特許第6243907号(P6243907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6243907-構造用ポリウレタン接着剤 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243907
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】構造用ポリウレタン接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20171127BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20171127BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C09J175/04
   C09J175/08
   C09J5/00
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-527898(P2015-527898)
(86)(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公表番号】特表2015-529259(P2015-529259A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2013067345
(87)【国際公開番号】WO2014029787
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年8月15日
(31)【優先権主張番号】12181776.1
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504274505
【氏名又は名称】シーカ・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルヒ シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ルーク ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】イットリッヒ フロリアン
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−125348(JP,A)
【文献】 特表2010−534741(JP,A)
【文献】 特表2008−530294(JP,A)
【文献】 特開2008−308687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剤及び第2剤により構成されるポリウレタン接着剤であって、
前記第1剤が、
a)1000g/mol〜10000g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つのトリオールA1と、
b)2つの第一級ヒドロキシル基、及び60g/mol〜150g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つのジオールA2と、
c)300g/mol〜1000g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つのアルコキシル化芳香族ジオールA3と、
d)60g/mol〜500g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つの脂肪族ポリアミンA4と、
を含有し、かつ、
前記第2剤が、
e)少なくとも1つのポリイソシアネートB1と、
f)イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーB2と、
を含有し、
前記トリオールA1、前記ジオールA2及び前記アルコキシル化芳香族ジオールA3が、
g)重量比A1/(A2+A3)≦10、かつ
h)重量比A1/A2≦15、
となるような量で存在する、ポリウレタン接着剤。
【請求項2】
前記トリオールA1がポリエーテルトリオールであることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項3】
前記トリオールA1が第一級ヒドロキシル基を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項4】
前記ジオールA2が1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及び1,5−ペンタンジオールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項5】
前記アルコキシル化芳香族ジオールA3がエトキシル化及び/又はプロポキシル化及び/又はブトキシル化された芳香族ジオールであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項6】
前記アルコキシル化芳香族ジオールA3がプロポキシル化ビスフェノールA又はプロポキシル化ビスフェノールFであることを特徴とする、請求項5に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項7】
前記脂肪族ポリアミンA4が1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2−及び4−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン並びにそれらの混合物、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(2−アミノエチル)エーテル、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−2,9−ジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、5,8−ジオキサドデカン−3,10−ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、並びに1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項8】
重量比A1/(A2+A3)が3〜10の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項9】
重量比A1/A2が5〜10の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項10】
重量比A2/A3が0.5〜7.5の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項11】
前記ポリイソシアネートB1が、室温で液体である4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートの形態、並びにこれらの異性体の任意の混合物(MDI)であって、ポリメリックMDI又はオリゴマー若しくは誘導体の画分を含むMDIの形態であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項12】
前記ポリウレタンポリマーB2のウレタン基及び遊離イソシアネート基が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートに由来することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤。
【請求項13】
第1基体を第2基体に接着する方法であって、
請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリウレタン接着剤の前記2つの剤を混合する工程と、
前記混合したポリウレタン接着剤を少なくとも1つの基体表面に接着するように塗布する工程と、
オープンタイム内に接着するように前記基体を合わせる工程と、
前記ポリウレタン接着剤を硬化させる工程と、
を含む、第1基体を第2基体に接着する方法。
【請求項14】
