(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突起部は、前記第2係止部が前記第1係止部に係止された状態で、前記第1係止部の突出先端と前記引き込み傾斜面と前記第2係止部との間に形成される空間部内に突出する、
請求項1に記載のコネクタ。
前記第3係止部は、前記第2係止部が前記第1係止部に係止されていない状態で前記第2係止部と当接し前記初期位置から前記嵌合保証位置への移動が規制され、前記第2係止部が前記第1係止部に係止された状態で前記第1係止部に乗り上げて前記初期位置から前記嵌合保証位置への移動が可能となる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態]
図1、
図2、
図3、
図4は、実施形態に係るコネクタの概略構成を表す分解斜視図である。
図5は、実施形態に係るコネクタが備えるメスハウジングの軸方向、及び、高さ方向に沿った断面図である。
図6は、実施形態に係るコネクタが備えるCPA部材の概略構成を表す斜視図である。
図7、
図9、
図10は、実施形態に係るコネクタが備えるメスハウジングの軸方向、及び、高さ方向に沿った断面図である。
図8は、実施形態に係るコネクタが備える規制突起部を含む部分断面斜視図である。
図11は、実施形態に係るコネクタが備える係止突起部を含む部分断面斜視図である。
図12は、実施形態に係るコネクタが備えるオスビークを含む部分斜視図である。
図13は、実施形態に係るコネクタが備えるメスロック部を含む部分斜視図である。
図14、
図15、
図16、
図17、
図19は、実施形態に係るコネクタが備えるオスビーク、メスロック部、及び、CPAロック部を含む部分断面図である。
図18は、実施形態に係るコネクタが備えるオスビーク、及び、メスロック部を含む部分斜視図である。
図20は、実施形態に係るコネクタが備えるガタ詰めリブ部を含む幅方向、及び、高さ方向に沿った断面図である。
図21、
図22は、実施形態に係るコネクタが備えるガタ詰めリブ部を含む軸方向、及び、高さ方向に沿った断面図である。
【0014】
なお、
図1、
図2は、メスコネクタを構成する各要素を組み合わせた状態を表し、
図3、
図4は、メスコネクタを構成する各要素を分解した状態を表している。また、
図1、
図5、
図21、
図22は、端子に接続される一部の電線を二点鎖線で図示しており、他図では当該電線の図示を省略している。同様に、
図5、
図20、
図21、
図22は、メスコネクタのメス端子を二点鎖線で図示しており、他図では当該メス端子の図示を省略している。また、各図において、オスハウジングは、フード部を含む一部分を部分的に図示している。また、
図7は、CPA部材が初期位置にある状態を表しており、
図9は、オスハウジングとメスハウジングとが完全嵌合した状態を表しており、
図10は、CPA部材が嵌合保証位置にある状態を表している。
【0015】
図1、
図2、
図3、
図4等に示す本実施形態のコネクタ1は、例えば、自動車等に使用されるワイヤハーネスWH等に適用される。ここでは、コネクタ1は、ワイヤハーネスWHを構成する電線W1と電線W2とを接続する電線対電線接続用の接続機構である。ここで、電線W1、W2は、例えば、複数の導電性の金属素線を撚り合わせた導体部(芯線)と、当該導体部の外側を覆う絶縁性の被覆部とを含んで構成される。このコネクタ1は、第1コネクタとしてのオスコネクタ2と、第2コネクタとしてのメスコネクタ3とを備え、オスコネクタ2とメスコネクタ3が相互に嵌合しコネクタ接合されることで、それぞれが備えるオス端子4、メス端子6が電気的に接続され、相互間に電気的な接続部位が形成される。
【0016】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸方向Xは、典型的には、オスコネクタ2とメスコネクタ3との嵌合方向に沿った方向であり、さらに言えば、オスコネクタ2、メスコネクタ3が備えるオス端子4、メス端子6の延在方向に沿った方向である。オスコネクタ2とメスコネクタ3とは、軸方向Xに対して対向して配置され嵌合される。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0017】
オスコネクタ2は、
図1、
図2、
図3、
図4等に示すように、ワイヤハーネスWHを構成する第1電線である電線W1の末端に接続されるオス型のコネクタである。オスコネクタ2は、第1端子としてのオス端子4と、当該オス端子4が設けられる第1ハウジングとしてのオスハウジング5とを備える。なお、以下の説明では、オスコネクタ2において、軸方向Xのメスコネクタ3側を前側といい、反対側を軸方向Xの後側という場合がある。
【0018】
オス端子4は、コネクタ用のオス型の端子金具であり、電線W1の末端に接続され全体が導電性の金属によって構成される。オスハウジング5は、オス端子4が設けられるオス型のコネクタハウジングであり、絶縁性の合成樹脂材等によって形成される。オスハウジング5は、嵌合空間部52が形成されたフード部51を有する。フード部51は、軸線が軸方向Xに沿った略長円筒状に形成され、内側に上記嵌合空間部52が形成される。嵌合空間部52は、後述するメスコネクタ3のメスハウジング7が嵌合する空間部である。オスハウジング5は、嵌合空間部52内にオス端子4の先端部(軸方向Xの前側端部)が露出するようにして当該オス端子4を保持する。オス端子4は、オスハウジング5に保持された状態で軸方向Xに沿って延在する。オス端子4は、例えば、嵌合空間部52内に露出する先端部とは反対側の端部(軸方向Xの後側端部)が、フード部51と一体で成形される端子保持部の端子挿入室(キャビティとも呼ばれることもある)内に保持され当該端部に電線W1が接続される。オス端子4は、軸方向Xの後側から端子挿入室内に挿入されて保持され、軸方向Xの前側の先端部がフード部51の嵌合空間部52内に露出する。オスコネクタ2は、軸方向Xの前側にフード部51が開口し、軸方向Xの後側に電線W1が延在する。オスハウジング5は、複数、ここでは、2つのオス端子4を保持する。
【0019】
そして、オスコネクタ2は、フード部51の外面に、複数の突状リブ部53と、第1係止部としてのオスビーク54とを有する。突状リブ部53は、フード部51の外面から突出して形成され、軸方向Xに沿って直線棒状に延在する。突状リブ部53は、CPA部材9に挿入され、当該CPA部材9に支持される部分である。突状リブ部53は、フード部51の4つの角にそれぞれ1つずつ、合計4つが設けられる。ここでは、4つの突状リブ部53を区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部53a、53b、53c、53dという場合がある。オスビーク54は、フード部51の外面から突出して形成される。オスビーク54は、フード部51の軸方向X、及び、幅方向Yに沿った外面のうちの1つにおいて、ほぼ中央に爪状に1つ形成される。オスビーク54は、高さ方向Zに沿って突出するようにして形成される。オスビーク54は、後述するメスコネクタ3のメスロック部73が係止される部分である。なお、このオスビーク54の形状については、後でより詳細に説明する。
