(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャリアは、前記切り離しノッチを挟んで隣接する前記端子の間隔が前記切り離しノッチを挟まずに隣接する前記端子の間隔より広くなるように前記複数の端子を保持する、
請求項1に記載の連鎖端子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る連鎖端子の概略構成を表す部分平面図である。
図2は、実施形態に係る連鎖端子の保持部近傍の部分平面図である。
図3は、実施形態に係る連鎖端子の保持部近傍の部分側面図である。
図4は、実施形態に係る連鎖端子の切り離しノッチを含む部分断面図である。
図5は、実施形態に係る連鎖端子の切り分け後の部分斜視図である。
図6、
図7は、実施形態に係る連鎖端子が適用されるコネクタの概略構成を表す斜視図である。
図8は、実施形態に係る連鎖端子が適用されるコネクタハウジングの正面図である。
図9は、実施形態に係る連鎖端子を用いたコネクタ製造方法を説明するフローチャートである。
図10、
図11、
図12、
図13は、実施形態に係る連鎖端子を用いたコネクタ製造方法を説明する斜視図である。
図14は、実施形態に係る連鎖端子を用いたコネクタ製造方法を説明する断面図である。
図15は、実施形態に係る連鎖端子を用いた他のコネクタ製造方法を説明するフローチャートである。
図16、
図18は、実施形態に係る連鎖端子を用いた他のコネクタ製造方法を説明する斜視図である。
図17、
図19は、実施形態に係る連鎖端子を用いた他のコネクタ製造方法を説明する断面図である。
【0017】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5に示す連鎖端子1は、コネクタ100(
図6等参照)に適用される複数の端子2を、キャリア3によって連鎖状に配列し保持することで、コネクタ100の製造時等における各端子2の取り扱いを容易にし、作業性を向上させるものである。
【0018】
ここでまず、
図6、
図7、
図8を参照して、連鎖端子1の端子2が適用されるコネクタ100について説明する。コネクタ100は、コネクタハウジング101と、端子2とを備え、いわゆる電線対電線接続用の接続機構や電線対基板用の接続機構等を構成するものである。コネクタ100は、コネクタハウジング(雄ハウジング)101に形成された複数の圧入孔102に雄型の端子2が圧入されることで、当該コネクタハウジング101に端子2を保持する雄コネクタである。
【0019】
コネクタハウジング101は、全体が絶縁性の合成樹脂材等で構成される。コネクタハウジング101は、フード部103と、隔壁部104とを含んで構成される。フード部103は、略矩形筒状に形成される。フード部103は、内部が中空状に形成されると共に筒状の軸線方向両端が開口している。隔壁部104は、フード部103の軸線方向中間部において、当該フード部103の中空状の内部を閉塞させる隔壁として形成される(
図14等も参照)。隔壁部104は、フード部103の内部の空間部を接点側空間部105と接続側空間部106とに区画する(
図14等も参照)。接点側空間部105は、フード部103の一方の開口と連通する空間部であり、端子2と電気的に接続される相手側端子(雌型の端子)を保持する相手側コネクタ(雌コネクタ)のコネクタハウジング(雌ハウジング)107が嵌合する空間部である。接続側空間部106は、フード部103の他方の開口と連通する空間部であり、端子2に接続される電線や基板等が位置する側の空間部である。この接続側空間部106側の開口は、端子2に電線や基板等が接続された状態でカバー部材等によって各端子2と共にカバーされる。コネクタハウジング101は、隔壁部104が接続側空間部106の開口側に寄せて設けられている(
図14等も参照)。これにより、コネクタハウジング101は、接点側空間部105における開口から隔壁部104までの距離(奥行き)の方が相対的に長く(深く)、接続側空間部106における開口から隔壁部104までの距離(奥行き)の方が相対的に短く(浅く)なるように形成されている。そして、コネクタハウジング101は、当該隔壁部104に複数の圧入孔102が形成される。当該圧入孔102は、端子2を保持するキャビティと呼ばれることもある。各圧入孔102は、隔壁部104を貫通し、接点側空間部105と接続側空間部106とを連通する(
