特許第6243707号(P6243707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243707
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】エレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20171127BHJP
   B66B 1/18 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B66B5/02 S
   B66B1/18 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-235712(P2013-235712)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-93774(P2015-93774A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 棟
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】鳥谷部 訓
(72)【発明者】
【氏名】会田 敬一
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−267979(JP,A)
【文献】 特開2005−225658(JP,A)
【文献】 特開2001−158578(JP,A)
【文献】 特開2001−206657(JP,A)
【文献】 特開2002−114459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 − 1/52
B66B 5/00 − 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のエレベーターの運行管理を行うための群管理制御システムと、該群管理制御システムからのサービス決定指令信号に応じてエレベーターを制御する号機制御システムと、利用者乗り場に設けられた乗場呼び入力部と、該乗場呼び入力部からのサービス要求信号を乗り場呼び入力信号として前記群管理制御システムおよび前記号機制御システムに伝達する入出力制御システムとで構成され、前記群管理制御システムと前記号機制御システムと前記入出力制御システムの間が通信線により接続されたエレベーターシステムであって、
前記群管理制御システムは、前記入出力制御システムからの入力として乗り場呼び入力信号を得、また前記号機制御システムからの入力として運行状態信号を得て前記号機制御システムにサービス決定指令信号を与えるとともに、
前記号機制御システムと前記入出力制御システムから通信線を介して得た入力を監視する監視機能と、前記入出力制御システムからの入力喪失時に、前記入出力制御システムからの入力を、前記号機制御システムを経由する通信線により得て運転を継続する切り替え機能を備えることを特徴とするエレベーターシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターシステムであって、
前記群管理制御システムは、前記監視機能と前記切り替え機能を備えた群管理メインシステムと、該群管理メインシステムと同じ入力を与えられ同じ演算を実行しているが前記号機制御システムにサービス決定指令信号を与えない群管理サブシステムで構成され、
前記群管理制御システムの監視機能は、前記号機制御システムと前記入出力制御システムから通信線を介して得た入力と前記群管理サブシステムへの入力を監視し、
前記群管理制御システムの切り替え機能は、前記入出力制御システムからの入力喪失時に、前記入出力制御システムからの入力を、前記号機制御システムを経由する通信線により得るか、または群管理サブシステム経由で得て、運転を継続することを特徴とするエレベーターシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエレベーターシステムであって、
前記群管理制御システムの監視機能は、前記号機制御システムからの入力と、前記入出力制御システムからの入力を比較して、前記入出力制御システムからの入力信号が未入力であり、前記号機制御システムからの入力を得た際に異常と判定することを特徴としたエレベーターシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベーターシステムであって、
