特許第6243983号(P6243983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社きもとの特許一覧

<>
  • 特許6243983-透明導電膜付き基材及びタッチパネル 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243983
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】透明導電膜付き基材及びタッチパネル
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20171127BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20171127BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20171127BHJP
   H01B 1/02 20060101ALI20171127BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20171127BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B32B27/00 D
   B32B27/18 J
   H01B5/14 A
   H01B1/02
   G06F3/044 122
   G06F3/041 495
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-184863(P2016-184863)
(22)【出願日】2016年9月21日
(62)【分割の表示】特願2013-556493(P2013-556493)の分割
【原出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2017-13512(P2017-13512A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-21440(P2012-21440)
(32)【優先日】2012年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000125978
【氏名又は名称】株式会社きもと
(74)【代理人】
【識別番号】100111419
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 輝弘
(72)【発明者】
【氏名】富澤 秀造
(72)【発明者】
【氏名】柴田 寛
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−198642(JP,A)
【文献】 特開2011−029098(JP,A)
【文献】 特開2011−029099(JP,A)
【文献】 特開2001−038858(JP,A)
【文献】 特開2001−084840(JP,A)
【文献】 特開2001−084839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 −43/00
G06F 3/033− 3/041
H01B 5/00 − 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマー層を介して、金属ナノワイヤを含む透明導電膜を透明基材に積層した透明導電膜付き基材において、前記プライマー層は、JIS K6768:1999で規定する表面のぬれ張力が30mN/m以上であり、かつ硬化型樹脂の硬化物とガラス転移温度が70℃以下の熱可塑性樹脂を含む樹脂分を含んで構成されていることを特徴とする透明導電膜付き基材。
【請求項2】
請求項1記載の透明導電膜付き基材において、前記樹脂分中での含有割合が、硬化型樹脂の硬化物:50重量%以上90重量%以下、熱可塑性樹脂:10重量%以上50重量%以下であることを特徴とする透明導電膜付き基材。
【請求項3】
請求項1又は2記載の透明導電膜付き基材において、前記プライマー層は、さらに、平均粒子径が3μm以上10μm以下の粒子を含んで構成されていることを特徴とする透明導電膜付き基材。
【請求項4】
請求項1〜の何れかに記載の透明導電膜付き基材において、前記樹脂分100重量部に対する含有量が、粒子:0.02重量部以上1重量部以下であることを特徴とする透明導電膜付き基材。
【請求項5】
請求項1〜の何れかに記載の透明導電膜付き基材において、前記プライマー層は、さらに、平均粒子径が1nm以上200nm以下の低屈折率微粒子を含んで構成されていることを特徴とする透明導電膜付き基材。
【請求項6】
請求項1〜の何れかに記載の透明導電膜付き基材において、透明基材とプライマー層との間に、プライマー層の屈折率より高い屈折率を持つ高屈折率層を有することを特徴とする透明導電膜付き基材。
【請求項7】
請求項記載の透明導電膜付き基材において、前記高屈折率層は、バインダー樹脂とともに、平均粒子径が1nm以上200nm以下で、屈折率が1.6以上の高屈折率微粒子を含んで構成されていることを特徴とする透明導電膜付き基材。
【請求項8】
請求項1〜の何れかに記載の透明導電膜付き基材を電極に用いて構成したタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種フラットパネルディスプレイ、タッチパネルなどの透明電極、帯電防止層、電磁波遮蔽層などに使用可能な透明導電膜付き基材と、該基材を電極に用いたタッチパネルとに関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜として、インジウムスズ酸化物(ITO)などの金属酸化物をスパッタリングして得られる金属酸化物膜や、導電性高分子からなる導電膜が広く知られている。
