特許第6243917号(P6243917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243917
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】補強された可撓性の温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/18 20060101AFI20171127BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20171127BHJP
【FI】
   G01K7/18 A
   H02K11/25
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-537716(P2015-537716)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-503491(P2016-503491A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】US2013061978
(87)【国際公開番号】WO2014062355
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】61/705,975
(32)【優先日】2012年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/790,751
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510225465
【氏名又は名称】メジャメント スペシャリティーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105360
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 光治
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100153349
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 茂
(72)【発明者】
【氏名】レスマイスター,ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】バーニアー,ピーター デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】スウェンソン,マーク ジェフェリー
(72)【発明者】
【氏名】ガイセルマン,ロバート ローレンス
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0026894(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0226308(US,A1)
【文献】 特表2010−534338(JP,A)
【文献】 実公昭50−023350(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0284722(US,A1)
【文献】 米国特許第03852570(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
H02K 11/00−11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子の温度を検出し前記検出された温度を外部監視装置に伝達する温度センサであって、
前記固定子に嵌合するよう適合化され前記固定子の温度を検出するよう適合化された少なくとも1つの検出ワイヤと、
前記検出ワイヤの少なくとも一部を包囲するアクリル接着剤を有するポリイミド基材を含むコア材料と、前記コア材料の上にエポキシ積層材料とを含む第1のガラス繊維体と、
前記外部監視装置に接続するためのリード・ワイヤと、
前記検出ワイヤが前記リード・ワイヤに電気的に接続されているリード段差部と、
前記リード・ワイヤから伸び前記リード段差部の少なくとも一部を含むタブ部と、
を含み、