図14等も参照)。ここでは、各圧入孔102は、矩形状の貫通孔として形成される。圧入孔102は、コネクタ100が適用される機器で要求される仕様や使用状況等に応じた所定のピッチ、所定の数で形成される。ここでは、圧入孔102は、11個を一列として、5段分、合計55個形成されている(
図8等参照)。
【0020】
端子2は、全体が導電性の金属材等で構成され、表面に導電性のめっき等が施されている。端子2は、棒状に形成された角形線材からなる線材端子である。端子2は、複数の圧入孔102の数に対応して複数設けられる。各端子2は、各圧入孔102の形状に対応した矩形柱状に形成される。つまり、各端子2は、端子2の延在方向(以下、「端子延在方向」という場合がある。)と直交する方向の断面形状が矩形状に形成される。各端子2は、
図1等にも示すように、接点部21と、接続部22と、圧入係止部23とを有する。各端子2は、一方の端部が相手側端子と接触する接点部21を構成し、他方の端部が電線や基板等と接続され導通される接続部22を構成する。そして、各端子2は、接点部21と接続部22との間に、圧入孔102に圧入され係止される圧入係止部23が形成される。圧入係止部23は、例えば、各端子2の外表面に形成された複数の突起等によって構成される。各端子2は、各圧入孔102に挿入されると共に、各圧入孔102に圧入係止部23が圧入され係止されることで、コネクタハウジング101に保持される。各端子2は、圧入係止部23が各圧入孔102に圧入され係止された状態で、接点部21が接点側空間部105内に露出すると共に、接続部22が接続側空間部106から外側に突出する。なお、各端子2は、コネクタ100が電線対基板用の接続機構、例えば、プリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)に適用されるPCBコネクタである場合には、接続側空間部106から突出した接続部22側が所定の方向に屈曲されて当該基板に接続される。
【0021】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5に示す連鎖端子1は、上記のようなコネクタ100を製造する際に適用される。具体的には、連鎖端子1は、上述で説明した複数の端子2と、キャリア3とを備える。
【0022】
キャリア3は、帯状に形成され複数の端子2を端子延在方向と交差する交差方向としての連鎖方向に沿って並列に着脱可能に保持するものである。キャリア3は、全体が導電性の金属材、あるいは、絶縁性の合成樹脂材等で帯板形状に構成される。ここでは、端子延在方向とは、棒状に形成された端子2が延在する方向であり、連鎖方向とは、複数の端子2の並び方向である。典型的には、端子延在方向と連鎖方向とは、直交する。連鎖端子1は、帯状のキャリア3に対して、各端子2の中心軸がキャリア3の幅方向に沿い、かつ、複数の端子2がキャリア3の長さ方向に所定間隔を隔てて並列的に保持される。
【0023】
具体的には、キャリア3は、保持部31を有し、当該保持部31によって各端子2が保持される。保持部31は、めっきが施された端子2を保持する。本実施形態の保持部31は、複数の端子2が圧入されるコネクタハウジング101の複数の圧入孔102の圧入孔ピッチP1(
図8等参照)と同等のピッチで複数の端子2を保持する。保持部31は、種々の形式の構造を適用することができるが、ここでは、
図2、
図3に示すように、連鎖方向に対向する一対の保持爪32、33で各端子2を挟持して保持する構成としている。一対の保持爪32、33は、1つの端子2について2組ずつ設けられており、キャリア3の連鎖方向に沿った両端辺にそれぞれ設けられている。
【0024】
ここで、上述したように、圧入孔102は、コネクタ100が適用される機器で要求される仕様や使用状況等に応じた所定のピッチ、所定の数で形成される。圧入孔ピッチP1は、
