【実施例】
【0100】
実施例1
ミシガン州立大学(Michigan State University)(MSU)Agronomy Center Fieldで成長されたハイブリッドコーン植物(ゼア・マイス(Zea mays)L.)からのコーンストーバー(CS)(穀物が収穫された後に残る全てのものであり、通常、穂軸を伴わない茎および葉を含む)を2007年10月に収穫し、30ガロンのごみ箱(trash bin)に収納した別々の5kgバッグ内で室温において貯蔵した。MSUのFarm Laneに位置するThelen Fieldで成長されたパニクム・ビルガツム(Panicum virgatum)L種子の低地変種である「Alamo」からのスイッチグラス(SG)は、2005年10月に収穫し、4℃のフリーザー内の密封したZiploc(登録商標)ブランドのプラスチックバッグ内で貯蔵した。
【0101】
CSおよびSGをそれぞれ、上記の米国特許第888号、176号、663号、および590号明細書に記載される方法に相当するが特定の修正を伴うAFEX(商標)処理にかけた。特に、従来のAFEX(商標)処理の場合のように、バイオマスに液体アンモニアを適用してアンモニアとバイオマスを反応させるのではなく、その代わりに、気体アンモニアを使用した。高温アンモニアガスをより冷たいバイオマス上で直接凝縮させることによって、アンモニアおよびバイオマスは十分に混合されることになる。
【0102】
気体AFEX(商標)前処理は、ミシガン州立大学(East Lansing,Michigan)のBiomass Conversion Research Laboratoryで実施した。他に記載されない限り、通常通りに装備された研究室で利用可能な標準的な実験室装置を使用した。保護ガラスサッシ最低面速度が75フィート/分の認可された換気フード内でAFEX(商標)前処理を実施した。
【0103】
この試験のためにParr Instruments Model 4524ベンチトップ反応器(以下、「4254反応器」)を使用した。まず反応チャンバを4254反応器の加熱マントルに入れた。温度プローブを反応チャンバの(約半分下方の)内壁に設置することによって、J型T結合温度プローブの一端をParr Instruments Model 4843 Modular(熱)コントローラ(以下、「4843コントローラ」)に、他端を反応チャンバに接続した。次に、温度プローブに適した約12.7cm(約5インチ)直径のレリーフを有する特注された円形ステンレスシート金属片によって反応チャンバを被覆した。コントローラを低に入れ(赤色ヒータースイッチ)、J型温度(青色)コントローラは約25℃±5℃の室温の読みを示した。
【0104】
コントローラからの(黄色)K型熱電対(赤色ディスプレイ)および(緑色)OmegaブランドのCX105圧力コネクタ(コネチカット州スタンフォードにオフィスがある)(緑色ディスプレイ)を簡単に接続させ、4254反応器カバープローブを試験した。赤色ディスプレイは約25℃±5℃の室温の読みを示した。緑色ディスプレイは、−0.34〜約0.34atm(約−5〜約5psig)の1atmゲージ圧の読みを示した。次に、黄色および緑色のコネクタおよび4254反応器カバーを脇に置き、青色予熱温度をオンにして、4254反応器を室温+20℃の標的温度まで予熱した。青色ディスプレイを約5分間観察して、青色温度が約3℃/分の速度で上昇することを確実にした。
【0105】
Sartorius MA35水分分析計(Goettingen,ドイツ)を用いて、バイオマスサンプルのそれぞれの水分含量を決定した。サンプルの初期水分測定は、通常、5〜10%であった。4254反応器に添加した各サンプルの重量は、150gの乾燥重量、すなわち「乾燥バイオマス」であった。次に、150gの乾燥バイオマスをもたらす量のバイオマスを秤量した(全水分の計算により与えられる)。例えば、5%の水分含量を含有するバイオマスサンプルの場合、以下の計算が成されるであろう:バイオマス中の水x(g)=(乾燥バイオマス150g/(1−0.05)−乾燥バイオマス150g)。「x」を解くと、バイオマス中7.9gの水の存在が得られる。従って、この例では、乾燥重量150gのバイオマスの添加は、5%水分含量の157.9gのバイオマスサンプルを秤量して添加することを含むであろう。
【0106】
次に、各サンプルに添加すべき脱イオン水の量を決定するための計算を行った。コーンストーバーの場合、所望の水分含量は37.5%であった。スイッチグラスの場合は、所望の水分含量は45%であった。これらの値は、AFEX(商標)後の酵素加水分解からの最大のグルコースおよびキシロース収率を得るためのそれぞれのバイオマスの最適な水分を示すために選択された。
【0107】
従って、7.9gの水が既に存在するが37.5%の水分含量を必要とするコーンストーバーサンプルの場合、以下の計算が行われるであろう:バイオマスに添加すべき水x(g)=(乾燥バイオマス150g/(1−0.375)−150g−バイオマス中に既に存在する水7.9g。「x」を解くと、添加すべき水82.1gが得られるであろう。この例における乾燥重量150gのコーンストーバーサンプルの全重量は、82.1+g+7.9g+150g=240gになるであろう。水のボトルを用いて、全重量(乾燥バイオマス(g)+所望される水(g))が達成されるまで各バイオマスサンプルに水を霧状に吹き付けた。バイオマスを攪拌することによって、バイオマスを水で均一に覆った。
【0108】
208gの最大充填レベルを有する空の500mlアンモニアシリンダー(Swagelok Co.(イリノイ州シカゴにオフィスがある)によって製造された高圧Swagelok(登録商標)Series 83双方向ボールバルブが両端に取り付けられたParker 500 ml spun 316ステンレス鋼圧力容器(以下、「Parkerシリンダー」)を秤量した。このステップの完了後にシリンダー内に残ったおおよその残留アンモニアは8gであると決定されたので、必要とされるアンモニア量の重量に8gを加えることにより、シリンダーと、AFEX(商標)前処理に必要とされるアンモニアとの全重量を決定した。
【0109】
アンモニアタンクの入口バルブを開けた後、Parkerシリンダーの入口バルブを開けることによって、Airgas,Inc.(Radnor,PA)によって製造されるAirgas(商標)ブランドのストックアンモニアタンク(サイフォン管を有する)にParkerシリンダーを取り付けた。冷たくなり、そしてシリンダーから充填ノイズが聞こえなくなるまでParkerシリンダーを充填させた(経過時間は約1分であった)。アンモニアタンクの出口バルブを約1/4のところで開けた。数回の試行の後、158gのアンモニアをParkerシリンダーに添加するために約20秒かかることが決定された。その後、Parkerシリンダーの出口バルブから始まり、最後はアンモニアタンクの出口バルブまでの全てのバルブを閉鎖した。Parkerシリンダーを秤量して、全重量が予想重量と等しいことを確認した。重量が大き過ぎる場合には、フードの下でいくらかのアンモニアを放出した。不十分な場合には、上記のステップを繰り返した。
【0110】
この時点でアンモニアを含有しているParkerシリンダーを、まずBH ThermalブランドのBriskheat(Columbus,OH)ヒートテープに包み、BH ThermalブランドのBriskheat(Columbus,OH)ヒートテープコントローラにプラグで接続することによって加熱した。シリンダー圧力は0〜125psigから開始された(充填ステップの間に冷たくなるので、シリンダー内部のアンモニアの温度に依存する)。Parkerシリンダーを600psig(40バール)に加熱したが、「より冷たい」反応(80℃)の場合の400psig(27バール)から、熱い反応(160℃)の場合の1000psig(70バール)まで調整可能である。圧力はゆっくり上昇したが、常に0.034atm/秒(5psig/秒)よりも小さい速度であった。
【0111】
次に所望のバイオマスを反応チャンバに添加した。(黒色)温度プローブを反応チャンバから取り出し、反応チャンバの外表面温度を測定できるようにヒーターマントル側面のスロットに入れた。(青色)ディスプレイ温度を最初の予熱よりも+20度高く調整し(矢印キーを用いて)、反応チャンバの連続加熱を可能にした。
【0112】
