特許第6243792号(P6243792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243792はんだが固化された回路基板の製造方法、電子部品が搭載された回路基板の製造方法、及び、フラックス用洗浄剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243792
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】はんだが固化された回路基板の製造方法、電子部品が搭載された回路基板の製造方法、及び、フラックス用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20171127BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20171127BHJP
   C11D 7/34 20060101ALI20171127BHJP
   H05K 3/26 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H05K3/34 511
   C11D7/50
   C11D7/32
   C11D7/34
   H05K3/34 503A
   H05K3/34 501Z
   H05K3/26 E
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-98997(P2014-98997)
(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公開番号】特開2015-216276(P2015-216276A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000180302
【氏名又は名称】四国化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】川下 浩一
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】丸子 大介
(72)【発明者】
【氏名】平尾 浩彦
(72)【発明者】
【氏名】田阪 淳
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−174190(JP,A)
【文献】 特開2007−308776(JP,A)
【文献】 特開2005−041989(JP,A)
【文献】 特開平10−051119(JP,A)
【文献】 特開2009−298940(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/024141(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/32 〜 3/34
C11D 1/00 〜 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(1)〜(4)を含む、はんだが固化された回路基板の製造方法。
(1) 支持基材の第1の領域及び第2の領域に回路を形成する電極を有する回路基板の少なくとも第1の領域の電極を、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤Aで処理する工程。
(2) 工程(1)において得られた回路基板の第1の領域の電極にフラックスBの塗布及びはんだの配置をした後、回路基板をはんだの液相線温度以上の温度に加熱してはんだを溶融し、第1の領域の電極にはんだを固化させる工程。
(3) 工程(2)において得られた回路基板のフラックス残渣を、グリコールエーテル(成分a)と、下記一般式(III)で表される化合物であるアルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有する洗浄剤Cを用いて洗浄する工程。
【化1】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す。)
【化2】
(式中、R4は水素原子、メチル基、エチル基又はアミノエチル基、R5は水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基又はエチル基、R6はヒドロキシエチル基又はヒドロキシプロピル基を表す。)
(4) 工程(3)に続いて、回路基板の第2の領域の電極に、はんだを固化させる工程。
【請求項2】
下記工程(1)〜(4)を含む、はんだが固化された回路基板の製造方法。
(1) 支持基材の第1の領域及び第2の領域に回路を形成する電極を有する回路基板の少なくとも第1の領域の電極を、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤Aで処理する工程。
(2) 工程(1)において得られた回路基板の第1の領域の電極にフラックスBの塗布及びはんだの配置をした後、回路基板をはんだの液相線温度以上の温度に加熱してはんだを溶融し、第1の領域の電極にはんだを固化させる工程。
(3) 工程(2)において得られた回路基板のフラックス残渣を、グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)と、炭素数1〜6のアルキル基を有するベンゼンスルホン酸及び/又はその塩(成分d)とを含有する洗浄剤Cを用いて洗浄する工程。
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す。)
(4) 工程(3)に続いて、回路基板の第2の領域の電極に、はんだを固化させる工程。
【請求項3】
工程(3)における、アルカノールアミン(成分b)が、下記一般式(III)で表される化合物である、請求項に記載の回路基板の製造方法。
【化4】
(式中、R4は水素原子、メチル基、エチル基又はアミノエチル基、R5は水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基又はエチル基、R6はヒドロキシエチル基又はヒドロキシプロピル基を表す。)
【請求項4】
工程(2)における、フラックスBが、洗浄用フラックスである、請求項1から3のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
工程(3)における、グリコールエーテル(成分a)が、下記一般式(II)で表される化合物である、請求項1から4のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【化5】
(式中、Rは炭素数3〜8の炭化水素基を表し、nは2又は3を表す。)
【請求項6】
工程(3)における、イミダゾール化合物(成分c)が、イミダゾール、メチルイミダゾール、炭素数11のアルキル基置換イミダゾール、メチルエチルイミダゾール及びフェニルイミダゾールからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1からのいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項7】
工程(4)におけるはんだ固化にフラックスを使用し、当該フラックスが、水溶性フラックスである、請求項1から6のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1つの電子部品を回路基板上に搭載する工程を含み、前記回路基板の少なくとも1つが、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法で製造された回路基板である、電子部品が搭載された回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだが固化された回路基板の製造方法、電子部品が搭載された回路基板の製造方法及びフラックス用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージ等の電子基板の回路を形成する電極は、製造コストを低減する為に銅、銅合金等の金属が用いられている。
【0003】
一方、プリント配線板の実装方法として、実装密度を向上させた表面実装が広く採用されている。このような表面実装方法の一例として両面表面実装がある。両面表面実装では、プリント配線板の両面にはんだを固化させるために、2回以上のプリント配線板を加熱する工程と2回以上のプリント配線板を洗浄する工程が必要となる。また、プリント配線板の同一面においても、複数形成されている金属製導電部のうち、一部の金属製導電部がはんだ付け処理され、フラックス残渣の洗浄後に、残りの金属製導電部がはんだ付け処理される場合もある。このように、同一のプリント配線板であっても全ての金属製導電部を同時にはんだ付け処理するわけではなく、複数回に亘ってはんだ処理される場合もある。複数回に亘ってはんだ付け処理される。プリント配線板の回路部を構成する電極の銅、銅合金等の金属表面は、加熱されることにより酸化皮膜の形成が促進され変色を生じ、該導電部表面のはんだ付け性を良好に保つことができないことがある。
【0004】
この問題に対して、電極の表面を水溶性プレフラックスで処理(Organic Solderability Preservative:OSP処理)する方法がある。例えば、特許文献1には、導電部の表面に対する半田の濡れ性が良好となる金属の表面処理剤(金属処理剤)として、イミダゾール化合物とグルコン酸化合物を含有する金属処理剤が開示されている。
【0005】
また、従来からのロジン系フラックスに対して、水系の洗浄剤で洗浄できる水溶性フラックスが開発されている。例えば、特許文献2には、有機酸と多価アルコールとのエステルを主成分とする、成形はんだを用いるリフローはんだ付け用水溶性フラックスが開示されている。
【0006】
特許文献3には、グリコールエーテルと、アルカノールアミンと、アルキルベンゼンスルホン酸とを含有するフラックス洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−308776号公報
【特許文献2】特開2000−42786号公報
【特許文献3】特開2009−298940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
はんだ付けされた電子部品などのフラックス残渣は、洗浄しないで長期に使用するとマイグレーション等が発生し、電極間でのショートや接着不良の原因となる。半導体装置の集積化・高密度化に伴いはんだバンプを用いた半導体チップの実装方法は多く採用されつつあり、また、さらに高度の信頼性が要求されつつある。したがって、フラックス残渣の洗浄の半導体装置の製造における重要性はいっそう高まっている。例えば、半導体パッケ
ージ基板等の製造工程においては、はんだバンプ形成のために、金属処理剤により電極の表面の保護が予め行われ、続いて、電極上へのフラックス又ははんだペーストの塗布、及びはんだの配置、加熱、並びにフラックス残渣除去のための洗浄が行われる。しかし、回路基板上の一部の電極にはんだバンプを形成し、かつ、一部の電極にはんだバンプを形成しない場合、はんだバンプを形成しない電極上の金属処理剤がフラックス残渣洗浄時に除去されることがある。これにより、はんだバンプを形成しなかった電極は、はんだバンプ形成工程までの間に酸化、変色し、はんだバンプ形成時におけるはんだ濡れ性が悪くなり、接続信頼性を確保することが出来なくなるという問題がある。
