特許第6243692号(P6243692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243692
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】開閉装置、及び、中柱固定装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/58 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   E06B9/58 B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-209649(P2013-209649)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-74878(P2015-74878A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−273204(JP,A)
【文献】 実開昭61−201495(JP,U)
【文献】 米国特許第04449562(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に移動可能に設けられて開口部を開閉可能なように互いに隣り合う如く設けられた各開閉体と、互いに隣り合う開閉体と開閉体との間に配置されて互いに隣り合う各開閉体の側縁を上下方向に移動可能に支持する中柱と、当該中柱の下端を固定するために前記開口部の床に設置された中柱固定装置とを備えた開閉装置において、
前記中柱固定装置が、底板と側板と天板構成部とで囲まれた中空空間を有した中空容器を備え、
前記天板構成部が、天板と、当該天板の周囲を囲むように設けられた天板周囲板とを備え、
前記天板の上面と前記天板周囲板の上面との境界には段差が形成されて、前記天板周囲板の上面が前記天板の上面よりも前記中空容器の底面から離れた位置に形成され、
前記中柱固定装置は、前記天板周囲板における互いに平行に対向する一対の端縁側が前記中空容器の底板側に向けて折曲された一対の横移動規制片と、前記中空容器の互いに対向する一対の側板より互いに離れる方向に延長して前記天板と対向するように設けられた一対の浮き上がり規制片とを備えて、前記中空容器の天板の上面が床面よりも下方に位置するように前記床に設置され、
前記中空容器の天板が前記中空容器の中空空間と連通する貫通孔を備え、
前記中柱の下端部に設けられた固定手段が前記天板の上方から前記貫通孔を貫通して前記中空空間に挿入されることによって前記中柱が前記床に固定されることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記天板周囲板の上面と前記床面とが同一平面上に位置されたことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記天板周囲板で囲まれた前記天板の上面を底面とする凹部の深さ寸法が、当該凹部の上端開口縁を形成する長方形の短辺の長さ寸法の10%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記天板は、回転可能な可動天板を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記可動天板には、前記中柱の下端部に設けられた係合板を貫通させる可動貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の開閉装置。
【請求項6】
上下方向に移動可能に設けられて開口部を開閉可能なように互いに隣り合う如く設けられた開閉体と開閉体との間に配置されて互いに隣り合う各開閉体の側縁を上下方向に移動可能に支持する中柱の下端を固定するために前記開口部の床に設置される中柱固定装置において、
底板と側板と天板構成部とで囲まれた中空空間を有した中空容器を備え、
前記天板構成部は、前記中柱の下端部に設けられた固定手段を当該中空容器の中空空間に貫通させるための貫通孔を備えた天板と、当該天板の周囲を囲むように設けられた天板周囲板とを備え、
前記天板の板面と前記天板周囲板の板面との境界には段差が形成され、前記天板周囲板の板面が前記天板の板面よりも前記中空容器の底面から離れた位置に形成され
前記天板周囲板における互いに平行に対向する一対の端縁側が前記中空容器の底板側に向けて折曲された一対の横移動規制片と、
