特許第6243995号(P6243995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243995
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】化粧板
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20171127BHJP
   B32B 27/42 20060101ALI20171127BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20171127BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B32B27/00 E
   B32B27/42 102
   B32B27/00 101
   B32B27/30 D
   B01J35/02 J
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-224311(P2016-224311)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2017-94731(P2017-94731A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2016年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-225019(P2015-225019)
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀野 克年
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和紘
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−276149(JP,A)
【文献】 特開2005−199607(JP,A)
【文献】 特開2001−239619(JP,A)
【文献】 特開2009−279813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
E04F 13/00−15/22
D06N 1/00−7/06
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方面又は両面上に積層されるカップリング剤を含む表層樹脂層と、
前記表層樹脂層上に配置される耐食性樹脂層と、
前記耐食性樹脂層上に担持される機能性物質と、
からなり、
前記表層樹脂層がメラミン樹脂からなることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
前記カップリング剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及び、アルミネート系カップリング剤からなる群から選択された少なくとも1種である請求項に記載の化粧板。
【請求項3】
前記カップリング剤はシランカップリング剤である請求項に記載の化粧板。
【請求項4】
前記耐食性樹脂層は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
【請求項5】
前記機能性物質は、可視光応答型光触媒である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板。
【請求項6】
前記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンである請求項に記載の化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メラミン化粧板等の化粧板に、光触媒などの機能性物質を添加もしくは塗布することで、防汚性、抗菌性等の機能性を付与した化粧板が提供されている。
【0003】
特許文献1には、抗菌・抗ウィルス性等の機能を有する機能材を含有する樹脂塗膜で被覆されて機能材が表面近傍で固定化されていることを特徴とする機能性建材が提案されている。
【0004】
特許文献2には、紙の表面に抗菌性金属を担持させたカルシウム系セラミックス焼成物粉末よりなる抗菌剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂を塗布することで抗菌性ポリエステル化粧板を得る製造方法が提案されている。
特許文献3には、基材と、樹脂含浸化粧紙と、プラスチックフィルムにシリコーン系バインダーが塗布されたシリコーン塗布フィルムとを順次積層し、熱圧成形後、該プラスチックフィルムを除去し、光触媒コーティング剤を塗布してなることを特徴とする化粧板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−80210号公報
【特許文献2】特開平07−304619号公報
【特許文献3】特開2003−276149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3は、従来の化粧板を模式的に示す概略断面図である。
この化粧板3では、光触媒などの機能性物質14が表層樹脂層12に固定されている。
【0007】
図3に示した化粧板3では、光触媒などの機能性物質14が表層樹脂層12に長時間接触すると表層樹脂層12を劣化させることがある。具体的には、表層樹脂層12の変色や機能性物質14の脱落が生じることがある。これによって、機能性が低下するだけでなく、表層樹脂層12の変色による化粧板3の意匠性の低下、表面の凹凸の発生による化粧板3の外観の不具合を引き起こすという問題があった。
【0008】
また、化粧板の表層に機能性物質を添加又は塗布する場合があるが、このような場合、機能性物質は表層の表層樹脂層に埋まってしまい表層における露出部が少ないため、十分な機能性が発現できないという問題があった。さらに、化粧板には、ウィルス不活度が99.9%以上(大腸菌に対して不活化されていないウィルス濃度が1000分の1以下)相当となる高い抗菌性、抗ウィルス性を要求される場合もあり、このような場合、その機能性を充分に発現できないという課題もあった。
