(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加速度センサを用いて計測された人の移動運動中の各時刻における2方向の加速度成分について、前記2方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度を第1の分解能で表す第1の2次元マップを表示するよう表示部を制御する第1の表示制御手段と、
前記第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲内において注目する範囲を設定する設定手段と、
前記第1の2次元マップにおける領域のうち計測頻度が前記注目する範囲に属する領域における計測頻度を、前記第1の分解能より高い第2の分解能で表す第2の2次元マップを表示するよう前記表示部を制御する第2の表示制御手段と、を備えた移動運動状態表示装置。
前記第1及び第2の2次元マップは、前記2方向の加速度成分を2軸とする座標系において、前記2方向の加速度成分の組合せに対応する座標の画素を、該組合せの計測頻度に応じた色で表す画像である、請求項1に記載の移動運動状態表示装置。
前記第1の2次元マップは、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の色を割り当てて、第1の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた色で表す画像であり、
前記第2の2次元マップは、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の色と同じ複数の色を割り当てて、前記第1の間隔より狭い第2の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた色で表す画像である、請求項2に記載の移動運動状態表示装置。
前記第1の2次元マップは、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の色を割り当てて、該第1の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた色で表す画像であり、
前記第2の2次元マップは、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の色と同じ複数の色を割り当てて、該第2の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた色で表す画像である、請求項2に記載の移動運動状態表示装置。
前記複数の色は、第1の色から該第1の色とは異なる第2の色へと徐々に変化する過程における各色により構成されている、請求項3または請求項4に記載の移動運動状態表示装置。
前記第1及び第2の2次元マップは、前記2方向の加速度成分を2軸とする座標系において、前記2方向の加速度成分の組合せに対応する座標の画素を、該組合せの計測頻度に応じた明度で表す画像である、請求項1に記載の移動運動状態表示装置。
前記第1の2次元マップは、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の明度を割り当てて、第1の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた明度で表す画像であり、
前記第2の2次元マップは、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の明度と同じ複数の明度を割り当てて、前記第1の間隔より狭い第2の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた明度で表す画像である、請求項6に記載の移動運動状態表示装置。
前記第1の2次元マップは、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の明度を割り当てて、該第1の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた明度で表す画像であり、
前記第2の2次元マップは、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の明度と同じ複数の明度を割り当てて、該第2の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた明度で表す画像である、請求項6に記載の移動運動状態表示装置。
前記設定手段は、前記第1の2次元マップにおいて操作者により指定された画素または領域に対応した計測頻度に基いて、前記注目する範囲を設定する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の移動運動状態表示装置。
前記2次元ヒストグラムは、該2次元ヒストグラムの2次元座標系において、原点に近い領域にて第1のビンのサイズを有しており、前記原点から遠い領域にて前記第1のビンのサイズより大きい第2のビンのサイズを有している、請求項12に記載の移動運動状態表示装置。
前記第1の2次元マップは、前記2次元ヒストグラムを表す画像にスムージング処理を施して得られる画像である、請求項12または請求項13に記載の移動運動状態表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述のリハビリテーションにおいては、理学療法士などの指導員が患者の歩行運動を目視で確認し主観で判断するため、評価がばらつくことがある。また、既存の歩行評価技術においても、評価結果を客観的に示す方法は未だ確立されていない。特に、歩行中の体重バランスの移動範囲と集中領域を知ることは、例えば、片麻痺の患者の歩行評価に効果的であると考えられるが、そのような歩行運動の解析結果を効率的に確認できるものは、現時点において存在していない。