前記中空容器の互いに対向する一対の側板より互いに離れる方向に延長して前記天板と対向するように設けられた一対の浮き上がり規制片とを備えたことを特徴とする中柱固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体を上下方向に移動可能に支持する中柱の下端を固定するための中柱固定装置を備えた開閉装置、及び、中柱固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、倉庫等の建物の出入り口等の開口幅(間口)の広い開口部に設置される開閉装置としてのシャッター装置として、上下方向に移動可能に設けられて開口部を開閉可能なように左右で互いに隣り合う如く設けられた複数の開閉体と、互いに左右で隣り合うように設けられた開閉体と開閉体との間に配置されて互いに隣り合う各開閉体の側縁を上下方向に移動可能に支持する中柱と、当該中柱の下端を固定するために開口部の床に埋め込まれるように設置された中柱固定装置とを備えた構成のものが知られている。
中柱は下端側に中柱の下端を中柱固定装置に固定するための固定手段を備える。
中柱固定装置は、中空容器により形成され、中空容器の天板の上面と床面とが同一面上に位置されるようにコンクリート床等の床に設置される。
中柱固定装置の一例として、中空容器の天板の上面が床面と面一な状態に固定された構成の中柱固定装置が知られている。当該天板固定構成の中柱固定装置の場合、天板には、中柱の下端部に設けられた固定手段を中空容器の外側から中空容器の中空空間内に挿入させるための貫通孔が形成されている。そして、当該中柱固定装置の天板上に中柱の下端を位置させた後に固定手段を天板の貫通孔に通して固定手段が上方に移動しないように構成されたことによって、中柱の下端が中柱固定装置に固定されて床に固定される(特許文献1等参照)。
また、中柱固定装置の他例として、中空容器の天板における周縁部及び前記貫通孔の周囲部分以外の中央側部分がヒンジを介して回動可能となった可動天板により構成され、当該可動天板の板面が、床面と直交する状態及び床面と面一な状態となるように設定可能に構成された中柱固定装置が知られている。当該可動天板構成の中柱固定装置の場合、中柱の下端部には、前記固定手段と、中柱の中心線と直交するように設けられたガイド板とを備え、当該ガイド板には固定手段を案内するガイド孔が形成されている。また、可動天板には、前記ガイド板を貫通させるための可動貫通孔が形成されている。そして、可動貫通孔が貫通孔に近づくように可動天板を回動させて可動天板の板面が床面と直交する状態となるように設定するとともに、前記ガイド板を可動貫通孔に通してガイド孔が貫通孔の真上に位置されるように設定した後、固定手段をガイド孔及び貫通孔に通して固定手段が上方に移動しないように構成されたことによって、中柱の下端が中柱固定装置に固定されて床に固定される(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−317852号公報
【特許文献2】実公昭58−51356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の中柱固定装置は、天板の上面と床面とが同一面上に位置されるように床に設置されているので、天板に荷重が加わりやすく、荷重が天板に繰り返し加わることによって天板が変形する虞があった。
本発明は、天板の変形防止効果の高い中柱固定装置を備えた開閉装置、及び、中柱固定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る開閉装置は、上下方向に移動可能に設けられて開口部を開閉可能なように互いに隣り合う如く設けられた各開閉体と、互いに隣り合う開閉体と開閉体との間に配置されて互いに隣り合う各開閉体の側縁を上下方向に移動可能に支持する中柱と、当該中柱の下端を固定するために前記開口部の床に設置された中柱固定装置とを備えた開閉装置において、前記中柱固定装置が、底板と側板と天板構成部とで囲まれた中空空間を有した中空容器を備え、前記天板構成部が、天板と、当該天板の周囲を囲むように設けられた天板周囲板とを備え、前記天板の上面と前記天板周囲板の上面との境界には段差が形成されて、前記天板周囲板の上面が前記天板の上面よりも前記中空容器の底面から離れた位置に形成され、前記中柱固定装置は、前記天板周囲板における互いに平行に対向する一対の端縁側が前記中空容器の底板側に向けて折曲された一対の横移動規制片と、前記中空容器の互いに対向する一対の側板より互いに離れる方向に延長して前記天板と対向するように設けられた一対の浮き上がり規制片とを備えて、前記中空容器の天板の上面が床面よりも下方に位置するように前記床に設置され、前記中空容器の天板が前記中空容器の中空空間と連通する貫通孔を備え、前記中柱の下端部に設けられた固定手段が前記天板の上方から前記貫通孔を貫通して前記中空空間に挿入されることによって前記中柱が前記床に固定されることを特徴とする。
