特許第6243921号(P6243921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243921
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】BACE阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 513/04 20060101AFI20171127BHJP
   A61K 31/542 20060101ALI20171127BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20171127BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171127BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C07D513/04 375
   C07D513/04CSP
   A61K31/542
   A61P25/28
   A61P43/00 111
   A61K45/00
【請求項の数】13
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2015-539666(P2015-539666)
(86)(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公表番号】特表2015-535247(P2015-535247A)
(43)【公表日】2015年12月10日
(86)【国際出願番号】US2013065418
(87)【国際公開番号】WO2014066132
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/718,728
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100162617
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,フィオンナ ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】メルゴット,ダスティン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】オートン,ウィリアム マーティン
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−518225(JP,A)
【文献】 特表2011−518224(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/091016(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/151832(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/013076(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/005738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 513/04
A61K 31/542
A61P 25/28
A61P 43/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物:
【化1】

(式中、Aは、
【化2】

からなる群から選択され、
、Fであり、
は、H、−OCH、C1−C3アルキル、
【化3】

であり、
は、H、−CH、または−OCHであり、
は、HまたはFである)
またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
Aは、
【化4】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
Aは、
【化5】

からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の化合物または塩。
【請求項4】
Aは、
【化6】

である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項5】
は、
【化7】

である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項6】
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オールである、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項7】
アルツハイマー病を治療するための医薬組成物であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む、医薬組成物。
【請求項8】
アルツハイマー病を発症する危険性のある患者において進行を予防するための医薬組成物であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む、医薬組成物。
【請求項9】
BACEを阻害するための医薬組成物であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む、医薬組成物。
【請求項10】
療法に使用するための請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
アルツハイマー病の治療に使用するための請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項13】
1種以上の他の治療剤をさらに含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、新規テトラヒドロピロロチアジン化合物、該化合物を含む医薬組成物、生理障害を治療するために該化合物を使用する方法、ならびに該化合物の合成に有用な中間体およびプロセスに関する。
【0002】
本発明は、アルツハイマー病ならびにアミロイドβ(Aβ)ペプチド、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の神経毒および高い凝集性のペプチド断片に関する他の疾患および障害の治療の分野である。アルツハイマー病は、世界中で数百万人の患者に影響を与える破壊的な神経性変性障害である。現在、患者に対する症状の有益性を一時的にのみ与える市販されている承認されている薬剤を考慮しても、アルツハイマー病の治療において重要で満たされていない必要性が存在する。
【0003】
アルツハイマー病は、脳におけるAβの生成、凝集、および沈着によって特徴付けられる。β−セクレターゼ(β部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素;BACE)の完全または部分的な阻害は、マウスモデルにおいてプラークに関連したおよびプラークに依存した病理に対する顕著な効果を有することが示されており、Aベータペプチドレベルの少しの減少さえも、プラーク負荷およびシナプス欠損の長期間の顕著な減少を生じ得るので、特にアルツハイマー病の治療において顕著な治療効果を与えることが示唆される。
【0004】
特許文献1は、アルツハイマー型認知症などのAベータペプチドによって引き起こされる神経変性疾患に有用な治療剤としてさらに開示されている縮合アミノジヒドロチアジン誘導体を開示している。さらに、非特許文献1は、経口投与されるCNS活性BACE阻害剤である、(S)−4−(2,4−ジフルオロ−5−ピリミジン−5−イル−フェニル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]チアジン−2−イルアミンを開示している。
【0005】
十分なCNS浸透を有する有効なBACE阻害剤が、アルツハイマー病などのAβペプチド媒介性障害についての治療を提供するために望まれる。本発明は、BACEの有効な阻害剤である特定の新規化合物を提供する。さらに、本発明は、CNS浸透を有する特定の新規化合物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2009/0209755号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Neuroscience、31(46)、16507−16516ページ(2011)
【発明の詳細な説明】
【0008】
したがって、本発明は、式Iの化合物:
【化1】

(式中、Aは、
【化2】

からなる群から選択され、
は、HまたはFであり、
は、H、−OCH、C1−C3アルキル、
【化3】

であり、
は、H、−CH、または−OCHであり、
は、HまたはFである)
またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0009】
本発明はまた、患者においてアルツハイマー病を治療する方法であって、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明は、患者において軽度の認識機能障害からアルツハイマー病への進行を予防する方法であって、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、方法をさらに提供する。
【0011】
本発明はまた、患者においてBACEを阻害する方法であって、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、アミロイド前駆体タンパク質のBACE媒介性切断を阻害する方法であって、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0013】
本発明は、Aβペプチドの産生を阻害する方法であって、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与する工程を含む、方法をさらに提供する。
【0014】
さらに、本発明は、療法に使用するため、特にアルツハイマー病の治療のためまたは軽度の認識機能障害からアルツハイマー病への進行の予防のための式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。なおさらに、本発明は、アルツハイマー病の治療のための医薬の製造のための式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明はまた、軽度の認識機能障害からアルツハイマー病への進行を予防するための医薬を製造するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明はまた、BACEを阻害するための医薬を製造するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明はさらに、Aβペプチドの産生を阻害するための医薬を製造するための式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0015】
本発明はさらに、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、組成物はさらに1種以上の他の治療剤を含む。本発明はまた、式Iの化合物を合成するための新規中間体およびプロセスを含む。
【0016】
軽度の認識機能障害は、臨床所見および時間と共に軽度の認識機能障害からアルツハイマー認知症を示す患者の進行に基づいたアルツハイマー病に関連する認知症の潜在的な前駆期と定義される(Morrisら、Arch.Neurol.58、397−405(2001);Petersenら、Arch.Neurol.56、303−308(1999))。「軽度の認識機能障害からアルツハイマー病への進行の予防」という用語は、患者において軽度の認識機能障害からアルツハイマー病への進行を遅延、停止または反転することを含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「C1−C3アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルアルキル基を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」または「治療すること」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を抑性、予防、制限、遅延、停止、または反転することを含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。
【0020】
「Aβペプチドの産性の阻害」という用語は、哺乳動物におけるAβペプチドのインビボレベルの減少を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、患者への単回または複数回用量投与で、診断または治療下の患者に所望の効果を与える、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の量または用量を指す。
【0022】
有効量は、公知の技術の使用によって、および類似の状況下で得られる結果を観察することによって当業者としての担当診断医により容易に決定され得る。患者のための有効量を決定する際に、担当診断医によって、限定されないが、哺乳動物の種;その大きさ、年齢、および全体的な健康;関与する特定の疾患または障害;疾患または障害の程度または関与または重症度;個々の患者の反応;投与される特定の化合物;投与様式;投与される製剤の生物学的利用能特性;選択される投与レジメン;併用薬の使用;および他の関連状況を含む、多くの要因が考慮される。
【0023】
式Iの化合物は全体的に広範囲の投薬量にわたって効果的である。例えば、1日当たりの投薬量は、通常、約0.01〜約20mg/kg体重の範囲内である。一部の場合、上述の範囲の下限値以下の用量レベルが十分以上であってもよく、一方、他の場合、さらに高い用量が許容可能な副作用で利用されてもよく、したがって、上記の投薬量範囲は本発明の範囲を決して限定することを意図していない。本発明の化合物は、好ましくは、化合物を生物学的に利用可能にする、経口および非経口経路を含む、任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。最も好ましくは、このような組成物は経口投与用である。このような医薬組成物およびそれを調製するためのプロセスは当該分野において周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(D.B.Troy編、第21版、Lippincott、Williams & Wilkins、2006を参照のこと)。
【0024】
式Iの化合物は本発明の治療方法に特に有用であるが、特定の基、置換基および構造が式Iの化合物に好ましい。以下の段落は、このような好ましい基、置換基および構造を記載する。これらの選択は本発明の治療方法および新規化合物の両方に適用可能であることは理解されるであろう。
【0025】
Aは、
【化4】

からなる群から選択されることが好ましい。
【0026】
Aは、
【化5】

からなる群から選択されることが最も好ましい。
【0027】
Aは、
【化6】

であることが最も特に好ましい。
【0028】
はFであることが好ましい。
【0029】
はHまたは
【化7】

であることが好ましい。
【0030】

【化8】

であることが最も好ましい。
【0031】
はHであることが好ましい。
【0032】
がFであり、RがHである場合、RはHであることが特に好ましい。
【0033】
がFであり、RがHである場合、R
【化9】