一方の基体又は両方の基体が、金属又はセラミック又はガラス繊維強化プラスチック材又は炭素繊維強化プラスチック材であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の接着する方法により得られる物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二剤型ポリウレタン接着剤(two-component polyurethane adhesives:2成分ポリウレタン接着剤)、具体的には構造用ポリウレタン接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオール及びポリイソシアネートを基本構成とする二剤型ポリウレタン組成物は、弾性接着剤として長く使用されてきた。これらの二剤型ポリウレタン組成物は、混合後すぐに硬化し、そのため短時間の後に力を吸収して伝えることができる。
【0003】
また、構造用接着剤は、建築用接着剤(construction adhesives)及び組立用接着剤とも呼ばれ、接着剤結合が恒久的に荷重に耐える構造の一部となるような方法でコンポーネントを接着するため製造業で使用される。かかる接着剤は、典型的には粘塑性であり、加工性、強度及び付着力の点で高い要求を満たさなければならない。
【0004】
多くの接着構造体について、作業温度の全範囲に亘り、特に約−35℃〜約+85℃の温度範囲において、接着剤結合の力学的挙動が構造物計算(the calculation of the construction)に好適に組み込まれ得るように、接着剤が可能な限り均一な強度、例えば、可能な限り均一な弾性率を有することが重要である。具体的には、機械特性がさほど温度に依存しない、高強度及び高伸展性を有する粘塑性接着剤が望ましい。これらの接着剤は加工が容易で、最大10ミリメートル以上のより厚い層厚みであっても使用可能であり、周囲温度と、加熱により加速された硬化プロセスの両方で問題なく最終強度まで硬化可能であり、金属及び非金属の基体に対して優れた接着性を示さなければならない。さらに、上述の特性を有し、また硬化状態において特定の処理によって、この処理により基体が損傷されることなく、付着した基体から再び容易に脱離することができ、すなわち、接着されたコンポーネントを損傷することなく結合接続(bond connection)が脱離される接着剤が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、高い強度及び高い伸展性を有し、その機械特性がさほど温度に依存することがないため構造用接着剤として特に適しており、また基体を損傷することなく硬化状態において接着している基体から再度脱離することができる、ポリウレタン接着剤を提供することである。
【0006】
驚いたことに、請求項1に記載のポリウレタン接着剤がこの目的を達成することが見出された。その特殊な組成により、上記接着剤は、二剤を混合した後の高い安定性と共に良好な加工性、良好な初期接着強度、迅速で問題のない硬化、並びに伸展性及び弾性を何ら失うことなく硬化状態で非常に高い強度を有する。
【0007】
−35℃〜85℃の塗布範囲に亘り達成された強度と伸長との組合せは、硬化材料の衝撃強度の増加と関連する。
【0008】
特にこれに関して、硬化したポリウレタン接着剤を含む接着剤結合を、少なくとも120℃の温度まで、特には140℃〜200℃の範囲の温度まで少なくとも10分間、特には少なくとも20分間加熱することによって再び脱離することができる、すなわち、上記接着剤は基体から脱離することができるという事実は驚くべきことである。剥離が生じる温度範囲は非常に有利である。剥離が生じる温度範囲は、多くの接着剤結合の作業温度よりも十分に高いものの、多くの目的の基体又は接着されたコンポーネントの機能が剥離プロセスによって損なわれない程度に低い。この有利な挙動は、少なくとも部分的にアルコキシル化芳香族ジオールによって達成される。
【0009】
また、本発明によるポリウレタン接着剤の使用により、金属表面及び非金属材料、具体的にはガラス繊維強化プラスチック材及び炭素繊維強化プラスチック材等の繊維強化複合材料に対してとりわけ良好な付着が達成されることが見出された。
【0010】
本発明の更なる態様は、更なる独立項の主題である。本発明のとりわけ好ましい実施形態は、従属項の主題事項である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1剤及び第2剤により構成されるポリウレタン接着剤であって、
上記第1剤が、
a)1000g/mol〜10000g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つのトリオールA1と、
b)2つの第一級ヒドロキシル基、及び60g/mol〜150g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つのジオールA2と、
c)300g/mol〜1000g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つのアルコキシル化芳香族ジオールA3と、
d)60g/mol〜500g/molの範囲の分子量を有する少なくとも1つの脂肪族ポリアミンA4と、
を含有し、かつ、
上記第2剤が、
e)少なくとも1つのポリイソシアネートB1と、
f)イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーB2と、
を含有し、
上記トリオールA1、上記ジオールA2及び上記アルコキシル化芳香族ジオールA3が、
g)重量比A1/(A2+A3)≦10、かつ
h)重量比A1/A2≦15、
となるような量で存在する、ポリウレタン接着剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】Metteler DMA/SDTA 861eを使用して行われた、標準条件下(23℃、50%相対湿度)で7日間硬化させたフィルムのDMTA計測を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、「ポリオール」、「ポリイソシアネート」、「ポリエーテル」又は「ポリアミン」等の物質名における接頭辞「ポリ」は、それぞれの物質が、形態的に1つの分子当たりその名称にある官能基を2以上含有するという事実を示す。
【0014】
本明細書では、ポリマーの場合の「分子量」は、常に平均分子量を指す。
【0015】
「第一級ヒドロキシル基」は、2つの水素を有する炭素原子に結合されたOH基を表す。
【0016】
本明細書では、「相分離」の用語は、上記ポリウレタン接着剤の硬化時の「ハードセグメント」とも呼ばれる高次(「結晶」)領域と、「ソフトセグメント」とも呼ばれる低次(「非晶質」)領域との分離プロセスを表す。
【0017】
本明細書では「解放時間」は、上記剤が混合された後に接着される部分が共に合わされなければならない時間を指す。
【0018】
本明細書では、「強度」の用語は、硬化した接着剤の強度を指し、具体的には、強度は引張強度及び最大10%の伸長範囲での弾性率(ヤング率)を意味すると理解されたい。
【0019】
本明細書では、「接着剤結合」は接着剤によって同じ材料又は異なる材料により構成される少なくとも2つの基体の固定化された接続を指す。
【0020】
本明細書では、接着剤結合の「剥離」は、その強度に関して接着剤の故意の弱化を指す。これにより、比較的わずかな力の消費で基体の機械的な分離が可能とされ、すなわち、接着剤結合を容易に脱離することができる。分離は、接着剤と基体表面との間の接着において、又は接着剤同士の固まりにおいてなされ得る。
【0021】
本明細書では、「室温」は23℃の温度を指す。
【0022】
「保存安定的」の用語は、保存によりその塗布又は使用の特性が著しく変化することなく、室温にて数週間から数か月に亘って好適な容器に保存することができる、組成物の特性を指す。
【0023】
好適なトリオールA1は、具体的には、ポリエーテルトリオールとも呼ばれるポリオキシアルキレントリオールである。これらは、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−若しくは2,3−ブチレンオキシド、又はこれらの混合物の重合生成物である。典型的には、これらのトリオールは、グリセロール、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチルプロパン、又はこれらの混合物等の3つの活性な水素原子を有する出発分子を使用して重合される。
