(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料アルコール中の含有量が1番目に多いアルコール及び2番目に多いアルコールの2種のアルコールが、アルコール(A)及びアルコール(A)よりも炭素数が大きいアルコール(B)であり、アルコール(A)とアルコール(B)との質量比(A/B)が1/9以上9/1以下である、請求項1又は2に記載のオレフィンの製造方法。
原料アルコール中の含有量が1番目に多いアルコール及び2番目に多いアルコールの2種のアルコールが、アルコール(A)及びアルコール(A)よりも炭素数が大きいアルコール(B)であり、アルコール(A)とアルコール(B)との炭素数の差が1以上4以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
原料アルコールが、アルコール(A)とアルコール(A)よりも炭素数が大きいアルコール(B)との2種のアルコールからなる、請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
原料アルコール中の含有量が1番目に多いアルコール及び2番目に多いアルコールの2種のアルコールが、アルコール(A)及びアルコール(A)よりも炭素数が大きいアルコール(B)であり、アルコール(A)の炭素数が16且つアルコール(B)の炭素数が18である、請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のオレフィンの製造方法は、金属酸化物を含有する酸触媒の存在下、原料アルコールとして、炭素数が8以上22以下の第一級脂肪族アルコールであって炭素数が異なる2種以上のアルコールを特定の温度で反応させるものであるため、高収率にオレフィンを製造することができるものである。
【0009】
[原料アルコール]
本発明においては、原料アルコールとして、炭素数が8以上22以下の第一級脂肪族アルコールであって、炭素数が異なる2種以上のアルコールを用いる。
【0010】
炭素数が異なる2種以上のアルコールを用いることでオレフィンの多量体化が抑制され、高収率にオレフィンが得られる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
原料アルコールの炭素数が揃わないことにより、疎水性相互作用などの原料アルコール及び生成するオレフィンの分子間の相互作用が抑制されると推測される。そのため分子間の反応が抑制され二量体化が抑制されると考えられる。
【0011】
原料として用いるアルコールの種類は、高収率にオレフィンを得る観点から、好ましくは5種以下、より好ましくは3種以下、更に好ましくは2種である。
原料として用いるアルコールの炭素数は、高収率にオレフィンを得る観点から、8以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、オレフィンの多量化を抑制する観点から、22以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは14以下である。
また、原料として用いるアルコールの炭素数は、高収率にオレフィンを得る観点及びオレフィンの多量化を抑制する観点から、8以上22以下、好ましくは12以上22以下、より好ましくは12以上18以下である。
また、原料として用いるアルコールの炭素数は、高収率にオレフィンを得る観点から、より好ましくは14以上18以下、更に好ましくは16以上18以下である。
また、原料として用いるアルコールの炭素数は、オレフィンの多量化を抑制する観点から、好ましくは8以上16以下、より好ましくは8以上14以下、更に好ましくは12以上14以下である。
【0012】
原料アルコールの具体例としては、高収率にオレフィンを得る観点及びオレフィンの多量化を抑制する観点から、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール、1−ヘンイコサノール及び1−ドコサノールから選ばれる2種以上が好ましく、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、及び1−エイコサノールから選ばれる2種以上がより好ましく、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、及び1−オクタデカノールから選ばれる2種以上が更に好ましい。
また、高収率にオレフィンを得る観点から、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、及び1−オクタデカノールから選ばれる2種以上が好ましく、1−ヘキサデカノール及び1−オクタデカノールの2種が更に好ましい。
また、オレフィンの多量化を抑制する観点から、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、及び1−ヘキサデカノールから選ばれる2種以上が好ましく、1−ドデカノール及び1−テトラデカノールの2種がより好ましい。
【0013】
炭素数が異なる2種以上のアルコールを用いる場合において、原料アルコール中の含有量が1番目に多いアルコール及び2番目に多いアルコールの2種のアルコールの合計含有量は、得られるオレフィンの有用性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
前記含有量の多い2種のアルコールはアルコール(A)及びアルコール(A)より炭素数が大きいアルコール(B)であり、アルコール(A)とアルコール(B)との質量比(A/B)は、オレフィンの多量体化を抑制する観点から、好ましくは1/9以上9/1以下、より好ましくは1/4以上4/1以下、更に好ましくは1/4以上3/1以下、より更に好ましくは1/2以上2/1以下、より更に好ましくは2/3以上3/2以下である。