であることがさらに特に好ましい。
【0034】
好ましい実施形態は、改善されたCNS浸透を有する式Iの化合物を含む。
【0035】
好ましい化合物は、
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール;
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−(5−フルオロ−2−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール;
2−[2−[(4aR,7aS)−2−アミノ−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール;
(4aR,7aR)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン、異性体1;
およびそれらの薬学的に許容可能な塩である。
【0036】
特に好ましい化合物は、
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール;
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−(5−フルオロ−2−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール;
2−[2−[(4aR,7aS)−2−アミノ−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール;
およびそれらの薬学的に許容可能な塩である。
【0037】
最も特に好ましい化合物は、
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール、およびその薬学的に許容可能な塩である。
【0038】
当業者は、本発明の化合物が、スキームAに記載されるように互変異性型で存在し得ることを理解するであろう。本発明の化合物の特定の互変異性体の1つに対するこの適用において任意の参照が与えられる場合、互変異性型およびその全ての混合物の両方を含むことが理解される。
【0039】
【化10】
【0040】
本発明の化合物またはその塩は当該分野において公知の種々の手順によって調製でき、そのうちのいくつかは以下のスキーム、調製例および実施例に例示される。記載される経路の各々についての特定の合成工程は、式Iの化合物またはその塩を調製するために、異なる方法で組み合わされてもよいか、または異なるスキームからの工程と併用されてもよい。以下のスキームにおける各工程の生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕、および結晶化を含む、従来の方法によって回収され得る。
【0041】
特定の立体化学中心は特定されていないままであり、特定の置換基は簡潔さのために以下のスキームにおいて除外されており、スキームの教示を決して限定するものではない。さらに、個々の異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーは、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィーなどの方法によって式Iの化合物の合成において任意の都合の良い点で当業者により分離または分割され得る(例えば、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons,Inc.、1981、ならびにE.L.ElielおよびS.H.Wilen、「Stereochemistry of Organic Compounds」、Wiley−Interscience、1994を参照のこと)。「異性体1」および「異性体2」という指定は、それぞれ第1および第2のキラルクロマトグラフィーから溶出する化合物を指し、キラルクロマトグラフィーが合成において早期に開始される場合、同じ指定が後の中間体および実施例に適用される。さらに、以下のスキームに記載される中間体は複数の窒素保護基を含む。様々な保護基は、実施される特定の反応条件および特定の変換に応じて各々の出現において同じであっても、異なっていてもよい。保護および脱保護条件は当業者に周知であり、文献に記載されている(例えば、「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」、第4版、Peter G.M.WutsおよびTheodora W.Greene、John Wiley and Sons,Inc.2007を参照のこと)。
【0042】
当業者は、本発明の化合物が少なくとも2つのキラル中心を含むコアから構成されることを理解するであろう。
【0043】
【化11】
【0044】
本発明は、ラセミ体を含む、全ての個々の鏡像異性体、および前記化合物の鏡像異性体の混合物を意図するが、スキームBに例示されるように1および2と標識した原子において絶対配置を有する化合物が本発明の好ましい化合物である。
【0045】
本明細書に使用される略語は、Aldrichimica Acta、Vol.17、No.1、1984に従って定義される。他の略語は以下のように定義される:「APP」はアミロイド前駆体タンパク質を指し;「BOC」はtert−ブチルオキシカルボニルを指し;「CSF」は脳脊髄液を指し;「DCC」は1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを指し;「DIC」はジイソプロピルカルボジイミドを指し;「DMEM」はダルベッコ改変イーグル培地を指し;「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し;「EDCI」は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を指し;「Ex」は実施例を指し;「F12」はHma’s F12培地を指し;「FBS」はウシ胎仔血清を指し;「FRET」は蛍光共鳴エネルギー移動を指し;「HEK」はヒト胚腎臓を指し;「HOAc」は酢酸を指し;「HOAt」は1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾールを指し;「HOBt」は1−ヒドロキシルベンゾトリアゾール水和物を指し;「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを指し;「hr」は時間を指し;「IC50」は薬剤について可能な50%の最大阻害反応を生じる薬剤の濃度を指し;「min」は分を指し;「PDAPP」は血小板由来アミロイド前駆体タンパク質を指し;「Prep」は調製例を指し;「RFU」は相対蛍光単位を指し;「R」は保持時間を指し;「THF」はテトラヒドロフランを指す。
【0046】
以下のスキームにおいて、他に示されない限り、全ての置換基は上記に定義される通りである。試薬および出発物質は一般に当業者に容易に利用可能である。他のものは、公知の構造的に類似している化合物の合成ならびに以下の任意の新規手順を含む調製例および実施例に記載される手順に類似している有機および複素環化学の標準的な技術によって作製される。
【0047】
【化12】

スキーム1は、後でオキシムに変換され得るケトン(3)を形成するために使用されるワインレブアミド(2)の形成を示す。オキシムは二環式イソオキサゾール(9)を形成するために使用され得る。(A)基はスキーム1に示されるように合成の異なる点において挿入され得る。「PG」は、カルバメートおよびアリルなどの、アミノ基のために開発された保護基である。そのような基は周知であり、当該分野において理解される。
【0048】
式(1)の化合物は、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンなどの有機塩基およびアミドカップリングの効率を改善するためにカルボジイミドおよびHOBtまたはHOAtなどのカップリング試薬を使用してN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩によりワインレブアミド(工程1、化合物2)に変換される。当業者は、カルボン酸およびアミンの反応から生じる、アミド形成についての多くの方法および試薬が存在することを認識するであろう。例えば、有用なカルボジイミドはDCC、DIC、EDCIである。
【0049】
あるいは、カルボン酸は酸塩化物に変換されてもよく、ワインレブアミドは、有機塩基およびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を使用して形成され得る。
【0050】
グリニャール試薬または有機リチウム試薬などの有機金属試薬によるワインレブアミドの後の処理により、化合物3が得られる(工程2)。例えば、複素環式ハロゲン化物およびアルキルグリニャールまたは有機リチウム試薬が、所望の(A)基が付着されたケトンを形成するために使用され得る(工程2、3)。ケトン、(3)は、次いで、ヒドロキシルアミン塩酸塩および酢酸ナトリウム三水和物もしくは酢酸ナトリウムなどの無機塩基またはピリジンなどの有機塩基を用いて、あるいはエタノールなどの極性プロトン性溶媒中の50wt%ヒドロキシルアミン水溶液を使用することによってオキシムを形成するために使用され、化合物6が得られ得る(工程3)。あるいは、2工程反応において、ベータハロゲンを有するケトンは、保護アリルアミンを用いて、またはアリルアミンとの反応、続いてインサイチュでのtertブトキシカルバミル保護によってアルキル化され、次いでヒドロキシルアミン塩酸塩で処理して、オキシムが得られ得る(工程4、6)。オキシム、(6)は、次いで、トルエンまたはキシレンなどの非極性溶媒中でオキシム(6)を加熱することなどのいくつかの方法によって3+2環化において二環式イソオキサゾール(9)に変換されて化合物9を形成でき(工程5)、または次亜塩素酸ナトリウム水溶液もしくはチタン(IV)エトキシドを使用して、かつ加熱しながらトルエンもしくはキシレンなどの非極性溶媒中で化合物9を形成できる(工程5)。
【0051】
【化13】

スキーム2は、オキシムのインサイチュでの形成およびその後、二環式イソオキサゾールを形成するように変換して化合物(10)が得られる(工程8)ことを例示する。N−[(4−メトキシフェニルメチル]ヒドロキシルアミン塩酸塩を、トリエチルアミンなどの有機塩基中で化合物(3)で処理して、それにチタン(IV)エトキシドを加え、加熱して化合物10を得る。二環式イソオキサゾールのBOC保護ピロリジンは当該分野において周知の酸性条件下で脱保護する。アリル保護ピロリジンは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどの触媒と共にN,N−ジメチルバルビツール酸などの酸を使用して脱保護され得る。脱保護ピロリジンは、次いで、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、またはN,N,N’,N’−テトラメチルグアニジンなどの有機塩基を使用して置換または非置換芳香族ピリミジンとの芳香族求核置換反応(SNAr)で反応されて、所望の置換保護二環式イソオキサゾールが得られ得る(工程9の1および2の工程)。4−メトキシベンジル(PMB)保護二環式イソオキサゾールがその後、酸性条件下で脱保護されて化合物11が得られる(工程9の3の工程)。化合物11は、THFなどの極性非プロトン性溶媒中のイソチオシアン酸ベンゾイルで処理されて、チオ尿素が得られる(工程10、12)。イソオキサゾール環が酢酸中の粉末亜鉛により開かれ得る(工程11、13)。ヒドロキシ化合物(13)は、次いで、1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロペニルアミンで処理されて、縮合ピロリジン保護チアジンが形成される(工程12、14)。チアジンアミドは、エタノールなどの極性非プロトン性溶媒中のピリジンおよびメチルヒドロキシルアミン塩酸塩などの有機塩基またはメタノール中の水酸化リチウムなどの無機塩基で脱保護されて、工程13において式Iの化合物が得られ得る。
【0052】
【化14】

スキーム3は、最初に酢酸中の粉末Znで、または水素化条件の圧力下でエタノールなどの極性溶媒中でラネーニッケルによって処理され得る保護二環式イソオキサゾール(9)を示し(工程16、16)、続いてベンゾチオイソシアネートと反応して化合物17が得られる(工程17)。チアジン環は、スキーム2、工程12に記載されるように形成されて化合物18が得られ得る(工程18)。工程19において、ピロリジン(18)は、スキーム2に記載されるように脱保護され、ヘテロアリール化されて(工程9の1および2の工程)、縮合ピロリジン保護チアジンが得られ得る(化合物14、スキーム2)。チアジンアミドは、次いで、スキーム2に記載されるように脱保護されて(工程13)、式Iの化合物が得られ得る。
【0053】
【化15】