【0009】
なお、本開示において「はんだを固化させる」とは、一又は複数の実施形態において、電子部品をはんだ付けすること(はんだ付け処理)、及び/又は、はんだバンプを形成することをいう。また、「はんだが固化されない」とは、一又は複数の実施形態において、電極があるにもかかわらず、電子部品をはんだ付け処理しないこと、及び/又は、はんだバンプを形成しないことをいう。
【0010】
本開示は、一又は複数の実施形態において、回路基板上の一部の電極にはんだを固化せずに他の一部の電極にはんだを固化する工程を含み、前記工程後に、はんだを固化していない前記電極の変色を抑制できる洗浄剤組成物を使用する、はんだが固化された回路基板の製造方法、電子部品が搭載された回路基板の製造方法、及びフラックス用洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一又は複数の実施形態において、下記工程(1)〜(4)を含む、はんだが固化された回路基板の製造方法に関する。
(1) 支持基材の第1の領域及び第2の領域に回路を形成する電極を有する回路基板の少なくとも第1の領域の電極を、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤Aで処理する工程。
(2) 工程(1)において得られた回路基板の第1の領域の電極にフラックスBの塗布及びはんだの配置をした後、回路基板をはんだの液相線温度以上の温度に加熱してはんだを溶融し、第1の領域の電極にはんだを固化させる工程。
(3) 工程(2)において得られた回路基板のフラックス残渣を、グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有する洗浄剤Cを用いて洗浄する工程。
【0012】
【化1】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す
。)
【0013】
(4) 工程(3)に続いて、回路基板の第2の領域の電極に、はんだを固化させる工程。
【0014】
本発明は、その他の一又は複数の実施形態において、少なくとも1つの電子部品を回路基板上に搭載する工程を含み、前記回路基板の少なくとも1つが、本開示に係る製造方法で製造された回路基板である、電子部品が搭載された回路基板の製造方法に関する。
また、本発明は、その他の一又は複数の実施形態において、グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の前記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有するフラックス用洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、はんだが固化されていない電極における変色を抑制できる。電極の変色を抑制できると、はんだ付け性が良好になり接続信頼性が向上する。本開示に係る製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、電極の変色抑制に加え、さらに、該電極のフラックスの濡れ性を向上でき、これによりはんだ付け状態がいっそう良好になり接続信頼性をいっそう向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】回路基板の製造フローの一例の概略を説明した図である。
図2】実施例で使用した、一方の主面上に複数の領域を有する回路基板の一例の概略を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
半導体パッケージ基板の製造工程は、複数回のはんだバンプ形成工程を含むことがある。限定されない一例である図1に示すフローでは、一方の主面上に第1の領域の電極を備え、他方の主面上に第2の領域の電極を備える回路基板に対し、工程(1)において金属処理剤Aを用いて電極の表面処理を行い、工程(2)において第1の領域にはんだバンプを形成し、工程(4)において第2の領域にはんだバンプを形成している。工程(3)では工程(2)で生じた第1の領域のフラックス残渣を洗浄するが、このとき工程(1)で施した第2の領域の電極の表面処理が損なわれ、時間経過、加熱処理及び洗浄等によって変色することがある。これにより工程(4)におけるはんだ付け状態が悪化し、接続信頼性が損なわれることがある。本開示は、限定されない一又は複数の実施形態において、工程(3)の洗浄に特定のイミダゾール化合物を含有するフラックス用洗浄剤組成物を用いると、はんだバンプが形成されていない第2の領域の電極の変色を抑制できる、という知見に基づく。また、本開示は、限定されない一又は複数の実施形態において、工程(3)の洗浄に特定のイミダゾール化合物を含有するフラックス用洗浄剤組成物を用いると、第2の領域の電極の変色を抑制に加え、第2の領域の電極におけるはんだの濡れ性を向上できるという知見に基づく。
【0018】
すなわち、本開示は、一態様において、下記工程(1)〜(4)を含む、はんだが固化された回路基板の製造方法(以下、「本開示に係る製造方法」ともいう)に関する。
(1) 支持基材の第1の領域及び第2の領域に回路を形成する電極を有する回路基板の少なくとも第1の領域の電極を、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤Aで処理する工程。
(2) 工程(1)において得られた回路基板の第1の領域の電極にフラックスBの塗布及びはんだの配置をした後、回路基板をはんだの液相線温度以上の温度に加熱してはんだを溶融し、第1の領域の電極にはんだを固化させる工程。
(3) 工程(2)において得られた回路基板のフラックス残渣を、グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有する洗浄剤Cを用いて洗浄する工程。
【0019】
【化2】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す
。)
【0020】
(4) 工程(3)に続いて、回路基板の第2の領域の電極に、はんだを固化させる工程。
【0021】
本開示における支持基材の第1の領域の電極及び第2の領域の電極とは、半導体パッケージ基板の製造工程において、それぞれ異なる工程で、はんだの固化が行われる領域の電極を意味する。すなわち、一又は複数の実施形態において、本開示において、「電極の領域」とは、一回のはんだ固化の工程で、はんだが固化される電極の範囲をいう。
【0022】
第1の領域の電極及び第2の領域の電極としては、限定されない一又は複数の実施形態において、両面実装基板における表面の電極及び裏面の電極がそれぞれ挙げられる(図1参照)。その他の限定されない一又は複数の実施形態において、第1の領域の電極及び第2の領域の電極としては、片面実装基板の同一主面上における2つの領域における電極が挙げられる(図2参照)。また、回路基板は、一又は複数の実施形態において、同一主面上に3つ以上の電極の領域を備えてもよく、また、2つの主面上にそれぞれ単独又は複数の領域を備えていてもよい。本開示において、第1の領域、第2の領域、第3の領域等における序数詞は、それぞれの領域を区別するためものであり、特に制限はない。一又は複数の実施形態において、前記序数詞は、はんだが固化される順番を意味することがある。
【0023】
本開示に係る製造方法より、はんだが固化されない電極における変色を抑制できるメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推測される。工程(3)において、洗浄剤C中のグリコールエーテル(成分a)とアルカノールアミン(成分b)がフラックスBの洗浄に作用するところ、イミダゾール化合物(成分c)を含まない場合、電極を保護する金属処理剤Aがリンス時に洗い流されて、熱処理後に酸化により変色を生じると考えられる。そして、特定量のイミダゾール化合物(成分c)を含む場合は、イミダゾール化合物が電極表面に吸着して保護膜を形成し、酸化による変色を抑制すると考えられる。但し、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0024】
[洗浄剤C]
本開示において、洗浄剤Cは、フラックス残渣を洗浄するための洗浄剤組成物であって、グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の前記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有する。洗浄対象のフラックスとしては、洗浄性が発揮される点から、ロジン系フラックスが好ましい。
【0025】
[洗浄剤Cの成分a]
本開示における洗浄剤Cの成分aは、グリコールエーテルである。成分aは、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性の観点から、下記一般式(II)で表される一又は複数の化合物からなることが好ましい。
【0026】
【化3】
(式中、Rは炭素数3〜8の炭化水素基を表し、nは2又は3を表す。)
【0027】
前記一般式(II)において、Rは、炭素数3〜8の炭化水素基であり、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性の観点から、炭素数3〜6の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性の観点から、好ましくはアルキル基、アルケニル基及びアリール基であり、より好ましくはアルキル基である。Rは、一又は複数の実施形態において、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基である。平均付加モル数nは、フラックス残渣に対する洗浄性の観点から、2又は3である。
【0028】
成分aとしては、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性向上の観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールモノアリルエーテル等のジエチレングリコールモノアルケニルエーテル;ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等のジエチレングリコールモノアラルキルエーテル;トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル等のトリエチレングリコールモノアルキルエーテル;トリエチレングリコールモノアリルエーテル等のトリエチレングリコールモノアルケニルエーテル;テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等のテトラエチレングリコールモノアルキルエーテル;ペンタエチレングリコールモノブチルエーテル等のペンタエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。これらの中でも、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルがさらに好ましい。
