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特許6243994保安調査作業における需要家を調査員に割り振るコンピュータ、方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243994
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】保安調査作業における需要家を調査員に割り振るコンピュータ、方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20171127BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20171127BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G06Q10/06 302
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-218940(P2016-218940)
(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-120623(P2017-120623A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2016年11月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-253940(P2015-253940)
(32)【優先日】2015年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595058808
【氏名又は名称】日本瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 眞治
(72)【発明者】
【氏名】出構 眞吾
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−238205(JP,A)
【文献】 特開2006−318311(JP,A)
【文献】 特開2014−021631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保安調査作業における需要家を調査員に割り振るコンピュータであって、前記コンピュータはプロセッサおよびメモリを備え、前記プロセッサは、
前記需要家に係る、調査対象設備の法定調査期限を示す調査満期日、前記調査対象設備の再調査が必要な場合の法定調査期限を示す再調査満期日、および郵便番号を少なくとも含む、前記メモリに格納された需要家データから、前記調査満期日または前記再調査満期日が所定期間内であり、かつ特定エリアの需要家データを抽出する手段であって、前記特定エリアは、複数の前記郵便番号が示す複数のエリアを含む、手段と、
割り振りの優先順位を少なくとも含む、前記メモリに格納された調査員データから、前記特定エリアの調査員データを抽出する手段と、
前記抽出した需要家データを、少なくとも前記郵便番号順にソートする手段と、
前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に割り振る手段と
を備えたことを特徴とするコンピュータ。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記ソートした需要家データの割り振り結果に基づいて、前記需要家、調査予定日、および担当調査員を少なくとも含む調査予定データを作成する手段と、
前記調査予定データに基づいて、前記需要家の住所および氏名、調査予定日、調査時間帯、ならびに調査を担当する会社の名称および連絡先を少なくとも含む調査予定通知データを作成する手段と、
前記需要家への葉書の発送を印刷会社に依頼する場合は、前記印刷会社のコンピュータに前記調査予定通知データ、または前記調査予定通知データに基づいて作成した葉書印刷用データを送信する手段と、
前記需要家への葉書の発送を前記印刷会社に依頼しない場合は、前記調査予定通知データに基づいて、前記葉書を印刷する手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記調査予定データは、翌月以降の調査予定日に係るデータであり、
前記ソートすることは、前記調査満期日または前記再調査満期日が翌月以前のデータを最優先にソートすることを含む
ことを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記需要家データは、さらにガスの開栓および閉栓状態を示す開栓種別を含み、前記需要家データの抽出は、さらに前記開栓種別が開栓状態を示すデータのみ抽出され、前記プロセッサは、
前記需要家が閉栓状態となる旨を示す閉栓通知を受信する手段と、
前記閉栓通知を受信したことに応答して、前記作成した調査予定データに閉栓状態となる需要家のデータが含まれるか否かを判定する手段と、
前記作成した調査予定データに閉栓状態となる需要家のデータが含まれる場合、そのデータを削除状態とする手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3に記載のコンピュータ。
【請求項5】
前記割り振ることは、予め設定された、作業時間帯、調査の所要時間、割り振りの余裕率、ならびに前記調査員の休日および有資格のうちの少なくとも1つに基づいて、前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に割り振ることを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記需要家が開栓状態となる旨を示す開栓通知を受信する手段と、
前記開栓通知を受信したことに応答して、前記調査予定データのうち開栓状態となる需要家のデータの削除状態をリセットする手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項7】
保安調査作業における需要家を調査員に割り振るコンピュータによって実行される方法であって、前記コンピュータはプロセッサおよびメモリを備え、前記方法は、
前記需要家に係る、調査対象設備の法定調査期限を示す調査満期日、前記調査対象設備の再調査が必要な場合の法定調査期限を示す再調査満期日、および郵便番号を少なくとも含む、前記メモリに格納された需要家データから、前記調査満期日または前記再調査満期日が所定期間内であり、かつ特定エリアの需要家データを、前記プロセッサが抽出するステップであって、前記特定エリアは、複数の前記郵便番号が示す複数のエリアを含む、ステップと、
割り振りの優先順位を少なくとも含む、前記メモリに格納された調査員データから、前記特定エリアの調査員データを、前記プロセッサが抽出するステップと、