スキーム4はスキーム3およびスキーム2から代替の経路を示し、化合物9は、ピロリジン窒素におけるSNAr反応で脱保護され、ヘテロアリール化され得、イソオキサゾール環はベンゾイルイソシアネートで二環式イソオキサゾールを処理する前に開かれ得る。
【0054】
例えば、スキーム2に記載されるようにピロリジン窒素は、脱保護され、ヘテロアリール化され得る(工程9)。化合物11のイソオキサゾール環は、スキーム3、工程16に記載されるように開かれて、化合物19が得られ得る(工程21)。保護チアジンを形成するための2工程変換(14)は、工程22および24に示され、スキーム3の工程17および18に記載されるように達成され得るか、または保護チアジンは、第1の工程においてベンゾチオイソシアネートならびに第2の工程においてトリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボキシレートを使用して工程23に示されるように直接形成され得る。チアジンアミドは、スキーム2、工程13に記載されるように脱保護されて、式Iの化合物が得られ得る。
【0055】
任意の工程において、塩酸塩などの式Iの化合物の薬学的に許容可能な塩が、標準的な条件下で適切な溶媒中での適切な薬学的に許容可能な酸との式Iの適切な遊離塩基の反応によって形成され得る。さらに、このような塩の形成は窒素保護基の脱保護により同時に起こり得る。このような塩の形成は周知であり、当該分野において理解される。例えば、Gould,P.L.、「Salt selection for basic drugs」、International Journal of Pharmaceutics、33:201−217(1986);Bastin,R.J.ら、「Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities」、Organic Process Research and Development、4:427−435(2000);およびBerge,S.M.ら、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Sciences、66:1−19(1977)を参照のこと。
【実施例】
【0056】
調製例および実施例
以下の調製例および実施例は本発明をさらに例示する。反対に示されない限り、本明細書に例示される化合物は、Symyx(登録商標)Drawバージョン3.2(Symyx Solutions,Inc.)またはIUPACNAME ACDLABSを使用して命名され、番号付けされる。
【0057】
調製例1
2−クロロ−5−フルオロ−4−イソプロピル−ピリミジン
【化16】

1,2−ジメトキシエタン(25mL)中の5−フルオロ−2−クロロピリミジン(5.00g、37.7mmol)の撹拌溶液を、15℃以下に温度を維持しながら、テトラヒドロフラン(28.3mL、56.6mmol)中の2Mのイソプロピルマグネシウムクロリドの溶液と反応させる。得られた溶液を窒素下で1時間撹拌し、次いで0℃に冷却する。テトラヒドロフラン(5mL)中のトリエチルアミン(5.76mL、37.7mmol)を加え、続いてテトラヒドロフラン(20mL)中のヨウ素(9.58g、37.7mmol)の溶液を加える。添加が完了した後、暗い反応混合物を、水、続いて飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和硫酸水素ナトリウムでクエンチする。混合物を酢酸エチル(3×)で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。得られた残渣を、ヘキサン中のジクロロメタンの5〜100%勾配を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(2.55g、39%)を得る。GC/MS(m/e):174。
【0058】
以下の化合物は本質的に調製例1の方法によって調製する。
【0059】
【表1】
【0060】
調製例4
2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン
【化17】

ナトリウムメトキシド(446.53mg、8.27mmol)を、0℃にてメタノール(8mL、197.66mmol)中の2,4−ジクロロ−5−フルオロ−6−メチル−ピリミジン(1.7g、7.51mmol)の撹拌溶液に少しずつ加える。次いで混合物を室温にて1時間撹拌する。水(20mL)を反応混合物、続いてジクロロメタンに加える。層を分離し、水層をジクロロメタンで再抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて、8:1の生成物:出発物質の混合物を得る。粗物質を、イソヘキサン中のジクロロメタンの0〜99%勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(1.16g、87%)を得る。H NMR(CDCl)δ4.09(s,3H),2.45(d,3H)。
【0061】
調製例5
1−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)エタノン
【化18】

ジメチルホルムアミド(200mL)中の5−フルオロ−2,4−ジクロロ−ピリミジン(20g、119.8mmol)および(1−エトキシエテニル)トリメチルスタンナン(43.26g、119.8mmol)の室温溶液を窒素でパージする。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(1.70g、2.40mmol)を加え、得られた混合物を窒素下で2時間70℃で加熱する。反応物を50℃に冷却し、水性5N塩化水素(100mL)を加え、2時間撹拌する。反応物を冷却し、水(200mL)およびブラインで希釈し、ジエチルエーテルで5回抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮する。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの5〜50%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、標題化合物(19.2g、92%)を得る。GC/MS(m/e):174および176。
【0062】
調製例6
2−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)プロパン−2−オール
【化19】

窒素下で、テトラヒドロフラン(100mL)中の1−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)エタノン(10.06g、57.6mmol)の撹拌した−78℃の溶液に、ジエチルエーテル(3M、124mL、72.04mmol)中の臭化メチルマグネシウムを加え、得られた混合物を−78℃にて20分間撹拌する。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、混合物を室温まで加温する。反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮する。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルの5〜100%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、標題化合物(7.06g、64%)を得る。ES/MS(m/e):191および193(M+1)。
【0063】
調製例7
2−クロロ−5−フルオロ−4−(1−フルオロ−1−メチル−エチル)ピリミジン
【化20】

ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(6.53g、40.5mmol)を、窒素下で、ジクロロメタン(70mL)中の2−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)プロパン−2−オール(4.825g、25.31mmol)の−78℃の溶液に滴下して加える。反応物を窒素下で−78℃にて30分間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、室温に加温する。反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮する。得られた粗物質を、ヘキサン中の酢酸エチルの5〜100%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製して標題化合物(4.23g、87%)を得る。ES/MS(m/e):193および195(M+1)。
【0064】
調製例8
(tert−ブトキシカルボニルアミノ)tert−ブチルカルボネート
【化21】

ヒドロキシルアミン塩酸塩(550.0g、7.9mol)、水(5.5L)およびヘプタン/MTBEの溶液(5:1、5.5L)の混合物を−5℃に冷却する。ヘプタン/MTBE(5:1、1.1L)中の溶液としてジ−t−ブチルジカルボネート(3.55Kg、16.3mol)、トリエチルアミン(1.67Kg、16.5mol)の予め冷却した(−5℃)の溶液を2時間にわたってゆっくり加える。反応物を−5℃にて1時間撹拌し、次いで室温に加温し、一晩撹拌する。層を分離し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(2L)および飽和塩化ナトリウム水溶液(1L)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色固体に結晶化する油を得る。固体を氷水浴中でヘプタン(1L)と共に撹拌し、濾過して、標題生成物(1360.2g、73%)を得る。H NMR(d−DMSO)δ10.7(bs,1H),1.44(s,9H),1.40(s,9H)。
【0065】
調製例9
[tert−ブトキシカルボニル−[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ]tert−ブチルカルボネート
【化22】

窒素下で、20Lのリアクタに、(tert−ブトキシカルボニルアミノ)tert−ブチルカルボネート(812.9g、3.48mol)、ジメチルホルムアミド(4.4L)、炭酸カリウム(626.5g、4.52mol)および1−(クロロメチル)−4−メトキシ−ベンゼン(462mL、2.56mol)を入れる。混合物を40℃にて一晩撹拌する。H NMR分析により、不完全な反応が示される。さらなる炭酸カリウム(626.5g、4.52mol)を加え、混合物を40℃にて撹拌する。48時間後のH NMR分析により、反応はまだ不完全であることが示される。さらなる炭酸カリウム(482g、3.49mol)を加え、混合物を40℃にて撹拌する。一晩反応した後のH NMR分析により、出発物質が残存していない完全な反応が示される。水(5L)およびMTBE(5L)を加え、層を分離する。有機層を水(3×3L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、標題化合物(1.21Kg、98%)を得る。H NMR(d−DMSO)δ7.20(d,J=8.3Hz,2H),6.91(d,J=8.3Hz,2H),3.73(s,2H),3.35(s,3H),1.41(s,18H)。
【0066】
調製例10
N−[(4−メトキシフェニル)メチル]ヒドロキシルアミン塩酸塩
【化23】

[tert−ブトキシカルボニル−[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ]tert−ブチルカルボネート(1.125Kg、3.1mol)を1,4−ジオキサン(2.8L)に溶解し、塩化水素溶液(ジオキサン中に4M、3.15L、12.4mol)を1時間30分にわたって滴下して加える。溶液を室温にて一晩撹拌する。標題生成物を白色固体(488.0g、81%)として濾過によって回収する。H NMR(d−DMSO)δ11.71(s,2H),10.94(s,1H),7.44(d,J=8.8Hz,2H),6.95(d,J=8.8Hz,2H),4.22(s,2H),3.75(s,3H)。
【0067】
調製例11
2−(アリル(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)酢酸
【化24】

