(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るエアゾール製品について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るエアゾール製品の構成を説明するための断面図であり、
図2は、本発明に係るエアゾール製品のバルブ周辺の断面図である。
本発明に係るエアゾール製品(100)は、容器本体(A)と、噴出装置(B)と、容器本体(A)の中に収容された内容物とを必須の構成成分として構成される。
【0015】
[内容物]
容器本体(A)の中には、内容物が収容されている。上記内容物は、粉体を含有する原液と噴射剤とから構成される。上記原液と上記噴射剤とは、原液中に噴射剤の一部が溶け込み完全に相溶して均一になった状態で存在していてもよいし、噴射剤が原液に溶け込まず両者が不均一な状態で存在していてもよい。
【0016】
図1は、内容物が容器内に収容されている一例を示す。一般的には、上記内容物は、容器本体(A)の中において、液相(C)と気相(D)に分離して存在している。気相(D)は噴射剤の気体成分から構成されている。また、液相(C)は、原液のみから構成されているか、又は、噴射剤の液体成分と原液とから構成されている。なお、液相(C)は、原液中の成分である粉体(個体)を含む。
【0017】
上記噴射剤としては、特に限定されないが、空気、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素等のガス(特に、圧縮ガスが好ましい);液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)、ジメチルエーテル(DME:Dimethyl ether)、イソペンタン、フロロカーボン等の液化ガスなどが挙げられる。上記噴射剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、例えば、液化ガスのみ、圧縮ガスのみを用いてもよいし、液化ガスと圧縮ガスを併用してもよい。
【0018】
上記液化ガスとしては、中でも、噴射力、環境保全や生産性の観点から、LPG、DMEが好ましく、特にLPGはプロパンやブタンの比率により冷却能、噴射能を制御できるためより好ましい。上記LPGとしては、特に限定されないが、プロパンを0.1〜50質量%(より好ましくは1〜20質量%)、及びブタンを50〜99.9質量%(より好ましくは80〜99質量%)含むLPGが好ましい。
【0019】
噴射剤として用いられる液化ガスの20℃における蒸気圧は、塗布対象となる肌への付着率をより向上する観点から、0.45MPa以下(例えば、0.1〜0.45MPa)が好ましく、より好ましくは0.15〜0.25MPaである。上記蒸気圧が0.45MPa以下であることにより、容器から噴射された液化ガスが肌に接触する前に気化しにくく、液化ガスが肌に接触した後に気化することにより、内容物の肌への付着率が向上し、舞い散りが抑制され、エアゾール製品による紫外線防御効果等の効果がより向上するため好ましい。
【0020】
噴射剤として、圧縮ガス、または、圧縮ガスと液化ガスの混合ガスを用いる場合においては、製品として最後まで使用できるという観点より、製品初期内圧を、35℃において0.6〜0.8MPaに調整することが好ましく、0.6〜0.7MPaに調整することがより好ましい。上記製品初期内圧が35℃で0.6MPa以上であることより、良好な噴射状態を維持しやすいため、好ましい。
【0021】
上記内容物中の原液の含有量は、特に限定されないが、内容物100質量%に対して、5〜99.5質量%が好ましい。また、上記内容物中の噴射剤の含有量は、内容物100質量%に対して、0.5〜95質量%が好ましい。なお、上記内容物は、原液と噴射剤のみから構成される。即ち、内容物中の原液の含有量と噴射剤の含有量の合計量は100質量%である。
【0022】
中でも、噴射剤として液化ガスのみを用いる場合は、上記内容物中の原液及び噴射剤の含有量は、以下のようにすることが好ましい。上記内容物中の原液の含有量は、5〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。また、上記内容物中の噴射剤の含有量は、内容物100質量%に対して、40〜95質量%が好ましく、より好ましくは60〜95質量%、さらに好ましくは80〜95質量%である。原液を60質量%以下(即ち、噴射剤を40質量%以上)とすることにより、エアゾール製品の内圧が高くなり使用性がより一層良好となる。噴射剤を40質量%未満とした場合には、内圧が低くスプレーの勢いが弱く使用性が低下する場合がある。また、原液の含有量が5質量%未満の場合には、原液量が少なく、1回の噴射で肌に付着させられる原液量が低下するため使用性が低下する場合がある。また、エアゾール製品中の原液量が少なく製品寿命が短く実用性が悪くなる場合がある。
