(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243963
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】6運動自由度の脊椎安定化デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-93785(P2016-93785)
(22)【出願日】2016年5月9日
(62)【分割の表示】特願2013-555536(P2013-555536)の分割
【原出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2016-172021(P2016-172021A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】13/033,404
(32)【優先日】2011年2月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ,ベネット
(72)【発明者】
【氏名】エドワード,ドワイヤー
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0043391(US,A1)
【文献】
特表2008−508035(JP,A)
【文献】
特表2006−517453(JP,A)
【文献】
特表2003−503154(JP,A)
【文献】
特開2005−329232(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0025862(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0261772(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0158254(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/011621(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
A61F2 /44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者内の第1および第2の隣接する骨を安定させるための移植片であって、
前記患者の前記第1の骨に添着されるように適合される、第1の側と、平滑な表面を有する、前記第1の側と反対の第2の側と、を有する、第1の支持構成要素と、
平滑な表面を有する第3の側を有し、前記第2の側と嵌合摺動可能係合状態に位置付け可能である、弾性コアであって、前記第3の側と反対の第4の側をさらに含み、前記コアの直径の増加を引き起こす拡張をもたらす圧縮性がある、弾性コアと、
前記第4の側と嵌合可能な第5の側と、前記患者の前記第2の骨に添着されるように適合される、前記第5の側と反対の第6の側と、を有する、第2の支持構成要素と、を備え、
前記移植片の軸は、前記移植片を通して、前記第1の隣接する骨から前記第2の隣接する骨に延在するように画定され、
前記コアは、前記第1の支持構成要素と第2の支持構成要素との間に位置付け可能であって、それによって、前記第1の隣接する骨と第2の隣接する骨との間に位置付け可能であって、
前記コアは、前記軸に沿って、相対的第1の距離において、前記第1および第2の支持のそれぞれの少なくとも一部を分離し、前記コアは、圧力下、弾性的に変形可能であって、前記軸に沿って、第2のより少ない相対的距離において、前記第1および第2の支持のそれぞれの少なくとも一部を分離し、
前記コアは、前記第2の側と係合状態において、前記軸に対して半径方向に、前記第3の側上を摺動してもよく、
前記第1の支持構成要素が、前記第1の隣接する骨に添着され、前記第2の支持構成要素が、前記第2の隣接する骨に添着され、前記コアが、前記第1の支持構成要素と第2の支持構成要素との間に位置付けられると、前記第1および第2の隣接する骨は、安定し、前記コアは、別個にまたは同時に、弾性的に変形および摺動して、前記骨の自然な運動学的移動と同様に、前記2つの隣接する骨の運動学的移動を可能にする場合があり、
前記第1の支持構成要素の前記第2の側は、前記第2の側に接触する前記弾性コアの前記第3の側の半径より大きい半径がある接触表面を有しており、
前記コアは、陥凹部分と前記陥凹部分に形成された開口と突出部分とをさらに含み、
前記陥凹部分および前記突出部分は前記コアの外周の周囲に延在し、前記コアの前記突出部分はスナップ嵌着接続を通して前記第2の支持構成要素の対応する嵌合機構に連結するように構成されており、
少なくとも1つのピンが、前記第2の支持構成要素と前記コアとを一緒に係止するように、前記第2の支持構成要素を通して延在し、前記コアの前記陥凹部分に形成された前記開口の少なくとも一部分に挿入する、移植片。
【請求項2】
前記コアは、ポリマー材料を含む、請求項1に記載の移植片。
【請求項3】
前記コアは、前記ピンを受け入れるための1以上の開口部を含む、請求項1に記載の移植片。
【請求項4】
前記第4および第5の側は、平滑な表面を具備する、請求項1に記載の移植片。
【請求項5】
前記第4の側および前記第5の側の前記平滑な表面のうちの一方は、凸形状を有し、他方は、嵌合凹状形状を有する、請求項4に記載の移植片。
【請求項6】
前記第2の側および前記第3の側の前記平滑な表面のうちの一方は、凸形状を有し、他方は、嵌合凹状形状を有する、請求項1に記載の移植片。
