特許第6244003号(P6244003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244003不飽和アシル化剤及びポリ芳香族炭化水素を用いてグラフト化された粘度向上剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244003
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】不飽和アシル化剤及びポリ芳香族炭化水素を用いてグラフト化された粘度向上剤
(51)【国際特許分類】
   C10M 145/10 20060101AFI20171127BHJP
   C08F 8/48 20060101ALI20171127BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20171127BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20171127BHJP
   C10N 30/04 20060101ALN20171127BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20171127BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20171127BHJP
【FI】
   C10M145/10
   C08F8/48
   C10N20:04
   C10N30:02
   C10N30:04
   C10N30:06
   C10N40:25
【請求項の数】25
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-500111(P2016-500111)
(86)(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公表番号】特表2016-512274(P2016-512274A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2013071263
(87)【国際公開番号】WO2014149086
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】13/837,868
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598037547
【氏名又は名称】シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドゥーガル、パトリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パテル、プリテシュ エイ.
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−060171(JP,A)
【文献】 特開平01−284593(JP,A)
【文献】 特表2007−528435(JP,A)
【文献】 特開2008−111126(JP,A)
【文献】 特表2015−522694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00〜177/00
C10N 10/00〜 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)7,000500,000の間の数平均分子量(Mn)を有する炭化水素ポリマー;
(b)エチレン性不飽和アシル化剤;及び
(c)3個〜6個の隣接する縮合炭素環を有するヒドロキシル結合多環炭化水素化合物(前記炭素環が独立的に5個〜7個の炭素原子から選択され、前記多環炭化水素化合物が少なくとも5つのπ結合を含む。)
を反応させる工程を含むプロセスにより調製される、油溶性潤滑油添加剤。
【請求項2】
前記炭化水素ポリマーが、(1)2個から28個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンのポリマー;(2)ジエンのポリマー;(3)共役ジエンとビニル置換芳香族化合物とのコポリマー;及び(4)星型ポリマーからなる群から選択されるホモポリマー又はコポリマーである、請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項3】
前記コポリマーが、(1)2個から28個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンのポリマーから選択され、1種のオレフィンはエチレンである、請求項2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項4】
前記コポリマーのエチレン含量が、エチレン45〜52重量%である、請求項3に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項5】
前記コポリマーが、7,000から60,000の数平均分子量を有するエチレン−プロピレンコポリマーである、請求項4に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項6】
前記炭化水素ポリマーが、ジエンの任意に水素化されたポリマーであり、前記ジエンは、イソプレン、ブタジエン、及びピペリレンからなる群から選択される共役ジエンである、請求項2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項7】
前記炭化水素ポリマーが、共役ジエンとビニル置換芳香族化合物との任意に水素化されたコポリマーであり、前記ビニル置換芳香族化合物がスチレン系モノマーである、請求項2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項8】
前記ジエンが、イソプレン及び1,3−ブタジエンからなる群から選択される、請求項7に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項9】
前記炭化水素ポリマーが星型ポリマーであり、そのアームがジエン及びビニル置換芳香族化合物から誘導される、請求項2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項10】
前記エチレン性不飽和アシル化剤が、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸(methyacrylic acid)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニット酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、及びこれらの酸のエステル、並びにこれらの組合せからなる群のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項11】
前記炭化水素コポリマーのグラフト化は、フリーラジカル開始剤の存在下で100℃から250℃で行われる、請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項12】
前記炭化水素ポリマーの主鎖が、ポリマーの全質量に対して無水マレイン酸が0.5から3.0重量%の範囲にて、無水マレイン酸アシル化剤で官能化されている、請求項11に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項13】
前記エチレン性不飽和アシル化剤を最初にヒドロキシル結合多環炭化水素化合物と反応させて、反応生成物を形成し、前記反応生成物をポリマー主鎖にグラフト化させる、請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項14】
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、1個から10個の炭素原子を有するヒドロキシ−アルキレン基、ヒドロキシル - アルキ(alky) - オキシ、ヒドロキシル−アルク−(オキシ−アルク)− オキシ及びヒドロキシル−アルク−(オキシ - アルク)−チオ−からなる群から選択されるリンカー基を有し、各場合についてアルクが独立的に、2個から6個の炭素原子から選択されるアルキレンであり、nが1から100のうちの1つの整数である、請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項15】
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、1個から10個の炭素原子を有するヒドロキシ−アルキレン基からなる群から選択されるリンカー基を有する、請求項14に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項16】
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、ヒドロキシル−アルキ(alky)−オキシ(アルクが2個から6個の炭素原子から選択されるアルキレンである)からなる群から選択されるリンカー基を有する、請求項14に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項17】
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、ヒドロキシル −アルク−(オキシ−アルク)−オキシ及びヒドロキシル− アルク−(オキシ−アルク)−チオ−(各場合についてアルクが独立的に、2個から6個の炭素原子から選択されるアルキレンであり、nが1から100のうちの1つの整数である)からなる群から選択されるリンカー基を有する、請求項14に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項18】
nが5から25のうちの1つの整数である、請求項17に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項19】
脂肪族アルコール、脂環式アルコール、及びモノヒドロキシポリエーテルからなる群からの第2選択アルコールを反応させる工程を更に含む、請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項20】
反応工程を含む前記プロセスは、押出機により行われる、請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
【請求項21】
不活性液体有機希釈剤及び3から50重量%の請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤を含む、添加剤濃縮物。
【請求項22】
前記不活性液体有機希釈剤は、グループII、グループIII、グループIV若しくはグループVの基油、若しくはこれらの混合物、又はグループIの基油とグループII、グループII若しくはグループIVの基油の少なくとも1種との混合物から選択される希釈油である、請求項21に記載の添加剤濃縮物。
【請求項23】
過半量の潤滑粘度の油と、少量の請求項1に記載の油溶性潤滑油添加剤とを含む潤滑油組成物。
【請求項24】
酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、摩擦調整剤、腐食及び錆防止剤、粘度指数向上剤、並びに消泡剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、請求項23に記載の潤滑油組成物。
【請求項25】
少なくとも1種の前記添加剤が、高荷重ディーゼルエンジン潤滑油組成物に使用するために選択される、請求項24に記載の潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油用性能向上添加剤を対象とする。特に、本発明は、潤滑油組成物において使用される場合に、粘度、分散性、及び摩耗特性を向上させるのに有用なポリマー添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素ポリマー、特にエチレン−アルファオレフィンコポリマーは、油組成物用、特に潤滑油組成物用の粘度指数(V.I.)向上添加剤として、広く使用されている。これらのエチレン−アルファオレフィンコポリマーV.I.向上剤を更に反応させて、多機能V.I.向上剤を形成する方向に向けられた非常に多くの先行技術が存在する。この多機能V.I.向上添加剤は、油のV.I.特性を向上させるためだけでなく、運転中又はエンジン内で潤滑油としての使用中に形成し得る煤やスラッジを懸濁させるように分散性を付与するためにもしばしば使用される。他の多機能V.I.向上剤もまた、エンジン動作を持続させるのに非常に有用な耐摩耗特性及び抗酸化特性の両者を付与することが報告されている。
【0003】
分散性V.I.向上剤を調製する最も一般的な方法としては、先ずエチレン−アルファオレフィンコポリマーを、エチレン性不飽和成分、典型的には無水マレイン酸を用いてグラフト化し、その後、前記グラフト化ポリマーをポリアミンと反応させることが挙げられる。多機能特性を付与するのに使用されるポリアミンは、性質の可変性が非常に高く、このポリアミンとして脂肪族と芳香族の両方の性質を有するポリアミンを使用することが挙げられる。
【0004】
多くの特許には、アルキレンポリアミンをグラフト化コポリマーと共に使用することが開示されている。1967年4月25日にDorerに付与された米国特許第3,316,177号には、無水マレイン酸を用いてグラフト化したエチレン−プロピレンコポリマーと共にアルキレンポリアミンを使用することが教示されている。この組成物は、有害な堆積物の形成を阻害するのに有用な、燃料、潤滑剤及び石油留分に対する添加剤であると教示されている。
【0005】
1979年7月10日にStambaughらに付与された米国特許第4,160,739号には、主鎖ポリマーが、実質的に直鎖状のエチレン−プロピレンコポリマー等のポリマー炭化水素であり、且つグラフト化された単位が、マレイン酸又は無水マレイン酸とこれらに共重合可能な1種又は複数種の他のモノマーとを含むモノマー系残基である、グラフトコポリマーが開示されている。グラフトコポリマー系は、第1級又は第2級アミンを含むポリアミン化合物と、後の反応をする。グラフトコポリマーは、清浄性、粘度指数向上及び他の有用な特性の組み合わせを、潤滑油及び炭化水素モータ燃料に付与すると述べられている。
【0006】
1988年4月5日にChungに付与された米国特許第4,735,736号には、無水マレイン酸等の不飽和酸材料を用いてグラフト化させ、その後ポリアミン、好ましくは第3級−第1級アミンと反応させ、そして、脂肪族モノアミンを用いて処理及び/又は反応させた、V.I.向上剤として有用な油溶性エチレン−アルファオレフィン炭化水素ポリマー、好ましくはエチレン−プロピレンコポリマーが開示されている。得られた材料は、潤滑油等の油組成物中で、スラッジ分散特性を有する粘度指数向上剤として使用される。モノアミン処理により、貯蔵によって添加剤の粘度が高くなるのを阻害すると述べられている。
【0007】
芳香族官能性を含有するポリアミンもまた、特許文献にかなり記載されている。1989年9月5日にNalesnikに付与された米国特許第4,863,623号には、グラフト及びアミン誘導体化コポリマーを含む添加剤組成物が開示され、このグラフト及びアミン誘導体化コポリマーの調製は、エチレン及び少なくとも1種のC〜C10アルファ−モノオレフィンを、少なくとも1種のオレフィン系カルボン酸アシル化剤と反応させて、1種又は複数種のアシル化反応中間体を形成し、この反応中間体は、それらの構造内にカルボン酸アシル化基を有することを特徴とし、この反応中間体をアミノ−芳香族ポリアミンと反応させて行われる。アミン−誘導体化コポリマーを含有する潤滑油組成物もまた開示されている。