【0006】
このような事情により、人の歩行などの移動運動の評価に有用な移動運動の解析結果を効率的に確認できる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点の発明は、
加速度センサを用いて計測された人の移動運動中の各時刻における2方向の加速度成分について、前記2方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度を第1の分解能で表す第1の2次元マップ(map)を表示するよう表示部を制御する第1の表示制御手段と、
前記第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲内において注目する範囲を設定する設定手段と、
前記第1の2次元マップにおける領域のうち計測頻度が前記注目する範囲に属する領域における計測頻度を、前記第1の分解能より高い第2の分解能で表す第2の2次元マップを表示するよう前記表示部を制御する第2の表示制御手段と、を備えた移動運動状態表示装置を提供する。
【0008】
第2の観点の発明は、
前記第1及び第2の2次元マップが、前記2方向の加速度成分を2軸とする座標系において、前記2方向の加速度成分の組合せに対応する座標の画素を、該組合せの計測頻度に応じた色で表す画像である、上記第1の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0009】
第3の観点の発明は、
前記第1の2次元マップが、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の色を割り当てて、第1の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた色で表す画像であり、
前記第2の2次元マップが、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の色と同じ複数の色を割り当てて、前記第1の間隔より狭い第2の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた色で表す画像である、上記第2の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0010】
第4の観点の発明は、
前記第1の2次元マップが、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の色を割り当てて、該第1の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた色で表す画像であり、
前記第2の2次元マップが、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の色と同じ複数の色を割り当てて、該第2の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた色で表す画像である、上記第2の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0011】
第5の観点の発明は、
前記複数の色が、第1の色から該第1の色とは異なる第2の色へと徐々に変化する過程における各色により構成されている、上記第3の観点または第4の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0012】
第6の観点の発明は、
前記第1及び第2の2次元マップが、前記2方向の加速度成分を2軸とする座標系において、前記2方向の加速度成分の組合せに対応する座標の画素を、該組合せの計測頻度に応じた明度で表す画像である、上記第1の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0013】
第7の観点の発明は、
前記第1の2次元マップが、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の明度を割り当てて、第1の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた明度で表す画像であり、
前記第2の2次元マップが、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の明度と同じ複数の明度を割り当てて、前記第1の間隔より狭い第2の間隔を有する複数の計測頻度の各々について同じ該計測頻度を表す画素同士を結んだ線を、該計測頻度に割り当てられた明度で表す画像である、上記第6の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0014】
第8の観点の発明は、
前記第1の2次元マップが、該第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して複数の明度を割り当てて、該第1の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた明度で表す画像であり、
前記第2の2次元マップが、該第2の2次元マップが表す計測頻度の範囲に対して前記複数の明度と同じ複数の明度を割り当てて、該第2の2次元マップが表す各画素を、該画素に対応した前記組合せの計測頻度に割り当てられた明度で表す画像である、上記第6の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0015】
第9の観点の発明は、