【0003】
しかしながら、金属酸化物膜は、屈曲などの物理的応力に対して脆弱で壊れやすい。従って物理的応力がかかることが前提の製品群への適用が困難である。また高い導電性を付与するためには蒸着やアニールの処理温度を高温とする必要がある。従ってプラスチック基板への適用が困難である。さらにポリカーボネートなどのプラスチック基板に対し接着し難い。従ってプラスチック基板上への適切な形成が困難である。
【0004】
導電性高分子からなる導電膜は、金属酸化物膜と比べると、透明性及び導電性に劣り、透過用途への適用が困難である。
【0005】
以上の問題を解決するものとして、金属ナノワイヤから形成された透明導電膜が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−505358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の透明導電膜は、膜中で金属ナノワイヤ同士が接触しあうことにより、金属酸化物膜と同等以上の高い導電性と透明性を示すとともに、金属酸化物膜の上記欠点を有さないものである。
【0008】
しかし、特許文献1の透明導電膜は、透明基材との初期の密着性は良好であっても、経時的に密着性が低下するという問題があった。
【0009】
本発明の一側面では、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜と透明基材の経時密着性に優れた透明導電膜付き基材と、該基材を電極に用いて構成したタッチパネルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、ぬれ張力が所定値以上のプライマー層を間に介在させると、金属ナノワイヤを含む透明導電膜の透明基材に対する経時密着性を高めることができることを見出し本発明を完成させた。これによりタッチパネルなどの電子機器の、安定した連続使用を実現することができる。
【0011】
本発明の透明導電膜付き基材は、JIS K6768:1999で規定する表面のぬれ張力が30mN/m以上のプライマー層を介して、金属ナノワイヤを含む透明導電膜を透明基材に積層したことを特徴とする。
本発明のタッチパネルは、本発明の透明導電膜付き基材を電極に用いて構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明は、以下の態様を含む。
(1)プライマー層を、硬化型樹脂の硬化物を含む樹脂分を含めて構成することができる。この場合、樹脂分の含有割合をプライマー層中の90重量%以上とすることができる。
(2)硬化型樹脂として、電離放射線硬化型樹脂を用いることができ、電離放射線硬化型樹脂として、電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂を用いることができる。
【0013】
(3)プライマー層中の樹脂分は、硬化型樹脂の硬化物とともに、さらに熱可塑性樹脂を含むことができる。この場合、樹脂分中の含有割合を、硬化型樹脂の硬化物:50重量%以上90重量%以下、熱可塑性樹脂:10重量%以上50重量%以下とすることができる。
(4)プライマー層を、樹脂分とともに、さらに粒子を含めて構成することもできる。この場合、平均粒子径が3μm以上10μm以下の粒子を用いることができる。また粒子の含有量を、樹脂分100重量部に対して、0.02重量部以上1重量部以下とすることができる。
【0014】
(5)プライマー層には、平均粒子径が1nm以上200nm以下の低屈折率微粒子を含めてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透明導電膜付き基材は、ぬれ張力が所定値以上のプライマー層を、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜と透明基材の間に介在させたので、透明導電膜と透明基材の初期接着性のみならず、経時密着性も良好にすることができる。
本発明のタッチパネルは、本発明の透明導電膜付き基材を電極に用いるので、安定した連続使用を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の透明導電膜付き基材の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の透明導電膜付き基材の一例を説明する。図1に示すように、本例の透明導電膜付き基材4は、プライマー層2を介して透明導電膜3を透明基材1に積層することにより構成されている。
【0018】
透明基材1としては、プラスチックフィルム(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリルなどの各種フィルム)やガラスなどが挙げられる。プラスチックフィルムの中では、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度や寸法安定性に優れる点で好ましい。透明基材1の厚みは用途によっても異なるが、一般には25〜500μm程度であり、好ましくは50〜200μmである。
【0019】