前記タブ部は、前記タブ部の長さの少なくとも一部にわたって伸びる可撓性部分を含み、前記タブ部の前記可撓性部分は、前記少なくとも1つの検出ワイヤと前記リード・ワイヤの間にあって前記少なくとも1つの検出ワイヤを前記リード・ワイヤに接続する可撓性の導電性回路を含み、前記タブ部は、前記温度センサが前記固定子の端部を越えて伸びるよう適合化された領域において前記リード段差部および前記検出ワイヤを保護するものである、温度センサ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検出ワイヤは白金製の検出ワイヤを含むものである、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記検出ワイヤは固定子に摩擦嵌合するよう適合化されたものである、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記第1のガラス繊維体の厚さが約0.04インチ(約0.1016cm)である、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記第1のガラス繊維体の厚さは約0.04インチ(約0.1016cm)より大きいものである、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記リード・ワイヤは18番ゲージのリード・ワイヤを含むものである、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記タブ部の長さが約2.375インチ(約6.0325cm)である、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの検出ワイヤは銅製の検出ワイヤを含むものである、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項9】
前記リード段差部は、前記タブ部の少なくとも一部の上にエポキシ積層材料を含む第2のガラス繊維体と、前記第2のガラス繊維体の少なくとも一部の上にポリイミドおよび接着剤とを含むものである、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項10】
前記接着剤はアクリル接着剤を含むものである、請求項9に記載の温度センサ。
【請求項11】
前記コア材料および検出ワイヤを包囲する前記第1のガラス繊維体と、前記リード段差部との間の前記タブ部の一部は、ポリイミドおよび接着剤によって包囲されるがガラス繊維によっては包囲されないものである、請求項9に記載の温度センサ。
【請求項12】
前記固定子巻線温度センサは、前記少なくとも1つの検出ワイヤにおける検出された抵抗変化に基づいて前記固定子の動作温度を測定するよう適合化されたものである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記外部監視装置はパーソナル・コンピュータを含むものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
固定子の温度を検出する温度センサを製造する方法であって、
前記固定子の温度を検出するために検出ワイヤを前記固定子に嵌合し、
アクリル接着剤を有するポリイミド基材を含むコア材料で前記検出ワイヤの少なくとも一部を包囲し、
前記コア材料をエポキシ積層材料で包囲してガラス繊維体を形成し、
リード・ワイヤを外部監視装置に電気的に接続し、
アクリル接着剤を有するポリイミド基材で積層された細長いタブ部の少なくとも一部を包囲するガラス繊維体を有するリード段差部において前記リード・ワイヤに前記検出ワイヤを電気的に接続する
ことを含み、
前記細長いタブ部は、前記リード・ワイヤから伸び、前記リード段差部を含み、前記温度センサが前記固定子の端部を越えて伸びるよう適合化された領域において前記リード段差部および前記検出ワイヤを保護し、
前記細長いタブ部の少なくとも一部は、前記検出ワイヤと前記リード・ワイヤの間にあって前記検出ワイヤを前記リード・ワイヤに接続する可撓性の導電性回路を含む可撓性部分を含むものである、
方法。
【請求項15】
検出ワイヤを前記固定子に嵌合することは、前記検出ワイヤを前記固定子に摩擦嵌合することを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
検出ワイヤを前記固定子に嵌合することは、白金製の検出ワイヤを前記固定子に嵌合することを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記検出ワイヤの少なくとも一部をガラス繊維体で包囲することは、約0.04インチ(約0.1016cm)より大きい厚さを有するガラス繊維体で前記検出ワイヤを包囲することを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
リード・ワイヤを外部監視装置に電気的に接続することは、18番ゲージのリード・ワイヤを電気的に接続することを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