【0024】
好ましいトリオールA1は、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレントリオール及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリオールである。
【0025】
トリオールA1は、第一級ヒドロキシル基を有することがとりわけ好ましい。この方法では、ポリウレタン接着剤は、気泡の形成及び不完全な硬化をもたらす可能性のある、イソシアネート基と存在する場合のある水との望ましくない反応が起こりにくい。
【0026】
とりわけ好ましいトリオールA1は、いわゆる「EOでエンドキャップされた」(エチレンオキシドでエンドキャップされた)ポリオキシプロピレントリオールである。後者は、例えば、純粋なポリオキシプロピレントリオールを、ポリプロポキシル化の完了後にエチレンオキシドを用いて更にアルコキシル化して得られるものであり、そのため第一級ヒドロキシル基を有する、特殊なポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレントリオールである。純粋なポリオキシエチレントリオールと比べて、EOでエンドキャップされたポリオキシプロピレントリオールは親水性が低く、室温で液体であるという利点を有する。
【0027】
トリオールA1は、2.2〜3の範囲の平均OH官能性を有することが好ましい。かかるトリオールA1を使用することにより、良好な機械特性を有する接着剤が得られる。
【0028】
トリオールA1は、3000g/mol〜8000g/molの範囲の分子量を有することが好ましく、4000g/mol〜6000g/molの範囲の分子量を有することがとりわけ好ましい。かかるトリオールは、高い官能性及び鎖長の良好な組合せを呈し、そのため良好な機械特性を有する接着剤が得られる。
【0029】
トリオールA1は、第1剤の総重量ベースで30重量%〜70重量%の量で使用されることが好ましい。
【0030】
好適なジオールA2は、特に、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールである。これらのジオールは、さほど立体的に妨害されない、とりわけイソシアネート基と反応性の第一級ヒドロキシル基を有する。
【0031】
ジオールA2は、直鎖ジオール、具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及び1,5−ペンタンジオールからなる群から選択されるものが好ましい。これらのジオールは、さほど親水性が高くなく、室温で液体であることから特に容易に取り扱うことができ、接着剤の硬化中に、幅広い温度範囲に亘って高い強度と良好な伸展性を与えるウレタン基を生じる。これらのうち、1,4−ブタンジオールが最も好ましい。
【0032】
アルコキシル化芳香族ジオールA3は、とりわけ2つのフェノール性OH基を有する芳香族ジオールのアルコキシル化によって得ることができることから、芳香族コアを有するポリエーテルジオールである。
【0033】
アルコキシル化芳香族ジオールA3は、エトキシル化及び/又はプロポキシル化及び/又はブトキシル化された芳香族ジオール、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化された芳香族ジオールであることが好ましい。これらのジオールは、特に容易に入手可能である。
【0034】
アルコキシル化芳香族ジオールA3は、プロポキシル化芳香族ジオールであることがとりわけ好ましい。これらのジオールは疎水性であり、非常に低い粘性を有し、それにより硬化状態で良好な耐湿性を有する容易に加工可能な接着剤が得られる。
【0035】
アルコキシル化芳香族ジオールA3の芳香族部分は、ベンゼンラジカル、ナフタレンラジカル、ジフェニルメタンラジカル、1,1−ジフェニルエタンラジカル、2,2−ジフェニルプロパンラジカル、ジフェニルエーテルラジカル、ベンゾフェノンラジカル、ビス(フェニル)スルホンラジカル、又はビフェニルラジカルであることが好ましい。
【0036】
これらのうち、ジフェニルメタンラジカル及び2,2−ジフェニルプロパンラジカルが好ましい。これらの芳香族ラジカルは、ビスフェノールF又はビスフェノールAに由来する。かかるアルコキシル化芳香族ジオールA3は、とりわけ高い強度を有する容易に加工可能な接着剤を生じる。
【0037】
とりわけ好ましくは、アルコキシル化芳香族ジオールA3は、プロポキシル化ビスフェノールA又はプロポキシル化ビスフェノールF、特には、プロポキシル化ビスフェノールAである。
【0038】
アルコキシル化芳香族ジオールA3は、350g/mol〜500g/molの範囲の分子量を有することが好ましい。これらのジオールA3は、特に高い強度を生じる。
【0039】
脂肪族ポリアミンA4として好適なものは、2つ又は3つの脂肪族アミノ基を有するアミン、特に、以下の市販のポリアミンである:
脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族第一級ジアミン、例えば、特に、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,2−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ブタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン(DAMP)、1,5−ペンタンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD)、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン(C11−ネオジアミン)、1,6−ヘキサンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,2−、1,3−及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(H12−MDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチルシクロヘキシル)メタン(M−MECA)、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミン、すなわちIPDA)、2−及び4−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン及びそれらの混合物、1,3−及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4)、8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,8−メンタンジアミン、並びに1,3−及び1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン;
エーテル基含有脂肪族第一級ジアミン、例えば、特に、ビス(2−アミノエチル)エーテル、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−2,9−ジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、5,8−ジオキサドデカン−3,10−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン及びこれらのジアミンのより高重合度なオリゴマー、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン及び他のポリテトラヒドロフランジアミン、ジェファミン(Jeffamine)(登録商標)RFD−270(Huntsmanによる)、及びポリオキシアルキレンジアミン(「ポリエーテルジアミン」)(ポリオキシアルキレンジアミンは、ポリオキシアルキレンジオールのアミノ化により得られる生成物であり、例えば、ジェファミン(登録商標)(Huntsmanによる)、Polyetheramine(BASFによる)又はPC Amine(商標)(Nitroilによる)の名前で入手可能である。特に好適なポリオキシアルキレンジアミンは、ジェファミン(登録商標)D−230、ジェファミン(登録商標)D−400、Polyetheramine D 230、Polyetheramine D 400、PC Amines(商標)DA 250及びPC Amine(商標)DA 400である);並びに、
