(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本実施形態の電源装置であるプラズマ生成用電源装置の構成について、
図1と
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプラズマ生成用電源装置の構成を示す図である。
図2は、本発明の実施形態に係る整合部の構成図の一例である。
図1に示すように、本実施形態のプラズマ生成用電源装置10は、制御部11、周波数シンセサイザ回路12、電力増幅部13、検出部14、整合部15、操作部16、表示部17、記憶部18を含むように構成され、外部の負荷(本実施形態ではプラズマ発生装置20)に対して高周波電力を出力する。
【0014】
周波数シンセサイザ回路12は、所定の周波数を有する基準信号12sを生成する基準信号生成部である。周波数シンセサイザ回路12には、例えば周波数を参照するための信号である参照周波数信号19を発生する水晶発振器(不図示)が接続される。周波数シンセサイザ回路12は、水晶発振器からの参照周波数信号19に基づき、該参照周波数信号の整数倍又は整数で割った周波数を有する基準信号12s(例えば27.12MHz)を出力する。また、周波数シンセサイザ回路12は、制御部11からの指示(周波数制御信号11s2)に基づき、上記参照周波数信号の整数倍又は整数で割った周波数を中心として所定の範囲で、その出力周波数を変更し、該変更した周波数の基準信号12sを出力することができる。なお、水晶発振器を用いず、参照周波数信号19として外部の参照クロック信号を用いることも可能である。
【0015】
電力増幅部13は、周波数シンセサイザ回路12で生成された基準信号12sの電力を増幅して高周波電力信号を生成する。電力増幅部13で生成された高周波電力信号は、後述する検出部14と整合部15を介して、外部の負荷であるプラズマ発生装置20の共振コイルへ出力される。プラズマ発生装置20は、例えば、プラズマを生成するプラズマエッチング装置である。
【0016】
検出部14は、例えばCM型方向性結合器で構成され、電力増幅部13から出力された高周波電力信号を整合部15へ出力するとともに、電力増幅部13から出力された高周波電力信号から、該高周波電力信号に含まれる反射波の大きさを示す反射波電圧14s1を検出し、制御部11へ出力する。
なお、検出部14は、電流計や電圧計を含むように構成することもでき、整合部15の入力インピーダンスや入力電流値、つまり、プラズマ発生装置20に対するプラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンスや出力電流値を検出し、制御部11へ出力するよう構成することもできる。
【0017】
整合部15は、プラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンスを変更して、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスに整合する、つまり、整合部15の出力インピーダンスとプラズマ発生装置20の入力インピーダンスとを整合するための固定整合素子と可変整合素子とを有する。整合部15は、例えば
図2に示すように、整合部15の入力端子(
図2のIN)と出力端子(
図2のOUT)との間に接続された固定コイルL1(固定整合素子)と、入力端子INとアースの間に接続された可変容量コンデンサC1(可変整合素子)とを備える。整合部15の入力端子INは、検出部14の出力端子と接続され、整合部15の出力端子OUTは、プラズマ発生装置20の入力端子に接続されている。
【0018】
固定コイルL1のインダクタンス値は固定されており、可変容量コンデンサC1の容量値は、制御部11からのインピーダンス制御信号11s1により変更可能に構成されている。可変容量コンデンサC1の容量値は、例えば可変容量コンデンサC1の電極間の距離を変更することにより変更できる。整合部15は、制御部11からのインピーダンス制御信号11s1に応じて可変容量コンデンサC1の電極間の距離を変更する駆動機構(不図示)を備えている。なお、容量の異なる複数の可変容量コンデンサC1を並列に接続し、そのうち1つを使用するように切り換える方法を採用することも可能である。
【0019】
操作部16は、例えばキーボードやマウス等の入力機器を備え、操作者からの各種指示を受け付ける。表示部17は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を備え、各種情報を表示する。
【0020】
記憶部18は、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体で構成され、
図9等に示す整合マップや、
図13に示す初期値決定テーブル等を記憶する。整合マップや初期値決定テーブルについては、後述する。
【0021】
制御部11は、周波数シンセサイザ回路12、電力増幅部13、検出部14、整合部15、操作部16、表示部17、記憶部18と信号接続され、これらを制御する。制御部11は、検出部14で検出された反射波電圧14s1に基づき、該反射波電圧14s1を小さくするように、周波数シンセサイザ回路12に対し周波数制御信号11s2を出力して周波数シンセサイザ回路12の出力周波数を制御する。また、制御部11は、反射波電圧14s1を小さくするように、整合部15に対しインピーダンス制御信号11s1を出力して整合部15の可変容量コンデンサC1の容量値を制御する。
こうして制御部11は、整合部15の出力インピーダンス(つまり、プラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンス)とプラズマ発生装置20の入力インピーダンスを整合させる。
【0022】
また、制御部11は、整合マップ取得処理(
図11参照)や、可変容量コンデンサ初期値決定処理(
図14参照)や、整合マップにおける次回進行方向決定処理(
図17等参照)等の処理を行う。これらの処理については後述する。
制御部11は、ハードウェア構成として、CPU(中央演算ユニット)と、CPUの動作プログラムを格納するメモリとを備える。
なお、プラズマ生成用電源装置10を制御する制御部11を、プラズマ発生装置20を制御する制御部と一体に設けるようにすることも可能である。
【0023】
なお、
図2に示す整合部15に代えて、
図3に示す整合部31、
図4に示す整合部32、
図5に示す整合部33、
図6に示す整合部34、
図7に示す整合部35、
図8に示す整合部36等を用いることも可能である。
図2〜
図4では、可変容量コンデンサは1つであるが、
図5〜
図7では、可変容量コンデンサは2つであり、
図8では、可変容量コンデンサは3つである。以降の説明において、特に断らない限り、
図2に示す整合部15を用いて説明する。
【0024】
次に、本実施形態のプラズマ生成パラメータの初期値決定方法について、
図9〜