前記複数の明度が、白色から黒色まで徐々に変化する過程における各明度により構成されている、上記第7の観点または第8の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0016】
第10の観点の発明は、
前記設定手段が、操作者により指定された計測頻度の範囲を、前記注目する範囲として設定する、上記第1の観点から第9の観点のいずれか一つの観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0017】
第11の観点の発明は、
前記設定手段が、前記第1の2次元マップにおいて操作者により指定された画素または領域に対応した計測頻度に基いて、前記注目する範囲を設定する、上記第1の観点から第9の観点のいずれか一つの観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0018】
第12の観点の発明は、
前記第1の2次元マップが、2次元ヒストグラム(histogram)に基づく画像である、上記第1の観点から第11の観点のいずれか一つの観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0019】
第13の観点の発明は、
前記2次元ヒストグラムが、該2次元ヒストグラムの2次元座標系において、原点に近い領域にて第1のビン(bin)のサイズ(size)を有しており、前記原点から遠い領域にて前記第1のビンのサイズより大きい第2のビンのサイズを有している、上記第12の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0020】
第14の観点の発明は、
前記第1の2次元マップが、前記2次元ヒストグラムを表す画像にスムージング(smoothing)処理を施して得られる画像である、上記第12の観点または第13の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0021】
第15の観点の発明は、
前記2方向が、前記人の左右方向、前後方向及び上下方向のうちの2方向である、上記第1の観点から第14の観点のいずれか一つの観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0022】
第16の観点の発明は、
前記2方向が、前記人の左右方向及び前後方向である、上記第15の観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0023】
第17の観点の発明は、
前記移動運動が、歩行である、上記第1の観点から第16の観点のいずれか一つの観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0024】
第18の観点の発明は、
前記移動運動が、走行である、上記第1の観点から第16の観点のいずれか一つの観点の移動運動状態表示装置を提供する。
【0025】
第19の観点の発明は、
加速度センサを用いて人の移動運動中の各時刻における2方向の加速度成分を計測する計測ステップ(step)と、
前記計測された各時刻における2方向の加速度成分について、前記2方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度を第1の分解能で表す第1の2次元マップを表示させる第1の表示ステップと、
前記第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲内において注目する範囲を設定する設定ステップと、
前記第1の2次元マップにおける領域のうち計測頻度が前記設定された範囲に属する領域における計測頻度を、前記第1の分解能より高い第2の分解能で表す第2の2次元マップを表示させる第2の表示ステップと、を備えた移動運動状態表示方法を提供する。
【0026】
第20の観点の発明は、
人に取り付けられる加速度センサと、
前記加速度センサを用いて計測された前記人の移動運動中の各時刻における2方向の加速度成分について、前記2方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度を第1の分解能で表す第1の2次元マップを表示するよう表示部を制御する第1の表示制御手段と、
前記第1の2次元マップが表す計測頻度の範囲内において注目する範囲を設定する設定手段と、
前記第1の2次元マップにおける領域のうち計測頻度が前記注目する範囲に属する領域における計測頻度を、前記第1の分解能より高い第2の分解能で表す第2の2次元マップを表示するよう前記表示部を制御する第2の表示制御手段と、を備えた移動運動状態表示システム(system)を提供する。
【0027】
第21の観点の発明は、
コンピュータ(computer)を、
上記第1の観点から第18の観点のいずれか一つの観点の移動運動状態表示装置として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0028】
上記観点の発明によれば、人の移動運動中の各時刻における2方向の加速度成分について、当該2方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度を表す2次元マップとして、全体に渡って相対的に低分解能に示したものと、注目する特定の計測頻度の範囲に絞って相対的に高分解能に示したものとを表示させることができ、人の移動運動中における体重バランスの移動範囲及び集中領域の概要を直感的に把握できるだけでなく、評価上意味のある体重バランスの注目すべき僅かな変化をも把握することができる。よって、上記観点の発明によれば、操作者は、人の歩行などの移動運動の評価に有用な移動運動の解析結果を効率的に確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、発明の実施形態について説明する。なお、これにより発明は限定されない。