また、前記天板周囲板の上面と前記床面とが同一平面上に位置されたことを特徴とする。
また、前記天板周囲板で囲まれた前記天板の上面を底面とする凹部の深さ寸法が、当該凹部の上端開口縁を形成する長方形の短辺の長さ寸法の10%以上であることを特徴とする。
また、前記天板は、回転可能な可動天板を備えたことを特徴とする。
また、前記可動天板には、前記中柱の下端部に設けられた係合板を貫通させる可動貫通孔が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る中柱固定装置は、上下方向に移動可能に設けられて開口部を開閉可能なように互いに隣り合う如く設けられた開閉体と開閉体との間に配置されて互いに隣り合う各開閉体の側縁を上下方向に移動可能に支持する中柱の下端を固定するために前記開口部の床に設置される中柱固定装置において、底板と側板と天板構成部とで囲まれた中空空間を有した中空容器を備え、前記天板構成部は、前記中柱の下端部に設けられた固定手段を当該中空容器の中空空間に貫通させるための貫通孔を備えた天板と、当該天板の周囲を囲むように設けられた天板周囲板とを備え、前記天板の板面と前記天板周囲板の板面との境界には段差が形成され、前記天板周囲板の板面が前記天板の板面よりも前記中空容器の底面から離れた位置に形成され、前記天板周囲板における互いに平行に対向する一対の端縁側が前記中空容器の底板側に向けて折曲された一対の横移動規制片と、前記中空容器の互いに対向する一対の側板より互いに離れる方向に延長して前記天板と対向するように設けられた一対の浮き上がり規制片とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る開閉装置によれば、中柱固定装置は、天板周囲板における互いに平行に対向する一対の端縁側が中空容器の底板側に向けて折曲された一対の横移動規制片と、前記中空容器の互いに対向する一対の側板より互いに離れる方向に延長して前記天板と対向するように設けられた一対の浮き上がり規制片とを備えて、天板の上面が床面よりも下方に位置するように床に設置されたので、天板に荷重が加わりにくくなり、天板の変形防止効果の高い中柱固定装置を備えた開閉装置となる。
また、天板周囲板の上面と床面とが同一平面上に位置されたことにより、車両の荷重が天板に加わりにくくなり、天板の変形防止効果の高い中柱固定装置を備えた開閉装置となる。
また、天板周囲板で囲まれた天板の上面を底面とする凹部の深さ寸法を、当該凹部の上端開口縁を形成する長方形の短辺の長さ寸法の10%以上とすれば、例えば、タイヤの外径寸法が405mm、当該タイヤの幅寸法が105mm、凹部の上端開口縁を形成する長方形の短辺の長さ寸法が55mm、凹部の上端開口縁を形成する長方形の長辺の長さ寸法が110mm、凹部の深さ寸法が5.5mmの場合において、タイヤが凹部上を通過する際に、タイヤ幅方向の両側部分が天板周囲板の上面に接触せず、かつ、タイヤの踏面のタイヤ周方向における異なる2箇所が凹部の上端開口縁における互いに対向する長辺縁に接触した状態において、凹部内に入り込むタイヤの踏面が凹部の底面に接触しないようにでき、天板の変形防止効果の高い中柱固定装置を備えた開閉装置となる。
また、天板は、回転可能な可動天板を備えたので、天板の変形防止効果の高い耐風タイプの中柱固定装置を備えた開閉装置となる。
また、可動天板には、中柱の下端部に設けられた係合板を貫通させる可動貫通孔が形成されているので、天板の変形防止効果の高い耐風タイプの中柱固定装置を備えた開閉装置となる。
本発明に係る中柱固定装置によれば、天板の板面と天板周囲板の板面との境界には段差が形成され、天板周囲板の板面が天板の板面よりも中空容器の底面から離れた位置に形成され、天板周囲板における互いに平行に対向する一対の端縁側が中空容器の底板側に向けて折曲された一対の横移動規制片と、中空容器の互いに対向する一対の側板より互いに離れる方向に延長して天板と対向するように設けられた一対の浮き上がり規制片とを備えたので、天板周囲板を形成する板の上面と床面とが同一面上に位置され、かつ、天板の上面が天板周囲板を形成する板の上面及び床面よりも下方に位置するように床に設置されることにより、天板の変形防止効果の高い中柱固定装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッター装置の斜視図。
