特許第6243787号(P6243787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243787
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】群管理エレベータ装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   B66B1/18 K
   B66B1/18 N
   B66B1/18 F
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-84101(P2014-84101)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-202951(P2015-202951A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】西田 武央
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】会田 敬一
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−170037(JP,A)
【文献】 特公昭58−41274(JP,B2)
【文献】 特開昭63−230484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のエレベータ号機と、乗り場に設置されてグループ利用者による行先階登録のためのグループ入力装置を有した乗り場行先階登録装置と、前記乗り場行先階登録装置からの行先階登録操作に対応して前記エレベータ号機を割り当てるエレベータ号機割り当て機能部を有する群管理制御装置とを備えた群管理エレベータ装置において、
前記群管理制御装置は、前記グループ入力装置からの入力に基づいて前記グループ利用者に対応した処理を行なうグループ対応処理機能部を有し、前記グループ対応処理機能部は、所定の人数の判定閾値と前記グループ利用者の人数とを比較して前記グループ利用者の人数が前記判定閾値を越えているかどうかを判定するグループ人数判定機能部、及び割り当てられる前記エレベータ号機の乗りかごの乗り込み人数の乗り込み上限値に対して前記グループ利用者の人数が多い場合は前記グループ利用者の人数に応じて乗り込み上限値を変更する乗り込み上限値変更機能部を有すると共に、
前記エレベータ号機割り当て機能部は、前記グループ人数判定機能部の前記判定に基づき、前記グループ利用者の人数が前記判定閾値を越えていない場合は、前記グループ利用者の乗り込みが可能な空きを有する前記エレベータ号機を割り当て、前記グループ利用者の人数が前記判定閾値を越えている場合は、前記乗り込み上限値変更機能部によって前記グループ利用者の人数に応じて前記乗り込み上限値が設定された、グループ利用者専用の前記エレベータ号機を割り当てることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の群管理エレベータ装置において、
前記乗り込み上限値変更機能部は、前記グループ利用者の人数が通常の前記乗り込み上限値を変更しないで乗りかごに乗りこめる場合は、前記乗り込み上限値を変更しないことを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の群管理エレベータ装置において、
前記グループ利用者の人数は、前記乗り場行先階登録装置から入力されるか、或いは前記乗り場行先階登録装置以外の入力装置から前記グループ人数判定機能部に入力されることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の群管理エレベータ装置において、
前記乗り場行先階登録装置以外の前記入力装置は前記乗り場に設けられたカメラ、或いは前記乗り場行先階登録装置に設けられたカメラであり、前記カメラからの画像を解析して前記グループ利用者の人数が推定されることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の群管理エレベータ装置において、
前記グループ人数判定機能部の判定基準となる前記判定閾値は前記エレベータ号機の乗りかごの定員を基に決められていることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の群管理エレベータ装置において、
前記グループ人数判定機能部の判定基準となる前記判定閾値は調整可能な閾値であり、調整された前記判定閾値と前記グループ利用者の人数を前記グループ人数判定機能部で比較することを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の群管理エレベータ装置において、
