(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243915
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】パンチングギャップを設定する方法及びツールユニット
(51)【国際特許分類】
B26F 1/44 20060101AFI20171127BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
B26F1/44 H
B26F1/40 A
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-535033(P2015-535033)
(86)(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公表番号】特表2015-530275(P2015-530275A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】EP2013070729
(87)【国際公開番号】WO2014053643
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2016年10月3日
(31)【優先権主張番号】102012109434.9
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】304012943
【氏名又は名称】グローツ−ベッカート コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ダースト、 フランク
(72)【発明者】
【氏名】ハイネマン、 エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】ホルン、 クノ
【審査官】
岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−156727(JP,U)
【文献】
特表2003−504224(JP,A)
【文献】
特開2006−224243(JP,A)
【文献】
特開昭58−061929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/44
B26F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチング又はカッティングマシン(10)のツールユニット(11)の上のパンチング又はカッティングギャップ(23)を設定する方法であって、
前記ツールユニット(11)は、作動方向(A)において互いに相対的に移動される1つの第1のツール(12)と少なくとも1つの第2のツール(13)とを備え、
前記パンチング又はカッティングギャップ(23)は、作動方向(A)に交差するように前記第1のツール(12)と前記第2のツール(13)との間に存在し、
前記パンチング又はカッティングギャップ(23)の幅(B)は、横方向(Q)において前記第2のツール(13)を変形させることによって、設定され、
前記第2のツール(13)は、前記パンチング又はカッティングギャップ(23)から離れる方を向いた側上で、前記作動方向(A)に交差する横方向において、少なくとも1つの支持部品(28)を介して自らを支持し、
前記パンチング又はカッティングギャップ(23)の前記幅(B)を設定するために、前記少なくとも1つの支持部品(28)の高さ(H1、H2)が減少されることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記作動方向(A)に交差する横方向(Q)において、変形力(FV)が前記第2のツール(13)に作用することを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変形力(FV)は、前記変形力(FV)を生成するための電気式、液圧式、及び空気式の少なくとも何れかの手段を備える力生成ユニット(40)によって生成されることを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持部品(28)は、後面(29)を用いて、前記作動方向(A)に対して傾斜角(α)で傾斜した様態で向けられた支持面(30)に対して自らを支持することを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記支持部品(28)は、横方向(Q)において働く変形力(FV)を用いて前記第2のツール(13)に作用することを特徴とする、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