図2】床に埋め込まれるように設置された中柱固定装置の斜視図。
図3図3(a)は図2(a)のA−A断面図、図3(b)は図2(a)のB−B断面図。
図4図4(a)は中柱固定装置の平面図(上面図)、図4(b)は中柱固定装置の正面図、図4(c)は中柱固定装置の側面図。
図5】可動天板の貫通孔と係合板とを係合させて中柱を中柱固定装置に固定した状態を示す斜視図。
図6】可動天板の貫通孔と係合板とを係合させて中柱を中柱固定装置に固定する手順を示す断面図。
図7】可動天板の貫通孔と係合板とを係合させないで中柱を中柱固定装置に固定した状態を示す斜視図。
図8】可動天板の貫通孔と係合板とを係合させないで中柱を中柱固定装置に固定する手順を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、実施形態による開閉装置としてのシャッター装置1は、開閉体収容ケースとしてのシャッターケース(以下、ケースと略す)2、工場、倉庫等の建物の出入り口等の開口部13を開閉する開閉体としての左右のシャッターカーテン4A;4B、左右のガイドレール5A;5B、左右のシャフト6A;6B、中柱50、中柱固定装置60を備える。
【0009】
シャッター装置1の概要構成は、以下の通りである。
ケース2が、シャフト及びシャフトに巻き取られたシャッターカーテンを収容可能な箱状体により形成されて建物の開口部13の上方に位置する建物の躯体14にボルトのような固定具や溶接等の固定手段により固定されている。
開口部13の左縁側に配置された左ガイドレール5Aと、開口部13の右縁側に配置された右ガイドレール5Bとを備えている。
中柱50が、開口部13の左右の中央位置に配置されている。中柱50の下端50Aが中柱固定装置60により床9に固定される。尚、中柱50の上端の取付構成としては、ケース2に設けられた図外の着脱部に着脱可能となった構成、ケース2に設けられた図外のレールに移動可能に取付けられている構成等がある。
開口部13の左右の中央位置に中柱50が上下方向に延長するように設けられたことによって、開口部13が、開口部13の左縁側に設けられた左ガイドレール5Aと中柱50との間の左開口部13Aと、開口部13の右縁側に設けられた右ガイドレール5Bと中柱50との間の右開口部13Bとに区画されている。
シャッターカーテンとして、左開口部13Aを開閉する左シャッターカーテン4Aと、右開口部13Bを開閉する右シャッターカーテン4Bとを備えている。
シャフトとして、左シャッターカーテン4Aを巻き取り及び繰り出し可能なように当該左シャッターカーテン4Aの上端側が吊元12を介して連結された左シャフト6Aと、右シャッターカーテン4Bを巻き取り及び繰り出し可能なように当該右シャッターカーテン4Bの上端側が吊元12を介して連結された右シャフト6Bとを備えている。
【0010】
左ガイドレール5Aは、左シャッターカーテン4Aの左側縁を上下方向に移動可能にガイドするための部材であり、当該左側縁をガイドするために開口部13の上下方向に延長するガイド溝5aを備える。
右ガイドレール5Bは、右シャッターカーテン4Bの右側縁を上下方向に移動可能にガイドするための部材であり、当該右側縁をガイドするために開口部13の上下方向に延長するガイド溝5bを備える。
左ガイドレール5A及び右ガイドレール5Bは、それぞれ図外の固定部材を介して躯体14に固定されている。
【0011】
中柱50は、上下方向に移動可能に設けられて開口部13を開閉可能なように左右に互いに隣り合うように設けられた左シャッターカーテン4Aと右シャッターカーテン4Bとの間に配置されて互いに隣り合う左シャッターカーテン4Aの右側縁と右シャッターカーテン4Bの左側縁とを上下方向に移動可能に支持するガイドレールとしての機能を備えた柱である。
即ち、中柱50は、開口部13を上下方向に開閉可能なように左右横並びに設置されて互いに隣り合う左シャッターカーテン4Aと右シャッターカーテン4Bとの間に配置されて、当該左右のシャッターカーテン4A;4Bの互いに隣り合う側縁を開閉方向に案内するガイドレールとして機能するガイド溝5c;5dを備えた構成である。
中柱50は、例えば、断面C形状の柱の背面(ガイド溝の入口となる開口部と対向する面)同士が溶接等によって接合されて構成される。
【0012】
左右のシャッターカーテン4A;4Bは、それぞれ、スラット10と水切11と吊元12とを備え、スチール等の金属により形成される。
