(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
戸枠と、前記戸枠に開閉可能に支持される戸体を備えるとともに、前記戸体が框と前記框に支持される障子とを備え、且つ前記框の縦框が中空構造で形成され、前記縦框の中空部に補強材を挿入設置してなる建具において、
前記補強材が、補強材本体と、前記補強材本体の端部に上下方向に着脱可能、かつ、材軸方向の上下方向に相対的にスライド移動可能に挿入のみされて一体に配設される端部側補強材と、を備えて形成されており、
前記端部側補強材は、上下方向の長さが前記補強材本体よりも短尺であり、かつ、材軸方向の一方の端部に、前記補強材本体の中空部内に挿入される挿入片が一体で形成されていることを特徴とする建具。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ビルなどの建物に設置される建具として框ドア(サッシ戸)が多用されている。そして、框ドアは、一般に、開口部の内周に設置される戸枠と、戸枠に開閉可能に支持される戸体とを備えて構成されている。また、戸体は上框、下框、一対の縦框を組み付けてなる框と、框に支持されて戸面を形成する障子とを備えて構成され、框にアルミ型材など、障子にガラスパネルなどを用いて構成されている。
【0003】
一方、このような框ドアにおいては、火災発生時にアルミ製の框や障子が加熱されると、加熱面が非加熱面よりも高温になることで熱伸びが発生し、縦框が非加熱面側に反って戸枠と戸体の間に隙間が生じてしまい、火炎や煙、熱がこの隙間から非加熱側に貫通(流通、伝播)するおそれがある。特に、外開きの框ドアにおいては、戸先の縦框の中央だけが錠前で拘束された状態となるため、火災時に加熱されると、この戸先の縦框の上下に大きな反りが発生してしまう。
【0004】
これに対し、框ドアの中空構造の縦框の内部に、鋼製で長尺一本物の補強材を挿入設置し、補強材の上端部及び下端部をそれぞれ、上框、下框にねじ止めして一体に固定する防火対策が提案、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。そして、この補強材を備えた框ドアにおいては、アルミ型材などの縦框に鋼製の補強材を組み合わせることで縦框の剛性が高められ、火災時の熱伸びによる反りの発生を抑止することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の建具においては、戸体の寸法が変わると、長尺の補強材の長さ寸法も変わり、一般に受注生産品である補強材をその都度戸体の寸法に合わせて加工対応する必要が生じ、これによって補強材ひいては建具の製造コストの増大を招くという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、寸法に対して柔軟に対応可能な建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
請求項1に係る建具は、戸枠と、前記戸枠に開閉可能に支持される戸体を備えるとともに、前記戸体が框と前記框に支持される障子とを備え、且つ前記框の縦框が中空構造で形成され、前記縦框の中空部に補強材を挿入設置してなる建具において、前記補強材が、補強材本体と、前記補強材本体の端部に上下方向に着脱可能
、かつ、材軸方向の上下方向に相対的にスライド移動可能に挿入
のみされて一体に配設される端部側補強材と
、を備えて形成されて
おり、前記端部側補強材は、上下方向の長さが前記補強材本体よりも短尺であり、かつ、材軸方向の一方の端部に、前記補強材本体の中空部内に挿入される挿入片が一体で形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項1に係る建具においては、補強材が補強材本体とその上端部及び/又は下端部に着脱可能に挿入されて一体に配設される端部側補強材とで構成されていることにより、例えば、予め、補強材本体に錠前を避ける加工などの加工を施し、端部側補強材に組立ねじ締結用の加工、安全キャップを取り付けるための加工、水抜き孔加工などの加工を施し、框ドアの戸体の組立時に、上記のような加工をそれぞれ施した補強材本体と端部側補強材を一体にして縦框に挿入設置することができる。
これにより、例えば加工数が少ない補強材本体を切断するなどして補強材の長さを自在に調節することができ、戸体の寸法が変わっても、その都度戸体の寸法に合わせて加工対応することを不要にすることが可能になる。
【0011】