【0014】
アルコール(A)とアルコール(B)との炭素数の差は、オレフィンの多量体化を抑制する観点から、好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは2である。
更に、本発明においては、高収率にオレフィンを得る観点から、アルコール(A)の炭素数が16且つアルコール(B)の炭素数が18である場合、好ましくはアルコール(A)が1−ヘキサデカノールであり、アルコール(B)が1−オクタデカノールである場合や、アルコール(A)が1−テトラデカノールであり、アルコール(B)が1−オクタデカノールである場合が好ましい。これらの中では、アルコール(A)が1−ヘキサデカノールであり、アルコール(B)が1−オクタデカノールである場合がより好ましい。
また、オレフィンの多量化を抑制する観点から、アルコール(A)が1―ドデカノールであり、アルコール(B)が1−テトラデカノールである場合が好ましい。
【0015】
[触媒]
本発明においては、金属酸化物を含有する酸触媒の存在下、炭素数が8以上22以下の第一級脂肪族アルコールを脱水反応させることによりオレフィンを製造する。または、本発明においては、金属酸化物を含有する酸触媒の存在下、炭素数が12以上22以下の第一級脂肪族アルコールを脱水反応させることによりオレフィンを製造する。
<固体酸触媒>
金属酸化物を含有する酸触媒としては、反応を安全に制御しつつ、脱水反応の反応速度を高める観点及び使用済みの触媒を回収し、再利用して効率よくオレフィンを生産する観点から、固体酸触媒が好ましい。
固体酸触媒の弱酸量の割合は、副反応を抑制する観点から、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、脱水反応の速度を高める観点から、好ましくは100%以下、より好ましくは99%以下、更に好ましくは90%以下、より更に好ましくは80%以下、より更に好ましくは75%以下である。
【0016】
本明細書において弱酸量の割合とは、NH
3−TPDにより測定された全酸量のうち、脱離温度300℃以下におけるアンモニア脱離量から算出された酸量である。
NH
3−TPDとは、固体酸触媒にアンモニアを吸着させた後、一定の昇温速度に制御して連続的に昇温させて、脱離するアンモニア量及び脱離温度を測定する方法である。固体酸触媒の酸点のうち弱い酸点に吸着しているアンモニアは低温で脱離し、強い酸点に吸着しているアンモニアは高温で脱離することから、触媒の酸量や酸強度を測定することができる。NH
3−TPDによる測定は、例えば触媒分析装置「全自動昇温脱離装置TPD−1At」(日本ベル株式会社製)を用いて行うことができる。
前記弱酸量は、ZSM−5型ゼオライト 「JRC−Z5−25H」(エクソンモービルカタリスト社製)のhighピーク(観測される2種のピークのうち、高温側のピーク)を0.99mmol/gとして、これに対する相対的な量として測定する。ピークの検出は、質量スペクトルにおけるアンモニアのm/e=16のフラグメントでアンモニアを定量することにより行う。
【0017】
NH
3−TPDの測定法としては、一般的に行われる測定法を用いることができる。例えば、以下のような条件で前処理、NH
3吸着処理、真空処理を順に行った後、TPD測定を行う。
前処理 :ヘリウム中200℃まで20分で昇温、1時間保持
NH
3吸着処理 :50℃、2.7kPaで10分間NH
3を吸着
真空処理 :50℃、4時間処理、真空度2.7kPa
TPD測定 :ヘリウムガスを50ml/minで流通、昇温速度5℃/minで600℃まで昇温
【0018】
本発明では、測定開始から脱離温度300℃までの温度範囲におけるアンモニア脱離量から弱酸量を算出し、脱離温度300℃を超え、すべてのアンモニアが脱離するまでの温度範囲におけるアンモニア脱離量から強酸量を算出し、その合計を全酸量と定義している。全酸量に対する弱酸量の割合は次式により計算される。
弱酸量の割合(%)=弱酸量(mmol/g)/全酸量(mmol/g)×100
【0019】
また、固体酸触媒における弱酸量は、副反応を抑制する観点から、好ましくは0.01mmol/g以上、より好ましくは0.05mmol/g以上、更に好ましくは0.1mmol/g以上である。
【0020】
金属酸化物を含有する酸触媒は、脱水反応の反応速度を高める観点から、アルミニウム、鉄、及びガリウムから選ばれる1種以上の元素を含むことが好ましく、アルミニウムを含むことがより好ましい。具体的には、アルミニウムを含む金属酸化物が好ましく、酸化アルミニウムがより好ましく、γ−アルミナが更に好ましい。
【0021】
本発明においては、酸化アルミニウムに対して、酸化アルミニウム以外の酸化物を担持させた固体酸触媒(以下、「酸化物担持固体触媒」ともいう。)を用いてもよい。
酸化アルミニウム以外の酸化物を構成する元素としては、アルミニウムよりも電気陰性度が高い元素が挙げられる。なお、本発明における電気陰性度の値は、Paulingの電気陰性度の値をいう。
前記電気陰性度は、副反応抑制の観点から、好ましくは1.6以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.4以上であり、また、同様の観点から、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.6以下である。
前記電気陰性度は、副反応抑制の観点から、同様の観点から、好ましくは1.6以上3.0以下、より好ましくは2.0以上3.0以下、更に好ましくは2.4以上2.6以下である。
