特許第6243685号(P6243685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243685柔軟性容器へのラベル貼付装置及びラベル貼付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243685
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】柔軟性容器へのラベル貼付装置及びラベル貼付方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 3/26 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   B65C3/26
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-200282(P2013-200282)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-67279(P2015-67279A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温
(72)【発明者】
【氏名】坪田 信孝
(72)【発明者】
【氏名】高木 聖和
【審査官】 田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−187159(JP,A)
【文献】 特開2008−155931(JP,A)
【文献】 特開昭59−015034(JP,A)
【文献】 特開昭50−120300(JP,A)
【文献】 特開2004−345727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00 − 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体が封入された柔軟性容器にラベルを貼付する装置であって、
前記容器を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送経路の途中で前記容器を圧迫して当該容器の内圧を高める圧迫装置と、
保持したラベルの粘着面を、内圧を高められた状態の前記容器に接触させ、前記ラベルを前記容器に移し替えるラベル移載装置と、を備え
前記圧迫装置は、前記容器が間を通過するように向き合う形で配置され、搬送方向下流側に進むに従い相互間隔が所定値まで漸減する1対の誘導体により構成されることを特徴とする柔軟性容器へのラベル貼付装置。
【請求項2】
前記誘導体の少なくとも一方は前記容器を搬送方向に送るベルトにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の柔軟性容器へのラベル貼付装置。
【請求項3】
前記ラベル移載装置は、前記搬送経路と直交する形で配置され且つその表面に前記ラベルを吸着する吸着ロールを含み、前記吸着ロールは内圧を高められ膨満状態とされた前記容器を圧迫しつつ当該容器に前記ラベルを貼付することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柔軟性容器へのラベル貼付装置。
【請求項4】
前記ラベル移載装置は、内圧を高められ膨満状態とされた前記容器に向けて剥離テープから前記ラベルを突き出すラベル供給装置と、前記ラベルの粘着面を前記容器に押し付ける押圧体とを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柔軟性容器へのラベル貼付装置。
【請求項5】
前記圧迫装置は前記容器の動きを止めることなく当該容器を圧迫することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の柔軟性容器へのラベル貼付装置。
【請求項6】