【請求項7】
前記第1および第6の側と関連付けられ、前記第1または第2の隣接する骨内に挿入され、前記第1または第6の側と前記第1または第2の隣接する骨の接続を改善するように動作可能である、突起をさらに含む、請求項1に記載の移植片。
【請求項8】
前記突起は、骨内部成長のための空間を提供するように動作可能である、少なくとも1つの空間を含む、請求項7に記載の移植片。
【請求項9】
前記空間は、前記第1の側の方向に、前記突起の開放端から延在し、前記軸に対して、ある角度で延在する、請求項8に記載の移植片。
【請求項10】
前記移植片を前記隣接する骨間の空間内に挿入するために有用なツール部品を受け入れるように動作可能である、少なくとも1つの開口部をさらに含む、請求項1に記載の移植片。
【請求項11】
前記隣接する骨は、指、手、手首、肘、肩、脊椎、腰、膝、足首、足、および足指から成る群から選択される、請求項1に記載の移植片。
【請求項12】
前記隣接する骨は、頸椎間に位置する、請求項1に記載の移植片。
【請求項13】
前記移植片は、
(a)前記軸を中心とした対向する回転、
(b)軸方向屈曲、
(c)軸方向圧縮、および
(d)前記軸に対する半径方向摺動
に関して、前記第1および第2の隣接する骨の相対運動を可能にする、請求項1に記載の移植片。
【請求項14】
少なくとも1つの前記ピンが前記第2の支持構成要素から突出する、請求項1に記載の移植片。
【請求項15】
患者内の第1および第2の隣接する骨を安定させるための移植片であって、
前記患者の前記第1の骨に添着されるように適合される、第1の側と、平滑な凹状また凸状表面を有する、前記第1の側と反対の第2の側と、を有する第1の支持構成要素であって、第1の支持構成要素から延在する竜骨を含み、前記竜骨の後方の最も大きい区画には延在した竜骨を通す開口部を有する、第1の支持構成要素と、
前記第2の側が凸状表面を有する場合に平滑な凹状表面を有し、前記第2の側が凹状表面を有する場合に平滑な凸状表面を有する第3の側を有し、前記第3の側はそれによって前記第2の側と嵌合摺動可能係合に位置付け可能である、弾性コアであって、前記第3の側と反対の第4の側をさらに含む、弾性コアと、
前記第4の側と嵌合可能な第5の側と、前記患者の前記第2の骨に添着されるように適合される、前記第5の側と反対の第6の側と、を有する、第2の支持構成要素と、を備え、
前記移植片の軸は、前記移植片を通して、前記第1の隣接する骨から前記第2の隣接する骨に延在するように画定され、
前記コアは、前記第1の支持構成要素と第2の支持構成要素との間に位置付け可能であって、それによって、前記第1の隣接する骨と第2の隣接する骨との間に位置付け可能であって、
前記コアは、前記軸に沿って、相対的第1の距離において、前記第1および第2の支持のそれぞれの少なくとも一部を分離し、前記コアは、圧力下、弾性的に変形可能であって、前記軸に沿って、第2のより少ない相対的距離において、前記第1および第2の支持のそれぞれの少なくとも一部を分離し、
前記コアは、前記第2の側と係合した状態において、前記軸に対して、半径方向に、前記第3の側上を摺動してもよく、
前記第1の支持構成要素は、前記第2の支持構成要素に対して、前記軸を中心として、回転可能であって、
前記第1の支持構成要素が、前記第1の隣接する骨に添着され、前記第2の支持構成要素が、前記第2の隣接する骨に添着され、前記コアが、前記第1の支持構成要素と第2の支持構成要素との間に位置付けられると、前記第1および第2の隣接する骨は、安定し、前記コアは、別個にまたは同時に、弾性的に変形、回転、および摺動し、前記骨の自然な運動学的移動と同様に、前記2つの隣接する骨の運動学的移動を可能にし得、
前記第1の支持構成要素の前記第2の側は、前記第2の側に接触する前記弾性コアの前記第3の側の半径より大きい半径がある接触表面を有しており、
前記コアは、陥凹部分と前記陥凹部分に形成された開口と突出部分とをさらに含み、
前記陥凹部分および前記突出部分は前記コアの外周の周囲に延在し、前記コアの前記突出部分はスナップ嵌着接続を通して前記第2の支持構成要素の対応する嵌合機構に連結するように構成されており、
少なくとも1つのピンが、前記第2の支持構成要素と前記コアとを一緒に係止するように、前記第2の支持構成要素を通して延在し、前記コアの前記陥凹部分に形成された前記開口の少なくとも一部分に挿入する、移植片。
【請求項16】
前記コアは、前記ピンを受け入れるための1以上の開口部を含む、請求項15に記載の移植片。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、手術または外傷後、自然な運動学的特色を保存しながら、脊椎の隣接する椎骨を安定させることに関する。
【0002】
〔背景技術〕
椎間デバイスは、脊椎の疾患または障害に対処する、あるいは外傷による損傷に対処するために使用される。これらのデバイスは、例えば、体重を支承しながら、隣接する椎骨の移動を安定させる、誘導する、また制限するように動作可能である。
【0003】