前記抽出した需要家データを、少なくとも前記郵便番号順に、前記プロセッサがソートするステップと、
前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に、前記プロセッサが割り振るステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項8】
保安調査作業における需要家を調査員に割り振る方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータはプロセッサおよびメモリを備え、前記コンピュータプログラムは前記プロセッサによって実行されると、
前記需要家に係る、調査対象設備の法定調査期限を示す調査満期日、前記調査対象設備の再調査が必要な場合の法定調査期限を示す再調査満期日、および郵便番号を少なくとも含む、前記メモリに格納された需要家データから、前記調査満期日または前記再調査満期日が所定期間内であり、かつ特定エリアの需要家データを抽出するステップであって、前記特定エリアは、複数の前記郵便番号が示す複数のエリアを含む、ステップと、
割り振りの優先順位を少なくとも含む、前記メモリに格納された調査員データから、前記特定エリアの調査員データを抽出するステップと、
前記抽出した需要家データを、少なくとも前記郵便番号順にソートするステップと、
前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に割り振るステップと
を前記プロセッサに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定期調査スケジュールの自動割り振り方法およびシステムに関する。より詳細には、ガス供給設備および消費設備の調査作業など保安調査作業のスケジューリングを行ない、各調査員に調査対象の需要家を自動割り振りする方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
我々のライフラインの1つであるガスは、都市ガスおよびLPガスなどの形態で、各家庭や店舗、事業所などの顧客(需要家)に対して供給されている。都市ガスは、主に天然ガス(メタン)を主成分とし、現在都市ガス原料の約97%を天然ガスが占めている。この天然ガスは通常、巨大なガスホルダーに貯蔵され、気体のまま道路下に埋設されている導管を通じ、ガスメーターを経由して各需要家に供給される。ガスホルダーからガス栓までは、ガス工作物と呼ばれ、ガス事業法上、ガス事業者が点検と維持の管理責任を負うことになっている(一方、ガス栓の出口から各需要家のガス器具はガス消費機器と呼ばれ、管理責任は需要家にある)。一方、LPガスは、プロパンやブタンなどを主成分とし、圧縮により液化させることでガスボンベなどに充填し配送される。ガスボンベは各需要家先に設置され、常温で液化ガスを気化させることにより、ガスメーターを経由してガスが供給される(一般供給形態)。また、LPガスの供給形態として、一般供給形態の他、集中ガス供給形態および簡易ガス供給形態がある。これらは、供給設備に対し供給先である需要家が複数ある、集合住宅など向けの供給形態である。具体的には、集合住宅付近に設置されたガスバルク貯槽に液化ガスが充填され、ガスメーターを経由して各需要家に供給される。集中ガス供給と簡易ガス供給の違いは供給先(需要家)の規模であり、需要家が70戸未満の場合を集中ガス供給、70戸以上の場合を簡易ガス供給と区別している。なお、LPガスの場合は、ガスボンベやガスバルクなどからガスメーターの出口までを供給設備と呼ぶ。供給設備という呼称は、本来LPガスの場合に用いられるものであるが、本明細書では、便宜上、都市ガスにおけるガス工作物も含めて、供給設備と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、ガスホルダー、ガスボンベ、およびガスバルクをまとめて「ガス容器」という場合がある。
【0003】
都市ガスおよびLPガスは、ガス漏れや爆発が発生するなど公害につながる可能性がある。そのため、我が国では、公害の安全確保、公害防止、およびガスの取引の適正を主な目的とした法律(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(以下、「液石法」という)、ガス事業法(以下、「ガス事法」という)、高圧ガス保安法)を定めている。これらの法律により、ガス事業者に対し、都市ガスおよびLPガスの供給設備および消費設備の定期的な調査(例えば、液石法では4年に1回、ガス事法では40ヶ月に1回など)を義務付けている。なお、当該調査では、ガス警報器やガスメーター、調整器、ガスホースなどといった部品の定期交換も実施しており、併せて管理および作業を行っている。また、ガス設備以外でも、消防設備、電気設備、建築設備などに対して定期的な調査が義務付けられている。
【0004】
本明細書では、「調査」、「点検」、「検査」といった関連用語を使い分ける場合がある。「調査」は需要家宅内の消費設備も含めて調べることをいう。「点検」は供給設備のみを調べることをいう。「検査」は「点検」の延長であり供給設備をより詳細に調べることをいう。また、「調査」、「点検」、「検査」をまとめて「調査」という場合もある。さらに、調査作業と部品交換作業をまとめて保安調査作業という。
【0005】
現状、各設備の調査期限である満期日をリスト化した満期日リストに基づいて、翌月調査分の調査予定日を前月の所定日(例えば15日)に仮決定し、スケジュールリストを作成している。調査員は仮決定した調査予定日を管理者に報告し、調査予定日が確定すると葉書により需要家に通知される。その後、需要家から日付変更の依頼が来る場合もあり、この場合は各調査員と調整し、調査予定日が変更される。また、調査予定日に需要家が不在の場合、調査予定日がリスケジュールされる。仮決定した調査予定日は月末に確定し、各調査員のスケジュールリストが確定内容で更新される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、調査予定日のスケジューリング(リスケジューリングを含む)は各調査員が行っており、非効率かつ、各調査員間でバランスの悪いスケジューリングが行われる場合がある(例えば、ある調査員は移動が非常に多い、作業量が多いなど)。また、調査員はリスケジューリングも行っており、このような管理業務を調査員が行うのは適切ではないといえる。他方、満期日リストは管理者が都度作成しており、これも非効率である。以上より、保安調査作業のスケジューリングを行ない、各調査員に調査対象の需要家を自動割り振りする方法およびシステムが求められている。
【0007】