前記判定閾値は、前記グループ利用者の人数が多いほど閾値調整学習機能部によって高い値に調整されることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の群管理エレベータ装置において、
グループ利用者専用の前記エレベータ号機の台数は現在の利用状況と将来の予測利用状況を基に増減されることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗り場で行先階登録を行う群管理エレベータ装置に係り、特に、グループ利用者がエレベータ乗り場において行先階(乗り場行先呼び)を登録することができる群管理エレベータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータの利用者が多い大規模高層建築物等では、同一建築物内に複数台のエレベータを設置し、全体としての運行効率を向上させるため、これら複数台のエレベータに対して群管理制御を行っている。このような群管理制御を行う群管理エレベータ装置は、例えば、以下に示す特許文献1で知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された群管理エレベータ装置では、利用者が複数人のグループで快適にエレベータを利用することができるように、乗車前に行先階とそのグループの人数(利用者人数)とを登録できるように構成されている。即ち、グループの代表が、乗り場の行先操作盤から行先階と利用者人数とを入力すると、群管理制御装置は、利用者人数分の空きがある乗りかごを、その乗り場行先呼びに対して割り当てるようにしている。
【0004】
ところが、特許文献1に記載の群管理エレベータ装置では、利用者がグループでエレベータを利用する場合、そのグループの代表は行先操作盤で利用者人数を入力する前に、利用者人数の確認作業を行わなければならなかった。このため、この確認作業が煩わしく利便性に劣るといった問題があった。また、利用者人数として大きな値を入力してしまうと、利用者は、人数分の空きが乗りかごに発生するまで乗り場で待たなければならなかった。かかる場合、割り当て乗りかごに上記人数分の空きを作る必要もあり、運行効率が著しく低下してしまうといった問題もあった。
【0005】
このような問題を解決するために、以下に示す特許文献2では、利用者が乗車前に行先階を登録する行先操作盤と、利用者がエレベータをグループで利用する旨を登録するためのグループ乗車登録装置とをエレベータの乗り場に設置し、また、利用者がエレベータをグループで利用する時の利用者人数を利用者人数記憶部に予め記憶しておくようにしておき、行先操作盤による行先階の登録がグループ乗車登録装置によるグループ利用の登録と共に行われた場合は、乗り場行先呼びに対して割り当てる乗りかごを利用者人数記憶部に記憶された利用者人数に基づいて決定することを提案している。これによれば、複数人のグループがエレベータを利用する場合であっても、利便性に優れ、且つ、運行効率の低下を防止することができると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−518652号公報
【特許文献2】再公表特許WO2009/141900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような群管理エレベータ装置では、エレベータ号機の運行効率を上げるために、複数人数のグループ利用者を空きがあるエレベータ号機に割り当てるようにしている。このため、例えば、団体客のようなグループの人数が大勢の場合、全てのグループ利用者が乗り込める空きのあるエレベータ号機を割り当てるのが困難となり、分散して複数のエレベータ号機に乗り込むことが必要となることで、グループ利用者に不満感を与えることが考えられる。
【0008】
このような課題を解決するために、本発明者等はグループ利用者に専用のエレベータ号機を割り当てる方法を新たに考案したが、グループ利用者の人数が大勢だと、専用のエレベータ号機を割り当てても乗りかごの乗り込み上限値を超える場合があり、グループ利用者は人数の空きがある専用のエレベータ号機が割り当てられるまで待機しなければならなく、運行効率が低下するという新たな課題が発現することが判明した。
【0009】