図14を用いて説明する。プラズマ生成パラメータの初期値とは、プラズマ発生装置20の立ち上がり時における、周波数シンセサイザ回路12の出力周波数や、整合部15の可変整合素子の値、例えば、可変容量コンデンサの容量値である。この初期値は、プラズマ発生装置20の立ち上がり時における処理ガスの種類や流量や圧力等により、適正値が異なる。プラズマ発生装置20の立ち上がり時とは、プラズマ発生装置20の動作開始時であり、例えば、プラズマ発生装置20の電源投入時である。
【0025】
記憶部18には、予め、可変容量コンデンサC1の可変容量範囲であるC
1〜C
m(C
1、C
2、C
3、…、C
i、C
i+1、…、C
m-1、C
m)、周波数シンセサイザ回路12の周波数可変範囲であるF
1〜F
n(F
1、F
2、F
3、…、F
j、F
j+1、…、F
n-1、F
n)が、例えば操作部16から操作者により設定され記憶されている。
【0026】
制御部11は、プラズマ発生装置20の電源が投入された状態において、C
1〜C
mのそれぞれとF
1〜F
nのそれぞれとの全ての組み合わせに対して、検出部14からの反射波電圧14s1の値を求め、
図9に示す整合マップを作成し、記憶部18に記憶する。このとき例えば、Cの値をC
1に固定した状態でFをF
1〜F
nのように変化させ、次にCの値をC
2に固定した状態でFをF
1〜F
nのように変化させるようにする。これは、Cの値を変化させるのは、Fの値を変化させるよりも時間を要するからである。
次に制御部11は、取得した整合マップを用いて、整合に適したパラメータ(整合パラメータ)である可変容量コンデンサC1の容量値と周波数シンセサイザ回路12の周波数を決定する。
【0027】
図9は、本発明の実施形態に係る整合マップの一例であり、C、Fにより整合を行う。
図9の例では、説明を解り易くするため、C
1〜C
mをC
1〜C
7、F
1〜F
nをF
1〜F
7としている。
図9の例では、まずCの値をC
1に固定した状態でFをF
1〜F
7のように変化させ、F
1〜F
7における反射波電圧14s1の値として、それぞれ、45、40、25、15、10、10、20を求めている。次にCの値をC
2に固定した状態でFを変化させ、F
1〜F
7における反射波電圧14s1の値として、それぞれ、40、30、20、10、5、5、10を求めている。こうして、C
1〜C
7のそれぞれとF
1〜F
7のそれぞれとの全ての組み合わせに対して、検出部14からの反射波電圧14s1の値を求めている。
【0028】
図9の例では、C
3であってF
4〜F
6である領域と、C
4であってF
3〜F
5である領域と、C
5であってF
2〜F
4である領域とにおいて、反射波電圧14s1がゼロである。実際には、反射波は厳密にゼロにならないこともある。本明細書において、反射波がゼロとは、反射波の大きさが所定の値以下であることを意味する。
【0029】
こうして、複数の第1のパラメータ値(可変容量コンデンサC1の容量C
1〜C
7)と、複数の第2のパラメータ値(周波数シンセサイザ回路12の周波数、つまり高周波電力の周波数F
1〜F
7)とが設定され、前記第1のパラメータ値と前記第2のパラメータ値の組合わせにより決定される領域である設定ポイントを複数有する整合マップが取得され、記憶部18に記憶される。第1のパラメータ値及び第2のパラメータ値は、プラズマ発生装置20へ出力する高周波電力に含まれる反射波の大きさを変更するためのものである。
図9の例では、設定ポイントの数は、7×7=49である。
【0030】
図10は、本発明の実施形態に係るC、Fによる整合マップの他の例である。
図10の例では、C
2であってF
5〜F
6である領域と、C
3であってF
5〜F
6である領域と、C
5であってF
2〜F
3である領域と、C
6であってF
2〜F
3である領域とにおいて、反射波電圧14s1がゼロである。このように、反射波がゼロである領域が、複数個所に分かれている場合もある。
【0031】
図11は、本発明の実施形態に係る整合マップ取得のフローチャートである。
操作部16から操作者により、整合マップ取得の指示がなされると、制御部11は、iとjを初期値である1に設定し(
図11のステップS1)、プラズマ生成用電源装置10とプラズマ発生装置20へ電力の供給を開始する(ステップS2)。
【0032】
次に制御部11は、可変容量コンデンサC1の容量値をC
iに設定し(ステップS3)、周波数シンセサイザ回路12の周波数をF
jに設定して(ステップS4)、そのときの反射波電圧14s1の値Refを取得し(ステップS5)、C
iとF
jとRefとを互いに関連付けて記憶部18に記憶する(ステップS6)。最初は、C
i=C
1、F
j=F
1なので、C
1とF
1とRef
11とを互いに関連付けて記憶部18に記憶する。Ref
11は、C
i=C
1、F
j=F
1のときの反射波電圧14s1の値である。
【0033】
次に制御部11は、j=nであるか否かを判定、つまりF
j=F
nであるか否かを判定し(ステップS7)、j=nでない場合(ステップS7でNo)は、j=j+1として(ステップS10)、ステップS4へ戻る。j=nである場合(ステップS7でYes)、つまり周波数シンセサイザ回路12の周波数可変範囲を全て走査終了した場合は、i=mであるか否かを判定、つまりC
i=C
mであるか否かを判定する(ステップS8)。
【0034】
そして制御部11は、i=mでない場合(ステップS8でNo)は、i=i+1とし(ステップS11)、j=1として(ステップS12)、ステップS3へ戻る。i=mである場合(ステップS8でYes)は、プラズマ生成用電源装置10とプラズマ発生装置20に対する電力の供給を停止して(ステップS9)、整合マップ取得処理を終了する。
【0035】
このようにして、制御部11は、C
1〜C
mのそれぞれとF
1〜F
nのそれぞれとの全ての組み合わせに対して、つまり、複数の領域(設定ポイント)の全てに対して、検出部14からの反射波電圧14s1の値を求め、整合マップを作成し取得する。
【0036】
次に制御部11は、取得した整合マップを用いて、整合に適したパラメータである可変容量コンデンサC1の容量値(第1のパラメータ値)と周波数シンセサイザ回路12の周波数(第2のパラメータ値)を決定する。
【0037】
まず、制御部11は、取得した整合マップにおいて、反射波電圧14s1の値がゼロの領域を、可変容量コンデンサ初期値候補群X
n(X
n=x
1、x
2、x
3、…、x
k、x
k-1、…、x
n-1、x
n)として抽出する。具体的には、取得した整合マップに対して、まずF
1を固定した状態で、C
m、C
m-1…C
1の値をスキャン(走査)し、次にF
2を固定した状態で、C
m、C
m-1…C
1の値をスキャンし、以下同様にして、整合マップの全ての領域のスキャンを行う。そして、制御部11は、反射波電圧がゼロになる領域を、可変容量コンデンサ初期値候補群X
nとして抽出する。
【0038】
図9の整合マップに対して、可変容量コンデンサ初期値候補群X
nを抽出した結果を、
図12に示す。
図12は、本発明の実施形態に係る可変容量コンデンサ初期値決定の説明図である。
図12に示すように、x
1は、F
2とC
5で決定される領域(設定ポイント)である(F
2、C
5)、x
2は(F
3、C
5)、x
3は(F
4、C
5)、x
4は(F
3、C
4)、x
5は(F
4、C