また、特許文献3のような化粧板では、樹脂層とシリコーン樹脂との間で剥離が生じるなどの問題が見られた。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、メラミン樹脂等からなる表層樹脂層の劣化を防ぎ、機能性の効果の維持、耐久性に優れた化粧板を提供することを目的とする。特に、抗菌性、抗ウィルス性の効果の維持に優れた化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の化粧板は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、
上記表層樹脂層上に配置され、カップリング剤を含む接着層と、上記接着層上に配置される耐食性樹脂層と、上記耐食性樹脂層上に担持される機能性物質と、からなることを特徴とする。
【0011】
すなわち、本発明は、基板と基板の表面上に積層される表層樹脂層を有し、カップリング剤を含む接着層が表層樹脂層上に配置され、接着層上に配置された耐食性樹脂層上に機能性物質が担持された構造を有する化粧板である。
また、本発明では、表層樹脂層とシリコーン樹脂層(耐食性樹脂層)の間に表層樹脂層を構成する樹脂とカップリング剤を含む接着剤の複合体からなる複合接着層が形成されていてもよい。この場合はシリコーン樹脂層(耐食性樹脂層)と表層樹脂層が強固に密着し、耐久性を向上させることができる。
さらに、本発明では、表層樹脂層にカップリング剤を含んでいてもよい。この場合もシリコーン樹脂層(耐食性樹脂層)と表層樹脂層が強固に密着し、耐久性を向上させることができる。
【0012】
本発明の化粧板では、光触媒などの機能性物質が耐食性樹脂層上に担持されているため、抗菌性、抗ウィルス性等、機能性物質としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
また、機能性物質が耐食性樹脂層上に担持されていると、機能性物質の表層樹脂層への接触を防止することができる。その結果、機能性物質による表層樹脂層の変色や劣化を防ぐことができる。
特に、本発明の化粧板では、機能性物質が樹脂層等の内部に含浸されている化粧板とは異なり、機能性物質が耐食性樹脂層の表面上に存在しているため、清掃等によって化粧板の厚さ方向に強い力がかかった場合であっても、機能性物質が表層樹脂層に接触することを防止できる。
さらに、耐食性樹脂層はカップリング剤を含む接着層上に配置されているため、表層樹脂層上に直接耐食性樹脂層を配置する場合と比べて、耐食性樹脂層と表層樹脂層の密着性が向上する。その結果、耐食性樹脂層上に担持される機能性物質が安定して化粧板の表層に担持されることになる。
【0013】
本発明の化粧板において、上記カップリング剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及び、アルミネート系カップリング剤からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記カップリング剤はシランカップリング剤であることがより好ましい。
接着層がこれらのカップリング剤を含むと耐食性樹脂層との密着性に優れるために好ましい。特にシランカップリング剤を含むと耐食性樹脂層との密着性により優れるためにより好ましい。
【0014】
本発明の化粧板において、上記接着層の厚さは、1〜300μmであることが好ましい。接着層の厚さを上記範囲とすることにより、接着層による接着性がより効果的に発揮されて、耐食性樹脂層と表層樹脂層の密着性をさらに向上させることができる。
【0015】
本発明の化粧板において、上記耐食性樹脂層は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなることが好ましい。
シリコーン樹脂やフッ素樹脂は、光触媒などの機能性物質によって酸化されにくい性質を有している。そのため、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなる耐食性樹脂層上に機能性物質を担持することにより、機能性物質の表層樹脂層への接触を防止することができるとともに、耐食性樹脂層の劣化を防ぐこともできる。
【0016】
本発明の化粧板において、上記機能性物質は、可視光応答型光触媒であることが望ましい。
【0017】
本発明の化粧板において、上記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましい。
【0018】
本発明の化粧板において、上記接着層は、上記表層樹脂層を構成する樹脂とカップリング剤を含む接着剤の複合体からなることが好ましい。
【0019】
また、本発明の化粧板の別の態様は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層されるカップリング剤を含む表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に配置される耐食性樹脂層と、上記耐食性樹脂層上に担持される機能性物質と、からなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の化粧板の別の態様において、上記カップリング剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及び、アルミネート系カップリング剤からなる群から選択された少なくとも1種であることが望ましい。
また、上記カップリング剤はシランカップリング剤であることがより望ましい。
【0021】
本発明の化粧板の別の態様において、上記耐食性樹脂層は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなることが望ましい。
【0022】