また、補強材本体と端部側補強材をそれぞれ個別に加工することができ、さらに加工数が多い端部側補強材を短尺にできるため、補強材に対して加工を施す際の運搬、取り回しが容易になり、従来と比較して加工時の作業性、さらに組立時の作業性を大幅に改善することが可能になる。
さらに、補強材本体と端部側補強材が材軸方向の上下方向に相対的にスライド移動可能に挿入されていることにより、例えば、火災発生時に建具の框や障子が加熱され、加熱面が非加熱面よりも高温になることに伴って熱伸びが発生した際に、補強材本体と端部側補強材の挿入部で熱伸びによる変位を吸収・許容することができる。これにより、戸体の局所に集中応力が発生することを防止し、より確実に補強材によって縦框が非加熱面側に反ることを抑止できる。
【0012】
請求項2に係る建具は、請求項1記載の建具において、前記補強材本体と前記端部側補強材とがそれぞれ、前記戸体の幅方向を向く第1の側壁と、前記戸体の厚さ方向を向き、平行に配設される第2の側壁及び第3の側壁とを備えて断面コ字状あるいは断面方形状に形成されており、
前記端部側補強
材には、前記第1の側壁の端部から材軸方向外側に突出して
前記補強材本体の中空部に挿入される第1の挿入片
が設け
られていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る建具においては、補強材本体と端部側補強材のいずれか一方の端部に、戸体の幅方向を向く第1の側壁の端部から突出する第1の挿入片が形成され、この第1の挿入片を補強材本体と端部側補強材のいずれか他方の端部側の中空部内に挿入して、補強材本体と端部側補強材を一体にすることができる。
【0014】
そして、補強材を補強材本体と端部側補強材に分離可能に形成した場合であっても、この第1の挿入片が戸体の幅方向を向くように形成・配設されているため、例えば、火災発生時に建具の框や障子が加熱され、加熱面が非加熱面よりも高温になることに伴って熱伸びが発生した際に、第1の挿入片がせん断力、曲げに抵抗し、補強材本体と端部側補強材からなる補強材によって確実に縦框が非加熱面側に反ることを抑止できる。
これにより、戸枠と戸体の間に隙間が生じることを防止でき、火炎や煙、熱が戸枠と戸体の間に生じた隙間を通じて非加熱側に貫通(流通、伝播)することを防止でき、優れた耐火性能(防火性能)を付与することが可能になる。
【0015】
請求項3に係る建具は、請求項1または請求項2に記載の建具において、前記補強材本体と前記端部側補強材とがそれぞれ、前記戸体の幅方向を向く第1の側壁と、前記戸体の厚さ方向を向き、平行に配設される第2の側壁及び第3の側壁とを備えて断面コ字状あるいは断面方形状に形成されており、
前記端部側補強
材には、前記第2の側壁と前記第3の側壁のそれぞれの端部から材軸方向外側に突出して
前記補強材本体の中空部に挿入される第2の挿入片
および第3の挿入片
が設け
られていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る建具においては、補強材本体と端部側補強材のいずれか一方の端部に、戸体の厚さ方向を向く第2の側壁、第3の側壁の端部から突出する第2の挿入片、第3の挿入片が形成され、これら第2の挿入片、第3の挿入片を補強材本体と端部側補強材のいずれか他方の端部側の中空部内に挿入して、補強材本体と端部側補強材を一体にすることができる。
【0017】
そして、補強材を補強材本体と端部側補強材に分離可能に形成した場合であっても、これら第2の挿入片、第3の挿入片が戸体の厚さ方向を向くように形成・配設されているため、例えば、火災発生時に建具の框や障子が加熱され、加熱面が非加熱面よりも高温になることに伴って熱伸びが発生した際に、第2の挿入片、第3の挿入片が曲げに抵抗し、補強材本体と端部側補強材からなる補強材によって確実に縦框が非加熱面側に反ることを抑止できる。
これにより、戸枠と戸体の間に隙間が生じることを防止でき、火炎や煙、熱が戸枠と戸体の間に生じた隙間を通じて非加熱側に貫通することを防止でき、優れた耐火性能を付与することが可能になる。
【0020】
請求項
4に係る建具は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建具において、前記縦框の中空部に挿入配置された状態で、前記補強材本体と前記端部側補強材をそれぞれ個別に前記縦框の側壁に固着して、前記補強材が前記縦框に一体に設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項