【0023】
上記原液は、金属酸化物を主成分とする粉体を含有している。なお、「主成分とする」とは、特に限定されないが、例えば、粉体中の金属酸化物の含有量が、粉体100質量%に対して、30質量%以上(即ち、30〜100質量%)であることをいう。粉体中の金属酸化物の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70〜100質量%である。
【0024】
上記金属酸化物としては、特に限定されないが、酸化亜鉛、酸化チタン、これらの混合物が好ましい。
【0025】
上記粉体は、例えば、金属酸化物のみから構成された粉体であってもよいし、金属酸化物と金属酸化物以外の化合物から構成された粉体であってもよい。例えば、金属酸化物が高分子被膜によりコーティングされた粉体であってもよい。
【0026】
上記粉体は、特に限定されないが、例えば、紫外線散乱剤である。上記粉体は、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製、商品名「SPD−Z5」;BASFジャパン株式会社製、商品名「Z−COTE」;昭和電工株式会社製、商品名「マックスライト ZS−064」;クローダジャパン株式会社製、商品名「SOLAVEIL XT−300」;大日本化成株式会社製、商品名「コスメサーブ WP−UF(V)」;DSMニュートリション ジャパン株式会社製、商品名「パルソール TX」;チタン工業株式会社製、商品名「LS−600ZS」;チタン工業株式会社製、商品名「TD3312」などが挙げられる。
【0027】
上記原液中の上記粉体の含有量は、上記原液100質量%に対して、15〜60質量%(15質量%以上、60質量%以下)であり、好ましくは18〜45質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。上記粉体の含有量を15質量%以上とすることにより、例えば、本発明に係るエアゾール製品を日焼け止め化粧料として用いた場合の紫外線防御効果が向上する。また、上記粉体の含有量が60質量%を超えると、粉体量が多すぎて、容器底部に沈降し堆積した粉体中に、後述するディップチューブ(3)が突き刺さる状態となるため、目詰まりが発生し、エアゾール製品の使用性が低下する。
【0028】
上記原液は、上記粉体以外の成分を含有してもよい。上記粉体以外の成分としては、特に限定されないが、例えば、水;エタノール;香料;メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等の紫外線吸収剤;シクロペンタシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、カプリリルメチコン、ジメチコン等のシリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル等の脂肪酸エステル;1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、グリセリン等の多価アルコール;フェノキシエタノール、オクトキシグリセリン、メチルパラベン等の防腐剤;メントール、メンチルグリセリルエーテル、カンファー、ペパーミント油等の冷感剤;グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリル等の抗炎症剤;シャクヤク、ボタンピ、ビワ、アロエ等の植物抽出エキス;カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等の増粘性高分子;トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;アルブチン、アスコルビン酸等の美白剤;シリカ、タルク、ナイロンパウダー等の上記粉体以外の粉体などが挙げられる。
【0029】