図8に示すように、隣接する圧入孔102の中心間の距離に相当する。より詳細には、後述するように、圧入孔ピッチP1は、複数の端子2を各圧入孔102に一括で挿入する列において、圧入孔102の並び方向に沿って隣接する圧入孔102の並び方向に沿った中心間の距離に相当する。以下の説明では、
図8に向かって左右方向を一列として、一括で複数の端子2を各圧入孔102に挿入する場合を説明する。つまり、
図8の例では、
図8に向かって左右方向が列方向、
図8に向かって上下方向が段方向となる。この場合、圧入孔ピッチP1は、当該、
図8に向かって左右方向(列方向)に隣接する圧入孔102の当該左右方向に沿った中心間距離に相当する。ここでは、圧入孔ピッチP1は、各列各段においてほぼ同等となっている。
【0025】
一方、キャリア3に保持される複数の端子2のピッチである端子ピッチP2は、
図1に示すように、隣接する端子2の中心間の距離に相当する。より詳細には、端子ピッチP2は、保持部31に各端子2が保持された状態で、端子延在方向と直交する連鎖方向に沿って隣接する端子2の当該連鎖方向に沿った中心間の距離に相当する。各保持部31は、当該端子ピッチP2が圧入孔ピッチP1と同等になるように各端子2を保持する。ここでは、端子ピッチP2は、隣接する各端子2間でほぼ同等となっている。各保持部31は、各端子2が連鎖方向と直交する方向とほぼ平行となるように当該各端子2を保持し、したがってこれにより、連鎖方向と端子延在方向とがほぼ直交した方向となる。
【0026】
そして、本実施形態のキャリア3は、さらに、
図1に示すように、各端子2の組み付け時の作業性を向上するために切り離しノッチ34を有している。切り離しノッチ34は、コネクタハウジング101に形成された複数の圧入孔102の一列分の数と同等の数の端子2の群の連鎖方向の両側に形成される。つまり、切り離しノッチ34は、複数の圧入孔102の一列分の数と同等の数の端子2を1つの群(以下、「端子群」という場合がある。)とし、当該1つの端子群の連鎖方向の両側に形成される。ここでは、切り離しノッチ34は、複数の圧入孔102の一列分の数と同等の端子2、すなわち11個の端子2を1つの端子群とし、11個の端子2の群の連鎖方向の両側に形成される。
【0027】
切り離しノッチ34は、種々の形式の構造を適用することができるが、ここでは、
図4に示すように、帯状のキャリア3の両面に端子延在方向に沿って形成されるV字型溝部として形成される。切り離しノッチ34は、連鎖方向に沿った断面形状がV字型形状となっている。切り離しノッチ34は、当該切り離しノッチ34の部分でキャリア3を何度か折り返されることで、キャリア3を当該切り離しノッチ34の部分で切り離すことを可能とする低強度切断部を構成するものである。
【0028】
したがって、この連鎖端子1は、キャリア3に形成された当該切り離しノッチ34で切り離すことで、
図5に示すように、コネクタハウジング101に形成された一列分の圧入孔102の数と同等の数(ここでは11個)の端子2を、1つの端子群としてキャリア3に保持した状態で切り分けることができる。
【0029】
なお、この連鎖端子1は、切り離しノッチ34にて切り離される前の状態では、複数(ここでは11個)の端子2によって構成される端子群が切り離しノッチ34を介して複数連なっている。つまり、連鎖端子1は、隣接する端子群の間に切り離しノッチ34が形成されている。そして、本実施形態のキャリア3は、
図1に示すように、切り離しノッチ34を挟んで隣接する端子2の間隔が切り離しノッチ34を挟まずに隣接する端子2の間隔より広くなるように複数の端子2を保持している。つまり、本実施形態のキャリア3の保持部31は、切り離しノッチ34を挟んで隣接する端子2の間隔が端子ピッチP2より広くなるように各端子2を保持する。これにより、連鎖端子1は、切り離しノッチ34の近傍の部位にスペースを確保することができる。
【0030】
また、本実施形態のキャリア3は、
