(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243928
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】手指衛生ディスペンサー監視装置
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20171127BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20171127BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
G08B21/24
A61L2/18
A61L2/26
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-557526(P2015-557526)
(86)(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公表番号】特表2016-520883(P2016-520883A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】IB2013000646
(87)【国際公開番号】WO2014125320
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】514198378
【氏名又は名称】デブ アイピー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】リンバート,ディーン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブートン,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ドッズ,ポール,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ラング,クリストファー,ジェームズ
【審査官】
藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0148586(US,A1)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02783597(CA,A1)
【文献】
特開2000−197579(JP,A)
【文献】
特表2008−544373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00−2/28
11/00−12/14
G08B19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別及び報告する方法であって、
センサー視野がセンサーから手指衛生製品ディスペンサーに隣接して延びている該センサーを提供する工程と、
前記センサー視野内における活動を検知するように前記センサーを操作する工程であって、前記センサー視野内における対象物の存在を検知するように前記センサーを操作することを含む工程と、
検知された前記活動が前記ディスペンサーの使用を示しているかどうかを決定する工程であって、前記対象物が前記センサー視野内に存在する時間の長さが手指衛生イベントよりも長くも短くもない場合に、前記活動が前記ディスペンサーの使用を示しているとみなされる工程と、
前記ディスペンサーが使用されていたという指標を監視システムに通信する工程とを備える、方法。
【請求項2】
前記センサー視野が、手指衛生製品が分配される場所を含むように延びている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活動が、前記ディスペンサーからの手指衛生製品を受ける使用者の手の存在に基づいて、センサー視野内において検知される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記手指衛生ディスペンサーが前記手指衛生ディスペンサーに一定量の手指衛生製品を分配させるレバーを含み、前記センサー視野が前記レバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記通信するステップが、監視システムとの無線通信を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別して監視システムに報告するための監視装置であって、
前記製品ディスペンサーから分離されているケースと、
前記ケースに取り付けられ、前記ケースからセンサー視野を延ばしているセンサーと、
前記センサーから対象物が前記センサーの前記センサー視野内に存在していることを示す複数の通信を受信し、前記センサーからの複数の通信がディスペンサーの使用を示しているかどうかを決定する複数の処理コンポーネントであって、前記対象物が前記センサー視野内に存在する時間の長さが手指衛生イベントよりも長くも短くもない場合に、前記通信が前記ディスペンサーの使用を示しているとみなされる、複数の処理コンポーネントと、