本発明の目的は、グループ利用者へのサービス性の向上と、エレベータ号機の運行効率の向上を図る新規な群管理エレベータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、グループ利用者のグループ人数を所定の人数の判定閾値と比較し、グループ人数が所定の人数の判定閾値を越えた場合はグループ専用のエレベータ号機を割り当て、割り当てられたグループ専用のエレベータ号機の乗りかごの乗り込み上限値をグループ利用者の人数によって変更する、ところにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グループ専用のエレベータ号機の乗り込み上限値をグループ利用者の人数によって変更するので、グループ利用者がグループ専用のエレベータ号機を利用できる割合が増えてエレベータ号機の運行効率を向上することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明が適用される群管理エレベータ装置の乗り場を示す斜視図である。
図2図1に示した群管理エレベータ装置の行き先階登録装置の正面図である。
図3図1に示した群管理エレベータ装置の群管理制御装置のブロック図である。
図4図3に示した群管理制御装置による行先階登録処理プログラムの処理動作を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0014】
図1は本発明が適用される群管理エレベータ装置の或る階床の乗り場を示す斜視図であり、高層ビル等の建築物には複数台のエレベータ号機1A〜1Nが備えられている。群管理エレベータ装置は、複数台のエレベータ号機1A〜1Nを1つのグループとして取り扱うことで、利用者に対してより効率的な運行サービスを提供するものである。
【0015】
具体的には、複数台のエレベータ号機を1つのグループとして管理し、ある階で新たに登録された乗り場呼びに対して最適な乗りかごを選択し、その乗りかごに先の乗り場呼びを割り当てる処理を実施する。
【0016】
本実施例になる群管理エレベータ装置は行先階登録式の群管理方式であり、乗り場において予め行先階を登録する形態の群管理である。このため、呼び登録時に利用者の行先階が分かるため、それぞれの行先階に対して適した乗りかごを割り当てることができる。
【0017】
そして、乗り場には、乗り場の壁面に配置されて行先階を登録するために使用される乗り場行先階登録装置、または他の位置に配置されて行先階を登録するために使用される集中配置型の乗り場行先階登録装置2が配置されている。本実施例では集中配置型の乗り場行先階登録装置2を使用している。
【0018】
更に、どのエレベータ号機が乗り場呼びに応じて到着するかを方向別に知らせる到着灯3と、エレベータ号機毎に配置した出力案内装置4とを有している。この出力案内装置4は表示装置や音声報知装置、及びこれらを組み合わせた複合型の装置のいずれかが使用されている。
【0019】
乗り場行先階登録装置2は図2に示してある通り、表示出力または音声出力が行われる出力部6と、グループでの利用を目的として行先階の登録を行う際に利用者によって押下されるグループボタン7と、身障者が行先階の登録を行う際に押下される身障者ボタン8と、グループ人数及び行先階を指定するために押下される複数の数字ボタン9等を有している。
【0020】
そして、グループ利用者が行先階と人数を入力すると、割り当てられた乗りかごのエレベータ号機1A〜1Nの1つが出力部6に数字等で表示、或いは音声で報知されるものである。グループ利用者はこれにしたがって、割り当てられたエレベータ号機の前に移動して乗りかごが到着するのを待機するものである。
【0021】
次に、具体的な群管理制御装置30の要部の概略構成を図3に基づき説明する。上述した通り、乗り場行先階登録装置2は群管理制御装置30の受信部10に接続されており、入出力部である出力部6、グループボタン7、身障者ボタン8、数字ボタン9からの入出力信号は群管理制御装置30の受信部10を通して取り込まれる構成となっている。
【0022】
群管理制御装置30では、乗り場行先階登録装置2から取り込んだ行先階登録情報や人数情報等に基づき、エレベータ号機割り当て機能部13で最も適したエレベータ号機の割り当て処理や、到着灯3、出力案内装置4での通知処理などの制御を行うものである。
【0023】
また、群管理制御装置30は、グループボタン7が押されたことを示す信号が受信部10を通して受信された時、乗り場行先階登録装置2を操作している利用者が複数人数のグループ利用者であると判定してグループ利用者に対応した処理を行うグループ対応処理機能部11と、身障者ボタン8が押されたことを示す信号が受信部10を通して受信された時、操作している利用者が身障者であると判定して身障者に対応した処理を行う身障者対応処理機能部12とを有している。
【0024】