椎間板は、外傷、疾患、変性性欠陥、または長期間にわたる摩耗によって、変位また損傷され得る。椎間板ヘルニアは、線維輪が、弱化または裂傷され、髄核の内側組織が、その正常な内部線維輪領域から外へ、恒久的に膨隆、膨張、または押出される時に生じる。脱出または「滑脱」した髄核組織の質量は、脊椎神経を圧迫し、脚部の疼痛、筋肉制御の損失、または麻痺さえもたらす可能性がある。あるいは、椎間板変性によって、髄核は、その水結合能力を喪失し、空気がタイヤから放出したように、収縮する。続いて、髄核の高さが減少し、積層された層が、弛緩した状態で結合された区域内において、線維輪を座屈させる。線維輪のこれらの重複する積層された層が、座屈を開始し、分離するにつれて、円周方向または半径方向いずれかの環状裂傷を引き起こし、持続的または動けないほどの背痛の一因となり得る。隣接する随伴脊椎面関節もまた、騎乗位置へと付勢され、付加的背痛をもたらし得る。
【0004】
髄核組織が、脱出される、または手術によって除去されると、必ず、椎間板腔は、狭小化し、その正常な安定性の大部分を喪失し得る。多くの場合、変性または脱出した椎間板からの背痛を緩和するために、髄核は、除去され、2つの隣接する椎骨が、手術によって、ともに融合される。本治療は、疼痛を緩和するが、あらゆる椎間板の運動は、融合された区画では、喪失される。最終的には、本手技は、運動の欠如を補償するにつれて、融合された区画に隣接する椎間板により大きな応力を課し、可能性として、それらの隣接する椎間板の早期変性につながる。
【0005】
椎骨融合の代替として、種々の人工椎間板が、開発されてきた。初期の人工装具は、ボール軸受、バネ、金属スパイク、および他の知覚される補助等、多種多様な構想を具現化した。これらの人工装具はすべて、椎間板腔全体を置換するように作製され、大型かつ剛性である。人工椎間板のための現在の設計の多くは、大型かつ非可撓性である。加えて、人工椎間板サイズおよび他のパラメータは、外科医が、デバイスを埋め込むために講じ得るアプローチを制限する。
【0006】
自然な椎間板の運動を模倣する、新規椎間板の必要性が存在する。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明による、移植片は、可撓性コアと、コアの第1の係合表面に接触するように動作可能である第1の支持構成要素と、コアの第2の反対の係合表面に接触するように動作可能である第2の支持構成要素とを含む。
【0008】
本発明の移植片は、隣接する椎骨等、関節の隣接する骨間に位置付けられると、関節を安定させるように動作可能である。移植片はさらに、治療上の運動範囲を越える移動を制限しながら、関節の自然な運動学的移動を可能にする。
【0009】
可撓性コアは、より可撓性の折曲領域を具備し、コアの反対の係合表面の変位または配向変更を可能にする。一実施形態では、コアは、一端において、先細となり、折曲領域を形成し、変形または座屈し、係合表面の相対的角変位を可能にし得る。
【0010】
加えて、コアは、第1の係合表面と第2の係合表面との部分間の距離を縮小するように圧縮してもよい。圧縮は、コアの内部に対して外向きに材料の拡張を含んでもよく、またはコアの材料は、内部に圧潰してもよい。
【0011】
テザー、すなわち、引綱が、提供され、コアおよび第1および第2の支持構成要素の一方また両方の最大変位を制限するように動作可能であってもよい。引綱は、コアおよび支持構成要素の一方または両方のいずれかのうちの2つに添着される。引綱は、移植片の意図された運動範囲内において、移動を妨害しないように、可撓性材料から形成され、有利にも、弾性材料から形成され、進行の限界における、突然の相対的移動停止を回避してもよい。
【0012】
各支持構成要素は、コア係合表面および骨係合表面を有する、係合板を含む。竜骨または他の突起が、骨係合表面から延在し、骨表面、例えば、椎骨の内部部分に係合するように動作可能である。突起は、骨内部成長表面、領域、または空間を含み、さらに、板を骨と係合状態に固着させてもよい。第1および第2の支持構成要素のコア係合表面は、有利にも、コアに対する摺動または回転が意図される場合、コアの係合表面の表面材料に対して潤滑材料で形成される。
【0013】
一実施形態では、コアの折曲領域は、係合表面に近接する点において、最も可撓性である。中空内部が含まれ、その中に、折曲領域を形成する材料が偏向され得る、空間を提供するように動作可能であってもよい。コア係合表面は、平滑な表面を具備し、その上を可撓性コアの第2の係合表面が、摺動し得る。
【0014】
骨、例えば、関節の対向する骨の相対移動は、本発明の移植片が埋め込まれる、患者の動きから生じる。第1および第2の支持構成要素は、これらの骨に取着されるため、対応する運動が、支持構成要素内で誘発される。患者の自然な体では、これらの骨は、6運動自由度に従って動く。これらの運動自由度はそれぞれ、
図4を参照して、以下のように、本発明の埋め込まれた移植片によって可能とされる。
【0015】
(1)係合表面に沿って摺動するコアに対応する、線「X」によって示される方向における平行移動
(2)コアの軸方向圧縮に対応する、線「Y」によって示される方向における平行移動
(3)係合表面に沿って摺動するコアに対応する、線「Z」によって示される方向における平行移動
(4)コアの片側の圧縮に対応する、線「X」によって示される軸を中心とした回転
(5)係合表面上を回転するコアに対応する、線「Y」によって示される軸を中心とした回転
(6)コアの片側の圧縮に対応する、線「Z」によって示される軸を中心とした回転
換言すると、移植片の軸が、本発明の移植片を通して、第1の隣接する骨から第2の隣接する骨に延在するように画定される場合、移植片は、以下に関して、隣接する第1の骨と第2の骨との相対移動を可能にすることになる。
【0016】
(a)軸を中心とした対向する回転
(b)軸方向屈曲
(c)軸方向圧縮、および