また、調査予定日を仮決定した後に、調査対象の需要家との契約の解約、またはガス料金の滞納などがあった場合、調査対象の需要家は閉栓状態(ガスの供給が停止した状態)となる。閉栓状態の場合、ガスは使用されないため、満期日に関係なく調査は行われない(開栓時に改めて調査が行なわれる)。そのため、スケジュールリストから対象の需要家の消し込み作業が必要となってくる。さらに、ガス料金の滞納の場合などは、スケジュールリストから消し込んだ後にガス料金が振り込まれ、閉栓状態から再度開栓状態になり、調査が必要となってくる場合がある。この場合は、スケジュールリストに対して行なわれた消し込み作業をリセットし、スケジュールリストに対象の需要家を復活させる必要がある。現状、このようなスケジュールリストの調整は行われておらず、調査予定日の当日に現地にて調査が不要であったことに気付く場合があり、無駄な作業が発生している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、保安調査作業における需要家を調査員に割り振るコンピュータであって、前記コンピュータはプロセッサおよびメモリを備え、前記プロセッサは、
前記需要家に係る、調査対象設備の法定調査期限を示す調査満期日、前記調査対象設備の再調査が必要な場合の法定調査期限を示す再調査満期日、および郵便番号を少なくとも含む、前記メモリに格納された需要家データから、前記調査満期日または前記再調査満期日が所定期間内であり、かつ特定エリアの需要家データを抽出する手段であって、前記特定エリアは、複数の前記郵便番号が示す複数のエリアを含む、手段と、
割り振りの優先順位を少なくとも含む、前記メモリに格納された調査員データから、前記特定エリアの調査員データを抽出する手段と、
前記抽出した需要家データを、少なくとも前記郵便番号順にソートする手段と、
前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に割り振る手段と
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前段落に記載のコンピュータにおいて、前記プロセッサは、
前記ソートした需要家データの割り振り結果に基づいて、前記需要家、調査予定日、および担当調査員を少なくとも含む調査予定データを作成する手段と、
前記調査予定データに基づいて、前記需要家の住所および氏名、調査予定日、調査時間帯、ならびに調査を担当する会社の名称および連絡先を少なくとも含む調査予定通知データを作成する手段と、
前記需要家への葉書の発送を印刷会社に依頼する場合は、前記印刷会社のコンピュータに前記調査予定通知データ、または前記調査予定通知データに基づいて作成した葉書印刷用データを送信する手段と、
前記需要家への葉書の発送を印刷会社に依頼しない場合は、前記調査予定通知データに基づいて、前記葉書を印刷する手段と
をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
さらに、前段落に記載のコンピュータにおいて、前記調査予定データは、翌月以降の調査予定日に係るデータであり、
前記ソートすることは、前記調査満期日または前記再調査満期日が翌月以前のデータを最優先にソートすることを含む
ことを特徴とする。
【0011】
そして、前2段落のいずれかに記載のコンピュータにおいて、前記需要家データは、さらにガスの開栓および閉栓状態を示す開栓種別を含み、前記需要家データの抽出は、さらに前記開栓種別が開栓状態を示すデータのみ抽出され、前記プロセッサは、
前記需要家が閉栓状態となる旨を示す閉栓通知を受信する手段と、
前記閉栓通知を受信したことに応答して、前記作成した調査予定データに閉栓状態となる需要家のデータが含まれるか否かを判定する手段と、
前記作成した調査予定データに閉栓状態となる需要家のデータが含まれる場合、そのデータを削除状態とする手段と
をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、前4段落のいずれかに記載のコンピュータにおいて、前記割り振ることは、予め設定された、作業時間帯、調査の所要時間、割り振りの余裕率、ならびに前記調査員の休日および有資格のうちの少なくとも1つに基づいて、前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に割り振ることを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに、前段落に記載のコンピュータにおいて、前記プロセッサは、
前記需要家が開栓状態となる旨を示す開栓通知を受信する手段と、
前記開栓通知を受信したことに応答して、前記調査予定データのうち開栓状態となる需要家のデータの削除状態をリセットする手段と
をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、別の実施形態において、保安調査作業における需要家を調査員に割り振るコンピュータによって実行される方法であって、前記コンピュータはプロセッサおよびメモリを備え、前記方法は、
前記需要家に係る、調査対象設備の法定調査期限を示す調査満期日、前記調査対象設備の再調査が必要な場合の法定調査期限を示す再調査満期日、および郵便番号を少なくとも含む、前記メモリに格納された需要家データから、前記調査満期日または前記再調査満期日が所定期間内であり、かつ特定エリアの需要家データを、前記プロセッサが抽出するステップであって、前記特定エリアは、複数の前記郵便番号が示す複数のエリアを含む、ステップと、
割り振りの優先順位を少なくとも含む、前記メモリに格納された調査員データから、前記特定エリアの調査員データを、前記プロセッサが抽出するステップと、
前記抽出した需要家データを、少なくとも前記郵便番号順に、前記プロセッサがソートするステップと、
前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に、前記プロセッサが割り振るステップと
を備えたことを特徴とする。
【0015】
さらに本発明は、さらに別の実施形態において、保安調査作業における需要家を調査員に割り振る方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータはプロセッサおよびメモリを備え、前記コンピュータプログラムは前記プロセッサによって実行されると、
前記需要家に係る、調査対象設備の法定調査期限を示す調査満期日、前記調査対象設備の再調査が必要な場合の法定調査期限を示す再調査満期日、および郵便番号を少なくとも含む、前記メモリに格納された需要家データから、前記調査満期日または前記再調査満期日が所定期間内であり、かつ特定エリアの需要家データを抽出するステップであって、前記特定エリアは、複数の前記郵便番号が示す複数のエリアを含む、ステップと、
