特許第6243967号(P6243967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243967
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】固体撮像装置および撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20171127BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04N5/3745
   H01L27/146 A
【請求項の数】21
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-120202(P2016-120202)
(22)【出願日】2016年6月16日
(62)【分割の表示】特願2012-1586(P2012-1586)の分割
【原出願日】2012年1月6日
(65)【公開番号】特開2016-187209(P2016-187209A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】小林 大祐
(72)【発明者】
【氏名】大西 智也
(72)【発明者】
【氏名】大屋 武
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−015298(JP,A)
【文献】 特開平05−343730(JP,A)
【文献】 特開2006−203736(JP,A)
【文献】 特開平03−066163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H01L 27/14−27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元状に配された複数の光電変換素子を含むアレイを有する固体撮像装置であって、
前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で生じたアナログ信号をデジタル信号に変換する複数のA/D変換器を含み、
前記固体撮像装置は前記複数の光電変換素子が配された第1基板と、前記複数のA/D変換器が配された第2基板とを貼り合わせて構成されており、
前記固体撮像装置は、前記複数のA/D変換器に電位を供給する電源線及び接地線を含み、前記電源線は、前記接地線とは異なる電位を供給し、
前記第2基板は、前記電源線に接続された第1電極と、前記接地線に接続された第2電極とを有する容量素子をさらに備えことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記固体撮像装置は、前記接地線及び第2接地線を含む複数の接地線を有し、
前記電源線と、前記接地線とが前記複数のA/D変換器に接続され、
前記第2接地線が、前記光電変換素子に接続される
ことを特徴とする請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記固体撮像装置は、第1電源線を含む複数の電源線及び第1接地線を含む複数の接地線を有し、
前記容量素子の前記第1電極に接続された電源線は、前記第1電源線であり、
前記容量素子の前記第2電極に接続された接地線は、前記第1接地線である
ことを特徴とする請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記複数のA/D変換器に前記第1電源線及び前記第1接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で発生した電荷に応じて前記アナログ信号を出力する読出回路をさらに備え、
前記複数の電源線は第2電源線をさらに含み、前記複数の接地線は第2接地線をさらに含み、
記読出回路に、前記第2電源線及び前記第2接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記固体撮像装置は、前記複数のA/D変換器から出力された前記デジタル信号を記憶する複数のメモリをさらに含み、
前記複数のメモリに前記第1電源線及び前記第1接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記固体撮像装置は、前記複数のA/D変換器から出力された前記デジタル信号を記憶する複数のメモリをさらに含み、
前記複数のメモリに前記第2電源線及び前記第2接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第1基板は、前記第2電源線に接続された第3電極と、前記第2接地線に接続された第4電極とを有する第2容量素子をさらに含む
ことを特徴とする請求項5又は7に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記固体撮像装置は、前記複数のA/D変換器から出力された前記デジタル信号を記憶する複数のメモリをさらに含み、
前記複数の電源線は第3電源線をさらに含み、前記複数の接地線は第3接地線をさらに含み、
前記複数のメモリに、前記第3電源線及び前記第3接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項3乃至8の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
2次元状に配された複数の光電変換素子を含むアレイを有する固体撮像装置であって、