透明導電膜3は、少なくとも金属ナノワイヤを含んで構成されている。金属ナノワイヤとしては任意のものを用いることができ、その製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法などの公知の手段を用いることができる。Agナノワイヤの製造方法としては上記特許文献1、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報に記載された方法などが挙げられる。
【0020】
金属ナノワイヤを構成する金属としては、元素金属、合金、金属酸化物などが挙げられる。金属ナノワイヤの少なくとも一つの断面寸法は、透明性の観点から200nm以下であることが好ましく、導電性の観点から10nm以上であることが好ましい。また、金属ナノワイヤは、導電性の観点から、アスペクト比が10以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。
【0021】
透明導電膜3は、金属ナノワイヤとともに、該金属ナノワイヤを結着させる樹脂成分をさらに含んで構成されていることが好ましい。こうした樹脂成分としては、後述のプライマー層2の説明欄で例示する樹脂分を用いることができる。中でも、電離放射線硬化型樹脂の硬化物や熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0022】
透明導電膜3を形成する全固形分中の、金属ナノワイヤの含有割合は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であって、好ましくは90質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。なお透明導電膜3の屈折率は、通常1.45以上1.52以下程度とされる。
【0023】
透明基材1と透明導電膜3の間にプライマー層2を介在させてある。プライマー層2は、表面のぬれ張力(JIS K6768:1999)が30mN/m以上、好ましくは32mN/m以上に調整されている。表面のぬれ張力が30mN/m以上のプライマー層2を介して透明導電膜3を透明基材1と積層することにより、透明基材1と透明導電膜3の初期密着性とともに、経時密着性を高めることができることを本発明者らは見いだした。
【0024】
プライマー層2は、その殆どが樹脂分で構成されていることが好ましい。具体的には、プライマー層2中の樹脂分量は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。樹脂分量を少なくした場合、プライマー層2の塗膜強度をある程度高く維持した上でその表面ぬれ張力を30mN/m以上に調整することが難しい。これに対し、樹脂分量が90重量%以上となるようにプライマー層2を形成した場合、プライマー層2の表面ぬれ張力の調整が容易となる。
【0025】
なお、本例でいう樹脂分には、硬化型樹脂の硬化物や熱可塑性樹脂が含まれる。また本例でいう硬化物とは、硬化主剤としての硬化型樹脂とともに、該硬化型樹脂の硬化に必要な、重合開始剤や、重合促進剤(紫外線増感剤など)、硬化剤などの硬化助剤をも含む概念で用いる。
【0026】
プライマー層2を構成する樹脂分は、少なくとも硬化型樹脂の硬化物を含む。硬化型樹脂の硬化物を含めてプライマー層2を形成した場合、これを含まず熱可塑性樹脂のみでプライマー層2を形成する場合と比較して、表面のぬれ張力を所定値以上に調整しやすい。
【0027】
硬化型樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリレート系樹脂(ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂など)など、熱や電離放射線により硬化物(硬化膜)を形成することができる樹脂(熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂)が挙げられ、常温硬化型樹脂を用いることもできる。これらの中でも、透明基材1と透明導電膜3の経時密着性の向上が期待され、しかも表面硬度に優れた硬化物を形成しうる観点から、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。
【0028】
電離放射線硬化型樹脂としては、電離放射線(紫外線若しくは電子線)の照射により架橋硬化するものが用いられる。このようなものとしては、光カチオン重合可能な光カチオン重合性樹脂、光ラジカル重合可能な光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマーなどの1種又は2種以上を混合したものを使用することができる。
【0029】
光カチオン重合性樹脂としては、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂やビニルエーテル系樹脂などが挙げられる。
【0030】
光重合性プレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどの各種(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0031】
