特許第6243916号(P6243916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6243916シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置
<>
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000002
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000003
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000004
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000005
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000006
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000007
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000008
  • 特許6243916-シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243916
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】シャッターアセンブリを有するイオン源及びそれを備えるイオン注入装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 27/02 20060101AFI20171127BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20171127BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20171127BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H01J27/02
   H01J37/08
   H01J37/317 Z
   H01L21/265 603A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-536957(P2015-536957)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公表番号】特表2016-500901(P2016-500901A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】US2013064626
(87)【国際公開番号】WO2014062515
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年9月27日
(31)【優先権主張番号】13/651,685
(32)【優先日】2012年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202636
【氏名又は名称】鈴木 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー チャールズ ブラニク
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ティー ウィーバー
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−250523(JP,A)
【文献】 実開平03−058861(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 27/02
H01J 37/08
H01J 37/317
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アークチャンバを画定するアークチャンバ筐体であって、該アークチャンバ筺体は固定位置に引出しプレートを有し、該引出しプレートは複数の引出し開口を画成する、アークチャンバ筺体と、
前記引出しプレートに近接する前記アークチャンバの外側に位置付けられ、ある期間、前記複数の引出し開口のうちの1つの少なくとも一部を遮断するように構成されたシャッターアセンブリと、
を備え
前記シャッターアセンブリは、シャッター開口を画定する単一の汎用シャッタープレートと、該単一の汎用シャッタープレートを前記引出しプレートに対して第1の位置まで移動させて、第1の期間、前記複数の引出し開口のうちの第1の引出し開口から、前記複数の引出し開口のうちの残りの引出し開口を遮断しながら、第1のイオンビームを引出せるように構成したアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータはさらに、前記単一の汎用シャッタープレートを前記引出しプレートに対して第2の位置まで移動させて、第2の期間、前記複数の引出し開口のうちの第2の引出し開口から、前記複数の引出し開口のうちの残りの引出し開口を遮断しながら、第2のイオンビームを引出せるように構成される、イオン源。