横方向(Q)において働く保持力(FH)が、引っ張り手段(36)によって前記第2のツール(13)に加えられ、
前記変形力(FV)は前記パンチング又はカッティングギャップ(23)に向けられ、前記保持力(FH)は前記パンチング又はカッティングギャップ(23)から離れる反対方向に向けられることを特徴とする、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
横方向(Q)において働く保持力(FH)が、引っ張り手段(36)によって前記第2のツール(13)に加えられ、
前記変形力(FV)及び前記保持力(FH)は、前記第2のツール(13)のカッティングエッジ(21)の伸長方向において配置される離間された点において、前記第2のツール(13)に作用することを特徴とする、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記パンチング又はカッティングギャップ(23)の前記幅(B)を設定するために、前記第2のツール(13)の高さ(H1、H2)が少なくとも部分において減少されることを特徴とする、
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
パンチング又はカッティングのために第1の作動方向(A)において互いに相対的に移動可能である第1のツール(12)及び第2のツール(13)と、
前記第1のツール(12)と前記第2のツール(13)との間において前記第1の作動方向(A)に交差するパンチング又はカッティングギャップ(23)と、
前記パンチング又はカッティングギャップ(23)を設定するための前記第2のツール(13)が変形されることにより変形力(FV)を生成する手段(28、30、36、40)と、
を備えるパンチング又はカッティングマシン(10)のツールユニット(11)であって、
前記第2のツール(13)は、前記パンチング又はカッティングギャップ(23)から離れる方を向いた側上で、前記第1の作動方向(A)に交差する横方向において、少なくとも1つの支持部品(28)を介して自らを支持し、
前記パンチング又はカッティングギャップ(23)の幅(B)を設定するために、前記少なくとも1つの支持部品(28)の高さ(H1、H2)が減少されることを特徴とする、
ツールユニット(11)。
【請求項10】
支持部品(28)が、接触面を用いて前記第2のツール(13)に対して自らを支持し、前記パンチング又はカッティングギャップ(23)から離れる方を向いた後面(29)を用いて、前記第2のツール(13)のための保持装置(27)の支持面(30)に対して自らを支持し、前記支持面(30)は前記作動方向(A)に対して傾斜した様態で延在することを特徴とする、
請求項9に記載のツールユニット。
【請求項11】
前記第2のツール(13)は、前記支持面(30)から離れる前記第2のツール(13)の動きに対抗するように働く少なくとも1つの引っ張り手段(36、37)と関連付けられることを特徴とする、
請求項10に記載のツールユニット。
【請求項12】
前記支持部品(28)の前記変形力(FV)が前記パンチング又はカッティングギャップ(23)に向かって働き且つ前記引っ張り手段(36)の保持力が前記パンチング又はカッティングギャップ(23)から離れるように前記第2のツール(13)に作用することによって、前記第2のツール(13)の変形が達成されることを特徴とする、
請求項11に記載のツールユニット。
【請求項13】
複数の第2のツール(13)を備え、
前記複数の第2のツール(13)が共同でダイツール(20)を形成する、
ことを特徴とする、請求項9〜請求項11のいずれか一項に記載のツールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチング又はカッティングマシンのパンチングギャップを設定する方法及びツールユニットに関する。ツールユニットは第1のツールと第2のツールとを含む。カッティング又はパンチング動作の間、2つのツールは互いに相対的に移動される。第1のツール上のカッティングエッジと第2のツール上のカッティングエッジとは、例えばフォイルなどの工作物を切り抜くか又は打ち抜くために共に働く。複数の第1及び/又は第2のツールが存在することも可能である。
【背景技術】
【0002】
そのようなカッティング又はパンチングマシンはそれ自体が周知である。例えば独国特許第3012486(C2)号明細書には、平坦な物体を打ち抜くためのウェブ形状又はシート形状の材料を含むパンチングマシンが記載されている。この場合、第1のツールと第2のツールとの間の相対移動はウェッジドライブによって生成される。例によれば、パンチングツールの作動方向に交差するウェッジボディの横方向の移動が、作動方向における、上側ツールに向かう又は上側ツールから離れる下側ツールの移動をもたらす。従ってパンチング行程は、ウェッジの横方向の移動を介して下側ツールによって実行される。
