特許第6244020号(P6244020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244020
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】プラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   H01R13/58
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-524700(P2016-524700)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公表番号】特表2016-524299(P2016-524299A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014001874
(87)【国際公開番号】WO2015003800
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年5月31日
(31)【優先権主張番号】202013006297.5
(32)【優先日】2013年7月11日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツェプハウザー
(72)【発明者】
【氏名】ティル ブレットベック
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュミット
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0106929(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56−13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、ケーブル(2)の線材への接続のために設計されて前記ハウジング内に固定される少なくとも一つの接触要素(4)とを有し、前記線材がケーブルジャケットに部分的に囲繞されるプラグコネクタ(1)であって、前記ハウジングが、プラグコネクタ(1)を組み立てるために、互いに載置されて端位置に達するまでプラグコネクタ(1)の長手方向に相対的に移動されることにより接続されるように設計される二つのハウジング区分(6,7)を備え、その移動により、前記ハウジング区分(6,7)の少なくとも一方の、前記ジャケット(12)の一部を受容するために設けられる部分が、前記ジャケット(12)を定位置に固定するために径方向に変形され、そのプラグコネクタの長手方向が、プラグ側区分における前記二つのハウジング区分の間の分割面と平行であることを特徴とするプラグコネクタ(1)。
【請求項2】
前記ハウジング区分(6,7)の径方向変形部分が突部(13)を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラグコネクタ(1)。
【請求項3】
前記突部(13)が、形状において部分的に円形であり、および/または、断面において急テーパ状であることを特徴とする請求項2に記載のプラグコネクタ(1)。
【請求項4】
前記ハウジング区分(6,7)が、前記端位置において、スナップロック接続によって前記プラグコネクタ(1)の前記長手方向での分断に抗して係止されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラグコネクタ(1)。
【請求項5】
相対移動の結果として、前記ハウジング区分(6,7)の一方の突部(8)が他方のハウジング区分の凹部(9)に係合することで、前記ハウジング区分(6,7)が、前記端位置において、前記プラグコネクタ(1)の前記長手方向に対して横方向での分断に抗して係止されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラグコネクタ(1)。
【請求項6】
前記ハウジングが完全に電気絶縁性のプラスチックで形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラグコネクタ(1)。
【請求項7】
二つの平行な接触要素(4)を特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラグコネクタ(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプラグコネクタ(1)と、ジャケットに囲繞される少なくとも一つの線材を有するケーブル(2)とで構成されるシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のプラグコネクタ(1)、ならびに、ジャケットに囲繞される二つの撚り線材を有する撚り対ケーブルで構成されるシステム。