アルミニウム(1.5)よりも電気陰性度が高い元素としては、硫黄(2.5)、タングステン(1.7)、リン(2.1)、ケイ素(1.8)、モリブデン(1.8)、鉄(1.8)、コバルト(1.8)、ニッケル(1.8)、銅(1.9)、亜鉛(1.6)、ホウ素(2.0)、ガリウム(1.6)、インジウム(1.7)、ゲルマニウム(1.9)、スズ(1.8)、アンチモン(1.9)、ビスマス(1.9)、及びセレン(2.4)から選ばれる1種以上が挙げられ、これらの中では脱水反応速度を高める観点から、硫黄、タングステン、リン、及びケイ素から選ばれる1種以上が好ましく、硫黄がより好ましい。なお、括弧内の値は、Paulingの電気陰性度の値を示す。
【0022】
前記元素の酸化物源となる化合物としては、硫酸、チオ硫酸、リン酸、タングステン酸、ケイ酸等の無機酸及びその塩、シリカ等の酸化物、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート等の加水分解して水に溶解する酸性金属アルコキシド、ケイタングステン酸、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸及びその塩が挙げられる。
より具体的な化合物として、無機酸及びその塩としては、硫酸、無水硫酸、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タングステン酸、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、及びテトラメチルアンモニウムシリケート;酸化物としてはコロイダルシリカ、シリカゲル、及び水ガラス;酸性金属アルコキシドとしては、テトラメチルオルトシリケート、及びテトラエチルオルトシリケート;へテロポリ酸及びその塩としては、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、及びリンタングステン酸カリウム;が挙げられる。
これらの中では、脱水反応速度を高める観点から、酸化物源としては無機酸若しくはその塩、又は酸性金属アルコキシドが好ましく、硫酸、硫酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、テトラエチルオルトシリケートがより好ましく、硫酸が更に好ましい。かかる触媒を用いることにより、アルコールの脱水反応が速やかに進行し、目的とするオレフィンを高収率で得ることが可能である。
【0023】
酸化アルミニウム100質量部に対する前記元素酸化物の担持量は、脱水反応速度を高める観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは0.8質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上であり、オレフィンの多量体化等の副反応を抑制する観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である。
前記元素酸化物の担持量が前記範囲内であれば、反応を短時間で終了させることが可能である。
【0024】
<酸化物担持固体触媒の調製法>
酸化物担持固体触媒は、蒸発乾固法、吸着法、平衡吸着法、ポアフィリング法、噴霧法、沈殿法等により調製することが可能である。
具体的な調製方法としては、酸化アルミニウムの水性懸濁液又は含水固体、前記元素の酸化物、及び水性溶媒を混合して含浸物を調製し、得られた含浸物を乾燥、焼成する方法が挙げられる。なお、担体となる酸化アルミニウムは、例えば、沈殿法、ゾルゲル法、アルコキシド法より得ることができ、酸化アルミニウムが十分結晶化して、脱水反応速度を高める観点から、好ましくは400℃以上、より好ましくは450℃以上であり、そして、十分な表面積を有することにより脱水反応速度を高める観点から、好ましくは900℃以下、より好ましくは800℃以下、更に好ましくは700℃以下、より更に好ましくは600℃以下、より更に好ましくは550℃以下で焼成した酸化アルミニウムが好ましい。本発明において担体となる酸化アルミニウムは、触媒活性、すなわち脱水反応速度を高める観点から、γ−アルミナが好ましい。
【0025】
前記水性懸濁液に用いる溶媒又は水性溶媒としては、入手容易性及び触媒調製工程での安全性の観点から水が好ましい。
前記水性懸濁液に用いる溶媒又は水性溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン等の水と相溶性のある有機溶剤を含有していてもよい。その場合の前記水性懸濁液に用いる溶媒又は水性溶媒の水の含有量は、触媒調製工程での安全性の観点及び得られる脱水反応速度を高める観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
【0026】
前記元素の酸化物を酸化アルミニウムに含浸させる際の温度は、担持速度を向上させる観点及び得られる触媒で前記元素の酸化物を均一に担持させて脱水反応速度を高める観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下、より更に好ましくは50℃以下、より更に好ましくは30℃以下である。
含浸させる時間は、担持速度を向上させる観点及び得られる触媒で前記元素の酸化物を均一に担持させて脱水反応速度を高める観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.2時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、更に好ましくは2時間以下である。
【0027】
含浸後の焼成温度は、前記元素の酸化物を生成させて脱水反応速度を高める観点から、好ましくは300℃以上、より好ましくは400℃以上、更に好ましくは450℃以上であり、そして、触媒の表面積の低下を防止し、担持元素の分散度を維持して脱水反応速度を高める観点から、好ましくは900℃以下、より好ましくは850℃以下、更に好ましくは800℃以下、より更に好ましくは550℃以下である。