本発明の化粧板の別の態様において、上記機能性物質は、可視光応答型光触媒であることが望ましい。
【0023】
本発明の化粧板の別の態様において、上記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の化粧板では、光触媒などの機能性物質が耐食性樹脂層上に担持されているため、抗菌性、抗ウィルス性等、機能性物質としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。また、機能性物質が耐食性樹脂層上に担持されていると、機能性物質の表層樹脂層への接触を防止することができる。その結果、機能性物質による表層樹脂層の変色や劣化を防ぐことができる。特に、本発明の化粧板では、機能性物質が樹脂層等の内部に含浸されている化粧板とは異なり、機能性物質が耐食性樹脂層の表面上に存在しているため、清掃等によって化粧板の厚さ方向に強い力がかかった場合であっても、機能性物質が表層樹脂層に接触することを防止できる。さらに、耐食性樹脂層はカップリング剤を含む接着層上に配置されているため、表層樹脂層上に直接耐食性樹脂層を配置する場合と比べて、耐食性樹脂層と表層樹脂層の密着性が向上する。その結果、耐食性樹脂層上に担持される機能性物質が安定して化粧板の表層に担持されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
図2図2(a)、図2(b)、図2(c)及び図2(d)は、本発明の一実施形態に係る化粧板を製造する方法を模式的に示す概略断面図である。
図3図3は、従来の化粧板を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の化粧板について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
【0027】
本発明の化粧板1は、基板(図示せず)と基板の表面上に積層されるメラミン樹脂等からなる表層樹脂層12を有し、接着層15が表層樹脂層12上に配置され、耐食性樹脂層13が接着層15上に配置され、機能性物質14が耐食性樹脂層13上に担持された構造を有するものである。
【0028】
本発明の化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃基材等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃基材を積層させて基板とすることもできる。
【0029】
マグネシアセメント不燃基材は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃基材は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃基材の強度を高めるため、耐食性樹脂層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
【0030】
複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。例えば、基板の片面又は両面にメラミン樹脂含浸紙を積層し、熱圧成形する方法を用いることができる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
また、本発明の化粧板を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。
【0031】
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
【0032】
メラミン樹脂含浸紙は、パターン紙にメラミン樹脂を所定の含浸率で含浸させた後、加熱、乾燥させることにより作製される。メラミン樹脂をパターン紙に含浸させるには、溶媒として、例えば、ホルムアルデヒド水溶液を使用したメラミン樹脂含有溶液中にパターン紙を浸漬することにより行うことができる。また、メラミン樹脂含浸紙に曲げ加工性を付与するために、メラミン樹脂と共に可塑剤を含む溶液を含浸させることができる。可塑剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、パラトルエンスルフォン酸アミド、尿素等を使用することができる。パターン紙としては、例えばチタン紙が用いられる。パターン紙の坪量は、パターン紙の厚みや重さを考慮して80〜150g/mとすることができる。加熱、乾燥の温度は、パターン紙にメラミン樹脂を強固に固着させるために100〜150℃に設定することができる。メラミン樹脂含浸紙には後述するカップリング剤を0.1〜10重量%含んでいてもよい。
【0033】
本発明の化粧板における接着層又は表層樹脂層はカップリング剤を含む。カップリング剤は特に限定されるものではないが、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及び、アルミネート系カップリング剤からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが望ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0034】
接着層は、カップリング剤の他に、樹脂成分を含むことが好ましい。樹脂成分を含むと密着性を高めることができるためである。
樹脂成分としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、及び、シリコーンオイルから選択された少なくとも1種の樹脂成分であることが好ましい。これらの樹脂成分はカップリング剤と反応することによって接着力の強い接着層を形成することができ、耐食性樹脂層と表層樹脂層の密着性をさらに向上させることができる。
なお、接着層はカップリング剤成分を含んでいれば、カップリング剤以外の成分を必ずしも含まなくてもよい。
【0035】