割り振りの優先順位を少なくとも含む、前記メモリに格納された調査員データから、前記特定エリアの調査員データを抽出するステップと、
前記抽出した需要家データを、少なくとも前記郵便番号順にソートするステップと、
前記ソートした需要家データを、前記優先順位の高い調査員から順に割り振るステップと
を前記プロセッサに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、保安調査作業のスケジューリングを行ない、各調査員に調査対象の需要家を自動割り振りすることができる。また、自動割り振りにより作成された調査予定データ(スケジュールリスト)を印刷会社に連携し、需要家に対して調査予定の通知を行うことができる。加えて、自動割り振りされた調査予定の再調整を行うこともできる。さらに、調査対象の需要家が閉栓状態となった場合、調査予定データから対象の需要家を削除することができる。また、閉栓状態となった需要家が再度開栓状態となった場合に、調査予定データに対して対象の需要家を復活させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る自動割り振りの一連の処理を示すフロー図である。
図3】本発明の一実施形態に係る自動割り振り処理の詳細を示すフロー図である。
図4】本発明の一実施形態に係る需要家データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る保安調査エリアデータ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る郵便番号マッピングデータ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る調査員データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る調査員休日データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る調査予定データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る調査予定通知データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る調査予定データ消し込みの一連の処理を示すフロー図である。
図12】本発明の一実施形態に係る調査予定データ消し込みリセットの一連の処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る方法およびシステムを詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を示す図である。図1において、例えばデータセンタなどに設置された自動割り振りサーバ100が、ネットワーク101を介して、複数のモバイル端末102a、102b、・・・、102n(以下、「モバイル端末102」という)と、複数の管理者端末103a、103b、・・・、103n(以下、「管理者端末103」という)と通信を行うように構成されている。
【0020】
自動割り振りサーバ100は、保安調査エリアごとに、担当の調査員に対して調査対象の需要家を割り振り、調査予定データを作成する。また、自動割り振りサーバ100は、調査予定データに基づいて、需要家への通知のための葉書データ(PDFファイルなど)を作成する。また、自動割り振りサーバ100は、作成した葉書データを印刷会社サーバ(図示せず)に送信し、葉書の印刷と発送を依頼する。自動割り振りサーバ100は、印刷会社サーバから作成された葉書データを受信すると、当該葉書データに基づいて葉書を印刷し、各需要家に発送される。さらに、自動割り振りサーバ100は、モバイル端末102や管理者端末103から、調査予定日時の調整要求を受信すると、要求どおりに調整が可能か否かを判定し、可能であれば調査予定データを更新する。
【0021】
モバイル端末102は、保安調査作業を実施する調査員が携帯し、自動割り振りサーバ100から調査予定データを受信する。調査員は、調査予定データにしたがって保安調査を実施する。また、調査員は、需要家が不在の場合などに、モバイル端末102を介して調査予定を再調整することができる。
【0022】
管理者端末103は、各営業拠点や、コールセンターなどに設定される端末である。管理者端末103も、自動割り振りサーバ100から調査予定データを受信する。管理者またはコールセンター担当者は、需要家からの日程変更の要請を受けた場合などに、管理者端末103を介して調査予定を再調整することができる。
【0023】
次に、自動割り振りサーバ100の構成を詳細に説明する。自動割り振りサーバ100は、CPU(プロセッサ)110に、システムバス115を介してRAM(メモリ)111、入力装置112、出力装置113、通信制御装置114、および不揮発性記憶媒体(ROMやHDDなど)で構成される記憶装置116が接続された構成を有する。記憶装置116は、自動割り振り処理に関連するソフトウェアプログラムを格納するプログラム格納領域と、関連データなどを格納するデータ格納領域とを備えている。以下に説明するプログラム格納領域の各手段は、実際は独立したソフトウェアプログラム、そのルーチンやコンポーネントなどであり、CPU110によって記憶装置116から呼び出されRAM111のワークエリアに展開されて順次実行されることで、各機能を奏するものである。
【0024】
プログラム格納領域に格納されているソフトウェアプログラムは、本発明に関連するものだけを列挙すると、需要家データ抽出手段120、調査員データ抽出手段121、需要家自動割り振り手段122、調査予定データ作成手段123、および調査予定日通知データ作成手段124を備えている。
【0025】
需要家データ抽出手段120は、需要家データ記憶部131から、満期上限内および開栓中など所定条件に合致する調査対象の需要家に係るデータを抽出する。ここで満期上限内とは、法律で定められる調査期限(満期日)が所定期間内である状態をいう。
【0026】
調査員データ抽出手段121は、調査員データ記憶部134から、割り振り対象の保安調査エリアを担当する調査員に係るデータを抽出する。
【0027】
需要家自動割り振り手段122は、担当の調査員に対して調査対象の需要家を割り振る。また、需要家自動割り振り手段122は、モバイル端末102や管理者端末103から、調査予定の調整要求を受信すると、要求どおりに調整が可能か否かを判定し、可能であれば再割り振りを実行する。
【0028】
調査予定データ作成手段123は、自動割り振り結果に基づいて、調査予定データを作成し、調査予定データ記憶部136に格納する。また、調査予定データ作成手段123は、再割り振り結果に基づいて、調査予定データを更新する。
【0029】