更に、群管理制御装置30では、グループ対応処理機能部11及び身障者対応処理機能部12からの信号を受けて、これらの処理機能部11、12に対応して最も適したエレベータ号機を割り当てる割り当て処理を行うエレベータ号機割り当て機能部13と、エレベータ号機割り当て機能部13で割り当てられたエレベータ号機における乗り場の到着灯3、出力案内装置4、及び乗り場行先階登録装置2の出力部6を制御する乗り場出力制御機能部14と、制御プログラムを格納すると共に、学習データや入力情報を一次的に格納する記憶機能部15と、記憶機能部15の制御プログラムによって上述した各機能部を制御する制御機能部16を備えている。
【0025】
このような群管理制御装置30によって、複数台のエレベータ号機を1つのグループとして管理し、ある階で新たに登録された乗り場呼びに対して最適なかごを選択し、その乗りかごに先の乗り場呼びを割り当てる処理を実施すると、この割り当て信号はエレベータ号機制御盤21に送られ、対応したエレベータ号機の乗りかごがこれに基づいて運行されるものである。
【0026】
そして、本実施例では上述したグループ対応処理機能部11に、以下に説明する新たな機能を追加したことが特徴となっている。本実施例ではグループ対応処理機能部11は、グループ利用者のグループ人数を所定の人数の判定閾値と比較し、グループ人数が所定の人数の判定閾値を越えたかどうかの情報をエレベータ号機割り当て機能部13に送り、エレベータ号機割り当て機能部13によってグループ利用者のグループ人数が所定の人数の判定閾値を越えた場合はグループ専用のエレベータ号機を割り当て、グループ利用者のグループ人数が所定の人数の判定閾値を越えない場合は、グループ利用者のグループ人数の空きがあるエレベータ号機を割り当てるようにするものである。
【0027】
このような機能を実行するためにグループ対応処理機能部11はグループ人数判定機能部17、判定閾値設定機能部18、判定閾値調整学習機能部19を備えている。そして、受信部10によってグループボタン7から入力された信号から利用者がグループ利用者であると判断されると、次に数字ボタン9から入力された信号からグループの人数がグループ人数判定機能部17に入力される。
【0028】
また、受信部10によって身障者ボタン8から入力された信号から利用者が身障者であると判断されると、身障者である旨の信号が身障者対応処理機能部12に入力される。尚、本発明はグループ利用者に関する発明なので、身障者の利用についての説明は省略する。
【0029】
そして、グループ人数判定機能部17には判定基準となるグループ人数である判定閾値を格納した判定閾値設定機能部18からの判定閾値が入力されており、グループ人数判定機能部17は、この判定閾値と受信部10から送られてきたグループ利用者の人数とを比較、判定する機能を有している。判定閾値は固定された人数であっても良いが、運行状況によって適切な人数になるように変更されても良いものである。本実施例では判定閾値調整学習機能部19が設けられており、この判定閾値調整学習機能部19によって判定閾値は調整可能とされている。
【0030】
判定閾値調整学習部19は乗りかごの運行に関係する種々のパラメータによって判定閾値を調整することができるが、典型的にはグループ利用者が利用するため、利用者が大勢いると判定閾値を高くする方向に調整することができるようになっている。この理由は、グループ利用者であると顔見知りである場合が多く、互いに知り合いであるため少々多く乗り込ませても左程問題ないという観点から、判定閾値を高くするようにしている。
【0031】
また、グループ利用者が多くなって、グループ専用のエレベータ号機が増えてくると、これに伴って運行効率が低下する恐れも想定される。この場合も判定閾値を高くしてグループ専用のエレベータ号機により多くの利用客を乗せ、他のグループ専用のエレベータ号機の運行台数を少なくすることもできる。この場合も、グループ利用者であると顔見知りである場合が多く、少々多く乗り込ませても左程問題ないという観点から、判定閾値を高くすることができる。更に、過去の履歴、例えば利用人数の履歴、曜日、時間毎の利用人数の変化の履歴等、によってグループ利用者の人数を推定することが可能であるため、この履歴情報から判定閾値を調整することも可能である。
【0032】
このように、判定閾値を調整することによって、グループ専用のエレベータ号機の台数設定を柔軟に変えることができ、結果的に群管理エレベータ装置の運転効率を高めることが可能となるものである。
【0033】