4)、x
6は(F
5、C
4)、x
7は(F
4、C
3)、x
8は(F
5、C
3)、x
9は(F
6、C
3)である。
【0039】
次に制御部11は、可変容量コンデンサ初期値候補群X
nを抽出した整合マップを用いて、初期値決定テーブルを作成する。具体的には、まず、抽出した各候補x
nに対して、それぞれの周囲8近傍の領域のうち反射波電圧がゼロになる領域のカウントを行い、このカウント値をaとする。候補x
nの周囲8近傍の領域とは、長方形の領域x
nの4つの辺と4つの角のうち、少なくともいずれか1つを共有する領域である。例えば候補x
1(F
2、C
5)の周囲8近傍の領域とは、F
1とC
4〜C
6で決定される3領域と、F
2とC
4及びC
6で決定される2領域と、F
3とC
4〜C
6で決定される3領域である。
【0040】
次に制御部11は、上記各候補x
nに対して、それぞれ辺を共有して隣接する4近傍の領域のうち反射波電圧がゼロになる領域のカウントを行い、このカウント値をbとする。候補x
nの、辺を共有して隣接する4近傍の領域とは、長方形の候補x
nの4つの辺のうち、いずれか1つを共有する領域である。例えば候補x
1(F
2、C
5)の4近傍の領域とは、(F
1、C
5)の領域と、F
2とC
4及びC
6で決定される2領域と、(F
3、C
5)の領域である。
【0041】
次に制御部11は、各候補x
nにおいて、aとbの合計値を計算する。そして、各候補x
nに対し、aの値と、bの値と、aとbの合計値とを対応付けて、初期値決定テーブルを作成する。
【0042】
そして制御部11は、作成した初期値決定テーブルに基づき、a+bの合計値が最大となる候補x
nにおける容量値Cと周波数Fを、それぞれ、可変容量コンデンサC1と周波数シンセサイザ回路12の初期設定値として採用する。つまり、a+bの合計値が最大となる候補x
nにおける容量値Cと周波数Fを、プラズマ発生装置20の立ち上がり時(例えば電源投入直後)の設定値として用いる。
【0043】
図13は、本発明の実施形態に係る初期値決定テーブルである。
図13には、反射波電圧がゼロになる領域x
1〜x
9のそれぞれについて、aの値、bの値、a+bの合計値、可変容量コンデンサC1の初期設定値としての適否、つまり採用可否が示されている。○印は採用可、×印は採用不可を示す。
図13の例では、領域x
5のaの値が6であり、bの値が4であり、a+bの合計値が10で最大であるので、領域x
5の容量値Cと周波数Fを、それぞれ、可変容量コンデンサC1と周波数シンセサイザ回路12の初期設定値として採用する。
【0044】
図14は、本発明の実施形態に係る可変容量コンデンサ初期値決定のフローチャートである。まず、制御部11は、上述したように、取得した整合マップにおいて、反射波電圧14s1の値がゼロの領域を、可変容量コンデンサ初期値候補群X
n(X
n=x
1、x
2、x
3、…、x
k、x
k-1、…、x
n-1、x
n)として抽出する(
図14のステップS21)。
【0045】
次に制御部11は、kを初期値である1に設定し(ステップS22)、x
kにおけるaの値を計算し(ステップS23)、x
kにおけるbの値を計算し(ステップS24)、x
kにおけるaとbの合計値を計算する(ステップS25)。そして、aの値と、bの値と、aとbの合計値を、初期値決定テーブルに追加する(ステップS26)。
【0046】
次に制御部11は、k<nであるか否か、つまり可変容量コンデンサ初期値候補群X
nの全てに対してaとbの合計値を計算したか否かを判定する(ステップS27)。k<nである場合、つまり、可変容量コンデンサ初期値候補群X
nの全てに対してaとbの合計値を計算していない場合は、k=k+1として(ステップS30)、ステップS23へ戻る。k<nでない場合、つまりk=nである場合は、可変容量コンデンサ初期値候補群X
nの全てに対してaとbの合計値を計算したので、初期値決定テーブルに基づき、aとbの合計値が最大となるx
kを決定し(ステップS28)、該x
kのCの値を、可変容量コンデンサC1の初期値として採用し、該x
kの周波数Fの値を、周波数シンセサイザ回路12の初期値として採用する(ステップS29)。
【0047】
なお、上述の実施形態では、aとbの合計値が最大となるx
kのCとFの値を、それぞれ、可変容量コンデンサC1の初期値、周波数シンセサイザ回路12の初期値として採用するように構成したが、aとbの合計値を求めることなく、aの値が最大となるx
kのCとFの値を初期値として採用するように構成することも可能である。あるいは、bの値が最大となるx
kのCとFの値を初期値として採用するように構成することも可能である。あるいは、aの値とbの値に、それぞれ所定の重みづけを行い、該重みづけを行った値を合計するような種々の変形例も考えられる。
【0048】
なお、
図9や
図10の整合マップにおいて、反射波の大きさの代わりに、検出部14で検出された整合部15の入力インピーダンス、又は負荷への出力電流値を用いることもできる。この場合、制御部11は、この入力インピーダンス又は出力電流値が第1の値以下となる整合ポイントへ移るよう、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とを変更することにより、プラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンスを変更する整合処理を行う。
【0049】
プラズマ発生装置20が立ち上がった後、処理ガスの種類や流量や圧力等が変化すると、反射波の値が変化するので、整合部15の可変整合素子の値、例えば、可変容量コンデンサの容量値等を変化させる必要がある。プラズマ発生装置20の立ち上がり後において、プラズマ生成パラメータを変更することにより、プラズマ生成用電源装置10を整合状態にする整合処理について、
図15〜
図33を用いて説明する。これらの整合処理は、例えば、制御部11により行われるが、操作者が行うことも可能である。
【0050】
図15は、本発明の実施形態に係る反射波エリアの説明図である。
一般に、インピーダンス整合する整合ポイントから離れるに従い、反射波が大きくなることが分かっている。また、可変整合素子の値や周波数シンセサイザ回路12の出力周波数を大きく変えると、反射波が大きく急激に変化して、プラズマ発生装置20へ許容値を超える大電流が流れる恐れがある。そこで、
図15に示すように、反射波ゼロのエリア(領域)の周囲のエリアを段階的に区分し、各エリア毎に反射波の値を平均化する。そして、各エリアの反射波の平均値の差が所定の閾値以下となるように、各エリアを設定する。つまり、一度に変化させ得るCとFの値(ΔCとΔF)を設定する。
【0051】
図15の例では、反射波ゼロのエリア(中心の0のエリア)の周囲に、段階的に、プラズマ生成パラメータの可変閾値1エリア、可変閾値2エリア、可変閾値3エリア、可変閾値4エリアが設定されている。これらの可変閾値エリアを1段階ずつ移るように、プラズマ生成パラメータC又はFを変化させることにより、プラズマ発生装置20へ許容値を超える大電流が流れることを回避できる。このマップを用いることで、一度に変化させてもよい可変整合素子の増加減少量や周波数の範囲も分かるようになる。この考え方を用いて、