炭酸カリウム(100g、724mmol)、ヨウ化ナトリウム(110g、727mmol)、ジメチルホルムアミド(300mL)、トリエチルアミン(200mL、1.44mol)および2−プロペン−1−アミン(24g、426mmol)を含有する丸底フラスコに、0℃にて、ジメチルホルムアミド(40mL)中のエチル2−ブロモアセテート(60.2g、360mmol)の溶液を滴下して加える。反応物を周囲温度に加温し、14時間撹拌する。固体を濾過によって除去し、ジエチルエーテルで洗浄する。飽和塩化ナトリウム水溶液(1L)を濾液に加え、層を分離する。水層をジエチルエーテルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒を除去して、残渣を得る。0℃にて、エタノール(500ml)およびトリエチルアミン(40g、395mmol)中の粗残渣の溶液に、ジ−t−ブチルジカルボネート(105g、467mmol)を一度に加える。反応物を室温に加温し、14時間撹拌する。反応物を減圧下で濃縮し、水(200mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)で希釈し、ジエチルエーテルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得る。この残渣をメタノール(200mL)中に取り、2Nの水酸化ナトリウム(500mL)を加える。得られた溶液を室温にて3時間撹拌する。体積を減圧下で約200mlに減少させ、得られた溶液を塩酸(12N)を使用してpH4に酸性化する。得られた淡い橙色の固体を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥させて、標題化合物(50g、65%)を得る。H NMR(CDCl)2つの回転異性体の混合物(50:50)δ1.43,1.45(s,9H),3.86−3.99(m,4H),5.10−5.20(m,2H),5.71−5.83(m,1H)。
【0068】
調製例12
tert−ブチルN−アリル−N−[2−(メトキシ(メチル)アミノ)−2−オキソ−エチル]カルバメート
【化25】

2−(アリル(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)酢酸(49.6g、156mmol)を、0℃にて、テトラヒドロフラン(600mL)に加え、続いてトリエチルアミン(36.3g、359mmol)および塩化ピバロイル(31g、353mmol)を加える。反応物を室温にて3時間撹拌し、次いで0℃に冷却する。次いでN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(28g、283mmol)、トリエチルアミン(33mL、237mmol)およびテトラヒドロフラン(400mL)を加える。氷浴を除去し、反応物を室温にて3時間撹拌し、減圧下で濃縮する。得られた固体を水に溶解し、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して残渣を得る。残渣を、ヘキサン中のアセトンの0〜50%勾配で溶出する、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(32g、54%)を得る。H NMR(CDCl)2つの回転異性体の混合物(60:40)δ1.42,1.44(s,9H),3.16,3.17(s,3H),3.66,3.69(s,3H),3.88−3.98(m,2H),4.01,4.11(s,2H),5.10−5.18(m,2H),5.73−5.85(m,1H)。
【0069】
調製例13
2−ブロモ−(3−ピリジル)エタノン臭化水素酸塩
【化26】

酢酸(65mL)中の1−(3−ピリジニル)−エタノン(7.2mL、65.44mmol)および48%臭化水素水溶液(11mL、97.88mmol)の激しく撹拌溶液に、0℃にて、臭素(3.5mL、68.11mmol)を滴下して加える。反応物を激しく撹拌しながら40℃に加温し、2時間撹拌する。次いで反応物を75℃に加温し、2時間撹拌する。反応混合物を室温に冷やし、ジエチルエーテルで希釈する。得られた沈殿物を回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、白色結晶固体(18.27g、99%)として標題化合物を得る。H NMR(d−DMSO)δ14.53−14.47(m,1H),9.35(d,J=1.5Hz,1H),9.01(d,J=4.9Hz,1H),8.72(d,J=7.8Hz,1H),7.97−7.91(m,1H),5.09(s,2H)。
【0070】
以下の化合物は本質的に2−アセチルピリジンを使用して調製例13の方法によって調製する。臭素を4等量で滴下して加える。
【0071】
【表2】
【0072】
調製例15
2−ブロモ−1−(4−ピリジル)エタノン臭化水素酸塩
【化27】

酢酸(30mL)中の4−アセチルピリジン(3.62g、29.88mmol)の撹拌溶液に、48%臭化水素水溶液(5.3mL、47.16mmol)を加える。臭素(1.6mL、31.14mmol)を4等量で滴下して加える。反応物を約2時間撹拌し、固体を沈殿させる。臭素(1.6mL、31.14mmol)を加え、反応物を一晩撹拌する。得られた沈殿物を回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、標題化合物(8.6g、102%)を得る。H NMR(d−DMSO)δ9.02(d,2H),8.17(d,2H),5.08(2H)。
【0073】
調製例16
2−ブロモ−1−ピラジン−2−イル−エタノン臭化水素酸塩
【化28】

酢酸(70mL)中のアセチルピラジン(10g、81.88mmol)の撹拌溶液に、臭化水素(38%酢酸溶液、16mL)、続いて過臭化臭化ピリジニウム(28g、83.17mmol)を加える。それらは一度に加える。反応物を室温にて約1.5時間撹拌する。この時間の間に懸濁液が形成する。ジエチルエーテル(500mL)を加え、得られた沈殿物を濾過により回収する。単離した生成物をアセトニトリルおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、淡い茶色の固体(23.2g、定量的収率)を得る。H NMR(d−DMSO)δ9.19(1H,m),8.95(1H,m),8.84(1H,m),5.02(2H,s)。
【0074】
調製例17
tert−ブチルN−アリル−N−[2−オキソ−2−(3−ピリジル)エチル]カルバメート
【化29】

2−ブロモ−1−(3−ピリジル)エタノン臭化水素酸塩(9.35g、21.96mmol)を、0℃にて、テトラヒドロフラン(270mL)中の2−プロペン−1−アミン(1.82mL、24.16mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(7.66mL、43.93mmol)の撹拌溶液に5分にわたって滴下して加える。反応混合物を0℃にて1時間40分間撹拌する。テトラヒドロフラン(10mL)中のジ−t−ブチルジカルボネート(9.40mL、41.73mmol)を加え、反応を0℃にて1時間40分間継続する。反応を飽和炭酸水素ナトリウム(120mL)でクエンチする。ジクロロメタン(300mL)を加え、相を分離する。水相をジクロロメタン(300mL)で再抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。粗生成物を、ジクロロメタン中のアセトンの0〜5%勾配、続いてジクロロメタン中のアセトンの5〜10%勾配、次いで100%アセトンを使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(1.15g、19%)を得る。ES/MS(m/e):277(M+1)。
【0075】
以下の化合物は本質的に適切なピリジンまたはピラジンを使用して調製例17の方法によって調製する。
【0076】
【表3】
【0077】
調製例21
tert−ブチルN−アリル−N−[2−(5−フルオロ−2−ピリジル)−2−オキソ−エチル]カルバメート
【化30】

テトラヒドロフラン(20mL)中の2−ブロモ−5−フルオロ−ピリジン(2.46g、13.98mmol)を、室温にて窒素下で撹拌しながらイソプロピルマグネシウムクロリド(15mL、30.00mmolの2Mテトラヒドロフラン溶液)に滴下して加える。得られた反応混合物を室温にて2時間撹拌する。次いでテトラヒドロフラン(15mL)中のtert−ブチルN−アリル−N−[2−[メトキシ(メチル)アミノ]−2−オキソ−エチル]カルバメート(3.4g、13.16mmol)を室温にて滴下して加え、得られた混合物を一晩撹拌する。希釈して塩酸を加え、続いて酢酸エチルを加える。層を分離し、水相を酢酸エチルで再び抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で乾燥するまで濃縮する。得られた残渣を、イソヘキサン中のアセトンの0〜40%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(1.27g、33%)を得る。ES/MS(m/e):317(M+23)。
【0078】
調製例22
2−(ジアリルアミノ)−1−(3−ピリジル)エタノン
【化31】

2−ブロモ−1−(3−ピリジル)エタノン臭化水素酸塩(10g、23.49mmol)を、0℃にて、テトラヒドロフラン(150mL)中のジアリルアミン(5.2mL、42.29mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(10.24mL、58.73mmol)の撹拌溶液に5分にわたって少しずつ加える。得られた混合物を0℃にて1時間撹拌する。反応を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)およびジクロロメタン(300mL)の添加によってクエンチする。層を分離し、水相をジクロロメタン(300mL)で再び抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得て、それを、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(4.75g、93%)を得る。ES/MS(m/e):217(M+1)。
【0079】
調製例23
tert−ブチルN−アリル−N−(2−ヒドロキシイミノ−2−ピラジン−2−イル−エチル)カルバメート
【化32】

tert−ブチルN−アリル−N−(2−オキソ−2−ピラジン−2−イル−エチル)カルバメート(6.53g、23.55mmol)を、窒素下で撹拌しながらエタノール(22mL)に溶解する。ヒドロキシルアミン塩酸塩(3.80g、54.16mmol)およびピリジン(2.67mL、32.97mmol)を加え、得られた溶液を窒素下で80分間80℃にて加熱する。次いで反応物を室温に冷却し、減圧下で少量に濃縮する。ジクロロメタン(200ml)および1Mの水酸化ナトリウム(60ml)を加え、相を分離する。水相をジクロロメタン(2×200mL)で再び抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン中の0.14Mのアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、E/Z異性体(6.61g、96%)の混合物として標題化合物を得る。ES/MS(m/e):293(M+1)。
【0080】
以下の化合物は本質的に調製例23の方法によって調製する。
【0081】
【表4】
【0082】
調製例25
tert−ブチルN−アリル−N−[2−(5−フルオロ−2−ピリジル)−2−ヒドロキシイミノ−エチル]カルバメート
【化33】

