特許第6243645号(P6243645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243645
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】缶用ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 1/08 20060101AFI20171127BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20171127BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G09F1/08 J
   G09F1/08 L
   B65D25/20 Q
   B65D21/02 301
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-151870(P2013-151870)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-22232(P2015-22232A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591241512
【氏名又は名称】寿精版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 健
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 幸範
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−171650(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3126416(JP,U)
【文献】 米国特許第05024014(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00−5/04
B65D 21/02
B65D 25/20
B65D 51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶に取り付けられる缶用ラベルであって、前記缶の上蓋を覆う蓋部を備え、該蓋部の中央部が、他の缶の下端部を嵌込可能な凹所を構成する凹所構成部になっており、該凹所構成部が、前記凹所の底面を構成する底面構成部を有し、該底面構成部の周縁部の一部が前記蓋部の外周部に接続されると共に他部が切込みを介して分離され、前記底面構成部が前記外周部と面一となる位置からこれよりも下方の位置まで移動可能になっていることを特徴とする缶用ラベル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶の上に取り付けられる缶用ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、販売促進用の缶用ラベルが開示されている。この缶用ラベルは、缶の上蓋を覆う領域より外側に切込線を介して折曲領域が形成されており、折曲領域から内側に突出した爪部分を缶の上蓋の周縁部の外側に引っ掛けることで、缶に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−107469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商品である缶を保管したり展示したりするときには、そのスペース等を考慮して、缶の上に他の缶を載せる場合がある。ここで、特許文献1に示されるような缶用ラベルを缶に取付け、この缶の上に他の缶を載せる場合、上段の缶は缶用ラベルの上蓋を覆う蓋部の上に載せられる。しかし、この場合、上段の缶が缶用ラベルの平らな蓋部に対して移動しやすく、上段の缶が滑り落ち、缶が傷付いて売り物にならなくなる等の恐れがある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、上段の缶を安定して載せることができる缶用ラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の缶用ラベルは、缶に取り付けられる缶用ラベルであって、前記缶の上蓋を覆う蓋部を備え、該蓋部の中央部が、他の缶の下端部を嵌込可能な凹所を構成する凹所構成部になっており、該凹所構成部が、前記凹所の底面を構成する底面構成部を有し、該底面構成部の周縁部の一部が前記蓋部の外周部に接続されると共に他部が切込みを介して分離され、前記底面構成部が前記外周部と面一となる位置からこれよりも下方の位置まで移動可能になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、缶用ラベルが取り付けられた缶の上に他の缶を載せる場合、凹所構成部で構成された凹所に上段の缶の下端部を嵌め込み、当該上段の缶の水平方向の移動を規制することができる。このため、缶用ラベルが取り付けられた缶の上に他の缶を安定して載せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の缶用ラベルの展開図である。
図2】同上の缶用ラベルを缶に取り付けた状態を示す斜視図であり、(a)は凹所構成部を蓋部の外周部と面一にしたときの状態を示し、(b)は凹所構成部を凹ませた状態を示している。
図3】(a)〜(c)は、他例の缶用ラベルの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態につき説明する。本実施形態の缶用ラベル1は、図2に示されるように、缶2に載せた状態で取り付けられて用いられる。
【0011】
図2に示される缶2は、縦に長い円筒状の飲料缶である。この缶2は、略寸胴な缶胴21の上縁部を上蓋20の周縁部202と共に巻き締めることで接続されている。図示は省略するが、上蓋20の底部には、飲み口を閉塞するタブが設けられている。上蓋20の周縁部202は底部よりも上方に突出している。
