特許第6243979号(P6243979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243979超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6243979
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-172996(P2016-172996)
(22)【出願日】2016年9月5日
【審査請求日】2016年9月5日
(31)【優先権主張番号】15/215,813
(32)【優先日】2016年7月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516267647
【氏名又は名称】アムキャッド・バイオメッド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】AmCad Biomed Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】チェン・アルゴン
(72)【発明者】
【氏名】リー・イリィ
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ユー−ルン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン・クオ−チェン
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2007/100107(JP,A1)
【文献】 特開2006−320497(JP,A)
【文献】 国際公開第03/022152(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19936544(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブを含む超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置であって、ハウジングと、ホルダーと、伝導性ゲルを搬送するためのダクトと、制御手段を含み、
前記ハウジングが本体とハンドルと収容空間を含み、前記本体が第1端から第2端へと第1軸に沿って延伸され、
前記ホルダーが前記超音波プローブを保持することができ、かつ超音波プローブを内部に保持して、前記収容空間内で前記第1軸に沿って摺動することができるよう構成され、
前記ダクトが前記本体の第1端に開口を備え、
前記制御手段が前記ダクトの開口からの伝導性ゲルの供給を制御することができるよう構成され、
前記制御手段がさらに、前記第1軸に沿った前記ホルダーの移動を制御できるよう構成された、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記超音波イメージングシステムがさらに、超音波機械、スマートフォン、PDA(個人情報端末)、タブレットコンピューター、ノートブックコンピューター、パーソナルコンピューターで構成される群より選択されたマスターデバイスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マスターデバイスと通信できる通信モジュールを含むことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記超音波プローブが一体型ハンドヘルド超音波スキャナーであり、前記マスターデバイスが、スマートフォン、PDA(個人情報端末)、タブレットコンピューター、ノートブックコンピューター、パーソナルコンピューターで構成される群より選択されたデバイスであることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
さらに前記ハウジングの上に設置されたディスプレイを含み、前記ディスプレイが前記ハウジングの上に取り外し可能に、または固定して設置されたことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記スマートフォン、PDA(個人情報端末)、またはタブレットコンピューター向けに、前記ハウジングの上に形成されたドックを含むことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