細長いタブ部を供給することは、少なくとも約2.375インチ(約6.0325cm)の長さを有するタブ部を供給することを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記リード段差部において前記リード・ワイヤに前記検出ワイヤを電気的に接続することは、前記リード段差部を越えて伸び接着剤を有するポリイミド基材によって包囲されるがガラス繊維によっては包囲されない前記細長いタブの一部に、前記検出ワイヤを電気的に接続することを含むものである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一般的には温度センサに関し、特に、電動機(モータ)および発電機の固定子(ステータ)巻線の頑強な温度測定を行うシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願の参照
本願は、2012年9月26日付け出願の米国仮特許出願第61/705975号、および2013年3月15日付け出願の米国仮特許出願第61/790751号の利益を主張する。ここでその全ての開示内容を全ての目的のために参照により組み込む。
【背景技術】
【0003】
抵抗ベースの温度センサ、または抵抗温度検出器(RTD)は、センサに組み込まれた1本以上のワイヤにおける抵抗の検出された変化に基づいて、環境またはシステムの動作中の温度を測定するために、多数の適用例で使用することができる。例えば電動機、発電機および補助装置で使用される固定子に接続されたとき、RTDは、固定子巻線における温度、および関連する空気流およびガス流の各温度を検出するのに用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0026894号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0189342号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0284722号明細書
【発明の開示】
【0005】
RTDを固定子に接続するために、RTDは、典型的には固定子コア(鉄心)内に取り付けられる。これ(取り付け)は、複数の固定子巻線またはコイル相互間に形成された開口部またはスロットの内部にRTDを完全に入れまたは差し込んで、センサの対応する絶縁されたワイヤ(線)だけを固定子コアの端縁を越えて突出させることによって、達成されてもよい。典型的には、このタイプ(種類)のRTDは、検出部分を収容するための細いまたは薄い剛体(例えば、ガラス繊維体(fiberglass body))を含んでいる。検出部分への接続部を形成する比較的大きい電気的リード線は、一般的にガラス繊維体内に嵌合しない。従って、これらの配置には“リード段差部”(lead step:リード線の段差部)の形成が必要であり、“リード段差部”は、各リード・ワイヤ端部がガラス繊維体と結合している(位置にある)リード・ワイヤ端部上のガラス繊維(繊維ガラス)材料の被着部(堆積部)を含んでいてもよい。このリード段差部によって、RTDの取付けプロセス、および電動機または発電機内でのその位置決めが、他の適用例よりも困難になり、電動機または発電機の製造期間中に損傷の影響を受けやすくなる。
【0006】
さらに、固定子およびその他の空間的制限のある適用例において使用されるRTDは、RTDが例えば固定子巻線内で摩擦嵌合されるとき、しばしば、取り付けおよび製造の期間中に引張破壊(tensile failure)を呈する(exhibit:示す、生じる)。これらの破壊の原因は、取付けプロセスで生じるRTDの検出ワイヤ上のストレス(応力)に関係し得る。その取付けプロセスには、加圧、ゴム・マレット(槌)での打撃、および固定子コアの端縁部におけるRTDのリード(線)端部/リード段差領域の曲げが含まれる。
【0007】
従って、より頑強な固定子巻線温度センサが望ましい。
【0008】
発明の概要
本開示の1つの実施形態において、固定子の温度を検出しその検出された温度を外部監視装置に伝達する温度センサが提供される。そのセンサは、固定子内に嵌合または嵌入するよう適合化された少なくとも1つの検出ワイヤを含んでいる。そのセンサは、さらに、例えばガラス繊維体のような剛体を含んでいる。そのガラス繊維体のような剛体は、検出ワイヤの少なくとも一部を包囲するアクリル接着剤を有するポリイミド基材(substrate:基板)を含むコア材料と、そのコア材料上にエポキシ積層材料とを含んでいる。また、外部監視装置に接続するためのリード・ワイヤが設けられる。リード段差部は、検出ワイヤがリード・ワイヤに電気的に接続される位置に画定される(設けられる)。リード・ワイヤと検出ワイヤの間に伸びる導電性タブ部が、リード段差部の少なくとも一部を含む(encompass:包含する)形態で設けられてもよい。そのタブ部は、そのセンサが固定子の一端部を越えて伸びるように適合化されている領域におけるリード段差部および検出ワイヤを保護するよう構成されている。
【0009】