図9や
図10で示したC
1〜C
7やF
1〜F
7の設定値が決められている。なお、
図15の例では、4つの可変閾値エリアが設定されているが、可変閾値エリアの数は4つに限られるものではない。また、可変整合素子の設定値もC
1〜C
11に限られるものではなく、周波数の設定値もF
1〜F
11に限られるものではない。
【0052】
(第1実施例)
図16は、本発明の実施形態の第1実施例に係る次回進行方向決定処理の説明図である。
図16は、可変周波数Fと、整合回路(例えば
図2〜
図4)の可変容量コンデンサの容量Cとによる整合マップの一例であり、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスが、ある特定の状態にある場合の整合マップである。つまり、例えば、プラズマ発生装置20における処理ガスの種類や流量や圧力や電力等が、ある特定の状態にある場合の整合マップである。
図16において、可変周波数Fは第1のパラメータ値であり、可変容量コンデンサCの容量は第2のパラメータ値である。この第1のパラメータ値と第2のパラメータ値は、プラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンスを決めるものである。
【0053】
図16の例では、F
1〜F
7(第1のパラメータ値)、C
1〜C
7(第2のパラメータ値)の組み合わせの各設定ポイントにおける反射波の値を、予め調べて取得し、記憶部18に記憶しておく。これら複数の設定ポイントのそれぞれにおいて、隣接する設定ポイントに移る場合に発生する負荷(プラズマ発生装置20)への出力電流値が、所定の閾値以下となるよう、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とが設定されている。例えば、設定ポイントX
0に隣接する設定ポイントは、X
1〜X
8の8つである。
【0054】
なお、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値が、隣接する設定ポイントに移る場合に発生する負荷への出力電流値を所定の閾値以下とするよう設定されてない場合であっても、上記の複数の設定ポイントを設定することにより、複数の設定ポイントを設定していない場合に比べて、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値を変更する場合に発生する負荷への出力電流値を抑制することができる。
【0055】
そして、インピーダンス整合を行う経路は、設定ポイントX
0(F
2、C
2)から出発し、X
3(F
3、C
3)を経て、整合ポイントX
P(F
4、C
3)へ到達する。このように、X
0(F
2、C
2)から直接X
P(F
4、C
3)へCとFの値を変更するのではなく、隣接する設定ポイントを経由するように段階を経て、整合ポイントX
P(F
4、C
3)へ到達するよう、CとFの値を変更するので、
図15の説明で述べたように、プラズマ発生装置20へ許容値を超える大電流が流れることを回避できる。
【0056】
具体的には、
図16に示す通り、マップ(
図16)上で、現在のCとFの値の設定ポイントの位置X
0(F
2、C
2)の、周囲8ポイントの反射波の値をチェックして、FとCの可変速度(Fの可変速度>Cの可変速度)を加味し、最も小さい反射波となる設定ポイントX
3(F
3、C
3)へ、FとCの値を変更する。次に、同様にして、マップ上での現在の設定ポイントX
3の周囲8ポイントの反射波の値を調べ、FとCの可変速度を加味し、最も小さい反射波となる位置X
P(F
4、C
3)へ、FとCの値を変更する。このように、整合時間を重視する場合は、周波数可変速度は容量可変速度の約1000倍であるので、可変コンデンサをなるべく動かさない方向へのルートを取る。
【0057】
図17は、第1実施例に係る次回進行方向決定処理のフローチャートである。
図17において、まず、現在の位置の設定ポイントX
0の周囲8ポイントX
1〜X
8の反射波の値(Ref1〜Ref8)をチェックする(ステップS41)。次に、Ref1〜Ref8のうち反射波の値が最小となる値(X
3)の方向に、FとCを変更する(ステップS42)。次に、FとCを変更後のポイントX
3の周囲8ポイントの反射波の値Ref1〜Ref8に、ゼロが含まれているか否かをチェックする(ステップS43)。ゼロが含まれていない場合は(ステップS43でNo)、ステップS41に戻る。前述したように、反射波がゼロとは、反射波の大きさが所定の値以下であることを意味する。
【0058】
Ref1〜Ref8にゼロが含まれている場合は(ステップS43でYes)、Ref1〜Ref8にゼロが2つ以上含まれているか否かをチェックする(ステップS44)。ゼロが2つ以上含まれていない場合は(ステップS44でNo)、反射波がゼロの方向へ、FとCを変更して(ステップS47)、処理を終了する。
【0059】
ゼロが2つ以上含まれている場合は(ステップS44でYes)、Fの可変方向に、ゼロが含まれているか否かをチェックする(ステップS45)。Fの可変方向にゼロが含まれている場合は(ステップS45でYes)、以降、Fのみを変更して(ステップS46)、処理を終了する。
【0060】
Fの可変方向にゼロが含まれていない場合は(ステップS45でNo)、反射波がゼロの方向へ、FとCを変更して(ステップS47)、処理を終了する。
【0061】
なお、ステップS42において、Ref1〜Ref8のうち反射波の値が最小となる値(X
3)の方向であって、かつ、整合ポイント(反射波がゼロ)に近づく方向へ、FとCを変更するようにしてもよい。このようにすると、より的確に整合ポイントに近づくことができる。
【0062】
こうして、制御部11は、設定ポイントの1つから、検出部14で検出された反射波の大きさが第1の値以下となる整合ポイントへ移るよう、第1のパラメータ値(可変周波数F)と第2のパラメータ値(容量C)とを変更することにより、プラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンスを変更する整合処理を行うとともに、この整合処理を行うときに、隣接する設定ポイントを経由するように、第1のパラメータ値(可変周波数F)と前記第2のパラメータ値(容量C)とを変更する。
【0063】
なお、制御部11は、反射波の大きさの代わりに、検出部14で検出された整合部15の入力インピーダンス、又は負荷への出力電流値を用い、該入力インピーダンス又は該出力電流値が第1の値以下となる整合ポイントへ移るよう、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とを変更することにより、プラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンスを変更する整合処理を行うとともに、該整合処理を行うときに、隣接する設定ポイントを経由するように、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とを変更することもできる。
