための構造の数を、より一層、減らすことができ、よって、より一層、ケースの構造が単純になり、これに伴って、より一層、ケースを成型するための金型の構造を単純にすることができる。また、押さえ部により、バスバ及び端子が収容部に保持されるからケースからの部品の脱落を、より一層確実に抑制することができる。
【0020】
請求項
5記載の発明によれば、複数の収容部に並設されて、端子に接続される電線を配列方向に沿って配索させる配索部をさらに備え、連結部には、配索部の開口を覆うカバーが設けられている。即ち、カバーによって、配索部に収容された電線が保持されるから、従来技術のように、電線を電線通し部内に収容する際に、一対の爪部間に電線を押し込んで、爪部を一旦撓ませる手間を省略でき、電線を配索部内に収容する際の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかる電源装置の分解斜視図である。
【
図2】前記電源装置を構成するバスバモジュールを示す平面図である。
【
図4】前記バスバモジュールの組み立て作業する様子を示す斜視図であり、(A)は、カバーが配索部の開口を露出する開位置にある状態を示す図であり、(B)は、カバーが配索部の開口を閉じる閉位置にある状態を示す図である。
【
図5】従来のバスバモジュールを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態にかかるバスバモジュール及び電源装置を
図1乃至
図4を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、バスバモジュール1は、同図に示す電池集合体2の上面に取り付けられて電源装置10を構成するものである。この電源装置10は、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車などに搭載され、前記電動モータに電力を供給するものである。
【0024】
電池集合体2は、
図1に示すように、複数の電池20と、これら複数の電池20を互いに重ねて固定する固定部材(図示しない)と、を有している。また、各電池20は、箱型の筐体内に電解液が充填された電池本体21と、この電池本体21の一方の側面及び、他方の側面からそれぞれ突出した正極22(「電極」の一例)及び負極23(「電極」の一例)と、を有している。これら正極22及び負極23は、それぞれ、導電性の金属により円柱状に形成されており、その外周面には、ナット2Aと螺合するネジ溝が形成されている。
【0025】
さらに、複数の電池20には、これら電池20の重なり方向に沿って正極22及び負極23が直線上に交互に並ぶように二列に配列されている。ここで、
図1中の矢印Yは、複数の電池20の配列方向、及びバスバモジュール1の長手方向を示し、矢印Xは、バスバモジュール1の幅方向を示し、矢印Zは、バスバモジュール1の高さ方向を示している。また、本明細書では、バスバモジュール1の高さ方向を、上下方向と記す場合がある。
【0026】
バスバモジュール1は、前述した複数の電池20を直列接続するものであり、
図1に示すように、互いに隣り合う電池20の正極22と負極23とを接続することで複数の電池20を直列に接続する複数のバスバ3と、各バスバ3に電気的に接続されて各電池20の電圧を検出する複数の電圧検出用端子4(「端子」の一例)と、各電圧検出用端子4に接続される複数の電圧検出線5(「電線」の一例)と、これら複数のバスバ3、複数の電圧検出用端子4、及び複数の電圧検出線5を収容するケース6と、を有している。バスバモジュール1は、複数の電池20のうち両端に位置するとともに互いに異なる極性の電極に前記電動モータが接続されて、当該電動モータに電力を供給する。
【0027】
複数のバスバ3は、それぞれ、金属板にプレス加工等が施されて得られるものであり、
図2に示すように、長方形板状の金属板に、互いに隣り合う電極の正極22及び負極23を挿入する一対の貫通孔3aが形成された構成である。このバスバ3は、一対の貫通孔3aに挿入した正極22及び負極23にナット2Aが螺合されることで、これら正極22及び負極23に固定されるとともに電気的に接続される。
【0028】
複数の電圧検出用端子4は、それぞれ、金属板にプレス加工等が施されて得られるものであり、