ポリオキシアルキレントリオールのアミノ化による生成物であり、例えばジェファミン(登録商標)(Huntsmanによる)の商品名で、Polyetheramine(BASFによる)又はPC Amine(商標)(Nitroilによる)の名前で入手可能なポリオキシアルキレントリアミン(「ポリエーテルトリアミン」)、例えば、特に、ジェファミン(登録商標)T−403、Polyetheramine T403、及びPC Amine(商標)TA 403。
【0040】
とりわけ好ましくは、上記ポリアミンA4が1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2−及び4−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン並びにそれらの混合物、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(2−アミノエチル)エーテル、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−2,9−ジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、5,8−ジオキサドデカン−3,10−ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、並びに1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼンからなる群から選択される。
【0041】
これらのポリアミンは特に容易に入手でき、またイソシアネートとの反応において、これらのポリアミンは尿素基をもたらし、その相は特に良好に分離する。それを用いて作製される接着剤は、特に高い強度、とりわけ高い弾性率を有し、機械特性はさほど温度に依存しない。
【0042】
このうち、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンが好ましく、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンが最も好ましい。これらのポリアミンは、とりわけ高い強度を有する硬化した接着剤を作製するのに使用することができる。
【0043】
トリオールA1、ジオールA2、アルコキシル化芳香族ジオールA3、及びポリアミンA4の選択、並びにそれらの特定の慎重に整合された比率での使用は、上記接着剤に良好な加工特性及び硬化状態での優れた強度を提供し、非常に良好な分離を伴って非晶質及び結晶性の領域が存在し、また、機械特性はさほど温度に依存せず、目的の温度範囲で接着剤結合の熱による剥離の可能性が提供される。
【0044】
上記接着剤では、トリオールA1、ジオールA2、及びアルコキシル化芳香族ジオールA3は、重量比A1/(A2+A3)≦10の量で存在する。
【0045】
重量比A1/(A2+A3)は、3〜10の範囲にあることが好ましい。かかる接着剤は、強度と伸展性との特に有利な組合せを有する。
【0046】
上記接着剤では、ジオールA2は、トリオールA1とジオールA2との間の重量比A1/A2が15以下であるような量で存在する。
【0047】
重量比A1/A2は10以下であることが好ましい。かかる接着剤は高い強度及び良好な伸展性を有する。
【0048】
重量比A1/A2は、5〜10の範囲にあることがとりわけ好ましい。かかる接着剤は、特に温度非依存性の弾性率を有する。
【0049】
アルコキシル化芳香族ジオールA3は、重量比A2/A3が0.5〜7.5の範囲、特には、1.5〜7.4の範囲にあるような量で接着剤中に存在することが好ましい。かかる接着剤は、高い強度及び熱により剥離する能力を有する。
【0050】
本発明の一態様では、重量比A2/A3は3.5以下であることが好ましく、0.5〜3.5の範囲であることがとりわけ好ましく、特には、0.8〜3の範囲である。かかる接着剤は、とりわけ良好に熱により剥離され得る接着剤結合をもたらす。
【0051】
本発明の更なる態様では、重量比A2/A3は3.5〜15であることが好ましく、3.5〜7.5の範囲であることがとりわけ好ましく、特には、3.6〜7.4の範囲である。かかる接着剤は、特に高い引張せん断強度を生じる。
【0052】
本発明の更なる態様では、重量比A2/A3は3.5以下であることが好ましく、0.5〜3.5の範囲であることがとりわけ好ましく、特には、0.8〜2の範囲である。かかる接着剤は、高いサイクル時間を実現する接着剤結合の初期の充填を可能とすることから、自動化された結合接続において特に有利である、とりわけ高い初期強度を生じる。硬化中の引張せん断強度に関する高い値は、高い初期強度の基準である。
【0053】
ポリアミンA4は、重量比A1/(A2+A4)が4.5〜11の範囲にあるような量で接着剤中に存在することが好ましい。かかる接着剤は、容易に管理可能な解放時間、及び塗布中の良好な安定性を呈する。
【0054】
重量比A1/(A2+A4)が4.5〜6.5の範囲にあることがとりわけ好ましい。これらの接着剤は、室温及び85℃にて高い強度を更に有し、特に室温から−35℃の間でヤング率のわずかな増加を有する。
【0055】
モノマーの(monomeric)ジイソシアネート又はトリイソシアネート、並びに、モノマーのジイソシアネート又はトリイソシアネートのオリゴマー、ポリマー及び誘導体、並びに、それらの任意の混合物が、ポリイソシアネートB1として特に好適である。
【0056】
好適な芳香族のモノマーのジイソシアネート又はトリイソシアネートは、特に、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の混合物(MDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、並びにトリス(4−イソシアナトフェニル)チオホスフェートである。
【0057】
好適な脂肪族モノマーのジイソシアネート又はトリイソシアネートは、特に、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、リジン及びリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び−2,6−ジイソシアナトシクロヘキサン並びにこれらの異性体の任意の混合物(HTDI又はHTDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート、すなわち、IPDI)、パーヒドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)、1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3−、及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−XDI)、m−及びp−テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−TMXDI)、ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ナフタレン、二量体及び三量体脂肪酸イソシアネート、例えば3,6−ビス(9−イソシアナトノニル)−4,5−ジ(1−ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメリル(dimeryl)ジイソシアネート)、並びにα,α,α’,α’,α’’,α’’−ヘキサメチル−1,3,5−メシチレントリイソシアネートである。
【0058】