前記搬送装置上における前記容器の位置を認識する搬送装置用認識装置を備え、前記ラベル移載装置は前記搬送装置用認識装置の認識結果に基づき前記容器の搬送方向における所定位置から前記ラベルの貼付を開始することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の柔軟性容器へのラベル貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は柔軟性容器へのラベル貼付装置及びラベル貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気体、液体、流動体、粉体、粒体、あるいはこれらを取り混ぜたもの(本明細書ではこれらのものの総称として「流動体」の呼称を用いる)を市場に流通させるにあたっては、しばしば袋のような柔軟性容器が用いられる。柔軟性容器に内容物の表示を付す手法には様々なものがあるが、中でも容器表面にラベルを貼付するやり方は歴史も古く、それを自動で行う装置も種々提案されている。そのような装置の例を特許文献1〜5に見ることができる。
【0003】
特許文献1記載の装置では、上口を開放した変形し易い軟質容器本体の内部に可動ボビンを挿入して軟質容器本体を内側から補強した状態でラベルを貼付する。貼付後、可動ボビンを軟質容器本体から抜き取る。
【0004】
特許文献2記載の装置では、内部に拡張体を挿入した長尺の柔軟性筒体を移送装置で長さ方向に移送して拡張体との間に相対移動を生じさせ、拡張体の部分で拡張された柔軟性筒体にラベルを接着装置で接着する。
【0005】
特許文献3記載の装置は米袋にラベルを貼付する。この装置では、第1コンベアの上方に間隔を置いて第2コンベアを配設し、第1コンベアと第2コンベアで米袋を挟持して搬送する。第2コンベアは傾けて配設されており、第1コンベアとの間隔は下流側に向けて逓減している。第1コンベアと第2コンベアの間を通る米袋は徐々に押圧されて余分な空気が抜かれる。空気が抜かれた状態の米袋にラベルが貼付される。
【0006】
特許文献4記載の装置では、外部からの押圧により変形可能な容器の表面にラベルを貼着するに際し、容器の口部を閉塞手段で密封して容器が内側に凹み難くした状態でラベルを容器に貼着する。
【0007】
特許文献5記載の装置では、密封された容器の壁面の一部を凹ませることで内部の圧力を高め、内部の圧力を高めた状態の容器の表面にラベルを付す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−335536号公報
【特許文献2】特開平9−221119号公報
【特許文献3】特開2008−155931号公報
【特許文献4】特開平7−187159号公報
【特許文献5】特開2012−240749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
柔軟性容器の内圧を高めた状態でラベルを貼付する装置は特許文献4、5に開示されているが、特許文献4記載の装置は内容物が入っていない空容器を対象とするものであり、特許文献5記載の装置は壁面の一部が凸状態から凹状態に変化可能で、しかも変化後の状態を自己保持できるという特殊構造の容器を対象としている。しかしながらその条件を満たせない柔軟性容器も数多く存在する。
【0010】
例えば医療現場で用いられる輸液用の袋は、袋の内部が外気に曝されないうちに輸液を充填する必要があるところから、袋への充填工程が先行し、ラベル貼付工程はその後ということになる。また壁面の一部を凸状態から凹状態に変化させ、凹状態に変化後その状態を自己保持させるというのも、袋の材質からして実現困難と言わざるを得ない。
【0011】
輸液用の袋には次のような要請も存在する。すなわち輸液用の袋は内容物の減り具合がよく見えるように透明になっており、ラベルも透明フィルムに印刷を施したものである。このような透明袋と透明ラベルの間に空気の泡が入り込むと非常に見苦しくなる。従ってラベル貼付は極力空気を巻き込まないようにしつつ行わねばならない。
【0012】
本発明は上記諸点に鑑みなされたものであり、流動体が封入された柔軟性容器に対しラベルを外観良好に貼付することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、流動体が封入された柔軟性容器にラベルを貼付する装置であって、前記容器を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、前記搬送経路の途中で前記容器を圧迫して当該容器の内圧を高める圧迫装置と、保持したラベルの粘着面を、内圧を高められた状態の前記容器に接触させ、前記ラベルを前記容器に移し替えるラベル移載装置と、を備えることを特徴としている。
【0014】
