特許第6243700号(P6243700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243700吸収熱変換器を備えたコンバインドサイクル発電プラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243700
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】吸収熱変換器を備えたコンバインドサイクル発電プラント
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   F01K23/10 W
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-224825(P2013-224825)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-92158(P2014-92158A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2016年10月25日
(31)【優先権主張番号】13/668,395
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ファ・ツァン
(72)【発明者】
【氏名】ジャティラ・ラナシンゲ
(72)【発明者】
【氏名】バレット・ガーディナー
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−205187(JP,A)
【文献】 特開2007−205169(JP,A)
【文献】 特開2007−064049(JP,A)
【文献】 特開2007−333336(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0132741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと蒸気タービンとを含むコンバインドサイクルタービンであって、
低圧エコノマイザと中間圧エコノマイザと高圧エコノマイザとを含んでおり、前記ガスタービンから排気を受け取り前記蒸気タービンに入力される蒸気を発生する熱回復蒸気発生器と、
前記低圧エコノマイザと流体的に連絡している吸収熱変換器であって、この吸収熱変換器による加熱のために前記低圧エコノマイザから排水を引き出し加熱された水を前記中間圧エコノマイザと前記高圧エコノマイザとの少なくとも一方に導く給水回路を含む、吸収熱変換器と、
を備え
前記給水回路が前記低圧エコノマイザからの前記排水を流す給水抽出ラインを備えており、前記給水抽出ラインは熱ラインとエネルギーラインとに並列に分割され、前記熱ラインと前記エネルギーラインとは前記吸収熱変換器に入力されるコンバインドサイクルタービン。
【請求項2】
前記吸収熱変換器が、復水器ラインを経由して前記吸収熱変換器と連絡している復水器を更に備え、
前記復水器が前記蒸気タービンと共有されている、請求項記載のコンバインドサイクルタービン。
【請求項3】
前記給水回路が前記エネルギーラインと直列のポンプを更に備え、前記ポンプは前記エネルギーラインにおける給水を前記低圧エコノマイザに戻し、
前記熱回復蒸気発生器が低圧蒸発器を備えており、前記給水回路が前記低圧エコノマイザから排水を抽出する蒸発器ラインを備えている、請求項1または2に記載のコンバインドサイクルタービン。
【請求項4】
前記吸収熱変換器が、前記排水をより低品位のエネルギーから高品位のエネルギーに加熱するように構成されており、
前記より低品位のエネルギーが華氏300度未満の前記排水で構成され、前記高品位のエネルギーが少なくとも華氏350度の加熱された水で構成される、請求項1乃至3のいずれかに記載のコンバインドサイクルタービン。
【請求項5】
前記熱回復蒸気発生器が前記低圧エコノマイザと前記吸収熱変換器との間に配置された独立水回路を備えており、前記吸収熱変換器が、前記独立水回路を経由して前記低圧エコノマイザから前記排水を引き出す、請求項1乃至4のいずれかに記載のコンバインドサイクルタービン。
【請求項6】
ガスタービンから排気を受け取り蒸気タービンに入力される蒸気を発生し、低圧エコノマイザと中圧エコノマイザと高圧エコノマイザとを備える熱回復蒸気発生器と、前記熱回復蒸気発生器の前記低圧エコノマイザと流体的に連絡している吸収熱変換器とを含むコンバインドサイクル発電プラントにおける給水回路であって、
排水を前記低圧エコノマイザから前記吸収熱変換器へ流す給水抽出ラインと、
前記給水抽出ラインから分割された熱ラインと、
前記熱ラインと並列に前記給水抽出ラインから分割され、前記熱ラインと別々に前記吸収熱変換器に入力されるエネルギーラインと、
を備え、
前記吸収熱変換器は、加熱された水を前記中間圧エコノマイザと前記高圧エコノマイザとの少なくとも一方に導く、給水回路。
【請求項7】
前記吸収熱変換器の復水器と流体的に連絡する復水器ラインを更に備え
前記エネルギーラインと直列のポンプを更に備えており、前記ポンプは前記エネルギーラインにおける給水を前記低圧エコノマイザに戻し、
前記熱回復蒸気発生器が低圧蒸発器を備えており、この給水回路が前記低圧エコノマイザから排水を抽出する蒸発器ラインを備えている、請求項記載の給水回路。
