特許第6243820号(P6243820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6243820-自動保守運転装置及び自動保守運転方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243820
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】自動保守運転装置及び自動保守運転方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20171127BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B13/14 L
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-188990(P2014-188990)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-60579(P2016-60579A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 元美
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−107759(JP,A)
【文献】 特開2013−091543(JP,A)
【文献】 特開平05−193854(JP,A)
【文献】 実開平06−087380(JP,U)
【文献】 特開平08−198551(JP,A)
【文献】 特開2009−215045(JP,A)
【文献】 特開2001−180877(JP,A)
【文献】 実開平03−059973(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00− 5/28
B66B 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を走行する乗りかご及び当該乗りかごに設けられた機器を含むエレベータと、前記エレベータを通常走行よりも遅い速度で走行させる保守運転に設定すると共に、前記エレベータの運行を制御する制御部と、を有するエレベータ設備が、複数台設置されたエレベータシステムにおけるエレベータの自動保守運転装置であって、
前記乗りかごには、当該乗りかごのドア及び乗場戸を開放させ、その開放状態の保持を指示するためのかご内ドア開放スイッチ及び前記乗りかご内から前記保守運転を指示するためのかご内保守運転スイッチが設けられ、
予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部が前記エレベータの乗りかごを任意の階に呼び寄せるための乗場呼び釦及び前記予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部とは異なる他のエレベータ設備の制御部と接続された乗場呼び登録部を含み、
前記かご内保守運転スイッチが操作されると、操作されたエレベータ設備の制御部は前記エレベータを前記保守運転に切り替え、
前記予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部は、前記切り替えられた保守運転状態で前記かご内ドア開放スイッチがドア開放側から平常操作側に操作されたとき、当該かご内ドア開放スイッチを操作した乗りかごを備えたエレベータ設備に対して、前記エレベータの保守作業のため、多階床に設けられた乗場戸を開放し、前記乗りかごの上部及び昇降路底部への移動がし易い所定の位置に当該乗りかごを走行させた後に停止させる保守準備走行を行わせること
を特徴とする自動保守運転装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動保守運転装置において、
前記制御部は、
前記エレベータの保守作業のため、多階床に設けられた乗場戸を開放し、前記乗りかごの上部及び昇降路底部への移動がし易い所定の位置に当該乗りかごを走行させた後に停止させる保守準備走行部と、
前記乗りかごの停止階を検出して停止階検出信号を出力する停止階検出部と、
前記かご内ドア開放スイッチの操作信号と前記乗場呼び釦の乗場呼び釦信号の入力により、前記保守準備走行部を起動する保守準備走行指令部と、
を備えていることを特徴とする自動保守運転装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動保守運転装置において、
前記保守準備走行部は、前記停止階検出部が検出した前記停止階検出信号に示される階床の位置に基づいて前記乗りかごの走行方向を決定して前記乗りかごを走行させること
を特徴とする自動保守運転装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の自動保守運転装置において、
前記かご内ドア開放スイッチが開放側に操作されてから予め設定された時間が経過する前に前記乗場呼び釦が操作されたとき、前記保守準備走行指令部から前記かご内ドア開放スイッチを操作した乗りかごを備えたエレベータ設備に保守準備走行指令を出力すること
を特徴とする自動保守運転装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の自動保守運転装置において、
前記制御部は、前記かご内ドア開放スイッチが操作された最新の乗りかごを備えたエレベータ設備を、前記保守準備走行を行わせる対象に設定すること
を特徴とする自動保守運転装置。
【請求項6】