反応チャンバのカバーを元のところに置き、漏斗を追加した。次に、選択されたバイオマスサンプルを漏斗から反応チャンバ内に流し込んだ。添加したら、(黄色)温度プローブチップをバイオマスによって完全に被覆し、カバーのアンモニア投入ノズルから約2.54cm(約1インチ)であることを観察した。次に漏斗を除去し、カバーを4254反応器の上部に戻し、ブラケットをボルトで堅く締め、適所に密封した。
【0113】
次に、Parkerシリンダーを反応チャンバに取り付けた。Welch Model 8803真空ポンプ(Niles,Illinois)も反応チャンバに取り付けた。4524反応器の真空バルブを開き、真空のスイッチを入れて4254反応器から空気を1分間ポンピングした。真空バルブを閉じて、真空のスイッチを切った。(黄色)温度プローブおよび(緑色)圧力コネクタを4843コントローラにプラグで接続した。反応チャンバ(のみ)へつながるアンモニアシリンダーのバルブを開いた。
【0114】
Parkerシリンダーに接続された4254反応器バルブを開くことにより、AFEX(商標)反応を開始させた。Parkerアンモニアシリンダーと反応チャンバとの間の圧力が等しくなったら、アンモニアシリンダーと反応チャンバとの間のバルブを閉鎖した(すなわち、約1分後)。Parkerシリンダー上のヒートテープも止めた。4843反応器ヒーターは、予熱に使用した最初の温度よりも20℃高い温度で低の設定のままにした。約1分後、最高の(赤色)ディスプレイ温度および(緑色)圧力を記録した。(赤色)ディスプレイ温度が1分以内に100℃よりも高温に達しなかった場合は、原料が温度プローブに触れていないことを意味する。温度および圧力をその後およそ5分ごとに記録した。
【0115】
以下に記載される膨張ステップの約5分前に開始して、真空を4524反応チャンバカバーから切り離した。アンモニアシリンダーパイプを反応チャンバカバーから除去した。4524の圧力放出バルブがヒューム換気フードの裏面に向くように反応チャンバを回転させた。換気フードサッシを最大面速度(推奨75フィート/分)に調整した。膨張ステップ:防音保護具を着用した。圧力放出バルブを急速に開くことによって4524内のアンモニア圧力を放出した。
【0116】
反応チャンバのカバーを除去した。バイオマスを取り出し、トレイに入れて、換気フードの下に放置し、アンモニア蒸気を揮発させた。AFEX(商標)バイオマスを一晩空気乾燥させた。Parkerシリンダーを秤量し、バイオマスに適用したアンモニアの残留グラム数を決定し、重量を記録した。残りのアンモニア(約8g)を換気フードの内側でParkerシリンダーから放出した。
【0117】
実施例2
出発材料およびサンプル調製
実施例1に記載されるものと同じ源から得られたコーンストーバー(CS)を使用した。各タイプのバイオマスのそれぞれ2kgの2つのサンプルを、次に、実施例1に記載される方法に従ってAFEX(商標)前処理にかけた。前処理の後、ブリケッティング装置(Federal Machine Co.d/b/a ComPAKco,LLC,Fargo,ND)を用いてサンプルを高密度化して、AFEX(商標)コーンストーバー(AFEX(商標)−CS)ブリケットおよびAFEX(商標)スイッチグラス(AFEX(商標)−SG)ブリケットを製造した。
【0118】
図1は、7gのAFEX(商標)−CS102、12gのAFEX(商標)−SG104、22gのAFEX(商標)−CS106ブリケットおよび23gのAFEX(商標)−SGブリケット108)を含む4つの得られた製品の画像を示す。AFEX(商標)−CSおよびAFEX(商標)SGブリケット(それぞれ、106および108)は、実質的に矩形の形状を有する。ブリケット106および108はいずれも、幅約2.54cm(約1インチ)、奥行き約1.27(0.5インチ)、および長さ約10.16〜約12.7cm(約4〜約5インチ)であった(ブリケット長さはComPAKco機械における特定の設定使用に依存する)。
【0119】
この画像は、AFEX(商標)−CS102およびAFEX(商標)−SG104などの7〜12グラムだけの非ブリケット化(すなわち、ルーズな)バイオマスは、AFEX(商標)−CSブリケット106およびAFEX(商標)−SGブリケット108などの22または23gのブリケットよりも多くの空間を占有することを説明する。この場合、非ブリケット化バイオマス(102および104)は、ブリケット化バイオマス(106および108)よりも約570〜約980%多い空間を占有する。
【0120】
図2は、種々の実施形態に従う、バインダーを含有する非AFEX(商標)−CSブリケットおよびAFEX(商標)−CSブリケットの画像を含む。
【0121】
実施された試験
いくつかの付加的なサンプルを上記の方法で調製し、Carr,R.L.Jr.1965.「Evaluating flow properties of solids」.Chemical Engineering 72(3):163−168に記載される方法に従って安息角(Angle of Repose)(°)などの予備的な物理試験を行った。
【0122】
熱伝導度(W/m℃)は、Baghe−Khandan,M.,S.Y Choi,and M.R.Okos.1981,「Improved line heat source thermal conductivity probe」,J.of Food Science 46(5):1430−1432に記載される線熱源プローブ技術を用いる熱特性メータ(KD2、Decagon Devices,Pullman,WA)により決定した。
【0123】
水分活性は、目盛り付き水分活性メータ(AW Sprint TH 500,Novasina,Talstrasse,スイス)を用いて測定した。
【0124】
バルク密度(kg/m
3)、真密度(kg/m
3)および多孔率は、Sahin,S.and S.G.Sumnu.2006,「Physical properties of foods」,New York,NY:Springer Science Media,LLCに記載されるように、マルチボリュームピクノメータ(multivolume pycnometer)(Micromeritics model 1305,Norcross,GA)を用いて決定した。
【0125】
水分含量は、ASAE Standards.51
sted.2004.S352.1:「Moisture measurement−−Grain and seeds」,St.Joseph,Mich.:ASABEに記載されるように、ISOTEMP実験室スケール(モデル番号:838F,Fisher Scientific,Pittsburg,PA)を用いて、ASAE標準方法S352.1によって決定した。
【0126】
色特性(L
*、a
*、b
*)は、分光比色計(LabScan XE,Hunter Associates Laboratory,Reston,VA)を用いて測定した。
【0127】
真円度および真球度は、DPデジタルカメラを備えたOlympus SZH10立体顕微鏡を用いた後、Image Pro Plus(登録商標)ソフトウェアによる粒子の画像分析を用いて決定した。
【0128】
水溶性指数(%)および吸水率(−)は、Anderson,R.A.,H.F.Conway,V.F.Pfeifer,and E.L.Griffin.1969,Gelatinization of corn grits by roll and extrusion cooking,Cereal Science Today 14(1):4に記載される方法を用いて計算した。
【0129】
結果は以下の表1に示される。
【0130】
結論
AFEX(商標)−CSブリケット(例えば、106)およびAFEX(商標)−SGブリケット(例えば、108)は比較的平滑な表面を有し、取扱いの間、うまく結びついていた。コーンストーバーおよびスイッチグラスの両方のAFEX(商標)ブリケットは、非ブリケット化AFEX(商標)サンプルと比較して、より低い多孔率、水吸着指数(water adsorption index)、水分活性、および水分含量を有する。このような特性は、ブリケット化バイオマスの改善された貯蔵性の表示である。またブリケットのより低い多孔率、より高いバルク密度およびより高い真密度は低減された輸送コストを示す。
【0131】