前記入出力制御システムからの入力異常を検出した場合、異常通信回数を加算カウントし、異常加算カウントが予め設定した閾値を超えた場合に、異常状態の旨を発報することを特徴とするエレベーターシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエレベーターシステムであって、
前記入出力制御システムからの入力異常を検出した場合の発報機能として、遠隔監視システムへ伝送し、遠隔監視を可能にすることを特徴とするエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は群管理エレベーターシステムにおいて、群管理制御システムと入出力制御システム間に通信故障が生じた場合の対策に係り、上記通信故障時のバックアップ回路と通信故障場所を特定するためのエレベーターシステムに関わる。
【背景技術】
【0002】
近年、ビルの高層化と巨大化と共に、利用者のサービス要求に対し、最適なエレベーターを選択する群管理制御システムにおける運行効率の向上が急務となっている。一方で、群管理制御システムが故障した場合、利用者への利便性を低減させてしまう。そのため、群管理制御システムが故障した際に、利用者への利便性低下を最小限にする為、様々な方法が提供されている。
【0003】
特許文献1では、多重化された群管理制御システムのうち群管理メインシステムが故障した場合の対策として、群管理制御システム管理下の各単体エレベーターの制御部と各ホールのホール呼び発生手段とをそれぞれ伝送路を介して接続し、各単体エレベーターの制御部にホール呼び登録と応答分担評価機能を持たせ、予め設定された優先順位で主局と従局を決め、群管理メインシステムが故障だと判断した場合、上記の各単体エレベーターが持つ簡易群管理制御システムに切り替える方式を提案し、群管理メインシステム故障時の被害を低減することを図っている。
【0004】
特許文献2では、複数の階床に就役させた各単体エレベーターの制御部に簡易群管理機能と通信機能を持たせ、上記通信機能の監視手段と時間を得るための時計手段及び交通需要の高い時間帯での群管理不能時に適用する予め設定した運行パターンにて制御する方式を提案し、号機制御部に取付けられた簡易群管理制御システム装置の機能向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−188376号
【特許文献2】特公平07−106841号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献に記述された手法は、群管理制御システムが故障した場合における利用者の利便性の低減防止のためのバックアップ対策として有効である。しかし、群管理メインシステム自身が故障しておらず、群管理メインシステムと入出力制御システム間の通信が故障した場合は、群管理メインシステム自身を切り捨てる必要がなく、他の通信手段さえ確保すれば、群管理メインシステムを継続して利用でき、運行効率の維持が可能となる。
【0007】
以上のことから本発明においては、群管理メインシステム自身が故障しておらず、群管理メインシステムと入出力制御システム間の通信が故障した場合における運転を実現するためのエレベーターシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
エレベーターの群管理制御を行うための群管理制御システムと、群管理制御システムからのサービス決定指令信号に応じてエレベーターを制御する号機制御システムと、利用者乗り場に設けられた乗場呼び入力部と、乗場呼び入力部からのサービス要求信号を乗り場呼び入力信号として群管理制御システムおよび号機制御システムに伝達する入出力制御システムとで構成され、群管理制御システムと号機制御システムと入出力制御システムの間が通信線により接続されたエレベーターシステムであって、群管理制御システムは、入出力制御システムからの入力として乗り場呼び入力信号を得、また号機制御システムからの入力として運行状態信号を得て号機制御システムにサービス決定指令信号を与えるとともに、号機制御システムと入出力制御システムから通信線を介して得た入力を監視する監視機能と、入出力制御システムからの入力喪失時に、前記入出力制御システムからの入力を、号機制御システムを経由する通信線により得て運転を継続する切り替え機能を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、入出力制御システムと群管理制御システム間の通信が断線などの異常により停止した場合でも、乗場呼び登録を可能にする。更に、本発明では、各通信間の異常を監視することで、異常通信部位を特定可能となる。これより、入出力制御システムと群管理制御システム間の通信異常を特定できることにより、管理者や保守会社へその旨を発報すると同時に、群管理メインシステムを継続して利用でき、群管理制御の運行管理機能を保ち、通信故障時の被害を低減することを図る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に適用可能な一般的な群管理エレベーターの全体システム構成を示す図。
