(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244035
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】改良されたオキシモルホン合成のための方法
(51)【国際特許分類】
C07D 489/08 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
C07D489/08
【請求項の数】10
【全頁数】110
(21)【出願番号】特願2016-546786(P2016-546786)
(86)(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公表番号】特表2017-502990(P2017-502990A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】IB2015050295
(87)【国際公開番号】WO2015107472
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】61/927,938
(32)【優先日】2014年1月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510288884
【氏名又は名称】ローズ テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ギグエレ,ジョシュア ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,キース エドワード
(72)【発明者】
【氏名】シュレスナー,マーセル
【審査官】
清水 紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−524938(JP,A)
【文献】
特表2010−513260(JP,A)
【文献】
特表2010−522189(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/117172(WO,A1)
【文献】
特表2013−533876(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/140636(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/074075(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103433076(CN,A)
【文献】
GAIK B KOK et al.,RSC ADVANCES,2012年11月28日,Vol.2, No.30,p.11318-25,URL,http://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2012/ra/c2ra21693k
【文献】
DEVI, R. B. et al.,Organic & Biomolecular Chemistry,2011年,Vol.9, No.19,p.6509-12
【文献】
DIO, S. D. et al.,Applied Catalysis, A: General,2011年,Vol.399, No.1-2,p.205-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物からオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法であって、
【化1】
前記方法は、以下の工程を含むか、またはそれらからなる:
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供する工程;
(b)トリフルオロ酢酸及
びグリコールを添加する工程;
ここで、前記グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの混合物である、及び
(c)生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元する工程;
式中、X
n−は、Cl
−、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート、トシラート、トリフルオロアセテート、H
2PO
4−、HPO
42−、PO
43−、シュウ酸
イオン、過塩素酸
イオン及びそれらの任意の混合物からなる群より選択される陰イオンであり;及び
nは、1、2または3である、前記方法。
【請求項2】
nが2であり、及びXn−がSO42−である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
14−ヒドロキシモルフィノン塩に含まれる14−ヒドロキシモルフィノンのモル量と比較して、トリフルオロ酢酸の量が99mol%以下である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
14−ヒドロキシモルフィノン塩に含まれる14−ヒドロキシモルフィノンのモル量と比較して、トリフルオロ酢酸の量が30mol%〜50mol%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)において添加される前記グリコールが、14−ヒドロキシモルフィノン塩の重量gに対して、1〜8容積mLの範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)における水素化は、H2及び水素化触媒で行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
水及び前記グリコールの混合物が溶媒として使用され、前記混合物が20:80〜45:55のグリコール:水の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
以下の工程:
(d)塩基を添加し、こうしてpHを前記オキシモルホンがその遊離塩基として沈殿するpHまで上げ、及びオキシモルホンをその遊離塩基またはその溶媒和化合物として単離する工程を更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)において添加される塩基がNaOHである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
オリパビンからオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法であって、前記方法は、以下の工程を含むかそれらからなる:
【化2】
(aa)オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノンに酸化する工程;
(bb)前記酸化反応の前、間及び/または後に、反応混合物に酸のH
+nX
n−を添加する工程;
(cc)任意に、生じる14−ヒドロキシモルフィノンを14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物として沈殿させる工程;
(dd)任意に、沈殿した14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を単離する工程;及び
(ee)請求項1〜
9のいずれか1項に記載の方法を実行する工程;
式中、X
n−は、Cl
−、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート、トシラート、トリフルオロアセテート、H
2PO
4−、HPO
42−、PO
43−、シュウ酸
イオン、過塩素酸
イオン及びそれらの任意の混合物からなる群より選択される陰イオンであり;及び
nは、1、2または3である、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシモルホン合成の分野に関する。本発明は、オキシモルホン、特にオキシモルホン塩基を調製するための方法を提供する。生じるオキシモルホン塩基は、塩酸オキシモルホンのようなAPIの調製において使用し得る。前記APIは、医薬品の剤形において使用し得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
オキシモルホン及びその塩酸塩は、鎮痛薬として長く使用されてきた。
【0003】
オキシモルホン塩基は、従来は、オキシコドンのO−脱メチル化によって調製される。オキシモルホン塩基はまた、オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノンに酸化して14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホン塩基に還元することによって調製することができる。オリパビンの14−ヒドロキシモルフィノンへの酸化を経たオキシモルホンの調製のための経路は、スキーム1で図示される:
【化1】
スキーム1
【0004】
スキーム2において以下に示すように、一旦オキシモルホン塩基が調製されると、これを通常酸と反応させてオキシモルホン塩、典型的には塩酸オキシモルホン(オキシモルホンが治療的に一般に使用されるAPI形態である)を生成させる:
【化2】
スキーム2
【0005】
スキーム1で図示される合成経路における酸化工程は、酸化生成物のさらなる変換の間(たとえば、スキーム2で示される反応の間)、その他の副生成物に変換し得る副生成物を生成する可能性があり、またはオキシモルホン塩基から作製される最終的なオキシモルホン塩またはその他のオピオイド、最終的な医薬組成物または最終的な剤形に持ち越されうる。これらの副生成物は、最終的な医薬組成物または最終的な剤形において望まれないであろう。最終生成物からのこれらの副生成物の分離は、困難であり、時間がかかり、及び容積効率的でないことが多い(たとえば、HPLCによる分離が必要とされる場合)。
【0006】
たとえば、オリパビンの14−ヒドロキシモルフィノンへの酸化の間に一定の副生成物、特に8−ヒドロキシオキシモルホンが形成され得る:
【化3】
スキーム3
【0007】
スキーム4にて図示したように、HClが添加されるとき、8−ヒドロキシオキシモルホンは14−ヒドロキシモルフィノンに変換され得る:
【化4】
スキーム4
【0008】
したがって、スキーム1において示された14−ヒドロキシモルフィノン中間体は、オキシモルホンの直接の前駆体だけではなく、医薬組成物において使用される最終的なオキシモルホン塩においてもまた、しばしば見いだされ、それは通常塩酸オキシモルホンである。14−ヒドロキシモルフィノンは、α,β−不飽和ケトン(ABUK)として知られる化合物のクラスに属する。これらの化合物は、遺伝毒性について構造活性相関アラートを生じる下位構造成分(α,β−不飽和ケトン成分)を含む。これらの存在は、医薬組成物において望まれないであろう。いくつかの監督官庁は、医薬組成物または剤形におけるABUKの量がこれらの官庁によって定められた量を超える場合、公的な使用及び販売について医薬組成物または剤形を承認しない。
【0009】
PCT/IB2013/001541において、酸化工程によって生じる望まれない副生成物の量を減少させる反応が記述される。特に、PCT/IB2013/001541には、酸のH
nX
n−、たとえばH
2SO
4の存在下で酸化反応を行うと、対イオンとしてのX
n−、たとえばSO
42−と共に14−ヒドロキシモルフィノン塩が形成されることが記述される:
【化5】
スキーム5
【0010】
しかし、これらの反応条件下でさえ、いくつかの8−ヒドロキシオキシモルホンは、その後の還元反応においてオキシモルホンに持ち越され可能性がある。
【0011】
PCT/IB2013/001541において記述される方法のように最近の発展によって改善が達成されたにもかかわらずなお、最終生成物における副生成物の量が減少したオキシモルホンを調製する方法のための継続した需要がまだある。特に、8−ヒドロキシオキシモルホンの量が減少した、好ましくは(検出可能な)8−ヒドロキシオキシモルホンのない、オキシモルホン塩基を調製するための方法は有益だろう。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、14−ヒドロキシモルフィノンからオキシモルホンを調製するための水素化工程を提供し、この工程は、生じるオキシモルホンにおいて、オリパビンから14−ヒドロキシモルフィノンを生じる酸化反応の望まれない副生成物、特に8−ヒドロキシオキシモルホンの存在を減少させ、またはさらに完全に抑制するために適している。
【0013】
本発明による水素化工程は、上述したように、酸化工程を介して作製された14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートからオキシモルホン塩基を調製するために有用である。この出発材料が8−ヒドロキシオキシモルホンを含む場合であっても、本発明による水素化工程を介して作製されて生じるオキシモルホン塩基は、非常に少量の、または検出さえできない量の8−ヒドロキシオキシモルホンを含む。それはまた、酸性条件(水素化工程の酸性条件のような)下で8−ヒドロキシオキシモルホンから形成され得る、非常に少量の、または検出さえできない量の14−ヒドロキシモルフィノンを含む。
【0014】
一つの態様において、本発明は、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法であって、トリフルオロ酢酸(「TFA」と略記される)及び/またはグリコールの存在下での14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の水素化によって、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物をオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物に変換することを含むかまたはそれからなる方法を提供する。好ましくは、水素化の間にトリフルオロ酢酸及びグリコールの両方が存在する。前記方法において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、出発材料としてまたは中間体材料として使用してもよい。これらのそれぞれの場合において、前記14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、PCT/IB2013/001541(以下の本発明の詳細な記述もまた参照されたい)に記載されるように、オリパビンから開始する以下の方法によって調製してもよい:
【化6】
スキーム6
【0015】
本発明によるオキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法は、以下の反応スキーム7によって表される:
【化7】
スキーム7
式中、X
n−は、Cl
−、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート(methanesulfonate)、トシラート、トリフルオロアセテート(trifluoroacetate)、H
2PO
4−、HPO
42−、PO
43−、シュウ酸塩(oxalate)、過塩素酸塩及びそれらの任意の混合物からなる群より選択される陰イオンであり;及び
nは、1、2または3である。
【0016】
好ましくは、X
n−は、SO
42−である。そして、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、好ましくは14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートである。
【0017】
水素化反応の成分を考慮すると、その後のワークアップに応じて、生じるオキシモルホンは、(1)遊離塩基として、(2)陰イオンとしてのX
n−との塩として、(3)オキシモルホントリフルオロアセテートとして、または(4)陰イオンとしてのX
n−及びトリフルオロアセテートの組み合わせとの塩として単離することができる。本発明の好ましい実施形態において、それは、遊離塩基として単離される。
【0018】
14−ヒドロキシモルフィノン塩は、以下の構造式によって表される:
【化8】
式中、X
n−及びnは、上述したように定義される。
【0019】
一つの実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、
【化9】
またはその溶媒和化合物である。本発明の文脈において、この化合物は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートとして命名されるだろう。その化学量論的組成のため、それはまた、ビス(14−ヒドロキシモルフィノン)サルフェートとして命名し得る。用語14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート及びビス(14−ヒドロキシモルフィノン)サルフェートは、本発明の文脈において、交換可能に使用される。
【0020】
14−ヒドロキシモルフィノン塩において、14−ヒドロキシモルフィノンは、プロトン(H
+)によって典型的にはプロトン化し、及びしたがって、陽イオンを形成する。たとえば、n=2のとき、2つのプロトン及び14−ヒドロキシモルフィノン塩に存在する14−ヒドロキシモルフィノンの2つの分子は、そのプロトン化形態において14−ヒドロキシモルフィノンの2つの陽イオンを形成する。
【0021】
本発明によれば、水素化は、トリフルオロ酢酸及び/またはグリコールの存在下において行う。好ましい実施形態において、TFAが存在し、及び好ましくは準化学量論的量に存在する。もう一つの好ましい実施形態において、グリコールが存在する。さらにより好ましくは、グリコール及びTFAが存在し、TFAが好ましくは準化学量論的量に存在する。
【0022】
好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの混合物である。
【0023】
本発明の方法を特徴づける水素化反応の利点は、以下において説明される:水素化の間のトリフルオロ酢酸及びグリコールの存在は、トリフルオロ酢酸及びグリコールの非存在下で作製される反応生成物におけるより少ない8−ヒドロキシオキシモルホンが反応生成物に存在するであろうという技術的な効果を有する。実施例16に示したように、トリフルオロ酢酸及びグリコールの存在下で水素化を行うことによって、8−ヒドロキシオキシモルホンを含む出発材料から、いかなる検出可能な量の8−ヒドロキシオキシモルホンまたは14−ヒドロキシモルフィノンもないオキシモルホンをさえ調製することができる。前記8−ヒドロキシオキシモルホンは、オリパビンの14−ヒドロキシモルフィノンへの酸化における望まれない副生成物であり、及び14−ヒドロキシモルフィノン(オリパビンの酸化によって作製される)からオキシモルホンまで導く従来の還元反応において、最終的なオキシモルホンに持ち越される。本発明の水素化反応は、この持ち越しを減少させること、または完全に抑制することさえできる。理論によって拘束されることなく、水素化反応の反応条件は、特に反応混合物における酸の低含有量は(典型的には、TFAの準化学量論的量が使用される)、水素化反応の間に14−ヒドロキシモルフィノンの8−ヒドロキシオキシモルホンへの酸接触変換をまた予防し得る。その上、8−ヒドロキシオキシモルホンは、反応溶媒(本発明の水素化反応を特徴づけるグリコールを含む)において、オキシモルホン塩基またはオキシモルホン塩より可溶性であり得る。したがって、オキシモルホンまたはその塩は、沈澱によって8−ヒドロキシオキシモルホンから精製することができる。本発明の好ましい実施形態は、オキシモルホン塩基を沈殿させて単離することによって、この効果を利用する。
【0024】
還元反応のための出発材料として14−ヒドロキシモルフィノントリフルオロアセテートを使用する方法は、PCT/IB2013/001541においてすでに記述される。しかし、本出願の方法を実行するためには、異なる14−ヒドロキシモルフィノン塩、たとえば14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートと共に、準化学量論的量(1モル当量より少ない14−ヒドロキシモルフィノン)のトリフルオロ酢酸を使用すれば十分である。
【0025】
一定の実施形態において、トリフルオロ酢酸は、水素化反応混合物に添加される唯一の酸であり、及びそれは準化学量論的量、すなわち出発材料14−ヒドロキシモルフィノン塩における14−ヒドロキシモルフィノンの100mol%より少なく添加される。これは、水素化反応の後オキシモルホン遊離塩基を沈殿させるために添加されなければならない塩基の量を非常に減少させることができる。すでに上で言及したように、反応混合物における酸のこの低量は、水素化反応の間に14−ヒドロキシモルフィノンの8−ヒドロキシオキシモルホンへの酸接触変換をもまた予防し得る。
【0026】
本発明にしたがった方法は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供すること;トリフルオロ酢酸及び/またはグリコールを添加する工程;及びその後、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに水素化する工程を含み、次いでそれはその塩基として、またはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物として単離され得る。
【0027】
したがって、本発明は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物からオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法を提供する
【化10】
前記方法は、以下の工程を含むか、またはそれらからなる:
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供する工程;
(b)トリフルオロ酢酸及び/またはグリコール、好ましくはトリフルオロ酢酸及びグリコールを添加する工程;及び
(c)生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元する工程;
式中、X
n−及びnは、上述したように定義される。
【0028】
水素化反応の後、オキシモルホンは、反応混合物におけるその塩または溶媒和化合物として、たとえばそのサルフェート塩及び/またはトリフルオロアセテートとして存在し得る。その後の工程において、それは、遊離塩基に変換してもよく、及び/または異なる塩もしくは溶媒和化合物、たとえば薬学的に許容される塩または溶媒和化合物に変換してもよい。それは、1つまたは複数のこれらの形態において反応混合物から単離してもよい。
【0029】
好ましい実施形態において、オキシモルホンは、たとえば沈殿及びその後の沈澱物の単離によって遊離塩基として反応混合物から単離される。前記実施形態において、本方法は、以下の反応スキームによって表され得る:
【化11】
前記方法は、以下の工程を含むかまたはそれらからなる
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供する工程;
(b)トリフルオロ酢酸及び/またはグリコール、好ましくはトリフルオロ酢酸及びグリコールを添加する工程;及び
(c)生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元する工程;及び
(d)添加し、こうしてpHをオキシモルホンが沈殿するpHまで上げ、及びオキシモルホンをその遊離塩基または溶媒和化合物として単離する工程;
式中、X
n−及びnは上述したように定義し、及びX
n−は好ましくはSO
42−である。
【0030】
この方法の好ましい態様において、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(またはその溶媒和化合物)は、オキシモルホン塩基(またはその溶媒和化合物)に変換される。
【0031】
通常、以下のスキーム8に示したように、14−ヒドロキシモルフィノン塩(たとえば、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)の従来の還元から生じるオキシモルホンは、一定の副生成物を含み得る:
【化12】
スキーム8
【0032】
8−ヒドロキシオキシモルホンは、特にオキシモルホンが塩酸オキシモルホン(API)に変換されるときに酸性条件下で14−ヒドロキシモルフィノン、ABUKに変換し得るので、最終的なオキシモルホンにおいて望まれない。8−ヒドロキシオキシモルホン以外に、14−ヒドロキシモルフィノンもまた、最終的なオキシモルホンにおいて望まれない。このような14−ヒドロキシモルフィノンは、未反応の出発材料でもよく、または水素化の間または水素化反応が止まった後に、水素化混合物における酸の存在のため、8−ヒドロキシオキシモルホンから形成してもよい。本発明による水素化反応は、14−ヒドロキシモルフィノンも8−ヒドロキシオキシモルホンも含まないオキシモルホンの形成を可能にすることが本発明の利点である。
【0033】
本発明の方法を特徴づける水素化反応は、出発材料として14−ヒドロキシモルフィノン塩により始まる異なる還元または水素化反応を利用する方法と比較して、及び特に出発材料として、14−ヒドロキシモルフィノンの塩を利用しない、特に14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートを利用しない方法と比較して、生じるオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホン及び/または14−ヒドロキシモルフィノンの量を減少させるために適している。
【0034】
本発明の水素化工程は、水素化の間にTFA及び/またはグリコール、好ましくはTFA及びグリコールの両方が存在する点で、PCT/IB2013/001541において記述される水素化及び類似の従来技術の水素化とは異なる。これは、生じるオキシモルホン塩基が8−ヒドロキシオキシモルホンを非常に少量しか、または検出可能な量さえ含まないという驚くべき効果を有する。それはまた、酸性条件(水素化工程の酸性条件のような)下で8−ヒドロキシオキシモルホンから形成されうる14−ヒドロキシモルフィノンを非常に少量しか、または検出可能な量さえ含まない。
【0035】
また、前記水素化反応のための出発材料として、14−ヒドロキシモルフィノン塩を使用するため、その他の中間体または出発材料を使用する方法と比較して、本発明の方法は、前記14−ヒドロキシモルフィノン塩から調製されたオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノン及び/または8−ヒドロキシオキシモルホンの量を減少させるのに適している。たとえばPCT/IB2013/001541において記述される方法による、オリパビンから調製される14−ヒドロキシモルフィノン塩は、オリパビンからその他の経路を介して調製される14−ヒドロキシモルフィノンと比較して、8−ヒドロキシオキシモルホンの減少した量を含む。14−ヒドロキシモルフィノン塩における8−ヒドロキシオキシモルホンの量が少ないほど、前記14−ヒドロキシモルフィノン塩から調製されるオキシモルホンにおける8−ヒドロキシオキシモルホンがより少なくてもよく、言い換えれば、前記オキシモルホンから調製されるオキシモルホン塩における14−ヒドロキシモルフィノンがより少なくてもよく、その理由は、14−ヒドロキシモルフィノンが、酸添加によってオキシモルホンをその塩に変換する間に8−ヒドロキシオキシモルホンから形成され得るからである。
【0036】
遊離塩基としてオキシモルホンの沈澱及び単離を包含する本発明のこれらの実施形態において、典型的には、少なくともいくつかの8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物が、上清において残る。したがって、オキシモルホンまたはその溶媒和化合物からの8−ヒドロキシオキシモルホンの分離は、沈澱によって達成してもよい。沈殿し、及び任意に単離された沈殿物は、オキシモルホン塩基またはその溶媒和化合物を含み、母液における8−ヒドロキシオキシモルホン対オキシモルホンの比より少ない8−ヒドロキシオキシモルホン対オキシモルホンの比を含み得る。
【0037】
8−ヒドロキシオキシモルホンは、以下の式を有する:
【化13】
【0038】
8−ヒドロキシオキシモルホンのC−8における立体配置は、アルファ(8α)またはベータ(8β)のいずれかであることができる。8α及び8β立体配置は、スキーム9における8−ヒドロキシオキシモルホンに示される。8−ヒドロキシオキシモルホンは、8α化合物または8β化合物または8α−ヒドロキシオキシモルホン及び8β−ヒドロキシオキシモルホンの混合物でもよい。
【化14】
スキーム9
【0039】
本発明の方法によって調製される医薬組成物は、本発明にしたがった14−ヒドロキシモルフィノン塩の水素化を利用しない従来の方法によって調製される医薬組成物とは定量的に異なってもよく、及びたとえば安全性、効率及び製造コストの減少の点で、従来の方法によって調製される組成物を超える利点を提供し得る。たとえば、これらの組成物は、より少ない副生成物を含み得るし、及び/またはこれらのAPIの合成の後、少ししか、または全くさらなる処理工程を必要としないであろう。
【0040】
さらに、本発明による水素化反応は、従来の水素化反応と比較すると、より多くの容積に効率的な方法を可能にし得る。オキシモルホンがその遊離塩基として沈殿する場合、トリフルオロ酢酸の準化学量論的量の使用(たとえば従来の水素化反応に記載されるように、一般に>5モル当量のギ酸を使用する、過剰試薬としてのギ酸の代わりに)は、水素化の後、より少ない塩基の添加を必要とする。これは、必要とされる塩基の量を減少させ、また、反応をより容積効率的にさせる。
【0041】
オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、本発明によってまた提供される。本発明にしたがった方法によって調製されるときに、オキシモルホンは、8−ヒドロキシオキシモルホン及び/または14−ヒドロキシモルフィノンの非常に少量のみを含んでもよい。前述したように、従来技術に記載される条件下で、14−ヒドロキシモルフィノンは、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を調製するときに8−ヒドロキシオキシモルホンから形成し得る。特に、本発明にしたがったオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物は、所望の閾値量、たとえば公的に使用及び販売するための医薬組成物の承認のために監督官庁によって命令される閾値量、より少ない14−ヒドロキシモルフィノンの量を含んでもよく、及び/またはオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物のさらなる処理により、14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量を前記閾値量を超えて増加させるには不十分である8−ヒドロキシオキシモルホンの量を含む。
【0042】
本発明は、医薬組成物及び剤形をさらに提供し、それらはオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物(たとえば、塩酸オキシモルホン)を含む。前記オキシモルホンは、本発明にしたがった方法によって、好ましくは調製される。一定の実施形態において、これらの医薬組成物は、本発明の水素化反応を介してではなく、異なる還元反応を介して調製される医薬組成物とは異なる副生成物プロフィールを有し、及び異なる有効性を有し得る。特に、これらの医薬組成物における14−ヒドロキシモルフィノンの含有量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を介してではなく、14−ヒドロキシモルフィノンの遊離塩基を介して調製される医薬組成物における14−ヒドロキシモルフィノンの含有量とは異なる。これは、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物及び所望の閾値量、たとえば公的な使用及び販売ついてこれらの組成物の承認のために監督官庁によって命令される閾値量より少ない量において14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む医薬組成物を包含する。それはまた、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物に加えて、医薬組成物のさらなる処理により、14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量を14−ヒドロキシモルフィノンの前記所望の閾値量を超えて増加させるには不十分である量の8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む医薬組成物を包含する。それはまた、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物に加えて、14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物及び8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含み、8−ヒドロキシオキシモルホンは、従来技術に記載されるようなさらなる処理により、14−ヒドロキシモルフィノンのレベルを前記所望の閾値量を超えて増加させるには不十分である量にて存在する医薬組成物を包含する。
【0043】
本発明は、さらに本発明の方法を実施した結果として形成される医薬組成物及び剤形、並びにこれらの医薬組成物及び剤形を医学的な状態の治療において使用するための方法に関する。本発明の方法を実施することによって形成される直接の生成物は、さらなる処理工程を伴わずに、それ自体医薬組成物として適切であり得る。
【0044】
これらの医薬組成物及び剤形は、以下の医学的な状態の1つまたは複数を治療または予防するために使用することができる:疼痛、耽溺、咳、便秘、下痢、疼痛、咳または耽溺に関連する、及び/またはこれらによって生じる不眠症、疼痛、咳または耽溺に関連する、及び/またはこれらによって生じるうつ病または前述の状態の2つ以上の組み合わせなど。患者にオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を投与することにより、これらの状態の1つまたは複数を治療または予防するための方法もまた、本発明によって提供される。
【0045】
これらの医学的な状態の1つまたは複数の治療のための医薬の製造における、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を含む、本発明による医薬組成物または剤形の使用もまた、本発明の一部である。
本発明の一定の実施形態
【0046】
本発明は、以下の実施形態を包含する:
(1)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物からオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法であって、
【化15】
前記方法は、以下の工程を含むかまたはそれらからなる:
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供する工程;
(b)トリフルオロ酢酸及び/またはグリコールを添加する工程;及び
(c)生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元する工程;
式中、X
n−は、Cl
−、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート、トシラート、トリフルオロアセテート、H
2PO
4−、HPO
42−、PO
43−、シュウ酸塩、過塩素酸塩及びそれらの任意の混合物からなる群より選択される陰イオンであり;及び
nは、1、2または3である。
(2)(1)の方法であって、工程(b)においてトリフルオロ酢酸の酸及びグリコールが添加される。
(3)(1)または(2)の方法であって、nが2であり、及びX
n−がSO
42−である。
(4)(1)〜(3)のいずれか1つの方法であって、14−ヒドロキシモルフィノン塩に含まれる14−ヒドロキシモルフィノンのモル量と比較して、トリフルオロ酢酸の量が99mol%以下である。
(5)(4)の方法であって、14−ヒドロキシモルフィノン塩に含まれる14−ヒドロキシモルフィノンのモル量と比較して、トリフルオロ酢酸の量が30mol%〜50mol%である。
(6)(1)〜(5)のいずれか1つの方法であって、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びそれらの混合物からなる群より選択される。
(7)(6)の方法であって、グリコールはエチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの混合物である。
(8)(7)の方法であって、グリコールはエチレングリコールである。
(9)(7)の方法であって、グリコールはプロピレングリコールである。
(10)(1)〜(9)のいずれか1つの方法であって、工程(b)において添加されるグリコールが、14−ヒドロキシモルフィノン塩の重量gに対して、1〜8容積mLの範囲内である。
(11)(1)〜(10)のいずれか1つの方法であって、工程(c)における水素化は、H
2及び水素化触媒で行われる。
(12)(11)の方法であって、水素化触媒がPd/Cである。
(13)(1)〜(12)のいずれか1つの方法であって、水及びグリコールの混合物が溶媒として使用される。
(14)(13)の方法であって、混合物が20:80〜45:55のグリコール:水の範囲である。
(15)(14)の方法であって、混合物が40:60のグリコール:水の範囲である。
(16)(1)〜(15)のいずれか1つの方法であって、以下の工程をさらに含む:
(d)塩基を添加し、こうしてpHをオキシモルホンがその遊離塩基として沈殿するpHまで上げ、及びオキシモルホンをその遊離塩基またはその溶媒和化合物として単離する工程。
(17)(16)の方法であって、工程(d)において添加される塩基がNaOHである。
(18)オリパビンからオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法であって、前記方法は、以下の工程を含むかそれらからなる:
【化16】
(aa)オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノンに酸化する工程;
(bb)酸化反応の前、間及び/または後に、反応混合物に酸のH
+nX
n−を添加する工程;
(cc)任意に、生じる14−ヒドロキシモルフィノンを14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物として沈殿させる工程;
(dd)任意に、沈殿した14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を単離する工程;及び
(ee)(1)〜(17)のいずれか1つによる方法を実行する工程;
式中、X
n−は、Cl
−、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート、トシラート、トリフルオロアセテート、H
2PO
4−、HPO
42−、PO
43−、シュウ酸塩、過塩素酸塩及びそれらの任意の混合物からなる群より選択される陰イオンであり;及び
nは、1、2または3である。
(19)(18)の方法であって、nが2であり、及びX
n−がSO
42−である。
(20)(1)の方法であって、前記方法は、以下の工程を含む:
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供する工程;
(b)トリフルオロ酢酸及び/またはグリコールを添加する工程;及び
(c)生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元する工程。
(21)(1)の方法であって、前記方法は以下の工程からなる:
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供する工程;
(b)トリフルオロ酢酸及び/またはグリコールを添加する工程;及び
(c)、生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元する工程。
(22)(18)の方法であって、前記方法は以下の工程を含む:
【化17】
(aa)オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノンに酸化する工程;
(bb)酸化反応の前、間及び/または後に、反応混合物に酸のH
+nX
n−を添加する工程;
(cc)任意に、生じる14−ヒドロキシモルフィノンを14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物として沈殿させる工程;