【0029】
本開示における洗浄剤Cの成分aの含有量は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性向上および電極の変色抑制の観点から、好ましくは80.0質量%以上、より好ましくは85.0質量%以上、さらに好ましくは85.5質量%以上、よりさらに好ましくは86.4質量%以上である。また、成分aの含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは89.0質量%以下、さらに好ましくは88.5質量%以下である。また、成分aの含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、80.0質量%以上90.0質量%以下であって、好ましくは85.0質量%以上89.0質量%以下、より好ましくは85.5質量%以上89.0質量%以下、さらに好ましくは86.4質量%以上88.5質量%以下である。
【0030】
成分aは、限定されない一又は複数の実施形態において、少なくともジエチレングリコールモノブチルエーテル(式(II)において、Rがブチル基、n=2)を含むことが好ましい。なお、本開示において、ブチル基は、特に言及がない場合、n−ブチル基をいう。
【0031】
一又は複数の実施形態において、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの成分a中の含有量は、フラックス残渣に対する洗浄性向上及び電極の変色抑制の観点から、好ましくは50.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上、さらに好ましくは
70.0質量%以上、よりさらに好ましくは80.0質量%以上である。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの成分a中の含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは98.0質量%以下、より好ましくは95.0質量%以下である。
【0032】
本開示におけるジエチレングリコールモノブチルエーテルの洗浄剤C中の含有量は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性向上及び電極の変色抑制の観点から、好ましくは50.0質量%以上、より好ましくは60.0質量%以上、さらに好ましくは70.0質量%以上、よりさらに好ましくは75.0質量%以上である。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの洗浄剤C中の含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは88.0質量%以下、さらに好ましくは85.0質量%以下である。
【0033】
本開示におけるジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの成分a中の含有量(複数種類の場合は合計の含有量)は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣の洗浄性向上の観点から、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下、さらに好ましくは30.0質量%以下、よりさらに好ましくは20.0質量%以下である。
【0034】
本開示におけるジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの洗浄剤C中の含有量(複数種類の場合は合計の含有量)は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣の洗浄性向上の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下、さらに好ましくは16.0質量%以下である。
【0035】
[洗浄剤Cの成分b]
本開示における洗浄剤Cの成分bは、アルカノールアミンである。成分bは、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性の観点から、下記一般式(III)で表される一又は複数の化合物からなることが好ましい。
【0036】
【化4】
(式中、R4は水素原子、メチル基、エチル基又はアミノエチル基、R5は水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基又はエチル基、R6はヒドロキシエチ
ル基又はヒドロキシプロピル基を表す。)
【0037】
成分bのアルカノールアミンとしては、一又は複数の実施形態において、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンと、これらのアルキル化物及びこれらのアミノアルキル化物が挙げられる。成分bは、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性向上の観点から、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノエチルモノエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミン、モノプロピルジエタノールアミン及びモノアミノエチルイソプロパノールアミンが好ましく、ジエタノールアミン、モノエチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン及びモノアミノエチルイソプロパノールアミンがより好ましく、モノエチルモノエタノールアミン及びモノメチ
ルジエタノールアミンがより好ましい。
【0038】
洗浄剤Cにおける成分bの含有量は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性向上の観点から、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、成分bの含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましく5.0質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以下、さらにより好ましくは3.5質量%以下である。また、成分bの含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは0.3質量%以上5.0質量%以下であって、より好ましくは0.5質量%以上4.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上4.0質量%以下、さらにより好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下である。上述のとおり、成分bとしては、上記一般式(III)で表される一又は複数の化合物を用いることができる。成分bに該当する化合物は、他の成分(例えば後述する成分dの塩)から生じるものも含む。
【0039】
[洗浄剤Cの成分c]
本開示における洗浄剤Cの成分cは、電極の変色抑制の観点から、前記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物であり、一又は複数の実施形態において、前記一般式(I)で表される一又は複数のイミダゾール化合物からなる。
【0040】
前記一般式(I)のR1、R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化
水素基を表す。この式(I)中に現れるR1は、一又は複数の実施形態において、水素原
子、置換若しくは無置換の炭素数5〜22のアリール基、置換若しくは無置換の炭素数1〜22のアルキル基、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜22のアルケニル基であることが好ましい。ここで云うアルキル基及びアルケニル基は、一又は複数の実施形態において、直鎖状若しくは分岐鎖状である。
また、この式(I)中に現れるR2及びR3は、一又は複数の実施形態において、互いに独立して同一又は異なり、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数5〜22のアリール基、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
なお、前記の置換とは、一又は複数の実施形態において、1又は複数のハロゲン原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基による置換を挙げることができる。
但し、この式(I)中に現れるR1、R2及びR3が、一又は複数の実施形態において、
同時にアリール基である場合を除く。
【0041】
成分(c)に使用する前記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物としては、一又は複数の実施形態において、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−t−ブチルイミダゾール、2−ペンチルイミダゾール、2−ヘキシルイミダ
ゾール、2−ヘプチルイミダゾール、2−(1−エチルペンチル)イミダゾール、2−オクチルイミダゾール、2−ノニルイミダゾール、2−デシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−トリデシルイミダゾール、2−テトラデシルイミダゾール、2−ペンタデシルイミダゾール、2−ヘキサデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−(1−メチルペンチル)イミダゾール、2−(1−エチルペンチル)イミダゾール、2−(1−ヘプチルデシル)イミダゾール、2−(5−ヘキセニル)イミダゾール、2−(9−オクテニル)イミダゾール、2−(8−ヘプタデセニル)イミダゾール、2−(4−クロロブチル)イミダゾール、2−(9−ヒドロキシノニル)イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−(1−ナフチル)イミダゾール、2−(1−ナフチル)−4−メチルイミダゾール、2−(2−ナフチル)イミダゾール、2
−(2−ナフチル)−4−メチルイミダゾール、2−メチル−4−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−イソプロピルイミダゾール、4−オクチルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、4,5−ジメチル−2−オクチルイミダゾール、2−ウンデシル−4−メチル−5−ブロモイミダゾール、4,5−ジクロロ−2−エチルイミダゾール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