図2】一般的な群管理システムにおける主要各部の信号の流れを示す図。
図3】本発明における通信異常時の伝送経路の概略を示す図。
図4】本発明の詳細な群管理エレベーターシステムの概要を示す図。
図5】各部入力信号を用いた異常条件判定テーブルを示す図。
図6】群管理制御システムにおける入力信号異常発報処理の基本動作フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。尚、本実施例では、群管理制御システムにおいて、入出力制御システムと群管理制御システム間の通信が故障した場合において説明を行う。但し、本実施例に記載する内容は本発明を実施する為の一例であり、これに限ったものではない。
【実施例】
【0012】
図1には、本発明に適用可能な一般的な群管理エレベーターの全体システム構成の概要を示しているが、本エレベーターシステムはいわば代表的な群管理制御システムの実施例であり、本発明はこれに限ったものではない。
【0013】
図1のエレベーターシステムは、群管理制御を行うための例えば多重化された2組の群管理システム10(群管理メインシステム3と群管理サブシステム4)と、通常は群管理システム10内の群管理メインシステム3からの指令(通信線Dによる信号)に応じてエレベーターを制御する号機制御システム5と、利用者乗り場に設けられた乗場呼び入力部1と、乗場呼び入力部1からのサービス要求信号S1を群管理システム10、号機制御システム5に伝達する入出力制御システム2と、2組の群管理システム3、4で利用する各種のデータを蓄積する外部サーバー6で構成されている。
【0014】
図1において、乗場呼び入力部1とは、利用者がエレベーターを利用して目的階へ向かうためのサービス要求信号S1を作成する入力部である。乗場呼び入力部1は例えば、一般的なエレベーターシステムに用いられる乗場に設けられた上方、又は下方へのサービス方向要求を行う乗場呼び作成装置や、乗場から行先階を登録可能な乗場行先階登録装置などで構成されている。
【0015】
入出力制御システム2は、乗場呼び入力部1、号機制御システム5及び群管理メインシステム3との間のデータ送受信補助の役割を担う。乗場呼び入力部1からサービス要求信号S1が発信された場合、例えば、入出力制御システム2から通信線Eを介して乗り場呼び入力信号S25を号機制御システム5へ、また入出力システム2から通信線A、Bを介して群管理メインシステム3に乗り場呼び入力信号S23が発信される。また通信線A、Cを介して群管理サブシステム4に対しても乗り場呼び入力信号S24が発信される。ここで入出力制御システム2から各部に与えられる乗り場呼び入力信号S25、S24、S23は基本的に同一内容のものであるが、これらを区別して説明する場合にはこのように表記し、区別する必要がない場合には単に乗り場呼び入力信号S2と表記することにする。
【0016】
なお図1において入出力制御システム3からの乗り場呼び入力信号S2は、群管理メインシステム3及び、群管理サブシステム4へ送信するため、通信線Aを分岐したメイン分岐通信線B及びサブ分岐通信線Cを介して、それぞれの群管理システム3、4へ送信されている。
【0017】
また図1において入出力制御システム2からの信号(乗り場呼び入力信号S2)を受け取る群管理システムは、群管理メインシステム3と群管理サブシステム4で構成されているが、ここでは待機二重系を構成している。群管理メインシステム3と群管理サブシステム4には、入出力制御システム2からの乗り場呼び入力信号S2が同時に送られ、それぞれの内部では入力に基づいて同一演算が実行されているが、号機制御システム5に対する指令は通常状態では群管理メインシステム3から与えられ、群管理サブシステム4からの指令は利用されない。通常、群管理サブシステム4の出力は群管理メインシステム3の最適な運行パラメータの設定や、群管理メインシステム3のバックアップシステムとして利用される。また、群管理メインシステム3の出力との比較による監視目的で利用する構成でも良い。群管理メインシステム3が故障により停止した場合、同一入力を与えられ同一演算を実行していた群管理サブシステム4からの出力に引き継いで継続運用される。