(dd)任意に、沈殿した14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を単離する工程;及び
(ee)(1)〜(17)のいずれか1つによる方法を実行する工程。
(23)(18)の方法であって、前記方法は以下の工程からなる:
【化18】
(aa)オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノンに酸化する工程;
(bb)酸化反応の前、間及び/または後に、反応混合物に酸のH
+nX
n−を添加する工程;
(cc)任意に、生じる14−ヒドロキシモルフィノンを14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物として沈殿させる工程;
(dd)任意に、沈殿した14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を単離する工程;及び
(ee)(1)〜(17)のいずれか1つによる方法を実行する工程。
(24)(1)〜(23)のいずれか1つの方法によって調製されるオキシモルホン。
(25)(24)のオキシモルホンであって、1ppmより少ない8−ヒドロキシオキシモルホン及び1ppmより少ない14−ヒドロキシモルフィノンを含む。
(26)(24)または(25)によるオキシモルホン及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
(27)疼痛の治療において使用するための、(24)または(25)のオキシモルホンまたは(26)の医薬組成物。
定義
【0047】
特に明記しない限り、本発明の文脈において以下の略語及び定義が使用される。
【0048】
不定冠詞「ある(a)」または「ある(an)」は、前記冠詞の後の用語によって指定される種類の1つまたは複数を意味することが意図される。たとえば、「式IIの化合物」は、式IIの化合物の1つまたは複数の分子を包含する。
【0049】
本出願の文脈における用語「約」は、用語「約」の後すぐに詳述される値の15%(±15%)以内の値を意味し、この範囲内の任意の数値、この範囲の上限(すなわち、+15%)に同等の値及び下限(すなわち、−15%)に同等の値を含む。たとえば、フレーズ「約100」は、85〜115の任意の数値を包含し、85及び115を含む(「約100%」を除く、それは常に100%の上限を有する)。好ましい態様において、「約」は±10%、さらにより好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%または±1%より低いことを意味する。
【0050】
「TFA」は、トリフルオロ酢酸を意味する。
【0051】
その最も広い意味において「オピオイド」は、通常、当該技術において前記用語で命名される全ての化合物を包含し、オピオイド受容体上のアゴニストとして作用するオピオイド及びオピオイド受容体上のアンタゴニストとして作用するオピオイドを含む。部分的なアゴニスト及び部分的なアンタゴニストもまた公知であり、「オピオイド」という用語によって包含される。オピオイドアゴニストは、たとえば、オキシモルホン、オキシコドン、ノルオキシモルホン、ナルフラフィン及び前述のいずれかの塩及び溶媒和物を含む。オピオイドアンタゴニストは、たとえば、ナルトレキソン、メチルナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン及び前述のいずれかの塩及び溶媒和物を含む。本出願の文脈において、「オピオイド」という用語は、以下の骨格(本発明の文脈において「モルヒネ骨格」として命名される)の1つを有する化合物を包含するものとする:
【化19】
原子5、6、7、8、14及び13によって形成される環における不飽和度は、変化してもよい(環は、たとえば、8−ヒドロキシオキシモルホンのように単結合だけを含んでもよく、14−ヒドロキシモルフィノンのようにたった1つの二重結合を含んでもよく、またはオリパビンのように2つの二重結合を含んでもよい)。
【0052】
医薬組成物及び剤形における14−ヒドロキシモルフィノンの「閾値量」は、米国食品医薬品局(FDA)などの監督官庁によって設定されてもよく、及び次いでFDA指針(「指針」)の最新バージョンから、または前記指針において扱われていない場合、ICH指針の最新バージョンから知ることができる。本発明の文脈において、閾値量は、10ppm以下でもよい。
【0053】
本出願の文脈における「8−ヒドロキシ化合物」という用語は、モルヒネ骨格の8位にヒドロキシル基を含む化合物を意味する。より狭い意味において、それは、8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を意味する。「8−ヒドロキシ化合物」という用語は、8α−ヒドロキシオキシモルホン及び/または8β−ヒドロキシオキシモルホンを含む。
【0054】
当業者にとって、本明細書における用語「塩」及び「溶媒和化合物」がそれぞれ「薬学的に許容される塩」及び「薬学的に許容される溶媒和化合物」を包含することは明らかである。薬学的に許容される塩または溶媒和化合物の形成は、直接に、または薬学的に許容されない塩もしくは溶媒和化合物の調製及びその後の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物への変換によって達成してもよい。1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を別の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物に変換することも可能である。
【0055】
その最も広い意味において、本出願の文脈における「溶媒和化合物」という用語は、本発明の化合物または塩と溶媒分子との会合生成物を意味する。化合物分子当たりの溶媒分子のモル比は、変化してもよい。溶媒和化合物における溶媒対化合物/塩のモル比は、1(たとえば、一水和物において)、1を超える(たとえば、多水和物において2、3、4、5または6)または1より小さい(たとえば、半水和物において0.5)でもよい。モル比は、整数比である必要はなく、たとえば、0.5(半水和物のような)または2.5であることもまたできる。たとえば、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの分子当たり1分子の水が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート一水和物において結合される。オキシモルホン、8−ヒドロキシオキシモルホン、14−ヒドロキシモルフィノンまたは適切な場合、その塩に適用される場合、溶媒和化合物は、一定の実施形態において水和物、たとえば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物もしくは六水和物または分子当たりの水の比が必ずしも整数ではないが、0.5〜10.0の範囲内である水和物である。一定の実施形態において、溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜8の範囲内である水和物である。一定の実施形態において、溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜6の範囲内である水和物である(すなわち、一〜六水和物)。一定の実施形態において、それは、一水和物または五水和物である。
【0056】
特に明記しない限り、本出願の文脈における用語「沈殿させること」/「沈殿させる」/「沈澱」は、「結晶化させること」/「結晶化させる」/「結晶化」を包含するものとする。一定の実施形態において、本明細書において記述した沈殿物は、非晶質である。一定の実施形態において、沈殿物は、非晶質成分及び結晶性の成分の混合物である。一定の実施形態において、本明細書において記述した沈殿物は、結晶体である。たとえば、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、結晶形態において沈殿させてもよく、一方、オキシモルホン塩基は、典型的には非晶質の沈殿物である。
【0057】
頭字語「ppm」は、100万分の1を意味する。本出願の目的のために、複数のオピオイドを含む組成物に含まれるオピオイドの数値ppm量の値は、前記組成物に含まれるオピオイドの大多数を構成するオピオイド(「参照オピオイド」)の量に関して与えられる。このような参照オピオイドは、典型的にはオキシモルホン(水素化反応の最終生成物オキシモルホンにおいて)または14−ヒドロキシモルフィノン(水素化反応の出発材料14−ヒドロキシモルフィノン塩において)であるだろう。ppm値は、組成物のクロマトグラフィーの分解能及びその後のピーク面積に基づいたオピオイド成分の相対量または絶対量の算出を実行することによって決定することができる。本発明の目的のために、HPLC方法(たとえば、オキシモルホン並びにその前駆体及び副生成物について実施例11に記載されているように)を実行することができる。組成物成分は、一定の波長(たとえば、オキシモルホン並びにその前駆体及び副生成物について292nm)にて検出することができる。一定のオピオイド成分と参照オピオイドのHPLCピーク面積比は、ppm値を決定する。組成物におけるオピオイドの大多数を構成する1つのオピオイド化合物の数値ppm量の値(すなわち参照オピオイドの、オキシモルホンまたは14−ヒドロキシモルフィノンでもよい)は、全てのオピオイドピークの領域合計に対して、この化合物のピークのパーセント領域から得ることができる。
【0058】
本発明の文脈において使用されるHPLC条件(たとえば、オキシモルホン並びにその前駆体及び副生成物について実施例11に記載されるHPLC条件;または任意のその他の逆相HPLC条件)下で、任意の塩は、その塩の形態に決定されないが、分離した形態に決定されるだろう。たとえば14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの14−ヒドロキシモルフィノン部分は、その溶解した形態において、すなわち14−ヒドロキシモルフィノンとして検出され、及び定量化されるだろう。結果的に、本発明のオピオイド塩について検出可能なHPLCピーク面積は、前記塩に含まれるオピオイド部分について検出されるHPLCピーク面積であるだろう。塩が陰イオン当たり複数のオピオイド部分を含む場合には、HPLC方法は、塩それ自体の絶対/相対量を検出しないが、そのオピオイド部分の絶対/相対量を検出する。このような塩において陰イオン当たり2つのオピオイド部分が存在する場合(nが2である14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートなど)、HPLCにおいて検出されるピーク面積は、前記塩に含まれる2つのオピオイド部分の存在による。nが3である14−ヒドロキシモルフィノン塩の場合には、HPLCにおいて検出されるピーク面積は、前記14−ヒドロキシモルフィノン塩に含まれる3つのオピオイド部分の存在による。
【0059】
これは、以下の結果を有する:上記記載の通り、オピオイドのためのppm数値は、前記オピオイドについてのピーク面積対参照オピオイドのピーク面積の比である。本出願が8−ヒドロキシオキシモルホン対14−ヒドロキシモルフィノン塩の比についてのppm数値をいう場合には、実際には、ピーク面積8−ヒドロキシモルホンについてのピーク面積対14−ヒドロキシモルフィノン(14−ヒドロキシモルフィノン塩に含まれる)の比が提供される。14−ヒドロキシモルフィノン塩は、14−ヒドロキシモルフィノンのn回(たとえば、サルフェート塩について2回、ホスフェート塩について3回など)の構造単位を含む。記載される全てのppm値は、オピオイド部分の本来のピーク面積比に基づいており、nでこれらを割ることによって調整していない。たとえば、nが2である14−ヒドロキシモルフィノン塩について4ppmのピーク面積比がHPLCを介して決定される場合、対応するppm値もまた4である(及び2ではない)。ppmで配合比を与えるこの方法は、以下において「HPLCピーク面積比」と命名する。
【0060】
オピオイドピークは、典型的にはこの決定方法において考慮されるものであり、オピオイドについて典型的であるUV−Visスペクトルを有するピークである。14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(または別の14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物)及びオキシモルホンについては、典型的には、オキシモルホンN−オキシド、偽のオキシモルホン(すなわち、2,2'−ビスオキシモルホン)、14−ヒドロキシモルヒネ、14−ヒドロキシイソモルヒネ、10−ケトオキシモルホン、14−ヒドロキシモルフィノンN−オキシド、10−ヒドロキシオキシモルホン、8−ヒドロキシオキシモルホン、14−ヒドロキシモルフィノン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、6α−オキシモルホール、6β−オキシモルホール、オリパビン、8,14−ジヒドロオリパビン、オキシコドン(たとえば実施例11を参照されたい)のピークを考慮してもよい(存在する場合)。しかし、これらのピークの全てが、考慮される必要があるというわけではない。これらの一部だけ、たとえば8−ヒドロキシオキシモルホン、14−ヒドロキシモルフィノン、オキシモルホン、6α−オキシモルホール及びオリパビンだけを考慮することで通常十分である。
【0061】
逆相HPLC法をppm値の決定のために使用してもよい。
【0062】
試料成分の検出は、たとえば292nmの波長にてUV/VIS検出器を使用して行ってもよい。
【0063】
あるいは、試料成分の検出は、質量分析計を使用して行ってもよい。一定の成分の量は、トリチウム化された内標準を使用することによって決定してもよい。しかし、この検出方法は、内標準を使用するため、上記述した「HPLCピーク面積比」を必要としない。
【0064】
好ましい実施形態において、実施例11において記述されるHPLC方法は、ppm値の決定のために実施形態される。一つの実施形態において、実施例11BのHPLC方法が使用される。
【0065】
「検出可能な量でない」、「検出可能でない」、「検出可能な量の…がない」または同様の構成は、問題になっている化合物(たとえば14−ヒドロキシモルフィノンまたは8−ヒドロキシオキシモルホン)の量がLOD(検出限界)より少ないことを意味する。本発明の文脈において、これは、問題になっている化合物(たとえば、14−ヒドロキシモルフィノンまたは8−ヒドロキシオキシモルホン対オキシモルホン)(HPLCピーク面積比)が5ppmより少ない、好ましくは3ppmより少ない、より好ましくは1ppmより少ない量を意味する。本発明の特別な態様において、これは、問題になっている化合物の非存在(すなわち0ppm)を意味する。
【0066】
本発明の文脈における「API」という用語は、「活性な薬学的成分」(たとえば、塩酸オキシモルホン)を意味し、及び本発明の文脈における薬学的に活性な化合物の同義語として、その最も広い意味において使用するものとする。APIが医薬組成物または剤形を調製する際に使用されるとき、APIは前記医薬組成物または剤形の薬学的に活性な成分である。APIを含む医薬組成物または剤形は、患者(たとえば、ヒト)における販売及び使用について政府機関によって認可され得る。本発明の文脈において記述されるAPIの例は、オキシモルホン及び塩酸オキシモルホンを含む。
【0067】
本出願の文脈における「医薬組成物」という用語は、APIを含み、及び患者(たとえば、ヒト)における使用に適する組成物を意味する。それは、患者における販売及び使用のために政府機関によって認可され得る。本発明の文脈において記述される医薬組成物のための例は、オキシモルホンまたは塩酸オキシモルホンを含む組成物の一つである。医薬組成物は、同じAPIを含む医薬組成物のための規制の要求を満たす場合、本発明によって調製される組成物であり得る。
【0068】
本出願の文脈における「塩」という用語は、少なくとも1つの陽イオン(たとえば、ブレンステッド酸(硫酸のような)による14−ヒドロキシモルフィノン(遊離塩基)のプロトン付加から生じる1つまたは2つの14−ヒドロキシモルフィノン陽イオン)及び少なくとも1つの陰イオン(たとえば、サルフェート陰イオン)を含む化合物を意味する。塩は、酸と塩基(たとえば、ブレンステッド酸及びブレンステッド塩基、またはルイス酸及びルイス塩基)間の中和反応の結果でもよい。その固体形態において、塩は結晶構造を有してもよい。本出願に使用される用語「塩」は、無水の、溶媒和した、または水和した塩の形態を含む。塩を含む溶液または混合物が言及されるときはいつでも、「塩」という用語は塩の溶解状態をもまた包含するものとする。前記用語はまた、特にAPIとして働くことができる化合物の塩をいうとき、薬学的に許容される塩を包含する。本発明の文脈において、14−ヒドロキシモルフィノン塩が言及されるときはいつでも、これは、たとえば14−ヒドロキシモルフィノンのプロトン付加から生じる、14−ヒドロキシモルフィノンの陽イオンを含む塩をいう。同じことは、モルヒネ骨格、たとえば8−ヒドロキシオキシモルホンの塩と共に、陽イオンを含むその他の塩に適用される。14−ヒドロキシモルフィノン塩のための例は、14−ヒドロキシモルフィノンの2つの分子及びH
2SO
4の1つの分子からなる塩であり、すなわちそれはサルフェート陰イオン当たり2つの14−ヒドロキシモルフィノン陽イオンを含む(14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)。この塩において、陽イオンは14−ヒドロキシモルフィノンの2つの分子のプロトン付加から生じ、及び陰イオンは生じるサルフェートである。本発明の好ましい実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩である塩は、その固体形態にある。塩のためのもう1つの例は、オキシモルホンまたはその溶媒和化合物の塩である。オキシモルホンのこのような塩のための例は、オキシモルホンの2つの分子及びH
2SO
4の1つの分子からなる塩であり、すなわちそれはサルフェート陰イオン当たり2つのオキシモルホン陽イオンを含む(オキシモルホンサルフェート)。この塩において、陽イオンはオキシモルホンの2つの分子のプロトン付加から生じ、及び陰イオンは生じるサルフェートである。本発明の好ましい実施形態において、オキシモルホンの塩は、その固体形態にある。
【0069】
本明細書において言及される化合物または式は、立体中心であることができる原子または構造エレメントを含むときはいつでも(たとえば、キラル炭素原子またはモルヒネ骨格構造)、特に明記しない限り、それは全ての可能な立体異性体を包含するものとする。
【0070】
モルヒネ骨格を含む化合物については、以下に示したモルヒネ骨格の天然の立体配置が好ましい:
【化20】
式中、原子5、6、7、8、14及び13によって形成される環における不飽和度は、変化してもよい(環は、たとえば、8−ヒドロキシオキシモルホンのように単結合だけを含んでもよく、または14−ヒドロキシモルフィノンのようにたった1つの二重結合を含んでもよく、またはオリパビンのように2つの二重結合を含んでもよい)。5位については、以下の立体配置が好ましい(オリパビンのモルヒネ骨格について例証される):
【化21】
【0071】
8−ヒドロキシ化合物については、以下にて図示するように、8位においてαまたはβ配置が可能である:
【化22】
【0072】
本発明の化合物及び組成物において、8位にて両方の配置または1つの配置だけが存在してもよい。
【0073】
以下の14−ヒドロキシモルフィノンについて例証されるように、14位にヒドロキシル基を含む全ての化合物については、14位に以下の立体配置が存在する:
【化23】
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】
図1は、比較実施例1の沈殿したオキシモルホンの解析における自動スケール調整されたクロマトグラフ及びピークの結果を示す。
【
図2】
図2は、比較実施例2の沈殿したオキシモルホンの解析における自動スケール調整されたクロマトグラフ及びピークの結果を示す。
【
図3】
図3は、比較実施例10の単離された固体のオキシモルホンの解析における自動スケール調整されたクロマトグラフ及びピークの結果を示す。
【
図4】
図4は、実施例11AのHPLC方法から生じたオピオイドの標準的な混合物についての代表的なHPLCクロマトグラムを示す。凡例:実施例11Aを参照されたい。
【
図5】
図5は、実施例11BのHPLC方法から生じたオピオイドの標準的な混合物についての代表的なHPLCクロマトグラムを示す。凡例:実施例11Bを参照されたい。
【
図6】
図6は、1mg/mLの試料濃度についての実施例16の単離された固体のオキシモルホンの解析のクロマトグラムを示す。
【
図7】
図7は、10mg/mLの試料濃度についての実施例16の単離された固体のオキシモルホンの解析のクロマトグラムを示す。
【
図8】
図8は、1mg/mLの試料濃度についての実施例17の単離された固体のオキシモルホンの解析のクロマトグラムを示す。
【
図9】
図9は、10mg/mLの試料濃度についての実施例17の単離された固体のオキシモルホンの解析のクロマトグラムを示す。
【0075】
I.化合物
本発明の文脈において、オリパビン、オキシモルホン、14−ヒドロキシモルフィノン、8−ヒドロキシオキシモルホン並びにそれらの塩及び溶媒和物である化合物及び前述の化合物のいずれか2つ以上の混合物が記述される。これらは、本発明にしたがった方法の出発材料、中間体または生成物として使用してもよい。これらの化合物に、以下が適用される:
【0076】
立体中心を含む全ての式において、特に明記しない限り、任意の立体配置が存在してもよい。化合物が本発明にしたがった方法の生成物である場合、出発材料における反応に参加しないこれらの立体中心は、これらの立体配置を維持するだろう。一定の実施形態において、立体配置は、上記の定義の節に記載された通りである。
【0077】
X
n−を含む全ての式において、X
n−は、nが1、2または3である無機または有機の陰イオンでもよく、好ましくは1または2であり、及びより好ましくは2である。
【0078】
X
n−は、公知のオピオイド塩の任意の陰イオンでもよく、以下を含むが限定されない:ブロミド、塩化物、ヨウ化物、ラクタート、ニトラート、アセテート、タータラート、バレラート、シトラート、サリチラート、メコナート、バルビツール酸塩、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート、トシラート、トリフルオロアセテート、H
2PO
4−、HPO
42−、PO
43−、シュウ酸塩、過塩素酸塩及びそれらの任意の混合物。
【0079】
好ましくは、X
n−は、Cl
−、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート、トシラート、トリフルオロアセテート、H
2PO
4−、HPO
42−、PO
43−、シュウ酸塩、過塩素酸塩及びそれらの任意の混合物からなる群より選択される。より好ましくは、X
n−は、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネート、トシラート、トリフルオロアセテートまたはそれらの混合物である。さらにより好ましくは、X
n−は、HSO
4−、SO
42−、メタンスルホネートまたはトリフルオロアセテートである。さらにより好ましくは、X
n−は、HSO
4−、SO
42−またはトリフルオロアセテートである。さらにより好ましくは、X
n−は、HSO
4−またはSO
42−である。最も好ましくは、X
n−は、SO
42−である。
【0080】
nが2または3である場合、X
n−は重合体に支持されてもよい。
【0081】
オリパビンは、主なアルカロイド(CPS−O)としてオリパビンを含むけしがらの濃縮物に含まれてもよく、またはそれは精製したオリパビン、植物供与源から得られたオリパビン、合成のオリパビン、半合成のオリパビン、たとえば細菌もしくは植物細胞培養により、生体工学によって作られたオリパビン、または前述のいずれかの2つ以上の組み合わせでもよい。
【0082】
14−ヒドロキシモルフィノン塩は、それぞれ、好ましくは
【化24】
またはその溶媒和化合物(たとえば、水和物)である。すでに上で言及したように、この化合物は、本発明の文脈において、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートとして命名される。その化学量論的組成のため、それはまた、ビス(14−ヒドロキシモルフィノン)サルフェートとして命名され得る。用語14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート及びビス(14−ヒドロキシモルフィノン)サルフェートは、本発明の文脈において、交換可能に使用される。
【0083】
14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物が扱われるとき、それは溶媒分子と14−ヒドロキシモルフィノン塩の任意の会合生成物でもよい。14−ヒドロキシモルフィノン塩の分子当たりの溶媒分子のモル比は、変化してもよい。溶媒和化合物における溶媒対化合物/塩のモル比は、1(たとえば、一水和物において)、1を超える(たとえば、多水和物において2、3、4、5または6)または1より小さい(たとえば、半水和物において0.5)でもよい。モル比は、整数比である必要はなく、たとえば、0.5(半水和物のような)または2.5であることもまたできる。たとえば、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの分子当たりの1分子の水は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート一水和物において結合される。14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、一定の実施形態において水和物、たとえば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物または六水和物、または分子当たりの水の比が必ずしも整数ではないが、0.5〜10.0の範囲内である、水和物である。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜8の範囲内である水和物である。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜6の範囲内である水和物である(すなわち、一〜六水和物)。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、一水和物または五水和物である。同じことは、本発明の文脈におけるその他の溶媒和物、たとえばオキシモルホンまたはその塩の溶媒和物に適用される。
II.トリフルオロ酢酸及び/またはグリコールの存在下での水素化によるオキシモルホンまたはその(薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物の調製のための方法
【0084】
本発明は、以下のスキーム10において表されるように、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物からオキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法を提供する:
【化25】
スキーム10
前記方法は、以下の工程を含むかまたはそれらからなる:
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供する工程;
(b)トリフルオロ酢酸及び/またはグリコール、好ましくはトリフルオロ酢酸及びグリコールを添加する工程;及び
(c)生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元する工程;
式中、X
n−及びnは、上述したように定義される。
【0085】
一定の実施形態において、PCT/IB2013/001541の第II節において記述される方法の工程(a)〜(b)、PCT/IB2013/001541の第II節において記述される方法の工程(a)〜(c)またはPCT/IB2013/001541の第II節において記述される方法の工程(a)〜(d)を実行することによって、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む溶液または懸濁液は、工程(a)において提供される(PCT/IB2013/001541の第II節において記述される方法の前記工程(a)〜(d)は、後述した工程(aa)〜(dd)に対応する)。PCT/IB2013/001541の第II節において記述した工程(a)〜(d)が実行されるとき、その工程(d)において単離した14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、本発明にしたがった方法の工程(a)における前記化合物の溶液または懸濁液を提供するために、溶解され、または懸濁される。
【0086】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む溶液または懸濁液は、PCT/IB2013/001541の第IV−A節に記載の組成物である。
【0087】
工程(c)の水素化は、H
2による水素化でもよく、または水素化を転移してもよい。典型的には、水素化は、水素化触媒の存在下において実行される。好ましくは、水素化は、H
2及び水素化触媒により実行される。
【0088】
例示的な水素化反応は、スキーム11で示される:
【化26】
スキーム11
【0089】
スキーム11は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(または任意のその他の14−ヒドロキシモルフィノン塩)に加えて、8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩が出発材料に存在し得ることを考慮する。前記8−ヒドロキシ化合物は、水素化反応の間に持ち越され得る。または水素化が酸性条件下で実行されるとき、前記8−ヒドロキシ化合物は、水素化反応の間に対応する14−ヒドロキシ化合物である14−ヒドロキシモルフィノンに部分的にまたは完全に変換され得る。したがって、14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンは、主な水素化生成物としてオキシモルホンを含む反応生成物に存在し得る。しかし、典型的には、本発明の水素化反応の好ましい実施形態が実行されるとき、8−ヒドロキシオキシモルホンも14−ヒドロキシモルフィノンも最終的なオキシモルホンにおいて存在しない。
【0090】
本発明の文脈において、オキシモルホンをその遊離塩基として沈殿させて単離することもまた考慮される。沈殿する塩基が母液より少ない8−ヒドロキシオキシモルホン及び/または14−ヒドロキシモルフィノンを含み得るとき、オキシモルホンの遊離塩基の沈澱及び単離は、さらなる精製効果を生じることができる。特に、オキシモルホンがその遊離塩基として沈殿するとき、8−ヒドロキシモルホンは、その大多数が上清に残るので、沈澱によって除去することができる。
【0091】
水素化が酸性条件下で実行されるとき、出発材料及び生成物に存在する副生成物は、これらのプロトン化形態において、またはその塩もしくは溶媒和化合物として存在し得る。
【0092】
出発材料に含まれる14−ヒドロキシモルフィノンのモル量と比較して、工程(b)において添加されるTFAの量は、5〜99mol%の範囲であってもよい。好ましくは、TFAは、準化学量論的量において使用される、すなわち出発材料に含まれる14−ヒドロキシモルフィノン(molにおいて)より少ないTFAが添加される(molにおいて)。したがって、工程(b)において添加されるTFAの量は、出発材料に含まれる14−ヒドロキシモルフィノンのモル量と比較して、好ましくは99mol%以下(0.99当量以下)、より好ましくは10〜70mol%(0.1〜0.7当量)、さらにより好ましくは30〜50mol%(0.3〜0.5当量)、さらにより好ましくは35〜45mol%(0.35〜0.45当量)である。したがって、反応混合物におけるTFAの量及び酸の総量は、14−ヒドロキシモルフィノンからオキシモルホンまで導く従来の水素化反応におけるよりも少なく、TFAの準化学量論的量に関して、本発明の概要に記述した利点を生じる。
【0093】
工程(b)において添加されるグリコールの量は、グリコール容積mL対14−ヒドロキシモルフィノン塩の重量gについて算出すると典型的には1〜8容積/重量(vol/w)、好ましくは1.5〜5vol/w、より好ましくは、2〜3vol/wの範囲内である(たとえば、実施例16において、23gの14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート及び60mLのプロピレングリコールが使用され、2.61vol/wプロピレングリコールを生じる)。
【0094】
好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの混合物である。
【0095】
グリコールとTFAとの組み合わせは、特に好ましい。前記組み合わせにおいて、グリコールは、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの混合物である。前記組み合わせにおいて、TFA対グリコールの容積比は、好ましくは1:15〜1:45(vol/vol)、より好ましくは1:20〜1:40(vol/vol)、及びさらにより好ましくは1:25〜1:35(vol/vol)である。特定の実施形態は、前記比が約1:30(vol/vol)である実施形態である。
【0096】
水素化は、約25℃〜約85℃、好ましくは約25℃〜約60℃、より好ましくは約25℃〜約50℃、より好ましくは約25℃〜約45℃、より好ましくは約25℃〜約40℃、及びより好ましくは約28℃〜約36℃の温度にて(たとえば、実施例16及び17のような30℃にて)一般に実行される。
【0097】
好ましくは、水素化は、水素ガスで実行される。
【0098】
水素ガスを使用する水素化は、適切な圧力にて実行される。一定の実施形態において、水素化は、約周囲圧力(約14.7psia、101.35kPa)〜約100psia(689.48kPa)の圧力にて実行される。一定の実施形態において、約35psia(241.32kPa)〜約80psia(551.58kPa)の圧力にて、たとえば約60psia(413.69kPa)に、実行される。好ましい実施形態において、約14.7psia(101.35kPa)〜約60psia(413.69kPa)の圧力にて実行される。
【0099】
水素化反応は、約0.5分〜約48時間、約1分〜約42時間、約2分〜約26時間、約1分〜約24時間、約3分〜約22時間、約4分〜約20時間、約5分〜約18時間、約7分〜約16時間、約10分〜約12時間、約12分〜約12時間、約20分〜約12時間、約30分〜約4時間、約2時間〜約6時間または約3時間〜約6時間実行してもよい。一定の実施形態において、水素化反応は、約1時間〜約48時間実行される。
【0100】
一定の実施形態において、水素化反応は、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間または約6時間、実行される。
【0101】
一定の実施形態において、水素化反応は、約8時間、12時間、約16時間、約20時間または約24時間実行される。
【0102】
一定の実施形態において、水素化反応は、約26時間、約30時間、約34時間、約38時間、約42時間または約48時間実行される。
【0103】
一般に、水素化反応は、完了まで、すなわち14−ヒドロキシモルフィノンが反応混合物から消滅するまで、実行される。これは、任意の適切な検出方法、たとえば本明細書において記述したHPLC方法、特に実施例11BのHPLC方法によってモニターすることができる。
【0104】
水素化触媒の例示的な非限定的な一覧は、たとえばPd/C、パラジウム−炭、ジフェニルシラン及びPd/Cの組み合わせ、Pd(Ph
3P)/ZnCl
2、次亜リン酸ナトリウムとPd/Cの組み合わせ(たとえば、水性トリフルオロ酢酸において)、Pt/C、Ru/C、Rh/C、PdO
2、PtO
2、亜鉛、マグネシウムを含む。一定の実施形態において、触媒は、パラジウム触媒である。好ましくは、触媒はPd/Cであり、特に5%PdとPd/Cである。
【0105】
一定の実施形態において、たとえば水素化がYang、J.W. et al., Angew. Chem. Int. Ed. (2004)43:6660−6662に記載されるような金属フリーの転移水素化であるとき、水素化触媒は金属でない。
【0106】
一定の実施形態において、固体支持体触媒を使用して、たとえば接触によって確実に反応完了し、及び/または8−ヒドロキシオキシモルホンからの任意の新たな14−ヒドロキシモルフィノンの形成を潜在的に予防する、もしくは最小限にする。
【0107】
転移水素化は、水素転移試薬の使用を含む。
【0108】
適切な水素転移試薬は、HCO
2H、HCO
2H/HCO
2Na、HCO
2H/NEt
3、HCHO、H
2SO
4、HCO
2Na/NEt
3、H
2SO
4/NEt
3、H
3CSO
2NHNH
2/NEt
3、それらの組み合わせ及び同様のものを含む。その他の水素供与体、イソプロパノール、インドリン、シクロヘキセン、水素化ホウ素ナトリウム、テトラヒドロキノリン、2,5−ジヒドロフラン、リン酸、亜ジチオン酸ナトリウムなど、及びこれらの組み合わせもまた有用かもしれない。一定の実施形態において、水素転移試薬は、たとえば、Yang, J.W. et al., Angew. Chem. Int. Ed. (2004) 43:6660−6662に記載されるようにジヒドロピリジンである。
【0109】
水素化は、バッチ法によって、または連続フロー流でなされてもよい。
【0110】
一定の実施形態において、水素化は、バッチ法によってなされる。例示的なバッチ法において、触媒(たとえば、パラジウム炭素)をバッチ反応器に装填する。14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を添加し、または14−ヒドロキシモルフィノン塩及び溶媒を別々に添加する。トリフルオロ酢酸及び/またはグリコールを添加する。必要に応じて、水もまた添加する。次いで、バッチ反応器を封止し、水素化を完成するために十分な時間(たとえば、48時間)水素化する(たとえば、14.7psia(101.35kPa)及び30℃にて)。次いで、触媒を濾過によって除去する。
【0111】
次いで、生じるオキシモルホンを塩基、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムの添加により、その遊離塩基として沈殿させてもよい。生じる沈殿物がその後の反応においてより優れた挙動を示すため、好ましくは水酸化ナトリウムが使用される。沈澱は、逆溶剤を添加することによって増強してもよい。次いで、沈殿した固体を任意に洗浄し、及び乾燥する。沈澱工程(d)は、下により詳細に記述される。
【0112】
一定の実施形態において、水素化反応は、連続フロー流で行われる。反応物の連続フロー流における反応は、反応が起こるにつれて反応混合物の内外への物質の輸送を可能にする。連続フロー流で反応を実行すると、たとえば反応条件(たとえば、時、温度、試薬の当量、圧力、温度、触媒に対する反応物の露出時間、pHその他を含む)のより優れた制御、並びに形成される最中に、及び/または任意の望まれない化合物が形成される前に、反応混合物からのオキシモルホンの単離及び/または除去を可能にする。一定の実施形態において、オキシモルホンは、形成される最中に、反応混合物から除去される。
【0113】
一定の実施形態において、連続フロー流において反応を行うと、圧力を安全に維持することができるため、溶媒の沸点を上回る温度にて反応を行うことが可能になる。
【0114】
一定の実施形態において、連続フロー流において反応を行うと、オキシモルホンが残った反応物と反応し、及び/またはそれによって分解される前にそれを除去するので、反応の収率を上昇させ、反応の容積効率を上昇させ、及び/または水素化反応の間に形成される副生成物の数及び量を減少させる。