本発明の化粧板において、接着層の厚さは、1〜300μmであることが望ましく、10〜100μmであることがより望ましい。接着層の厚さを上記範囲とすることにより、接着層による接着性がより効果的に発揮されて、耐食性樹脂層と表層樹脂層の密着性をさらに向上させることができる。
【0036】
本発明の化粧板において、耐食性樹脂層の材料は特に限定されないが、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂であることが望ましい。シリコーン樹脂やフッ素樹脂は、光触媒などの機能性物質によって酸化されにくい性質を有している。そのため、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなる耐食性樹脂層上に機能性物質を担持することにより、機能性物質の表層樹脂層への接触を防止することができるとともに、耐食性樹脂層の劣化を防ぐこともできる。
【0037】
シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンレジン、変性シリコーンオイル等を用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、分子内に1個以上の官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。官能基を導入する位置は特に限定されず、ポリシロキサン主鎖の片末端、両末端あるいは側鎖のいずれの位置に導入してもよい。また、官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、ヒドラジノ基、エポキシ基、メタクリル基、カルボキシル基、カルビノール基等を導入することができる。
【0038】
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、エチレン・テトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフロオロエチレンコポリマー(ECTFE)等が挙げられる。さらに、フッ素樹脂として、ポリフッ化ビニル系(PVF)、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等のフッ素ゴムを用いることもできる。
【0039】
本発明の化粧板において、耐食性樹脂層の厚さは、1〜1000μmであることが望ましく、10〜200μmであることがより望ましい。耐食性樹脂層の厚さを上記範囲とすることにより、耐食性樹脂層上に機能性物質を密着することができ、機能性物質の特性が充分に発揮される。
【0040】
本発明の化粧板において、耐食性樹脂層の形状は特に限定されず、適宜必要な形状に打ち抜き加工されていてもよい。
【0041】
本発明の化粧板において、機能性物質は、抗菌性、抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性等の機能を有する機能材であることが望ましい。例えば、抗菌性、抗ウィルス性の機能性物質としては、可視光応答型光触媒が挙げられる。この可視光応答型光触媒の具体例としては、例えば、酸化チタンに白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族、鉄、銅などを担持させたものなどが挙げられる。
本発明の化粧板において、可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましく、銅担持チタニア触媒であることがより望ましい。銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
【0042】
本発明の化粧板においては、機能性物質が耐食性樹脂層の表面上に存在していることが望ましく、機能性物質の一部が耐食性樹脂層中に埋没していてもよい。機能性物質の一部が耐食性樹脂層中に埋没していると、耐食性樹脂層と機能性物質との密着性を確保して、機能性物質の脱落を防止することができる。
【0043】
本発明の化粧板は、耐食性樹脂層の表層に無機ゾルの乾燥体又は有機ゾルの乾燥体を有していてもよい。無機ゾルの乾燥体又は有機ゾルの乾燥体を介して機能性物質を固定化することにより、機能性物質をより強固に固定化することができる。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができるが、シリカゾルを用いることが望ましい。有機ゾルとしては、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができ、また、フッ素樹脂を用いることもできる。その中でもシリコーン樹脂を用いることが望ましい。ゾルとしてシリカ又はシリコーン樹脂を用いることにより、機能性物質と耐食性樹脂層との密着性を向上させることができ、機能性物質の脱落が抑制され、機能性が維持される。
【0044】
次に、本発明の化粧板を製造する方法の一例について説明する。
本発明の化粧板は、例えば、基板の一方面又は両面上に樹脂含浸紙を積層する工程と、上記樹脂含浸紙が積層された上記基板を熱圧成形することにより、表層樹脂層を上記基板上に形成する工程と、上記表層樹脂層上にカップリング剤を含む接着層を配置する工程と、上記接着層上に耐食性樹脂層を配置する工程と、上記耐食性樹脂層上に機能性物質を担持させる工程とを経て製造することができる。
また、基板の一方面又は両面上にカップリング剤を含む樹脂含浸紙を積層する工程と、上記樹脂含浸紙が積層された上記基板上に、耐食性樹脂層を配置する工程を経た後、これら積層体を熱圧成形し、さらに上記耐食性樹脂層上に機能性物質を担持させる工程とを経て製造することができる。
【0045】
図2(a)、図2(b)、図2(c)及び図2(d)は、本発明の一実施形態に係る化粧板を製造する方法を模式的に示す概略断面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、熱圧成形により樹脂含浸紙22を表層樹脂層12とした後、表層樹脂層12上に接着層15を配置する。
そして、図2(c)に接着層15上に耐食性樹脂層13を配置し、図2(d)に示すように、耐食性樹脂層13上に機能性物質14を担持させる。