【0064】
前述したように、
図17の処理は、例えば、制御部11により行われるが、操作者が行うことも可能である。操作者が行う場合は、プラズマ生成用電源装置10の表示部17に、
図16の整合マップ(その時点のプラズマ発生装置20の整合マップ)を表示する。このとき、その時点のCとFの値は分かっているので、操作者は、その時点のCとFの値の設定ポイントX
0(F
2、C
2)の周囲8ポイントの反射波の値をチェックして、FとCの可変速度を加味し、最も小さい反射波(10)となる設定ポイントX
3へ移るように、FとCを(F
3、C
3)へ変更する。次に、同様にして、マップ上での現在の設定ポイントX
3の周囲8ポイントの反射波の値を調べ、FとCの可変速度を加味し、最も小さい反射波(0)となる設定ポイントX
Pへ移るように、FとCを(F
4、C
3)へ変更する。
【0065】
このように、整合マップが表示部17に表示された状態で、第1の設定ポイント(例えば、位置X
0)から第2の設定ポイント(例えば、位置X
3)へ移す指示を操作部16で受け付けると、制御部11は、第1の設定ポイントにおける第1のパラメータ値(Fの値)と第2のパラメータ値(Cの値)から、第2の設定ポイント(例えば、位置X
3)における第1のパラメータ値(Fの値)と第2のパラメータ値(Cの値)へ変更することにより、プラズマ生成用電源装置10の出力インピーダンスを変更する。
【0066】
こうして、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスが変動、つまり、例えば、プラズマ発生装置20における処理ガスの種類や流量や圧力や電力等が変動すると、変動後の状態の整合マップを用いて、インピーダンス整合を行う。複数のプロセス条件や電力条件等にそれぞれ対応する整合マップを、予め取得して、記憶部18に記憶しておくことにより、整合処理を短時間で行うことができる。
【0067】
第1実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(A1)第1のパラメータ値と第2のパラメータ値の組合わせにより決定される設定ポイントを複数有する整合マップを用いて、設定ポイントの1つから、反射波の大きさが第1の値以下となる整合ポイントへ移るよう、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とを変更することにより、プラズマ生成用電源装置の出力インピーダンスを変更する整合処理を行うとともに、該整合処理を行うときに、隣接する設定ポイントを経由するように、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とを変更するよう構成したので、プラズマ発生装置20へ大電流が流れることを回避できる。
(A2)複数の設定ポイントのそれぞれにおいて、隣接する設定ポイントに移る場合に発生する負荷への出力電流値が、許容値(第2の値)以下となるよう、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とが設定されるよう構成したので、さらに、プラズマ発生装置20へ大電流が流れることを回避できる。
(A3)表示部に整合マップを表示するよう構成したので、操作者が、無駄な経路を通ることなく整合ポイントに至る適正な経路を知ることが容易になる。
(A4)整合マップが表示部に表示された状態で、第1の設定ポイントから第2の設定ポイントへ移す指示を操作部で受け付けると、制御部が、第1の設定ポイントにおける第1のパラメータ値と第2のパラメータ値から、第2の設定ポイントにおける第1のパラメータ値と第2のパラメータ値へ変更することにより、プラズマ生成用電源装置の出力インピーダンスを変更するよう構成したので、操作者が、整合ポイントに至る経路を指示することが容易になる。
(A5)複数の状態にそれぞれ対応する複数の整合マップを予め取得しておくよう構成したので、装置立ち上がり時における整合処理や、装置運用中における整合処理を、短時間で行うことができる。
【0068】
(第2実施例)
図18は、本発明の実施形態の第2実施例に係る整合マップの一例である。
図18は、例えば
図5〜
図7の整合回路の可変容量コンデンサC1とC2による整合マップの一例であり、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスが、ある特定の状態にある場合の整合マップである。
【0069】
図18の例では、
図16の例と同様に、F
1〜F
7(第1のパラメータ値)、C
1〜C
7(第2のパラメータ値)の組み合わせの各設定ポイントにおける反射波の値を、予め調べて取得し、記憶部18に記憶しておく。これら複数の設定ポイントのそれぞれにおいて、隣接する設定ポイントに移る場合に発生する負荷(プラズマ発生装置20)への出力電流値が、所定の閾値以下となるよう、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とが設定されている。例えば、設定ポイントX
0に隣接する設定ポイントは、X
1〜X
8の8つである。
【0070】
そして、インピーダンス整合を行う経路は、設定ポイントX
0(F
2、C
2)から出発し、X
3(F
3、C
3)を経て、整合ポイントX
P(F
4、C
3)へ到達する。このように、X
0(F
2、C
2)から直接X
P(F
4、C
3)へCとFの値を変更するのではなく、隣接する設定ポイントを経由するように段階を経て、整合ポイントX
P(F
4、C
3)へ到達するよう、CとFの値を変更するので、プラズマ発生装置20へ許容値を超える大電流が流れることを回避できる。
【0071】
図19は、第2実施例に係る次回進行方向決定処理のフローチャートであり、
図18の整合マップを用いて整合処理を行う例である。
図19において、第1実施例(
図16)と同様に、現在の位置の設定ポイントX
0の周囲8ポイントX
1〜X
8の反射波の値(Ref1〜Ref8)をチェックする(ステップS51)。次に、Ref1〜Ref8のうち反射波の値が最小となる値(X
3)の方向に、C1とC2を変更する(ステップS52)。次に、C1とC2を変更後のポイントの周囲8ポイントの反射波の値Ref1〜Ref8に、ゼロが含まれているか否かをチェックする(ステップS53)。
【0072】
C1とC2を変更後のポイントの周囲8ポイントの反射波の値Ref1〜Ref8にゼロが含まれていない場合は(ステップS53でNo)、ステップS51に戻り、周囲8ポイントの反射波の値(Ref1〜Ref8)をチェックする。ゼロが含まれている場合は(ステップS53でYes)、反射波がゼロの方向へ、C1とC2を変更して(ステップS54)、処理を終了する。
【0073】
第2実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(B1)整合マップの設定ポイントを、可変容量コンデンサC1とC2の容量値の組合わせにより決定されるように構成したので、パラメータ値が可変容量コンデンサC1とC2の場合にも、本発明の整合処理を行うことができる。
【0074】
(第3実施例)
図20は、本発明の実施形態の第3実施例に係る整合マップの一例である。