【0008】
Mishraらに、1995年7月4日に付与された米国特許第5,429,757号及び1996年10月8日に付与された米国特許第5,563,118号には、少なくとも1種のオレフィン系カルボン酸アシル化剤と反応させて、1種又は複数種のアシル化反応中間体を形成させ、この反応中間体をアミノ−芳香族化合物と反応させた、エチレン−アルファ−オレフィンコポリマーから調製されたグラフト及び誘導体化コポリマーを含む、添加剤組成物が開示されている。この添加剤組成物を含有する潤滑油組成物もまた提供される。
【0009】
1999年8月24日にKapuscinskiらに付与された米国特許第5,942,471号には、抗酸化特性もまた有する分散性オレフィンコポリマーの調製が開示されている。この実施例では、フェノチアジン及びN−フェニル−p−フェニレンジアミン等の特定の芳香族ポリアミンを使用し、これは、エチレン性不飽和基でグラフト化されたエチレン−プロピレンコポリマーと組み合わせて反応される。添加剤組成物は、潤滑油に使用される場合、V.I.向上性、分散性、耐摩耗性、及び抗酸化特性を与えると述べられている。
【0010】
モノアミンを、エチレン性不飽和基でグラフト化されたコポリマーと共に使用することもまた記載されているが、その程度はポリアミン官能基の場合よりも低い。2010年9月7日にCovitchらに付与された米国特許第7,790,661B2号には、潤滑油に使用される場合に煤取扱性能が改善する官能化ポリマーを製造するための、幾つかの芳香族モノアミンを使用が教示されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、一部において、潤滑油に添加することができるポリマー添加剤を対象とし、粘度特性の改善、分散性及び煤の濃厚化の改善に寄与し、更に例えば機械設備用の潤滑油配合物に使用される場合、摩耗特性の向上に寄与するポリマー添加剤を対象とする。
【0012】
従って、(a)約7,000と約500,000の間の数平均分子量(Mn)を有する炭化水素ポリマーを;(b)エチレン性不飽和アシル化剤と;及び(c)3から6個の隣接する縮合炭素環を有するヒドロキシル結合多環炭化水素化合物(ここで、炭素環は5から7個の炭素原子から独立的に選択され、多環炭化水素化合物は少なくとも5つのπ結合を含有する。)と反応させる工程を含むプロセスにより調製される油溶性潤滑油添加剤組成物が開示される。ポリマー主鎖の混合物、アシル化剤の混合物及び/又はヒドロキシル結合多環炭化水素化合物の混合物が含まれる。この点に関し、油溶性潤滑油添加剤は、主鎖にペンダントする1種又は複数種の種々のヒドロキシル結合多環炭化水素を有することができ、又は任意に、アシル化剤を、脂肪族アルコール、脂環式アルコール及びモノヒドロキシポリエーテルからなる群からの第2選択アルコールと更に反応させる。一態様では、ポリマーを、エチレン性不飽和アシル化剤と先ず反応(即ち、官能化又はグラフト化)させて、グラフト化ポリマー中間体を形成させ、これをヒドロキシル結合多環炭化水素化合物と反応させる。別の態様では、エチレン性不飽和アシル化剤を、先ずヒドロキシル結合多環炭化水素化合物と反応させて、反応生成物を形成し、その後、この反応生成物をポリマー主鎖にグラフト化させる。この点に関し、油溶性潤滑油添加剤組成物は、グラフト化された油溶性潤滑油添加剤組成物である。これらの反応は、押出機中で行うことができる。
【0013】
一実施形態では、炭化水素ポリマーは、(1)2から約28個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンのポリマー;(2)ジエンのポリマー;(3)共役ジエンとビニル置換芳香族化合物とのコポリマー;及び(4)星型ポリマー(スターポリマー)からなる群から選択されるホモポリマー又はコポリマーである。これに関し、コポリマーは、(1)2から約28個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンのポリマーから選択され、1種のオレフィンはエチレンであり、より詳細には、コポリマーは、7,000から約60,000の数平均分子量を有するエチレン−プロピレンコポリマー又はエチレン−プロピレン−ジエンコポリマーである。
【0014】
従って、適切な炭化水素ポリマーは、ジエンの任意に水素化されたポリマーであり、ここで、当該ジエンは、イソプレン、ブタジエン、及びピぺリレンからなる群から選択される共役ジエンである。同様に、炭化水素ポリマーは、共役ジエンとビニル置換芳香族化合物との水素化コポリマーであり、ここで、当該ビニル置換芳香族化合物はスチレンモノマーであり、より詳細には、ジエンは、イソプレン及び1,3−ブタジエンからなる群から選択される。別の態様では、炭化水素ポリマーは星型ポリマーであり、そのアームはジエン及びビニル置換芳香族化合物から誘導される。
【0015】
一態様では、エチレン性不飽和アシル化剤は、カルボン酸又はその官能性誘導体を有し、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸(methyacrylic acid)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニット酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、及びこれらの酸のエステル、並びにこれらの組合せからなる群の少なくとも1つを含む。エチレン性不飽和カルボン酸又はその官能性誘導体は、典型的には、反応温度におけるエン反応を介して炭化水素ポリマー主鎖にグラフト化され、又は炭化水素コポリマーのグラフト化は、フリーラジカル開始剤の存在下、約100℃〜約250℃で行われる。この点に関し、炭化水素ポリマー主鎖は、ポリマーの全質量に対して無水マレイン酸が0.5から10.0重量%の範囲、より好ましくはポリマーの全質量に対して無水マレイン酸が0.5から3.0重量%に及ぶ無水マレイン酸アシル化剤で適切に官能化されている。
【0016】
一態様では、ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物は、1から10個の炭素原子を有するヒドロキシ−アルキレン基、ヒドロキシル−アルキ(alky)−オキシ−、ヒドロキシル - アルク(alk)−(オキシ−アルク)−オキシ及びヒドロキシル−アルク−(オキシーアルク)−チオ−(各場合について、アルクは独立的に、2から6個の炭素原子から選択されるアルキレンであり、nは、1から100のうちの1つの整数である)から成る群から選択されるリンカー基を有する。この点に関し、ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物は、1から10個の炭素原子を有するヒドロキシ−アルキレン基からなる群から選択されるリンカー基を有する。別の態様では、ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物は、ヒドロキシル−アルキ−オキシ(アルクは2から6個の炭素原子から選択されるアルキレンである。)からなる群から選択されるリンカー基を有する。更に別の態様では、ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物は、ヒドロキシル−アルク−(オキシ−アルク)−オキシ及びヒドロキシル − アルク−(オキシ−アルク)−チオ−(各場合について、アルクは独立的に、2から6個の炭素原子から選択さるアルキレンであり、nは、1から100のうちの1つの整数である)からなる群から選択されるリンカー基を有する。種々のヒドロキシル結合型多環炭化水素化合物の混合物を使用することができ、必要に応じて第2級アルコールと共に使用することができる。典型的には、第2級アルコールは、ヒドロキシル結合多環炭化水素と比較して、同じか又はそれより小さいモル比で使用される。ある態様では、工程a)、b)及びc)の反応が、先ず行われ、その後、工程d)で、得られた反応化合物を、脂肪族アルコール、シクロ脂肪族アルコール及びモノヒドロキシポリエーテルからなる群からの反応性アルコールから選択される1種又は複数種の第2級アルコールと更に反応させる。
【0017】
一態様では、添加剤濃縮物を対象とし、これは、不活性液体有機希釈剤、及び、前記添加剤濃縮物(additive)の全重量に対して約3から約95重量%の油溶性潤滑油添加剤組成物を含み、前記油溶性潤滑油添加剤組成物は、(a)約7,000から約500,000の間の数平均分子量(Mn)を有する炭化水素ポリマー(前記ポリマー主鎖は、エチレン性不飽和アシル化剤で官能化されている。);及び(b)3から6個の隣接する縮合炭素環を有するヒドロキシル結合多環炭化水素化合物(前記炭素環は独立的に5から7個の炭素原子から独立的に選択され、且つ多環炭化水素(hydrogen)化合物は少なくとも5つのπ結合を含有する。)を反応させる工程を含むプロセスにより調製される。
【0018】
適切な有機希釈剤は、当技術分野において知られており、特に適切な希釈剤は、より好ましくは、グループI、グループII、グループIII若しくはグループIVの基油、若しくはこれらの混合物、又はグループIの基油とグループII、グループII若しくはグループIVの基油のうち少なくとも1種との混合物から選択される希釈油である。
【0019】
別の態様では、過半量の潤滑粘度の油と、少量の、上記パラグラフで引用された添加剤濃縮物の油溶性潤滑油添加剤又は上記のような実質的に未希釈の油溶性潤滑油添加剤組成物とを含む潤滑油組成物を対象とする。最終的な潤滑油を対象とする場合、抗酸化剤、抗摩耗剤、清浄剤、分散剤、摩擦調整剤、腐食及び錆防止剤、粘度指数向上剤、並びに消泡剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含むことができる。このように、組成物を、用途に応じて特別仕様で調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用される「炭化水素」、「ヒドロカルビル」又は「炭化水素をベースにした」という用語は、記載されている基が、本発明の文脈内で主として炭化水素の特徴を有することを意味する。これらには、その性質が純粋に炭化水素である基、即ち炭素及び水素のみを含有する基が含まれる。これらには、その基の炭化水素としての主な特徴を変化させない、置換基又は原子を含有する基もまた含むことができる。そのような置換基には、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−等を含み得る。これらの基もまた、ヘテロ原子を含有し得る。適切なヘテロ原子は、当業者には明らかであり、例えば硫黄、窒素、及び酸素が含まれる。従って、これらの基は、本発明の文脈内で主に炭化水素の性質を残しつつ、通常ならば炭素原子で構成される鎖又は環内に、炭素以外の原子を含有することができる。
【0021】
一般に、約3個以下、好ましくは1個以下の非炭化水素置換基又はヘテロ原子が、炭化水素又は炭化水素をベースにした基の10個の炭素原子毎に存在することになる。最も好ましくは、基は、純粋に炭化水素の性質であり、即ち、基は、炭素及び水素以外の原子を本質的には含まない。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、油溶性又は分散性という表現が使用される。油溶性又は分散性とは、所望のレベルの活性又は性能を与えるのに必要な量を、潤滑粘度の油中に溶解、分散又は懸濁することによって組込むことができることを意味する。通常、これは、材料の少なくとも約0.001重量%を潤滑油組成物に組込むことができることを意味する。油溶性及び分散性、特に「安定な分散性」という用語に関する更なる考察については、この点に関して関連ある教示について、参照により本明細書に明らかに組込まれる米国特許第4,320,019号を参照されたい。
【0023】
本明細書及び添付される特許請求の範囲で使用されるように、単数形は、別に明確な指示がない限り、複数もまた含むことに留意すべきである。従って、単数形の「a」、「an」及び「the」は複数もまた含み;例えば「アミン(an amine)」は、同じタイプのアミン類の混合物を含む。別の例として、単数形の「アミン」は、別に明確な指示がない限り、単数と複数との両方を含むことを意図する。
【0024】
本明細書中で、炭化水素ポリマーという表現を使用するが、「ポリマー」という表現は、全てのタイプのポリマー、即ちホモポリマー及びコポリマーを指す。ホモポリマーという用語は、本質的に1種のモノマー種から誘導されるポリマーを指し;コポリマーは、2種以上のモノマー種から誘導されるポリマーであると本明細書では定義される。
【0025】
炭化水素ポリマーは、本質的に炭化水素をベースにしたポリマーであり、通常、約7,000から約500,000、しばしば約20,000から約200,000、頻繁には約30,000から約100,000の間の数平均分子量(Mn)を有する。炭化水素ポリマーの分子量は、文献に記載される周知の方法を使用して測定される。分子量を測定するための手順の例としては、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィとしてもまた知られる。)及び蒸気相浸透圧測定法(VPO)がある。これらは平均分子量であることが理解される。GPC分子量は、典型的には約5〜10%以内で正確である。狭い多分散性であっても、Mnが約20,000のポリマーは、約15,000程度に低い幾つかの種を有する可能性がある。Mnが約35,000であり、Mnが約20,000であるポリマーは、約10,000程度に低く、そして75,000程度に高いポリマー成分に対応するGPCピークを有する可能性がある。
【0026】
これらの及び他の手順は:P.J.Flory、「ポリマー化学の原理(Principles of Polymer Chemistry)」、Cornell University Press(1953)、Chapter VII、pp.266〜316、「マクロ分子、ポリマーサイエンスへの序論(Macromolecules,an Introduction to Polymer Science)」、F.A.Bovey及びF.H.Winslow、Editors、Academic Press(1979)、pp.296〜312、W.W.Yau、J.J.Kirkland及びD.D.Bly、「モデムサイズ排除液体クロマトグラフィ(Modem Size Exclusion Liquid Chromatography)」、John Wiley and Sons、New York、1979を含む数多くの刊行物に記載されている。
【0027】
他に指示しない限り、本明細書で言及されるGPC分子量はポリスチレン当量であり、即ち、ポリスチレン標準を用いて測定される分子量である。ポリマーの分子量に相補的な測定は、メルトインデックス(ASTM D−1238)である。メルトインデックスが高いポリマーは、一般に分子量が低く、その逆もまた然りである。本発明のポリマーは、230℃及び2.16kg荷重におけるASTM D1238の条件Lを使用して測定した場合、好ましくは200dg/分までの、より好ましくは5〜20dg/分のメルトインデックスを有する。
【0028】
ポリマーの分子量が所望する値よりも大きい場合、この分子量は当技術分野で知られている技法により低減させることができる。そのような技法には、マスチケーター、ボールミル、ロールミル及び押出機等を用いたポリマーの機械的剪断が含まれる。酸化的又は熱的な剪断又は分解技法もまた有用であり、且つ知られている。ポリマーを剪断するための数多くの手順の詳細は、米国特許第5,348,673号に示されている。分子量を小さくすることにより、ポリマーのその後の剪断安定性が向上する傾向もある。