ブリケットは、表1に示されるようなその他の望ましい特性を示した。特に、ブリケットは、高い安息角を実証した。ブリケットの安息角は、上側のブリケットが下側のブリケットの上を滑り落ち始める際の、水平面と2つのブリケット間の接触面との間の角度であると定義される。これは摩擦角としても知られている。従って、粒子は、45度の期待値を有する。本明細書において試験したコーンストーバーブリケットおよびスイッチグラスブリケットはいずれも安息角の期待値よりも高い値を示し、表1に示されるように、それぞれ57.4および60.6であった。これらの値は、ブリケットが実質的に矩形の形状であることに関連する可能性が高い。
【0132】
実施例3
この実験の目的は、AFEX(商標)−CSバイオマス(すなわち、非ブリケット化)と比べて、AFEX(商標)−CSブリケットの加水分解特性を比較することであった。
【0133】
出発材料
実施例1に記載されるものと同じ源から得られたコーンストーバー(CS)を使用した。実施例1に記載される方法と同様にして、CSにおいてAFEX(商標)前処理を実施した。実施例2に記載される方法に従ってブリケットを作った。
【0134】
試験サンプルには、1.7gのAFEX(商標)−CSバイオマスと、1.6gのAFEX(商標)−CSブリケットと、浸漬AFEX(商標)−CSブリケットを製造するために加水分解前に100ml量の脱イオン水に25℃で5分間浸漬された2.2gのAFEX(商標)−CSとが含まれた。
【0135】
手順
500mlのビーカーに入れた後、標準実験室プロトコルに従って、各サンプルにおいて1%の固体負荷で酵素加水分解を実施した。例えば、Shishir P.S.Chundawat,Balan Venkatesh,Bruce E.Dale,2005,Effect of particle size based separation of milled corn stover on AFEX
TMpretreatment and enzymatic digestibility,Biotechnology and Bioengineering,Vol.96,Issue 2,pp 219−231を参照されたい。
【0136】
15ろ紙単位(FPU)の酵素、具体的にはSpezyme(登録商標)CP(Genencor(登録商標)、Danisco Division、ニューヨーク州ロチェスターにオフィスがある)全セルロースを添加した。New BrunswickインキュベータInnova 44、(Edison,NJ)内で150RPMにおいて振とうさせながら、サンプルをインキュベータ内において50℃でインキュベートした。6時間、24時間および72時間のインキュベーション時間で、観察およびサンプリングを行った。
【0137】
結果
得られた加水分解物の目視検査により、3つのサンプルはそれぞれ、水の添加の直後に完全に溶解したことが示される(
図3B)。従って、3つのサンプルが全て実質的に同じ時間で実質的に同程度まで加水分解したことは明らかである。
【0138】
インキュベータから採取した約2mlのサンプルをろ過し、Shimadzu高圧液体クロマトグラファー(HPLC)Model LC−2010HT w/ELSD−LTを通して、グルカンおよびキシラン変換を決定した。
【0139】
図3A〜3Eは、AFEX−CS、AFEX−CSペレット、および浸漬AFEX−CSペレットを含む3つのバイオマスサンプルの、種々の時点で撮影された画像である。
図4Aおよび4Bは、
図3A〜3Eに示されるサンプルのグルカン変換を示す、比較の加水分解グラフである。図示されるように、グルカン変換は、各サンプルにわたって実質的に同じままである。
【0140】
表2は、種々の時点でサンプルのそれぞれにおいてグルコースに変換されたグルカンのパーセントを示す。
【0141】
表3は、サンプリングの合間に生じた全グルコースの割合を示す。
【0142】
表4は、キシロースに変換された全キシランの割合および加水分解前の各サンプル中の全キシランを示す。
【0143】
表5は、サンプリングの合間に生じた全キシロースの割合を示す。
【0144】
結論
AFEX(商標)−CSブリケットにおける実質的に即座の加水分解(例えば、湿式および分散)によって、コーンストーバーバイオマスのブリケット化は加水分解に影響を与えないことが実証される。他のバイオマス材料から製造された他のAFEX(商標)ブリケットも同様の挙動をすると思われる。実際に、
図3Bが示すように、各ブリケット内のバイオマスのほとんどが6時間以内に糖に変換され、これは、非ブリケット化AFEX(商標)−CSバイオマスサンプルと遜色がない。さらに、両方のブリケット(AFEX(商標)−CSブリケットおよび浸漬AFEX(商標)−CSブリケット)とも、非ブリケットサンプルとほぼ同じ程度まで加水分解した。この決定は、72時間後に残存する固体がないことを観察することによって行われた(
図3E)。3つのサンプルは事実上同じ変換を有したので、72時間で試験を完了させた。これらの結果は、
図4Aおよび4Bで確認される。
【0145】
実施例4
この試験は、AFEX(商標)−CSペレットと、非AFEX(商標)−CSペレット、すなわち前処理にさらさなかったペレットとの間の硬度比較を決定するために実施した。
【0146】
出発材料
実施例1に記載されるものと同じ源から得られたCSをこの試験で使用した。CSの一部を実施例1に記載されるようにAFEX(商標)前処理にかけた。ペレット化の前に、AFEX(商標)処理バイオマスに対して付加的な処理は実施せず、添加バインダーおよび人工乾燥(試験手順の過程において、外気中、室温で生じる蒸発はどれも無視できると考えられる)を含まなかった。
【0147】
残りの部分は、ペレット化の前にCS100g当たり約5〜10gの水を添加して、バイオマスの水分含量を15%にすることを含む異なる(非AFEX(商標))手順を受けた。
【0148】
ジョージア大学(University of Georgia)(Athens,GA)のDriftmier Engineering Laboratoryからのロッジポールパインバイオマスも同様の非AFEX(商標)手順を受け、バイオマス水分が15%よりも多いと測定されたので、12〜15%の水分含量になるまで乾燥器に入れた。
【0149】
現在産業標準であると考えられるペレットを製造する遠心ダイミル(centrifugal die mill)のYankee Pellet Machine Model 400(Yankee Pellet Mill,Effingham,NH)を用いて、10個のAFEX(商標)−CSペレットおよび10個の非AFEX(商標)−CSペレットを形成した。California Pellet Machine,Model CL(CPM,Crawfordsville,IN)を用いて、10個の非AFEX(商標)パインペレットをペレット化した。
【0150】
これらの機械の両方で製造したペレットは実質的に円筒形の形状を有し、直径約6mmである。長さは所望される通りに変えることができるが、通常、上記の実施例2で使用される装置よりも均一である。試験の目的のために、ペレットは約1インチであった。
【0151】
手順
400PSIゲージの12T Carver Laboratory Hydraulic Press/Hardness試験装置(Carver,Wabash,IN)を用いて、ペレットを硬度について試験した。具体的には、この試験は、各ペレットを、その降伏強さを超えて破砕するために必要とされる力の量を測定した。「降伏強さ」の決定は、訓練された観察および「感触」によって行った。具体的には、試験者が、ペレットが「撓む(give)」ことを観察し、感じるまで各ペレットに圧力を加えた。複数のペレットを試験し、平均硬度、すなわちペレットを屈曲させるのに必要とされる圧力(表6)と、平均変形(表7)とを決定した。
【0152】
結果
硬度比較結果は、以下の表6に示される。
【0153】
ペレットが「撓んだ」後の各ペレットの最終直径の測定も行った。これらの測定は表7に示される(データは、表6と比較してランダムにされていることに注意)。
【0154】
非処理のバインダー添加されたコーンストーバーペレットの平均降伏点は98psi+25psiであった。AFEX(商標)の非バインダー添加コーンストーバーペレットの平均降伏点は119psi+20psiであり、非AFEX(商標)バインダー添加ペインペレットの平均降伏点は98psi+23psiであった。
【0155】