【請求項10】
前記ハウジング内の前記線材が、前記撚り対ケーブルの撚りを継続する撚り構成で敷設されることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記線材が前記接触要素(4)まで直接に前記撚り構成で敷設されることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、ケーブルの少なくとも一つの線材への接続のために設計されてハウジング内に固定される少なくとも一つの接触要素とを有し、線材がケーブルジャケットに部分的に囲繞されるプラグコネクタに関する。本発明はまた、このようなプラグコネクタとケーブルとで構成されるシステムに関する。特に、本発明は、撚り対ケーブルと、二つの接触要素を有するプラグコネクタとで構成されるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
撚り対ケーブルは、信号およびデータ伝送の分野で長く使用されてきた。「撚り対」は、線材(すなわち各々が絶縁ジャケットに囲繞されるケーブルの導体)が対で撚り合わされるケーブルを指す。線材対が平行であるケーブルと比較して、撚り線材対を有する撚り対ケーブルは、線材対の撚りの結果として対称信号伝送で外部場による干渉が大いに打ち消されるため、外部交流磁場および静電気干渉に対するより良好な保護を提供する。
【0003】
プラグコネクタは、ケーブルなどの導電性のコンポーネントを導電方式で相互接続するために使用される。
【0004】
撚り対ケーブルを従来のプラグコネクタと接続する時には、線材を囲繞する外側ケーブルジャケットが、プラグコネクタのハウジング内へ挿入される区分で除去される。次いで絶縁ジャケットを付加的に剥離される線材の導体の端部が、プラグコネクタの接触要素と恒久的に接続される。そして接触要素がハウジング内に固定される。ハウジング内では、すなわちケーブルジャケットが除去された区分では、線材は実質的に互いに平行に延在する。こうして撚り対ケーブルのこの区分は、外部場による高い干渉にさらされる可能性がある。
【0005】
このような高い干渉を回避するために、プラグコネクタ、特にプラグコネクタのハウジングにシールドを組み込むのが通例である。しかし、これは、電気絶縁性または非導電性のプラスチックのみによるハウジングを設計するという経済的な可能性を排除するため、プラグコネクタの比較的高いコストにつながる。
【0006】
プラグコネクタとケーブルとで構成される実質上すべてのシステムでは、線材の接触要素との接続に伝達されるプラグコネクタおよびケーブルジャケットの引張ひずみを防止するために、線材の接触要素との接続のためのひずみ逃しを設けるのが妥当である。このようなシステムへのひずみ逃しの組み込みは、概して、プラグコネクタの比較的複雑な構造およびその結果としての比較的高い製造コスト、ならびに、システムの比較的複雑な組立およびその結果としての比較的高い組立コストと関連する。こうして、ひずみ逃しの組み込みによりシステムの単価が上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この先行技術から出発して、本発明は、プラグコネクタと、ケーブル、特に撚り対ケーブルとで構成される可能な限り低単価のシステムを提供するという課題に基づくものであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立請求項に記載のプラグコネクタおよびシステムによって解決される。本発明によるプラグコネクタの有利な態様および本発明によるシステムの有利な態様は、種々の従属請求項の主題であり、本発明についての以下の説明で解説される。
【0009】
本発明によれば、ハウジングと、ケーブルの少なくとも一つの線材との接続のために設計されてハウジング内に配設される少なくとも一つの接触要素とを有し、線材がジャケットに囲繞される汎用タイプのプラグコネクタは、プラグコネクタを組み立てるために、互いに載置されて端位置に達するまでプラグコネクタの長手方向に相対的に移動されることにより接続されるように設計される二つのハウジング区分を(おそらくは追加的なハウジングコンポーネントに加えて)ハウジングが備え、その移動により、ハウジング区分の少なくとも一方の、ジャケットの一部を受容するために設けられる部分が、ジャケットを定位置に固定する(好ましくは挟持する)ために径方向に変形されるという点でのさらなる発展が見られる。