【0020】
メスコネクタ3は、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5等に示すように、ワイヤハーネスWHを構成する第2電線である電線W2の末端に接続されるメス型のコネクタである。メスコネクタ3は、第2端子としてのメス端子6(
図5参照)と、当該メス端子6が設けられる第2ハウジングとしてのメスハウジング7と、メスハウジング7に組み付けられるスペーサ8と、メスハウジング7に対して軸方向Xに沿って相対移動可能に組み付けられる嵌合検知部材としてのCPA部材9とを備える。なお、以下の説明では、メスコネクタ3において、軸方向Xのオスコネクタ2側を前側といい、反対側を軸方向Xの後側という場合がある。
【0021】
ここで、メス端子6は、コネクタ用のメス型の端子金具であり、電線W2の末端に接続され全体が導電性の金属によって構成される。メスコネクタ3は、メスハウジング7がオスハウジング5の嵌合空間部52に嵌合し、当該メス端子6がオスコネクタ2のオス端子4と電気的に接続される。
【0022】
メスハウジング7は、
図3、
図4、
図5等に示すように、メス端子6が設けられるメス型のコネクタハウジングであり、絶縁性の合成樹脂材等によって形成される。メスハウジング7は、メス端子6を保持し、オスハウジング5の嵌合空間部52に嵌合可能な部材である。メスハウジング7は、メス端子6を保持すると共にスペーサ8、CPA部材9が組み付けられるメス本体部71と、メス本体部71から延在するメスロックアーム部72と、メスロックアーム部72に形成された第2係止部としてのメスロック部73とを有する。メス本体部71は、軸線が軸方向Xに沿った略長円柱状に形成される。メスロックアーム部72は、当該メス本体部71の軸方向Xの後側の端部に片持ち状に支持され、軸方向Xに沿って前側に向けて延在する。メスロック部73は、メスロックアーム部72において軸方向Xの前側の端部に形成される。メスロックアーム部72、及び、メスロック部73は、メスハウジング7をオスコネクタ2のオスハウジング5に係止するための係止機構を構成するものである。メスハウジング7は、メス本体部71とメスロックアーム部72とメスロック部73とが絶縁性の合成樹脂材等によって一体成形される。
【0023】
メス本体部71は、オスハウジング5の嵌合空間部52に嵌合される部分であり、端子挿入室71aと、スペーサ嵌合部71bとを有し、各部が一体的に形成される。メス本体部71は、端子挿入室71aに対して軸方向Xの後側からメス端子6が挿入されると共にスペーサ嵌合部71bに対して幅方向Yの一方側からスペーサ8が挿入されることで、メス端子6を保持する。
【0024】
具体的には、端子挿入室71aは、メス端子6を軸方向Xに沿って挿入可能であり当該メス端子6を保持する空間部である。端子挿入室71aは、キャビティとも呼ばれることがある。端子挿入室71aは、メス本体部71の内部に延在して中空状に形成され、メス端子6を収容する。端子挿入室71aは、軸方向Xに沿って延在する。端子挿入室71aは、メス端子6の外形形状に応じて当該メス端子6が挿入可能な大きさ、形状の空間部として形成される。端子挿入室71aは、軸方向Xの後側にメス端子挿入開口部71cが形成され、軸方向Xの前側にオス端子挿入開口部71dが形成される。メス端子挿入開口部71cは、メス端子6が挿入される開口部としてメス本体部71の外部に対して軸方向Xの後側に向けて開口する。オス端子挿入開口部71dは、メス端子6に電気的に接続されるオスコネクタ2のオス端子4が挿入される開口部としてメス本体部71の外部に対して軸方向Xの前側に向けて開口する。端子挿入室71aは、メスコネクタ3に設けられる複数のメス端子6の数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられる。メス本体部71は、メス端子挿入開口部71cを介して端子挿入室71aにメス端子6が挿入される。
【0025】
スペーサ嵌合部71bは、スペーサ8が嵌合する空間部である。スペーサ嵌合部71bは、端子挿入室71aの延在方向と交差する方向、ここでは、幅方向Yに沿って延在し端子挿入室71aと連通する。スペーサ嵌合部71bは、各端子挿入室71aの軸方向Xの中腹部分と連通し、メス本体部71を幅方向Yに沿って貫通している。
【0026】
ここで、本実施形態のメス本体部71は、より詳細には、軸方向Xに沿って延在する大径部71A、及び、小径部71Bを含んで構成され、全体が一体で形成される。大径部71Aと小径部71Bとは、共に軸線が軸方向Xに沿った略長円柱状に形成され、大径部71Aが軸方向Xの後側に位置し小径部71Bが軸方向Xの前側に位置して軸方向Xに隣接して一体で形成される。大径部71Aは、軸方向Xと直交する方向の径が小径部71Bより大きく形成され、言い換えれば、小径部71Bは、軸方向Xと直交する方向の径が大径部71Aより小さく形成される。大径部71Aは、メスロックアーム部72を片持ち状に支持する基端部となる部分である。一方、小径部71Bは、メス本体部71においてオスハウジング5の嵌合空間部52に嵌合される部分であり、当該嵌合空間部52に嵌合可能な大きさ、形状に形成される。上記大径部71Aは、小径部71Bが嵌合空間部52に嵌合した状態で、当該オスハウジング5の嵌合空間部52から露出する。ここでは、メス本体部71は、大径部71Aと小径部71Bとの段差部分に環状に形成された止水用パッキン74が装着されている。上述した端子挿入室71aは、メス本体部71において、軸方向Xに沿って大径部71Aと小径部71Bとに渡って延在する。上述したスペーサ嵌合部71bは、メス本体部71において、小径部71Bに形成される。
【0027】
そして、メス本体部71は、さらに大径部71Aの外面に、複数の突状リブ部75と、複数の規制突起部76とを有する。突状リブ部75は、大径部71Aの軸方向Xの後側の端部において、外面から突出して形成され、軸方向Xに沿って直線棒状に延在する。突状リブ部75は、CPA部材9に挿入され、当該CPA部材9に支持される部分である。突状リブ部75は、大径部71Aの2つの角にそれぞれ1つずつ、合計2つが設けられる。ここでは、2つの突状リブ部75を区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部75a、75bという場合がある。突状リブ部75a、75bは、高さ方向Zにおいて、メスロックアーム部72が設けられる側とは反対側の2つの角に設けられる。突状リブ部75a、75bは、幅方向Yに対して相互に対向する位置に形成される。規制突起部76は、大径部71Aの軸方向Xの後側の端部において、外面から突出して形成される。規制突起部76は、CPA部材9に挿入され所定の部位(後述するCPA部材9の規制突起部96c)に当接することでメスハウジング7とCPA部材9との軸方向Xに沿った相対移動を所定の位置(後述するCPA部材9の初期位置)で規制する部分である。規制突起部76は、大径部71Aの幅方向Yの両端部における高さ方向Zに沿った中腹部分において、幅方向Yに沿って突出するようにして爪状に1つずつ、合計2つが形成される。ここでは、2つの規制突起部76を区別して説明する場合には便宜的に規制突起部76a、76bという場合がある。規制突起部76a、76bは、幅方向Yに対して相互に対向する位置に形成される。
