(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷蔵庫本体(1)の出入口(2)を揺動開閉する観音開き構造の一対のドア(3・3)を有し、両ドア(3・3)の揺動先端の間にドア間の隙間を封止するドアシール構造が設けられている冷蔵庫であって、
ドアシール構造は、各ドア(3)の揺動先端に固定される縦長のシール枠(11)と、シール枠(11)に沿って配置される縦長のドアシール体(12)と、ドアシール体(12)の内部に配置される磁気吸着体(40)とを含み、
シール枠(11)は、ドア(3)に固定されるシールベース(14)と、シールベース(14)に圧嵌係合されて、ドアシール体(12)を隣接するドア(3)へ向かって出退自在に支持するガイド枠(15)と、ガイド枠(15)の上下端にそれぞれ配置されてドアシール体(12)の上下方向の移動を規制する上端面キャップ(16)および下端面キャップ(17)とを備えており、
上端面キャップ(16)および下端面キャップ(17)は、各端面キャップ(16・17)に形成された1個以上のキャップ爪(71・72・73)と、前記キャップ爪(71・72・73)に対応するようにシールベース(14)に形成されたベース側係合部(56b・57b・62b)とで構成される係合構造で、シールベース(14)に着脱可能に係合装着されており、
下端面キャップ(17)とシールベース(14)との係合強度が、上端面キャップ(16)とシールベース(14)との係合強度よりも大きく設定されていることを特徴とする冷蔵庫。
シールベース(14)は、ガイド枠(15)が圧嵌係合される主ベース(19)と、主ベース(19)の上下端にそれぞれ装着される上ベース(20)および下ベース(21)とで構成されており、
上ベース(20)および下ベース(21)に、各端面キャップ(16・17)に形成された1個以上のキャップ爪(71・72・73)に対応するベース側係合部(56b・57b・62b)がそれぞれ形成されており、
上端面キャップ(16)が上ベース(20)に係合装着され、下端面キャップ(17)が下ベース(21)に係合装着されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【背景技術】
【0002】
この種の冷蔵庫は、例えば特許文献1に公知である。係る特許文献1の冷蔵庫のドアシール構造は、各ドアの揺動先端に固定されるシール枠と、シール枠で支持される第1シール(ドアシール体)と、第1シールの内部に配置される磁石などで構成されている。シール枠の上下端にはそれぞれプラスチック材からなるキャップ(端面キャップ)が装着されており、キャップはシール枠に対してビスで固定されている。このキャップで、シール枠の溝に差込み係合した第1シールの上下方向への移動を規制して、第1シールがシール枠の上下端部から抜け出すのを防止している。
【0003】
端面キャップを、ビス固定に替えて接着により固定することが特許文献2に開示されている。係る特許文献2の貯蔵庫のドアシール構造は、各開閉扉の揺動先端に固定される支持部材と、支持部材で支持される第2ドアパッキン(ドアシール体)と、第2ドアパッキンの内部に配置される磁石などで構成されている。第2ドアパッキンは、支持部材の挿入溝で支持されており、第2ドアパッキンの上下端面を、第1ドアパッキンの各先端面に接着固定した連結部材(端面キャップ)で覆うことにより、第2ドアパッキンの上下方向への移動を規制している。なお、連結部材は可撓性の合成樹脂で形成されている。同様の構成が特許文献3にも開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドアシール体が劣化あるいは破損した場合には、ドアシール構造のシール機能を回復させるために、ドアシール体を交換する必要がある。特許文献1の冷蔵庫では、キャップを固定しているビスを緩めて、上下いずれかのキャップを取り外すことにより、第1シールをシール枠から抜き出して交換することができる。しかし、ビスを緩め操作するためのドライバーなどの工具が別途必要であり、ドアシール体の交換作業に手間を要していた。
【0006】