【0010】
本発明によれば、「長手方向」は、プラグコネクタと相手側コネクタとが相互挿嵌される時に相手側コネクタに対するプラグコネクタの相対移動により規定される配向を意味するものと理解される。特に、こうしてプラグコネクタの長手方向は、配向において接触要素の長手軸に対応しうる。
【0011】
ジャケットは特に、導体(まとめて線材と呼ばれる)を直接的に囲繞する(線材)ジャケット、または、いくつかの導体または線材を囲繞するケーブルジャケットを指しうる。
【0012】
本発明によるプラグコネクタの設計により、線材と接触要素との間の接続のためのひずみ逃しの機能を実施するハウジングへのジャケットの固定が、製造および組立の両方について経済的な方式で実現されうる。加えて、ハウジングの径方向変形が概ね可撓性のジャケットへ少なくとも部分的に伝達され、これはまたジャケット内に延在する導体の挟持につながる。
【0013】
ハウジングでのジャケットの固定を向上させるために、好ましくは、ハウジング区分の径方向変形部分が突部を含む場合がありうる。径方向変形の間、この突部は、好ましくは変形容易な材料で作製されるジャケットに食い込むことで、一種のフォームロック接続を形成しうる。突部は特に、(少なくとも一区分での)形状において部分的に円形であり、および/または、断面において急テーパ状でありうる。
【0014】
端位置でのハウジング区分の恒久的接続を確保するために、ハウジング区分が、端位置において、スナップロック接続によってプラグコネクタの長手方向での分断に抗して係止されうる。スナップロック接続は、恒久的または(破損を伴わずに)解除可能であるように設計されうる。
【0015】
「スナップロック接続」は、一方のハウジング区分の突部の、他方のハウジング区分の凹部へのバネ付勢係合により作用するフォームロック接続を意味するものと理解される。
【0016】
スナップロック接続に代えて、または、スナップロック接続に加えて、ハウジング区分はフォースロック手段によっても端位置において接続されうる。
【0017】
加えて、本発明によるプラグコネクタのさらに好適な態様では、ハウジング区分が、端位置において、プラグコネクタの長手方向に対して横方向(特に垂直方向)での分断に抗して係止されうる。この係止は特に、相対移動の結果として、ハウジング区分の一方の少なくとも一つの突部が他方のハウジング区分の少なくとも一つの対応する凹部に係合する形態を取りうる。
【0018】
本発明によるシステムは、本発明による少なくとも一つのプラグコネクタ、ならびに、ジャケットに囲繞される少なくとも一つの線材を有してこれに接続されるケーブルを備え、少なくとも一つの線材が少なくとも一つの接触要素と導電方式で接続され、ジャケットの一部がハウジング区分の少なくとも一方に固定される。
【0019】
本発明によるプラグコネクタのさらに好適な態様では、(少なくとも)二つの好ましくは平行な接触要素が設けられる。このようなプラグコネクタは、本発明によるシステムの好適な態様の場合のように、撚り対ケーブルの(少なくとも)二つの撚り線材(好ましくはコア)への接続に適している。
【0020】
本発明によるこのようなシステムの好適な態様では、ハウジング内の線材ストランドまたはコアが、撚り対ケーブルの撚りを継続する撚り構成で(すなわち特に同一の敷設長で)敷設される場合がありうる。特に好ましくは、撚り構成は可能な限り接触要素まで直接に継続される。
【0021】
また、本発明によるシステムのこのような態様により、プラグコネクタのシールドを必要とすることなく、撚り対ケーブルの良好な伝送特性がプラグコネクタについて大いに達成されうる。結果的に、好ましい場合のように、ハウジングが完全に電気絶縁性のプラスチックで形成され、特にシールドを含まないことがありうる。こうして、本発明によるプラグコネクタの製造コストが低く抑えられうる。やはり好ましい場合のように、例えば部分的金属コーティングなどのさらなる後続処理を伴わずにハウジング区分が射出成形により製造される場合に、これが特に当てはまる。
【0022】
