(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の技術の場合、基板にマスキングテープを貼り付ける工程、および、基板からマスキングテープを剥がす工程を、塗布装置外で行うことを要し、非効率であった。また、マスキングテープを剥がしたときに、基板にマスキングテープの粘着剤が付着し、残渣となる虞があった。また、特許文献3に記載の技術の場合、プラズマ処理が、下地となる基板に悪影響を及ぼす可能性があった。このように、従来技術には改善の余地があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板に対して非塗布領域を効率的に形成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、基板に流動性材料が塗布されていない非塗布領域を形成する塗布装置であって、基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記基板の主面に向けて流動性材料を吐出する吐出部と、前記吐出部を、前記保持部に保持された基板に対して相対的に移動させる移動機構と、長手方向に延びる凹部を有する1以上のプレート部材と、前記プレート部材を前記基板と前記吐出部との間の位置に保持するプレート保持部と、前記プレート部材の表面に吐出された前記流動性材料を吸引する吸引口を有する吸引機構とを備え
前記凹部が、前記プレート部材の表面に形成され、該プレート部材の長手方向であり、前記移動機構による前記吐出部の相対的な移動方向と直交する方向に沿って延び、底面を有する溝である。
【0011】
また、第2の態様は、第1の態様に係る塗布装置であって、
前記溝が前記プレート部材の表面に互いに平行に複数、形成されている。
【0012】
また、第3の態様は、第2の態様に係る塗布装置であって、前記複数の溝のうち、隣り合う2つの前記溝の間に介在する凸バンク部の表面に、撥水性処理が施されている。
【0013】
また、第4の態様は、第1から第3の態様のいずれか1態様に係る塗布装置であって、前記プレート部材は、
前記溝が
複数、形成されている下プレート部と、前記下プレート部の上部に配されており、前記下プレート部に形成されている前記複数の溝に対応する位置に複数の貫通孔が形成されている上プレート部と、を含み、前記下プレート部における、前記上プレート部の長手方向の一方側端部から張り出す部分に、前記吸引機構の前記吸引口が配されている。
【0014】
また、第5の態様は、第4の態様に係る塗布装置であって、前記上プレート部に、長手方向に沿って延びる複数の溝が形成されており、前記複数の溝の内部に、前記複数の貫通孔が形成されている。
【0015】
また、第6の態様は、第1から第5の態様のいずれか1態様に係る塗布装置であって、前記プレート保持部は、前記基板から浮かせた状態で前記プレート部材を保持する。
【0016】
また、第7の態様は、第1から第6の態様のいずれか1態様に係る塗布装置であって、前記プレート部材の前記凹部にエアを吹き送る送風機構、をさらに備える。
【0017】
また、第8の態様は、第1から第7の態様のいずれか1態様に係る塗布装置であって、前記プレート部材の前記凹部に、洗浄液を供給する洗浄液供給部、をさらに備える。
【0018】
また、第9の態様は、第1から第8の態様のいずれか1態様に係る塗布装置であって、前記流動性材料が、有機EL液、正孔輸送材料または正孔注入材料である。
【0019】
また、第10の態様は、基板に流動性材料が塗布されていない非塗布領域を形成する塗布方法であって、(a)基板を保持する保持工程と、(b)長手方向に延びる凹部を有する1以上のプレート部材を、前記基板の上側に配するプレート部材配置工程と、(c)前記保持工程にて保持された前記基板の主面に向けて吐出部から流動性材料を吐出させつつ、該吐出部を、保持部に保持された基板および前記プレート部材に対して、相対的に移動させる移動工程と、(d)前記プレート部材の表面に吐出された前記流動性材料を吸引する吸引工程とを含
み、前記凹部が、前記プレート部材の表面に形成され、該プレート部の長手方向であり、前記移動機構による前記吐出部の相対的な移動方向と直交する方向に沿って延び、底面を有する溝である。
【発明の効果】
【0020】
第1の態様に係る塗布装置によると、基板における非塗布領域とする部分にプレート部を配することによって、該基板に非塗布領域を容易に形成できる。また、流動性材料を、プレート部材の凹部を通じて長手方向に広げ、吸引機構によって吸引するため、プレート部材から流動性材料がこぼれ落ちることを効果的に抑制できる。
【0021】
また、第2の態様に係る塗布装置によると、溝に沿って、流動性材料が長手方向に広がりやすくなる。このため、流動性材料がプレート部材から溢れて基板に落下することを抑制できる。