【0029】
好ましい実施形態では、炭化水素ポリマーは:(1)2から約28個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンのポリマー;(2)ジエンのポリマー;(3)共役ジエンとビニル置換芳香族化合物とのコポリマー;及び(4)星型ポリマーからなる群から選択される、少なくとも1種の油溶性又は分散性のホモポリマー又はコポリマーである。
【0030】
これらの好ましいポリマーについて、以下に更に詳細に説明する。
(1)脂肪族オレフィンのポリマー
炭化水素ポリマーは、その主鎖が、本質的に脂肪族オレフィン、特にアルファオレフィンのモノマーから構成されるポリマーであり得る。従って、この実施形態のポリオレフィンからは、エステルモノマーや酸モノマー等、主ポリマー中で共重合される他のタイプのモノマーである大きな成分を有するポリマーは除外される。ポリオレフィンは、そのような材料を不純物量にて、例えば他のモノマーを5重量%未満、より頻繁には1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満にて含有し得る。有用なポリマーは、エチレン及びCからC28アルファ−オレフィンの油溶性又は分散性コポリマーを含む。
【0031】
オレフィンコポリマーは、好ましくは、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィにより決定される、約7,000から約500,000、しばしば約20,000から約300,000、しばしば約200,000まで、より頻繁には約30,000から約100,000、更により頻繁には約30,000から約50,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。例示的な多分散性の値(Mw/Mn)は、約1.5から約10まで、しばしば約3.0まで、好ましくは約1.7から、しばしば約2.0から約2.5まで及ぶ。
【0032】
これらのポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得、好ましくは、2から約28個の炭素原子を有するアルファ−オレフィンのポリマーである。好ましくは、これらのポリマーはコポリマーであり、より好ましくは、エチレンと、3から約28個の炭素原子を有する少なくとも1種の他のアルファ−オレフィン、即ち式CH=CHRaである(式中、Raは、1から26個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖アルキル基である。)のうち1種とのコポリマーである。好ましくは、Raは、1から8個の炭素原子のアルキルであり、より好ましくは、1から2個の炭素原子のアルキルである。その例には、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のモノオレフィンからのホモポリマーと、好ましくはエチレンとこれらモノマーの1種又は複数種とのコポリマーが含まれる。好ましくは、オレフィンのポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーであり、別の好ましいオレフィンコポリマーは、エチレン−1−ブテンコポリマーである。
【0033】
コポリマーのエチレン含量は、好ましくは10から80重量パーセントの範囲にあり、より好ましくは40から75重量パーセントに及ぶ。プロピレン及び/又は1−ブテンを、エチレンとのコモノマー(単数又は複数)として用いられる場合、そのようなコポリマーのエチレン含量は、最も好ましくは45から65重量パーセント、より好ましくは45から52重量パーセントに及ぶが、これよりも高い又は低いエチレン含量で存在していてもよい。最も好ましくは、これらのポリマーはエチレンホモポリマーを実質的に含まないが、そのミクロ構造内に小さい結晶質ポリエチレンセグメントが存在することにより、結晶化度を示す可能性がある。ポリマーは、10から80重量パーセントの範囲の種々のエチレン含量を有する2種以上のホモポリマーのブレンドであり得る。そのようなポリマーブレンドは、押出機等の混合装置で2種以上のポリマーを混合することによって;又は各反応器がホモポリマー若しくはコポリマーを作る一連の又は並行的な反応器において各ポリマーを作ることによって、作製することができる。
【0034】
ある特定の実施形態では、ポリマーは、ブテン、特にイソブテンから誘導されるホモポリマーである。特に好ましいのは、ポリマーが、末端ビニリデンオレフィン2重結合を含む場合である。
【0035】
本明細書におけるコポリマーは、限定するものではないがエチレンと1種又は複数種のCからC28のアルファ−オレフィンとのブレンド又は反応生成物、更に任意に他のジエン又はポリエンを含むことができ、従って本明細書では、ターポリマー及び他の多元形態を含んでいてもよい。コポリマーを形成するためにプロピレンの代わりに適切な、又はターポリマーを形成するためにエチレン及びプロピレンと組み合わせて使用される、他のアルファ−オレフィンには、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及びスチレン;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン等のアルファ−オメガ−ジオレフィン;4−メチルブテン−1,5−メチルペンテン−1及び6−メチルヘプテン−1等の分枝鎖アルファ−オレフィン;スチレン等のビニル置換芳香族化合物;並びにこれらの混合物が含まれる。ポリマー基材を作製するための方法は、例えば、参照によりその記述が本明細書に組込まれる米国特許第4,863,623号、第5,075,383号及び第6,107,257号にもまた記載されている。
【0036】
しばしばインターポリマーと称される、より複雑なポリマー基材を、オレフィンポリマー出発材料として使用してもよく、これは第3の成分を使用して製造することができるものである。インターポリマー基材を製造するのに一般に使用される第3の成分は、非共役ジエン及びトリエンから選択されるポリエンモノマーである。非共役ジエン成分は、鎖中に5から14個の炭素原子を有するものである。好ましくは、ジエンモノマーは、その構造内にビニル基が存在することによって特徴付けられ、環状及びビシクロ化合物を含むことができる。代表的なジエンには、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ビニルノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン(norborene)、1,5−ヘプタジエン及び1,6−オクタジエンが含まれる。複数のジエンの混合物を、インターポリマーの製造に使用することができる。ターポリマー又はインターポリマー基材を製造するための好ましい非共役ジエンは、1,4−ヘキサジエンである。
【0037】
トリエン成分は、少なくとも2つの非共役2重結合と、約30個までの炭素原子を鎖中に有することになる。本開示のインターポリマーを製造するのに有用な典型的なトリエンは、1−イソプロピリデン−3α,4,7,7α−テトラヒドロインデン、1−イソプロピリデンジシクロペンタジエン、ジヒドロ−イソジシクロペンタジエン、及び2−(2−メチレン−4−メチル−3−ペンテニル)[2.2.1]ビシクロ−5−ヘプテンである。
【0038】
エチレンオレフィンコポリマー基材を形成するのに使用される重合反応は、一般に、エチレン及び他の高級アルファ−オレフィン及び任意に3種以上のモノマーを、上述のポリマー又はインターポリマーに重合することが可能な、触媒系の存在下で実施することができる。そのような重合に使用される典型的な触媒系は、チーグラーナッタ若しくはメタロセン、又は2元触媒系若しくは可逆的連鎖移動(chain shuttling)触媒等の他の知られている触媒系である。チーグラーナッタ触媒には、遷移金属、特にチタン、クロム、バナジウム及びジルコニウムのハロゲン化物と、非遷移金属の有機誘導体、特にアルキルアルミニウム化合物との多くの混合物が含まれる。本明細書で使用される「メタロセン」及び「メタロセン触媒前駆体」という用語は、シクロペンタジエニル(Cp)配位子、少なくとも1つの非シクロペンタジエニル誘導配位子X(例えば、脱離基)、及びゼロ又は1つのヘテロ原子含有配位子Yと共に遷移金属Mを保有する化合物であって、配位子がMに配位し且つその数がMの原子価に相当する化合物を指す。メタロセン触媒前駆体は、一般に中性錯体であるが、適切な共触媒により活性化された場合は活性メタロセン触媒をもたらし、これは一般に、オレフィンを配位し、挿入し且つ重合することのできる空の配位部位を有する有機金属錯体を指す。メタロセン触媒前駆体は、好ましくは、メタロセン化合物の1種であり又は混合物である。2元触媒系及び可逆連鎖移動触媒の例は、参照として本明細書に組込まれる米国特許第7,999,039号、第6,875,816号及び第6,942,342号に見出すことができる。
【0039】
ポリマーを形成する重合反応は、一般に、溶媒媒体中における触媒の存在下で実施される。重合溶媒は、チーグラーナッタ又はメタロセン型触媒の存在下で一般に実施されるモノオレフィンの溶液重合の反応条件下では液体である、任意の適切な不活性有機溶媒であってもよい。満足のいく炭化水素溶媒の例には、約5から約8個の炭素原子を有する直鎖パラフィンが含まれ、ヘキサンが好ましい。芳香族炭化水素、好ましくはベンゼン及びトルエン等の単一のベンゼン核を有する芳香族炭化水素と;上記の直鎖パラフィン系炭化水素及び芳香族炭化水素の沸点範囲に近似した沸点範囲を有する飽和環状炭化水素が、特に適切である。選択される溶媒は、前記の炭化水素の1種又は複数種の混合物であってもよい。溶媒は、重合反応を妨げることになる物質を含まないことが望ましい。
【0040】
重合媒体は、特別なものでなく、当業者に知られている溶液、スラリー、エマルジョン又は気相プロセスを含むことができる。溶液重合が用いられる場合、溶媒は、アルファ−オレフィン重合のための反応条件下で液体である任意の適切な不活性炭化水素溶媒であってもよく;満足のいく炭化水素溶媒の例には、5から8個の炭素原子を有する直鎖パラフィンが含まれ、ヘキサンが好ましい。芳香族炭化水素、好ましくはベンゼン、トルエン等の単一のベンゼン核を有する芳香族炭化水素と;上記の直鎖パラフィン系炭化水素及び芳香族炭化水素の沸点範囲に近似した沸点範囲を有する飽和環状炭化水素が、特に適切である。選択される溶媒は、前記の炭化水素の1種又は複数種の混合物であってもよい。スラリー重合が用いられる場合、重合用の液相は、好ましくは液体プロピレンである。重合媒体は、触媒成分を妨げることになる物質を含まないことが望ましい。
【0041】
ポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、及びランダムブロックコポリマーとすることができる。エチレンプロピレンコポリマーは、通常はランダム又は統計コポリマーである。ランダム又は統計コポリマーは、一連の2つ以上の反応器で作製される2種以上のポリマーの混合物とすることができる。ブロックコポリマーは、管状反応器内で反応を実施することによって得てもよい。そのような手順は、この点に関して関連ある開示のために参照により本明細書に組込まれる米国特許第4,804,794号に記載されている。これらのポリマーは、PARATONE(登録商標)8941及びPARATONE(登録商標)8910(Chevron Oronite Company L.L.C.から販売されている。)として市販されている。ブロックコポリマーは、重合に適切な触媒及び/又は方法を選択することによって得ることもできる。そのようなポリマーは、この点に関して関連ある開示のために参照により本明細書に組込まれる米国特許出願第20060199896号に記載されている。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、INFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマーという商標名の下でDow Chemicalから市販されている。
【0042】
エチレンと高級アルファオレフィンとのコポリマーは、脂肪族オレフィンの最も一般的なコポリマーである。エチレン−プロピレンコポリマーは、最も一般的なエチレン−アルファ−オレフィンコポリマーであり、本発明で使用するのに好ましい。エチレン−プロピレンコポリマーの記述は、参照により本明細書に組込まれる米国特許第4,137,185号に示されている。
【0043】
有用なエチレン−アルファオレフィンコポリマー、通常はエチレン−プロピレンであるコポリマーは、市販されている。エチレンから誘導される約30から約55重量パーセントのモノマー単位を含むエチレン−アルファオレフィンコポリマーは、一般に、低エチレン又は非晶質コポリマーと称される。エチレンから誘導される約60から約80重量パーセントの単位を含むエチレンアルファ−オレフィンコポリマーは、一般に、高エチレン(半結晶質)ポリマーと称される。ポリマー基材は、参照により本明細書に組込まれる米国特許第5,427,702号に記載されるような重量比で非晶質及び半結晶質ポリマーの混合物を含有することもできる。非晶質コポリマーを含む市販されている典型的なポリマーは、Chevron Oroniteから入手可能なPARATONE(登録商標)8921、Lubrizol Corporationから入手可能なLZ7067、LZ7065及びLZ7060、Lanxessから入手可能なKeltan(登録商標)1200A、1200B、Dow Chemical Companyから入手可能なNDR125である。ポリマー基材の剪断安定性指数(SSI)は、典型的には、約3から約60、より典型的には約5から約50に、より好ましくは約10から約25に及ぶ。有用なポリマー基材の増粘効率は、0.4から4.0、より典型的には0.9から約3.2に及ぶ。
【0044】
(2)ジエンのポリマー
炭化水素ポリマーは、1種又は複数種のジエンのホモポリマー又はコポリマーであってもよい。ジエンは、イソプレン、ブタジエン及びピペリレンのように共役されていてもよく、又は1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、4−ビニルシクロヘキセン、及びジシクロペンタジエンのように共役されていなくてもよい。共役ジエンのポリマーが好ましい。そのようなポリマーは、フリーラジカル及びアニオン重合技法を介して都合良く製造される。エマルジョン技法は、フリーラジカル重合に一般に用いられる。
【0045】
上述のように、有用なポリマーは、約7,000から約500,000に及ぶMnを有する。より頻繁には、このタイプの有用なポリマーは、約20,000から約100,000に及ぶMnを有する。
【0046】
これらのポリマーは、ポリマー中に存在するオレフィン系不飽和の量を低減させるため、水素化されていてもよく、しばしば水素化される(任意に水素化される)。これらのポリマーは、余すところなく水素化されてもされなくてもよい。水素化は、触媒法を用いてしばしば達成される。高圧及び高温下で水素を用いる触媒技法は、化学分野の当業者に周知である。他の方法も有用であり、当業者に周知である。
【0047】
ジエンポリマーの広範にわたる考察は、この点に関して関連ある開示のために本明細書に参照により明らかに組込まれる「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、第2巻、第550〜586頁、及び第8巻、第499〜532頁、Wiley−Interscience(1986)に示されている。
【0048】