【0115】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、本発明にしたがった方法の工程(a)において適切な溶媒に吸収する。したがって、14−ヒドロキシモルフィノン塩の懸濁液または溶液が形成される。典型的には、前記工程の間に形成される水素化生成物は、溶媒に溶解する。一定の実施形態において、工程(a)の溶液または懸濁液は、溶媒として工程(b)のグリコールを使用することによって提供される。前記実施形態において、グリコールは、唯一の溶媒であるか、またはその他の適切な溶媒と混合される。遊離塩基としてオキシモルホンを単離するためには、水素化が完了した後にpHが上がる場合に水が有利であるため、特に、好ましくは水と混合させる。好ましくは、前記グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの混合物である。本発明にしたがった方法のための適切な溶媒は、以下を含むかまたは以下からなる:たとえば、メタノール、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、アセトン、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、tert−アミルアルコール、イソブチルアルコール、2−メチルテトラヒドロフラン、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、酢酸イソプロピル及びジ(エチレングリコール)または前述の任意の1つと水の混合物、または水からなり;好ましくは、その他の適切な溶媒は、以下を含むかまたは以下からなる:メタノール、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、アセトン、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、tert−アミルアルコールまたは前述の任意の1つと水の混合物、または水からなる。
【0116】
水または前述の溶媒のいずれかと水の混合物、特に前述のグリコールと水の混合物が好ましい。
【0117】
一定の実施形態において、適切な溶媒は、以下である:20:80のエチレングリコール:水混合物、30:70のエチレングリコール:水混合物、40:60のエチレングリコール:水混合物、50:50のエチレングリコール:水混合物、60:40のエチレングリコール:水混合物、70:30のエチレングリコール:水混合物、80:20のエチレングリコール:水混合物、90:10のエチレングリコール:水混合物、100:0のエチレングリコール:水混合物、20:80のプロピレングリコール:水混合物、30:70のプロピレングリコール:水混合物、40:60のプロピレングリコール:水混合物、50:50のプロピレングリコール:水混合物、60:40のプロピレングリコール:水混合物、70:30のプロピレングリコール:水混合物、80:20のプロピレングリコール:水混合物、90:10のプロピレングリコール:水混合物、100:0のプロピレングリコール:水混合物、50:50のメタノール:水混合物、60:40のメタノール:水混合物、70:30のメタノール:水混合物、80:20のメタノール:水混合物、90:10のメタノール:水混合物、100:0のメタノール:水混合物、50:50のエタノール:水混合物、60:40のエタノール:水混合物、70:30のエタノール:水混合物、80:20のエタノール:水混合物、90:10のエタノール:水混合物、100:0のエタノール:水混合物、90:10のテトラヒドロフラン:水混合物、100:0のテトラヒドロフラン:水混合物、90:10のイソプロパノール:水混合物、70:30のアセトン:水混合物、80:20のアセトン:水または90:10のアセトン:水混合物。8−ヒドロキシオキシモルホンは、これらの混合物においてオキシモルホン塩基より可溶性であり、及びしたがって、オキシモルホン遊離塩基が水素化の最後に塩基の添加によって沈殿し得る一方で、溶液に残ってもよい。
【0118】
一定の好ましい実施形態において、適切な溶媒は、グリコール及び水の混合物を含むか、またはそれらからなる。好ましくは、前記グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそれらの混合物である。
【0119】
一定の実施形態において、適切な溶媒は、エチレングリコール及び水の混合物を含むか、またはそれらからなる。
【0120】
一定の実施形態において、適切な溶媒は、プロピレングリコール及び水の混合物を含むか、またはそれらからなる。
【0121】
水素化反応混合物においてグリコールより多くの水を有することが好ましい。すなわち、グリコール:水混合物は、50部の水当たり50部より少ないグリコールを含む混合物が好ましい。好ましい混合物は、30:70のグリコール:水混合物、35:65のグリコール:水混合物、40:60のグリコール:水混合物及び45:55のグリコール:水混合物及びこれらの比の間の比であり、好ましい範囲は、20:80から50:50より少ないグリコール:水混合物、より好ましくは、30:70〜45:55のグリコール:水混合物及びより好ましくは、35:65〜45:55のグリコール水混合物である。特に、約40:60のグリコール:水混合物が好ましい。特に好ましくは、35:65〜45:55の混合物、好ましくは約40:60のエチレングリコール:水、または35:65〜45:55の混合物:好ましくは約40:60のプロピレングリコール:水。
【0122】
一定の実施形態において、工程(a)において使用される適切な溶媒は、水を含むか、またはそれからなり、及びグリコールは工程(b)において添加される。一定のその他の実施形態において、グリコール及び水は、水素化工程の最初に反応混合物に同時に添加される(別々にまたは混合物として);前記実施形態において、工程(a)の溶液または懸濁液は、溶媒として工程(b)のグリコールを使用することによって提供される。
【0123】
一旦水素化が完成すると、オキシモルホンはその遊離塩基またはその塩もしくは溶媒和化合物として沈殿させてもよい。
【0124】
一定の実施形態において、オキシモルホンは、その塩またはその溶媒和化合物として沈殿する。前記塩において、陰イオンは、トリフルオロアセテートまたは出発材料14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその混合物と同じX
n−でもよい。
【0125】
好ましくは、特に工程(d)によって、オキシモルホンは、その遊離塩基として沈殿する:
(d)塩基を添加し、こうしてpHをオキシモルホンが沈殿するpHまで上げ、及びオキシモルホンをその遊離塩基またはその溶媒和化合物として単離する工程。
【0126】
前記工程(d)は、本発明にしたがった好ましい方法において工程(a)〜(c)と組み合わせられ、及び前記好ましい方法は、工程(a)〜(d)を含むか、または工程(a)〜(d)からなる。理論によって拘束されないが、工程(a)〜(c)の水素化反応と工程(d)の沈澱及び単離との組み合わせは、最善の結果、すなわち最終的なオキシモルホン塩基における8−ヒドロキシオキシモルホン及び14−ヒドロキシモルフィノンの最も少ない量という結果を与えると想定される。
【0127】
オキシモルホンが沈殿するpHは、日常的な計測によって決定することができる。しかし、一般には8.5〜9.2の範囲、好ましくは約9.0である。
【0128】
工程(d)において添加される塩基は、任意のブレンステッド塩基でもよく、ただしその成分は、反応混合物のその他の成分と不溶性塩を形成しないことを条件とする。塩基は、NaOH、KOH、Na
2CO
3、K
2CO
3、NaHCO
3、KHCO
3、HCO
2Na、CH
3CO
2Na、NEt
3、NH
4OHまたはそれらの任意の混合物からなる群より好ましくは選択される。より好ましくは、陰イオンとして水酸化物を含む塩基であり、さらにより好ましくは、それは水酸化アルカリまたは擬アルカリ水酸化物である。さらにより好ましくは、それは水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムであり、及び最も好ましくは、それは水酸化ナトリウムである。生じる沈殿物がその後の反応において水酸化アンモニウムから生じた沈殿より優れた挙動を示すので、好ましくは水酸化ナトリウムが使用される。水酸化アンモニウムは、オキシモルホン塩基と共に沈殿するかもしれない硫酸アンモニウムまたはアンモニウムトリフルオロアセテートを形成する。これらのアンモニウム塩は、たとえばオキシモルホンをナロキソンに変換することで妨げることができる。これらは、N−脱メチル化薬剤と反応すると考えられる。水酸化ナトリウムから生じる生成物は、オキシモルホン塩基のさらなる変換に対しより少ない影響しか有しない。
【0129】
工程(d)において添加される塩基の量は、その遊離塩基形態におけるオキシモルホンの沈澱を達成するために十分でなければならない。したがって、それは、オキシモルホン塩基に対して、好ましくは0.5〜2.0モル当量、より好ましくは0.8〜1.7当量、さらにより好ましくは1.1〜1.4モル当量の範囲である。1.2〜1.3モル当量塩基が特に好ましい。好ましくは、前記塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0130】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の沈澱は、以下の1つまたは複数によって増強される:
(i)反応混合物の温度を沈殿温度に調整すること(たとえば、低下させること);
(ii)逆溶剤の添加;
(iii)種結晶の添加
(iv)反応混合物のイオン強度を変えること(たとえば、塩の添加によって);
(v)反応混合物を濃縮すること;
(vi)反応混合物の撹拌を減少させること、または止めること;
または沈澱もしくは結晶化を開始または増強するための任意のその他の従来方法。
【0131】
温度を沈殿温度に調整するとき、これは、前記化合物が沈殿する温度(「沈殿温度」)に、またはそれを越えて反応混合物の温度を調整することによってオキシモルホン塩基またはその塩もしくは溶媒和化合物の沈澱が開始及び/または増強されることを意味する。温度は、沈殿温度にて反応を実行することによって、または反応の間もしくは反応の完了後に反応混合物の温度を低下させることによって調整される。
【0132】
一定の実施形態において、反応混合物は、40℃以下の温度に調整して沈澱を開始させる、すなわち、沈殿温度は40℃以下である。一定の実施形態において、沈澱は、約−20℃、約−15℃、約−10℃、約−5℃、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約17℃、約19℃、約21℃、約23℃、約25℃、約27℃、約29℃、約31℃、約33℃、約35℃、約37℃または約40℃の沈殿温度にて開始する。
【0133】
一定の実施形態において、沈殿温度は、約−20℃〜約40℃、好ましくは約−10℃〜約40℃、より好ましくは約−5℃〜約35℃の範囲である。
【0134】
一定の実施形態において、沈殿温度は、約−10℃〜約22℃、好ましくは約−5℃〜約10℃、より好ましくは約−5℃〜約5℃の範囲である。
【0135】
一定の実施形態において、温度を沈殿温度に調整することに加えて、逆溶剤が使用される。しかし、一般に、沈澱はまた、逆溶剤を添加せずに生じるだろう。
【0136】
沈澱はまた、オキシモルホンまたはオキシモルホン塩の溶液に逆溶剤を添加することによって、または過飽和溶液を調製し(たとえば、反応混合物を冷却または濃縮することによって)、それから生じたオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を沈殿させることによって、たとえば沈殿温度を越えて冷却することによって、または種結晶を添加することによって、達成し、または増強してもよい。沈殿した固体は、次いで任意に洗浄し、及び乾燥する。一つの実施形態において、反応混合物にアセトン、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブタノール及びtert−ブチルメチルエーテルの1つまたは複数を添加することによってこの沈澱を達成してもよい。特定の実施形態において、水(反応混合物における唯一の溶媒でもよい)をすでに含み得る反応混合物に、tert−ブチルメチルエーテルを添加する。もう一つの特定の実施形態において、2−ブタノールを、水をすでに含み得る反応混合物に添加する。一つの態様において、この沈澱は、水及び逆溶剤の混合物、特に水の混合物または水及びtert−ブチルメチルエーテルの混合物または水、テトラヒドロフラン及びtert−ブチルメチルエーテルの混合物を使用することによって達成してもよい。前記混合物は、水素化反応の完了後、反応溶媒を置換してもよい。混合物はまた、水素化反応の完了後、逆溶剤を添加することによって調製することができる。2−ブタノールは、最も好ましい逆溶剤である。
【0137】
さらなる適切な逆溶剤は、第IV節において記述される逆溶剤でもよい。すなわち、適切な逆溶剤は、以下を含むか、または以下からなってもよい:tert−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ヘキサン、tert−アミルアルコール、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブチルアルコール、ヘプタン、キシレン、トルエン、アセトン、2−ブタノン、エチルアセテート、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1,4−ジオキサン、メチルホルメート、メチルアセテートまたは前述のいずれか2つ以上の混合物。列挙したアルコール及びエーテルは、好ましい逆溶剤であり、アルコールがさらにより好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、逆溶剤は、イソプロパノールまたは2−ブタノールである。最も好ましい逆溶剤は、2−ブタノールである。
【0138】
次いで、生じる沈殿物を単離してもよく、このように母液からそれを除去し、及び母液において残る8−ヒドロキシオキシモルホン及び/または14−ヒドロキシモルフィノンから都合よくさらに遊離塩基を精製する。
【0139】
好ましくは、オキシモルホンは、その遊離塩基として単離される。本発明による水素化を含まない方法によって作製されるオキシモルホンと比較して、遊離塩基としてその形態で生じるオキシモルホンは、より少量の8−ヒドロキシオキシモルホン及び/または14−ヒドロキシモルフィノン(またはその塩もしくは溶媒和化合物)を含む。
【0140】
本発明の方法を介して調製することができる前記オキシモルホンを含むオキシモルホン及び組成物は、たとえば下の第VI節において記述される。オキシモルホンを含む組成物に存在する8−ヒドロキシオキシモルホン及び14−ヒドロキシモルフィノンの量は、下記の第VI節において記述される。一定の実施形態において、このオキシモルホンまたはオキシモルホンを含むこれらの組成物は、本節またはその後の第III節において記述される方法の生成物である。
【0141】
一定の実施形態において、本節またはその後の第III節において記述される方法の生成物であるオキシモルホンを含む組成物は、さらなる処理または精製工程を伴わずに、特にさらなる水素化工程を伴わずに医薬組成物として使用することができる。
【0142】
この方法の一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートまたはその溶媒和化合物である。
【0143】
この方法の一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、14−ヒドロキシモルフィノントリフルオロアセテートまたはその溶媒和化合物である。
III.オリパビンから開始するオキシモルホンを調製するための方法
【0144】
本発明は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を介してオリパビンからオキシモルホンを調製するための方法をさらに提供する。この方法において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、中間体として働く。前記中間体14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、単離してもよく、またはさらなる単離を伴わずに、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物に変換してもよい。一定の好ましい実施形態において、前記中間体14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物への変換の前に単離される。
【0145】
したがって、本発明は、オリパビンまたはその塩もしくは溶媒和化合物からオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法であって、以下を含むかまたは以下からなる(スキーム12)方法を提供する:
【化27】
スキーム12
(aa)オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノンに酸化すること;
(bb)前記酸化反応の前、間及び/または後に、反応混合物に酸のH
+nX
n−を添加すること;
(cc)任意に、生じる14−ヒドロキシモルフィノンを14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物として沈殿させること;
(dd)任意に、沈殿した14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を単離すること;
(a)14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の溶液または懸濁液を提供すること;
(b)トリフルオロ酢酸及び/またはグリコール、好ましくはトリフルオロ酢酸及びグリコールを添加すること;及び
(c)生じる混合物を水素化して、14−ヒドロキシモルフィノンをオキシモルホンに還元すること;
式中、X
n−及びnは、上述したように定義される。
【0146】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、工程(a)〜(c)を介した水素化の前に工程(cc)及び/または(dd)において沈殿され、及び/または単離される。
【0147】
一定の実施形態において、前記方法は、さらなる工程、すなわち(d)塩基を添加して、こうしてpHをオキシモルホンが沈殿するpHまで上げ、オキシモルホンをその遊離塩基またはその溶媒和化合物として単離することを含むだろう。上記第II節を参照されたい。
【0148】
一定の実施形態において、本方法の工程(c)は、オキシモルホンの薬学的に許容される塩または溶媒和化合物を生じる。一定の実施形態において、本方法の工程(c)は、オキシモルホンのこのような薬学的に許容される塩または溶媒和化合物だけでなく、さらなる処理(たとえば、精製)を必要とすることなく医薬組成物として使用することができる完全な結果物である組成物を生じる。特に、副生成物、たとえば14−ヒドロキシモルフィノンを除去するためのさらなる水素化をせずに使用してもよい。たとえば、本方法は、剤形に組み入れるために適しているオキシモルホン塩組成物を生じ得るし、オキシモルホン塩組成物は、さらなる/付加的な水素化工程を含まない変換によって、工程(c)の水素化生成物から直接調製される。
【0149】
一定の実施形態において、工程(c)から生じるオキシモルホンの塩または溶媒和化合物は、薬学的に許容される塩または溶媒和化合物ではない。
【0150】
一定の実施形態において、工程(c)から生じるオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物は、本方法の最後でさらなる工程においてその薬学的に許容される塩または溶媒和化合物に変換してもよい。このような変換のための方法は、当該技術分野において公知である(たとえば、陰イオン交換)。
【0151】
一定の実施形態において、本方法の中間体である14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、PCT/IB2013/001541の第IV節に記載されたような特性を有するだろう。
【0152】
上記方法の工程(a)〜(d)の全ての要素及び前記要素の実施形態は、すでに上述した。上記方法の工程(aa)〜(dd)の全ての要素及び前記要素の実施形態は、PCT/IB2013/001541においてすでに記述した(PCT/IB2013/001541の第II節における工程(a)〜(d)として)。本方法を介して調製することができるオキシモルホン及び前記オキシモルホンを含む組成物に存在し得る8−ヒドロキシオキシモルホン及び14−ヒドロキシモルフィノンの量は、下の第VI節において記述される。一定の実施形態において、これらの化合物は、本節において記述した方法の生成物である。
【0153】
以下において、上記方法の例示的実施形態が記述されるだろう。その中に、酸化反応のための出発化合物は、オリパビンまたはその塩もしくは溶媒和化合物であり、
酸化剤は、過酸化水素及びギ酸からその場で形成される過ギ酸を含むか、またはそれであり、工程(bb)における酸のH
+nX
n−は、反応混合物に添加される硫酸であり、
14−ヒドロキシモルフィノン塩は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートまたはその溶媒和化合物であり、及び生成物は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物である。
【0154】
好ましい実施形態において、オキシモルホンは、その遊離塩基として沈殿し、及び単離される。
IV.14−ヒドロキシモルフィノン塩を調製するための方法
【0155】
14−ヒドロキシモルフィノン塩、本発明にしたがった方法のための出発材料は、PCT/IB2013/001541の第II節において記述された式Vの化合物を調製するための方法に従って調製することができる。PCT/IB2013/001541のこの第II節の内容は、明示的に参照により本明細書に援用される。
【0156】
したがって、一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物
【化28】
は、オリパビンまたはその塩もしくは溶媒和化合物から調製することができ、方法は、以下を含む:
【化29】
(aa)オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノンに酸化すること;及び
(bb)、酸化反応の前、間及び/または後に、反応混合物に酸のH
+nX
n−を添加すること、式中、
X
n−及びnは、上述したように定義される。
【0157】
好ましい実施形態において、酸のH
+nX
n−は、酸化反応の前または間に反応混合物に添加される。より好ましくは、酸H
+nX
n−は、全酸化反応の間の反応混合物に存在する、すなわち、それは酸化反応の開始の前または酸化反応の開始時に添加される。
【0158】
14−ヒドロキシモルフィノン塩に加えて、オリパビンの酸化は、8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を生成し得る。8−ヒドロキシオキシモルホンは、以下の通りに形成してもよい:
【化30】
スキーム3
【0159】
本発明の水素化工程における出発材料としての14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の使用は、14−ヒドロキシモルフィノン塩を含まずにオキシモルホンを調製する方法と比較すると、水素化の開始時に存在する8−ヒドロキシオキシモルホンの量を減少させることができる。
【0160】
14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成及び沈殿する塩の単離は、(i)14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成を含まない方法と比較して、オリパビンの酸化の間の8−ヒドロキシオキシモルホンの形成、(ii)14−ヒドロキシモルフィノン塩を介して作製されるオキシモルホン塩基を含む組成物における8−ヒドロキシオキシモルホンの存在、及び(iii)14−ヒドロキシモルフィノン塩を介して作製されるオキシモルホン塩またはオキシモルホン塩を含む医薬組成物における、8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩及び14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩の存在を防止し、または減少することが明らかである。
【0161】
本発明の方法によって調製される医薬組成物は、本発明の水素化反応条件を利用しない従来の方法によって調製される医薬組成物とは定量的に異なり得るし、及びたとえば安全性、効率及び製造コストの減少の点で従来の方法によって調製される組成物を超える利点を提供し得る。たとえば、これらの組成物は、より少ない副生成物を含み得るし、及び/またはこれらのAPIの合成の後、少ししか、または全くさらなる処理工程を必要としないであろう。
【0162】
14−ヒドロキシモルフィノン塩を調製するための方法の例示的実施形態は、14−ヒドロキシモルフィノンをそのサルフェート塩(またはその溶媒和化合物)として調製するための方法であり、それはスキーム13で図示されるオリパビンの酸化を包含する:
【化31】
スキーム13
【0163】
本発明の好ましい実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、
【化32】
(14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)またはその溶媒和化合物である。
【0164】
上述の通り、8−ヒドロキシオキシモルホンは、14−ヒドロキシモルフィノン塩のオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物へのさらなる処理の間に14−ヒドロキシモルフィノンに変換し得る。より少ない8−ヒドロキシオキシモルホンが酸化反応の間に形成される場合、異なる中間体を介して作製されるオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物と比較してより少ない8−ヒドロキシオキシモルホン及び最終的により少ない14−ヒドロキシモルフィノンが、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を介して、またはそれらから作製されるオキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物(たとえば、塩酸オキシモルホン)に最終的に存在し得る。そして、より少ない8−ヒドロキシオキシモルホン及び最終的により少ない14−ヒドロキシモルフィノンが、前記オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を含む医薬組成物または剤形においても最終的に存在し得る。最終的に、本発明の水素化工程のための出発材料として14−ヒドロキシモルフィノン塩の使用は、したがって、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の調製中に形成される8−ヒドロキシオキシモルホン及び14−ヒドロキシモルフィノンの量が望まれないレベルを上回って、たとえば14−ヒドロキシモルフィノンの所望の閾値量を上回って前記オキシモルホンにおける14−ヒドロキシモルフィノンの総量を増加させるには不十分であるという結果に寄与し得る。
【0165】
一定の実施形態において、酸化工程(aa)は、反応混合物における酸のH
+nX
n−の存在下において、部分的にまたは完全に実行される。すなわち、酸化反応の前か間に、好ましくは酸化反応の前に、酸のH
+nX
n−は、添加される。酸H
+nX
n−は、好ましくは全酸化反応の間の反応混合物に存在する、すなわちそれは酸化反応の開始の前または酸化反応の開始時に添加される。
【0166】
14−ヒドロキシモルフィノン塩は、酸化反応の一定の実施形態において、沈殿され得る。
【0167】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の形成は、オリパビンから形成される塩を介して、その遊離塩基形態またはその塩もしくは溶媒和化合物形態における14−ヒドロキシモルフィノンを介して、上記経路の両方を介して、または当業者に公知のその他の反応経路と上記経路の1つまたは両方との組み合わせを介して生じてもよい。この反応の間に少なくともオリパビン及び/または14−ヒドロキシモルフィノンの一部または全ては、プロトン化される。これは、たとえば酸性反応条件下で起こってもよい。
【0168】
酸化反応の一定の実施形態において、この方法における14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の形成は、14−ヒドロキシモルフィノン塩が形成されない方法と比較してオリパビンのより高い容積効率的な酸化を可能にする。
【0169】
酸化反応の一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物が形成されない方法と比較すると、生成物における8−ヒドロキシオキシモルホン対14−ヒドロキシモルフィノンの比をより低くさせる。
【0170】
酸化反応の一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の形成は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物が形成されない酸化反応と比較して酸化反応の間により少ない8−ヒドロキシ化合物が形成されるという効果を有するので、上記結果が達成され得る。言い換えれば、14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成は、反応生成物の副生成物プロフィールの改善を可能にする。
【0171】
これらの実施形態において、酸化反応は、酸のH
+nX
n−の存在下において、典型的には完全にまたは部分的に実行される。
【0172】
このような実施形態の1つの例は、nが2であり、及び好ましくはX
n−がサルフェートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成でもよい。このような実施形態のもう1つの例は、nが1であり、及び好ましくはX
n−がトリフルオロアセテートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成でもよい。このような実施形態のもう1つの例は、nが3であり、及び好ましくはX
n−がホスフェートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成でもよい。
【0173】
酸化反応の一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の形成は、たとえば反応混合物からの14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱によって、8−ヒドロキシオキシモルホンを14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から分離することができるという効果を有するので、前記結果が達成され得る。このような実施形態の1つの例は、X
n−がサルフェートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成でもよい。
【0174】
一定の実施形態において、より少ない8−ヒドロキシオキシモルホンが酸化の間に形成されるので、及び上記化合物を14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から分離することができるので、両方のためにこれらの効果の組み合わせが起こる、すなわち前記結果が達成される。このような実施形態の1つの例は、X
n−がサルフェートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成でもよい。
【0175】
好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の形成は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を形成する工程を含まない酸化反応と比較すると、酸化反応の間の8−ヒドロキシ化合物の形成及び/または酸化生成物における8−ヒドロキシ化合物の存在を減少させる。生成物における8−ヒドロキシオキシモルホンの存在は、14−ヒドロキシモルフィノン塩の沈澱によって減少させ得る。これは、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を形成する工程を含まない反応と比較すると、その後の反応の間(たとえば、14−ヒドロキシモルフィノン塩から塩酸オキシモルホンを作製するオキシモルホンの変換の間)、14−ヒドロキシモルフィノンの形成を減少させて得る。
【0176】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を調製するための方法は、1つまたは複数の酸の存在下において酸化剤でオリパビンを酸化させて14−ヒドロキシモルフィノン塩を形成させることによって実行してもよい。8−ヒドロキシ化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物は、酸化の間の副生成物として形成し得る。14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の調製の最後に、前記14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、固体、溶液または懸濁液として提供されてもよい。14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、本発明の水素化方法(すなわち、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物を調製するための方法)のための出発材料または中間体である。14−ヒドロキシモルフィノン塩及びその溶媒和化合物は、下により詳細に記述されるだろう。しかし、酸化方法のその後の記述は、適用可能な場合、14−ヒドロキシモルフィノン塩及びその溶媒和化合物それ自体にもまた適用するものとする(たとえば、14−ヒドロキシモルフィノン塩がこのような酸化方法の反応生成物として記述される)。
【0177】
上記14−ヒドロキシモルフィノン塩を調製するための方法工程は、以下スキーム14で示される:
【化33】
スキーム14
この方法の一定の実施形態において、酸H
+nX
n−は、硫酸である。
【0178】
14−ヒドロキシモルフィノン塩を調製するための方法は、ワンポット反応として実行してもよく、工程(aa)及び(bb)は同時に実行される。前記ワンポット反応において、少なくとも酸H
+nX
n−の一部は、酸化剤の前に、または典型的には酸化剤と同時に添加される。一定の実施形態において、酸H
+nX
n−の全ては、酸化剤の前に、または酸化剤と同時に添加される。
【0179】
14−ヒドロキシモルフィノン塩、すなわち14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートを形成するための例示的なワンポット反応は、スキーム15で示される:
【化34】
スキーム15
【0180】
このスキームで示される酸化反応において、過酸は、過酸化水素から形成し、ギ酸は少なくとも1つの酸化剤として使用され、及び硫酸は酸H
+nX
n−として使用される。硫酸の少なくとも一部もまた過酸化水素の存在下で過酸を形成することが除外されないことに注意すべきであり、及び過酸もまた酸化反応に参加し得る。
【0181】
工程(aa)及び(bb)の反応条件(たとえば、時間、温度、pH、試薬の相対的割合)は、以下に詳細に記述されるだろう。本発明の典型的な実施形態において、これらは、14−ヒドロキシモルフィノン塩を含む結果として生じる生成物が、8−ヒドロキシオキシモルホンを含まないか、または約2500ppm以下、約2000ppm以下、約1500ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下または約100ppm以下含むように調整される。
酸化反応
【0182】
本方法の工程(aa)の酸化反応は、スキーム16で表され、及び14−ヒドロキシモルフィノンの形成を生じ、言い換えると14−ヒドロキシモルフィノン塩の部分である:
【化35】
スキーム16
【0183】
工程(aa)の酸化反応は、オリパビンの少なくとも約90%、約92%、約95%、約97%、約98%、約99%または約100%が反応によって消費されるまで、一般に実行される。反応において残っている前記化合物の量は、任意の従来の決定方法によって、たとえばHPLCによって、たとえば実施例11Aにおいて記述されるHPLC方法によって決定してもよい。
【0184】
酸化反応時間は、約1分〜約36時間、約10分〜約34時間、約20分〜約32時間、約30分〜約30時間、約45分〜約28時間、約1時間〜約24時間、約3時間〜約21時間、約5時間〜約18時間のどこでもであることができる。一定の実施形態において、反応時間は、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間または約24時間である。
【0185】
反応混合物は、約0℃〜約100℃、約10℃〜約90℃、約15℃〜約80℃、約20℃〜約70℃、約20℃〜約60℃、約20℃〜約55℃、約20℃〜約45℃、約20℃〜約40℃または約20℃〜約35℃の温度にて維持してもよい。
【0186】
一定の実施形態において、たとえば、流通反応装置において行われる反応において、反応混合物は、前述の文に列挙された温度にて維持してもよく、または前述の文の温度上限のいくつかを超える温度にて、たとえば約40℃〜約95℃の温度にて維持してもよい。
【0187】
一定の実施形態において、反応混合物は、約20℃〜約45℃、好ましくは約25℃〜約40℃にて維持される。一定の実施形態において、反応混合物は、より好ましくは約25℃〜約35℃、さらに好ましくは約30℃にて維持される。一定の特に好ましい実施形態において、反応混合物は、より好ましくは約30℃〜約38℃、より好ましくは約32℃〜約36℃、さらにより好ましくは35℃にて維持される。典型的には、酸化反応は、約24時間後に、またはこれらの好ましい温度を使用するとき、さらにより少ない時間(たとえば、16または20時間)の後に終了するだろう。
【0188】
典型的には、工程(aa)の間のオリパビンの酸化は、酸化剤の存在下で起こっている。前記酸化剤は、反応混合物に添加されるか、または反応混合物においてその場で形成される(たとえば、過ギ酸は、ギ酸及び過酸化水素を含む反応混合物においてその場で形成してもよい)。次いで、オリパビンは、14−ヒドロキシモルフィノン塩に酸化され、それは酸H
+nX
n−が存在するときに生じるだろう。
【0189】
オリパビンは、オリパビン及び適切な溶媒を含む溶液または懸濁液において工程(aa)のために提供されてもよい。適切な溶媒は、以下を含んでもよく、または以下からなってもよい;水、アルコール(たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールその他);芳香族炭化水素(たとえば、ベンゼン、トルエン、キシロールその他);エーテル(たとえば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルその他);(C
1−C
4)アルカノン酸の(C
1−C
4)アルキルエステル(たとえば、メチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、酢酸イソプロピルその他);アミド(たとえば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはその他のN−(C
1−C
4)アルキル置換された(C
1−C
4)アルカン酸の酸アミド);N−メチルピロリドン;ホルミルモルホリン;または前述のいずれかの任意の混合物。一定の実施形態において、方法のための酸を提供する試薬(たとえば、水中の88%ギ酸)または酸それ自体が溶媒として作用し得る。一定の実施形態において、溶媒は、以下を含むか、または以下からなる:水、エーテル、アルコールまたはそれらの組み合わせ。一定の実施形態において、溶媒は、以下を含むか、または以下からなる:メタノール、テトラヒドロフラン、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、アセトン、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、tert−アミルアルコールまたは前述の任意の1つと水の混合物。一定の実施形態において、溶媒は、以下を含むか、または以下からなる:テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、n−プロパノールまたはそれらの任意の組み合わせ。一定の実施形態において、溶媒は、水またはもう一つの溶媒と水の組み合わせである。一定の実施形態において、溶媒は、イソプロパノールまたはイソプロパノール及び水の混合物である。一定の実施形態において、溶媒は、2−ブタノールまたは2−ブタノール及び水の混合物である。一定のその他の実施形態において、溶媒は、水を含まないか、実質的に含まない(たとえば、反応が酸化剤としてMCPBAを使用してクロロホルム中で実行されるとき)。一定の好ましい実施形態において、溶媒は、水を含むか、または水からなる。