スラット10は、複数のスラット部材10aにより形成される。スラット部材10aは、シャフト6A;6Bの中心軸線6a;6aに沿った方向に長い長尺部材により形成される。スラット10は、複数のスラット部材10aがスラット部材10aの長手方向(スラット部材10aの長辺に沿った方向)と直交する方向に連続するように、隣り合うスラット部材10a同士の長手方向の両端位置を揃えて長辺同士が図外の係合部によって互いに接続され、接続部分で折れ曲がり可能となった矩形板状に形成される。
水切11がスラット10におけるスラット部材10aの長手方向と直交する方向の一端(スラット10の下端)に位置されるスラット部材10aの長辺に連結され、吊元12がスラット10におけるスラット部材10aの長手方向と直交する方向の他端(スラット10の上端)に位置されるスラット部材10aの長辺に連結される。
水切11は、シャフト6A;6Bの中心軸線6a;6aに沿った方向に長く、長手方向(水切11の長辺に沿った方向)と直交する断面形状が逆T字形状の長尺部材により形成され、下端に位置する断面逆T字の横辺に相当する部分が水平部11bとなる。水平部11bの長手方向の長さはスラット部材10aの長手方向の長さよりも短く、水切11の長手方向の中心位置とスラット部材10aの長手方向の中心位置とを揃えて水切11の逆T字の垂直部11aの長辺とスラット10の一端に位置されるスラット部材10aの長辺とが図外の係合部によって互いに接続される。
吊元12は、スラット10の他端に位置されるスラット部材10aの長辺に沿って当該長辺に間欠的に設けられる連結部材であり、開口部13の上方に位置する躯体14に固定されたケース2における左右のシャッターカーテン4A;4Bの図外の出口孔を経由して左右のシャフト6A;6Bにそれぞれ連結される。
【0013】
左右のシャフト6A;6Bは、ケース2内において、それぞれシャフト6A;6Bの中心軸線6a;6aを回転中心として個別に回転可能に設置され、左右のシャッターカーテン4A;4Bは、左右のシャフト6A;6Bの回転によってそれぞれ個別に巻き取り及び繰り出し可能に構成される。
尚、左右のシャッターカーテン4A;4Bの開閉方式は、シャフトに図外のスプリングを設置することにより当該スプリングの反発力とシャッターカーテンの重さとのバランスが保たれるように構成されて左右のシャッターカーテン4A;4Bを手動で開閉できるように構成された方式、又は、シャフトをモータ等の駆動源を用いて正逆回転させることにより左右のシャッターカーテン4A;4Bを開閉できるように構成された方式のいずれであっても良い。
【0014】
中柱固定装置60は、図1に示すように中柱50の下端50Aを床9に固定する装置であり、図2図3に示すように中空空間61Aを有した中空容器を備えた構成である。
中柱固定装置60は、例えば、四角形状の底板62と、底板62の4辺縁側より立ち上がるように設けられた側板63;63…と、底板62と側板63;63…とで囲まれた上部開口の空間と、当該空間の上部開口を覆うように側板63;63…の上端部と連結された天板構成部64とを備え、当該底板62と側板63;63…と天板構成部64とで囲まれた中空空間61Aを有した中空容器を備えた構成である。
天板構成部64は、天板65と、天板65の周囲を囲むように設けられた天板周囲板66とを備える。
天板65の上面68となる板面と天板周囲板66の上面67となる板面との境界には段差が形成され、天板周囲板66の上面67が天板65の上面68よりも中空容器の底面から離れた位置に形成されている。
尚、天板構成部64は、それぞれ別体として形成された天板65を形成する板と天板周囲板66を形成する板とが溶接等により接合されて形成された構成であってもよいし、一枚の板が加工されて天板65と天板周囲板66とが形成された構成であってもよい。
【0015】
中柱固定装置60は、天板周囲板66を形成する板の一方の板面である上面67(以下、天板周囲板66の上面67という)と床面9aとが同一平面上に位置され、かつ、天板65を形成する板の一方の板面である上面68(以下、天板65の上面68という)が天板周囲板66の上面67や床面9aよりも下方に位置されるように、底板62及び側板63;63…側がコンクリート床等の床9に埋め込まれて床9に固定設置される。
即ち、天板周囲板66の上面67と天板65の上面68との間に段差が設けられたことにより、中柱固定装置60の上面が、天板周囲板66で囲まれた天板65の上面68を底面とする凹部71を備えた構成となり、当該中柱固定装置60の天板周囲板66の上面67と床面9aとが同一の平面上に位置するように当該中柱固定装置60が床9に埋設されたことによって、天板65上を通過する車両のタイヤ、例えば、フォークリフトの操舵輪69の踏面69aが天板65に接触しないように構成されている(図3(b)参照)。