この構成によると、封入されたのが流動体であり容器の変形が可能であることを利用して、搬送経路の途中で容器を圧迫して容器内圧を高め、その状態でラベルを貼付するものであるから、表面にしわがない状態の容器にラベルを外観良好に貼付することができる。
【0015】
また本発明は、上記構成の柔軟性容器へのラベル貼付装置において、前記圧迫装置は、
前記容器が間を通過するように向き合う形で配置され、搬送方向下流側に進むに従い相互間隔が所定値まで漸減する1対の誘導体により構成されることを特徴としている。
【0016】
この構成によると、搬送されるのに伴い容器が自然に圧迫されるから、圧迫装置の構成が簡単になる。
【0017】
また本発明は、上記構成の柔軟性容器へのラベル貼付装置において、前記誘導体の少なくとも一方は前記容器を搬送方向に送るベルトにより構成されることを特徴としている。
【0018】
この構成によると、搬送装置ばかりでなく誘導体からも推進力を受けるから、容器が圧迫装置の箇所で停滞するということがなくなる。
【0019】
また本発明は、上記構成の柔軟性容器へのラベル貼付装置において、前記ラベル移載装置は前記搬送経路と直交する形で配置され且つその表面に前記ラベルを吸着する吸着ロールを含み、前記吸着ロールは内圧を高められ膨満状態とされた前記容器を圧迫しつつ当該容器に前記ラベルを貼付することを特徴としている。
【0020】
この構成によると、膨満状態とされた容器を吸着ロールが圧迫する過程で容器とラベルの間から空気が追い出されるから、容器とラベルの間に気泡が存在しない、外観美麗な容器を得ることができる。
【0021】
また本発明は、上記構成の柔軟性容器へのラベル貼付装置において、前記ラベル移載装置は、内圧を高められ膨満状態とされた前記容器に向けて剥離テープから前記ラベルを突き出すラベル供給装置と、前記ラベルの粘着面を前記容器に押し付ける押圧体とを含むことを特徴としている。
【0022】
この構成によると、膨満状態とされた容器に押圧体がラベルを押し付ける過程で容器とラベルの間から空気が追い出されるから、容器とラベルの間に気泡が存在しない、外観美麗な容器を得ることができる。
【0023】
また本発明は、上記構成の柔軟性容器へのラベル貼付装置において、前記圧迫装置は前記容器の動きを止めることなく当該容器を圧迫することを特徴としている。
【0024】
この構成によると、容器の動きを止めることなくラベル貼付を行うから、装置の作業効率が高い。
【0025】
また本発明は、上記構成の柔軟性容器へのラベル貼付装置において、前記搬送装置上における前記容器の位置を認識する搬送装置用認識装置を備え、前記ラベル移載装置は前記搬送装置用認識装置の認識結果に基づき前記容器の搬送方向における所定位置から前記ラベルの貼付を開始することを特徴としている。
【0026】
この構成によると、ラベルを容器の所定位置に貼付して容器の外観を均一に保つことができる。
【0027】
また本発明は、流動体が封入された柔軟性容器にラベルを貼付するにあたり、前記容器を所定の搬送経路に沿って搬送し、前記搬送経路の途中で前記容器を圧迫して当該容器の内圧を高め、内圧を高められた状態の前記容器にラベルの粘着面を接触させて前記ラベルを前記容器に貼付するラベル貼付方法であることを特徴としている。
【0028】
この方法によると、封入されたのが流動体であり容器の変形が可能であることを利用して、搬送経路の途中で容器を圧迫して容器内圧を高め、その状態でラベルを貼付するものであるから、表面にしわがない状態の容器にラベルを外観良好に貼付することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、流動体が封入された柔軟性容器を、搬送経路の途中で圧迫して容器内圧を高め、その状態でラベルを貼付することとしたことにより、しわが生じず気泡を閉じこめないようにラベルを貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ラベル貼付装置の要部の構造を示す部分平面図である。
図2図1のA−A線を断面箇所とする断面図である。
図3図1と同様の部分平面図で、図1とは異なる状態を示すものである。
図4図3のB−B線を断面箇所とする断面図である。
図5図1及び図3と同様の部分平面図で、図1及び図3とは異なる状態を示すものである。
図6図5のC−C線を断面箇所とする断面図である。
図7】ラベル貼付装置の動作を説明する側面図である。