前記処理コンポーネントに接続された複数の通信コンポーネントであって、前記ディスペンサーの使用を報告するように前記監視システムと通信する複数の通信コンポーネントとを備えている、監視装置。
【請求項7】
前記センサーは、赤外線送信器及び赤外線受信器を備えており、前記赤外線受信器は、前記赤外線送信器によって放射された赤外線が前記赤外線受信器に反射される際に前記複数の処理コンポーネントと通信し、前記複数の処理コンポーネントは、対象物が前記センサー視野内に存在するかどうかを決定する、請求項6に記載の手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別して監視システムに報告するための監視装置。
【請求項8】
前記センサーは、超音波センサーを備えており、前記超音波センサーは、波が前記超音波センサーに反射される際に前記複数の処理コンポーネントと通信し、前記複数の処理コンポーネントは、対象物が前記センサー視野内において移動しているかどうかを決定する、請求項6に記載の手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別して監視システムに報告するための監視装置。
【請求項9】
前記複数の通信コンポーネントが無線通信用のRF送受信器を備えている、請求項6に記載の手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別して監視システムに報告するための監視装置。
【請求項10】
前記センサーが前記ケースに回転可能に取り付けられており、前記センサーの回転が前記センサー視野の方向を変える、請求項6に記載の手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別して監視システムに報告するための監視装置。
【請求項11】
前記センサーは、赤外線送信器及び赤外線受信器を備えており、前記赤外線送信器及び受信器は、離間位置において前記ケースに取り付けられ、前記センサー視野は、前記赤外線送信器から前記赤外線受信器まで伸びており、前記赤外線受信器は、前記赤外線送信器によって放射された赤外線が前記赤外線受信器に到達することを阻止される際に、前記センサー視野内に対象物が存在することの指標を作成する、請求項6に記載の手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別して監視システムに報告するための監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
なし
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発
適用なし
【0003】
マイクロフィッシュ/著作権の参照
適用なし
【0004】
技術分野
本開示は、手指衛生が行われたことを識別及び報告することに関する。実施形態は、手指衛生製品ディスペンサーに隣接して配置される監視装置に関する。実施形態は、手指衛生製品ディスペンサーの使用を識別することに関する。
【背景技術】
【0005】
手指衛生は、特に医療や食事の調理及び提供を含む特定の活動やサービスにとって不可欠である。本発明は、手指衛生ディスペンサーの使用を識別することにより、手指衛生が行われたことを識別することに関する。
【0006】
医療の提供者にとって、HAIとしても知られる医療関連感染の広がりは、医療施設において増加し続けている課題である。HAIは、細菌、ウイルス及び他の疾患原因微生物が、患者や環境表面などの様々な供給源から、別の患者または環境表面に、医療従事者の手を介して伝染することにより生じ得る。このような伝染の結果、これまで感染していなかった患者が感染する可能性がある。医療施設では、長年にわたって、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)、及び他の薬剤耐性微生物と戦い続けている。近年では、これらの問題がより顕在化している。米国のみでも毎年およそ2,000,000件の医療関連感染が起こっており、その結果、毎年約100,000人が死亡していると推定されている。これらの感染症に関連する追加費用は、数十億ドルと見積もられる。
【0007】
医療機関は、HAIの広がりを予防及び制御しようとしている。このような努力における1つの重要な態様として、医療の専門家が手指衛生の最善の措置に従っていることを確認しようとすることが挙げられる。手指衛生は、石鹸と水で洗浄することや、水または洗い落としを必要としない消毒製品などの液体を使用することにより、行うことができる。手指衛生に使用される衛生製品は、一般的に、手指衛生が望まれる場所に配置されるディスペンサーによって分配される。そのようなディスペンサーが使用されたことは、手指衛生が行われたことを示している。ディスペンサーは、米国特許出願第12/823,475号及び第13/427,467号の開示などの使用報告を行うように適応させられている。これらの特許出願は、本出願の出願人に譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