【0031】
図1は、歩行状態表示システム(system)1の構成を概略的に示す図である。なお、歩行状態表示システム1は、発明における移動運動状態表示システムの一例である。
【0032】
歩行状態表示システム1は、
図1に示すように、加速度センサモジュール(sensor module)2と、歩行状態表示装置3とを有している。加速度センサモジュール2は、患者10の背面の腰部中央等に、粘着パッド(pad)やバンド(band)等により装着される。歩行状態表示装置3は、操作者11が携帯したり操作したりして使用される。なお、歩行状態表示装置3は、発明における移動運動状態表示装置の一例である。
【0033】
図2は、加速度センサモジュール2及び歩行状態表示装置3のハードウェア(hardware)の構成を示す図である。
【0034】
図2に示すように、加速度センサモジュール2は、プロセッサ(processer)21と、加速度センサ22と、メモリ(memory)23と、通信I/F(interface)24と、バッテリ(battery)25とを有している。歩行状態表示装置3は、例えば、スマートフォン(smart phone)、タブレット型コンピュータ(tablet computer)、ノートパソコン(note PC)などのコンピュータ端末であり、プロセッサ31と、ディスプレイ32と、操作部33と、メモリ34と、通信I/F35と、バッテリ36とを有している。なお、プロセッサ21及びプロセッサ31は、それぞれ、単一のプロセッサに限定されず、複数のプロセッサである場合も考えられる。
【0035】
図3は、加速度センサモジュール2及び歩行状態表示装置3の機能的な構成を示す機能ブロック(block)図である。
【0036】
加速度センサモジュール2は、
図3に示すように、加速度センサ部201と、サンプリング(sampling)部202と、送信部203とを有している。なお、サンプリング部202及び送信部203は、プロセッサ21がメモリ23に記憶されている所定のプログラム(program)を読み出して実行することにより実現される。
【0037】
加速度センサ部201は、センサ本体を基準とした3次元直交座標系におけるx,y,zの各軸方向の加速度成分について、その加速度成分に応じたアナログ(analog)信号をほぼリアルタイム(real time)に出力する。
【0038】
サンプリング部202は、そのアナログ信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル(digital)の加速度データに変換する。サンプリング周波数は、例えば128Hzである。サンプリング部202は、例えば、1g(重力加速度)=9.8m/s
2=加速度データ値128となるスケール(scale)で、加速度データを出力する。なお、ここでは、加速度成分の正負は、右側寄り、前側寄り、上側寄りをそれぞれ正とする。
【0039】
送信部203は、サンプリングされた各時刻における加速度成分を表す加速度データをほぼリアルタイム(real time)にて無線で送信する。
【0040】
なお、本例では、加速度センサモジュール2は、センサ本体のx軸方向、y軸方向及びz軸方向が、それぞれ、患者10のRL(Right-Left)方向、AP(Anterior-Posterior)方向及びSI(Superior-Inferior)方向と一致するように取り付けられる。RL方向、AP方向及びSI方向は、それぞれサジタル(sagittal)方向、コロナル(coronal)方向及びアキシャル(axial)方向とも言う。また、本例では、加速度センサモジュール2の姿勢(傾き)は、患者10の歩行中において変化しないものと仮定する。
【0041】
歩行状態表示装置3は、
図3に示すように、操作部301と、ディスプレイ(display)部302と、患者情報受付部303と、受信部304と、歩行加速度算出部305と、第1の2次元マップ(map)生成部306と、注目頻度範囲設定部307と、注目頻度領域抽出部308と、第2の2次元マップ生成部309と、表示制御部310と、GUI(Graphical User Interface)部311と、記憶部312とを有している。なお、患者情報受付部303、受信部304、歩行加速度算出部305、第1の2次元マップ生成部306、注目頻度範囲設定部307、注目頻度領域抽出部308、第2の2次元マップ生成部309、表示制御部310、及びGUI部311は、プロセッサ31がメモリ34に記憶されている所定のプログラムを実行することにより実現される。また、第1の2次元マップ生成部306及び表示制御部310は、発明における第1の表示制御手段の一例である。また、第2の2次元マップ生成部309及び表示制御部310、発明における第2の表示制御手段の一例である。また、注目頻度範囲設定部307は、発明における設定手段の一例である。
【0042】
操作部301は、操作者11の操作を受け付ける。操作部301は、例えば、タッチパネル(touch panel)、タッチパッド(touch pad)、キーボード(keyboard)、マウス(mouse)などにより構成されている。なお、操作者11は、例えば、理学療法士などの指導員である。
【0043】
ディスプレイ部302は、画像を表示する。ディスプレイ部302は、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどにより構成されている。
【0044】
患者情報受付部303は、患者情報の入力を受け付け、入力された患者情報を記憶部312に記憶させる。
【0045】