図2に示すように、矩形板状の端子本体41と、この端子本体41に連続して形成されて端子本体41と電圧検出線5とを接続させる電線接続部42と、を備えている。端子本体41には、その中央に貫通孔4aが形成されている。各電圧検出用端子4は、その貫通孔4a内に電池20の正極22又は負極23のいずれか一方が挿入されるとともに各バスバ3に重ねられて、各バスバ3と電気的に接続されるとともに、電線接続部42で電圧検出線5と電気的に接続される。
【0029】
ケース6は、電池集合体2の上面と略等しい略長方形に形成されており、電池集合体2の上面に重ねられる。ケース6は、
図3、
図4にも示すように、各バスバ3とこのバスバ3に重ねられた各電圧検出用端子4とをそれぞれ収容可能な箱状に形成されかつ矢印Y方向に沿って直線上に連結された複数のバスバ収容部7「(収容部)の一例」と、複数のバスバ収容部7の並び方向に平行な直線上に並設して設けられて電圧検出用端子4に接続された電圧検出線5を矢印Y方向に配索させる樋状の配索部8と、各バスバ収容部7の開口縁部にヒンジ90を介して回動自在に連結されて、配索部8の開口の一部を覆う覆い位置と、配索部8の開口全部を露出する露出位置と、に回動自在な連結回動部9「(連結部)の一例」と、を備えて構成されている。
【0030】
図4に示すように、複数のバスバ収容部7は、それぞれ、矢印X方向の一端から他端まで連続して設けられて表面上にバスバ3を載置させる底壁7Aと、内側にバスバ3を取り囲む周壁7Bと、備えている。また、底壁7Aは、その矢印Y方向の寸法が、バスバ3の一対の貫通孔3a間の寸法よりも小さくなるように形成されていて、周壁7Bの矢印Y方向の中央部において、バスバ3を載置させている。この底壁7Aの矢印Y方向の両側は、電池20の電極22、23を挿通させるために開口している。
【0031】
周壁7Bは、バスバモジュールの長手方向(矢印Y方向)に対向するとともに、配索部8に連続された一対の側壁70、71と、一対の側壁70、71に連続された連続壁72と、を備えている。連続壁72には、内面に、底壁7A上に載置された底壁7A上に載置されたバスバ3に重ねられた電圧検出用端子4を係止する係止爪73が設けられている。
【0032】
配索部8は、バスバ収容部7の底壁7Aと同一平面に連続して形成されて表面上に電圧検出線5を載置する基壁80と、基壁80の幅方向(矢印X方向)の両縁から立設して形成された一対の立設壁81、82と、を備えている。一対の立設壁81、82の高さ寸法は、周壁7Bの高さ寸法よりも大きく形成され、一対の立設壁81、82(配索部8)は、その頂部が、周壁7B(バスバ収容部7)の頂部よりも高い位置に設けられている。
【0033】
一対の立設壁81、82のうち、バスバモジュールの幅方向(矢印X方向)のバスバ収容部7から離れた側の一方の立設壁81配索部8からカバー91に向かって上方に突出して形成された突出部83が設けられている。突出部83は、配索部8の導入口8Aの矢印X方向に延長された位置に設けられている。この突出部83は、上方に向かうに従って矢印Y方向の寸法が徐々に小さくなるように形成された半円状に形成されている。
【0034】
他方の立設壁82、即ち、バスバモジュールの幅方向(矢印X方向)のバスバ収容部7に近接した側の立設壁82には、バスバ収容部7から導出された電圧検出線5を配索部8の内部に導入させる導入口8Aが設けられている。導入口8Aは、ヒンジ90の矢印X方向に延長された位置に設けられている。さらに、他方の立設壁82には、その外面に、後述する連結回動部9の係止部94に係止されて、連結回動部9のカバー91を配索部8の開口を覆う覆い位置で維持させるための係止受け部84(
図4に示す)が設けられている。係止受け部84は、導入口8Aの矢印Y方向の他方側に隣接した位置に設けられている。
【0035】
係止受け部84は、他方の立設壁82の上端から下方に間隔をあけた位置に設けられている。この係止受け部84は、上下方向(矢印Z方向)に貫通する枠状に形成されていて、枠状の係止受け部84を構成する壁部のうち、矢印X方向の立設壁82側の壁部の下端に、連結回動部9の係止部94が係止するように構成されている。
【0036】
連結回動部9は、
図4に示すように、矢印Y方向を中心として180度回動自在にバスバ収容部7に連結されている。連結回動部9は、配索部8の開口の一部を覆うカバー91と、ヒンジ90に連続されるとともにカバー91と平行に設けられた平行部92と、平行部92に連続されてカバー91に向かって立ち上がる立ち上がり部93(