【0028】
焼成時間は、前記元素の酸化物を生成させて脱水反応速度を高める観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、触媒の表面積の低下を防止し、担持元素の分散度を維持して脱水反応速度を高める観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下である。
焼成の雰囲気は特に限定されず、不活性ガス下、酸化雰囲気下又は還元雰囲気下で行うことができる。また、密閉状態でも、気体の流通状態でもよい。担持元素を酸化させて脱水反応速度を高める観点から、空気あるいは酸素の気流下が好ましい。
このようにして得られた触媒は凝集状態にあるので、適当に粉砕して粉末、粒状としたり、ヌードル、ペレット状等に成形して用いることができる。
【0029】
<触媒の物性>
触媒が粉末である場合、粉末の平均粒子径は、触媒の回収利用が容易になりオレフィンの製造効率が向上する観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、そして、触媒が十分に触媒活性を発現する観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下である。
【0030】
触媒のBET比表面積は、触媒が十分に触媒活性を発現する観点から、好ましくは100m
2/g以上、より好ましくは120m
2/g以上、更に好ましくは140m
2/g以上であり、そして、触媒が反応中に強度を維持する観点から、好ましくは500m
2/g以下、より好ましくは400m
2/g以下、更に好ましくは300m
2/g以下である。
【0031】
触媒の平均細孔径は、触媒が十分に触媒活性を発現する観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは7nm以上、更に好ましくは9nm以上であり、そして、触媒が反応中に強度を維持する観点から、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは25nm以下である。
【0032】
触媒の細孔容量は、触媒が十分に触媒活性を発現する観点から、好ましくは0.20mL/g以上、より好ましくは0.25mL/g以上、更に好ましくは0.30mL/g以上であり、そして、触媒が反応中に強度を維持する観点から、好ましくは2.0mL/g以下、より好ましくは1.5mL/g以下、更に好ましくは1.2mL/g以下である。
【0033】
触媒の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 「LA−920」(株式会社HORIBA製作所製)を用いて、測定溶媒であるエタノール(関東化学株式会社製、鹿1級)中に0.05gを撹拌させながら分散させて測定し(撹拌速度;レベル4)、屈折率を1.10としてメジアン径を算出する。
なお、BET比表面積、平均細孔径、及び細孔容量の測定は次のように行うことができる。比表面積、細孔分布測定装置 「ASAP2020」(Micromeritics社製)を使用し、試料を250℃、5時間の加熱前処理を行った後、液体窒素を用いて多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出する。
細孔容量は、BJH法(Barrett-Joyner-Halenda法)により算出することができ、更に細孔分布のピークトップを平均細孔径とする。ここで、BJH法とは、他の細孔と連結していない円筒形の細孔をモデルとして計算したもので、窒素ガスの毛管凝縮と多分子層吸着から細孔分布を求める方法である。その詳細は、「島津評論」(第48巻、第1号、第35〜44頁、1991年発行)に記載されている。
【0034】
<触媒の使用量>
触媒の使用量は、懸濁床反応の場合、脱水反応の反応速度を高める観点から、原料アルコールに対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であり、そして、経済的観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは6質量%以下である。触媒の使用量が前記範囲内であると、触媒を過度に用いることなく反応温度を低く抑えることができるため経済的である。
【0035】
[有機溶媒]
本発明の製造方法においては、必要に応じて有機溶媒を用いてもよい。本発明に用いることができる有機溶媒としては、反応温度において液体であり、基質及び生成物と相溶し、かつ反応を阻害しないものであれば特に限定されず、混合物であってもよい。また、反応後、沸点差を利用して生成物と分離できるものが好ましい。
本発明に使用することができる有機溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系有機溶媒が挙げられる。
【0036】
[脱水反応(オレフィン化反応)]
本発明の方法における反応はアルコールの脱水反応であり、副生した水が系内に滞留すると反応速度が低下するおそれがある。したがって、反応速度向上の観点から、撹拌下、常圧で反応系内に窒素、アルゴン等の不活性ガスを導入しながら、又は絶対圧力で好ましくは0.07MPa以下、より好ましくは0.05MPa以下、更に好ましくは0.01MPa以下で、生成する水を系外に除去しながら反応を行うことが好ましい。
【0037】