(d)軸に対する半径方向摺動
代替実施形態では、コアは、実質的に、隣接する区画より狭小である、折曲領域によって分離される、第1および第2の区画を含み、したがって、区画およびその関連付けられた係合表面の角変位を可能にするように屈曲する。
【0017】
本発明の一実施形態では、支持構成要素の少なくとも一部は、コアの嵌合領域に摺動可能に係合する、湾曲平滑表面として構成される、コア係合表面を有する。コア係合表面の湾曲摺動可能部分は、支持構成要素内で陥凹され、係合表面の嵌合摺動可能部分は、コアから突出する。代替として、コア係合表面は、突出されてもよく、コアの係合表面は、陥凹されてもよい。
【0018】
同様に、コアの両側が、湾曲されてもよく、各側は、支持構成要素の湾曲表面と嵌合可能であって、例えば、2つの凸状表面を形成する。コアの両側の嵌合表面は、例えば、所望の運動学的移動を助長し、予期された運動範囲を通して、所望の靭帯張力を維持するように動作可能である。しかしながら、本発明によると、両表面は、患者の治療上の必要性に応じて、凸状、凹状、または平坦のいずれかであってもよいことを理解されたい。使用時、湾曲嵌合表面を伴う構成は、前述のように、全6運動自由度を可能にするが、しかしながら、嵌合湾曲摺動可能係合表面のため、付加的方向安定性が提供される。
【0019】
さらなる実施形態では、コアは、第2の係合表面に、支持構成要素の平坦コア係合表面に嵌合するように接続可能である、平坦表面を具備する。1つ以上のピンが、コアおよび支持構成要素内に提供されるピンボアまたは開口を通して通過し、2つの構成要素を一緒に係止する。加えて、コアの陥凹部分および突出部分と支持構成要素との間のスナップ嵌着係合がさらに、コアと支持構成要素とを一緒に固着させるように提供されてもよい。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、コア係合表面は、コアの嵌合部分の湾曲部分より大きい波形を有する、湾曲部分を有する。したがって、コアは、支持構成要素に対して摺動し得る。コアは、同時に、回転され、均等にまたは側方に圧縮されてもよい。
【0021】
コアの嵌合表面および支持構成要素は、凹状、凸状、半球状、または樽状形状を含んでもよく、それによって、摺動、枢動、回転、揺動、または他の相対移動に対する抵抗は、全方向において均一であってもよく、または特定の方向において異なってもよい。
【0022】
本発明は、例えば、頸椎椎間板置換術の置換または安定化のための関節置換術用移植片を提供するが、他の関節、例えば、指、手、手首、肘、肩、脊椎の他の領域、臀部、膝、足首、足、または足指の1つ以上の関節が、部分的にまたは完全に、移植片によって置換されてもよい。
【0023】
本発明の移植片は、特に、椎間板に関するが、上記に詳細されるように、全6運動自由度において、移動を呈する、全関節に関して、自然な運動学的特色および自然な関節特性を復元するように動作可能である。
【0024】
移植片の全要素は、可撓性材料から作製され得るが、コアは、特に、第1および第2の支持構成要素の角変位に対応するために撓曲する。関節が、撓曲または伸展されるにつれて、コアの可撓性および/または弾性材料は、膨隆または伸張し、対向する係合表面の角変位を可能にしてもよい。加えて、または代替として、折曲領域は、コアの比較的に脆弱な領域を提供し、厚さおよび/または形状を通して、コアの屈曲を容易にするように適合される。
【0025】
移植片は、デバイスが埋め込まれるべき期間の間、患者のために、十分な強度、可撓性、弾性、および耐久性を有する、任意の生体適合性の当業者に公知の材料を使用して組み立てられてもよい。
【0026】
本発明によると、単一移植片が使用され、弱化した関節または関節部分のために、安定化を提供してもよい。代替として、2つ、3つ、またはそれ以上の移植片が、単一関節レベルにおいて、または複数の関節内で使用されてもよい。さらに、本発明の移植片は、他の安定化手段と組み合わせられてもよい。
【0027】
本発明の任意の表面または構成要素は、当業者に公知の方法を使用して、治療的割合で放出され得る、骨成長、治癒、抗菌性、または薬物材料を含む、治療薬でコーティングされてもよく、あるいはそれによって含浸されてもよい。
【0028】
〔図面の簡単な説明〕
本発明、ならびにその付帯利点および特徴のより完全な理解は、付随の図面と併せて検討される時、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
〔
図1〕本発明による、移植片の斜視図を描写する。
〔
図2〕移植片の骨係合突起を通して、中心から切り取られた
図1の移植片の断面を図示する。
〔
図3〕体内の2つの隣接する骨間に位置付けられる、
図1の移植片を図示する。
〔
図4〕
図1の移植片を図示しており、線は、移植片の運動自由度を示す。
〔
図5〕本発明の移植片の別の実施形態の斜視分解図を描写する。
〔
図6〕移植片の骨係合突起を通して、中心から切り取られた
図5の移植片の断面を図示する。
〔
図7〕本発明の移植片のさらなる実施形態の斜視分解図を描写する。
〔
図8〕移植片の骨係合突起を通して、中心から切り取られた
図7の移植片の断面を図示する。
【0029】
〔発明を実施するための形態〕
以下の説明では、方向または配向のいずれの参照も、主として、かつ単に、例証の目的のために意図され、いかようにも、本発明の範囲の限定として意図されない。また、本明細書に説明される特定の実施形態は、本発明の制限としてみなされるものではない。