手指衛生はまた、食品媒介細菌やウイルスの拡散を防止するために、食品産業において不可欠であると認識されている。このような食品媒介細菌やウイルスには、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス、腸チフス菌、赤痢菌属、大腸菌(E. coli)O157:H7もしくは他の腸管出血性大腸菌または志賀毒素産生大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌及び化膿連鎖球菌が含まれる。食品従業員は、手を汚染する活動の後や、病原体が食品に拡散される活動の前に、手洗いを行うことが不可欠である。
【発明の概要】
【0009】
本技術の一態様は、手指衛生製品ディスペンサーの外部にあって、ディスペンサーの作動を識別するセンサーを提供する。 該ディスペンサーの内部作用には、監視センサーを統合する必要がない。したがって、該センサーを備えた監視システムは、本質的に特定のディスペンサーまたはディスペンサー製造元に縛られない。本発明の技術は、監視システムの実装において、分配装置の交換のコスト及び労力並びに手指衛生製品供給元の変わる可能性により生じる障壁を回避することにより、監視システムの導入を容易にする。
【0010】
本技術の一態様では、上記センサーは、ディスペンサーの部分に隣接する領域であって、上記ディスペンサーが作動して製品を分配する際に対象物が存在している領域を包含するセンサー視野を有している。
【0011】
さらなる記載の態様は、センサーから手指衛生製品ディスペンサーに隣接する領域まで上記センサー視野が延びており、該領域に対象物が存在することが該ディスペンサーの使用をはっきりと示すこととなる該センサーを提供することにある。
【0012】
さらなる記載の態様は、センサー視野内の対象物のセンサー指標に基づいて手指衛生イベントが発生することを決定し、その発生をディスペンサーの使用を監視するシステムに通信することにある。
【0013】
本技術のさらに追加の態様は、監視システムと通信するセンサーであって、手指衛生製品ディスペンサーに隣接して配置され、該ディスペンサーから物理的かつ機能的に分離されているセンサーに関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明に係るディスペンサー使用監視装置を有する無線情報収集システムを示す図である。
【
図2】
図2は、手指衛生製品ディスペンサーに隣接して配置されるディスペンサー使用監視装置の正面図である。
【
図3】
図3は、
図2の監視装置及びディスペンサーの側面図である。
【
図5】
図5は、回転可能なセンサーが取り付けられた監視装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、接触不要な手指衛生製品ディスペンサーに隣接して配置された監視装置の正面図である。
【
図8】
図8は、手指衛生製品ディスペンサーの下方に延びるように配置されたセンサーの斜視図である。
【
図9】
図9は、手指衛生製品ディスペンサーと、該ディスペンサーの作動レバーに隣接して配置された監視装置との正面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示される手指衛生製品ディスペンサー及びセンサーの側面図である。
【
図11】
図11は、手指衛生製品ディスペンサー及び監視装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載される実施形態は、手指衛生製品ディスペンサーのディスペンサーに隣接するセンサー視野に対象物が存在することを示す監視装置に関する。詳細には、実施形態は、ディスペンサーと分離され、ディスペンサーの使用を監視するシステムと通信するセンサーを提供することに関する。
【0016】
実施形態が示された添付図面を参照することにより、実施形態について詳細に説明する。全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を参照している。しかしながら、 他の実施形態は、多くの異なる形態であってもよく、本明細書において説明される実施形態に限定されるものではない。むしろ、これらの実施例は例示である。この開示に基づく権利は、特許請求の範囲によって示される全ての範囲を有している。
【0017】
手指衛生が重要である施設では、手指衛生製品は貯蔵されており、ディスペンサーから手の上に分配される。そのため、ディスペンサーの使用と手指衛生イベントとの間には、直接的な相関がある。ディスペンサーの使用データは、使用された製品の量またはディスペンサーが使用された回数を提供し得る。ディスペンサーの使用情報は、手動でまたは電子的に収集され得る。ディスペンサーの使用の電子的な監視は、1)組織全体の傾向を時間をかけて追跡することを可能とし、2)目立たず、わずかな追加スペースしか取らない設計を可能とし、3)全シフト、1日24時間、週7日にわたる使用を可能とし、4)必要となるスタッフのトレーニングを最小限とすると共に、5)多くの異なる設定で行われ得る。