調査予定日通知データ作成手段124は、調査予定データに基づいて、調査予定日通知データを作成し、調査予定日通知データ記憶部137に格納する。また、調査予定日通知データ作成手段124は、作成した調査予定日通知データを印刷会社サーバに送信する。これにより、印刷会社に対し、葉書の印刷と発送を依頼する。さらに別の実施形態では、調査予定日通知データ作成手段124は、作成した調査予定日通知データに基づいて葉書データ(PDFファイルなど)を作成し、印刷会社サーバに送信することもできる。
【0030】
データ格納領域は、本発明に関連するものだけを列挙すると、需要家データ記憶部131、保安調査エリアデータ記憶部132、郵便番号マッピングデータ記憶部133、調査員データ記憶部134、調査員休日データ記憶部135、調査予定データ記憶部136、および調査予定日通知データ記憶部137を備える。何れも、記憶装置116内に確保された一定の記憶領域である。
【0031】
需要家データ記憶部131は、保安調査対象となる需要家に関するデータを格納する。図4は、本発明の一実施形態に係る需要家データ記憶部131に格納されたデータを示す図である。図4における需要家データは、需要家を一意に示す「需要家コード」、需要家に係る調査対象設備の法定調査期限を示す「調査満期日」、再調査が必要な場合の法定調査期限を示す「再調査満期日」、需要家に係る調査対象設備に対して規定される法律の種類を示す「需要家種別」、ガスの開栓および閉栓状態を示す「開栓種別」、需要家宅の郵便番号を示す「郵便番号」、需要家宅の住所を示す「住所」、および需要家の氏名を示す「氏名」を含む。なお、再調査とは、調査満期日までにした調査で不備があった場合に、需要家に対し是正を求め、法定期間後(すなわち再調査満期日)に改めて実施される調査である。そのため、「再調査満期日」には再調査が必要な場合にのみ日付が格納される。自動割り振りの際、「再調査満期日」が設定されている場合の満期上限内とは、「再調査満期日」が所定期間内にある状態をいう。一方、「再調査満期日」が設定されていない場合の満期上限内とは、「調査満期日」が所定期間内にある状態をいう。「需要家種別」には、例えば、調査対象の設備に対して規定される法律が液石法である場合は「0」、ガス事法である場合は「1」、高圧ガス保安法である場合は「2」を設定することができる。「開栓種別」には、例えば、開栓状態である場合は「0」、閉栓状態である場合は「1」を設定することができる。
【0032】
保安調査エリアデータ記憶部132は、保安調査を実施するエリアに関するデータを格納する。図5は、本発明の一実施形態に係る保安調査エリアデータ記憶部132に格納されたデータを示す図である。図5における保安調査エリアデータは、保安調査対象のエリアを一意に示す「調査エリアコード」、調査エリアの名称を示す「調査エリア名」、調査エリアに対して調査が必要な期間の開始日を示す「調査開始日」、および当該期間の終了日を示す「調査終了日」を含む。
【0033】
郵便番号マッピングデータ記憶部133は、保安調査エリアと郵便番号とをマッピングするためのデータを格納する。図6は、本発明の一実施形態に係る郵便番号マッピングデータ記憶部133に格納されたデータを示す図である。図6における郵便番号マッピングデータは、需要家の郵便番号を示す「郵便番号」、および郵便番号にマッピングされる「調査エリアコード」を含む。図6では、1つの調査エリアに複数の郵便番号のエリアを含んでいる。
【0034】
調査員データ記憶部134は、保安調査作業を行う調査員に関するデータを格納する。図7は、本発明の一実施形態に係る調査員データ記憶部134に格納されたデータを示す図である。図7における調査員データは、調査員を一意に示す「調査員コード」、調査員の氏名を示す「名前」、調査員が所属する会社を一意に示す「所属会社コード」、調査員が担当する調査エリアを一意に示す「担当エリアコード」、割り振りの優先順位を示す「優先順位」、液石法で規定される設備の調査を行うための資格を持つか否かを示す「有資格液石」、ガス事法で規定される設備の調査を行うための資格を持つか否かを示す「有資格ガス事」、および高圧ガス保安法で規定される設備の調査を行うための資格を持つか否かを示す「有資格高圧」を含む。「担当エリアコード」は、保安調査エリアデータ(図5)における「調査エリアコード」と紐付く。また、「優先順位」は固定であっても良いが、調査員の公平性を保つために、例えば、割り振る調査予定日ごとに優先順位を変更することもできる。「有資格液石」、「有資格ガス事」、および「有資格高圧」は、調査員が各法律で規定される設備の調査を行うための資格を持っていない場合は「0」、持っている場合は「1」を設定することができる。
【0035】
調査員休日データ記憶部135は、調査員の休日に関するデータを格納する。図8は、本発明の一実施形態に係る調査員休日データ記憶部135に格納されたデータを示す図である。図8における調査員休日データは、調査員を一意に示す「調査員コード」、ならびに休日に設定する曜日を一意に示す「休日曜日ID1」および「休日曜日ID2」を含む。「調査員コード」は、調査員データ(図7)における「調査員コード」と紐付く。「休日曜日ID1」および「休日曜日ID2」は、例えば、日曜日から土曜日を、「1」から「7」として設定することができる。なお、図8において、「休日曜日ID1」、「休日曜日ID2」と2列あるのは、1週間当りの休日が2日であることを示す。また、図8はあくまでも一実施形態であって、例えば、曜日ではなく、日付ごとに休日を設定することもできるし、列ではなくレコード単位で1調査員に対し、複数の休日を設定することもできる。
【0036】
調査予定データ記憶部136は、自動割り振り処理の結果、作成される保安調査作業の実施予定に関するデータを格納する。図9は、本発明の一実施形態に係る調査予定データ記憶部136に格納されたデータを示す図である。図9における調査予定データは、調査対象の需要家を一意に示す「需要家コード」、当該需要家に係る調査対象設備の法定調査期限を示す「調査満期日」、再調査が必要な場合の法定調査期限を示す「再調査満期日」、需要家に係る調査対象設備に対して規定される法律の種類を示す「需要家種別」、調査予定日を示す「調査予定日」、調査予定の時間帯を一意に示す「調査時間帯種別」、調査を担当する調査員を一意に示す「担当調査員コード」、需要家宅のある調査エリアを一意に示す「調査エリアコード」、需要家宅の郵便番号を示す「郵便番号」、需要家宅の住所を示す「住所」、および本データを論理削除するための「削除フラグ」を含む。「調査満期日」、「再調査満期日」、および「需要家種別」は、上述した、図4(需要家データ)における同名列に関する説明と同様である。「調査時間帯種別」は、例えば、調査予定の時間帯が午前9時から12時の間であれば「1」、午後1時から4時の間であれば「2」、午後4時から7時の間であれば「3」を設定することができる。「削除フラグ」は、例えば、本データが削除されたものとし無効なデータとする場合に「1」を、有効なデータとする場合に「0」を設定することができる。例えば、一実施形態として、翌月調査分の需要家を対象として、前月の所定日(例えば15日)に本データを作成する場合がある。しかしながら、本データ作成後に、対象の需要家が閉栓状態となり調査不要となる場合や、再度開栓状態となり調査不要から調査要になる場合がある。この場合に、本データを物理削除してしまうと、本データの再作成が必要となってしまうため、「削除フラグ」を用いて論理削除を行なう。
