(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記耐熱スチレン系樹脂において、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単量体及びα−メチルスチレン単量体の合計残存量が700ppm以下である、請求項2又は3に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
該耐熱スチレン系樹脂が、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単位72〜87質量%、メタクリル酸単位7〜13質量%、及びα−メチルスチレン単位6〜15質量%を含み、且つ前記耐熱スチレン系樹脂のビカット軟化温度が113℃以上である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような方法は、樹脂の耐熱性、機械的強度、外観、耐油性、及び熱安定性の点では不十分である。従って、耐熱性、機械的強度、外観、耐油性、及び熱安定性に優れた樹脂が求められている。
【0006】
本発明は、耐熱性、機械的強度、外観、耐油性、及び熱安定性に優れた耐熱スチレン系樹脂の製造方法、及び耐熱スチレン系樹脂組成物、並びに該耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成される非発泡及び発泡の押出しシート及び成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意研究を進めた結果、スチレンとメタクリル酸とα−メチルスチレンとを、分子内に−O−O−結合を3個以上含有する有機過酸化物を重合開始剤として使用せずに共重合して得られた特定組成の樹脂より、これまで予想し得なかった、耐熱性、機械的強度、外観、耐油性及び熱安定性に優れる耐熱スチレン系樹脂が得られることを見出し、更に、該耐熱スチレン系樹脂から優れた非発泡及び発泡の成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0008】
[1] スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位を有する耐熱スチレン系樹脂の製造方法であって、
該方法が、分子内に−O−O−結合を2個以下含有する有機過酸化物、及びアゾ系重合開始剤、からなる群から選択される重合開始剤を使用して、又は重合開始剤を使用せずに熱重合のみによって、スチレン、メタクリル酸、及びα−メチルスチレンを含む重合原料を共重合させることを含み、
該耐熱スチレン系樹脂が、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単位69〜92質量%、メタクリル酸単位5〜14質量%、及びα−メチルスチレン単位3〜17質量%を含み、且つ
該耐熱スチレン系樹脂のビカット軟化温度が110℃以上である、耐熱スチレン系樹脂の製造方法。
[2] 上記態様1に記載の製造方法によって得られる耐熱スチレン系樹脂を含む、耐熱スチレン系樹脂組成物。
[3] スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位を有する耐熱スチレン系樹脂を含む耐熱スチレン系樹脂組成物であって、
該耐熱スチレン系樹脂が、分子内に−O−O−結合を2個以下含有する有機過酸化物、及びアゾ系重合開始剤、からなる群から選択される重合開始剤を使用して、又は重合開始剤を使用せずに熱重合のみによって、得られた共重合物であり、
該耐熱スチレン系樹脂が、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単位69〜92質量%、メタクリル酸単位5〜14質量%、及びα−メチルスチレン単位3〜17質量%を含み、且つ
該耐熱スチレン系樹脂のビカット軟化温度が110℃以上である、耐熱スチレン系樹脂組成物。
[4] 前記耐熱スチレン系樹脂において、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単量体及びα−メチルスチレン単量体の合計残存量が700ppm以下である、上記態様2又は3に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[5] 前記耐熱スチレン系樹脂が、重量平均分子量(Mw)10万〜35万、及びZ平均分子量(Mz)の重量平均分子量(Mw)に対する比(Mz/Mw)1.6〜3.5を有する、上記態様2〜4のいずれか一項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[6] 