テトラヒドロフラン(20mL)中の2−ブロモ−5−フルオロ−ピリジン(6.475g、36.79mmol)を、室温にて窒素下で撹拌しながらイソプロピルマグネシウムクロリド(20mL、40.00mmolの2Mのテトラヒドロフラン溶液)に滴下して加える。得られた反応混合物を室温にて2時間撹拌する。次いでテトラヒドロフラン(15mL)中のtert−ブチルN−アリル−N−[2−[メトキシ(メチル)アミノ]−2−オキソ−エチル]カルバメート(4.43g、17.15mmol)を室温にて滴下して加え、得られた混合物を室温にて4時間30分撹拌する。反応を、塩化アンモニウム水溶液、続いて酢酸エチルを添加することによってクエンチする。層を分離し、水相を酢酸エチルで再び抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾固する。得られたダーク油を撹拌しながらエタノール(60mL)中に取る。50wt%のヒドロキシルアミン水溶液(3mL、55.09mmol)を加え、得られた溶液を60℃にて週末にわたって加熱する。次いで反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。粗生成物を、酢酸エチル中のイソヘキサンの0〜35%の勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、E/Z異性体(4.2g、92%)の混合物として標題化合物を得る。ES/MS(m/e):310(M+1)。
【0083】
調製例26
tert−ブチル6a−ピラジン−2−イル−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシレート
【化34】

トルエン(80mL)中のtert−ブチルN−アリル−N−(2−ヒドロキシイミノ−2−ピラジン−2−イル−エチル)カルバメート(6.6g、22.58mmol)の溶液を120℃にて22時間撹拌する。反応物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン中の0.14Mのアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(5.13g、74%)を得る。ES/MS(m/e):293(M+1)。
【0084】
以下の化合物は本質的に調製例26の方法によって調製する。
【0085】
【表5】
【0086】
調製例29
tert−ブチル1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシレート
【化35】

無水トルエン(38mL)中のtert−ブチルN−アリル−N−[2−オキソ−2−(3−ピリジル)エチル]カルバメート(2.3g、8.32mmol)の撹拌溶液に、N−[(4−メトキシフェニル)メチル]ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.05g、10.82mmol)およびトリエチルアミン(1.74mL、12.48mmol)を加える。チタン(IV)エトキシド(6.09mL、29.13mmol)を加え、混合物を75℃にて5時間加熱する。反応物を室温に冷却し、水(60mL)および酢酸エチル(50mL)を加え、混合物を10分間撹拌し、珪藻土で濾過する。相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。粗物質を、イソヘキサン中のアセトンの0〜40%勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(2.9g、76%)を得る。ES/MS(m/e):412(M+1)。
【0087】
以下の化合物は、2.5時間から6時間加熱しながら本質的に調製例29の方法によって調製する。
【0088】
【表6】
【0089】
調製例33
2−(ジアリルアミノ)−1−(3−ピリジル)エタノンオキシム
【化36】

2−(ジアリルアミノ)−1−(3−ピリジル)エタノン(4.75g、21.96mmol)を、窒素雰囲気下で、エタノール(47mL)に溶解する。次いでヒドロキシルアミン塩酸塩(3.55g、50.51mmol)およびピリジン(2.5mL、30.75mmol)を加える。得られた溶液を窒素下で140分間70℃にて加熱する。次いで反応物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で部分的に蒸発させる。得られた残渣は、1M水酸化ナトリウム水溶液(50ml)とジクロロメタン(250mL)との間に分配する。相を分離し、水相を酢酸エチル(250mL)で再び抽出する。有機層を合わせ、溶媒を蒸発させる。粗物質を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜10%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、E/Z異性体の混合物として標題化合物(3.95g、78%)を得る。ES/MS(m/e):232(M+1)。
【0090】
調製例34
tert−ブチルN−アリル−N−[2−ヒドロキシイミノ−2−(3−ピリジル)エチル]カルバメート
【化37】

tert−ブチルN−アリル−N−[2−オキソ−2−(3−ピリジル)エチル]カルバメート(31.34g、113.41mmol)を、窒素下で撹拌しながらエタノール(110mL)に溶解する。ヒドロキシルアミン塩酸塩(18.31g、260.85mmol)およびピリジン(12.84mL、158.78mmol)を加える。得られた溶液を窒素下で2時間80℃にて加熱し、次いで室温に冷却する。溶媒を部分的に蒸発させ、得られた残渣を次いで2Mの水酸化ナトリウム(150ml)とジクロロメタン(500mL)との間に分配する。相を分離し、水相をジクロロメタン(2×250mL)で再び抽出する。有機抽出物を合わせ、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン中の0〜10%の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(30.34g、91.82%)をE/Z異性体の混合物として得る。ES/MS(m/e)M+1=292。
【0091】
調製例35
5−アリル−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化38】

トルエン(56mL)中の2−(ジアリルアミノ)−1−(3−ピリジル)エタノンオキシム(3.95g、17.08mmol)の溶液を120℃にて18時間加熱する。溶媒を減圧下で除去する。粗生成物を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(2.14g、43%)を得る。ES/MS(m/e):232(M+1)。
【0092】
調製例36
6a−(4−ピリジル)−1,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化39】

ジクロロメタン(30mL)中のtert−ブチル1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−6a−(4−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシレート(1.3g、3.16mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(7mL、94.77mmol)を加える。得られた溶液を室温にて1時間撹拌する。反応物を濃縮し、得られた残渣を室温にて一晩維持する。次いでこの残渣をイオン交換カラムに充填し、最初にカラムをメタノールで溶出し、続いて2Mアンモニア/メタノール溶液で溶出する。所望の塩基性画分を収集し、減圧下で濃縮して、標題化合物(592mg、98%)を得る。ES/MS(m/e):192(M+1)。
【0093】
調製例37
6a−ピラジン−2−イル−1,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化40】

トリフルオロ酢酸(40mL)を、室温にて、ジクロロメタン(200mL)中のtert−ブチル6a−ピラジン−2−イル−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシレート(5.14g、17.58mmol)の撹拌溶液に加える。混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させる。得られた残渣をメタノール(100mL)に溶解し、イオン交換カラム(50g)に充填し、カラムを最初にメタノール(110mL)で溶出し、続いて7Mのアンモニア/メタノール溶液(150mL)で溶出する。この塩基性画分を減圧下で濃縮して、粗生成物を得、
それを、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノールの0〜10%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりさらに精製して、標題化合物(2.4g、71%)を得る。ES/MS(m/e):193(M+1)。
【0094】
以下の化合物は本質的に調製例37の方法によって調製する。
【0095】
【表7】
【0096】
調製例39
6a−(3−ピリジル)−1,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化41】

5−アリル−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(2.14g、7.40mmol)およびN,N−ジメチルバルビツール酸(6.93g、44.41mmol)をクロロホルム(80mL)に溶解し、得られた溶液を液体窒素を使用して2回脱気する。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.28g、1.11mmol)を加え、混合物を室温にて2時間撹拌する。反応物を減圧下で濃縮する。得られた残渣をジメチルスルホキシド/メタノール(40ml)の1:1混合物に溶解し、溶液をイオン交換カラムに充填する。この物質をメタノール(70mL)、次いで7Mアンモニア/メタノール溶液(70mL)で溶出する。塩基性画分を収集し、減圧下で濃縮する。生成物をさらに、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜15%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(1.28g、86%)を得る。ES/MS(m/e):192(M+1)。
【0097】
調製例40
5−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−6a−ピラジン−2−イル−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化42】

1,4−ジオキサン(30mL)中の6a−ピラジン−2−イル−1,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(1.4g、7.28mmol)の撹拌溶液に、2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン(5.14g、29.13mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5.7mL、32.77mmol)を加える。得られた溶液を110℃にて4時間加熱する。反応物を冷却し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、ジクロロメタン中の0.14mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(0.93g、38%)を得る。ES/MS(m/e):333(M+1)。
【0098】
以下の化合物は、4時間から4.5時間の加熱時間および100〜110℃の範囲の温度で適切なピリミジンを使用して本質的に調製例40の方法によって調製する。
【0099】
【表8】
【0100】
調製例45
1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−6a−(3−ピリジル)−3a,4,5,6−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化43】

ジクロロメタン(80mL)中のtert−ブチル1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−5−カルボキシレート(2.9g、7.05mmol)の撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸(16mL)を加える。反応混合物を室温にて1時間30分撹拌する。溶媒を濃縮し、残渣を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)とジクロロメタン(100mL)との間に分配する。得られた溶液を30分間撹拌し、次いで相を分離する。水相をジクロロメタンで再び抽出する。合わせたジクロロメタン抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、残渣を得る。残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜10%勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(1.33g、43%)を得る。ES/MS(m/e):312(M+1)。
【0101】
以下の化合物は本質的に調製例45の方法によって調製する。
【0102】
【表9】
【0103】
調製例48
5−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化44】