【0003】
独国特許第544605号明細書には、カッティングマシン内の下側ナイフの高さを設定する装置が記載されている。作動方向で見ると、カッティングナイフの位置は、1つ又は複数のスピンドルにより、及びウェッジ調節によって調節され得る。
【0004】
パンチング又はカッティングマシンの最初の始動中に、第1のツールと第2のツールとの間のギャップが設定されなければならない。加えてパンチング又はカッティングマシンの動作中、各作動行程の間に2つのツールは打ち抜かれる材料と接触し、従って損耗を受ける。これは第1のツールと第2のツールとの間のパンチング又はカッティングギャップが拡大するという事実をもたらす。従って最初の始動中、及び動作中に、パンチング又はカッティングギャップの設定が必要である。正確なギャップ幅は、特に精密ツールの場合は非常に重要である。ギャップが大きすぎる場合又は大きくなりすぎた場合、工作物上の切り抜かれる又は打ち抜かれるエッジの品質が低下して、例えば工作物上にバリが形成されることがある。そのようなバリの形成は望ましくない。例えば、打ち抜かれる充電式バッテリー用フォイルにおけるそのようなバリは、隣接するフォイルとの短絡をもたらす可能性がある。従って、ギャップ幅の最大値の超過は防止されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、パンチング又はカッティングギャップを非常に単純な手法で設定し得る、カッティング又はパンチングマシンのための方法及びツールユニットであると考えられてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の特徴を示す方法によって、及び請求項12に記載の特徴を示すツールユニットによって達成される。
【0007】
本発明によれば、少なくとも第2のツールを少なくとも部分的には塑性的に又は弾性的に変形させ、この結果としてパンチング又はカッティングギャップの幅を設定するために、変形力を設定する手段が使用される。特に、損耗によるパンチングギャップの拡大が、変形力を増加させることによって少なくとも部分的に補正される。変形力は特に、第1又は第2のツールの移動方向に交差する横方向に向けられる。加えて、パンチング又はカッティングギャップを設定するために、第1のツールに、関連する手段によって変形力を加えることも可能である。第2のツールを考慮して以下に説明する実施形態は、第1のツールのために使用されてもよい。
【0008】
変形は塑性的又は弾性的であってもよい。特に、最初の始動中にギャップ幅が設定される場合、影響を受けるツールは塑性的に変形されてもよい。そのような弾性的又は塑性的な変形は、第2のツールを保持装置に取り付ける締め付け手段によって非常に単純な手法で作られ得る。本発明の結果として、パンチング又はカッティングギャップを所望のサイズに設定するための、第2のツールの、特にそのカッティング又はパンチングエッジの複雑な機械加工は不要となる。極めて正確なギャップの設定が行われ得る。
【0009】
例えば第2のツールは少なくとも1つの支持部品を含んでもよく、支持部品の後面は、第2のツールのための保持装置の関連する支持面に対して自らを支持する。後面は、作動方向に対して支持面と同じ傾斜角で傾斜した様態で、従って支持面に平行に延在することが好ましい。支持面及び後面は、オフセットがないように、かつエッジなしに平坦に構成されることが好ましい。これらは、言わば作動方向に交差する横方向において、パンチング又はカッティングギャップに向かう方向で、変形力を第2のツールに伝達することが可能な、言わば力伝達手段を形成する。支持面から離れるツールの移動に対抗する少なくとも1つの引っ張り及び/又は押し込み手段を使用することにより、第2のツールの変形が達成される。
【0010】
好ましくは、支持部品の少なくとも1つの支持面は、第2のツールに対して自らを支持する。支持部品は、接触面とは反対の側上の後面を介して、支持面に対して自らを支持する。特に支持面及び/又は後面は、作動方向に対して傾斜するように、ある傾斜角で傾斜して向けられる。好ましくは、第2のツールに保持力を加え、支持面から交差するように離れる横方向の移動に対抗する、少なくとも1つの引っ張り及び/又は押し込み手段が備えられる。少なくとも1つの支持部品を作動方向における締め付け力を用いて締め付けることによって、前記支持部品は、支持面と第2のツールとの間で締め付けられ、パンチング又はカッティングギャップに交差する方向における変形力を第2のツールに及ぼす。変形力に対抗する引っ張り及び/又は押し込み手段の保持力により、第2のツールはパンチング又はカッティングギャップに対して移動されず、しかしそれ自体が変形され、従ってカッティングエッジも変形される。結果として、パンチング又はカッティングギャップの幅が変更される。従って、第2のツールの弾性的又は塑性的な変形によってパンチング又はカッティングギャップを変更する非常に単純かつ正確な選択肢が提供される。