受信部304は、加速度センサモジュール2の送信部203から送信された加速度データを無線で受信する。なお、送信部203と受信部303との無線通信には、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の規格を用いる。
【0046】
歩行加速度算出部305は、取得された加速度データに基づいて、患者10の歩行中における左右方向、前後方向及び上下方向の加速度成分a
x,a
y,a
zをそれぞれ算出する。なお、本例では、これらの加速度成分a
x,a
y,a
zは、重力加速度gの成分を除去して、患者10の純粋な歩行運動により生じた加速度成分として算出することを想定する。ただし、より簡便に、重力加速度gの成分を含む形で算出してもよい。また、左右方向、前後方向及び上下方向は、それぞれ、水平左右方向、水平進行方向及び鉛直方向を想定する。ただし、より簡便に、加速度センサモジュール2のセンサ本体を基準としたx軸方向、y軸方向及びz軸方向としてもよい。
【0047】
第1の2次元マップ生成部306は、患者10の歩行中の各時刻における左右方向及び前後方向の加速度成分a
x,a
yについて、左右方向及び前後方向の加速度成分の組合せごとの計測頻度の分布を表す第1の2次元マップM1を生成する。
【0048】
注目頻度範囲設定部307は、第1の2次元マップM1が表す計測頻度の全範囲の中で、注目する計測頻度の範囲(以下、注目頻度範囲という)を設定する。
【0049】
注目頻度領域抽出部308は、第1の2次元マップM1における全領域のうち、計測頻度が注目頻度範囲に属する領域(以下、注目頻度領域という)を抽出する。
【0050】
第2の2次元マップ生成部309は、注目頻度領域について計測頻度の分布を表す第2の2次元マップM2を生成する。
【0051】
表示制御部310は、ディスプレイ部302を制御して、第1の2次元マップM1及び第2の2次元マップM2等を画面に表示させる。
【0052】
GUI部311は、いわゆるグラフィカル・ユーザ・インタフェースとして機能する。すなわち、GUI部311は、ディスプレイ部302の画面に入力欄やボタン(button)等を擬似的に表示し、これらを介して操作者11からの入力を受け付けたり、操作者11に提供する情報を画面に表示したりする。
【0053】
記憶部312は、入力された患者情報、取得された加速度データ、算出された各加速度成分、生成された2次元マップなどのデータを記憶する。なお、これらのデータは、必要に応じて、歩行状態表示装置3に接続されたデータベース41に転送されたり、外付けのDVD−ROM、メモリカード(memory card)などの媒体や、インターネット(internet)を介して接続された外部の媒体などを含む記憶媒体42に保存されたりする。
【0054】
これより、歩行状態表示システム1における処理の流れについて説明する。
【0055】
図4は、歩行状態表示システム1における処理の流れを示すフロー(flow)図である。
【0056】
ステップ(step)S1では、操作者11が操作部301を操作して、患者10の患者情報を歩行状態表示装置3に入力する。患者情報受付部303は、その患者情報の入力を受け付け、記憶部312に記憶させる。患者情報には、例えば、患者のID番号、氏名、年齢、性別、生年月日などが含まれる。なお、後述する患者10の加速度データや、当該加速度データを基に得られたグラフ(graph)、解析結果などは、この患者情報と対応付けて記憶部312に記憶される。
【0057】
ステップS2では、患者10の歩行中の各時刻t
iにおける加速度データを取得する。ここでは、まず、操作者11が、患者10の腰部に加速度センサモジュール2を取り付ける。そして、患者10に、標準的な歩行速度でしばらく歩行してもらう。歩行は、通常、距離にして5m〜20m程度、時間にして20秒〜3分程度、歩数にして10歩〜40歩程度である。加速度センサモジュール2のサンプリング部202は、加速度センサ部201の出力に基づいて、患者10の歩行中におけるx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度成分A
x,A
y,A
zをサンプリングして計測する。加速度センサモジュール2の送信部203は、計測された加速度成分を表す加速度データをほぼリアルタイムで送信する。歩行状態表示装置3は、送信部203から送信された加速度データを、受信部304を用いて受信して取得する。取得された加速度データは、記憶部312に送信され記憶される。
【0058】
ステップS3では、歩行加速度算出部305が、取得された加速度データを記憶部312から読み出し、当該加速度データに基づいて、患者10の歩行中の各時刻における左右方向、前後方向及び上下方向の加速度成分a
x,a
y,a
zを算出する。なお、ここでは、加速度データが表す加速度から重力加速度gの成分を除去する処理を含む所定のアルゴリズム(algorithm)を用いて、各加速度成分を算出する。算出された各加速度成分は、記憶部312に送信され記憶される。
【0059】
図5は、患者10の歩行中の各時刻における左右方向、前後方向及び上下方向の加速度成分a
x,a
y,a
zの一例を示す図である。
図5において、横軸は時間、縦軸は加速度成分の大きさ(相対値)をそれぞれ表している。
【0060】
ステップS4では、操作者11が、操作部301を操作して、加速度成分の測定結果及び解析結果を表示するための複数の機能の中から、実行させたい所望の機能を選択する。本例では、操作者11は、患者10の左右方向及び前後方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度の分布を表す2次元マップを表示する機能を選択するものとする。この2次元マップによれば、患者10の歩行中における水平面方向での加速度成分がどのように分布しているかを確認することができる。つまり、患者10の体重バランスすなわち静止状態からの移動の向きと強さについて、集中領域やその集中度合、移動範囲の広さや偏り、左右対称性、移動パターン(pattern)等を評価することができる。