上記原液は、室温(23℃)で液状であり且つ凝固点が−15℃以上である成分を含有してもよい。上記室温(23℃)で液状であり且つ凝固点が−15℃以上である成分の含有量は、本発明のエアゾール製品の噴射性をより向上させる観点から、上記原液100質量%に対して、80質量%未満であることが好ましく、より好ましくは60質量%未満である。上記含有量が80質量%以上では、噴射剤に液化ガスを用いた場合には、内容物が噴口付近で凝固して噴射性が低下する場合がある。上記室温で液状であり且つ凝固点が−15℃以上である成分としては、例えば、水、ミリスチン酸ブチル、デシルテトラデカノール等が挙げられる。特に、上記原液中、水の含有量が80質量%未満であることが好ましく、より好ましくは60質量%未満である。
【0030】
[噴出装置]
噴出装置(B)は、
図1及び
図2に示す如く、アクチュエーター(1)、エアゾール容器用バルブ(2)(以下、単にバルブ(2)と称すこともある)、マウンテンカップ(4)、ディップチューブ(3)等から構成され、バルブ(2)は、ハウジング(21)、ステム(22)等からなる。
具体的には、容器本体(A)の頭頂部に備えられたマウンテンカップ(4)のボス部(41)にバルブ(2)のハウジング(21)等が嵌着され、バルブ(2)上端部にアクチュエーター(1)が装着されている。また、バルブ(2)の下端部からはディップチューブ(3)が下方に延設されており、ディップチューブ(3)の下部は容器本体(A)の液相(C)内に浸漬されている。
【0031】
バルブ(2)は、エアゾール容器本体の頭頂部に設けられたハウジング(21)と、ハウジング(21)上部から突出して設けられ且つ付勢手段(23)により上方向に付勢されたステム(22)を有する。また、ハウジング(21)の内部空間は、ステム基端部(22a)が挿入される上方空間(211)と、ディップチューブ(3)の内部空間と連通する下方空間(212)とを備えており、上方空間(211)と下方空間(212)は連通している。ディップチューブ(3)から吸い上げられた液相(C)は、下方空間(212)を通ってハウジング(21)内へ吸い上げられる。即ち、ハウジング(21)は、容器本体(A)に充填された内容物が流入孔から流入するように構成されている。また、ステム(22)は、該ステム(22)の内部流路に内容物を導入するためのステムオリフィス孔(221)を少なくとも有する。
なお、付勢手段(23)としてはコイルバネ等を用いることができる。
【0032】
エアゾール容器における内容物の噴出操作について説明することにより、バルブ(2)についてより詳しく説明する。
図2において、左半分は不使用時(噴出時以外のとき)の状態を示し、右半分は使用時(噴出時)の状態を示している。
不使用時、ステム(22)は付勢手段(23)により上方向へと付勢されている(
図2の左半分参照)。これにより、ステム(22)下部とハウジング(21)上部とがシールラバー(24)を介して密接した状態、即ちバルブ(2)が閉鎖した状態となっている。
そして、内容物を噴出する際は、付勢手段(23)の上方向の付勢力に抗してステム(22)を下動させることにより、バルブ(2)を開放する(
図2の右半分参照)。具体的には、ステム(22)上に備えられたアクチュエーター(1)を押圧することによりステム(22)を押し下げる。ステム(22)を押し下げると、シールラバー(24)が下方へ撓みステムオリフィス孔(221)が開放される。そして、容器本体(A)内に充填された液相(C)の界面が気相(D)によって下方向に押され、内容物がディップチューブ(3)から吸い上げられる。ディップチューブ(3)から吸い上げられた内容物は、下方空間(212)、上方空間(211)、ステムオリフィス孔(221)、ステム(22)の内部流路(222)を順に通って、アクチュエーター(1)の噴口(111)から噴出される。
【0033】
図3は、本発明に係るエアゾール製品のアクチュエーター(1)の一例の(a)正面図、(b)A−A断面図である。
アクチュエーター(1)は、ステム(22)の上部に配置されている。アクチュエーター(1)は、内容物を外部に噴出するためのノズル(11)と、ステム(22)と接合するためのステム接合部(12)とを備えている。ノズル(11)はノズル内部流路(112)と噴口(111)を備えており、下方からステム(22)の内部流路(222)を通ってきた内容物は、流路(13)、ノズル内部流路(112)を順に通り、噴口(111)から噴出される。
尚、本発明においては、アクチュエーター(1)は必ずしもステム(22)に常に接触するように接合している必要はない。アクチュエーター(1)は、押圧時にステム(22)を押し下げることができるように取り付けられていればよく、例えばアクチュエーター(1)が非押圧時にはステム(22)と非接触状態にあるが、押圧時にステム(22)に接触してステムを押し下げるように構成されていてもよい。
【0034】
図4は、本発明に係るエアゾール製品のノズルの一例の(a)正面図、(b)B−B断面図である。