【0011】
第2のツール及びそのカッティングエッジの変形のために、保持力及び変形力は、パンチング又はカッティングギャップに沿ったカッティングエッジの伸長方向における離間された位置において、第2のツールに作用することが好ましい。この場合、第2のツールの及びカッティングエッジの曲げ変形が発生し得る。
【0012】
押し込み及び/又は引っ張り手段は、アーマチュア又はネジ又は類似した手段であってもよい。あるいは又は加えて、押し込み手段は、パンチング又はカッティングギャップに面する第2のツールの側と接触する停止手段であってもよい。特に停止手段は、パンチング又はカッティングギャップに隣接して、例えばパンチングギャップの延長部内に又はその隣に配置されてもよい。
【0013】
一実施形態では、変形力は、例えば電気式、機械式、液圧式、又は空気式の手段を含む力生成ユニットによって生成されてもよく、好ましくは電気的に活動化され得る。例えば力生成ユニットはモータースピンドルユニットを含んでもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、ダイツールを共同で形成する複数の第2のツールが備えられてもよい。この場合、2つの隣接する第2のツールのカッティングエッジは互いに隣接し、特に、ほとんど閉じられたダイカッティングエッジを形成してもよい。第2のツールは、特に数マイクロメートルの最小距離を隔てて互いに隣り合って配置されてもよく、又はそれらは、変形に十分なほど大きな力で互いに作用することなしに互いに接触してもよい。ダイカッティングエッジによって囲まれた第2のツールの間の空間内に、第1のツールが係合してもよい。
【0015】
変形力は、例えば、第2のツールの高さが少なくとも段階的に減少されることによって変えられてもよい。好ましくは、少なくとも1つの支持部品の高さが変更され、第2のツールの高さは変更されないままとなる。この結果として、横方向における支持部品の寸法が、支持面と第1のツールとの間の最小寸法の点において増加され得る。この結果として変形力が増加し、これによりパンチング又はカッティングギャップの幅が変更され、特に、減少される。
【0016】
打ち抜かれる材料に応じて、第2のツールは、スチール、セラミック、硬質金属、又は別の好適な材料からなることが好ましい。第2のツールのカッティングエッジを有する少なくとも1つの部分は、前記の材料のうちの1つで作られる。第2のツールは、又はカッティングエッジを有する少なくとも部分は、第2のツールの、少なくとも1つの支持部品の硬度より大きな硬度を有してもよい。
【0017】
好ましい例示的実施形態では、少なくとも1つの支持部品は独立した構成要素であるように構成される。あるいはこれは、例えば材料ボンディング接続を用いて第2のツールに移動不能に接続されてもよい。第2のツールと少なくとも1つの支持部品とはまた、継ぎ目及び接合部なしに1つの材料で一体化されて作られてもよい。
【0018】
例えば、第2のツールの下面における、高さを変更するために備えられる領域又は面セクションは、カッティングエッジを有するツール部分より小さな硬度を示してもよく、これにより、例えばグラインディングによる高さの減少が、第2のツールのより小さな硬度の領域内で行われ得る。支持部品の高さのみが変更される場合、第2のツール全体は、パンチング及びカッティングのそれぞれのための十分に硬い材料で作られてもよく、グラインディング又は別の材料除去プロセスによって容易に機械加工可能である必要はない。
【0019】
本発明の方法及び本発明の装置の有利な実施形態は従属請求項及び明細書から推定され得る。明細書は本発明の本質的な特徴に限定されている。方法及び装置の好ましい実施形態について添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】パンチングマシンのブロック図に類似した概略図である。
【
図2】打ち抜かれる工作物の、平面図による概略図である。
【
図3】複数の第2のツールを含むダイツールの作動方向における概略図である。
【
図4】第2のツールの例示的実施形態の斜視図である。
【
図5】第2のツールの例示的実施形態の斜視図である。
【
図6】パンチングギャップを設定するための様々な変形力を有する第2のツールの概略図である。
