(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の発明者は、以下の点に着目して、本発明に至った。
【0014】
− サポートが必要になる可能性がある重篤な患者には、生体情報モニタが取り付けられている可能性が非常に高い。生体情報モニタとは、患者の心拍数や血圧、呼吸数などの生体情報を計測し、この生体情報を数値または波形の形式でディスプレイに表示させることができる医療機器であり、一般にベッドサイドモニタと呼ばれるものである。
【0015】
− 生体情報モニタを見ているのは医師や医療スタッフなどの医療従事者、特に重篤な患者を担当する医療従事者であり、つまりは緊急時に的確な対応が取れる医療従事者である。
【0016】
− 生体情報モニタは、一対多の通信を容易に実現可能である。
【0017】
このような点に着目して、本発明の発明者は、生体情報モニタを用いれば、サポートに来て欲しい医療従事者を簡単かつ速やかに呼ぶことができるクリティカルコールシステムを実現できると考え、本発明に至った。
【0018】
すなわち、本発明の特徴は、生体情報モニタを有効に活用して、速やかにサポートに適した医療従事者に来てもらうことができるクリティカルコールシステムを実現したことにある。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態の生体情報モニタ100の構成を示すブロック図である。生体情報モニタ100は、コネクタ部101を有する。コネクタ部101は、患者に装着された生体情報検出部を生体情報モニタ100に接続するためのコネクタである。コネクタ部101には、心電図を検出するための心電電極111、血圧を検出するための血圧測定用カフ112、体温を検出するための体温センサ113、SpO
2を検出するためのSpO
2センサ114、及び心拍出量を検出するための心拍出量センサ115等の生体情報検出部が接続される。コネクタ部101は、接続された生体情報検出部と計測処理部102との間のインタフェースとして機能する。
【0021】
計測処理部102は、記憶部103に記憶されたプログラムを実行することで、所定の計測処理を実行する。この計測処理によって、計測処理部102は、コネクタ部101に接続された生体情報検出部(心電電極111、血圧測定用カフ112、体温センサ113、SpO
2センサ114及び心拍出量センサ115)を用いて患者の生体情報を計測する。なお、上記生体情報検出部を用いた各種生体情報の計測方法については従来周知のものを適用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。また、計測処理部102は、過去に計測した生体情報を記憶部103に記憶させる動作、及び、記憶部103に記憶されている生体情報を読み出す動作を行うことができるようになっている。
【0022】
ディスプレイ104は、計測処理部102によって得られた生体情報を、計測値又は波形の形式で表示する。ディスプレイ104は、計測処理部102によって得られた生体情報をリアルタイムで表示することができる。また、ディスプレイ104は、記憶部103に記憶されている生体情報を読み出し、過去の生体情報をトレンドグラフなどの形式で表示することもできる。
【0023】
ディスプレイ104は、例えばタッチパネル付き液晶表示器であり、生体情報を表示する表示機能を有するだけでなく、操作者による入力操作を受け付ける入力部としての機能も有する。具体的には、ディスプレイ104は、操作者によるタッチ操作に従って、ディスプレイ104の表示形式や生体情報モニタ100のモード変更などを行う。
【0024】
さらに、生体情報モニタ100は操作ボタン120を有する。操作ボタン120は、
図2に示すように、生体情報モニタ100の前面のディスプレイ104の近傍に設けられている。なお、
図2は、生体情報モニタ100を前面方向から見た外観図である。生体情報モニタ100の筐体上部には、アラームインジケータ105が設けられている。アラームインジケータ105は、計測処理部102(
図1)によって生体情報に異常が生じたと検知されたときに例えば赤色に発光するようになっている。
【0025】
操作ボタン120は、複数のボタンにより構成されている。操作ボタン120としては、例えば電源スイッチ121や、測定開始/停止ボタン122、データ記録ボタン123、アラーム音停止ボタン124などが含まれる。
【0026】