【請求項2】
前記アクチュエータはさらに、前記単一の汎用シャッタープレートを前記引出しプレートに対して第3の位置まで移動させて、第3の期間、前記複数の引出し開口のうちの第3の引出し開口から、前記複数の引出し開口のうちの残りの引出し開口を遮断しながら、第3のイオンビームを引出せるように構成される、請求項に記載のイオン源。
【請求項3】
アークチャンバを画定するアークチャンバ筐体を有し、該アークチャンバ筺体は固定位置に引出しプレートを有し、該引出しプレートは複数の引出し開口を画定する、イオン源と、
前記引出しプレートに近接する前記アークチャンバの外側に位置付けられ、ある期間、前記複数の引出し開口のうちの1つの少なくとも一部を遮断するように構成されたシャッターアセンブリと、
前記複数の引出し開口のうちの1つの少なくとも一部から引出されるイオンビームに対して被加工物を保持し、かつ移動させるように構成された被加工物ホルダーを有し、前記被加工物上に二次元のイオン注入パターンを形成する処理チャンバと、
を備え、前記被加工物ホルダーは前記シャッターアセンブリの下流に間隔を置いて配置され
前記シャッターアセンブリは、シャッター開口を画定する単一の汎用シャッタープレートと、該単一のシャッタープレートを前記引出しプレートに対して第1の位置まで移動させて、第1の期間、前記複数の引出し開口のうちの第1の引出し開口から、前記複数の引出し開口のうちの残りの引出し開口を遮断しながら、第1のイオンビームを引出せるように構成したアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータはさらに、前記単一の汎用シャッタープレートを前記引出しプレートに対して第2の位置まで移動させ、第2の期間、前記複数の引出し開口のうちの第2の引出し開口から、前記複数の引出し開口の残りの引出し開口を遮断しながら、第2のイオンビームを引出せるように構成される、イオン注入装置。
【請求項4】
前記アクチュエータはさらに、前記単一の汎用シャッタープレートを前記引出しプレートに対して第3の位置まで移動させて、第3の期間、前記複数の引出し開口のうちの第3の引出し開口から、前記複数の引出し開口のうちの残りの引出し開口を遮断しながら、第3のイオンビームを引出せるように構成される、請求項に記載のイオン注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イオン源に関し、より詳細には、シャッターアセンブリを有するイオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のイオン源は、1つの引出し開口を有する引出しプレートを含む。イオンは引出し口から良好に規定されたイオンビームとして引出される。引出し開口は、一般にリボンビームと称される細長いイオンビームを引出すために、スリット形状とすることができる。引出し開口は、一般にスポットビームと称される概して円形状のイオンビームを引出すために円形状としてもよい。多くのイオン注入アプリケーションは、被加工物の前面全体をイオンビームによって処理し、処理すべき被加工物の領域はフォトレジストにより画成される。フォトレジストを使用しないその他のイオン注入アプリケーションでは、被加工物上に二次元のパターンを形成するのが望ましい。一例では、被加工物は、ドープ領域のインターレースパターンを形成することが望まれる、選択エミッタ型太陽電池のような、太陽電池とすることができる。これらのドープ領域は、完成した選択エミッタ型太陽電池の接点の下側に位置することにより、接触抵抗を減らし、したがって選択エミッタ型太陽電池の全体の効率(電気エネルギーに変換される光の割合)を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
二次元パターンを形成するためには、それぞれが単一の開口を有する複数のイオン源を組み立てラインに配置して、被加工物を各イオン源に順次通してスキャンすることができる。一例では、各々が異なる引出し開口を有している3つの別個のイオン源が必要である。被加工物は、1つの特定のドープパターンを形成するために第1のイオン源を通過してスキャンされ、次に、別のドープパターンを形成するために第2のイオン源を通過してスキャンされ、そして、最後に、さらに別のドープパターンを形成するために第3のイオン源を通過してスキャンされ、これらのドープパターンが合わさって所望の二次元パターンが形成される。この従来構成の1つの欠点は、多くのイオン源と、付随する各イオン源の費用および保守を必要とすることである。別の欠点は、貴重な床面積を有している組み立て領域に追加のスペースを占めることである。