以上の通り、乗り場行先階登録装置2からグループ利用者が人数を入力すると、この人数はグループ人数判定機能部17で予め定めた判定閾値と比較され、入力された人数が判定閾値より大きいと、この情報はエレベータ号機の専用信号としてエレベータ号機割り当て機能部13に送られ、エレベータ号機割り当て機能部13はグループ専用のエベータ号機を割り当てる。一方、入力された人数が判定閾値より小さいと、この情報はエレベータ号機の乗合可信号としてエレベータ号機割り当て機能部13に送られ、エレベータ号機割り当て機能部13によってグループ利用者の人数分の空きがある一般のエレベータ号機(専用のエレベータ号機ではない)を割り当てるようにするものである。
【0034】
更に、エレベータ号機割り当て機能部13は、グループ人数判定機能部17から専用信号を受けた場合、割り当て処理に先だって割り当てられることになるエレベータ号機への割り当て人数の乗り込み上限値を変更する機能を有する乗り込み上限値変更機能部20の情報を参照してグループ専用のエレベータ号機の割り当て処理を実行する。
【0035】
乗り込み上限値変更機能部20は、入力されたグループ人数を参照して割り当てられることになるエレベータ号機に乗り込むことができる人数の乗り込み上限値を増加する、という引き上げ処理を行うものである。この引き上げ処理を行う理由は以下の通りである。
【0036】
例えば、通常運行されているエレベータ号機の乗り込み人数の乗り込み上限値は定員の80%程度に設定されている。しかしながら、グループ利用者のグループ専用のエレベータ号機において、割り当てられるエレベータ号機の乗り込み人数の乗り込み上限値が定員の80%であると、グループ利用者の人数がこの80%を超える場合は、グループ利用者はこの割り当てられたエレベータ号機を利用することができない。このため、エレベータ号機の運行効率が低下する恐れがある。
【0037】
そこで、グループ利用者の人数を参照しながら、割り当てられる候補のエレベータ号機の乗り込人数の乗り込み上限値を80〜100%の間で引き上げた時に、グループ利用者の人数全員が乗り込めるエレベータ号機が有る場合は、そのエレベータ号機の乗り込み上限値を変更するようにしている。そして、エレベータ号機割り当て機能部13は変更された乗り込み上限値でグループ利用者の全員が乗れるエレベータ号機の割り当て処理を実行するものである。
【0038】
ここで、乗り込み上限値変更部20は、乗り込み上限値が通常時のままでもグループ人数全員が乗り込める場合には乗り込み上限値を変更しないで80%に維持したままである。また、乗り込み上限値変更部20は、エレベータ号機割り当て機能部13でグループ人数に対して複数台のエレベータ号機を割り当てる場合が生じた時には、複数台のエレベータ号機への乗り込み人数の状態を考慮して乗り込み上限値を決定することもできるものである。
【0039】
更に、乗り込み上限値変更部20は、同一グループ利用者のうちの少数の利用者が同一グループ利用者に割り当てられたエレベータ号機以外のエレベータ号機に分散された場合、乗り込み上限値を引き上げて同じエレベータ号機にグループ利用者全員が乗り込めるようにすることもできる。
【0040】
このように、エレベータ号機への割り当て人数の乗り込み上限値を増加させると、同乗した利用者間の空間的な距離が縮まることになるが、グループ内の利用者は互いに顔見知りであるので利用者間の距離が縮まっても左程問題とならず、行動を共にできるという利点の方を優先させることができる。
【0041】
そして、乗り込み上限値が変更された状態で、エレベータ号機割り当て機能部13によってエレベータの割り当て処理が実行される。エレベータ号機の割り当てが行われると、この割り当て情報は乗り場出力制御機能部14に送られ、乗り場行先階登録装置2の出力部6からこの結果が報知されるものである。そして、グループ利用者はこの報知結果に基づいて割り当てられたエレベータ号機に乗れば良いものである。
【0042】
ここで、グループ人数判定機能部17は、図2に示した、乗り場行先階登録装置2の数字ボタン9で入力された人数から判定閾値を越えたかどうかを判定するものとしているが、乗り場を撮影しているカメラ(図示せず)からの画像データを取得して画像処理によってグループの人数を計測して判定閾値を越えたかどうかを判定するものとしても良いものである。更に、乗り場行先階登録装置2に設置されたカメラの画像や、赤外線センサ、距離測定センサ等の各種センサからの計測信号でグループ利用者の人数を推定するようにしても良いものである。
【0043】
次に、群管理制御装置30の具体的な、エレベータ号機の割り当て処理動作を図4に示したフローチャートを用いて説明する。
【0044】
≪ステップS1≫