【
図7】パンチングギャップを設定するための様々な変形力を有する第2のツールの概略図である。
【
図8】第2のツールの代替の例示的実施形態の、部分的に断面となった概略側面図である。
【
図9】変形力を生成する力生成ユニットを有する、
図3〜
図7におけるような第2のツールの、ブロック図に類似した平面図による概略図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、パンチングマシン10を極めて概略化された図で示す。パンチングマシン10は、第1のツール12と第2のツール13とを有する本発明のツールユニット11を含む。更に前記マシンは、本発明による方法を実行するように適合される。パンチングマシン10の代わりに、本発明は、カッティングマシン又はその他のスタンピングマシンにおいても使用され得る。
【0022】
2つのツール12、13は作動方向Aにおいて互いに相対的に移動され得る。例示的実施形態では、第1のツール12は、マシンフレーム14上で作動方向Aにおいて移動可能に案内され得るように、かつ具体的には図示されていない駆動装置を用いて移動され得るように支持される。あるいは、第2のツール13又は両方のツール12、13が移動可能に配置されてもよい。この例によれば、第1のツール12はパンチングマシン10の上側ツールを表す。例示的実施形態では、第2のツール13は、マシンフレーム14に対して移動不能に配置され、この例によれば下側ツールとして構成される。第2のツール13に相対的な第1のツール12の行程によって、工作物16から型15が打ち抜かれる。この例によれば、工作物16はプレート又はフォイルであり、ウェブの形態でパンチングマシン10に供給されてもよい。特にパンチングマシン10は、例えば充電式バッテリー用のリチウムフォイルなどのフォイルを、工作物16から所望の型15で打ち抜くために使用され得る。
【0023】
本明細書中に記載される例示的実施形態では、ツールユニット11は、ダイツール20を共同で形成する複数の第2のツール13を含む。第2のツール13の数及び配置は、工作物16から打ち抜かれる型15によって異なる。各第2のツール13はカッティングエッジ21を有し、この場合、隣接する第2のツール13のカッティングエッジ21は互いに隣接して、連続的なダイカッティングエッジを形成する。工作物16内の単純な切断を実行するために、単一の第2のツール13で十分な場合もある。対応して、複数の第1のツール12も提供されてもよい。
【0024】
各第2のツール13のカッティングエッジ21と第1のツール12のカッティングエッジ22との間にパンチングギャップ23が形成される。品質の低下を、及び、例えば工作物16又は打ち抜かれる型15上のバリの形成を避けるために、パンチングギャップ23は所定の最大幅を超過してはならない。パンチングマシンの最初の始動時にパンチングギャップ23が正確に設定されなければならない。パンチングマシン10の動作中に、少なくとも1つの第1のツール12及び/又は少なくとも1つの第2のツール13上に損耗の兆候が更に発生し、その結果としてパンチングギャップ23が拡大する可能性がある。本発明によれば、パンチングギャップ23を設定する手段であって、これを用いて2つのツール13のうちの少なくとも1つが塑性的に又は弾性的に変形され得、これにより特に、影響を受けるパンチングギャップ13の幅Bの減少が達成され得る、手段が提供される。記載される例示的実施形態では、全ての第2のツール13が変形可能であるが、必ずしもそうでなければならないとは限らない。いくつかの適用例では、第2のツール13のうちの一部のみに、それぞれの関連する変形力FVを加えることで十分であり得る。
【0025】
第2のツール13は、保持装置27に取り外し可能に固定される(
図3、
図6、及び
図7)。各第2のツール13は、少なくとも1つの支持部品28と関連付けられる。この例によれば、各第2のツール13に2つ又は3つの支持部品28が割り当てられる。
図3〜
図7による例示的実施形態では、支持部品28は、パンチングギャップ23又はカッティングエッジ21から離れる方を向いた側上に位置し、作動方向Aに交差する横方向Qにおいて、カッティングエッジ21又は第2のツール13から離れるように延在する。第2の横方向Qの向きはそれぞれの第2のツール13と関連し、影響を受けるカッティングエッジ21に交差するように延在する。各支持部品28は第2のツール13に面した接触面28を有し、前記接触面は第2のツールの相手方接触面25に接触する。反対側において、各支持部品28は、第2のツール13から離れる方を向いた第2の後面29を有し、前記後面は保持装置27の関連する支持面30と接触する。後面29と、関連する支持面30とは互いに平行に延在し、オフセット及びエッジなしに平坦であるように構成される。支持面及30及び後面29は、作動方向Aに対して傾斜角αで傾斜して延在する。支持面30及び後面29は、横方向Qに対しても傾斜する。