4に係る建具においては、補強材本体と端部側補強材をそれぞれ個別に縦框の側壁に固着して、補強材が縦框に一体に設けられていることにより、例えば、火災発生時に建具の縦框に上下方向の熱伸びが発生した場合であっても、この縦框の熱伸びに補強材本体と端部側補強材をそれぞれ個別に追随させることができる。これにより、戸体の局所に集中応力が発生することを防止し、さらに確実に補強材によって縦框が非加熱面側に反ることを抑止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の建具においては、補強材が補強材本体とその上端部及び/又は下端部に着脱可能に挿入されて一体に配設される端部側補強材とで構成されていることにより、例えば加工数が少ない補強材本体を切断するなどして補強材の長さを自在に調節することができ、戸体の寸法が変わっても、その都度戸体の寸法に合わせて加工対応することを不要にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る建具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る建具の戸体を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る建具の戸体の縦框に補強材を挿入設置した状態を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る建具の補強材を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る建具の補強材の補強材本体を示す図であり、(a)が側面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図、(c)が(a)のX2−X2線矢視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る建具の補強材の端部側補強材を示す図であり、(a)が側面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図、(c)が(a)のX2−X2線矢視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る建具の戸体の縦框に補強材を挿入設置した状態を示す図であり、(a)が側面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る建具の補強材の端部側補強材の変更例を示す図であり、(a)が側面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図、(c)が(a)のX2−X2線矢視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る建具の補強材の端部側補強材の変更例を示す図であり、(a)が側面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図、(c)が(a)のX2−X2線矢視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る建具の補強材の挿入片を利用した長さの調節方法を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る建具の補強材の端部側補強材の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1から
図7を参照し、本発明の一実施形態に係る建具について説明する。ここで、本実施形態では、本発明に係る建具が框ドアであるものとして説明を行う。但し、本発明に係る建具は必ずしも框ドアに限定されるものではない。
【0025】
本実施形態の建具である框ドアAは、例えば、
図1及び
図2に示すように、ビルなどの建物の開口部の内周に設置される戸枠1と、戸枠1に開閉可能に支持される戸体2とを備えて構成されている。また、戸体2には、例えば蝶番3、ドアハンドル4、錠前5、ドアクローザー、ヒンジなどが設けられている。
【0026】
また、戸体2は、例えばアルミ型材を用いて中空構造で形成された上框6、下框7、一対の縦框8、9を組み付けてなる框10と、框10に支持されて戸面を形成するガラスパネルなどの障子11とを備えて構成されている。
【0027】