【0012】
次に缶用ラベル1について説明する。なお、以下では、特に記載する場合を除き、図1に示される展開状態における缶用ラベル1について説明する。
【0013】
缶用ラベル1は、缶2の上蓋20よりも大きな一枚の板紙に、商品名、商品説明、懸賞案内等の商品情報を付すと共に、切込み3や折溝4を設けたものである。
【0014】
缶用ラベル1は、缶2の上蓋20の上側を覆う蓋部5と、蓋部5の外周縁に接続された複数の係止部6とを備えている。本実施形態では、蓋部5が平面視略正方形状に形成され、蓋部5の各辺に係止部6が接続されている。各係止部6は蓋部5から外側に向かって突出している。
【0015】
各係止部6は、蓋部5の対応する辺に亘って形成されている。蓋部5とこの外側に位置する各係止部6の間には、係止用切込み30が形成されている。各係止用切込み30は、蓋部5と係止部6の境界部分における両端部を除く部分(略正方形状の蓋部5の辺の両端部を除く部分)に亘って形成されている。各係止部6は長さ方向の両端部のみが蓋部5に接続されている。
【0016】
各係止用切込み30は、半径が缶2の上蓋20の半径と略同じ寸法となる略円弧状に形成されており、その円弧の中心は蓋部5の中心と一致している。各係止用切込み30の長さ方向の中央部は、蓋部5側に向かって凸となる円弧状に曲げられている。これに対応して、各係止部6の係止用切込み30側に臨む縁部の中央部には、蓋部5側に突出した係止突部60が形成されている。
【0017】
各係止部6の長さ方向の両端部と蓋部5の境界部分には、各係止部6を蓋部5に対して山折りするための第一折溝41が形成されている。各係止部6の両側の第一折溝41は、平面視で当該係止部6の長さ方向と平行な直線状であり、同一直線上に位置している。各第一折溝41は、一端が係止用切込み30の一端に至り、他端が略正方形状の蓋部5の頂点に至っている。
【0018】
図2に示されるように缶用ラベル1を缶2に取り付けるには、蓋部5の外周部50を上蓋20の周縁部202上に載せる。そして、各係止部6を両側の第一折溝41を境にして蓋部5から下方に突出する方向に折り曲げて、各係止部6の係止突部60を上蓋20の周縁部202の下側に係止する。これにより、缶2の上蓋20の周縁部202が蓋部5の外周部50と各係止部6の係止突部60とで上下に挟まれて、缶用ラベル1が缶2に固定される。
【0019】
また、図1に示されるように、任意の係止部6には、当該係止部6を蓋部5と反対側に延出した延出部7が設けられている。延出部7は、係止部6の長さ方向に亘って形成されている。延出部7と係止部6の境界部分には、係止部6の長さ方向と平行で延出部7を係止部6に対して垂直に谷折りするための第二折溝42が形成されている。
【0020】
図示は省略するが、延出部7には印刷によって商品情報が付される。このような延出部7を設けることで、缶用ラベル1において商品情報を表示する面積を大きくできる。また、この延出部7は第二折溝42に対して折り曲げて蓋部5と略平行にすることで、商品情報を上側から見えやすい位置に配置することができる。
【0021】
また、図示は省略するが、蓋部5の上面にも印刷によって商品情報が付される。すなわち、延出部7及び蓋部5は、商品情報を表示する部分となっている。なお、缶用ラベル1の商品情報は、延出部7及び蓋部5にのみ付されてもよいし、延出部7及び蓋部5に加えてその他の箇所(係止部6)にも付されてもよい。また、商品情報は、シール等、印刷以外の手段により付されてもよい。
【0022】
図1に示されるように、缶用ラベル1の蓋部5は、環状の外周部50と、外周部50で囲まれた凹所構成部51とで構成されている。図1に示される展開状態において、凹所構成部51は外周部50と面一になっている。
【0023】
外周部50は、平面視略円環状の環状部分500と、環状部分500の周方向の4か所から外方に突出して略正方形状の蓋部5の角部を構成する突出部分501とで構成されている。
【0024】
凹所構成部51は、外周部50(環状部分500)で囲まれた領域の全体に亘っており、蓋部5の中央部を構成する。凹所構成部51は、外周部分を構成する環状の周面構成部510と、周面構成部510で囲まれた底面構成部511とで構成されている。
【0025】
周面構成部510は、平面視円環状であり、外周部50の内縁に沿っている。周面構成部510と環状部分500の境界部分、周面構成部510の径方向における中間部分、並びに周面構成部510と底面構成部511の境界部分の夫々には、凹所形成用切込み31が形成されている。
【0026】
利用者は、図2(b)に示されるように、底面構成部511を下方に押し込むことで、蓋部5の中央部に下方に凹んだ凹所52を形成できるようになっている。この凹所52は、底面が底面構成部511で構成され、周面が周面構成部510で構成される。
【0027】
具体的に周面構成部510は、径方向に複数並べて形成された環状部8で構成されている。各環状部8は、蓋部5の中心を中心とした平面視円環状でその直径は互いに異なっている。本実施形態の周面構成部510は、図1に示されるように、外側の第一環状部81と、内側の第二環状部82で構成されている。なお、周面構成部510は、1又は3以上の環状部8で構成しても構わない。
【0028】
各凹所形成用切込み31は、蓋部5の中心を中心とした円弧状に形成されている。各凹所形成用切込み31は、環状部分500とその内側の第一環状部8の境界部分、隣り合う第一環状部8と第二環状部8の境界部分、及び、底面構成部511とその外側の第二環状部8の境界部分の夫々において、周方向に複数形成されている。つまり、蓋部5には、同一円上に位置する複数の凹所形成用切込み31が複数段形成されている。
【0029】