反応温度は、反応速度の観点及び多量体化等の副反応抑制の観点から、原料アルコールの沸点以下であり、200℃以上、好ましくは230℃以上、より好ましくは240℃以上、更に好ましくは250℃以上、より更に好ましくは260℃以上、より更に好ましくは270℃以上、より更に好ましくは275℃以上であり、そして、エネルギー消費量の観点及び製造設備の耐熱性の観点から、300℃以下、好ましくは290℃以下、より好ましくは285℃以下、より更に好ましくは280℃以下である。
反応温度は、反応速度の観点及び多量体化等の副反応抑制の観点並びにエネルギー消費量の観点及び製造設備の耐熱性の観点から、200℃以上300℃以下、好ましくは230℃以上290℃以下、より好ましくは240℃以上285℃以下、更に好ましくは240℃以上280℃以下である。
反応温度は、反応速度の観点及び多量体化等の副反応抑制の観点から、好ましくは230℃以上300℃以下、より好ましくは240℃以上300℃以下、更に好ましくは250℃以上300℃以下、より更に好ましくは260℃以上300℃以下、より更に好ましくは270℃以上290℃以下、より更に好ましくは275℃以上285℃以下である。
【0038】
本発明においては、前記オレフィン化反応を液相反応とすることが好ましい。なお、液相反応とは、原料アルコールの沸点以下融点以上、すなわち液相が存在する温度での反応のことを指す。液相反応とした場合には、原料を全て気化させる必要がないため、製造コストを抑制することができる。また、オレフィンの多量体化を抑制することもできるため、高収率で目的とする生成物を得ることができる。
【0039】
反応時間としては、目的とするオレフィンの収率の観点から、アルコール転化率が好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、更に好ましくは98%以上になるような時間であることが好ましい。そのような反応時間は、反応温度、有機溶媒の種類、並びに触媒の種類やその使用量等によって変動し得るが、懸濁床バッチ反応においてはオレフィンの収率の観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、更に好ましくは6時間以上、より更に好ましくは8時間以上であり、そして、好ましくは50時間以下、より好ましくは40時間以下、更に好ましくは35時間以下であり、より更に好ましくは15時間以下、より更に好ましくは10時間以下である。
【0040】
本発明の製造方法によれば、原料アルコールに対するオレフィンの収量、すなわち、オレフィンの収率は、通常90%以上となる。またオレフィンに含まれる二量化体の生成率は、通常5%以下となる。
なお、本発明の方法においては、前記二量化体として、炭素数が異なる2種以上のアルコールが交叉二量体化したものが含まれる場合があり、この交叉二量化体はGC−MSによって検出することができる。
【0041】
本発明においては、上記のようにして得られた反応生成物から、オレフィンのみを蒸留精製してもよい。蒸留精製により得られた純度が高いオレフィンは、オレフィンスルホン酸塩等の界面活性剤、有機溶剤、柔軟剤、サイズ剤等の原料又は中間原料として有用である。
【0042】
[オレフィンスルホン酸塩の製造方法]
本発明のオレフィンスルホン酸塩の製造方法は、下記の工程1〜3を有するものである。
工程1:本発明のオレフィンの製造方法により製造されたオレフィンをスルホン化する工程
工程2:工程1により得られたスルホン化生成物を中和する工程
工程3:工程2により得られた中和物を加水分解処理する工程
【0043】
<工程1;スルホン化工程>
工程1は、本発明のオレフィンの製造方法により製造されたオレフィンをスルホン化する工程であり、本工程1によりスルホン化生成物が得られる。
工程1におけるスルホン化反応は、オレフィン1モルに対し三酸化硫黄ガス又は無水硫酸を、好ましくは1モル以上、1.2モル以下反応させることにより行うことができる。
前記スルホン化反応における反応温度は、収率の観点から、好ましくは20℃以上、40℃以下である。
また、スルホン化反応は、反応温度が0℃以上10℃以下の条件下では、三酸化硫黄ガスの代わりに液体の無水硫酸を用いて行うこともできる。
【0044】
<工程2;中和工程>
工程2は、工程1により得られたスルホン化生成物を中和する工程であり、本工程2によりスルホン化生成物の中和物が得られる。
工程2における中和はスルホン酸基の理論値に対し1モル倍量以上、1.5モル倍量以下のアルカリを含有するアルカリ水溶液を反応させることにより行うことができる。
中和に用いることができるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、2−アミノエタノール水溶液等が挙げられ、入手性の観点から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
【0045】
<工程3;加水分解工程>
工程3は、工程2により得られた中和物を加水分解処理する工程であり、本工程3によりオレフィンスルホン酸塩が得られる。
工程3における加水分解処理は、水の存在下90℃以上200℃以下で、30分以上4時間以下反応させることにより行うことができる。
前記スルホン化反応及び中和反応は、連続して行うことができる。前記中和反応の終了後は、抽出、洗浄等により精製することができる。
【0046】
上述した実施の形態に加え、本発明は以下のオレフィンの製造方法を開示する。
<1>酸触媒の存在下、原料アルコールを脱水反応させるオレフィンの製造方法であって、酸触媒が金属酸化物を含有するものであり、原料アルコールが、炭素数が8以上22以下の第一級脂肪族アルコールであって炭素数が異なる2種以上のアルコールであり、反応温度が200℃以上300℃以下であるオレフィンの製造方法。
<2>酸触媒の存在下、原料アルコールを脱水反応させるオレフィンの製造方法であって、酸触媒が金属酸化物を含有するものであり、原料アルコールが、炭素数が12以上22以下の第一級脂肪族アルコールであって炭素数が異なる2種以上のアルコールであり、反応温度が200℃以上300℃以下であるオレフィンの製造方法。