【請求項8】
前記低圧エコノマイザと前記吸収熱変換器との間に配置された独立水回路を更に備えており、前記給水抽出ラインが、前記独立水回路を経由して前記低圧エコノマイザから前記排水を引き出す、請求項6または7に記載の給水回路。
【請求項9】
ガスタービンと蒸気タービンとを含むコンバインドサイクルタービンを動作させる方法であって、
低圧エコノマイザと中間圧エコノマイザと高圧エコノマイザとを含む熱回復蒸気発生器を用いて前記ガスタービンから排気を受け取り、前記熱回復蒸気発生器を用いて、前記蒸気タービンに入力される蒸気を発生するステップと、
排水を前記低圧エコノマイザから吸収熱変換器に引き出すステップと、
前記吸収熱変換器を用いて、前記排水を、より低品位のエネルギーからより高品位のエネルギーに加熱するステップと、
前記加熱された水を前記中間圧エコノマイザと前記高圧エコノマイザとの少なくとも一方に導くステップと、
を備え
前記引き出すステップは前記排水を熱ラインと前記熱ラインと並列のエネルギーラインとの間で分割することによって実行され、前記熱ラインと前記エネルギーラインとは前記吸収熱変換器に別々に入力される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインドサイクルガスタービン発電プラントにおけるプラント効率を向上させることに関し、より詳細には、吸収熱変換器を含むコンバインドサイクル発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なコンバインドサイクルシステムでは、ガスタービンが、膨張してタービンを回転させ電気を生産するために発電機を駆動する燃料と空気との混合物を、燃焼させる。燃焼の高温ガスは、ボイラのように水が蒸気に変換される熱回復蒸気発生器の中へ排気される。このようにして作られた蒸気は、典型的には高圧、中間圧および低圧タービンを備えている蒸気タービンを駆動するが、蒸気タービンにおいては、追加的な電力を生産するための第2の発電機など更なる負荷を駆動するために、追加的な仕事が抽出される。ガスタービンと蒸気タービンとは、いくつかの構成では、共通のひとつの発電機を駆動するが、別の構成では、異なる複数の発電機を駆動する。
【0003】
コンバインドサイクルガスタービン発電プラントでは、煙道ガスの排気部が低温である低圧エコノマイザ部において、エネルギーが十分に利用されていない。よって、より低品位のエネルギーを用いてプラントの効率を向上させることが望まれる。
【0004】
吸収熱変換器(AHT)とは、工業的な過程における正しい熱的整合には低すぎる温度で利用可能な大きな熱源を、より高い温度レベルで利用可能である、より小さな熱量に変換する装置である。AHTは、電力または仕事を消費しない(または、非常に限られた量だけしか消費しない)という点で、伝統的なヒートポンプとは異なる。基本的には、AHTは、吸収逆サイクルの原理に基づいて動作する。しかし、正味の効果は、より高い温度レベルで(元々利用可能であったよりも小さな)熱量を伝達するというものである。そうすることで、この熱を工業的な過程に回復させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0132741号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある例示的な実施形態では、コンバインドサイクルタービンは、熱回復蒸気発生器と吸収熱変換器とを含む。熱回復蒸気発生器は、ガスタービンから排気を受け取り、蒸気タービンに入力される蒸気を発生する。熱回復蒸気発生器は、低圧エコノマイザと、中間圧エコノマイザと、高圧エコノマイザとを含む。吸収熱変換器は、低圧エコノマイザと流体的に連絡されている。吸収熱変換器は給水回路を含む。この給水回路は、吸収熱変換器による加熱されるように低圧エコノマイザから排水を引き出し、加熱された水を中間圧エコノマイザと前記高圧エコノマイザとの少なくとも一方に導く。
【0007】
別の例示的な実施形態では、コンバインドサイクル発電プラントにおける給水回路は、排水を低圧エコノマイザから吸収熱変換器へ流す給水抽出ラインを含む。熱ラインは給水抽出ラインから分割され、エネルギーラインは熱ラインと並列に給水抽出ラインから分割される。熱ラインとエネルギーラインとは、吸収熱変換器に、別個に入力される。
【0008】
更に別の例示的な実施形態では、コンバインドサイクルタービンを動作させる方法は、低圧エコノマイザと中間圧エコノマイザと高圧エコノマイザとを含む熱回復蒸気発生器を用いてガスタービンから排気を受け取り、熱回復蒸気発生器を用いて蒸気タービンに入力される蒸気を発生するステップと、排水を低圧エコノマイザから吸収熱変換器に引き出すステップと、吸収熱変換器を用いて、排水を、より低い品位のエネルギーからより高い品位のエネルギーに加熱するステップと、加熱された水を中間圧エコノマイザと高圧エコノマイザとの少なくとも一方に導くステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】コンバインドサイクル発電プラントの概略的な図解である。
図2】吸収熱変換器を含む熱回復蒸気発生器の低圧エコノマイザを示す概略的な図解である。