【0028】
また、本実施形態のメスハウジング7は、メス本体部71の大径部71Aの軸方向Xの後側の端面に規制端面77が形成される。規制端面77は、CPA部材9の所定の部位(後述するCPA部材9の規制壁部91c)に当接することでメスハウジング7とCPA部材9との軸方向Xに沿った相対移動を所定の位置(後述するCPA部材9の嵌合保証位置)で規制する部分である。規制端面77は、軸方向Xに沿って円筒状に突出した円筒部77aが形成される。円筒部77aは、内周面側の空間部が端子挿入室71aの一部を構成し、軸方向Xの後側の開口がメス端子挿入開口部71cを構成する。円筒部77aは、端子挿入室71aの数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられ、互いに連結され一体化されている。
【0029】
メスロックアーム部72は、メス本体部71の大径部71Aに対して可撓性を有する片持ち状に支持される部分であり、ここでは、第1アーム部72A、及び、第2アーム部72Bを含んで構成され、全体が一体で形成される。
【0030】
第1アーム部72Aは、メス本体部71の軸方向Xの後側の端部、ここでは、大径部71Aに支持され、軸方向Xに沿って前側に向けて可撓性を有する片持ち状に延在して形成される。第1アーム部72Aは、メス本体部71の大径部71Aから突出する基端部72aと、基端部72aから延在する一対の片持ち梁状部72bとを含んで構成され、全体としてレバー状に形成される。基端部72aは、メス本体部71の大径部71Aから高さ方向Zに沿って突出して形成される。一対の片持ち梁状部72bは、基端部72aの高さ方向Zの先端から軸方向Xに沿って前側に向かって延在する。一対の片持ち梁状部72bは、幅方向Yに対して相互に対向し軸方向Xに沿って並行して形成される。一対の片持ち梁状部72bは、基端部72aとは反対側の端部、すなわち、軸方向Xの前側の端部にメスロック部73を支持する。一対の片持ち梁状部72bは、幅方向Yに対してメスロック部73を挟み込むようにして当該メスロック部73を支持する。言い換えれば、メスロック部73は、幅方向Yに対して一対の片持ち梁状部72bの間に幅方向Yに沿った梁状に形成され当該一対の片持ち梁状部72bを連結する。第1アーム部72Aは、軸方向Xの後側の基端部72aで弾性変形可能な片持ち状に支持され、軸方向Xの前側のメスロック部73側が自由端となる。これにより、第1アーム部72Aは、メス本体部71の大径部71Aに対して、高さ方向Zに沿って弾性変形可能に支持される。
【0031】
第2アーム部72Bは、第1アーム部72Aの軸方向Xの前側の端部、ここでは、一対の片持ち梁状部72bの軸方向Xの前側の端部に支持され、軸方向Xに沿って後側に向けて可撓性を有する片持ち状に延在して形成される。第2アーム部72Bは、第1アーム部72Aの一対の片持ち梁状部72bからそれぞれ突出する一対の基端部72cと、一対の基端部72cからそれぞれ延在する一対の片持ち梁状部72dと、一対の片持ち梁状部72dを連結する連結部72eを含んで構成され、全体としてレバー状に形成される。一対の基端部72cは、それぞれ一対の片持ち梁状部72bから幅方向Yに沿って互いに反対側、すなわち、メスロック部73とは反対側に向けて突出して形成される。一対の片持ち梁状部72dは、一対の基端部72cの幅方向Yの先端からそれぞれ軸方向Xに沿って後側に向かって延在する。一対の片持ち梁状部72dは、幅方向Yに対して相互に対向し軸方向Xに沿って並行して形成される。より詳細には、一対の片持ち梁状部72dは、幅方向Yに対して間に一対の片持ち梁状部72bを挟んで軸方向Xに沿って並行して形成される。連結部72eは、一対の片持ち梁状部72dの基端部72cとは反対側の端部、すなわち、軸方向Xの後側の端部を連結する。つまり、連結部72eは、幅方向Yに対して一対の片持ち梁状部72dの間に、幅方向Yに沿った梁状に形成され、当該一対の片持ち梁状部72dを連結する。第2アーム部72Bは、軸方向Xの前側の基端部72cで弾性変形可能な片持ち状に支持され、軸方向Xの後側の連結部72e側が自由端となる。これにより、第2アーム部72Bは、第1アーム部72Aに対して、高さ方向Zに沿って弾性変形可能に支持される。また、一対の片持ち梁状部72dは、それぞれ幅方向Yの外側の面、すなわち、片持ち梁状部72bと対向する面とは反対側の面に複数の突状リブ部72f、72g、72hが設けられる。突状リブ部72f、72g、72hは、それぞれ各片持ち梁状部72dから幅方向Yに突出して形成される。突状リブ部72f、72g、72hは、各片持ち梁状部72dにおいて、それぞれ軸方向Xに沿って間隔をあけて形成される。突状リブ部72f、72g、72hは、軸方向Xの前側から後側に向かって、突状リブ部72f、突状リブ部72g、突状リブ部72hの順で形成される。ここでは、2つの突状リブ部72fを区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部72fa、72fbという場合がある。同様に、2つの突状リブ部72gを区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部72ga、72gbという場合があり、2つの突状リブ部72hを区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部72ha、72hbという場合がある。
【0032】
メスロック部73は、オスハウジング5の嵌合空間部52にメスハウジング7のメス本体部71の小径部71Bが嵌合した状態(以下、単に「オスハウジング5がメスハウジング7に嵌合した状態」という場合がある)でオスビーク54を乗り越えて当該オスビーク54に係止可能な部分である。メスロック部73は、上述したように一対の片持ち梁状部72bの軸方向Xの前側の端部の間に支持される。メスロック部73は、幅方向Yに沿った梁状に形成され当該一対の片持ち梁状部72bを連結する。なお、このメスロック部73の形状については、後でより詳細に説明する。
【0033】
次に、メスハウジング7に組み付けられるスペーサ8は、
図3、
図4、
図5等に示すように、端子挿入室71aにメス端子6を保持するための適正な端子保持力を確保する部材である。スペーサ8は、スペーサ嵌合部71bに嵌合可能な大きさ、形状に形成され、当該スペーサ嵌合部71bに対して幅方向Yに沿って着脱可能に組み付けられる。スペーサ8は、スペーサ嵌合部71bに挿入されるようにして所定の位置に組み付けられることで、各端子挿入室71a内に挿入、保持されている各メス端子6を当該各端子挿入室71a内の正規位置に係止する。ここで、メス端子6の端子挿入室71a内での正規位置とは、メス端子6とオス端子4との適正な電気的な接続が確保される位置である。