前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で生じたアナログ信号から変換されたデジタル信号を保持する複数のメモリを含み、
前記固体撮像装置は前記光電変換素子が配された第1基板と、前記複数のメモリが配された第2基板とを貼り合わせて構成されており、
前記固体撮像装置は、前記複数のメモリに電位を供給する電源線及び接地線を含み、前記電源線は、前記接地線とは異なる電位を供給し、
前記第2基板は、前記電源線に接続された第1電極と、前記接地線に接続された第2電極とを有する容量素子をさらに備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項11】
前記固体撮像装置は、前記接地線及び第2接地線を含む複数の接地線を有し、
前記電源線と、前記接地線とが前記複数のメモリに接続され、
前記第2接地線が、前記光電変換素子に接続される
ことを特徴とする請求項10に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記固体撮像装置は、第1電源線を含む複数の電源線及び第1接地線を含む複数の接地線を有し、
前記容量素子の前記第1電極に接続された電源線は、前記第1電源線であり、
前記容量素子の前記第2電極に接続された接地線は、前記第1接地線である
ことを特徴とする請求項10に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記複数のメモリに前記第1電源線及び前記第1接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項12に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で発生した電荷に応じて前記アナログ信号を出力する読出回路をさらに備え、
前記複数の電源線は第2電源線をさらに含み、前記複数の接地線は第2接地線をさらに含み、
前記読出回路に、前記第2電源線及び前記第2接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で生じたアナログ信号をデジタル信号に変換する複数のA/D変換器をさらに含み、
前記複数のA/D変換器に前記第1電源線及び前記第1接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項12乃至14の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で生じたアナログ信号をデジタル信号に変換する複数のA/D変換器をさらに含み、
前記複数のA/D変換器に前記第2電源線及び前記第2接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項17】
前記第1基板は、前記第2電源線に接続された第3電極と、前記第2接地線に接続された第4電極とを有する第2容量素子をさらに含む
ことを特徴とする請求項14又は16に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で生じたアナログ信号をデジタル信号に変換する複数のA/D変換器をさらに含み、
前記複数の電源線は第3電源線をさらに含み、前記複数の接地線は第3接地線をさらに含み、
前記複数のA/D変換器に、前記第3電源線及び前記第3接地線を介して電位が供給される
ことを特徴とする請求項12乃至17の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項19】
前記第1電極は、半導体基板に含まれる不純物領域であり、
前記第2電極は、前記不純物領域の上に絶縁膜を介して配置されたポリシリコンである
ことを特徴とする請求項1乃至18の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項20】
前記第1電極は、半導体基板に含まれる第1導電型の第1不純物領域であり、
前記第2電極は、前記半導体基板に含まれる第2導電型の第2不純物領域であり、
前記第1不純物領域と前記第2不純物領域とによってPN接合が形成される
ことを特徴とする請求項1乃至19の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れか1項に記載の固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される信号を処理するプロセッサと、
を備えることを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置および撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各画素が受光素子およびA/D変換器を有する画像センサが開示されている。この画像センサでは、受光素子から得られたアナログ信号をA/D変換器がデジタル信号に変換して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−203736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された構成では、例えば画素内のA/D変換器が動作することによる電源電位および接地電位の変動の影響を画素回路が受けやすい。電源電位および接地電位が変動すると、画素回路から出力される信号にノイズが生じ、画質を劣化させうる。