【0190】
オリパビンと溶媒の比は、オリパビンが溶媒に溶解されるように、すなわちオリパビンの懸濁液または好ましくは溶液が形成されるように選択される。酸化剤が溶媒として作用する酸(たとえば、ギ酸)を含むか、またはそれと共に生成される場合、または酸H
+nX
n−が溶媒として作用する場合、前記酸は、反応混合物における溶媒の総量に寄与するか、または反応混合物における唯一の溶媒である。オリパビン(mmolにおいて)と溶媒(mLにおいて)の比は、以下の式によるモル濃度として定義し得る:
モル濃度=(オリパビンmmol)/(溶媒ミリリットル)
たとえば、33.7mmolのオリパビン及びギ酸を加えた23.6mLの水が使用されるとき、これは1.43(33.7/23.6)のモル濃度となる。本方法において、オリパビン対溶媒のモル濃度は、好ましくは0.8以上である。一定の実施形態において、モル濃度は、0.8〜1.8、好ましくは1.2〜1.7、より好ましくは1.2〜1.6及びさらにより好ましくは1.3〜1.5である。相対的に、WO2008/130553において、モル濃度は、0.67((10mmolオリパビン)/(15mL水プラスギ酸))である。本方法の収率が一定の場合、より少ない溶媒を使用すれば、工程(aa)及び(bb)はより高い容積効率であり得る。したがって、この方法は、より少ない溶媒の使用を可能にし、それは言い換えれば環境の負荷及び/または製造コストを減少させ得る。
【0191】
一定の実施形態において、たとえば実施例において記述される酸化反応において、溶媒は、水を含むか、または水からなる。前記実施形態においてオリパビン(mmolにおいて)対水(mLにおいて)の比は、好ましくは約1:1〜約5:1、より好ましくは約1.2:1〜約4:1、より好ましくは約1.5:1〜約3:1、より好ましくは約1.6:1〜約2.4:1、さらにより好ましくは約1.7:1〜約2.2:1。たとえば、好ましい実施形態において、オリパビンg当たり約1.5mL〜約2.0mL、好ましくは約1.6〜約1.9mL水が使用される。この算出は、酸の1つに含まれる水または酸化反応において使用されるその他の試薬(特に、過酸化水素)を考慮しない。
【0192】
酸化反応が開始される(たとえば、酸化剤を添加する、または生成することによって)前に、オリパビンは反応混合物の任意の割合において存在してもよい。一定の実施形態において、それは、全反応混合物の重量当たり約1%〜約60%、約5%〜約50%、約10%〜約40%、約15%〜約35%、約20〜約33%または約20%〜約30%の開始量に存在する。一定の好ましい実施形態において、オリパビンは、重量で反応混合物の約20〜約33%含む。一定の好ましい実施形態において、オリパビンは、重量で反応混合物の約20%〜約30%含む。酸化が起こるにつれて、オリパビンの濃度は減少し、及び最後に0%に近づくであろう。
【0193】
酸化剤は、過酸、過酸化物(過酸化水素及び過酸化物塩を包含する)、ペルヨージナン、一重項酸素またはそれらの任意の組み合わせでもよい。たとえば、酸化剤は、過酸化水素、カリウム過酸化モノサルフェート(たとえば、OXONE(登録商標))、過ギ酸、過酢酸(AcOOH)、過硫酸、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、トリフルオロ過酢酸、一重項酸素、ヨードソベンゼン、K
2O
2、Na
2O
2、Li
2O
2、Cs
2O
2、Cs
2O
2、K
2SO
5、NaSO
5または前述の任意の2つ以上の適切な混合物でもよい。前記酸化剤は、反応混合物においてその場で生成してもよく(たとえば、過酸化水素及び酸からの過ギ酸)、または反応混合物に添加してもよい(たとえば、MCPBA)。
【0194】
一定の実施形態において、酸化剤は、過酸である。前記過酸は、過酸化水素及び酸から、または過酸の形成を導く試薬の別の組み合わせから(たとえば、過酸化物塩及び酸から)、反応混合物においてその場で生成してもよく、または反応混合物に添加してもよい(たとえば、MCPBA、または事前に、すなわち反応混合物にそれを添加する前に、反応混合物とは別に生成した過酸)。過酸がその場で生成される場合、過酸化物は、酸の後に、及び/または7より小さい反応混合物のpHにて添加してもよい。
【0195】
一定の実施形態において、過酸は、過ギ酸、過酢酸、MCPBA、カリウム過酸化モノサルフェート(1つの過酸基を含む)、トリフルオロ過酢酸、過硫酸またはそれらの任意の2つ以上のの組み合わせでもよい。前記過酸がその場で生成されるとき、対応する出発の酸は、ギ酸、酢酸、3−クロロ安息香酸、カリウムモノサルフェート、トリフルオロ酢酸、硫酸または前述の任意の2つ以上の混合物である。
【0196】
一定の実施形態において、過酸は、過ギ酸を含むか、または過ギ酸である。過ギ酸がその場で、または事前に生成されるとき、一つの実施形態において、ギ酸及び過酸化水素から生成される。
【0197】
一定の実施形態において、過酸は、過ギ酸及び過硫酸の組み合わせを含むか、または過ギ酸及び過硫酸の組み合わせである。前記組み合わせがその場で、または事前に生成されるとき、一つの実施形態において、ギ酸、硫酸及び過酸化水素から生成される。
【0198】
一定の実施形態において、酸化剤は、過酸化水素(たとえば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60または70%の水溶液において反応混合物に添加される)であるか、またはそれから生成される。一定の実施形態において、過酸化水素の35%水溶液は、反応混合物に添加される。一定の実施形態において、反応開始時に、過酸化水素は容積で反応混合物の約8〜10%を含んでもよく、及び酸化反応が起こるにつれて、過酸化水素の濃度は減少し、及び0%にさえ到達し得る。
【0199】
一般に、酸化剤、たとえば酸及び過酸化水素から生成される過酸は、オリパビン1モル当たり約0.8〜約5モルの量に存在する。一定の実施形態において、オリパビン1モル当たり約1〜約2モルの酸化剤が利用される。一定の実施形態において、オリパビンのモル当たり約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.8または約1.9モルの酸化剤が使用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1〜約1.6モルの酸化剤が利用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1〜約1.4モルの酸化剤が利用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1.2〜約1.4モルの酸化剤が利用される。一定の実施形態において、オリパビンのモル当たり約1.2〜約1.3モル(たとえば、1.25モル当量)の酸化剤が利用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1〜約1.25モルの酸化剤が利用される。一定の実施形態において、オリパビンのモル当たり約1.05〜約1.15モル(たとえば、1.05モル当量)の酸化剤が使用される。過酸がその場で生成される実施形態において、ペルオキシ基を含む開始成分(たとえば、過酸化水素)のモル量は、反応混合物において生じる過酸のモル量を表すと考えられる。
【0200】
酸化剤が反応混合物における過酸化水素及び酸からその場で生成される過酸であるこれらの実施形態において、オリパビンの1モル当たり好ましくは約1〜約1.6モルの過酸化水素が利用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1〜約1.5モルの過酸化水素が利用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1.2〜約1.4モルの過酸化水素が利用される。一定の実施形態において、オリパビンのモル当たり約1.2〜約1.3モル(たとえば、1.25モル当量)の酸化剤が利用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1〜約1.25モルの過酸化水素が利用される。一定の実施形態において、オリパビンのモル当たり約1.05〜約1.15モル(たとえば、1.05モル当量)の過酸化水素が使用される。
【0201】
好ましい実施形態において、オリパビンの1モル当たり約1〜約1.5モルの酸化剤が利用され、及びより好ましくは、特に完全な変換が約24時間以内に達成される場合において、オリパビンの1モル当たり約1.2〜約1.5モルまたは約1.2〜約1.4モルの酸化剤が利用される。これは、前記好ましい実施形態において、酸化剤が反応混合物における過酸化水素及び酸からその場で生成される過酸であるとき、オリパビンのモル当たり約1〜約1.5モルの過酸化水素が利用され、及びより好ましくは、オリパビンのモル当たり約1.2〜約1.4モルの過酸化水素が利用されることを意味する。前記好ましい実施形態の特定の実施形態において、オリパビンのモル当たり約1.2〜約1.3モル(たとえば、約1.25モル)の過酸化水素が利用される。
【0202】
酸化剤が反応混合物における過酸化水素及び酸からその場で生成される過酸であるこれらの実施形態において、好ましくは過酸を生成するための酸は、ギ酸であるか、またはギ酸を含む。これはまた、過酸がギ酸及び硫酸の組み合わせから生成される方法を包含する。
【0203】
その場で過酸を生成するために使用される酸のモル量は、オリパビンのモル量未満、それと同等またはそれを上回ってもよい。一定の実施形態において、オリパビンの量を超えた前記酸の過剰が利用されるだろう。一定の実施形態において、前記酸は、過酸を生成するために使用される過酸化物(たとえば、過酸化水素)の量を超える過剰において使用される。一定の実施形態において、過酸を生成するために使用される酸(たとえば、ギ酸)の量は、オリパビンのモル当量当たり約0.5〜約14モル当量であり、好ましくはオリパビンのモル当量当たり約1〜約12モル当量、より好ましくは約1〜約7モル当量、より好ましくは約1.5〜約6モル当量、より好ましくは約2〜約5モル当量、より好ましくは約2.5〜約4.5モル当量、さらにより好ましくは2.5〜4モル当量である。
【0204】
酸化反応の特異的態様において、その場で過酸を生成するために使用される酸のモル量は、オリパビンのモル当量当たり約2.5〜約4.5当量であり、及び過酸化物のモル量はオリパビンのモル当たり約1〜約1.5モル、好ましくは約1.2〜約1.4モル、より好ましくは約1.2〜約1.3モルである。前記態様において、酸は好ましくはギ酸であり、及び過酸化物は好ましくは過酸化水素である。
【0205】
酸がその場で酸化剤を生成するために使用されるとき、工程(aa)及び(bb)を包含する方法の間に2つの酸を使用してもよい:第1の酸(工程(aa)においてその場で過酸の少なくとも一部を生成するために使用される)及び第2の酸(工程(bb)の酸H
+nX
n−であり、一定の実施形態においてそれはまた、工程(aa)においてその場で過酸の一部を生成してもよい)。第2の酸は、第1の酸の添加の前、それと同時に、またはそれの後、添加してもよい。一定の実施形態において、酸はプレ混合され、及びプレ混合物が溶液または懸濁液に添加される。一定の実施形態において、第1の酸及び第2の酸の各々は、独立して、一度に全部または分割した部分において添加してもよい。一定の実施形態において、第1の酸はギ酸であり、及び第2の酸は硫酸である。
【0206】
工程(bb)の酸のH
+nX
n−は、酸のH
+nX
n−として添加してもよく、または反応混合物において陰イオンX
n−を含む塩からその場で生成してもよい。
【0207】
酸H
+nX
n−は、工程(aa)の酸化反応の前、間または後またはこれらの時点の任意の組み合わせにて添加してもよい(またはその場で生成される)。それは、一度に、いくつかのバッチにおいて、または連続的に一定の期間添加してもよい。それは、酸化反応に関する時間のいくつかの時点またはその間に添加されてもよく、たとえば酸化の間及び後または酸化反応の前及び間である。それが酸化反応の前及び/または間に添加される(または生成される)場合、工程(aa)及び(bb)を含む方法は、ワンポット反応として実行される。前記ワンポット反応は、コスト、時間及び/または容積がより効率的であり得るし、及びしたがって好ましい。特に好ましくは、酸H
+nX
n−が工程(aa)の酸化反応の前に反応混合物に添加される(または生成される)方法である。
【0208】
一定の実施形態において、オリパビンの一部または実質的に全てが酸化した後、酸H
+nX
n−の一部または全てが添加される。一定の実施形態において、オリパビンの実質的に全てが消費された後、H
+nX
n−が添加される。
【0209】
一定の実施形態において、本方法の工程(bb)は、反応混合物にH
+nX
n−(たとえば、H
2SO
4)を添加することによって実行される。
【0210】
H
+nX
n−は、本明細書で定義されるように陰イオンX
n−を含む任意の酸でもよい。それは、たとえばHCl、H
2SO
4またはその単塩、メタンスルホン酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸、H
3PO
4またはその単塩もしくは複塩、シュウ酸、過塩素酸またはそれらの任意の混合物でもよい。一定の実施形態において、それは、HCl、H
2SO
4、メタンスルホン酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸またはそれらの混合物でもよい。一定の実施形態において、それは、H
2SO
4、メタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸またはそれらの混合物である。一定の実施形態において、それは、トリフルオロ酢酸である。一定の実施形態において、それは、H
2SO
4である。一定の実施形態において、それは、メタンスルホン酸である。
【0211】
H
+nX
n−は、一定の実施形態において、nが2または3である場合、重合体に支持される。
【0212】
工程(bb)に存在するH
+nX
n−のモル量は、工程(aa)のために提供されるオリパビンのモル量と同じであってもよく、または異なってもよい。たとえば、nが2である実施形態において、工程(bb)において添加される塩または酸、たとえばH
2SO
4またはその塩は、オリパビンのモル当量当たり約0.1〜約1.5のモル当量、好ましくは約0.1〜約1.2モル当量、より好ましくは約0.1〜約1モル当量、さらにより好ましくは約0.25〜約0.75モル当量、さらにより好ましくは約0.4〜約0.6モル当量、さらにより好ましくは約0.45〜約0.55モル当量または約0.5〜約0.6モル当量の量において添加してもよい。nが2である一定の実施形態において、工程(bb)において添加される塩または酸、たとえばH
2SO
4またはその塩は、オリパビンのモル当量当たり約0.5〜約0.6当量、たとえば約0.51〜約0.55モル当量の量において添加される。
【0213】
一定の実施形態において、工程(bb)におけるH
+nX
n−によって提供されるH
+の量は、オリパビンと比較してわずかなモル過剰である。一定の実施形態において、工程(bb)に存在するH
+nX
n−のモル量は、オリパビンの1モル当量当たり約1/n+10%〜約1/n+20%モル当量の範囲内である。
【0214】
一定の実施形態において、酸H
+nX
n−は、工程(aa)及び(bb)を包含する方法の間に使用される唯一の酸である。過酸が酸化剤として使用されるこれらの実施形態において、前記酸H
+nX
n−は、過酸を形成することができ、前記過酸を生成するために使用されるだろう。
【0215】
一定のその他の実施形態において、1つまたは複数の付加的な酸が反応混合物に添加される。過酸が酸化剤として使用されるこれらの実施形態において、酸H
+nX
n−と異なる過酸を生成するための酸を使用してもよい。そして、この酸は、付加的な酸である。その他の実施形態において、さらなる付加的な酸を、酸H
+nX
n−及び過酸を生成するための酸に加えて反応混合物に添加してもよい。このようなさらなる酸は、酸H
+nX
n−として及び過酸を生成するための酸として本記述において定義される酸から選択される任意の残りの酸または前記残りの酸の任意の混合物でもよい。
【0216】
酸化方法の工程(aa)及び(bb)の間に使用される酸の総量は、本方法の間に14−ヒドロキシモルフィノン塩を反応混合物から沈殿させるか否かに影響を与え得るため、重要である。それはまた、反応混合物の中和が望まれる場合、反応の完了後に必要とされるであろう塩基の量を決定する。酸の総量は、酸H
+nX
n−及び存在する場合、過酸を生成するために使用される酸、並びに工程(aa)及び(bb)の間に反応混合物に添加した任意のさらなる酸を含む。酸の総量は、オリパビンのモル当量当たり約0.6〜約14.0モル当量の範囲の総酸でもよい。
【0217】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約1〜約12モル当量の総酸が使用される。一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約1〜約10、約1〜約8、約1〜約7、約1〜約6.5、約1〜約6、約1〜約5.5、約1〜約5、約1〜約4.5、約1〜約4、約1〜約3.5または約1.5〜約3.5モル当量の総酸が使用される。
【0218】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約1〜約8モル当量、好ましくは約1〜約5モル当量、より好ましくは約1.5〜約4.5モル当量、さらにより好ましくは約3〜約4モル当量の総酸が使用される。
【0219】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約1.2〜約4.5モル当量の総酸が使用される。
【0220】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約2.5〜約5.5モル当量、好ましくは約3〜約5モル当量の総酸が使用される。
【0221】
酸H
+nX
n−及び過酸を生成するために使用される酸(H
+nX
n−と異なる)が使用される一定の実施形態において、過酸を生成するために使用される酸H
+nX
n−対酸(たとえば、硫酸対ギ酸)のモル比は、約1:20〜約1:0.5、約1:17〜約1:1、約1:15〜約1:1、約1:14〜約1:1、約1:12〜約1:1、約1:10〜約1:1、約1:9〜約1:2、約1:8〜約1:3、約1:7〜約1:3、約1:7〜約1:5またはこれらの範囲内に存在する数値である。一定の実施形態において、過酸を生成するために使用される酸H
+nX
n−対酸のモル比は、約1:9〜約1:4、好ましくは約1:7.5〜約1:4、より好ましくは約1:7〜約1:5またはこれらの範囲内に存在する数値である。
【0222】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約2.5〜約4.5モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用され、及びオリパビンのモル当量当たり約0.1〜約1.5、約0.1〜約1、約0.2〜約0.9、約0.25〜約0.75、約0.4〜約0.6または約0.5〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−が使用される。上記実施形態において、上記第1の酸はギ酸でもよく、及び上記第2の酸は硫酸でもよい。
【0223】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約0.5〜約4モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用され、及びオリパビンのモル当量当たり約0.1〜約1.5、約0.1〜約1、約0.2〜約0.9、約0.25〜約0.75、約0.4〜約0.6または約0.5〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−が使用される。上記実施形態において、上記第1の酸はギ酸でもよく、及び上記第2の酸は硫酸でもよい。
【0224】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約0.5〜約3.5モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用され、及びオリパビンのモル当量当たり約0.1〜約1.5、約0.1〜約1、約0.2〜約0.9、約0.25〜約0.75、約0.4〜約0.6または約0.5〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−が使用される。上記実施形態において、上記第1の酸はギ酸でもよく、及び上記第2の酸は硫酸でもよい。
【0225】
一定の実施形態において、オリパビンのモル当量当たり約1〜約3モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用され、及びオリパビンのモル当量当たり約0.4〜約0.6または約0.5〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−が使用される。上記実施形態において、上記第1の酸はギ酸でもよく、及び上記第2の酸は硫酸でもよい。
【0226】
ギ酸及び硫酸を利用する好ましい実施形態において、オリパビン1モル当量当たり約12モル当量以下、約10モル当量以下、約8モル当量以下、約7モル当量以下、約6モル当量以下、約5モル当量以下、約4モル当量以下、約3モル当量以下、約2モル当量以下または約1モル当量以下(たとえば、1.05モル当量)の総酸の存在下でオリパビンを酸化させることによって酸化は実行され、この場合、約0.1〜約1.5モル当量の総酸が酸H
+nX
n−に由来する。一つの特定の実施形態において、それぞれのモル当量のオリパビンを、(i)約1.0〜約1.6、好ましくは約1.2〜約1.4モル当量の過酸化水素、(ii)約0.3〜約9、約0.5〜約8、約0.5〜約4.5または約2.5〜約4.5モル当量の過酸を生成するために使用される酸、(iii)0.1〜約1.5、0.25〜約0.9、または約0.4〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−に曝露することによって、オリパビンを14−ヒドロキシモルフィノン塩に酸化する。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当量当たり約2.5〜約4モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用される。一定の実施形態において、約0.4〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−、及び約2.5〜約4モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用される。一定の実施形態において、約0.4〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−及び約1〜約3モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用される。一定の実施形態において、約0.5〜約0.6モル当量の酸性のH
+nX
n−、及び約2.5〜約4.5モル当量の過酸を生成するために使用される酸が使用される。一定の実施形態において、これらの条件下で酸化反応を行うと、反応の容積効率を改善し得るし、及び酸化反応の間に形成される副生成物の数及び量を減少させ得る。
【0227】
一定の実施形態において、H
+nX
n−(たとえば、H
2SO
4)の一部または全ては、過酸を生成するために使用される酸または過酸化物が添加される前または同時に反応混合物に添加される。
【0228】
一定の実施形態において、H
+nX
n−(たとえば、H
2SO
4)は、過酸を生成するために使用される酸(たとえば、ギ酸)の後に添加される。一定の実施形態において、反応混合物は、ギ酸をすでに含んでもよく、及び次いで硫酸が添加される。
【0229】
好ましい実施形態において、酸H
+nX
n−(たとえば、H
2SO
4)の存在は、酸化反応の間に14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱を誘導するため、または、上記存在に加えて、その他の手段によって、たとえば以下に詳細に説明するように溶液の温度を調整すること、及び/または溶液に適切な逆溶剤を添加することによって、沈殿が開始されるか、または増強されるため、14−ヒドロキシモルフィノン塩が反応混合物から沈殿される。一定の実施形態において、沈澱は、適切な逆溶剤を添加することによって達成される。一定の実施形態において、沈澱は、酸化反応の反応温度より低く温度を低下させることによって達成される。
【0230】
反応工程(aa)及び(bb)は、溶媒中で典型的には実行される。前記溶媒の量は、モル濃度に関して上述してある。
【0231】
一定の実施形態において、酸化剤は、たとえば過酸化水素及びギ酸から生成される過ギ酸であるか、またはそれを含み、及び溶媒は、水、アルコール、2つ以上のアルコールの混合物またはアルコール及び水の混合物である。溶媒は、メタノールまたはメタノール及び水の混合物でもよい。溶媒は、イソプロパノールまたはイソプロパノール及び水の混合物でもよい。溶媒は、水でもよい。
【0232】
一定の実施形態において、酸化剤は、たとえば過酸化水素及びギ酸及び硫酸から生成される過ギ酸及び過硫酸であるか、またはそれらを含み、及び溶媒は、水、アルコール、2つ以上のアルコールの混合物またはアルコール及び水の混合物である。溶媒は、メタノールまたはメタノール及び水の混合物でもよい。溶媒は、イソプロパノールまたはイソプロパノール及び水の混合物でもよい。溶媒は、水でもよい。
【0233】
一定の実施形態において、酸化剤は、過酢酸であるか、またはそれを含み、及び溶媒は、水、アルコール、2つ以上のアルコールの混合物またはアルコール及び水の混合物である。
【0234】
一定の実施形態において、工程(aa)は、酸及び過酸化水素から形成される酸化剤で実行される。一定の実施形態において、反応混合物に存在する総酸の量は、オリパビンのモル当量当たり約12モル当量以下、10モル当量以下、約8モル当量以下、約7モル当量以下、約6モル当量以下、約5モル当量以下、約4モル当量以下、約3モル当量以下、約2モル当量または約1モル当量以下(たとえば、1.05モル当量)である。一つの特定の実施形態において、オリパビンは、それぞれのモル当量のオリパビンを約1.0〜約1.6、好ましくは約1.2〜約1.4モル当量の過酸化水素、約0.3〜約9モル当量、約0.5〜約8モル当量または約2.5〜約4.5モル当量のギ酸、及び約0.4〜約0.6モル当量の硫酸に曝露することによって14−ヒドロキシモルフィノンに酸化する。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当量当たり約0.5〜約5モル当量のギ酸が使用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当量当たり約2.5〜約4.5モル当量のギ酸が使用される。一定の実施形態において、オリパビンの1モル当量当たり約2.5〜約4モル当量のギ酸が使用される。
【0235】
一定の実施形態において、酸化方法は、以下によって実行される:(i)オリパビン及びオリパビンのモル当量当たり約1.5〜約4モル当量の第1の酸(たとえばギ酸)を含む溶液または懸濁液を形成すること、(ii)溶液または懸濁液にオリパビンのモル当量当たり約0.4〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−(たとえば硫酸)を添加すること、(iii)(ii)からの溶液または懸濁液に約1〜約1.6モル当量の過酸化水素を添加すること、及び(iv)14−ヒドロキシモルフィノン塩を溶液または懸濁液から沈殿させること(たとえば、以下に詳細に説明するように、溶液の温度を調整すること、及び/または溶液に適切な逆溶剤を添加することによる)。一定の実施形態において、沈澱は、適切な逆溶剤を添加することによって達成される。一定の実施形態において、沈澱は、酸化反応の反応温度より低く温度を低下させることによって達成される。
【0236】
一定の実施形態において、酸化方法は、以下によって実行される:(i)オリパビン及びオリパビンのモル当量当たり約2.5〜約4.5モル当量の第1の酸(たとえばギ酸)を含む溶液または懸濁液を形成すること、(ii)溶液または懸濁液にオリパビンのモル当量当たり約0.5〜約0.6モル当量の酸H
+nX
n−(たとえば硫酸)を添加すること、(iii)(ii)からの溶液または懸濁液に約1.0〜約1.4モル当量、好ましくは約1.2〜約1.4モル当量、より好ましくは約1.2〜約1.3モル当量の過酸化水素を添加すること、及び(iv)14−ヒドロキシモルフィノン塩を溶液または懸濁液から沈殿させること(たとえば、以下に詳細に説明するように、溶液の温度を調整すること、及び/または溶液に適切な逆溶剤を添加することによる)。一定の実施形態において、沈澱は、適切な逆溶剤を添加することによって達成される。一定の実施形態において、沈澱は、酸化反応の反応温度より低く温度を低下させることによって達成される。
【0237】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩を含む酸化反応生成物における8−ヒドロキシオキシモルホンの量は、14−ヒドロキシモルフィノンの約2500ppm未満、約2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、500ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満または約1ppm未満である。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩を含む反応生成物における8−ヒドロキシオキシモルホンの量は、第V節において記述される量である。一定の実施形態において、酸化反応生成物は、8−ヒドロキシオキシモルホンがない。
【0238】
一定の実施形態において、オリパビンは、14−ヒドロキシモルフィノンに酸化され、反応混合物は、複数の酸(たとえば2つの酸)を含み、及びオリパビンのモル当量当たり約14モル当量未満の総酸を含む(たとえば、オリパビンのモル当量当たり約0.5〜約11、約1〜約10.5、約1.5〜約5または約3〜約5モル当量の酸)。
【0239】
一定の実施形態において、オリパビンは、14−ヒドロキシモルフィノンに酸化され、反応混合物は、複数の酸(たとえば2つの酸)を含み、及びオリパビンのモル当量当たり約8モル当量未満の総酸を含む(たとえば、オリパビンのモル当量当たり約0.5〜約7、約1〜約5、約1.2〜約4.5、約2.5〜約4.5または約3〜約4モル当量の総酸)。
【0240】
本方法の一定の実施形態において、オリパビンは、ギ酸及び硫酸の混合物を含む溶液または、懸濁液中で14−ヒドロキシモルフィノンに酸化され、混合物は、オリパビンの1モル当量当たり約14モル当量以下の総酸を含む(たとえば、オリパビンの1モル当量当たり約0.5〜約11、約1〜約10.5、約1.5〜約5または約3〜約5モル当量の酸)。
【0241】
反応混合物にH
+nX
n−を添加することによる以外に、工程(bb)を実行するための代わりの方法もある。本方法の工程(bb)において、H
+nX
n−は、X
n−を含む塩を添加することによって生成することができる。前記塩は、下記式を有してもよく、
M
m+(H
+)
(n−m)X
n−、またはM
m+((n−l)/m)(H
+)
lX
n−、式中、
M
m+は、一価または多価金属カチオンであり;
m及びnは、互いに独立して1、2及び3から選択される整数であり、ただしmは、n以下であり;及び
lは、0、1及び2から選択される整数であり、ただしl<nである。
【0242】
金属カチオンは、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属カチオンまたはIII族陽イオンでもよい。例示的な陽イオンは、Na
+、K
+、Ca
2+である。例示的な塩は、NaHSO
4、KHSO
4、Na
2SO
4、K
2SO
4、NaH
2PO
4、Na
2HPO
4、Na
3PO
4、KH
2PO
4、K
2HPO
4、K
3PO
4である。
【0243】
酸化反応は、任意の適切な反応容器において調製してもよい。一定の実施形態において、反応容器は、流通反応装置である。一定のその他の実施形態において、反応容器は、流通反応装置でない。一定の実施形態において、反応容器は、連続流通反応装置である。一定のその他の実施形態において、反応容器は、連続流通反応装置でない。
14−ヒドロキシモルフィノン塩の沈澱または単離
【0244】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、固体として、または工程(aa)及び(bb)を包含する酸化方法の結果としての溶液または懸濁液中に提供してもよい。一定の好ましい実施形態において、本方法は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物が反応混合物において不溶性である条件下で実行される。これらの実施形態において、本方法は、反応混合物から14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を沈殿させる付加的な工程(cc)を含んでもよい。
【0245】
すでに定義の節において示したように、「沈殿すること」は、特に明記しない限り「結晶化させる」ことを包含する。
【0246】
沈澱は、H
+nX
n−が反応混合物に存在してすぐ(たとえば、酸H
+nX
n−の添加後)に開始してもよく、または後の時点に開始してもよい。言い換えれば、それは、酸化反応の間及び/または後に起こってもよい。
【0247】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱は、反応混合物における酸H
+nX
n−の存在によって生じてもよい。それは、工程(bb)の間に反応混合物に酸H
+nX
n−またはX
n−を含む塩の付加的な量を添加することによって増強してもよい。
【0248】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱は、反応混合物を冷却すること、及び/または逆溶剤の添加を必要としてもよい。
【0249】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物が反応混合物から沈殿する一定の実施形態において、酸H
+nX
n−は、H
2SO
4またはその単塩、メタン硫酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸、H
3PO
4またはその単塩もしくは複塩の1つ、シュウ酸、過塩素酸またはそれらの任意の混合物である。一定の実施形態において、それはH
2SO
4、メタンスルホン酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸またはそれらの混合物でもよい。一定の実施形態において、それはH
2SO
4、メタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸またはそれらの混合物である。一定の実施形態において、それはトリフルオロ酢酸である。一定の実施形態において、それはH
2SO
4である。一定の実施形態において、それはメタンスルホン酸である。好ましくは、それはH
2SO
4である。
【0250】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、一旦沈殿されれば、単離してもよい(すなわち反応混合物から分離される)し、またはそれを前述の単離を伴わずにオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物に変換してもよい。好ましくは、本発明の水素化工程が実行される前に、それは単離される。
【0251】
14−ヒドロキシモルフィノン塩の沈澱は、陰イオンX
n−対オリパビのモル比によって(上を参照されたい)、酸化反応の間に存在する総酸の量によって(オリパビンのモル当量と比較して)、酸化反応の前、間または後の温度によって、反応混合物に存在する溶媒(たとえば、水)の種類及び量によって、反応混合物に添加される逆溶剤の存在によって、方法の間に反応物が反応混合物に添加される速度によって、または前述のいずれかの組み合わせによって影響され得る。
【0252】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱は、以下の1つまたは複数によって開始され、及び/または増強される:
(i)反応混合物の温度を沈殿温度に調整すること(たとえば、低下させる);
(ii)逆溶剤の添加;
(iii)種結晶の添加
(iv)pHを低下させること;
(v)反応混合物のイオン強度を変えること(たとえば、塩の添加によって);
(vi)反応混合物を濃縮すること;
(vii)反応混合物の撹拌を減少させること、または止めること;
または沈澱もしくは結晶化を開始または増強するための任意のその他の従来方法。
【0253】
温度を沈殿温度に調整するとき、これは、前記化合物が沈殿する温度(「沈殿温度」)に、またはそれを越えて反応混合物の温度を調整することによって14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱が開始及び/または増強されることを意味する。温度は、沈殿温度にて酸化反応を実行することによって、または反応の間もしくは反応の完了後に反応混合物の温度を低下させることによって調整される。
【0254】
一定の実施形態において、反応混合物は、40℃以下の温度に調整して沈澱を開始させる、すなわち、沈殿温度は、40℃以下である。一定の実施形態において、沈澱は、約−20℃、約−15℃、約−10℃、約−5℃、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約17℃、約19℃、約21℃、約23℃、約25℃、約27℃、約29℃、約31℃、約33℃、約35℃、約37℃または約40℃の沈殿温度にて開始される。
【0255】
一定の実施形態において、沈殿温度は、約−20℃〜約40℃、好ましくは約0℃〜約40℃、より好ましくは約5℃〜約35℃、より好ましくは約5℃〜約30℃、さらに好ましくは約5℃〜約20℃の範囲である。
【0256】
一定の実施形態において、沈殿温度は、約5℃〜約22℃、好ましくは約5℃〜約18℃、より好ましくは約8℃〜約15℃である。
【0257】
一定の実施形態において、沈殿温度は、約5℃〜約18℃または約8℃〜約15℃の範囲である。
【0258】
一定の実施形態において、温度を沈殿温度に調整することに加えて、逆溶剤が使用される。一定の実施形態において、たとえば14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるときに、沈澱はまた、逆溶剤を添加せずに生じるだろう。
【0259】
逆溶剤が沈澱を開始するために使用される場合、沈殿温度は、約−20℃〜約40℃、約0℃〜約40℃、約5℃〜約35℃、約5℃〜約22℃、約5℃〜約18℃;または約8℃〜約15℃の範囲であってもよい。
【0260】
一定の実施形態において、反応混合物は、沈澱の間に制御された速度にて冷却される。一定の実施形態において、冷却速度は、1時間につき約1℃、約2℃、約3℃、約4℃または約5℃である。
【0261】
酸化方法において14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱に影響する重要な要因は、反応混合物の温度であり得る。沈澱に影響するさらなる要因は、反応混合物における酸の総量であると思われる。沈澱に影響する別の要因は、反応混合物のモル濃度であると思われる。逆溶剤の添加もまた、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱に影響し得る要因であると思われる。酸の総量が低下されるとき、沈殿温度が上昇するだ漏斗現在考えられている。
【0262】
したがって、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物が沈殿し、及び反応混合物に存在する酸の総量がオリパビンのモル当量当たり約0.6〜約14.0モル当量の総酸である方法において、沈殿温度は、40℃以下でもよい。反応混合物に存在する酸の総量がオリパビンのモル当量当たり約1〜約8モル当量、好ましくは約1〜約5モル当量の総酸である方法において、沈殿温度は、約0℃〜約40℃、好ましくは約0℃〜約35℃の範囲であってもよい。反応混合物に存在する酸の総量がオリパビンのモル当量当たり約1〜約4モル当量、好ましくは約1〜約3モル当量の総酸である方法において、沈殿温度は、約5℃〜約22℃、好ましくは約8℃〜約20℃、より好ましくは約8℃〜約15℃の範囲であってもよい。このような相関のさらなる実施例は、PCT/IB2013/001541の実施例の項において見いだすることができる。