その点、特許文献2および3の貯蔵庫では、可撓性の連結部材で第2ドアパッキンの上下移動を規制しているので、いずれかの連結部材を撓み変形させることにより、第2ドアパッキンを支持部材から簡便に抜き出して交換することができる。しかし、開閉扉を開けた状態において、下側の連結部材に他物が接触や衝突した場合には、連結部材が意図せず撓み変形して、第2ドアパッキンの自重により支持部材から脱落するおそれがある。第2ドアパッキンが脱落したことに気付かないまま開閉扉を閉じた場合には、一対の開閉扉の揺動先端間のシールを行うことができず、庫内の冷気が外部に漏れ出してしまう。
【0007】
本発明の目的は、他物の接触や衝突に起因してドアシール体が抜け落ちることをより確実に防ぐことを可能としながら、ドアシール体の交換作業をより迅速かつ簡便に行うことが可能な冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫本体1の出入口2を揺動開閉する観音開き構造の一対のドア3・3を有し、両ドア3・3の揺動先端の間にドア間の隙間を封止するドアシール構造が設けられている。ドアシール構造は、各ドア3の揺動先端に固定される縦長のシール枠11と、シール枠11に沿って配置される縦長のドアシール体12と、ドアシール体12の内部に配置される磁気吸着体40とを含む。シール枠11は、ドア3に固定されるシールベース14と、シールベース14に圧嵌係合されて、ドアシール体12を隣接するドア3へ向かって出退自在に支持するガイド枠15と、ガイド枠15の上下端にそれぞれ配置されてドアシール体12の上下方向の移動を規制する上端面キャップ16および下端面キャップ17とを備えている。上端面キャップ16および下端面キャップ17は、各端面キャップ16・17に形成された1個以上のキャップ爪71・72・73と、前記キャップ爪71・72・73に対応するようにシールベース14に形成されたベース側係合部56b・57b・62bとで構成される係合構造で、シールベース14に着脱可能に係合装着されている。下端面キャップ17とシールベース14との係合強度が、上端面キャップ16とシールベース14との係合強度よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0009】
シールベース14は、ガイド枠15が圧嵌係合される主ベース19と、主ベース19の上下端にそれぞれ装着される上ベース20および下ベース21とで構成する。上ベース20および下ベース21に、各端面キャップ16・17に形成された1個以上のキャップ爪71・72・73に対応するベース側係合部56b・57b・62bをそれぞれ形成する。上端面キャップ16を上ベース20に係合装着し、下端面キャップ17を下ベース21に係合装着する。
【0010】
下端面キャップ17が下ベース21から分離した状態において、ドアシール体12の落下を阻止する保持腕62を下ベース21に設ける。上端面キャップ16には、第1キャップ爪71および第2キャップ爪72の2個のキャップ爪を設ける。下端面キャップ17には、第1キャップ爪71、第2キャップ爪72、および第3キャップ爪73の3個のキャップ爪を設ける。保持腕62がベース側係合部62bを兼ねており、保持腕62に下端面キャップ17に設けた第3キャップ爪73を係合する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る冷蔵庫においては、上端面キャップ16および下端面キャップ17のそれぞれを、係合構造によりシールベース14に対して着脱可能に係合装着した。これによれば、ビスにより端面キャップを固定する従来形態に比べて、両端面キャップ16・17のシールベース14に対する着脱作業をより少ない手間で迅速に行うことが可能となる。従って、両端面キャップ16・17のシールベース14に対する装着作業を伴うドアシール構造の組立て作業をより迅速かつ簡便に行うことが可能となる。また、必要があれば、両端面キャップ16・17のシールベース14に対する取り外し作業を伴うドアシール体12の交換作業をより迅速かつ簡便に行うことが可能となる。
【0012】