図1に示すように、圧入係止部23を挟んで接点部21とは反対側で各端子2を保持する。言い換えれば、キャリア3は、各端子2に対して圧入係止部23を挟んで接点部21とは反対側に装着される。キャリア3の各保持部31は、接点部21と当該キャリア3との間に圧入係止部23が位置する位置関係で各端子2を保持する。この連鎖端子1では、各端子2が各圧入孔102に圧入、保持された状態で、圧入孔102の接続側空間部106側の端部ラインL(
図19等も参照)が端子延在方向に対して圧入係止部23とキャリア3との間に位置する。この結果、連鎖端子1は、相手側端子と接触する各端子2の接点部21がキャリア3によって損傷されることを抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態の連鎖端子1は、端子群が切り離しノッチ34を介して複数連なった状態で、例えば、連鎖方向に巻かれてリールを構成するようにしてもよい。これにより、連鎖端子1は、例えば、運搬しやすくすることができる。また、連鎖端子1は、キャリア3にパイロット孔35等も形成されている。パイロット孔35は、例えば、製造装置を使ってコネクタ100を製造する際に、リール状に巻かれた連鎖端子1を製造装置によって連鎖方向に送り出す際の送り調節のために利用される孔であり、キャリア3を貫通するようにして形成されている。
【0032】
次に、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14を参照して、連鎖端子1を用いたコネクタ製造方法を説明する。以下では、
図9のフローチャートを基に説明しつつ、適宜他図を参照する。また、以下で説明するコネクタ製造方法は、作業員によって手作業で行われるものとして説明するが、これに限らず、製造装置等によって行われてもよい。
【0033】
まず、作業員は、切り離し工程として、連鎖端子1を切り離しノッチ34で切り離す(ステップST1)。作業員は、切り離しノッチ34の部分でキャリア3を何度か折り返すことで、キャリア3を当該切り離しノッチ34の部分で切り離す。これにより、連鎖端子1は、
図5等に示すように、コネクタハウジング101に形成された一列分の圧入孔102の数と同等の数(ここでは11個)の端子2が、1つの端子群としてキャリア3に保持された状態で切り分けられる。
【0034】
次に、作業員は、セット工程として、切り離し工程(ステップST1)で切り離されたキャリア3に保持されている複数の端子2を端子圧入治具108(
図10等参照)に一括でセットする(ステップST2)。ここで、端子圧入治具108は、各端子2を圧入孔102に圧入する際に、当該各端子2を圧入孔102側に押圧するための治具である。端子圧入治具108は、略矩形箱状の本体部109に複数の挿入孔110が形成されている。複数の挿入孔110は、コネクタハウジング101に形成された複数の圧入孔102と同等の形状、同等のピッチ、同等の数(すなわち、同等の列数、同等の段数であり、ここでは、1列11個で5段、合計55個)で形成されている。作業員は、
図10、
図11に示すように、キャリア3に保持されている複数の端子2の接点部21側を、当該端子圧入治具108の一列分の挿入孔110に一括で挿入してセットする。なお、各挿入孔110は、各端子2の接点部21が当該各挿入孔110に挿入された状態で、各端子2の圧入係止部23が各挿入孔110の外側に露出した状態となる深さに形成されている。これにより、各挿入孔110に挿入された状態の各端子2は、各挿入孔110に対して圧入嵌合していない状態となっている。
【0035】
次に、作業員は、取り外し工程として、セット工程(ステップST2)の後に複数の端子2からキャリア3を取り外す(ステップST3)。作業員は、例えば、
図11に示すように、キャリア3を各端子2の保持側とは反対側に曲げながら、保持部31から順次各端子2を外していくことで、複数の端子2からキャリア3を取り外す。
【0036】
次に、作業員は、圧入工程として、取り外し工程(ステップST3)の後に、端子圧入治具108にセットされた複数の端子2を複数の圧入孔102に一括で圧入する(ステップST4)。作業員は、