【0022】
また、第3の態様に係る塗布装置によると、凸バンク部に撥水性処理を施すことによって、複数の溝に流動性材料を集めやすくなる。したがって、複数の溝を介して流動性材料を効率的に吸引できる。
【0023】
また、第4の態様に係る塗布装置によると、プレート部材に吐出された流動性材料を、上プレート部の貫通孔を通って下プレート部に回収できる。また、下プレート部における、上プレート部から張り出す部分において、流動性材料を吸引できる。
【0024】
また、第5の態様に係る塗布装置によると、上プレート部に溝が設けることによって、流動性材料を溝に沿って広げることができる。また、溝の内部に貫通孔が形成されることによって、流動性材料を、該貫通孔を通じて下プレート部に回収できる。
【0025】
また、第6の態様に係る塗布装置によると、基板を移動させた際に、プレート部材と基板が干渉することを抑制できる。これによって、基板表面が損傷することを抑制できる。
【0026】
また、第7の態様に係る塗布装置によると、凹部にエアを吹き送ることによって、プレート部材に吐出された流動性材料を吸引機構に送り込むことができる。したがって、プレート部材から、効率的に流動性材料を除去できる。
【0027】
また、第8の態様に係る塗布装置によると、洗浄液によって凹部を洗浄することができるため、流動性材料を効果的に除去できる。
【0028】
また、第9の態様に係る塗布装置によると、有機EL液または正孔輸送液を基板に塗布することによって、有機ELパネルを製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置1について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面においては、理解容易のため、各部の寸法や数が必要に応じて誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、
図1および以降の各図においては、説明の便宜のため、X方向およびこれに直交するY方向を水平方向とし、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系が示されている。X軸については、塗布装置1における液受部53L側を−X側とし、液受部53R側を+X側とする。Y軸については、塗布装置1におけるプレート保持部62側を+Y側とし、プレート保持部63側を−Y側とする。Z軸については、塗布装置1の上側を+Z側とし、下側を−Z側とする。ただし、これらの各方向は、各要素の配置関係を限定する趣旨のものではない。
【0031】
<1. 第1実施形態>
<1.1. 構成および機能>
図1は、第1実施形態に係る塗布装置1を示す概略平面図である。また、
図2は、第1実施形態に係る塗布装置1を示す概略正面図である。なお、
図2においては、マスク機構6の図示を省略している。
図3は、第1実施形態に係る塗布装置1を示す概略側面図である。
【0032】
塗布装置1は、有機EL液、正孔輸送材料または正孔注入材料などの流動性材料を塗布液として用いる有機EL表示装置を製造するための装置として構成されている。なお、塗布装置1では、有機EL液、正孔輸送材料、正孔注入材料の他、レジスト材料、金属ペーストなどの複数の塗布液を用いることが可能であるが、以下の説明では、それらの代表として有機EL液を塗布液とした場合について説明を行う。
【0033】
塗布装置1は、基板保持装置2、有機EL塗布機構5、マスク機構6および制御部10を備えている。制御部10は、CPU、ROM、RAMなどを備えた一般的なコンピュータなどで構成される。CPUがプログラムにしたがって動作することによって、制御部10が塗布装置1の動作を制御する。
【0034】
図2に示すように、基板保持装置2は、ステージ21、旋回部22、平行移動テーブル23、ガイド受け部24、およびガイド部材25を有している。
【0035】
ステージ21は、被塗布体となるガラス基板等の基板Pをその上面に保持する水平な厚板状の剛性材である。ステージ21の下部は、旋回部22によって支持されており、旋回部22の回動動作によって図示θ方向にステージ21が水平面内で旋回可能に構成されている。
【0036】
また、ステージ21の内部には、図示を省略するが、有機EL液が塗布された基板Pをステージ21面上で予備加熱処理するための加熱機構、基板Pを下方から吸着して保持する吸着機構、および、基板Pを搬送機構との間で受け渡しする際に利用される受け渡しピン機構などが設けられている。ステージ21によって基板Pが保持される。ステージ21は、保持部の一例である。
【0037】