該耐熱スチレン系樹脂が、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単位72〜87質量%、メタクリル酸単位7〜13質量%、及びα−メチルスチレン単位6〜15質量%を含み、且つ前記耐熱スチレン系樹脂のビカット軟化温度が113℃以上である、上記態様2〜5のいずれか一項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[7] 前記耐熱スチレン系樹脂100質量部に対して、ヒンダートフェノール系酸化防止剤を0.02〜0.6質量部含有する、上記態様2〜6のいずれか一項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[8] 前記ヒンダートフェノール系酸化防止剤がオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートである、上記態様7に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[9] 上記態様2〜8のいずれか一項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成されてなる、非発泡押出シート。
[10] 上記態様2〜8のいずれか一項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成されてなる、発泡押出シート。
[11] 上記態様9に記載の非発泡押出シート又は上記態様10に記載の発泡押出シートを用いて形成されてなる、成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐熱性、機械的強度、外観、耐油性、及び熱安定性に優れた耐熱スチレン系樹脂の製造方法、耐熱スチレン系樹脂組成物、並びに該耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成される非発泡及び発泡の押出しシート及び成形品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[耐熱スチレン系樹脂組成物]
本発明の一態様は、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位を有する耐熱スチレン系樹脂の製造方法であって、
該方法が、分子内に−O−O−結合を2個以下含有する有機過酸化物、及びアゾ系重合開始剤、からなる群から選択される重合開始剤を使用して、又は重合開始剤を使用せずに熱重合のみによって、スチレン、メタクリル酸、及びα−メチルスチレンを含む重合原料を共重合させることを含み、
該耐熱スチレン系樹脂が、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単位69〜92質量%、メタクリル酸単位5〜14質量%、及びα−メチルスチレン単位3〜17質量%を含み、且つ
該耐熱スチレン系樹脂のビカット軟化温度が110℃以上である、耐熱スチレン系樹脂の製造方法、及び該方法によって得られる耐熱スチレン系樹脂を含む耐熱スチレン系樹脂組成物を提供する。
本発明の別の態様は、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位を有する耐熱スチレン系樹脂を含む耐熱スチレン系樹脂組成物であって、
該耐熱スチレン系樹脂が、分子内に−O−O−結合を2個以下含有する有機過酸化物、及びアゾ系重合開始剤、からなる群から選択される重合開始剤を使用して、又は重合開始剤を使用せずに熱重合のみによって、得られた共重合物であり、
該耐熱スチレン系樹脂が、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単位69〜92質量%、メタクリル酸単位5〜14質量%、及びα−メチルスチレン単位3〜17質量%を含み、且つ
該耐熱スチレン系樹脂のビカット軟化温度が110℃以上である、耐熱スチレン系樹脂組成物を提供する。
【0013】
<耐熱スチレン系樹脂>
本発明において、耐熱スチレン系樹脂(以下、単に樹脂ということもある)は、スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計含有量を100質量%としたときに、スチレン単位の含有量が69〜92質量%であり、好ましくは70〜89質量%、更に好ましくは72〜87質量%である。この含有量が69質量%未満では、樹脂の流動性が低下し、92質量%を超えると、後述のメタクリル酸及びα−メチルスチレンを所望量存在させることができない。
【0014】
本発明において、メタクリル酸は耐熱性を向上させる役割を果たす。スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計含有量を100質量%としたときに、メタクリル酸単位の含有量は5〜14質量%であり、好ましくは6〜14質量%、更に好ましくは7〜13質量%の範囲である。この含有量が5質量%未満では耐熱性及び耐油性が不十分である。例えば食品用途でサラダ油等の各種油に樹脂が接触する場合、樹脂の耐油性が不十分であることは不都合である。一方、14質量%を超える場合は、樹脂中のゲル化物が増加し、更には樹脂の流動性の低下と機械的物性の低下とを招来するため不都合である。