図8】ラベル貼付装置のブロック構成図である。
図9】第2実施形態に係るラベル貼付装置の部分平面図である。
図10】第3実施形態に係るラベル貼付装置の部分平面図である。
図11】第4実施形態に係るラベル貼付装置の動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の第1実施形態を図1から図8までの図に基づき説明する。柔軟性容器(以下単に「容器」と称する)1は輸液用の透明な袋であり、一端には口部材2が取り付けられている。容器1の容積の大部分は輸液で占められ、残部は空気で満たされている。容器1の表面には図7に示すラベル3がラベル貼付装置10によって貼付される。
【0032】
ラベル貼付装置10を構成する主な要素は次の通りである。すなわち上面に容器1を載置し、この容器1を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置20、搬送経路の途中で容器1を圧迫して容器1の内圧を高める圧迫装置30、保持したラベル3の吸着面を、内圧を高められた状態の容器1に接触させ、ラベル3を容器1に移し替えるラベル移載装置40、及びラベル移載装置40にラベル3を供給するラベル供給装置50である。
【0033】
搬送装置20は、搬送方向に沿って延びる水平な架台21と、架台21の上面に載置されたコンベアベルト22を備える。コンベアベルト22は平ベルトであって、図8に示す搬送装置用動力源23により、図1において左から右へと所定速度で走行せしめられる。
【0034】
図7に示す通り、搬送装置20にはコンベアベルト22上における容器1の位置を個々の容器1毎に認識する搬送装置用認識装置24が設けられている。搬送装置用認識装置24は、容器1を撮像するカメラと、カメラからの画像情報を解析する解析部により構成される。図7ではカメラの図形が搬送装置用認識装置24の全体を象徴している。
【0035】
圧迫装置30は、容器1が間を通過するように向き合う形で配置され、搬送方向下流側に進むに従い相互間隔が所定値まで漸減する1対の誘導体31により構成される。1対の誘導体31は搬送装置20によって運ばれる容器1を挟むように搬送装置20の両側に配置される。本実施形態において誘導体31を構成するのは3個のプーリ32、33、34に巻き掛けられた丸ベルト35である。プーリ32は搬送方向上流側に位置し、プーリ34は搬送方向下流側に位置し、プーリ33はプーリ32と34の中間に位置し、それぞれ水平な支持デッキ36の下面に回転自在に取り付けられている。
【0036】
プーリ32、33、34は1対ずつ向かい合っており、1対のプーリ32の間隔は容器1を余裕で迎え入れられるほどに広いが、1対のプーリ33の間隔と1対のプーリ34の間隔はそれに比べて狭い。1対の丸ベルト35は、プーリ32と33の間の区間で相互間隔が漸減し、プーリ33に至ると相互間隔が前記した所定値になる。「所定値」は容器1の横幅よりも小に設定されている。その所定値の相互間隔はプーリ34のところまで維持される。プーリ33とプーリ34の間の区間では、1対の丸ベルト35は互いに平行しているとともに、搬送装置20のセンターラインに対しても平行となっている。
【0037】
プーリ34は原動プーリであり、支持デッキ36の上面に取り付けられた圧迫装置用動力源37により回転せしめられる。圧迫装置用動力源37を構成するのは減速機構付きモータである。プーリ32、33は従動プーリとなる。
【0038】
丸ベルト35はプーリ33と34の間の区間で容器1を圧迫する。圧迫の方向は搬送方向と直角である。この箇所で容器1からの反発力に負けて丸ベルト35が撓まないよう、容器1と反対の側から丸ベルト35を支えるバックアップ板38が支持デッキ36に取り付けられている。向かい合う1対のバックアップ板38は相互間隔の調整が可能で、丸ベルト35が容器1に及ぼす圧力を微調整できるようになっている。
【0039】
ラベル移載装置40は搬送装置20及び圧迫装置30の上方に配置され、その下を容器1が通過する。第1実施形態において、ラベル移載装置40の構成の中心となるのはラベル吸着装置41である。ラベル吸着装置41は、ロールの軸線が搬送装置20の搬送経路と直交する形で配置された水平な吸着ロール42により構成されている。
【0040】