成分cに使用する同イミダゾール化合物として、電極の変色抑制の観点から、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、及びこれらの組み合わせが好ましく、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール及びこれらの組み合わせがより好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及びこれらの組み合わせがさらに好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及びこれらの組み合わせがよりさらに好ましい。
【0043】
洗浄剤Cにおける成分cの含有量は、一又は複数の実施形態において、電極の変色抑制の観点から、0.005質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、成分cの含有量は、一又は複数の実施形態において、電極の変色抑制の観点から、4.0質量%以下であり、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。また、成分cの含有量は、一又は複数の実施形態において、電極の変色抑制の観点から、0.005質量%以上4.0質量%以下であって、好ましくは0.01質量%以上3.5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上3.0質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下である。上述のとおり、成分cとしては、上記一般式(I)で表される一又は複数の化合物を用いることができる。
【0044】
[洗浄剤Cの水]
洗浄剤Cは、一又は複数の実施形態において、水を含有する。水は、蒸留水、イオン交換水、又は超純水等が使用され得る。洗浄剤Cにおける水の含有量は、一又は複数の実施形態において、引火性を低減する観点から、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは5.5質量%以上、さらに好ましくは6.5質量%以上である。また、洗浄剤Cにおける水の含有量は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性向上の観点から、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは11.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下である。洗浄剤Cにおける水の含有量は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性を向上し引火性を低減する観点から、好ましくは5.0質量%以上12.0質量%以下、より好ましくは5.5質量%以上11.0質量%以下、さらに好ましくは6.5質量%以上10.0質量%以下である。
【0045】
[洗浄剤Cの成分d]
洗浄剤Cは、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄性向上の観点から、1又は複数種類の、炭素数1〜6のアルキル基を有するベンゼンスルホン酸(アルキルベンゼンスルホン酸)及び/又はその塩からなる成分dを含有してもよい。アルキルベンゼンスルホン酸中に複数のアルキル基を有してもよく、その場合は、複数のアルキル基の炭素数の合計で炭素数1〜6である。成分dのアルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩におけるアルキル基の炭素数は、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄力を向上させる観点から、1〜6であって、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1がよりさらに好ましい。炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、洗浄剤組成物として許容される観点から、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機ア
ミン塩が好ましく、半導体品質の安定性の観点から金属イオンが残留しない、アンモニウム塩、有機アミン塩がさらに好ましい。なお、有機アミン塩が成分bのアルカノールアミン塩であってもよい。
【0046】
成分dに含まれるアルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩としては、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄力を向上させる観点から、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、及び/又はこれらの塩が挙げられ、これらのアルキル基の置換位置はオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。成分dは、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、及び/又はこれらの塩がより好ましく、p−トルエンスルホン酸がさらに好ましい。
【0047】
洗浄剤Cにおける成分dの含有量(成分dが塩の場合の成分dの含有量は、酸型に換算した含有量)は、一又は複数の実施形態において、0.3質量%以上5.0質量%以下であり、フラックス残渣に対する洗浄力を向上させる観点から、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。成分dは、一又は複数のアルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩を用いることができる。
【0048】
洗浄剤Cにおいて成分a、b及びcの質量比(成分a/成分b/成分c)は、一又は複数の実施形態において、洗浄剤組成物の取り扱い性及びフラックス残渣に対する洗浄力の向上の観点から、好ましくは90〜98/0.5〜4/0.05〜4である。ただし、成分a、成分b、成分cの合計は100.0である。
【0049】
[洗浄剤Cのその他の成分]
洗浄剤Cのその他の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常洗浄剤に用いられる、ヒドロキシエチルアミノ酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸やそれらの塩等のアミノカルボン酸塩系に代表されるキレート剤、防腐剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、シリコーン系消泡剤、酸化防止剤、ヤシ脂肪酸メチルや酢酸ベンジル等のエステルあるいはアルコール類等を適宜用いることができる。
【0050】
[洗浄剤Cの調製方法]
本開示に係る洗浄剤組成物は、その調製方法に特に制限なく、一又は複数の実施形態において、成分a、成分b、成分c及び水、さらに要すれば成分dやその他の成分を混合することによって調製できる。洗浄剤Cは、添加作業、貯蔵及び輸送の観点から、濃縮液として製造及び保管し、使用時に成分a、成分b及び成分cが前述した洗浄時の洗浄液中の含有量になるように水で希釈して用いることができる。濃縮倍率としては、添加作業及び保存安定性の観点から、好ましくは50倍以上、より好ましくは67倍以上、さらに好ましくは90倍以上であり、貯蔵及び輸送の観点から、好ましくは200倍以下、より好ましくは150倍以下、さらに好ましくは110倍以下である。希釈する水の量の計量を容易にする観点から、例えば100倍濃縮液が挙げられる。本開示において、洗浄剤Cの100倍濃縮液の形態として開示された洗浄剤は、一又は複数の実施形態において、洗浄時に好ましくは1/50〜1/200の濃度、より好ましくは1/67〜1/150の濃度、さらに好ましくは1/90〜1/110の濃度、よりさらに好ましくは1/100の濃度に希釈され、洗浄剤Cとして使用されうる。希釈用の水は、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。本開示において「洗浄時」とは、一又は複数の実施形態
において、洗浄を行う時をいう。本開示において濃縮液の洗浄剤組成物の「洗浄時」とは、一又は複数の実施形態において、希釈された状態をいう。
【0051】
[洗浄剤CのpH]
本開示に係る洗浄剤組成物のpHは、一又は複数の実施形態において、フラックス残渣に対する洗浄力を向上させる点から、好ましくはpH8以上pH14以下であり、さらに腐食を抑制する観点から、より好ましくはpH8以上pH12以下、さらに好ましくはpH8以上pH10以下、よりさらに好ましくはpH8以上pH9以下である。pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の成分d以外の有機酸、それらの金属塩及びアンモニウム塩や、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の成分b以外の塩基性物質を適宜、所望量を配合することにより調整することができる。
【0052】
上述の洗浄剤Cを用いて実施される、はんだが固化された回路基板の製造方法の限定されない一又は複数の実施形態について、図1を参照して説明する。
【0053】
[工程(1)]
工程(1)は、一方の主面上に第1の領域の電極を備え、他方の主面上に第2の領域の電極を備える回路基板の少なくとも第1の領域の電極を、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤Aで処理する工程である(図1参照)。
【0054】
工程(1)で使用する回路基板は、限定されない一又は複数の実施形態において、半導体パッケージにおいてインターポーザとして使用される基板を含む。工程(1)で使用する「支持基材の第1の領域及び第2の領域に回路を形成する電極を有する回路基板」は、限定されない一又は複数の実施形態において、フリップチップ実装に使用する回路基板である。工程(1)で使用する回路基板は、限定されない一又は複数の実施形態において、はんだバンプが形成されるべき電極の領域を複数備える回路基板である。
【0055】
工程(1)で使用する回路基板の電極の金属としては、限定されない一又は複数の実施形態において、銅、銅合金が挙げられる。回路基板の電極は、一又は複数の実施形態において、はんだが固化される部位である。
【0056】
[工程(1)の金属処理剤A]
工程(1)の金属処理剤Aは、イミダゾール化合物を含有する金属の表面処理剤である。金属処理剤Aとしては、一又は複数の実施形態において、公知の表面処理剤(例えば、特許文献1に開示されるもの)及び今後開発されるものが使用できる。金属処理剤Aは、一又は複数の実施形態において、金属表面に酸化を抑制できる化成被膜を形成する。工程(1)は、一又は複数の実施形態において、金属表面の水溶性プレフラックス処理である。