図20は、例えば
図5〜
図7の整合回路の可変容量コンデンサC1とC2と、可変周波数Fとによる整合マップの一例であり、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスが、ある特定の状態にある場合の整合マップである。
図20(a)は、整合マップであり、
図20(b)は、反射波の大きさ(相対値)を示す。
【0075】
図20(a)は、3次元の整合マップであり、x軸はC1の容量VC1、y軸はC2の容量VC2、z軸は周波数Fの値である。この整合マップは、複数の第1のパラメータ値(容量VC1)と、複数の第1のパラメータ値(容量VC2)と、複数の第3のパラメータ値(周波数F)とを含み、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値と第3のパラメータ値との組合わせにより決定される設定ポイントを複数有する。
【0076】
図20(a)において、反射波の大きさは、黒色の濃淡を有する球で示されている。
図20(a)に示す球は、球の直径を通る断面図である。つまり、球の内側ほど反射波が小さく、球の外側ほど反射波が大きい。
【0077】
図21は、第3実施例に係る次回進行方向決定処理の説明図であり、
図20(a)の整合マップの一部である。
図21に示すように、現在の位置の設定ポイントX
0は、X
1〜X
8、X
9〜X
17、X
18〜X
26の計26の設定ポイントで囲まれている。第3実施例では、X
0の周囲26ポイントをチェックし、反射波がゼロであるX
20の方向に、C1,C2,Fを変動させる。なお、X
0の周囲26ポイントは、実際はX
0と隣接しているが、
図21では、図を解り易くするため離して表示している。
【0078】
図22は、第3実施例に係る次回進行方向決定処理のフローチャートであり、
図21の整合マップを用いて整合処理を行う例である。
図22において、まず、現在の位置の設定ポイントX
0の周囲26ポイントX
1〜X
26の反射波の値(Ref1〜Ref26)をチェックする(ステップS61)。次に、Ref1〜Ref26のうち反射波の値が最小となる値の方向に、C1,C2,Fを変更する(ステップS62)。次に、C1,C2,Fを変更した後のポイントの周囲26ポイントの反射波の値Ref1〜Ref26に、ゼロが含まれているか否かをチェックする(ステップS63)。ゼロが含まれていない場合は(ステップS63でNo)、ステップS61に戻り、C1,C2,Fを変更した後のポイントの周囲26ポイントの反射波の値をチェックする。
【0079】
C1,C2,Fを変更した後のポイントの周囲26ポイントの反射波の値Ref1〜Ref26にゼロが含まれている場合は(ステップS63でYes)、Ref1〜Ref26にゼロが2つ以上含まれているか否かをチェックする(ステップS64)。ゼロが2つ以上含まれていない場合、つまり、ゼロが1つ含まれている場合は(ステップS64でNo)、反射波がゼロの方向へ、C1,C2,Fを変更して(ステップS67)、処理を終了する。
【0080】
ゼロが2つ以上含まれている場合は(ステップS64でYes)、Fの可変方向に、ゼロが含まれているか否かをチェックする(ステップS65)。Fの可変方向にゼロが含まれている場合は(ステップS65でYes)、以降、Fのみを変更して(ステップS66)、処理を終了する。
【0081】
Fの可変方向にゼロが含まれていない場合は(ステップS65でNo)、反射波がゼロの方向へ、C1,C2,Fを変更して(ステップS67)、処理を終了する。
【0082】
第3実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(C1)整合マップの設定ポイントを、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値と第3のパラメータ値との組合わせにより決定されるように構成したので、パラメータ値が3つの場合にも、本発明の整合処理を行うことができる。
【0083】
(第4実施例)
図23は、本発明の実施形態の第4実施例に係る整合マップの一例である。
図23は、例えば
図8の整合回路の可変容量コンデンサC1とC2とC3による整合マップの一例であり、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスが、ある特定の状態にある場合の整合マップである。
図23(a)は、整合マップであり、
図23(b)は、反射波の大きさ(相対値)を示す。
【0084】
図23(a)は、3次元の整合マップであり、x軸はC1の容量VC1、y軸はC2の容量VC2、z軸はC3の容量VC3である。
図23(a)において、反射波の大きさは、黒色の濃淡を有する球で示されている。
図23(a)に示す球は、球の直径を通る断面図である。つまり、球の内側ほど反射波が小さく、球の外側ほど反射波が大きい。
【0085】
図24は、第4実施例に係る次回進行方向決定処理の説明図であり、
図23(a)の整合マップの一部である。
図24に示すように、現在の位置の設定ポイントX
0は、X
1〜X
8、X
9〜X
17、X
18〜X
26の計26の位置で囲まれている。第4実施例では、X
0の周囲26ポイントをチェックし、反射波がゼロであるX
20の方向に、C1,C2,C3を変動させる。なお、X
0の周囲26ポイントは、実際はX
0と隣接しているが、
図24では、図を解り易くするため離して表示している。
【0086】
図25は、第4実施例に係る次回進行方向決定処理のフローチャートであり、
図24の整合マップを用いて整合処理を行う例である。
図25において、第3実施例(
図22)と同様に、現在の位置の設定ポイントX
0の周囲26ポイントX
1〜X
26の反射波の値(Ref1〜Ref26)をチェックする(ステップS71)。次に、Ref1〜Ref26のうち反射波の値が最小となる値の方向に、C1とC2とC3を変更する(ステップS72)。次に、C1とC2とC3を変更後のポイントの周囲26ポイントの反射波の値Ref1〜Ref26に、ゼロが含まれているか否かをチェックする(ステップS73)。
【0087】
C1とC2とC3を変更後のポイントの周囲26ポイントの反射波の値Ref1〜Ref26にゼロが含まれていない場合は(ステップS73でNo)、ステップS71に戻り、周囲26ポイントの反射波の値(Ref1〜Ref26)をチェックする。ゼロが含まれている場合は(ステップS73でYes)、反射波がゼロの方向へ、C1とC2とC3を変更して(ステップS74)、処理を終了する。
【0088】
第4実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(D1)整合マップの設定ポイントを、可変容量コンデンサC1とC2とC3の容量値の組合わせにより決定されるように構成したので、パラメータ値が可変容量コンデンサC1とC2とC3の場合にも、本発明の整合処理を行うことができる。
【0089】
(第5実施例)
図26は、本発明の実施形態の第5実施例に係る整合マップの一例である。
図26は、可変周波数Fと、例えば