昇降路内を走行する乗りかご及び当該乗りかごに設けられた機器を含むエレベータと、前記エレベータを通常走行よりも遅い速度で走行させる保守運転に設定すると共に、前記エレベータの運行を制御する制御部と、を有するエレベータ設備が、複数台設置されたエレベータシステムにおけるエレベータの自動保守運転方法であって、
前記乗りかごには、当該乗りかごのドア及び乗場戸を開放させ、その開放状態の保持を指示するためのかご内ドア開放スイッチ及び前記乗りかご内から前記保守運転を指示するためのかご内保守運転スイッチが設けられ、
予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部が前記エレベータの乗りかごを任意の階に呼び寄せるための乗場呼び釦及び前記予め設定された1台の制御部とは異なる他のエレベータ設備の制御部と接続された乗場呼び登録部を含み、
前記かご内保守運転スイッチが操作されたとき、操作されたエレベータ設備の制御部が前記エレベータを前記保守運転に切り替える工程と、
前記切り替えられた保守運転状態で前記かご内ドア開放スイッチがドア開放側から平常操作側に操作されたとき、前記予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部が、当該かご内ドア開放スイッチを操作した乗りかごを備えたエレベータ設備に対して、前記エレベータの保守作業のため、多階床に設けられた乗場戸を開放し、前記乗りかごの上部及び昇降路底部への移動がし易い所定の位置に当該乗りかごを走行させた後に停止させる保守準備走行を行わせる工程と、
を備えたことを特徴とする自動保守運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台のエレベータ設備の中から1台のエレベータを特定して保守運転させる自動保守運転装置及び自動保守運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの保守作業において、作業員が1人の場合、エレベータかご上に設置した機器の点検及び昇降路内の機器の点検では、保守作業者がかご上に乗り込む必要がある。そのため、保守作業者は乗りかご内の保守運転スイッチを投入し、乗りかごを保守運転にしてから階段等で上階へ移動してかご上に乗り込まなければならず、移動に時間を要していた。また、昇降路底部の点検でも同様に、乗りかごを停止状態にして、階段等で最下階に移動して昇降路底部に入出しなければならず、移動に時間を要していた。
【0003】
そこで、例えば特開2003−2553号公報(特許文献1)には、この一連の作業員の移動時間を短縮するため、乗りかご内に設けた点検位置選択部により一定時間経過後に乗りかごを自動で保守点検可能な位置に運転させ、さらに乗場呼び釦を一定時間押下することにより、乗りかごを自動で元の位置に復帰させる保守用運転装置が開示されている。
【0004】
また、例えば特開2003-107806号公報(特許文献2)には、位置情報部と運転履歴の記憶部を具備したエレベータにおいて、かご内に設けたかご内保守運転スイッチにより保守運転モードに切り替え、乗場呼び釦に対して所定の操作を行うことにより、作業者がかご上乗降又は昇降路底部に入出可能な位置までかごを自動で運転させ、さらに乗場呼び釦に所定の操作を行うことにより、かごを自動で元の位置に復帰する保守運転装置が開示されている。
【0005】
しかし、上述した特許文献1及び2に記載の技術では、基本的に1台(1系統)のエレベータにおいて乗りかごを昇降運転させる昇降路で保守点検を行うのに適したものであり、複数台のエレベータ設備を備えたエレベータシステムに適用することは難しい。これは、複数台のエレベータを運行制御する場合、一般に乗場呼び釦の操作は群管理制御により共通化し、乗場階の乗場呼び釦の数をエレベータ台数より少なくし、コスト低減を図っており、このように乗場階の乗場呼び釦の数をエレベータ台数より少ない状態で、特許文献1に係る技術をそのまま適用すると、保守運転モード時に複数台のエレベータの中から乗場呼び釦操作で自動保守運転を行う1台のエレベータを特定することができないからである。
【0006】
これに対し、例えば、特開2013−107759号公報(特許文献3)には、複数台のエレベータの中から1台のエレベータを特定し、自動保守運転を行うため、乗場戸スイッチを暗号操作する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−002553号公報
【特許文献2】特開2009−107806号公報
【特許文献3】特開2013−107759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3に記載の技術では、乗場戸スイッチが同時に暗号操作された場合に、複数台のエレベータが同時に保守運転モードとなってしまうおそれがあった。この場合、自動保守運転を行うつもりのエレベータは意図した通りに動くが、本来は自動保守運転を行うつもりではなかったエレベータまでもが意図せず自動保守運転を行ってしまうことになる。そのため、安全性及び運転効率を考えると、好ましくなかった。