【0034】
次に、メスハウジング7に組み付けられるCPA部材9は、
図3、
図4、
図6等に示すように、メスハウジング7の外側を覆うようにして組み付けられ、オスコネクタ2とメスハウジング7とが完全に嵌合したことを検知するための部材であり、いわゆるCPA(Connector Position assurance:嵌合保証機能)を実現するための機能部材である。CPA部材9は、メスハウジング7に対して軸方向Xに沿って相対移動可能に組み付けられる。ここでは、オスコネクタ2とメスハウジング7とが完全に嵌合した状態とは、メスハウジング7がオスハウジング5の嵌合空間部52に適正な嵌合位置で嵌合した状態であり、典型的には、メスロック部73がオスビーク54に係止され、メス端子6とオス端子4との適正な電気的な接続が確保される嵌合状態である。
【0035】
具体的には、CPA部材9は、メスハウジング7に組み付けられるCPA本体部91と、メス本体部71から延在するCPAロックアーム部92と、CPAロックアーム部92に形成された第3係止部としてのCPAロック部93とを有する。CPA本体部91は、軸線が軸方向Xに沿った略矩形筒状に形成される。CPAロックアーム部92は、当該CPA本体部91の軸方向Xの後側の端部に片持ち状に支持され、軸方向Xに沿って前側に向けて延在する。CPAロック部93は、CPAロックアーム部92において軸方向Xの前側の端部に形成される。CPAロックアーム部92、及び、CPAロック部93は、CPA部材9をメスハウジング7に係止するための係止機構を構成するものである。CPA部材9は、CPA本体部91とCPAロックアーム部92とCPAロック部93とが絶縁性の合成樹脂材等によって一体成形される。
【0036】
CPA本体部91は、メスハウジング7の外側を覆うようにして当該メスハウジング7に装着される部分であり、言い換えれば、内側にメスハウジング7が挿入され保持される部分である。CPA本体部91は、上述したように略矩形筒状に形成され、内側に保持室91aが形成される。保持室91aは、メスハウジング7を軸方向Xに沿って挿入可能であり当該メスハウジング7を相対移動可能に保持する空間部である。保持室91aは、CPA本体部91の内部に延在して中空状に形成され、メスハウジング7を収容する。保持室91aは、軸方向Xに沿って延在する。保持室91aは、メスハウジング7の外形形状に応じて当該メスハウジング7が挿入可能な大きさ、形状の空間部として形成される。保持室91aは、軸方向Xの前側にハウジング挿入開口部91bが形成され、軸方向Xの後側に規制壁部91cが設けられる。ハウジング挿入開口部91bは、メスハウジング7が挿入される開口部としてCPA本体部91の外部に対して軸方向Xの前側に向けて開口する。CPA本体部91は、ハウジング挿入開口部91bを介して保持室91aにメスハウジング7が挿入される。規制壁部91cは、メスハウジング7の規制端面77に当接することでメスハウジング7とCPA部材9との軸方向Xに沿った相対移動を所定の位置(後述するCPA部材9の嵌合保証位置)で規制する部分である。規制壁部91cは、CPA本体部91の軸方向Xの後側の開口の一部を塞ぐようにして形成され、円筒部77aが軸方向Xに貫通可能な貫通孔部91dが形成されている。
【0037】
さらに、CPA本体部91は、保持室91a側の内面、すなわち、保持室91aと面し当該保持室91aを区画する内面に、一対の第1ガイド凹部94と、一対の第2ガイド凹部95と、一対の第3ガイド凹部96と、一対の第4ガイド凹部97とを有する。第1ガイド凹部94、第2ガイド凹部95、第3ガイド凹部96、第4ガイド凹部97は、それぞれメスハウジング7の一部、あるいは、オスハウジング5の一部が挿入され、これを軸方向Xに沿って案内可能な部分である。第1ガイド凹部94、第2ガイド凹部95、第3ガイド凹部96、第4ガイド凹部97は、CPA本体部91の高さ方向Zに沿った内面において、高さ方向Zの一方側から他方側に向かって、第1ガイド凹部94、第2ガイド凹部95、第3ガイド凹部96、第4ガイド凹部97の順で設けられる。各第1ガイド凹部94、各第2ガイド凹部95、各第3ガイド凹部96、各第4ガイド凹部97は、それぞれ幅方向Yに沿って窪んだ凹部状に形成され軸方向Xに沿って延在する。一対の第1ガイド凹部94は、幅方向Yに対して相互に対向する位置に形成される。一対の第1ガイド凹部94は、メスハウジング7のメスロックアーム部72の突状リブ部72f、72g、72hが挿入され軸方向Xに沿って案内可能に支持する。ここでは、2つの第1ガイド凹部94を区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部72fa、72ga、72haが挿入される方を第1ガイド凹部94aといい、突状リブ部72fb、72gb、72hbが挿入される方を第1ガイド凹部94bという場合がある。一対の第2ガイド凹部95は、幅方向Yに対して相互に対向する位置に形成される。一対の第2ガイド凹部95は、オスハウジング5の突状リブ部53が挿入され軸方向Xに沿って案内可能に支持する。ここでは、2つの第2ガイド凹部95を区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部53aが挿入される方を第2ガイド凹部95aといい、突状リブ部53bが挿入される方を第2ガイド凹部95bという場合がある。一対の第3ガイド凹部96は、幅方向Yに対して相互に対向する位置に形成される。一対の第3ガイド凹部96は、メスハウジング7のメス本体部71の規制突起部76が挿入され軸方向Xに沿って案内可能に支持する。ここでは、2つの第3ガイド凹部96を区別して説明する場合には便宜的に規制突起部76aが挿入される方を第3ガイド凹部96aといい、規制突起部76bが挿入される方を第3ガイド凹部96bという場合がある。なお、CPA本体部91は、第3ガイド凹部96bの軸方向Xの中腹部分に、メス本体部71のスペーサ嵌合部71bにスペーサ8を挿入するためのスペーサ挿入開口部98が形成されている。一対の第4ガイド凹部97は、幅方向Yに対して相互に対向する位置に形成される。一対の第4ガイド凹部97は、メスハウジング7のメス本体部71の突状リブ部75、及び、オスハウジング5の突状リブ部53が挿入され軸方向Xに沿って案内可能に支持する。ここでは、2つの第4ガイド凹部97を区別して説明する場合には便宜的に突状リブ部75a、53cが挿入される方を第4ガイド凹部97aといい、突状リブ部75b、53dが挿入される方を第4ガイド凹部97bという場合がある。
【0038】