本発明において、ノズル(11)は6以上の噴口(111)を有している。本発明における噴口の数は、内容物の舞い散りを抑制し、かつ内容物を広範囲に均一に噴霧するという観点から、6以上であり、好ましくは6〜28、さらに好ましくは12〜20である。噴口の数を6以上とすることにより、噴射の勢いが分散するので、内容物の舞い散りを抑制することができる。また、噴口の数を6以上とすることにより、内容物を広範囲に均一に噴霧することができるので、塗布対象である肌に対する原液の均一塗布性が向上する。噴口の数が5以下の場合、噴射の勢いが強くなり舞い散りが発生し易くなる。舞い散った内容物が口腔から体内に入ると、「むせ」による咳き込みの原因となる。なお、
図4は、噴口(111)が6穴の場合を示しているが、例えば、
図8の(b)、(c)の如く、12穴、28穴であってもよく、その他の穴数であってもよい。
【0035】
噴口(111)の総開口面積は、ステムオリフィス孔(221)の総開口面積との比で規定される。本発明において、6以上の噴口(111)の総開口面積とステムオリフィス孔(221)の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)は1〜80であり、好ましくは3〜45、より好ましくは5〜30である。上記比率(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が1以上の場合、噴射される内容物の液滴が十分な大きさとなるため、舞い散りが減少して、むせにくくなるとともに、塗布対象である肌に対する原液の付着率が高くなる。原液の付着率の向上は紫外線防御効果の向上にも繋がる。一方、上記比率が1未満である場合、噴射される内容物の液滴が小さくなるため、これらの効果は得難くなる。なお、上記比率が80を超えると噴射の勢いが弱くなるため、スプレーの使用性が低下する。また、噴口の開口面積を大きくし、かつ上記比率を大きくして勢いを殺すと、噴射の中心部分にのみ原液が付着する状態となり均一塗布性が低下する。
ステムオリフィス孔(221)は、1つであってもよく複数形成されていてもよい。
【0036】
なお、本明細書中において、「開口面積」とは最も狭いところの開口面積を意味する。
図9は、奥行方向に段差を有している噴口(111)の「開口面積」を説明するための図であり、(a)はその噴口(111)の正面図、(b)はその噴口(111)のE−E断面図である。例えば、
図9に示した噴口(111)においては、半径が最も小さい部分(
図9(b)における(F)が噴口の最も狭いところであり、
図9(a)中ドットで示した領域(G)の面積が「開口面積」である。また、「噴口の総開口面積」とは、全ての噴口の開口面積の合計を意味する。さらに、「ステムオリフィス孔の総開口面積」とは、全てのステムオリフィス孔の開口面積の合計を意味する。
【0037】
噴口(111)の総開口面積は、特に限定されないが、十分な噴射の勢いを保ちつつ、広範囲に内容物を噴霧するという観点から、0.3〜15mm
2であることが好ましく、より好ましくは1.5〜10mm
2である。0.3mm
2未満である場合、噴射量が低下する場合がある。15mm
2を超える場合は、噴射の勢いが弱くなり、肌に到達しにくい場合がある。
各噴口(111)の開口面積(即ち、噴口1つあたりの開口面積)は、特に限定されないが、各噴口から大きな液滴を広範囲に均一に噴霧し、舞い散りを抑制するという観点から、それぞれ、0.05〜1.0mm
2であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.6mm
2である。0.05mm
2未満である場合、液滴が小さくなり過ぎ内容物が舞い散ってしまうので、むせに繋がる恐れがある。1.0mm
2を超える場合は、その噴口から内容物が多量に噴出され、他の穴からの噴出を妨げる場合がある。
【0038】
図4に示す如く、ノズル(11)は、噴口(111)の内側の領域でノズル内部流路(112)に突出するボス(113)を備えることができる。ボス(113)があることにより、内容物を各噴口に案内しやすくなり好ましい。
しかし、本発明に係るエアゾール製品の、第2実施形態のノズルの側面断面図である
図5に示すように、ボス(113)は無くても構わない。
【0039】
図6は、本発明に係るエアゾール製品の、第3実施形態のノズルの(a)正面図、(b)C−C断面図、(c)斜視図である。
ステム(22)を通ってきた内容物は、ノズル内部流路(112)を通り、次いでノズル内部流路(112)及び各噴口(111)と連通する案内部(116)を通って、各噴口(111)から噴出される。