【0018】
図1は、本発明に係る無線情報収集システムを示す図である。システム50は、ディスペンサーの使用量を監視するシステムであって、少なくとも1つのディスペンサー20と、無線監視ネットワークと、データ照合サーバー58とを含んでいる。ディスペンサー使用監視装置10は、それぞれディスペンサー20に隣接して配置され、各ディスペンサー20と関連付けられている。監視装置10は、ディスペンサー20の使用を識別して報告する。監視装置10は、関連付けられたディスペンサー20の使用を無線監視システム50に無線で報告する送信器を備えており、該無線監視システム50は、次に、該送信をデータ照合サーバー58へと転送する。該無線監視システムは、少なくとも1つのハブ54と、少なくとも1つのゲートウェイ56とを備えている。
【0019】
無線システム50では、監視装置10は、ハブ54及び/またはゲートウェイ56に無線で接続されている。ゲートウェイ56は、データ照合サーバー58に接続されている。データは、有線ネットワーク(例えば、インターネット)、及び/または、GSMのような任意のセルラーネットワークを介して、ゲートウェイ56からサーバー58へとバースト送信されてもよい。収集されたデータはまた、データ処理のためにオフサイトサーバーに送信されてもよい。
【0020】
各ディスペンサー使用監視装置10は、その中にセンサーを有しており、最大100以上のディスペンサーの活動状態に関連するデータを記憶できる。100の活動状態とは単なる例示であって、典型的には、各監視装置は、いくつかの活動状態に関連するデータを格納することのみを必要とするものであってもよいことが、当業者には理解されるであろう。これにより、ハブ54による受信のキューイングが発生した場合にデータを失う可能性が最小限に抑えられる。該データは、監視装置10とハブ54との間、及び、ハブ54とゲートウェイ56との間でバースト送信され、該バーストは、時間またはメモリに依存するものであってもよい。
【0021】
図2は、
図1にも示される手指衛生製品ディスペンサー20に隣接して配置された監視装置10を示す。ディスペンサー20は、典型的には直立の向きに取り付けられるものとして表される。ディスペンサー20はレバー22を含み、該レバー22は、ディスペンサー20の前方から押されることにより、ディスペンサー20の下部のノズル24から、ノズル24に隣接するノズル24下方の領域へと、ノズル24に隣接する矢印によって示されるように、ディスペンサー20に一定量の製品Pを分配させる。ディスペンサー20の使用者は、分配された手指衛生製品を受けるためにノズル24の下方に手を配し、手指衛生製品を受ける手の一部によって、または使用者の他方の手によって、レバー22を操作する。
【0022】
センサー視野12は、監視装置10からディスペンサー20の下部のノズル24に隣接する領域へと延びている。監視装置10は、センサー視野12を延長して、手指衛生製品が分配される領域であるノズル24に隣接するノズル24下方の領域をセンサー視野12に含ませるように配置される。好ましくは、該領域は、ディスペンサー20の使用者が、ディスペンサー20のノズル24から分配された手指衛生製品を受けるために、該使用者の手を配する位置を含む。
【0023】
図2に示すように、センサー視野12は、手指衛生製品がノズル24から分配される方向に対して略直交する方向に延びている。センサー視野12がノズル24に隣接しているため、ディスペンサー20を操作する際に、レバー22の操作及び分配された手指衛生製品を受けることの両方を片手で行う使用者は、その手をセンサー視野12内に配することとなる。ディスペンサー20を操作する際に、レバー22の操作に一方の手を用い、分配された手指衛生製品を受けるのに他方の手を用いる使用者は、手指衛生製品を受ける方の手をセンサー視野12内に配さなくてもよい。センサー視野12を、ディスペンサー20から離間した位置において製品を受ける手を包含するように、分配される製品の経路に沿ってより遠方へと延ばすためには、監視装置10は、ディスペンサー20から下方に変位していてもよく、及び/または、製品がディスペンサー20から分配される方向に沿って延びた分配される製品の経路と、一定の角度で交差する方向に沿って、該センサー視野を延ばすように向きを合わせられてもよい。
【0024】
図3は、監視装置10及びディスペンサー20の側面図を表し、ノズル24に隣接したセンサー視野12を示している。ディスペンサー20及び監視装置10は、
図3にてSとして示される壁の表面に取り付けられている。監視装置10は、ケース32を有する。センサー視野12は、監視装置10からケース32の側面36における開口34を通って延びている。開口34は、ノズル24が表面Sから離間している距離とほぼ同じ距離だけ、表面Sから離間している。従来の手指衛生製品ディスペンサーにおいて、該距離は、通常は1
1/
2インチ〜5インチであり、多くの場合には1
3/
4インチ〜2
1/
2インチである。
【0025】