特に、これらのモノマーのジイソシアネート及びトリイソシアネートの好適なオリゴマー、ポリマー及び誘導体は、MDI、TDI、HDI及びIPDI由来である。このうち、特に好適なものは、市販型、特にHDIビウレット、例えば、デスモダル(Desmodur)(登録商標)N 100及びN 3200(Bayerによる)、トロネイト(Tolonate)(登録商標)HDB及びHDB−LV(Rhodiaによる)並びにデュラネート(Duranate)(登録商標)24A−100(旭化成株式会社による);HDIイソシアヌレート、例えば、デスモダル(登録商標)N 3300、N 3600及びN 3790 BA(全てBayerによる)、トロネイト(登録商標)HDT、HDT−LV及びHDT−LV2(Rhodiaによる)、デュラネート(登録商標)TPA 100及びTHA−100(旭化成株式会社による)並びにコロネート(Coronate)(登録商標)HX(日本ポリウレタン工業株式会社による);HDIウレトジオン、例えばデスモダル(登録商標)N 3400(Bayerによる);HDIイミノオキサジアジンジオン、例えばデスモダル(登録商標)XP 2410(Bayerによる);HDIアロファネート、例えばデスモダル(登録商標)VP LS 2102(Bayerによる);IPDIイソシアヌレート、例えば、溶液のデスモダル(登録商標)Z 4470(Bayerによる)又は固形のベスタナット(Vestanat)(登録商標)T1890/100(Degussaによる);TDIオリゴマー、例えば、デスモダル(登録商標)IL(Bayerによる);並びにTDI/HDIベースの混合イソシアヌレート、例えばデスモダル(登録商標)HL(Bayerによる)等である。さらに、特に好適なものは、MDIと、MDI誘導体、特にデスモダル(登録商標)CD、デスモダル(登録商標)PF、デスモダル(登録商標)PC(全てBayerによる)又はアイソネート(Isonate)(登録商標)M 143(Dowによる)等の商品名で知られるMDIカルボジイミド又はMDIウレトンイミン(uretonimines)又はMDIウレタンとの混合物、並びにMDIと、デスモダル(登録商標)VL、デスモダル(登録商標)VL50、デスモダル(登録商標)VL R10、デスモダル(登録商標)VL R20、デスモダル(登録商標)VH 20 N及びデスモダル(登録商標)VKS 20F(全てBayerによる)、アイソネート(登録商標)M 309、ボラネイト(Voranate)(登録商標)M 229及びボラネイト(登録商標)M 580(全てDowによる)、又はルプラナート(Lupranat)(登録商標)M 10 R(BASFによる)等の商品名で入手可能なMDI同族体(ポリメリックMDI又はPMDI)との混合物である、室温で液体のMDIの形態(いわゆる「変性MDI」)である。実際には、上述のオリゴマーのポリイソシアネートは、通常、異なる程度のオリゴマー化及び/又は化学構造を有する物質の混合物である。オリゴマーのイソシアネートは、平均NCO官能性2.1〜4.0を有することが好ましい。
【0059】
室温で液体のMDIの形態がポリイソシアネートB1として好ましい。これらは、具体的には、いわゆるポリメリックMDI及びオリゴマー又はその誘導体により構成される画分を有するMDIである。かかる液体形態のMDIのMDI(=4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の混合物)含有量は、具体的には50重量%〜95重量%、特には60重量%〜90重量%である。
【0060】
ポリメリックMDIがポリイソシアネートB1としてとりわけ好ましく、具体的には、MDIカルボジイミド又はそれらの付加物により構成される画分を含有する、室温で液体のMDI種である。
【0061】
特に良好な加工特性及び特に高い強度は、これらのポリイソシアネートB1により得られる。
【0062】
ポリウレタンポリマーB2は、好ましくは、50質量%〜95質量%、特には70質量%〜90質量%のポリオキシアルキレン単位、とりわけ好ましくはポリオキシエチレン単位及び/又はポリオキシプロピレン単位、特にはポリオキシプロピレン単位を有する。かかるポリウレタンポリマーは、低粘度であり、良好な伸展性を可能とする。
【0063】
ポリウレタンポリマーB2は、1000g/mol〜20000g/mol、とりわけ好ましくは2000g/mol〜10000g/molの平均分子量を有することが好ましい。
【0064】
ポリウレタンポリマーB2は、1.7〜3、特には1.8〜2.5の範囲の平均NCO官能性を有することが好ましい。かかるポリウレタンポリマーは、硬化した状態で良好な加工特性及び良好な機械特性を可能とする。
【0065】
ポリウレタンポリマーB2は、2.05〜2.5の範囲の平均NCO官能性を有することがとりわけ好ましい。かかるポリウレタンポリマーは、良好な伸展性及び高強度を可能とする。
【0066】
ポリウレタンポリマーB2は、好ましくは1重量%〜10重量%、とりわけ好ましくは1重量%〜5重量%の遊離イソシアネート基含有量を有する。
【0067】
ポリウレタンポリマーB2のウレタン基及び遊離イソシアネート基は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートに由来することが好ましい。この方法では、とりわけ良好なハードセグメントが、上記接着剤の硬化の際に得られ、ひいてはとりわけ高い強度が得られる。
【0068】
イソシアネート基を有する好適なポリウレタンポリマーB2は、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとの反応より得ることができる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートとを典型的なプロセスを用いて、例えば、任意に好適な触媒を同時に使用して、50℃〜100℃の温度で反応させることで行うことができ、ここで、ポリイソシアネートは、そのイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に関して化学量論的に過剰に存在するように計量される。有利には、ポリイソシアネートは、1.3〜5、特には1.5〜3のうち1つのNCO/OH比が観察されるように計量される。「NCO/OH比」は、使用されるヒドロキシル基の数に対する使用されるイソシアネート基の数の比を意味すると理解されたい。
【0069】
ポリウレタンポリマーB2の調製に特に好適なポリオールは、下記の市販のポリオール又はそれらの混合物である:
任意で2つ以上の活性な水素原子を有する出発分子、例えば水、アンモニア又はいくつかのOH若しくはNH基を有する化合物、例えば1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン並びに上記化合物の混合物を用いて重合させた、エチレンオキシド、1,2−プロピレン、1,2−若しくは2,3−ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合物の重合生成物である、ポリエーテルポリオール又はオリゴエーテロール(oligoetherols)とも呼ばれる、ポリオキシアルキレンポリオール。例えば、いわゆる複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)を使用して調製される低不飽和度(ASTM D−2849−69に従って計測され、ポリオール1グラム当たりの不飽和のミリ当量で表される(meq/g))のポリオキシアルキレンポリオール、及び例えば、NaOH、KOH、CsOH又はアルカリアルコキシド等のアニオン触媒を使用して調製される高不飽和度のポリオキシアルキレンポリオールの両方を使用することができる。
【0070】
ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、特に、ポリオキシエチレンジオール及びトリオール並びにポリオキシプロピレンジオール及びトリオールがとりわけ好適である。
【0071】
0.02meq/g未満の不飽和度を有し、1000g/mol〜30000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール及びトリオールと、400g/mol〜8000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールとが特に好適である。
【0072】
いわゆるエチレンオキシド終端(「EOでエンドキャップされた」、エチレンオキシドでエンドキャップされた)ポリオキシプロピレンポリオールが特に好適である。
スチレン−アクリロニトリル−又はアクリロニトリル−メタクリル酸メチルグラフトポリエーテルポリオール。
既知の方法により、特に二価若しくは多価アルコールと、ヒドロキシカルボン酸との重縮合、又は脂肪族及び/又は芳香族ポリカルボン酸との重縮合により調製されるオリゴエステロールとも呼ばれるポリエステルポリオール。