吸着ロール42の外周面には多数の吸引口(図示せず)が形成されている。吸着ロール42の内部は空洞で、この空洞は図8に示すラベル吸着装置用真空源43に接続されている。ラベル吸着装置用真空源43が稼働すると吸引口から内部空洞に空気が吸い込まれ、ラベル3に対し吸着力が働く。吸着ロール42はラベル3よりも幅広であり、ラベル3を容器1に貼付する際はラベル3の全幅に圧力を及ぼす。吸着ロール42は図8に示すラベル吸着装置用動力源44により水平軸線回りに回転せしめられる。回転方向は容器1を搬送方向に進める方向である。
【0041】
搬送方向における吸着ロール42の位置はバックアップ板38の中央付近である。吸着ロール42は、その下端とコンベアベルト22の上面との間隔が圧迫装置30で圧迫しない状態の容器1の厚みと同程度になる高さに配置される。
【0042】
ラベル供給装置50は剥離テープ51をラベル供給手段として用いる。剥離テープ51は剥離紙からなり、表面にはラベル3がその粘着面の粘着力で貼り付けられている。剥離テープ51は繰り出しスプール52から繰り出され、巻き取りスプール53に巻き取られるものであり、途中で剥離ブレード54に巻き掛けられる。剥離ブレード54は繰り出しスプール52に近い側の端を支点として角度調整可能とされており、鋭いエッジをなす先端は吸着ロール42の外周面に対し所定距離まで接近している。
【0043】
巻き取りスプール53は図8に示すラベル供給装置用動力源55で回転せしめられる。
巻き取りスプール53が回転して剥離テープ51を巻き取ると繰り出しスプール52も回転する。繰り出しスプール52と巻き取りスプール53が回転すると剥離テープ51は図7の矢印のように移動し、剥離ブレード54に巻き掛けられた剥離テープ51は剥離ブレード54の先端で急角度に方向転換する。この時ラベル3の粘着面が剥離テープ51から剥がれ、ラベル3は剥離テープ51から剥離する。剥離したラベル3は粘着面を外側に向ける形で吸着ロール42に吸着される。
【0044】
ラベル供給装置50には剥離テープ51上でのラベル3の位置を個々のラベル3毎に認識するラベル供給装置用認識装置56が設けられている。ラベル供給装置用認識装置56は、ラベル3を撮像するカメラと、カメラからの画像情報を解析する解析部により構成される。図7ではカメラの図形がラベル供給装置用認識装置56の全体を象徴している。
【0045】
ラベル貼付装置10の制御を司るのは図8に示す制御装置60である。制御装置60の制御対象には、搬送装置20のコンベアベルト22を圧迫装置30及びラベル移載装置40に対し相対移動させる搬送装置用動力源23、圧迫装置30の丸ベルト35をコンベアベルト22に同期して移動させる圧迫装置用動力源37、ラベル吸着装置41の吸着ロール42に真空吸引力を及ぼすラベル吸着装置用真空源43、吸着ロール42を回転させる
ラベル吸着装置用動力源44、及びラベル供給装置50の巻き取りスプール53を回転させるラベル供給装置用動力源55が含まれる。搬送装置用動力源23、圧迫装置用動力源37、ラベル吸着装置用動力源44、及びラベル供給装置用動力源55はいずれもモータにより構成される。また制御装置60は、搬送装置用認識装置24及びラベル供給装置用認識装置56から情報を受け取り、搬送装置用認識装置24及びラベル供給装置用認識装置56に対し動作指令を出力する。
【0046】
ラベル貼付装置10の動作は次の通りである。搬送装置20はコンベアベルト22の上に所定間隔で容器1を載置し、図1において左から右へと搬送する。容器1の口部材2は進行方向に向けられている。搬送装置用認識装置24が口部材2を認識することにより、コンベアベルト22上における容器1の位置が特定される。
【0047】
搬送される容器1は圧迫装置30に至り、1対の誘導体31の間に入り込む。1対の誘導体31を構成する1対の丸ベルト35はプーリ33に近づくにつれ間隔が狭まっており、プーリ33に至る前のいずれかの時点で容器1と一方の丸ベルト35との接触が始まる。容器1に接触する丸ベルト35は、容器1が搬送装置20のセンターラインからずれていれば容器1をセンターラインの側に押しやり、位置ずれを矯正する。
【0048】
搬送装置20のセンターラインに沿って進む容器1は両側の丸ベルト35に接触する。前述の通り、プーリ33からプーリ34までの間の区間では1対の丸ベルト35の相互間隔は容器1の横幅よりも小に設定されているので、容器1は図3及び図4に示す通り搬送方向と直角の方向から圧迫され始める。丸ベルト35はコンベアベルト22と同速度で動いて容器1を搬送方向に送っているので、容器1はコンベアベルト22ばかりでなく丸ベルト35からも推進力を受けることになり、停滞を生じることなく進行する。