【0046】
最初に、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材等からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法、上記表層樹脂層については、本発明の化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
【0047】
本発明の化粧板においても説明したが、基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。具体的な表層樹脂層の形成方法としては、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面にメラミン樹脂等の樹脂含浸紙を積層する積層工程と、メラミン樹脂等の樹脂含浸紙が積層された基板を熱圧成形する熱圧成形工程を含む方法が挙げられる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
【0048】
熱圧成形する際の加熱条件としては、化粧板の温度を125〜150℃とすることができ、加圧条件としては、1.96〜9.80MPa(20〜100kg/cm)とすることができる。温度が125℃未満の場合又は圧力が1.96MPa未満の場合には、基板に対する樹脂含浸紙の密着性が不足し、剥離が発生しやすくなる。一方、温度が150℃を超える場合又は圧力が9.80MPaを超える場合には、亀裂が発生するおそれがある。
【0049】
表層樹脂層上に接着層を配置する方法としては、カップリング剤と、必要に応じて樹脂成分や溶剤等を含んだ接着剤溶液を調製し、この接着剤溶液を表層樹脂層上に塗布又は吹き付ける方法が挙げられる。また、上記接着剤溶液を樹脂含浸紙に塗布したり吹き付けてもよい。
【0050】
耐食性樹脂層を作製する方法としては、例えば、耐食性樹脂層がシリコーン樹脂からなる場合、シリコーン樹脂を含むゾル溶液等を離型フィルム上に塗工し、乾燥させた後、離型フィルムを除去することによって樹脂シートを作製する方法等が挙げられる。
そして、接着層上に上記樹脂シートを貼り付けることによって、接着層上に耐食性樹脂層を配置することができる。
また、耐食性樹脂層となる樹脂シート上に接着層を形成し、表層樹脂層に貼り付けることによって表層樹脂層と接着層と耐食性樹脂層とを順次積層することもできる。
さらに、表層樹脂層となる樹脂含浸紙の表面に接着層を形成し、基板となる樹脂含浸紙を当該表層樹脂層となる樹脂含浸紙の接着層が形成されていない側に積層、および離形フィルム上に層状に形成された耐食性樹脂からなる樹脂シートを、当該樹脂シートが接着層に接触するように、それぞれ積層した後、加熱プレスして一体化してもよい。
この場合、表層樹脂層を構成する樹脂と接着剤の複合体からなる複合接着層が形成されるため、密着性が改善される。この場合は、接着層として境界は確認されないが、複合接着層は接着層として機能する。
【0051】
耐食性樹脂層が配置された基板を、機能性物質を含む溶液中に浸漬することにより、機能性物質を耐食性樹脂層の表面上に担持させることができる。機能性物質を含む溶液を、耐食性樹脂層が配置された基板上に塗布または吹き付けることにより、機能性物質を耐食性樹脂層の表面上に担持させてもよい。
【0052】
機能性物質を含む上記溶液には、無機ゾル又は有機ゾルがさらに含まれていてもよい。機能性物質の固定化を補強することができるからである。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができ、シリカゾルを用いることが望ましい。有機ゾルとしては、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができ、また、フッ素樹脂を用いることもできる。その中でもシリコーン樹脂を用いることが望ましい。
【0053】
また、本発明の化粧板を製造する際には、接着層上に耐食性樹脂層を配置した後、耐食性樹脂層上に機能性物質を担持させてもよいし、耐食性樹脂層上に機能性物質を担持させた後、接着層上に耐食性樹脂層を配置してもよい。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmのロール紙を、メラミン樹脂溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させる。
【0055】
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経たロール紙を、メラミン樹脂溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂をロール紙に含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥・切断工程)
メラミン樹脂溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させる。乾燥後、910mm×1820mmに切断する。
【0056】
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたメラミン樹脂含浸紙を載せ、プレス機により、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着する。これにより、表面にメラミン樹脂含浸層を有する基板を得ることができる。
【0057】
(接着層形成工程)
シランカップリング剤及びシリコーンオイルを含む接着剤溶液を作製し、メラミン樹脂含浸層の表面に接着剤溶液を塗布する。接着層の厚さは10μmとする。
【0058】
(耐食性樹脂層形成工程)
離型フィルムであるPETフィルム上に、シリコーン樹脂を含むゾル溶液(シリコーン樹脂濃度:10重量%)をシート状に塗工し、100℃で30分間乾燥させることにより、PETフィルム上にシリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層を形成する。シリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層の厚さは、20μmとする。