1つの有利な実施形態において、そのセンサは、可撓性のまたは柔軟な区域(ゾーン)を含んでいる。可撓性の区域は、リード・ワイヤと検出ワイヤの間において伸びているそのタブ部を含んで(包含して)もよい。そのタブ部は、コア材料の複数の層の間に重ねられまたは積層されてもよく、そのコア材料は、例えば、リボン(リボン状部)またはテープ(テープ状部)を含む高温耐熱性のポリイミド基材を含むものである。また、接着剤が、リボン上の所定位置にそのワイヤおよびタブ部を保持するために利用されてもよい。一実施形態では、可撓性の区域は、エポキシ積層部(laminate:積層板、積層品)またはガラス繊維を含まず、従って、硬質または剛体でない。
【0010】
本開示の別の実施形態において、固定子の温度を検出する温度センサを製造する方法が提供される。この方法は、固定子の温度を検出するために検出ワイヤを固定子に嵌合するステップを含んでいる。検出ワイヤの少なくとも一部は、アクリル接着剤を有するポリイミド基材を含むコア材料で包囲される。コア材料は、エポキシ積層材料で包囲されて、ガラス繊維体が形成される。リード・ワイヤが外部監視装置に電気的に接続される。アクリル接着剤を有するポリイミド基材が重ね合わせられまたは積層された細長いタブ部の少なくとも一部を包囲するガラス繊維体を有するリード段差部において、検出ワイヤがリード・ワイヤに電気的に接続される。細長いタブ部は、リード・ワイヤから伸びており、また、そのセンサが固定子の一端部を越えて伸びるよう適合化されている領域において検出ワイヤおよびリード段差部を保護するためのリード段差部を含んでいる(包含する)。
【0011】
この発明の概要は、本願の教示内容の一部の概要であり、本発明の要旨の排他的または網羅的な取り扱いを意図したものではない。本発明の要旨に関する更なる詳細は、詳細な説明および特許請求の範囲に見出される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびそれらの法的均等手段によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは固定子巻線温度センサの概略図を示している。図1Bは本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサの概略的な上面図を示している。図1Cは、本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサの概略的な側面図を示している。
図2図2Aは、固定子巻線温度センサの各領域の構造的強度を示す、固定子巻線温度センサの図を示している。図2Bは、本開示の実施形態による固定子巻線温度センサの各領域の強度を示す固定子巻線温度センサの図を示している。
図3図3Aは固定子巻線温度センサの本体部分の概略図を示している。図3Bは、本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサの本体部分の概略図を示している。
図4図4は、本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサを含むシステムの端面図を示している。
図5図5は、本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサを含むシステムの側面図を示している。
図6図6Aは、本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサの上面図を示している。図6Bは、本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサの側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の以下の詳細な説明は、図面における要旨を参照するものであり、図面において例示的に本開示が実施され得る特定の観点および実施形態が示される。これらの実施形態は、当業者が本発明の要旨を実施することを可能にするのに充分詳しく記載される。開示における“an”(1つの)、“one”(1つの)または“various”(種々の)実施形態の参照は、必ずしも同じ実施形態の参照ではなく、2つ以上の実施形態を想定したものである。以下の詳細な説明は、例証的なものであり、限定的な意味で捉えるべきではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲によって、特許請求の範囲が権利を有する法的な均等手段の全ての範囲と共に、定められる。
【0014】