本実施の形態の場合、操作ボタン120の一つとして、サポート要求ボタン125が設けられている。サポート要求ボタン125が押圧操作されると、生体情報モニタ100は、他の生体情報モニタにサポート要求信号を送信する。具体的には、生体情報モニタ100は、サポート要求ボタン125が押圧操作されると、伝送処理部106によって他の生体情報モニタ宛のサポート要求信号を形成し、このサポート要求信号をネットワークインターフェース部107及び通信ネットワーク130を介して、通信ネットワーク130に接続された他の生体情報モニタ100に送信する。このサポート要求信号には、受信側においてサポート要求信号であることを識別できる情報と、受信側においてサポート要求信号を発信した生体情報モニタ100が置かれている場所を特定可能な情報と、が含まれている。送信した生体情報モニタ100が置かれている場所を特定可能な情報としては、例えば、生体情報が計測された患者の名前や生体情報モニタの装置ID、病室名、手術室名などがある。
【0027】
サポート要求信号を送られた他の生体情報モニタ100は、サポート要求信号を通信ネットワーク130、ネットワークインターフェース部107及び伝送処理部106を介して受信し、サポート要求があったことを表示する。例えば、サポート要求があったことをディスプレイ104に表示する。あるいは、アラームインジケータ105を所定の色又は所定のパターンで発光させることでサポート要求があったことを表示する。さらに、サポート要求信号を送信した生体情報モニタ100が置かれている場所を特定可能な情報(例えば患者名、装置ID、病室名、手術室名、フロア名など)を表示する。この場所を特定可能な情報の表示は、ディスプレイ104によって行ってもよいし、アラームインジケータ105の発光色や発光パターンによって行ってもよい。さらに、サポート要求があったことを音により喚起してもよい。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、生体情報モニタ100に、サポート要求を行うための操作部(本実施の形態の場合、サポート要求ボタン125)と、この操作部が操作されたときに他の生体情報モニタ宛のサポート要求信号を形成して送信する送信部(本実施の形態の場合、伝送処理部106)とを設け、他の生体情報モニタにサポート要求信号を送信するようにしたことにより、サポートを要求する側に手間をかけさせることなく、速やかにサポートに適した医療従事者に来てもらうことができるクリティカルコールシステムを実現できる。
【0029】
つまり、本実施の形態のクリティカルコールシステムを用いれば、サポートを求める側では、誰のサポートを求めるかや、その人がどこに居て、どのように呼び出せばよいかなどといった、煩雑な検討や手間をかけることなく、単にサポート要求ボタン125を押圧すればよい。一方で、サポート要求信号が送られる先の生体情報モニタを見ているのは医師や医療スタッフなどの医療従事者、特に重篤な患者を担当する医療従事者であり、緊急時に的確な対応が取れる医療従事者であるので、このような医療従事者に速やかにサポートに来てもらうことができるようになる。
【0030】
なお、生体情報モニタの構成は、
図1に示した構成に限らない。但し、サポート要求信号を送信する側の生体情報モニタは、他の生体情報モニタ群宛のサポート要求信号を形成して送信する送信部と、ユーザによる操作に応じて送信部からサポート要求信号を送信させる操作部と、を有する必要がある。また、サポート要求信号を受信する側の生体情報モニタは、サポート要求信号を受信する受信部と、サポート要求があったことを表示する表示部と、を有する必要がある。
【0031】
また、上述の実施の形態では、生体情報モニタ100の前面にサポート要求ボタン125を設けた場合について述べたが、サポート要求信号を送信させるための操作部はこれに限らず、例えばタッチパネル構成のディスプレイ上に操作エリアを表示し、その位置がタッチされるとサポート要求信号が送信される構成としてもよい。このことは、以下に説明する実施の形態でも同様である。
【0032】
さらに、上述の実施の形態では、サポート要求があったことや、サポート要求信号を送信した生体情報モニタ100が置かれている場所を医療従事者に知らせるために、生体情報モニタ100に設けられたアラームインジケータ105を用いた場合について述べたが、アラームインジケータ105に代えて、アラームポールのような、生体情報モニタ100に外付けで設けられた外部装置を用い、これを発光させることでサポート要求及び場所を知らせてもよい。
【0033】
<実施の形態2>
本実施の形態では、ある生体情報モニタ100のサポート要求ボタン125が操作された場合に、生体情報モニタ100から他の生体情報モニタにサポート要求信号として又はサポート要求信号に加えて、生体情報モニタ100で計測された生体情報を送ることを提示する。このようにすることで、実施の形態1と比較して、よりサポートに適した医療従事者が来てくれることを期待できる。
【0034】
図3に、本実施の形態において想定するシステムの例を示す。
図3AはベッドサイドモニタB1、B2、…、BnがセントラルモニタC1を介して接続されている例であり、
図3BはベッドサイドモニタB1、B2、…、Bn同士が直接接続されている例である。ベッドサイドモニタB1、B2、…、Bnは、