また、特許文献1に開示された構成に限られるものではないが、入射光量が大きい画素は、その画素に含まれる画素内読出回路が列信号線などの電位を大きく変化させるので、これによって電源電位および接地電位を変動させうる。この影響は、電源線および接地線を共通にする他の画素、特に電源線および接地線を共通にする周辺の画素に伝わり、画質を劣化させうる。そこで、本発明は、電源線および接地線の電位変動に起因する画質の劣化を抑制するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの側面は、2次元状に配された複数の光電変換素子を含むアレイを有する固体撮像装置であって、前記固体撮像装置は、前記光電変換素子で生じたアナログ信号をデジタル信号に変換する複数のA/D変換器を含み、前記固体撮像装置は前記複数の光電変換素子が配された第1基板と、前記複数のA/D変換器が配された第2基板とを貼り合わせて構成されており、前記固体撮像装置は、前記複数のA/D変換器に電位を供給する電源線及び接地線を含み、前記電源線は、前記接地線とは異なる電位を供給し、前記第2基板は、前記電源線に接続された第1電極と、前記接地線に接続された第2電極とを有する容量素子をさらに備えことを特徴とする固体撮像装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電源線および接地線の電位変動に起因する画質の劣化を抑制するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態の固体撮像装置の構成例を説明する図。
図2】本発明の実施形態の画素の構成例を説明する図。
図3】本発明の実施形態の容量素子の構成例を説明する図。
図4】本発明の実施形態の画素のレイアウト例を説明する図。
図5】本発明の実施形態の放射線撮像システムを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。まず、図1を参照しながら各実施形態に共通する固体撮像装置100の構成例を説明する。固体撮像装置100の全体構成は既存のものと同様でよいため、以下ではその一例を簡潔に説明する。図1では見易さのために電源線及び接地線を省略し、電源線及び接地線の配置については後続の図面を用いて説明する。
【0009】
固体撮像装置100は、画素アレイ110と、選択回路120と、メモリ130と、出力部140とを備えうる。画素アレイ110には、複数の行および複数の列を構成するように複数の画素111が配列され、画素111の列ごとに列信号線112が配置される。選択回路120は画素111の行を順に走査して、各行に含まれるそれぞれの画素111からnビットのデジタル信号を列信号線112に出力させる。列信号線112に出力されたデジタル信号はメモリ130に記憶される。次いで、メモリ130に記憶されたデジタル信号を不図示の列選択回路によって走査することで列ごとに出力部140へ読み出し、読み出した信号をシリアライズ化してLVDS信号として出力する。
【0010】
続いて、図2を用いて画素111の具体的な構成例を説明する。図2(a)は1つの実施形態に係る画素200Aの構成を説明する図である。画素200Aは、光電変換素子201と、MOSトランジスタ202と、電流源203と、A/D変換器204と、メモリ205とを含みうる。画素200Aへは第1電源線206、第1接地線207、第2電源線208および第2接地線209を介して電力が供給される。第1電源線206、第1接地線207、第2電源線208および第2接地線209は複数の画素111に共通して使用される。
【0011】
光電変換素子201は、典型的にはフォトダイオードでありうる。MOSトランジスタ202は画素内読出回路として機能し、光電変換素子201で発生した電荷に応じたアナログ信号をA/D変換器204に出力する。光電変換素子201のアノードは第2接地線209に接続され、光電変換素子201のカソードはMOSトランジスタ202のゲートに接続される。MOSトランジスタ202の一方の主電極は第2電源線208に接続され、他方の主電極は電流源203を介して第2接地線209に接続される。MOSトランジスタ202と電流源203によってソースフォロア回路が構成され、MOSトランジスタ202は光電変換素子201から読み出した信号を増幅してA/D変換器204に出力する増幅トランジスタとして機能する。
【0012】
A/D変換器204はMOSトランジスタ202から出力されたアナログ信号をnビットのデジタル信号に変換してメモリ205に出力する。メモリ205はこのデジタル信号を記憶し、列信号線112に出力する。A/D変換器204及びメモリ205には、第1電源線206及び第1接地線207を介して電力が供給される。A/D変換器204及びメモリ205は既存の構成を用いればよいので、その詳細な説明は省略する。
【0013】