上述のように、例えば電動機および発電機の固定子巻線における温度を測定するのに用いられるRTD(抵抗温度検出器)は、多くの要因によって起こる一貫した破壊、故障、機能停止または不良(failures)を生じる。これらの要因は、例えば、好ましくないまたは適さない(hostile)取付けプロセス、および、RTD自体の構造の不備または不充分さ(inadequacies)を含み得る。図1Aは、上述の欠点を生じ得る固定子巻線温度を測定するのに有用な固定子巻線温度センサまたはRTD100の概略図を示している。RTD100は、導電性タブ(tab:タブ部、突出部、ストリップ)110を介してリード・ワイヤ(リード線、導線、引込み線)135に接続された検出ワイヤ(検出線)130(例えば、検出用の細いまたは薄いコイルを含むプロットされた(plotted:描画された、形成された)要素または素子)を含んでいる。タブ110は、リード・ワイヤ135を検出ワイヤ130に電気的に接続するための、銅製タブか、または少なくとも導電性配線(トレース)を含む要素または素子を含んでもよい。主要な破壊領域105が示されており、主要な破壊領域105は、タブ110およびリード・ワイヤ135を検出ワイヤ130に接続するリード段差部120を含んでいる。例示された実施形態において、タブ110は、リード段差部120を保護せず、主要な破壊領域105におけるその他の重要な部分も保護しない。
【0015】
図2Aは、固定子巻線温度センサまたはRTDの種々の領域の構造的強度(および弱さ)を示す、図1AのRTD100の場合と同様の固定子巻線温度センサまたはRTD200の図を示している。例えば、検出ワイヤを含む要素ワイヤ部205は、平方インチ当り70〜80ポンド(PSI)(約4.921〜約5.62kg/cm)で壊れる(故障する)ことが知られており、一方、リード段差部に隣接する要素ワイヤ部215および220はほんの60PSIで壊れる。剛体部、例えば検出ワイヤを覆うガラス繊維部210は、80PSIで壊れる傾向があり、一方、ガラス繊維部230は60PSIで降伏する(yield:曲る)。上述したように、タブ部240は、要素ワイヤ部215を保護するのに適していない。
【0016】
図3Aは、例えば図1AのRTD100のような、固定子巻線温度センサまたはRTDの本体部分300の概略図を示している。検出ワイヤまたはプロットされた要素または素子305は、図1Aにおける検出ワイヤ130に関して図示して説明したものと同様のものであってもよい。具体的には、検出ワイヤ305は、抵抗の変化に基づいて環境の動作(中の)温度を検出するよう構成された1つ以上のワイヤ・コイルを含んでいてもよい。図示の実施形態では、検出ワイヤ305は、或る厚さのコア材料320で包囲される。コア材料320は、例えばエポキシ積層部310(例えば、ガラス繊維(fiberglass)のような複合積層体)の層によって包囲されまたはそれらの層の間に埋め込まれる。実施形態において、本体部分の全体の厚さ330は、0.030インチ(0.0762cm)である。この0.030インチの厚さのガラス繊維体は、例えば、18番ゲージ(0.04インチ、1.02mm)のワイヤ・リード段差部(図示せず)で使用されると、RTDが損傷を受けやすくなる。より具体的には、そのセンサが取付け期間および動作の期間中に固定子コアの端縁部の周りまたは付近で曲げられると、また、そのセンサが固定子コイルの上または下に配置されると、小径(小さい直径)の検出ワイヤ305は損傷を受けやすい。
【0017】
本開示の複数の実施形態は改善された温度センサまたはRTDを含み、その温度センサまたはRTDには、特に、電動機、発電機および補助装置(補機)における固定子のコイルまたは巻線の温度を測定するよう構成された温度センサまたはRTDが含まれる。本開示の実施形態による固定子巻線温度センサまたはRTDは、少なくとも1つの検出ワイヤまたは検出ワイヤ・コイルを含んでいる。検出ワイヤは、非限定的な単なる例として、銅または白金製のワイヤを含んでいてもよい。そのセンサは、例えばガラス繊維体のような剛体を含んでいる。そのガラス繊維体のような剛体は、検出ワイヤの少なくとも一部を包囲するコア材料と、そのコア材料の上にエポキシ積層材料とを含んでいる。例示的な実施形態において、コア材料は高温耐熱性のポリイミド製のリボンまたはテープを含み、そのリボンまたはテープはそのリボンまたはテープ上の所定位置にワイヤを保持する接着剤を有する。一実施形態において、ポリイミド製のリボンまたはテープは、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. du Pont de Nemours and Company)製の、KAPTON(登録商標)(カプトン)のフィルム、テープまたはリボンである。一実施形態において、接着剤はアクリル接着剤である。別の実施形態において、接着剤はシリコーン接着剤である。ガラス繊維体は、検出ワイヤを保護するよう適合化された厚さ(太さ)を含んでいる。また、ガラス繊維体および検出ワイヤは、固定子の巻線中に嵌合(例えば、摩擦嵌合)され得るような大きさであってもよい。また、そのセンサは、そのセンサの出力を固定子の温度と相関させるための、例えばコンピュータのような外部監視装置に接続するためのリード・ワイヤを含んでいてもよい。
【0018】