全ての円筒形ペレットは、開始直径6.00mmを有した。非処理のバインダー添加コーンストーバーペレットの降伏点の平均変形は1.06mm+0.36mmであった。AFEX(商標)の非バインダー添加コーンストーバーペレットの降伏点の平均変形は0.95mm+0.24mmであり、非AFEX(商標)のバインダー添加パインペレットの降伏点の平均変形は1.06mm+0.23mmであった。
【0156】
結論
AFEX(商標)ペレットは、非AFEX(商標)ペレットと比較して大きい耐久性を示した。AFEX(商標)ペレット品質も非AFEX(商標)ペレットよりも一貫性がある。従って、所与のAFEX(商標)ペレットはどれも、非AFEX(商標)ペレットと比べて、変形または外観を損なう(円筒形ではない)可能性が低いことが予想される。
【0157】
実施例5
この試験は、非AFEX(商標)CSペレットと比較して、AFEX(商標)−CSペレットのバルク密度を決定するために実施した。
【0158】
実施例4に記載される方法に従って製造したAFEX(商標)−CSペレットおよび非AFEX(商標)CS(直径約6mmおよび長さ約1インチ)を500mlのビーカーに添加し、秤量した。
【0159】
非AFEX(商標)CSペレットは約36lb/ft
3(553g/L)のバルク密度を有し、AFEX(商標)−CSペレットは、約約38lb/ft
3(578g/L)のバルク密度を有した。
【0160】
この予備試験が示すように、AFEX(商標)−CSペレットは、非AFEX(商標)CSペレットよりも高いバルク密度を示した。これは、恐らく、非AFEX(商標)ペレットの粗フレーク状の外側表面と比較して、その平滑な非フレーク状の外側表面(これは、その流動性を改善することも予想される)のためである。より大きいスケールで実施される試験は、バルク密度の違いが遥かにより大きいことを実証し得ることが予想される。恐らく、小さいサイズの容器によって生じるエッジ効果は、この予備試験における重要な因子であった。
【0161】
また、1インチペレットよりも長いペレットを重みで互いに押し下げて、より高密度でより高質量を得ることも可能である。あるいは、より短いペレットは、より良く固まり得る。所与の用途のためにペレットサイズを最適化し、従って全体のバルク密度を最適化するために、さらなる試験(より大きい容器におけるものを含む)が実施されるであろう。
【0162】
実施例6
この試験では、非処理コーンストーバーブリケットの種々の特性を、AFEX(商標)処理コーンストーバーブリケットと比較した。
【0163】
出発材料
実施例1に記載されるものと同じ源から得られたコーンストーバー(CS)を使用した。実施例1に記載される方法と同様にして、CSにおいてAFEX(商標)前処理を実施した。実施例2に記載される方法に従ってブリケットを作った。
【0164】
手順
標準手順に従って、表8および9に示される結果を得た。具体的には、全水分:ASTM E871、灰分含量:ASTM D1102、硫黄含量:ATSM D4239、一定容積における総発熱量(Gross Caloric Value):ASTM E711、塩素含量:ASTM D6721、バルク密度:ASTM E873、微粉(0.32cm(0.125インチ)よりも小さい粒子):Twin Peaks Test CH−P−06、耐久性指数:Kansas State法、3.8cm(1.5インチ)よりも上のサンプル:Twin Peaks Test CH−P−06、最大長:Twin Peaks Test CH−P−06、直径,範囲:Twin Peaks Test CH−P−05である。本明細書で言及される耐久性指数に到達するために使用されるタンブリング方法は、「Kansas State法」として知られている
。
【0165】
結果
結果は、以下の表8および9に示される。
【0166】
結論
表8および9の結果が示すように、AFEX(商標)ブリケットは増大された総発熱量を有する。すなわち、AFEX(商標)ブリケットは、非処理ブリケットと比較して、AFEX(商標)ブリケット中に存在する水分がより少ないために、約4.8%より効率的に燃焼する。具体的には、非AFEX(商標)からAFEX(商標)へのカロリーの増大は次のように計算された:7388Btu/lb–7048Btu/lb=340Btu/lb(または748Btu/kg)。従って、非AFEX(商標)からAFEX(商標)への増大%は、(340Btu/lb)/(7048Btu/lb)*100%=4.8%である。さらに、バルク密度は平均7%増大し、約3.5lb(1.6kg)の重量のAFEX(商標)ブリケットバッグ(beg)中の微粉(すなわち、0.125cm未満の直径を有する破片)の量は、ほぼ同じ重量を有する非処理コーンストーバーのブリケットバッグと比較して約65%減少した。
【0167】
さらに、この試験においてAFEX(商標)ブリケットと非AFEX(商標)ブリケットの間で、「耐久性指数」は実質的に同一であったが、耐久性の試験方法は、上記の例で記載される破壊試験と比べて、簡単なタンブリング実験(「Kansas State法」)であった。従って、必要とされる分別を引き起こすには不十分なエネルギーが提供され、ブリケットを適切に識別することができない。いずれにしても、高耐久性指数は、AFEX(商標)ブリケットがブリケット産業で使用するために適切であることを示す。
【0168】
実施例7
この試験は、非ペレット化AFEX(商標)処理コーンストーバーと比較して、ペレット化AFEX(商標)処理コーンストーバーの吸水能力を決定するために実施した。
【0169】
従来のマルチパスで低穂軸のコーンストーバーを収穫し、2011年10月23日にアイオワ州立大学(Iowa State University)(ISU)で梱包した。ストーバーは、GPS座標(北42.21、西−93.74)に位置するフィールドから入手した。穀物収穫の後、Hiniker 5600 Series横吐出ウィンドローイング・ストーク・チョッパー(windrowing stalk chopper)を用いて、コーンストーバーを列に並べ、Massey Ferguson MF2170XDラージ・スクエアー・ベーラー(large square baler)を用いて梱包した。ベールを防水シートの下で貯蔵し、次に、Vermeer BG 480ミルを用いて約1インチの粒径に製粉した。次に、梱包したコーンストーバーを5%未満の水分含量に乾燥させた。
【0170】
またコーンストーバーを複数の源のブレンドからも入手したが、主な源は、刻んだコーンストーバーとして2002年にコロラド州レイの農場によって提供されるように、国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)である。コーンストーバーを乾燥させてから、使用前にWiley Mill(Thomas Scientific,Swedesboro,NJ)において約5mmの粒径に粉砕した。
【0171】
内径10cmrおよび高さ90cmを有する鉛直圧力容器(以下、「容器」)内に、それぞれ1L当たり100gの乾燥物質の密度で詰め込むことによって、2つのコーンストーバーサンプルにおいてAFEX(商標)前処理を実施した。蒸留水を添加することにより水分レベルを調整し、水分含量を約25%に増大させた。10〜15psigおよび質量流量1グラム/秒で飽和水蒸気を容器の上部から導入し、約10分間底部で放出することによって、得られたコーンストーバー床を加熱した。コーンストーバーの最終水分含量は約40%であった。
【0172】
容器の底部を密封し、圧縮した無水アンモニア蒸気を上部に導入した。このアンモニア処理ステップの間の最大圧力は200psigに達した。1:1アンモニア:乾燥コーンストーバーの比率が達成されるまでアンモニアを添加した。コーンストーバーの温度は、最初は約80〜約100℃であり、徐々に約30〜約50℃まで低下した。
【0173】
約30分の滞留時間の後、蒸気を底部から流出させることにより、圧力を容器から解放した。次に、1グラム/秒の質量流量で水蒸気を容器の上部から導入し、底部から放出することによって、残留アンモニアをコーンストーバーから除去した。約20分後に、水蒸気流を停止させ、コーンストーバーを容器から取り出した。次に、50℃の対流式オーブン(Blue M Electric Company Class A Batch Oven,Blue Island,IL)内でAFEX(商標)処理コーンストーバーを乾燥させた。