図4は、監視装置10の断面図を示す。監視装置10のケース32は、近接センサー38、制御及び処理コンポーネント42、通信コンポーネント44並びに電池46を包含している。電池46は、近接センサー38、制御及び処理コンポーネント42並びに通信コンポーネント44を動作させるための電力を供給する。近接センサー38は、ケース32の側面36における開口34に隣接して取り付けられている。
【0026】
近接センサー38は、開口34に隣接して取り付けられた赤外線放射器6及びと赤外線受信器63を含む。放射器61は、開口34を通じて赤外光を放射する。放射器61は、電池46により駆動され、コンポーネント42によって制御される。赤外線受信器63は、開口34を通じて赤外光を受信し、コンポーネント42と通信を行う。コンポーネント42は、放射器61によって放射される赤外光が赤外線受信器63に反射される際の赤外線受信器63からの通信に基づいて、対象物が開口34の近くに存在する時点を決定する。開口34に隣接する監視装置10外側の領域では、対象物が放射器61により放射された十分な赤外光を受信器63へと反射し、それによって対象物の存在が示されるが、該領域は、近接センサー38のためのセンサー視野12である。
【0027】
制御及び処理コンポーネント42は、ディスペンサーの使用を識別するように機能してもよく、センサー視野12内における対象物の存在が手指衛生のためのディスペンサーの使用を示しているか否かを決定してもよい。検出された対象物が手指衛生イベントを示さない際の対象物とは、例えば、ディスペンサー内の製品カートリッジを交換するためにディスペンサーを開けることであってもよい。このようなイベントは、対象物が手指衛生イベントの時間よりも長い時間存在することが特徴であってもよい。同様に、対象物は、センサー視野を通過して、手指衛生イベントよりも短い時間存在していてもよい。制御及び処理コンポーネント42は、このようなイベントが手指衛生イベントではないことを決定すると共に、これらのイベントを監視システムに報告しなくてもよい。このような決定の例として、例えば2〜3秒の短い時間内において対象物が複数回検知されることは、複数の使用者が非常に近くで共にディスペンサーを活動させているのではなく、単一の手指衛生イベントにおいてディスペンサーが複数回作動させられていることであり得る。したがって、所定の活動期間内における複数回の活動は、単一のディスペンサー使用イベントと考えられ得る。例えば、1〜4秒の時間フレーム内における複数回の活動は、単一のディスペンサー使用イベントと考えられ得る。ハンドソープ及び手指消毒剤のために、これを2.5秒に設定してもよい。しかしながら、異なる種類の施設において異なる種類の製品を用いてディスペンサーの使用を監視している場所では、これを異なる活動期間に設定してもよい。
【0028】
通信コンポーネント44は、監視システムと無線で通信するRFトランシーバ及びアンテナを備える。制御及び処理コンポーネント42は、組込みマイクロプロセッサ及び/または組込みマイクロコントローラと、メモリまたは他のデータ記憶コンポーネントとを含んでいてもよい。制御及び処理コンポーネント42は、通信コンポーネント44に、決定された手指衛生製品ディスペンサーの使用を監視システム50へと報告させる。制御及び処理コンポーネント42及び通信コンポーネント44は、本出願の所有者に譲渡された米国特許出願第13/427,467号に記載されているディスペンサーコンポーネントとして、ディスペンサーの使用を監視システムに報告するために機能してもよい。
【0029】
図5は、ケース62を有する監視装置10を示す。前述の実施形態におけるケース32と同様に、ケース62は、近接センサー38、制御及び処理コンポーネント42、通信コンポーネント44並びに電池46を包含している。ケース62は側面66を含んでおり、側面66には、ケース62の内部に向かって、かつケース62の対向する側面72及び74を横切って延びている溝68が形成されている。側面72と74との間の溝68内には、回転可能なセンサーハウジング64が配置されている。センサーハウジング64には開口34が形成されており、開口34を通して、近接センサー38が監視装置10のセンサー視野12内における対象物の存在を検知する。赤外線放射器61及び赤外線受信器63は、ハウジング64内に取り付けられて開口34を通して導かれてもよい。
【0030】
図5の矢印Rにより示されるように、センサーハウジング64は、回転するように溝68内に取り付けられており、該回転によって、開口34の向きを、溝68に沿って側面72または側面74のいずれかの方へ向かわせるように、または側面72への方向と側面74への方向との間の任意の方向に沿って溝68から外方へと向かわせるように取り付けられている。それにより、回転可能なセンサーハウジング64は、センサー視野12が、ハウジング62から、側面72及び74に向かうそれらの方向の間の、監視装置10の側面66から外方に向かう選択された方向に沿って延びるように位置決めされることを可能にする。
【0031】
図6は、センサー視野12をケース62の側面74から外方へと向けるように回転されたハウジング64を備えたケース62を有する監視装置10を示す。