また、CPA本体部91は、各第1ガイド凹部94内にそれぞれ係止突起部94c、及び、規制突起部94dが突出している。係止突起部94cは、各第1ガイド凹部94内の軸方向Xの後側の端部に形成される。係止突起部94cは、CPA部材9が所定の位置(後述するCPA部材9の嵌合保証位置)にある状態で、メスロックアーム部72の突状リブ部72gと突状リブ部72hとの間に係止される部分である。ここでは、2つの係止突起部94cを区別して説明する場合には便宜的に第1ガイド凹部94aに設けられる方を係止突起部94caといい、第1ガイド凹部94bに設けられる方を係止突起部94cbという場合がある。規制突起部94dは、各第1ガイド凹部94内の軸方向Xの中腹部分に形成される。規制突起部94dは、メスハウジング7のメスロックアーム部72の突状リブ部72fに当接することでメスハウジング7とCPA部材9との軸方向Xに沿った相対移動を所定の位置(後述するCPA部材9の嵌合保証位置)で規制する部分である。ここでは、2つの規制突起部94dを区別して説明する場合には便宜的に第1ガイド凹部94aに設けられる方を規制突起部94daといい、第1ガイド凹部94bに設けられる方を規制突起部94dbという場合がある。また、CPA本体部91は、各第3ガイド凹部96内にそれぞれ規制突起部96cが突出している。規制突起部96cは、各第3ガイド凹部96内の軸方向Xの中腹部分に形成される。規制突起部96cは、メスハウジング7のメス本体部71の規制突起部76に当接することでメスハウジング7とCPA部材9との軸方向Xに沿った相対移動を所定の位置(後述するCPA部材9の初期位置)で規制する部分である。ここでは、2つの規制突起部96cを区別して説明する場合には便宜的に第3ガイド凹部96aに設けられる方を規制突起部96caといい、第3ガイド凹部96bに設けられる方を規制突起部96cbという場合がある。
【0039】
CPAロックアーム部92は、CPA本体部91の高さ方向Zの一方側の面、ここでは、第1ガイド凹部94が位置する側の面に形成される開口部91eに突出するようにして形成される略矩形柱状の部分である。CPAロックアーム部92は、開口部91eの軸方向Xの後側の縁部に支持され、軸方向Xに沿って前側に向けて可撓性を有する片持ち状に延在して形成される。CPAロックアーム部92は、保持室91a内に向けて延在する。CPAロックアーム部92は、幅方向Yに対してCPA本体部91の略中央部に位置する。CPAロックアーム部92は、軸方向Xの後側の基端部で弾性変形可能な片持ち状に支持され、軸方向Xの前側の先端部が自由端となる。これにより、CPAロックアーム部92は、基端部に対して、高さ方向Zに沿って弾性変形可能に支持される。そして、CPAロックアーム部92は、軸方向Xの前側の先端部にCPAロック部93が形成される。
【0040】
CPAロック部93は、CPA部材9がメスハウジング7に組み付けられ所定の位置(後述するCPA部材9の嵌合保証位置)にある状態で、メスロック部73に係止可能な部分である。CPAロック部93は、CPAロックアーム部92の軸方向Xの前側の先端部から高さ方向Zに沿って保持室91a側に向けて突出して形成される。CPAロック部93は、CPA部材9がメスハウジング7に組み付けられた状態で一対の片持ち梁状部72bの間に位置する(
図4等参照)。
【0041】
上記のように構成されるコネクタ1において、メスコネクタ3は、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5等に示すように、CPA部材9の軸方向Xの前側からハウジング挿入開口部91bを介して保持室91aにメスハウジング7が挿入される。この場合、メスコネクタ3は、メスハウジング7の大径部71A側が保持室91aに挿入される。より詳細には、メスコネクタ3は、第1ガイド凹部94aに突状リブ部72fa、72ga、72haが挿入され、第1ガイド凹部94bに突状リブ部72fb、72gb、72hbが挿入され、第3ガイド凹部96aに規制突起部76aが挿入され、第3ガイド凹部96bに規制突起部76bが挿入され、第4ガイド凹部97aに突状リブ部75aが挿入され、第4ガイド凹部97bに突状リブ部75bが挿入され、この位置関係でメスハウジング7とCPA部材9との軸方向Xに沿った相対移動が案内される。メスコネクタ3は、メスハウジング7の規制突起部76a、規制突起部76bがそれぞれCPA部材9のCPA本体部91の壁面を撓ませながら規制突起部96ca、96cbを乗り越えて当該規制突起部96ca、96cbより軸方向Xの後側の位置まで挿入されることで、CPA部材9とメスハウジング7との組み付けが完了する。メスコネクタ3は、この状態でメス本体部71の軸線方向とCPA本体部91の軸線方向とが沿うような位置関係で、CPA本体部91の保持室91a内にメスハウジング7が保持されると共に、CPAロック部93が幅方向Yに対して一対の片持ち梁状部72bの間に位置する。
【0042】
そして、メスコネクタ3は、メスハウジング7に形成された各端子挿入室71aに対してそれぞれ軸方向Xの後側からメス端子挿入開口部71cを介してメス端子6が挿入されると共にスペーサ嵌合部71bに対して幅方向Yの一方側からスペーサ挿入開口部98等を介してスペーサ8が挿入されることで各メス端子6が各端子挿入室71a内の正規位置で係止され保持される。
【0043】
そして、本実施形態のメスコネクタ3は、上記のようにCPA部材9がメスハウジング7に組み付けられた状態で、
図7、
図9、
図10等に示すように、CPA部材9が第1ガイド凹部94、第2ガイド凹部95、第3ガイド凹部96、第4ガイド凹部97に案内されながら軸方向Xに沿って初期位置と嵌合保証位置とに相対移動可能である。
【0044】
ここで、CPA部材9の初期位置とは、
図7等に示すように、オスコネクタ2のオスハウジング5とメスコネクタ3のメスハウジング7とが完全に嵌合される前に位置する位置であり、典型的には、CPAロック部93がメスロック部73より軸方向Xの後側にある位置である。CPA部材9は、基本的には、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合する前の状態ではこの初期位置に位置している。CPA部材9は、初期位置にある状態では、CPAロック部93の軸方向Xの前側端部がメスロック部73の軸方向Xの後側端部と当接することで、メスハウジング7に対して軸方向Xの前側、すなわち、後述する嵌合保証位置側へ相対移動することが規制された状態となる。つまり、CPA部材9は、軸方向Xに対して、メスロック部73とCPAロック部93との間にオスビーク54が介在していない状態、すなわち、メスロック部73がオスビーク54を乗り越えておらず未だオスビーク54に係止されていない状態では、CPAロック部93がメスロック部73と当接することで初期位置から嵌合保証位置への相対移動が規制された状態となる。また、CPA部材9は、初期位置にある状態では、
図8等に示すように、CPA本体部91の規制突起部96caがメスハウジング7の規制突起部76aに当接し、規制突起部96cbが規制突起部76bに当接することで、メスハウジング7に対して軸方向Xの後側へ相対移動することが規制され、メスハウジング7が保持室91aから脱落することが規制される。
【0045】