【0004】
従って、上述した不備および欠点を克服するイオン源およびイオン注入装置のための技術が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、イオン源が提供される。イオン源はアークチャンバを画定するアークチャンバ筺体を含み、アークチャンバ筺体は固定位置に引出しプレートを有し、引出しプレートは複数の引出し開口を画定する。イオン源は、引出しプレートに近接するアークチャンバの外側に位置付けられるシャッターアセンブリも含む。シャッターアセンブリは、1つの時間間隔の間、前記複数の引出し開口のうちの1つの少なくとも一部を遮断するように構成される。
【0006】
本開示の他の態様によれば、イオン注入装置が提供される。イオン注入装置は、イオン源と、シャッターアセンブリと、処理チャンバとを含む。イオン源は、アークチャンバを画定するアークチャンバ筺体を有し、アークチャンバ筺体は固定位置に引出しプレートを有し、引出しプレートは複数の引出し開口を画定する。シャッターアセンブリは、引出しプレートに近接するアークチャンバの外側に位置付けられる。シャッターアセンブリは、1つの時間間隔の間、前記複数の引出し開口のうちの1つの少なくとも一部を遮断するように構成される。処理チャンバは、前記複数の引出し開口のうちの1つの少なくとも一部から引出されるイオンビームに対して前記被加工物を保持し、かつ移動させるように構成された被加工物ホルダーを有し、被加工物上に二次元のイオン注入パターンを形成するように構成され、被加工物ホルダーは前記シャッターアセンブリの下流に間隔を置いて配置される。
【0007】
本開示をよりよく理解するため、添付の図面を参照されたい。同様な構成要素は同様な番号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係るイオン源の組立分解等角図である。
図2】本開示に係るイオン注入装置の断面図である。
図3】汎用シャッタープレートを有する他のイオン注入装置の断面図である。
図4図3の汎用シャッタープレートの正面図である。
図5】A〜Cは異なる位置に3つのシャッタープレートを有しているイオン源の他の実施形態の正面図である。
図6】本開示に係る、イオン注入装置で生成される二次元のイオン注入パターンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、本発明の実施形態を示している添付図面を参照しながら、より詳細に説明する。しかし、この発明は、多くの異なる形態で具体化でき、ここに記載した実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、そして本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。図面中、同様な要素には同様の番号を付してある。
【0010】
図1を参照すると、本開示に係るイオン源100の組立分解等角図が示されている。イオン源100は、引出しプレート106を有するアークチャンバ筐体103を含む。アークチャンバ筐体103は、図2により明瞭に示されるように、アークチャンバ108を画定する。引出しプレート106は、複数の引出し開口を画定する。図1の実施形態においては、引出しプレート106は第1の引出し開口110、第2の引出し開口112、および第3の引出し開口114を画定する。第1および第3の引出し開口110、114はスリットのような形状を有し、説明を分かりやすくするためにそれぞれの幅は拡大されている。1つの実施形態において、第1および第3の引出し開口は、長さ約160mm、幅約2mmとすることができる。第3の引出し開口114は、第1の引出し開口110に比べて、長寸法方向に沿って距離(Y1)ずらすのがよい。第2の引出し開口112は、第1および第3の引出し開口110、114の長寸法に対して直角の長寸法を有する2つの開口部115、116を含むのがよい。特定の形状を有する3つの引出し開口110、112、114が示されているが、他の実施形態では、形状が似ている、又は異なり(例えば、円形、長円形)、互いに関連して位置付けられる2つ以上の引出し開口を有することができる。
【0011】
イオン源100は、アークチャンバ108の外側に位置付けられるシャッターアセンブリ141も含む。シャッターアセンブリ141は、1つの時間間隔の間に複数の引出し開口110、112、114のうちの1つの少なくとも一部を遮断するように構成されている。シャッターアセンブリ141は、図面の明瞭化のために分解立体図では破線で示されている第1のシャッター140、第2のシャッター141および第3のシャッターを含むことができる。各シャッター140、142、144は、さもなければ関連する引出し開口110、112、114から引出されてしまうイオンビームを遮断できる材料(例えば、ブラファイトやシリコンコーティングされたアルミニウム)で製造することができる。各シャッター140、142、144は、引出しプレート106にできるだけ接近させるも、シャッター140、142、144が移動できるように位置させるのがよい。1つの実施形態において、各シャッター140、142、144は引出しプレートの1mm以内に配置することができる。シャッター140、142、144が閉鎖位置にある場合には、ヒンジ機構によってシャッター140、142、144を引出しプレート106に密に接触させることができるが、他の時間中には、シャッター140、142、144を引出し開口110、112、114から離して動かすこともできる。