各噴口(111)の間隔は適宜決定することができる。
【0040】
図7は、本発明に係るエアゾール製品の、第4実施形態のノズルの(a)正面図、(b)D−D断面図、(c)斜視図である。
このノズル(11)は、第1凸部(114)と第2凸部(115)を有しており、第2凸部(115)に対し第1凸部(114)が高く形成されている。噴口(111)は、その中心付近が第1凸部(114)及び第2凸部(115)の円周上に形成されている。これにより、ノズル内部流路(112)、案内部(116)を通ってきた内容物の一部は噴口(111)の内壁に衝突し、半径方向外側に噴出されるので、より広範囲に内容物を噴出させることができる。
【0041】
再び、
図2を参照する。
図2におけるハウジング(21)は、側面に気相取込開口(VT)(213)と底面に液相取込開口(UT)(214)とを備えている。気相取込開口(VT)(213)から内容物の気相(D)を上方空間(211)に導入し、液相取込開口(UT)(214)から内容物の液相(C)を下方空間(212)に導入する。導入されたこの気相(D)と液相(C)は、ステム(22)の側面に設けられたステムオリフィス孔(221)から内部流路(222)に導入され、アクチュエーター(1)に吸い上げられる。なお、本発明においては、ハウジングは気相取込開口(VT)を備えていなくてもよい。
気相取込開口(VT)(213)の総開口面積と液相取込開口(UT)(214)の総開口面積との比率(VT/UT)は0.5以下(即ち、0〜0.5)であることが好ましく、より好ましくは0〜0.3である。この範囲とすることにより、噴出される霧における気相と液相の比率をより一層適正化することができる。上記比率(VT/UT)が0.5を超えると、噴出される霧の気体比率が高過ぎるため、肌に対する原液の付着率が低下し、紫外線防御効果が低下する場合がある。
【0042】
液相取込開口(UT)(214)の総開口面積は、特に限定されないが、0.5mm
2以上が好ましく、より好ましくは0.75〜4.0mm
2である。液相取込開口(UT)(214)の総開口面積をこの範囲とすることにより、十分な量の液相を噴出させることができ、より一層紫外線防御効果が向上するため好ましい。
【0043】
[物性]
本発明に係るエアゾール製品の噴射量は、特に限定されないが、0.3〜3.0g/秒が好ましく、より好ましくは0.5〜2.0g/秒である。
【0044】
[用途]
本発明に係るエアゾール製品は、金属酸化物を主成分とする粉体を含む内容物を噴霧するエアゾール製品である。中でも、日焼け止め化粧料であることが好ましい。日焼け止め化粧料である本発明に係るエアゾール製品においては、内容物中の金属酸化物を主成分とする粉体が紫外線散乱剤として機能するため、内容物を噴霧、塗布することにより、紫外線防御効果が得られる。本発明に係るエアゾール製品は、特に限定されないが、人に対して用いる人用のエアゾール製品であることが好ましい。本発明に係るエアゾール製品の適用部位は、特に限定されないが、例えば、腕部、足部、胸部、背部、脚部、腹部、顔部、頭部などが挙げられる。
本発明に係るエアゾール製品は、例えば、紫外線から防御したい部位の方向に噴口を向けて、アクチュエーターを押すことにより使用する。
【0045】
本発明に係るエアゾール製品は、紫外線防御効果に加えて、さらに、例えば、体臭抑制効果、制汗効果、保湿効果、香りを付する効果、冷却/冷感効果、殺菌効果等を有していてもよい。中でも、さらに、保湿効果、香りを付する効果、及び冷却/冷感効果からなる群より選ばれた効果を有していることが好ましい。なお、本発明において「日焼け止め化粧料」と称している「化粧料」とは、薬事法上の「化粧品」には限定されず、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨のいずれであってもよい。
【0046】
本発明に係るエアゾール製品は、金属酸化物を主成分とする粉体を必須成分とする内容物を有するため、金属酸化物が紫外線散乱剤として機能し、紫外線防御効果を奏する。また、本発明に係るエアゾール製品のアクチュエーターは、6以上の噴口を有しているため、上記内容物を広い範囲に均一に噴出(噴霧)することができ、内容物の均一塗布性が向上する。また、噴射の勢いが強くなり過ぎず、内容物の舞い散りを抑制できるため、舞い散った内容物を原因とするむせ・咳き込みの発生を防止しうる。さらに、上記6以上の噴口の総開口面積と上記ステムオリフィス孔の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が1〜80であることにより、内容物を比較的大きな液滴のまま噴出させることができる。このため、内容物の舞い散りを抑制することができるので、舞い散った内容物を原因とするむせ・咳き込みの発生を防止するという優れた効果を発揮し得る。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。しかし、以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