さらに前記ダクトに接続された伝導性ゲル源を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記伝導性ゲル源が前記ハンドルの内部に形成されたことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記伝導性ゲル源が、前記伝導性ゲルを含む取り外し可能な容器であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ホルダーが、前記超音波プローブの先端が前記本体の前記第1端から露出された第1位置に前記超音波プローブを保持し、前記超音波プローブが、前記第1軸に沿って、前記本体の前記第2端に向かい、その先端が前記収容空間に後退した第2位置へと前記ホルダーにより移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ホルダーの前記第1軸に沿った移動が、前記制御手段により制御されるよう構成されたことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記超音波プローブが前記第2位置にあるとき、前記超音波プローブの先端に前記伝導性ゲルを供給することができる位置に前記ダクトの開口が形成されたことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記制御手段が、前記ホルダーを前記第1軸に沿って移動させると同時に、前記ダクトを介して前記超音波プローブの先端に前記伝導性ゲルを供給できるよう構成されたことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記伝導性ゲルが前記超音波プローブの先端に加えられた後、前記超音波プローブがその第1位置に自動的に戻るように、前記制御手段が前記ホルダーを前記第1軸に沿って前記本体の第1端に向かって自動的に移動させるよう構成されたことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
キットであって、
請求項1に記載の装置と、
前記装置に用いる座体と、
を含むことを特徴とする、キット。
【請求項16】
前記装置がさらにバッテリーを含み、前記座体が充電座体であることを特徴とする、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
キットであって、
請求項3に記載の装置、を含み、
マスターデバイスは、コンソールと、
通信モジュールからの信号を受信する受信機と、前記コンソールの物理ボタンを押すためのアクチュエータを含む中間器具と、
を含む超音波機械であることを特徴とする、キット。
【請求項18】
前記装置がさらにバッテリーを含むことを特徴とする、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記アクチュエータが、電磁石、電動機、圧電素子、バルブ、圧力コントローラ、およびそれらの組み合わせで構成される群より選択されることを特徴とする、請求項17に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置に関し、超音波プローブを含み、特に、超音波プローブを備えたハンドヘルド装置であって、超音波スキャンプロセス中にプローブ先端に伝導性ゲルを便利に塗布することができる、超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置に関する。本発明はまた、前記装置を含むキットも開示する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5738099号において、携帯型超音波診断装置が開示されており、これはピストル型ハウジングと、前記ピストル型ハウジングの一部に取り付けられた超音波診断結果表示用のLCDを備えている。
【0003】
中国実用新案登録第201182611Y号は超音波ガイド手術と麻酔用のハンドヘルドモニタリング装置を開示しており、これは超音波プローブとハンドル部を含み、前記超音波プローブが前記ハンドル部の前端部に配置されている。このモニタリング装置は、ハンドル部の後端部にディスプレイが構成されていることが特徴である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5738099号明細書
【特許文献2】中国実用新案登録第201182611Y号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、一態様において、超音波プローブを含む超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波プローブを含む超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置は、ハウジングと、ホルダーと、伝導性ゲルを搬送するためのダクトと、制御手段を含む。
【0007】
前記ハウジングは、本体と、ハンドルを含む。前記本体は、第1端から第2端までの第1軸に沿って延伸される。さらに、前記本体は前記超音波プローブと前記ホルダーを収容するための収容空間を備える。
【0008】
前記ホルダーは、前記超音波プローブを保持することができ、かつハンドヘルド超音波プローブを内部に保持して、前記収容空間内で前記第1軸に沿って摺動することができる。
【0009】
前記伝導性ゲルを搬送するためのダクトは、前記ハウジングの前記第1端に開口または出口を備えている。
【0010】
前記制御手段は、前記ダクトの前記開口または出口からの前記伝導性ゲルの供給を制御することができる。