図3】別の形の設計を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、コンバインドサイクル発電プラントの概略的な図解である。コンバインドサイクル発電プラントの構造および動作は広く知られているので、その詳細については説明しない。典型的なコンバインドサイクルシステムでは、ガスタービン12が燃料と空気との混合物を燃焼させると、この混合物が膨張することにより、タービンが回転し、電気の生産のための発電機が駆動される。燃焼の高温ガスは熱回復蒸気発生器(HRSG)14の中に排気され、熱回復蒸気発生器14では水が蒸気に変換される。こうして作られた蒸気が蒸気タービン16を駆動する。蒸気タービン16は、典型的には、高圧、中間圧および低圧タービンを含んでおり、この中で追加的な仕事が抽出される。他の部品の中では、熱回復蒸気発生器14は、低圧エコノマイザ20を備えた低圧部18と、中間圧エコノマイザ24を備えた中間圧部22と、高圧エコノマイザ28を備えた高圧部26とを含む。
【0011】
説明している実施形態のシステムでは、吸収熱変換器(AHT)30が、熱回復蒸気発生器14の低圧エコノマイザ20と流体的な連絡を有するように設けられている。吸収熱変換器の機能および動作は知られているので、その詳細については説明しない。図2を参照すると、吸収熱変換器30は給水回路32を含む。この給水回路32は、吸収熱変換器30による加熱のために低圧エコノマイザ20から排水を引き出し、加熱された水を、中間圧エコノマイザ24と高圧エコノマイザ28との少なくとも一方に導く。
【0012】
給水回路32は、低圧エコノマイザ20からの排水を流す給水抽出ライン34を含む。この給水抽出ライン34は、熱ライン36とエネルギーライン38とに並列に分割される。図2に示されているように、熱ライン36とエネルギーライン38とは、吸収熱変換器30に入力される。回路32は、また、低圧エコノマイザ20からの排水を低圧蒸発器42に抽出する蒸発器ライン40を含む。低圧ドラムと接続されている低圧蒸発器42は、電力を発生する蒸気タービンのための低圧蒸気を発生する。低圧とは、50〜100psigであり、好ましくは60〜80psigである。
【0013】
吸収熱変換器30は、更に、復水器ライン46を経由してこの吸収熱変換器30と連絡する復水器44を含む。復水器44は、AHT30のための冷却水を冷却するように機能する。ある好適な実施形態によると、復水器44は、蒸気タービン復水器と共有される。
【0014】
ポンプ48は、エネルギーライン38と直列に設けられている。ポンプ48は、エネルギーライン38における給水を、低圧エコノマイザ20に戻す。
【0015】
吸収熱変換器30は、低圧エコノマイザからの十分に活用されていないより低品位のエネルギーを高品位のエネルギーに変換するように機能する。例示的な構成では、低圧エコノマイザ20から抽出された給水は、華氏300度でありうる。排水の温度を高品位のエネルギーまで上昇させることが望まれるが、これには、少なくとも華氏350度の水温が含まれる。吸収熱変換器30を用いると、エネルギーライン38からのエネルギーを、熱ライン36における給水を少なくとも華氏350度まで加熱するために抽出することが可能である。加熱された水は、次に、中間圧エコノマイザ24および/または高圧エコノマイザ28まで運ぶために、蒸発器給水ポンプ50に導かれる。
【0016】
図3には別の実施形態が示されているが、この実施形態では、低圧エコノマイザ20と吸収熱変換器30との間に、独立水回路52が配置されている。この実施形態では、吸収熱変換器30が、独立水回路52を経由して、低圧エコノマイザ20から排水を引き出す。独立水回路52は、ガスタービン煙道ガスと低圧(LP)エコノマイザとの間での最適な熱移動のための効果を提供する。排気におけるAHTのための独立水回路52は、AHTのために、図2に示されている実施形態の場合とは異なる水供給温度を与えることができる。低圧(LP)蒸発器への水供給とAHTへの水供給とを切り離すことにより、効率の向上を最大化するための追加的な最適化が可能になる。
【0017】
吸収熱変換器をコンバインドサイクル発電プラントに組み入れることにより、全体的な発電プラントの効率を向上させることができる。このシステムは、HRSGの最終段における低品位エネルギーを高品位エネルギーに変換することにより、コンバインドサイクル発電プラントにおける廃熱を減少させ、よって、発電プラントの効率を向上させる。
【0018】
以上では、本発明を、最も現実的で好適な実施形態であると現時点で考えられているものとの関係で説明してきた。しかし、本発明は、開示されている実施形態に限定されることはなく、逆に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲に属する様々な修正と均等な構成とに及ぶことが意図されていることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0019】
12 ガスタービン
14 熱回復蒸気発生器
16 蒸気タービン
18 低圧部
20 低圧エコノマイザ
22 中間圧部
24 中間圧エコノマイザ
26 高圧部
28 高圧エコノマイザ
30 吸収熱変換器
32 給水回路
34 給水抽出ライン
36 熱ライン
38 エネルギーライン
40 蒸発器ライン
42 低圧蒸発器
44 復水器
46 復水器ライン
48 ポンプ
50 ボイラ給水ポンプ
52 独立水回路
図1
図2
図3