ポリマーは、好ましくは少なくとも1つの置換基が水素であるヒドロカルビル置換1,3−ジエンのポリマーを含む共役ジエンのホモポリマー及びコポリマーを含む。通常、ジエンの全炭素含量は、炭素20個を超えることにはならない。ポリマーを製造するための好ましいジエンは、ピペリレン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン及び1,3−ブタジエンである。数多くの米国特許に、共役ジエンの適切なホモポリマーが記述され、それらの製造方法が示されている。特定の例として、米国特許第3,959,161号は、水素化ポリブタジエンの製造について教示している。別の例では、水素化によって、1,4−ポリイソプレンがエチレン及びプロピレンの交互コポリマーになる。
【0049】
共役ジエンのコポリマーは、2種以上の共役ジエンから製造される。有用なジエンは、上記の共役ジエンのホモポリマーの製造で記述されるジエンと同じである。例えば米国特許第4,073,737号には、ブタジエン−イソプレンコポリマーの製造及び水素化について記載されている。
【0050】
(3)共役ジエンとビニル置換芳香族化合物とのコポリマー:
一実施態様では、炭化水素ポリマーは、ビニル置換芳香族化合物と共役ジエンとのコポリマーである。ビニル置換芳香族は、一般に8から約20個の炭素を含有し、好ましくは8から12個の炭素原子、最も好ましくは8又は9個の炭素原子を含有する。
【0051】
ビニル置換芳香族の例には、ビニルアントラセン、ビニルナフタレン及びビニルベンゼン(スチレン系化合物)が含まれる。スチレン系化合物が好ましく、例えば、スチレン、アルファ−メチルスチレン(methystyrene)、オルト−メチルスチレン、メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パラ−tert−ブチルスチレン及びクロロスチレンであり、スチレンが好ましい。
【0052】
共役ジエンは、一般に4から約10個の炭素原子、好ましくは4から6個の炭素原子を有する。共役ジエンの例には、ピペリレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン、イソプレン及び1,3−ブタジエンが含まれ、イソプレン及び1,3−ブタジエンが特に好ましい。そのような共役ジエンの混合物が有用である。
【0053】
これらのコポリマーのビニル置換芳香族含量は、典型的には約15重量%から約70重量%の範囲にあり、好ましくは約20重量%から約40重量%に及ぶ。これらのコポリマーの脂肪族共役ジエン含量は、典型的には約30重量%から約85重量%の範囲にあり、好ましくは約60重量%から約80重量%に及ぶ。
【0054】
ポリマー、特にスチレン−ジエンコポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであることができ、規則性ブロックコポリマー又はランダムブロックコポリマーが含まれる。ランダムコポリマーは、コモノマーがポリマー鎖中にランダムに又はほぼランダムに配列しており、且ついずれかのモノマーのホモポリマーの著しい遮断がないものである。規則性ブロックコポリマーは、1つのタイプのモノマーのホモポリマーの、少数の比較的長い鎖が、別のタイプのモノマーのホモポリマーの、少数の比較的長い鎖に交互に接合されたものである。ランダムブロックコポリマーは、1つのタイプのモノマーのホモポリマーの、より大きな数の比較的短いセグメントが、別のモノマーのホモポリマーの比較的短いセグメントと交互に配されているものである。ブロックコポリマー、特にジブロックコポリマーが好ましい。そのようなポリマー基材の例は、参照により本明細書に組込まれる米国特許第6,162,768号;第6,215,033号;第6,248,702号及び第6,034,184号により示されている。
【0055】
本発明で使用されるランダム、規則性ブロック及びランダムブロックポリマーは、直鎖状であってもよく、又は部分的に若しくは高度に分枝していてもよい。直鎖状の規則性ブロック又はランダムブロックポリマーにおけるホモポリマーセグメントの相対的な配置構成は、明らかである。構造の相違は、ホモポリマーセグメントの数及び相対的なサイズにあり;いずれのタイプの直鎖状ブロックポリマーの配置構成も、常にホモポリマーセグメントが交互に配されている。
【0056】
通常の又は規則性ブロックコポリマーは、各モノマーの、通常は1個から約5個、しばしば1個から約3個、好ましくは僅かに1個から約2個の比較的大きいホモポリマーブロックを有する。ブロックのサイズは必ずしも同じである必要はなく、かなり変化させてもよい。唯一の条件は、任意の規則性ブロックコポリマーが、比較的少ない、しかし比較的大きな交互ホモポリマーセグメントを含むことである。
【0057】
コポリマーは、当技術分野で周知の方法によって製造することができる。そのようなコポリマーは、通常、電子受容体芳香族の存在下でIA族金属を使用する、又は重合触媒としてsec−ブチルリチウム等のプリフォームされた有機金属を使用する、アニオン重合によって製造される。
【0058】
スチレンジエンブロックポリマーは、通常、アニオン重合によって、得られるポリマーに最も望ましい特徴をもたらすように、様々な技法を使用して、反応条件を変化させて作製される。アニオン重合では、開始剤は、アルキルリチウム等の有機金属材料、又はIA族金属からナフタレン等の芳香族材料への電子移動により形成されたアニオンとすることができる。好ましい有機金属材料は、sec−ブチルリチウム等のアルキルリチウムであり;重合は、ブチルアニオンをジエンモノマー又はスチレンに添加することによって開始される。
【0059】
アルキルリチウム開始剤が使用される場合、1種のモノマー、例えばスチレンのホモポリマーを選択的に製造することができ、各ポリマー分子はアニオン末端、リチウム対イオンを有する。カルバニオン末端は、追加のモノマーに対する活性開始部位のままである。得られるポリマーは、モノマーが完全になくなった場合、通常は全てが類似した分子量及び組成となり、ポリマー生成物は「単分散性」になる(即ち、重量平均分子量と数平均分子量との比が1.0に非常に近い。)。この時点で、1,3−ブタジエン、イソプレン又は他の適切なアニオン系重合性モノマーを、ホモポリスチレン−リチウム「リビング」ポリマーに添加することによって、末端アニオン部位から成長した第2セグメントが生成され、リチウム対イオンと共にアニオン末端を有するリビングジブロックポリマーが生成される。
【0060】
通常、混合物中の1つのモノマー又は別のモノマーは、より速く重合し、そのモノマーがより富むセグメントになり、時折もう一方のモノマーが組込まれて中断されることになる。これは、「ランダムブロックポリマー」又は「テーパードブロックポリマー」と称されるポリマーの1つのタイプを構築するのに使用できる。2種の異なるモノマーの混合物を、無極性パラフィン系溶媒中でアニオン重合させる場合、一方が選択的に開始し、通常は重合により、比較的短いセグメントのホモポリマーが生成する。第2モノマーの組込みは避けられず、これにより、異なる構造の短いセグメントが生成する。次いで第1のモノマータイプの組込みにより、そのホモポリマーの別の短いセグメントが生成し、このプロセスが継続されて、長さが異なり、比較的短いセグメントのホモポリマーが「ランダム」に交互に分布することになる。ランダムブロックポリマーは、一般に、そのようなブロックを5個よりも多く含むと看做される。ある時点で、1つのモノマーはなくなり、もう一方のモノマーの組込みが有利になり、更に長いブロックのホモポリマーが生成され、その結果、「テーパードブロックコポリマー」が得られることになる。ランダム又はテーパードブロックコポリマーを製造する代替方法では、スチレンによる開始と、ジエンモノマーの周期的な又は段階的な添加による中断とが行われる。添加は、スチレン及び特定のジエンモノマーの相対的な反応性比及び速度定数に従ってプログラムされる。
【0061】
「促進剤」(助触媒)は、様々なモノマー間のアニオン開始及び重合速度についての相対的な差を少なくしながら、これらの速度を促進する、電子に富む分子である。促進剤は、ジエンモノマーがブロックポリマーに組込まれる方法にも影響を及ぼし、通常の1,4−cis−付加よりもジエンの1,2−重合に有利となる。
【0062】
これらのポリマーは、かなりの程度でオレフィン系不飽和であってもよいが、必要に応じて少なくすることができる。オレフィン系不飽和の程度を低下させる水素化を行って、ポリマーの炭素−炭素結合の約90から約99.9%が飽和するように、初期ポリマーのオレフィン系不飽和のほぼ約90〜99.1%を削減することができる。一般にこれらのコポリマーは、水素化前のポリマー中に存在するオレフィン系二重結合の全量に対して、約10%以下、好ましくは5%以下、しばしば約0.5%以下の残留オレフィン系不飽和を含有することが好ましい。不飽和は、赤外線、核磁気共鳴分光法、臭素価、ヨウ素価、及びその他の手段を含む当業者に周知の多くの手段により測定することができる。芳香族性不飽和は、本発明の文脈内でオレフィン系不飽和であるとは看做されない。
【0063】
水素化技法は当業者に周知である。1つの一般的な方法は、コポリマーを水素に、しばしば大気圧よりも高い圧力下で、コロイド状ニッケル、木炭に担持されたパラジウム等の金属触媒の存在下で接触させることである。水素化は、製造プロセス全体のうちの一部として、細かくした又は担持されたニッケル触媒を使用して行うことができる。この転換を行うのに他の遷移金属を使用してもよい。他の技法は当技術分野で知られている。
【0064】
乳化重合等の他の重合技法を使用することができる。上記の適切な市販の規則性直鎖状ジブロックコポリマーの例には、Infineum USAにより製造された、SV40(商標名)及びSV150(商標名)が含まれ、これらは共に水素化されたスチレン−イソプレンブロックコポリマーである。市販のランダムブロック及びテーパードブロックコポリマーの例には、BASFにより製造された、種々のGLISSOVISCAL(登録商標)スチレン−ブタジエンコポリマーが含まれる。
【0065】
コポリマーは、好ましくは約7000から約500,000、より好ましくは約20,000から約100,000の範囲にあるMnを有する。これらのコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、一般に約10,000から約500,000、好ましくは約40,000から約200,000の範囲にある。
【0066】
共役ジエンとオレフィン含有芳香族基、例えばスチレン、メチルスチレン等とのコポリマーは、数多くの特許に記載されており、例えば米国特許第3,554,911号には、ランダムブタジエン−スチレンコポリマー、その製造、及び水素化について記載されている。
【0067】
(4)星型ポリマー
星型ポリマーは、核及びポリマーアームを含むポリマーである。一般的な核にはポリアルケニル化合物を含み、通常、この化合物は少なくとも2個の非共役アルケニル基を有し、通常、この基は電子求引基、例えば芳香核に結合される。ポリマーアームは、しばしばジエン、好ましくは共役ジエン、特にイソプレン、モノアルケニルアレーン等のビニル置換芳香族化合物、特にスチレンのホモポリマー及びコポリマーであり、ブテン等のオレフィン、特にイソブテンのホモポリマーであり、またこれらの混合物である。
【0068】
有用な星型ポリマーの分子量(GPCピーク)は、約20,000から、しばしば約50,000から約700,000に及ぶ。このポリマーは頻繁に、約50,000から約500,000に及ぶMnを有する。
【0069】
従って、ポリマーは、ポリ(ポリアルケニルカップリング剤)核と、そこから外向きに延びるポリマーアームを含む。星型ポリマーは、オレフィン系炭素−炭素結合の少なくとも80%が飽和するように、より頻繁には少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%が飽和するように、通常は水素化される。本明細書に示されるように、ポリマーはオレフィン系不飽和を含み;従ってポリマーは、カルボキシル反応物と反応する前に余すところなく飽和されるわけではない。
【0070】
核を構成するポリビニル化合物は、ポリアルケニルアレーン、例えばジビニルベンゼン及びポリビニル脂肪族化合物によって例示される。
【0071】
ポリマーアームを構成するジエンは、ブタジエン、イソプレン等によって例示される。モノアルケニル化合物には、例えばスチレンとそのアルキル化誘導体が含まれる。一実施態様では、アームはジエンから誘導される。別の実施態様では、アームはジエン及びビニル置換芳香族化合物から誘導される。更に別の実施態様では、アームはポリイソブチレン基を含み、しばしばイソブチレン−共役ジエンコポリマーを含む。ジエンから、又はジエン及びビニル置換芳香族化合物から誘導されるアームは頻繁に、実質的に水素化される。星型ポリマーは、当技術分野で周知である。
【0072】
2種以上の炭化水素ポリマーの混合物を使用してもよい。
【0073】
グラフト化手順:アシル化剤−グラフトモノマー
次にグラフトモノマーを、ポリマー基材のポリマー主鎖にグラフト化して、アシル化エチレン−アルファオレフィンポリマー等のアシル化炭化水素ポリマー主鎖中間体を形成する。
【0074】
適切なグラフトモノマーには、不飽和ジカルボン酸無水物及びそれらに対応した酸等の、エチレン性不飽和カルボン酸材料が含まれる。ポリマーにグラフト化するのに適切なこれらのカルボキシル反応物は、少なくとも1つのエチレン結合と、少なくとも1つのカルボン酸若しくはその無水物基、又は酸化又は加水分解によって前記カルボキシル基に転化可能な極性基とを含有する。カルボキシル反応物は、アクリル、メタクリル、ケイ皮、クロトン、マレイン、フマル及びイタコン反応物、又はこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。不飽和エチレンコポリマー又はターポリマーの場合、イタコン酸又はその無水物は、フリーラジカルグラフト化プロセス中に架橋構造を形成する傾向を低減させるので有用である。
【0075】
一態様において、エチレン性不飽和アシル化剤は、式(A)及び/又は式(B)によって表すことができる:
【化1】

(式中、Rは水素又は−CO−W’であり、R及びRは独立的に水素又は−CHであり、W及びW’は独立的に−OH、又は1〜約24の炭素原子を有するアルコキシルである。)。無水マレイン酸又はその誘導体は、好ましいエチレン性不飽和アシル化剤である。
【0076】
エチレン性不飽和アシル化剤は、多くの方法でコポリマー主鎖にグラフト化され得る。アシル化剤は、「エン」プロセスとして知られる熱プロセスによって、又はフリーラジカル開始剤を使用した溶液中若しくは融解状態でのグラフト化によって、主鎖にグラフト化され得る。フリーラジカルで誘発されたエチレン性不飽和アシル化剤のグラフト化は、ヘキサン、ヘプタン、鉱油又は芳香族溶媒等の溶媒中で行うことができ、このグラフト化は、約100℃から約250℃、好ましくは約120℃から約190℃、より好ましくは約150℃から約180℃の範囲の高められた温度、例えば約160℃を超える温度で、溶媒中、好ましくは例えば初期の油溶液全体に対してポリマーを約1重量%から約50重量%、好ましくは約5重量%から約30重量%含有する鉱油溶液中で、更に、好ましくは不活性環境下で行われる。
【0077】
エチレン性不飽和カルボン酸材料は、典型的には、反応物1モル当たり1又は2個のカルボキシル基をグラフト化コポリマーに与えることができる。即ち、メタクリル酸メチルは、1分子当たり1個のカルボキシル基をグラフト化コポリマーに与えることができ、一方、無水マレイン酸は、1分子当たり2個のカルボキシル基をグラフト化コポリマーに与えることができる。
【0078】
フリーラジカル開始剤
アシル化コポリマーを形成するグラフト化反応は、一実施態様において、一般的に、バルク又は溶液のいずれかにおいてフリーラジカル開始剤の助けを借りて行われる。グラフト化は、油に溶解したフリーラジカル開始剤の存在下で行うことができる。油に溶解したフリーラジカル開始剤を使用すると、オレフィンコポリマー分子に対して、アシル化基がより均質に分布する結果となる。