【0012】
各シャッター140、142、144は、関連する引出し開口110、112、114からのイオンビームの引出しを制御するために、独立して制御することもでき、従って、どの引出し開口110、112、114又はその一部を所定の時間に遮断するかに応じて、多様なイオンビーム引出しパターンを作成可能となる。第1のアクチュエータ152によって第1のシャッター140の動きを制御することができ、第2のアクチュエータ154によって第2のシャッター142の動きを制御することができ、第3のアクチュエータ156によって第3のシャッター144の動きを制御することができる。各アクチュエータ152、154、156は、各シャッター140、142、144の動きを所望の態様で制御するために、モーター、ギヤトレーンおよびリンケージを有する電気機械式のアクチュエータとすることができる。各アクチュエータ152、154、156は、コントローラ150からの制御信号に応答することができる。
【0013】
コントローラ150は、所望の入/出力機能を実行するようプログラムすることのできる汎用コンピュータ又はこのような汎用コンピュータのネットワークを含むことができる。コントローラ150は、特定用途向け集積回路、その他のハードワイヤード又はプログラム可能な電子デバイス、個別素子回路等のような、他の電子回路又は電子コンポーネントを含むこともできる。コントローラ150は、通信デバイス、データ記憶デバイスおよびソフトウェアを含むこともできる。コントローラ150は、様々なシステムおよびコンポーネントからの入力信号を受信して、1つ以上のシステムおよびコンポーネントの状態を判断し、これらを制御することもできる。例えば、コントローラ150は、アクチュエータ152、154、156を制御することにより、シャッター140、142、144のそれぞれの位置を独立して制御することができる。コントローラ150は、多くの他のシステムおよびコンポーネントを制御することもできる。
【0014】
作動中、ドーパントガスがイオン化のためにアークチャンバ108に投入される。ドーパントガスの一例は、三フッ化ホウ素(BF3)である。プラズマは、ドーパントガスをイオン化することにより、アークチャンバ108内に生成される。イオン源100は、プラズマを生成するためにRF生成器およびアンテナを有しているRF源のような任意タイプのイオン源、又はアークチャンバ108内にプラズマを生成するために位置付けられたカソードから熱イオン電子を放出する、間接加熱型のカソードイオン源のようなイオン源とすることができる。プラズマからのイオンは、周知のバイアス技術により、1つ以上の引出し開口110、112、114から良好に画定されたイオンビームとして引出すことができる。シャッターアセンブリ141は、さもなければ引出し開口110、112、114から引出されてしまうイオンビームの全て又は一部を遮断するように、1つ以上のシャッター140、142、144を位置付けることができる。太陽電池のような被加工物は、引出しプレート106の下流に或る距離(例えば、一例では約1cm)隔てた被加工物平面160上に位置付けることができる。被加工物は、所望される二次元のイオン注入パターンを形成するために、被加工物平面に沿って種々の方向にスキャンされる。
【0015】
図2を参照すると、本開示に係るイオン注入装置200の断面図が示されている。イオン注入装置200は、図1に係るイオン源100を含むため、同様の部分には同様な参照番号が付されている。イオン注入装置200は、1つ以上の被加工物240、242を保持し、かつ引出し開口110、112、114に対して動かせるように構成された被加工物ホルダー232を有している処理チャンバ230も含む。絶縁体222が、処理チャンバ230からアークチャンバ筐体103を電気的に絶縁している。引出しプレート106は、引出されるイオンビームの入射角と焦点を調整するために、プラズマ202と引出し開口に近接するプラズマシースとの間の境界252の形状を変更するために、絶縁体又は半導体のような材料で製造することができる。
【0016】