【0026】
第1のツール12から離れる方を向いた、第2のツール13の第1の下面31は、保持装置27の支持面32によって支持される。各支持部品28の下面38は、保持装置27の支圧面32によって支持される。下面31、38及び支圧面32は、オフセット及びエッジなしに平坦であるように構成されることが好ましい。例えばネジ接続などの締め付け手段33を使用することにより、各第2のツール13及び各支持部品28は、保持装置27上の所定の位置に作動方向Aにおいてしっかりと締め付けられる。この例によれば、第2のツール13の下面31及び支持部品38の下面38は、関連する締め付け手段33を用いて支圧面32に対して締め付けられる。好ましくは、締め付け手段33は、作動方向Aに交差する横方向Qにおける力を吸収しないか又は最小限にしか吸収しないような様態で構成される。
【0027】
少なくとも1つの引っ張り及び押し込みの少なくとも一方の手段36が、変形される第2のツール13と関連付けられ、前記引っ張り及び押し込みの少なくとも一方の手段は、支持部品28と支持面30とが変形力FVを生成する場合の、支持面30から遠ざかろうとする第2のツール13の動きに対抗するように適合される。
図3、
図5、及び
図9は、ネジ37として実施される引っ張り及び押し込みの少なくとも一方の手段36を概略的に示す。これらは保持装置27を通して延在し、それらの第1の伸長方向において保持装置27に相対的に移動され得る。ネジ37の頭37aが保持装置27によって支持され、この場合、それらの反対側の端が関連する第2のツール13に固定され、例示的実施形態ではネジ山37bを介して螺合される。引っ張り及び/又は押し込み手段36並びにネジ37はそれぞれ、第2のツール13のカッティングエッジ21の伸長方向において支持部品38と相対的にずれているように配置され(
図3、
図5、及び
図9)、従って引っ張り及び押し込みの少なくとも一方の手段36のうちの1つが支持部品28を通して延在することはない。好ましくは、第2のツール13のうちの1つと関連付けられる支持部品28は、カッティングエッジ21の伸長方向において、2つの外側の引っ張り及び/又は押し込み手段36並びにネジ37のそれぞれの間に配置される。
【0028】
図3による第2のツール13のうちの1つは、コーナー34を形成する2つのカッティングエッジ21を有する。
図3の描写とは異なり、各カッティングエッジ21が、第2のツール13の反対側上で保持装置27の支持面30によって支持される支持部品28と関連付けられてもよい。この第2のツール13は、2つの方向において変形力FVを用いて、影響を受けるパンチングギャップ23の幅Bを設定するために調節されてもよい。わかりやすくするために、コーナー34を有する第2のツール13は、より長いカッティングエッジ21上のパンチングギャップ23を設定するために使用される手段28、30、36、37のみを用いて示されている。
【0029】
支持面30の傾斜角αにより、第2のツール13に対する変形力FVを、影響を受ける第2のツール13と関連付けられた支持部品28を締め付け手段33を用いて所定の位置に締め付けることによって生成することが可能である。締め付け動作の間、支持部品28の下面38が支持面32上のその端位置に到達する前に、後面29は支持面30とすでに接触するようになる。しかし引っ張り及び押し込みの少なくとも一方の手段36並びにネジ37のそれぞれにより、締め付け動作の間に第2のツール13は、傾斜した支持面30から離れるように移動され得ない。引っ張り及び押し込みの少なくとも一方の手段36並びにネジ37のそれぞれは、第2のツール13に対して保持力FHを及ぼす。カッティングエッジ21の伸長方向においてこれらの保持力FHと相対的にずれて、各支持部品28は変形力FVを生成する。力FH、FVは横方向Qに向けられ、互いに対抗する。従って変形力FVは保持力FHと逆平行である。この場合、変形力FVは横方向Qにおいて第2のツール13を変形するのに十分なだけ大きい。この変形により、それぞれの第2のツール13のカッティングエッジ21の位置は、関連する第1のツール12のカッティングエッジ22に相対的に変更され得、従ってパンチングギャップ23の幅が設定され得る。従って、組み立て時、最初の始動時、又は稼働動作中に、必要に応じてパンチングギャップ23の幅Bを設定することが可能である。例えばギャップ幅Bは、損耗により増加した場合に減少され得る。パンチングギャップ23のギャップ幅Bを減少させるための、関連する支持部品28の増加した変形力FVによる、カッティングエッジ21の位置のこの移動は、