【0073】
特に好適なポリエステルポリオールは、二価又は三価アルコール、特に二価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,12−ヒドロキシステアリルアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、二量体脂肪酸ジオール(ダイマージオール(dimerdiol))、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン又は上記アルコールの混合物と、有機ジカルボン酸又はトリカルボン酸、特に、ジカルボン酸又はその無水物若しくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸及び無水トリメリット酸、又は上記酸の混合物とから生成されるもの、並びにラクトン、例えばε−カプロラクトンと、開始分子、例えば上述の二価又は三価のアルコールとから生成されるポリエステルポリオールである。
【0074】
ポリエステルジオールが、特に好適なポリエステルポリオールである。
ポリカーボネートポリオール、例えば、上述のポリエステルポリオールを合成するのに使用されるアルコールとジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート又はホスゲンとを反応させることにより入手可能なポリカーボネートポリオール等。
少なくとも2つのヒドロキシル基を伴い、上記のタイプのポリエーテル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートの構造を有する少なくとも2つの異なるブロックを有するブロックコポリマー、具体的には、ポリエーテルポリエステルポリオール。
ポリアクリレートポリオール及びポリメタクリレートポリオール。
ポリヒドロキシ官能性油脂、例えば、天然油脂、具体的にはヒマシ油、又は天然油脂の化学修飾によって得られるいわゆる油脂化学ポリオール、例えば、不飽和油のエポキシ化及びカルボン酸若しくはアルコールによる後の開環により得られるエポキシポリエステル若しくはエポキシポリエーテル、又は不飽和油のヒドロホルミル化及び水素化によって得られるポリオール、又はアルコール分解若しくはオゾン分解等の分解プロセス、及び、例えばこのようにして得られた分解産物若しくはその誘導体のエステル交換又は二量化による後の化学結合によって天然油脂から得られるポリオール。天然油脂の好適な分解産物は、具体的には、脂肪酸及び脂肪アルコール及び脂肪酸エステル、特には、例えば、ヒドロキシ脂肪酸エステルを形成するヒドロホルミル化及び水素化により誘導体化され得るメチルエステル(FAME)である。
オリゴヒドロカルボノール(oligohydrocarbonols)とも呼ばれるポリ炭化水素(polyhydrocarbon)ポリオール、例えばポリヒドロキシ官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン;ポリヒドロキシ官能性エチレン−プロピレン−、エチレン−ブチレン−又はエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、例えばKraton Polymers製のもの;特にアニオン重合によっても調製することができる、ジエン、特に1,3−ブタジエンに由来するポリヒドロキシ官能性ポリマー;ジエン、例えば1,3−ブタジエン又はジエン混合物と、ビニルモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレン及びイソプレンとのポリヒドロキシ官能性コポリマー、例えば、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、例えばエポキシド又はアミノアルコールとカルボキシル終端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーとから生成することができるもの(例えば、Nanoresins AG, Germany又はEmerald Performance Materials LLC製のヒプロ(Hypro)(登録商標)(公式にはハイカー(Hycar)(登録商標))CTBN及びCTBNX及びETBNの名前で市販されている);並びにジエンの水素添加ポリヒドロキシ官能性ポリマー又はコポリマー。
【0075】
ポリウレタンポリマーB2の調製に好ましいポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリアクリレートポリオールである。ポリオキシアルキレンポリオール、具体的にはポリオキシプロピレンポリオール及び混合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリオールがとりわけ好ましい。
【0076】
ポリウレタンポリマーB2の調製用ポリオールは、500g/mol〜20000g/mol、特には1000g/mol〜8000g/molの分子量を有することが好ましい。
【0077】
ポリウレタンポリマーB2の調製用ポリオールは、ジオール又は少なくとも1種のジオールと少なくとも1種のトリオールとの混合物、特には少なくとも1種のジオールと少なくとも1種のトリオールとの混合物であることが好ましい。
【0078】
ポリウレタンポリマーB2の調製に好適なポリイソシアネートは、特に下記の市販のポリイソシアネート又はそれらの混合物である:
2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート並びにこれら異性体の任意の混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート並びにこれら異性体の任意の混合物(MDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル(TODI)、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、リジン及びリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び−2,6−ジイソシアナトシクロヘキサン並びにこれらの異性体の混合物(HTDI又はHTDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート、すなわちIPDI)、パーヒドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)、1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−XDI)、並びにm−及びp−テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレンジイソシアネート(m−及びp−TMXDI)である。MDI、TDI、IPDI、及びHDIが好ましい。MDIがとりわけ好ましい。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。このMDI異性体の使用により、ジオールA2及びポリアミンA4と共に硬化する際に、とりわけ良好なハードセグメント、ひいてはとりわけ高い強度が得られる。
【0079】
ポリイソシアネートB1及びポリウレタンプレポリマーB2を調製するのに使用されるポリイソシアネートは、異なる種類のポリイソシアネートであることが好ましい。
【0080】
ポリイソシアネートB1は、室温で液体のMDIであり、ポリウレタンポリマーB2の調製に使用されるポリイソシアネートは、典型的には室温で固体の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであることがとりわけ好ましい。そのため、第2剤は室温で液体であり、これにより容易な加工、とりわけ良好な機械特性が可能となる。ポリイソシアネートB1及びポリウレタンポリマーB2の規定される混合物は、ポリウレタンポリマーB2をポリイソシアネートB1と混合する前に別々に最初に調製することで達成され得る。
【0081】
このように、ポリウレタンポリマーB2の調製がポリイソシアネートB1の存在下で行われないことが好ましい。
【0082】