図1に示す)と、平行部92に連続して設けられた係止部94と、が設けられている。カバー91、平行部92、及び立ち上がり部93は、矢印X方向に沿って直線上に並んで設けられ、導入口8Aの開口を覆う位置に設けられている。また、係止部94は、これらのカバー91、平行部92、及び立ち上がり部93の矢印Y方向の一方側に設けられている。カバー91、平行部92、及び立ち上がり部93の矢印Y方向の寸法は、導入口8Aの矢印Y方向の寸法よりも僅かに大きく形成されているとともに、バスバ3の一対の貫通孔3a間の寸法(電池20の電極22、23間の寸法)よりも小さくなるように形成されている。
【0037】
ヒンジ90は、バスバ収容部7の連続壁72と平行部92との間に、連続壁72及び平行部92に一体に設けられている。このヒンジ90は、撓み易くするために、平行部92よりも幅狭に形成され、かつ、薄肉に形成されている。
【0038】
カバー91は、矩形板状に形成されていて、その矢印X方向の寸法が、配索部8の矢印X方向の寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0039】
平行部92は、矩形板状に形成されていて、その矢印X方向の寸法が、バスバ収容部7の矢印X方向の寸法と略等しくなるように形成されている。この平行部92には、矢印Y方向の一方側に係止部94が設けられている。さらに、平行部92には、その内面(底壁7Aと相対する面)から突出して形成されて、底壁7Aに載置されたバスバ3を押し付ける押さえ部95が設けられている。この押さえ部95と底壁7Aとの間に、バスバ3が挟まれることで、当該バスバ3はバスバ収容部7に保持される。
【0040】
また、平行部92は、その矢印Y方向の寸法が、カバー91が配索部8の開口の一部を覆った状態で、電圧検出用端子4がバスバ収容部7内に設けられていることを目視確認するために、バスバ3の一対の貫通孔3a間の寸法よりも小さくなるように形成されている。
【0041】
係止部94は、平行部92の立ち上がり部93側(矢印X方向側)の端部のから矢印Y方向の一方側に延在して形成された延在部96と、カバー91が配索部8の開口を覆った状態で、延在部96からバスバ収容部7の係止受け部84内に向かって突出し、かつ、係止受け部84内に挿入される板状の挿入部97と、挿入部97から突出して設けられ、係止受け部84に係止される爪部(図示しない)と、を備えている。
【0042】
押さえ部95は、五角形の角柱状に形成されて、カバー91が配索部8の開口を覆った状態で、底壁7Aと対向する底面95B(「底壁と対向する面」の一例)とバスバ収容部7の底壁7Aとの隙間が、バスバ3の厚さ寸法よりも僅かに小さい隙間を有する程度の大きさに形成されている。そして、押さえ部95は、カバー91が配索部8の開口を覆った状態で、バスバ3を押さえる(バスバ3に当接される)ように設けられている。また、押さえ部95には、底面95Bに連続されるとともに、電圧検出用端子4側の側面の下端に位置し、かつ、バスバ3に重ねられた電圧検出用端子4の外縁に当接する位置に当接部95Aが設けられている。
【0043】
立ち上がり部93は、
図1に示すように、カバー91から平行部92までの長手寸法が、配索部8の頂部とバスバ収容部7の頂部との寸法差に、突出部83の最も大きい出寸法(矢印Z方向の寸法)を加算した寸法と、略等しくなるように形成されている。
【0044】
続いて、上記構成の電源装置10の組み立て手順を、
図4を参照して説明する。まず、バスバ3、電圧検出用端子4、ケース6などを別々に製造しておく。そして、バスバ3に電圧検出用端子4を重ねるようにバスバ収容部7に押し込んで係止爪73で係止する。バスバ収容部7に設けられた底壁7A側の開口とバスバ3に設けられた一対の貫通孔3aとが重なるとともに、バスバ収容部7、及びバスバ3の一対の貫通孔3aのうち一方に電圧検出用端子4に設けられた貫通孔4aが重なる。さらに、各電圧検出用端子4に各電圧検出線5の一端部を接続する。各電圧検出線5の他端側を、導入口8A内に挿入させて、配索部8内に配索させる。
【0045】
そして、連結回動部9を
図4(A)に示す開位置から、180度回動させて
図4(B)に示す閉位置に位置付ける。すると、押さえ部95は、その底面95Bがバスバ3に当接され、その当接部95Aが電圧検出用端子4の外縁に接触される。こうして、バスバ3、及び電圧検出用端子4が、バスバ収容部7に保持される。また、係止部94が係止受け部84内に進入して、爪部が係止受け部84の下端に係止される。これと同時に、カバー91が、突出部83の頂部に接触されて、配索部8の開口の一部が覆われる。こうして、バスバモジュール1の組み立てが完了する。