【0015】
本発明において、α−メチルスチレンは、その熱安定性の乏しさを利用し、樹脂の分子量増大を適切に抑制するために用いる。スチレンとメタクリル酸とα−メチルスチレンとの共重合体において、メタクリル酸は、高温、高真空下の脱揮工程の脱水反応によって分子量増大、ひいてはゲル化を招来する一方、α−メチルスチレンは熱によって分子の切断が比較的起りやすい。メタクリル酸とα-メチルスチレンとを併用することによってこれらの性質を組み合わせることで、分子量の増加及びそれによるゲル化を抑制することができる。すなわちメタクリル酸とα−メチルスチレンとの適正な組合せ組成によって、耐熱性及び機械的強度に優れ且つゲル化物の少ない外観の優れた樹脂が得られる。スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計含有量を100質量%としたときに、α−メチルスチレン単位の含有量は3〜17質量%であり、好ましく5〜16質量%、更に好ましくは6〜15質量%の範囲である。この含有量が3質量%未満では分子量増加の抑制効果が不十分である。また17質量%を超える場合は熱安定性が劣り、樹脂中のスチレン単量体やα−メチルスチレン単量体の残存量が増加するため不都合である。
【0016】
スチレン単位、メタクリル酸単位及びα−メチルスチレン単位の含有量は、それぞれ、樹脂を核磁気共鳴(13C−NMR)測定装置で測定したときのスペクトルの積分比から求めることができる。
耐熱スチレン系樹脂は、スチレン単位、メタクリル酸単位及びα−メチルスチレン単位以外の単量体単位を、本発明の効果を損なわない範囲で更に含有してもよいが、典型的には、スチレン単位、メタクリル酸単位及びα−メチルスチレン単位からなることができる。
【0017】
耐熱スチレン系樹脂の重合方法については、特に制限はないが、ラジカル重合法として、塊状重合法又は溶液重合法を好ましく採用できる。重合方法は、主に、重合原料(単量体成分)を重合させる重合工程と、重合生成物から未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する脱揮工程とからなる。ここで、樹脂の重合方法について更に説明する。
【0018】
本発明において、耐熱スチレン系樹脂は、特定の重合開始剤存在下で重合原料を重合させて得られる共重合物、或いは重合開始剤を使用しないで熱重合のみで得られる共重合物である。重合開始剤は、分子内に−O−O−結合を2個以下含有する有機過酸化物、及びアゾ系重合開始剤からなる群から選択される。分子内に−O−O−結合を3個以上含有する有機過酸化物を使用した場合、高分子量の分子が生じやすく、ゲル化物が生じやすい傾向にあり、不都合である。分子内に−O−O−結合を3個以上含有する有機過酸化物としては、例えば、2,2−ビス(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−(t−アミルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−(クミルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)ブタン、3,3‘,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカーボニル)ベンゾフェノン、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン等を挙げることができる。
【0019】
一方、本発明において使用できる、分子内に−O−O−結合を1個或いは2個有する有機過酸化物としては、例えば2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル類等を挙げることができる。分解速度と重合速度との観点から、なかでも、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンが好ましい。また、アゾ系重合開始剤も使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)等を用いることができる。
【0020】