【0018】
待機二重系の主系である群管理メインシステム3は、通信線Bを介して得られた当該の要求信号である乗り場呼び入力信号S2に対して、最適なエレベーターを選択する。選択後、該当する号機制御システム3へ群管理メインシステム3から通信線Dを介して、サービス決定指令信号S3を送信し、当該号機はサービス要求信号S1が発信された階床へサービスを行うべく作動する。
【0019】
また号機制御システム5は、乗場呼び入力部1から入出力制御システム2、通信線Eを介して乗り場呼び入力信号S25が送信されてきた場合、乗り場呼び入力信号S25を作成した利用者に向けてシステムへの入力が完了したことを伝えるため、例えば乗場に設けられた乗場呼び応答灯を点灯させる要求信号(乗場呼び応答灯点灯要求信号S5A)を号機制御システム5から入出力通信線Fを介して送信し、例えば乗場呼び入力部1内の乗場呼び応答灯を点灯させる。
【0020】
群管理メインシステム3は、複数台のエレベーターの運行管理を行い、時々刻々と変化するビルの交通流に合わせて最適なエレベーターを選択する。利用者からのサービス要求信号S1に対して、例えば、各エレベーターの運行状態、現在の交通状況、過去の交通学習、将来の交通状況の予測、各エレベーターを選択した際の、利用者の待ち時間等を評価し、様々な要点からサービス要求信号S1が作成された時点で、最適なエレベーターを1台選択する。即ち、群管理メインシステムが動作することで、ビルの交通状況に合わせて利用者が目的階までに到着するまでの時間を最小限にすることで、利用者の利便性を向上させている。
【0021】
群管理サブシステム4は、群管理メインシステム3が故障した場合、群管理サブシステム4が群管理メインシステム3の役割を果たすための補助システムである。また、ただの補助システムのみでなく例えば、日々の交通状況学習結果から、仮想のエレベーター及び仮想の乗客を発生させ、シミュレーションを行う役割を持たせることで、納められたビルの交通パターンにあった運行管理を実現することが可能となる。
【0022】
エレベーターごとに複数台で構成された号機制御システム5は、エレベーター単体の動作を制御する。例えば昇降路内の上昇、下降運転や、利用者に対するエレベーター内の音声案内、乗場への応答灯、予約灯の点灯など様々存在する。号機制御システム5は号機制御システム5から通信線Mを介して群管理メインシステム3へ現在のエレベーターの運行状態を運行状態信号S5Bとして常に送信している。例えば、現在のエレベーターのかご位置、運転の方向性、運転モード、かご内の人数情報などである。号機制御システム5から送信された運行状態信号S5Bを用いて、群管理メインシステム3は各エレベーターの運行状況を確認することが可能となり、当該情報S5Bに基づいて、最適な運行管理が可能となる。
【0023】
外部サーバー6は、群管理メインシステム3及び群管理サブシステム4と接続され、システムの稼動状況を監視することや、エレベーターの運行情報等を蓄積することで、遠隔保守を実現する。例えば、外部サーバー6から通信線Lに運行情報収集要求があった場合、群管理メインシステム3からサーバー通信線Kを介して、運行情報が送信される。また、群管理メインシステム3の異常状態を検知した場合、異常発報情報が号機制御システム5からサーバー通信線Kを介して外部サーバー6に向けて送信される。
【0024】
図2は、図1の一般的な群管理システムにおける主要各部の信号の流れを示している。これによれば、通信線Bは入出力制御システム2から群管理メインシステム3に向けて乗り場呼び入力信号S23を送信する目的で使用されている。また通信線Mは号機制御システム5から群管理メインシステム3に向けて運行状態信号S5Bを送信する目的で使用されている。要するに信号線はそれぞれ個別の機器から群管理メインシステム3に向けて個別の情報を送信する目的で使用されている。また入出力制御システム2と号機制御システム5の間の信号線E、Fは、本実施例において、乗り場呼び入力信号S25とこれに応答する形での乗場呼び応答灯点灯要求信号S5Aの送受信に使用されており、いわば一巡経路を構成している。この経路での乗り場呼び入力信号S25は、号機制御システム5内における応答灯点灯要求信号S5A作成以外の目的では使用されていない。
【0025】