【0174】
Buskirk Engineering(Ossian,IN)PM610フラット・ダイ・ペレット・ミル(以下、「ペレットミル」)を用いて、ペレット化を実施した。直径0.25インチの円形孔を有するダイを使用した。AFEX(商標)処理コーンストーバーに水道水を添加し、所望の水分含量が得られるまで手で混合した。コーンストーバーがダイの上に敷き詰められた状態に保つのに十分な速度で、約3〜約5kgの間の重量のコーンストーバーの3つのサンプルをペレットミルに手作業で添加した。次に、ローラーがコーンストーバーをダイからプレスし、ペレットを生じさせた。ペレットを捕集し、Blue M対流式オーブンで乾燥させた。
【0175】
サンプル番号1および2は、Coloradoから供給されて粒径5mmに製粉され、水分12%および水分50%でそれぞれペレット化されたコーンストーバーを含んでいた。サンプル番号3および4はISUから得られた1インチのコーンストーバーであり、それぞれ、水分20%でペレット化したもの、およびペレット化しなかったものである。
【0176】
500mLのErlenmeyerバッフル付フラスコ内でサンプルを蒸留水に全重量250gで添加し、50℃の振とうフラスコインキュベータに一晩入れ、水を吸収させて、ペレット形状を破壊した。OHaus(Parsipanny,NJ)MB25水分分析計を用いて、ペレット化バイオマスおよびルーズなバイオマスの水分含量を測定した。ペレット化サンプル(番号1〜3)については、乾燥重量37.5gのコーンストーバーサンプルを各フラスコに添加し、サンプル番号4については乾燥重量25gのコーンストーバーを添加した。各フラスコに蒸留水を添加し、全重量を250gまで増大させた。一晩浸漬した後、サンプルを取り出し、真空ろ過によりWhatman#1セルロースフィルタを通してろ過した。
【0177】
全ての液体が排出されたら、真空を切った。次に、液体の体積を測定した。回収した液体の最終体積と添加した水の全体積との間の差として吸水能力を測定した。この測定により、完全な混合を仮定すると、加水分解の初期段階において15%固体で存在する自由液体(成分の全重量の割合として)の計算が可能になる。結果は、表10に示される。
【0178】
これらの結果は、15%固体負荷において様々な水分含量のペレット化コーンストーバーを水に添加することができ、水をその全質量の約18〜約26%の間で液体として保持できることを実証する。自由液体の量は、粒径5mmで製造されたペレットと比べて、粒径1インチのコーンストーバーを用いて製造されたペレット(サンプル番号3)においてかなり増大される。これは恐らく、より大きい粒径のコーンストーバーはダイによる圧縮が増大されているからであり、コーンストーバー内の毛管容積が低減され、従って吸湿能力が低下する。この自由液体の量は、固体が懸濁液中に残存し、これが加水分解などの下流プロセスのための混合も可能にし得ることを保証することができる。
【0179】
実施例8
この試験は、ペレット化AFEX(商標)処理コーンストーバーのバルク密度および貯蔵寿命ならびに加水分解の初期速度に対する混合の影響を決定するために実施した。
【0180】
貯蔵性およびバルク密度
実施例7に記載されるようにして、コーンストーバーを入手し、AFEX(商標)処理し、高密度化した。前述のペレットに加えて、コロラド州レイから入手したAFEX(商標)処理コーンストーバーから25%および35%の水分含量のペレットも製造し、5mmスクリーンを通して製粉した。
【0181】
ペレット化の後、約10gのペレットを密封プラスチックバッグに入れ、1か月にわたって観察した。さらに、15%未満の水分含量まで乾燥させたペレットをプラスチック容器内に密封し、これも1か月にわたって観察した。目に見える真菌増殖が生じなければ、サンプルが十分な貯蔵寿命を有すると考えた。残りのペレットを、実施例7に記載される50℃の対流式オーブン内で、15%未満の水分含量が得られるまで乾燥させた。
【0182】
バルク密度は、乾燥ペレットを1000mLのビーカーに入れることにより測定した。ペレットの均一な沈降を保証するためにビーカーを軽く振とうさせ、0.01gの感度のはかり(OHaus GT 4000)を用いて秤量した。(全重量−ビーカー重量)
*(1−水分含量)/1Lとして、ペレットのバルク密度を計算した。
【0183】
50%の水分含量で製造し、プラスチックバッグに入れたペレットは、24時間後に真菌増殖の徴候を示し始めた。7日以内にペレットは白色の真菌に完全に覆われた。35%の水分含量で製造し、プラスチックバッグに入れたペレットは、3日以内に真菌増殖を示し始めた。7日以内にペレットは白色の真菌に完全に覆われた。比較すると、12%、20%、および25%の水分含量で製造したペレットは、少なくとも1か月間は、真菌増殖を少しも生じさせないと思われた。同様に、ペレットを20%未満の水分含量まで乾燥させると、全てのサンプルは、少なくとも1か月間、真菌増殖が全くないと思われた。
【0184】
ペレットのバルク密度は、対照としての非処理のルーズなコーンストーバーおよびAFEX(商標)処理されたルーズなコーンストーバーと共に、
図6に示される。
図6が示すように、ペレットのバルク密度は、50g/L(非処理コーンストーバー)からほぼ600g/L(12%の水分含量でペレット化された材料)まで増大した。高水分含量でペレット化されたコーンストーバーではバルク密度の著しい低下が見られるが、バルク密度は、従来のベール(120kg/m
3)およびルーズなAFEX(商標)処理コーンストーバー(約80kg/m
3のバルク密度を有する)の場合よりもまだ高い。
【0185】
バルク密度に関して、AFEX(商標)処理コーンストーバーペレットは、全重量基準で12〜50%の間のどの水分含量においても製造することができ、2mmから25mm(1インチ)の範囲の粒径で製造することができ、200kg/m
3よりも高いバルク密度が保持される。ペレットは、さらにより高いおよび/または低い水分含量で製造できることが可能である。しかしながら、より乾燥したペレットは、より高いバルク密度およびより長い貯蔵可能期間を提供する。
【0186】
加水分解速度に対する混合の影響
ISUから入手した1インチのコーンストーバーを使用した。さらに、同一のコーンストーバーを入手してAFEX(商標)処理したが、ペレット化はしなかった。
【0187】
サンプル番号1、2、および3については、18%の固体負荷で酵素加水分解を実施した。加水分解は、2.8Lのバッフル付Erlenmeyerフラスコにおいて実施した。各フラスコに、500mLの0.1Mのクエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝液(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)をpH4.5で添加した。Novozymes CTec2セルロース酵素およびNovozymes HTec2ヘミセルロース酵素を、それぞれ1260mgおよび540mgのタンパク質レベル(コーンストーバー1g当たり7mgおよび3mg)で各フラスコに添加した。蒸留水を添加して、溶液の全重量を、1000gから乾燥重量180gのコーンストーバーの重量を差し引いた量にした。
【0188】
サンプル番号4については、24%の固体負荷で酵素加水分解を実施した。加水分解は、125mLのバッフル付Erlenmeyerフラスコにおいて実施した。各フラスコに、25mLの0.1Mのクエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝液(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)をpH4.5で添加した。Novozymes CTec2セルロース酵素およびNovozymes HTec2ヘミセルロース酵素を、それぞれ84mgおよび36mgのタンパク質レベル(コーンストーバー1g当たり7mgおよび3mg)で各フラスコに添加した。蒸留水を添加して、溶液の全重量を、50gから乾燥重量12gのコーンストーバーの重量を差し引いた量にした。
【0189】