図12に示すように、端子圧入治具108にセットされた複数の端子2の接続部22側を、コネクタハウジング101の接点側空間部105側から各圧入孔102に挿入する。そして、作業員は、端子圧入治具108を介して各端子2を圧入孔102側に押圧し、各端子2の圧入係止部23が各圧入孔102に圧入嵌合され、当該各圧入孔102に係止されるまで当該端子圧入治具108を押圧する。作業員は、各端子2の圧入係止部23が各圧入孔102に圧入嵌合されたら、各端子2から端子圧入治具108を取り外す。
図13、
図14は、上記のようにして複数の圧入孔102の一列分の端子2が一括で圧入された状態のコネクタ100を表している。
【0037】
次に、作業員は、複数の圧入孔102の全段に対して端子2の圧入が完了したか否かを判定し(ステップST5)、完了していないと判定した場合(ステップST5:NO)、ステップST1に戻って以降の工程を繰り返し実行する。作業員は、完了したと判定した場合(ステップST5:YES)、当該コネクタ製造方法を終了する。
図6、
図7は、当該コネクタ製造方法によって製造されたコネクタ100の一例である。
【0038】
なお、作業員は、コネクタ100がPCBコネクタである場合には、ステップST5の後等に、接続側空間部106から突出した各端子2の接続部22側を所定の方向に屈曲させることで当該PCBコネクタを完成させる。また、以上の説明では、複数の圧入孔102の一列分ごとに、セット工程、圧入工程を行うものとして説明したがこれに限らず、作業員は、セット工程で全ての段の端子2を端子圧入治具108にセットした後、圧入工程で全ての段の端子2を各圧入孔102の圧入するようにしてもよい。
【0039】
次に、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19を参照して、連鎖端子1を用いた他のコネクタ製造方法を説明する。当該他のコネクタ製造方法は、上述した端子圧入治具108を使用しないコネクタ製造方法である。以下では、
図15のフローチャートを基に説明しつつ、適宜他図を参照する。また、上述のコネクタ製造方法の説明と重複する説明については適宜省略する。
【0040】
まず、作業員は、切り離し工程として、連鎖端子1を切り離しノッチ34で切り離す(ステップST21)。当該切り離し工程(ステップST21)は、
図9で説明した切り離し工程(ステップST1)と同様の工程である。
【0041】
次に、作業員は、圧入工程として、切り離し工程(ステップST21)で切り離されたキャリア3に保持されている複数の端子2を複数の圧入孔102に一括で圧入する(ステップST22)。作業員は、
図16、
図17に示すように、キャリア3に保持されている複数の端子2の接点部21側を、コネクタハウジング101の接続側空間部106側から、コネクタハウジング101の一列分の圧入孔102に一括で挿入する。そして、作業員は、
図18、
図19に示すように、キャリア3と共に各端子2を圧入孔102側に押圧し、各端子2の圧入係止部23が各圧入孔102に圧入嵌合され、当該各圧入孔102に係止されるまで押圧する。
【0042】
次に、作業員は、取り外し工程として、圧入工程(ステップST22)の後に複数の端子2からキャリア3を取り外す(ステップST23)。当該取り外し工程(ステップST23)は、
図9で説明した取り外し工程(ステップST3)と同様の工程である。上記のようにして複数の圧入孔102の一列分の端子2が一括で圧入された状態のコネクタ100は、上述した
図13、
図14と同等の形態をなす。
【0043】
次に、作業員は、複数の圧入孔102の全段に対して端子2の圧入が完了したか否かを判定し(ステップST24)、完了していないと判定した場合(ステップST24:NO)、ステップST21に戻って以降の工程を繰り返し実行する。作業員は、完了したと判定した場合(ステップST24:YES)、当該コネクタ製造方法を終了する。
図6、
図7は、当該コネクタ製造方法によって製造されたコネクタ100の一例である。
【0044】
なお、作業員は、
図9で説明したコネクタ製造方法と同様に、コネクタ100がPCBコネクタである場合には、ステップST24の後等に、接続側空間部106から突出した各端子2の接続部22側を所定の方向に屈曲させることで当該PCBコネクタを完成させる。
【0045】