【0030】
次に、図を参照すると、同様の参照番号は、同様の要素を指しており、
図1および2は、可撓性コア200と、コア200の第1の係合表面204に接触するように動作可能である、第1の支持構成要素300と、コア200の反対の第2の係合表面208に接触するように動作可能である、第2の支持構成要素400とを含む、本発明による、移植片100を図示する。
【0031】
図3を参照すると、移植片100は、例えば、椎骨10、12等の関節の隣接する骨間に位置付けられると、隣接する椎骨によって形成される関節を安定させるように動作可能である。移植片100はさらに、治療上の運動範囲を越える動きを制限しながら、関節の自然な運動学的動きを可能にする。一実施形態では、本運動範囲は、患者に対する完全に自然な運動学的特色を反映する。
【0032】
再び、
図1および2を参照すると、可撓性コア200は、第1の区画202上に配置される、第1の係合表面204と、第2の区画206上に配置される、第2の係合表面208とを含む。
図1および2に示される実施形態では、可撓性コア200は、より可撓性の折曲領域210を具備し、係合表面208に対して、係合表面204の変位または配向変更を可能にする。特に、第1の区画202は、一端が先細になり、折曲領域210を形成し、変形または座屈し、係合表面204、208の相対的角変位を可能にし得る。
【0033】
加えて、コア200は、第1および第2の係合表面204、208の部分間の距離を縮小するように圧縮してもよい。圧縮は、コア200の内部214に対して外向きに材料の拡張を含み、コア200の直径の増加をもたらしてもよく、またはコア200の材料は、コア200の内部に圧潰し、それによって、部分的にまたは完全に、コア200の外寸法を維持してもよい。代替として、コア200の材料内の空間は、サイズ減少されてもよく、例えば、コア200の材料の細胞質または多孔質母材によって形成される空間は、圧縮してもよく、それによって、コア200の外寸法の拡張が、維持または制限され得る。
【0034】
第1の支持構成要素300は、コア係合表面304と、骨係合表面306とを有する、係合板302を含む。竜骨または他の突起308が、骨係合表面306から延在し、骨表面、例えば、椎骨10または12の内部部分に係合するように動作可能である。突起308は、骨内部成長のための領域を提供するように動作可能である、骨内部成長空間310を含み、さらに、板302が取着される骨との係合状態に板302を固着させる。
【0035】
第2の支持構成要素400は、コア係合表面404と、骨係合表面406とを有する、係合板402を含む。竜骨、延在部、または突起408が、骨係合表面406から延在し、骨表面、例えば、椎骨10または12の内部部分に係合するように動作可能である。突起408は、骨内部成長のための領域を提供するように動作可能である、骨内部成長空間410を含み、さらに、板402が取着される骨と係合状態に板402を固着させる。
【0036】
骨内部成長空間310、410はそれぞれ、有利にも、突起308、408挿入方向に対して、ある角度で形成され、それによって、潜在的に、骨内部成長が生じた後、骨から移植片100が分離する発生率を低減させ得る。
【0037】
第1および第2の支持構成要素300、400のコア係合表面304、404は、有利にも、コア200に対する摺動または回転が意図される場合、コア200の係合表面204、208の表面材料に対して、潤滑材料で形成される。
【0038】
図2は、加えて、コア200ならびに第1および第2の支持構成要素300、400の一方または両方の最大変位を制限するように動作可能である、テザー、すなわち、引綱218を図示する。引綱218は、コア200および支持構成要素300、400のうちの一方のいずれかのうちの2つ、または支持構成要素300、400の両方に添着される。引綱218は、本明細書に説明されるように、移植片100の意図される運動範囲内における動きを妨害しない、可撓性材料から形成され、有利にも、弾性材料から形成され、添着される要素の、進行の限界における、突然の相対的移動停止を回避してもよい。
【0039】
図1〜4の実施形態では、折曲領域210は、係合表面204に近接する点において、最も可撓性である。中空内部212が含まれてもよく、領域210を形成する材料が、係合表面208に対する係合表面204の変位の間、偏向し得る、空間を提供するように動作可能であってもよい。テザー218が提供され、第1および第2の支持構成要素300、400の最大運動範囲を制限するように動作可能であってもよい。本実施形態では、コア係合表面404は、平滑な表面を具備し、その上を可撓性コア200の第2の係合表面が、摺動し得る。コア係合表面404は、
図4では、実質的に、平面として図示されるが、突起および陥凹が、
図1および2に関して説明されるように、代替として、提供されてもよい。図示されないが、コア係合表面404から延在する、縁または隆起部分がさらに、または引綱218の代替として、コア係合表面404上の係合表面208の移動範囲を制限するように動作してもよい。
【0040】
図3および4を参照すると、骨10および12の相対移動は、移植片100が埋め込まれる、患者の動きから生じる。第1および第2の支持構成要素300、400は、それぞれ、骨10、12に取着されるため、対応する運動が、構成要素300、400内で誘発される。本発明によると、構成要素400は、骨10に接続されてもよく、構成要素300は、骨12に接続されてもよいことを理解されたい。すなわち、300または400のいずれかの構成要素は、他方に対して、上方に位置付けられ得る。