耐熱スチレン系樹脂の原料であるスチレン、メタクリル酸、及びα−メチルスチレンの重合時に、スチレンの2量体や3量体が生成する。このスチレンの2量体や3量体の生成量は重合開始の方法で異なり、すなわち重合開始剤として有機過酸化物若しくはアゾ系重合開始剤を使用すること、又は熱開始のみとすることの間で異なる。スチレンの2量体や3量体の生成量は有機過酸化物を使用する場合が最も少なく、熱開始のみの場合が最も多い。スチレンの2量体、3量体は、押出機での押出時のダイス出口への目やにの付着、或いは射出成形時の金型への目やにの付着等で不具合を生じさせる場合がある。従って、重合開始方法としては有機過酸化物の使用が最も好ましい。耐熱スチレン系樹脂100質量%中のスチレンの2量体と3量体の合計量は少ないほど好ましいが、より好ましくは0.7質量%以下、更により好ましくは0.6質量%以下である。スチレンの2量体と3量体としては1,3−ジフェニルプロパン、2,4−ジフェニル−1ブテン、1,2−ジフェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセン、1−フェニル−4−(1‘−フェニルエチル)テトラリン等が含まれる。
【0021】
連鎖移動剤も使用でき、例えばα−メチルスチレンリニアダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、1−フェニル−2−フルオレン、ジペンテン等を挙げることができる。
【0022】
重合方法としては、必要に応じて、重合溶媒を用いた溶液重合を採用できる。用いられる重合溶媒としては、芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジアルキルケトン類、及び、例えばメチルエチルケトン等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。更に、重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の重合溶媒、例えば脂肪族炭化水素類等を芳香族炭化水素類に混合することができる。これらの重合溶媒は、単量体100質量部に対して、25質量部を超えない範囲で使用するのが好ましい。単量体100質量部に対して重合溶媒が25質量部を超えると、重合速度が著しく低下し、且つ得られる樹脂の衝撃強度の低下が大きくなる傾向がある。また、重合溶媒の回収のために、多量のエネルギーを要するので経済性も劣る傾向がある。重合溶媒は、重合が進み、反応系が比較的高粘度になってから添加してもよいし、重合前から添加しておいてもよいが、重合前に、単量体100質量部に対して5〜20質量部の割合で添加しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
【0023】
本発明において、樹脂中のスチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単量体とα−メチルスチレン単量体の残存量の合計は、好ましくは700ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは400ppm以下である。スチレン単量体とα−メチルスチレン単量体の残存量の合計が700ppm以下であれば、シート押出時のダイス出口周りの臭気が改善される。また樹脂の色調も改良される。スチレン単量体及びα−メチルスチレン単量体の残存量はそれぞれガスクロマトグラフィーにより測定できる。
【0024】
本発明において、耐熱スチレン系樹脂のビカット軟化温度は、電子レンジでの使用環境の観点から110℃以上であり、好ましくは113℃以上、より好ましくは117℃以上である。また、ビカット軟化温度の上限は特にない。ビカット軟化温度は、ISO306に準拠して測定できる。
【0025】
本発明において、耐熱スチレン系樹脂の重量平均分子量は10万〜35万であることが好ましく、Z平均分子量(Mz)の重量平均分子量(Mw)に対する比(Mz/Mw)は1.6〜3.5であることが好ましい。重量平均分子量はより好ましくは13万〜30万、更により好ましくは16万〜25万である。重量平均分子量が10万〜35万である場合、衝撃強度と流動性とのバランスに優れる樹脂が得られ、またゲル化物の混入も少ない。Mz/Mwの比は、より好ましくは1.7〜3.0、更により好ましくは1.7〜2.5である。Mz/Mwの比が1.6〜3.5である場合、衝撃強度と流動性とのバランスに優れる樹脂が得られ、またゲル化物の混入も少ない傾向となる。Mz及びMwはゲルパーミエイション・クロマトグラフィーによりポリスチレン標準換算で測定できる。
【0026】