幾つかの実施形態において、それらのセンサは、“ピンチ・ゾーン”(pinch zone:挟領域、締付け領域)の近傍において少なくとも1つの小径の検出ワイヤを保護するために、細長い導電性の複数のタブを含んでいる。このピンチ・ゾーンは、センサが電動機または発電機のコアから出る位置に形成される。細長い各タブは、リード・ワイヤから伸びて、検出ワイヤが固定子の一端部を越えて伸びる領域におけるセンサ・ワイヤの一部分を含んで(encompass:包囲して)もよい。
【0019】
開示された細長いタブは、センサ・サブ(部分)アセンブリの一部であり、小径の検出ワイヤを、損傷を受けやすい領域から離して再配置するものである。また、細長いタブの技術は、タブから検出ワイヤへの接続部を、より厚いリード段差部領域の下から外側へ移動させることによって、この接続部を可視化する。この機能によって、電動機および発電機の組立工は、一貫してまたは常にRTDセンサを配置し脆弱な領域にコイルが当たるのを回避することができる。従って、センサ全体は、より強くなり、見える接続部位置を形成して、より正確な取付けを可能にし、さらに損傷の可能性を減らし、従ってセンサ破壊(故障)を減らす。
【0020】
“ストライク・ゾーン”(当り領域、打ち領域)が、固定子の複数のコイルにおけるスロットに沿って存在し、センサが、そこに配置され、槌(mallet:マレット)で打たれて、センサが複数のスロット中に圧入して嵌合(嵌入)される。従来技術におけるRTDセンサのこの部分は、埋め込まれた比較的小径の検出ワイヤにおいて局部的な引っ張り破壊(故障)(tensile failure)を含む損傷を受ける。従来技術のRTDにおける上述の0.030インチの厚さ(太さ)のガラス繊維体は薄(細)すぎて充分な保護を与えることができず、センサ破壊(故障)を生じさせる。また、本開示の実施形態は、比較的壊れやすいまたは脆弱な検出ワイヤを保護するために、ストライク・ゾーンとピンチ・ゾーンの双方においてそのセンサ上により厚い層の材料を含む、より頑丈なセンサ本体を提供する。例えば、特定の一実施形態では、ガラス繊維体は、上述のピンチ・ゾーンおよびストライク・ゾーンにおいて検出ワイヤを保護するために厚さ0.040インチ(0.1016cm)を有する。
【0021】
上述のように、センサの複数の実施形態は、また、外部監視装置に接続するための1本以上のリード・ワイヤを含んでいる。例示的な実施形態では、リード・ワイヤは18番ゲージのリード・ワイヤを含んでいる。本開示の複数の実施形態は、リード・ワイヤから伸びリード段差部を含む導電性タブを有する複数のセンサを含んでいる。センサのリード段差部分は、検出ワイヤがリード段差部に電気的に接続される位置に画定される。タブは、そのセンサが固定子の一端部を越えて伸びる領域においてリード段差部および検出ワイヤを保護する。実施形態によれば、タブ部分またはタブ部(セクション)は、ピンチ・ゾーンにおいて検出ワイヤを保護するために、長さが2.375インチ(6.0325cm)のものである。
【0022】
更なる耐久性を与えるために、本開示の別の実施形態による固定子巻線温度センサまたはRTDは、可撓性の(柔軟な)部分またはゾーンを含んでいる。一実施形態において、可撓性のゾーンは、リード・ワイヤと検出ワイヤまたは検出ワイヤ・コイルとの間に伸びる、例えば導電性の銅製タブのようなタブを含んでいる。タブは、例えば、リボンまたはテープを含む、高温耐熱性のポリイミド基材を含むコア材料の層間に重ねられまたは積層されてもよい。また、そのリボン上の所定位置にワイヤおよびタブを保持するために、接着剤が利用されてもよい。一実施形態において、接着剤はアクリル接着剤である。一実施形態において、可撓性のゾーンは、エポキシ積層部またはガラス繊維を含んでいない。このように、可撓性ゾーンは、そのセンサのガラス繊維体の一部分を含んでいない。
【0023】
図1Bおよび1Cは、本開示の一実施形態による、固定子巻線温度センサ150の上面図および側面図の概略図をそれぞれ示している。リード段差部120を含む主要な破壊領域155が示されており、リード段差部120において、リード・ワイヤ135は導電性タブ160を介して検出ワイヤ(例えば、プロットされた細いワイヤ・コイル)130に接続されている。リード段差部120および主要な破壊領域155が、タブ160の長さ以内で示されている。このようにして、タブ160は、主要な破壊領域155の外側のタブ−検出ワイヤ(タブから検出ワイヤへの)接続部の位置を変更する(alter)ことによって、リード段差部120および主要な破壊領域155におけるその他の重要な部分を保護する。
【0024】