【0049】
前述の通り、プーリ33からプーリ34までの間の区間では丸ベルト35が搬送装置20のセンターラインと平行になっているから、容器1の向きも正しい方向に矯正される。これにより、容器1に対しラベル3が角度のずれを生じた形で貼付されるということがなくなる。
【0050】
プーリ33の箇所で所定値まで相互間隔が縮まった1対の丸ベルト35は容器1を両側から挟み付けて圧迫する。これにより容器1は垂直方向に膨満し、コンベアベルト22に接していない上面が凸状に膨らむ(図4参照)。容器1の上面はしわがなくぴんと張り詰めた状態になる。この状態で容器は図5の位置へと進む。
【0051】
ラベル供給装置50では繰り出しスプール52から剥離テープ51が引き出される。その表面のラベル3をラベル供給装置用認識装置56が認識することにより、剥離テープ51上におけるラベル3の位置が特定される。制御装置60は巻き取りスプール53の回転を制御し、剥離ブレード54の先端におけるラベル3の剥離が所定タイミングで開始されるようにする。所定タイミングで剥離したラベル3は吸着ロール42の所定箇所に吸着される。
【0052】
吸着ロール42の所定箇所とは、吸着ロール42に乗り移ったラベル3の容器1への貼付が、搬送装置用認識装置24の認識結果により位置を特定されている容器1の搬送方向における所定位置から始まることになる位置のことである。このようにラベル3の貼付がきちんと定まった箇所から開始される上、容器1の向き自体も前述の通り1対の丸ベルト35で挟まれることにより矯正されているので、ラベル3は位置ずれ、角度ずれなく容器1の所定箇所に貼付される。その結果、どの容器1も外観が均一化する。
【0053】
前述の通り、吸着ロール42はその下端とコンベアベルト22の上面との間隔が圧迫装置30で圧迫しない状態の容器1の厚みと同程度になる高さに配置されているから、圧迫されて膨満した容器1の高さは吸着ロール42の下端の高さを超える。この状態の容器1が図7に示すように吸着ロール42の下をくぐり抜けようとするので、容器1の上面とラベル3は吸着ロール42によって圧迫される。これにより容器1とラベル3の間から空気が追い出され、容器1とラベル3の間に気泡が存在しなくなる。このように空気を追い出しつつ容器1にラベル3を貼付することにより、外観美麗な容器1を得ることができる。また気泡が存在しないことにより容器1とラベル3の間の粘着面積が増え、ラベル3が剥離しにくくなる。
【0054】
圧迫装置30は容器1の動きを止めることなく容器1を圧迫するから、ラベル貼付装置10は作業効率の高いものとなる。なお本実施形態では丸ベルト35で誘導体31を構成したが、丸ベルト以外のベルト、例えば平ベルトやタイミングベルトを用いることも可能である。
【0055】
図9に本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、圧迫装置30の誘導体31を構成するのがベルトでなくローラであるという点である。図9では多数のローラ70がずらりと並んで搬送方向下流側に進むに従い相互間隔が所定値まで漸減する1対の誘導体31を構成している。
【0056】
ローラ70のうち、容器1の圧迫に関与する区間のローラ70は、容器1を積極的に搬送方向に送る原動ローラとすることができる。残余のローラ70は自分で積極的に回転することのない従動ローラとすればよい。なお、容器1の圧迫に関与する区間のローラ70であっても、全数を原動ローラとする必要はなく、一部を従動ローラで済ますことができる。例えば、原動ローラと従動ローラが1個おきに並ぶといった構成が可能である。
【0057】
第2実施形態でも圧迫装置30による容器1の圧迫は容器1の動きを止めることなく行われるから、ラベル貼付装置10は作業効率の高いものとなる。
【0058】
図10に本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態の特徴とする点は、圧迫装置30の誘導体31を構成するのがベルトでなく板状部材71であるという点である。図10ではく字状に曲がった板状部材71が搬送方向下流側に進むに従い相互間隔が所定値まで漸減する1対の誘導体31を構成している。
【0059】