本発明に係る耐熱スチレン系樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ということもある)は、好ましくは、ヒンダートフェノール系酸化防止剤を含む。樹脂組成物中のヒンダートフェノール系酸化防止剤の含有量は、耐熱スチレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.02〜0.6質量部、より好ましくは0.05〜0.3質量部、更に好ましくは0.1〜0.2質量部である。この含有量が0.02質量部以上である場合、押出機での樹脂組成物押出時に分子量低下が生じにくく、また熱分解によるスチレンやα−メチルスチレンンの単量体の発生を抑制できる。ヒンダートフェノール系酸化防止剤としては、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール等を挙げることができるが、経済性や原料の供給安定面の観点から、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
【0027】
本発明において、耐熱スチレン系樹脂組成物は、炭素数14以上の脂肪族第1級アルコールを含有していても良い。該アルコールの含有量は、樹脂と該アルコールとの合計量100質量%に対して0.02〜1.0質量%であることが好ましい。上記含有量は、より好ましくは0.04〜0.8質量%、更により好ましくは0.06〜0.6質量%である。このアルコールは、耐熱スチレン系樹脂の製造工程におけるゲル化反応を防止する目的で使用される。アルコールは、典型的には重合時に重合系中に添加され、一部が樹脂組成物中に残存することになる。上記含有量が0.02質量%以上となるようなアルコール添加条件では、脱揮工程での該アルコールの存在量が少なすぎず、ゲル化反応の抑制効果が良好である傾向がある。一方、上記含有量が1.0質量%以下となるような添加条件では、ゲル化反応の抑制効果は高く、かつ、樹脂中の脂肪族第1級アルコールの残存量が多くなりすぎないため、樹脂の耐熱性の低下が少ない。また成形時にモールドデポジットの発生が少ない。上記脂肪族第1級アルコールの炭素数は高温、高真空下の脱揮工程での飛散の観点から、より好ましくは16以上であり、また、樹脂との相溶性の観点から、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である。炭素数14以上の脂肪族第1級アルコールの中でも、凝固点が−10℃以下のイソ型の脂肪族第1級アルコールを重合時に添加することが特に好ましい。
【0028】
炭素数14以上の脂肪族第1級アルコールとしては、n−ミリスチン酸アルコール、n−パルミチン酸アルコール、n−ステアリルアルコール等が挙げられる。更に、凝固点−10℃以下のイソ脂肪族第1級アルコールとしては、炭素数14のイソテトラデカノール、炭素数16のイソヘキサデカノール、炭素数18のイソオクタデカノール、及び炭素数20のイソエイコサノールが挙げられ、例えば、具体的に次のアルコールを例として挙げることができる。7−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(1−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−1−オクタノール、8−メチル−2−(4−メチルヘキシル)−1−デカノール、2−ヘプチル−1−ウンデカノール、2−ヘプチル−4メチル−1−デカノール、2−(1,5−ジメチルヘキシル)−(5,9−ジメチル)−1−デカノール。この中でも、特に炭素数18のイソオクタデカノールが好ましい。
【0029】
本発明の耐熱スチレン系樹脂組成物には安定剤を含有させてもよい。一般的な安定剤として、例えば、トリス(2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工熱安定剤等を挙げることができる。これらの安定剤はそれぞれ単独、又は2種以上を組み合わせて適宜用いることができる。添加時期については、特に制限はなく、例えば樹脂の重合工程又は脱揮工程で添加できる。また、押出機、バンバリミキサー等の機械的装置で樹脂に安定剤を混合することもできる。
【0030】
耐熱スチレン系樹脂を得るための重合工程で用いる装置は、特に制限はなく、スチレン系樹脂の重合方法に従って適宜選択すればよい。例えば、塊状重合による場合には、完全混合型反応器を1基、又は複数基連結した重合装置を用いることができる。また脱揮工程についても特に制限はなく、塊状重合で行う場合、最終的に未反応モノマーが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下になるまで重合を進め、かかる未反応モノマー等の揮発分を除去するために、公知の方法にて脱揮処理する。例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機等の通常の脱揮装置を用いることができるが、滞留部の少ない脱揮装置が好ましい。なお、脱揮処理の温度は、通常、190〜280℃程度であり、メタクリル酸の脱水反応の観点から、好ましくは190〜260℃、より好ましくは200〜250℃である。また脱揮処理の圧力は、通常0.13〜4kPa程度であり、好ましくは0.13〜3kPaであり、より好ましくは0.13〜2.0kPaである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して揮発分を除去する方法、及び揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去する方法が望ましい。