図2Bは、本開示の一実施形態による、センサの各領域の構造的強度を示す固定子巻線温度センサまたはRTD250の図を示している。この実施形態では、本体の厚さ(太さ)0.040インチ(0.030インチとの比較で)およびタブ長さ2.375インチが使用されている。その加えられた厚さの結果、要素ワイヤ部255および295は、最大で120PSIで破壊(故障)に耐え、要素ワイヤ部265は最大で80PSIまで無傷のままの状態を維持する。図示の実施形態において、要素ワイヤ部295は、要素ワイヤ部270からガラス繊維部260へと再配置され、ガラス繊維部260は、60PSIで壊れるガラス繊維部280と比較して、最大で110〜120PSIまでの圧力に耐えることに留意されたい。さらに、細長いタブ290と、増加した本体の厚さとの双方によって、複数の要素ワイヤ部の各々のための追加的な保護が与えられ、従って潜在的な破壊(故障)が減少する。
【0025】
図3Bは、本開示の一実施形態による、固定子巻線温度センサまたはRTDの本体部分350の概略図を示している。検出ワイヤ355は或る厚さ(太さ)のコア材料370によって包囲され、次いでコア材料370は或る厚さのエポキシ積層部360によって包囲される。一実施形態において、検出ワイヤ355は、白金、銅、ニッケル、鉄−ニッケル(合金)で形成される。一実施形態において、コア材料は、高温耐熱性ポリイミド基材、およびその基材上の所定位置にそのワイヤを保持するのに使用される接着剤を含んでいる。一実施形態において、接着剤はアクリル接着剤である。一実施形態において、接着剤は、シリコーン感圧接着剤である。本体部350全体の厚さ(太さ)380は、上述の実施形態における0.040インチである。
【0026】
上述の改善されたセンサの試験によって、次のデータが得られた。
【表1】
【0027】
このデータは、本開示の複数の実施形態が内部の検出ワイヤの強度を少なくとも120PSIに増大させ得ることを示している。さらに、これらの実施形態では、内部の検出ワイヤへの損傷を受ける前に、外部のガラス繊維の損傷が見えるものとなる。これによって、センサの過剰なまたは変形するまで圧力が加わったことを検出することが可能になり、プロセスの改善および将来の損傷の防止が容易になる。末端のユーザは、典型的には、(固定子開口部の寸法によって制限される)センサ本体の厚さ(太さ)に上限を与えるので、検出ワイヤの周りの保護材料の厚さ(太さ)は制限される。その他の厚さ(太さ)が、本開示の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。
【0028】
図4は、本開示の一実施形態による、固定子巻線温度センサ400を含むシステム(系)の端面図を示している。複数のセンサ・リード・ワイヤ420が、固定子410の一端部を越えて伸びるように示されている。図5は、本開示の一実施形態による、固定子巻線温度センサ500を含むシステムの側面図を示している。複数のセンサ・リード・ワイヤ510が、複数のセンサ本体520に接続されるように示されており、それらのセンサ本体は、例えば、一実施形態における白金製ワイヤのような小径の複数の検出ワイヤを収容する。複数のタブ530は、固定子の端部近傍またはピンチ・ゾーン近傍においてそれらの検出ワイヤを保護する。一実施形態によれば、図4および5に示された固定子巻線温度センサは、図1Bに示されたタブ(例えばタブ160)、および図3Bに示された本体(例えば、本体部分350)を有する。
【0029】
図6Aは、本開示の一実施形態による、固定子巻線温度センサまたはRTD650の上面図を示している。リード段差部620は、リード・ワイヤ635を検出ワイヤ630(例えば、プロットされた薄い(細い)ワイヤ・コイルまたは検出ワイヤであり、これは基材または基板上に形成された配線であってもよい)に、可撓性の部分またはゾーン670を介して電気的に接続する。可撓性ゾーン670によって、センサ650が入るスロットの外側でセンサに可撓性を与えることが可能になり、従来技術のセンサで一般的に生じるリード段差部と検出ワイヤの接続部の周りにおける例えば亀裂(クラック)の発生が防止される。タブ660は、センサ650が固定子の一端部を越えて伸びるよう適合化された領域においてリード段差部620、可撓性ゾーン670および検出ワイヤ630を保護する。検出ワイヤ630は、或る厚さ(太さ)のコア材料625によって包囲され、それ(コア材料)は、ガラス繊維体631を形成するエポキシ積層部610の包囲層を有する。コア材料625およびエポキシ積層部610の厚さは、検出ワイヤ630が、例えば固定子コイルの巻線間に摩擦嵌合するように、固定子に嵌合するよう適合化されている。
【0030】