図1に示すように構成されている。
【0035】
図3Aに示す本実施の形態のセントラルモニタC1は、各ベッドサイドモニタB1、B2、…、Bnにより計測された生体情報を各ベッドサイドモニタB1、B2、…、Bnから受信し、それをディスプレイに表示したり記録するといったセントラルモニタ本来の機能に加えて、あるベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB1)からサポート要求信号を受信すると、そのベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB1)で計測された生体情報を他のベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB2、…、Bn)に配信する機能を有する。つまり、セントラルモニタC1は、各ベッドサイドモニタB1、B2、…、Bnにより計測された生体情報を常時受信しているが、サポート要求を行ったベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB1)の生体情報を、他のベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB2、…、Bn)に送信するようになっている。これにより、他のベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB2、…、Bn)には、サポートを要求しているベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB1)により計測された生体情報が表示される。
【0036】
図3Bに示す本実施の形態のベッドサイドモニタB1、B2、…、Bnは、あるベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB1)のサポート要求ボタン125が操作されると、そのベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB1)から他のベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB2、…、Bn)に、サポート要求信号として又はサポート要求信号に加えて、自装置(例えばベッドサイドモニタB1)で計測された生体情報を送信するようになっている。これにより、他のベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB2、…、Bn)には、サポートを要求しているベッドサイドモニタ(例えばベッドサイドモニタB1)より計測された生体情報が表示される。
【0037】
次に、
図4及び
図5を用いて、生体情報モニタ100のディスプレイ104に表示される生体情報の表示形態について説明する。
【0038】
図4は、生体情報のモニタ中にディスプレイ104に表示される基本画像の一例を示す。
図4の基本画像210は、患者情報表示領域211、波形表示領域212、計測値表示領域213及びメニューバー表示領域214からなる。このうち、波形表示領域212及び計測値表示領域213に、モニタ結果が表示される。
【0039】
患者情報表示領域211には、患者名などの患者情報が表示される。波形表示領域212には、取得した各生体情報の波形が表示される。この例では、心電図(ECG1、ECG2)、酸素飽和度(SpO
2)、観血血圧(BP1、BP2)、呼吸気中の炭酸ガス濃度(CO
2)、セボフルラン濃度(SEV)、及び酸素濃度(O
2)の各波形が、表示されている。表示対象の生体情報の種類及び表示位置は、設定操作により適宜変更可能である。計測値表示領域213には、各生体情報の計測値が数字として表示される。この例では、心拍数(HR)、酸素飽和度(SpO
2)、非観血血圧(NIBP)、観血血圧(BP1、BP2)、体温(T1:例えば直腸温)、皮膚温(TsK)、吸気炭酸ガス濃度(InspCO
2)、呼気終末炭酸ガス濃度(EtCO
2)、呼吸気中の笑気ガス濃度(N
2O)、呼吸数、呼吸気中のセボフルラン濃度(SEV)、及び呼吸気中の酸素濃度(O
2)の各計測値が、表示されている。表示対象の生体情報の種類及び表示位置は、設定操作により適宜変更可能である。
【0040】
計測値表示領域213において、計測値が表示されている各枠内の領域は、ユーザが指で触れることによる操作入力を受け付ける入力領域となっている。例えば、心拍数の計測値が表示されている入力領域215に触れると、心電図のモニタリングに関連する設定操作用画像がポップアップ表示され、心電図のモニタリングに関連する設定操作が可能となる。このポップアップ画像は、基本画像210とは異なる画面レイヤに対応する画像として表示される。なお、操作入力は、画面上の入力領域に触れることによる操作入力に限られず、例えばマウスを用いて入力領域をクリックすることによる操作入力などであってもよい。