ポリイソシアネートB1とポリウレタンポリマーB2との重量比は、0.25〜4、好ましくは0.25〜2、とりわけ好ましくは0.3〜1.5、特には0.4〜1.0であることが好ましい。かかる第2剤は、良好な加工性、高強度及び高伸展を有する接着剤を可能とする。
【0083】
さらに、ポリウレタン接着剤は、第1剤の一部としてイソシアネート基と反応し得る更なる物質を含有してもよい。
【0084】
具体的には、第1剤は、ポリウレタンポリマーB2の調製について言及された、少なくとも1種のポリオール及び/又は少なくとも1種の低分子量の二価アルコール若しくは多価アルコールを含有してもよい。
【0085】
さらに、ポリウレタン接着剤は、ヒドロキシル基とイソシアネート基との反応を加速する触媒、具体的には、有機スズ、有機亜鉛、及び有機ビスマスの金属触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート、又は第三級アミン、アミジン若しくはグアニジン、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(ダブコ(DABCO)(登録商標)又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を含有してもよい。
【0086】
これら上述の物質に加えて、ポリウレタン接着剤は、二剤型ポリウレタン組成物に通常使用される更なる成分、具体的には以下のものを含有してもよい:
可塑剤、
溶媒、
無機フィラー及び有機フィラー、
繊維、例えば、ポリエチレン製の繊維、
色素、
レオロジー改質剤、特には増粘剤又はチキソトロピー剤、
乾燥剤、
接着促進剤、
酸化、熱、光及びUV照射に対する安定化剤、
難燃性物質、
界面活性物質、特には湿潤剤、流動調整剤(flow control agents)、脱気剤(deaerating agents)又は消泡剤、
殺藻剤、殺真菌剤、又は真菌増殖抑制剤等の殺生物剤。
【0087】
ポリウレタン接着剤のその他の成分を使用する場合、それらが特定の成分の保存安定性を著しく損なわないことを確認することが有利である。かかる物質をイソシアネートと共に保存する場合、これは、具体的には、その他の成分が水を全く含有してはならないか、又は多くても微量でなければならないことを意味する。或る特定の成分を混ぜ込む前に、それらを化学的又は物理的に乾燥することが有用な場合がある。
【0088】
ポリウレタン接着剤の各剤は、第1剤と第2剤との容量の混合比が1:3〜3:1、特には1:2〜2:1の範囲にあるように有利に配合される。この比は約1:1であることが好ましい。
【0089】
上記混合比は、混合されたポリウレタン接着剤において、硬化前のイソシアネート反応性基の数、具体的にはOH基とNH基の合計に対するイソシアネート基の数の比が、およそ1.2〜1、好ましくは1.1〜1の範囲となるように設定されることが好ましい。
【0090】
2つの剤を互いに分離して、及び少なくとも第2剤については、典型的には水分を含まないようにして調製する。典型的には、上記剤をそれぞれの場合において別々の容器に保存する。ポリウレタン接着剤の更なる成分は、第1剤又は第2剤の一部として存在してもよく、更なるイソシアネート基反応性成分は第1剤の一部であることが好ましい。各剤の保存に適した容器は、具体的にはドラム、ブリキのペール缶(hobbock)、袋、バケツ、缶、カートリッジ又は管である。
【0091】
塗布の前に2つの剤を別々に保存し、塗布の間又はその直前にのみ互いに混合する。有利には、上記剤は2つの分離されたチャンバーにより構成されるパッケージング中に存在する。
【0092】
更なる態様では、本発明は、ポリウレタン接着剤の2つの剤のうちの1つをそれぞれ含有する2つの分離されたチャンバーを有するパッケージングにより構成される包装を含む。
【0093】
この種の好ましい包装は、一方では、2つの管状チャンバーが隣り合うか、又は重ね入れられるように配置される隣り合う二重カートリッジ又は同軸カートリッジであり、ピストンによって気密及び水密(moisture-tight)に密閉される。これらのピストンを前進させることにより、上記剤をカートリッジの外に押し出すことができる。適切な場合には、隔壁により開口領域においてチャンバー開口が互いに直接的に接続されるように、ピストンの反対側のチューブの側面がアダプタを介して修飾される。有利には、静的混合機又は動的混合機がきつく取り付けられ得るように、チャンバーの排出口領域にねじ山を取り付ける。かかるパッケージは、少量の塗布、具体的には最大1リットルの充填にとりわけ好ましい。
【0094】
多量の塗布、特に工業生産における塗布のため、有利には、ドラム又はブリキのペール缶に2つの剤を充填し保存する。塗布の際、供給ポンプを用いて上記剤を押し出し、工業生産において二剤型接着剤に通常使用されるような混合装置のラインを介して計量された添加を行う。
【0095】
混合は、典型的には静的混合機を介して、又は動的混合機を用いて行われる。混合に際して、2つの剤が可能な限り均質に混合されることを確実にするように注意しなければならない。2つの剤が十分に混合されないと、有利な混合比率からの局所的な相違が生じ、機械特性の劣化をおこす可能性がある。視覚的に混合の質を調整するため、2つの剤が2つの異なる色を有していることが有利な場合がある。混合した接着剤が、筋又は染みのない均質色を有していれば混合が良好であるとみなされる。
【0096】
第1剤が第2剤のイソシアネート基と接触すると、化学反応により硬化が開始する。ここで、ポリアミンA4のアミノ基、並びにトリオールA1、ジオールA2及び、ジオールA3のヒドロキシル基、並びに任意に存在する更なるイソシアネート基反応性物質が、存在するイソシアネート基と反応する。過剰なイソシアネート基は、存在する水分と反応する。これらの反応の結果、ポリウレタン接着剤は硬化して固体材料を形成する。このプロセスは、架橋とも呼ばれる。
【0097】
本発明の別の態様は、第1基体を第2基体に接着する方法であって、
上記2つの剤を混合する工程と、
上記混合したポリウレタン接着剤を少なくとも1つの基体表面に接着するように塗布する工程と、
オープンタイム(open time:開放時間)内に接着するように上記基体を合わせる工程と、
上記ポリウレタン接着剤を硬化させる工程と、
を含む、第1基体を第2基体に接着する方法に関する。
【0098】
2つの基体は、同じ材料で作製されていても異なる材料で作製されていてもよい。この方法は、接着剤結合をもたらす。
【0099】
この接着する方法では、好適な基材は、特に下記のものである:
ガラス、ガラスセラミックス;
金属及び合金、例えばアルミニウム、鉄、鋼鉄及び非鉄金属、並びに表面を仕上げた金属(surface-finished metals)及び合金、例えば亜鉛めっき又はクロムめっき金属;
被覆及び塗装基材、例えば粉体被覆金属又は合金及び塗装金属シート;
プラスチック材、例えばポリ塩化ビニル(硬質及び軟質PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)及びエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、ここで、プラスチック材は、好ましくはプラズマ、コロナ又はフレームにより表面処理され得る;
繊維強化プラスチック材、例えば炭素繊維強化プラスチック材(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック材(GRP)及びシート成形コンパウンド(SMC);
樹脂、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂又はエポキシ樹脂と接着した、木由来の木材製品、樹脂−布地複合材料、及びその他のいわゆるポリマー複合材料;並びに、
コンクリート、モルタル、レンガ、粘土レンガ、石膏及び御影石又は大理石等の天然石。
【0100】
この方法において、一方の基体又は両方の基体が、好ましくは金属又はセラミック又はガラス繊維強化プラスチック材又は炭素繊維強化プラスチック材である。
【0101】
必要に応じて、上記基体は、接着剤の塗布の前に前処理されてもよい。かかる前処理として、具体的には、物理的及び/又は化学的な洗浄方法、並びに接着促進剤、接着促進剤溶液、又は下塗り剤の塗布が挙げられる。
【0102】