【0263】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を沈殿させるために、逆溶剤が添加される。逆溶剤が反応混合物に添加されるとき、工程(bb)の間または後に、並びに沈澱を開始し、及び/または増強するために有効な量において、添加される。一定の実施形態において、適切な逆溶剤の添加は、反応の収率を上昇させる。適切な逆溶剤の添加は、上清における8−ヒドロキシオキシモルホンの保持をもまた増強し得る。適切な逆溶剤は、以下を含むか、または以下からなってもよい:tert−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ヘキサン、tert−アミルアルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、ヘプタン、キシレン、トルエン、アセトン、2−ブタノン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、n−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール、イソブチルアルコール、酢酸イソプロピル、1,4−ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン、メチルホルメート、メチルアセテートまたは前述のいずれか2つ以上の混合物。14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、室温にてこれらの溶媒における非常に低い/ない溶解度を有する。リストされたアルコール及びエーテルは、好ましい逆溶剤である。いくつかの実施形態において、前記逆溶剤は、アルコール、たとえばメタノール、イソプロパノールまたは2−ブタノールである。いくつかの実施形態において、前記逆溶剤は、エーテル、たとえばtert−ブチルメチルエーテル及び/またはテトラヒドロフランである。いくつかの好ましい実施形態において、前記逆溶剤は、イソプロパノールまたは2−ブタノールである。いくつかの実施形態において、前記逆溶剤は、アルコール(たとえばメタノール)及びエーテル(たとえばtert−ブチルメチルエーテル及び/またはテトラヒドロフラン)の混合物、たとえばメタノール及びtert−ブチルメチルエーテルの混合物、またはメタノール及びテトラヒドロフランの混合物、またはtert−ブチルメチルエーテル及びテトラヒドロフランの混合物、またはメタノール、tert−ブチルメチルエーテル及びテトラヒドロフランの混合物である。二個以上の逆溶剤が使用されるとき(たとえば、混合物において)、これらは、混合物として、または別々に添加することができる。
【0264】
逆溶剤が添加されるとき、好ましくは1gのオリパビン当たり約0.5〜約7mLの逆溶剤の量において、より好ましくは1gのオリパビン当たり約0.5〜約5mLの逆溶剤の量において、より好ましくは1gのオリパビン当たり約0.5〜約4mLの逆溶剤の量において添加される。たとえば、好ましい実施形態において、1gのオリパビン当たり約1〜約4mLの2−ブタノール(たとえば、3.6mL)が添加される。これらの範囲内で、収率は、特に増加され、及び/または上清における8−ヒドロキシオキシモルホンの保持が特に増強される。
【0265】
種結晶が添加されるとき、前記種結晶は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の結晶である。工程(bb)から生じる14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶液が準安定性である場合、この種結晶は、結晶化核として作用し得る。それは、反応混合物を濃縮することにより準安定になり得る。
【0266】
一定の実施形態において、沈殿物は、反応混合物から単離してもよい(単離工程(dd))。
【0267】
前記単離工程(dd)において、沈殿物は、任意の従来の様式において、たとえば濾過、遠心分離、デカントすること、または固相を液相から分離するための任意のその他の従来法によって上清から分離してもよい。一定の実施形態において、沈殿物における8−ヒドロキシオキシモルホン(その遊離塩基形態において、または塩もしくは溶媒和化合物において結合される)対14−ヒドロキシモルフィノン(14−ヒドロキシモルフィノン塩において結合され得る)の比は、上清における8−ヒドロキシオキシモルホン対14−ヒドロキシモルフィノンの比より小さい。
【0268】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物が沈殿しない場合には、反応混合物を濃縮することによって、たとえば、乾燥、減圧蒸留、噴霧乾燥または凍結乾燥によって、単離してもよい。
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物のさらなる処理
【0269】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む沈殿物は、さらに処理することができる。
【0270】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物が14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物より可溶性である有機溶媒または水性溶媒で洗浄してもよく、及び/または(再)結晶化してもよい。洗浄または(再)結晶化は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物における8−ヒドロキシオキシモルホンの量をさらに減少させ得る。洗浄及び/または(再)結晶化は二回以上実行してもよく、またはこれらはまた、順次組み合わせてもよい。
【0271】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、エーテル、ケトン、エステル、アルコール、水、(任意にハロゲン化された)アルカン、(任意にハロゲン化された)芳香族溶媒またはそれらの任意の混合物を含む、またはそれらからなる溶媒で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。溶媒は、以下の溶媒の1つまたは複数を含んでもよく、またはそれからなってもよい:メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ヘプタン、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジクロロエタン、トルエン、2−ブタノン(MEK)、tert−アミルアルコール、クロロホルム、キシレン及び水。
【0272】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、エーテル、アルコール、水、クロロホルムまたはそれらの任意の混合物からなる溶媒中で洗浄され、及び/または(再)結晶化する。一定の実施形態において、前記溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルムまたは前述のいずれかと水の混合物でもよい。
【0273】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノール、2−ブタノールまたはメタノール:水、THF:水、アセトン:水、イソプロパノール:水、2−ブタノール:水またはエタノール:水の混合物である溶媒で洗浄され、及び/または(再)結晶化される。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、2−ブタノール:水混合物またはメタノール:水混合物である溶媒で、洗浄され、及び/または(再)結晶化される。
【0274】
一定の実施形態において、好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるとき、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、90:10のメタノール:水混合物;80:20のメタノール:水混合物、70:30のメタノール:水または60:40のメタノール:水混合物で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、80:20または70:30のメタノール:水混合物で、洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化する。8−ヒドロキシオキシモルホン(及びその対応するプロトン化種)は、これらの混合物において14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートより可溶性であり、及びしたがって、8−ヒドロキシオキシモルホンは、洗浄及び/または(再)結晶化によって単離された14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から除去され得ると想定される。
【0275】
一定の実施形態において、好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるとき、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、90:10のエタノール:水混合物、80:20のエタノール:水混合物または70:30のエタノール:水混合物で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、90:10のエタノール/水混合物において洗浄され、及び/または(再)結晶化される。8−ヒドロキシオキシモルホン(及びその対応するプロトン化種)は、これらの混合物において14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートより可溶性であり、及びしたがって、8−ヒドロキシオキシモルホンは、洗浄及び/または(再)結晶化によって単離された14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から除去され得ると想定される。
【0276】
一定の実施形態において、好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるとき、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、テトラヒドロフランにおいて、または90:10のテトラヒドロフラン:水混合物において洗浄され、及び/または(再)結晶化される。8−ヒドロキシオキシモルホン(及びその対応するプロトン化種)は、これらの混合物において14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートより可溶性であり、及びしたがって、8−ヒドロキシオキシモルホンは、洗浄及び/または(再)結晶化によって単離された14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から除去され得ると想定される。
【0277】
一定の実施形態において、好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるとき、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、90:10のイソプロパノール:水混合物、80:20のイソプロパノール:水混合物または70:30のイソプロパノール:水混合物で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、90:10のイソプロパノール:水混合物で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。8−ヒドロキシオキシモルホン(及びその対応するプロトン化種)は、これらの混合物において14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートより可溶性であり、及びしたがって、8−ヒドロキシオキシモルホンは、洗浄及び/または(再)結晶化によって単離された14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から除去され得ると想定される。
【0278】
一定の実施形態において、好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるとき、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、90:10の2−ブタノール:水混合物、80:20の2−ブタノール:水混合物、70:30の2−ブタノール:水混合物、60:40の2−ブタノール:水混合物または20:10の2−ブタノール:水混合物で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、20:10の2−ブタノール:水混合物で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。8−ヒドロキシオキシモルホン(及びその対応するプロトン化種)は、これらの混合物において14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートより可溶性であり、及びしたがって、8−ヒドロキシオキシモルホンは、洗浄及び/または(再)結晶化によって単離された14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から除去され得ると想定される。
【0279】
一定の実施形態において、好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるとき、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物は、70:30のアセトン:水混合物または80:20のアセトン:水混合物で洗浄され、及び/またはそれにおいて(再)結晶化される。8−ヒドロキシオキシモルホン(及びその対応するプロトン化種)は、これらの混合物において14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートより可溶性であり、及びしたがって、8−ヒドロキシオキシモルホンは、洗浄及び/または(再)結晶化によって単離された14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から除去され得ると想定される。
【0280】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を含む単離された沈殿物を洗浄することは、当該技術における従来の任意の方法において、たとえば化合物のスラリーを形成することによって実行してもよい。
【0281】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱の後の上清における8−ヒドロキシオキシモルホン対14−ヒドロキシモルフィノンの比は、沈殿物における8−ヒドロキシオキシモルホン対14−ヒドロキシモルフィノンの比より高い。
好ましい処理条件
【0282】
酸化処理及びその後の14−ヒドロキシモルフィノン塩の単離のための反応条件の好ましい設定は、以下において記述される。その中で、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、好ましくは14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートである。
【0283】
本方法は、以下によって実行される:(i)オリパビン、オリパビンg当たり約1.5〜約2.0mLの水及びオリパビンのモル当量当たり約2.5〜約4.5のモル当量のギ酸を含む溶液または懸濁液を形成すること、(ii)溶液または懸濁液に、オリパビンのモル当量当たり約0.5〜約0.6モル当量の硫酸を添加すること、(iii)(ii)からの溶液または懸濁液に、約1.0〜約1.4モル当量、好ましくは約1.2〜約1.4モル当量、より好ましくは約1.2〜約1.3のモル当量の過酸化水素を添加し、次いで約30℃〜約38℃、好ましくは約32℃〜約36℃、より好ましくは約35℃の温度にて変換が完了するまで混合物をインキュベートすること、及び(iv)生じる溶液または懸濁液から14−ヒドロキシモルフィノン塩を沈殿させること。上で詳細に記載されるように、工程(iv)は、溶液に適切な逆溶剤を添加することによって実行してもよい。好ましい逆溶剤は、アルコール、特にイソプロパノールまたは2−ブタノールでもよい。好ましくは、オリパビン1g当たり約2〜約4mLの逆溶剤が添加される。
【0284】
14−ヒドロキシモルフィノン塩が14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであるとき、本方法は、以下によって好ましくは実行される:(i)オリパビン、オリパビンg当たり約1.5〜約2.0mLの水及びオリパビンのモル当量当たり約2.5〜約4.5モル当量のギ酸を混合することによって溶液または懸濁液を形成すること、(ii)溶液または懸濁液にオリパビンのモル当量当たり約0.5〜約0.6モル当量の硫酸を添加すること、(iii)(ii)からの溶液または懸濁液に、約1.0〜約1.4モル当量、好ましくは約1.2〜約1.4モル当量、より好ましくは約1.2〜約1.3モル当量の過酸化水素を添加し、次いで約30℃〜約38℃、好ましくは約32℃〜約36℃、より好ましくは約35℃の温度にて変換が完了するまで混合物をインキュベートすること、及び(iv)生じる溶液または懸濁液から14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートを沈殿させること。上で詳細に記載したように、工程(iv)は、溶液に適切な逆溶剤を添加することによって実行してもよい。好ましい逆溶剤は、アルコール、特にイソプロパノールまたは2−ブタノールでもよい。好ましくは、オリパビン1g当たり約2〜約4mLの逆溶剤が添加される。
【0285】
酸化処理において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の形成は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物が形成されない酸化反応と比較して、より少ない8−ヒドロキシ化合物が酸化反応の間に形成される効果を有し得る。言い換えれば、14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成は、反応生成物の副生成物プロフィールの改善を可能にする。このような酸化反応についての1つの例は、nが2であり、好ましくはX
n−がサルフェートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成であり得る。このような酸化反応についての別の例は、nが1であり、好ましくはX
n−がトリフルオロアセテートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成であり得る。
【0286】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の形成はまた、たとえば反応混合物からの14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の沈澱によって8−ヒドロキシオキシモルホンを14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から分離することができるという効果を有し得る。このような効果についての1つの例は、X
n−がサルフェートである14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成であり得る。このような効果についての1つの例は、本第IV節において記述される逆溶剤の1つの使用であり得る。
【0287】
これらの効果の組み合わせもまた起こり得る。すなわち、酸化の間により少ない8−ヒドロキシオキシモルホンが形成されると共に、前記化合物を14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から分離することができる。1つの例は、X
n−がサルフェートであり、好ましくは本第IV節において記述される逆溶剤の1つと組み合わせた、14−ヒドロキシモルフィノン塩の形成であり得る。
V.14−ヒドロキシモルフィノン塩
【0288】
本発明は、本発明による水素化方法のための出発材料として、以下の式を有する14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を使用する
【化36】
式中、X
n−及びnは、特に第I節において、上述したように定義される。本発明は、固体として、溶液において、または懸濁液として、前記14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物を使用してもよい。
【0289】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、1つまたは複数の14−ヒドロキシモルフィノンのプロトン化分子及び少なくとも1つの陰イオンX
n−を含む。陰イオンは、有機または無機の陰イオンでもよい。陰イオンは、一価または多価でもよい(たとえば、二価または三価)。その固体形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の成分は、理論量に存在する。しかし、その他のモル比はまた、たとえば陰イオンのタイプ及びその原子価、溶媒(塩の一部をも形成し得る)及び周囲pHに依存して、塩のミクロまたはマクロ組織のいずれかにおいて存在してもよい。
【0290】
一定の実施形態において、前記14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、水素化反応のための出発材料として、その単離された固体形態において提供され、一定の実施形態において、それはその結晶形態である。
【0291】
前記14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、第IV節において記述される方法によって取得可能であり、または得られ得る。好ましくは、それは、前記方法によって得られる。
【0292】
前記14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、オキシモルホンまたはその(薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和物の合成を生じる本発明にしたがった水素化反応のための出発材料または中間体である。
【0293】
14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の一定の実施形態において、nは、1または2であり、及び好ましくは2である。
【0294】
一定の実施形態において、X
n−は、SO
42−またはトリフルオロアセテートであり、及び好ましくはSO
42−である。
【0295】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、その溶媒和化合物として提供される。前記溶媒和化合物は、溶媒分子と14−ヒドロキシモルフィノン塩の任意の会合生成物でもよい。14−ヒドロキシモルフィノン塩の分子当たりの溶媒分子のモル比は、変化してもよい。溶媒和化合物における溶媒対化合物/塩のモル比は、1(たとえば、一水和物において)、1を超える(たとえば、多水和物において2、3、4、5または6)または1より小さく(たとえば、半水和物において)てもよい。モル比は、整数比である必要はなく、たとえば、0.5(半水和物のような)または2.5であることもまたできる。たとえば、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの分子当たりの1分子の水は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート一水和物において結合される。14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、一定の実施形態において、水和物、たとえば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物または六水和物、または分子当たりの水の比が必ずしも整数ではないが、0.5〜10.0の範囲内である水和物である。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜8の範囲内である水和物である。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜6の範囲である水和物である(すなわち、一〜六水和物)。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩の溶媒和化合物は、一水和物または五水和物である。
【0296】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は
【化37】
またはその溶媒和化合物である。溶媒和化合物は、水和物でもよい。溶媒和化合物における溶媒対化合物/塩のモル比は、1(たとえば、一水和物において)、1を超える(たとえば、多水和物において2、3、4、5または6)または1より小さい(たとえば、半水和物において)でもよい。モル比は、整数比である必要はなく、たとえば、0.5(半水和物のような)または2.5であることもまたできる。たとえば、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの分子当たりの1分子の水は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート一水和物において結合される。溶媒和化合物は、一定の実施形態において、水和物、たとえば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物または六水和物、または分子当たりの水の比が必ずしも整数ではないが、0.5〜10.0の範囲内である水和物である。一定の実施形態において、溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜8の範囲内である水和物である。一定の実施形態において、溶媒和化合物は、分子当たりの水の比が1〜6の範囲内である水和物である(すなわち一〜六水和物)。一定の実施形態において、溶媒和化合物は、一水和物または五水和物である。
【0297】
前記14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物から作製される医薬組成物及び剤形は、好ましくは、異なる中間体を介して、すなわち14−ヒドロキシモルフィノン塩を伴わずに調製される医薬組成物より少ない8−ヒドロキシオキシモルホン及び/または14−ヒドロキシモルフィノンを含む。
【0298】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、第IV節に記載されるように調製される。
【0299】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、8−ヒドロキシオキシモルホンをさらに含む。
【0300】
以下の反応スキーム17にて図示したように、上記8−ヒドロキシオキシモルホンは、上述される酸化反応の副生成物である:
【化38】
スキーム17
【0301】
前記8−ヒドロキシオキシモルホンは、その遊離塩基の形態で、またはその塩もしくは溶媒和化合物の形態で存在してもよい。
【0302】
8−ヒドロキシオキシモルホンが14−ヒドロキシモルフィノン塩において含まれる(したがって、組成物を形成する)ときはいつでも、それは以下で指定される一定の量で存在する。
【0303】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の約2500ppm未満、約2250ppm未満、約2000ppm未満、約1750ppm未満、約1500ppm未満または約1250ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0304】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の約1000ppm未満、約750ppm未満、約500ppm未満または約400ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0305】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の約300ppm未満、約275ppm未満、約250ppm未満、約225ppm未満、約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppmまたは約125ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0306】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の約100ppm未満、約90ppm未満、約80ppm未満、約70ppm未満、約60ppm未満、約50ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満または約20ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0307】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の約10ppm未満、約8ppm未満、約6ppm未満、約4ppm未満または約2ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0308】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物におけるその8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の約1ppm未満、約0.8ppm未満、約0.6ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満、約0.1ppm未満である(たとえば、8−ヒドロキシオキシモルホンの量は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの約0.05ppm〜約0.7ppmである)(HPLCピーク面積比)。
【0309】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、8−ヒドロキシオキシモルホンを含まない。
【0310】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートであり、その中の8−ヒドロキシオキシモルホンの量は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの約300ppm未満、約275ppm未満、約250ppm未満、約225ppm未満、約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppm未満、約125ppm未満、約100ppm未満、約80ppm未満、約60ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満または約20ppm未満である(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、それは、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの約10ppm未満、約8ppm未満、約6ppm未満、約4ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満、約0.8ppm未満、約0.6ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満または約0.1ppm未満である(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、8−ヒドロキシオキシモルホンを含まない。
【0311】
一定の実施形態において、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物の約0.01ppmの下限を有する(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、下限は、約0.05ppm、約0.1ppm、約0.3ppm、約0.5ppm、約0.7ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppmまたは約3ppmである。たとえば、14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、一定の実施形態において約0.05ppm〜1ppm、及び一定のその他の実施形態において約1ppm〜約10ppmの範囲でもよい。
【0312】
一定の実施形態における14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、14−ヒドロキシモルフィノン塩に対して約0.01ppm〜約2500ppm、約0.05〜約2250ppm、約0.1ppm〜約2000ppm、約0.3〜約1750ppm、約0.5ppm〜約1500ppmまたは約1ppm〜約1250ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む(HPLCピーク面積比)。
【0313】
一定の実施形態における14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、14−ヒドロキシモルフィノン塩に対して約0.05ppm〜約1000ppm、約0.1ppm〜約800ppm、約0.1ppm〜約700ppm、約0.2ppm〜約600ppm、約0.3ppm〜約500ppmまたは約0.5ppm〜約400ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0314】
一定の実施形態における14−ヒドロキシモルフィノン塩またはその溶媒和化合物は、14−ヒドロキシモルフィノン塩に対して約0.05ppm〜約350ppm、約0.1ppm〜約300ppm、約0.2ppm〜約275ppm、約0.3ppm〜約250ppm、約0.4ppm〜約225ppmまたは約0.5ppm〜約200ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0315】
14−ヒドロキシモルフィノン塩は、(i)8α異性体、(ii)8β異性体または(iii)8α及び8β異性体の組み合わせとして8−ヒドロキシオキシモルホンを含んでいてもよい。好ましくは、8−ヒドロキシオキシモルホンの少なくとも一部は、8α異性体である。
【0316】
好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノン塩は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートである。
VI.オキシモルホン
【0317】
本発明は、本発明にしたがった水素化方法によって取得可能である、または好ましくは得られた、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物をさらに提供する。
【0318】
オキシモルホンの塩または溶媒和化合物は、薬学的に許容される塩または溶媒和化合物でもよい。このような塩または溶媒和化合物は、当該技術分野において公知である。
【0319】
本発明によるオキシモルホンは、好ましくはその遊離塩基形態またはその溶媒和化合物の形態である。
【0320】
本発明によるオキシモルホンは、組成物に含まれてもよく、それは固体または液体でもよい。前記組成物は、本発明による水素化方法の生成物でもよい。
【0321】
一定の実施形態において、オキシモルホンは固体である。一定の実施形態において、それは、第II節において記述される水素化方法の生成物として記述されるオキシモルホン塩基を含む沈殿物である。
【0322】
一定の実施形態におけるオキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、8−ヒドロキシオキシモルホンを含む。
【0323】
好ましくは、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、約5ppm未満、より好ましくは約3ppm未満、さらにより好ましくは約1ppm未満の8−ヒドロキシオキシモルホンを含む(HPLCピーク面積比)。最も好ましくは、それは検出可能な量において8−ヒドロキシオキシモルホンを含まず、及びさらにいかなる8−ヒドロキシオキシモルホンをも全く含まなくてもよい。
【0324】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約2500ppm未満、約2250ppm未満、約2000ppm未満、約1750ppm未満、約1500ppm未満または約1250ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0325】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約1000ppm未満、約750ppm未満、約500ppmまたは約400ppmである(HPLCピーク面積比)。
【0326】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約300ppm未満、約275ppm未満、約250ppm未満、約225ppm未満、約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppm未満または約125ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0327】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約100ppm未満、約90ppm未満、約80ppm未満、約70ppm未満、約60ppm未満、約50ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満または約20ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0328】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約10ppm未満、約8ppm未満、約6ppm未満、約4ppm未満または約2ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0329】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約1ppm未満、約0.8ppm未満、約0.6ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満または約0.1ppm未満である(たとえば、8−ヒドロキシオキシモルホンの量は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの約0.1ppm〜約0.7ppm)(HPLCピーク面積比)。
【0330】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、検出可能な量において8−ヒドロキシオキシモルホンを含まないか、またはいかなる8−ヒドロキシオキシモルホンも含まない。
【0331】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約0.05ppmの下限を有する(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、下限は、約0.1ppm、約0.3ppm、約0.5ppm、約0.7ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppmまたは約3ppmである。たとえば、組成物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、一定の実施形態において約0.05ppm〜1ppm、及び一定のその他の実施形態において約1ppm〜約10ppmの範囲でもよい。