画素200Aは容量素子210を更に含みうる。容量素子210の第1電極は第1電源線206に接続され、第2電極は第1接地線207に接続される。画素200AがA/D変換器204やメモリ205を含む場合に、これらの回路が動作すると、それによって電源電位および接地電位が変動しうる。そうすると、当該画素200A及び当該画素200Aと電源線及び接地線を共通にする他の画素(特に周辺の画素)から出力される信号にノイズが生じうる。また、入射光量が大きい画素200Aは、その画素200Aに含まれるMOSトランジスタ202がA/D変換器204の入力端子の電位を大きく変化させる。これによって電源電位および接地電位が変動しうる。このような場合においても、電源電位および接地電位を変動させた画素200Aおよび当該画素200Aと電源線および接地線を共通にする他の画素(特に周辺の画素)においてもノイズが生じうる。画素200Aが容量素子210を含むことによって、電源電位および接地電位の変動による画質の劣化を抑制することが可能となる。特に、A/D変換器204やメモリ205のようなデジタル信号を処理する回路は動作の際に瞬間的な消費電流変動が大きいため、これらの回路に電力を供給する第1電源線206及び第1接地線207の間に容量素子210を配置することは効果的である。
【0014】
図2(b)は別の実施形態に係る画素200Bの構成を説明する図である。画素200Bは、容量素子210の代わりに容量素子211を含む点で画素200Aと異なる。容量素子211の第1電極は第2電源線208に接続され、第2電極は第2接地線209に接続される。この場合にも、電源電位および接地電位の変動による画質の劣化を抑制することが可能となる。図2(c)はさらに別の実施形態に係る画素200Cの構成を説明する図である。画素200Cは、容量素子210に加えて容量素子211を含む点で画素200Aと異なる。
【0015】
容量素子210は、容量値CがC×V>Cp×ΔVを満たすものを用いてもよい。ここで、Vは画素に許容される電圧変動量である。Cpは第1電源線206と第1接地線207との間の寄生負荷容量値であり、具体的には第1電源線206と第1接地線207との間の寄生容量に加えて、それぞれに接続された素子に起因する負荷容量の総和である。ΔVはA/D変換器204及びメモリ205の動作に伴う瞬間的な電圧変動量である。容量素子211も、容量値が容量素子210の容量値Cと同様の関係を満たすものを用いてもよい。
【0016】
上述の画素200A、画素200B及び画素200Cのうちの1種類が図1を用いて説明された固体撮像装置100の画素111として使用されてもよいし、これらのうちの複数の種類が固体撮像装置100の画素111として使用されてもよい。例えば、一部の画素111に画素200Aが使用され、別の一部の画素111に画素200Bが使用されてもよい。また、上述の例では、デジタル回路として動作するA/D変換器204及びメモリ205には第1電源線206及び第1接地線207を介して電力が供給される。また、アナログ回路として動作する光電変換素子201及びMOSトランジスタ202には第2電源線208及び第2接地線209を介して電力が供給される。しかし、すべての画素内のすべての回路素子に1組の電源線・接地線を介して電力が供給されてもよい。また、1つの画素111に対して電源線・接地線がそれぞれ3つ以上あってもよい。
【0017】
また、画素アレイ110の全ての画素111が容量素子を含んでもよいし、画素アレイ110のうちの一部の画素111が容量素子を含まなくてもよい。例えば、容量素子を含む画素111として、画素200A、画素200B及び画素200Cのうちの少なくとも1種類が用いられ、容量素子を含まない画素111として、図2(d)に示される画素200Dが用いられてもよい。容量素子を含む画素111は周期的に分布してもよい。例えば、4列ごと且つ4行ごとに画素200Aが配置され、他の画素に画素200Dが配置されてもよい。これにより、全ての画素が容量素子を含む場合と比較して、固体撮像装置100の開口率が向上しうる。画素200Aと画素200Dとで開口率が異なる場合には、画素の感度を調整してもよい。例えば、MOSトランジスタ202の増幅率を調整することで、開口率の差を調整してもよい。このほか、図2の各レイアウトではA/D変換器204とメモリ205とがともに第1電源線と第1接地線とに接続されているが、これらを分離してもよい。例えば、メモリ205を第3電源線(不図示)と第3接地線(不図示)とに接続されるように構成することで、A/D変換器204の動作による影響を受けにくくすることが考えられる。さらに、メモリ205を第2電源線208と第2接地線209とに接続する構成でもよい。メモリ205はデジタル動作をするものの、ビット数が少ない場合には、メモリ205の動作による電源の変動はA/D変換器204よりも小さくなることがある。そのため、画素内の配線数が増加することを抑制しつつ、A/D変換器204の動作による電源変動の影響を小さくすることができる。
【0018】
さらに、複数の画素111で1つのA/D変換器204を共有してもよい。この場合もそれぞれの画素111がA/D変換器204を有することになり、当該画素111で得られたアナログ信号が、共有されるA/D変換器204でデジタルデータに変換される。また、1つの容量素子が複数の画素にまたがって配置されてもよい。すなわち、1つの画素が容量素子の一部分を有し、他の画素が容量素子の別の部分を有してもよい。例えば、容量素子の第1電極及び第2電極の両方が複数の画素にまたがって配置されてもよいし、第1電極が1つの画素に配置され、第2電極が別の画素に配置されてもよいし、これらが組み合わされてもよい。
【0019】
続いて、図3を参照しながら容量素子210の構成例を説明する。以下では容量素子210の構成を例として説明するが、容量素子211も同様の構成であってもよい。画素111に含まれる他の回路素子(光電変換素子201など)は既存の構成を用いればよいので説明を省略する。固体撮像装置100は、例えば、第1導電型の半導体部材(不図示)の上に第1導電型の半導体層300をエピタキシャル成長させた基板に形成されうる。ここでは、第1導電型をN型、第2導電型をP型として説明するが、第1導電型をP型、第2導電型をN型とすることもできる。各固体撮像装置100の回路素子は、素子分離部302によって相互に分離される。