【0061】
ステップS5では、第1の2次元マップ生成部306が、ステップS4での操作者11による選択操作に応答して、第1の2次元マップM1を生成する。第1の2次元マップM1は、ステップS3にて得られた各時刻における左右方向及び前後方向の加速度成分a
x,a
yについて、左右方向及び前後方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度の分布を表すマップである。
【0062】
本例では、まず、取得された患者10の各時刻t
iにおける左右方向及び前後方向の加速度成分a
x(i),a
y(i)を、記憶部312から読み出す。次に、取得された各時刻t
iでの左右方向及び前後方向の加速度成分a
x(i),a
y(i)について、これら2方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度を求める。次いで、これら2方向の加速度成分a
x,a
yを2軸とした2次元座標系K1を用意する。そして、この2次元座標系K1において、上記組合せに対応した座標の画素に、当該組合せの計測頻度を画素値として設定する。これにより、各画素を2次元的なビン(bin)とした2次元ヒストグラム(histogram)Hが得られる。
【0063】
図6は、左右方向及び前後方向における加速度成分の2次元ヒストグラムHの一例を示す図である。
【0064】
なお、2次元ヒストグラムHにおける各ビンのサイズ(size)は一定でもよいが、本例では、2次元座標系K1における原点Oに近い領域よりも、原点Oから遠い領域の方がより大きくなるよう振り分けることにする。ここで、原点Oは、左右方向及び前後方向の加速度成分が共に0となる点である。ビンのサイズの振り分け方としては、例えば、原点Oから遠いほど、各ビンのサイズが徐々に大きくなるように振り分ける。また例えば、データ点のばらつき(分散)が大きい領域において、ビンのサイズを大きくするように振り分ける。2次元座標系K1における原点Oから遠い領域に位置するデータ点は、ばらつきが多く、対応する計測頻度も小さくて目立たないことが多い。しかし、このように原点Oから遠い領域やデータ点のばらつきの大きい領域におけるビンのサイズをより大きくすることで、その存在を強調させることができる。その結果、患者10の水平面方向における体重バランスの移動範囲をより容易に把握することが可能となる。
【0065】
次に、観察がしやすくなるように、2次元ヒストグラムHを表す画像にスムージング(smoothing)処理を施して、粗い凹凸部分を滑らかに整形する。スムージング処理には、例えば、3×3画素や5×5画素などのマスク(mask)を用いた平滑化フィルタ(filter)処理等を用いることができる。また、スムージング処理は、1回だけでなく、複数回に渡り繰返し行ってもよい。
【0066】
そして、スムージング処理済みの画像H′を、所定の表現形式による画像に変換することにより、第1の2次元マップM1を生成する。記憶部312は、この第1の2次元マップM1を記憶する。本例では、当該表現形式として、カラー(color)等高線表現形式を用いる。
【0067】
カラー等高線表現形式とは、一定間隔を有する複数の計測頻度(画素値)について同じ計測頻度(画素値)を有する画素同士を線(以下、等高線という)で結ぶ表現形式であり、それら等高線を、対応する計測頻度(画素値)に応じた色で表す。例えば、2次元マップにおける計測頻度(画素値)の範囲である0から最大頻度(最大画素値)までのフルレンジ(full range)を正規化し、0〜100%で表すようにする。このとき、計測頻度(画素値)のフルレンジ0〜100%の各レベル(level)に対して、互いに異なる複数の色を割り当てる。複数の色は、例えば、第1の色から第1の色とは異なる第2の色へと徐々に変化する過程における各色により構成される。そして、この0〜100%の範囲において複数の特定レベルを一定間隔で均等に設定し、これら複数の特定レベルの各々について同じ特定レベルの計測頻度(画素値)を有する画素同士を線で結び、複数の等高線を生成する。各等高線は、対応するレベルに割り当てられた色で表される。本例では、計測頻度(画素値)のフルレンジ0〜100%に対して、20レベル、すなわち、5%,10%,15%,・・・,95%,100%の特定レベルを設定する。また、計測頻度(画素値)のフルレンジ0〜100%に対して、寒色から暖色へ(例えば、青色→水色→緑色→黄色→橙色→赤色)と徐々に変化する各色を割り当てる。これにより、第1の2次元マップM1を、寒色から暖色に変化する20色の等高線で表すことができる。
【0068】
なお、上記の表現形式としては、カラー等高線表現形式の他、グレースケール(gray-scale)等高線表現形式、カラー分布表現形式、グレースケール分布表現形式等が考えられる。
【0069】
グレースケール等高線表現形式とは、上記のカラー等高線形式において、色の代わりに明暗を表す明度を用いる表現形式である。すなわち、計測頻度(画素値)のフルレンジにおける0〜100%に対して、複数の明度例えば白色から黒色へと徐々に変化する過程における各明度を割り当て、各等高線を、対応するレベルに割り当てられた“明度”で表す。
【0070】