【0057】
金属処理剤Aとしては、イミダゾール化合物を含有するものである。イミダゾール化合物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%含有する。
【0058】
イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、及びこれらの組み合わせが好ましく、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール及びこれらの組み合わせがより好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイ
ミダゾール、2−フェニルイミダゾール及びこれらの組み合わせがより好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及びこれらの組み合わせがより好ましい。
【0059】
金属処理剤Aには、イミダゾール化合物を水に溶解(水溶液化)する観点から、有機酸または無機酸を含有することが好ましい。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、アクリル酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、プロポキシ酢酸、ブトキシ酢酸、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、2−{2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}酢酸、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−プロポキシプロピオン酸、3−ブトキシプロピオン酸、安息香酸、パラニトロ安息香酸、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、ピクリン酸、蓚酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、アジピン酸等が挙げられる。無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。酸の含有量は、金属処理剤A中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。また、有機酸または無機酸は塩で用いることができ、アンモニウム塩および金属塩が挙げられる。金属塩は、ナトリウム塩、亜鉛塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
【0060】
さらに、金属処理剤Aには、可溶化剤として、有機溶媒等を含有することができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールあるいはアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール等の水と自由に混和するもの挙げられる。
【0061】
[金属処理剤Aによる処理方法]
工程(1)における金属処理剤Aによる回路基板の処理方法は、一又は複数の実施形態において、金属処理剤Aを回路基板の電極に接触させることを含む。その接触条件としては、一又は複数の実施形態において、回路基板の電極に液温10〜70℃の金属処理剤Aを1秒〜10分の接触時間で接触させる態様が挙げられる。接触方法としては、一又は複数の実施形態において、浸漬、噴霧、塗布等の方法が挙げられる。
【0062】
[工程(2)]
工程(2)は、一又は複数の実施形態において、工程(1)で得られた回路基板の第1の領域の電極に、フラックスBを塗布し、はんだを配置した後、回路基板をはんだの液相線温度以上の温度に加熱してはんだ層を溶融し、第1の領域の電極にはんだを固化させる工程である(図1参照)。
【0063】
工程(2)で使用するフラックスB及びはんだについては、はんだとフラックスBの混合物であるクリームはんだ(はんだペースト)であってもよいし、フラックスBを電極に印刷/塗布して角状や球状に成形したはんだを電極上に搭載する態様で用いてもよい。本
開示におけるはんだは、従来の一般的な錫−鉛共晶はんだ合金も使用できるが、錫−銀系、錫−銅系、錫−銀−銅系など鉛フリーはんだ合金を使用することが好ましい。
【0064】
[工程(2)のフラックスB]
工程(2)で使用するフラックスBについては、一又は複数の実施形態において、電極の接続信頼性の観点から、フラックス残渣を洗浄できることが好ましい。フラックス残渣を洗浄するには、洗浄用フラックスがよく、洗浄用フラックスであれば、特に限定されるものではない。洗浄用フラックスとしては、一又は複数の実施形態において、公知のもの又は今後開発されるものを使用できる。洗浄用フラックスについては、一又は複数の実施
形態において、特開平9−1388号公報に開示されるものを使用できる。フラックスBを用いたはんだバンプの形成方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
【0065】
フラックスBとしては、好ましくは洗浄用フラックスであり、より好ましくは洗浄用ロジン系フラックスであり、松脂を主成分、好ましくは松脂の含有量が50質量%以上、とするものである。具体的には松脂及びピロリドン化合物を含有するフラックスが挙げられる。松脂の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは97質量%以下である。ピロリドン化合物としては、ピロリドン及び炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を有する2置換ピロリドンが好ましい。ピロリドン化合物の含有量は、好ましくは3質量%、より好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0066】
フラックスBは、溶剤としてエステルを含有することができる。エステルの含有量は、好ましく30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。エステルとしては、セバシン酸エステル、フタル酸エステル、アビエチン酸エステル及びステアリン酸エステル等が挙げられる。
【0067】
[工程(3)]
工程(3)は、工程(2)において得られた回路基板に付着したフラックス残渣を、洗浄剤Cを用いて洗浄する工程である。洗浄剤Cは上述したものである。工程(3)は、一又は複数の実施形態において、工程(2)のはんだを固化する時に発生するフラックス残渣を洗浄剤Cで洗浄する工程である(図1参照)。図1に示す通り、工程(3)の洗浄時には、第2の領域の電極にははんだが固化されていない。従来のフラックス用洗浄剤組成物を用いると、工程(3)の洗浄後、はんだが固化されていない電極が、洗浄後の時間経過とともに、あるいは、洗浄後の熱処理によって、酸化及び/又は変色するという問題があった。洗浄剤Cを用いると、一又は複数の実施形態において、はんだが固化されていない電極の変色を抑制することができる。
【0068】
したがって、本開示は、その他の態様において、洗浄剤Cに関する。すなわち、本開示は、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤で処理されて、はんだが固化されていない電極と共に、洗浄用フラックスを用いてはんだが固化された電極を備え、且つフラックス残渣を有する回路基板を洗浄するためのフラックス用洗浄剤組成物であって、グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有するフラックス用洗浄剤組成物である。
【0069】
[洗浄剤Cによる洗浄方法]
工程(3)における洗浄剤Cを用いた洗浄方法は、一又は複数の実施形態において、被洗浄物(工程(2)で得られた回路基板)を洗浄剤Cに接触させることを含む。被洗浄物に洗浄剤Cを接触させる方法、すなわち、被洗浄物を洗浄剤Cで洗浄する方法としては、一又は複数の実施形態において、超音波洗浄装置の浴槽内で接触させる方法や、洗浄剤Cをスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)などが挙げられる。洗浄剤Cは、一又は複数の実施形態において、希釈することなくそのまま洗浄に使用できる。本開示の洗浄方法は、洗浄剤Cに被洗浄物を接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことが好ましい。
【0070】
したがって、本開示は、その他の態様において、洗浄剤Cを用いた洗浄方法に関する。すなわち、本開示は、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤で処理されて、はんだが固化されていない電極と共に、洗浄用フラックスを用いてはんだが固化された電極を備え、且つフラックス残渣を有する回路基板の洗浄方法であって、前記回路基板と、グリコー
ルエーテル(成分a)、アルカノールアミン(成分b)、及び0.005質量%以上4.0質量%以下の一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)を含有するフラックス用洗浄剤組成物(洗浄剤C)とを接触させることを含む洗浄方法である。
【0071】
[工程(4)]
工程(4)は、工程(3)に続いて、回路基板の第2の領域の電極に、はんだを固化させる工程である。工程(4)は、一又は複数の実施形態において、工程(3)の洗浄により変色が抑制された電極に、はんだバンプを形成する工程である。一又は複数の実施形態において、工程(4)にてはんだを固化させることにより、はんだを固化させるべき電極にはんだを固化させた回路基板を製造できる(図1参照)。
【0072】
工程(4)のはんだの固化には、フラックスを使用することが好ましい。使用するフラックス(フラックスD)は、上記フラックスBを用いてもよいが、一又は複数の実施形態において、電極の接続信頼性の観点から、フラックス残渣を洗浄できることが好ましい。フラックス残渣を洗浄するには洗浄用フラックスがよく、さらに環境負荷を考慮すれば、水系の洗浄剤でフラックス残渣を洗浄できる、水溶性フラックスであることが好ましい。水溶性フラックスとしては、一又は複数の実施形態において、有機酸と多価アルコールとのエステルを含有する水溶性フラックスが挙げられる。水溶性フラックスは、一又は複数の実施形態において、公知のもの又は今後開発されるものを使用できる。水溶性フラックスは、一又は複数の実施形態において、特許文献2の実施例6に開示されるものを使用できる。フラックスDを用いたはんだを固化する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
【0073】