光重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー類、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド、(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)エチルなどの不飽和酸の置換アミノアルコールエステル類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリアクリレート(例えばトリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレートなど)、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテルなどの多官能性化合物、およびトリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレートなどの分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物などが挙げられる。
【0032】
電離放射線硬化型樹脂は、上述した光カチオン重合性樹脂、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマーの他、紫外線照射によって硬化させる場合には、光重合開始剤や紫外線増感剤などの硬化助剤を含有させることが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類などの光ラジカル重合開始剤や、オニウム塩類、スルホン酸エステル、有機金属錯体などの光カチオン重合開始剤が挙げられる。紫外線増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィンなどが挙げられる。
【0033】
また透明基材1と透明導電膜3の経時密着性をより一層高める観点で、電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂を使用することが特に好ましい。電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂(以下単に「有機無機ハイブリッド樹脂」と略記することもある。)とは、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で代表される昔からの複合体と異なり、有機物と無機物の混ざり方が緊密であり、また分散状態が分子レベルかそれに近いもので、電離放射線の照射により、無機成分と有機成分とが反応して、被膜を形成することができるものである。
【0034】
有機無機ハイブリッド樹脂中の無機成分としては、シリカ、チタニア等の金属酸化物が挙げられるが、好ましくはシリカである。
【0035】
シリカとしては、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカが挙げられる。例えば、母体となる粉体状シリカあるいはコロイダルシリカに対し、分子中に下記一般式(1)および(2)で表わされる基、加水分解性シリル基、および重合性不飽和基の4つの基を有する化合物が、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリルオキシ基を介して化学的に結合しているものを用いることができる。
【0036】
【化1】
【0037】
(式中、XはNH、酸素原子及び硫黄原子から選ばれ、Yは酸素原子及び硫黄原子から選ばれる。但し、Xが酸素原子のときYは硫黄原子である。)
【0038】
【化2】
【0039】
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等があげられる。重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
【0040】
反応性シリカとして、平均粒子径が、好ましくは1nm以上であって、好ましくは100nm以下、より好ましくは10nm以下のものを用いる。平均粒子径が所定範囲の反応性シリカを使用することによって、プライマー層2とした時の透明性を維持しやすくなる。
【0041】
有機無機ハイブリッド樹脂中での無機成分の含有率は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%であって、好ましくは65重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。無機成分の含有率を10重量%以上とすることにより、透明基材1と透明導電膜3の密着性を良好にしやすくすることができる。また65重量%以下とすることにより、プライマー層2とした時の透明性を維持しやすくなる。
【0042】
有機無機ハイブリッド樹脂中の有機成分としては、前記無機成分(好ましくは反応性シリカ)と重合可能な重合性不飽和基を有する化合物(例えば、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、または分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等)が挙げられる。
【0043】
多価不飽和有機化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
プライマー層2を構成する樹脂分は、硬化型樹脂の硬化物とともに、さらに熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。プライマー層2を構成する樹脂分中に熱可塑性樹脂を含めることで、透明基材1と透明導電膜3の経時密着性を、硬化型樹脂の硬化物のみでプライマー層2を形成した場合よりもさらに良好なものとすることができる。
熱可塑性樹脂としては、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、透明基材1と透明導電膜3の経時密着性をより良好にする観点から、ガラス転移温度が70℃以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0046】