そのうえで本発明においては、下端面キャップ17とシールベース14との係合強度を、上端面キャップ16とシールベース14との係合強度よりも大きく設定したので、ドアシール体12の交換作業の容易化と、ドアシール体12の不用意な脱落という、相反する課題を同時に解決することが可能となる。すなわち、本発明では、下端面キャップ17とシールベース14との係合強度を、上端面キャップ16とシールベース14のそれに比べて大きなものとしたので、他物の接触や衝突に起因する下端面キャップ17のシールベース14からの不用意な分離を効果的に防ぐことができ、従って、ガイド枠15からドアシール体12が抜け落ちること(脱落すること)をより確実に防ぐことが可能となる。加えて、本発明においては、上端面キャップ16とシールベース14との係合強度を、下端面キャップ17とシールベース14のそれに比べて小さなものとしたので、シールベース14からの上端面キャップ16の取り外しが容易となる。従って、より簡単かつ迅速にドアシール体12の交換作業を進めることが可能となる。
【0013】
両端面キャップ16・17が係合装着されるシールベース14の上下端部を、主ベース19とは別体の上下ベース20・21で構成していると、当該上下端部の両端面キャップ16・17との間の係合構造を設計する際の設計自由度が向上する。すなわち、シールベース14の上下端部を、主ベース19とは別体の上下ベース20・21で構成していると、シールベース14の全体を単一の部材で構成する形態に比べて、シールベース14の上下端の断面形状等といった設計自由度が向上し、当該上下端の係合構造の設計自由度が格段に向上する。以上より、上端面キャップ16および下端面キャップ17の係合構造に、所望の係合強度を付与することが可能となるため、当該上下端部に最適化された係合構造を形成することができる。
【0014】
下端面キャップ17がシールベース14から分離した状態において、ドアシール体12の落下を阻止する保持腕62を下ベース21に設けると、誤って下端面キャップ17が分離した場合であっても、保持腕62でドアシール体12の落下を阻止して、ドアシール体12がガイド枠15から抜け出して脱落するのを防止できる。また、上端面キャップ16に第1および第2のキャップ爪71・72を設け、下端面キャップ17に第1から第3のキャップ爪71・72・73を設け、下端面キャップ17に設けた第3キャップ爪73を、ベース側係合部62bを兼ねる保持腕62に係合させると、下端面キャップ17の係合強度を第3キャップ爪73の分だけ、上端面キャップ16よりも大きくすることができる。従って、下ベース21から下端面キャップ17が分離するのをさらに確実に防止でき、また、上ベース20から上端面キャップ16を容易に取り外し操作できるドアシール構造を得ることができる。また、保持腕62を利用して第3キャップ爪73を係合させるので、別途第3キャップ爪73用のベース側係合部を設ける必要がなく、部品点数を削減してドアシール構造が複雑化するのを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例)
図1から
図10は本発明に係る冷蔵庫におけるドアシール構造を示す。本発明における前後、左右、上下、とは、
図2および
図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において、符号1は冷蔵庫本体であり、その内部は上下2段の冷蔵室に区分されている。各冷蔵室の前面で開口する出入口2は、観音開き構造の一対のドア3・3で揺動開閉できるようになっており、各ドア3は、出入口2の両側の上下に配置したドアヒンジ4で支持されている。なお、ドア3の前面には把手5が設けられている。
【0017】
ドア3の内面(庫内側)の上下辺部および吊元側の辺部に沿ってドアパッキン6がコ字状に設けられており、これとは別に各ドア3・3の揺動先端に、ドア間の隙間を封止するドアシール構造が設けられている。ドアパッキン6の内部には棒状の磁石7が配置されており、この磁石7と出入口2の開口周縁壁(鋼板)との磁気吸着作用で、ドア3と冷蔵庫本体1との接合部分をドアパッキン6で封止し、さらにドア3を閉じ状態に保持している。ドア3の揺動先端間の隙間の上下端のそれぞれに、シール構造とドアパッキン6との隙間からの冷気の漏れを防ぐ左右一対の端部シール8が設けられている。端部シール8は、ドア3に対する締結座を除くほとんどの部分が、弾性を有するエラストマーを素材として形成されており、ドアパッキン6の先端部に連続するように配置されてビスで固定されている(
図1参照)。
【0018】
図3に示すようにドア3の内面側には、各辺部に沿って四角枠状の段落面9が形成されており、この段落面9に、先のドアパッキン6とドアシール構造とが組み込まれている。ドアシール構造は、各ドア3の段落面9に固定される縦長のシール枠11と、シール枠11に組付られる縦長のドアシール体12などで構成する。シール枠11は、ドア3に固定されるシールベース14と、ドアシール体12を隣接するドア3へ向かって出退自在に支持するガイド枠15と、ガイド枠15の上下端にそれぞれ配置されてドアシール体12の上下方向の移動を規制する上端面キャップ16および下端面キャップ17(