そして、コネクタ1は、CPA部材9がメスハウジング7に組み付けられ、当該CPA部材9が初期位置にある状態で、メスコネクタ3とオスコネクタ2とが嵌合される。この場合、コネクタ1は、メスハウジング7の小径部71Bがオスハウジング5の嵌合空間部52に挿入、嵌合されると共に、CPA部材9の第2ガイド凹部95aに突状リブ部53aが挿入され、第2ガイド凹部95bに突状リブ部53bが挿入され、この位置関係でメスハウジング7、CPA部材9とオスハウジング5との軸方向Xに沿った相対移動が案内される。そして、コネクタ1は、メスハウジング7、CPA部材9がオスハウジング5側に押圧され、メスハウジング7、CPA部材9とオスハウジング5とが軸方向Xに沿った相対移動によって接近すると、当該相対移動に伴ってメスロックアーム部72(第1アーム部72A、第2アーム部72B)、及び、CPAロックアーム部92が撓みながらメスロック部73、及び、CPAロック部93がオスビーク54に乗り上げる。その後、コネクタ1は、
図9に示すように、メスハウジング7、CPA部材9とオスハウジング5との更なる相対移動に伴ってメスロック部73がオスビーク54を乗り越えて当該オスビーク54に係止され、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合された状態となる。コネクタ1は、この状態で、メス端子6とオス端子4との適正な電気的な接続が確保される。そして、CPA部材9は、この状態、すなわち、メスロック部73がオスビーク54を乗り越えて当該オスビーク54に係止され、軸方向Xに対してメスロック部73とCPAロック部93との間にオスビーク54が介在する状態で、当該オスビーク54に乗り上げて初期位置から嵌合保証位置への移動が可能な状態となる。コネクタ1は、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合された状態で、CPA部材9が初期位置から軸方向Xの前側に押圧されることで嵌合保証位置に移動される。
【0046】
ここで、CPA部材9の嵌合保証位置とは、
図10等に示すように、メスコネクタ3のメスハウジング7がオスコネクタ2のオスハウジング5に完全に嵌合された後に移動可能となる位置であり、CPA部材9が初期位置から軸方向Xの前側に押し込まれた位置である。さらに言えば、CPA部材9の嵌合保証位置とは、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合したことを検知し保証する位置であり、典型的には、CPAロック部93がオスビーク54、及び、当該オスビーク54に係止されているメスロック部73を順に乗り越えてメスロック部73に係止される位置である。CPA部材9は、基本的には、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合した後の状態ではこの嵌合保証位置に移動される。CPA部材9は、嵌合保証位置にある状態では、CPAロック部93の軸方向Xの後側端部がメスロック部73の軸方向Xの前側端部と当接することで、メスハウジング7に対して軸方向Xの後側、すなわち、初期位置側へ相対移動することが規制された状態となる。また、CPA部材9は、嵌合保証位置にある状態では、CPA部材9の規制突起部94daがメスハウジング7の突状リブ部72faに当接し、規制突起部94dbが突状リブ部72fbに当接すること、あるいは、CPA部材9の規制壁部91cがメスハウジング7の規制端面77に当接することで、メスハウジング7に対して軸方向Xの前側へさらに相対移動することが規制される。このとき、コネクタ1は、規制端面77の円筒部77aが規制壁部91cの貫通孔部91dから突出するようにして軸方向Xの後側に露出する。さらに、CPA部材9は、嵌合保証位置にある状態では、
図11等に示すように、CPA本体部91の係止突起部94caがメスハウジング7の突状リブ部72gaと突状リブ部72haとの間に係止され、係止突起部94cbが突状リブ部72gbと突状リブ部72hbとの間に係止されることで、当該嵌合保証位置にある状態が確実に維持される。なお、CPA部材9において、初期位置、及び、初期位置から嵌合保証位置に至るまでの中間位置は、オスハウジング5とメスハウジング7との完全嵌合が未だ保証されていない嵌合未保証位置に相当する。
【0047】
上記のようにして、CPA部材9は、メスロック部73がオスビーク54に係止された状態で初期位置から嵌合保証位置に移動可能となると共に初期位置から嵌合保証位置への移動に伴って、CPAロック部93がオスビーク54、及び、当該オスビーク54に係止されているメスロック部73を順に乗り越えて嵌合保証位置でメスロック部73に係止される。
【0048】
コネクタ1は、メスハウジング7がオスハウジング5と完全に嵌合しなければ、オスハウジング5を初期位置から嵌合保証位置に移動させることができずCPAロック部93がメスロック部73に係止されない構成となっている。このため、コネクタ1は、言い換えれば、CPA部材9が初期位置から嵌合保証位置まで移動させられたことをもって、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合したことを保証することができる。
【0049】
そして、本実施形態のコネクタ1は、上記のような構成において、
図12、
図13等に示すように、オスビーク54に引き込み傾斜面54c、及び、突起部54dを設けると共に、メスロック部73に切り欠き部73cを設けることで、動作フィーリングの悪化の抑制を図っている。
【0050】
オスビーク54は、
図7、
図9、
図10、
図12等に示すように、乗り上げ傾斜面54aと、第1係止面としてのオス側係止面54bと、引き込み傾斜面54cと、突起部54dとを有する。
【0051】
乗り上げ傾斜面54aは、オスビーク54において、メスロック部73、及び、CPAロック部93が乗り上げる傾斜面である。乗り上げ傾斜面54aは、オスハウジング5において、オスビーク54の軸方向Xの前側(すなわち、メスコネクタ3側)の端部に設けられる。乗り上げ傾斜面54aは、軸方向Xに対して傾斜しており、より詳細には、オスハウジング5の軸方向Xの前側から後側に向かってオスハウジング5の外面からの突出量が徐々に増加するように傾斜している。さらに言えば、乗り上げ傾斜面54aは、軸方向Xの前側の傾斜角が鋭角となるように傾斜して形成される。
【0052】
オス側係止面54bは、オスビーク54において、メスロック部73を係止する面である。オス側係止面54bは、オスハウジング5において、オスビーク54の軸方向Xの後側(すなわち、メスコネクタ3側とは反対側)の端部に設けられる。オス側係止面54bは、オスハウジング5の外面から略垂直に立ち上がるように形成される。
【0053】
引き込み傾斜面54cは、オスビーク54において、突出先端54e側からオス側係止面54b側に向けて傾斜する傾斜面である。言い換えれば、引き込み傾斜面54cは、オスビーク54における乗り上げ傾斜面54aの頂点である突出先端54eからオス側係止面54bによるメスロック部73の係止位置側に向けて傾斜する傾斜面である。さらに言えば、引き込み傾斜面54cは、乗り上げ傾斜面54aとは反対側に向かう傾斜面であり、突出先端54eは、当該乗り上げ傾斜面54aと当該引き込み傾斜面54cとの間の稜線部を形成する。引き込み傾斜面54cは、乗り上げ傾斜面54aに乗り上げたメスロック部73を当該オスビーク54による係止位置側、すなわち、オス側係止面54b側に向けて案内する。