【0011】
本発明の特定の実施態様において、前記超音波イメージングシステムはさらに、マスターデバイスを含むことができる。本発明の一実施態様によれば、前記装置はさらに、前記マスターデバイスと通信するための通信モジュールを含む。
【0012】
本発明の特定の実施態様において、前記超音波プローブは一体型携帯用超音波スキャナーとしてもよい。そのような実施態様において、前記マスターデバイスは、スマートフォン、PDA(個人情報端末)、タブレットコンピューター、ノートブックコンピューター、パーソナルコンピューターで構成される群より選択したデバイスとすることができる。
【0013】
本発明の特定の一実施態様によれば、前記装置はさらに、前記ハウジングの上に構成された調整可能なディスプレイを含む。前記調整可能なディスプレイは、ハウジングの上に取り外し可能に、または固定して設置することができる。
【0014】
本発明の特定の好ましい実施態様において、前記制御手段はさらに、前記収容空間内における前記第1軸に沿った前記ホルダーの移動を制御することができる。
【0015】
本発明によれば、前記装置はさらに、前記ダクトに接続された伝導性ゲル源を含む。
【0016】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記ホルダーは通常、超音波スキャンを実行するために前記超音波プローブの先端が前記本体の前記第1端から露出された第1位置に前記超音波プローブを保持する。さらに、前記超音波プローブは、前記第1軸に沿って、前記本体の前記第2端に向かい、その先端が前記収容空間に後退した第2位置へと前記ホルダーにより移動させることができる。一実施態様において、前記ホルダーの前記第1軸に沿った移動は、前記制御手段により制御される。
【0017】
本発明によれば、前記ダクトの開口は、前記超音波プローブが前記第2位置にあるとき、前記超音波プローブの先端に前記伝導性ゲルを供給することができる位置に構成することができる。
【0018】
好ましくは、前記制御手段は、前記ホルダーを前記第1軸に沿って移動させると同時に、前記ダクトを介して前記超音波プローブの先端に前記伝導性ゲルを供給することができる。
【0019】
好ましくは、前記伝導性ゲルが前記超音波プローブの先端に加えられた後、前記超音波プローブがその第1位置に自動的に戻るように、前記制御手段が前記ホルダーを前記第1軸に沿って前記本体の第1端に向かって自動的に移動させる。
【0020】
別の一態様において、本発明は上述の装置と、前記装置用の座体を含むキットを提供する。
【0021】
本発明の特定の実施態様によれば、前記装置はさらに、バッテリーを含み、前記座体は充電座体である。
【0022】
さらに別の一態様において、本発明は上述の通信モジュールを備えた装置と、中間器具である中間装置を含むキットを提供する。前記キットは、マスターデバイスが物理ボタンを備えたコンソールまたは制御パネルを含む超音波機械である超音波装置であり、従来の超音波イメージングシステムと組み合わせて使用するために設計されている。前記中間装置は、前記通信モジュールからの信号を受信する受信機と、前記コンソールまたは制御パネルの物理ボタンを押すためのアクチュエータを含む。
【0023】
好ましくは、前記装置がさらにバッテリーを含む。本発明によれば、前記アクチュエータは、電磁石、電動機、圧電素子、バルブ、圧力コントローラ、およびそれらの組み合わせで構成される群より選択することができる。
【0024】
前述およびその他の態様は、以下の好ましい実施例の説明と、添付の図面を組み合わせることでより明白になるであろう。ただし、本発明の新規的概念の要旨と範囲を逸脱せずに、変化や変更を加えることも可能であろう。
【0025】
本発明の前述の概要、および以下の詳細な説明は、添付の図面を参照しながら読むことでより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施態様による装置の概略図である。
図2A】本発明の一実施態様によるホルダーとハンドヘルド超音波プローブ間の関係を示す立体図である。
図2B】本発明の一実施態様によるホルダーとハンドヘルド超音波プローブ間の関係を示す立体図である。
図2C】本発明の一実施態様による装置のハウジングの本体に、ハンドヘルド超音波プローブを内部に備えたホルダーがどのように設置されるかを示す立体図である。
図3】本発明の一実施態様による伝導性ゲルを搬送するためのダクトと制御手段を示す立体図である。
図4A】本発明の一実施態様による装置のハンドヘルド超音波プローブの第1位置と第2位置間の移動を示す概略図である。
図4B】本発明の一実施態様による装置のハンドヘルド超音波プローブの第1位置と第2位置間の移動を示す概略図である。
図4C】本発明の一実施態様による装置のハンドヘルド超音波プローブの第1位置と第2位置間の移動を示す概略図である。
図4D】本発明の一実施態様による装置のハンドヘルド超音波プローブの第1位置と第2位置間の移動を示す概略図である。
図5A】本発明の一実施態様による装置の立体斜視図である。