板状部材71は金属板で形成することができるが、容器1の進行を阻害しないよう、容器1が接触する面にフッ素樹脂加工等の摩擦低減加工を施しておくのがよい。板状部材71全体を摩擦係数の小さい樹脂材料で成型してもよい。
【0060】
第3実施形態でも圧迫装置30による容器1の圧迫は容器1の動きを止めることなく行われるから、ラベル貼付装置10は作業効率の高いものとなる。
【0061】
これまでに説明した実施形態では、同種の誘導体31を1対、向かい合わせに配置したが、異種の誘導体31を組み合わせてもよい。例えば、搬送装置20の片側には第1実施形態で紹介したベルト方式の誘導体31を配置し、反対側には第2実施形態で紹介したローラ方式の誘導体31あるいは第3実施形態で紹介した板状部材方式の誘導体31を配置する、といった構成が可能である。
【0062】
図11に本発明の第4実施形態を示す。第4実施形態はラベル移載装置40の構成がこれまでの実施形態と異なっている。すなわち第4実施形態のラベル移載装置40はラベル吸着装置41を含まず、その代わりにラベル供給装置50を含む形で構成される。
【0063】
ラベル供給装置50は、剥離ブレード54の先端で急角度に方向転換することにより剥離テープ51から剥離したラベル3が、粘着面を容器1の上面に向ける形で容器1に向かって突き出すこととなる位置に配置されている。言うまでもないが、この時の容器1は圧迫装置30で圧迫されて内圧を高められ、膨満状態となっている。
【0064】
ラベル供給装置50はラベル3の突き出し速度が容器1の搬送速度とほぼ等しくなるように剥離テープ51を送る。このため容器1に向かって突き出したラベル3は粘着面の1箇所が容器1の上面に接触した後は容器1と同期して動き、それと同時にラベル3の保持主体は剥離テープ51から容器1へと移り変わって行く。
【0065】
ラベル3を容器1の上に単に置くだけでは、ラベル3と容器1の間からの空気の排除が確実なものとならない。そこで、ラベル3の先端と容器1との接触が始まる地点の少し下流側に押圧体45を配置する。図11に示す押圧体45は、軸線が搬送装置20の搬送経路と直交する形で配置された水平な押圧ロール46により構成されている。押圧ロール46は、その下端とコンベアベルト22の上面との間隔が圧迫装置30で圧迫しない状態の容器1の厚みと同程度になる高さに配置される。
【0066】
押圧ロール46のところには、容器1とラベル3の中で接触が始まったばかりの箇所がやって来る。この箇所が押圧ロール46の下をくぐり抜けようとするので、容器1の上面とラベル3は押圧ロール46によって圧迫される。これにより容器1とラベル3の間から空気が追い出され、容器1とラベル3の間に気泡が存在しなくなる。このように空気を追い出しつつ容器1にラベル3を貼付することにより、外観美麗な容器1を得ることができる。
【0067】
押圧ロール46はラベル3よりも幅広であり、ラベル3の全幅に圧力を及ぼす。押圧ロール46は容器1の動きに従動して回転するものであってもよく、容器1を搬送方向に進める向きに積極的に回転するものであってもよい。
【0068】
押圧体45は押圧ロール46以外のもので構成することもできる。例えば容器1とラベル3をしごく「へら」のような部材を押圧体45とすることができる。
【0069】
ラベル供給装置50の剥離ブレード54を動力源により垂直面内で揺動させる構成も可能である。剥離ブレード54の先端を常時は持ち上げておき、ラベル3が所定長さ突き出してから剥離ブレード54の先端を下げてラベル3の先端を容器1の上面に接触させることとすれば、ラベル3と容器1の接触開始位置をより制御しやすくなる。
【0070】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、柔軟性容器へのラベル貼付装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 柔軟性容器
3 ラベル
10 ラベル貼付装置
20 搬送装置
24 搬送装置用認識装置
30 圧迫装置
31 誘導体
35 丸ベルト
40 ラベル移載装置
41 ラベル吸着装置
42 吸着ロール
45 押圧体
50 ラベル供給装置
56 ラベル供給装置用認識装置
60 制御装置
70 ローラ
71 板状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11