【0054】
突起部54dは、オスビーク54において、引き込み傾斜面54cから突出して形成される部分である。より詳細には、突起部54dは、突出先端54eより軸方向Xの後側の位置に形成される。つまり、突起部54dは、突出先端54eよりオス側係止面54b側に位置し、さらに言えば、オス側係止面54bによるメスロック部73の係止位置側に位置する。突起部54dは、オスビーク54において、幅方向Yのほぼ中央に1つ形成される。ここでは、突起部54dは、高さ方向Zの先端面が突出先端54eと共に軸方向Xに沿った平坦面を構成する。
【0055】
メスロック部73は、
図7、
図9、
図10、
図13等に示すように、第2係止面としてのメス側係止面73aと、案内部73bと、切り欠き部73cとを有する。
【0056】
メス側係止面73aは、メスロック部73において、オスビーク54のオス側係止面54bに係止される面である。メス側係止面73aは、メスハウジング7において、メスロック部73の軸方向Xの後側(すなわち、オスコネクタ2側とは反対側)の端部に設けられる。メス側係止面73aは、メスロック部73がオスビーク54による係止位置にある状態で軸方向Xに対してオス側係止面54bと対向し当該オス側係止面54bに係止される。
【0057】
案内部73bは、メスロック部73において、メスロック部73がオスビーク54に乗り上げた際に当該オスビーク54と対向する部分である。案内部73bは、典型的には、メスロック部73において、高さ方向Zのメス本体部71側を向いた面であり、メスロック部73がオスビーク54を乗り越える際に、乗り上げ傾斜面54aや引き込み傾斜面54cと対向する面である。さらに言えば、案内部73bは、メスロック部73がオスビーク54を乗り越える際に、乗り上げ傾斜面54aや引き込み傾斜面54cと接触して摺動しながらオスビーク54による係止位置側に向けて案内される面である。
【0058】
切り欠き部73cは、メスロック部73において、案内部73bに凹部状に形成され突起部54dを収容可能に形成される部分である。切り欠き部73cは、幅方向Yに対してオスビーク54における突起部54dの形成位置とほぼ同等の位置に形成される。切り欠き部73cは、メスロック部73がオスビーク54を乗り越える際のオスビーク54とメスロック部73との相対移動の方向、すなわち、軸方向Xに沿って形成される。切り欠き部73cは、メス側係止面73aまで延在して形成され、メス側係止面73aに開口している。切り欠き部73cは、メスロック部73が引き込み傾斜面54cによってオスビーク54による係止位置に向けて案内される際に突起部54dが収容されることで、メスロック部73とオスビーク54との相対移動に伴ったメスロック部73と突起部54dとの接触を回避する部分である。
【0059】
上記のように構成されるコネクタ1は、
図7等に示したように、CPA部材9が初期位置にある状態から、メスハウジング7、CPA部材9がオスハウジング5側に押圧されると、
図14に示すように、メスハウジング7、CPA部材9とオスハウジング5との相対移動に伴ってメスロック部73、CPAロック部93がオスビーク54の乗り上げ傾斜面54aに乗り上げる。そして、コネクタ1は、メスハウジング7、CPA部材9がさらにオスハウジング5側に押圧され相対移動すると、
図15に示すように、メスロック部73の案内部73bが乗り上げ傾斜面54aと接触し摺動しながらオスビーク54の突出先端54e側に案内されさらに乗り上げていく。
【0060】
コネクタ1は、この状態からメスハウジング7、CPA部材9がさらにオスハウジング5側に押圧され相対移動すると、
図16に示すように、メスロック部73の案内部73bが引き込み傾斜面54cと接触し摺動しながらオスビーク54のオス側係止面54b側、すなわち、オスビーク54によるメスロック部73の係止位置側に向けて案内され引き落とされる。このとき、コネクタ1は、
図17に示すように、引き込み傾斜面54cによって当該係止位置側に案内されるメスロック部73において、切り欠き部73cに引き込み傾斜面54c上の突起部54dが収容されることで、メスロック部73と突起部54dとの接触が回避される。この結果、コネクタ1は、
図9等に示したように、メスロック部73がオスビーク54を完全に乗り越えて当該オスビーク54による係止位置まで滑らかに移動し、メスロック部73のメス側係止面73aがオスビーク54のオス側係止面54bに対向して当接し係止され、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合した状態となる。
【0061】
この状態で、コネクタ1は、
図18に示すように、突起部54dが軸方向Xに対してオスビーク54の突出先端54eとメスロック部73のメス側係止面73aとの間に位置した状態となる。つまり、突起部54dは、メスロック部73がオスビーク54に係止された状態で、オスビーク54の突出先端54eと引き込み傾斜面54cとメスロック部73のメス側係止面73aとの間に形成される空間部SP内に突出した状態となる。当該空間部SPは、突出先端54eと引き込み傾斜面54cとメス側係止面73aとによって囲われた隙間であり、言い換えれば、引き込み傾斜面54cが設けられたことによって形成される隙間である。突起部54dは、当該隙間として形成される空間部SPに向けて突出する。
【0062】
そして、コネクタ1は、CPA部材9がさらにオスハウジング5側に押圧され相対移動すると、
図19に示すように、CPAロック部93がオスビーク54とメスロック部73との間で、引き込み傾斜面54cから突出した突起部54dによって支持されながら、オスビーク54、メスロック部73を順に乗り越える。つまり、コネクタ1は、CPAロック部93がオスビーク54とメスロック部73との間に形成された上記空間部SPの部分を渡る際に、突起部54dによって支持されながら当該空間部SPの部分を渡るので、当該CPAロック部93がオスビーク54とメスロック部73との間で引っ掛かることが抑制される。そして、コネクタ1は、
図10等に示したように、CPA部材9が嵌合保証位置に移動し、CPAロック部93がメスロック部73に係止される。
【0063】
以上で説明したコネクタ1によれば、オス端子4が設けられると共に外面から突出して形成されたオスビーク54を有するオスハウジング5と、オス端子4と接続されるメス端子6が設けられオスハウジング5と嵌合可能に構成されると共にオスハウジング5と嵌合した状態でオスビーク54を乗り越えて当該オスビーク54に係止可能であるメスロック部73を有するメスハウジング7と、メスハウジング7に組み付けられメスロック部73がオスビーク54に係止された状態で初期位置から嵌合保証位置に移動可能となると共に初期位置から嵌合保証位置への移動に伴ってオスビーク54、及び、当該オスビーク54に係止されているメスロック部73を順に乗り越えて嵌合保証位置でメスロック部73に係止可能であるCPAロック部93を有するCPA部材9とを備え、オスビーク54は、メスロック部73を係止するオス側係止面54bと、突出先端54e側からオス側係止面54b側に向けて傾斜する引き込み傾斜面54cと、引き込み傾斜面54cから突出した突起部54dとを有し、メスロック部73は、メスロック部73がオスビーク54に乗り上げた際にオスビーク54と対向する案内部73bと、案内部73bに凹部状に形成され突起部54dを収容可能である切り欠き部73cとを有する。