図2の整合回路の可変容量コンデンサCとによる整合マップの一例であり、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスが、ある特定の状態にある場合の整合マップである。
【0090】
図26の例では、第1実施例(
図16)の反射波の代わりに、整合部15の入力インピーダンスを用いる。すなわち、
図26の例では、F
1〜F
7(第1のパラメータ値)、C
1〜C
7(第2のパラメータ値)の組み合わせの各設定ポイントにおける整合部15の入力インピーダンスの値を、予め調べて取得し、記憶部18に記憶しておく。
【0091】
図27は、第5実施例に係る次回進行方向決定処理のフローチャートであり、
図26の整合マップを用いて整合処理を行う例である。
図27において、現在の位置の設定ポイントX
0の周囲8ポイントX
1〜X
8のインピーダンスの値(Z1〜Z8)をチェックする(ステップS81)。ポイントX
0と周囲ポイントX
1〜X
8の関係は、第1実施例(
図16)と同様である。次に、Z1〜Z8について、そのインピーダンスの値(R+Xi)と、整合ポイントのインピーダンス値50Ωとの間の距離r((|50−R|
2+|X|
2)
1/2)が最小値となる設定ポイントの方向(例えばX
3の方向)であって、整合ポイント(インピーダンス値50Ω)の方向へCとFを変更する(ステップS82)。
【0092】
次に、CとFを変更後のポイントにおいて、周囲8ポイントのインピーダンス値Z1〜Z8に対応する距離r(r1〜r8)にゼロが含まれているか否か、つまり、CとFを変更後のポイントが整合ポイントに隣接しているか否かをチェックする(ステップS83)。距離r(r1〜r8)にゼロが含まれていない場合、つまり、整合ポイントに隣接していない場合は(ステップS83でNo)、ステップS81に戻る。距離r(r1〜r8)にゼロが含まれている場合は(ステップS83でYes)、整合ポイントに隣接しているので、rが0となる方向へC、Fを変化させ、処理を終了する(ステップS84)。
【0093】
第5実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(E1)インピーダンス表示を用いる整合マップの場合にも、本発明の整合処理を行うことができる。
【0094】
(第6実施例)
図28は、本発明の実施形態の第6実施例に係る整合マップの一例である。
図28は、可変周波数Fと、例えば
図2の整合回路の可変容量コンデンサCとによる整合マップの一例であり、プラズマ発生装置20の入力インピーダンスが、ある特定の状態にある場合の整合マップである。
【0095】
図28の例では、第1実施例(
図16)の反射波の代わりに、負荷への出力電流値を用いる。すなわち、
図28の例では、F
1〜F
7(第1のパラメータ値)、C
1〜C
7(第2のパラメータ値)の組み合わせの各設定ポイントにおける負荷への出力電流値を、予め調べて取得し、記憶部18に記憶しておく。例えば、負荷への出力電流値の許容電流値が51アンペアである場合、
図28の例では、出力電流値が49アンペアの設定ポイントから出発し、50アンペア、48アンペア、50アンペアの設定ポイントを経由して、47アンペアの整合ポイントに到達している。
【0096】
図29は、第6実施例に係る次回進行方向決定処理のフローチャートであり、
図28の整合マップを用いて整合処理を行う例である。る。
図29において、現在の位置の設定ポイントX
0の周囲8ポイントX
1〜X
8における出力電流値(I1〜I8)をチェックする(ステップS91)。ポイントX
0と周囲ポイントX
1〜X
8の関係は、第1実施例(
図16)と同様である。この出力電流値(I1〜I8)は、負荷(プラズマ発生装置20)への出力電流値である。次に、I1〜I8のうち許容電流値(つまり、装置アラーム値)を超えていないポイントの方向であって、かつ、整合ポイントの方向へCとFを変更する。(ステップS92)。整合ポイントは、電流値が最小であるポイントである。
【0097】
次に、CとFを変更後のポイントが、整合ポイントであるか否かをチェックする(ステップS93)。整合ポイントでない場合は(ステップS93でNo)、ステップS91に戻り、その位置の周囲8ポイントにおける電流値(I1〜I8)をチェックする。その位置が整合ポイントである場合は(ステップS93でYes)、処理を終了する。
【0098】
第6実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(F1)電流値表示を用いる整合マップの場合にも、本発明の整合処理を行うことができる。また、許容電流値を超えないように整合を行うことが容易になる。
【0099】
(第7実施例)
図30は、第7実施例に係る整合マップ(インピーダンス表示)とスミスチャートの表示例であり、整合マップとスミスチャートを比較説明する図である。
図30(a)は、第7実施例に係る、可変容量コンデンサCの整合回路(例えば
図2〜
図4)と可変周波数Fによる整合マップであり、整合部15の入力インピーダンスを表示している。
図30(a)の例では、空白部分のインピーダンス表示を省略しているが、全てのポイントについて、インピーダンス表示が可能である。
図30(b)は、第7実施例に係るスミスチャートであるが、これは一般に用いられているスミスチャートである。このように、第7実施例では、インピーダンス表示の整合マップとともに、該整合マップに対応するスミスチャートを、表示部17に表示する。
【0100】
図30(a)において、整合ポイントは、インピーダンスが50Ωの位置であり、そのときのCの容量は100pF、周波数Fは27.12MHzである。
図30(a)のA列、B列、C列、D列、E列における各設定ポイントのインピーダンスは、スミスチャート上では、
図30(b)のA列、B列、C列、D列、E列における○印のポイントで示される。
【0101】
図30(b)のスミスチャートを用いて整合を行う場合は、例えば、周波数Fを26.80MHzに固定した状態で、Cの容量を10pFから250pFまで変更する(A列上で整合を行う場合)。あるいは、Cの容量を10pFに固定した状態で、周波数Fを26.80MHzから30.00MHzまで変更する(F線上で整合を行う場合)。
【0102】
このように、スミスチャートでは、整合に至る経路が分かり易く表示されるものの、全ての設定ポイントのインピーダンスを表示することが難しい。また、段階的に変更すべきCの容量と周波数Fを表示することが難しい。これに対し、
図30(a)の整合マップでは、段階的に変更すべきCの容量及び周波数Fと対応付けて、各設定ポイントのインピーダンスを表示することが容易である。すなわち、可変整合素子の組み合わせによる整合結果(インピーダンス表示)と、その分布状態を、段階的に変更すべきCの容量及び周波数Fと対応付けて明示することができる。
【0103】
つまり、
図30(a)の例では、段階的に変更すべき可変容量コンデンサCの容量値と可変周波数Fの値を組み合わせた場合において、各組み合わせの場合のインピーダンスを、該組み合わせるCの容量値と周波数Fの値と対応付けて、表示することができる。このとき、各設定ポイントのインピーダンスの分布状態と、Cの容量値及び周波数Fの値の分布状態も明示される。