【0332】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物における8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンの約300ppm未満、約275ppm未満、約250ppm未満、約225ppm未満、約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppm未満、約125ppm未満、約100ppm未満、約80ppm未満、約60ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満または約20ppm未満である(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、それは、オキシモルホンの約10ppm未満、約8ppm未満、約6ppm未満、約4ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満、約0.8ppm未満、約0.6ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満または約0.1ppm未満である(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、オキシモルホンは、8−ヒドロキシオキシモルホンを含まない。
【0333】
一定の実施形態においてオキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物に対して約0.05ppm〜約2500ppm、約0.05〜約2250ppm、約0.1ppm〜約2000ppm、約0.3〜約1750ppm、約0.5ppm〜約1500ppmまたは約1ppm〜約1250ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む(HPLCピーク面積比)。
【0334】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物に対して約0.05ppm〜約1000ppm、約0.1ppm〜約800ppm、約0.1ppm〜約700ppm、約0.2ppm〜約600ppm、約0.3ppm〜約500ppmまたは0.5ppm〜約400ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0335】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、化合物IVまたはその塩もしくは溶媒和化合物に対して約0.05ppm〜約350ppm、約0.1ppm〜約300ppm、約0.2ppm〜約275ppm、約0.3ppm〜約250ppm、約0.4ppm〜約225ppmまたは約0.5ppm〜約200ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0336】
加えて、一定の実施形態におけるオキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物を含む組成物は、14−ヒドロキシモルフィノンを含む。
【0337】
好ましくは、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、約5ppm未満、より好ましくは約3ppm未満、さらにより好ましくは約1ppm未満の14−ヒドロキシモルフィノンを含む(HPLCピーク面積比)。最も好ましくは、それは、検出可能な量において14−ヒドロキシモルフィノンを含まない、及びいかなる14−ヒドロキシモルフィノンをも全く含みさえしなくてもよい。
【0338】
14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量対オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、その一定の実施形態において、約500ppm未満、約250ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満または約40ppm未満であってもよい(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、それは、約30ppm未満、約25ppm未満、約20ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満または約2.5ppm未満であってもよい(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、それは、約1ppm未満、約0.8ppm未満、約0.6ppm未満、約0.6ppm未満、約0.4ppm未満、約0.2ppm未満または約0.1ppm未満であってもよい(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、14−ヒドロキシモルフィノンを(検出可能な量において)含まない。
【0339】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の約0.05ppmの下限を有する(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、下限は、約0.1ppm、約0.3ppm、約0.5ppm、約0.7ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppmまたは約3ppmである。たとえば、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の量は、一定の実施形態において約0.05ppm〜1ppm、及び一定のその他の実施形態において約1ppm〜約10ppmの範囲でもよい。
【0340】
一定の実施形態におけるオキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物に対して約0.05ppm〜約500ppm、約0.05ppm〜約250ppm、約0.05ppm〜約200ppm、0.05ppm〜約100ppm、約0.05ppm〜約50ppm、約0.05ppm〜約25ppm、0.05ppm〜約10ppm、0.05ppm〜約5ppmまたは0.05ppm〜約1ppmの14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0341】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノンの量対オキシモルホンの量は、オキシモルホンの約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppm未満、約125ppm未満、約100ppm未満、約80ppm未満、約60ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満または約10ppm未満または約5ppm未満である(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含まない。
【0342】
オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物はまた、好ましくは前段落に記載されたような単一の化合物8−ヒドロキシオキシモルホン及び14−ヒドロキシモルフィノンについての限定内で、8−ヒドロキシオキシモルホンと14−ヒドロキシモルフィノンの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0343】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンをさらに含む。一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、オキシモルホンの量に対して約1000ppm未満、約750ppm未満、約500ppm未満、約400ppm未満、約300ppm未満または約275ppm未満である14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンの総量を含む(HPLCピーク面積比)。
【0344】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における化合物14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンの総量は、オキシモルホンの量に対して約250ppm未満、約225ppm未満、約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppm未満または約125ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0345】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンの総量は、オキシモルホンの量に対して約100ppm未満、約90ppm未満、約80ppm未満、約70ppm未満、約60ppm未満、約50ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満または約20ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0346】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンの総量は、オキシモルホンの量に対して約10ppm未満、約8ppm未満、約6ppm未満、約4ppm未満または約2ppm未満(HPLCピーク面積比)。
【0347】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンの総量は、オキシモルホンの量に対して約1ppm未満、約0.8ppm未満、約0.6ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満または約0.1ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
【0348】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホン(検出可能な量において)を含まない。
【0349】
好ましくは、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、約10ppm未満、より好ましくは約6ppm未満、さらにより好ましくは約4ppm未満の組み合わせた14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンを含む(HPLCピーク面積比)。最も好ましくは、それは、検出可能な量における14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンを含まない、及びさらにいかなる14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンも全く含まなくてもよい。
【0350】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物における14−ヒドロキシモルフィノン及び8−ヒドロキシオキシモルホンの組み合わせた量は、オキシモルホンの約0.05ppmの下限を有する(HPLCピーク面積比)。一定の実施形態において、下限は、オキシモルホンの量に対して約0.1ppm、約0.3ppm、約0.5ppm、約0.7ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppmまたは約3ppmである(HPLCピーク面積比)。
【0351】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約25ppm未満、約20ppm未満、約15ppm未満、約または約10ppm未満の14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物、及び/または約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約25ppm未満または約10ppm未満の8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0352】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、約25ppm未満、約20ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満または約1ppm未満の14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物、及び/または約100ppm未満、約50ppm未満、約25ppm未満、約10ppm未満または約5ppm未満の8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0353】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、約10ppm未満、約5ppm未満、約4ppm未満、約3ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満または約0.5ppm未満の14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物、及び/または約10ppm未満、約5ppm未満、約3ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満または約0.5ppm未満の8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含む。
【0354】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物は、(i)8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくはその溶媒和化合物及び/または(ii)14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物をさらに含み、8−ヒドロキシオキシモルホンの量は、オキシモルホンの約300ppm未満、約275ppm未満、約250ppm未満、約225ppm未満、約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppm未満、約125ppm未満、約100ppm未満、約80ppm未満、約60ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約8ppm未満、約6ppm未満、約4ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満、約0.8ppm未満、約0.6ppm未満、約0.4ppm未満、約0.3ppm未満、約0.2ppm未満または約0.1ppm未満であり(HPLCピーク面積比;たとえば、オキシモルホンの約0.2ppm〜約50ppm)、及び14−ヒドロキシモルフィノンの量は、オキシモルホンの約200ppm未満、約175ppm未満、約150ppm未満、約125ppm未満、約100ppm未満、約80ppm未満、約60ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満または約10ppm未満または約5ppm未満である(HPLCピーク面積比;たとえば、オキシモルホンの約0.1ppm〜約15ppmまたは約0.2ppm〜約2ppm)。好ましい実施形態において、オキシモルホンは、オキシモルホン遊離塩基である。
【0355】
一定の実施形態において、オキシモルホンはオキシモルホン遊離塩基であり、及びさらに(i)8−ヒドロキシオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物及び/または(ii)14−ヒドロキシモルフィノンまたはその塩もしくは溶媒和化合物を含み、8−ヒドロキシオキシモルホンの量は、オキシモルホン塩の約100ppm未満、約80ppm未満、約60ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満または約2ppm未満であり(HPLCピーク面積比;たとえば、オキシモルホン塩の約0.1ppm〜約9ppm)、及び14−ヒドロキシモルフィノンの量は、オキシモルホン塩の約50ppm未満、約25ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満または約2ppm未満である(HPLCピーク面積比)。
VII.オキシモルホンの使用
VII−A.医薬における使用
【0356】
オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物は、医薬のAPIとして使用することができる。現在まで、オキシモルホンのAPI形態は、塩酸オキシモルホンである。
【0357】
この使用については、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物は、第VI節に記載されるようにオキシモルホンでもよい。
【0358】
この使用については、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物は、第VIII節に記載されるように剤形において使用してもよい。
【0359】
本発明の文脈において、オキシモルホンは、好ましくは本発明の方法に従ってその遊離塩基として調製し、及び次いでAPIとして直接使用されるか、または薬学的に許容される塩または溶媒和化合物に変換され、次いでAPIとして、特に塩酸オキシモルホンとして使用される。
【0360】
この使用については、医薬は、疼痛、耽溺、咳、便秘、下痢、疼痛、咳または耽溺に関連する、及び/またはこれらによって生じる不眠症、疼痛、咳または耽溺に関連する、及び/またはこれらによって生じるうつ病または前述の状態の2つ以上の組み合わせからなる群より選択される医学的な状態を治療するためであってもよい。特に、前記状態は、疼痛でもよい。
【0361】
本発明はまた、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を使用して動物、好ましくは哺乳動物(たとえば、ヒト)(以下において:「患者」)を治療するための方法を提供する。前記治療は、患者にオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を投与することによって慣習的に治療される任意の医学的な状態のものでもよい。
【0362】
前記医学的な状態は、疼痛、耽溺、咳、便秘、下痢、疼痛、咳または耽溺に関連する、及び/またはこれらによって生じる不眠症、疼痛、咳または耽溺に関連する、及び/またはこれらによって生じるうつ病または前述の状態の2つ以上の組み合わせであってもよい。特に、前記状態は、疼痛でもよい。
【0363】
この治療方法については、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物は、第VI節に記載されるような化合物でもよい。
【0364】
この治療方法については、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物は、第VIII節に記載されるような剤形において使用してもよい。
VII−B。その他の使用
【0365】
本発明によるオキシモルホン(調製される)またはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物はまた、以下の通りに使用してもよい:
【0366】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、オキシモルホンをその遊離塩基形態において調製するための、またはオキシモルホンの別の塩または溶媒和化合物を調製するための(たとえば、オキシモルホンの(別の)薬学的に許容される塩または溶媒和化合物を調製するための)中間体または出発材料として使用される。たとえば、オキシモルホンは、塩酸オキシモルホンを調製するために使用してもよい。詳細な説明において上述したような方法または化合物を含む前記その他の塩または溶媒和化合物を調製するための方法もまた、本発明の実施形態である。
【0367】
一定の実施形態において、オキシモルホンまたはその(任意に薬学的に許容される)塩もしくは溶媒和化合物は、別のオピオイドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物またはそのプロドラッグを調製するための、及び/またはオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を含む、または別のオピオイドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を含む医薬を調製するための、中間体または出発材料として使用される。たとえば、オキシモルホンは、オキシコドン、ナロキソン、ノルオキシモルホン、ナルトレキソン、メチルナルトレキソン、ナルマフィンまたはナルフラフィンを調製するための出発材料として使用してもよい。詳細な説明において上述したような方法または化合物を含む前記その他のオピオイドを調製するための方法もまた、本発明の実施形態である。
VIII.剤形
【0368】
本発明による剤形は、上述した化合物の1つまたは複数及び薬学的に許容される賦形剤の1つまたは複数を含む。剤形は、乱用抵抗性でもよく、または乱用抵抗性でなくてもよい。
【0369】
活性な薬学的成分、特に第VI節において記述されるオキシモルホンであるか、またはそれを含む本発明によるこれらの化合物、塩または溶媒和物、その薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、薬学的剤形または医薬に含めることができる。本発明による化合物、塩または溶媒和物から作製されるその他のオピオイドもまた、薬学的剤形または医薬において含めることができる。本明細書において記述したオピオイドのプロドラッグもまた、薬学的剤形または医薬において含めることができる。このような剤形及び医薬はまた、本発明の実施形態である。
【0370】
前記活性な薬学的成分に加えて、前記剤形は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0371】
本発明の薬学的剤形は、(i)本発明により調製されるオピオイドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物及び(ii)1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。特に、本発明の薬学的剤形は、(i)上述したようなオキシモルホンまたはオキシモルホン塩または溶媒和化合物及び(ii)1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。
【0372】
一定の実施形態において、剤形は、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を含み、前記化合物は第VI節に記載されるような特性を有し、及び/または本発明の方法によって調製した。一つの実施形態において、オキシモルホン塩は、塩酸オキシモルホンである。
【0373】
一定の実施形態において、剤形は、別のオピオイドと、第VI節に記載されるような特性を有し、及び/または本発明の方法によって調製したオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の組み合わせを含む。一定の実施形態において、剤形は、オピオイド受容体アンタゴニストと、第VI節に記載されるような特性を有し、及び/または本発明の方法によって調製したオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物の組み合わせを含む。たとえば、本発明の剤形は、オキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物(塩酸オキシモルホンなど)及びナロキソンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物(塩酸ナロキソンなど)の組み合わせを含んでもよい。
【0374】
一定の実施形態において、剤形は、経口剤形(たとえば、錠剤、カプセル、懸濁液、溶液その他)、注射可能な剤形、直腸剤形(たとえば、坐薬)及び経皮剤形(たとえば、パッチ)からなる群より選択される。
【0375】
一定の実施形態において、医薬組成物または剤形は、14−ヒドロキシモルフィノン及び/または8−ヒドロキシオキシモルホンを含まない。好ましくは、14−ヒドロキシモルフィノンも8−ヒドロキシオキシモルホンも含まない。
【0376】
前記実施形態において、剤形は、経口剤形(たとえば、錠剤、カプセル、懸濁液、溶液その他)、注射可能な剤形、直腸剤形(たとえば、坐薬)及び経皮剤形(たとえば、パッチ)からなる群より選択してもよい。経口投与のための剤形は、錠剤、カプセル、液体製剤、トローチ、ロゼンジ、粉末、顆粒、微小粒子(たとえば、マイクロカプセル、小球体及び同様のもの)またはバッカル錠として提示してもよい。
【0377】
一定の実施形態において、本発明の経口剤形は、錠剤(持効性及び/または即時放出)、溶液、懸濁液などの形態であってもよい。
【0378】
経口剤形は、活性な薬学的成分の放出制御(持効性または遅延放出)または即時放出を提供することができる。従来の賦形剤の1つは、薬学的に許容される担体でもよい。適切な薬学的に許容される担体は、以下を含むが、限定されない:たとえば、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコールは、ゲル化剤、ラクトースなどの炭水化物、アミロースまたはデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠性のパラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど。剤形は、ラクトースなどの不活性な希釈剤をさらに含んでもよい;コーンスターチなどの造粒及び崩壊剤;デンプンなどの結合剤;及びステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤。錠剤は、被覆されていなくてもよく、またはこれらは、上品さのために、または医薬組成物の薬物の放出制御(持効性、遅延放出またはパルス状の放出)を提供するために公知の技術によって被覆されていてもよい。
【0379】
医薬品製剤は、滅菌することができ、及び必要に応じて、補助剤、たとえば、滑沢剤、崩壊剤、保存剤、安定剤、湿潤薬剤、乳化剤、浸透圧圧力緩衝液に影響を与えるための塩、着色剤、香味料及び/または芳香族物質及び同様のものと混合することができる。
【0380】
経口使用が意図される組成物は、当該技術分野において公知の任意の方法によって調製してもよく、及びこのような組成物は、薬学的に許容される剤形の製造のために適切である不活性な、無毒性の薬学的に許容される賦形剤からなる群より選択される1つまたは複数の薬剤を含んでいてもよい。
【0381】
一定の実施形態において、持効性剤形は、上述したオピオイド医薬組成物を含む粒子を任意に含んでいてもよい。一定の実施形態において、粒子は、約0.1mm〜約2.5mm、好ましくは約0.5mm〜約2mmの直径を有する。粒子は、水性媒体において持続された速度にて活性成分の放出を可能にする材料でフィルムコートされてもよい。フィルムコートは、剤形のその他の成分と組み合わせて、所望の放出特性を達成するように選択してもよい。本発明の持効性被覆製剤は、平滑及び上品さ、強力で連続的なフィルムを作製することが可能であるべきであり、色素及びその他の被覆添加剤を支持することが可能であるべきであり、無毒性で、不活性であり、及び不粘着であるべきである。
被覆ビーズ
【0382】
本発明の一定の実施形態において、疎水性材料をnu pariel 18/20ビーズなどの不活性な薬学的ビーズを被覆するために使用して、及び複数の生じる固体の持効性ビーズをその後に、環境の液体、たとえば摂取されて胃液または溶解媒体に接触したときにオピオイド医薬組成物の有効な持効性用量を提供するのに十分な量でゼラチンカプセル内に配置してもよい。
【0383】
本発明の持効性ビーズ製剤は、たとえば摂取されて胃液に、及び次いで腸管の液体に曝露されたとき本発明の活性成分をゆっくり放出する。
【0384】
本発明の製剤の持効性プロフィールは、たとえば可塑剤が疎水性材料に添加される様式を変化させ、疎水性材料を有する保護膜の量を変化させることによって、疎水性材料に対する可塑剤の量を変化させることによって、さらなる成分または賦形剤の封入によって、製造方法を変化させることなどによって変化させることができる。
【0385】
最終的な生成物の溶解プロフィールもまた、たとえば遅延剤コーティングの厚みを増減することによって変更してもよい。
【0386】
本発明の薬剤(類)で被覆されている球状体またはビーズは、たとえば水に医薬組成物を溶解し、及び次いでWurster挿入を使用して、基質、たとえばnu pariel 18/20ビーズに溶液を噴霧することによって調製される。任意に、ビーズに対する医薬組成物の結合を補助するため、及び/または溶液を着色するため、さらなる成分を、ビーズをコーティングする前に添加してもよい。たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースその他を含む生成物を着色剤(たとえば、Colorcon Inc.から市販されているOpadry(登録商標))の有無にかかわらず、溶液に添加して、及び溶液をビーズにそれを適用する前に混合させてもよい(たとえば、約1時間)。生じる被覆された基質は、この例のビーズでは、次いでバリア薬剤で任意にオーバーコートして活性成分(類)を疎水性の持効性コーティングから分離してもよい。適切なバリア薬剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものである。しかし、当該技術分野において公知の任意の被覆形成剤を使用してもよい。バリア薬剤は、最終生成物の溶解速度に影響を及ぼさないことが好ましい。
【0387】
次いで、ビーズは、疎水性の材料の水性分散系でオーバーコートしてもよい。疎水性の材料の水性分散系は、可塑剤、たとえばトリエチルシトレートの有効量を好ましくはさらに含む。エチルセルロースのプレ製剤化された水性分散系、Aquacoat(登録商標)またはSurelease(登録商標)などを使用してもよい。Surelease(登録商標)を使用する場合、別々に可塑剤を添加する必要がない。あるいは、Eudragit(登録商標)などのアクリルポリマーのプレ製剤化された水性分散系を使用することができる。
【0388】
本発明の被覆溶液は、被覆形成剤、可塑剤及び溶媒系(すなわち、水)に加えて、上品さ及び製品区別を提供する着色剤を好ましくは含む。色は、疎水性の材料の水性分散系の代わりに、またはそれに加えて、治療的に活性な薬剤の溶液に付加してもよい。たとえば、色は、アルコールまたはプロピレングリコールに基づいた色分散系、製粉したアルミニウムレーキ及び二酸化チタンなどの乳白剤の使用を介して水溶性重合体溶液に対して剪断で色を付加し、及び次いで可塑化されたAquacoat(登録商標)に対する低剪断を使用することによってAquacoat(登録商標)に付加してもよい。あるいは、色を本発明の製剤に提供する任意の適切な方法を使用してもよい。アクリルポリマーの水性分散系が使用される製剤に色を提供するための適切な成分は、二酸化チタン及び着色顔料(酸化鉄顔料など)を含む。色素を組み入れることは、しかし、コーティングの遅延効果を増加させ得る。
【0389】
可塑化された疎水性材料は、当該技術分野において公知の任意の適切な吹付装置を使用して、吹付けによって薬剤(類)を含む基質上へ適用されてもよい。好ましい方法において、Wurster流動層システムが使用され、下部から注入されたエアジェットがコア材料を流体化し、及びアクリルポリマーコーティングが吹き付けられると共に乾燥を行う。被覆された基質が水性溶液、たとえば胃液に曝露されるとき、医薬組成物の予め定められた持効性を得るための疎水性の材料の十分な量が適用され得る。疎水性の材料で被覆した後に、たとえばOpadry(登録商標)などの被覆形成剤のさらなるオーバーコートがビーズに任意に適用されてもよい。いずれにしても、たとえば実質的にビーズのかたまりを減少させるために、このオーバーコートが提供される。
【0390】
本発明の持効性製剤からの医薬組成物の放出は、1つまたは複数の放出修飾薬剤の添加によって、またはコーティングを介して1つまたは複数の通路を提供することによって、さらに影響を及ぼすことができ、すなわち望ましい速度に調整することができる。疎水性の材料と水溶性材料の比は、その他の要因の中で、必要とされる放出速度及び選択された材料の溶解度によって決定される。
【0391】
ポア形成剤として機能する放出修飾薬剤は、有機的または無機的でもよく、及び使用環境においてコーティングから溶解され、抽出され、または浸出することができる材料を含んでもよい。ポア形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの1つまたは複数の親水性の材料を含んでもよい。
【0392】
本発明の持効性コーティングは、デンプン及びゴムなどの浸食促進薬剤をまた含むことができる。
【0393】
本発明の持効性コーティングはまた、カルボナート基が重合体鎖において再発生する炭酸の直鎖状ポリエステル類からなるポリカーボネートなど、使用環境において微孔性の薄層を作製するために有用な材料を含むことができる。
【0394】
放出修飾薬剤は、半透過性重合体をまた含んでもよい。
【0395】
一定の好ましい実施形態において、放出修飾薬剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸金属塩及び前述のいずれかの混合物から選択される。
【0396】
本発明の持効性コーティングは、少なくとも1つの通路、開口部または同様のものを含む退出手段をまた含んでもよい。通路は、U.S.Pat.No3,845,770;3,916,899;4,063,064;及び4,088,864に開示された方法のような方法によって形成してもよい。
マトリックス製剤
【0397】
本発明のその他の実施形態において、持効性製剤は、本明細書において記載されたような持効性コーティングを任意に有する持効性マトリックスを介して達成される。持効性マトリックスにおける封入のための適切な材料は、マトリックスを形成するために使用される方法に依存し得る。
【0398】
たとえば、上述した医薬組成物に加えてマトリックスは、ゴム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、タンパク質由来材料などの親水性及び/または疎水性の材料を含んでもよく;リストは排他的であることを意味しないし、及び医薬組成物の持効性を与えることができ、かつ溶解する(または押し出すために必要な程度に軟化する)任意の薬学的に許容される疎水性の材料または親水性の材料が、本発明によって使用されてもよい。
【0399】
経口剤形は、1%〜80%(重量によって)の1つまたは複数の親水性または疎水性の材料(類)を含んでもよい。
【0400】
疎水性の材料は、アルキルセルロース、アクリル酸及びメタクリル酸重合体及び共重合体、シェラック、ゼイン、硬化ヒマシ油、水素添加された植物油、またはそれらの混合物からなる群から、好ましくは選択される。本発明の一定の好ましい実施形態において、疎水性材料は、以下を含むが限定されない薬学的に許容されるアクリルポリマーである:アクリル酸及びメタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、アミノアルキルメタクリラート共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミン共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)及びメタクリル酸グリシジル共重合体。その他の実施形態において、疎水性の材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース及び前述の混合物などの材料から選択される。これらの材料のうち、アクリルポリマー、たとえば、Eudragit(登録商標)RSPO、セルロースエーテル、たとえば、ヒドロキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースが好ましい。
【0401】
好ましい疎水性の材料は、水不溶性であり、多かれ少なかれ明白な親水性及び/または疎水性の傾向である。好ましくは、本発明において有用な疎水性の材料は、約40℃〜約200℃、好ましくは約45℃〜約90℃の融点を有する。具体的には、疎水性材料は、天然または合成ろう、脂肪族アルコール(ラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチルまたは好ましくはセトステアリルアルコールなど)、脂肪酸を含んでいてもよく、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド)、水素添加された脂肪、炭化水素、通常なろう、ステアリン酸、ステアリルアルコール及び炭化水素バックボーンを有する疎水性及び親水性の材料を含むが、限定されない。適切なろうは、Fette、Seifen、Anstrichmittel 76、135(1974)において定義したろうであり、及びたとえば、蜜蝋、グリコろう、キャスターろう及びカルナウバろうを含む。
【0402】
本発明によって使用してもよい適切な疎水性の材料は、長鎖(C
8−C
50、特にC
12−C
40)、置換または非置換の炭化水素、脂肪酸など、脂肪族アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、ミネラル及び植物油及び天然及び合成のろうを含む。25℃〜90℃の融点を有する炭化水素が好ましい。長鎖炭化水素材料のうち、脂肪(脂肪族)アルコールは、一定の実施形態において好ましい。経口剤形は、少なくとも1つの長鎖炭化水素を60%まで含んでもよい。
【0403】
一定の実施形態において、2つ以上の疎水性材料の組み合わせは、マトリックス製剤において含まれる。さらなる疎水性の材料が含まれる場合、それは好ましくは天然及び合成のろう、脂肪酸、脂肪族アルコール及びそれらの混合物から選択される。実施例は、蜜蝋、カルナウバろう、ステアリン酸及びステアリルアルコールを含む。このリストは、排他的であることを意味しない。
【0404】
特定の適切なマトリックスは、少なくとも1つの水に可溶性ヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも1つのC
12−C
36、好ましくはC
14−C
22、脂肪族アルコール及び任意に、少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含む。少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースは、好ましくはヒドロキシ(C
1〜C
6)アルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び特にヒドロキシエチルセルロースである。本経口剤形における少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースの量は、とりわけ、必要とされるAPI放出の正確な速度によって決定されるだろう。少なくとも1つの脂肪族アルコールは、たとえばラウリルアルコール、ミリスチルアルコールまたはステアリルアルコールであってもよい。本経口剤形の特に好ましい実施形態において、しかし、少なくとも1つの脂肪族アルコールは、1−ヘキサデカノールまたはセトステアリルアルコールである。本経口剤形における少なくとも1つの脂肪族アルコールの量は、上記のように、必要とされるオピオイド放出の正確な速度によって決定されるだろう。それはまた、経口剤形において少なくとも1つのポリアルキレングリコールが存在するかしないかに依存するだろう。少なくとも1つのポリアルキレングリコールの非存在下で、経口剤形は、好ましくは20%〜50%(重量によって)の少なくとも1つの脂肪族アルコールを含む。少なくとも1つのポリアルキレングリコールが経口剤形に存在するとき、そのとき少なくとも1つの脂肪族アルコール及び少なくとも1つのポリアルキレングリコールを組み合わせた重量が、総投薬量の20%〜50%(重量によって)を好ましくは構成する。
【0405】
一つの実施形態において、たとえば少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースまたはアクリル樹脂対少なくとも1つの脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールの比は、1:2〜1:4が好ましく、1:3〜1:4の比が特に好ましい少なくとも1つの脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールに対する少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースの(w/w)に決定する。
【0406】