【0064】
したがって、コネクタ1は、メスロック部73がオスビーク54に係止された状態で、CPA部材9を初期位置から嵌合保証位置へ移動させ、CPAロック部93をオスビーク54、メスロック部73の順で乗り越えさせてメスロック部73に係止する際に、引き込み傾斜面54cから突出した突起部54dによってオスビーク54とメスロック部73との間で当該CPAロック部93が支持されるので、CPAロック部93がオスビーク54とメスロック部73との間で引っ掛かることを抑制することができる。この場合、コネクタ1は、オスハウジング5とメスハウジング7とを嵌合させメスロック部73がオスビーク54を乗り越えて当該オスビーク54に係止される際に、メスロック部73の案内部73bがオスビーク54の引き込み傾斜面54cによって案内される。このとき、コネクタ1は、切り欠き部73cによって突起部54dがメスロック部73に接触することが回避されるので、引き込み傾斜面54cによるオスハウジング5とメスハウジング7との嵌合挿入力の低減効果が低下することを抑制することができる。この結果、コネクタ1は、CPA部材9を移動させる際の動作フィーリングの悪化抑制と、オスハウジング5とメスハウジング7とを嵌合させる際の動作フィーリングの悪化抑制とを両立することができ、よって、動作フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0065】
より詳細には、以上で説明したコネクタ1によれば、突起部54dは、メスロック部73がオスビーク54に係止された状態で、オスビーク54の突出先端54eと引き込み傾斜面54cとメスロック部73との間に形成される空間部SP内に突出する。したがって、コネクタ1は、CPAロック部93がオスビーク54とメスロック部73との間に形成された上記空間部SPの部分を渡る際に、突起部54dによって支持されながら当該空間部SPの部分を渡るので、当該CPAロック部93がオスビーク54とメスロック部73との間で引っ掛かることを確実に抑制することができる。
【0066】
さらに、以上で説明したコネクタ1によれば、メスロック部73は、オスビーク54のオス側係止面54bに係止されるメス側係止面73aを有し、切り欠き部73cは、メスロック部73がオスビーク54を乗り越える際のオスビーク54とメスロック部73との相対移動の方向に沿って形成されメス側係止面73aまで延在し、オスビーク54とメスロック部73との相対移動に伴ったメスロック部73と突起部54dとの接触を回避する。したがって、コネクタ1は、引き込み傾斜面54cによって当該係止位置側に案内されるメスロック部73において、切り欠き部73cに引き込み傾斜面54c上の突起部54dが収容されることで、メスロック部73と突起部54dとの接触を回避することができる。
【0067】
さらに、以上で説明したコネクタ1によれば、CPAロック部93は、メスロック部73がオスビーク54に係止されていない状態でメスロック部73と当接し初期位置から嵌合保証位置への移動が規制され、メスロック部73がオスビーク54に係止された状態でオスビーク54に乗り上げて初期位置から嵌合保証位置への移動が可能となる。したがって、コネクタ1は、CPA部材9が初期位置から嵌合保証位置まで移動させられたことをもって、メスロック部73がオスビーク54に係止され、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合したことを保証することができ、この構成において、上記のように動作フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0068】
なお、本実施形態のコネクタ1は、
図20、
図21、
図22等に示すように、オスコネクタ2のオスハウジング5に姿勢保持リブ部55を備えることで、オスハウジング5とメスハウジング7との傾きの抑制を図っている。姿勢保持リブ部55は、オスハウジング5において、フード部51の内側、すなわち、嵌合空間部52内に形成される。姿勢保持リブ部55は、嵌合空間部52を区画するフード部51の内壁面から突出すると共に、軸方向Xに沿って延在して形成される。姿勢保持リブ部55は、フード部51内の4つの角にそれぞれ1つずつ、合計4つが設けられる。姿勢保持リブ部55は、メスハウジング7におけるメス本体部71の小径部71Bが嵌合空間部52内に嵌合された状態で、当該小径部71Bの外面との間のガタを詰めるようにして当該小径部71Bの姿勢を保持する。そして、このコネクタ1は、オスハウジング5の嵌合空間部52内において、姿勢保持リブ部55の軸方向Xに沿った長さを相対的に長く確保することができるので、オスハウジング5とメスハウジング7との嵌合初期の相対的に早いタイミング、例えば、オス端子4とメス端子6との接触前のタイミングから複数の姿勢保持リブ部55がメスハウジング7と複数箇所で当接し傾きを規制することができる。この結果、コネクタ1は、各姿勢保持リブ部55によってオスハウジング5とメスハウジング7との相対的な傾きを補正することができ、オスハウジング5に対するメスハウジング7の姿勢を適正な姿勢で保持することができる。これにより、コネクタ1は、例えば、オスハウジング5とメスハウジング7とが完全に嵌合した状態でオス端子4とメス端子6とが適正な位置関係から傾くことを確実に抑制することができ、この点でもオスハウジング5とメスハウジング7とを嵌合させる際の動作フィーリングの悪化を抑制することができる。また、コネクタ1は、例えば、CPA部材9等を介さずに、オスハウジング5に対するメスハウジング7、CPA部材9の姿勢を適正な姿勢で保持することができ、小型化を図ることができる。
【0069】
なお、上述した本発明の実施形態に係るコネクタは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
また、以上の説明では、第1端子がオス端子4、第1ハウジングがオスハウジング5、第2端子がメス端子6、第2ハウジングがメスハウジング7であるものとして説明したが、これに限らず、第1端子がメス端子、第1ハウジングがメスハウジング、第2ハウジングがオスハウジング、第2端子がオス端子であってもよい。
【0071】
以上の説明では、突起部54dは、オスビーク54において、幅方向Yのほぼ中央に1つ形成されるものとして説明したがこれに限らず、複数形成されていてもよく、例えば、幅方向Yの両端に1つずつ形成されていてもよい。この場合、メスロック部73の切り欠き部も突起部54dの数に応じて複数設けられる。