カラー分布表現形式とは、各画素をその計測頻度(画素値)の大きさに応じた色で表す表現形式である。例えば、2次元マップにおける計測頻度(画素値)の範囲である0から最大頻度(最大画素値)までの範囲を正規化し、0〜100%で表すようにする。このとき、計測頻度(画素値)のフルレンジ0〜100%の各レベルに対して、互いに異なる複数の色を割り当てる。そして、この0〜100%の範囲を複数の領域に区分し、それぞれの領域に対応する計測頻度(画素値)を有する画素を、対応する色で表すようにする。例えば、計測頻度(画素値)のフルレンジ0〜100%に対して、寒色から暖色へと徐々に変化する色をほぼ連続的に割り当てる。そして、計測頻度(画素値)のフルレンジ0〜100%を256領域、すなわち、0〜100・1/256%,100・1/256〜100・2/256%,100・2/256〜100・3/256%,・・・,100・254/256〜100・255/256%,100・255/256〜100・256/256%の領域に区分する。これにより、2次元マップ全体を、計測頻度(画素値)別に256色で表すことができる。
【0071】
また、グレースケール分布表現形式とは、上記のカラー分布形式において、色の代わりに明暗を表す明度を用いる表現形式である。すなわち、計測頻度(画素値)の範囲0〜100%に対して、白色から黒色へと徐々に変化する明度を割り当て、区分した各領域の計測頻度(画素値)を有する画素を、対応するレベルに応じた“明度”で表す。
【0072】
なお、第1の2次元マップM1は、スムージング処理していない画像Hを所定の表現形式に変換したものあってもよい。また、第1の2次元マップM1は、スムージング処理なしの画像Hまたはスムージング処理済みの画像H′を、カラー/グレースケール等高線表現形式かつカラー/グレースケール分布表現形式に変換したものであってもよい。
【0073】
ステップS6では、表示制御部310が、ディスプレイ部302を制御して、ステップS5にて生成されたカラー等高線表現形式による第1の2次元マップM1を画面に表示させる。このとき、第1の2次元マップM1の近傍に、第1の2次元マップM1における計測頻度(画素値)のフルレンジ0〜100%に対して割り当てられた色を表すカラーバーCBも表示させる。操作者は、このカラーバーCBを参照することにより、どの色の等高線がどの計測頻度(画素値)のレベルに対応しているかを直感的に把握することができる。
【0074】
図7は、左右方向及び前後方向における加速度成分の第1の2次元マップM1が表示された画面の一例を示す図である。
図7の第1の2次元マップM1は、カラー等高線表現形式による2次元マップである。横軸は左右方向の加速度成分(相対値)、縦軸は前後方向の加速度成分(相対値)をそれぞれ表している。また、各等高線は、計測頻度のフルレンジにおける5%,10%,・・・,100%の各レベルを表しており、等高線の間隔は計測頻度のフルレンジにおける5%分である。各等高線には、青色から赤色へと徐々に変化する色がそれぞれ割り当てられている。
【0075】
ステップS7では、注目頻度範囲設定部307が、操作者11の操作に応じて、あるいは自動で、注目する計測頻度の範囲(以下、注目頻度範囲という)を設定する。
【0076】
本例では、操作者11の操作に応じて注目頻度範囲Rを設定することとし、具体的には次のような方法によって設定する。
【0077】
図7に示すように、GUI部311が、ディスプレイ部302の画面にスライダーバー(slider-bar)SBを表示させる。このスライダバーSBは、1本のバーBと、そのバーBの上をスライドする第1のスライダーS1及び第2のスライダーS2とにより構成されている。バーBは、第1の2次元マップM1における計測頻度(画素値)の範囲を表しており、バーBの一端から他端までの各位置は、計測頻度(画素値)の範囲0〜100%の各レベルと対応している。第1及び第2のスライダーS1,S2は、注目頻度範囲Rに対応する頻度範囲を表している。すなわち、第1のスライダーS1のバーBに対する位置がその頻度範囲の開始レベルRsを示しており、第2のスライダーS2のバーBに対する位置がその頻度範囲の終了レベルReを示している。操作者11は、これら第1及び第2のスライダーS1,S2をポインタ(pointer)P等を用いて移動させることにより、所望の頻度範囲を指定することができる。注目頻度範囲設定部307は、このようにGUIを介して指定された所望の頻度範囲Rs〜Re%を、注目頻度範囲Rとして設定する。
【0078】
なお、所望の頻度範囲の指定方法としては、上記の方法の他に、次のような方法も考えられる。
【0079】
例えば、GUI部311が、ディスプレイ部302の画面にポインタPを表示させる。操作者11は、第1の2次元マップM1上で、計測頻度の分布をより詳しく知りたいと考える領域の中心付近の位置をポインタPを用いて指定する。そして、指定された位置にある画素に対応した計測頻度(画素値)を基準とし、その基準を含む所定の範囲を、所望の頻度範囲として指定する。基準を含む所定の範囲としては、例えば、基準±αとし、αは、第1の2次元マップM1全体または上記指定された位置の近傍領域における各画素に対応した計測頻度の分散もしくは最大−最小間の幅に基づく値、あるいは、プリセット(preset)された値とする。指定された所望の頻度範囲は、上記スライダーバーSBに反映させ、操作者が、第1及び第2のスライダーS1,S2の位置を移動させることにより微調整するようにしてもよい。
【0080】
また例えば、操作者11が、第1の2次元マップM1上で、計測頻度の分布をより詳しく知りたいと考える領域をポインタP等を用いて指定する。そして、指定された領域内の各画素に対応した計測頻度の最小値から最大値までの範囲を、所望の頻度範囲として指定する。指定された所望の頻度範囲は、上記スライダーバーSBに反映させ、操作者が、第1及び第2のスライダーS1,S2の位置を移動させることにより微調整するようにしてもよい。
【0081】
なお、注目頻度範囲設定部307は、第1の2次元マップM1における計測頻度の解析結果等に基いて注目頻度範囲を自動で設定してもよい。
【0082】