フラックスDのエステルを構成する有機酸としては、一又は複数の実施形態において、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、及びオレイン酸が挙げられる。フラックスDのエステルを構成する多価アルコールとしては、一又は複数の実施形態において、ブタンジオール、グリセロール、及びポリグリセロールが挙げられる。これらの中でもラウリン酸ポリグリセリンエステル、オレイン酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを使用してもよい。
【0074】
フラックスDには、溶媒として水、有機溶媒や他の添加剤を含有することができる。
【0075】
工程(4)で使用するフラックスD及びはんだについては、一又は複数の実施形態において、はんだとフラックスDの混合物であるクリームはんだ(はんだペースト)であってもよいし、フラックスDを電極に印刷してはんだをその部分に搭載する態様であってもよい。はんだは、上述のものが使用できる。
【0076】
[工程(E)]
工程(4)を経た回路基板に、はんだバンプを形成すべき電極が残っていない場合、本開示に係る製造方法は、一又は複数の実施形態において、さらに、洗浄工程(E)を含む。すなわち、工程(E)は、工程(4)で得られた回路基板のフラックス残渣を洗浄剤Eで洗浄する工程である。
【0077】
工程(E)における洗浄剤Eとしては、一又は複数の実施形態において、水、及び準水系溶剤が挙げられる。準水系溶剤としては、限定されない一又は複数の実施形態において、水−アルコール混合溶剤、リモネン−水混合溶剤、グリコール−エーテル−水混合溶剤が挙げられる。洗浄剤Eを用いた洗浄は、一又は複数の実施形態において、上述の洗浄剤Cを用いた洗浄と同様に行うことができる。
【0078】
[工程(5)]
工程(4)を経た後の回路基板に、はんだを固化する電極(はんだが固化されていない電極)を含む領域(例えば、第3の領域、第4の領域など)が残っている場合、すなわち、本開示に係る製法で製造する対象の回路基板が3つ以上のはんだを固化する電極を含む区画(領域)を有していた場合、本開示に係る製造方法は、一又は複数の実施形態において、工程(3)及び工程(4)をくり返す工程(5)を含みうる。工程(5)は、一又は複数の実施形態において、工程(4)を経た後の回路基板のフラックス残渣を洗浄剤Cを用いて洗浄する工程と、洗浄後の回路基板上の第3の領域の電極にはんだを固化する工程とを含む。工程(5)における操作は、上述の工程(3)及び工程(4)における操作と同様に行うことができる。一又は複数の実施形態において、工程(5)における操作は、回路基板上にはんだを固化すべき電極を含む領域がなくなるまで繰り返されうる。その後、上述の洗浄工程(E)に移る。
【0079】
[電子部品の製造方法]
本開示は、一又は複数の実施形態において、少なくとも1つの電子部品を回路基板上に搭載する工程を含み、前記回路基板の少なくとも1つが、本開示に係る製造方法で製造された回路基板である、電子部品が搭載された回路基板の製造方法に関する。電子部品としては、たとえば半導体チップ、チップ抵抗器、チップコンデンサー、コネクター抵抗体,チップコイル、あるいは各種のセンサー等が挙げられる。電子部品が搭載された回路基板は、半導体チップが未搭載の半導体パッケージ、半導体チップが搭載された半導体パッケージ、及び、半導体装置を含む。本開示に係る製造方法で製造された回路基板は、一又は複数の実施形態において、電極の変色が抑制され接続信頼性が向上しているから、本開示の電子部品が搭載された回路基板の製造方法は、一又は複数の実施形態において、信頼性の高い電子部品が搭載された回路基板の製造を可能にする。
【0080】
上述した実施形態に関し、本開示はさらに以下の組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
【0081】
<1> 下記工程(1)〜(4)を含む、はんだが固化された回路基板の製造方法。
(1) 支持基材の第1の領域及び第2の領域に回路を形成する電極を有する回路基板の少なくとも第1の領域の電極を、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤Aで処理する工程。
(2) 工程(1)において得られた回路基板の第1の領域の電極にフラックスBの塗布及びはんだの配置をした後、回路基板をはんだの液相線温度以上の温度に加熱してはんだを溶融し、第1の領域の電極にはんだを固化させる工程。
(3) 工程(2)において得られた回路基板のフラックス残渣を、グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有する洗浄剤Cを用いて洗浄する工程。
【0082】
【化5】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す
。)
【0083】
(4) 工程(3)に続いて、回路基板の第2の領域の電極に、はんだを固化させる工
程。
【0084】
<2> 工程(2)におけるフラックスBが、洗浄用フラックスである、<1>記載の回路基板の製造方法。
<3> 工程(3)におけるグリコールエーテル(成分a)が、下記一般式(II)で表される化合物である、<1>又は<2>に記載の回路基板の製造方法。
【0085】
【化6】
(式中、Rは炭素数3〜8の炭化水素基を示し、nは2又は3を表す。)
<4> 洗浄剤Cの成分aの含有量が、好ましくは80.0質量%以上、より好ましくは85.0質量%以上、さらに好ましくは85.5質量%以上、よりさらに好ましくは86.4質量%以上である、<1>から<3>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<5> 洗浄剤Cの成分aの含有量が、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは89.0質量%以下、さらに好ましくは88.5質量%以下である、<1>から<4>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<6> 洗浄剤Cの成分aの含有量が、好ましくは85.0質量%以上89.0質量%以下、より好ましくは85.5質量%以上89.0質量%以下、さらに好ましくは86.4質量%以上88.5質量%以下である、<1>から<5>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<7> 洗浄剤Cの成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの成分a中の含有量が、好ましくは50.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上、さらに好ましくは70.0質量%以上、よりさらに好ましくは80.0質量%以上である、<1>から<6>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<8> 洗浄剤Cの成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの成分a中の含有量が、好ましくは98.0質量%以下、より好ましくは95.0質量%以下である、<1>から<7>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<9> 洗浄剤Cの成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの洗浄剤C中の含有量が、好ましくは50.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上、さらに好ましくは70.0質量%以上、よりさらに好ましくは75.0質量%以上である、<1>から<8>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<10> 洗浄剤Cの成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの洗浄剤C中の含有量が、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは88.0質量%以下、さらに好ましくは85.0質量%以下である、<1>から<9>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<11> 洗浄剤Cの成分aにおける、ジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの含有量が、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下、さらに好ましくは30.0質量%以下、よりさらに好ましくは20.0質量%以下である、<1>から<10>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<12> 洗浄剤Cにおけるジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの含有量が、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上である、<1>から<11>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<13> 洗浄剤Cにおけるジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの含有量が、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下、さらに好ましくは16.0質量%以下である、<1>から<12>のいずれかに記載の
回路基板の製造方法。
<14> 洗浄剤Cにおけるアルカノールアミン(成分b)が、下記一般式(III)で表される化合物である、<1>から<13>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【0086】
【化7】
(式中、R4は水素原子、メチル基、エチル基又はアミノエチル基、R5は水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基又はエチル基、R6はヒドロキシエチ
ル基又はヒドロキシプロピル基を表す。)
【0087】