図5B】本発明の一実施態様による装置の別の立体斜視図である。
図6】本発明の一実施態様によるキットの側面図である。
図7】本発明の一実施態様によるキットと従来の超音波イメージングシステムを組み合わせて使用する状態を示す立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
別途定義されている場合を除き、ここで使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。
【0028】
ここで使用される単数形の「1つ」、「一」、「その」などは、文脈上明確に記載されていない限り、複数形の意味を含む。したがって、例えば、「1つの試料」には、複数のそのような試料および当業者の知るところである同等物が含まれる。
【0029】
一態様において、本発明は、超音波プローブを含む超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置を提供する。本発明の装置は、ハウジングと、ホルダーと、伝導性ゲルを搬送するためのダクトと、制御手段を含む。前記ハウジングは、本体と、ハンドルを含む。前記本体は第1端から第2端への第1軸に沿って延伸され、かつ前記本体は前記超音波プローブと前記ホルダーを収容するための収容空間を備えている。前記ホルダーは前記超音波プローブを保持することができる。さらに、前記ホルダーは前記ハンドヘルド超音波プローブを内部に保持して、前記収容空間内で前記第1軸に沿って摺動することができる。前記伝導性ゲルを搬送するためのダクトは、前記本体の前記第1端に開口または出口を備えている。前記制御手段は、前記ダクトの前記開口または出口からの前記伝導性ゲルの供給を制御することができる。
【0030】
本発明の装置はハンドヘルド装置である。つまり、前記ハウジングのハンドルは人が手で握ることができる。本発明の一実施態様において、前記ハンドルは前記本体の第2端に連接される。好ましくは、前記ハンドルは前記本体に枢着され、調整および(前記本体に枢着された点で回動させることで)折りたたみ可能である。
【0031】
本発明によれば、前記ホルダーは好ましくは前記装置から取り外し可能な部材として構成される。これは、さまざまなモデルのハンドヘルド超音波プローブに適合するようにするためであり、対応するさまざまなモデルのホルダーがあってもよい。ハンドヘルド超音波プローブに応じて、使用者はハンドヘルド超音波プローブを保持するために適切な、または適合するホルダーを選択して、前記プローブとともに前記ホルダーを前記ハウジングの本体の収容空間内に設置することができる。本発明の特定の実施態様において、前記ホルダーは前記ハンドヘルド超音波プローブのケーシングの形態である。一実施態様において、前記ホルダーは上部ケーシングと下部ケーシングを含み、両者が相互に結合されて前記ハンドヘルド超音波プローブを被覆し、保持するケーシングを形成する。さらに、前記ケーシングは前記収容空間内に形成された(凹陥した)窪み内にフィットする外形を備え、前記ホルダーを前記収容空間内で前記本体の第1軸に沿って摺動させることができる。本発明の別の一実施態様において、前記摺動を可能にするために前記ホルダーは前記収容空間内に形成されたレールに回動可能に結合されたホイールに連結される。
【0032】
本発明によれば、前記装置はさらに、前記ダクトに接続された伝導性ゲル源を含む。本発明の特定の実施態様において、前記伝導性ゲル源は前記ハンドルの内部に形成される。好ましくは、前記伝導性ゲル源は伝導性ゲルを含む取り外し可能な容器である。より具体的には、収容空間が前記ハンドル内に形成され、前記取り外し可能な容器を収容することができる。
【0033】
本発明によれば、前記制御手段は前記ハウジングの上に形成されたボタンと、伝導性ゲルのポンプを含むことができる。本発明の特定の実施態様において、前記ボタンは前記ハウジングの上に摺動可能に設置され、前記ポンプは圧縮ポンプである。前記圧縮ポンプは前記伝導性ゲル源に連結することができる。前記ボタンは前記圧縮ポンプのピストンを押すことができる。前記ボタンを押すことで、圧縮ポンプが前記伝導性ゲル源から一定量の伝導性ゲルをダクトへと送り出し、それにより一定量の伝導性ゲルが前記ダクトの開口または出口から吐出される。好ましくは、前記圧縮ポンプはピストンとボタンを付勢して元の位置に戻すためのばねを含む。または、前記ポンプは前記ボタンを介して制御される電子制御式ポンプとしてもよい。
【0034】
本発明の特定の実施態様において、前記超音波イメージングシステムはさらに、マスターデバイスを含むことができる。本発明の一実施態様によれば、前記装置はさらに、前記マスターデバイスと通信するための通信モジュールを含む。
【0035】
従来の超音波イメージングシステムにおいて、前記マスターデバイスは物理ボタンを備えたコンソールまたは制御パネルを含む所謂「超音波機械」である。そのような従来の超音波イメージングシステムの例には、GE社製のLOGIQ E9 XDclear 2.0超音波システム、Philips社製のIE33超音波装置、Siemens社製のAcuson X150超音波装置などがある。