以上で説明した連鎖端子1によれば、棒状に形成された複数の端子2と、帯状に形成され複数の端子2を当該端子2の延在方向と交差する連鎖方向に沿って並列に着脱可能に保持するキャリア3とを備え、キャリア3は、複数の端子2が圧入されるコネクタハウジング101の複数の圧入孔102の圧入孔ピッチP1と同等のピッチで複数の端子2を保持する複数の保持部31と、コネクタハウジング101に形成された複数の圧入孔102の一列分の数と同等の数の端子2の群の連鎖方向の両側に形成される切り離しノッチ34とを有する。
【0046】
以上で説明したコネクタ製造方法によれば、上記連鎖端子1を切り離しノッチ34で切り離す切り離し工程(ステップST1)と、切り離し工程(ステップST1)で切り離されたキャリア3に保持されている複数の端子2を端子圧入治具108に一括でセットするセット工程(ステップST2)と、セット工程(ステップST2)の後に、複数の端子2からキャリア3を取り外す取り外し工程(ステップST3)と、取り外し工程(ステップST3)の後に、端子圧入治具108にセットされた複数の端子2を複数の圧入孔102に一括で圧入する圧入工程(ステップST4)とを含む。
【0047】
以上で説明した他のコネクタ製造方法によれば、上記連鎖端子1を切り離しノッチ34で切り離す切り離し工程(ステップST21)と、切り離し工程(ステップST21)で切り離されたキャリア3に保持されている複数の端子2を複数の圧入孔102に一括で圧入する圧入工程(ステップST22)と、圧入工程(ステップST22)の後に複数の端子2からキャリア3を取り外す取り外し工程(ステップST23)とを含む。
【0048】
したがって、連鎖端子1、コネクタ製造方法では、当該連鎖端子1を、キャリア3に形成された切り離しノッチ34で切り離すことで、コネクタハウジング101に形成された一列分の圧入孔102の数と同等の数の端子2を、1つの群としてキャリア3に保持した状態で切り分けることができる。このとき、連鎖端子1は、切り離しノッチ34でキャリア3を折り曲げるなどすることで、例えば、切断するための機器を用いなくても、キャリア3に保持された状態の所定の本数の端子2を、簡単に所定の位置で切り分けることができる。また、複数の端子2は、切り離しノッチ34を介して所定の本数が1つの群に切り分けられた状態で、コネクタハウジング101の複数の圧入孔102の圧入孔ピッチP1と同等のピッチでキャリア3に保持されている。そして、この連鎖端子1、コネクタ製造方法では、コネクタハウジング101に形成された一列分の圧入孔102の数、圧入孔ピッチP1と同等の本数、ピッチでキャリア3に保持された状態の複数の端子2を、端子圧入治具108やコネクタハウジング101に一括で組み付けてコネクタ100を製造することができる。つまり、この連鎖端子1、コネクタ製造方法では、各端子2をキャリア3から1つずつ取り外すことなく、一列分の端子2を圧入孔102に一括で圧入することができる。この結果、この連鎖端子1、コネクタ製造方法では、各端子2の組み付け作業時の作業性を向上することができる。
【0049】
さらに、以上で説明した連鎖端子1、コネクタ製造方法によれば、キャリア3は、切り離しノッチ34を挟んで隣接する端子2の間隔が切り離しノッチ34を挟まずに隣接する端子2の間隔より広くなるように複数の端子2を保持する。したがって、連鎖端子1、コネクタ製造方法では、連鎖端子1は、切り離しノッチ34の近傍の部位にスペース(クリアランス)を確保することができるので、切り離しノッチ34の部分でキャリア3を何度か折り返してキャリア3を当該切り離しノッチ34の部分で切り離す際の作業性をさらに向上することができる。
【0050】
さらに、以上で説明した連鎖端子1、コネクタ製造方法によれば、端子2は、相手側端子と接触する接点部21と、圧入孔102に圧入され係止される圧入係止部23とを有し、キャリア3は、圧入係止部23を挟んで接点部21とは反対側で端子2を保持する。典型的には、当該キャリア3は、端子圧入後の状態で、端部ラインLより接続部22側に位置する。したがって、連鎖端子1、コネクタ製造方法では、連鎖端子1は、相手側端子と接触する各端子2の接点部21がキャリア3によって損傷されることを抑制することができるので、導通性能等の品質の低下を抑制することができる。この結果、この連鎖端子1、コネクタ製造方法では、品質の低下を抑制した上で、各端子2の組み付け作業時の作業性を向上することができる。