図6のように向けられたケース62及びハウジング64を有する監視装置10及びは、
図2に示されるような垂直に配向されたディスペンサー20に隣接して、
図6に示される垂直配向により配置され得る。そのような配向にて配置された監視装置10は、
図2に示されるように配向された監視装置10ほど下方に延ばす必要はない。同様に、
図6に示されるように配向された監視装置10は、
図2で示される監視装置10ほどディスペンサー20からの距離を延ばす必要はない。さらに、
図6の矢印Aで示すように、ハウジング64は、上述のように分配される製品の経路を横切って下向きの角度である角度でセンサー視野12を延ばすために回転させられてもよい。
【0032】
監視装置10は、タッチ不要ディスペンサーの近接センサーを妨害することもなく、該ディスペンサーにより妨害されることもない近接センサーを有していてもよい。
図7は、タッチ不要ディスペンサー80に隣接して配置された監視装置10を示す。タッチ不要ディスペンサー80は、対象物がノズル24の下方に配置された際に製品を分配するノズル24を有している。監視装置10は、製品の分配を作動させるために赤外線センサーを使用するタッチ不要ディスペンサー80と共に機能する、上述のような赤外線近接センサーを有していてもよい。監視装置10は、手がタッチ不要センサー80による製品の分配を活動させることになる位置を含むようセンサー視野12が配置され得るように、回転可能なセンサーハウジング64を備えたケース62を有していてもよい。
【0033】
図8は、ディスペンサー20の下方に隣接して配置されたケース92を有する監視装置10を示す。延長部94は、監視装置10及びディスペンサー20が取り付けられた面Sに沿って、ケース92の側面96からディスペンサー20の下方へと延びている。延長部94は、ケース92から離間した位置において面Sから離れて延びている脚部98を形成しており、脚部98は、ディスペンサー20が脚部98とケース92の表面96との間の位置において手指衛生製品を分配するように形成されている。赤外線放射器61は、ケース92の表面96にある受信器63へと赤外光を向けるように、脚部98に取り付けられている。センサー視野12は、放射器61から受信器63まで延びている。
【0034】
対象物の存在を検知する監視装置10の近接センサーは、赤外光に基づくものである必要はない。近接センサーは、RF近接センサーまたは静電容量式近接センサーであってもよい。使用され得る他のセンサーには、超音波センサー(ソナー)、反射式光電センサー、光学センサー及び低出力レーザーベースのセンサーが含まれる。
【0035】
監視装置は、ディスペンサーに隣接する対象物の存在の他に、ディスペンサーに隣接する活動に基づいて、ディスペンサーの活動状態を識別してもよい。上述の監視装置は、ディスペンサーに隣接する対象物の存在を検知する近接センサーに基づいて、ディスペンサーの活動状態を識別する。対象物の存在、及び、場合により該対象物の存在する期間は、ディスペンサーに隣接する活動を表し、該活動によりディスペンサーの使用が識別されてもよい。以下に記載する実施形態について説明するように、監視装置は、ディスペンサーに隣接する動きを決定するために1つ以上のセンサーを使用して、ディスペンサーに隣接する動きに基づいて識別されたディスペンサーの活動状態を識別してもよい。
【0036】
センサー視野12は、ディスペンサーが製品を分配する領域を包含している必要はない。代わりに、センサー視野12は、ディスペンサーに製品を分配させるレバーに隣接する領域のような、製品を分配する間に占有される領域を包含していてもよい。
【0037】
図9及び
図10は、表面Sに取り付けられた手指衛生製品ディスペンサー20に隣接して配置された監視装置110を示す。上述したように、ディスペンサー20はレバー22を含み、該レバー22は、ディスペンサー20の前方から押されることにより、ディスペンサー20の下部のノズル24からディスペンサー20に一定量の製品Pを分配させる。監視装置110は、ディスペンサー20の下部の前方にあるレバー22を含む領域を包含するようセンサー視野12を延ばすように配置されている。センサー視野12は、レバー22を操作してディスペンサー20から手指衛生製品を分配するように使用者の手指が配される領域の少なくとも一部を含む。
【0038】
図10は、レバー22まで延びたセンサー視野12を示す監視装置110及びディスペンサー20の側面図を示す。ディスペンサー20及び監視装置110は、
図10にSとして示される壁の表面に取り付けられている。監視装置110は、ケース132を有する。超音波近接センサー138は、表面Sとは反対を向いているケース132の側面136に配置される。超音波近接センサー138は、センサー視野12を形成するためにセンサー波を放射し、該視野内の対象物からの反射波を受信する。センサー視野12内の対象物(使用者の手)の存在を識別することに加えて、監視装置110は、センサー視野12内の対象物の動きの方向を決定することができる。監視装置110は、反射されたセンサー波のタイミングを決定し、それらのタイミングに基づいて、使用者の手及びレバー22がディスペンサー20の方に向かって移動しているか或いはディスペンサー20から離れるように移動しているかを確認する。この決定に基づいて、監視装置110は、センサー視野内の対象物の識別された移動に基づいて、ディスペンサー20の手指衛生の使用を識別する。監視装置110は、識別されたディスペンサー20の使用を、手指衛生監視システムに報告する。