プライマー層2を構成する樹脂分を、電離放射線硬化型樹脂の硬化物と熱可塑性樹脂で形成する場合、両者の重量比を、好ましくは前者が50重量%以上90重量%以下、後者が10重量%以上50重量%以下とし、より好ましくは前者が60重量%以上80重量%以下、後者が20重量%以上40重量%以下とする。このような重量比とすることにより、経時密着性を良好にしやすくできるとともに、プライマー層2の強度が必要以上に低下することを防止することができる。
【0047】
プライマー層2を構成する樹脂分は、親水基を有する樹脂のみで構成してもよく、また親水基を有さない樹脂と親水基を有する樹脂の混合物で構成してもよい。またこれらに、親水基を表面に有する粒子を混合したもので構成してもよい。なお、ここでいう親水基としては、例えばポリアルキレンオキシド、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホニル基、燐酸塩、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基、アルコキシシリル基、アンモニウム塩、各種金属塩などの、少なくとも1種以上が挙げられる。このような構成とすることで、プライマー層表面のぬれ張力を所定値以上に調整しやすくなる。
【0048】
プライマー層2は、樹脂分とともに粒子を含むことが好ましい。プライマー層2中に粒子を含むことにより、透明基材1と透明導電膜3の経時密着性をより良好なものとすることができる。特にプライマー層2中に有機無機ハイブリッド樹脂の硬化物を含む場合、該有機無機ハイブリッド樹脂が硬化する際に、粒子をプライマー層2の表面に押し上げる作用を奏することから、経時密着性をさらに良好にすることができる。
【0049】
粒子としては、無機粒子(例えばシリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウムなど)や、樹脂粒子(例えばアクリル系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、ナイロン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子など)が挙げられる。
【0050】
粒子の平均粒子径は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。平均粒子径を3μm以上にすることにより、透明基材1と透明導電膜3の経時密着性をより良好なものとすることができる。10μm以下とすることにより、透明性の低下を防止することができる。なお、この場合の平均粒子径は、コールターカウンター法で算出したものをいう。
【0051】
平均粒子径が好ましくは3μm以上10μm以下の粒子は、プライマー層2中の樹脂分100重量部に対して、0.02重量部以上1重量部以下の量で含むことが好ましく、より好ましくは0.03重量部以上0.5重量部以下の量で含むようにする。
【0052】
プライマー層2の屈折率は、透明導電膜3との差が0.05以内となるように調整することが好ましい。プライマー層2の屈折率をこのような範囲にすることにより、透明導電膜3をエッチングしてパターン化した際に、当該パターンを目立ちにくくすることができる。
【0053】
プライマー層2の屈折率を上述の範囲に調整するには、プライマー層2に低屈折率微粒子を含むことが好ましい。ここで低屈折率微粒子は、粒子の凝集防止と透明性の観点から、平均粒子径が1nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、この場合の平均粒子径は、動的光散乱法で算出したものをいう。
【0054】
低屈折率微粒子としては、フッ化マグネシウム,シルセキオキサン,シリカ,ポリスチレン、フッ化カルシウム、氷晶石などが挙げられる。また、これら低屈折率微粒子のうち、中空構造やメソポーラス構造を有するものは、さらに低屈折率である点で好ましい。
【0055】
このような低屈折率微粒子は、プライマー層2中の樹脂分100重量部に対して、0.5重量部以上700重量部以下の量で含むことが好ましい。
【0056】
なお、本例のプライマー層2は、レベリング剤(シリコーン系、フッ素系、アクリル系など)を過剰に含まないことが好ましい。プライマー層2中にレベリング剤を過剰に含めた場合、表面のぬれ張力を30mN/m以上に調整することが難しい。
【0057】
プライマー層2の厚みは特に制限されず、使用する粒子等によって調整できる。例えば、プライマー層2に平均粒子径が3μm以上10μm以下の粒子を含む場合、プライマー層2の厚みは通常2μm以上9μm以下程度である。また、プライマー層2に平均粒子径が1nm以上200nm以下の低屈折率微粒子を含む場合、後述する高屈折率層を有さない場合のプライマー層2の厚みは通常0.5μm以上3μm以下程度であり、後述する高屈折率層を有する場合のプライマー層2の厚みは通常10nm以上100nm以下程度である。
【0058】
透明導電膜3の上には、導電膜3保護のためのオーバーコート層を有していても良い。オーバーコート層は、各種樹脂から形成した樹脂膜でも良いし、無機物から形成した無機膜でも良い。
【0059】
透明基材1とプライマー層3の間には、高屈折率層を有していてもよい。高屈折率層の屈折率は、プライマー層2の屈折率より、0.2から0.3程度、高いことが好ましい。このような高屈折率層を有することにより、透明導電膜3をエッチングしてパターン化した際に、当該パターンを目立ちにくくすることができる。