1,4−ジオキサン(30mL)中の1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−6a−(3−ピリジル)−3a,4,5,6−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(1.33g、4.27mmol)の撹拌溶液に、2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン(2.55g、19.22mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(3.72mL、21.36mmol)を加える。得られた溶液を110℃にて3時間加熱する。反応物を冷却し、溶媒を真空下で蒸発させて残渣を得る。残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(1.11g、54%)を得る。ES/MS(m/e):408(M+1)。
【0104】
以下の化合物は本質的に調製例48の方法によって調製する。
【0105】
【表10】
【0106】
調製例51
5−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール
【化45】

トリフルオロ酢酸(9.3mL)中の5−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−1−[(4−メトキシフェニル)メチル]−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(1.11g、2.32mmol)の溶液を60℃にて1時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、得られた残渣をジクロロメタン(100mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(25mL)との間に分配する。有機相を分離し、水相をジクロロメタン(100mL)で2回再び抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させて残渣を得、それを、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜10%勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.64g、96%)を得る。ES/MS(m/e):288(M+1)。
【0107】
以下の化合物は本質的に調製例51の方法によって調製する。
【0108】
【表11】
【0109】
調製例54
N−[5−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−1−カルボチオイル]ベンズアミド
【化46】

ベンゾイルイソチオシアネート(511μL、3.79mmol)を、0℃にて、テトラヒドロフラン(20mL)中の5−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(640mg、2.23mmol)の撹拌溶液に滴下して加える。得られた混合物を0℃にて1時間撹拌し、1時間にわたって室温に加温する。溶媒を真空下で蒸発させ、得られた残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(1.1g、定量的)を得る。ES/MS(m/e):451(M+1)。
【0110】
調製例55
N−[6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化47】

酢酸(5mL)中のN−[5−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−6a−(3−ピリジル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソオキサゾール−1−カルボチオイル]ベンズアミド(550mg、1.22mmol)および粉末亜鉛(798.33mg、12.21mmol)の混合物を室温にて2時間超音波処理する。混合物を酢酸エチル(100mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)で抽出する。水相をジクロロメタン(100mL)で3回再び抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、残渣を得る。残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜10%勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体N−[[1−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−3−(3−ピリジル)ピロリジン−3−イル]カルバモチオイル]ベンズアミド(145mg)を得る。これをジクロロメタン(6mL)に溶解し、0℃に冷却する。次いで1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロペニルアミン(0.05g、374.19μmol)を加え、混合物を0℃にて1時間撹拌する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)およびジクロロメタン(100mL)を加える。相を分離し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題生成物(110mg、17%)を得る。ES/MS(m/e):435(M+1)。
【0111】
調製例56
[4−アミノ−1−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−4−ピラジン−2−イル−ピロリジン−3−イル]メタノール
【化48】

エタノール(40mL)中の5−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−6a−ピラジン−2−イル−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソオキサゾール(0.92g、2.77mmol)の溶液を、PARR水素化器を使用して5時間、ラネーニッケル(水中のスラリーとして)(2.7g、45.54mmol)の存在下で50psiにて水素化する。メタノールを加え、触媒を珪藻土のパッドを通す濾過により除去する。珪藻土のパッドをメタノールで洗浄する。合わせた濾液を減圧下で濃縮して標題化合物(0.92g、99%)を得る。ES/MS(m/e):335(M+1)。
【0112】
以下の化合物は、PARR水素化器またはフロー水素化器を使用して5時間から3日の反応時間で本質的に調製例56の方法によって調製する。
【0113】
【表12-1】

【表12-2】
【0114】
調製例65
N−[[1−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−3−ピラジン−2−イル−ピロリジン−3−イル]カルバモチオイル]ベンズアミド
【化49】

窒素雰囲気下で、テトラヒドロフラン(29mL)中の[4−アミノ−1−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−4−ピラジン−2−イル−ピロリジン−3−イル]メタノール(930mg、2.78mmol)の撹拌溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(613μL、4.45mmol)を加える。反応物を室温にて1時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去する。得られた残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(1.32g、95%)を得る。ES/MS(m/e):498(M+1)。
【0115】
以下の化合物は本質的に調製例65の方法によって調製する。
【0116】
【表13-1】

【表13-2】
【0117】
調製例74
ラセミ体N−[6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(2−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化50】

4−アミノ−1−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4−(2−ピリジル)ピロリジン−3−イル]メタノール(240mg、0.83mmol)をテトラヒドロフラン(25mL)に溶解する。混合物を窒素下で0℃に冷却し、イソチオシアン酸ベンゾイル(120mg、0.74mmol)を加える。得られた混合物を30分間撹拌する。トリフェニルホスフィン(260mg、0.981mmol)、続いてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(340mg、1.68mmol)を加え、反応物を室温に加温する。1時間後、反応物を減圧下で濃縮する。得られた残渣を、シクロヘキサン中のテトラヒドロフランの0〜50%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製する。これをアキラルSFC(超臨界流体クロマトグラフィー)(カラム:Princeton DNP(ジニトロフェニル)(5μ)、21.1×250mm;溶出液:CO中の15〜30%メタノールの勾配(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV240nmにて65mL/分)によりさらに精製して、標題化合物(160mg、44%)を得る。ES/MS(m/e):435(M+1)。
【0118】
調製例75
ラセミ体N−[6−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化51】

1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロペニルアミン(492μL、3.71mmol)を、室温にて、ジクロロメタン(30mL)中のN−[[1−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−3−ピラジン−2−イル−ピロリジン−3−イル]カルバモチオイル]ベンズアミド(1.32g、2.65mmol)の撹拌溶液に加える。反応混合物を1時間30分撹拌する。次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)、続いてジクロロメタン(70mL)を加える。層を分離し、水層をジクロロメタン(70mL)で再び抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。得られた残渣をメタノール(40mL)に溶解し、イオン交換カラムに充填する。カラムをメタノール(60mL)、次いで7Mアンモニア/メタノール溶液(100mL)で溶出する。塩基性溶媒画分を収集し、減圧下で蒸発させる。単離した残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりさらに精製して、標題化合物(820mg、64%)を得る。ES/MS(m/e):480(M+1)。
【0119】
以下の化合物は本質的に調製例75の方法によって調製する。
【0120】
【表14】
【0121】
調製例81
ラセミ体tert−ブチル2−ベンズアミド−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレート
【化52】

1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロペニルアミン(409.71μL、3.10mmol)を、室温にて、ジクロロメタン(30mL)中のtert−ブチル3−(ベンゾイルカルバモチオイルアミノ)−4−(ヒドロキシメチル)−3−ピラジン−2−イル−ピロリジン−1−カルボキシレート(1.09g、2.38mmol)の撹拌溶液に加える。反応物を室温にて3時間撹拌した後、炭酸ナトリウム(15mL)の飽和水溶液を加え、混合物を5分間撹拌する。ジクロロメタン(80mL)を加え、層を分離する。水層をジクロロメタン(70mL)で再び抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。単離した生成物をメタノール(60mL)に溶解し、メタノール(60mL)、次いで7Mのアンモニア/メタノール溶液(120mL)で溶出するイオン交換カラムクロマトグラフィーによって精製する。塩基性画分を収集し、得られた生成物をさらに、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題生成物(747mg、71%)を得る。ES/MS(m/e)440(M+1)。
【0122】
以下の化合物は本質的に調製例81の方法によって調製する。
【0123】
【表15】
【0124】
調製例84
tert−ブチル(4aR,7aR)−2−ベンズアミド−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレート
【化53】

ラセミ体tert−ブチル2−ベンズアミド−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレートを、キラルSFC(超臨界流体クロマトグラフィー)(カラム:Chiralpak AD−H(5μ)、30×250mm;溶出液:CO中の50%イソプロパノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて120mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第1の溶出異性体は標題化合物である。
【0125】
調製例85
tert−ブチル(4aR,7aR)−2−ベンズアミド−7a−(5−フルオロ−2−ピリジル)−4−4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレート
【化54】

ラセミ体tert−ブチル2−ベンズアミド−7a−(5−フルオロ−2−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレートを、キラルSFC(カラム:Chiralpak AD−H(5μ)、30×250mm;溶出液:CO中の40%メタノール(0%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて120mL/分)によりその構成物質の鏡像異性体に分離する。第2の溶出異性体は標題化合物である。
【0126】
調製例86
tert−ブチル(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレート
【化55】

ラセミ体tert−ブチル2−ベンズアミド−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレートを、キラルSFC(カラム:Chiralpak AD−H(5μ)、30×250mm;溶出液:CO中の35%イソプロパノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて130mL/分)によりその構成物質の鏡像異性体に分離する。第1の溶出異性体は標題化合物である。
【0127】
調製例87
N−[(4aR,7aR)−7a−ピラジン−2−イル−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化56】