一方、本実施形態の框ドアAは、例えばビルなどの防火サッシとして適用可能なものであり、戸体2の縦框8の中空部12に、アルミより融点が高い金属、例えばスチール、ステンレス製の補強材13を挿入設置して構成されている。そして、本実施形態の補強材13は、
図3及び
図4に示すように、断面コ字状(あるいは断面方形状)に形成されるとともに、補強材本体15と、補強材本体15の端部(下端部)15aに上下方向T1に着脱可能に挿入されて一体に配設される端部側補強材16とを備えて形成されている。
【0028】
なお
、「補強材本
体15に端部側補強材16を着脱可能に挿入」の「挿入」には、単なる「挿入」の他に、「嵌合」や「係合(緩い嵌合など)」の意味も含まれる。
また、補強材13は、端部側補強材16として、補強材13の上端部側を形成する上端部側補強材、下端部側を形成する下端部側補強材の2つの端部側補強材を備えて構成しても、上端部側と下端部側のいずれか一方に1つの端部側補強材を備えて構成してもよい。
【0029】
また、補強材本体15は、
図5に示すように、第1の側壁部15bと第2の側壁部15cと第3の側壁部15dを備えて断面コ字状(あるいは断面方形状)に形成されている。さらに、この補強材本体15は、縦框8の上下方向T1の長さよりも小さな長さ(例えば縦框8の2/3程度の長さ)で形成され、端部側補強材16の上下方向T1の長さよりも大きな長さ(端部側補強材16の数倍の長さ)で形成されている。
【0030】
また、
図3及び
図4、
図5、
図6に示すように、補強材本体15の下端部15aに挿入される端部側補強材16(補強材本体15と端部側補強材16のいずれか一方)には、戸体2の幅方向T2を向く(見込方向、面外方向に沿った)第1の側壁部16aの端部から材軸O1方向外側に突出して他方に嵌合する第1の挿入片20と、戸体2の厚さ方向T3を向き(見付方向、面内方向に沿って)、互いに平行に配設される第2の側壁部16b、第3の側壁部16cのそれぞれの端部から材軸O1方向外側に突出して補強材本体15(他方)の下端部15aに挿入される第2の挿入片21、第3の挿入片22とが設けられている。
【0031】
そして、補強材本体15と端部側補強材16は、端部側補強材16の端部に形成された第1の挿入片20、第2の挿入片21、第3の挿入片22を補強材本体15の端部15a側の中空部13aに挿入することで着脱可能に一体になり、これにより、補強材13が形成される。
【0032】
また、本実施形態では、補強材本体15と端部側補強材16が材軸O1方向の上下方向T1に相対的にスライド移動可能に挿入されて補強材13が構成されている。さらに、
図3に示すように、縦框8の中空部12に挿入配置された状態で、補強材本体15と端部側補強材16をそれぞれ個別に縦框8の側壁にビス止め(ビス23)するなどして固着し、補強材13が縦框8に一体に設けられている。
【0033】
さらに、
図7に示すように、本実施形態において、端部側補強材16は、縦框8と下框7(及び/又は上框6)を接続するタッピングビス(ビス)24によっても縦框8(下框7、上框6)に共締めして固着されている。
【0034】
また、上記のように補強材本体15と端部側補強材16からなる補強材13において、端部側補強材16には、
図6(b)に示すように、例えば組立ねじ締結用加工、安全キャップを取り付けるための加工、水抜き加工などの複雑、多数の加工が施され、補強材本体15には、
図5(a)に示すように、例えば錠前を避ける加工の比較的簡易な加工が施されている。
【0035】
すなわち、端部側補強材16は、複雑な加工を施す必要があるが、補強材本体15に対して着脱可能に形成されるため、毎回同じ加工を行い大量生産品として製造することができる。一方、補強材本体15は、予め同じ加工を施した同寸法の製品を製造しておき、適宜切断するなどして、現場のハンドル高さ位置や戸体サイズに応じてその長さを調節する。あるいは、補強材本体15は、簡単な加工のみを行えばよく製造手間が軽減されるため、受注生産品としてもよい。
【0036】
したがって、上記構成からなる本実施形態の框ドアにAおいては、補強材13が補強材本体15とその上端部及び/又は下端部に着脱可能に挿入されて一体に配設される端部側補強材16とで構成されていることにより、例えば、予め、補強材本体15に錠前を避ける加工などの加工を施し、端部側補強材16に組立ねじ締結用の加工、安全キャップを取り付けるための加工、水抜き孔加工などの加工を施し、框ドアAの戸体2の組立時に、上記のような加工をそれぞれ施した補強材本体15と端部側補強材16を一体にして縦框8に挿入設置することができる。
【0037】