本発明によるプラグコネクタのハウジングでのジャケットの固定は、線材ストランドまたはコアの撚りがハウジング内で継続されることをすでに充分に保証しうる。これは、ケーブルジャケットの固定が、ハウジングでのジャケットの撚れに抗して係止されるようなもので(も)ある場合には特に当てはまる。加えて、ハウジングの径方向変形が可撓性のジャケットを介して線材ストランドまたはコアへ伝達され、こうして撚り構成で挟持されて定位置に固定される場合に特に有利であることが分かりうる。しかし、代替的または付加的に、本発明によるプラグコネクタのハウジングはまた、撚り対ケーブルの撚りを継続する撚り構成で線材ストランドまたはコアが固定されるためのガイドを形成するように設計されうる。例えば、ハウジング内のガイド空間の壁は、意図される撚り構成で敷設される線材ストランドまたはコアの空間形状に対応して設計されうる。代替的または付加的に、線材ストランドまたはコアが敷設されるガイド空間に配設される少なくとも一つ、好ましくは二つ以上のガイドピンが設けられうる。線材ストランドまたはコアはこれらのピンの周りを曲線状に案内され、これにより、ガイド空間の内壁との組み合わせで、線材ストランドまたはコアの撚りが固定されうる。こうしてピンは好ましくは、好ましくは長尺、特に円筒形状である二つの接触要素の長手軸が跨ぐ面に対して横向き、特に垂直に延在する。特に好ましくは、二つの接触要素の長手軸から同一の距離にピンが配設される場合がありうる。これは、線材ストランドまたはコアの基本的に望ましいほぼ対称的な案内を助け、こうして、撚り対ケーブルの線材ストランドまたはコアのほぼ対応する長さの区分がハウジング内で案内され、それは本発明によるシステムの電気特性にプラスの影響を与えうる。
【0023】
図面に表される例示的実施形態を参照して、本発明が以下でより詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるシステムの第1斜視図である。
図2】上方ハウジング区分を含まない図1によるシステムの図である。
図3図1によるシステムの下方ハウジング区分の斜視図である。
図4図1によるシステムの上方ハウジング区分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明によるプラグコネクタ1と、二つの撚り線材3を有する(撚り対)ケーブル2とを備え、ケーブル2がプラグコネクタ1に電気的および機械的に接続される、本発明によるシステムを示す。
【0026】
二区分ハウジングに加えて、プラグコネクタ1は、ハウジングの固定位置に取り付けられるとともにプラグ側端部ならびにケーブル側端部を有する二つの接触要素4を有する。ケーブル側端部では、圧着接続によって、接触要素4が各々においてケーブル2の二つの線材3の一方の導体の剥離区分と接続される。プラグ側端部は、相手側プラグコネクタ(不図示)の相補的な接触要素と接触するように設計され、こうしてプラグコネクタ1のソケット形状の接触要素4は相手側プラグコネクタのピン形状の接触要素を受容することで径方向に弾性的に拡開され、それは接触要素の対応する長手方向の割れ目により可能となる。
【0027】
ハウジング内での接触要素4の位置固定は、各々においてハウジングの周方向の溝に配設される接触要素4の周方向の突部5により実現される。
【0028】
プラグコネクタのハウジングは、図1の下部に示される第1ハウジング区分6ならびに図1の上部に示される第2ハウジング区分7という二つのハウジング区分を備える。ハウジング区分6,7の各々は、プラグコネクタ1の組立状態で接触要素4が配設されるプラグ側区分を備える。この区分において、ハウジング区分6,7の間の分割面は、(圧着接続を除いて断面が円形または環状である)二つの接触要素4の長手軸が跨ぐ面と同一面である。各ハウジング区分6,7はまた、ハウジングに受容されるケーブル2の区分を受容するように設計されるケーブル側区分を備える。この区分において、分割面は、二つの接触要素4の長手軸が跨ぐ面と平行に延在する。
【0029】
それぞれのケーブル側区分において、ハウジング区分6,7の各々は、分割面に隣接して四つの突部8を形成し、二つの突部8がプラグコネクタの長手方向に離間してハウジング区分6,7の各々の各側に配設される。これら二つの突部8はまた、ハウジング区分6,7の各々の各側で長手方向に延在する凹部9のためのリミットを形成する。
【0030】
プラグコネクタ1を組み立てるために、ハウジング区分6,7の一方の突部8が他方のハウジング区分7,6の突部8に隣接して配設されるように、二つのハウジング区分6,7が長手方向に互いに偏位して配置される。こうして、突部8が衝突することなく、分割面を形成する両方のハウジング区分6,7の接触面が接触するまで、(長手方向に垂直な方向に)ハウジング区分6,7が相互挿嵌されうる。そして両方のハウジング区分6,7の突部8が他方のハウジング区分7,6の凹部9に設置される。
【0031】
そして、図1に示される端位置に達するまで、二つのハウジング区分6,7を長手方向に相対的に摺動させることにより、ハウジング区分6,7が接続される。この端位置において、両方のハウジング区分6,7の四つの突部8は少なくとも部分的に互いに重複する。これは、プラグコネクタ1の長手方向に対して横向きの方向にハウジング区分6,7が分断されるのを防止する。