【0037】
調査予定日通知データ記憶部137は、保安調査作業の実施予定を需要家に通知するためのデータを格納する。当該調査予定日通知データ、または当該データに基づいて作成された葉書データ(PDFファイルなど)を印刷会社サーバに送信することで印刷会社に対し葉書の印刷と発送を依頼する。図10は、本発明の一実施形態に係る調査予定日通知データ記憶部137に格納されたデータを示す図である。図10における調査予定日通知データは、通知先の需要家を一意に示す「需要家コード」、当該需要家の郵便番号を示す「郵便番号」、当該需要家の住所を示す「宛先」、当該需要家の氏名を示す「宛名」、調査予定日を示す「調査予定日」、調査予定の時間帯を一意に示す「調査時間帯種別」、調査を担当する会社の名称を示す「担当会社名」、および当該会社の連絡先(コールセンターなど)を示す「担当会社電話」を含む。「調査時間帯種別」は、上述した、図9(調査予定データ)における同名列に関する説明と同様である。
【0038】
次に、図2および3のフローチャート、ならびに図4−10のデータを参照して、一実施形態に係る自動割り振りの一連の処理を詳細に説明する。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に係る自動割り振りの一連の処理を示すフロー図である。本実施形態では、ある特定エリアの需要家を、当該エリアを担当する各調査員に対して自動割り振りすることを想定している。また、本処理は、例えば、毎月の15日に実行され、翌月以降の保安調査作業のスケジューリングを行なうバッチ処理である。
【0040】
まず、ステップ201にて、需要家データ抽出手段120が、需要家データ記憶部131から、所定条件に合致する調査対象の需要家に係る需要家データ(図4)を抽出する。ここで、所定条件とは、一実施形態において、特定エリア、満期上限内、および開栓中の需要家である(すなわち、調査が必要で、かつ調査の優先度が高い需要家)。満期上限内とは、具体的に説明すると、需要家データ(図4)における「調査満期日」または「再調査満期日」が、所定期間内(例えば、翌月から3ヶ月以内)にある状態をいう。また、開栓中の需要家とは、需要家データ(図4)における「開栓種別」が「0」(開栓状態)のものである。なお、閉栓状態の場合は、開栓時に満期日のチェックが行なわれ、調査が必要である場合は調査し、その後、需要家は各設備を安全に使用することができる。
【0041】
ここで、特定エリアの需要家データを抽出するには、特定エリア(例えば、エリアA)の調査エリアコード(「00001」)を検索キーとして、郵便番号マッピングデータ記憶部133に格納された郵便番号マッピングデータ(図6)を検索し、「調査エリアコード」に紐付く「郵便番号」を取得する。次に、取得した「郵便番号」を含む需要家データ(図4)を抽出する。この際、さらに、「調査エリアコード」を検索キーとして、保安調査エリアデータ記憶部132に格納された保安調査エリアデータ(図5)を検索し、該当する調査エリアの調査要否を判断することもできる(「調査満期日」または「再調査満期日」が、保安調査エリアデータの「調査開始日」から「調査終了日」の範囲内であるか否かの判断)。もし、調査不要と判断された場合は、その旨を管理者端末103に通知するなどし、本処理を終了することができる。または、次の調査エリアに対して、本処理を実行することもできる。
【0042】
次に、調査員データ抽出手段121は、調査員データ記憶部134から、特定エリアの調査を担当する調査員に係る調査員データ(図7)を抽出する(ステップ202)。具体的には、ステップ201で対象とした特定エリア(エリアA)の調査エリアコード(「00001」)を検索キーとして、調査員データ記憶部134に格納された調査員データ(図7)を検索し、「担当エリアコード」が一致する調査員データを抽出する。例えば、図7を例とすると、エリアAを担当する調査員として、調査員コードが「00001」−「00003」の3名のデータが抽出される。なお、ステップ202の調査員データの抽出と、ステップ201の需要家データの抽出とは、同一エリアに対して処理されればよく、処理順序はどちらか先であってもよいし並列処理であってもよい。
【0043】
次に、需要家自動割り振り手段122は、ステップ201および202で対象とした特定エリア(エリアA)の調査員に対して、需要家を割り振る(ステップ203)。ステップ203の自動割り振り処理については、図3を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る自動割り振り処理の詳細を示すフロー図である。図3は、特定エリアの需要家データを、当該エリアを担当する調査員に対し割り振る処理フローであり、ある調査予定日1日分の割り振りを行うように記載される。図2におけるステップ202の後、ステップ203として、図3のステップ301からステップ305を実行する。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る自動割り振り処理の詳細を示すフロー図である。まず、需要家自動割り振り手段122は、ステップ201で抽出した需要家データをソートする(ステップ301)。一実施形態において、当該ソートは、満期日が翌月以前のデータを最優先にし、郵便番号の昇順に実行される。
【0045】
次に、需要家自動割り振り手段122は、ステップ301でソートした需要家データを順に、優先順位の最も高い調査員に割り振る(ステップ302)。優先順位の最も高い調査員とは、調査員データ(図7)における「優先順位」の数値が「1」の調査員である。本実施例では、調査対象のエリアをエリアA(エリアコード「00001」)としているため、調査員「特許 太郎」が優先順位の最も高い調査員となる。
【0046】