図6及び
図7に概略的に示されている。
【0030】
第2のツール13の変形による、第2のツール13のカッティングエッジ21の位置変化は小さく、1〜2マイクロメートルの範囲内である。しかしカッティングエッジ21のこの移動は、型15上の質的に完全なかつ特に実質的にバリのないパンチングエッジを得るために、通常は1〜3マイクロメートル又は最大4マイクロメートルの幅を有するパンチングギャップ23を続いて調節するためには十分である。
【0031】
ネジ37又は別の引っ張り手段の代わりに、第2のツール13は、支持面30から離れる方を向いた側上の、例えば停止面などの停止手段又は別の好適な押し込み手段と関連付けられてもよく、これにより第2のツール13は、停止面又は押し込み手段と支持部品28とを用いて変形される。
【0032】
第2のツール13の変形力FV及びそのカッティングエッジ21の位置の少なくとも一方を変更するために、この例示的実施形態では、支持部品28の下面38が機械加工される。この結果として、支持部品28の高さが作動方向Aにおいて第1の高さH1から第2の高さH2まで減少されてもよい(
図6及び
図7)。好ましくはこの場合、機械加工されるのは第2のツール13の下面31ではなく、少なくとも1つの関連する支持部品28の下面38のみであり、従って少なくとも1つの支持部品28の高さのみが変更される。例えば
図6においてドットで概略的に示されているように、支持部品28の下面38から層を取り除くことが可能である。
【0033】
支持面30は傾斜しているため、作動方向Aに沿って見た第1のツール12からのその距離は、支圧面32に向けて減少する。支持部品28は、下面38がその端位置に到達して少なくとも部分的に支圧面32と接触するまで、締め付け手段33を用いて所定の位置に締め付けられる。この結果として、少なくとも1つの支持部品28の実効寸法は、言わば横方向Qにおいて、すなわちパンチングギャップ23の幅の方向で見ると、言わば増加する。支持部品28の後面29は支持面30によって支持され、対向接触面26は接触面26によって支持される。この結果として、それらは支持部品28の高さの減少前の変形力FVと比較してより大きな変形力FVを第2のツール13に加える。引っ張り及び押し込みの少なくとも一方の手段36並びにネジ37のそれぞれは、支持部品28の力による移動に対抗するために、保持力FHを第2のツール13に加える。この結果として、第1のツール12のカッティングエッジ22に相対的なカッティングエッジ21の位置が変えられ、及びパンチングギャップ23のギャップ幅Bは、差分値Dだけ減少され得る(
図7)。
【0034】
図6及び
図7の描写は縮尺が正確ではなく、動作様式の基本原理を示す概略図にすぎないということを指摘しておく。
【0035】
記載した例示的実施形態の修正では、例えば第2のツール13と支持部品28とが互いに接続されている場合は必ず、第2のツール13及び関連する支持部品28の高さが変更されてもよい。但し原則として、これは必須ではなく、第2のツール13の硬さのため、好ましくは少なくとも1つの支持部品28のみが上述のようにその下面38上で機械加工される。
【0036】
第2のツール13、及び好ましくは第2のツール13全体が、スチール、セラミック、硬質金属、又はその他の「好適な材料からなる。第2のツール13のカッティングエッジを有する1つの領域のみを特に硬化させること、又は硬質金属で作ることも可能である。この例によれば、第2のツール13の、又は少なくともカッティングエッジを有する領域の硬度は、関連する支持部品28の硬度より大きい。
【0037】
一実施形態では、第2のツール13の下面31を含む領域は、カッティングエッジ21を有する領域より小さな硬度を有してもよい。この結果として、第2のツール13の下面31は、高さを減少させるためにより良好に機械加工され得るようになる。
【0038】
図8は第2のツールの修正された実施形態を示す。この場合、支持部品28は、前述のようにカッティングエッジ21の反対の側上に設けられるのではなく、第2のツール13の下面31上に設けられる。支持部品28上に設けられる後面29は、前述のように支持面30と関連付けられる。変形力FVを変えるために、この実施形態ではまた、機械加工されるのは下面31ではなく、支持部品28の後面29に隣接する下面38である。支持部品が支圧面32に対して締め付けられる場合、支持部品28は支持面30から離れるように押され、この場合、第2のツール13に変形力FVを加えることが可能である。この例示的実施形態では、支持部品28と第2のツール13とは、例えば材料ボンディング接続によって互いに移動不能に接続されるか、又は継ぎ目及び接合部なしに一体化されることが好ましい。それ以外の機能及び設計については、前述の例示的実施形態と一致しているため、上述の説明を参照されたい。