(試験1:噴口数、及び噴口の総開口面積とステムオリフィス孔の総開口面積との比率)
表1〜表2に記載する噴口数、噴口径、噴口総開口面積、ステムオリフィス孔径、及びステムオリフィス孔総開口面積を有する本発明に係るエアゾール容器に内容物60gを充填し、エアゾール製品を製造した。
内容物としては、下記組成の原液と、液化石油ガス(LPG)を用いた噴射剤とを、原液:LPG(質量比)が10:90となるように混合したものを用いた。
<原液組成>
酸化亜鉛 20質量%
シクロペンタシロキサン 36質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 6.5質量%
1,3−ブチレングリコール 5質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 5質量%
精製水 27.5質量%
【0049】
そして、内容物を噴出させたときの噴出状態を、下記評価基準に従って評価し、表1〜表2に示した。表中の「◎」、「○」及び「×」は、各エアゾール製品を噴射した際の噴出状態(勢い、霧の状態)を観察し、下記の基準に基づいて評価した結果である。また、当該試験の結果と共に示した「比率」は、(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)の値である。
【0050】
<評価基準>
◎:優れた噴出状態
○:使用可能な噴出状態
×:不良な噴出状態
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1〜表2の結果から、噴口数が6以上の場合、(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)として示される比率が、1〜80の場合に良好な噴出状態となった。当該比率が1未満の場合には、内容物が舞い散る不良な噴出状態となったため、むせ易く咳き込みの原因となる恐れがある。一方、当該比率が80を超える場合、噴射が弱く不良な噴出状態となった。
【0054】
実施例1〜17、比較例1〜5
表3〜表5に記載する噴口数、噴口径、噴口面積、ステムオリフィス孔数、ステムオリフィス孔径、ステムオリフィス孔面積を有するエアゾール容器(容量:294mL)に内容物(質量:100g)を充填し、エアゾール製品を製造した。なお、上記エアゾール容器におけるハウジングは気相取込開口(VT)を備えておらず、液相取込開口(UT)(個数1つ)の開口面積は3.80mm
2であった。
内容物は、表3〜表5に記載する原液と噴射剤とから構成したものを用いた。なお、LPG及びDMEは、それぞれ以下のものを用いた。なお、LPG及びDMEは、それぞれ以下のものを用いた。
LPG : ブタン99質量%、プロパン1質量%、小池化学株式会社製、20℃における蒸気圧0.15MPa
DME : 小池化学株式会社製、20℃における蒸気圧0.41MPa
【0055】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各エアゾール製品について、以下の評価を行った。評価結果は表3〜表5に記載した。
【0056】
(1)咳き込みの無さ
10人の評価者により評価を行った。各評価者が、15cmの噴射距離で、露出した上腕部に対し、1秒間、各エアゾール製品の噴射を行った。その際に咳き込んだ評価者の人数より、下記の基準で評価を実施した。
<評価基準>
◎(優れる): 咳き込む評価者が1人以下
×(不良) : 咳き込む評価者が2人以上
【0057】
(2)平均粒子径
測定器より15cm離れた位置から、各エアゾール製品を噴射し、粒度分布測定器(Malvern Instruments Ltd.製、機器名「Spraytec」)を用いて、噴射された液滴の平均粒子径を測定した。なお、平均粒子径は、相当表面積から得られる理論的球体の直径の計算値である。
【0058】
(3)付着率