【0036】
本発明の別の実施態様において、前記超音波プローブは一体型携帯用超音波スキャナーとしてもよい。例えば、Philips社製のLumify C5-2広帯域カーブアレイトランスデューサー、SonoStar社製のポータブルBスキャナー、Clarius社製のL7リニアアレイ超音波スキャナーなどがある。そのような実施態様において、前記マスターデバイスは、スマートフォン、PDA(個人情報端末)、タブレットコンピューター、ノートブックコンピューター、パーソナルコンピューターで構成される群より選択したデバイスとすることができる。
【0037】
選択的に、前記本体はさらにその第2端に形成された後部開口を含む。前記後部開口は前記超音波プローブのワイヤを通すために用いることができる。
【0038】
本発明の特定の実施態様によれば、前記装置はさらに、前記マスターデバイスと通信するための通信モジュールを含む。前記通信モジュールは有線または無線により前記マスターデバイスと通信することができる。前記通信モジュールは、少なくとも一部が、前記マスターデバイスに特定の制御信号を送信する、および/または前記マスターデバイスからディスプレイに表示するためのイメージデータを受信するために機能する。前記通信モジュールは超音波イメージングの機能制御のための1つ以上の押しボタンを含むことができる。例えば、前記押しボタンは異なるイメージングモード(例:Bモード、USモード、ドップラーモードなど)間を切り替える、および/または前記マスターデバイスのイメージフリージングやイメージ記録機能を有効/無効にするために使用できる。
【0039】
本発明の特定の一実施態様によれば、前記装置はさらに、前記ハウジングの上に構成された調整可能なディスプレイを含む。前記調整可能なディスプレイは、ハウジングの上に取り外し可能に、または固定して設置することができる。前記調整可能なディスプレイは、スキャンを実行中に医療スタッフが超音波イメージを便利に観察することを可能にする。前記調整可能なディスプレイは、保管または観察の利便性のため、前記ハウジングの本体に向かって折りたたむことができるという意味で調整可能とすることができる。
【0040】
前記超音波プローブが一体型携帯用超音波スキャナーである場合、本発明の前記装置はさらに、ディスプレイとして作用するスマートフォン、PDA(個人情報端末)、またはタブレットコンピューター向けに、前記ハウジングの上に形成されたドックを含んでもよい。前記ドックは、使用者がスマートフォン、PDA(個人情報端末)、またはタブレットコンピューターの画面角度を調整できるという意味で調整可能とすることができる。
【0041】
本発明の特定の好ましい実施態様において、前記制御手段はさらに、前記収容空間内における前記第1軸に沿った前記ホルダーの移動を制御することができる。
【0042】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記ホルダーは通常、超音波スキャンを実行するために前記超音波プローブの先端が前記本体の前記第1端から露出された第1位置に前記超音波プローブを保持する。さらに、前記超音波プローブは、前記第1軸に沿って、前記本体の前記第2端に向かい、その先端が前記収容空間に後退した第2位置へと前記ホルダーにより移動させることができる。一実施態様において、前記ホルダーの前記第1軸に沿った移動は、前記制御手段により制御される。
【0043】
本発明によれば、前記ダクトの開口は、前記超音波プローブが前記第2位置にあるとき、前記超音波プローブの先端に前記伝導性ゲルを供給することができる位置に構成することができる。
【0044】
好ましくは、前記制御手段は、前記ホルダーを前記第1軸に沿って移動させると同時に、前記ダクトを介して前記超音波プローブの先端に前記伝導性ゲルを供給することができる。
【0045】
好ましくは、前記伝導性ゲルが前記超音波プローブの先端に加えられた後、前記超音波プローブがその第1位置に自動的に戻るように、前記制御手段が前記ホルダーを前記第1軸に沿って前記本体の第1端に向かって自動的に移動させる。
【0046】
上述したように、ゲルの供給のために、前記制御手段は前記ハウジングの上に摺動可能に設置されたボタンと、伝導性ゲルの圧縮ポンプを含むことができる。本発明の好ましい実施態様によれば、前記ボタンは、前記ボタンを押すことにより、前記超音波プローブを内部に保持する前記ホルダーが前記本体の第2端に向かって前記第1軸に沿って移動できるように、前記ホルダーに機械的に結合される。したがって、前記制御手段のボタンは、前記ホルダーを前記第1軸に沿って移動させると同時に、前記ダクトを介して前記超音波プローブの先端に前記伝導性ゲルを供給するために使用することができる。さらに、前記制御手段は、前記ホルダーと前記本体の間に設置されたばねを含むことができ、前記ばねは、前記伝導性ゲルが前記超音波プローブの先端に加えられた後、前記ボタンが解放されると、前記ホルダーが前記本体の第1端に向かって前記第1軸に沿って自動的に移動され、前記超音波プローブがその第1位置に戻るように配置される。