【0039】
図9は別の修正された例示的実施形態を示す。この修正では支持部品28が省略されている。カッティングエッジ21から離れる方を向いたツール13の側は、保持装置27の支持面30によって支持される。支持面30は作動方向Aに対して傾斜されない。第2のツール13は力生成ユニット40に接続され、力生成ユニット40は例えば電気モーターを、あるいは液圧式又は空気式の力生成手段を含んでもよい。この場合、変形力FVは、少なくとも1つの支持部品28によってではなく、電気モーターによって駆動されるスピンドル41によって生成されて、第2のツール13に伝達されてもよい。上述の修正と同様に、保持力FHは引っ張り及び/又は押し込み手段36によって第2のツール13に加えられ、前記保持力は変形力FVに対抗するように向けられる。従って、力生成ユニット40によって、他の実施形態におけるのと同様にパンチングギャップ23の幅Bを設定することが可能である。
【0040】
図9に示す例示的実施形態の修正では、力生成手段40の代わりに手動設定手段を設けることも可能である。例えばスピンドル41は、第2のツール13を押すネジによって、又は変形力FVの手動調節のための別の好適な押し込み手段によって置き換えられてもよい。
【0041】
力生成ユニット40を使用することにより、関連する第2のツール13のパンチングギャップの幅Bを制御することも可能である。例えば幅Bは、特に光学測定装置によって測定され、制御ユニット内で設定値と比較されてもよい。偏差がある場合、制御ユニットは力生成ユニット40を活動化して、変形力FVを増加又は減少させる。
【0042】
原則として上述の例示的実施形態では、支持部品28と第2のツール13とを別個の構成要素として構成すること、あるいは、例えば材料ボンディング接続によって互いに移動不能に接続するか、又は継ぎ目及び接合部なしに一体化させることが可能である。第2のツール13の様々な例示的実施形態の特徴を互いに組み合わせることも可能である。支持部品28は下面31上に備えられてもよく、第2のツール13のカッティングエッジ21とは反対の側上に備えられてもよい(
図3〜
図7及び
図8)。
【0043】
全ての実施形態において、第2のツール13の様々な位置における様々な強さを有する変形力FVを設定することが有利である。これは例えば、パンチングギャップ23の幅Bを、第1のツール12の関連するエッジの一様でない線に適合させるために行われる。このために第2のツール13は、例えば複数の支持部品28と複数の引っ張り及び/又は押し込み手段36とに関連付けられ、これらを用いて局所的な変形力FVのそれぞれの所望の値が設定されてもよい。
【0044】
本発明は、ツールユニット11の第1のツール12と第2のツール13との間のパンチングギャップ23の幅Bを変更するツールユニット11及び方法に関する。好ましくは、周囲のダイカッティングエッジを有するダイツール20を共同で形成する複数の第2のツール13が存在し、ダイツール20内には第1のツール12がそのカッティングエッジ22を用いて係合し得る。第1のツール12のカッティングエッジ22と第2のツール13のそれぞれのカッティングエッジ21との間にパンチングギャップ23が幅Bを有して形成され、幅Bはカッティングエッジ21、22の間で、作動方向Aに交差する横方向Qにおいて測定される。第1のツール12及び第2のツール13は作動方向Aにおいて互いに相対的に移動される。締め付け手段33によって、第2のツール13に作用する変形力FHが作動方向Aに交差するように働くことが可能であり、これにより、影響を受けるカッティングエッジ21の位置が、及びそれと共にパンチングギャップ23の幅Bが、変更され設定され得る。
【符号の説明】
【0045】
10 パンチングマシン
11 ツールユニット
12 第1のツール
13 第2のツール
14 マシンフレーム
15 型
16 工作物
20 ダイツール
21 第2のツールのカッティングエッジ
22 第1のツールのカッティングエッジ
23 パンチングギャップ
25 相手方接触面
26 接触面
27 保持装置
28 支持部品
29 後面
30 支持面
31 第2のツールの下面
32 支圧面
33 締め付け手段
34 コーナー
35 ツール部品
36 引っ張り及び/又は押し込み手段
37 ネジ
37a 頭
37b ネジ山
38 支持面の下面
40 力生成ユニット
41 スピンドル
α 傾斜角
A 作動方向
B パンチングギャップの幅
D 差分値
FH 保持力
FV 変形力
H1 第1の高さ値
H2 第2の高さ値