【0079】
エチレン性不飽和カルボン酸材料をポリマー主鎖にグラフト化するのに使用することができるフリーラジカル開始剤には、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸エステル及びアゾ化合物も含まれ、好ましくは100よりも高い沸点を有し且つグラフト化温度範囲内で熱により分解してフリーラジカルを生じるものが含まれる。これらのフリーラジカル開始剤の代表例は、過酸化物(過酸化ジアシル、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジアルキル、例えば1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド(DTBP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン)、ヒドロペルオキシド、ペルオキシ酸エステル、例えばtert−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシアセタート、O,O−tert−ブチル−O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボナート、ペルオキシケタール、例えばn−ブチル4,4−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)バレラート等である。開始剤は、反応混合物溶液の重量に対して約0.005重量%から約1重量%の間の量で使用される。グラフト化は、好ましくは、不活性雰囲気中、例えば窒素ブランケティング下で実施される。得られたポリマー中間体は、その構造内に、カルボン酸又は酸塩化物により代表されるアシル化基を有することによって特徴付けられる。
【0080】
グラフト化反応の設備及び条件
バルクプロセスとしてグラフト化反応を行うために、グラフトモノマー及びコポリマーを、一実施形態では押出機に、例えば1軸又は2軸スクリュー押出機に、例えばWerner & Pfleiderer’s ZSKシリーズに、又はBanbury若しくは他の混合機であって、グラフト化ステップの反応物に対して加熱及び所望のレベルの機械的動作(撹拌)を行う能力を有する混合機に供給する。
【0081】
一実施態様では、2軸スクリュー押出機等の押出機でグラフト化を行うことができる。窒素ブランケットは、空気の導入が最小限に抑えられるように、押出機の供給セクションに維持される。別の実施態様では、オレフィン系カルボキシルアシル化剤を1つの注入点で注入することができ、又は代わりに押出機のあるゾーンの2箇所の注入点で、例えば移送ゾーンを著しく混合することなく注入できる。この結果、グラフト化の効率は向上し、ゲル含量は低くなる。
【0082】
適切な押出機は、グラフト化及びその前の脱水手順に利用できることが一般的に知られている。ポリマー基材の脱水及びそれに続くグラフト化手順は、直列に設置された別々の押出機で行うことができる。或いは、多数の処理又は反応ゾーンを有する単一の押出機を使用して、1つの装置内で別々の操作を連続的に行うことができる。適切な押出機の例は、例えば米国特許第3,862,265号及び米国特許第5,837,773号に示されており、その記載は本明細書に参照により組込まれる。
【0083】
アシル化オレフィンコポリマーの形成では、オレフィンコポリマーは、一般的に処理装置、例えば押出機、強力混合機又はマスチケーターに供給され、少なくとも60℃、例えば150℃から240℃の温度に加熱され、エチレン性不飽和カルボン酸試薬及びフリーラジカル開始剤を、融解コポリマーに別々に同時に供給して、グラフト化を行う。反応は、オレフィンコポリマーのグラフト化を行う混合条件で、任意に行われる。分子量の低減とグラフト化を同時に行うことができる場合、混合条件の例としては、米国特許第5,075,383号に記載されており、本明細書に参照により組込まれる。処理装置は一般に窒素でパージされて、コポリマーの酸化を防止し且つ未反応の試薬及びグラフト化反応の副生成物を放出するのを助ける。処理装置内における滞留時間は、所望のアシル化度が得られるように且つベント操作を介したアシル化コポリマーの精製を可能にするように制御される。放出段階後に、鉱質又は合成潤滑油を任意に処理装置に添加して、アシル化コポリマーを溶解させることができる。他のポリマー主鎖は同様に処理できる。
【0084】
グラフト化反応は、溶媒を含まない又は本質的に溶媒を含まない環境で行うことができる。一プロセスでは、グラフト化反応は、好ましくは炭化水素溶媒が存在しない状態で行われる。グラフト化反応の間に、炭化水素溶媒(アルカン(例えばヘキサン又は鉱物油)等)の使用を回避することによって、望ましくないグラフト化アルキルコハク酸無水物の副生成物及び不純物を生成し得る、グラフト反応中のそのような溶媒の望ましくない副反応の危険及び問題を、排除又は顕著に低減することができる。また、無溶媒グラフト化反応におけるグラフト化後に存在する一時的な非官能化ポリマー(非グラフト化ポリマー)の量もまた低減され、その結果、より活性な生成物が得られる。従って、得られたコポリマー中間体は、より活性な生成物である。低減は、望ましくないグラフト化溶媒(即ち、グラフト化ヘキシルコハク酸無水物)及び一時的な非官能化(非グラフト化)コポリマーのレベルで実現される。
【0085】
従って、本開示のある実施態様により省略することができる炭化水素溶媒には、一般に、本明細書に記述されるグラフト化反応の反応物に比べてより揮発性の高い溶媒、例えば標準大気圧(即ち、約14.7 lb/in(絶対圧))条件下で沸点が約150℃未満の溶媒が含まれる。省略することのできる溶媒には、例えば、C以下のアルカン、アルケン及びアルキン等の鎖状脂肪族化合物(例えば、ヘキサン等のCからCのアルカン);芳香族炭化水素(例えばベンゼン及びトルエン等のベンゼン核を有する化合物);飽和環状炭化水素(例えばシクロヘキサン)等の脂環式炭化水素;ケトン;又はこれらの任意の組合せが含まれる。一実施態様では、標準大気圧条件下でノナンの沸点に近い又はそれよりも低い沸点を有する全ての溶媒を除外することが望ましい。幾つかの従来のグラフト化反応は、約15%から60%のヘキサン含量等、かなりの量の炭化水素溶媒の存在下で行われてきた。比較すると、グラフト化反応塊における、そのような溶媒の総量は、グラフト化反応塊の0.5重量%を超えない含量であると好ましいかもしれない。
【0086】
グラフト化コポリマー中間体は、同じ押出機の異なるセクションにおいて又はグラフト化が行われる押出機と直列に配列された別の押出機において行われる場合、グラフト化直後又は剪断及び真空ストリッピング直後(以下で、より詳細に考察する。)のいずれかで押出機のダイ面から出る。
【0087】
コポリマー中間体の選択された性質
得られるコポリマー中間体は、その構造内にランダムにカルボン酸アシル化官能基を有することによって特徴付けられる、アシル化コポリマーを含む。所定のコポリマー主鎖(即ち、コポリマー基材)にグラフト化されるカルボン酸アシル化剤(例えば無水マレイン酸)の量は、重要である。このパラメータは、アシル化コポリマーに対するアシル化剤の質量パーセンテージと称され、一般に、コポリマー主鎖にグラフト化されるカルボン酸アシル化剤は0.5から3.0重量%の範囲にあり、特に1.5から2.5重量%の範囲にあり、より特別には1.7から2.3重量%の範囲にある。これらの数値は、無水マレイン酸であるカルボン酸アシル化剤の量のうちでより代表的なものであり、より高い若しくはより低い分子量又は1分子当たりより多くの若しくはより少ない量の酸官能基を有する薬剤が占めるように調節することができる。
【0088】
主鎖に組込まれるカルボキシルアシル化剤の重量%は、コポリマーアルキル官能基に対する酸若しくは無水物部分の赤外線ピーク比分析によって、又は付加反応生成物の滴定(全酸/無水物価)(TAN)によって測定することができる。TAN値は、同様にカルボキシル剤のグラフト化度を評価するのに使用することができる。
【0089】
カルボキシル反応物は所定のコポリマー主鎖にグラフト化されて、コポリマー主鎖の数平均分子量単位(Mn)1000当たり0.15から0.75のカルボキシル基、好ましくは数平均分子量1000当たり0.2から0.5のカルボキシル基を与える。例えば、Mnが20,000であるコポリマー基材には、1つのコポリマー鎖当たりカルボキシル基が3から15個、又はコポリマー1モル当たり無水マレイン酸が1.5から7.5モル、グラフト化される。Mnが100,000であるコポリマーには、コポリマー鎖1つ当たりカルボキシル基が15個から75個、又はコポリマー鎖1つ当たり無水マレイン酸が7.5モルから37.5モル、グラフト化される。官能基の最小レベルは、最小限満足のいく分散性及び/又は摩耗性能を実現するのに必要なレベルである。
【0090】
コポリマー中間体の分子量の低減
アシル化コポリマー、即ちコポリマー中間体の分子量は、機械的、熱的若しくは化学的手段又はこれらの組合せによって小さくすることができる。そのようなコポリマーの分子量を低下させ又は減少させるための技法は、当技術分野で一般的に知られている。数平均分子量は、単一グレード又はマルチグレードの潤滑油で使用するのに適切なレベルまで低減される。一実施態様では、初期コポリマー中間体は、グラフト化反応が終了すると、約1,000から約500,000に及ぶ初期数平均分子量を有する。一実施態様では、マルチグレード油における使用を目的とした添加剤を調製するために、コポリマー中間体の数平均分子量を、約1,000から約80,000の範囲にまで低減させる。
【0091】
或いは、高分子量コポリマーのグラフト化及び低減を同時に行うことができる。別の代替法では、先ず高分子量コポリマーを、グラフト化前に所定の分子量にまで低減させ得る。代表的な例として、オレフィンコポリマーの平均分子量がグラフト化前に低減される場合、その数平均分子量は、約80,000よりも低い値にまで、例えば約1,000から80,000の範囲に十分に低減される。
【0092】
コポリマー中間体又はコポリマー供給材料の分子量を、グラフト化の最中、前、又は後に、所定の、より低い分子量にまで低減させることは、典型的には溶媒の不存在下で又は基油の存在下で、機械的、熱的若しくは化学的手段又はこれらの手段の組合せのいずれかを使用して行われる。一般的に、コポリマー中間体、又はオレフィンコポリマー等のコポリマーは、約150℃から約350℃の範囲の温度における融解条件にまで加熱され、次いでコポリマー中間体(又はオレフィンコポリマー)が所定の分子量に低減されるまで、機械的剪断、熱的若しくは化学的に誘発される切断、又は前記手段を組合せた手段に供する。剪断を、例えば参照によりその記載が本明細書に組込まれる米国特許第5,837,773号に記載されるように、押出機のセクション内で行うことができる。分子量の低減は、例えば参照によりその記載が本明細書に組込まれる米国特許第6,211,332号に記載されている、フリーラジカル開始剤又はヒドロペルオキシドの処理によって実現することができる。また、分子量の低減は、例えば参照によりその記載が本明細書に組込まれる米国特許第6,362,286号に記載されているように、指定された温度で酸素の存在下で、任意に基油の存在下で実現することもできる。或いは機械的剪断は、加圧下で又はその他の機械的手段により、融解コポリマー中間体(又はオレフィンコポリマー)を微細なオリフィスを強制的に通すことによって行ってもよい。
【0093】
未反応成分の減圧ストリッピング(vacuum stripping)
グラフト化反応が終了すると、未反応のカルボキシル反応物及びフリーラジカル開始剤は通常は除去され、更なる官能化がコポリマー中間体に対して行われる前に、コポリマー中間体から分離される。未反応成分は、減圧ストリッピングによって反応塊から排除することができる、例えば反応塊は、揮発性未反応グラフトモノマー及びフリーラジカル開始剤成分を除去するのに十分な時間にわたって減圧にしながら、撹拌下で約150℃から約300℃の温度に加熱することができる。減圧ストリッピングは、好ましくは、放出操作手段を備える押出機のセクションで行われる。
【0094】
コポリマー中間体のペレット化
コポリマー中間体を、本明細書に開示の実施態様に従って、更に処理される前に任意にペレット化することができる。コポリマー中間体をペレット化することにより、中間体生成物を単離し、そして更なる処理を当該中間体に所望の時期に行うまで、当該中間体への異物混入を低減させるのを助ける。或いは、中間体をペレット化することなく、最終的なイミド化ポリマーを形成するための更なる反応を行うことができる(以下の節で、より詳細に考察する。)。
【0095】
コポリマー中間体は、一般に、プラスチック処理技術の分野で通常行われる様々なプロセス方法によってペレットに形成することができる。これらの方法には、水中ペレット化、リボン若しくはストランドペレット化、又はコンベヤーベルト冷却が含まれる。コポリマーの強度が、ストランドを形成するのに不適当である場合には、水中ペレット化がこのましい方法である。ペレット化の間の温度は、一般に30℃を超えなくてもよい。任意に、界面活性剤をペレット化の間に冷却水に添加して、ペレットの凝集を防止することができる。
【0096】
水と、急冷されたコポリマーペレットとの混合物を、遠心乾燥機等の乾燥機に搬送して水を除去する。ペレットは、貯蔵及び出荷用の任意の容積のボックス又はプラスチックバッグに収集することができる。周囲条件での貯蔵及び/又は出荷における幾つかの条件下で、ペレットは、凝集し一緒にくっつく傾向があり得る。これらは、機械的方法によって容易に破砕して、表面積の大きい固体小片にして、油中へ容易且つ迅速に溶解できる。
【0097】
ペレット化コポリマー中間体の溶解及び官能化
任意に、ペレット化コポリマー中間体を、未破砕又は破砕形態のペレットとして供給できる。ペレット化アシル化コポリマー中間体は、溶媒の中性油に溶解される。ペレットは、一般に、得られる溶液(溶質及び溶媒)の粘度に基づいて、約5重量%から約25重量%、特に約10重量%から約15重量%、より特別には約12重量%から約13重量%のコポリマーの導入濃度で溶媒に溶解される。
【0098】
ペレット化コポリマー中間体は、窒素ブランケット下で機械的に撹拌しながら例えば約120℃から約165℃の温度で溶媒の中性油(neutral)に溶解することができる。溶解混合物は、約2から16時間の溶解中に、不活性ガスによりスパージされる。この処理は、適切な容量の連続撹拌プロセス容器で行うことができる。
【0099】
不活性スパージングガスは、窒素とすることができる。溶解及びスパージングは、使用される場合には、後続のエステル化手順の前とすることができる。1つ又は複数のスパージャーが、溶液の表面下に浸漬される位置で、好ましくは溶液の底部付近で、容器内に配置され、溶液中に不活性ガスを泡立てる。窒素スパージングは、溶解したコポリマー中間体及び溶媒油から水分を除去する。重要なのは、コポリマー中間体から水分を除去することが、存在する任意のポリマージカルボキシル二酸(dicarboxylic diacid)を元の所望のコポリマージカルボン酸無水物形態に転化するように作用することである。
【0100】
例えば、無水マレイン酸がグラフト化モノマーとして使用される場合、ペレット化コポリマー中間体が部分的に、コポリマーコハク二酸の形態に偶発的に変換される可能性がある。一般に、この変化は、保存寿命が長くなれば一層生じ易くなる。コポリマー中間体の溶解の間及びエステル化の前に窒素スパージングを行うことにより、コポリマー中間体が更に反応し官能化(例えば、ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物との反応)される前に、コポリマーコハク二酸を元の所望の活性ポリマー無水コハク酸形態に転化するという利益がある。その結果、より高度に官能化され且つ活性エステル化された生成物を、後続の処理操作において得ることができる。存在するポリマーコハク二酸から、元の活性ポリマー無水コハク酸形態への変換は、溶液の粘度を測定することによってモニターすることができる。溶液粘度は、ポリマーコハク二酸の全て又は本質的に全てから元の所望のポリマー無水コハク酸形態への変換によって、初期のより高い値から定常状態の値に向かって著しく低下する。