まず、群管理制御装置30は、乗り場行先階登録装置2の入力状況を監視しており、ステップS1では乗り場行先階登録装置2のグループボタン7が押されたときの入力信号を検出すると、グループ利用者による行先階登録が行われると判別してステップ2以降の乗り場行先階登録処理を実行する。一方、ステップS1でグループボタン7が押されていないと判断すると、再び元に戻ってグループボタン7の入力を監視する。
【0045】
ここで、乗り場行先階登録装置2はグループ利用者だけではなく、個人の利用者も操作できる構成になっているので、グループボタン7の入力が無く先に数字ボタン9の入力があると、個人の利用者と判断して別のステップに進んで空きのあるエレベータ号機に割り当て処理を実行するようにしている。このように、ステップS1ではグループボタン7の入力の有無によってグループによる利用者或いは個人による利用者かの判断を行っている。
【0046】
≪ステップS2≫
次に、ステップS1でグループボタン7が押されたと判断されるとステップ2に進み、ステップS2では乗り場行先階登録装置2の数字ボタン9による入力があったかどうかが判断される。数字ボタン2によってグループ利用者の人数が入力されるとステップS3に進み、数字ボタン2によるグループ利用者の人数が入力されないと再びステップS2に戻って数字ボタン9による人数の入力を監視する。
【0047】
尚、上述したように数字ボタン9によるグループ利用者の人数の入力はカメラ等の他の入力機器に置き換えることができるので、このステップS2では他の入力機器によって推定された人数を呼び出して以下のステップで使用することができる。この場合は、別のステップで他の入力機器の推定人数を読み出して記憶機能部15のRAMよりなる一時記憶エリアに記憶しておくことで、人数のデータを使用することができる。
【0048】
≪ステップS3≫
ステップS2でグループ利用者の人数が入力されると、次にステップS3で行先階の階床ボタンによって行先階が入力されたかどうかが判断される。この行先階は乗り場行先階登録装置2の数字ボタン9によって入力されるものであり、行先階が入力されるとステップS4に進み、行先階が入力されないと再びステップS3に戻って行先階の入力を監視することになる。
【0049】
≪ステップS4≫
ステップS2でグループ利用者の人数が入力され、ステップS3で行先階が入力されると、ステップS4では、予め定めたグループ利用者の判定人数である判定閾値と、ステップS2で入力されたグループ利用者の実際の人数が比較、判別される。このステップS3を設けた技術的な意味合いは次の通りである。例えば、団体客が同じ階に同時に移動する場合を考えると理解が容易である。
【0050】
すなわち、団体客のように実際のグループ利用者の人数が判定閾値より多い場合は、専用のエレベータ号機を割り振って、一度に行先登録階に異動させるように運行した方が運行効率の観点からみると得策である。ここで、このステップS4で用いる判定閾値は、エレベータ号機の乗りかごの定員によって決まり、定員が多い場合はこれに伴って判定閾値が適切に決められるものである。更に、上述したように学習制御によって判定閾値を適切に調整することも可能である。
【0051】
一方、このステップS4で実際のグループ利用者の人数が判定閾値より少ない場合は、わざわざ専用のエレベータ号機を割り当てる必要が無く、個人の利用客と同じ扱いで良いものとして、グループ利用者の人数分の空きがあるエレベータ号機を割り当てるものである。そして、ステップS4で実際のグループ利用者の人数が判定閾値より多い場合はステップS5に進み、実際のグループ利用者の人数が判定閾値より少ない場合はステップS6に進むことになる。
【0052】
≪ステップS5≫
ステップS4で実際のグループ利用者の人数が判定閾値より多いと判断されると、このグループ利用者のみに対してサービスする専用のエレベータ号機を割り当てる処理を行う。このように多くの人数のグループ利用者を専用のエレベータ号機を割り当てることによって、一度に同じ行先登録階に多くのグループ利用者を運ぶことが可能となり、エレベータ号機の運行効率を高めることが可能となる。
【0053】
グループの人数が大勢の場合、従来の群管理方法では、全てのグループ利用者が乗り込める空きのあるエレベータ号機を素早く割り当てるのが困難で、グループ利用者が分散して複数のエレベータ号機に乗り込むことが必要となっていた。
【0054】
これに対して、本実施例では多くの人数のグループ利用者を専用のエレベータ号機を割り当てることによって、一度に同じ行先登録階に運ぶことが可能となり、グループ利用者に満足感を与えることが可能となる。
【0055】