ガイド部材25は、有機EL塗布機構5の下方を通るように、Y軸方向に延びるように配され、床面に水平に固定されている。平行移動テーブル23の下面には、ガイド部材25と当接してガイド部材25上を滑動するガイド受け部24が固定されている。
【0038】
また、平行移動テーブル23の上面には、旋回部22が固定されている。平行移動テーブル23が、例えばリニアモータからの駆動力を受けて、ガイド部材25に沿ったY軸方向に移動可能になり、旋回部22に支持されたステージ21の水平直進移動も可能になる。平行移動テーブル23、ガイド受け部24、ガイド部材25、および、リニアモータなどで構成される駆動機構によって、ステージ移動機構26が構成されている。
【0039】
有機EL塗布機構5は、ノズルユニット50とノズル移動機構51とを有している。
【0040】
ノズルユニット50は、赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL液を吐出する複数の塗布ノズル(
図1では、3本の塗布ノズル52a,52b,52c。以下、これらをまとめて「塗布ノズル52a〜52c」と表記する。)を並設した状態で保持する。ノズルユニット50は、ステージ21に保持された基板Pの主面に有機EL液を吐出する吐出部の一例である。なお、「基板の主面」とは、基板Pが矩形状である場合において、基板Pの長手方向および幅方向のそれぞれと平行な面をいう。無論、基板Pの形状は、矩形に限定されるものではなく、様々な形状のものが想定されるが、本実施例に係る基板Pは、平坦な面を主面として有する薄板状材であるとする。
【0041】
各塗布ノズル52a,52b,52cへは、それぞれ図示しない供給部から赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL液が供給される。なお、複数の塗布ノズル52から同色の有機EL液が吐出されるようにしてもよい。
【0042】
塗布ノズル52a〜52cの先端は、それらの高さ(Z軸方向に関する位置)が同じであり、水平面内においてはX軸方向から傾いた斜め方向に、等間隔でほぼ直線的に1列に配置されている。また、ノズルピッチ(各ノズル間のY方向の間隔)は、適宜設定することが可能であるが、実施形態においては、基板Pに形成されたストライプ状の溝3列分の間隔と一致するように設定されている。
【0043】
ノズル移動機構51は、X軸方向に延びる一対のシャフトガイド511,511と、図示しないボールネジおよびモータとを備えている。ノズルユニット50には、ボールネジが螺合し、シャフトガイド511,511が貫通している構成となっている。そのため、図示しないモータにより、ボールネジが回動されると、それに螺合されているノズルユニット50はシャフトガイド511に沿って、X方向に移動する。なお、このような構成以外にも、エアスライダを用いた機構やリニアモータを用いた機構など各種機構を採用できる。
【0044】
制御部10が、塗布ノズル52a〜52cから有機EL液を塗布させつつ、ノズルユニット50をX軸方向に沿って移動させるようにノズル移動機構51を制御することで、ステージ21上に保持される基板Pの溝に、塗布ノズル52a〜52cから所定流量の有機EL液を吐出させる。このとき、塗布ノズル52a〜52cのピッチが基板Pの溝3列分と一致するため、互いに2列ずつ間隔をあけた3列分の溝について塗布が行われる。すなわち、X軸方向が、主走査方向となる。
【0045】
また、塗布ノズル52a〜52cのX軸方向吐出位置において、ステージ21に保持された基板Pから逸脱した両側空間には、基板Pから外れて吐出された有機EL液を受ける液受部53L,53Rがそれぞれ設けられている。ノズル移動機構51は、基板Pの一方サイド外側に配設されている液受部(例えば、液受部53L)の上部空間から、基板Pを横断して、基板Pの他方外側に配設されている液受部(例えば、液受部53R)の上部空間まで、ノズルユニット50を往復移動させることで、基板P上に有機EL液を塗布する。
【0046】
また、平行移動テーブル23は、ノズルユニット50が液受部53Lまたは液受部53Rの上部空間に配置されている際、ノズル往復移動方向とは交差する副走査方向(ここでは、主走査方向に直交する+Y方向)に所要ピッチ(例えば、ノズルピッチの3倍分)だけステージ21を移動させる。このようなノズル移動機構51および平行移動テーブル23の動作と、塗布ノズル52a〜52cから有機EL液を液柱状態で吐出する吐出動作とを行うことによって、赤色の有機EL液が基板Pに形成されたストライプ状の溝毎に配列された、いわゆる、ストライプ配列が基板P上に形成される。
【0047】
マスク機構6は、1以上(ここでは4つ)のプレート部材61、一対のプレート保持部62,63、吸引機構64、送風機構65、洗浄液供給部66を備えている。
【0048】
図1または