トリフルオロ酢酸(1.5mL)を、室温にて、ジクロロメタン(6mL)中のtert−ブチル(4aR,7aR)−2−ベンズアミド−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボキシレート(299mg、0.680mmol)の撹拌溶液に加える。反応物を室温にて80分間撹拌し、溶媒を減圧下で除去する。得られた残渣をメタノール(20mL)に溶解し、この溶液をイオン交換カラムに充填し、メタノール、次いで7Mアンモニア/メタノール溶液で溶出する。塩基性画分を収集し、減圧下で濃縮して、標題化合物(231mg、定量的)を得る。ES/MS(m/e):340(M+1)。
【0128】
以下の化合物は本質的に調製例87の方法によって調製する。
【0129】
【表16】
【0130】
調製例90
N−[(4aR,7aR)−6−[5−フルオロ−4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ピリミジン−2−イル]−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
【化57】

N−[(4aR,7aR)−7a−ピラジン−2−イル−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(231mg、0.680mmol)を1,4−ジオキサン(4mL)に溶解する。2−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)プロパン−2−オール(648.60mg、3.40mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(653μL、3.74mmol)を加える。反応物を110℃にて6時間加熱し、次いで室温に冷却し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜5%勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(330mg、98%)を得る。ES/MS(m/e):494(M+1)。
【0131】
以下の化合物は本質的に調製例90の方法によって調製する。
【0132】
【表17-1】

【表17-2】
【0133】
実施例A
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール
【化58】

N−[(4aR,7aR)−6−[5−フルオロ−4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)ピリミジン−2−イル]−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(330mg、0.668mmol)を撹拌しながらメタノール(8mL)に溶解する。水酸化リチウム(42.51mg、1mmol)を加え、反応物を60℃にて5時間30分加熱する。反応物を室温に冷却し、シリカゲルカラムに充填する。カラムをジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノールの0〜5%勾配で溶出する。得た生成物をさらに、60mL/分にて9分にわたって10%B〜100%B勾配を使用して分取HPLC(カラム=Phenomenex Gemini NX C18、30×100mm、5μm、移動相A:水と10mM炭酸水素アンモニウム、pHをアンモニアでpH10に調整した、移動相B:アセトニトリル)により精製して、標題化合物(146mg、56%)を得る。ES/MS(m/e):390(M+1)。
【0134】
以下の化合物は本質的に実施例Aの方法によって調製する。
【0135】
【表18-1】

【表18-2】
【0136】
実施例J
ラセミ体6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化59】

エタノール(10mL)中のN−[6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(110mg、0.210mmol)の撹拌溶液に、ピリジン(187μL、2.31mmol)およびO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(143mg、1.68mmol)を加える。混合物を17時間撹拌しながら70℃にて加熱する。溶媒を減圧下で除去する。残渣を、ジクロロメタン中の0.14Mアンモニア/メタノール溶液の0〜10%勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(62mg、89%)を得る。ES/MS(m/e):331(M+1)。
【0137】
以下の実施例は、2〜18時間の反応時間および65〜80℃の温度で本質的に実施例Jの方法によって調製する。
【0138】
【表19-1】

【表19-2】
【0139】
実施例R
(4aR,7aR)−6−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化60】

ラセミ体6−(5−フルオロ−4−メトキシ−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(490mg、1.3mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralcel OD−H(5μ)、21.2×250mm;溶出液:CO中の50%メタノール(0.2%ジエチルメチルアミン);UV260nmにて流速70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第1の溶出異性体は標題化合物(206mg、32%)である。ES/MS(m/e):376(M+1)。
【0140】
実施例1
(4aR,7aS)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化61】

ラセミ体6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(137mg、0.415mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralpak AD−H(5μ)、21.2×250mm;溶出液:CO中の35%イソプロパノール(0.2%ジエチルメチルアミン);UV260nmにて流速:70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第2の溶出異性体は標題化合物(19mg)である。ES/MS(m/e):331(M+1)。
【0141】
実施例2
(4aR,7aS)−6−(5−フルオロ−4−イソプロピル−ピリミジン−2−イル)−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化62】

ラセミ体6−(5−フルオロ−4−イソプロピル−ピリミジン−2−イル)−7a−(3−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(210mg、0.564mmol)を、キラルSCF(カラム:Chiralcel OD−H(5μ)、21.2×250mm;溶出液:CO中の25%メタノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第1の溶出異性体は、キラルSFC(カラム:Chiralcel OD−H(5μ)、21.2×250mm:溶出液:CO中の15%メタノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて70mL/分)によって再びさらに精製されて、標題化合物(71mg)を得る。ES/MS(m/e):373(M+1)。
【0142】
実施例3
(4aR,7aR)−6−(5−フルオロ−4−イソプロピル−ピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン、異性体1
【化63】

ラセミ体6−(5−フルオロ−4−イソプロピル−ピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(127mg、0.340mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralcel OD−H(5μ)、21.2×250mm;溶出液:CO中の50%エタノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第1の溶出異性体は標題化合物(54mg)である。ES/MS(m/e):374(M+1)。
【0143】
実施例4
(4aR,7aR)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(2−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
【化64】

ラセミ体6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(2−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(82mg)を、キラルSFC(カラム:Chiralpak IC(5μ)、30×250mm;溶出液:CO中の55%イソプロパノール(0.4%ジエチルメチルアミン);流速:UV240nmにて70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第1の溶出異性体は標題化合物(37.7mg)である。ES/MS(m/e):331(M+1)。
【0144】
実施例5
(4aR,7aR)−7a−(5−フルオロ−2−ピリジル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン、異性体−2
【化65】

ラセミ体7a−(5−フルオロ−2−ピリジル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(60mg、0.172mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralpak AD−H(5μ)、21.2×250mm;溶出液:CO中の40%エタノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第2の溶出異性体は標題化合物(23.8mg)である。ES/MS(m/e):349(M+1)。
【0145】
実施例6
(4aR,7aS)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(4−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン、異性体−2
【化66】

ラセミ体6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−(4−ピリジル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(185mg、0.56mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralcel OJ−H(5μ)、21.2×250mm;溶出液:CO中の25%エタノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第2の溶出異性体は標題化合物(40mg)である。ES/MS(m/e):331(M+1)。
【0146】
実施例7
(4aR,7aR)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン、異性体1
【化67】

ラセミ体6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(520mg、1.57mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralcel OD−H(5μ)、21.2×250mm;溶出液:CO中の45%メタノール(0.2%ジエチルメチルアミン);流速:UV260nmにて70mL/分)によってその構成物質の鏡像異性体に分離する。第1の溶出異性体は標題化合物(230mg)である。ES/MS(m/e):332(M+1)。
【0147】
実施例8
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール塩酸塩
【化68】

2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オール(120mg、0.308mmol)を0.1MのHCl(3.1mL)およびアセトニトリル(1mL)に溶解する。得られた溶液を凍結乾燥して、白色固体として標題化合物を得る。ES/MS(m/e):390(M+1)。
【0148】
以下の化合物は本質的に実施例8の方法によって調製する。
【表20-1】