割り振り方法は、一実施形態として、需要家種別ごとに所要時間を予め設定しておき、翌月の調査予定日の初日から、各調査員の作業時間帯に対し順次割り振る。例えば、需要家種別が「0」(液石法)の場合の所要時間は30分、「1」(ガス事法)および「2」(高圧ガス保安法)の場合は40分であるとする(所要時間には需要家間の移動時間を含んでもよい)。また、1日の作業時間帯は、9:00−12:00、13:00−17:00であるとする。したがって、需要家種別が液石法(所要時間30分)の需要家が最初の割り振り対象である場合、調査員「特許 太郎」の9:00−9:30に割り振る。次の需要家が高圧ガス保安法(所要時間40分)であった場合、調査員「特許 太郎」の9:30−10:10に割り振る。このようにして、まず、調査員「特許 太郎」の17:00までの時間帯に需要家を割り当てられるだけ割り当てていく。この際、例えば、11:40まで割り振り済みであった場合に、ガス事法(所要時間40分)の需要家を割り振る場合、11:40−12:00、13:00−13:20と、午前と午後とを跨いで割り振ることもできる。一方、16:30まで割り振り済みであった場合は、17:00までの残り時間が30分であるため、ガス事法および高圧ガス保安法(共に所要時間40分)の需要家を割り振ることはできないが、需要家の割り振り順を入れ換えて、液石法(所要時間30分)の需要家を先に割り振ることもできる。
【0047】
また、割り振りの余裕率(割り振り率)を用いて、割り振りに対して余裕を持たせることもできる。例えば、割り振り率を85%とした場合、9:00−12:00、13:00−17:00のそれぞれの約85%分、すなわち、9:00−11:30、13:00−16:20に対して割り振りを行ない、トラブルによる予定超過作業や、日時変更による差込作業に対応することもできる。
【0048】
さらに、割り振りの際、調査員の休日を考慮することもできる。例えば、ステップ302で、最も優先度の高い調査員は「特許 太郎」であった場合でも、割り振る調査予定日が当該調査員の休日であった場合は、割り振り対象から除外することもできる(次に優先度の高い「実案 次郎」に対して割り振り可否の判定を行う)。調査員の休日は、調査員コードを検索キーとして、調査員休日データ記憶部135を検索し、調査員休日データ(図8)を抽出することにより判断することができる。
【0049】
また、割り振りの際、調査員の有資格状況を考慮することもできる。これは、調査対象となる設備によって規定されている法律が異なり、調査員は、持っている資格によって調査可能な設備が異なるためである。有資格は、例えば、調査員データ(図7)における「有資格液石」、「有資格ガス事」、および「有資格高圧」が示すように、持っていない場合は「0」、持っている場合は「1」と示される。したがって、ステップ302で、最も優先度の高い調査員は「特許 太郎」であった場合でも、当該調査員が、割り振る需要家の需要家種別(0:液石法、1:ガス事法、2:高圧ガス保安法)に関する資格を持っていない場合、割り振り対象から除外することもできる(これも、次に優先度の高い「実案 次郎」に対して割り振り可否の判定を行う)。
【0050】
ステップ302の割り振りごとに、需要家自動割り振り手段122は、割り振り済み調査員に対し、さらに割り振り可能か否かを判定する(ステップ303)。これは、前述した、最も優先度が高い調査員「特許 太郎」の17:00までの割り振りが全て完了したか否かを判断するものである。割り振り済み調査員に対し、まだ割り振り可能な場合は、Yesルートに進み、同調査員に対し、次の需要家データの割り振りを行う(ステップ302)。
【0051】
一方、割り振り済み調査員に対し、もう割り振りが行えない場合は、ステップ303のNoルートに進み、需要家自動割り振り手段122は、次に優先順位の高い調査員が存在するか否かを判定する(ステップ304)。例えば、最も優先度が高い調査員「特許 太郎」に対して割り振った後である場合は、次に優先度が高い調査員は「実案 次郎」となる(図7の調査員データにおける担当エリアコード「00001」の優先順位が2番目である)。次に優先順位の高い調査員が存在する場合、Yesルートに進み、需要家自動割り振り手段122は、当該調査員に対し、需要家を割り振る(ステップ305)。ステップ305の割り振り方法は、ステップ302の割り振り方法と同様である。また、ステップ305においても、割り振りごとに、需要家自動割り振り手段122は、割り振り済み調査員に対し、まだ割り振り可能か否かを判定する(ステップ303)。そして、もう割り振れない場合は、さらに次に優先度の高い調査員が存在するか否かを判定する(ステップ304)。このように、調査対象エリアを担当する調査員が存在する限り、ステップ303−305を繰り返し、割り振りを行う。なお、割り振るべく需要家データが無くなった場合は図示していないが、その時点で図3の処理は終了する。
【0052】
一方、ステップ304において、次に優先度の高い調査員が存在しない場合、Noルートに進み、図3の処理は終了する。なお、厳密には、次の調査予定日に対する割り振り処理を行うため、再度、ステップ301から図3の処理を繰り返すことになる。この際、調査員の公平性を保つために、調査員の優先順位(図7の調査員データにおける「優先順位」)を、作業予定日ごとに変更することもできる。図3の処理を繰り返し実行し、一定期間の調査予定日(例えば、翌月一ヶ月分)に対する割り振りが完了すると、図2に処理に戻り、ステップ204を実行する。
【0053】
ステップ204は、ステップ203(図3)において、調査対象の需要家の割り振りが一通り完了した後に実行されるものである。ステップ204において、調査予定データ作成手段123は、割り振り結果に基づいて、調査予定データ(図9)を作成し、調査予定データ記憶部136に格納する。具体的には、調査対象の需要家に、割り振り結果に基づく調査予定日や担当調査員などを付与したデータを作成する。
【0054】
ステップ204の後、調査予定日通知データ作成手段124は、調査予定データ(図9)に基づいて、調査予定日通知データ(図10)を作成し、調査予定日通知データ記憶部137に格納する(ステップ205)。なお、調査予定日通知データ(図10)における「宛名」、「担当会社名」、「担当会社電話」などは、需要家コードと紐付けられる需要家データ(図4)や、調査員コードと紐付けられる調査会社データ(図示せず)から取得することができる。また、ステップ205以降は、需要家に対し、調査予定日を葉書などで通知するための処理である。図2では、ステップ205以降も、ステップ201からの一連の処理として図2に示しているが、実際には別処理として実行されることがある。例えば、割り振り処理による調査予定を仮決定とし、各調査員や管理者などが一度、内容を確認した後、本決定とする場合があるためである。
【0055】