図3に示すように、プレート部材61は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成されており、平面視略長方形状をなす略シート状の部材である。プレート部材61は、その長方形状の下面が基板Pの主面である上面に接近して対向するように配されている。また、プレート部材61は、その長手方向がY軸方向となるように配されている。
図1に示す例では、4個のプレート部材61が、X軸方向に所要の間隔をあけて配されている。
【0049】
図3に示すように、プレート部材61は、ノズルユニット50の塗布ノズル52a〜52cと、基板Pとの間に配されている。
【0050】
図4は、第1実施形態に係るプレート部材61を示す概略斜視図である。また、
図5は、第1実施形態に係るプレート部材61の上面の一部を拡大して示す概略平面図である。プレート部材61の上面のうち、周縁部分を除く内側部分に、下方に凹む凹部である複数の溝611が形成されている。
図5に示すように、各溝611は、X軸方向において一定間隔をあけて形成されており、Y軸方向に平行に延びている。溝611は、例えばシート状のSUSを、その厚みの半分程度の深さだけエッチングすることによって形成される。
【0051】
各プレート部材61は、一対のプレート保持部62,63によって保持されている。より詳細には、プレート保持部62は、ノズル移動機構51の下側に固定されており、その下部に各プレート部材61の+Y側端部が固定されている。プレート保持部63は、プレート保持部62から−Y方向に離れた位置に固定されており、その下部にプレート部材61の−Y側端部が固定されている。このようにして、各プレート部材61の長手方向の両端部分が、一対のプレート保持部62,63によって、支持されている。
【0052】
各プレート部材61を一対のプレート保持部62,63に固定する手段は、特に限定されない。例えば、各プレート部材61を貫通するボルトを用いて固定したり、プレート部材61が磁性を有する場合は磁石を用いて固定したり、あるいは、接着剤を介して固定してもよい。
【0053】
一対のプレート保持部62,63は、各プレート部材61を、塗布ノズル52a〜52c(吐出部)の先端(吐出口)と、基板Pの表面との間の高さ位置に配した状態で保持する。また、一対のプレート保持部62,63は、各プレート部材61を、基板Pの表面から浮いた状態で保持する。本実施形態では、副走査の際に、基板Pを+Y方向に移動させる。その際、各プレート部材61を基板Pから浮かせておくことによって、各プレート部材61の下端部と基板Pとが干渉することを抑制できる。
【0054】
プレート部材61の高さ寸法(Z軸方向の長さ)は、基板Pと塗布ノズル52a〜52cの先端との間の距離よりも短く設定される。例えば、基板Pと塗布ノズル52a〜52cの先端との間の距離が0.5mmである場合、プレート部材61の高さ寸法は、0.5mmよりも短く(例えば、0.2mm〜0.3mm)設定される。
【0055】
プレート保持部62には、吸引機構64が設けられている。
図4に示すように、吸引機構64は、複数(ここでは3つ)の吸引口641を備えている。各吸引口641は、プレート部材61の上面に接近するように配されている。より好ましくは、各吸引口641は、複数の溝611の+Y側端部の上方に配される。
【0056】
プレート保持部63には、送風機構65が設けられている。送風機構65は、複数の送風口651を有しており、該送風口651から、プレート部材の凹部、すなわち複数の溝611にエアを吹き送る。送風口651は、例えば複数の溝611の−Y側端部の上方に配置されている。送風口651を+Y方向にも向くようにすることで、吹き出したエアを容易に+Y方向へ移動させることができる。
【0057】
塗布装置1では、各プレート部材61が基板Pを部分的に覆う。このため、塗布ノズル52a〜52cから有機EL液を吐出しながらX軸方向に移動する。すると、基板Pのうち、各プレート部材61が覆う部分に、非塗布領域が形成される。
【0058】
塗布ノズル52a〜52cから有機EL液を吐出した場合、各プレート部材61にも有機EL液が吐出されることになるが、該有機EL液は、毛細管現象によって溝611に沿ってY軸方向に広げられる。好ましくは、X軸方向に隣り合う2つの溝611の間に介在する凸バンク部612の表面に、撥水性処理が施される。これによって、有機EL液を溝611に容易に集めることができる。
【0059】
また、送風機構65によって、複数の溝611の−Y側端部にエアが吹き送られているため、溝611を通る有機EL液は、+Y方向に付勢され、吸引機構64に向けて移動する。そして、+Y側端部へ移動した有機EL液が、吸引機構64によって吸引されることとなる。
【0060】