図1参照)などで構成されている。また、
図7に示すように、シールベース14は、主ベース19と、主ベース19の上下端にそれぞれ装着される上ベース20および下ベース21とで構成されており、これらの部材は、それぞれ先の段落面9にビスで固定される。ガイド枠15は、主ベース19に圧嵌係合され、上端面キャップ16および下端面キャップ17は、上ベース20および下ベース21にそれぞれ着脱可能に係合装着される。なお、ガイド枠15の上下端部は、上ベース20、および下ベース21に圧嵌係合している。
【0019】
図3および
図5に示すようにドアシール体12は、後述するガイド溝37で出退自在に案内支持されるパッキンフレーム39と、パッキンフレーム39の進出端に配置される磁石(磁気吸着体)40と、磁石40の外面を覆う弾性パッキン41などで構成する。磁石40は弾性パッキン41の内部に配置されている。パッキンフレーム39は、磁石40用の装填凹部42と、パッキンフレーム39の出退方向に沿って装填凹部42から連出されるスライド脚43と、スライド脚43に対して傾斜するシール脚44とを一体に備えた、硬質プラスチック材製の押出成形品からなる。シール脚44はその突端がスライド脚43から遠ざかる向きに傾斜しており、後述するガイド枠15の脚受壁35と同じ角度で傾斜している。スライド脚43およびシール脚44の突端には、それぞれストッパー45が設けられている。各ストッパー45は、装填溝36の周囲壁の段部、あるいは脚受壁35の基端の段部に受止められて、パッキンフレーム39がガイド溝37から横方向へ抜出るのを防止する。シール壁34と対向するシール脚44の脚壁には、シール壁34に摺接する軟質樹脂製のシール舌片46が固定されている。
【0020】
図3に示すように主ベース19は、締結座24の両側端の内面に係合壁25・26を突設し、さらに締結座24の内面の左右中央にバックアップ壁27を突設したプラスチック製の押出成形品からなる。各係合壁25・26には、係合段部25a・26aが設けてある。また、係合壁25の近傍の締結座24、およびバックアップ壁27の中途部には、それぞれ結露防止用のヒーター49を装填するための装填溝28が、主ベース19の全長にわたって形成されている。係合壁26とバックアップ壁27との間の締結座24の上下端には、後述する上ベース20および下ベース21の係止爪59が係止される係止穴59a・59bが開口されている(
図7参照)。
【0021】
図5、
図7および
図9に示すように下ベース21は、主ベース19とほぼ同一の断面形状を有しており、後述する下端面キャップ17の第1キャップ爪(キャップ爪)71および第2キャップ爪(キャップ爪)72が係合されるベース側係合部56b・57bを追加した断面形状に形成されている。また、下ベース21を主ベース19に装着するための、係止爪59を有する弾性腕60および2個の位置決め突起61が設けられている。さらに、バックアップ壁57に、部分円弧状の保持腕62と板状の保持板63とからなる保持部材64が設けられている。
【0022】
具体的には、下ベース21は、締結座54の両側端の内面に係合壁55・56を突設し、さらに締結座54の内面の左右中央にバックアップ壁57を突設したプラスチック成形品からなる。各係合壁55・56には、係合段部55a・56aが設けられている。係合壁55の近傍の締結座54、およびバックアップ壁57の中途部には、それぞれ結露防止用のヒーター49を装填するための装填溝58が形成されている。先のベース側係合部56b・57bは、係合壁56とバックアップ壁57との対向面にそれぞれ形成されている。弾性腕60は、係合壁56とバックアップ壁57との間の締結座54から上方へ向かって突設されており、位置決め突起61はバックアップ壁57の基部側から上方へ向かって突設されている。また、保持腕62は、バックアップ壁57の先端下部から係合壁55の先端へ向かって湾曲状に突設されており、保持板63は、バックアップ壁57の中途部下面から係合壁55の先端へ向かって突設されている。なお、保持腕62は、後述する第3キャップ爪73(キャップ爪)が係合するベース側係合部62bとして機能する。このように、保持腕62を利用して第3キャップ爪73を係合させるので、別途第3キャップ爪73用のベース側係合部を設ける必要がなく、部品点数を削減してドアシール構造が複雑化するのを防止できる。下ベース21は、係止爪59を係止穴59bに係止させるように差込むことで、主ベース19の下端に装着できる。このとき、下ベース21は、弾性腕60と位置決め突起61とでバックアップ壁57を挟持して左右方向の位置決めがされており、2個の位置決め突起61がバックアップ壁57で支持されて前後方向の位置決めがされている。