【0060】
高屈折率層は、バインダー樹脂と高屈折率微粒子から形成される。バインダー樹脂としては、プライマー層2の樹脂分と同様のものを使用することができる。高屈折率微粒子は、粒子の凝集防止と透明性の観点から、平均粒子径が1nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、この場合の平均粒子径は、動的光散乱法で算出したものをいう。
【0061】
高屈折率微粒子は屈折率1.6以上であることが好ましく、このようなものとして、チタン、アルミニウム、セリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、アンチモンから選ばれる酸化物の粒子があげられる。このような高屈折率微粒子は、高屈折率層中のバインダー樹脂100重量部に対して、5重量部以上300重量部以下の量で含むことが好ましい。
【0062】
高屈折率層の厚みは10nm以上100nm以下とすることが好ましい。
【0063】
本例の透明導電膜3、プライマー層2及び高屈折率層の各層は、各膜や各層を構成する樹脂分などを含む組成物(塗布液)のコーティング、乾燥、必要に応じて電離放射線照射して塗膜化させることにより形成することができる。
【0064】
なお、透明導電膜3の表面は加圧処理を行っても良い。透明導電膜3の表面を加圧処理することにより、表面から飛び出した金属ナノワイヤにより凹凸化されている透明導電膜3を平坦化することができる。加圧処理は、透明導電膜付き基材4を、外周表面を平滑面に形成した熱ロールに通したり、加圧面を平滑面に形成した熱プレスで押圧したりする手段が挙げられる。
【0065】
本例の透明導電膜付き基材4は、各種フラットパネルディスプレイ、タッチパネルなどの透明電極、帯電防止層、電磁波遮蔽層などに使用することができる。以下、タッチパネルへの適用例を説明する。
【0066】
タッチパネルとしては、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネルが挙げられる。
【0067】
抵抗膜式タッチパネルは、透明基板の一方の面に透明導電層を有する上部電極と、透明基板の一方の面に透明導電層を有する下部電極とを、上部電極および下部電極の透明導電層どうしを対向するようにスペーサーを介して配置した基本構成からなっている。
このような抵抗膜式タッチパネルにおいて、上部電極ないしは下部電極として、上述した透明導電膜付き基材4を用いることができる。
【0068】
静電容量式タッチパネルは、表面型(Surface Capacitive)と投影型(Projected Capacitive)に分けることができる。
表面型は、基板の一方の面に透明導電膜、保護層を備え、さらに4隅に配置された電極を具備した基本構成からなっている。
このような表面型の静電容量式タッチパネルを構成する基板および透明導電膜として、上述した透明導電膜付き基材4を用いることができる。
【0069】
投影型は、透明基板上に、所定の第1方向に沿って形成された導電素子群であるX軸トレース、当該X軸トレースと交差する第2方向に沿って形成された導電素子群であるY軸トレース、これらX軸トレースとY軸トレースとの少なくとも交差部に配置された絶縁層、および、外部取り出し線への接続配線とを具備した基本構成からなっている。
本発明のタッチパネルは、このような投影型の静電容量式タッチパネルにおいて、透明基板上に、上述した透明導電膜付き基材4を有するように構成する。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施形態をより具体化した実施例を挙げ、さらに詳細に説明する。なお、本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り重量基準である。
【0071】
1.透明導電膜用塗布液の調製
金属ナノワイヤとして、論文「Materials Chemistry and Physics vol.114 p333-338 “Preparation of Ag nanorodswith high yield by polyol process”」に準じて作製した銀ナノワイヤを用いた。この銀ナノワイヤは、短径側の平均径が50nm、アスペクト比が約100である。
次に、IPAを分散媒として銀ナノワイヤを3.0%で分散した分散液を作製した。次に、シリコーン樹脂(三菱化学社:MS51)28.53部をIPA53.82部に溶解し、母液を作製した。次に、母液に分散液15.0質量部加えてよく混合した後、0.1H硝酸を2.65部加えてよく混合し、25℃の恒温雰囲気下で1時間撹拌混合し、銀ナノワイヤを3%含む固形分15%の透明導電膜用塗布液を調製した。
【0072】
2.透明導電膜付き基材の作製
[実施例1]
厚み125μmの透明ポリエステルフィルム(コスモシャインA4350:東洋紡績社)の一方の面に、下記処方のプライマー層塗布液aを塗布、乾燥、紫外線照射し、厚み3μmのプライマー層を形成した。プライマー層表面のぬれ張力は32mN/mであった。次いで、プライマー層上に、上記透明導電層塗布液を塗布、乾燥し、厚み0.3μmの透明導電膜を形成し、透明導電膜付き基材を得た。
【0073】
<プライマー層塗布液a>
・光重合性プレポリマー 140部
(電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂)
(デソライト7503:JSR社、固形分50%、無機成分38%)
・熱可塑性樹脂 70部