<15> 洗浄剤Cにおける成分bの含有量が、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である、<1>から<14>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<16> 洗浄剤Cにおける成分bの含有量が、好ましく5.0質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以下、さらにより好ましくは3.5質量%以下である、<1>から<15>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<17> 洗浄剤Cにおける成分bの含有量が、好ましくは0.3質量%以上5.0質量%以下であって、より好ましくは0.5質量%以上4.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上4.0質量%以下、さらにより好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下である、<1>から<16>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<18> 工程(3)における、イミダゾール化合物(成分c)が、イミダゾール、メチルイミダゾール、炭素数11のアルキル基置換イミダゾール、メチルエチルイミダゾール及びフェニルイミダゾールからなる群から選ばれる1種以上である、<1>から<17>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<19> 洗浄剤Cにおける成分cの含有量が、0.005質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である、<1>から<18>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<20> 洗浄剤Cにおける成分cの含有量が、4.0質量%以下であり、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である、<1>から<19>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<21> 洗浄剤Cにおける成分cの含有量が、0.005質量%以上4.0質量%以下であって、好ましくは0.01質量%以上3.5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上3.0質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下である、<1>から<20>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<22> 洗浄剤Cにおける水の含有量が、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは5.5質量%以上、さらに好ましくは6.5質量%以上である、<1>から<21>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<23> 洗浄剤Cにおける水の含有量が、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは11.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下である、<1>から<22>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<24> 洗浄剤Cにおける水の含有量が、好ましくは5.0質量%以上12.0質量%以下、より好ましくは5.5質量%以上11.0質量%以下、さらに好ましくは6.5質量%以上10.0質量%以下である、<1>から<23>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<25> 工程(3)における、洗浄剤Cが、さらに炭素数1〜6のアルキル基を有す
るベンゼンスルホン酸及び/又はその塩(成分d)を含有する、<1>から<24>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<26> 洗浄剤Cにおける成分dの含有量が、好ましくは0.3質量%以上5.0質量%以下である、<25>に記載の回路基板の製造方法。
<27> 洗浄剤Cにおける成分dの含有量が、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である、<25>又は<26>に記載の回路基板の製造方法。
<28> 洗浄剤Cにおける成分dの含有量が、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である、<25>から<27>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<29> 洗浄剤Cにおける成分a、b及びcの質量比(成分a/成分b/成分c)が、好ましくは90〜98/0.5〜4/0.05〜4である、<1>から<28>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<30> 工程(4)におけるはんだ固化にはんだフラックスを使用し、当該フラックスが、水溶性フラックスである、<1>から<29>のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
<31> 少なくとも1つの電子部品を回路基板上に搭載する工程を含み、前記回路基板の少なくとも1つが、<1>から<30>のいずれかに記載の製造方法で製造された回路基板である、電子部品が搭載された回路基板の製造方法。
<32> グリコールエーテル(成分a)と、アルカノールアミン(成分b)と、0.005質量%以上4.0質量%以下の下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(成分c)とを含有するフラックス用洗浄剤組成物。
【0088】
【化8】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す
。)
【0089】
<33> グリコールエーテル(成分a)が、下記一般式(II)で表される化合物である、<32>に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
【0090】
【化9】
(式中、Rは炭素数3〜8の炭化水素基を表し、nは2又は3を表す。)
【0091】
<34> 成分aの含有量が、好ましくは80.0質量%以上、より好ましくは85.0質量%以上、さらに好ましくは85.5質量%以上、よりさらに好ましくは86.4質量%以上である、<32>又は<33>に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<35> 成分aの含有量が、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは89.0質量%以下、さらに好ましくは88.5質量%以下である、<32>から<34>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<36> 成分aの含有量が、好ましくは85.0質量%以上89.0質量%以下、より好ましくは85.5質量%以上89.0質量%以下、さらに好ましくは86.4質量%以上88.5質量%以下である、<32>から<35>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<37> 成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテルの成分a中の含有量が、好ましくは50.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上、さらに好ましくは70.0質量%以上、よりさらに好ましくは80.0質量%以上である、<32>から<36>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<38> 成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの成分a中の含有量が、好ましくは98.0質量%以下、より好ましくは95.0質量%以下である、<32>から<37>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<39> 成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの洗浄剤C中の含有量が、好ましくは50.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上、さらに好ましくは70.0質量%以上、よりさらに好ましくは75.0質量%以上である、<32>から<38>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<40> 成分aがジエチレングリコールモノブチルエーテルを含み、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの洗浄剤C中の含有量が、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは88.0質量%以下、さらに好ましくは85.0質量%以下である、<32>から<39>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<41> 成分aにおける、ジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの含有量が、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下、さらに好ましくは30.0質量%以下、よりさらに好ましくは20.0質量%以下である、<32>から<40>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<42> ジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの含有量が、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上である、<32>から<41>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<43> ジエチレングリコールモノブチルエーテル以外のグリコールエーテルの含有量が、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下、さらに好ましくは16.0質量%以下である、<32>から<42>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<44> アルカノールアミン(成分b)が、下記一般式(III)で表される化合物である、<32>から<43>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
【0092】
【化10】
(式中、R4は水素原子、メチル基、エチル基又はアミノエチル基、R5は水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基又はエチル基、R6はヒドロキシエチ
ル基又はヒドロキシプロピル基を表す。)
【0093】