一定の実施形態において、経口剤形は、少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含む。経口剤形における少なくとも1つのポリアルキレングリコールの量は、60%まででもよい。少なくとも1つのポリアルキレングリコールは、たとえば、ポリプロピレングリコール、または、好ましくは、ポリエチレングリコールである。少なくとも1つのポリアルキレングリコールの数平均分子量は、好ましくは1,000〜15,000、特に1,500〜12,000である。
【0407】
一定の実施形態において、持効性マトリックスは、ポリ酸化エチレンを含んでもよい。一定の実施形態において、ポリ酸化エチレンは、剤形の約40%〜約95%を含む。一定の実施形態において、ポリ酸化エチレンは、剤形の約50%〜約95%を含む。一定の実施形態において、ポリ酸化エチレンは、剤形の約55%〜約90%を含む。一定の実施形態において、ポリ酸化エチレンは、剤形の約60%〜約90%を含む。
【0408】
別の適切な持効性マトリックスは、アルキルセルロース(特にエチルセルロース)、C
12〜C
36脂肪族アルコール、及び任意に、ポリアルキレングリコールを含むだろう。
【0409】
別の好ましい実施形態において、マトリックスは、少なくとも2つの疎水性の材料の薬学的に許容される組み合わせを含む。
【0410】
上記の成分に加えて、持効性マトリックスは、その他の材料、たとえば、医薬技術において慣習的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香料及び流動促進剤の適切な量をまた含んでいてもよい。
マトリックス−微粒子
【0411】
本発明による固体の、持効性の経口剤形の調製を容易にするために、当業者に公知のマトリックス製剤を調製する任意の方法を使用してもよい。たとえば、マトリックスにおける組み込いは、たとえば(a)少なくとも1つの水可溶性ヒドロキシアルキルセルロース及び本発明によるオピオイドを含む顆粒を形成すること;(b)少なくとも1つのC
12−C
36脂肪族アルコールとヒドロキシアルキルセルロースを含む顆粒を混合すること;及び(c)任意に、顆粒を圧縮し、及び成形することによって行われてもよい。好ましくは、顆粒は、水とヒドロキシアルキルセルロース顆粒を湿式に粗砕することによって形成される。
【0412】
さらに他の代替の実施形態において、球形化薬剤(spheronizing agent)は、活性成分と共に球状体を形成するように球形化(spheronized)することができる。微結晶性セルロースは、好ましい球形化薬剤である。適切な微結晶性セルロースは、たとえばAvicel PH 101(商標、FMC Corporation)として販売される材料である。このような実施形態において、活性成分及び球形化薬剤に加えて、球状体はまた、結合剤を含んでもよい。適切な結合剤は、低粘度の水溶性重合体などであり、医薬技術における当業者に周知だろう。しかし、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性ヒドロキシ低アルキルセルロースが好ましい。加えて(または代わりに)、球状体は、水不溶性重合体、特にアクリルポリマー、メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体などのアクリル共重合体、またはエチルセルロースを含んでもよい。このような実施形態において、持効性コーティングは、(a)ろう、単独でまたは脂肪族アルコールとの混合物において;または(b)シェラックもしくはゼインなどの疎水性の材料を一般に含むだろう。
融解押出マトリックス
【0413】
持効性マトリックスはまた、融解−顆粒化または融解−押出し技術を介して調製することができる。一般に、融解−顆粒化技術は、正常に固体の疎水性の材料、たとえばろうを溶解させて、その中に粉末状薬物を組み込むことを含む。持効性剤形を得るために、さらなる疎水性物質、たとえばエチルセルロースまたは水不溶性のアクリルポリマーを、融解したろうの疎水性材料に組み込むことが必要でもよい。融解−顆粒化技術を介して調製される持効性製剤の例は、U.S.Pat.No.4,861,598において見いだされる。
【0414】
さらなる疎水性の材料は、前記1つまたは複数の水不溶性のろう様の物質より疎水性でない1つまたは複数のろう様の熱可塑性物質とおそらく混合される、1つまたは複数の水不溶性のろう様の熱可塑性物質を含んでもよい。一定の放出を達成するために、製剤における個々のろう様の物質は、最初の放出段階の間に胃腸管系液体において実質的に非分解性及び不溶性であるべきである。有用な水不溶性のろう様の物質は、約1:5,000未満(w/w)である水への溶解度のものでもよい。本発明の目的のために、ろう様の物質は、通常室温にて固体であり、及び約25℃〜約100℃の融点を有する任意の材料として定義される。
【0415】
上記の成分に加えて、持効性マトリックスはまた、その他の材料、たとえば医薬技術において慣習的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香料及び流動促進剤(glidant)の適切な量を含んでもよい。これらのさらなる材料の量は、所望の効果を所望の製剤に提供するために十分だろう。
【0416】
上記の成分に加えて、融解−押出された複数微粒子を組み込んでいる持効性マトリックスはまた、必要に応じて微粒子の約50%までの量において、医薬技術において慣習的であるその他の材料、たとえば希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香料及び流動促進剤(glidant)の適切な量を含んでもよい。
【0417】
経口剤形を製剤化するために使用してもよい薬学的に許容される担体及び賦形剤の特異的な例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical Association(1986)において記述される。
融解押出複数微粒子
【0418】
本発明による適切な融解−押し出されたマトリックスの調製は、たとえばAPIと少なくとも1つの疎水性材料及び好ましくはさらなる疎水性材料をともに混ぜ合わせて均一な混合物を得る工程を含んでもよい。次いで、均一な混合物を少なくとも混合物を柔らかくしてそれを押し出すほど十分な温度まで十分に加熱する。次いで、生じる均一な混合物を押し出して鎖を形成する。押出品は、当該技術分野において公知の任意の手段によって、好ましくは冷却され、及び複数微粒子に切断される。鎖は、冷却され、及び複数微粒子に切断される。次いで、複数微粒子は、単位投与量に分けられる。押出品は、好ましくは約0.1〜約5mmの直径を有し、及び約8〜約24時間の期間、APIの持効性を提供する。
【0419】
本発明の融解押出を調製するための任意の方法は、押出成形機に疎水性の材料、オピオイドAPI及び任意の結合剤を直接測り入れること;均一な混合物を加熱すること;均一な混合物を押し出してこれにより鎖を形成すること;均一な混合物を含む鎖を冷却すること;鎖を約0.1mm〜約12mmのサイズを有する粒子に切断すること;及び単位投与量に前記粒子を分けることを含む。本発明のこの態様において、相対的に連続的な製造手順は、現実化される。
【0420】
押出成形機の開口部または退出ポートの直径はまた、押し出された鎖の厚みを変化させるように調整することができる。さらにまた、押出成形機の退出部分は、円形である必要はない;それは、長方形、矩形などであることができる。退出する鎖は、熱線カッター、断裁機などを使用して、粒子に減少させることができる。
【0421】
融解押出された複数微粒子系は、たとえば押出成形機の開口部に応じて顆粒、球状体またはペレットの形態であることができる。本発明の目的のために、用語「融解押出複数微粒子(類)」及び「融解押出複数微粒子系(類)」及び「融解物押出粒子」は、好ましくは類似のサイズ及び/または形状の範囲内であり、及び1つまたは複数の活性薬剤及び1つまたは複数の賦形剤を含む、好ましくは本明細書に記述した疎水性材料を含む、複数のユニットをいう。この点について、融解押出複数微粒子は、長さ約0.1〜約12mmの範囲であり、及び約0.1〜約5mmの直径を有するだろう。加えて、融解押出複数微粒子は、このサイズ範囲の中で任意の幾何的形状であることができることを理解すべきである。あるいは、押出品は、単に所望の長さに切断し、及び球形化工程を必要とせずに治療的に活性な薬剤の単位投与量に分けてもよい。
【0422】
一つの好ましい実施形態において、経口剤形は、カプセルの中に融解押出複数微粒子の有効量を含むように調製される。たとえば、複数の融解押出複数微粒子は、摂取され、及び胃液によって接触されるときに、有効な持効性用量を提供するために十分な量において、ゼラチンカプセル内に配置されてもよい。
【0423】
別の好ましい実施形態において、複数粒子の押出品の適切な量は、標準的な技術を使用する従来の錠剤化設備を使用して経口錠剤に圧縮される。錠剤(圧縮され及び成形される)、カプセル(硬い、及び柔らかいゼラチン)及び丸剤を作製するための技術及び組成物はまた、Remington's Pharmaceutical Sciences(Arthur Osol、editor)1553−1593(1980)において記述される。
【0424】
さらに別の好ましい実施形態において、押出品は、上にさらに詳細に記述したU.S.Pat.No.4,957,681(Klimeschら)にて説明されるような錠剤に成形することができる。
【0425】
任意に、持効性の融解押出複数微粒子系または錠剤は、上述した持効性コーティングなどの持効性コーティングで被覆することができ、または複数微粒子を含むゼラチンカプセルをさらに被覆されることができる。このようなコーティングは、約2〜約30%の重量獲得レベルを得るために疎水性の材料の十分な量を好ましくは含むが、とりわけオーバーコートは、所望の放出速度に応じてより大きくてもよい。
【0426】
本発明の融解押出単位剤形は、カプセル化される前に融解押出粒子の組み合わせをさらに含んでもよい。さらにまた、単位剤形はまた、迅速な放出のために即時放出薬剤の量を含むことができる。即時放出薬剤は、たとえばゼラチンカプセルの中の別々のペレットとして組み込まれてもよく、または剤形の調製後に複数微粒子の表面上に被覆されてもよい(たとえば、持効性コーティングまたはマトリックスベース)。本発明の単位剤形はまた、持効性ビーズ及びマトリックス複数微粒子の組み合わせを含んで、所望の効果を達成してもよい。
【0427】
本発明の持効性製剤は、たとえば、摂取され、及び胃液に、及び次いで腸管の液体に曝露されるときに、薬剤(類)を好ましくはゆっくり解放する。本発明の融解押出製剤の持効性プロフィールは、たとえば、遅延剤、すなわち疎水性の材料の量を変更することによって、疎水性の材料に対する可塑剤の量を変更することによって、さらなる成分または賦形剤の封入によって、製造方法を変更することなどによって、変化させることができる。
【0428】
本発明のその他の実施形態において、融解押出材料は、APIの封入なしで調製され、それはその後、押出品に添加することができる。このような製剤は、押し出されたマトリクス材料と共に混合される薬剤を典型的には有し、及び次いで混合物は錠剤化され、緩放出製剤を提供するだろう。
コーティング
【0429】
本発明の剤形は、放出の制御のためにまたは製剤の保護のために1つまたは複数の適切な材料で任意に被覆されてもよい。一つの実施形態において、コーティングは、pH依存的な、またはpH非依存的な放出を可能にするために提供される。pH依存的なコーティングは、胃腸(GI)管、たとえば胃または小腸の所望領域において活性成分を放出するのに役に立ち、その結果少なくとも約8時間及び好ましくは約12時間〜約24時間の治療効果(無痛など)を患者に提供することが可能な吸収プロフィールが提供される。pH依存的なコーティングが望まれるとき、環境の液体、たとえば消化管におけるpH変化に関係なく、コーティングは最適の放出を達成するように設計される。消化管の1つの所望の領域、たとえば胃において用量の一部を放出し、及び消化管の別の領域、たとえば小腸において用量の残りを放出する組成物を製剤化することもまた可能である。
【0430】
pH依存的なコーティングを利用して製剤を得る本発明による製剤はまた、保護されていない薬物が腸溶コート上に被覆されることにより、及び胃において放出され、その一方で残りは、腸溶コーティングによって保護されて、胃腸管の下でさらに放出される、反復作用効果を与えてもよい。pH依存的であるコーティングは、本発明によって使用されてもよく、シェラック、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリビニルアセテートフタル酸塩(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びメタクリル酸エステル共重合体、ゼイン及び同様のものを含む。
【0431】
一定の好ましい実施形態において、APIを含む基質(たとえば、錠剤コアビーズ、マトリックス粒子)は、(i)アルキルセルロース;(ii)アクリルポリマー;または(iii)その混合物から選択される疎水性の材料で被覆される。コーティングは、有機または水溶液または分散系の形態で適用されてもよい。コーティングは、所望の持効性プロフィールを得るために、基質の約2〜約25%の重量増加を得るように適用されてもよい。水性分散系に由来するコーティングは、たとえばU.S.Pat.No.5,273,760及び5,286,493において詳細に記述される。
【0432】
本発明によって使用されてもよい持効性の製剤及びコーティングのその他の例は、U.S.Pat.No.5,324,351;5,356,467及び5,472,712において記述されるものを含む。
アルキルセルロース重合体
【0433】
セルロース系材料及び重合体は、アルキルセルロースを含み、本発明によるビーズをコーティングするために十分に適した疎水性の材料を提供する。単にたとえば、一つの好ましいアルキルセルロース誘導体重合体は、エチルセルロースであるが、当業者は、その他のセルロースを認識するだろうし、及び/またはアルキルセルロース重合体は、本発明による疎水性のコーティングの全部または一部として単独でまたは任意の組み合わせで容易に使用し得る。
アクリルポリマー
【0434】
本発明のその他の好ましい実施形態において、持効性コーティングを含む疎水性の材料は、薬学的に許容されるアクリルポリマーであり、以下を含むが限定されない:アクリル酸及びメタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)共重合体、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリラート共重合体、ポリ(メタクリル酸無水物)及びメタクリル酸グリシジル共重合体。
【0435】
一定の好ましい実施形態において、アクリルポリマーは、1つまたは複数のアンモニオメタクリラート共重合体からなる。アンモニオメタクリラート共重合体は、当該技術分野において周知であり、及び低含量の四級アンモニウム基をもつアクリル酸及びメタクリル酸エステルの完全に重合した共重合体としてNF XVIIにおいて記述される。
【0436】
望ましい溶解プロフィールを得るためには、四級アンモニウム基対中性(メタ)アクリルエステルの異なるモル比など異なる物理的特性を有する2つ以上のアンモニオメタクリラート共重合体を組み込むことが必要であり得る。
【0437】
一定のメタクリル酸エステル−タイプ重合体は、本発明によって使用され得るpH依存的なコーティングを調製するために有用である。たとえば、メタクリル酸ジエチルアミノエチル及びその他の中性メタクリル酸エステルから合成され、メタクリル酸共重合体または重合体のメタクリラートとしても知られており、EvonikからEudragit(登録商標)として市販されている共重合体のファミリーがある。Eudragit(登録商標)のいくつかの異なるタイプがある。たとえば、Eudragit(登録商標)Eは、酸性媒体において膨張し、及び溶解するメタクリル酸共重合体の例である。Eudragit(登録商標)Lは、pH<5.7にて膨張せず、及びpH>6にて可溶性であるメタクリル酸共重合体である。Eudragit(登録商標)Sは、pH<6.5にて膨張せず、及びpH>7にて可溶性である。Eudragit(登録商標)RL及びEudragit(登録商標)RSは、水膨張可能であり、及びこれらの重合体によって吸収される水の量は、pH依存的であるが、Eudragit(登録商標)RL及びRSで被覆される剤形は、pH独立である。
【0438】
一定の好ましい実施形態において、アクリルコーティングは、それぞれ商品名Eudragit(登録商標)RL30D及びEudragit(登録商標)RS30DでEvonikから市販されている2つのアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。Eudragit(登録商標)RL30D及びEudragit(登録商標)RS30Dは、低含量の四級アンモニウム基をもつアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの共重合体であり、アンモニウム基対残りの中立(メタ)アクリル酸エステルのモル比は、Eudragit(登録商標)RL30Dにおいて1:20及びEudragit(登録商標)RS30Dにおいて1:40である。平均分子量は、約150,000である。コード名称RL(高透磁性)及びRS(低透磁性)は、これらの薬剤の透水特性をいう。Eudragit(登録商標)RL/RS混合物は、水に、及び消化液に不溶性である。しかし、それらから形成されるコーティングは、水性溶液及び消化液において膨張可能であり及び浸透性である。
【0439】
Eudragit(登録商標)RL/RS分散系は、最終的に望ましい溶解プロフィールを有する持効性製剤を得るために、任意の所望の比率で共に混合してもよい。望ましい持効性製剤は、例として、100%のEudragit(登録商標)RL、50%のEudragit(登録商標)RL及び50%のEudragit(登録商標)RS、並びに10%のEudragit(登録商標)RL及び90%のEudragit(登録商標)RSに由来する遅延剤コーティングから得てもよい。もちろん、当業者は、その他のアクリルポリマー、たとえばEudragit(登録商標)Lをまた使用してもよいことを認識するだろう。
可塑剤
【0440】
コーティングが疎水性の材料の水性分散系を含む本発明の実施形態において、疎水性の材料の水性分散系における可塑剤の有効量の封入は、持効性コーティングの物理的な特性をさらに改善するだろう。たとえば、エチルセルロースが相対的に高いガラス転移温度を有し、及び正常なコーティング条件下で柔軟なフィルムを形成しないので、コーティング材料としてそれを使用する前に持効性コーティングを含むエチルセルロースコーティングに可塑剤を組み込むことは好ましい。一般に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、被膜形成剤の濃度、たとえば最も多くは被膜形成剤の約1〜約50パーセントに基づく。しかし、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液及び適用の方法で慎重な実験の後にのみ適切に決定することができる。
【0441】
エチルセルロースのための適切な可塑剤の例は、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリエチルシトレート、クエン酸トリブチル及びトリアセチンなどの水不溶性可塑剤を含むが、その他の水不溶性の可塑剤(アセチル化されたモノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油その他など)を使用することが可能である。トリエチルシトレートは、本発明のエチルセルロースの水性分散系のために特に好ましい可塑剤である。
【0442】
本発明のアクリルポリマーのための適切な可塑剤の例は、トリエチルシトレートNF XVI、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル及びおそらく1,2−プロピレングリコールなどのクエン酸エステルを含むが、限定されない。Eudragit(登録商標)RL/RSラッカー溶液などのアクリルフィルムから形成されるフィルムの弾力を増強するために適切であると判明したその他の可塑剤は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油及びトリアセチンを含む。トリエチルシトレートは、本発明のエチルセルロースの水性分散系のために特に好ましい可塑剤である。
【0443】
タルクの少量の添加は、処理の間に水性分散系が固着する傾向を減少させ、及び研摩薬剤として作用することをさらに見いだした。
持効性浸透圧剤形
【0444】
本発明による持効性剤形はまた、浸透圧剤形として調製し得る。浸透圧剤形は、好ましくは薬物層(たとえば、上述したようなオキシモルホンまたはその塩もしくは溶媒和化合物)及び送達層またはプッシュ層を含む二分子層コアを含み、二分子層コアは、半透性壁によって囲まれ、及び任意にその中に配置される少なくとも1つの通路を有する。
【0445】
本説明の目的で使用される表現「通路」は、開口、開口部、穴、孔、多孔性エレメントを含み、それを通ってAPI(たとえば、塩酸オキシモルホン)は、繊維、キャピラリーチューブ、多孔性オーバレイ、多孔性挿入、微孔性部材または多孔性組成物を通して噴出され、拡散または移動してもよい。通路はまた、使用する液体環境において少なくとも1つの通路を作製する壁を浸食する、またはそこから浸出される化合物を含むことができる。通路を形成するための代表的な化合物は、壁において浸食可能なポリ(グリコール)酸またはポリ(乳)酸;ゼリー状のフィラメント;水除去可能なポリ(ビニルアルコール);液体除去可能な孔形成多糖、酸、塩またはオキシドなどの浸出可能な化合物を含む。通路は、ソルビトール、スクロース、ラクトース、マルトースまたはフルクトースなど、壁から化合物を浸出することによって形成され、徐放性の寸法の孔−通路を形成することができる。剤形は、剤形の1つまたは複数の表面上に間隔をあけて配置された1つまたは複数の通路と共に製造することができる。通路及び通路を形成するための設備は、U.S.Pat.No.3,845,770;3,916,899;4,063,064及び4,088,864において開示される。水性浸出によって形成される放出孔としてサイズ設定され、形状が定められ、及び適用され、徐放速度の放出孔を提供する徐放性寸法を含む通路は、U.S.Pat.No.4,200,098及び4,285,987において開示される。
【0446】
一定の実施形態において、薬物層はまた、少なくとも1つの重合体ヒドロゲルを含んでもよい。重合体ヒドロゲルは、約500〜約6,000,000の平均分子量を有してもよい。重合体ヒドロゲルの例は、以下を含むが、限定されない:式(C
6H
12O
5)
nH
2Oを含むマルトデキストリン重合体、式中、nは3〜7,500であり、及びマルトデキストリン重合体は500〜1,250,000の数平均分子量を含む;たとえば、50,000〜750,000の重量平均分子量を有するポリ(エチレンオキシド)及びポリ(酸化プロピレン)によって表され、及びより具体的には100,000、200,000、300,000または400,000の少なくとも1つの重量平均分子量のポリ(エチレンオキシド)によって表される、ポリ(酸化アルキレン);10,000〜175,000の重量平均分子量のアルカリカルボキシアルキルセルロース、アルカリがナトリウムまたはカリウムであり、アルキルがメチル、エチル、プロピルまたはブチルであり;及び10,000〜500,000の数平均分子量のメタクリル酸及びエタクリル酸を含む、エチレンアクリル酸の共重合体。
【0447】
本発明の一定の実施形態において、送達層またはプッシュ層は、浸透重合体を含む。浸透重合体の例は、ポリアルキレンオキシド及びカルボキシアルキルセルロースからなる群より選択されるメンバーを含むが、限定されない。ポリアルキレンオキシドは、1,000,000〜10,000,000の重量平均分子量を有する。ポリアルキレンオキシドは、ポリメチレンオキシド、ポリ酸化エチレン、ポリプロピレンオキシド、1,000,000の平均分子量を有するポリ酸化エチレン、5,000,000の平均分子量を含むポリ酸化エチレン、7,000,000の平均分子量を含むポリ酸化エチレン、1,000,000の平均分子量を有する架橋されたポリメチレンオキシド及び1,200,000の平均分子量のポリプロピレンオキシドからなる群より選択されるメンバーでもよい。典型的な浸透重合体カルボキシアルキルセルロースは、アルカリカルボキシアルキルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カリウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシエチルセルロース、リチウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシエチルセルロース、カルボキシアルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選択されるメンバーを含む。置換層のために使用される浸透重合体は、半透性壁を横切る浸透圧圧力勾配を示す。浸透重合体は、剤形に液体を吸収し、それによって膨張し、及び浸透圧ヒドロゲル(浸透ゲルとしても知られる)として膨張し、それによってこれらが浸透圧剤形から活性な薬学的成分(たとえば、塩酸オキシモルホン)を押しだす。
【0448】
プッシュ層はまた、浸透剤として、及び浸透圧的に有効な溶質として公知の1つまたは複数の浸透圧的に有効な化合物を含んでもよい。これらは、たとえば胃腸管から環境の液体を剤形に吸収し、及び置換層の送達動態に寄与する。浸透活性化合物の例は、浸透圧塩及び浸透圧炭水化物からなる群より選択されるメンバーを含む。特異的浸透剤の例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸リチウム、塩化リチウム、リン酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、グルコース、フルクトース及びマルトースを含むが、限定されない。
【0449】
プッシュ層は、9,000〜450,000の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルアルキルセルロースを任意に含んでもよい。ヒドロキシであるプロピルアルキルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルイソプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース及びヒドロキシプロピルペンチルセルロースからなる群より選択されるメンバーによって表される。
【0450】
プッシュ層は、無毒性の着色剤または色素を任意に含んでもよい。着色剤または色素の例は、FD&C第1番青色色素、FD&C第4番赤色色素、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、二酸化チタン、カーボンブラック及びインディゴなどのFood and Drug Administration Colorant(FD&C)を含むが、限定されない。
【0451】
プッシュ層はまた、抗酸化剤を任意に含み、成分の酸化を阻害し得る。抗酸化剤のいくつかの例は、以下からなる群より選択されるメンバーを含むが、限定されない:アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化水酸化アニソール、2及び3tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物、ブチル化水酸化トルエン、ナトリウムイソアスコルベート、ジヒドログアレチン酸、ソルビン酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、ナトリウムメタビサルフェート、ソルビン酸、カリウムアスコルベート、ビタミンE、4−クロロ−2,6−ジ−tertブチルフェノール、α−トコフェロール及び没食子酸プロピル。
【0452】
一定の代わりの実施形態において、剤形は、活性な薬学的成分(たとえば、塩酸オキシモルホン)、薬学的に許容される重合体(たとえば、ポリ酸化エチレン)、任意に崩壊剤(たとえば、ポリビニルピロリドン)、任意に吸収エンハンサー(たとえば、脂肪酸、界面活性剤、キレート剤、胆汁酸塩その他)を含む同種のコアを含む。同種のコアは、オピオイドAPIの放出のための通路(上述したような)を有する半透性壁によって囲まれる。
【0453】
一定の実施形態において、半透性壁は、セルロースエステル重合体、セルロースエーテル重合体及びセルロースエステル−エーテル重合体からなる群より選択されるメンバーを含む。代表壁な壁重合体は、セルロースアシレート、セルロースジアシル酸塩、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、セルロースジアセタート、セルローストリアセテート、モノ、ジ及びトリセルロースアルケニレート(alkenylates)及びモノ、ジ及びトリセルロースアルキニレート(alkinylates)からなる群より選択されるメンバーを含む。本発明のために使用されるポリ(セルロース)は、20,000〜7,500,000の数平均分子量を含む。
【0454】
本発明の目的のためのさらなる半透性重合体は、以下を含む:アセトアルデヒドジメチルセルロース(dimethycellulose)アセテート、酢酸セルロースエチルカルバメート、酢酸セルロースメチルカルバメート、セルロースジアセタート、プロピルカルバメート、酢酸セルロースジエチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン化ポリスチレン;U.S.Pat.No.3,173,876;3,276,586;3,541,005;3,541,006及び3,546,876に開示されるポリアニオン及びポリカチオンの共沈によって形成される半透性架橋重合体;US3,133,132においてLoeb及びSourirajanによって開示される半透性重合体;半透性架橋ポリスチレン;半透性架橋ポリ(ナトリウムスチレンスルホナート);半透性架橋ポリ(ビニルベンジルトリメチル塩化アンモニウム);及び半透性壁を横切る静水学的圧力または浸透圧の差の雰囲気当たり表される2.5x10
−8〜2.5x10
−2(cm
2/hr気圧)の流体透過性を有する半透性重合体。本発明において有用なその他の重合体は、U.S.Pat.No.3,845,770;3,916,899及び4,160,020及びHandbook of Common Polymers, Scott, J. R. and W. J. Roff, 1971, CRC Press, Cleveland, Ohioにおいて当該技術分野において公知である。
【0455】
一定の実施形態において、好ましくは、半透性壁は無毒性で、不活性であり、及びそれは薬物の分配寿命の間に物理的及び化学的統合性を維持する。一定の実施形態において、剤形は、結合剤を含む。結合剤の例は、以下からなる群より選択されるメンバーによって表される5,000〜350,000の粘度平均分子量を有する治療的に許容されるビニルポリマーを含むが、限定されない:ポリ−n−ビニルアミド、ポリ−n−ビニルアセトアミド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ−n−ビニルピロリドンとしても知られる、ポリ−n−ビニルカプロラクトン、ポリ−n−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、並びに酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、フッ化ビニル、酪酸ブチル、ビニルローリエート及びステアリン酸ビニルからなる群より選択されるメンバーを有するポリ−n−ビニルピロリドン共重合体。その他の結合剤は、たとえば、アカシア、デンプン、ゼラチン、及び9,200〜250,000の平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロースを含む。
【0456】
一定の実施形態において、剤形は、滑沢剤を含み、それは剤形の製造の間に使用されてもよく、これがダイ壁への粘着を防止するか、または表面に穴を開ける。滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸、オレイン酸カリウム、カプリル酸、ナトリウムステアリルフマラート及びマグネシウムパルミタートを含むが、限定されない。
坐薬
【0457】
本発明の持効性製剤は、適切な坐薬基剤及び薬学的オピオイド組成物を含む直腸投与のための薬学的坐薬として製剤化してもよい。たとえば、持効性坐薬製剤の調製は、U.S.Pat.No.5,215,758において記述される。
【0458】
吸収の前に、薬物は、溶液内になければならない。坐薬の場合において、溶液は、坐薬基剤の溶解または基剤の融解及びその後の坐薬基剤から直腸液体への薬物の分配によって処理されなければならない。体への薬物の吸収は、坐薬基剤によって変化し得る。したがって、特定の薬物と組み合わせて使用される特定の坐薬基剤は、薬物の物理的特性を考慮して選択されなければならない。たとえば、脂溶性薬物は直腸液体に容易に分配しないだろうが、脂質基剤にわずかにのみ可溶性である薬物は、直腸液体に容易に分配するだろう。
【0459】
薬物の溶解時間(または放出速度)に影響を及ぼす様々な因子の中で、溶解溶剤に提示される薬剤物質の表面領域、溶液のpH、特異的溶剤における物質の溶解度及び溶剤における溶存物質の飽和濃度の原動力である。一般に、直腸に投与される坐薬からの薬物の吸収に影響を及ぼす因子は、坐薬媒体、吸収部位pH、薬物pKa、電離度及び脂溶性を含む。
【0460】
選択される坐薬基剤は、本発明の活性成分と適合性であるべきである。さらに、坐薬基剤は、好ましくは無毒性及び粘膜に非刺激性であり、直腸液体において融解または溶解し、及び貯蔵の間安定である。
【0461】
水溶性及び水不溶性の薬物のための本発明の一定の好ましい実施形態において、坐薬基剤は、鎖長C
12〜C
18の飽和した天然の脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリドからなる群より選択される脂肪酸ろうを含む。
【0462】
本発明の坐薬を調製する際に、その他の賦形剤を使用してもよい。たとえば、ろうを使用して直腸経路を介した投与のために適当な形状を形成してもよい。この系はまた、ろうなしで、しかし、直腸及び経口投与の両方のためのゼラチンカプセルに満たした希釈剤を添加して使用することができる。
【0463】
適切な市販のモノ、ジ及びトリグリセリドの例は、Henkelによって製造される商品名Novata(商標)(タイプAB、AB、B,BC、BD、BBC、E、BCF、C、D及び299)及びDynamit Nobelによって製造される商品名Witepsol(商標)(タイプH5、H12、H15、H175、H185、H19、H32、H35、H39、H42、W25、W31、W35、W45、S55、S58、E75、E76及びE85)下で販売される12〜18炭素原子鎖の飽和天然脂肪酸を含む。
【0464】
その他の薬学的に許容される坐薬基剤は、前述のモノ、ジ及びトリグリセリドの全体において、または部分において置換してもよい。坐薬における基剤の量は、剤形のサイズ(すなわち実重量)、基剤(たとえば、アルギナート)の量及び使用される薬物によって決定される。一般に、坐薬基剤の量は、坐薬の総重量の約20パーセント〜約90パーセントである。好ましくは、坐薬における坐薬基剤の量は、坐薬の総重量における約65パーセント〜約80パーセントである。
【0465】
以下の例は、本発明を例証することを意味し、限定するためではない。
実施例
比較実施例1:WO2008/130553の実施例2によるオキシモルホンの調製
【化39】
【0466】
WO2008/130553からの実施例2は、以下の通りに反復した。
【0467】
1.温度プローブ、オーバーヘッド攪拌機及び還流冷却器を備えた100mL反応容器に、オリパビン(3.03g、10.2mmol)を脱イオン水(9mL)におけるスラリーとして装填した。
【0468】
2.反応混合物は300rpmにて撹拌し、その一方で、20℃の内部温度を維持した。
【0469】
3.ギ酸(88%、6mL、139.9mmol)を反応混合物に添加した。添加すると、固体は溶液に容易に溶解した。ギ酸の添加の間に反応混合物の温度は、30℃に上昇した。
【0470】
4.溶液温度を20℃に冷却した後、35%過酸化水素(1.06mL、15.8mmol)及び硫酸(0.45mL、8.15mmol)を反応に添加した。
【0471】
5.反応を実施例11Aにおいて記述されたHPLC分析に従ってオリパビンの約95%が消費されるまで16時間20℃にて撹拌した(300rpm)。
【0472】
6. 0.30gの5%パラジウム炭素を反応混合物に装填して、混合物を30分間20℃にて撹拌した。
【0473】
7.ぎ酸ナトリウム(0.60g、8.82mmol)及びトリエチルアミン(7.5mL、53.8mmol)を反応混合物に添加し、混合物を45℃まで加熱して2時間45℃にて撹拌した。
【0474】
8.混合物は、80℃まで加熱して、さらに8時間80℃にて撹拌した。
【0475】
9.次いで、反応を20℃に冷却して、8時間20℃にて撹拌した。沈澱は、この温度にて観察されなかった。
【0476】
10.反応混合物は、セライトのプラグを介して濾過した。
【0477】
11.ろ液を濃縮した水酸化アンモニウムで約9.3のpHに塩基性化し、オキシモルホン遊離塩基を沈殿させた。
【0478】
12.生じた混合物を1時間室温にて撹拌した。
【0479】
13.次いで、生じた混合物を濾過して、水(3×15mL)で洗浄し、16時間80℃にて真空オーブンにおいて乾燥して2.04gの固体を生じた。
【0480】
14.実施例11AのHPLC方法による固体の解析では、15,803,069:1,845:25,714のオキシモルホン:14−ヒドロキシモルフィノン:8−ヒドロキシオキシモルホンのHPLCピーク面積比を示した。オキシモルホン塩基は、組成物の96.03%(HPLC面積パーセントに基づいた)を含み、14−ヒドロキシモルフィノンは組成物の117ppm(HPLC面積パーセントに基づいた)を含み、及び8−ヒドロキシオキシモルホンは組成物の1627ppm(HPLC面積パーセントに基づいた)を含んでいた。自動スケール調整したクロマトグラム及びこの解析からのピークの結果を
図1に示してある。
【0481】
この実施例において、オリパビンのモル当量当たり約14.5モル当量の総酸を使用した(13.7モル当量のHCO
2H、0.81モル当量のH
2SO
4)。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:17.2であった。沈澱は、工程11まで観察されなかった。ギ酸のモル過剰は、水素化の間存在した。
比較実施例2:WO2008/130553の実施例3によるオキシモルホン遊離塩基の調製
【化40】
【0482】
WO2008/130553からの実施例3は、以下の通りに反復した。
【0483】
1.温度プローブ、オーバーヘッド攪拌機及び還流冷却器を備えた100mL反応容器に、オリパビン(3.01g、10.1mmol)を脱イオン水(9mL)におけるスラリーとして装填した。
【0484】
2.反応混合物は300rpmにて撹拌し、その一方で、20℃の内部温度を維持した。
【0485】
3.ギ酸(88%、6mL、139.9mmol)を反応に添加した。添加すると、固体は溶液に容易に溶解した。ギ酸の添加の間に反応混合物の温度は、30℃に上昇した。
【0486】
4.溶液温度を20℃に冷却した後、35%過酸化水素(1.06mL、15.8mmol)及び硫酸(0.45mL、8.15mmol)を反応に添加した。
【0487】
5.反応は、実施例11AのHPLC分析に従ってオリパビンが消費されるまで16時間20℃にて撹拌した(300rpm)。
【0488】
6. 0.30gの5%パラジウム炭素を反応混合物に装填して、混合物を30分間20℃にて撹拌した。
【0489】
7.トリエチルアミン(8.8mL、63.1mmol)を反応混合物に添加し、反応混合物を45℃に加熱して、2時間45℃にて撹拌した。
【0490】
8.混合物を80℃まで加熱して、さらに8時間80℃にて撹拌した。
【0491】
9.反応は、次いで20℃に冷却して、8時間20℃にて撹拌した。固体の沈澱は、この温度にて観察されなかった。
【0492】
10.反応混合物は、セライトのプラグを介して濾過した。
【0493】
11.ろ液は、濃縮した水酸化アンモニウムでpH=9.25に塩基性化して、沈殿する組成物が1時間室温にて撹拌されることを可能にした。
【0494】
12.次いで、沈殿した組成物を濾過して、水(3×15mL)で洗浄し、16時間80℃にて真空オーブンにおいて乾燥して、1.33gの沈殿物を生じた。
【0495】