【0051】
さらに、以上で説明した連鎖端子1、コネクタ製造方法によれば、圧入工程(ステップST22)では、端子2を接点部21側から圧入孔102に圧入する。したがって、連鎖端子1、コネクタ製造方法では、端子2をコネクタハウジング101に組み付ける際に各端子2の接点部21が損傷されることを抑制することができるので、この点でも品質の低下を抑制した上で、各端子2の組み付け作業時の作業性を向上することができる。ここで、上述したようにコネクタハウジング101は、接点側空間部105における開口から隔壁部104までの距離の方が相対的に長く、接続側空間部106における開口から隔壁部104までの距離の方が相対的に短くなるように形成されている。そして、上記で説明した連鎖端子1、コネクタ製造方法では、キャリア3に保持されている複数の端子2の接点部21側を、コネクタハウジング101の接続側空間部106側から、すなわち、隔壁部104までの距離が相対的に短い側の開口から圧入孔102に一括で挿入することができる。この結果、連鎖端子1、コネクタ製造方法では、各圧入孔102に各端子2を圧入する作業自体をやりやすくすることができると共に、各端子2からキャリア3を取り外す作業もやりやすくすることができる。この点でも、この連鎖端子1、コネクタ製造方法では、各端子2の組み付け作業時の作業性を向上することができる。
【0052】
なお、上述した本発明の実施形態に係る連鎖端子、及び、コネクタ製造方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
以上の説明では、端子延在方向と連鎖方向(交差方向)とは直交するものとして説明したがこれに限らず、交差していればよい。
【0054】
以上で説明した保持部は、連鎖方向に対向する一対の保持爪32、33で各端子2を挟持して保持するものとして説明したがこれに限らず、他の形式の構成であってもよい。
【0055】
以上で説明した切り離しノッチは、帯状のキャリア3の両面に端子延在方向に沿って形成されるV字型溝部として形成されるものとして説明したがこれに限らない。切り離しノッチは、帯状のキャリア3の片面だけに形成されたものであってもよいし、半円型溝部であってもよいし、キャリア3を点線状に貫通したものであってもよい。
【0056】
以上で説明したキャリアは、切り離しノッチ34を挟んで隣接する端子2の間隔が切り離しノッチ34を挟まずに隣接する端子2の間隔より広くなるように複数の端子2を保持するものとして説明したがこれに限らない。また、以上で説明したキャリアは、圧入係止部23を挟んで接点部21とは反対側で端子2を保持するものとして説明したがこれに限らない。
【0057】
以上で説明した複数の端子2を各圧入孔102に一括で挿入する列方向については任意に設定さればよい。例えば、複数の圧入孔102は、
図8に向かって上下方向を一列として、一括で複数の端子2が挿入されてもよい。この場合、
図8に向かって上下方向が列方向、
図8に向かって左右方向が段方向となり、圧入孔ピッチP1は、当該
図8に向かって上下方向(列方向)に隣接する圧入孔102の当該上下方向に沿った中心間距離に相当することとなる。この場合、複数の圧入孔102において、
図8に向かって上下方向を一列として一括で複数の端子2を各圧入孔102に挿入することから、切り離しノッチ34は、複数の圧入孔102の一列分の数と同等の端子2、すなわち5個の端子2を1つの端子群とし、5個の端子2の群の連鎖方向の両側に形成されることとなる。
【0058】
また、以上の説明では、圧入孔ピッチP1は、各列各段においてほぼ同等となっており、端子ピッチP2は、隣接する各端子2間でほぼ同等となっているものとして説明したがこれに限らない。例えば、圧入孔ピッチP1は、複数の圧入孔102において各段ごとに相互に異なっていてもよい。この場合、連鎖端子1は、例えば、各段ごとの圧入孔ピッチP1に応じた端子ピッチP2のものをそれぞれ1つずつ用意してもよいし、例えば、1つの連鎖端子1において、各段ごとの圧入孔ピッチP1に応じた端子ピッチP2の端子2の群を、所定の順番で連ねるようにしてもよい。