<45> 成分bの含有量が、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である、<32>から<44>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<46> 成分bの含有量が、好ましく5.0質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以下、さらにより好ましくは3.5質量%以下である、<32>から<45>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<47> 成分bの含有量が、好ましくは0.3質量%以上5.0質量%以下であって、より好ましくは0.5質量%以上4.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以
上4.0質量%以下、さらにより好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下である、<32>から<46>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<48> イミダゾール化合物(成分c)が、イミダゾール、メチルイミダゾール、炭素数11のアルキル基置換イミダゾール、メチルエチルイミダゾール及びフェニルイミダゾールからなる群から選ばれる1種以上である、<32>から<47>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<49> 成分cの含有量が、0.005質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である、<32>から<48>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<50> 成分cの含有量が、4.0質量%以下であり、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である、<32>から<49>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<51> 成分cの含有量が、0.005質量%以上4.0質量%以下であって、好ましくは0.01質量%以上3.5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上3.0質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下である、<32>から<50>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<52> さらに水を含み、水の含有量が、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは5.5質量%以上、さらに好ましくは6.5質量%以上である、<32>から<51>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<53> さらに水を含み、水の含有量が、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは11.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下である、<32>から<52>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<54> 洗浄剤Cにおける水の含有量が、好ましくは5.0質量%以上12.0質量%以下、より好ましくは5.5質量%以上11.0質量%以下、さらに好ましくは6.5質量%以上10.0質量%以下である、<32>から<53>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<55> さらに炭素数1〜6のアルキル基を有するベンゼンスルホン酸及び/又はその塩(成分d)を含有する、<32>から<54>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<56> 成分dの含有量が、好ましくは0.3質量%以上5.0質量%以下である、<55>に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<57> 成分dの含有量が、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である、<55>又は<56>に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<58> 成分dの含有量が、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である、<55>から<57>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
<59> 成分a、b及びcの質量比(成分a/成分b/成分c)が、好ましくは90〜98/0.5〜4/0.05〜4である、<32>から<58>のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
【実施例】
【0094】
1.基板のプレフラックス処理
試験基板の電極に対して、下記工程及び条件で金属処理剤Aを用いてプレフラックス処理を施した。
〔試験基板〕
試験基板としては、図2に示す回路基板1を用いた。回路基板1は、一主面上に第1の領域Aの銅電極2と、第2の領域Bの銅電極3と、配線4とを備える基板である。第1の領域Aの電極2は、Landが0.36mm、ピッチが1.0mmである。
〔工程(1):プレフラックス処理〕
プレフラックス処理は、下記工程(a)〜工程(d)を含む手順で実施した。
(a)脱脂工程
試験基板を、脱脂液(四国化成工業株式会社製、商品名:タフクリーナーW40G)に、20〜30℃で30秒間浸漬した後、基板を取り出して、1分間水洗した。
(b)ソフトエッチング工程
上記基板を、ソフトエッチング液(四国化成工業株式会社製、商品名:タフクリーナーGB−1400、硫酸−過酸化水素系タイプ)に30℃で30秒間浸漬した後、基板を取り出して1分間水洗した。
(c)酸洗浄工程
上記基板を、酸洗浄液(5%硫酸水溶液)に、20〜30℃で30秒間浸漬した後、取り出して、1分間水洗した。その後、エアーナイフで基板の水切りをした。
(d)プレフラックス処理工程
上記基板を、イミダゾール化合物を含有する金属処理剤A(水溶性プレフラックス、四国化成工業株式会社製、商品名:タフエースF2(LX)PK)で、40℃で30〜90秒間浸漬した後、基板を取り出して1分間水洗した。次いで、エアーナイフで基板の水切りをした後、100℃で1分間乾燥した。銅表面上に厚さ約0.1〜0.3μmの化成被膜を形成させた。
【0095】
上記のように水溶性プレフラックスによる化成被膜を形成する処理を行った試験基板(以下、「プレフラックス処理した試験基板」)を使用して、以下の試験を行った。
【0096】
2.洗浄用フラックスを用いたはんだバンプの形成及び洗浄
〔工程(2):第1の領域Aにおけるはんだバンプの形成〕
プレフラックス処理した試験基板の第1の領域Aの電極2の銅パッドに、ステンシルマスクを利用して、洗浄用フラックスB(千住金属工業社製、商品名:デルタラックス MB−T100)を100μm厚で印刷し、Sn−3Ag−0.5Cu(各数値は質量%)組成の300μmのはんだボールをフラックス印刷箇所に搭載し、リフロー炉を用いて、昇温速度を2.5℃/sec、ピーク温度を250℃でリフローした(酸素濃度は100ppm)。
〔洗浄剤Cの調製〕
下記表1に示すグリコールエーテル(成分a)、アルカノールアミン(成分b)、イミダゾール化合物(成分c)、水と、必要に応じて、アルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩(成分d)並びにその他の成分を、表1に示す含有量となるように混合して、洗浄剤C(実施例1〜17、及び、比較例1〜8)を調製した。
〔工程(3):フラックスB残渣の洗浄〕
リフロー後のはんだバンプを下記条件で洗浄し、フラックス洗浄性を確認した。その結果を表1に示す。
洗浄方法:洗浄剤Cに浸漬→プレリンス→リンス→仕上げリンス→エアパージ→乾燥→判定
液温度=すべて60℃
物理力=すべて超音波、40kHz、400W
洗浄時間=各工程1minタクト
エアパージ=0.3MPa、N2、25℃、15sec
洗浄性の判定は、洗浄前のフラックス残渣が付着している周辺の面積を、株式会社キーエンス製のDIGITAL MICROSCOPE VHX−2000を用いて200倍で観察し、洗浄前、及び洗浄後のフラックス残渣の面積を付属の色の識別による面積算出モードで求め、フラックス残渣洗浄率を算出した。
〔判定基準〕
A:完全洗浄(洗浄率100%)
B:洗浄率 98〜100%未満
C:洗浄率 95〜98%未満
D:洗浄率 95%未満
【0097】
3.第2の領域Bの銅電極3における洗浄後の変色性
前記2の洗浄後の基板上の、はんだバンプを形成しなかった第2の領域Bの銅電極3の変色を、前記洗浄直後、及び、175℃で6時間大気ベーキング(熱処理)後に目視でそれぞれ判定した。その結果を表1に示す。
〔判定基準〕
A:色むらが無く、変色がない。
B:色むらが無く、変色が見られる。
C:変色が見られ、一部が褐色化している。
D:全体が褐色化している。
【0098】
4.第2の領域Bの銅電極3におけるはんだの濡れ性
〔工程(4):第2の領域Bにおけるはんだバンプの形成〕
前記2の洗浄後の基板上の、はんだバンプを形成しなかった第2の領域Bの銅電極3にステンシルマスクを利用して水溶性フラックス(フラックスD)を100μm厚で印刷し、Sn−3Ag−0.5Cu組成の300μmのはんだボールをフラックス印刷箇所に搭載し、リフロー炉を用いて、昇温速度を2.5℃/sec、ピーク温度を250℃でリフローした(酸素濃度は100ppm)。
水溶性フラックス(フラックスD)として、特許文献2の実施例6で使用される水溶性フラックスを使用した。なお、水溶性フラックスとしては、市販の水溶性フラックス(千住金属工業社製、商品名:スパークルフラックス WF−6317)も使用できる。
〔濡れ性の判定〕
リフロー後のはんだの広がった縦横の長さを株式会社キーエンス製のDIGITAL MICROSCOPE VHX−500を用いて測定し(N=12)、比較例3の場合と比較して、広がり面積の低下率を算出し、下記基準で判定した。その結果を表1に示す。
〔判定基準〕
A:広がり面積が同じ〜1%未満の低下
B:広がり面積が1%〜3%未満の低下
C:広がり面積が3%〜5%未満の低下
D:広がり面積が5%以上低下
【0099】
【表1】
【0100】
表1に示す通り、実施例1〜17の洗浄剤Cを用いた場合、比較例1〜8に比べて、はんだバンプを形成していない第2の領域Bの電極3の熱処理後の変色を著しく抑制できた。また、実施例1〜5、7、8、及び10〜17の洗浄剤Cを用いた場合、実施例6及び9に比べ、はんだの濡れ性が向上していた。半導体パッケージ基板の製造では、フラックスの印刷/塗布、はんだバンプ形成のための加熱、及び残留したフラックス除去のための
洗浄を含むサイクルが複数回繰り返される場合があり、そのような場合には、次のはんだバンプ形成時のはんだの濡れ性がよりいっそう接続信頼性に影響すると言える。
図1
図2