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、複数台のエレベータが保守運転モードとなっている場合でも、複数台のエレベータの中から1台のエレベータを特定して自動保守運転を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、昇降路内を走行する乗りかご及び当該乗りかごに設けられた機器を含むエレベータと、前記エレベータを通常走行よりも遅い速度で走行させる保守運転に設定すると共に、前記エレベータの運行を制御する制御部と、を有するエレベータ設備が、複数台設置されたエレベータシステムにおけるエレベータの自動保守運転装置であって、前記乗りかごには、当該乗りかごのドア及び乗場戸を開放させ、その状態の保持を指示するためのかご内ドア開放スイッチ及び前記乗りかご内から保守運転を指示するためのかご内保守運転スイッチが設けられ、予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部が前記エレベータの乗りかごを任意の階に呼び寄せるための乗場呼び釦及び前記予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部とは異なる他のエレベータ設備の制御部と接続された乗場呼び登録部を含み、前記かご内保守運転スイッチが操作されると、操作されたエレベータ設備の制御部は前記エレベータを前記保守運転に切り替え、前記予め設定された1台の前記エレベータ設備の制御部は、前記切り替えられた保守運転状態で前記かご内ドア開放スイッチがドア開放側から平常操作側に操作されたとき、当該かご内ドア開放スイッチを操作した前記乗りかごを備えたエレベータ設備に対して、前記エレベータの保守作業のため、多階床に設けられた乗場戸を開放し、前記乗りかごの上部及び昇降路底部への移動がし易い所定の位置に当該乗りかごを走行させた後に停止させる保守準備走行を行わせることを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数台のエレベータが保守運転モードとなっている場合でも、複数台のエレベータの中から1台のエレベータを特定して自動保守運転を行わせることができる。なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るエレベータシステムの自動保守運転装置を含むエレベータ設備の概略構成を示す図である。
図2図1に示す自動保守運転装置の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエレベータ用自動保守運転装置を含むエレベータ設備の概略構成を示す図である。このエレベータ設備ELは、1号機と2号機のエレベータ設備ELが2台設置されている例を示し、1号機と2号機との機器構成で同一のものは、1号機の参照数字に100を加えた参照数字として2号機の機器構成を示している。2台に関連しない構成部分については、1号機の構成部分と符号とを使用して説明する。また、特にことわらない限り、主として1号機の機器構成を説明する。
【0014】
エレベータ1号機は昇降路1を有し、乗りかご2と釣り合い錘4とはメインロープ3を介して接続されている。メインロープ3はトラクションマシン5により昇降する。トラクションマシン5にはエレベータの乗りかご2の位置情報を検出するためのパルスエンコーダ6が備えられている。パルスエンコーダ6はエレベータの乗りかご2の位置情報をエレベータ制御装置20の位置検出部28と停止階検出部29に出力する。
【0015】
各階床のエレベータホールに面した部分には、乗場戸12a,12b,12c(以下、総括的には符号12で示す。)が設けられ、各乗場戸12a,12b,12cの上には、乗場戸12a,12b,12cの開閉状態を検知するための乗場戸スイッチ13a,13b,13c(以下、総括的には符号13で示す。)が設置されている。
【0016】
エレベータ1号機はエレベータ制御装置20によって制御され、エレベータ制御装置20は、乗場戸操作検出部21、乗りかご上スイッチ検出部22、昇降路底部スイッチ検出部23、保守運転設定部24、保守準備走行部25、位置検出部28、停止階検出部29、走行制御部30、及び乗場呼び登録部31を含む。また、保守準備走行部25は、保守準備走行指示部26及び停止部27を、さらに含む。なお、乗場呼び登録部31は1号機に備えられ、2号機には備えられていない。3台以上の号機を備えたシステムで同様に乗場呼び登録部31は1号機に備えられる。
【0017】
本実施形態では、エレベータ設備EL2台に対して各階の乗場には乗場呼び釦14a,14b,14c(以下、総括的には、符号14で示す。)が1セットずつ設けられており、乗場呼び釦14a,14b,14cは、1号機のエレベータ制御装置20の乗場呼び登録部31に接続されている。1号機のエレベータ制御装置20の乗場呼び登録部31は、1号機のエレベータ制御装置20の走行制御部30又は2号機のエレベータ制御装置120の走行制御部130に接続されている。これにより、乗場呼び登録信号は1号機のエレベータ制御装置20の走行制御部30又は2号機のエレベータ制御装置120の走行制御部130の乗場呼びに素早く対応できる適切な号機に供給され、各階乗場の乗場呼び釦14a,14b,14cの押下状態からエレベータの呼びを登録してエレベータの運行が行われる。
【0018】
また、かご内保守運転スイッチ8が投入され、保守準備走行モードとなり、かつかご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化したことを検出した状態で、乗場呼び釦14a,14b,14cを暗号操作すると、エレベータ制御装置20の保守準備走行部25へ信号を出力する。これにより保守準備走行部25が起動される。このような機能構成は、2号機の場合も全く同様である。
【0019】
乗りかご2には、乗りかご2内で保守運転モードの設定を行わせるためのかご内保守運転スイッチ8、及びかご上で保守運転モードの設定を行わせるためのかご上保守運転スイッチ9が設けられている。さらに、乗りかご2には、ドアを開いた状態で保持するためのかご内ドア開放スイッチ40、及びかご上で保守作業を実施するときエレベータを停止させるかご上停止スイッチ10が設けられ、昇降路底部には昇降路1の底部で保守作業を実施する際に、エレベータを停止させる昇降路底部停止スイッチ7が設けられている。