【0041】
メニューバー表示領域214には、メニューバーが表示される。メニューバー表示領域214において、メニューバーを構成する「ホーム」及び「メニュー」などの各矩形領域は、入力領域となっている。例えば、「メニュー」という表記を有する入力領域216に触れると、モニタリング全般の設定操作メニューを提示する設定操作用画像がサブ画像として表示され、モニタリング全般の設定操作が可能となる。このサブ画像は、基本画像210とは異なる画面レイヤの画像として表示される。
【0042】
図5−
図8は、サポートを要求している生体情報モニタ100から生体情報を受信したときの、ディスプレイ104における表示画像の例を示す。ディスプレイ104には、自装置により得た生体情報を含む基本画像210と同時に、サポートを要求している生体情報モニタ100により計測されている生体情報を含むサブ画像310が表示される。このように、基本画像210とサブ画像310を同時に表示したことにより、自装置で計測されたた生体情報の監視を中断せずに、他装置で計測された生体情報を見ることができる。
【0043】
基本画像210とサブ画像310は、
図5−
図8の例のように、ディスプレイ104の1画面を分割して、異なる領域に表示してもよく、サブ画像310を基本画像210の上に重ねて表示してもよい。要は、同一画面上に、自装置の生体情報とサポートを要求している他装置の生体情報とがリアルタイムで同時に表示されるように配置されていればよい。
【0044】
図5は、基本画像210の縦横比を変えずに全体のサイズを縮小し、それによって空いたディスプレイ104の領域にサブ画像310を表示した例である。
図6は、基本画像210における波形の感度を小さくすることで基本画像210の縦方向のサイズを縮小し、それによって空いたディスプレイ104の上下の領域(
図6の場合には下の領域)にサブ画像310を表示した例である。
図7は、基本画像210における波形の掃引速度を小さくすることで基本画像210の横方向のサイズを縮小し、それによって空いたディスプレイ104の左右の領域(
図7の場合には右の領域)にサブ画像310を表示した例である。
図8は、基本画像210における波形の掃引時間を小さくすることで基本画像210の横方向のサイズを縮小し、それによって空いたディスプレイ104の左右の領域(
図8の場合には右の領域)にサブ画像310を表示した例である。
【0045】
なお、基本画像210は、他装置の生体情報が送られてくる前に表示されていた基本画像210(
図4)の内容(パラメータの数など)を削減しないことが好ましい。これに対して、サブ画像310は、基本画像210(
図4)と比較してメニューバー表示領域214を有しておらず、波形表示領域212及び計測値表示領域213も最小限のものだけを有してもよい。具体的には、アラームされている波形及び又は計測値のみを表示することでもよい。つまり、サポートを要求している生体情報モニタ100により計測された心電波形、血圧の情報、心拍数などの生体情報の全てを表示してもよいが、例えば心電波形がアラームされている場合には、心電波形のみをサブ画像310として表示してもよい。このようにすれば、基本画像210の表示領域が狭まるのを抑制しつつ、サポートを要求している他装置の生体情報のうち必要なものだけを表示できる。また、ディスプレイ104を見ている医療従事者は、他装置の生体情報のうちの必要なものだけを見ることができるようになる。
【0046】
サブ画像310中に含めるべき情報は、アラームされている生体情報(例えば心電波形)と、サブ画像310を送信した生体情報モニタ100がどこにあるかをディスプレイ104を見ている医療従事者が特定可能な情報と、である。サポートを要求している生体情報モニタ100がどこにあるかを特定可能な情報としては、例えば、生体情報が計測された患者の名前や生体情報モニタの装置ID、病室名、手術室名、フロア名、病棟名などがある。本実施の形態では、サブ画像310において生体情報と共に患者の名前を表示するようになっている。表示された患者の名前から、生体情報を送信した生体情報モニタ100がどこに置かれているかを推測できる。
【0047】
次に、本実施の形態の動作について、
図9を用いて説明する。以下の説明において生体情報モニタはベッドサイドモニタと読み換えることができる。また、以下の説明における生体情報モニタは、
図3Aに示したようにセントラルモニタを介して接続されていてもよく、
図3Bに示したように直接接続されていてもよい。
【0048】