【0023】
図10に示すように、組み付け状態における保持腕62は、ガイド溝37で案内支持したドアシール体12のシール脚44の下方に位置しており、保持板63は、スライド脚43の下方に位置している。これにより、下端面キャップ17が下ベース21から分離した場合であっても、保持腕62および保持板63でドアシール体12を受止めて、ドアシール体12がガイド枠15から抜け出して脱落するのを防止できる。また、保持腕62と保持板63とで保持部材64を構成したので、保持腕62または保持板63のいずれか一方が破損した場合でも、残る他方でドアシール体12を受止めることができ、ドアシール体12がガイド枠15から抜け出して脱落するのをよく防止できる。さらに、硬質プラスチック製のパッキンフレーム39が備えるスライド脚43およびシール脚44を保持部材64で受止めるので、ドアシール体12を受止めた際に、磁石40の外面を覆う弾性パッキン41が保持腕62や保持板63に接触して破損するのをよく防止できる。保持部材64を下ベース21に一体に設けたので、部品点数を削減してドアシール構造が複雑化するのを防止でき、別途保持部材64を取付ける場合に比べて、保持部材64の組み付けの手間を省くことができる利点もある。
【0024】
図6および
図7に示すように上ベース20は、下ベース21を上下勝手違いにし、下ベース21の保持部材64を構成する保持腕62および保持板63を廃した形状のプラスチック成形品からなる。従って、同一の機能を有する部材には同一の符号を付して説明を省略する。上ベース20は、係止爪59を係止穴59aに係止させるように差込むことで、主ベース19の上端に装着でき、下ベース21と同様に、弾性腕60と位置決め突起61とで左右方向および前後方向の位置決めがされている。
【0025】
上記のように、両端面キャップ16・17が係合装着されるシールベース14の上下端部を、主ベース19とは別体の上下ベース20・21で構成すると、当該上下端部の両端面キャップ16・17との間の係合構造を設計する際の設計自由度が向上する。すなわち、シールベース14の上下端部を、主ベース19とは別体の上下ベース20・21で構成していると、シールベース14の全体を単一の部材で構成する形態に比べて、シールベース14の上下端の断面形状等といった設計自由度が向上し、当該上下端の係合構造の設計自由度が格段に向上する。以上より、上端面キャップ16および下端面キャップ17の係合構造に、所望の係合強度を付与することが可能となるため、当該上下端部に最適化された係合構造を形成することができる。
【0026】
図3に示すように、ガイド枠15は、断面がE字状の枠本体30と、枠本体30に連続して横向きに連出されるカバー壁31と、カバー壁31の連出端に設けられるシール舌片32とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。枠本体30およびカバー壁31は、硬質プラスチック材を素材にして押出形成するが、その成形過程で軟質のプラスチック材からなるシール舌片32を同時に成形して一体化している。枠本体30およびカバー壁31には、先の係合段部25a・26aに対応する係合爪30a・31aを設けている。ガイド枠15の上下寸法は、主ベース19に上ベース20と下ベース21とを装着した状態の上下寸法と略同一に設定されている。
図3および
図9に示すように、主ベース19の係合段部25a・26a、および両ベース20・21の係合段部55a・56aに係合爪30a・31aを圧嵌係合する状態で、ガイド枠15を主ベース19の内面に組付けることにより、係合壁26とバックアップ壁27との間の空間をカバー壁31で塞ぐことができる。また、カバー壁31とドア3の内面壁との間の隙間をシール舌片32で塞いで庫内空気が漏出るのを防ぐことができる。枠本体30は、係合壁25とバックアップ壁27とで支持される。