本発明における解決課題は、群管理メインシステム3における通信線Bからの信号途絶である。従来このケースでは、群管理メインシステム3の異常と判断し代替手法を模索しているが、本発明では群管理メインシステム3自身が健全であることから、新たな通信ルートを構築する。その具体手法として、号機制御システム5内には乗り場呼び入力信号S25が(他の使用目的のものではあるが)得られており、かつ通信線Mを経由して群管理メインシステム3に乗り場呼び入力信号S25を転送形式で伝達することが可能である。また通信線Mは、運行状態信号S5B以外に乗り場呼び入力信号S25も伝送るに準文和伝送容量を備えている。
【0026】
図3は本発明における通信異常時の伝送経路の概略を示している。号機制御システム5内に得られた乗り場呼び入力信号S25を、通信線Mを経由して群管理メインシステム3に乗り場呼び入力信号S25を転送形式で伝達している。通信線Mは通常時は運行状態信号S5Bの送信にのみ使用されているが、通信異常時には運行状態信号S5Bと乗り場呼び入力信号S25を群管理メインシステム3に送信することになる。
【0027】
図4は、本発明の詳細な群管理エレベーターシステムの概要図を示している。この図により群管理メインシステム3内の処理内容を詳細に説明する。群管理メインシステム3内には、運行管理制御系11と入出力管理部12で構成されている。
【0028】
図4によれば、乗場呼び入力部1に入力されたサービス要求信号S1は入出力制御システム2を介して、群管理メインシステム3へ乗り場呼び入力信号S23として送信される。群管理メインシステム3内の入出力管理部12では、送信されてきた乗り場呼び入力信号S23を運行管理制御系11に伝送する。
【0029】
運行管理制御系11では、最適な群管理アルゴリズムにより割当てを決め、運行指令を入出力管理部12に伝送する。そして、入出力管理部12から、運行指令に対応するサービス決定指令信号S3が割当てられた単体エレベーター号機制御システム5に通信線Dを介して送信され、号機制御システム5により制御される乗りかご20が運行指令に基づき運利用者へのサービスを行う。なおこの図では51から5Nの号機制御システム5がそれぞれ201から20Nの乗りかご20を制御運航していることを表している。
【0030】
運行管理制御系11内の処理について、さらに詳細に説明する。
【0031】
まず入力信号異常判定処理部11aでは入力信号の異常判定を行う。群管理システム10の本実施例における入力信号の取込み箇所は、メイン入力部としてメイン分岐通信線Bと、サブ入力部としてサブ分岐通信線Cと、号機入力部として号機制御システム5からの通信線Mの3箇所である。この3箇所から入力されてくる入力信号を比較し、入力信号が正常か異常かを判定する。
【0032】
図5には、各部入力信号を用いた異常条件判定テーブル20を示している。異常条件判定テーブル20の縦方向には、入力部の種別としてメイン入力と、サブ入力と、号機入力を表示している。またこの異常条件判定テーブル20の横方向には、通信異常発生個所を示している。このように異常条件判定テーブル20は、入力部と異常個所をマトリクス状に纏めたものである。マトリクスは、ケース1からケース4を識別している。
【0033】
このマトリクス事例のケース1では、メイン入力部、サブ入力部及び号機入力部の3箇所全てから、該当する入力信号を受信した場合、入力状態を「正常:通信異常個所なし」とする。この場合、メイン入力部からのメイン入力信号(乗り場呼び入力信号S23)を使用する入力信号として選択する。
【0034】
このマトリクス事例のケース2では、メイン入力部から入力信号が未受信の際に、サブ入力部、号機入力部の2箇所から、該当する入力信号を受信した場合、入力状態を「メイン入力異常:通信異常個所メイン分岐入力B」とする。この場合、サブ入力部からのサブ入力信号(乗り場呼び入力信号S24)を使用する入力信号として選択する。
【0035】
マトリクス事例のケース3では、メイン入力部とサブ入力部から入力信号が未受信の際に、号機入力部の1箇所のみから、該当する入力信号を受信した場合、入力状態を「群入力異常:通信異常個所入出力A、B」とする。この場合、通信線A、Bからの受信不可能であることから、号機入力部からの入力信号(号機入力信号)を使用する入力信号として選択する。この時の異常状態としては、通信線A、Bの断線や、ノイズ、または入力信号を受信するための受信部の故障等が考えられる。
【0036】
マトリクス事例のケース4では、メイン入力部とサブ入力部と号機入力部からの全ての入力信号が未受信である。このため、通信線を介しての情報入手は不可能である。
【0037】