【0041】
患者の自然な体では、骨10および12は、6運動自由度に従って動く。これらの運動自由度はそれぞれ、
図4に概略されるように、埋め込まれた移植片100によって可能とされる。具体的には、以下となる。
【0042】
(1)係合表面404に沿って摺動するコア200に対応する、線「X」によって示される方向における平行移動
(2)コア200の軸方向圧縮に対応する、線「Y」によって示される方向における平行移動
(3)係合表面404に沿って摺動するコア200に対応する、線「Z」によって示される方向における平行移動
(4)コア200の片側の圧縮に対応する、線「X」によって示される軸を中心とした回転
(5)係合表面404上を回転するコア200に対応する、線「Y」によって示される軸を中心とした回転
(6)コア200の片側の圧縮に対応する、線「Z」によって示される軸を中心とした回転
換言すると、移植片の軸が、本発明の移植片を通して、第1の隣接する骨から第2の隣接する骨に延在するように画定される場合、移植片は、以下に関して、第1および第2の隣接する骨の相対移動を可能にすることになる。
【0043】
(a)軸を中心とした対向する回転
(b)軸方向屈曲
(c)軸方向圧縮
(d)軸に対する半径方向摺動
図5および6に示される代替実施形態では、コア200Aは、実質的に、隣接する区画202A、206Aより狭小である折曲領域210Aによって分離される、第1および第2の区画202A、206Aを含み、したがって、区画202A、206Aの角変位を可能にするように屈曲し、故に、係合表面204A、208Aの角度の相対的変位を可能にする。
【0044】
図6は、突起308および408を通して切り取られた、
図5の移植片100の断面を図示する。コア係合表面404Aの少なくとも一部は、その上を可撓性コア200Aの第2の係合表面208Aの湾曲平滑表面の嵌合領域が、摺動し得る、湾曲平滑表面として構成される。例証では、コア係合表面404Aの湾曲摺動可能部分は、第2の支持構成要素400A内に陥凹され、係合表面208Aの嵌合摺動可能部分は、コア200Aから突出する。しかしながら、係合表面404Aが、突出されてもよく、係合表面208Aが、陥凹されてもよいことを理解されたい。
【0045】
同様に、第1の係合表面204Aの一部は、その上をコア係合表面306Aの嵌合湾曲平滑表面が、摺動し得る、湾曲平滑表面である。
図5〜6に示される実施形態では、コア200Aは、2つの凸状表面204A、208Aを形成し、所望の運動学的移動を助長し、予期される運動範囲を通して、所望の靭帯張力を維持し、骨の自然な静置位置を促進する。しかしながら、本発明によると、表面204Aまたは208Aのいずれかは、患者の治療上の必要性に応じて、凸状または凹状のいずれかであってもよいことを理解されたい。代替として、両表面は、前述の
図1〜4または後述の
図7〜8に図示されるように、平坦であってもよい。
【0046】
一実施形態では、突起312は、第1の係合表面306Aからコア開口または中空内部212A内に延在し、コア200に対して、第1の支持構成要素300の移動範囲を制限するように動作可能である。類似構成が、摺動可能に嵌合する係合表面404Aおよび208Aのために提供される可能性がある。
【0047】
本発明の実施形態は、それを通して、締結具が設置され、さらに、移植片100を患者内に固着させ得る、1つ以上の開口316、416を具備してもよい。例えば、骨ネジが、第1の支持構成要素300内の開口316を通して、骨10内に貫通されてもよく、別の骨ネジが、第2の支持構成要素400内の開口416を通して、骨12内に貫通されてもよい。骨成長剤が、代替として、または加えて、開口316または416内、あるいは骨係合表面306および/または406上に提供され、その中への骨の成長を促進してもよい。骨成長表面は、その中に組織が成長し、接着し得る、開口部または素地を具備してもよい。
【0048】
使用時、
図5〜6の実施形態は、前述のように、全6運動自由度を可能にするが、しかしながら、嵌合湾曲摺動可能係合表面208Aおよび404Aのため、付加的方向安定性が提供され、それによって、摺動は、関節の撓曲または伸展を欠いた範囲に抑制される。本抑制は、嵌合湾曲係合表面208Aおよび404Aの自然な重力的静置状態から生じる。
【0049】
次に、
図7〜8に図示される実施形態を参照すると、コア200Bは、第2の係合表面208Bに平坦表面を具備し、第2の支持構成要素400の平坦コア係合表面404Bに嵌合可能に接続可能である。本実施形態では、コア200Bは、それぞれ、コア200Bおよび第2の支持構成要素400B内に提供される、1つ以上のピンボアまたは開口216、416を通して貫通する、1つ以上のピン414によって、第2の係合表面404B上の回転に対して、コア200Bを添着するように構成される。ピンが図示されるが、当業者によって理解されるであろう、ネジ、接着剤、位置決めネジ、締まり嵌め、圧入、または他の方法を含む、他の締結具構成も可能であることを理解されたい。ピン414は、開口216または416内に螺入または圧入される、あるいは接着剤を使用して固着されてもよく、コア200Bまたは第2の支持構成要素400Bのいずれか一方また両方に固着されてもよい。
【0050】