【0047】
<3>原料アルコール中の含有量が1番目に多いアルコール及び2番目に多いアルコールの2種のアルコールの合計含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは100質量%である、<1>又は<2>に記載のオレフィンの製造方法。
<4>原料アルコール中の含有量が1番目に多いアルコール及び2番目に多いアルコールの2種のアルコールが、アルコール(A)及びアルコール(A)よりも炭素数が大きいアルコール(B)であり、アルコール(A)とアルコール(B)との炭素数の差が、好ましくは1以上4以下であり、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは2である、<1>〜<3>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0048】
<5>原料アルコール中の含有量が1番目に多いアルコール及び2番目に多いアルコールの2種のアルコールが、アルコール(A)及びアルコール(A)よりも炭素数が大きいアルコール(B)であり、アルコール(A)とアルコール(B)との質量比(A/B)が、好ましくは1/9以上9/1以下、より好ましくは1/4以上4/1以下、更に好ましくは1/4以上3/1以下、更に好ましくは1/2以上2/1以下、より更に好ましくは2/3以上3/2以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<6>原料として用いるアルコールの炭素数が、8以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上である、<1>〜<5>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0049】
<7>原料として用いるアルコールの炭素数が、22以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは14以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<8>原料として用いるアルコールの炭素数が、8以上22以下、好ましくは12以上22以下、より好ましくは12以上18以下、より好ましくは14以上18以下であり、更に好ましくは16以上18以下である、<1>〜<7>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0050】
<9>原料として用いるアルコールの炭素数が、好ましくは8以上16以下、より好ましくは8以上14以下、更に好ましくは12以上14以下である、<1>〜<8>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<10>原料アルコールが、好ましくは1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール、1−ヘンイコサノール及び1−ドコサノールから選ばれる2種以上であり、より好ましくは、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、及び1−エイコサノールから選ばれる2種以上であり、更に好ましくは、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、及び1−オクタデカノールから選ばれる2種以上であり、より更に好ましくは1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、及び1−オクタデカノールから選ばれる2種以上であり、更に好ましくは1−ヘキサデカノール及び1−オクタデカノールの2種である、<1>〜<9>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0051】
<11>原料アルコールが、好ましくは1−ドデカノール、1−テトラデカノール、及び1−ヘキサデカノールから選ばれる2種以上であり、より好ましくは1−ドデカノール及び1−テトラデカノールの2種である、<1>〜<10>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<12>原料として用いるアルコールの種類が、好ましくは5種以下、より好ましくは3種以下、更に好ましくは2種である、<1>〜<11>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0052】
<13>アルコール(A)の炭素数が16且つアルコール(B)の炭素数が18であり、好ましくはアルコール(A)が1−ヘキサデカノールであり、アルコール(B)が1−オクタデカノールである、<2>〜<10>又は<12>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<14>アルコール(A)が1−ドデカノールであり、アルコール(B)が1−テトラデカノールである、<2>〜<12>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0053】
<15>酸触媒が固体酸触媒である、<1>〜<14>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<16>酸触媒の、NH