一実施形態において、可撓性ゾーン670は、検出ワイヤ630の少なくとも一部を包囲するコア材料625を有するエポキシ積層部610と、リード段差部620との間に配置されている。可撓性ゾーン670は、例えば導電性の銅製タブのようなタブ660を含んでいてもよい。タブ660は、リード・ワイヤ635から伸びており、また、リボンまたはテープ上の所定位置にワイヤおよびタブを保持する接着剤を有する高温耐熱性のポリイミドのテープまたはリボンの層間に重ねられまたは積層される。一実施形態において、その接着剤はアクリル接着剤である。一実施形態において、その接着剤はシリコーン感圧接着剤である。一実施形態において、可撓性ゾーン670は、エポキシ積層部またはガラス繊維体を含まない(例えば、可撓性ゾーンはガラス繊維体を含まない)。一実施形態において、可撓性ゾーン670の長さは、リード段差部よりも長くてもまたは短くてもよい。例えば、可撓性ゾーンは、長さが0.5インチ(12.7cm)乃至10インチ(25.4cm)であってもよく、リード段差部は、長さが0.5インチ乃至5インチ(127cm)であってもよい。一実施形態において、可撓性ゾーンは、長さが2インチ(5.08cm)乃至4インチ(10.16cm)であってもよく、リード段差部は、長さが1インチ(2.54cm)乃至2インチであってもよい。
【0031】
タブ660は可撓性の基材または基板を含み、可撓性の基材は、ポリイミド製であってもよく、導電性配線(トレース)665を有し、例えばパターン化された銅の配線をその上に有し、リード・ワイヤ635を検出ワイヤ630に電気的に接続するための可撓性の電気回路を形成する。その他の実施形態において、導電性配線665は、例えば金属ワイヤのような任意の適切な導体で形成されてもよい。導電性配線665は、非限定的な単なる例として、リード・ワイヤ635および検出ワイヤ630にハンダで取り付けられてもよい。その他の実施形態において、導電性配線665は、複数のリード・ワイヤ635の一部で形成されても、または検出ワイヤ630の一部で形成されてもよい。ポリイミド製のテープまたはリボンは、タブ660の上面および底面に貼られまたは形成されてもよい。複数のテープ層は、配線665に対する物理的な保護を与え、誘電体層として機能する。代替形態として、別個の誘電体絶縁材料が用いられてもよい。可撓性ゾーン670上のポリイミド製のテープは、感応(sensitive:検出可能、感知、感受性)長さ(距離)のエポキシ積層部とは最大で約1インチの距離だけ、およびリード段差部620のエポキシとは約1インチの距離だけ、オーバラップして(重なって)もよい。実験では、本明細書で開示されたセンサ650の実施形態は、損傷を受けないリード段差部620と検出ワイヤ630の間の(曲げ)角度として最大で180度までの角度を許容した。
【0032】
図6Bは、本開示の実施形態による、固定子巻線温度センサの側面図を示している。一実施形態において、本体部分645の全体の厚さ(太さ)は、図1B、2Bおよび3Bに関連して上述した実施形態によれば、約0.040インチである。
【0033】
検出ワイヤを包囲するポリイミド・テープおよびアクリル接着剤で形成されたコアを有するガラス繊維体と、ガラス繊維体がなく、少なくとも1つの層のポリイミド製のテープとアクリル接着剤の間に重ねられまたは積層されたタブを有する可撓性ゾーンと、 アクリル接着剤を有する1つ以上の層のポリイミド製テープの間に重ねられまたは積層されたエポキシ積層部で前記タブが包囲された位置にあるリード段差部と、を有するセンサの使用によって、センサの強化された耐久性が得られる。例えば、アクリル接着剤を使用することによって、センサの耐久性が強化され、例えば、センサの上から10インチ乃至最大で60インチ(152.4cm)だけ離れた任意の位置から32オンス(oz)(約907g)の重量を落下させることによって、例えばストライク・ゾーンまたはピンチ・ゾーンにおいて、破壊(故障)率(レート)が試験されたとき、シリコーン接着剤で形成された対応のセンサの場合の約4倍強化される。
【0034】
また、ここで、固定子の温度を検出するための温度センサを製造する方法が開示される。この方法は、固定子の温度を検出するための検出ワイヤまたは検出ワイヤ・コイルを固定子に嵌合することを含む。その検出ワイヤの少なくとも一部はコア材料で包囲され、そのコア材料は、高温耐熱性のポリイミド基材、例えば接着剤、例えばアクリル接着剤を有するリボンまたはテープ、および、コア材料上にエポキシ積層材料を有するガラス繊維体を含むものである。リード・ワイヤが、外部監視装置に電気的に接続される。検出ワイヤは、リード段差部でリード・ワイヤに電気的に接続され、またはリード段差部でリード・ワイヤに電気的に接続される可撓性のゾーン内でタブに電気的に接続される。そのタブは、リード・ワイヤから伸び、少なくともリード段差部を含んで(包含して)、そのセンサが固定子の一端部を越えて伸びるよう適合化されている領域においてリード段差部および検出ワイヤを保護する。
【0035】
本明細書において特定の実施形態を図示して説明したが、同じ目的を達成するように計算された任意の構成を図示の特定の実施形態の代わりに用いてもよいことは、当業者であれば理解されるであろう。上記の説明は例示的なものであって制限的なものではないことを意図していると理解されるべきである。本主題の範囲は、請求の範囲が権利を有する均等手段の全範囲とともに、請求の範囲を参照して決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6