したがって、
図30(a)の整合マップを用いると、段階的に変更すべき可変容量コンデンサCの容量値と可変周波数Fの値を知ることが容易となり、また、整合に至る最適な経路を知ることが容易になる。
【0104】
第7実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(G1)整合マップと該整合マップに対応するスミスチャートを同時に表示するように構成したので、段階的に変更すべき可変容量コンデンサCの容量値と可変周波数Fの値を知ることと、整合に至る最適な経路を知ることが容易になるとともに、整合に至る経路を分かり易く表示することができる。
【0105】
(第8実施例)
図31は、第8実施例に係る整合マップ(電流表示)とスミスチャートの表示例であり、両者を比較説明する図である。
図31(a)は、第8実施例に係る、可変容量コンデンサCの整合回路(例えば
図2〜
図4)と可変周波数Fによる整合マップであり、負荷への出力電流値を表示している。
図31(a)の例では、空白部分の電流値表示を省略しているが、全てのポイントについて、電流値表示が可能である。
図31(b)は、第8実施例に係るスミスチャートであるが、これは一般に用いられているスミスチャートである。このように、第8実施例では、出力電流値表示の整合マップとともに、該整合マップに対応するスミスチャートを、表示部17に表示する。
【0106】
図31(a)において、整合ポイントは、電流値が最小の47アンペアとなる設定ポイントであり、そのときのCの容量は100pF、周波数Fは27.12MHzの位置である。
図31(a)のA列、B列、C列、D列、E列における各設定ポイントの電流値は、スミスチャート上では、
図31(b)のA列、B列、C列、D列、E列における○印のポイントで示される。
【0107】
図31(a)において、設定ポイントFは、負荷(プラズマ発生装置20)への出力電流値が許容電流値を超える電流超過ポイントである。この電流超過ポイントFにおけるCの容量と周波数Fは、負荷への出力電流値と対応付けられて、記憶部18に記憶されている。制御部11は、
図31(a)の整合マップを表示部17に表示させる際は、この電流超過ポイントFを、他の設定ポイントと識別可能なように表示させる。すなわち、表示部17は、整合マップにおいて、電流超過ポイントを、電流超過ポイントであることが識別可能なように表示する。また、制御部11は、整合処理を行うときは、電流超過ポイントを回避するように、第1のパラメータ値(周波数F)と第2のパラメータ値(Cの容量)とを変更する。
【0108】
図31(b)に示すように、スミスチャートでは、段階的に変更すべきCの容量及び周波数Fと対応付けて、各設定ポイントの電流値を表示することや、負荷への出力電流値が許容電流値を超える電流超過ポイントと対応付けて、Cの容量と周波数Fを表示することが難しい。これに対し、
図31(a)の整合マップでは、段階的に変更すべきCの容量及び周波数Fと対応付けて、各設定ポイントの電流値を表示することができる。また、
図31(a)に示すように、電流超過ポイントを、電流超過ポイントでない設定ポイントと識別可能なように、分かり易く表示することができる。さらに、電流超過ポイントと対応付けて、Cの容量と周波数Fを表示することも可能である。
【0109】
したがって、
図31(a)のような電流値を表示する整合マップを用いると、電流超過ポイントを回避することが容易にでき、かつ、整合に至る最適な経路を知ることが容易になる。
【0110】
なお、
図31(a)のような電流値を表示する整合マップを用いて、制御部11で整合処理を行う場合は、制御部11は、電流超過ポイントFを回避するように、最適な経路を採用する。
【0111】
図32は、第8実施例において、整合マップを用いて、大電流が流れる設定ポイントを回避することの説明図である。各設定ポイントには、反射波の値が表示されている。この例では、設定ポイントX
2(F
2、C
3)は、電流超過ポイントである。各設定ポイントの反射波の値と電流値は、各設定ポイントのCの容量及び周波数Fと対応付けられて、記憶部18に記憶されている。
【0112】
このような場合に、設定ポイントX
0(F
1、C
2)から出発し、第1実施例と同様に、反射波の値が最も小さい設定ポイントへ移るように、FとCの値を変更すると、矢印Aで示すように、電流超過ポイントX
2(F
2、C
3)を通過してしまう。しかし、
図32に示すように、電流超過ポイントを表示部17に表示することにより、操作者は、電流超過ポイントX
2(F
2、C
3)を回避することが容易になる。
【0113】
つまり、第1実施例と同様に整合処理を行うと、
図32の矢印Aの経路となり、電流超過ポイントを通過することになるが、
図32に示すように、電流超過ポイントを表示部17に表示することにより、電流超過ポイントを回避する
図32の矢印Bの経路を採ることが容易に行える。また、制御部11が整合処理を行う場合には、記憶部18に記憶されている電流超過ポイントX
2(F
2、C
3)をチェックすることにより、電流超過ポイントX
2(F
2、C
3)を回避、つまり、第1のパラメータ値及び第2のパラメータ値として(F
2、C
3)を設定することを回避することができる。
【0114】
図33は、第8実施例に係る反射波値と電流値とを共に表示した整合マップの例である。各設定ポイントの上段は反射波の値であり、下段は電流値である。この例では、負荷に対する許容電流は54アンペアである。したがって、設定ポイントX
2(F
2、C
3)では、許容電流を超えている。各設定ポイントの反射波の値と電流値は、各設定ポイントのCの容量及び周波数Fと対応付けられて、記憶部18に記憶されている。
【0115】
図33に示すように、反射波値と電流値とを共に表示し、許容電流を超える電流超過ポイントを表示部17に表示することにより、操作者は、電流超過ポイントX
2(F
2、C
3)を回避することが容易になる。また、負荷に対する出力電流が少なく、かつ、反射波の値が小さい経路を採ることが容易に行える。
【0116】
第8実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(H1)負荷への出力電流値が許容電流値を超える設定ポイントである電流超過ポイントを記憶し、制御部が整合処理を行うときに、電流超過ポイントを回避するように、第1のパラメータ値と第2のパラメータ値とを変更するよう構成したので、電流超過ポイントを回避することが容易になる。
(H2)表示部が、電流超過ポイントを、電流超過ポイントであることが識別可能なように表示するよう構成したので、操作者が、電流超過ポイント電流超過ポイントを回避することが容易になる。
【0117】
なお、本発明は、前記実施形態や実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能である。また、前記各実施例は、必要に応じて任意にかつ適宜に組み合わせてもよい。
例えば、前記実施形態においては、プラズマ生成用電源装置を用いて説明したが、これに限られるものではなく、本発明は、プラズマ生成用以外の電源装置にも適用することができる。