作動中、ドーパントガスがイオン化のためにアークチャンバ108に投入され、プラズマ202が発生される。プラズマ202からのイオンを良好に画定されたイオンビームとして引出すための電界を生成するために、バイアス電源256によって被加工物240とアークチャンバ筐体103との間にバイアス信号を供給することができる。バイアス信号は、被加工物240に対してアークチャンバ筐体103にバイアスをかけるために、パルスオンとパルスオフの期間を有するパルス化信号とすることができる。図2の実施形態では、バイアス信号は、被加工物に印可され、かつ、正に帯電したイオンを引き付けるために負にパルス化された直流信号とすることができる。他の例においては、アークチャンバ筐体103をバイアスし、被加工物240を接地することもできる。いずれの例においても、第1の引出し開口110から集束イオンビーム260が引出されるものの、他の引出し開口112、114は、図2に示されるように、ある時間間隔の間、関連するシャッター142、144によって遮断される。引出しプレート106用に選択される材料、第1の引出し開口110の開口寸法、プラズマ202の作動パラメータおよび引出しプレート106からの被加工物平面の距離は、集束イオンビーム260の焦点および注入角度に影響を与えるよう変えることができる。一例として、引出し開口110および114は、長さ約160mm、幅約2mmのスリット形状とするのがよい。パラメータは、被加工物において注入領域の幅を約100μmまでに縮小させることが可能となるように調整することができる。被加工物ホルダー232は、集束イオンビーム260を経て被加工物240、242を1つ以上の方向に動かすことができる。シャッターアセンブリ141は、シャッター140、142、144の位置を独立して制御することにより、どの引出し開口110、112、114又はその一部がイオンビームを放射するかを制御することができる。
【0017】
図4と併せて図3を参照するに、シャッターアセンブリ341は、前に詳述したような、個別に制御可能な複数のシャッター140、142、144とは対照的に、単一の汎用シャッタープレート302で構成することもできる。汎用シャッタープレート302は、図4により明瞭に示されるように、シャッター開口304を画定する。コントローラ150によって制御されるアクチュエータ306が、引出しプレート106と引出し開口110、112、114に対して汎用シャッタープレートの位置を制御することができる。シャッター開口304は、汎用シャッタープレート302が引出し開口112、114を遮断している第1の時間間隔の間に、第1のイオンビーム360を第1の引出し開口110から引出すことを可能にするような大きさとし、かつ、位置付けることができる。シャッター開口304は、第1および第3の引出し開口110、114を遮断している間に、第2のイオンビームを第2の引出し開口112から引出せるように位置を変えることができる。最後に、シャッター開口304は、第1および第2の引出し開口110、112を遮断している間に、第3のイオンビームを第3の引出し開口114から引出せるように位置を変えることもできる。
【0018】
図5A-5Cを参照すると、引出しプレート106および異なる位置にある3つの個別のシャッター540、542、544の正面図が示されている。図5Aを見るに、シャッター544は、関連するアクチュエータへの取り付けを容易にするためのアーム545を有している。シャッター544は、下部にある引出し開口514を露出させるために、左方向に水平に移動している。他の2つのシャッター540、542は、下部にある関連する引出し開口を遮断する位置にある。従って、図5の配置では、イオンビームは、引出し開口514から引出されるも、他の引出し開口からは引出されない。
【0019】
図5Bは、シャッター544がその遮断位置に戻され、中央シャッター542が2つの下部の円形状の引出し開口550、552を露出させることができるように垂直方向に移動することを示している。中央シャッター542は、関連するアクチュエータへの取り付けを容易にするためのハンドル543を有することができる。イオンビームは、他の出口開口が遮断されている間に、これらの引出し開口550、552から引出される。最後に、図5Cは、シャッター544、542が遮断位置にあり、そして右端のシャッター540が、下部のスリット形状の引出し開口510を露出させるため、図5Bの位置に比べて水平方向に右に移動させたさらに他の位置を示している。右端のシャッター540は、関連するアクチュエータへの取り付けを容易にするための、ハンドル541を有することができる。
【0020】