【0016】
例えば、凹部71が直方体状の凹部空間を備えた凹部に形成される場合を例にして説明する。
凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の短辺の長さ寸法、及び、凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の長辺の長さ寸法を、フォークリフトの操舵輪69を構成するタイヤの幅寸法よりも短くし、当該操舵輪69が凹部71上を通過する際において操舵輪69の踏面69aにおけるタイヤ幅方向の両側部分が天板周囲板66の上面67に接触するように構成される場合には、凹部71の深さ寸法は、操舵輪69の踏面69aのタイヤ幅方向に沿った曲率を考慮して、凹部71上を通過する操舵輪69のタイヤ幅方向の中央部の踏面69aが凹部71の底面71Aに接触しないような所定の深さ(言い換えれば、所定量の下方位置)に設定すればよい。
【0017】
凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の短辺の長さ寸法、及び、凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の長辺の長さ寸法を、フォークリフトの操舵輪69のタイヤの幅寸法よりも長くした場合は、当該操舵輪69が凹部71上を通過する際において操舵輪69の踏面69aにおけるタイヤ幅方向の両側部分が天板周囲板66の上面67に接触しない場合が想定される。この場合、凹部71の深さは、操舵輪69の踏面69aのタイヤ周方向に沿った曲率を考慮して、操舵輪69のタイヤ幅方向の中央部の踏面69aが凹部71の底面71Aに接触しないような深さに設定すればよい。即ち、この場合、図3(b)に示すように、操舵輪69が凹部71上を通過する際に操舵輪69の踏面69aのタイヤ周方向における異なる2箇所69c;69dが凹部71の上端開口縁71aの互いに対向する長辺縁71c;71dに接触した状態において、凹部71内に入り込む操舵輪69の踏面69aが凹部71の底面71Aに接触しないように、凹部71の深さを設定すればよい。
【0018】
例えば、操舵輪69となるタイヤの外径寸法が405mm、当該タイヤの幅寸法が105mmの場合、凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の短辺の長さ寸法が55mm、凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の長辺の長さ寸法が110mm、凹部71の深さ寸法が5.5mmに形成される。
この場合、凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の長辺の長さ寸法>タイヤの幅寸法であるので、当該操舵輪69が凹部71上を通過する際において操舵輪69のタイヤ幅方向の両側部分が天板周囲板66の上面67に接触しない可能性がある。よって、この場合、図3(b)に示すように、操舵輪69が凹部71上を通過する際に凹部71の上端開口縁71aにおける互いに対向する長辺縁71c;71dに操舵輪69のタイヤの踏面69aのタイヤ周方向における異なる2箇所69c;69dが接触した状態において、凹部71内に入り込む操舵輪69の踏面69aが凹部71の底面71Aに接触しないように、操舵輪69のタイヤの周方向の曲率を考慮して、凹部71の深さ寸法を設定する。
尚、凹部71の深さ寸法は、凹部71の上端開口縁71aを形成する長方形の短辺の長さ寸法の10%以上とすることが好ましい。
【0019】
凹部71の底板を形成する天板65は、周縁側天板72と可動天板73とを備える。
周縁側天板72は、凹部71の底板の周縁部分により形成され、可動天板73は、凹部71の底板において周縁側天板72で囲まれた内側部分により形成される。
例えば、凹部71の底板(天板65)の外形が長方形に形成される場合、周縁側天板72は、凹部71の底板の周縁部分を形成する長方形枠状の板により形成され、可動天板73は、凹部71の底板において長方形枠状の周縁側天板72で囲まれた長方形状の板により形成される。
【0020】
より具体的には、図4(a)に示すように、長方形枠状の周縁側天板72は、凹部71の長方形の底板(天板65)における一方の長辺縁側の部分の中央側が、凹部71の長方形の底板における他方の長辺側に向けて張り出すように形成されて他方の長辺に沿った方向に長い形状の長方形状板部74に形成され、この長方形状板部74には当該長方形状板部74を貫通する貫通孔75が形成されている。