サンプル番号1では、非ペレット化AFEX(商標)処理コーンストーバーをフェッドバッチ式で添加し、加水分解の最初に材料の半分(90gの乾燥重量)を添加し、半分(90gの乾燥重量)を3時間後に添加した。サンプル番号2では、非ペレット化AFEX(商標)処理コーンストーバーを全て直ちに添加した(乾燥重量180g)。サンプル番号3では、ペレット化AFEX(商標)処理コーンストーバーを全て直ちに添加した(乾燥重量180g)。サンプル番号4では、ペレット化AFEXTM処理コーンストーバーをフェッドバッチ式で添加し、加水分解の最初に半分(乾燥重量6g)を添加し、半分(乾燥重量6g)を3時間後に添加した。最初のバイオマスを添加した後、フラスコを50℃の振とうフラスコインキュベータに入れ、200RPMで回転させた。1時間毎にサンプルを目視検査し、手動で旋回させて、液体培地の流動性およびバイオマス微粒子を懸濁させる能力を決定した。
【0190】
酵素添加の6時間および24時間後に1mLのサンプルを取り、糖の生成についてHPLCにより分析した。Biorad(Hercules,CA)Aminex HPX 87Pカラムを使用し、カラムを85Cで加熱し、流速0.6mL/分で個々の糖を分離した。Waters 2414屈折率検出器(Milford,MA)を用いて糖を定量した。
【0191】
この実施例で実施される加水分解などの、本明細書に記載される種々の実施形態に従って実施することができる例示的な加水分解の視覚的な表示は、
図7A〜7Hに示される。加水分解可能な高密度化微粒子706(例えば、サンプル番号3)の加水分解は、
図7A〜7Dに示される。
図7Aに示されるように、加水分解は0時間に始まり、いくつかの加水分解可能な高密度化微粒子706が、水位線704Aを有する一定量の液体(水など)を含む容器702に入れられる。0.5時間以内に、
図7Bに示されるように、粒子709を含有する懸濁液708Aが形成され、水位線704Aよりも上に加水分解可能な高密度化微粒子706は見られない。
図7Cおよび7Dに示されるように、粒子は加水分解の最初の6時間を通して、そしてその後も懸濁液中に留まる。所望される場合には、3時間の時点で付加的な加水分解可能な高密度化微粒子706を任意選択で添加して、
図7Cに示されるように、固体負荷をさらに増大させることができる(例えば、サンプル番号4)。
【0192】
対照的に、
図7E〜7Hに示される従来のルーズなバイオマス繊維の加水分解(例えば、サンプル番号2)においては、ルーズなバイオマス繊維および液体(水など)はすぐに結合して、
図7Eに示されるように湿ったルーズなバイオマス繊維710を形成し、混合は、
図7Fに示されるように0.5時間の時点でも生じなかった。
図7Gに示されるように3時間の時点までに、水位線704Bは初めて目に見える。同等の量の出発材料の場合、この水位線704Bは、
図7A〜7Dに示されるような、すなわち加水分解可能な高密度化微粒子706が基質として使用される場合の水位線704Aよりも低い。
【0193】
図7Gに示されるように自由水が最終的に存在するにもかかわらず、粒子709を含有する懸濁液708Bは、水位線704Bの上下の両方に存在する混合されない湿ったルーズなバイオマス繊維710の存在によって妨害される。しかしながら、
図7Hに示されるように6時間の時点で、湿ったルーズなバイオマス繊維710は十分に加水分解されており、従って、全ての固体(710)はこの時点で粒子709に変換されており、懸濁液708B中に留まる(
図7Dに相当する)が、懸濁液708B中の糖の濃度はより低い。
【0194】
これらの略図が実証するように、加水分解可能な高密度化微粒子706では加水分解が初期により速く生じるだけでなく、比較的短い期間(例えば、加水分解サイクルのおよそ半分よりも短い)の後に、付加的な加水分解可能な高密度化微粒子706を任意選択で添加することができる。すなわち、より高い固体負荷が可能であり、従って、得られる
図7Dの懸濁液708Aは、
図7Hの懸濁液708Bの糖濃度と比較して、より高い糖濃度を有する。
【0195】
表11は、サンプル番号1、2、および3について、酵素添加後の最初の6時間の間のバイオマスの溶解の視覚的な観察を示す。
【0196】
これらの結果は、高密度化コーンストーバーの使用が、加水分解の初期段階を著しく改善することを示す。最初の6時間で放出されるグルコースは、フェッドバッチ式添加を伴わないルーズなバイオマスの場合よりも31%高く、フェッドバッチ式添加を伴うルーズなバイオマスよりも11%高かった。改善された加水分解性能は24時間継続した。さらに、最初の6時間を通して、ペレット加水分解物は低い見かけ粘度に保たれ、容易に混合された。これにより、標準の羽根車はバイオマスを懸濁状態に保持し得ることが示唆される。バイオマスは容易に懸濁状態を維持することができたので、固体負荷は容易に増大され得る。サンプル番号4では、固体負荷を増大したにもかかわらず、最初の6時間を通して、バイオマスは懸濁状態を維持し、容易に混合された。24時間後に71g/Lのグルコース濃度が得られ、18%の固体負荷のペレットよりも30%の増大であった。
【0197】
比較すると、フェッドバッチ式加水分解は、加水分解の始まりから1時間および酵素を2回目に添加してからの1時間は容易に混合することができなかった。フェッドバッチ式添加を伴わないルーズなバイオマスは、5時間までの間、混合できないままであった。
【0198】
実施例9
この試験は、AFEX(商標)処理コーンストーバーペレットを用いる固体負荷18%の加水分解が、羽根車サイズのタンク直径に対する比が1:3である鉛直攪拌タンク反応器において実施され得るかどうかを決定するために実施した。
【0199】
実施例7のサンプル番号1について記載されたようにして、コーンストーバーをAFEX(商標)処理し、ペレット化した。6枚羽ラシュトンインぺラーおよび3枚羽マリンインぺラーを備えた6リットルのガラスMicroferm反応器(New Brunswick Scientific,Enfield,CT)を使用した。羽根車サイズのタンク直径に対する比が0.35、または約1:3になるように、羽根車の直径は約7.5cmであり、タンクの内径は約21.5cmであった。4つの均一に離間された鉛直バッフルも反応器内に存在した。蒸留水および酵素を添加して、全重量4.60kgにした。使用した酵素は、7,000mgのNovozymes CTec2および3,000mgのHTec2であった。乾燥重量約1kgのペレットを溶液に添加した。温度を50℃に維持し、4MのNaOH(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を用いてpHを手作業で5に調整した。羽根車を400rpmで回転させた。加水分解から最初の30分間を通して目視観察を記録し、ペレット添加の1、4、および6時間後に20mLのサンプルを得た。これらのサンプルを前の実施例に従う糖分析のために定量した。
【0200】
加水分解の48時間後に、加水分解物ブロスを遠心分離して、バイオマス微粒子を除去した。次に、発酵生物としてザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)AX101を用いて上澄みを発酵させた。pHを6に調整し、温度を30℃まで下げた。Zモビリス(mobilis)を酵母抽出物において増殖させ、600nmにおける初期ODを1として加水分解物に添加した。1%(v/v)負荷のコーンスティープリカーおよび2g/Lのリン酸カリウムも栄養物として添加した。接種の24時間後にサンプルを採取して、エタノール生成および糖利用を評価した。実施例8に記載されるHPLCによってサンプルをエタノール生成および糖消費について分析した。エタノール生成については、Aminex 87Pの代わりにBioRad Aminex 87Hカラムを使用した。
【0201】
攪拌を開始したらコーンストーバーペレットはすぐに懸濁され、10分以内に急速に壊れて個々の微粒子になった。ペレットが破壊されるにつれて、容器の表面に沿ってコーンストーバーの層が付着された。この層は、一部が持続的に離脱して、再度懸濁液に入っていくので、薄くて永久的でないと思われた。20分以内に、コーンストーバーのすべてが懸濁され、48時間の加水分解期間中、懸濁したままであった。1、4、および6時間後のグルコース濃度は21.9g/L、34.2g/L、および44.1g/Lであり、振とうフラスコ内の性能と一致した。
【0202】