【0039】
ディスペンサー20を操作する手の移動方向を決定可能な110などの監視装置を提供することの利点としては、レバー作動回数が識別され得るということが挙げられる。ディスペンサーの作動によって、ディスペンサー20は既知の量の手指衛生製品を分配させられる。作動数を識別することにより、ディスペンサーの使用パターンを識別することができ、それによって、個々の手指衛生の使用(使用毎の作動数)及び製品の使用全体においてディスペンサーから実際に分配される手指衛生製品の量が決定され得る。分配される製品全体は、ディスペンサーの補充を予定に入れるために使用され得る。
【0040】
図11及び
図12は、手指衛生製品ディスペンサー20に隣接して配置された監視装置140を示す。監視装置140及びディスペンサー20は、表面Sに取り付けられている上述したように、レバー22は、ディスペンサー20から延びている。レバー22は、ディスペンサー20の前方から表面Sに向かって押されることにより、ディスペンサー20の下部のノズル24からディスペンサー20に一定量の製品Pを分配させる。監視装置140は、ケース142を含む。センサーアーム144は、ケース142から、表面Sから概ね離れるように延びている。センサーアーム144は、ディスペンサー20のレバー22に隣接しており、レバー22を越えて延びている。静電容量式近接センサー148,152及び154は、センサーアーム144に取り付けられている。センサー視野12は、センサー148,152及び154の各々から、センサーアーム144に概ね垂直に延びている。
図12に最もよく示されるように、センサー148のセンサー視野12は、ディスペンサー20に隣接している。センサー152からのセンサー視野12は、センサー148からのセンサー視野12に隣接しており、センサー148のセンサー視野12よりもディスペンサー20から遠い。センサー154からのセンサー視野12は、センサー152からのセンサー視野12に隣接しており、センサー152のセンサー視野12よりもディスペンサー20から遠い。センサー154からのセンサー視野12は、
図12に示すようにレバーがディスペンサー20から延長されている際に、レバー22の一部を包含する。これらのセンサー視野12は、互いに略平行であり、ディスペンサー20に隣接して延びている。ディスペンサー20が使用者によって使用される際に、レバー22が使用者に押されることによって、レバー22はディスペンサー20に向かって動かされる。その使用の間、レバー22及び使用者の手は、センサー視野12中を動く。
【0041】
センサー148,152及び154は、センサーから延びるセンサー視野12内の対象物を別々に検知することができる。監視装置140は、レバー22を含む対象物のディスペンサー20の方に向かう動き及びディスペンサー20から離れていく動きを、センサー148,152及び154による対象物の逐次検知に基づいて識別することができる。それにより、監視装置140は、監視装置110について記載したように、ディスペンサー20のレバー22を操作する手の動きの方向を識別するように機能することができる。3つ以外の他の数のセンサーが、アーム144に沿って配置されてもよい。移動方向を特定するための最小の数は2つである。より多くの数が用いられてもよいが、センサーのサイズ及びディスペンサー20に隣接するスペースの制約によって制限される。アーム144に取り付けられる複数のセンサーは、それぞれ同一のセンサーであってもよい。他の種類のセンサー及び異なるセンサーの組み合わせもまた使用できる。
【0042】
図12の矢印Rで示すように、センサーアーム144は、ハウジング142に回転するように取り付けられている。アーム144の回転は、ディスペンサー20に隣接する所望の位置にセンサー148,152及び154を配置する。さらに、監視装置140は、該監視装置を表面S上で180度回転させることによって、
図11及び12に示された方向からセンサー視野を反対に向けるようにディスペンサー20の反対側に配置され得る。
【0043】
本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されるものではない。例えば、センサーから監視システムへの通信は、無線通信である必要はない。センサーは、有線接続や光通信などの他の手段により、監視システムと通信してもよい。ディスペンサーの使用を決定するための他のセンサー及び基準もまた、本発明に従って使用されてもよい。加えて、近接センサーは、記載された以外のセンサー上において移動可能であってもよい。センサーは、1つ以上の方向に沿って近接センサーを移動させ、それによってセンサー視野を動かして移動させるように取り付けられてもよい。