【0027】
図3に示すように枠本体30には、主ベース19の締結座24の側から順に、ガイド壁33と、シール壁34と、脚受壁35とが設けられ、シール壁34の突端に吸着板48を組付けるための装填溝36が形成されている。ガイド壁33と脚受壁35との間に、対向するドア3の側へ向かって開口する縦長のガイド溝37が形成されており、このガイド溝37で、後述するドアシール体12のパッキンフレーム39を支持して、ドアシール体12を隣接するドア3へ向かって出退自在に案内支持している。ガイド壁33が締結座24と平行に形成してあるのに対し、シール壁34と脚受壁35とはガイド壁33と非平行に設けられてハ字状に傾斜している。詳しくは、シール壁34はその突端がガイド壁33から遠ざかる向きに傾斜してあり、脚受壁35はその突端がガイド壁33に接近する向きに傾斜している。カバー壁31の上下端には、後述する上端面キャップ16および下端面キャップ17の係合壁70・70を受け入れる切欠き66・66が形成されている(
図8参照)。
【0028】
磁石40は角棒状のプラスチック磁石からなり、装填凹部42に装填した状態でドアシール体12の上下端に磁石押さえ47(
図8参照)をそれぞれ固定することにより、ドアシール体12の出退方向に沿って移動自在に組付けられる。これにより、磁石40どうしが弾性パッキン41を間にして吸着しあう封止吸着位置(
図4参照)と、装填凹部42の内奥壁で受止められる待機吸着位置(
図10参照)との間を移動できるようになっている。一対のドア3・3の隙間を介して対向するドアシール体12・12の磁石40・40は、一方の磁石40の磁気吸着面をS極とするとき、他方の磁石40の磁気吸着面がN極になるように組付けられている。これにより、開放されていたドア3を閉じ操作する過程で両磁石40・40が所定距離まで接近すると、磁石40どうしが吸着する向きへ移動して、待機吸着位置にあったパッキンフレーム39を封止吸着位置へ強制的に移動させることができる。さらに、
図4に示すように弾性パッキン41・41どうしを密着させて、ドア3間の隙間を封止することができる。
【0029】
吸着板48は、例えば鉄板に代表される鉄系吸着材で帯板状に形成されており、先の装填溝36に固定している。吸着板48を設けることにより、ドア3を開放するのに伴って、磁石40・40どうしの磁気吸着作用が解消されると、磁石40と吸着板48との間の磁気吸着力で、磁石40が待機吸着位置へ移動し、さらにドアシール体12がガイド溝37の内方の待機位置に退入操作される。従って、ドア3を開閉するときドアシール体12が遊動し、あるいはぐら付くのを防止できる。
【0030】
上端面キャップ16と下端面キャップ17とは、ガイド溝37で出退自在に案内支持されるドアシール体12の上下方向の移動を規制するために設けられている。
図5および
図10に示すように下端面キャップ17はプラスチック成形品からなり、ガイド枠15の平面形状に近似する五角形状の水平壁68と、水平壁68の前縁部から下方に延設される垂直壁69と、水平壁68の後端傾斜縁部から上方に延設される係合壁70とで構成されている。係合壁70は、先の切欠き66と同形状に形成されており、この係合壁70に、下ベース21のベース側係合部56b・57bと係合する第1キャップ爪71および第2キャップ爪72が後方に向かって延設されている。水平壁68の上面には、先の保持部材64を収容する収容凹部74が凹み形成されており、収容凹部74の第1および第2キャップ爪71・72から離れた側の周壁面に、保持腕62(ベース側係合部62b)と係合する第3キャップ爪73が形成されている。下端面キャップ17は、第1から第3のキャップ爪71・72・73と先の係合段部56b・57b・62bとで構成される3個の係合構造で、下ベース21に係合装着されている。第1および第2キャップ爪71・72をベース側係合部56b・57bに係合させ、第3キャップ爪73をベース側係合部62b(保持腕62)に係合させることにより、下端面キャップ17を下ベース21に係合装着できる。このとき、垂直壁69が、端部シール8に凹み形成された凹部75に収容されることにより、下端面キャップ17の上下方向の移動が阻止される(
図8参照)。凹部75に収容された垂直壁69の後面と端面シール8の後面とは、面一状になっている。
【0031】