【0020】
かご内保守運転スイッチ8は保守運転設定部24に接続されている。かご上保守運転スイッチ9及びかご上停止スイッチ10はエレベータ制御装置20の乗りかご上スイッチ検出部22に接続されている。また、昇降路底部停止スイッチ7はエレベータ制御装置20の昇降路底部スイッチ検出部23に接続されている。かご上停止スイッチ10及び昇降路底部停止スイッチ7はエレベータ制御装置20の走行制御部30にも接続されており、緊急時にはエレベータを緊急停止させるようになっている。かご内ドア開放スイッチ40及び乗場戸スイッチ13a,13b,13cは乗場戸操作検出部21に接続され、かご内ドア開放スイッチ40の開放状態及び平常状態を示す信号、及び乗場戸12a,12b,12cの開放状態及び平常状態を示す信号が乗場戸操作検出部21に入力される。
【0021】
保守運転設定部24は、かご内保守運転スイッチ8及びかご上保守運転スイッチ9の少なくとも一方の投入により、エレベータを通常走行よりも遅い保守運転に切り替え、保守運転に設定する。また、保守準備走行部25に備えられる保守準備走行指令部26は、保守運転設定部24で保守運転に設定されているときに、停止階検出部29が検出した停止階検出信号に示される階床で乗りかご2の走行方向を決定し、乗場戸操作検出部21からの開放検出信号により保守準備走行部25を起動する。さらに、保守準備走行部25に備えられる停止部27は、保守準備走行指令部26により起動した保守準備走行部25を停止させる。
【0022】
図2は、エレベータを自動保守運転させる自動保守運転装置の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、エレベータ制御装置20における自動保守運転機能の動作処理の具体例を説明する。なお、昇降路1の底部での作業を行うために、エレベータを最下階から上方へ走行させる保守準備走行と、最下階以外の乗場階から乗りかご2上に乗り込むために、エレベータを下方へ走行させる保守準備走行があるが、どちらの方向に保守準備走行をするかは、エレベータ制御装置20がエレベータの乗りかご2の位置を認識し、判断して動く。
【0023】
まず、任意の階で作業者が2台以上の乗りかご2からかご内保守スイッチ8を投入し(手順S001)、前記投入した台数のエレベータを保守準備走行モードにする(手順S002)。次に、作業者はかご内ドア開放スイッチ40を開放にした後に平常に戻す操作を行い、このときの信号変化を検出する。信号の変化の有無は、かご内保守スイッチ8投入後にチェックし(手順S003)、かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出すると(手順S003:YES)、手順S004に進む。
【0024】
手順S004では、他の号機が保守準備走行の対象号機として設定されているか否かを判定する。そして、他の号機が保守準備走行の対象として設定されている場合は(手順S004:あり)、設定済みの保守準備走行対象号機の設定を解除して保守準備走行非対象とし(手順S005)、かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出した最新の号機を保守準備走行対象号機として設定する(手順S006)。
【0025】
手順S004で、他の号機が保守準備走行の対象として設定されていない場合は(手順S004:なし)、そのまま、手順S006に移行し、手順S006で、かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出した号機を保守準備走行対象号機として設定する。
【0026】
次いで、新たに、かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出しているか否かを判定する(手順S007)。この判定で、新たにかご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出していれば(手順S007:YES)、手順S004に戻って他の号機が保守準備走行の対象として設定されているか否かを判定する。設定されていれば、前述のように設定済みの保守準備走行対象号機の設定を解除して、保守準備走行非対象とし(手順S005)、他の号機で、かご内ドア開放スイッチ40を開放にした後に平常に戻す操作を行い、かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出した最新の号機を保守準備走行対象号機として設定する(手順S006)。
【0027】
これにより、複数台のエレベータがかご内保守運転スイッチ8の投入状態で、保守運転設定部24は複数のエレベータをかご内保守運転に設定していても、複数台の中から最新の号機のみ1台を保守準備走行対象号機として特定することができる。
【0028】
一方、手順S007で、新たに、かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出していなければ(手順S007:NO)、手順S008で、乗場呼び釦14a,14b,14cの操作を検出する。すなわち、乗場釦の操作を検出するまで待ち、操作を検出した時点で(手順S008:YES)、乗場呼び釦14a,14b,14cの操作が、最新のかご内ドア開放スイッチ40の開放から平常に変化した信号を検出してから、30秒以内であるか否かを判定する(手順S009)。
【0029】