【0101】
官能化ポリマー中間体を調製する代替プロセス
アシル化コポリマーは更に、本発明のヒドロキシル結合多環炭化水素化合物(これは、3〜6個の隣接する縮合炭素環を有し、炭素環は独立的に、5〜7個の炭素原子から選択され、多環炭化水素化合物は少なくとも5つのπ結合を含む。)と、ペレット化させることなく及び/又は油中に溶解させることなく、押出機又は混合装置にて反応させることができる。押出機内で多数の反応ステップを実施するそのようなプロセスは、参照により本明細書に組込まれる米国特許第5,424,367号、第5,552,096号及び第5,565,161号に、より詳細に記載されている。そのようなプロセスは、参照により本明細書に組込まれる米国特許出願第2009247706号に記載されているような直列押出機システムにおいて行うことができる。あるいは官能化ポリマーは、押出機内の2つのパスプロセスを使用して作ることができ、この場合、第1のパスは、ポリマー融解物又はペレットが本発明のヒドロキシル結合多環炭化水素化合物と更に反応を行うにつれ、任意に第1の押出機に接続された第2押出機に供給されるアシル化コポリマー中間体を生成する。このプロセスは、エステル化反応を実施するために、鉱油中へのアシル化ポリマー中間体の溶解を省くことによる利点がもたらされる。
【0102】
本発明を実施するもう1つの方法は、最初にアシル化剤を本発明のヒドロキシル結合多環炭化水素化合物と反応させて、反応生成物を形成させることによって、グラフトモノマー中間体を形成することである。反応生成物には、アシル化剤とヒドロキシル結合多環炭化水素化合物との組合せによって形成される複数の化合物が含まれ得る。次いで、形成された反応生成物を、上記の溶液又は融解プロセスでポリマー基材にグラフト化させる。これによって、アシル化ポリマー基材に対してエステル化反応を行う必要性がなくなる。そのようなプロセスは、参照として本明細書に組込まれる米国特許第7,371,713号、第6,410,652号、第6,686,321号、第5,523,008号、第5,663,126号、第6,300,289号、第5,814,586号、及び第5,874,389号に開示されている。
【0103】
基油
中性油は、グループIベースストック、グループIIベースストック、グループIIIベースストック、グループIV若しくはポリ−アルファ−オレフィン(PAO)、グループV、又はこれらの基油のブレンドから選択し得る。ベースストック又はベースストックブレンドは、好ましくは、少なくとも65%、より好ましくは少なくとも75%の飽和含量と;1重量%未満、好ましくは0.6重量%未満の硫黄含量と;少なくとも85、好ましくは少なくとも100の粘度指数とを有する。これらのベースストックは、下記のように定義し得る:
【0104】
グループ1:米国石油協会(American Petroleum Institute:API)公報「エンジンオイルライセンス及び認定シート(Engine Oil Licensing and Certification Sheet)」産業サービス部門 14.sup.th Ed.(1996年12月)、補遺I(1998年12月)の表1に指定された試験方法を使用して、90%未満の飽和物及び/又は0.03%超の硫黄を含有し且つ80以上及び120未満の粘度指数を有するベースストック;
【0105】
グループII:先に参照された表1に指定された試験方法を使用して、90%以上の飽和物及び/又は0.03%より多い硫黄を含有し且つ80以上及び120未満の粘度指数を有するベースストック;
【0106】
グループIII:先に参照された表1に指定された試験方法を使用して、0.03%以下の硫黄、90%以上の飽和物、及び120以上であるベースストック。
【0107】
グループIV:PAOを含むベースストック。
【0108】
グループV:ベースストックは、グループI、II、III又はIVに含まれない他全てのベースストックを含む。
これらの定義において、飽和物レベルはASTM D 2007によって決定することができ、粘度指数はASTM D 2270によって測定することができ;硫黄含量はASTM D 2622、ASTM D 4294、ASTM D 4927、又はASTM D 3120のいずれか1つによって測定することができる。
【0109】
ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物
アシル化ポリマーを、3〜6個の隣接する縮合環を有するヒドロキシル結合多環炭化水素と反応させるが、ここで、環は、炭素原子のみから形成され、同じでも異なっていてよく、少なくとも5つのπ結合を含有して、平面環系において部分的な共役及び非局在化をもたらす。特に適した隣接縮合環は、オルト縮合またはオルト及びペリ縮合環配置であり得る。ヒドロキシル連結多環炭化水素に反応性モノアルコールを使用することにより、得られた生成物の結合及び得られる粘度上昇又はゲル化の程度を制御することができる。例えば、無水マレイン酸への2当量のアルコールの添加により、適切な反応条件下でジカルボン酸エステルが得られる。更に、反応物の投入モル比及び結合ヒドロキシル基の反応性の相対的程度を、特定のポリマー主鎖と官能性の程度のために調整することができ、従って、ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物の混合物を使用することができる。ヒドロキシル結合多環炭化水素とのアシル化ポリマーの反応は、典型的には、多環炭化水素における一価アルコールとのグラフト化無水マレイン酸のアルコール分解を介して行われて、カルボン酸エステルとカルボン酸(又は、投入モル比及び反応条件に応じて、主にカルボン酸エステル)が得られる。結合ヒドロキシル基は、反応プロセス条件下で反応性アルコール官能基になるように選択され、芳香族環に直接結合したヒドロキシル官能性とは無関係である。
【0110】
官能基化反応は、酸又は塩基触媒を使用してもよいが、比較的早いので、典型的には触媒を必要としない。更に、遊離カルボン酸部分を反応させたい場合は、反応条件を追加すること及び/又は第2選択アルコールを添加することが必要となり得る。従って、一態様では、第2ヒドロキシル結合多環炭化水素を、段階反応において追加してもよく、通常、反応性がより高い種を反応のより後半に添加する。
【0111】
あるいは、第2アルコールは、カルボン酸部分と反応するのに適した反応物であり得る。 これらの第2アルコールは脂肪族アルコール、脂環式アルコール、モノヒドロキシポリエーテル等であってもよい。好ましくは、第1級又は第2級アルカノールは、1から100個の炭素原子、より好ましくは約28個までの炭素原子を含有する。例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、異性体オクタノール及びデカノール、オクタデカノール、ベヘニルアルコール、ネオペンチルアルコール、シクロアルカノールを含み、好ましくは、例えばシクロヘキシルメタノール等の脂環式基に結合したアルカノールを有するシクロアルカノール、ベンジルアルコール、ベータ-フェニルエチルアルコール、フェノキシベンジルアルコール、1〜10個の炭素原子を有するナフチルアルカノール、例えば、ナフチルエタノール、ナフチルブタノール等が挙げられる。特に適したアルコールはアルキルアルコールである。典型的なアルコールの例には、n−プロパノール、n−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、及び前記アルコールのそれぞれの混合異性体であって、分枝鎖又は直鎖アルコールを含むものが含まれる。1−ヘキサノール又はヘキサノール異性体が好ましい。幾つかの異性体の混合物である、ExxonMobil Chemicalから市販されているアルコールの例には、Exxal 6(ヘキシルアルコール)及びExxal 7(イソヘプチルアルコール)が含まれる。
【0112】
他の適切なモノヒドロキシアルコール化合物は、多くの場合モノヒドロキシポリエーテル、又はポリアルキレングリコールモノヒドロカルビルエーテル、又は「キャップ」ポリ(オキシアルキレン)グリコールと称され、これはポリ(オキシアルキレン)グリコール、又はポリオールから区別されるべきであり、これらはヒドロカルビル末端を有さない、即ち、キャップされていない。ヒドロカルビル末端ポリ(オキシアルキレン)アルコールは、低級アルキレンオキシド、例えば、オキシラン、エチレンオキシド、プロキレンオキシド、ブチレンオキシド、又はペンチレンオキシドを、ヒドロキシ化合物ROHに、重合条件下で添加することによって製造され、ここで、Rはポリ(オキシアルケン)鎖をキャップするヒドロカルビル基である。これらのポリマーの製造方法及び特性は、米国特許第2,841,479号及び米国特許第2,782,240号、並びに、Kirk−Othmerの “Encyclopedia of Chemical Technology", 第19巻、507ページに開示される。重合反応において、単一のタイプのアルキレンオキシド、例えばプロピレンオキシドを使用してもよく、その場合には、生成物はホモポリマー、例えばポリ(オキシプロピレン)プロパノールであり得る。しかし、コポリマーも同様に良好であり、ランダムコポリマーは、ヒドロキシル含有化合物を、アルキレンオキシドの混合物、例えばプロピレンオキシドとブチレンオキシドとの混合物、に接触させることによって容易に調製される。オキシアルキレン単位のブロックコポリマーもまた、本発明の実施に関して、良好なポリ(オキシアルキレン)ポリマーを提供する。一般的に、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、ポリマー鎖の長さが異なる化合物の混合物である。しかし、それらの特性は、平均組成及び分子量で表されるポリマーの特性に極めて近い。典型的に、一つ以上のヒドロカルビル基末端ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、2個から5個の炭素原子を含有するオキシアルキレン単位を含む。ヒドロカルビル基は、一般に、1個から30個の炭素原子、好ましくは2個から20個の炭素原子を含む。好ましくは、オキシアルキレン単位は3個又は4個の炭素原子を含む。各ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、少なくとも2個のオキシアルキレン単位、好ましくは5個から100個のオキシアルキレン単位、より好ましくは10単位から100単位、及び最も好ましくは10個から25個のオキシアルキレン単位を含む。一般的には、オキシアルキレン単位は、分枝していても又は分岐していなくてもよい。分岐した3個及び/又は4個の炭素原子を有するオキシアルキレン単位を含むポリ(オキシアルキレン)ポリマー鎖であって、潤滑油組成物への溶解性を示すのに少なくとも充分な量のものが最も好ましい。好ましいポリ(オキシアルキレン)化合物は、少なくとも一部が、分岐オキシアルキレン異性体、特にオキシプロピレン及びオキシブチレン単位であって、それぞれ1,2−プロピレンオキシド及び1,2−ブチレンオキシドから得られるもの、から構成される。ポリ(オキシアルキレン)鎖の末端となるヒドロカルビル部分(R−)は、1個から30個の炭素原子、好ましくは2個から20個の炭素原子を含み、一般的に、重合反応におけるアルキレンオキシド付加の最初の部位である、モノヒドロキシ化合物(ROH)から誘導される。このようなモノヒドロキシ化合物は、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族アルコール、より好ましくはアルカノール又はアルキルフェノール、及び最も好ましくは、アルキル基が1〜24個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であるアルキルフェノールである。ポリ(オキシアルキレン)部分のヒドロカルビル成分は、好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香族、又はそれらの組合せ、即ちアラルキルであり得る、炭素及び水素から構成される有機ラジカルを表す。好ましくは、ヒドロカルビル基は、脂肪族不飽和、即ちエチレン性不飽和及びアセチレン性不飽和、特にアセチレン性不飽和を比較的含まない。
【0113】
好ましくは、多環炭化水素が、少なくとも2つベンゼン系環を備えた縮合環を有するポリ芳香族炭化水素であり、前記炭素環は、5個から7個の炭素原子を有する。リンカー基は、1〜10個の炭素原子を有するヒドロキシ−アルキレン基、好ましくはヒドロキシメチル基又はヒドロキシエチル基、これらのアルコキシル化誘導体、例えば、モノオールポリエーテル基又は任意にチオエーテル基を有する、ヒドロキシル− アルク−(オキシ−アルク)−オキシリンカー又はヒドロキシル−アルク−(オキシ - アルク)−チオリンカー(アルクは、各場合について、独立的に、2〜6個の炭素原子から選択されるアルキレン及びnは1〜100のうちの1つの整数である。)からなる群から選択される。
【0114】
一態様において、好ましい化合物は、式A−X−OHの一価アルコールであり得、ここで、Aは少なくとも2つのベンゼン系環を有する3個から6個の隣接する縮合炭素環を有するポリ芳香族炭化水素であり、炭素環は5〜7個の炭素原子を有し、Xは、−アルキレン(C1−10の炭素原子)−、−(O−アルキレン(C2−6の炭素原子)−、−(O−アルキレン(C2−6の炭素原子))−から選択され、nは5から100のうちの1つの整数である。A基は、ヒドロキシル、アルキル、アルキルオキシ(ここで、アルキルは1〜10個の炭素原子又はアリール(ベンジル又はナフチル))から選択される1から3個の置換基で任意に置換されてもよい。アルキレンは、直鎖又は分岐鎖であり得る二価基である。一態様では、式A−X−OHの一価アルコールは第1級アルコールである。
【0115】
一態様では、ポリエーテルリンカーは、C〜Cのエポキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシド、から誘導される結合ポリマーに基づき、各オキシアルキレン単位において2個から6個の炭素原子を有する5個から100個のオキシアルキレン単位、より好ましくは5個から50個のオキシアルキレン単位を含み得る。ランダム及びブロックを含むホモポリマー及びコポリマーは、特定のオキシアルキレン基(単数又は複数)を選択することにより、周知である。複数種の酸化物の反応性が比較的近い場合、ランダムコポリマーは、より容易に調製される。エチレンオキシドは、他の酸化物と共重合される特定の場合には、エチレンオキシドのより高い反応速度のために、ランダムコポリマーの調製がより困難になる。各場合について、ブロックコポリマーの調製が可能である。ブロックコポリマーは、ヒドロキシルを含有する多環炭化水素化合物を最初のアルキレンオキシドと、その後、他のものと任意の順序で、又は繰返して、重合条件下で接触させることにより調製して、所望のポリ(オキシアルキレン)リンカーを形成する。
【0116】