また、可動天板73は、凹部71の底板において一方の長辺縁側の部分である長方形状板部74及び凹部71の底板の周縁部分を除いた部分により形成される。当側可動天板73において凹部71の長方形の底板における他方の長辺縁側の部分には可動貫通孔76が形成されている。
【0021】
可動天板73は、長方形の両方の短辺側に形成されたヒンジ77;77を介して回転可能に構成される。当該ヒンジ77は、例えば、可動天板73の長方形の両方の短辺に対応する側板63;63に形成された回転支持孔78;78と、可動天板73の長方形の両方の短辺側に設けられた回転中心軸体79;79とを備え、回転中心軸体79が回転支持孔78内に回転可能に設けられて、可動天板73が回転中心軸体79の中心軸線を回転中心として回転可能に構成される(図3(a)参照)。
即ち、可動天板73は、天板65における周縁部及び固定貫通孔75の周囲部分以外の中央側部分がヒンジ77を介して回動可能に構成されている。
また、図2乃至図4に示すように、天板周囲板66における互いに平行に対向する一対の端縁側が底板62側に向けて折曲された一対の横移動規制片80;80と、互いに対向する一対の側板より互いに離れる方向に延長して周縁側天板72と対向するように設けられた一対の浮き上がり規制片81;81とを備えている。
【0022】
尚、左シャッターカーテン4Aと右シャッターカーテン4Bとが、開口部13を上下方向に開閉可能なように左右横並びに設置されて互いに隣り合うように設けられている関係上、中柱固定装置60は、凹部71の長方形の底板(天板65)における長辺が開口部13の左右方向に沿って延長するような状態となるよう、底板62及び側板63;63…側がコンクリート床等の床9に埋め込まれて床9に固定設置されるようにすることで、車両は、天板65の長辺と交差する方向から凹部71上を通過するようになる。従って、このように、中柱固定装置60の凹部71の長方形の底面71A(天板65の上面68)における長辺が開口部13の左右方向に沿って延長するように構成した場合、車両の操舵輪69のタイヤの周方向の曲率を考慮して凹部71の深さ寸法を適切に設定することによって、凹部71内に入り込む操舵輪69の踏面69aが凹部71の底面71A(天板65の上面68)に接触しにくくなり、本発明の効果を有効に得ることができる構成となる。
また、本発明において「床面9a」とは、説明上分かりやすくするための便宜上の表現であって、通常の床面のみならず、コンクリート面や地面等の開口部13の下方に位置する面を意味し、床9や床面9aの材質や部材も任意である。
さらに、本発明において「接触しない」とは、実際に接触しないことは勿論、天板65に加わる荷重が稀少である等、使用上において支障が無い程度は接触しても良いことの意味も含んでいる。
【0023】
中柱50の下端部には、固定手段100Aと係合手段100Bとを備える。
固定手段100Aは、貫通孔75を経由して中空空間61Aに出入り可能となった挿脱部材101と、挿脱部材の操作部102と、挿脱部材101の移動規制手段103とを備える。
係合手段100Bは、床面と直交する状態となるように回動された可動天板の貫通孔を貫通する係合板110と、挿脱部材101が貫通可能なように係合板110に形成された貫通孔120とを備える。
【0024】
中柱50の下端50Aを中柱固定装置60に固定する方法について説明する。
左右のシャッターカーテン4A;4Bが左右のシャフト6A;6Bに巻き取られた状態とした後、図6(a)に示すように、可動天板73の貫通孔76が周縁側天板72の貫通孔75に近づくように可動天板73を回動させて可動天板73の板面が床面9aと直交する状態となるように設定する。図6(a):(b)に示すように、中柱50の下端部に設けられている係合板110を可動天板73の貫通孔76に通して係合板110の貫通孔120が周縁側天板72の貫通孔75の真上に位置されるように設定した後、操作部102を操作して、挿脱部材101が係合板110の貫通孔120及び周縁側天板72の貫通孔75を通過して中空空間61Aに挿入されることによって、図5に示すように、中柱50が水平方向に移動しないように中柱50が中柱固定装置60に固定される。
【0025】