図4の運行管理制御系11の入力制御処理部11bでは、上記に示す入力状態によって、使用する入力信号の切り替えを行う。例えば、ケース1の全ての入力状態が「正常」であった場合、通常使用する入出力制御システム2から送信される入力信号をそのまま使用する。
【0038】
ケース2の入力状態が「メイン入力異常」であった場合、入出力制御システム2から群管理サブシステム4へ入力される入力信号を使用する。この時、号機制御システムから送信される入力信号(入出力制御システム2から号機制御システム5に得られた乗り場呼び入力信号S25)を使用しても良い。
【0039】
ケース3の入力状態が「群入力異常」であった場合、完全に群管理システム10側へ入力信号が送信されていないことになるため、号機制御システム5から送信される入力信号(入出力制御システム2から号機制御システム5に得られた乗り場呼び入力信号S25)を使用するように切り替えを行う。なお、すべての通信が異常となるケース4には対応できない。
【0040】
本入力制御処理部11bでの動作により、入力信号が異常状態であった場合でも、群管理メインシステム3へ入力信号を取り込むことが可能となる。
【0041】
図4の運行管理制御系11の入力信号異常発報処理部11cでは、判定された異常状態を外部サーバー6、又は号機制御システム5へ送信する。本信号に基づいて、異常箇所を特定し、保守員による修理作業を円滑にすることが可能となる。
【0042】
図4の運行管理制御系11の総合評価演算部11dでは、入力信号を基に、待ち時間評価や、その他の評価値を含めて、各号機に対する総合評価値の演算を行う。評価値の中には、入力信号を作成した利用者に対しての予測待ち時間評価の他に、その瞬間のエレベーター情報や、ホール呼び情報、かご呼び情報、現在の交通状況等も評価される。評価値は上述した評価値以外にも存在し、これに限るものではない。
【0043】
図4の運行管理制御系11のエレベーター割当て決定処理部11eでは、演算された評価値が最も低いものを最適なエレベーターであると考え、当該エレベーターを1台選択する。選択されたエレベーターに対して入出力管理部12を介して、当該エレベーターを制御する号機制御システム5へサービス指令を行い、利用者へのサービスを行う。
【0044】
図6では、本発明の一実施例に用いられる群管理制御システムにおける入力信号異常発報処理の基本動作フローを示しているが、本発明はこれに限ったものではない。
【0045】
最初の処理ステップST01ではメイン入力信号(入出力制御システム2から群管理メインシステムへの乗り場呼び入力信号S23)の入力判定を行う。入力信号がONしている場合、処理ステップST07へ進み、OFFであった場合処理ステップST02へ進む。この判定により図5のケース1とケース1以外が識別された。
【0046】
ケース1では処理ステップST07に進む。処理ステップST07では、異常状態入力カウント値をリセットする。これは、入力信号が一過性のノイズや、通信異常によって、一時的な通信異常時においても、むやみに異常状態発報することを防止する。次いで、処理ステップST08では、メイン入力信号(入出力制御システム2から群管理メインシステム)を割当て入力信号に展開する。この流れでは、メインによる通信が正常なので、メインによる通信を維持するとともに、異常状態入力カウント値をリセットすることで、短期的な何らかの事情で積算されたカウント値を初期状態(正常状態)に戻しておく。
【0047】
処理ステップST02に進んだ場合はケース1以外である。このため処理ステップST02の処理では、入力信号(号機制御システム5から群管理メインシステムへの入力信号S5B:運行状態信号S5B)の入力判定を行う。入力信号がONしている場合、処理ステップST03へ進み、OFFであった場合入力信号は取り込んでいないこととなるため、初期動作に戻る。処理ステップST03へ進む状態は、入力信号S23がなく、入力信号S5Bが存在している。これにより通信線Aでの通信異常は存在(入力信号S23喪失)するが、代替となる通信線M(入力信号S5B確保)が残っている状態を示している。
【0048】
処理ステップST03では、異常状態入力カウント加算処理を行う。メイン入力信号(制御システム2から群管理メインシステム)がOFFで、入力補助信号(号機制御システム5から群管理メインシステム)がONの回数を加算し、処理ステップST04へ進む。回数のカウントは、異常状態が継続していることの確認である。
【0049】
続いて処理ステップST04では、異常状態入力カウント値が閾値を超えたか否かを判定する。閾値を越えた場合、処理ステップST06へ進み、閾値を越えていない場合、処理ステップST05へ進む。