図9は、本実施の形態のクリティカルコールシステムを、手術フロアに適用した例である。図の手術フロアは、複数の手術室401、402、403、404、405、406に分けられている。各手術室401、402、403、405、406には手術中の患者P−1、P−2、P−3、P−5、P−6とともに生体情報モニタ100−1、100−2、100−3、100−5、100−6がそれぞれ置かれており、この生体情報モニタ100−1、100−2、100−3、100−5、100−6を手術中の医療従事者500−1、500−2、500−3、500−5、500−6がそれぞれ見ている。
図9の例の場合、手術フロアは6つの手術室401、402、403、404、405、406に分けられている。6つの手術室401、402、403、404、405、406のうちの5つの手術室401、402、403、405、406には、手術されている患者P−1、P−2、P−3、P−5、P−6と、各患者P−1、P−2、P−3、P−5、P−6に取り付けられた生体情報モニタ100−1、100−2、100−3、100−5、100−6とがある。各患者P−1、P−2、P−3、P−5、P−6は、医療従事者500−1、500−2、500−3、500−5、500−6によって手術をうけている。
【0049】
ここで、例えば手術室402の患者P−2の容体が悪くなり、その患者P−2の手術を行っている医療従事者500−2がサポートを求めるために生体情報モニタ100−2のサポート要求ボタン125(
図1、
図2)を押圧操作すると、生体情報モニタ100−2で計測された生体情報が他の生体情報モニタ100−1、100−3、100−5、100−6に送信される。
【0050】
すると、他の生体情報モニタ100−1、100−3、100−5、100−6のディスプレイ104には、
図5−
図8に示したように、自装置100−1、100−3、100−5、100−6で計測された生体情報を含む基本画像210と同時に、生体情報モニタ100−2から送信された生体情報を含むサブ画像310が表示される。この結果、サブ画像310を見た医療従事者500−1、500−3、500−5、500−6は、サポートが求められている患者P−2がいることを認識でき、さらにその患者P−2の生体情報からその患者P−2の容体を認識できる。よって、サブ画像310を見ている医療従事者500−1、500−3、500−5、500−6は、生体情報を参照にして、自分がサポートに行くべきか否かを判断できる。さらに、基本画像210には、自分の担当患者P−1、P−3、P−5、P−6の生体情報も表示されているので、自分の担当患者P−1、P−3、P−5、P−6の状態も考慮しながらサポートに行くべきか否かを判断できる。
【0051】
このように、本実施の形態のクリティカルコールシステムを用いれば、サポートを要求している生体情報モニタからの生体情報を受信した生体情報モニタを見ている医療従事者は、送られてきた生体情報を参照することで、自分がサポートに行くのに適した人材か否か、自分の患者の生体情報と比較して現在の患者を後回しにしてでもサポートに行くべきか否か、などを総合的に判断して、サポートに行くべきか否かを決定できる。このように、サポートに行くべきか否かの判断を受信側に委ねたことにより、緊迫した状態にあるサポートを求める側には手間をかけさせないクリティカルコールシステムを実現できる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、サポート要求信号として又はサポート要求信号に加えて、サポートを要求している生体情報モニタで計測された生体情報を他の生体情報モニタに送るようにしたことにより、実施の形態1と比較して、よりサポートに適した医療従事者が来てくれることを期待できるようになる。
【0053】
また、上述した実施の形態1、2のクリティカルコールシステムを用いれば、放送やPHSを使っての呼び出しと比較して、呼び出される側の医療従事者の気を散らせることなく呼び出しを行うことができる。
【0054】
また、生体情報モニタ100を見ているのは、医療従事者なので、患者やその家族に患者の容体を気づかれて不安を増長させることなく、クリティカルコールを行うことができる。
【0055】
因みに、上述した実施の形態1、2のクリティカルコールシステムは、配信側が一方的に情報を送りつける、所謂プッシュ型の情報配信を行っている。よって、実施の形態2における受信側の生体情報モニタ100においては、通常は表示されていない他の患者の生体情報が突然表示されるので、その生体情報モニタ100を見ている医療従事者は注意を喚起され、非常事態が起こっていることを認識できる。なお、これに加えて、生体情報を受信した場合に、アラームインジケータ105やディスプレイ104を警告色で発光させたり、警告音を発するようにしてもよい。このようにすれば、医療従事者はより注意を喚起されるので、サポートして欲しい患者がいることをより確実に認識できる。
【0056】