(アクリディックA166:DIC社、固形分45%、ガラス転移温度49℃)
・光重合開始剤 2.2部
(イルガキュア651:チバ・ジャパン社)
・アクリル樹脂粒子 0.25部
(平均粒子径:5.8μm、変動係数7.8%)
・希釈溶剤 230部
【0074】
[実施例2]
プライマー層塗布液aのアクリル樹脂粒子の添加量を0.05部に変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電膜付き基材を得た。プライマー層表面のぬれ張力は32mN/mであった。
【0075】
[実施例3]
プライマー層塗布液aを下記のプライマー層塗布液bに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電膜付き基材を得た。プライマー層表面のぬれ張力は33mN/mであった。
【0076】
<プライマー層塗布液b>
・光重合性プレポリマー(電離放射線硬化型樹脂) 17部
(ビームセット575:荒川化学工業社、固形分100%)
・光重合性モノマー(イソシアヌル酸トリアクリレート) 3部
(NKエステルA9300:新中村化学工業社、固形分100%)
・光重合開始剤(イルガキュア651) 0.4部
・希釈溶剤 30部
【0077】
[実施例4]
プライマー層塗布液aを下記のプライマー層塗布液cに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電膜付き基材を得た。プライマー層表面のぬれ張力は33mN/mであった。
【0078】
<プライマー層塗布液c>
・光重合性プレポリマー(ビームセット575) 35部
・熱可塑性樹脂(アクリディックA166) 35部
・光重合開始剤(イルガキュア651) 1部
・希釈溶剤 120部
【0079】
[実施例5]
プライマー層塗布液aを下記のプライマー層塗布液dに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電膜付き基材を得た。プライマー層表面のぬれ張力は32mN/mであった。
【0080】
<プライマー層塗布液d>
・光重合性プレポリマー(デソライト7503) 68部
・光重合開始剤(イルガキュア651) 2部
・希釈溶剤 72部
【0081】
[比較例1]
プライマー層塗布液aを下記のプライマー層塗布液eに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電膜付き基材を得た。プライマー層表面のぬれ張力は22.6mN/m以下であった。
【0082】
<プライマー層塗布液e>
・光重合性プレポリマー(ビームセット575) 10部
・光重合性モノマー(ポリエチレングリコールジアクリレート) 5部
(成分:ポリエチレングリコールジアクリレート)
(NKエステルA−1000:新中村化学工業社、固形分100%)
・シリコーン系レベリング剤 0.02部
(ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン)
(BYK331:ビックケミー社、固形分100%)
・光重合開始剤(イルガキュア651) 0.5部
・希釈溶剤 23部
【0083】
[比較例2]
プライマー層塗布液aを下記のプライマー層塗布液fに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電膜付き基材を得た。プライマー層表面のぬれ張力は22.6mN/m以下であった。
【0084】
<プライマー層塗布液f>
・光重合性プレポリマーとレベリング剤の混合物 15部
(ユニディック17−824−9:DIC社、固形分80%)
・光重合開始剤(イルガキュア651) 0.4部
・希釈溶剤 30部
【0085】
3.密着性の評価
各例により得られた透明導電膜付き基材について、JIS K5400:1990における碁盤目テープ法に基づき、初期密着性および経時密着性を評価した。その結果、透明導電膜が全く剥離しなかったものを「◎」、10%未満の面積が剥離したものを「○」、ほぼ100%の面積が剥離したものを「×」とした。結果を表1に示す。
なお、経時密着性については、各例により得られた透明導電膜付き基材を、60℃,90%RHの条件で500時間放置した後に評価を行った。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例1〜5の透明導電膜付き基材は、プライマー層表面のぬれ張力が30mN/m以上であったことから、透明導電膜の初期密着性および経時密着性に優れるものであった。 特に、実施例1,2,4の各例の透明導電膜付き基材は、実施例3,5と比較して、プライマー層中に電離放射線硬化型樹脂(電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂を含む)と熱可塑性樹脂を有していたことから、経時密着性にきわめて優れるものであった。中でも、実施例1,2の透明導電膜付き基材は、実施例4と比較して、電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂及び熱可塑性樹脂とともに、平均粒子径が3〜10μmの範囲内の粒子をプライマー層中に有していたことから、経時密着性がさらに良好であった。
【0088】
一方、比較例1,2の透明導電膜付き基材は、プライマー層表面のぬれ張力が30mN/mに満たなかった。その結果、透明導電膜の初期密着性に優れるものの、経時密着性を満足できないものであった。
【符号の説明】
【0089】
1…透明基材、2…プライマー層、3…透明導電膜、4…透明導電膜付き基材。
図1