図6を参照すると、本開示に係るイオン源およびイオン注入装置により生成することができる、1つの例示的な二次元のイオン注入パターン600の図が示されている。イオンビームの進行方向に見て上流の引出しプレート106の正面図が示されている。引出しプレート106は、3つの別個の引出し開口領域602、604、606を有している。引出し開口領域602、604、606の説明の便宜上、シャッターアセンブリは図示されていない。イオンが注入される太陽電池610が位置Aに示され、そして、所望の二次元注入パターン600を有する完成した太陽電池が、位置Bに示されている。太陽電池は、被加工物ホルダー630によりクランプして支持することができる。被加工物ホルダー630は、静電力により被加工物をクランプする静電チャック、又は、機械力により被加工物をクランプする機械的なクランプとすることができる。リニアモーターステージ632は、被加工物ホルダー630を支持し、太陽電池610を引出し開口領域602、604、606のうちの1つの一部分、又は、1つ以上の全引出し開口領域602、604、606から引き出されるイオンビームを経て矢印633の方向に前後にスキャンし易くすることができる。リニアモーターステージ632は、取付面634上に載置することができる。
【0021】
作動中、二次元のイオン注入パターン600を形成するために、太陽電池610は、本開示に係るシャッターアセンブリにより開口領域604、606を閉じ、開口領域602を露出させて、左に移動させることができる。イオン源から出力されるイオンビームは、オンおよびオフにパルス化することができ、かつイオンビームは、予定した距離互いに間隔をあけた垂直線615の第1のパターンを注入するために開口領域602に対して、太陽電池610がスキャンされる位置と相関付けることができる。次に、スキャンする方向を逆にして、水平線の注入パターン613を形成するために、引出し領域602、606を閉じながら、太陽電池610を、第2の引出し領域604又はその一部から引出されるイオンビームを経て右に逆戻りさせることができる。例えば、太陽電池610を右に戻す最初の移動時には、水平線の注入パターン613を形成するために、第2の開口領域604の上部の開口620は閉じるも、下部の開口621は露出させ、その後、上部の開口620および下部の開口621は露出させないで、最後に、下部の開口621を露出させ、上部の開口620を閉じるのである。最後に、太陽電池610は再び左に戻すように駆動させることができ、2つの引出し領域602、604が閉じられている間に第3の引出し領域606からイオンビームを出力させることができる。この第3の引出し領域606からの、イオン源から出力されるイオンビームは、オンおよびオフにパルス化することができ、かつ、予定した距離互いに間隔をあけ、そして、第1の垂直線615のパターン間にインターレースされる第3の垂直線617のパターンを注入するために開口領域606に対して、太陽電池がスキャンされる位置と相関付けることができる。太陽電池610は、引出し開口領域602、604、606を経て前後に動かすというよりは、引出し開口領域602、604、606に対して太陽電池610がスキャンされる位置に相関付けた、複数のシャッターを有するシャッターアセンブリと一緒に一方向にだけ通過させることもできる。このようにして、二次元のイオン注入パターン600をワンパスで形成することができる。太陽電池610は、選択エミッタ型太陽電池とすることができる。選択エミッタ型太陽電池の接点領域は、接触抵抗を減らし、従って選択エミッタ型太陽電池の全体的効率を向上させるために、注入領域の上に位置付けるのがよい。
【0022】
従って、引出しプレートに近接するアークチャンバの外側に位置し、1つの時間間隔の間に少なくとも複数の引出し開口のうちの1つの一部を遮断するシャッターアセンブリを有する、イオン源が提供される。また、本開示に係るイオン源を有するイオン注入装置も提供される。被加工物が異なる引出し開口を通ってスキャンされるようにシャッターアセンブリを制御することにより、ただ1つのイオン源を用いるだけで多様な二次元のイオン注入パターンを形成することができる。それぞれ関連するコストおよび保守を伴う多数のイオン源の使用を回避することができる。それに加えて、イオン注入装置の物理的な寸法は、多数のイオン源を使用するイオン注入装置よりもずっと小さくなる。その上、シャッターアセンブリは、引出しプレートをアークチャンバ筐体に固定されたままにすることを可能にする。引出しプレートを動かすことは、イオン源中のプラズマに影響を及ぼし、そして、きわめて厳しい公差は、引出しプレートから引出されるイオンビームの特性に悪影響を与えることなく任意の可動引出しプレートを整列させることを困難にする。
【0023】
本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際に、本明細書に記載された実施形態に加えて、本開示の他の様々な実施形態および変更は、前述の記載および添付図面から当業者には明らかであろう。したがって、このような他の実施形態および変更は、本開示の範囲内に含まれるものと意図している。さらに、本開示は、特定の目的のための、特定の環境における、特定実装の文脈にてこの本明細書中で説明したが、当業者は、その有用性はそれらに限定されるものでなく、本開示は任意の多種の目的のための、任意種の環境で有益に実装し得ることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6