【0059】
ここでは、一例として、各段に対応する複数種類の連鎖端子1を用意しておき、圧入箇所(段)に応じて必要な連鎖端子1を選択する場合を説明する。なお、以下で説明する第1連鎖端子と第2連鎖端子とは、圧入孔ピッチP1、端子ピッチP2の他、各端子2の長さ、断面積、種類(端子が基板に接続される箇所等の形態)等が相互に異なっていてもよいが、基本的な構成は、上述の連鎖端子1と同等の構成であるので、ここでは、上述した
図1等を参照して説明する。
【0060】
この場合、連鎖端子1は、少なくとも第1連鎖端子1と、第2連鎖端子1とを含む。第1連鎖端子1は、棒状に形成された複数の端子2であって複数の圧入孔102のうちの第1段に圧入される複数の第1端子2と、帯状に形成されたキャリア3であって複数の第1端子2を当該第1端子2の延在方向と交差する交差方向に沿って並列に着脱可能に保持する第1キャリア3とを備え、第1キャリア3は、複数の第1端子2が圧入される第1段の複数の圧入孔102の圧入孔ピッチP1と同等のピッチで複数の第1端子2を保持する複数の保持部31と、コネクタハウジング101に形成された第1段の複数の圧入孔102の一列分の数と同等の数の第1端子2の群の交差方向の両側に形成される切り離しノッチ34とを有する。一方、第2連鎖端子1は、棒状に形成された複数の端子2であって複数の圧入孔102のうちの第1段とは異なる第2段に圧入される複数の第2端子2と、帯状に形成されたキャリア3であって複数の第2端子2を当該第2端子2の延在方向と交差する交差方向に沿って並列に着脱可能に保持する第2キャリア3とを備え、第2キャリア3は、複数の第2端子2が圧入される第2段の複数の圧入孔102の圧入孔ピッチP1と同等のピッチで複数の第2端子2を保持する複数の保持部31と、コネクタハウジング101に形成された第2段の複数の圧入孔102の一列分の数と同等の数の第2端子2の群の交差方向の両側に形成される切り離しノッチ34とを有する。
【0061】
そして、作業員は、第1端子2を第1段の圧入孔102に圧入する場合には、第1連鎖端子1を切り離しノッチ34で切り離す切り離し工程(ステップST21)と、切り離し工程(ステップST21)で切り離された第1キャリア3に保持されている複数の第1端子2を第1段の複数の圧入孔102に一括で圧入する圧入工程(ステップST22)と、圧入工程(ステップST22)の後に複数の第1端子2から第1キャリア3を取り外す取り外し工程(ステップST23)とを実行する。一方、作業員は、第2端子2を第2段の圧入孔102に圧入する場合には、第2連鎖端子1を切り離しノッチ34で切り離す切り離し工程(ステップST21)と、切り離し工程(ステップST21)で切り離された第2キャリア3に保持されている複数の第2端子2を第2段の複数の圧入孔102に一括で圧入する圧入工程(ステップST22)と、圧入工程(ステップST22)の後に複数の第2端子2から第2キャリア3を取り外す取り外し工程(ステップST23)とを実行する。
【0062】
上記のようにして、各段の圧入孔102に対応する複数種類の連鎖端子1を用意しておき、圧入箇所(段)に応じて必要な連鎖端子1を選択することでコネクタ100を製造することができる。この場合、連鎖端子1の種類は、上記のように2種類に限らず、圧入孔ピッチP1等が異なる段ごとに複数種類用意されていればよい。この場合であっても、この連鎖端子1、コネクタ製造方法では、各端子2の組み付け作業時の作業性を向上することができる。なお、上記のように各段に対応する複数種類の段分の連鎖端子1を用意しておき、圧入箇所(段)に応じて必要な連鎖端子1を選択する方法については、
図9で説明したコネクタ製造方法に適用してもよい。
【0063】
また、圧入孔ピッチP1は、複数の圧入孔102において各列の中でも相互に異なっていてもよい。この場合、キャリア3の保持部31は、異なる圧入孔ピッチP1に対応して端子ピッチP2が端子2の位置に応じて異なるように当該各端子2を保持すればよい。