グルコースおよびキシロース力価は、発酵の開始時に51.6g/Lおよび24.3g/Lであった。24時間後、グルコースは完全に消費され、キシロースは部分的に消費されて最終濃度は13.1g/Lとなった。この部分的な消費は、この微生物によるAFEX(商標)処理コーンストーバーの発酵には一般的である。一例として、Lau MW et al.,Biotechnology for Biofuels 3:11(2010)を参照されたい。最終エタノール濃度は32.3g/Lであった。
【0203】
実証されるように、酵素加水分解および発酵は、30g/Lを超える最終エタノール濃度を依然として達成しながら、18%という高いレベルの固体負荷で実施することができる。羽根車サイズのタンク直径に対する比が約1:3であれば、固体を懸濁状態に保持するために十分であり、均一な混合が可能になる。さらにより高い固体負荷を使用することができるが、この仮説を確認するためにさらなる試験が実施されるであろうと思われる。
【0204】
実施例10
この試験では、異なる水分含量で製造したペレットを高固体量で加水分解して、得られるグルコース収率に対するその影響を決定した。
【0205】
コーンストーバーは、多数の源から入手したが、実施例7に記載されるように主にコロラド州レイから入手した。実施例7に記載されるように、このコーンストーバーを粒径5mmに製粉して、AFEX(商標)処理し、ペレット化した。12%の水分、25%の水分、35%の水分、および50%の水分含量でペレットを製造した。酵素加水分解は、全重量100gの250mLのErlenmeyerフラスコにおいて18%の固体負荷で実施した。全ての成分の添加のために全重量100gをもたらすような量で水が添加された各フラスコに18グラム(乾燥重量)のペレットを添加した。
【0206】
真菌汚染を管理するために、テトラサイクリンおよびシクロヘキシミドを、それぞれ20mg/Lおよび15mg/Lの最終濃度で添加した。クエン酸緩衝液を使用して、実施例8に記載されるようにpHを管理した。Novozymes CTec2およびHTec2酵素を、それぞれペレット1g当たり7mgおよび3mgのタンパク質負荷で添加した。酵素を添加したら、フラスコを密封し、50℃および回転200rpmに設定した振とうフラスコインキュベータに入れた。酵素を添加してから1、6、24、48、および72時間後に1mLのサンプルを取り、実施例9に記載されるように、糖含量について分析した。結果は、
図8に示される(明確にするために50%水分に対する線は0.5時間左側へシフトされていることに注意されたい)。
【0207】
図8が示すように、全てのAFEX(商標)処理コーンストーバーペレットについて60g/Lよりも高いグルコース濃度が48時間以内に得られた。この濃度は、エタノールまたは他の付加価値製品への効果的な発酵のために十分である。またペレットは高速で加水分解して、最初の6時間で全糖の50%を超える糖を生じる。より高い水分含量で製造されたペレットは、低水分含量で製造されたペレットよりも高い糖収率を有する傾向がある。しかしながら、50%の水分で製造されたペレットは、35%の水分で製造されたペレットよりも感知できるほど多いグルコースを放出しなかった。
【0208】
実証されたように、AFEX(商標)処理バイオマスは広範囲の水分含量にわたってペレット化することができ、それでも、発酵性糖の製造の原料として実行可能である。経済および顧客の要望に応じて、水分含量をカスタマイズして、いくつもの用途のために貯蔵性対糖濃度の適切な組み合わせを提供することが可能である。
【0209】
実施例11(予言的)
スイッチグラスおよびプレーリーコードグラスなどのバイオマスのサンプルは種々の成熟度で捕集され、コーンストーバーは穀物の収穫後に捕集されるであろう。バイオマス組成は、収穫時、ラウンドベールにおける貯蔵中、最初のAFEX(商標)加工および高密度化の後、ならびに高密度化ペレットの貯蔵後に決定されるであろう。AFEX(商標)前処理は、時間、温度、バイオマス水分、およびアンモニア対バイオマス比のパラメータに基づいて、加水分解および結合特性のために統計的に最適化されるであろう。高密度化のための材料を調製するために、少なくとも90%のグルカン変換および80%のキシラン変換を提供するAFEX(商標)条件が使用されるであろう。
【0210】
高密度化は、実施例2、3、または8で使用される方法を含む任意の適切な方法を用いて実施されるであろう。
【0211】
得られるペレットは、長期貯蔵をシミュレーションするために種々の環境条件にさらされてから、流動性、圧縮強度などについて評価されるであろう。下流の加工特性は、別箇の加水分解および発酵(SHF)対同時糖化および発酵(SSF)を含む標準化された加水分解および発酵条件セットを用いて評価されるであろう。一実施形態では、新しく調製されたペレット(すなわち、約1か月以内)、貯蔵されたペレットおよび非高密度化バイオマスの間で、これらの特性の比較が行われるであろう。
【0212】
実施例12(予言的)
プレーリーコードグラスのAFEX(商標)前処理は、時間、温度、バイオマス水分、およびアンモニア対バイオマス比に対して統計的に最適化されるであろう。かなり広範囲のAFEX(商標)前処理条件により同様の加水分解結果が与えられ、結合特性も高める前処理条件セットがあるという確信が得られる。高密度化のための材料を調製するために、少なくとも90%のグルカン変換および80%のキシラン変換を提供するAFEX(商標)前処理条件が同定され、使用されるであろう。我々の実験室で開発された種々の方法(ESCA,プルシアンブルー染色、SEM)を用いて、これらの前処理された材料が表面特性について特徴付けられ、その特性と、ペレット密度および耐久性とが相関されるであろう。
【0213】
実施例13(予言的)
前処理されたバイオマスを高密度化ペレットへ変換するための操作条件を最適化するために操作変数が調べられるであろう。これらの変数には、AFEX(商標)前処理条件、水分含量、粒径、ダイ温度対結合強度、圧縮速度対出力品質、エネルギー使用、現存の表面化学および変化、圧縮比率および得られる密度、ならびに圧縮されたパッケージサイズおよび形状が含まれる。機械部品の摩擦および摩耗も査定されるであろう。
【0214】
実施例14(予言的)
任意の既知のAFEX(商標)手順を用いて、または実施例1の手順に従って、またはAFEX(商標)手順の任意の他の適切な修正を用いて前処理されたバイオマスは、実施例2および3に記載される方法を含む任意の適切な方法を用いて高密度化されるであろう。
【0215】
次に、高密度化バイオマスは、温度(25〜40℃)、相対湿度(60〜90%)、圧密応力(0〜120kPa)、および貯蔵時間(0〜6か月)を含む種々の環境条件にさらされるであろう。貯蔵に続いて、以下に記載されるように物理特性が評価されるであろう。
【0216】
いくつかのAFEX(商標)ペレットをトラックの床などの容器に入れて約45度に傾ける簡単な試験により流動性が評価され得る。ペレットが容器から流れ出るのに必要な時間に注目することによって、従来のペレットとの比較を行うことができる。
【0217】
また流動性は、Carr指数を用いても評価されるであろう。ASTM D6393.1999,「Standard test method for bulk solids characterization by Carr indices」,ASTM Standards,W.Conshohocken.PAを参照されたい。流動性は、材料が、所与の環境条件下で突然にではなく(un−abruptly)流れる能力であると包括的に定義される。流動性の測定は、ほとんどの場合、全流動性指数および全噴流性(floodability)指数を計算することにより、Carr指数によって行われる。Carr,R.L.Jr.1965,「Evaluating flow properties of solids」,Chemical Engineering 72(3):163−168。
【0218】