3−TPDにより測定された全酸量のうち、脱離温度300℃以下におけるアンモニア脱離量から算出された酸量である弱酸量が、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、また、好ましくは100%以下、より好ましくは99%以下、更に好ましくは90%以下、より更に好ましくは80%以下、より更に好ましくは75%以下である、<1>〜<15>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0054】
<17>酸触媒がアルミニウムを含む金属酸化物であり、好ましくは酸化アルミニウムであり、より好ましくはγ−アルミナである、<1>〜<16>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<18>酸触媒が酸化アルミニウムに対して、酸化アルミニウム以外の酸化物を担持させた固体酸触媒である、<1>〜<17>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0055】
<19>酸化アルミニウム以外の酸化物を構成する元素の電気陰性度が好ましくは1.6以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.4以上であり、また、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.6以下であり、また、好ましくは1.6以上3.0以下、より好ましくは2.0以上3.0以下、更に好ましくは2.4以上2.6以下である、<18>に記載のオレフィンの製造方法。
<20>酸化アルミニウム以外の酸化物を構成する元素が、好ましくは、硫黄、タングステン、リン、ケイ素、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、ビスマス、及びセレンから選ばれる1種以上であり、更に好ましくは酸化アルミニウム以外の酸化物を構成する元素が、硫黄、タングステン、リン、及びケイ素から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは硫黄である、<18>に記載のオレフィンの製造方法。
【0056】
<21>酸化アルミニウム100質量部に対する酸化アルミニウム以外の酸化物の担持量が、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは0.8質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である、<18>〜<20>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<22>触媒の使用量が、懸濁床反応の場合、原料アルコールに対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは6質量%以下である、<1>〜<21>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0057】
<23>反応温度が、原料アルコールの沸点以下であり、200℃以上、好ましくは230℃以上、より好ましくは240℃以上、更に好ましくは250℃以上、より更に好ましくは260℃以上、より更に好ましくは270℃以上、より更に好ましくは275℃以上であり、そして、300℃以下、好ましくは290℃以下、より好ましくは285℃以下、より更に好ましくは280℃以下である、<1>〜<22>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<24>反応温度が、200℃以上300℃以下、好ましくは230℃以上290℃以下、より好ましくは240℃以上285℃以下、更に好ましくは240℃以上280℃以下である、<1>〜<22>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0058】
<25>反応温度が、好ましくは230℃以上300℃以下、より好ましくは240℃以上300℃以下、更に好ましくは250℃以上300℃以下、より更に好ましくは260℃以上300℃以下、より更に好ましくは270℃以上290℃以下、より更に好ましくは275℃以上285℃以下である、<1>〜<22>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<26>脱水反応が液相反応である、<1>〜<25>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0059】
<27>脱水反応で生成する水を系外に除去しながら行う、<1>〜<26>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<28>脱水反応を不活性ガスを導入しながら行う、<1>〜<27>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0060】
<29>反応時間が、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、更に好ましくは6時間以上、より更に好ましくは8時間以上であり、そして、好ましくは50時間以下、より好ましくは40時間以下、更に好ましくは35時間以下であり、より更に好ましくは15時間以下、より更に好ましくは10時間以下である、<1>〜<28>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
<30>オレフィンの収率が、90%以上であり、二量化体の生成率が5%以下である、<1>〜<29>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【0061】
<31>下記の工程1〜3を有するオレフィンスルホン酸塩の製造方法。
工程1:<1>〜<30>のいずれかに記載のオレフィンの製造方法により製造されたオレフィンをスルホン化する工程