【0020】
図3(a)に示される構成例では、容量素子210は、第1電源線206に接続される不純物領域303(第1電極)と、第1接地線207に接続されるポリシリコン電極305(第2電極)と、それらの間に配置された酸化膜304とによって構成されうる。第1導電型の半導体層300に形成された第2導電型の不純物領域(ウェル)301に、第1導電型の不純物領域303が形成されうる。不純物領域303の上に、例えばゲート酸化膜の形成工程において、酸化膜304が形成される。酸化膜304の上に、例えばゲート電極の形成工程において、ポリシリコン電極305が形成される。不純物領域301にコンタクト領域306を介して第1接地線207が接続されてもよい。図3(a)の構成において、ポリシリコン電極305の代わりに、金属層を用いてもよい。また、不純物領域303の代わりに、ポリシリコン電極を用いてもよいし、金属層を用いてもよい。この場合には、不純物領域303の代わりに用いるポリシリコン電極や金属層は、例えば素子分離部302の上に形成される。
【0021】
図3(b)に示される構成例では、容量素子210は、第2導電型の半導体層(ウェル)301と第1導電型の不純物領域307とのPN接合によって構成されうる。第2導電型の半導体層(ウェル)301は、第2導電型のコンタクト領域308を介して第1接地線207に接続され、第1導電型の不純物領域307は、第1導電型のコンタクト領域309を介して第1電源線206に接続されている。PN接合には逆バイアスが印加され、これによりPN接合が容量素子210として機能する。
【0022】
図4を参照しながら画素200Aのレイアウト例を説明する。以下では画素200Aを例として説明するが、画素200B、画素200Cについても同様のレイアウトを有してもよい。図4(a)のレイアウト例では、光電変換素子201の3辺を囲うように容量素子210が配置され、光電変換素子201の残りの1辺にMOSトランジスタ202、A/D変換器204およびメモリ205が配置される。図4(b)のレイアウト例では、容量素子210、MOSトランジスタ202、A/D変換器204およびメモリ205が画素200Aの左隅に配置される。図4(c)のレイアウト例では、容量素子210、MOSトランジスタ202、A/D変換器204およびメモリ205が画素200Aの左辺の中ごろに配置される。ここで例示したレイアウトは画素アレイにおいてどのような向きに配置してもよく、例えば全ての画素を並進対称に配置することで、画素同士の対称性を向上させることができる。
【0023】
上述のレイアウト例では画素200Aの全ての回路素子が基板の同一の面に配置されたが、一部の回路素子が反対側の面に配置されてもよい。例えば、光電変換素子201及びMOSトランジスタ202が基板の第1面に配置され、A/D変換器204、メモリ205及び容量素子210が基板の第2面に配置されてもよい。これにより、画素200Aに容量素子210を配置したとしても、光電変換素子201の面積を圧迫することはない。また、光電変換素子201及びMOSトランジスタ202を第1基板に形成し、A/D変換器204、メモリ205及び容量素子210を第2基板に形成してから、第1基板と第2基板とを貼り合わせて固体撮像装置100を製造してもよい。この場合も容量素子210による光電変換素子201の面積の圧迫を防止できる。
【0024】
図5は本発明に係る固体撮像装置をX線診断システム(放射線撮像システム)応用した例を示した図である。放射線撮像システムは、放射線撮像装置6040と、放射線撮像装置6040から出力される信号を処理するイメージプロセッサ6070とを備える。放射線撮像装置6040は、放射線を撮像する装置として前述の固体撮像装置100を構成したものである。X線チューブ(放射線源)6050で発生したX線6060は患者あるいは被験者6061の胸部6062を透過し、放射線撮像装置6040に入射する。この入射したX線には被験者6061の体内部の情報が含まれている。イメージプロセッサ(プロセッサ)6070は、放射線撮像装置6040から出力される信号(画像)を処理し、例えば、処理によって得られた信号に基づいて制御室のディスプレイ6080に画像を表示させることができる。
【0025】
また、イメージプロセッサ6070は、処理によって得られた信号を、伝送路6090を介して遠隔地へ転送することができる。これにより、別の場所のドクタールームなどに配置されたディスプレイ6081に画像を表示させたり、光ディスク等の記録媒体に画像を記録したりすることができる。記録媒体は、フィルム6110であってもよく、この場合、フィルムプロセッサ6100がフィルム6110に画像を記録する。
【0026】
本発明に係る固体撮像装置は、可視光の像を撮像する撮像システムに応用することもできる。そのような撮像システムは、例えば、固体撮像装置100と、固体撮像装置100から出力される信号を処理するプロセッサとを備えうる。該プロセッサによる処理は、例えば、画像の形式を変換する処理、画像を圧縮する処理、画像のサイズを変更する処理および画像のコントラストを変更する処理の少なくとも1つを含みうる。
【符号の説明】
【0027】
100 固体撮像装置、111 画素、112 列信号線、120 選択回路、130 メモリ、140 出力部
図1
図2
図3
図4
図5