【0047】
別の一態様において、本発明は上述の装置と、前記装置用の座体を含むキットを提供する。
【0048】
本発明の特定の実施態様によれば、前記装置はさらに、バッテリーを含み、前記座体は充電座体である。
【0049】
さらに別の一態様において、本発明は上述の通信モジュールを備えた装置と、中間装置を含むキットを提供する。前記キットは、マスターデバイスが物理ボタンを備えたコンソールまたは制御パネルを含む超音波装置である、従来の超音波イメージングシステムと組み合わせて使用するために設計されている。前記中間装置は、前記通信モジュールからの信号を受信する受信機と、前記コンソールまたは制御パネルの物理ボタンを押すためのアクチュエータを含む。例えば、前記物理ボタンは、異なるイメージングモード(例:Bモード、USモード、ドップラーモードなど)間を切り替える、および/または前記マスターデバイスのイメージフリージングやイメージ記録機能を有効/無効にするために使用できる。
【0050】
好ましくは、前記装置がさらにバッテリーを含む。本発明によれば、前記アクチュエータは、電磁石、電動機、圧電素子、バルブ、圧力コントローラ、およびそれらの組み合わせで構成される群より選択することができる。
【0051】
以下、本発明の好ましい実施態様をいくつか説明する。
【0052】
図1から図4に、超音波プローブ80を含み、ハウジング10、ホルダー20、伝導性ゲルを搬送するためのダクト30、制御手段40で構成される、超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置を示す。前記ハウジング10は、本体12とハンドル14を含み、そのうち、前記本体12は第1端124から第2端126へと第1軸122に沿って延伸され、かつ前記本体12は収容空間16を備えている。前記ハンドル14は前記本体12の第2端126に連結される。前記ホルダー20は、前記超音波プローブ80を保持することができ、かつハンドヘルド超音波プローブ80を内部に保持して、前記収容空間16内で前記第1軸122に沿って摺動することができる。前記ダクト30は、前記本体12の第1端124に開口32を備えている。前記制御手段40は、前記ダクト30の前記開口32からの前記伝導性ゲルの供給を制御することができる。
【0053】
図2A図2Bに示すように、前記ホルダー20は前記装置から取り外すことができる部材である。さらに、前記ホルダーは上部ケーシング20aと下部ケーシング20bを含み、両者が相互に結合されて前記ハンドヘルド超音波プローブ80を被覆し、保持するケーシングを形成する。さらに、前記ケーシングは前記収容空間16内に形成された凹陥窪み162内にフィットする外形を備え、前記ホルダー20を前記収容空間16内で前記本体12の第1軸122に沿って摺動させることができる。使用者は前記超音波プローブ80を間に挟んで前記上部ケーシング20aと前記下部ケーシング20bを結合し、前記ホルダー20を前記超音波プローブ80とともに前記ハウジング10の本体12内に設置することができる。前記本体12は設置を容易にするために開くことができる開閉可能なカバー12aを含んでもよい。
【0054】
図3に示すように、前記ダクト30はさらに、伝導性ゲルを平均的に供給できる分散ヘッド31を備えている。前記分散ヘッド31上に弧形開口32を形成することができる。一方で、前記制御手段40は前記ハウジング10上に摺動可能に設置されたボタン42と、伝導性ゲル源50に連結された伝導性ゲルの圧縮ポンプ44を含む。前記ボタン42は前記圧縮ポンプ44のピストン442を押すことができる。前記ボタン42を押すことで、圧縮ポンプ44が前記伝導性ゲル源50から一定量の伝導性ゲルをダクト30へと送り出し、それにより一定量の伝導性ゲルが前記開口32から吐出される。前記圧縮ポンプはピストン442とボタン42を付勢して元の位置に戻すためのばね(図示しない)を含むことができる。
【0055】
図3図4A図4Dに示すように、前記ホルダー20は通常、超音波スキャンを実行するために前記超音波プローブ80の先端が前記本体12の前記第1端124から露出された第1位置P1に前記超音波プローブ80を保持する。前記超音波プローブ80は、前記第1軸122に沿って、前記本体12の前記第2端126に向かい、その先端が前記収容空間16に後退した第2位置P2へと前記ホルダー20により移動させることができる。前記第1軸122に沿った前記ホルダー20の移動は、前記制御手段40の前記ボタン42により制御される。前記ボタン42は、前記ボタン42を押すことにより、前記超音波プローブ80を内部に保持する前記ホルダー20が前記本体12の第2端126に向かって前記第1軸122に沿って移動できるように、前記ホルダー20に機械的に結合される。したがって、前記制御手段40のボタン42は、前記ホルダー20を前記第1軸122に沿って移動させると同時に、前記ダクト30を介して前記超音波プローブ80の先端に前記伝導性ゲルを供給するために使用することができる。さらに、前記制御手段は、前記ホルダー20と前記本体12の間に設置されたばね46を含み、前記ばね46は、前記伝導性ゲルが前記超音波プローブ80の先端に加えられた後、前記ボタン42が解放されると、前記ホルダー20が前記本体12の第1端124に向かって前記第1軸122に沿って自動的に移動され、前記超音波プローブ80がその第1位置P1に戻るように配置される。前記本体12はさらにその第2端126に形成された後部開口18を含んでもよい。前記後部開口18は前記超音波プローブ80のワイヤ82を通すために用いることができる。