工程2:工程1により得られたスルホン化生成物を中和する工程
工程3:工程2により得られた中和物を加水分解処理する工程
【実施例】
【0062】
触媒の調製
イオン交換水35.9gに硫酸1.02g(0.011mol)(SIGMA−ALDRICH社製 試薬特級95%)を加え、含浸液を調製した。次に、γ−アルミナ 「Neobead GB−13」(水澤化学工業株式会社製)50.0gに対して、含浸液を滴下しムラなく吸収させた。室温にて1時間静置し、その後120℃にて乾燥処理、500℃にて3時間空気下で焼成した。得られた触媒のNH
3−TPD法における弱酸量の割合は73%であり、原料の仕込み量から算出した酸化アルミニウム100質量部に対する硫黄の担持量は2質量部であった。
【0063】
実施例1[オレフィン化反応]
300mL撹拌装置付き四つ口フラスコに、1−ヘキサデカノール 「カルコール6098」(花王株式会社製)40.0g(0.16モル)、1−オクタデカノール 「カルコール8098」(花王株式会社製)160.0g(0.59モル)、アルミナ触媒 「Neobead GB−13」(水澤化学工業株式会社製、NH
3−TPD法における弱酸量の割合71%)10.0g(アルコールに対して5質量%)を仕込み、撹拌下、280℃にて窒素を系内に流通させながら(窒素流通量:100mL/min)、9時間反応を行った。
反応終了後の溶液はヘキサンにより希釈した後、ガスクロマトグラフ分析装置 「HP6890」(HEWLETT PACKARD社製)、カラム 「Ultra ALLOY-1キャピラリーカラム30.0m×250μm」(フロンティア・ラボ社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))を用い、インジェクション温度:300℃、ディテクター温度:350℃、He流量4.6mL/min)の条件で分析し、生成物を定量した。結果を表1に示す。
なお、オレフィン収率は以下の式により算出した。
オレフィン収率(%)=[オレフィン量(モル)/原料アルコール仕込み量(モル)]×100
【0064】
実施例2〜10、比較例1〜10
[オレフィン化反応]
原料の使用量、触媒、及び反応条件を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行い、反応終了後の生成物の測定を行った。反応条件及び結果を表1〜2にまとめて示す。
【0065】
比較例11
300mL撹拌装置付き四つ口フラスコに、1−ヘキサデカノール 「カルコール6098」(花王株式会社製)40.0g(0.16モル)、1−オクタデカノール 「カルコール8098」(花王株式会社製)160.0g(0.59モル)、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸(和光純薬工業株式会社製)25質量%水溶液2.0gを仕込み、240℃にて実施例1と同様に反応を試みたところ、昇温途中で激しく発熱、突沸が起こったため反応を中断した。
【0066】
なお、表1,2に記載の触媒の詳細は以下のとおりである。
・γ-Al
2O
3 :Neobead GB−13(水澤化学工業株式会社製)
・γ-Al
2O
3 粉末:Neobead GP−20(水澤化学工業株式会社製)
・SO
4/γ-Al
2O
3:前記触媒の調製で得られた触媒
・シリカアルミナ:N632L(日揮触媒化成株式会社製)
・トリフルオロメタンスルホン酸:和光純薬工業株式会社製
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
本発明によれば、二量体の生成を抑制しつつ、効率的にオレフィンを製造することができる。
【0070】
実施例11[スルホン化反応]
<工程1:スルホン化工程>
3000mL四つ口フラスコにメカニカルスターラー、温度計を取り付け、更に滴下漏斗を2本取り付けた。この四つ口フラスコ内を減圧状態にした後、窒素で大気圧に戻して窒素置換した上で、1,4−ジオキサン(和光純薬工業株式会社製)210gとクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)975gとを投入して、四つ口フラスコ内の溶液の温度が5℃以下になるように氷浴にて冷却した。冷却後、無水硫酸 「日曹サルファン」(日曹金属化学株式会社製)56.8gを滴下漏斗から1時間かけて滴下した。滴下終了後、0.5時間撹拌した。その後、実施例1にて調製したオレフィン152gを、滴下漏斗から1時間かけて滴下した。その後3時間、四つ口フラスコを氷浴で冷却しながら撹拌を続けた。
【0071】
<工程2;中和工程>
3000mLSUSビーカーに48質量%水酸化ナトリウム水溶液120gとイオン交換水300gとを入れて、氷浴にて冷却した。十分に冷却後、氷浴で冷却しながら、反応工程にて得られた液を徐々に加えながら、ホモミキサーで撹拌した。前記スルホン化工程で得られた液を前記ビーカーに全量投入した後、5000rpmにて3時間撹拌した。
【0072】
<工程3;加水分解工程>
中和工程にて得られた液をナス型フラスコに充填し、ロータリーエバポレーターにてクロロホルム、1,4−ジオキサン、及び水を留去した。得られた濃縮物に670gのイオン交換水を加えてオレフィンスルホン酸ナトリウムの前駆体を含有する水溶液を調製した。前記水溶液のうち400gを1Lオートクレーブに入れて160℃で3時間反応させることにより、オレフィンスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。
得られたオレフィンスルホン酸ナトリウム水溶液の有効成分は21質量%であった。なお、前記有効成分の量は塩化ベンゼトニウム溶液を使用した電位差滴定法により求めた(合成洗剤試験法JIS K3362)。