これにより、例えば加工数が少ない補強材本体15を切断するなどして補強材13の長さを自在に調節することができ、戸体2の寸法が変わっても、その都度戸体2の寸法に合わせて加工対応することを不要にすることが可能になる。
【0038】
すなわち、長尺の補強材13は、戸体2を構成する縦框8を補強するものであるため、錠前を避ける加工、組立ねじ締結用加工、安全キャップを取り付けるための加工、水抜き孔加工などの様々な加工を施す必要がある。そして、従来の建具(補強材)においては、これらの加工を施す際に、長尺一本物の補強材を運搬、取り回すことになり、多大な手間、労力が必要でこれによって作業性が悪くなり、コストの増大を招くという問題があった。
【0039】
これに対し、本実施形態の框ドアにAおいては、補強材13が補強材本体15と着脱可能に一体に配設される端部側補強材16とで構成されているため、予め、補強材本体15に各種加工を施しておき、框ドアAの戸体2の組立時に、補強材本体15と端部側補強材16を一体にして縦框8に挿入設置することができ、例えば補強材本体15を切断するなどして補強材13の長さを自在に調節することができる。可能になる。
【0040】
よって、戸体2の寸法が変わっても、その都度戸体2の寸法に合わせて加工対応することを不要にすることができ、従来と比較し、補強材13ひいては框ドアAの製造コストの低減を図ることができる。また、補強材本体15は、簡単な加工のみを行えばよく製造手間が軽減されるため、受注生産品としても、やはり、従来と比較して補強材13ひいては框ドアAの製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0041】
また、補強材本体15と端部側補強材16をそれぞれ個別に加工することができ、さらに加工数が多い端部側補強材16を短尺にできるため、補強材13に対して加工を施す際の運搬、取り回しが容易になり、従来と比較して加工時の作業性、さらに組立時の作業性を大幅に改善することが可能になる。よって、この点からもコストの低減を図ることが可能になる。
【0042】
これにより、本実施形態の建具である框ドアAによれば、戸体2など寸法に対して柔軟に対応でき、且つ製造、組立時の作業性を大幅に向上させることが可能になり、優れた耐火性能を有する框ドアAを低コストで製造することが可能になる。
【0043】
また、本実施形態の框ドアAにおいては、端部側補強材16(補強材本体15と端部側補強材16のいずれか一方)の端部に、戸体2の幅方向T2を向く第1の側壁部16aの端部から突出する第1の挿入片20が形成され、この第1の挿入片20を補強材本体15(補強材本体15と端部側補強材16のいずれか他方)の端部15a側の中空部13a内に挿入して、補強材本体15と端部側補強材16を一体にすることができる。
【0044】
そして、補強材13を補強材本体15と端部側補強材16に分離可能に形成した場合であっても、この第1の挿入片20が戸体2の幅方向T2を向くように形成・配設されているため、火災発生時に框10や障子11が加熱され、加熱面が非加熱面よりも高温になることに伴って熱伸びが発生した際に、第1の挿入片20がせん断力、曲げに抵抗し、補強材本体15と端部側補強材16からなる補強材13によって確実に縦框8が非加熱面側に反ることを抑止できる。
【0045】
これにより、戸枠1と戸体2の間に隙間が生じることを防止でき、火炎や煙、熱が戸枠1と戸体2の間に生じた隙間を通じて非加熱側に貫通(流通、伝播)することを防止でき、優れた耐火性能(防火性能)を付与することが可能になる。
【0046】
さらに、本実施形態の框ドアAにおいては、端部側補強材16の端部に、戸体2の厚さ方向T3を向く第2の側壁部15c、第3の側壁部15dの端部から突出する第2の挿入片21、第3の挿入片22が形成され、これら第2の挿入片21、第3の挿入片22を補強材本体15の端部側の中空部内に挿入して、補強材本体15と端部側補強材16を一体にすることができる。
【0047】
そして、補強材13を補強材本体15と端部側補強材16に分離可能に形成した場合であっても、これら第2の挿入片21、第3の挿入片22が戸体2の厚さ方向T3を向くように形成・配設されているため、火災発生時に框10や障子11が加熱され、加熱面が非加熱面よりも高温になることに伴って熱伸びが発生した際に、第2の挿入片21、第3の挿入片22が曲げに抵抗し、補強材本体15と端部側補強材16からなる補強材13によって確実に縦框8が非加熱面側に反ることを抑止できる。
【0048】