下端面キャップ17を下ベース21に係合装着した状態においては、水平壁68の上面で、下側の磁石押さえ47を受止めることにより、ドアシール体12の下方への移動を規制している(
図8参照)。この状態では、保持部材64を構成する保持腕62と保持板63の上面は、水平壁68の上面よりも僅かに低い位置にあり、従って、下側の磁石押さえ47は、保持腕62および保持板63の上面とは接触していない。これにより、ドアシール体12に下向きの外力が作用したときに、磁石押さえ47で第3キャップ爪73と保持腕62(ベース側係合部62b)との係合が解除されるのを防止している。
【0032】
図6に示すように上端面キャップ16は、下端面キャップ17を上下勝手違いにし、収容凹部74および第3キャップ爪73を廃してその分水平壁68の厚み寸法を小さくしたプラスチック成形品からなる。従って、同一の機能を有する部材には同一の符号を付して説明を省略する。これより、上端面キャップ16は、第1および第2キャップ爪72・73と先の係合段部56b・57bとで構成される2個の係合構造で、上ベース20に係合装着されている。第1および第2キャップ爪71・72をベース側係合部56b・57bに係合させることにより、上端面キャップ16を上ベース20に係合装着できる。このとき、下端面キャップ17と同様に、垂直壁69が、端部シール8に凹み形成した凹部75に収容されることにより、上端面キャップ16の上下方向の移動が阻止される(
図8参照)。ドアシール体12は、上側の磁石押さえ47が水平壁68の下面で受止められることにより、上方への移動が規制される。
【0033】
上記のように、上端面キャップ16および下端面キャップ17の第1キャップ爪71と第2キャップ爪72とは同一に形成されており、また、上ベース20および下ベース21のベース側係合部56b・57bも同一に形成されている。これより、第1および第2キャップ爪71・72に係る係合構造部分では同一の係合強度を発揮している。しかし、下端面キャップ17には、第3キャップ爪73による係合強度が追加される。従って、下端面キャップ17の係合強度は、上端面キャップ16の係合強度よりも第3キャップ爪73の分だけ、大きく設定される。
【0034】
以上のように、本実施例の冷蔵庫のドアシール構造においては、上端面キャップ16および下端面キャップ17のそれぞれを、係合構造によりシールベース14(上ベース20、下ベース21)に対して着脱可能に係合装着したので、ビスにより端面キャップを固定する従来形態に比べて、両端面キャップ16・17のシールベース14に対する着脱作業をより少ない手間で迅速に行うことが可能となる。従って、両端面キャップ16・17のシールベース14に対する装着作業を伴うドアシール構造の組立て作業をより迅速かつ簡便に行うことが可能となり、また、必要があれば、両端面キャップ16・17のシールベース14に対する取り外し作業を伴うドアシール体12の交換作業をより迅速かつ簡便に行うことが可能となる。
【0035】
また、下端面キャップ17とシールベース14との係合強度を、上端面キャップ16とシールベース14との係合強度よりも大きく設定したので、ドアシール体12の交換作業の容易化と、ドアシール体12の不用意な脱落という、相反する課題を同時に解決することが可能となる。すなわち、下端面キャップ17とシールベース14との係合強度を、上端面キャップ16とシールベース14のそれに比べて大きなものとしたので、他物の接触や衝突に起因する下端面キャップ17のシールベース14からの不用意な分離を効果的に防ぐことができ、従って、ガイド枠15からドアシール体12が抜け落ちること(脱落すること)をより確実に防ぐことが可能となる。加えて、上端面キャップ16とシールベース14との係合強度を、下端面キャップ17とシールベース14のそれに比べて小さなものとしたので、シールベース14からの上端面キャップ16の取り外しが容易となる。従って、より簡単かつ迅速にドアシール体12の交換作業を進めることが可能となる。
【0036】
上記の実施例では、係合構造の形成数を大小にして係合強度が異なるように構成したが、係合構造の形成数を同じにし、各係合構造の係合強度を異ならせることで係合強度が大小に異なるようにしてもよい。例えば、各キャップ爪71〜73のベース側係合部56b・57b・62bに対する係合長さや、係合深さを大きくし、あるいは各キャップ爪71〜73の変形応力を大きくして係合強度を高めることができる。