全流動性指数に対する値がより高く、全噴流性指数に対する値がより低いと、流動の問題が少ないかまたは全くない理想的な材料が得られるであろう。流動性を定量する別の方法は、Jenike Shear Stress特性を測定することによるものである。Jenike,A.W.1964,「Storage and flow of Bulletin No.123」,Utah Engineering station,Bulletin of University of Utahを参照されたい。Jenikeの方法は、粒子の凝集性、降伏位置、内部摩擦角、降伏強さ、および流動関数、および粒径分布を決定するためにも使用されるであろう。ASTM D6128.2000,「Standard Test Method for Shear Testing of Bulk Solids Using the Jenike Shear Cell」,ASTM Standards,W.Conshohocken.PA、およびASAE S19.3.2003,「Method of determining and expressing fineness of feed materials by sieving」,ASAE Standards.St Joseph,MI:ASABEを参照されたい。
【0219】
さらに、グルカン、キシラン、ガラクタン、アラビナン、マンナン、リグニン、灰分および繊維レベルは、貯蔵および流動性挙動に対するその効果を決定するために評価されるであろう。さらに、いくつかの他の物理特性は、流動性の悪さの指標としてとして測定されるであろう(すなわち、粒径、粒子形状、熱特性、水分特性、および色)。Selig,M,et al.,2008,「Enzymatic saccharification of lignocellulosic biomass」,Technical report NREL/TP−510−42629、Sluiter,A,B.Hames,R.Ruiz,C.Scarlata,J.Sluiter,and D.Templeton,2008a,「Determination of ash in biomass」,Technical report NREL/TP−510−42622、Sluiter,A,B.Hames,R.Ruiz,C.Scarlata,J.Sluiter,D.Templeton,and D.Crocker.2008b,「Determination of structural carbohydrates and lignin in biomass」,Technical report NREL/TP−510−42618を参照されたい。
【0220】
高密度化の前および後のバイオマスの取扱い能力に影響を与えるレオロジー材料特性が確立されるであろう。このような特性には、バルク密度、真密度、圧縮性、緩和、スプリングバック、透過性、拘束されない降伏強さ、および摩擦特性が含まれるが、これらに限定されない。これらの特性は、原料の粒径および分布、形状因子、水分条件、ならびに圧密圧力および時間の関数である。市販のレオロジー試験機は、通常、小さい穀物および細かい粉末と共に使用するために設計されており、従って直径が1/4インチよりも大きい微粒子を収容しないので、より大きい原料粒子を特徴づけるために新しい測定システムが開発されるであろう。システムには、種々の材料サイズに規模を合わせることができ、市販の負荷フレームと一体化されて様々な圧密圧力範囲にわたって操作される圧縮およびせん断セルが含まれる。
【0221】
一般線形モデル、回帰、応答表面分析(response surface analysis)、多変量分析、および必要に応じて他の技術などの形式的な統計的方法を用いて、改善された(または最適化された)流動性をもたらす条件を決定するためにデータが分析されるであろう。Myers,H.R.1986,「Classical and modern regression applications」,第2版.Duxbury publications,CA.USA.Draper,N.R.,and Smith,H.1998,「Applied Regression Analysis」,New York,NY:John Wiley and Sons,Inc.を参照されたい。
【0222】
実施例15(予言的)
少なくとも3つのタイプのバイオマス、すなわちコーンストーバー、スイッチグラス、およびプレーリーコードグラスが評価されるであろう。これらの原料のそれぞれについて、加工していない粉砕バイオマス、AFEX(商標)前処理されたバイオマス、およびAFEX(商標)前処理および高密度化されたバイオマス(貯蔵の前後)のサンプルが捕集されるであろう。従って、全部で3×4=12個のバイオマスサンプルタイプが評価されるであろう。別箇の加水分解および発酵(SHF)が評価されるであろう。糖化のために、フラスコは、オービタルシェーカーにおいて50℃および250rpmで48時間インキュベートされるであろう。サンプルは、0、2、4、6、8、18、24、30、36、および48時間で取り出されるであろう。次に、フラスコは30℃まで冷却され、2g/lのグルコースおよび2g/lの酵母抽出物を含有する培地で増殖されたペントース発酵能力を有するサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)組換え株の12〜18時間培養物2mlが播種されるであろう。フラスコは、オービタルシェーカーにおいて30℃および150rpmでさらに96時間インキュベートされるであろう。サンプルは発酵の間、0、3、6、9、18、24、36、48、60、72、84、および96時間で取り出されるであろう。
【0223】
同時糖化および発酵(SSF)も変換を評価するために実施されるであろう。主な違いは、フラスコに酵素を投与したら直ちに上記のような酵母を播種し、そして30℃で144時間インキュベートすることであろう。サンプルは、0、2、4、6、8、18、24、36、48、60、72、96、120、および144時間で取り出されるであろう。酵素およびバイオマスの負荷ならびに他の条件は上記のものと同一であろう。
【0224】
新規の高密度化バイオマス製品ならびにその製造および使用方法が本明細書に記載される。一実施形態では、従来の前処理を使用して粘着性バイオマスが製造されるが、これは、驚くことに、添加バインダーを使用することなく、固体の加水分解可能な微粒子へ容易に変換可能である。また加水分解可能な微粒子は、驚くことに、添加バインダーと共に製造された、そして/あるいは添加バインダーを含有する従来の高密度化微粒子比べて、少なくとも同様に高密度であり、より優れた硬度特性を実証する。
【0225】
一実施形態では、2つ以上のタイプのバイオマス材料(例えば、コーンストーバー、草、および/または木など)を含む加水分解可能な微粒子が提供される。このようにして、比較的均一の特性を有する商品(commodity)の加水分解可能な固体バイオマス製品が提供され、より容易にバイオマス加工産業に取り入れられる可能性がある。このような特性には、BTU含量、糖含量などが含まれるが、これらに限定されない。
【0226】
任意の適切なタイプの高密度化プロセスを使用して、様々なサイズおよび形状を有する製品を製造することができる。一実施形態では、高密度化プロセス装置はギアメッシュシステムを使用して、隣接するギアの歯の間の先細チャネルを通してバイオマスを圧縮し、高密度の加水分解可能な微粒子が形成される。一実施形態では、システムは、従来のプロセスよりも低い温度、圧力、およびエネルギー要求で動作する。
【0227】
一実施形態では、前処理された加水分解可能な微粒子は、前処理されていない微粒子と比較して、出荷、取扱いおよび/または貯蔵中、より良く「持ちこたえる(hold up)」、すなわち物理的な力に対してより抵抗性である。一実施形態では、得られる製品は、従来のバイオマス固体と比較して増大した流動性を有し、これにより、輸送車両および貯蔵システムの自動化された積み降ろし、ならびに加工施設内の輸送が可能になる。
【0228】
全ての刊行物、特許および特許文献は、それぞれその全体が、あたかも参照によって個々に援用されたかのように参照によって本明細書中に援用される。何らかの矛盾がある場合、本明細書におけるあらゆる定義を含めて、本発明の開示が優先する。
【0229】
特定の実施形態が本明細書において説明および記載されたが、同じ目的を達成するために考慮される任意の手順は示される特定の実施形態によって置換され得ることは当業者には明らかであろう。例えば、本プロセスは、特定のタイプの植物バイオマスを用いて議論されているが、任意のタイプの植物バイオマスまたは他のタイプのバイオマスまたはバイオ燃料、例えば、農業バイオ燃料などが使用されてもよい。本出願は、本発明の主題の任意の適合形態または変形形態を包含することが意図される。従って、本発明の実施形態は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明白に意図される。