乗場呼び釦14a,14b,14cの操作が、最新のかご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出してから、30秒を超えている場合は(手順S009:NO)、手順S003に戻って、それ以降の処理を繰り返す。この処理では、手順S003で、再度かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出しなければ、反応しないものとし、不要な保守準備走行を未然に防止し、安全性及び運転効率を向上させることができる。
【0030】
すなわち、本実施形態では、かご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出してから、乗場呼び釦14a,14b,14cの操作(手順S008)でエレベータが走行するまで(手順S011)、30秒の時間を設けている。このように30秒の時限を設けることにより、確実に特定の号機に対する意図した操作であることを保証している。
【0031】
また、乗場呼び釦14a,14b,14cの操作が、最新のかご内ドア開放スイッチ40の信号が開放から平常に変化した信号を検出してから、30秒以内であれば(手順S009:YES)、保守準備走行対象号機に対して保守準備走行指令を行う(手順S010)。この指令に基づいて保守準備走行対象号機のエレベータは走行を開始し(手順S011)、手順S0012で所定距離走行したか否かを判定する。そして、所定距離走行した時点で(手順S012:YES))、エレベータは停止し(手順S013)、保守準備走行を完了する。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、本実施形態における効果の説明では、本実施形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
【0033】
(1)エレベータを保守運転に設定するとともに、当該エレベータの運行を制御するエレベータ制御装置20(制御部)と、エレベータの乗りかご2のドア及び乗場戸12を開放させ、その状態の保持を指示するためのかご内ドア開放スイッチ40と、前記乗りかご内に設けられ、乗りかご内から保守運転を指示するためのかご内保守運転スイッチ8と、を含むエレベータ設備ELが複数台備えられたエレベータシステムにおけるエレベータの自動保守運転装置であって、エレベータ設備ELの予め設定された1台のエレベータ制御装置20(制御部)がエレベータの乗りかご2を任意の階に呼び寄せるための乗場呼び釦14及び他のエレベータ制御装置20(制御部)と接続された乗場呼び登録部31を含み、かご内保守運転スイッチ8が操作されると、操作したエレベータ設備ELのエレベータ制御装置20(制御部)は当該エレベータ設備ELのエレベータを保守運転に切り替え、エレベータ設備ELの予め設定された1台のエレベータ制御装置20(制御部)は、切り替えられた保守運転状態でかご内ドア開放スイッチ40がドア開放側から平常操作側に操作されたとき、当該かご内ドア開放スイッチ40を操作した号機を自動保守運転対象号機に設定するので、複数台のエレベータが保守運転モードとなっている場合でも、複数台のエレベータの中から1台のエレベータを特定して自動保守運転を行わせることができる。
【0034】
また、複数台のエレベータが保守運転モードのとき、自動保守運転を行うエレベータのかご内ドア開放スイッチ40の操作を必要とするので、作業者は乗りかご2内に位置していることになり、自動保守運転を行う際の安全性を確保することができる。その際、かご内ドア開放スイッチ40の操作を行えばよいので、自動動保守運転を行うための専用治具の使用と携帯が不要となり、作業性の向上を図ることもできる。
【0035】
(2)エレベータの保守作業のため、多階床に設けられた乗場戸12を開放し、乗りかご2の上部及び昇降路底部への移動がし易い所定の位置に当該乗りかご2を走行させた後に停止させる保守準備走行部25と、乗りかご2の停止階を検出して停止階検出信号を出力する停止階検出部29と、かご内ドア開放スイッチ40の操作信号と乗場呼び釦14の乗場呼び釦信号の入力により、保守準備走行部25を起動する保守準備走行指令部26と、を備えたので、スイッチ操作だけで特定の1台のエレベータを自動保守運転させることができる。
【0036】
(3)前記保守準備走行部25は、前記停止階検出部29が検出した前記停止階検出信号に示される階床の位置に基づいて前記乗りかごの走行方向を決定して前記乗りかごを走行させるので、保守運転実施例の作業効率の向上を図ることができる。
【0037】
(4)前記かご内ドア開放スイッチ40が開放側に操作されてから予め設定された時間が経過する前に前記乗場呼び釦14が操作されたとき、前記保守準備走行指令部26から前記自動保守運転対象号機に保守準備走行指令を出力するので、確実に特定の号機に対する意図した操作であることを保証することができる。
【0038】
(5)前記エレベータ制御装置20は、前記かご内ドア開放スイッチ40が操作された最新の号機を自動保守運転対象号機に設定するので、確実に意図した1台のエレベータを特定することができる。
【0039】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
2 乗りかご
8 かご内保守運転スイッチ
9 かご上保守運転スイッチ
10 かご上停止スイッチ
12a,12b,12c 乗場戸
13a,13b,13c 乗場戸スイッチ
14a,14b,14c 乗場呼び釦
20 エレベータ制御装置(制御部)
24 保守運転設定部
25 保守準備走行部
26 保守準備走行指令部
29 停止階検出部
31 乗場呼び登録部
40 かご内ドア開放スイッチ
EL エレベータ設備

図1
図2