ピン414は、回転を防止し、かつコア200Bを係合表面404B上のある位置に維持するために利用され得るが、係合表面404Bに対するコア200Bの軸方向位置は、代替として、または追加として、コア200Bおよびコア係合表面404Bのそれぞれの陥凹部分220と突出部分420との間のスナップ嵌着係合によって維持されてもよい。代替として、コア200Bは、突出部分を具備してもよく、コア係合表面404Bは、嵌合陥凹を具備してもよい。
【0051】
本発明の実施形態のいずれかでは、コア200、200A、200Bに対して、コア係合表面304、304A、304Bおよび404、404A、404Bの一方または両方の位置を維持することが所望される場合、ピン、スナップ嵌着、または他の締結具が、前述のように、使用されてもよい。
【0052】
図8をさらに参照すると、コア係合表面304Bは、第1の係合表面204Bの湾曲部分より大きい半径を有する、湾曲部分を有することが分かる。したがって、コア係合表面304Bおよび第1の係合表面204Bは、その個別の曲率間の差異によって影響されるため、相互に対して、制限された範囲まで、容易に摺動し得る。コア200Bはまた、本発明の他の実施形態に関して、本明細書のいずれかで詳述されるように、回転され、均等にまた側方に圧縮されてもよい。
【0053】
構成要素の上方および下方位置は、図示されるように、本発明の理解における読者の便宜性のためであって、移植片100は、患者の利点に応じて、示されるものと逆配向で埋め込まれてもよいことを理解されたい。
【0054】
使用時、
図7〜8の実施形態は、前述のように、全6運動自由度を可能にするが、しかしながら、嵌合湾曲摺動可能係合表面204Bおよび304Bのため、付加的方向安定性が提供され、それによって、摺動は、関節の撓曲または伸展を欠いた範囲に抑制される。本抑制は、嵌合湾曲係合表面204Bおよび304Bの自然な重力的静置状態から生じる。骨12に対する骨10の回転、すなわち、枢動は、第2の係合表面208Bが、コア係合表面404Bに対して添着されるため、第1の係合表面204Bとコア係合表面304Bとの間の界面を通してのみ、伝達される。同様に、摺動は、同一理由から、本界面を通してのみ、行われる。表面208Bおよび404Bは、代替として、他の実施形態に関して本明細書に詳述されるように、相互に対して摺動してもよい。
【0055】
嵌合表面204、204A、204Bと304、304A、304Bと、または208、208A、208Bと404、404A、404Bとは、例えば、凹状、凸状、半球状、楕円形、複合体、または樽状形状であってもよく、それによって、摺動、枢動、回転、揺動、または他の相対移動に対する抵抗は、全方向において均一であっても、または特定の方向において異なってもよい。
【0056】
図8はさらに、第1および第2の支持構成要素300B、400B内の挿入ツールチャネル、ボア、開口部、または開口218、418を図示する。移植片100は、靭帯によって離間された関係に維持される、関節表面間に挿入されるため、関節内への挿入に先立って、移植片100を機械的に圧縮する必要があり得る。図示されないが、当技術分野において公知のようなツールは、ツール開口218、418に係合する、尖叉を具備してもよく、それに応じて、第1および第2の支持構成要素300B、400Bは、埋込の間、施術者によって決定されるように、ともに移動されてもよく、または引き離されてもよい。さらに、移植片100は、前方、前側方、または側方アプローチを通して埋め込まれてもよく、故に、ツール開口218、418は、埋込の間、移植片100を機械的に把持し、操作するための手段を提供する。
【0057】
本発明は、例えば、頸椎椎間板置換術の置換または安定化のために、関節置換術用移植片を提供するが、他の関節、例えば、指、手、手首、肘、肩、脊椎の他の区域、腰、膝、足首、足、または足指の1つ以上の関節が、部分的にまたは完全に、移植片100によって、置換されてもよい。
【0058】
移植片100は、特に、椎間板に関するが、上記に詳細されるように、全6運動自由度において、移動を呈する、全関節に関して、自然な運動学的特色および自然な関節特性を復元するように動作可能である。
【0059】
移植片100の全要素は、可撓性材料から作製され得るが、コア200は、特に、第1および第2の支持構成要素300、400の角変位に対応するために撓曲する。関節は、撓曲または伸展されるため、コア200の可撓性および/または弾性材料は、膨隆または伸張し、第1および第2の係合表面204、208の角変位を可能にし得る。加えて、または代替として、折曲領域210は、厚さおよび/または形状を通して、コア200の屈曲を容易にするように適合される、コア200の比較的により脆弱な領域を提供する。
【0060】
移植片100は、デバイスが移植されているべきである期間の間、患者のために、十分な強度、可撓性、弾性、および耐久性を有する、当業者に公知の任意の生体適合性材料を使用して組み立てられてもよい。実施例として、金属、例えば、チタンおよびクロム合金、ポリマー、例えば、PEEKまたは高分子量ポリエチレン(HMWPE)、ならびにセラミックが挙げられるが、それらに限定されない。
【0061】
移植片の一部または全部は、放射線不透過性または放射線透過性であってもよく、あるいはそのような特性を有する材料が、移植片に添加される、または組み込まれ、埋込の間およびその後、デバイスの撮像を改善してもよい。
【0062】