また、係合手段100Bを使用しない場合には、左右のシャッターカーテン4A;4Bが左右のシャフト6A;6Bに巻き取られた状態とした後、図8(a)に示すように、係合板110の貫通孔120が周縁側天板72の貫通孔75の真上に位置されるように設定した後、操作部102を操作して、図8(b)に示すように、挿脱部材101が係合板110の貫通孔120及び周縁側天板72の貫通孔75を通過して中空空間61Aに挿入されることによって、図7に示すように、中柱50が床面9a上を水平方向に移動しないように中柱50が中柱固定装置60に固定される。
【0026】
実施形態のシャッター装置1によれば、開口部13の下の床9に埋め込まれるように設置された中柱固定装置60の天板65が床9の床面9aよりも下方に位置するように構成されたので、天板65上を通過する車両のタイヤの踏面が天板65に接触しにくくなり、車両の荷重が天板65に加わりにくくなるので、天板65が変形しにくくなる。
【0027】
特に、フォークリフトの操舵輪69の踏面69aが天板65に接触しないように、天板周囲板66で囲まれた天板65の上面68を底面71Aとする凹部71の上端開口縁71aの寸法、及び、凹部71の深さ寸法を設定したので、トラックや乗用車等のタイヤと比べてタイヤの径が小さくてタイヤの幅も狭い操舵輪69が凹部71を通過する際に凹部71の底面71A(天板65の上面68)に接触することを防止でき、天板65の変形を防止できる。
【0028】
従来の中柱固定装置では、中柱固定装置の天板の上面と床面とが同一面上に位置されるように床に設置されていたので、天板上を車両のタイヤが通過する場合等、タイヤの踏面が天板の上面に接触して車両の荷重が天板に加わるため、車両のタイヤが天板上を通過するという現象が繰り返されることによって天板が変形しやすくなり、天板が変形した場合、天板に形成された貫通孔の位置がずれてしまったり、可動天板が可動しにくくなって、中柱固定装置を使用できなくなる虞があったが、本発明の実施形態1によれば、天板65の変形防止効果の高い中柱固定装置60を提供できるようになった。
【0029】
尚、実施形態では、耐風タイプと呼ばれるような可動天板構成の中柱固定装置について説明したが、本願発明の構成は、可動天板を備えない構成の中柱固定装置であっても適用可能である。
【0030】
また、実施形態では、天板65と、天板65の周囲を囲むように設けられた天板周囲板66とを備え、天板周囲板66の上面67と天板65の上面68との間に段差が設けられた構成の中柱固定装置60を使用し、当該中柱固定装置60の天板周囲板66の上面67と床面9aとが同一の平面上に位置するように当該中柱固定装置60を床9に設置した構成の開閉装置としたが、中空容器の天板に貫通孔が形成された構成の中柱固定装置を用いて、当該天板の上面が床面よりも下方に位置するように床に設置された構成の開閉装置であればよい。
また、中空空間61Aに相当する箇所の上方に位置する天板65の上面68は、床面9aよりも下方に位置していれば良く、平面、又は、上方に突出する突起部を備えた面、又は、下方に窪む凹部を備えた面であってもよい。
例えば、天板65の上面68において凹部71の中央側に位置する上面68の部分を、他の部分よりも隆起させて他の部分よりも上方に位置させた構成とすれば、天板65の強度を向上させることができ、天板65が変形しにくくなる。また、天板65の上面68において凹部71の中央側に位置する上面68の部分を、他の部分よりも窪ませて他の部分よりも下方に位置させた構成とすれば、タイヤの踏面と天板65との接触をより防止でき、車両の荷重が天板65により加わりにくくなるので、天板65が変形しにくくなる。
【0031】
また、本発明の適用対象となる開閉装置の開閉体をシャッターカーテンとした場合、その構成態様としては、所謂スラットを上下方向に複数連設した態様だけではなく、パイプ、パネル、シート状物又はネット状物を単数もしくは複数連設して成る態様のシャッターカーテン、あるいは、スラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物を適宜に組合せたシャッターカーテンでもよい。所謂、オーバヘッドタイプのシャッターカーテンにも適用できる。
【0032】
本発明は、ガイドレールを備え、このガイドレールに開閉体が案内されるようなブラインド、ロールスクリーン装置、防煙垂れ幕などの開閉装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 シャッター装置(開閉装置)、4A;4B シャッターカーテン(開閉体)、9 床、9a 床面、13 開口部、50 中柱、60 中柱固定装置、65 天板。
図1
図2
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図8