【0032】
長手方向でのハウジング区分6,7の分断は、スナップロック接続によって防止される。スナップロック接続は、第2ハウジング区分7のケーブル側端部区分10と相互作用状態にある第1ハウジング区分6の二つのケーブル側突部8aにより形成される。
【0033】
これらの突部8aは、第1ハウジング区分6のケーブル側端部の方向に拡開するように設計されるため、長手方向に対して斜めに延在する突部8aの接触面が形成される。第2ハウジング区分7の端部区分10がこれらの接触面に押し込まれることにより、端部区分10の内幅は、二つの拡開突部8aにより規定される最大幅よりも小さい。そのため第2ハウジング区分7の端部区分10は、拡開突部8aを通過する際に弾性的に拡開されて、これらの突部8aの後方で端位置にスナップ固定される。
【0034】
しかし、突部8aの後方でのスナップ固定の際に、第2ハウジング区分7の端部区分10は最初の形状に完全には復帰できず、弾性的に拡開されて、第1ハウジング区分6の端部区分11の接触面を押圧する。この目的のために、第1ハウジング区分6は、凹部9の領域よりも大きい幅をこれらの接触面の領域に有する。
【0035】
第2ハウジング区分7の端部区分10が弾性的に拡開されて接触時に予備張力を受ける結果として、第1ハウジング区分6の端部区分11および隣接区分の一部が径方向内向きに変形され、その結果、第1ハウジング区分6に形成される受容空間がこれらの区分において縮小される。こうして、これらの区分に配置されるケーブル2のケーブルジャケット12の挟持固定が設けられる。この固定は、一方では、接触要素4とケーブル2の導体との間の接続のためのひずみ逃しとして機能し、他方では、ハウジング内でのケーブル2の撚れを防止することが意図される。
【0036】
急テーパ状の断面を有する、端部区分11の近傍に配設される受容空間の壁にある(プラグコネクタの長手方向を中心とする)周方向の突部13により、ハウジングでのケーブル2の接続がさらに向上する。第1ハウジング区分6の変形の結果として、この突部13はケーブルジャケット12に食い込んで一種のフォームロック接続を形成する。
【0037】
ケーブル2の線材3は、ケーブルジャケット12が剥離された区分でも、ハウジング内に撚り構成で配置される。この区分の撚り構成は、線材3がケーブルジャケット12内で取るものに可能な限り密接に対応する。ハウジング内に固定される接触要素4に導体のプラグ側端部を固定することで、ならびに、挟持固定によりケーブルジャケット12を撚れに抗して係止することで、ケーブルジャケット12が剥離されたケーブル2の区分において撚り構成が乱されないことが充分に保証されうる。
【0038】
プラグコネクタ1の二つのハウジング区分6,7が非導電性のプラスチックで完全に形成され、こうして単純な幾何学的形状が有利に射出成形を可能にする。分割面に対して垂直な配向を持つ離型装置では、第2ハウジング区分7のみが、射出成形型のスライドの助けを借りて作製されうるプラグ側貫通開口14の形態のアンダーカットを有する。離型凹部15を設けることで、離型中に突部8にはアンダーカットが見られない。
【0039】
ハウジングに組み込まれるプラグコネクタのシールドは設けられない。線材3の撚りが実質的に接触要素4まで継続されることにより、無線周波数信号についてのシステムの伝送動作は多くの用途で充分に良好である。
【0040】
システムを組み立てるために、ケーブル2の規定区分が最初にケーブルジャケット12を剥離される。この区分は、組立状態で、ケーブルジャケット12が規定長でハウジングの受容空間へ延出するような寸法を持つ。それから線材3は、プラグ側端部の規定区分で絶縁体を剥離される、すなわちこれらの区分で線材3の導体が保護ジャケットを剥離される。そして導体の剥離端部は、圧着により接触要素4と接続される。それから接触要素4と関連のケーブル区分とが第1ハウジング区分6に敷設されることにより、線材3の露出区分の必要な撚り構成が導入される。大きめのケーブルジャケット12により第1ハウジング区分6の端部区分11にケーブルジャケット12を軽く挟持すること、ならびに、各々において二つのロックラッチ16によって達成されるスナップロック接続により接触要素4を固定することでさえ、こうして露出した線材3の撚りがほどけるのをすでに防止している。それから、すでに説明された方式で第2ハウジング区分7が第1ハウジング区分6に押し込まれる。第1ハウジング区分6の径方向変形の結果としてケーブルジャケット12をハウジングによりしっかりと固定した結果、ひずみ逃しが実現され、比較的高い操作力を受けるシステムの後の使用中でも、撚り構成の乱れが防止される。
図1
図2
図3
図4