コア係合表面304、304A、304B、404、404A、404B、ならびに第1および第2の係合表面204、204A、204Bおよび208、208A、208Bを含む、回転、枢動、または摺動する、対向する嵌合表面は、同一または異なる材料から作製されてもよく、その組み合わせは、治療的運動円滑性または所望の抗力をもたらす。移植片100の表面は、例えば、チタンプラズマスプレーによって、プラズマ噴霧されてもよく、およびビーズブラスト処理または電解研磨されてもよい。
【0063】
より具体的には、支持構成要素は、ASTM F1537(および、ISO 5832−12)に規定されるように、コバルト−クロム−モリブデン合金(Co−Cr−Mo)から製造されてもよい。平滑な表面は、ASTM F1580、F1978、F1147、およびC−633(および、ISO 5832−2)に規定されるように、市販の純チタンでプラズマ噴霧されてもよい。コアは、ASTM F648(および、ISO 5834−2)に規定されるように、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から製造されてもよい。
【0064】
コア200、200A、200Bは、代替として、一実施形態では、ポリカーボネートウレタン(PCU)、または熱可塑性ポリカーボネートウレタン(TPU)、例えば、水酸基末端ポリカーボネート、芳香族ジイソシアネート、および鎖延長剤として使用される低分子量グリコールの反応生成物として形成される熱可塑性エラストマーに関しては、DSM IP Assets B.V.Corporation(Heerlen Netherlands)の登録商標であるBionateを使用して加工されてもよい。当業者によって理解されるように、好適な可撓性、耐久性、および生体適合性を伴う他のポリマー材料もまた、使用されてもよい。
【0065】
本発明によると、種々のサイズの移植片が、患者の生体構造に最良に適合するように提供されてもよい。一致または不一致サイズの支持構成要素およびコアが、患者の治療上の必要性に最も一致するように、医療施術者によって、埋込手技の間に組み立てられてもよく、アセンブリは、挿入ツールを使用して体内に挿入される。本発明の移植片はまた、全体的に角度のある幾何学形状、例えば、支持構成要素およびコアの角度のある嵌合配置を具備し、頸椎用途に対して、例えば、0°から6°の自然な脊柱前弯症、すなわち、矯正するための脊柱前弯症を提供してもよいが、全く異なる値が、他の関節には有利である場合がある。例えば、頸椎内で使用するための移植片の高さは、典型的には、7mmから12mmの範囲であり得るが、サイズは、本発明の移植片が埋め込まれるべき患者および関節に依存する。
【0066】
本発明によると、単一移植片100を使用して、弱化した関節または関節部分に安定化を提供してもよい。代替として、2つ、3つ、またはそれ以上の移植片100が、単一関節レベルにおいて、または複数の関節内で使用されてもよい。さらに、移植片100は、他の安定手段と組み合わせられてもよい。
【0067】
加えて、移植片100は、治療上有利な時間間隔の間、体内で生物分解する材料を使用して組み立てられてもよい。さらに、移植片100は、有利にも、平滑かつ/または丸い外部表面を具備し、近隣組織に及ぼす有害な機械的影響の潜在性を低減させる。
【0068】
本発明の任意の表面または構成要素は、当業者に公知の方法を使用して、治療的割合において放出され得る、骨成長、治癒、抗菌性、または薬物材料を含む、治療薬でコーティングされる、あるいはそれによって含浸されてもよい。
【0069】
本発明は、特に、上記の本明細書で図示および説明されるものに限定されないことは、当業者によって理解されるであろう。加えて、それとは反対であることが上記で記載されない限り、付随の図面はすべて、正確な縮尺であるわけではないことに留意されたい。種々の修正および変形例は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、前述の教示に照らして可能である。
【0070】
本明細書に列挙された参考文献はすべて、その全体として、参照することによって明示的に組み込まれる。加えて、それとは反対であることが上記で記載されない限り、付随の図面はすべて、正確な縮尺であるわけではないことに留意されたい。本発明に対して、多くの異なる特徴が存在し、これらの特徴は、ともに、または別個に、使用されてもよいことが想定される。したがって、本発明は、特徴の任意の特定の組み合わせまたは本発明の特定の用途に限定されるべきではない。さらに、本発明の精神および範囲内の変形例および修正が、本発明に関わる当業者に想起され得ることを理解されたい。故に、本発明の範囲および精神内にある、本明細書に記載される本開示から当業者によって容易に達成可能な便宜上の修正はすべて、本発明のさらなる実施形態として含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図2】移植片の骨係合突起を通して、中心から切り取られた
図1の移植片の断面を図示する。
【
図3】体内の2つの隣接する骨間に位置付けられる、
図1の移植片を図示する。
【
図4】
図1の移植片を図示しており、線は、移植片の運動自由度を示す。
【
図5】本発明の移植片の別の実施形態の斜視分解図を描写する。
【
図6】移植片の骨係合突起を通して、中心から切り取られた
図5の移植片の断面を図示する。
【
図7】本発明の移植片のさらなる実施形態の斜視分解図を描写する。
【
図8】移植片の骨係合突起を通して、中心から切り取られた
図7の移植片の断面を図示する。