【0031】
本発明の耐熱スチレン系樹脂組成物は、所望に応じて、通常用いられている添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各種充填剤等を含有することができ、このような添加剤が樹脂に添加されてなる樹脂組成物を各種成形に用いることができる。上記添加剤は、耐熱スチレン系樹脂の製造時に予め添加されていてもよい。また、該樹脂組成物には、耐熱スチレン系樹脂以外の他の樹脂、例えば一般のポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合エラストマー、部分的に又は完全に水素添加されたスチレン−ブタジエン共重合エラストマー、ポリフェニレンエーテル等を含有させることもできる。
【0032】
[押出シート]
本発明の別の態様は、上述した本発明の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成されてなる押出シートを提供する。押出シートは非発泡及び発泡のいずれでもよい。押出シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。非発泡押出シートの製造方法としては、Tダイを取り付けた単軸又は二軸押出成形機で、一軸延伸機又は二軸延伸機でシートを引き取る装置を用いる方法等を用いることができ、発泡押出シートの製造方法としては、Tダイ又はサーキュラーダイを備え付けた押出発泡成形機を用いる方法等を用いることができる。
【0033】
発泡押出シートを形成する場合、押出発泡時の発泡剤及び発泡核剤としては通常用いられる物質を使用できる。発泡剤としてはブタン、ペンタン、フロン、二酸化炭素、水等を使用することができ、ブタンが好適である。また発泡核剤としてはタルク等を使用できる。
【0034】
発泡押出シートは、厚み0.5mm〜5.0mmであることが好ましく、見かけ密度50g/L〜300g/Lであることが好ましく、また坪量80g/m
2〜300g/m
2であることが好ましい。本発明の発泡押出シートは、例えばフィルムを更にラミネートすること等によって多層化してもよい。使用するフィルムの種類は、一般のポリスチレンやポリプロピレンやポリプロピレン/ポリスチレンの張り合せフィルム等である。
【0035】
一方、非発泡押出シートにおいては、例えば、厚みが0.1〜1.0mm程度であることが剛性及び熱成形サイクルの観点から好ましい。またシートは通常の低倍率のロール延伸のみで形成してもよいが、特にロールで1.3倍から7倍程度延伸した後、テンターで1.3倍から7倍程度延伸したシートが強度の面で好ましい。またポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂と多層化して用いてもよい。更に該スチレン系樹脂以外の樹脂と多層化して用いてもよい。スチレン系樹脂以外の樹脂としては、PET樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。
【0036】
本発明の別の態様は、上述した本発明の非発泡押出シート又は発泡押出シートを用いて形成されてなる成形品を提供する。発泡押出シート又はこれを含む多層体は、例えば真空成形により成形してトレー等の容器を作製できる。また非発泡押出シートは、例えば真空成形により成形して弁当の蓋材や惣菜等を入れる容器を作製できる。
【実施例】
【0037】
次に本発明を実施例
(但し、実施例1及び2は参考例である。)及び比較例により詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定される訳ではない。なお、実施例及び比較例における樹脂及び押出シート等の分析、評価方法は、下記の通りである。
【0038】
[樹脂の性状]
(1)ビカット軟化温度の測定
ISO306に準拠して測定した。荷重は49Nとした。
【0039】
(2)重量平均分子量及びZ平均分子量の測定
試料調製 :テトラヒドロフランに樹脂約0.05質量%を溶解
測定条件
機器 :TOSOH HLC−8220GPC
(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :super HZM−H
温度 :40℃
キャリア :THF 0.35ml/min
検出器 :RI 、UV:254nm
検量線 :TOSOH製の標準PS使用
【0040】
(3)スチレン単位、メタクリル酸単位、及びα−メチルスチレン単位の樹脂組成の含有量の測定
核磁気共鳴(13C−NMR)装置で測定したスペクトルの積分比から樹脂組成を定量した。