この記載される接着する方法より物品が得られ、ここで接着剤は、圧入方式で2つの基体を互いに接続する。具体的には、この物品は、ブリッジ、工業用商品又は消費者用商品、特にはウィンドウ、風力タービンの回転翼の羽根若しくは輸送手段、具体的には乗り物、好ましくは自動車、バス、トラック、電車若しくはボート、及び飛行機若しくはヘリコプター、又はかかる物品の留め具等の構造体である。
【0103】
さらに、本発明は、上述の接着する方法により得られた物品に関する。
【0104】
上記接着する方法が、ポリウレタン接着剤の硬化工程の後、接着剤結合を脱離又は剥離するため、硬化したポリウレタン接着剤を含む接着剤結合を加熱する更なる工程を含むと有利な場合がある。
【0105】
加熱は、ここでは少なくとも120℃の温度、好ましくは140℃〜200℃の範囲、とりわけ好ましくは150℃〜160℃の範囲で、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも20分間、とりわけ好ましくは20分間〜180分間、最も好ましくは25分間〜45分間の期間に亘り行われることが好ましい。
【0106】
加熱は、具体的には、赤外線ラジエーター、熱風乾燥機、誘導加熱器を用いて又はオーブンにおいて行われる。
【0107】
加熱は、その強度に関して、硬化した接着剤の弱化を導く。そのため、比較的小さな力の消費によって基体を接着剤から機械的に分離することができ、すなわち、接着剤結合を容易に脱離可能である。ここでわずかな力の消費とは、2MPaより小さい、とりわけ1.5MPa〜0.2MPaの範囲の力を指す。
【0108】
特に良好な剥離特性は、或る特定量のアルコキシル化芳香族ジオールA3を含有する接着剤、とりわけ重量比A2/A3が3.5以下であるかかる接着剤によって呈される。
【0109】
接着剤結合を熱により脱離することができることは、接着剤結合を加熱することによって、損傷した又は欠陥のある接着された基体を容易に取り替えることができることから、とりわけ接着された加工物の修理の場合に非常に有利である。例えば、本発明による接着剤によってその部品が接続されている乗り物において、単一の接着剤結合を選択的に加熱することができ、そのようにして、その乗り物の残りの部分を損なうことなく脱離することができる。
【0110】
記載されるポリウレタン接着剤は、構造用接着剤として非常に良好な特性を有する。
【0111】
この場合、構造用接着剤は、硬化状態で接着されたコンポーネントの支持構造の一部を形成する接着剤を指す。そのため、構造用接着剤は、2つのコンポーネント、すなわち、基体がそれによって接続されている構造物の重要な連結体である。したがって、構造用接着剤の機械特性に対して高い要求がある。
【0112】
構造用接着剤の別の重要な特性は、その良好な加工性である。ここで、2つの剤は、容易に扱え、混合されるように個別に及び混合の際に低い粘度を有していなければならないが、その後は、最大10mm以上の層厚みを塗布できるように、せん断減粘性の安定な材料がすぐに得られるような粘度を非常に急速に確立しなければならない。
【0113】
記載されるポリウレタン接着剤を使用することにより、とりわけこれらの要求が十分に満たされる。
【実施例】
【0114】
例示的な実施形態が以下に示され、記載される本発明をより詳細に説明することが意図される。当然、本発明は記載される例示的な実施形態に限定されない。
【0115】
1.使用する物質:
【0116】
【表1】
【0117】
1300gのポリオキシプロピレンジオール(Bayerによるアクレーム(Acclaim)(登録商標)4200N;OH価28.5mgKOH/g)、2600gのポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオール(Shellによるカラドール(Caradol)(登録商標)MD34−02;OH価35.0mgKOH/g)、600gの4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(Bayerによるデスモダル(登録商標)44 MC L)及び500gのジイソデシルフタレートを、80℃にて既知の方法に従って反応させることによりポリマー1を調製し、遊離イソシアネート基の含有量が2.1重量%のNCO終端ポリウレタンポリマーを得た。
【0118】
2.ポリウレタン接着剤の調製
各接着剤について、第1剤(「剤1」)について指示される量(重量部)で表2及び表3に明記される原料を、水分を含まないようにして真空溶解器を用いて加工し、均質なペーストを形成し、保存した。同様に、表2及び表3に明記される第2剤(「剤2」)の原料を加工し、保存した。その後、SpeedMixer(商標)(DAC 150 FV、Hauschild)を使用して2つの剤を30秒間加工し、均質なペーストを形成し、すぐに以下の通り試験した。
【0119】
機械特性を求めるため、ISO527第2部1Bに従って接着剤をダンベル型に成形し、25℃で24時間の後、80℃で3時間保存又は硬化させた。
【0120】
表2及び表3に明記される温度(−35℃又は23℃又は85℃)で24時間の調整時間の後、そのように調製された試料の0.05%〜0.25%の範囲の伸びにおける弾性率(「ヤング率」)、引張強度及び破断伸びを、それぞれの場合において、表に指定される温度にて、50mm/分の試験速度で、Zwick引張試験機Z020上でISO527に従って計測した。
【0121】
引張せん断強度を計測するため、混合時間の終了から1分後にいくつかの試験試料を調製した。イソプロパノールで脱脂され、電気泳動的に塗布された(cataphoretically painted)2つの鋼板の間に、15mm×45mmの重複する接着表面に対して2.0mmの層厚みで上記接着剤を塗布した。計測前に試験試料を異なる条件下、すなわち、23℃で1時間若しくは23℃で3時間、又は23℃で12時間の後80℃で3時間保存し、その後23℃で24時間の調整する、いずれかの条件でDIN EN 1465に従ってこれらの試験試料の引張せん断強度を求めた。結果を表2及び表3に示す。
【0122】
表2及び表3のA1/(A2+A3)、A1/A2、A2/A3及びA1/(A2+A4)の情報は、各接着剤に存在するトリオールA1、ジオールA2、アルコキシル化芳香族ジオールA3及びポリアミンA4の重量比を指す。
【0123】
表4は剥離に関する試験を示す。この目的のため、接着剤EZ1〜EZ3、Ref.1及びRef.3を使用して、以前に記載されるように、引張せん断強度を求めるための試験試料の形態で接着剤結合を調製した。表4に示されるようにオーブンでそれぞれ加熱される前に、全ての試験試料を23℃で12時間保存した後80℃で3時間保存し、その後、23℃で24時間調整した。加熱処理の後、試験試料を23℃で24時間調整し、その後、引張せん断強度を求めた。
【0124】
図1は、Metteler DMA/SDTA 861eを使用して行われた、標準条件下(23℃、50%相対湿度)で7日間硬化させたフィルムのDMTA計測を示す。計測条件は以下の通りであった:せん断の計測、10Hz励起周波数及び加熱速度5K/分。試験試料は、円盤形のサンプルであった(厚さ2mm〜3mm、直径10mm)。複素せん断弾性率G[MPa]を求める間、これらを−60℃まで冷却した後、200℃まで加熱した。
【0125】
接着剤EZ−1〜接着剤EZ−6は本発明による実施例であり、接着剤Ref.1〜接着剤Ref.5は比較例である。
【0126】
上記2つの剤を混合した直後、調製した全ての接着剤は安定な粘度を示した。
【0127】
2つの剤の混合時間の終了から1分後に、予めイソプロパノールで脱脂され、2つ目の同じプレートで覆われて2mmの層厚みで15mm×45mmの重複する接着領域を形成するガラス繊維強化プラスチックプレートに接着剤EZ−3を塗布し、23℃で24時間の後80℃で3時間硬化させ、23℃で24時間の調整時間の後、前述のように引張せん断強度を求めると、凝集破断パターンが得られた。
【0128】
同様に、2つの炭素繊維強化プラスチックプレートを、EZ−3を用いて接着し、23℃で引張せん断強度を求めたところ、凝集破断パターンが得られた。
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
表4及び図1より、140℃超の温度において、本発明による接着剤により熱不安定化が起こったことがわかり、これは接着剤Ref.1及びRef.3では同程度まで検出ができなかった。
図1