好ましい3つの隣接環化合物には、アセナフテン、アセナフチレン、アントラセン、フルオレン(fluorine)、フェナレン、及びフェナントレンが含まれ、そして更らに、部分的に飽和した環、例えば9,10ジヒドロ−アントラセン、テトラヒドロ−アントラセン、ジヒドロ−フェナレンを含み得る。好ましい4環の隣接環化合物には、ベンゾ[b]フルオレン(benzo[b]fluorine)、ベンゾ[c]フェナントレン、ベン[a]アントラセン、クリセン フルオランテン、ナフタセン、ピレン トリフェニレン等が含まれ、更に、これらの部分的飽和類似物が含まれる。好適な5つの隣接環化合物には、ベンゾ[a]ナフタセン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[b]クリセン、ベンゾ[c]クリセン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[ghi]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンズ[e]アセフェナントリレン、ジベンズ[a,h]アントラセン、ジベンズ[a,c]アントラセン(diben[a,c]anthracene)、ジベンズ[a,j] アントラセン、ナフタ[a]アントラセン、ペンタセン、ペンタフェン、ペリレン、ピセンが含まれ、そして更に、部分的に飽和した環を含み得る。好ましい5環の隣接環化合物には、ベンゾ[ghi]ペリレン(perlene)、ジベンゾ[b,def]クリセン、ジベンゾ[g、p]クリセン(dibenxo[g,p]chrysene、フェナントロ[3,4−c]フェナントレンが含まれ、そして更に、部分的に飽和した環を含み得る。
【0117】
一態様では、3個から6個の隣接する縮合環を有する多環炭化水素は、ヒドロキシルアルキレン一価アルコールである。特に好ましい基は、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基である。適切な化合物の例としては、9−アントラセンメタノール、9−フルオレンメタノール、1−ピレンメタノール、3−ペリレンメタノール、4−フェナントリルメタノール、3−フェナントリルメタノール、1−(3−フェナントリル)エタノール、1−(9−フェナントリル)エタノール、1−(9−フェナントリル)エタノール、1−(2−フェナントリル)エタノール、1−(2−アントリル)エタノール、1−(9−アントリル)エタノール、2−(9−アントリル)エタノール、1−(9H−フルオレン−9−イル)エタノール等が挙げられる。
【0118】
一態様では、3個から6個の隣接する縮合環を有する多環炭化水素は、ヒドロキシル一価アルコールであって、エチレンオキシド、エチレンカーボネート等でエトキシル化されていてもよい。特に適した化合物は、9−フェナントレノール、1−フェナントレノール、1−ピレノール、8−メトキシ−3−フェナントレノール、1−アセナフテノール、9H−フルオレン−3−オール、9H−フルオレン−2−オール、9,10−ジヒドロ−アントラセン−9−オール、アントラセン−9−オール等よりなる群から選択し得る。
【0119】
3個から6個の隣接縮合環を有するヒドロキシル結合多環炭化水素(ここで、環は炭素原子のみから形成され、同じであっても異なっていてもよく、少なくとも5つのπ結合を含む。)は、アルキル、アルコキシ、アリール、アルカリール、アリールアルキル、アリールオキシ(好ましくは、アルキルは、8個未満の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素であり、より好ましくはアルキルはCからCである)から選択された1個から3個の置換基から選択される基によって、任意に置換されていてよい。特に好ましいアリール基は、フェニル又はナフチルである。好ましいアリールアルキル基には、アルキル基の1個の水素がアリール基で置換されている基が含まれ、例えば、ベンジル、フェネチル、フェンプロピル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、ナフチルプロピルが含まれる。好ましいアリールオキシ基にはフェノキシ及びナフチルオキシが含まれ、特に1−ナフチルオキシ及び2−ナフチルオキシが含まれる。
【0120】
特に適切なヒドロキシ結合多環炭化水素は、9−アントラセンメタノール、1−ピレンメタノール、2−(9−アントラセニルオキシ)エタノール、及び2−(9−アントラセニルメトキシ)エタノールが例示され、これらからなる群から選択される。
【0121】
不活性溶媒は、取扱いを容易にし、反応物の良好な接触を促進させるのにしばしば使用される。不活性溶媒を使用する場合、その例には、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、及び芳香族化合物とパラフィンとナフテンとの混合物である250シンナーとが含まれる。ケロシンタイプのジェット燃料は、後者の混合物の別の例である。芳香族混合物である不活性溶媒の他の例には、Exxon Aromatic 100、Exxon Aromatic 150、Solvesso 100、Total Solvarex 9等が含まれる。当業者に明らかな中性基油及び希釈油等の他の溶媒もまた使用できる。
【0122】
グラフト化カルボン酸アシル化官能基を有するコポリマー基材中間体と、所定のヒドロキシル結合多環炭化水素化合物との反応は、好ましくは、不活性条件下でコポリマー基材の溶液を加熱し、次いで加熱された溶液に、一般には反応を行うために混合しながら、ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物を添加することによって行われる。120℃から175℃に加熱されたコポリマー基材の油溶液を、窒素ブランケット下に維持しながら用いると好都合である。ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物をこの溶液に添加し、この反応を記載の条件下で行う。
【0123】
本開示のヒドロキシル結合多環炭化水素官能化アシル化コポリマー基材は、任意の好都合な方法で潤滑油に組込むことができる。従ってグラフト化された多官能性コポリマー反応生成物は、これを濃縮物の所望の濃度になるよう潤滑油に分散させ又は溶解することにより、潤滑油に直接添加することができる。そのような潤滑油へのブレンド操作は、室温で又は高められた温度で行うことができる。或いは反応生成物は、適切な油溶性溶媒/希釈剤(ベンゼン、キシレン、トルエン、潤滑基油及び石油蒸留物等)とブレンドして、濃縮物を形成し、次いで濃縮物と潤滑油とをブレンドして最終的な配合物を得ることができる。そのような添加剤濃縮物は、濃縮物重量に対して、(活性成分(A.I.:active ingredient)ベースで)典型的には約3から約45重量%、及び好ましくは約10から約35重量%のグラフト化された多官能性ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物コポリマー添加剤と、典型的には約20から90重量%、好ましくは約40から60重量%の基油とを含有することになる。
【0124】
本開示のヒドロキシル結合多環炭化水素官能化アシル化コポリマー基材を含有する潤滑油は、直接的に、あるいは代替的に潤滑油添加剤に典型的に使用されるような濃縮物の形態で基油中に予め希釈されたものとして、有益に使用し得る。適切な基油は、本明細書に記載されている。
【0125】
有利な結果は、クランクケース潤滑油組成物、動力伝達流体、高荷重作動液、パワーステアリング流体等に従来用いられてきた基油及び/又はこれらとして使用するのに適合された基油に、本開示の添加剤混合物を用いることによってもまた達成される。ギヤ潤滑剤、工業用油、ポンプ油、及び他の潤滑油組成物もまた、その中に本開示の添加剤混合物を組込むことから利益を得ることができる。これらの潤滑剤組成物は、内燃機関(例えば、高荷重ディーゼルエンジンであり、これには排ガス再循環器(EGR)システムを備えたタイプが含まれる。)、自動車両トランスミッション、ギヤ、及び他の機械デバイス及び構成要素の潤滑に使用するのに特に適している。本開示のある実施形態の添加剤反応生成物を含有する潤滑剤組成物は、標準的なVI向上剤、即ち添加剤が存在しない場合と比べて、煤分散(解凝集)、堆積抑制、並びに境界膜形成性能及び摩耗性能を改善した。煤含有油における境界膜形成性能の改善により、煤によるエンジン摩耗の防止が助けられる。一態様では、添加剤反応生成物は、潤滑剤組成物に、特に排ガス再循環(EGR)装備ディーゼルエンジンにおいて、煤含量に起因して潤滑油の油増粘量を低減させるのに十分な量で添加することができる。別の態様では、添加剤反応生成物は、潤滑剤組成物に、特に排ガス再循環(EGR)装備ディーゼルエンジンにおいて、部分的に煤含量に起因して潤滑油の摩耗性能に積極的に影響する油増粘量を低減させるのに十分な量で添加することができる。この点に関し、一態様では、過半量の潤滑粘度の油と少量の本開示のアミン官能化アシル化コポリマー基材とを含む潤滑油組成物で前記エンジンを潤滑させることを含む、冷却排ガス再循環システムを任意に備えた高荷重ディーゼルエンジンを運転する方法を対象とする。
【0126】
これらの潤滑油配合物は、配合物に必要な特徴を与えることになる追加の添加剤を従来より含有している。これらのタイプの添加剤の中には、追加の粘度指数向上剤、酸化防止剤、腐食防止剤、清浄剤、分散剤、流動点降下剤、耐摩耗剤、消泡剤、解乳化剤及び摩擦調整剤が含まれる。
【0127】
潤滑油配合物の製造では、添加剤を、10から80重量%の活性成分濃度で炭化水素油、例えば鉱質潤滑油に又は他の適切な溶媒に導入することが一般に行われる。
【0128】
通常これらの濃縮物は、完成した潤滑剤、例えばクランクケースモーター油の形成に際し、添加剤パッケージ1重量部当たり、3から100重量部、例えば5から40重量部の潤滑油で希釈できる。濃縮物の目的は、当然ながら、様々な材料の取扱いの困難さや面倒さを少なくし、それと共に最終的なブレンドでの溶解又は分散を容易にすることである。従ってグラフト化された多官能性オレフィンヒドロキシル結合多環炭化水素コポリマーは、通常、例えば潤滑油留分中10から50重量%の濃縮物の形で用いられると考えられる。一実施形態では、完成した潤滑油中の、グラフト化多官能性オレフィンヒドロキシル結合多環炭化水素コポリマー分散性粘度向上剤の量は、約0.1重量パーセントから約10重量パーセントであり、特に約0.2重量パーセントから約2.5重量パーセントであり、より好ましくは0.2重量%から約0.8重量%である。
【0129】
以下の例は、本発明の特定の実施形態を例示するために示されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるものではない。他に指示されない限り、全ての部は重量部であり、温度は摂氏度であり、圧力はミリメートル水銀(mmHg)である。任意の濾過が、珪藻土濾過助剤を使用して行われる。分析値は、実際の分析によって得られる。
【0130】
ポリマー分析
エチレンをベースにしたコポリマーに関する、エチレン重量パーセント(C重量%)としてのエチレン含量は、典型的にはASTM D3900に従い測定される。
【0131】
ポリマーの数平均分子量は、ポリスチレン較正による3重検出法を使用して、145℃で、溶媒としてトリクロロベンゼン(TCB)を使用するゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を使用して測定した。
【0132】
増粘効率(TE)は、油中のポリマーの増粘能力の基準であり、TE=2/c×ln((kv(ポリマー+油))/kv)//ln(2)として定義され、式中、cはポリマーの濃度であり、kvはASTM D445に準拠する100℃における動的粘度である。剪断安定性指数(SSI)は、エンジンでの永続的な機械的剪断劣化に対するポリマーの抵抗性の指標である。SSIは、ASTM D6278に列挙された手順に従って、ポリマー−油溶液を30サイクル、高剪断Boschディーゼル噴射器内に通すことによって測定することができる。ポリマーのSSIは、ポリマーなしの油の粘度、並びにポリマー−油溶液の初期の粘度及びせん断後の粘度から、
SSI=100×(kv(ポリマー+油)未処理−kv(ポリマー+油),せん断)/(kv(ポリマー+油),未処理−kv油,未処理
を用いて算出することができる。
【実施例】
【0133】
例1−4:アシル化エチレン−アルファオレフィンコポリマー(OCP)の調製
アシル化エチレン−アルファオレフィンコポリマー(OCP)は、表1に掲載される種々のエチレン−プロピレン主鎖に、逆回転の2軸押出機中でペルオキシドを用いて、無水マレイン酸をフリーラジカルを介してグラフト化することによって調製した。
【0134】
例1を、2軸押出機中で溶媒の非存在下で、ペルオキシドを用いて無水マレイン酸をグラフト化することによって調製した。反応条件、並びに無水マレイン酸、ペルオキシド開始剤及びエチレン−プロピレンコポリマーのモル比率を制御して、表1に記載の所望の無水マレイン酸のグラフト化濃度及び数平均分子量を得た。未反応の無水マレイン酸及び過酸化物分解生成物は、アシル化ポリマーをペレット化する前に真空ストリッピングにより除去した。
【0135】
例2のアシル化エチレン−アルファオレフィンコポリマーを、商業上の供給元から入手した。
例3におけるアシル化エチレン−アルファオレフィンコポリマーを、以下の条件下で、実験室の押出機で調製した。顆粒状にしたエチレン−アルファオレフィンコポリマー、無水マレイン酸、ペルオキシド及び100℃において4cStの動的粘度を有するポリアルファオレフィン(PAO)を容器内で予備混合して、ペレット上に油及び試薬の均一な被膜を形成した。PAOの量は、前記混合物の約1重量%であった。用いたペルオキシドは、ジクミルペルオキシド又はジ−ターシャリ−ブチルペルオキシドのいずれかであった。次いで混合物を、スクリュー速度150rpm、且つ押出機に沿って以下の温度プロファイル:100℃、140℃、225℃、225℃(225℃のダイを用いる)で動作する、共回転2軸押出機に供給した。グラフト濃度は、供給する混合物中の無水マレイン酸含量及び/又はペルオキシドを変えることによって変化させた。過剰な試薬を、ダイの前に真空ストリッピングで除去し、押し出されたポリマーを回収した。無水マレイン酸含量は、FTIRによって、又はテトラ−ブチルアンモニウム水酸化物を用いた滴定によって測定した。
【0136】
例4のアシル化ポリイソプレン(「PIP」)を、以下のように調製した。
1Lのガラスケトル反応器に、ポリイソプレン(39K Mn)186.2g及び100N希釈油187.2gを添加した。混合物を、Nブランケット下で撹拌しながら加熱した。混合物が140℃に達すると、固体無水マレイン酸4.29gを反応器に入れた。加熱及び撹拌をN下で200℃まで継続し、反応を、これらの条件で3時間保持した。次いで真空(<50mmHg)を40分間にわたって印加して、あらゆる残留無水マレイン酸を除去した。生成物の滴定(ASTM D94)分析は、無水マレイン酸1.8重量%がポリイソプレンにグラフト化されたことを示した。
【表1】

表1に示すように、マレイン化コポリマーをポリマー主鎖に応じて基油中に溶解した。
【0137】
例5−12:アルコール官能基
本発明で使用される芳香族含有アルコールの多くは、市販されており、第三者の供給元から購入した(表2参照)。試験に必要な量で容易に入手できなかったアルコールは、当業者に知られている方法を使用して合成した。
【表2】
【0138】
例11:2−(9−アントラセニルメトキシ)エタノールの合成
【化2】

水素化ナトリウム(1.12グラム、27.9ミリモル)を不活性雰囲気下で、100ミリリットルのフラスコに添加した。無水テトラヒドロフラン(THF)(10ミリリットル)を添加して懸濁液を得た。別のフラスコに、エチレングリコール(1.42ミリリットル、25.4ミリモル)及び3ミリリットルの無水THFを添加した。得られた溶液を水素化ナトリウム懸濁液に20分に亘って滴下し添加した。その後、得られた反応混合物を30分間室温で攪拌した。
【0139】