試料調製:樹脂75mgをd6−DMSO 0.75mlに60℃で4〜6時間加熱溶解した。
測定機器:日本電子 JNM ECA−500
測定条件:測定温度 60℃、観測核 13C、積算回数 2万回、繰返し時間 45秒
【0041】
(4)スチレン単量体単位、メタクリル酸単量体単位、及びα−メチルスチレン単量体単位の合計含有量を100質量%としたときのスチレン単量体及びα−メチルスチレン単量体の含有量の測定
試料調製 :樹脂1.0gを標準物質入りジメチルホルムアミド25mlに溶解
測定条件
機器 :島津製製作所製ガスクロマトグラフィー GC−14Bpf
カラム :SUS 3mmφ×3m(パックドカラム)
充填剤 :液相→PEG−20M 25%
担体→Chromosorb W(AW) 60〜80メッシュ
カラム温度 :110℃
注入口温度 :220℃
検出器温度 :220℃
キャリアガス :窒素
【0042】
(5)スチレンの2量体及び3量体の測定
定量は、スチレンの2量体と3量体の標準物質で行った。
試料調整 :樹脂をメチルエチルケトンに溶解
測定条件
検出方法 :FID
機器 :島津製作所 GC17Apf
カラム :DB−1(100%ジメチルポリシロキサン)
30m、膜厚0.1m、0.25mmφ
カラム温度 :100℃−2分→5℃/分→260℃−5分
注入口温度 :200℃
検出器温度 :200℃
キャリアガス :窒素
【0043】
[射出成形特性及び射出成形物特性]
(6)シャルピー衝撃強さの測定
ISO179に準拠して、ノッチ無しで測定した。
(7)引張降伏応力の測定
ISO527−1に準拠して、測定した。
【0044】
(8)耐油性の測定
射出成形で得た厚み1mmの透明な試験片を105℃の加熱したサラダ油に20分間浸漬させ、浸漬前と浸漬後の試験片のヘーズ(曇り度)を、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製 NDH 2000)で、JIS K7136に準拠して測定した。浸漬前のヘーズに対し、浸漬後のヘーズが大きくなるほど、耐油性が悪い。
【0045】
[非発泡押出特性及び非発泡押出物特性]
(9)非発泡押出シートの外観判定
30mmφ単軸シート押出機で連続3時間シートを押出した後、厚さ0.3mmのシートから10cm×20cmの大きさのシートを5枚切り出し、シート5枚の表面の(長径+短径)/2の平均径が0.5mm以上の異物であるゲル物の個数を数え、以下の方法で外観判定とした。
◎:ゲル物の個数が2点以下
○:ゲル物の個数が3〜9点
×:ゲル物の個数が10点以上
【0046】
(10)ダイス出口の臭気判定
30mmφ単軸シート押出機でのシート押出時に、ダイス出口の臭気を確認し、以下の基準で判定した。
◎:臭いを感じない
○:臭いを微かに感じる
【0047】
[発泡押出物特性]
(11)トレー容器の腰強度測定
図1は、実施例におけるトレー容器の腰強度の測定方法を示す図である。7.3倍に発泡した発泡押出シートを
図1に示すトレー容器に真空成形して腰強度(N)を測定した。トレー容器の大きさは縦10cm、横15cm、深さ2cmである。トレーの横側面より圧縮して極大荷重を腰強度とした。
【0048】
(12)発泡押出シートの外観判定
発泡押出シートの表面肌荒れを目視で判定した。
◎:シート表面の肌荒れがない
○:シート表面の肌荒れが微かにある
×:シート表面の肌荒れが大
【0049】
[実施例1]
スチレン78.3質量部、メタクリル酸3.7質量部、α−メチルスチレン4.0質量部、エチルベンゼン14.0質量部、1,1−ジ(tーブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部からなる重合原料組成液を、0.8リットル/時の速度で、容量が3.6リットルの完全混合型反応器、次いで0.5リットルの層流型反応器からなる重合装置に、更には未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に連続的に順次供給した。完全混合反応器の重合温度は124℃、層流型反応器の温度を128℃とした。脱揮された未反応ガスは−5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収し、ポリマー分は樹脂ペレットとして回収した。反応器出の重合液中のポリマー分は、重合液を215℃、3kPaの減圧下で30分間乾燥後、(乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量×100%)により測定したところ、54.7質量%であった。表1の樹脂組成は、核磁気共鳴(13C−NMR)測定装置で測定した。
【0050】