このように、吸引機構64を設けることによって、各プレート部材61上から有機EL液を除去できる。このため、プレート部材61上に有機EL液が溜まることを抑制できる。したがって、有機EL液がプレート部材61から溢れて基板Pに落下することを低減できる。また、送風機構65によって、溝611にエアを送ることによって、プレート部材61上の有機EL液を効率的に除去できる。
【0061】
洗浄液供給部66は、制御部10から送信される制御信号に基づき、洗浄液を適宜のタイミングで各プレート部材61に供給する。塗布装置1では、洗浄液供給部66は、送風口651に接続されており、該送風口651から洗浄液をプレート部材61に供給する。なお、洗浄液を、送風口651以外の別の経路を介してプレート部材61に供給するようにしてもよい。
【0062】
また、送風機構65および洗浄液供給部66は、省略してもよい。また、送風機構65の代わりに、吸引機構をさらに配置してもよい。この場合、プレート部材61の両端部分から、プレート部材61上の有機EL液が吸引されることとなる。
【0063】
図6は、第1実施形態の変形例に係るプレート部材61aの上面の一部を拡大して示す概略平面図である。プレート部材61aの上面には、Y軸方向に延びる複数の溝611とともに、これらの溝611に直交するようにX軸方向に延びる複数の溝613が形成されている。このように格子状に溝611,613を形成することによって、溝611,613に囲まれる各凸バンク部612aに付着した有機EL液を、溝611に容易に移動させることができる。このため、プレート部材61aを用いた場合、プレート部材61よりも有機EL液を除去しやすくなる。
【0064】
なお、プレート部材61,61aにおいて、上面のX軸方向の両端部に、上方に起立する側壁を設けてもよい。これによって、プレート部材61,61aに吐出された有機EL液が、プレート部材61,61aから溢れて、基板Pに落下することを低減できる。
【0065】
図7は、第1実施形態の変形例に係るプレート部材61bの上面の一部を拡大して示す平面図である。
図7では、プレート部材61bの−X側の端部が図示されている。また、
図7の下部には、プレート部材61bの−X側の端部を−Y側から観た概略側面図が図示されている。
【0066】
図7に示すプレート部材61bの−X側の端部には、長手方向(Y軸方向)に沿って延びるエッジ溝614が形成されている。このため、プレート部材61bの−X側の端部においても、吐出された有機EL液をエッジ溝614に沿って、Y軸方向に広げることが可能となっている。吸引口641によって、エッジ溝614内の有機EL液を吸引すれば、有機EL液がプレート部材61bの端部から基板Pに落下することを低減できる。また、
図7に示すように、各溝611およびエッジ溝614のそれぞれは、Y軸方向の終端部まで延びていてもよい。図示を省略するが、プレート部材61bの+X側端部にも、エッジ溝614を形成してもよい。
【0067】
<1.2. 塗布処理の説明>
図8は、第1実施形態に係る塗布装置1における塗布処理の流れを示す図である。なお、特に断らない限り、塗布装置1の動作は、制御部10によって制御されるものとする。
【0068】
塗布処理にあたっては、まず、基板を準備する工程が実行される(ステップS1)。この工程では、例えば外部から基板Pが塗布装置1に搬入され、該基板Pがステージ21に固定される。また、該基板Pについて、角度調整を含めたポジションの調整が適宜行われてもよい。
【0069】
基板Pの準備が完了すると、有機EL液を塗布するための所定位置に、プレート部材61を配置する工程が実行される(ステップS2)。各プレート部材61は、基板Pに形成すべき非塗布領域の間隔に合うよう、それぞれ固定される。そして、各プレート部材61が、基板Pにおける非塗布領域を形成する部分と重なるように、基板Pを各プレート部材61の下方に移動させる。
【0070】
基板Pの配置が完了すると、送風機構65および吸引機構64が駆動されることによって、送風および吸引が開始される(ステップS3)。なお、送風機構65の複数の送風口651のうちの一部または全部から、洗浄液供給部66からの洗浄液を適宜吐出してもよい。また、このステップS3は、ステップS2よりも先に、もしくは、並行に実行されてもよい。
【0071】
次に、ノズルユニット50の塗布ノズル52a〜52cのそれぞれから、有機EL液の吐出を開始する(ステップS4)。有機EL液を吐出する際は、各塗布ノズル52a〜52cが液受部53Lまたは液受部53Rの上部空間に配置された状態で行われる。このとき、各塗布ノズル52a〜52cからの吐出が正しく行われているかどうかを試験してもよい。
【0072】