ステップS8では、注目頻度領域抽出部308が、第1の2次元マップM1における、左右方向及び前後方向の加速度成分の全組合せ(全画素)の中から、対応する計測頻度(画素値)が注目頻度範囲に属する組合せ(画素)を抽出する。
【0083】
ステップS9では、抽出された左右方向及び前後方向の加速度成分の組合せについて、上記2次元座標系K1において、その組合せごとにおける計測頻度の分布を表す第2の2次元マップM2を生成する。記憶部312は、生成された第2の2次元マップM2を記憶する。
【0084】
この際、第2の2次元マップM2は、第1の2次元マップM1と同じ表現形式による画像として生成する。また、第2の2次元マップM2における計測頻度の分布が、第1の2次元マップM1と比較してより高い分解能で表現されるように、表現形式における設定条件を調整する。例えば、カラー/グレースケール等高線表現形式の場合には、等高線の数を規定する特定レベルの数や、注目頻度範囲Rs〜Re%に対して割り当てられる色または明度を、第1の2次元マップM1のときの同じにする。また例えば、カラー/グレースケール分布表現形式の場合には、注目頻度範囲Rs〜Re%に対して割り当てられる色または明度を、第1の2次元マップM1のときの同じにする。
【0085】
ステップS10では、表示制御部310が、ディスプレイ部302を制御して、ステップS9にて生成されたカラー等高線表現形式による第2の2次元マップM2を画面に表示させる。このとき、第1の2次元マップM1を表示させるときと同様に、第2の2次元マップM2における計測頻度(画素値)の範囲、すなわち注目頻度範囲Rs〜Re%に対して割り当てられた色を表すカラーバーCBも表示させる。
【0086】
図8及び
図9は、
図7の第1の2次元マップM1に基づいて生成された第2の2次元マップM2が表示された画面の例を示す図である。これら第2の2次元マップM2は、第1の2次元マップM1と同様にカラー等高線表現形式による画像である。
【0087】
図8は、注目頻度範囲Rを計測頻度のフルレンジにおける50%〜100%として、この領域を抽出したときの例(第1の例)である。また、
図9は、注目頻度範囲Rを計測頻度のフルレンジにおける0%〜20%として、この領域を抽出したときの例(第2の例)である。両図において、横軸は左右方向の加速度成分(相対値)、縦軸は前後方向の加速度成分(相対値)をそれぞれ表している。第2の2次元マップM2における等高線の本数及び割り当てられた複数の色(色の変化範囲)は、第1の2次元マップM1のとき同じである。一方、第2の2次元マップM2が表す計測頻度の範囲は、いずれの例の場合にも、第1の2次元マップM1よりも狭くなっている。等高線の間隔について言えば、第1の例の場合には、計測頻度のフルレンジにおける2.5%分、第2の例の場合には、計測頻度のフルレンジにおける1%分であり、いずれも第1の2次元マップM1の場合より狭くなっている。そのため、第2の2次元マップM2では、表される計測頻度の分解能が向上している。
図8の例では、2次元マップにおける中央付近の計測頻度が高い領域での等高線の密度が上がっており、体重バランスの集中領域での詳細な頻度情報を確認することができる。また、
図9の例では、2次元マップにおける外側の計測頻度が低い領域での等高線の密度が上がっており、体重バランスの移動が大きい領域での詳細な頻度情報を確認することができる。特にこの場合には、計測頻度が低い領域において埋もれがちな、患者10の歩行における特徴と、偶然に起きた単発的な変化との切分けを行うことができる。
【0088】
ステップS11では、注目頻度範囲を変更するか否かを決定する。変更する場合には、ステップS7に戻る。変更しない場合には、処理を終了する。
【0089】
このような本実施形態によれば、人の歩行運動中の各時刻における2方向の加速度成分について、当該2方向の加速度成分の組合せごとにおける計測頻度を表す2次元マップとして、全体に渡って相対的に低分解能に示したものと、注目する特定の計測頻度の範囲に絞って相対的に高分解能に示したものとを表示させることができ、人の歩行運動中における体重バランスの移動範囲及び集中領域の概要を直感的に把握できるだけでなく、理学療法的に意味のある体重バランスの注目すべき僅かな変化をも把握することができる。すなわち、人の歩行評価に有用な歩行運動の解析結果を効率的に確認することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、操作者が2次元マップ上において関心のある計測頻度の部分だけを抽出し、その頻度情報を強調して可視化することが可能になる。その結果、操作者は、関心のある体重バランスの移動について、患者の歩行の特徴なのか偶然起きた単発的なものなのかを切り分けることができる。
【0091】
なお、発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0092】
例えば、本実施形態では、患者10の歩行中における左右方向及び前後方向の加速度成分a
x,a
yの2次元マップを生成し表示している。しかしながら、患者10の歩行中における他の2方向の加速度成分、例えば、前後方向及び上下方向の加速度a
y,a
z、あるいは、左右方向及び上下方向の加速度a
x,a
zの2次元マップを生成し表示するようにしてもよい。
【0093】
また例えば、本実施形態は、発明を、人の歩行運動に適用した例であるが、人のその他の移動運動、例えば人の走行運動などにも適用することができる。
【0094】
また例えば、本実施形態は、人に装着した加速度センサの出力から人の移動運動中における加速度を基に、上記の2次元マップを生成し表示する装置であるが、コンピュータをこのような装置として機能させるためのプログラムもまた発明の実施形態の一つである。