別のフラスコに、不活性雰囲気下で、9−ブロモエチルアントラセン、10ミリリットルの無水THF、及び5ミリリットルの無水ジメチルスルホキシドを添加した。得られた混合物を先に調製した溶液に添加した。その後、得られた反応混合物を15時間、室温で攪拌した。その後、混合物を、飽和NaHCOを使用してゆっくり反応を停止させた。生成物を、ジクロロメタンを使用して抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。
【化3】
【0140】
例12:2−(9−アントラセニルオキシ)エタノールの合成
【化4】

アントロン(5.0グラム、25.7ミリモル)の無水DMF(34ミリリットル)溶液に、不活性雰囲気下で、炭酸カリウム(7.47グラム、54.1ミリモル)を添加した。得られた反応混合物に、2−ブルモエタノール(2.0ミリリットル、28.3ミリモル)を添加した。得られた反応混合物を1時間室温で攪拌し、その後、3時間80℃で攪拌した。その後、反応物を室温に冷却し、飽和NaHCOを用いて反応を停止させた。酢酸エチルを添加し、有機層を収集し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィを介して精製した。
【化5】
【0141】
例13−23: アシル化オレフィンコポリマーと芳香族アルキルアルコールとの反応
官能化ポリマー調製の一般的な手順:アシル化ポリマーのサンプルを基油に溶解して、表1に示されるような濃縮物を得た。濃縮物をケトル反応器に室温で添加した。続いて、アルコール(無水マレイン酸について2.0当量)を室温で添加した。その後、反応混合物を160℃に加熱し、活性窒素流下で3時間撹拌した。反応生成物を室温に冷却した。
【0142】
アシル化ポリマーから所望の生成物への転化を、FTIR分析により確認した。2当量のアルコールを使用し、未反応の無水物、エステル及びカルボン酸に対応するシグナルが普通に観察された。必要に応じて、材料を標準的な方法により除去することができるが、典型的にはこのような未反応の反応物、副反応生成物及び副生成物は除去する必要はなく、官能基の改善をもたらすことができる。
【0143】
表1に列挙されるアシル化主鎖を、例13から23(表3)に示されるように、表2に列挙される芳香族アルコールと反応させた。幾つかの比較例を、本発明を説明するために合成した。例13−Cでは、2−ナフトールそのものをマレアート化OCPと反応させようとしたが、標準反応条件下では反応が観察されなかった。対照的に、2−ナフチルメタノールを無水物と反応させ、所望の生成物を得た(例16)。同様に、ベンジルアルコール、3−フェノキシベンジルアルコール、9−アントラセニルメタノール、及び1−ピレンメタノールの全てを反応させて、反応生成物を得た(例14−18)。このシリーズは、隣接環系の重要性を説明するために行われた。2−(9−アントラセニルメトキシ)エタノール及び2−(9−アントラセニルオキシ)エタノールを、同じポリマー主鎖と反応させて、ヒドロキシル官能性と芳香族系との間の種々のリンカーを説明した(例19−20)。最後に、例21−23を調製して、種々のアシル化主鎖を調べた。
【表3】
【0144】
例24〜34:HFRR摩耗性能
例24から34は、本発明の潤滑油添加剤組成物を具体化したものであり、煤代用物の存在下で高周波数往復リグ(HFRR:High Frequency Reciprocating Rig)摩耗ベンチ試験について評価した。HFRRベンチ試験は、カーボンブラックが先に投入された潤滑油の存在下で、指定された荷重における往復滑動運動に供した後の、ボール標本における平均摩耗痕径を測定する。摩耗痕は、滑動方向に平行な直径及び直交する直径の両方の平均として報告される。例24から34に報告されるデータは、3回繰り返し行った測定の平均である。
【0145】
配合油中の例24から34の添加剤組成物に関して測定された摩耗痕径を、本発明の潤滑油添加剤組成物を含有しない配合油と比較した。使用される潤滑油は、APIグループIIIベースストックと、清浄剤、分散剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、酸化防止剤、消泡剤、流動点降下剤、摩擦調整剤、本発明の添加剤、及び非官能化粘度指数向上剤を含む添加剤とがブレンドされた、完全に配合されたSAE 5W−30潤滑油であった。潤滑油の例に添加される本発明の添加剤の正味の活性含量を、表4に示す。SAE 5W−30潤滑油を、100℃における動的粘度、約12.2±0.3cStにまでブレンドした。本発明によるHFRR摩耗ベンチ試験の結果を、表4にまとめる。
【表4】
【0146】
結果からわかるように、官能化ポリマーの全ては、ベースラインの比較例(例24)に比べて性能が改善された。例25−29は、隣接芳香族環の数が重要であることを示しており、ベンジルからナフトールへ移ると僅かながら改善することがわかり、3つの隣接芳香族環系を使用するとかなり大きく改善することがわかる。4つの環系であるピレンを使用すると、最良の結果が得られた。例30及び31は、ヒドロキシメチル以外のリンカー基は、本発明に適することを示す。例32から34は、組成、MAレベル、及びMnを変更した幾つかの異なるオレフィンコポリマーが本発明に有効であることを示す。
【0147】
煤増粘ベンチ試験
例14−23は、配合物が分散し且つ煤代用物であるカーボンブラックの添加から得られる粘度上昇を制御する能力を測定する、煤増粘ベンチ試験を使用して、パーセント粘度上昇に関して更に評価した。煤増粘ベンチ試験を使用して、新鮮な油の粘度を、センチストークスを単位として測定する。カーボンブラックを含有する油の粘度は、当技術分野で周知の方法に従い測定される。パーセント粘度上昇は、下式に従って計算される。
%粘度上昇=[(viscbo−visfo)/(visfo)×100]
viscbo:油中のカーボンブラックの粘度
visfo:新鮮な油の粘度
【0148】
煤増粘ベンチ試験を用いて、処方された油中における例14−23の添加剤組成物について算出したパーセント粘度上昇を、本発明の潤滑油添加剤組成物を含まない処方された油と比較した。本発明の処方された油は、0.66重量%の酸化防止剤パッケージ、0.33重量%の流動点降下剤、4.07重量%のフェノール塩及びスルホン酸塩を含むカルシウム系清浄剤パッケージ、2.41重量%のジチオリン酸亜鉛、0.03重量%の消泡剤、7.7重量%の粘度指数向上剤、並びに、ベースストックの混合物(69.24重量%のExxon 150N油及び30.76重量%のExxon600N油(それらの全ては、バージニア州フェアファックスのExxonMobile Corporationから購入可)からなる)である85.10重量%の潤滑油ブレンドを含み、これらが比較例の油処方を示す。本発明の配合潤滑油組成物を調製するために、表3に示される主鎖及びアルコールから作られた添加剤組成物(濃縮物)約6重量%をトップ処理して配合比較油にした。煤増粘ベンチ試験の結果を表5に示す。
【表5】
【0149】
耐摩耗性能と比較して、煤取扱性能における同様な傾向は、表5の結果から知ることができる。隣接芳香族基の数が1から4に増加すると、煤の結果を示す%粘度上昇が減少する(例36−40)。例41及び42は、リンカー基の影響を示しているが、これらは、ベースラインと比べてなおかなり改善されたのもの、%粘度上昇は予想したよりも高かった。最後に、例43−45は、組成、MAレベル、およびMnを変更した異なるオレフィンコポリマーは本発明に有効であることを示す。
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおり要約される。
[態様1]
(a)約7,000と約500,000の間の数平均分子量(Mn)を有する炭化水素ポリマー;
(b)エチレン性不飽和アシル化剤;及び
(c)3個〜6個の隣接する縮合炭素環を有するヒドロキシル結合多環炭化水素化合物(前記炭素環が独立的に5個〜7個の炭素原子から選択され、前記多環炭化水素化合物が少なくとも5つのπ結合を含む。)
を反応させる工程を含むプロセスにより調製される、油溶性潤滑油添加剤(油溶性潤滑油添加剤組成物)。
[態様2]
前記炭化水素ポリマーが、(1)2個から約28個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンのポリマー;(2)ジエンのポリマー;(3)共役ジエンとビニル置換芳香族化合物とのコポリマー;及び(4)星型ポリマーからなる群から選択されるホモポリマー又はコポリマーである、上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様3]
前記コポリマーが、(1)2個から約28個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンのポリマーから選択され、1種のオレフィンはエチレンである、上記態様2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様4]
前記コポリマーのエチレン含量が、エチレン45〜52重量%である、上記態様3に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様5]
前記コポリマーが、7,000から約60,000の数平均分子量を有するエチレン−プロピレンコポリマーである、上記態様4に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様6]
前記炭化水素ポリマーが、ジエンの任意に水素化されたポリマーであり、前記ジエンは、イソプレン、ブタジエン、及びピペリレンからなる群から選択される共役ジエンである、上記態様2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様7]
前記炭化水素ポリマーが、共役ジエンとビニル置換芳香族化合物との任意に水素化されたコポリマーであり、前記ビニル置換芳香族化合物がスチレン系モノマーである、上記態様2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様8]
前記ジエンが、イソプレン及び1,3−ブタジエンからなる群から選択される、上記態様7に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様9]
前記炭化水素ポリマーが星型ポリマーであり、そのアームがジエン及びビニル置換芳香族化合物から誘導される、上記態様2に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様10]
前記エチレン性不飽和アシル化剤が、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸(methyacrylic acid)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニット酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、及びこれらの酸のエステル、並びにこれらの組合せからなる群のうち少なくとも1つを含む、上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様11]
前記炭化水素コポリマーのグラフト化は、フリーラジカル開始剤の存在下で約100℃から約250℃で行われる、上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様12]
前記炭化水素ポリマーの主鎖が、ポリマーの全質量に対して無水マレイン酸が0.5から3.0重量%の範囲にて、無水マレイン酸アシル化剤で官能化されている、上記態様11に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様13]
前記エチレン性不飽和アシル化剤を最初にヒドロキシル結合多環炭化水素化合物と反応させて、反応生成物を形成し、前記反応生成物をポリマー主鎖にグラフト化させる、上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様14]
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、1個から10個の炭素原子を有するヒドロキシ−アルキレン基、ヒドロキシル - アルキ(alky) - オキシ、ヒドロキシル−アルク−(オキシ−アルク)− オキシ及びヒドロキシル−アルク−(オキシ - アルク)−チオ−からなる群から選択されるリンカー基を有し、各場合についてアルクが独立的に、2個から6個の炭素原子から選択されるアルキレンであり、nが1から100のうちの1つの整数である、上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様15]
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、1個から10個の炭素原子を有するヒドロキシ−アルキレン基からなる群から選択されるリンカー基を有する、上記態様14に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様16]
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、ヒドロキシル−アルキ(alky)−オキシ(アルクが2個から6個の炭素原子から選択されるアルキレンである)からなる群から選択されるリンカー基を有する、上記態様14に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様17]
前記ヒドロキシル結合多環炭化水素化合物が、ヒドロキシル −アルク−(オキシ−アルク)−オキシ及びヒドロキシル− アルク−(オキシ−アルク)−チオ−(各場合についてアルクが独立的に、2個から6個の炭素原子から選択されるアルキレンであり、nが1から100のうちの1つの整数である)からなる群から選択されるリンカー基を有する、上記態様14に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様18]
nが5から25のうちの1つの整数である、上記態様17に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様19]
脂肪族アルコール、脂環式アルコール、及びモノヒドロキシポリエーテルからなる群からの第2選択アルコールを反応させる工程を更に含む、上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様20]
反応工程を含む前記プロセスは、押出機により行われる、上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤。
[態様21]
不活性液体有機希釈剤及び約3から50重量%の上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤を含む、添加剤濃縮物。
[態様22]
前記不活性液体有機希釈剤は、グループII、グループIII、グループIV若しくはグループVの基油、若しくはこれらの混合物、又はグループIの基油とグループII、グループII若しくはグループIVの基油の少なくとも1種との混合物から選択される希釈油である、上記態様21に記載の添加剤濃縮物。
[態様23]
過半量の潤滑粘度の油と、少量の上記態様1に記載の油溶性潤滑油添加剤とを含む潤滑油組成物。
[態様24]
酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、摩擦調整剤、腐食及び錆防止剤、粘度指数向上剤、並びに消泡剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、上記態様23に記載の潤滑油組成物。
[態様25]
少なくとも1種の前記添加剤が、高荷重ディーゼルエンジン潤滑油組成物に使用するために選択される、上記態様24に記載の潤滑油組成物。