【0056】
図4Bに示すように、前記ダクト30の開口32は、前記超音波プローブ80が前記第2位置P2にあるとき、前記超音波プローブ80の先端に前記伝導性ゲルを供給することができる位置に構成することができる。
【0057】
図5Aに本発明の別の実施態様による装置を示す。本装置は前記ハウジング10上に設置された調整可能なディスプレイ65を含む。前記調整可能なディスプレイ65は、ハウジング10上に取り外し可能に、または固定して設置することができる。この実施例において、前記伝導性ゲルは前記ハンドル14内に形成された透明容器(図示しない)に格納され、そこから供給される。前記ハンドル14はさらに観察窓142を備え、使用者が前記伝導性ゲルの残量をチェックすることができる。
【0058】
図5Bに本発明の別の実施態様による装置を示す。そのうち、前記超音波プローブは一体型携帯用超音波スキャナーである。前記装置はさらに前記ハウジング10上に設置されたドック60を含んでもよい。マスターデバイス90(本実施態様においてはスマートフォン)を前記ドック60上に設置することができる。前記マスターデバイス90は部分的にディスプレイとして作用してもよい。
【0059】
図6に本発明の装置100を含み、バッテリー(図示しない)と、前記装置用の充電座体200を備えたキットを示す。前記装置100を使用しないとき充電座体200上に置いて充電することができる。
【0060】
図7に通信モジュール(図示しない)を備え、1つ以上の押しボタン70と、中間器具である中間装置300を含む、本発明の装置100を含むキットを示す。このキットは、マスターデバイスが物理ボタン922を備えたコンソール92を有する超音波機械である超音波装置であり、従来の超音波イメージングシステム90と組み合わせて使用することができる。前記中間装置300は、前記通信モジュールからの信号を受信する受信機(図示しない)と、前記コンソール92の物理ボタン922を押すためのアクチュエータ310を含む。特定の押しボタン70を押すことで、前記通信モジュールが対応する信号を前記受信機に送信し、対応するアクチュエータ310を作動させ、そのアクチュエータ310が配置された前記物理ボタン922を押す。

【0061】
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、さらなる例示の必要なく、前述の説明に基づいて本発明を最大の範囲で利用することが可能であろう。したがって、前述の説明および請求項は、本発明の範囲をいかなる方法でも限定するためではなく、例示を目的としたものと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
10 ハウジング
12 本体
12a 開閉可能なカバー
14 ハンドル
16 収容空間
18 後部開口
20 ホルダー
20a 上部ケーシング
20b 下部ケーシング
30 ダクト
31 分散ヘッド
32 開口
40 制御手段
42 ボタン
44 圧縮ポンプ
46 ばね
50 伝導性ゲル源
60 ドック
65 調整可能なディスプレイ
70 押しボタン
80 超音波プローブ
82 ワイヤ
90 超音波イメージングシステム
90 マスターデバイス
92 コンソール
100 装置
124 第1端
122 第1軸
126 第2端
142 観察窓
162 凹陥窪み
200 充電座体
300 中間装置
310 アクチュエータ
442 ピストン
922 物理ボタン
P1 第1位置
P2 第2位置
【要約】
【課題】超音波プローブを含む超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置の提供。
【解決手段】本発明の超音波プローブを含む超音波イメージングシステムと組み合わせて使用する装置は、ハウジングと、ホルダーと、伝導性ゲルを搬送するためのダクトと、制御手段を含み、前記ハウジングが本体とハンドルと収容空間を含み、前記本体が第1端から第2端へと第1軸に沿って延伸され、前記ホルダーが前記超音波プローブを保持することができ、かつハンドヘルド超音波プローブを内部に保持して、前記収容空間内で前記第1軸に沿って摺動することができ、前記ダクトが前記本体の第1端に開口を備え、前記制御手段が前記ダクトの開口からの伝導性ゲルの供給を制御することができる。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7