また、運行効率を上げるために大勢のグループ利用者と個人の利用者が相乗り状態となると、グループ利用者が登録階まで移動するのに対して、個人の利用者がグループ利用者の登録階に至る前の途中階で降りる場合、グループ利用者から見ると早く登録階に到着したいという要望が満たされないことから、グループ利用者に不満感を与えることが考えられる。これに対して、本実施例では大勢のグループ利用者がいる場合はグループ専用のエレベータ号機を割り当てるため、グループ利用者から見ると早く登録階に到着したいという要望が満たされることから、グループ利用者の快適性に関する満足感が得られるようになる。
【0056】
ここで、グループ専用のエレベータ号機の台数は現在の利用状況と将来の予測利用状況を基に増減させても良いものである。例えば、大勢の人数のグループが多く存在する場合は専用のエレベータ号機を増やすことによってグループ利用者の移動を素早く行うことができる。
【0057】
また、昼食時間のような大勢の人数のグループが多く存在する時間帯を過ぎた場合は、グループ利用者は職場に戻っていたりするのでグループ専用のエレベータ号機を減らし、一般のエレベータ号機を増やして個人の利用者や小人数のグループ利用者に対して素早くエレベータ号機を割り振るようにすることができる。
【0058】
≪ステップS6≫
一方、ステップS4で実際のグループ利用者の人数が判定閾値より少ないと判断されると、グループ利用者の人数が乗り込める空きがあるエレベータ号機を割り当てる処理を行う。このように、人数が少ないグループ利用者では乗り込み可能なエレベータ号機を素早く割り当てることができるので、エレベータ号機の運行効率を高めることが可能となる。
【0059】
また、運行効率を上げるために大勢のグループ利用者と個人の利用者が相乗り状態となると、グループ利用者が乗りかごの奥に乗車している状態で個人の利用者がグループ利用者の登録階より後の階で降りる場合、グループ利用者が登録階で降りる際に大勢の利用者の移動となるために、個人の利用者は乗りかごから出たり、或いはグループ利用者を通すため移動したりせねばならず、個人の利用者から見ると面倒であるという不満感を与えることが考えられる。これに対して、本実施例では大勢のグループ利用者が乗り込まないので、個人の利用者は乗りかごから出たり、或いはグループ利用者を通すため移動したりする必要が少なくなり、個人の利用者の快適性に関する満足感が得られるようになる。
【0060】
このように、ステップS5及びステップS6にある通り、グループ利用者の人数によって、グループ専用のエレベータ号機を割り当てるか、通常の乗り込み可能なエレベータ号機を割り当てるかという処理を行うようにしているため、エレベータ号機の運行効率の向上と、個人利用者及びグループ利用者へのサービス性の向上を図ることができるようになる。
【0061】
≪ステップS7≫
ステップS4で実際のグループの人数が判定閾値より大きいと判断されるとグループ専用のエレベータ号機を割り当てる一連の処理が実行されるようになる。そして、ステップS5でグループ利用者のみに対してサービスするグループ専用のエレベータ号機を割り当てる処理を行う。
【0062】
この処理が行われると、次にステップS7による割り当てられるエレベータ号機の乗り込み人数の乗り込み上限値の変更が実行される。つまり、このステップS7ではグループ利用者の乗車率を上げて運行効率を向上させるための処理を行うものである。この場合、グループ利用者は顔見知りであるため、少々多く乗り込んでも左程問題がないという事実も考慮されている。
【0063】
さて、ステップS7で実行される処理は、入力されたグループ人数を参照して割り当てられることになるエレベータ号機への乗り込み人数の乗り込み上限値を増加するという引き上げ処理である。例えば、通常運行されているエレベータ号機の乗り込み人数の乗り込み上限値は定員の80%程度に設定されている。しかしながら、グループ利用者の専用のエレベータ号機において、割り当てられるエレベータ号機への乗り込み人数の乗り込み上限値が定員の80%であると、グループ利用者の人数がこの80%を超える場合は、グループ利用者はこの割り当てられたエレベータ号機を利用することができない。このため、エレベータ号機の運行効率が低下する恐れがある。
【0064】
そこで、グループ利用者の人数を参照しながら、割り当てられる候補のエレベータ号機の乗り込み人数の乗り込み上限値を80〜100%の間で引き上げた時に、グループ利用者の人数全員が乗り込めるエレベータ号機が有る場合は、そのエレベータ号機の乗り込み上限値を変更するようにしている。そして、変更された乗り込み上限値を用いて次に続くステップS8でグループ利用者の全員が乗れるエレベータ号機の割り当て処理を実行するものである。
【0065】
≪ステップS8≫