なお、上述の実施の形態2では、本発明のクリティカルコールシステムを手術フロアに適用した例について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、ネットワーク接続された複数の生体情報モニタ100が配置されている病院内環境に広く適用できる。よって、本発明を用いれば、医療従事者が病院内のどこにいても、生体情報モニタ100が近くにありさえすれば、適任者のサポートを要求することが可能となる。
【0057】
また、サポート要求ボタン125が押圧されたときの、生体情報が送信される範囲を、予め設定できる構成にすると好ましい。例えば、生体情報が送信される範囲を、手術フロア、緊急病棟、循環器病棟及び又は救命センターなどに限定して設定すれば、不必要に広い範囲に生体情報を送信しなくてすむ。この結果、サポートに来る必要のない医療従事者を煩わせることなく、サポートに来て欲しい人のいる可能性の高い場所の生体情報モニタ100のみに生体情報を送信できるようになる。
【0058】
また、上述の実施の形態2では、サポート要求ボタン125が押圧操作されるとサポート要求信号を送信する構成としたが、サポート要求信号を送信するために必要な条件をさらに加えてもよい。例えば、サポート要求ボタン125が操作され、かつ、自装置(送信側装置)で生体情報に関するアラームが出力されたときに、サポート要求信号を送信するようにしてもよい。このようにすれば、サポート要求ボタン125を誤って押圧操作して、サポート要求信号を誤って送信してしまうことを防止できる。ここで、一般に、生体情報モニタは、生体情報がある閾値を超えたときに患者の容体が悪いことを示すアラームを出力する機能(例えばディスプレイ104上で警告色を表示したり、アラームインジケータ105を発光させたりする)を有しているので、この機能を用いればよい。
【0059】
また、実施の形態2において、サポート要求ボタン125が押圧操作されたときに、アラームされている生体情報のみを送信するようにしてもよい。このようにすれば、他の生体情報モニタに、不必要な生体情報を表示しなくてすむようになる。
【0060】
さらに、サポート要求ボタン125の押圧操作に応じて、ナースコールも行うことができる構成としてもよい。例えば、生体情報モニタ100のアラームが出力されている状態でサポート要求ボタン125が押されると、他の生体情報モニタ100にサポート要求信号が送信され、一方、アラームが出力されていない状態でサポート要求ボタン125が押されると、ナースコールを行うようにすればよい。また、サポート要求ボタン125を1回押すとナースコールを行い、複数回押すと他の生体情報モニタにサポート要求信号を送信するようにしてもよい。
【0061】
また、例えばサポート要求ボタン125を1回押すとサポート要求信号を送信し、2回以上押すと送信先の生体情報モニタ100にさらなるサポートの催促をするようなコントロール信号を送信するようにしてもよい。このコントロール信号は、例えば、ディスプレイ104上にサポートの催促をするようなメッセージを表示させる信号や、アラームインジケータ105を所定の発光パターンで発光させるための信号であり、受信側の生体情報モニタ100をユーザの注意を喚起するように駆動する信号である。このようなコントロール信号を送信すれば、例えば生体情報を送信しただけでは望んでいたようなサポートが得られなかった場合に、未だサポートが不十分であることを受信側の生体情報モニタ100を見ている医療従事者に伝えてサポートを催促できるようになる。
【0062】
さらに、上述の実施の形態では、生体情報モニタがベッドサイドモニタ又はセントラルモニタである場合について述べが、生体情報モニタはベッドサイドモニタ又はセントラルモニタに限らない。例えば、サポート要求信号を送信する側の生体情報モニタは、患者の搬送時に使用される可搬型の生体情報モニタや、患者が携帯可能な医用テレメータの送信機、特に表示機能を備えた医用テレメータの送信機であってもよい。このような可搬型の生体情報モニタや医用テレメータの送信機はベッドサイドモニタの一種と捉えられ、これらに上述したようなサポート要求ボタンを設ければ、上述したのと同様の効果を得ることができる。また、患者に装着された表示機能を備えないテレメータからの生体情報を患者の近くで無線にて受信し、その生体情報を表示する機能を有する携帯型受信機であってもよい。このような携帯型受信機はセントラルモニタの一種と捉えられ、これに上述したようなサポート要求ボタンと共に、他の生体情報モニタへの送信機能を設ければ、上述したのと同様の効果を得ることができる。実際には、サポート要求信号を送信する側の生体情報モニタは、生体情報取得部と、サポート要求信号を送信するための送信部と、サポート要求信号を送信させるための操作部と、を有するものであればよい。
【0063】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。