次に、調査予定日通知データ作成手段124は、作成した調査予定日通知データ(図10)を印刷会社サーバに送信する(ステップ206)。別の実施形態では、調査予定日通知データ作成手段124は調査予定日通知データなどに基づいて、葉書データ(葉書フォーマットに所定データを埋め込んだ葉書印刷用のPDFファイルなど)を作成し、印刷会社サーバに送信する。これにより、印刷会社に対し、葉書の印刷と発送を依頼する。なお、印刷会社に葉書の印刷と発送を依頼せず、自動割り振りサーバ100で、葉書の印刷を発送を行なうこともできる。さらに、印刷会社が調査予定日通知データ(または葉書データ)を受信したその日、または所定日内に需要家に葉書を発送することになっている場合、自動割り振りサーバ100は、調査予定日通知データ(または葉書データ)の送信タイミングを調整することができる。例えば、自動割り振りサーバ100は、印刷会社の休日データを予め持っておき、調査予定日の遅くとも一週間前には需要家の元に葉書が届くように調整することもできる。ステップ206の後、本処理は終了する。
【0056】
なお、葉書を受け取った需要家から、指定された調査予定日時の調整依頼が発生する場合がある(例えば、葉書に記載された担当会社のコールセンター宛に電話連絡がくる)。この場合、担当会社の調査員、管理者、またはコールセンター担当者は、モバイル端末102や管理者端末103を介して、自動割り振りサーバ100に調査予定日時の調整要求を行う(例えば、変更後の予定日時を要求と共に送信する)。モバイル端末102や管理者端末103から調査予定日時の調整要求を受信すると、需要家自動割り振り手段122は、要求どおりに調整が可能か否かを判定し、可能であれば再割り振りを実行する。再割り振りは、同一の調査員に対してであっても良いし、別の調査員に対してであっても良いが、いずれにせよ、各調査員に割り振られた調査予定データにおける作業時間帯の空き日時に再割り振りされる。その後、各調査員は、調査予定データの内容にしたがって、保安調査作業を実施する。
【0057】
次に、図11のフローチャートを参照して、一実施形態に係る調査予定データ消し込みの一連の処理を詳細に説明する。図11は、本発明の一実施形態に係る調査予定データ消し込みの一連の処理を示すフロー図である。調査予定データ(図9)作成後に、調査対象の需要家との契約の解約、またはガス料金の滞納などがあった場合、調査対象の需要家は閉栓状態(ガスの供給が停止した状態)となり、調査が不要となるため、作成した調査予定データからの消し込み作業が必要になってくる。
【0058】
まず、ステップ1101にて、自動割り振りサーバ100は、管理者端末103などから閉栓通知を受信する。当該閉栓通知は、例えば、閉栓する需要家の識別子(例えば、需要家コード)を含むリストデータである。需要家との契約の解約やガス料金の滞納などがあった場合、これらの処理に連動して、または管理者端末103による手動入力により、閉栓通知が自動割り振りサーバ100に送信される。
【0059】
閉栓通知を受信すると、自動割り振りサーバ100は、閉栓する需要家の需要家コードを検索キーとして需要家データ(図4)を検索し、対象の需要家の「開栓種別」を“閉栓状態”に(「1」を設定)する(ステップ1102)。
【0060】
次に、自動割り振りサーバ100は、対象の需要家の調査予定データがあるか否かを検索する(ステップ1103)。これも、ステップ1102同様、閉栓する需要家の需要家コードを検索キーとして調査予定データ(図9)を検索する。対象の需要家の調査予定データがない場合は、ステップ1103のNoルートに進み、本処理は終了する。なお、ステップ1102と、ステップ1103および1104との処理順序は逆であってもよいが同一トランザクションで処理することが望ましい。
【0061】
一方、対象の需要家の調査予定データがある場合は、ステップ1103のYesルートに進み、自動割り振りサーバ100は、対象の需要家の調査予定データを削除する(ステップ1104)。これは、調査予定データ(図9)における対象の需要家のレコードを物理削除することもできるし、論理削除することもできる。特に、以下に詳述する消し込みリセット処理を行なう場合は、論理削除する必要がある。論理削除する場合は、調査予定データ(図9)における「削除フラグ」を“削除状態”に(「1」を設定)する。これにより、調査予定データとして無効なデータとなり、対象の需要家を調査対象から除外することができる。ステップ1104の後、本処理は終了する。
【0062】
次に、図12のフローチャートを参照して、一実施形態に係る調査予定データ消し込みリセットの一連の処理を詳細に説明する。図12は、本発明の一実施形態に係る調査予定データ消し込みリセットの一連の処理を示すフロー図である。調査予定データ(図9)に対して消し込み作業を行なった後、ガス料金が振り込まれるなどした場合、調査対象の需要家は再度開栓状態となり、調査が必要となるため、調査予定データに対する消し込み作業のリセット(すなわち、調査予定データの復活)が必要になってくる。
【0063】
まず、ステップ1201にて、自動割り振りサーバ100は、管理者端末103などから開栓通知を受信する。当該開栓通知は、閉栓通知同様、開栓する需要家の識別子(例えば、需要家コード)を含むリストデータである。ガス料金の振込みなどがあった場合、これらの処理に連動して、または管理者端末103による手動入力により、開栓通知が自動割り振りサーバ100に送信される。
【0064】
開栓通知を受信すると、自動割り振りサーバ100は、開栓する需要家の需要家コードを検索キーとして需要家データ(図4)を検索し、対象の需要家の「開栓種別」を“開栓状態”に(「0」を設定)する(ステップ1202)。
【0065】
次に、自動割り振りサーバ100は、対象の需要家の調査予定データを復活させる(ステップ1203)。より具体的には、調査予定データ(図9)における「削除フラグ」を“通常状態”に(「0」を設定)する。これにより、調査予定データとして有効なデータとなり、対象の需要家を調査対象とすることができる。ステップ1203の後、本処理は終了する。なお、ステップ1202とステップ1203との処理順序は逆であってもよいが同一トランザクションで処理することが望ましい。
【0066】
以上により、保安調査作業のスケジューリングを行ない、各調査員に調査対象の需要家を自動割り振りすることができる。また、自動割り振りにより作成された調査予定データ(スケジュールリスト)を印刷会社に連携し、需要家に対して調査予定の通知を行うことができる。加えて、自動割り振りされた調査予定の再調整を行うこともできる。さらに、調査対象の需要家が閉栓状態となった場合、調査予定データから対象の需要家を削除することができる。また、閉栓状態となった需要家が再度開栓状態となった場合に、調査予定データに対して対象の需要家を復活させることができる。
図1
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図5
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図11
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