【0059】
(耐食性樹脂層配置工程)
シリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層からPETフィルムを剥離した後、シリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層を上記接着層の表面に貼り付ける。
【0060】
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリーと、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製する。上記工程で得られたシリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層上に上記光触媒が担持された化粧板を得ることができる。
【0061】
(実施例2)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmのロール紙を、メラミン樹脂溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させる。
【0062】
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経たロール紙を、メラミン樹脂溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂をロール紙に含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥・切断工程)
メラミン樹脂溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させる。乾燥後、910mm×1820mmに切断する。
【0063】
(接着層形成工程)
シランカップリング剤及びシリコーンオイルを含む接着剤溶液を作製し、メラミン樹脂含浸紙の表面に接着剤溶液を塗布する。接着層の厚さは10μmとする。
【0064】
(耐食性樹脂層形成工程)
離型フィルムであるPETフィルム上に、シリコーン樹脂を含むゾル溶液(シリコーン樹脂濃度:10重量%)をシート状に塗工し、100℃で30分間乾燥させることにより、PETフィルム上にシリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層を形成する。シリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層の厚さは、20μmとする。
【0065】
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られる接着層が設けられたメラミン樹脂含浸紙を接着層が最表層となるように積層し、さらにシリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層が形成されたPETフィルムを、シリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層が上記接着層の表面に接触するように積層する。
プレス機により、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着する。PETフィルムを剥離し、これにより、表面にシリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層を有する基板を得ることができる。この加熱プレスにより、メラミン樹脂層と耐食性樹脂層の間にメラミン樹脂とシランカップリング剤の複合体からなる複合接着層が形成される。
【0066】
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリーと、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製する。上記工程で得られたシリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリコーン樹脂からなる耐食性樹脂層上に上記光触媒が担持された化粧板を得ることができる。
【0067】
(実施例3)
実施例2と同様であるが、ロール紙に含浸させるメラミン樹脂溶液として3重量%のシランカップリング剤を含むメラミン樹脂溶液を使用し、接着層形成工程を行わず、化粧板を製造する。
【0068】
(比較例1)
実施例2と同様であるが、接着層を形成せずに化粧板を製造する。
【0069】
(耐久試験)
実施例1、2、3及び比較例1の化粧板を5cm角に切断し、2時間(試験1)、10時間(試験2)の煮沸を行った後、沸騰水中の試験片を取り出し、23℃に保持された蒸留水の入った容器に移し、15分間冷却する。冷却後、試験片を取り出し、乾いた布地かフィルター紙で化粧板の表面の水をふき取る。
目視観察すると、試験1では実施例1、2、3の化粧板では、メラミン樹脂層と耐食性樹脂層との間で膨れは見られなかったが、比較例1では膨れが見られた。試験2では、実施例2、3の化粧板では、メラミン樹脂層と耐食性樹脂層との間で膨れは見られなかったが、実施例1、比較例1では膨れが見られた。
【0070】
以上のように、本発明の化粧板は、耐久性に優れ、表層樹脂層と耐食性樹脂層との密着性が十分確保されるため、光触媒により表層樹脂層が劣化することがない。特に複合接着層を形成させた場合、表層樹脂層にカップリング剤を含有させた場合は、表層樹脂層と耐食性樹脂層の密着が高温、高湿度環境下でも維持され、光触媒担持化粧板として極めて優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0071】
1,3 化粧板
12 表層樹脂層
13 耐食性樹脂層
14 機能性物質
15 接着層
22 樹脂含浸紙
図1
図2
図3