このステップS8は、ステップS5、S6で求められたグループ利用者の人数によって割り当てられたエレベータ号機を実際に割り当てる処理を行うものである。これによって、現在運行されているエレベータ号機の対象となるエレベータ号機をグループ利用者が滞在している階床に素早く呼ぶことが可能となる。尚、このステップS8ではステップS7で変更された乗り込み人数の乗り込み上限値を用いて、グループ専用のエレベータ号機の割り当て処理を行うものである。
【0066】
≪ステップS9≫
ステップS8でエレベータ号機の割り当てが終了すると、ステップS9では割り当て処理の結果に対して次の処理を行う。つまり、割り当てたエレベータ号機に関する情報を乗り場行き先階登録装置2の出力部6に送信して行先階登録操作を行っているグループ利用者に報知する。グループ利用者は、これにしたがって割り当てられたエレベータ号機の前に移動して乗りかごの到着を待機するものである。
【0067】
また、ステップS9では割り当てたエレベータ号機を制御している号機エレベータ制御盤21へ指令信号を送信して実際に対象となるエレベータ号機の運行制御を実行し、更に、割り当てたエレベータ号機に対応して到着灯3や出力案内装置4を制御する。
【0068】
このように、本実施例によれば、グループ人数が多い場合はグループ専用の乗りかごを割り当て、グループ人数が少ない場合は空きがある乗りかごを割り当てると共に、グループ専用のエレベータ号機の乗りかごの乗り込み人数の乗り込み上限値を変更するようにしたので、運行効率を向上すると共に利用者へのサービス性も向上することができるものである。
【0069】
すなわち、本実施例になる群管理エレベータ装置においては、グループ利用者の人数が判定閾値を超えた場合、専用のエレベータ号機を割り振るため大勢のグループ利用者が分散して複数のエレベータ号機に乗り込む必要がなくなり、また、グループ利用者の人数が判定閾値より少ない場合、素早く空きのあるエレベータ号機を割り当てることができるようになる。
【0070】
また、大勢のグループ利用者と個人の利用者が相乗り状態とならないので、グループ利用者から見ると早く登録階に到着したいという要望が満たされグループ利用者に満足感を与えることができるようになる。一方、少ない人数のグループ利用者と個人の利用者が相乗り状態となるので、個人の利用者が乗りかごから出たり、或いはグループ利用者を通すため移動したりする必要がなく、個人の利用者から見ると面倒であるという不満感を払拭できるようになる。
【0071】
更に、グループ利用者の人数が大勢だと、専用のエレベータ号機を割り当てても乗りかごの乗り込み上限値を超える場合があり、グループ利用者は人数の空きがある専用のエレベータ号機が割り当てられるまで待機しなければならないが、本実施例によれば、グループ利用者の人数によって乗りかごの乗り込み人数が多くなるように変更されるので、グループ利用者がグループ専用のエレベータ号機を利用できる割合が増えてエレベータ号機の運行効率を向上することができるようになる。
【0072】
以上に説明した通り、本発明はグループ利用者のグループ人数を所定の人数の判定閾値と比較し、グループ人数が所定の人数の判定閾値を越えた場合はグループ専用のエレベータ号機を割り当て、グループ人数が所定の人数の判定閾値を越えない場合は空きがあるエレベータ号機を割り当てると共に、割り当てられたグループ専用のエレベータ号機の乗りかごの乗り込み人数の乗り込み上限値をグループ利用者の人数によって変更するようにしたものである。
【0073】
これによれば、グループ人数が多い場合はグループ専用のエレベータ号機を割り当て、グループ人数が少ない場合は空きがあるエレベータ号機を割り当てるので、利用者へのサービス性を向上することができるようになる。更に、グループ利用者の人数によってグループ専用のエレベータ号機の乗り込み上限値を変更するので、グループ利用者がグループ専用のエレベータ号機を利用できる割合が増えてエレベータ号機の運行効率を向上することができるようになる。
【0074】
尚、本発明の実施例ではグループ専用のエレベータ号機の乗り込み上限値を変更する例を説明したが、グループ専用ではなく一般のエレベータ号機の乗り込み上限値を変更することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
2…行き先階登録装置、7…グループボタン、8…身障者ボタン、9…数字ボタン、11…グループ対応処理機能部、13…エレベータ号機割当機能部、14…乗り場出力制御機能部、15…記憶機能部、16…制御機能部、17…グループ人数判定機能部、18…判定閾値設定機能部、19…判定閾値調整学習機能部、20…乗り込み上限値変更機能部。
図1
図2
図3
図4