【0046】
上述した手順で組み立てられたバスバモジュール1は、電池集合体2の上面に重ねられ、ケース6の底壁7A側の開口、バスバ3の貫通孔3a、電圧検出用端子4の貫通孔4aを挿入された正極22、及び負極23にナット2Aが螺合される。この際、ナット2Aの螺合に伴って、電圧検出用端子4を回転させる外力が作用するが、電圧検出用端子4の外縁に当接部95Aが当接されるから、電圧検出用端子4の回転を抑止できる。こうして、電池20の電極22、23とバスバ3と電圧検出線5が電気的に接続されて、電源装置10の組み立てが完了する。
【0047】
上述した実施形態によれば、連結回動部9に押さえ部95を形成することで、少なくともバスバ3がバスバ収容部7に保持されるから、バスバ収容部7に設けた部品を保持させるための構造の数を減らすことができ、よって、ケース6の構造が単純になり、これに伴って、ケース6を成型するための金型の構造を単純にすることができる。また、押さえ部95により、バスバ3がバスバ収容部7に保持されるから、仮に、係止爪73が削れたり、破損することがあったとしても、押さえ部95により、バスバ3がバスバ収容部7に保持されているから、ケース6からの部品の脱落を抑制することができる。
【0048】
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではない。上述した実施形態では、押さえ部95の当接部95Aが、電圧検出用端子4の外縁に当接可能なように形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。当接部95Aが、電圧検出用端子4に接続された電圧検出線5に当接可能なように形成されていてもよく、電圧検出用端子4の外縁、及び電圧検出用端子4に接続された電圧検出線5の両方に当接可能なように形成されていてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、押さえ部95がバスバ3をバスバ収容部7の底壁7Aに押し付けて、バスバ3をバスバ収容部7に保持させていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、押さえ部95が、底壁7Aと相対する面に、電圧検出用端子4の厚さ寸法程度の段差を有して形成されていて、バスバ3及び電圧検出用端子4の両方を底壁7Aに押し付けることで、バスバ3及び電圧検出用端子4の両方をバスバ収容部7に保持させていてもよい。換言すると、押さえ部95が、バスバ3及び電圧検出用端子4の両方をバスバ収容部7に保持させてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、カバー91が配索部8の開口を覆う前に、電池20の電極22、23にナット2Aを螺合させていたが、本発明はこれに限定されるものではない。連結回動部9の平行部92の矢印Y方向の寸法が、バスバ3の一対の貫通孔3a間の矢印Y方向の寸法よりも小さくなるように形成されているから、カバー91が配索部8の開口を覆った後(覆った状態)であっても、電池20の電極22、23にナット2Aを螺合させることができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、連結回動部9は、各バスバ収容部7の開口縁部にヒンジ90を介して回動自在に連結されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。連結回動部9は、各バスバ収容部7と別体に形成されていてもよい。その場合には、ヒンジ90は省略してもよい。
【0052】
なお、前述した各実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は実施形態に実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のバスバモジュール1の構成を具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 バスバモジュール
10 電源装置
2 電池集合体
3 バスバ
4 電圧検出用端子(「端子」の一例)
5 電圧検出線(「電線」の一例)
6 ケース
7 バスバ収容部(「収容部」の一例)
7A 底壁
7B 周壁
9 連結回動部(「連結部」の一例)
91 カバー
95 押さえ部
95A 当接部