これにより、より確実に戸枠1と戸体2の間に隙間が生じることを防止でき、火炎や煙、熱が戸枠1と戸体2の間に生じた隙間を通じて非加熱側に貫通することを防止でき、優れた耐火性能(防火性能)を付与することが可能になる。
【0049】
また、補強材本体15と端部側補強材16が材軸O1方向の上下方向T1に相対的にスライド移動可能に嵌合していることにより、火災発生時に框10や障子11が加熱され、加熱面が非加熱面よりも高温になることに伴って熱伸びが発生した際に、補強材本体15と端部側補強材16の挿入部で熱伸びを吸収・許容することができる。これにより、戸体2の局所に集中応力が発生することを防止し、さらに確実に補強材13によって縦框8が非加熱面側に反ることを抑止できる。
【0050】
さらに、補強材本体15と端部側補強材16をそれぞれ個別に縦框8の側壁に固着して、補強材13が縦框8に一体に設けられていることにより、火災発生時に縦框8に上下方向T1の熱伸びが発生した場合であっても、この縦框8の熱伸びに補強材本体15と端部側補強材16をそれぞれ個別に追随させることができる。これにより、戸体2の局所に集中応力が発生することを防止し、さらに確実に補強材13によって縦框8が非加熱面側に反ることを抑止できる。
【0051】
以上、本発明に係る框ドアの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0052】
本実施形態では、本発明に係る建具が框ドアであるものとして説明を行ったが、本発明に係る建具は、外開きや内開きの框ドアに限定する必要はなく、例えば、引き違い式の戸体に補強材13を設けて建具が構成されていてもよい。すなわち、あらゆる戸扉や窓などに本発明に係る建具を適用することが可能であり、この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
例えば、本実施形態では、端部側補強材16の端部に、挿入部を構成する第1の挿入片20、第2の挿入片21、第3の挿入片22が設けられているものとしたが、補強材本体15の端部に挿入片20、21、22を設けるようにしてもよい。この場合においても、例えば補強材本体15と下端部側補強材(16)のみを備えて補強材13を構成すれば、補強材本体15の上端部側を自在に切断するなどして長さを調節することができる。よって、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、第1の挿入片20と第2の挿入片21と第3の挿入片22を備えているものとしたが、
図8、
図9に示すように、第1の挿入片20のみ、第2の挿入片21と第3の挿入片22のみを備えて補強材13を構成するようにしてもよい。この場合においても、本実施形態における各挿入片20、21、22による作用効果を得ることができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、端部側補強材16が断面コ字状に形成され、第1の挿入片20が端部側補強材16の第1の側壁部16aにのみ設けられているものとして説明を行ったが、端部側補強材16を断面方形状に形成した場合には、第1の側壁部16aと反対に位置する第4の側壁部(この第4の側壁部も框ドアの幅方向T1を向く第1の側壁部に相当)に第1の挿入片20を設けるようにしてもよい。この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
また、第1の挿入片20(第2の挿入片21、第3の挿入片22)を大きく形成しておくと、すなわち第1の挿入片20(第2の挿入片21、第3の挿入片22)の材軸O1方向の長さを大きくしておくと、
図10に示すように、挿入片20、21、22の長さの分だけ、挿入長を調節でき、ひいては補強材13の長さを調節することができる。また、挿入長を調節することで、加工孔の位置を錠前位置などに合わせて調節することができる。これにより、補強材本体15(及び端部側補強材16)の長さが同じでも補強材13の長さや加工位置を自在に調節することが可能になる。
【0057】
また、
図11に示すように、第1の挿入片20、第2の挿入片21、第3の挿入片22の各挿入片を両端部にそれぞれ備えて挿入部材(継手)25を形成し、この挿入部材25を補強材本体15と端部側補強材16にそれぞれ嵌合させて、補強材13を構成するようにしてもよい。この場合には、補強材本体15とともに端部側補強材16をより容易に製造することが可能になる。そして、この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。