13.実施例11AのHPLC方法による沈殿物の解析では、13,906,304:2,146:46,937のオキシモルホン:14−ヒドロキシモルフィノン:8−ヒドロキシオキシモルホンのHPLCピーク面積比を示した。言い換えれば、オキシモルホン塩基は、組成物の94.94%(HPLC面積パーセントに基づいた)を含み、14−ヒドロキシモルフィノンは組成物の154ppm(HPLC面積パーセントに基づいた)を含み、及び8−ヒドロキシオキシモルホンは組成物の3377ppm(HPLC面積パーセントに基づいた)を含んでいた。自動スケール調整されたクロマトグラム及びこの解析からのピークの結果を
図2に示してある。
【0496】
この実施例において、オリパビンのモル当量当たり約14.7モル当量の総酸を使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:17.2であった。沈澱は、工程11まで観察されなかった。ギ酸のモル過剰は、水素化の間存在した。
比較実施例3:硫酸なしでオリパビンから14−ヒドロキシモルフィノンの調製
【化41】
【0497】
1.オリパビン(99.99g、336mmol)を500mLジャケット付き容器に脱イオン水(150mL)中のスラリーとして装填した。
【0498】
2.スラリーを周囲反応温度(およそ25℃)にて撹拌した(250rpm)。
【0499】
3.ギ酸(100mL、2332mmol、88%)を一部分において混合物に添加した。添加すると、固体は完全に溶解して、わずかな発熱反応が観察された(およそ34℃に温度上昇)。溶液を次いでまた周囲温度(およそ25℃)まで冷却した。
【0500】
4.およそ25℃にて温度を保つと共に、過酸化水素(31.2mL、363mmol、35%、M=11.86)を1.56mL/分(0.05当量/分)の制御された速度にて溶液に添加した。
【0501】
5.添加が完了した後、溶液を周囲温度にてさらに30分撹拌させた。
【0502】
6.次いで、溶液を48℃まで加熱して、約3.5時間この温度にて保ち、及び反応完了のためにHPLCによってサンプリングした。
【0503】
7.48℃にて撹拌しておよそ3.5時間後に溶液を35分かけて10℃に冷却した。
【0504】
8.溶液をおよそ16時間10℃にて保ち、及びHPLCによって解析した。試料は、97.04%(HPLC面積パーセントに基づいた)の14−ヒドロキシモルフィノン、5200ppm(HPLC面積パーセントに基づいた)のオリパビン及び10900ppm(HPLC面積パーセントに基づいた)の8−ヒドロキシオキシモルホンを含むことが示された。
【0505】
9.次いで、溶液を実施例4におけるその後の水素化のために利用した。
比較実施例4:14−ヒドロキシモルフィノンからオキシモルホンの調製
【化42】
【0506】
1.5%パラジウム炭素(0.60g)を1L ZipperClave(登録商標)オートクレーブ高圧反応容器に、及び続いて実施例3において調製した溶液を装填した。
【0507】
2.脱イオン水(100mL)及びギ酸(100mL、88%、2332mmol)を一部分において反応溶液に添加した。
【0508】
3.容器を封止して、3時間10分、60psia(413.69kPa)で55℃にて水素化した。
【0509】
4.溶液を排気して、3回窒素でパージした。
【0510】
5.溶液の試料を反応完了についてHPLCによって解析した。
【0511】
6.パラジウム炭素を濾紙の2つの層を通す濾過によって溶液から除去して、ろ液をおよそ5℃にて一晩冷蔵庫において保管した。
【0512】
7.ろ液を冷却した1Lジャケット付き容器(0−5℃)へ移した。
【0513】
8. 50%水酸化ナトリウムを冷却した溶液に溶液の温度が20℃を超えないような速度にて9.0〜9.25の範囲における最終pH値を達成するまで添加した。
【0514】
9.生じた固体をさらに30分間5℃にて撹拌し、その後濾紙(Whatman#2)を介して減圧濾過によって濾過した。
【0515】
10.生じた固体物質をスラリーにして脱イオン水(3×200mL)で洗浄し、1時間フィルタ上で真空によってさらに乾燥し、その後真空オーブンへ移し、及びハウスバキューム(〜28mmHg(3.73kPa))下で40℃にて乾燥させた。固体物質をHPLCによって解析した。解析は、固体物質がHPLC面積パーセントに基づいて95.96%のオキシモルホン、HPLC面積パーセントに基づいて3100ppmの14−ヒドロキシモルフィノン及びHPLC面積パーセントに基づいて19600ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンを含むことを示した。
【0516】
すなわち酸化の間にオリパビンのモル当量当たり約6.94モル当量のギ酸を実施例3において使用した。硫酸は、使用しなかった。沈澱は、実施例4の工程8まで観察されなかった。ギ酸のモル過剰が水素化の間に存在した。
比較実施例5:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化43】
【0517】
1.オリパビン(30.0g、101mmol)を、300mLジャケット付き容器、オーバーヘッド攪拌機及び備えられた温度プローブ及び添加漏斗に脱イオン水(45mL)中のスラリーとして装填した。
【0518】
2.容器のためのジャケット温度を22℃にセットして、スラリーを500rpmにて撹拌した。
【0519】
3.ギ酸(30mL、700mmol)を容器に添加した。固体は、ギ酸を添加すると溶液に容易に溶解した。ギ酸の添加の間に反応混合物の温度は、30℃に上昇した。
【0520】
4.硫酸(2.5mL、45mmol)を溶液に添加して溶液を500rpmにて撹拌した。
【0521】
5.溶液温度を25℃未満に冷却した後、過酸化水素(10.25mL、119mmol)を0.17mL/分の速度にて添加漏斗を介して反応に添加した。
【0522】
6.過酸化水素添加が完了した後、添加漏斗を介してさらなる5mLの脱イオン水を反応に添加して、反応溶液を22℃にて撹拌させ(500rpm)、反応の進行をHPLCによってモニターした。20時間撹拌した後に、HPLC領域%に基づいてオリパビンのおよそ15〜20%がなおも反応混合物において存在した。
【0523】
7.反応混合物を30℃まで加熱して、過酸化水素のさらなる1.5mL(17mmol)を一部分において反応に添加し、オリパビンの変換を増加させた(99%より大きい変換、HPLCによって定まる)。
【0524】
8.反応混合物をさらに16時間30℃にて撹拌した(500rpm)。
【0525】
9.硫酸(0.35mL、6.3mmol)を反応に添加して溶液を10分間撹拌した(500rpm)。
【0526】
10.メタノール(60mL)を反応混合物に添加して、攪拌速度を200rpmまで減少させた。
【0527】
11.反応混合物を2.5時間かけて15℃に冷却した。冷却すると、固体は、溶液から沈殿して懸濁液を形成した。
【0528】
12.生じた懸濁液をさらに1時間15℃にて撹拌した(200rpm)。
【0529】
13.固体を、ブフナー漏斗を使用してWhatman#1濾紙で真空下で濾過し、及び固体を収集して、メタノール(2×60mL)で洗浄した。固体の試料を実施例11AのHPLC方法によって解析し、349ppmの8−ヒドロキシオキシモルホン(HPLC面積パーセントに基づいた)と共に14−ヒドロキシモルフィノンを含むことが示された。
【0530】
14.固体を30分間ブフナー漏斗で真空下で乾燥し、その後乾燥オーブンへ移し、及び一定の重量まで真空下で乾燥した。固体は、18.09g(26mmol(結晶水なしで算出される)、51.5%収率)の14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートを微細な黄色の結晶として含み、及び349ppmの8−ヒドロキシオキシモルホン(14−ヒドロキシモルフィノンに対するHPLC面積パーセントに基づいた)を含んでいた。
【0531】
15.収率を増加させることができるかどうかを見るために、ろ液及びメタノール洗浄液をジャケット付き容器に戻して、tert−ブチルメチルエーテル(60mL)を混合物に添加した。tert−ブチルメチルエーテルを添加すると、固体は、反応混合物から沈殿した。混合物は、200rpmにて撹拌して、55℃に加熱した。
【0532】
16.固体が完全に溶解した後、溶液を3時間かけて20℃に徐々に冷却した。混合物をさらに48時間20℃にて撹拌した(200rpm)。冷却及び撹拌すると、固体が沈殿した。
【0533】
17.固体を、ブフナー漏斗を使用してWhatman#2濾紙で真空下で濾過し、tert−ブチルメチルエーテル(60mL)で洗浄し、及び30分間ブフナー漏斗で真空下で乾燥して、その後乾燥オーブンへ移し、及び一定の重量まで真空下で乾燥した。固体は、5.60g(8mmol(結晶水なしで算出される)、15.8%収率)の14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートを黄褐色結晶として含んでいた。黄褐色結晶の組成物は、HPLC面積パーセントに基づいて、2051ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンを含んでいたことを除いて、最初に単離された黄色の結晶の組成物と実質的に同じであった。
【0534】
オリパビンのモル当量当たり約7.4モル当量の総酸をこの実施例において使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:13.6であった。沈澱は、工程11において観察した。
比較実施例6:オキシモルホン遊離塩基の調製
【化44】
【0535】
1.14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(11.95g、17.2mmol(結晶水なしで算出される))(すなわち、実施例5の第1の単離からの固体(黄色の結晶))、脱イオン水(120mL)及びメタノール(48mL)を、磁気攪拌棒を備えた250mLフラスコに装填した。固体の大多数は、室温にて溶液に溶解しなかった。
【0536】
2.ギ酸(1.50mL、40mmol)を混合物に添加して、混合物を22℃にて勢いよく撹拌した。22℃にて撹拌して30分後に、固体物質の大部分は、不溶性のままであった。
【0537】
3.混合物を、フラスコから磁気攪拌棒を備えた高圧反応容器へ移した。容器に、5%パラジウム炭素(0.091g)を装填して容器を封止した。
【0538】
4.混合物を750rpmにて撹拌して、40℃に加熱した。混合物を6時間60psia(413.69kPa)にて水素化した。
【0539】
5.反応を排気して窒素でパージし、排気して、さらに3時間60psia(413.69kPa)にて水素化した。
【0540】
6.反応を排気して、窒素でパージし、8時間かけて22℃に冷却した。
【0541】
7.反応混合物を、濾紙を介して濾過してパラジウム炭素を除去し、ろ液をHPLC分析のためにサンプリングした。溶液pHは、2.75であった。実施例11AのHPLC法による解析では、試料が72ppmの8−ヒドロキシオキシモルホン(オキシモルホン遊離塩基に対するHPLC面積パーセントに基づいた)及び62ppmの14−ヒドロキシモルフィノン(HPLC面積パーセントに基づいた)と共にオキシモルホン遊離塩基を含むことを示した。
【0542】
8.200rpmにて攪拌する間に濾過溶液に28%水酸化アンモニウムを7mL添加することによって溶液を塩基性化した;固体が水酸化アンモニウム添加の間に溶液から沈殿し、及び混合物の最終pH値は9.06であった。固体を単離して、真空下で室温にて乾燥して、実施例11AのHPLC方法によってサンプリングした。HPLCによる解析は、固体の試料が33ppmの8−ヒドロキシオキシモルホン(HPLC面積パーセントに基づいた)及び17ppmの14−ヒドロキシモルフィノン(HPLC面積パーセントに基づいた)と共にオキシモルホン遊離塩基を含むことを示した。
【0543】
9.混合物をさらに30分間22℃にて撹拌させた(200rpm)。
【0544】
10.固体は、ブフナー漏斗を使用してWhatman#2濾紙で真空下で濾過し、水(2×12mL)で洗浄し、及び30分間ブフナー漏斗で真空下で乾燥して、その後乾燥オーブンへ移し、及び16時間80℃にて一定の重量まで真空下で乾燥した。実施例11AのHPLC方法に基づいて、固体は、白い結晶性の粉末として7.89g(26.2mmol、76%収率)のオキシモルホン(塩基)、52ppmの8−ヒドロキシオキシモルホン及び41ppmの14−ヒドロキシモルフィノンを含んでいた。
【0545】
オリパビンのモル当量当たり約7.4モル当量の総酸を実施例5において、すなわち酸化の間に使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、酸化の間に約1:13.6であった。ギ酸のモル過剰は、水素化の間存在した。
合成実施例7:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化45】
【0546】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、以下の通りに調製した:
【0547】
1.オリパビン(3.02g、10.2mmol)を、温度プローブ、オーバーヘッド攪拌機及び還流冷却器を備えた100mL反応容器に脱イオン水(9mL)中のスラリーとして装填した。
【0548】
2.反応混合物を300rpmにて撹拌し、その一方で、20℃の内部温度を維持した。
【0549】
3.反応に88%のギ酸(6mL、139.9mmol)を添加して、固体を溶液に容易に溶解した。ギ酸の添加の間に反応混合物の温度は、30℃に上昇した。
【0550】
4.溶液温度が20℃に冷却した後、35%の過酸化水素(1.06mL、15.8mmol)及び硫酸(0.45mL、8.15mmol)を反応に添加した。
【0551】
5.反応を16時間20℃にて撹拌した(300rpm)。
【0552】
6.混合物の撹拌を75rpmまで減少させ、及び混合物を1時間かけて0℃に冷却した。混合物の温度が15℃に到達した後、固体が溶液から沈殿し始めた。
【0553】
7.混合物を0℃にてさらに1時間撹拌した。固体を、Whatman#1濾紙でブフナー漏斗を使用して真空下で濾過し、濾過した固体をtert−ブチルメチルエーテル(3×15mL)で洗浄した。
【0554】
8.tert−ブチルメチルエーテル洗浄後、ろ液により沈殿したさらなる固体をろ液と合わせた。これらの固体を、またWhatman#1濾紙でブフナー漏斗を使用して真空下で濾過した。
【0555】
9.固体の2つのバッチを1時間ブフナー漏斗で真空下で別々に乾燥した。
【0556】
10.固体を16時間80℃にて真空オーブンにおいてさらに乾燥した。
【0557】
11.単離した:実施例11AのHPLC方法に基づいて、14−ヒドロキシモルフィノン:8−ヒドロキシオキシモルホンのHPLCピーク面積比が6,340,697:312と同等(49.2ppmの8−ヒドロキシオキシモルホン)である、第1の濾過からの0.09gの固体(14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)。試料の自動スケール調整されたクロマトグラフをPCT/IB2013/001541の
図3に示してある。
【0558】
12.単離した:実施例11AのHPLC方法に基づいて、14−ヒドロキシモルフィノン:8−ヒドロキシオキシモルホンのHPLCピーク面積比が5,672,733:1,561と同等(275ppm 8−ヒドロキシオキシモルホン、HPLC面積パーセントに基づいた)である、第2の濾過からの2.33gの固体。試料の自動スケール調整されたクロマトグラフは、PCT/IB2013/001541の
図4に示してある。
【0559】
オリパビンのモル当量当たり約14.5モル当量の総酸をこの実施例において使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:17.1であった。沈澱は、工程6において観察された。
合成実施例8:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化46】
【0560】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、以下の通りに調製した:
【0561】
1.オリパビン(20.0g、67.4mmol)は、温度プローブ、オーバーヘッド攪拌機及び添加漏斗を備えた100mLジャケット付き容器に脱イオン水(30mL)中のスラリーとして装填した。
【0562】
2.容器のためのジャケット温度は20℃にセットして、スラリーを300rpmにて撹拌した。
【0563】
3.88%のギ酸(10mL、232mmol)を反応混合物に添加した。固体は、この添加によって溶液に容易に溶解した。ギ酸の添加の間に反応混合物の温度は、30℃に上昇した。
【0564】
4.硫酸(2.0mL、36mmol)を溶液に添加して、溶液を300rpmにて撹拌した。
【0565】
5.溶液温度を25℃より低く冷却した後、35%の過酸化水素(7.00mL、81.4mmol)を、添加漏斗を使用して15分かけて反応に添加した。
【0566】
6.過酸化物添加が完了した後、さらに3mLの脱イオン水を、添加漏斗を介して反応に添加した。
【0567】
7.反応溶液を20分間20℃にて撹拌させた(300rpm)。
【0568】
8.次いで、反応を30℃まで加熱して、30℃にて保ち、その一方で、8時間300rpmにて撹拌した。
【0569】
9.次いで、反応混合物を2時間かけて20℃に冷却して、この温度にてさらに8時間撹拌した(300rpm)。30℃から20℃まで冷却する間に固体が溶液から沈殿した。
【0570】
10.生じた懸濁液を20mLメタノールで処理して、懸濁液を30分間20℃にて撹拌した。
【0571】
11.固体を、Whatman#1濾紙でブフナー漏斗を使用して真空下で濾過し、固体をメタノール(2×20mL)で洗浄した。
【0572】
12.固体は、1時間ブフナー漏斗で真空下で乾燥し、その後乾燥オーブンへ移し、及び16時間80℃にて真空下で乾燥した。
【0573】
13.7.19gの固体(26mmol(結晶水なしで算出される)14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(73.2%収率))を微細な黄白色の結晶として単離して、実施例11AのHPLC方法によって解析した。解析は、8,873,042:623の14−ヒドロキシモルフィノン:8−ヒドロキシオキシモルホンのHPLC面積比を示した。言い換えれば、組成物は、97.88%の14−ヒドロキシモルフィノン(HPLC面積パーセントに基づいた)及び70ppmの8−ヒドロキシオキシモルホン(HPLC面積パーセントに基づいた)を含んでいた。自動スケール調整されたクロマトグラフ及びこの解析からのピークの結果は、PCT/IB2013/001541の
図5で示される。
【0574】
オリパビンのモル当量当たり約4.66モル当量の総酸は、この実施例において使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:6.4であった。沈澱は、工程9において観察した。
【0575】
以前の実施例(実施例7)と比較すると、より少ない総酸(ギ酸プラス硫酸)を使用し(4.66当量対14.5当量)、より多いギ酸当たりの硫酸を使用して(1:6.4対1:17.1)、及び本反応の条件は、よりよい収率を生じた(73.2%対67%の14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)。
比較実施例9:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化47】
【0576】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、以下の通りに調製した。
【0577】
1.温度プローブ及びマグネチックスターラを備えた80mL反応容器にて、オリパビン(10.0g、33.7mmol)を脱イオン水(20mL)及び88%のギ酸(3.60mL、84.0mmol)に溶解した。
【0578】
2.溶液を15分間22℃にて撹拌した(600rpm)。
【0579】
3.硫酸(0.94mL、17mmol)を反応混合物に添加して、溶液を600rpmにて撹拌した。溶液温度を25℃より低く冷却した後、35%の過酸化水素(3.20mL、37.2mmol)を一部分において反応に添加した。
【0580】
4.過酸化物添加が完了した後、さらに1mLの脱イオン水を反応に添加した。反応溶液を60分間22℃にて撹拌させた(600rpm)。
【0581】
5.次いで、反応を20分かけて30℃まで加熱して、30℃にて保ち、その一方で、16時間600rpmにて撹拌した。
【0582】
6.30℃にて撹拌すると共に、固体は、溶液から沈殿し始めた。
【0583】
7.次いで、反応混合物を22℃に冷却した。
【0584】
8.生じた懸濁液を20mLメタノールで処理して、懸濁液を5分間22℃にて撹拌した。
【0585】
9.固体をWhatman#1濾紙でブフナー漏斗を使用して真空下で濾過し、固体をメタノール(2×10mL)で洗浄した。
【0586】
10.固体を30分間ブフナー漏斗で真空下で乾燥し、その後乾燥オーブンへ移し、及び16時間80℃にて真空下で乾燥した。
【0587】
11.8.08g(11.6mmol(結晶水なしで算出される)、68.8%収率)の14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートを微細な黄白色の結晶として単離した。実施例11AのHPLC方法による解析を8,743,438:885の14−ヒドロキシモルフィノン:8−ヒドロキシオキシモルホンのHPLC面積比を示した。言い換えれば、混合物は、101ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンを含んでいた。自動スケール調整されたクロマトグラフ及びこの解析からのピークの結果は、PCT/IB2013/001541の
図6で示される。
【0588】
オリパビンのモル当量当たり約3モル当量の総酸は、この実施例において使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:5であった。沈澱は、工程6において観察された。
【0589】
生じた14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、その後の実施例10における出発材料として使用した。
比較実施例10:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートからオキシモルホンの調製
【化48】
【0590】
1.磁気攪拌棒を備えた300mL水素化容器に、上の実施例9において得られた14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(7.03g、10.1mmol(結晶水なしで算出される))、脱イオン水(70mL)及びメタノール(28mL)を装填した。固体の大多数は、溶液に溶解した。
【0591】
2.ギ酸(0.935mL、21.8mmol)及び5%パラジウム炭素(0.053g)を反応混合物に添加した。
【0592】
3.容器を封止して、750rpmにて撹拌し、40℃に加熱した。
【0593】
4.次いで、混合物を5時間60psia(413.69kPa)にて水素化した。
【0594】
5.反応を排気し、窒素でパージして、排気し、さらに1時間60psia(413.69kPa)にて水素化した。
【0595】
6.反応を排気し、窒素でパージして、8時間かけて22℃に冷却した。
【0596】
7.反応混合物を、濾紙を介して濾過してパラジウム炭素を除去し、ろ液を実施例11AのHPLC分析のためにサンプリングした。結果は、1%より少ない14−ヒドロキシモルフィノン(遊離塩基)が残る(HPLC面積%によって)ことを示した。
【0597】
8.磁気攪拌棒及びpHプローブを備えた250mL三角フラスコにろ液を移した。溶液pHは、2.66であった。
【0598】
9.200rpmにて攪拌する間に28%水酸化アンモニウムを5mL添加することによって溶液を塩基性化した;固体は、水酸化アンモニウム添加の間に溶液から沈殿し、及び混合物の最終pH値は、9.13であった。
【0599】
10.混合物は、さらに45分間22℃にて撹拌させた(200rpm)。
【0600】
11.固体をWhatman#2濾紙でブフナー漏斗を使用して真空下で濾過し、固体は、水(2×10mL)で洗浄した。
【0601】
12.固体を2時間ブフナー漏斗で真空下で乾燥し、その後乾燥オーブンへ移し、及び一定の重量まで真空下で乾燥した。
【0602】
13.単離した:実施例11AのHPLC方法によって解析された白い結晶性の粉末として、4.58g(15.2mmol、75%収率)のオキシモルホン(塩基)。オキシモルホン:14−ヒドロキシモルフィノン:8−ヒドロキシオキシモルホンのHPLC面積比は、39,612,808:231(6ppm):9,518(240ppm)であった。言い換えれば、HPLC面積パーセントに基づいて、組成物は、98.54%のオキシモルホン塩基、6ppmの14−ヒドロキシモルフィノン及び240ppmの8−ヒドロキシオキシモルホンを含んでいた。自動スケール調整されたクロマトグラフ及びこの解析からのピークの結果を
図3に示してある。
【0603】
全体にわたって、オリパビンのモル当量当たり約3.64モル当量の総酸を実施例9及び10において使用した。ギ酸のモル過剰が水素化の間に存在した。
実施例11:HPLC方法
実施例11A:
【0604】
実施例1、10及び12〜15のためのHPLC条件は、以下の通りだった:
機器:Waters 2695 Photodiode Array Detectorを備えたWaters 966 HPLCシステム
カラム:Waters XBridge C18(150×3.0mm;3.5μm)
移動相:
溶液A:水中の10mMol(pH=10.2)炭酸水素アンモニウム
溶液B:メタノール
流量:0.30mL/分
UV検出: 292nm
注入容積: 1mg/mL試料溶液10μl。試料は、試料を10±0.5mg計量することによって調製し、それを10mLメスフラスコに定量的に移した。固体を水における0.085%リン酸:メタノールの80:20の混合物に溶解した。
カラム温度:30℃
実行時間: 42分
【0605】
勾配条件(直線状の濃度変化):
【表1】
【0606】
全ての関連したピークを示す代表的なHLPCクロマトグラムを
図4において提供してある。ピークに対応する成分を表2において示してある。
【表2】
相関的な保持時間(RRT)は、オキシモルホンに対して算出した。
推定のLODは、1ppmであり、推定のLOQは、3〜5ppmであった。
実施例11B:
【0607】
実施例16〜17のためのHPLC条件は、以下の通りだった:
HPLCユニット:Agilent 1100シリーズHPLC
検出器:Agilent 1100シリーズDAD UV検出器
HP 1100 MSD質量検出器
カラム:Waters XSelect C18、150×3.0mm、3.5μm
移動相:
溶液A:水における10mMol(pH=10.2)炭酸水素アンモニウム
溶液B:メタノール
流量:0.30mL/分
UV検出:292nm
注入容積:1mg/mLまたは10mg/mL試料溶液の5μl。試料は、試料を100±5mgまたは10±0.5mg計量することによって調製し、それを10mLメスフラスコに定量的に移した。固体を水中の0.085%リン酸:メタノールの80:20の混合物に溶解した。
カラム温度:30℃
実行時間:37分
【0608】
勾配条件(直線状の濃度変化):
【表3】
【0609】
全ての関連したピークを示す代表的なHLPCクロマトグラムは、
図5において提供される。ピークに対応する成分を表4に示してある。
【表4】
相対的な保持時間(RRT)をオキシモルホンに対して算出した。
推定のLODは、1ppmであり、推定のLOQは、3〜5ppmであった。
合成実施例12:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化49】
【0610】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、以下の通りに調製した:
【0611】
1.温度プローブ及び磁気撹拌子を備えた250mL 3首フラスコにおいて、オリパビン(10.0g;33.6mmol)を脱イオン水(18mL)及び98%のギ酸(3.88mL、101mmol)に溶解した。溶液を25℃まで温めた。溶液を21℃にて5分撹拌した(500rpm)。
【0612】
2.濃硫酸(96%、1.01mL、18.2mmol)を添加した。温度は、35℃まで上昇した。混合物を21℃にて20分撹拌した(500rpm)。
【0613】
3.過酸化水素(H
2Oにおける35wt%、3.61mL、42.16mmol)を添加して、溶液を室温にて30分間撹拌した(500rpm)。
【0614】
4.次いで、混合物を5分かけて35℃まで加熱して、35℃にて保ち、及び48時間撹拌した(500rpm)。固体は、10時間後に撹拌する間に沈殿し始めた。
【0615】
5.生じた懸濁液に2−ブタノール(36mL)を添加して、撹拌を30分間続けた。温度は、この間に35℃から26℃に下降した。生じたスラリーを4℃に冷却して、2時間この温度にて静置した。
【0616】
6.濾過、水:2−ブタノール(1:2、12mL)で洗浄及び真空下における完全乾燥により、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(10.5g、15.1mmol(結晶水なしで算出した)90%収率)を得た。オリパビンまたは8−ヒドロキシオキシモルホンは、HPLCによって検出できなかった。
【0617】
オリパビンのモル当量当たり約3.54モル当量の総酸をこの実施例において使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:5.5であった。沈澱は、工程4において観察された。
【0618】
以前の実施例(実施例7及び8)と比較すると、より少ない総酸(ギ酸プラス硫酸)を使用し(3.54当量対14.5当量及び4.66当量)、ギ酸当たり、より多い硫酸を使用し(1:5.5対1:17.1及び1:6.4)、及び本反応の条件は、よりよい収率を生じた(90%対67%及び73.2%の14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)。
合成実施例13:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化50】
【0619】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、以下の通りに調製した:
【0620】
1.磁気攪拌棒及び温度プローブを備えた複数頚部フラスコにおいて、オリパビン(9.96g、33.5mmol)は、脱イオン水(18mL)及び98%のギ酸(3.88mL、101mmol)に溶解した。生じた溶液を周囲温度にて撹拌した。
【0621】
2.濃硫酸(96%、0.92mL、16.8mmol)を添加して、混合物を10分間450rpmにて撹拌した。硫酸の添加後、混合物を30℃を超えるまで加熱し、及び次いで再び冷却した。
【0622】
3.溶液の温度が25℃より低く下がったとき、過酸化水素(H
2Oにおける35wt%、3.8mL、44mmol)を添加して、溶液を室温にて20分間450rpmにて撹拌した。
【0623】
4.次いで、混合物を48時間35℃の内部温度にて撹拌した。
【0624】
5.温かい混合物に2−ブタノール(36mL)を添加して、30分間撹拌し続けた。生じたスラリーを4℃に冷却して、2時間この温度にて静置した。
【0625】
6.濾過、水:2−ブタノール(1:2、12mL)で洗浄及び真空下における完全乾燥により、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(9.94g、14.3mmol(結晶水なしで算出される)85.4%収率)を得た。オリパビンまたは8−ヒドロキシオキシモルホンは、HPLCによって検出できなかった。
【0626】
オリパビンのモル当量当たり約3.5モル当量の総酸は、この実施例において使用した。ギ酸に対する硫酸のモル比は、約1:6であった。
【0627】
この実施例において、0.5当量のH
2SO
4を使用した。以前の実施例(実施例7及び8)と比較して、実施例12(0.55当量のH
2SO
4を使用した)において、より少ない総酸(ギ酸プラス硫酸)を使用し(3.5当量対14.5当量及び4.66当量)、ギ酸当たりより多い硫酸を使用し(1:6対1:17.1及び1:6.4)、及び本反応の条件は、よりよい収率を生じた(85.4%対67%及び73.2%の14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)。
合成実施例14:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化51】
【0628】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、以下の通りに2つの異なる量の水を使用して調製した:
【0629】
1.磁気攪拌棒及び温度プローブを備えた複数頚部フラスコにおいて、オリパビン(10.4g、35.0mmol)を脱イオン水(16または20mL、それぞれ)及び98%のギ酸(3.88mL、101mmol)に溶解した。生じた溶液を周囲温度(500rpm)にて撹拌した。
【0630】
2.濃硫酸(96%、1.02mL、18.5mmol)を添加して、混合物を20分間500rpmにて撹拌した。硫酸の添加の後、混合物を30℃を超えるまで加熱し、及び次いで再び冷却した。
【0631】
3.溶液の温度が25℃より低く下がったとき、過酸化水素(H
2Oにおける35wt%、3.62mL、42mmol)を添加して、溶液を室温にて30分間500rpmにて撹拌した。
【0632】
4.次いで、混合物を48時間35℃の内部温度にて撹拌した(750rpm)。
【0633】
5.暖かい混合物に2−ブタノール(36mL)を添加して、30分間撹拌し続けた。生じたスラリーを4℃に冷却して、2時間この温度にて静置した。
【0634】
6.濾過、水:2−ブタノール(1:2、12mL)で洗浄及び真空下における完全乾燥により、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(16mL水について、9.90g、14.21mmol(結晶水なしで算出した)81.2%収率;20mL水について、10.14g、14.56mmol(結晶水なしで算出した)83.2%収率)を得た。オリパビンまたは8−ヒドロキシオキシモルホンは、HPLCによって検出できなかった。
【0635】
この例は、実施例12において指し示したのと同じ利点を示す。その上、それは実施例12に使用されたオリパビンg当たり1.8mLの水に加えて、オリパビンg当たり1.5及び1.9mL水もまた有利に使用することができることを示す。
合成実施例15:14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの調製
【化52】
【0636】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートは、以下の通りに調製した:
【0637】
1.磁気攪拌棒及び温度プローブを備えた複数頚部フラスコにおいて、オリパビン(10.04g、33.8mmol)を脱イオン水(18mL)及び98%のギ酸(3.88mL、101mmol)に溶解した。生じた溶液を周囲温度にて撹拌した(500rpm)。
【0638】
2.濃硫酸(96%、1.02mL、18.5mmol)を添加して、混合物を約20分間撹拌した。硫酸の添加後、混合物を30℃を超えるまで加熱し、及び次いで再び冷却した。
【0639】
3.溶液の温度が25℃より低下したとき、過酸化水素(H
2Oにおける35wt%、3.46mL、40.1mmol、1.2eq.に対応する)を添加して、溶液を室温にて30分間撹拌した。
【0640】
4.次いで、混合物を48時間35℃の内部温度にて撹拌した。
【0641】
5.温かい混合物に2−ブタノール(36mL)を添加して、30分間撹拌し続けた。生じたスラリーを4℃に冷却して、2時間この温度にて静置した。
【0642】
6.濾過、水:2−ブタノール(1:2、12mL)で洗浄及び真空下における完全乾燥は、14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(10.07g、14.5mmol(結晶水なしで算出される)85.8%収率)をもたらした。オリパビンまたは8−ヒドロキシオキシモルホンは、HPLCによって検出できなかった。
【0643】
以前の実施例(実施例7及び8)と比較して、実施例12(過酸化水素の1.25当量を使用した)においてより少ない総酸(ギ酸プラス硫酸)を使用し(3.55当量対14.5当量及び4.66当量)、ギ酸当たりより多い硫酸を使用し(1:5.5対1:17.1及び1:6.4)、及び本反応の条件は、よりよい収率を生じた(85.8%対67%及び73.2%の14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート)。
実施例16:トリフルオロ酢酸及びプロピレングリコールの存在下での14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの水素化
【化53】
【0644】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(23.05g、66.19mmol、14−ヒドロキシモルフィノンフリー、0.17%の8−ヒドロキシオキシモルホンを含む)及びPd/C(70mg、5%Pd、50%wet、Escat試験キット1471、Strem)は、3Lフラスコにおいて水(90mL)及びプロピレングリコール(60mL)の混合物に懸濁した。これにトリフルオロ酢酸(2.0mL、26.12mmol)を添加して、混合物を、オーバーヘッドを取り付けた水素(周囲圧力、14.7psia)のバルーンで34℃にて20時間撹拌子で1100rpmにて撹拌しながら水素化した。実施例11BによるHPLC解析は、完全な変換を示した。混合物に、より多くのPd/C(70mg、上記と同じバッチ)を添加して、上述したHPLC分析の結果が分かるまで、水素化を34℃にて6時間続けた。
【0645】
混合物をセライトで濾過し、水(30mL)で洗浄し、及びろ液をpH9まで濃水酸化ナトリウム水溶液(30%w/w、およそ8.5mL)で塩基性化した。16時間5℃まで冷却した後、混合物を濾過して、固体を2−ブタノール/水(2×30mL)で、次いで65%2−ブタノール(30mL)で洗浄した。
【0646】
真空下における乾燥により、96.6%の純度(3つの解析の平均、0.26%の標準偏差)におけるオキシモルホン(13.3g、67%)を得た。プロピレングリコールアセタール、14−ヒドロキシモルフィノンまたは8−ヒドロキシオキシモルホンは、1mg/mL試料において検出できなかった。高度に濃縮した試料(10mg/mL、直線範囲外)のさらなる解析もまた、8−ヒドロキシオキシモルホン及び14−ヒドロキシモルフィノンを検出しなかった。
実施例17:トリフルオロ酢酸及びエチレングリコールの存在下での14−ヒドロキシモルフィノンサルフェートの水素化
【化54】
【0647】
14−ヒドロキシモルフィノンサルフェート(4.72g、15%の水を含む、11.51mmol、14−ヒドロキシモルフィノンフリー)及びPd/C(17mg、5%Pd、50%wet、Escat試験キット1471、Strem)を250mLフラスコにおいて水(17.3mL)及びエチレングリコール(11mL)の混合物において懸濁した。これにトリフルオロ酢酸(0.37mL、4.74mmol)を添加して、混合物を、オーバーヘッドを取り付けた水素(周囲圧力、14.7psia)のバルーンを、30℃にて20時間、撹拌子で750rpmで撹拌しながら水素化した。実施例11BによるHPLC解析は、形成された0.23%のエチレングリコールアセタールでの完全な変換を示した。混合物をセライト上で濾過し、水(5mL)で洗浄し、及びろ液をpH9〜9.5まで濃水酸化ナトリウム水溶液(30%w/w、およそ1.5mL)で塩基性化した。2時間5℃まで冷却した後、混合物を濾過して、固体を20%2−ブタノール/水(10mL)で洗浄した。
【0648】
真空下における乾燥により、99%の純度におけるオキシモルホン(2.70g、8.97mmol、78%)を得た。エチレングリコールアセタール、14−ヒドロキシモルフィノンまたは8−ヒドロキシオキシモルホンは、検出できなかった。
【0649】
前述の明細書において、本発明は、具体的な例示的実施形態及びその実施例にて説明した。しかし、以下の特許請求の範囲にて述べるように、本発明のより広い趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で、種々の変更と改変がなされてもよいことは、明らかだろう。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味よりもむしろ、解説する方針で考慮されるべきである。