得られた樹脂を用いて、射出成形物と非発泡押出物(非発泡押出シート)と発泡押出物(発泡押出シート、及び成形品としてトレー容器)とを作製し物性等を評価した。非発泡押出シートについては、30mmの単軸押出機を用いて、樹脂溶融ゾーンの温度を220〜250℃とし、ベントから真空ポンプで3kPaに減圧しながら厚み約0.3mmのシートを製造した。発泡押出シート及びトレー容器については、直径150mmのサーキュラーダイを備えた押出発泡機を用いて、得られた樹脂100質量部に対して、発泡核剤としてタルク(平均粒径1.3μm)を0.12質量部、発泡剤として液化ブタンを3.5質量部添加して発泡押出シートを製造した(発泡倍率:7.5倍)。樹脂溶融ゾーンの温度は210〜250℃、ロータリークーラー温度は145〜195℃、ダイス温度は160〜170℃に調整した。得られた発泡押出シートを用いて真空成形で
図1に示す形状の発泡トレー容器を作製した。射出成形物、非発泡押出物及び発泡押出物の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
【0051】
[実施例2〜8]
表1に示す樹脂性状(樹脂組成、樹脂中のスチレン単量体とα−メチルスチレン単量体の含有量、及び分子量)になるように、各単量体の比率、重合溶媒であるエチルベンゼンの量、重合温度、及び表1の有機過酸化物、アゾ系重合開始剤の種類と量を調整した。なお、実施例6はフェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、実施例5の重合時に樹脂100質量部に0.2質量部含有するように添加した。射出成形物、非発泡押出物及び発泡押出物の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
【0052】
[比較例1〜2]
表1に示す樹脂性状(樹脂組成、樹脂中のスチレン単量体とα−メチルスチレン単量体の含有量、及び分子量)になるように、各単量体の比率、重合溶媒であるエチルベンゼンの量、重合温度、及び表1の有機過酸化物の種類と量を調整した以外は、実施例1と同様に評価した。実施例1のメタクリル酸含有量5.9質量%に比し、比較例1は1.5質量%、比較例2は2.0質量%と少なく、サラダ油に浸漬した試験片の曇り度が大きくなり耐油性に劣る。射出成形物、非発泡押出物及び発泡押出物の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
【0053】
[比較例3]
表1に示す樹脂性状(樹脂組成、樹脂中のスチレン単量体とα−メチルスチレン単量体の含有量、及び分子量)になるように、各単量体の比率、重合溶媒であるエチルベンゼンの量、重合温度を調整し、比較例3は有機過酸化物の種類を実施例4のb(1官能基)からc(4官能基)に変更した以外は実施例4と同様に評価した。非発泡シートのゲル物が多く、外観が劣る。射出成形物、非発泡押出物及び発泡押出物の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
【0054】
[比較例4]
表1に示す樹脂性状(樹脂組成、樹脂中のスチレン単量体とα−メチルスチレン単量体の含有量、及び分子量)になるように、各単量体の比率、重合溶媒であるエチルベンゼンの量、重合温度、及び表1の有機過酸化物の種類と量を調整した以外は、実施例1と同様に評価した。実施例1のα−メチルスチレン含有量4.2質量%に比し、比較例4は25.0質量%と多く、樹脂押出後のスチレン、α−メチルスチレン単量体が増加し、熱安定性が劣る。射出成形物、非発泡押出物及び発泡押出物の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
【0055】
[比較例5]
表1に示す樹脂性状(樹脂組成、樹脂中のスチレン単量体とα−メチルスチレン単量体の含有量、及び分子量)になるように、各単量体の比率、重合溶媒であるエチルベンゼンの量、表1の有機過酸化物の種類と量、及び重合温度を調整した以外は、実施例1と同様に評価した。実施例1のメタクリル酸含有量5.9質量%に比し、比較例5は16.0質量%と多く、非発泡シートと発泡シートの外観が劣る。射出成形物、非発泡押出物及び発泡押出物の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
【0056】
[比較例6]
表1に示す樹脂性状(樹脂組成、樹脂中のスチレン単量体、メタクリル酸単量体及びα−メチルスチレン単量体の含有量、及び分子量)になるように、各単量体の比率、重合溶媒であるエチルベンゼンの量、表1の有機過酸化物の種類と量、及び重合温度を調整し、α−メチルスチレンを使用しなかった以外は、実施例7と同様に評価した。実施例7に比し、α−メチルスチレンを使用しない比較例5は非発泡シートと発泡シートの外観が劣る。射出成形物、非発泡押出物及び発泡押出物の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】