縦380mm×横330mmのワイピングクロス(日本製紙クレシア株式会社製、商品名「キムタオル(品番:61000)」)を、地面に対して垂直に立てた板に張り付け、15cm離れた位置から、各エアゾール製品を5秒間噴射した。各エアゾール製品の噴射前後での質量変化量を「噴射量(g)」、ワイピングクロスの質量変化量をワイピングクロスへの「付着量(g)」とした。上記「噴射量」、「付着量」、及び各エアゾール製品の内容物中の「原液比率(質量%)」より、下記の計算式を用いて、付着率(質量%)を計算した。
付着率(質量%) = 付着量(g)/(噴射量(g)×原液比率(質量%)/100)×100
【0059】
(4)噴出状態
各エアゾール製品を噴射した際の噴出状態(勢い、霧の状態)を観察し、下記の基準に基づいて評価を実施した。
<評価基準>
◎:優れた噴出状態
○:使用可能な噴出状態
×:不良な噴出状態
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
上記結果より、本発明のエアゾール製品(実施例1〜17)は、粉体の含有量(酸化亜鉛及び酸化チタンを含む場合は総含有量)が15〜60質量%、噴口数が6以上、そして噴口の総開口面積とステムオリフィス孔の総開口面積のとの比率(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が1〜80とすることにより良好な品質を得ることができることがわかる。具体的には、上記条件の場合に、咳き込みの無さ及び噴射状態が共に良好であるという結果が得られた。また、このときの平均粒子径が大きかったことからも舞い散りを抑制できたと推測される。さらに、この条件の場合、付着率も高く、優れた紫外線防御効果が期待できる。
【0064】
試験例1〜2、比較試験例
表6は、原液中の金属酸化物粉体(紫外線散乱剤)の含有量と紫外線防御効果(SPF値及びPA値)の関係を表す試験例及び比較試験例を示している。SPF値はISO24444に準じた方法、UVAPF値(PA値)は、ISO24442に準じた方法にて測定した。
【0065】
【表6】
【0066】
以下に、本発明に係るエアゾール製品の処方例を示す。なお、容器本体や噴出装置としては、上記の実施例に例示したものを用いることができる。
【0067】
処方例1
(原液)
シクロペンタシロキサン 30質量%
酸化亜鉛 15質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7質量%
t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン 2質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 5質量%
シリカ 5質量%
精製水 20質量%
エタノール 15質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
香料 0.5質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=20/80
【0068】
処方例2
(原液)
シクロペンタシロキサン 22質量%
酸化チタン 20質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5質量%
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3質量%
1,3−ブチレングリコール 10質量%
精製水 24質量%
エタノール 15質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
香料 0.5質量%
(噴射剤)
窒素ガス 100質量%
原液/噴射剤(質量比)=99.3/0.7
【0069】
処方例3
(原液)
シクロペンタシロキサン 30質量%
酸化亜鉛 18質量%
酸化チタン 2質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 6.5質量%
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 5質量%
精製水 20質量%
エタノール 15質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%
(噴射剤)
DME(20℃における蒸気圧0.41MPa) 79質量%
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
19.8質量%
窒素ガス 1.2質量%
原液/噴射剤(質量比)=85/15