各段の凹所形成用切込み31は、周面構成部510の周方向において各突出部分501に対応する箇所以外に形成されており、周面構成部510には複数の凹所形成用切込み31が周方向の略全長に亘って設けられている。なお、図1に示される缶用ラベル1は、各段において周方向に並べて形成された凹所形成用切込み31の間の部分が周面構成部510の周方向において同じ箇所にあるが、図3(a)に示されるように異なる箇所にあってもよい。
【0030】
図1に示される底面構成部511は平面視円形である。底面構成部511の直径は、缶用ラベル1が取り付けられる缶2に他の缶2を載せるときの上段の缶2の底面の直径と略同じである。なお、上段の缶2は、下段の缶2と同大同形の缶2であってもよいし、大きさや形状が異なる缶2であってもよい。このうち、同大同形の缶2としては、例えば、缶胴21と底蓋とが一体に形成され、下端部の外周径が上蓋20の外径よりも小さくなった2ピース缶が挙げられる。
【0031】
缶用ラベル1の蓋部5は、図2(a)に示されるように凹所構成部51を外周部50と面一にした第一形状から、図2(b)に示されるように蓋部5の中央部に凹所52を形成した第二形状に変形させることができる。缶用ラベル1が取り付けられた缶2に他の缶2を載せない場合には、蓋部5は通常第一形状とされる。また、缶用ラベル1が取り付けられた缶2に他の缶2を載せる場合には、蓋部5は第二形状とされ、その中央部に形成された凹所52に上段の缶2の下端部が嵌め込まれる。
【0032】
蓋部5は、第一形状の底面構成部511を外周部50に対して下方に押し込むことで、第二形状にすることができる。すなわち、底面構成部511が下方に押し込まれると、各環状部8はその外側の外周部50又は環状部8に対して下側に曲がる。また、各環状部8においてその外側の凹所形成用切込み31に対応する部分が、その外側の外周部50又は環状部8から下側に離間する。このため、周面構成部510は下側に伸び、底面構成部511が外周部50よりも下方の位置に移動し、これにより蓋部5に下方に凹んだ凹所52が形成される。
【0033】
底面構成部511の下方への押し込みは、例えば上段の缶2の底面を底面構成部511に合わせて載せ、この上段の缶2を下方に押し込むことで行うことができる。すなわち、この場合は、上段の缶2で底面構成部511が押し込まれて凹所52が形成されると同時に、この凹所52に上段の缶2の下端部が嵌め込まれることとなる。勿論、底面構成部511を手等で押し込んで凹所52を形成し、この凹所52に上段の缶2を嵌め込んでも構わない。
【0034】
また、凹所52の底面を構成する底面構成部511は、下段の缶2の上蓋20の底部に当接する位置まで押し込めるようにすることが好ましい。上段の缶2を凹所52に嵌め込んだとき、上段の缶2を底面構成部511を介して下段の缶2で支持できるからである。
【0035】
以上説明した本実施形態の缶用ラベル1は、缶2の上蓋20を覆う蓋部5と、蓋部5の外側に係止用切込み30を介して位置して係止用切込み30に臨む縁部が上蓋20の周縁部202に係止される係止部6とを備え、係止部6の係止用切込み30に臨む縁部を缶2の上蓋20の周縁部202に係止して缶2に取り付けることができる缶用ラベル1である。そして、蓋部5の中央部を、他の缶2の下端部を嵌込可能な凹所52を構成する凹所構成部51としている。この缶用ラベル1にあっては、取り付けられた缶2の上に他の缶2を載せる場合に、図2(b)に示されるように、凹所構成部51で構成された凹所52に上段の缶2の下端部を嵌め込むことで、上段の缶2の水平方向の移動を規制することができる。このため、缶用ラベル1が取り付けられた缶2の上に他の缶2を安定して載せることができる。
【0036】
また、本実施形態では、凹所構成部51が凹所52の底面を構成する底面構成部511を有し、底面構成部511の周縁部の一部が蓋部5の外周部50に周面構成部510を介して接続されると共に他部が凹所形成用切込み31を介して分離され、底面構成部511が外周部50と面一となる位置からこれよりも下方の位置まで移動可能になっている。このようにすると、底面構成部511を外周部50と面一にした状態にして、底面構成部511に付された表示を横から見えやすい位置に配置することができる。また、必要に応じて、底面構成部511を下方に押し込んで、凹所52を形成することができる。
【0037】
図3(b)及び図3(c)には、変形例の缶用ラベル1の展開図が示されている。図3(b)に示される缶用ラベル1の周面構成部510には、弧状の凹所形成用切込み31が周方向にずらして複数形成されている。各凹所形成用切込み31は、同心で周回方向を同じくした異なる仮想渦巻き線上に位置しており、底面構成部511の外周に沿うその長さ方向の一端から他端に行く程蓋部5の中心からの距離が次第に大きくなっている。この缶用ラベル1にあっても、底面構成部511を下方に押し込むことで、周面構成部510を下方に伸ばして凹所52を形成することができる。
【0038】
また、図3(c)に示される缶用ラベル1の凹所構成部51は、外周部50で囲まれた円形の底面構成部511で構成されており、周面構成部510を有していない。底面構成部511は、その周縁部において一の突出部分501に対応する箇所のみが外周部50に接続されており、その他の部分は、円弧状の凹所形成用切込み31によって外周部50と分離されている。この缶用ラベル1にあっては、凹所構成部51(底面構成部511)を外周部50に対して下方に押し込むことで、凹所構成部51を外周部50よりも下方に移動させ、これにより底面を凹所構成部51で構成した凹所52を形成することができる。
【0039】
なお、本発明の缶用ラベル1は、飲料缶以外の従来から知られている缶2に用いることも可能である。また、本発明は前述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 缶用ラベル
2 缶
3 係止用切込み
5 蓋部
6 係止部
20 上蓋
30 係止用切込み
51 凹所構成部
52 凹所
511 底面構成部
図1
図2
図3