【0050】
処理ステップST05では、カウント数が閾値を超過したのでメイン入力信号(制御システム2から群管理メインシステム)の入力状態が異常であることを発報する。発報後、処理ステップST06へ進む。
【0051】
処理ステップST06では、入力補助信号(号機制御システム5から群管理メインシステム)を割当て入力信号に展開する。
【0052】
処理ステップST09では、入力信号や、各エレベーターの運行情報を利用して、最適なエレベーターを選択するための総合評価値演算を行う。
【0053】
処理ステップST10では、処理ステップST09で演算されて評価値に基づいて、最適なエレベーターの選択を行う。
【0054】
以上述べた図6の処理フローでは、ケース2、3のいずれの場合にも号機制御システム5から群管理メインシステムへの信号転送経路を採用している。この処理フローは、さらにケース2とケース3を弁別して、図5のテーブルに忠実に実現することも可能であり、本発明はそのいずれを採用するものであってもよい。要するに、図5に示したように通信異常時に号機制御システム5から群管理メインシステムへの信号転送経路を構成することで、群管理制御システムの継続運行を可能にしたものである。
【0055】
以上、従来技術では、群管理メインシステム3自身が故障していなくても、入出力制御システム2からの通信に異常が生じた場合、群管理メインシステム3及び、群管理サブシステム4を切り離さなければならない。切り離し後、各単体エレベーターの号機制御システム5により簡易割当て制御が可能であるが、群管理機能が大きく下がってしまうことになる。
【0056】
上記に示した本発明により、入力信号に異常が生じた状況下においても、利用者への利便性を低下することなく、通常の最適な運行管理を可能とするシステムを提供することができる。また、異常箇所を特定することにより、保守員による修理作業、及び異常調査作業の簡易化可能なシステムを提供することができる。
【0057】
なお通信異常を検知した場合の制御続行策については、上述したとおりであるがこの検知信号はエレベーター管理者への放置としても利用可能である。入出力制御システムからの入力信号異常を検出した場合の発報機能として、遠隔監視システムへ伝送し、遠隔監視を可能にすることも可能である。
【0058】
本発明は上記課題の群管理制御システムと入出力制御システム間の通信が故障した場合の乗場呼び登録と群管理メインシステムを継続して利用する為には、入出力制御システムと群管理制御システム間の直接通信の外に、各単体エレベーターの号機制御システムを介して群管理メインシステムに入力補助信号のバックアップ通信ルートを設けることとする。
【0059】
通常状態では、群管理メインシステムと入出力制御システム間の直接通信と本発明が追加した号機制御システムからのバックアップ通信と同時に行っているが、入出力制御システムからの入力信号が正常な場合は、入出力制御システムからの入力信号を使用し、入出力制御システムと群管理メインシステム間の直接通信が故障した場合は、各単体エレベーターの号機制御システムからのバックアップ通信の補助入力信号を使用し、割当て処理などの運行管理を行う。また、入出力制御システムからの直接通信の異常信号を加算カウントし、予め設定した閾値を超えてしまうと、管理者や保守会社へ発報することとする。
【0060】
なお通信線Mを利用した通信は、通常から乗り場呼び入力信号S25と運行状態信号S5Bを含むものであってもよい。そのうえで、群管理メインシステム3が必要に応じて切り替え利用する形式とすることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1:乗場呼び入力部
2:入出力制御システム
3:群管理メインシステム
4:群管理サブシステム
5:号機制御システム
6:外部サーバー
A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M:通信線
20:乗りかご
11:運行管理制御部
12:入出力管理部
11a:入力信号異常判定処理部
11b:入力制御処理部
11c:入力信号異常発報処理部
11d:総合評価演算部
11e:エレベーター割当て決定処理部
TB20:異常判定テーブル
S1:サービス要求信号
S2(S23、S24、S25):乗り場呼び入力信号
S3:サービス決定指令信号
S5A:乗場呼び応答灯点灯要求信号
S5B:運行状態信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6