【表20-2】
【0149】
インビトロアッセイ手順:
インビトロ酵素および細胞アッセイに関して、試験化合物をDMSO中に調製して10mMのストック溶液を作製する。ストック溶液をDMSO中で連続希釈して、インビトロ酵素および全細胞アッセイを実施する前に96ウェル丸底プレート中で10mM〜1nMの範囲の最終化合物濃度で10点希釈曲線を得る。
【0150】
組換えヒトBACE1の調製
ヒトBACE1(アクセッション番号:AF190725)を、室温PCRによって全脳cDNAからクローニングする。アミノ酸配列#1〜460に対応するヌクレオチド配列を、ヒトIgG(Fc)ポリペプチドをコードするcDNAに挿入する(Vassarら、1999)。huBACE1:Fcと命名される、BACE(1〜460)およびヒトFcのこの融合タンパク質をpJB02ベクター内に構築する。ヒトBACE1(1〜460):Fc(huBACE1:Fc)をHEK293細胞において一過的に発現する。各構築物の250μgのcDNAをFugene6と混合し、1リットルのHEK293細胞に加える。トランスフェクションの4日後、馴化培地を精製のために収集する。huBACE1:FcをプロテインAクロマトグラフィーによって精製する。酵素を少しのアリコートにおいて−80℃に保存する。
【0151】
インビトロプロテアーゼ阻害アッセイ:
BACE1 FRETアッセイ
試験化合物の連続希釈を上記のように調製する。化合物をKHPO緩衝液中でさらに20倍に希釈する。10μLの各希釈物を、反応混合物(25μLの50mM KHPO、pH4.6、1mMのTRITON(登録商標)X−100、1mg/mLのウシ血清アルブミン、および15μMのFRET基質)を含有する、列A〜Hの対応する低いタンパク質結合ブラックプレートで各ウェルに加える(Yangら、J.Neurochemistry、91(6)1249−59(2004)を参照のこと)。内容物を、プレートシェーカーで10分間、十分に混合する。KHPO緩衝液中の15μLの200pMのヒトBACE1(1〜460):Fc(Vasserら、Science、286、735−741(1999)を参照のこと)を基質および試験化合物を含有するプレートに加えて反応を開始する。0時における混合物のRFUを、プレートシェーカーで簡単に混合した後、励起波長355nmおよび放射波長460nmにて記録する。反応プレートをアルミニウム箔で覆い、16〜24時間、室温にて暗い加湿オーブン内に維持する。インキュベーションの終わりにRFUを、0時において使用した同じ励起および放射設定で記録する。0時およびインキュベーションの終了時におけるRFUの相違は、化合物処理下でのBACE1の活性を表す。RFUの相違を阻害剤濃度に対してプロットし、曲線を4パラメータロジスティック式に適合してIC50値を得る(Sinhaら、Nature、402、537−540(2000)を参照のこと)。
【0152】
本明細書における実施例1〜17の化合物を本質的に上記のように試験すると、BACE1について約1μM未満のIC50値を示した。以下の例示した化合物を本質的に上記のように試験すると、BACE1について以下の活性を示した:
【表21】
【0153】
これらの代表的なデータにより、表21の化合物が、精製された組換えBACE1酵素活性をインビトロで強力に阻害することが実証される。
【0154】
ベータ−セクレターゼ活性の阻害を測定するための全細胞アッセイ
HEK293Swe全細胞アッセイ
ベータ−セクレターゼ活性の阻害を測定するための慣例の全細胞アッセイは、一般にSwedish変異体(HEK293/APP751swと示される)と呼ばれ、Aベータを過剰生産することが示されている(Citronら、Nature、360、672−674(1992))、天然に存在する二重変異体Lys651Met652からAsn651Leu652を含有するヒトAPP751 cDNAを安定に発現するヒト胚腎臓細胞株HEK293p(ATCCアクセッション番号CRL−1573)を利用する。インビトロAベータ減少アッセイは文献に記載されている(Doveyら、Journal of Neurochemistry、76、173−181(2001);Seubertら、Nature、361、260(1993);およびJohnson−Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、1550−1555(1997)を参照のこと)。
【0155】
細胞(200μLの培地、10%FBSを含有するDMEMを含有する、3.5×10個の細胞/ウェルにてHEK293/APP751sw)を、所望の濃度にて、阻害剤(DMSOに希釈した)の存在/非存在下で37℃にて4〜24時間インキュベートする。インキュベーションの終わりに、例えば、Aベータペプチドの分析によって、ベータ−セクレターゼ活性の証拠について馴化培地を分析する。捕捉抗体としてモノクローナル266および報告抗体としてビオチン化3D6を使用して、サンドイッチELISAによって全Aベータペプチド(Aベータ1〜x)を測定する。あるいは、Aベータ1〜40およびAベータ1〜42ペプチドを、Aベータ1〜40について捕捉抗体としてモノクローナル2G3およびAベータ1〜42について捕捉抗体としてモノクローナル21F12を使用してサンドイッチELISAによって測定する。Aベータ1〜40およびAベータ1〜42の両方のELISAは報告抗体としてビオチン化3D6を使用する。化合物処理後に馴化培地に放出したAベータの濃度はこのような条件下でBACE1の活性に対応する。10点阻害曲線をプロットし、4パラメータロジスティック式に適合して、Aベータ低下効果についてIC50値を得る。以下の例示した化合物を本質的に上記のように試験すると、Aベータ低下効果について以下の活性を示した:
【0156】
【表22】
【0157】
これらのデータより、表22の化合物が、インビトロで細胞内で天然内因性ヒトBACE1を阻害することが実証される。
【0158】
PDAPP初代神経アッセイ
確認の全細胞アッセイもまた、PDAPPトランスジェニック胚マウスから生成された初代神経培養物中で実施する。初代皮質ニューロンを胎生16日目のPDAPP胚から調製し、96ウェルプレート(DMEM/F12(1:1)プラス10%FBS中の15×10個の細胞/ウェル)中で培養する。インビトロで2日後、培養培地を、B27補足物および2μM(最終)のAra−C(Sigma、C1768)を含有する無血清DMEM/F12(1:1)と置き換える。インビトロで5日目に、神経を、所望の濃度にて阻害剤(DMSO中に希釈した)の存在/非存在下で、37℃にて24時間、インキュベートする。インキュベーションの終わりに、例えば、Aベータペプチドを分析することによってベータ−セクレターゼ活性の証拠について馴化培地を分析する。全Aベータペプチド(Aベータ1〜x)を、捕捉抗体としてモノクローナル266および報告抗体としてビオチン化3D6を使用してサンドイッチELISAによって測定する。あるいは、Aベータ1〜40およびAベータ1〜42ペプチドを、Aベータ1〜40について捕捉抗体としてモノクローナル2G3およびAベータ1〜42について捕捉抗体としてモノクローナル21F12を使用してサンドイッチELISAによって測定する。Aベータ1〜40およびAベータ1〜42の両方のELISAは報告抗体としてビオチン化3D6を使用する。化合物処理後に馴化培地に放出されるAベータの濃度は、このような条件下でBACE1の活性に対応する。10点阻害曲線をプロットし、Aベータ低下効果についてIC50値を得るために4パラメータロジスティック式に適合する。以下の例示した化合物を本質的に上記のように試験すると、Aベータ低下効果について以下の活性を示した:
【0159】
【表23】
【0160】
これらのデータにより、表23の化合物が、インビトロで細胞中で天然の内因性マウスBACE1を阻害することが実証される。
【0161】
ベータ−セクレターゼのインビボでの阻害
マウス、ラット、モルモット、イヌ、およびサルを含む、いくつかの動物モデルを、化合物処理後のインビボでのベータ−セクレターゼ活性の阻害についてスクリーニングするために使用できる。本発明に使用した動物は、Gamesら、Nature 373、523−527(1995)に記載されるトランスジェニックPDAPPマウスであり、これは、阻害化合物の存在下で、Aベータ産生のインビボでの阻害を分析するのに有用である。2ヶ月齢のPDAPPマウスに、水中のN−メチルピロリドン(Pharmasolve(登録商標))で製剤化した化合物を投与する。化合物の投与から3時間後、動物を屠殺し、Aベータ断片の分析のために脳を取り出す(Doveyら、Journal of Neurochemistry、76、173−181(2001);およびJohnson−Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、1550−1555(1997)を参照のこと)。
【0162】
標準的なインビボ薬理学的研究について、動物に種々の濃度の化合物を投与し、同じ時間に投与したビヒクル処理した対照群と比較する。試験期間の終わりに、動物を屠殺し、特異的サンドイッチELISAアッセイによってAベータペプチドの存在について脳組織を分析する。本明細書で使用される場合、「Aベータ1〜xペプチド」とは、残基1で開始し、残基28より多いC末端で終了するAベータ種の合計を指す。これはAベータ種の大部分を検出し、しばしば「全Aベータ」と呼ばれる。
【0163】
阻害化合物を投与した動物(PDAPPまたは他のAPPトランスジェニックまたは非トランスジェニックマウス)は、ビヒクル処理した対照またはゼロ時の対照と比較して脳組織内のAベータの減少が実証され得る。例えば、若い雌のPDAPPマウスへの実施例8の化合物の10mg/kgまたは30mg/kgの経口用量の投与から3時間後、Aベータ1〜xペプチドレベルは、ビヒクル処理したマウスと比較して、脳海馬においてそれぞれ約19%および46%、ならびに大脳皮質においてそれぞれ約23%および53%、顕著に減少する。実施例8の化合物の経口投与後の全Aベータの顕著および用量反応性の減少は、インビボでのBACE(ベータ−セクレターゼ酵素)阻害の機構と一致する。これらの研究により、本発明の化合物はBACEを阻害し、したがって、Aベータレベルを減少させるのに有用であることが示される。したがって、本発明の化合物はBACEの有効な阻害剤である。

本発明は、以下の態様を含む。
[1]
以下の式の化合物:
【化69】
(式中、Aは、
【化70】
からなる群から選択され、
は、HまたはFであり、
は、H、−OCH、C1−C3アルキル、
【化71】
であり、
は、H、−CH、または−OCHであり、
は、HまたはFである)
またはその薬学的に許容可能な塩。
[2]
Aは、
【化72】
からなる群から選択される、[1]に記載の化合物または塩。
[3]
Aは、
【化73】
からなる群から選択される、[1]または[2]に記載の化合物または塩。
[4]
Aは、
【化74】
である、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物または塩。
[5]
は、
【化75】
である、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物または塩。
[6]
は、Fである、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物または塩。
[7]
2−[2−[(4aR,7aR)−2−アミノ−7a−ピラジン−2−イル−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−イル]−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル]プロパン−2−オールである、[1]に記載の化合物または塩。
[8]
患者においてアルツハイマー病を治療する方法であって、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
[9]
アルツハイマー病を発症する危険性のある患者において進行を予防する方法であって、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
[10]
患者におけるBACEを阻害する方法であって、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
[11]
療法に使用するための[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
[12]
アルツハイマー病の治療に使用するための[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学液に許容可能な塩。
[13]
[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と共に含む、医薬組成物。
[14]
1種以上の他の治療剤をさらに含む、[13]に記載の医薬組成物。