有機EL液の吐出が開始されると、ノズル移動機構51の駆動によって、ノズルユニット50がX軸方向(主走査方向)に沿う移動を開始する(ステップS5)。これによって、基板Pのうち、4つのプレート部材61と重ならない領域に、有機EL液が塗布される。また、プレート部材61上に吐出された有機EL液は、吸引機構64によって、適宜除去される。
【0073】
なお、各塗布ノズル52a〜52cが、基板Pを横断して、反対側の液受部に到達すると、基板Pが、所要ピッチ分だけ+Y方向(または−Y方向)に移動させる。そしてノズルユニット50が先ほどとは反対のX軸方向に沿って移動する。このように、ノズルユニット50を往復移動させることで、基板P上の非塗布領域を除く領域に、有機EL液が塗布される。
【0074】
以上のように、塗布装置1では、基板Pにおける非塗布領域を形成すべき部分の上方にプレート部材61を配し、その状態で塗布処理を行う。このため、従来装置と比べると、基板Pにマスキングテープを貼り付けたり、はがしたりする作業が不要である。このため、基板Pに非塗布領域を容易に形成することができる。
【0075】
<2. 第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係るプレート部材61cを示す概略斜視図である。プレート部材61cは、上プレート部71と、下プレート部81とで構成されている。上プレート部71が下プレート部81の上側に載置されることによって、プレート部材61cが構成されている。
図10は、第2実施形態に係る上プレート部71の一部を拡大して示す概略平面図である。
【0076】
下プレート部81は、
図4に示すプレート部材61とほぼ同等の構成を備えている。すなわち、下プレート部81は、例えば、シート状のSUSで形成されており、その表面には、下プレート部81の長手方向であるY軸方向に沿って延びる凹状の溝811が複数形成されている。該溝811は、例えば、ハーフエッチングにより形成される。
【0077】
上プレート部71は、シート状のSUSで形成されている。
図10に示すように、上プレート部71には、上下に貫通する複数の貫通孔711が分散して形成されている。上プレート部71の各貫通孔711は、下に重ねられた下プレート部81の各溝811に対応する位置(上下方向に重なる位置)に設けられている。このため、プレート部材61cに吐出された有機EL液は、複数の貫通孔711を介して、下プレート部81の各溝811に回収される。
【0078】
図10に示す例では、貫通孔711の開口幅と溝811の溝幅とが略同一とされているが、該溝幅を該開口幅のうち、どちらか一方を他方よりも大きくしてもよい。
【0079】
好ましくは、上プレート部71の上面には、撥水性処理が施される。これによって、上プレート部71に吐出された有機EL液を、貫通孔711に容易に導くことができる。したがって、有機EL液を下プレート部81に効率的に回収できる。
【0080】
図11は、第2実施形態に係るプレート部材61cを示す概略側面図である。プレート部材61cの長手方向両端部には、それぞれ、吸引機構64および送風機構65が設けられている。
【0081】
図11に示すように、上プレート部71の長手方向の長さは、下プレート部81の長手方向の長さよりも短くなっている。下プレート部81における、上プレート部71よりも+Y側に張り出す部分810a(長手方向の一方側端部)に、吸引機構64の吸引口641が配されている。また、下プレート部81における、上プレート部71よりも−Y側に張り出す部分810b(長手方向の他方側端部)に、送風機構65の送風口651が配されている。
【0082】
プレート部材61cに吐出された有機EL液は、上プレート部71の貫通孔711を通じて、下プレート部81の各溝811に回収される。その後、有機EL液は、各溝811中で広がり、吸引口641を介して吸い上げられることによって、下プレート部81から除去される。また、吸引口641とは反対側に配された送風口651からエアが送り出されることによって、下プレート部81の各溝811に回収された有機EL液を、+Y側の吸引口641へ向けて送ることができる。
【0083】
なお、
図11においては、下プレート部81の長手方向の両端部と、プレート保持部62,63との間に、隙間が形成されているように図示している。しかしながら、上プレート部71および下プレート部81が充分に薄い場合には、下プレート部81の両端部は、略隙間なくプレート保持部62,63に固定される。また、
図11に示す例では、上プレート部71の長手方向の両端部分は、プレート保持部62,63の下側まで延びて、これらと重なっている。しかしながら、上プレート部71の長手方向の長さをプレート保持部62,63の間の距離と同一か、あるいはそれよりも短く設定することで、上プレート部71がプレート保持部62,63とは重ならないようにしてもよい。この場合、
図11に示す例とは異なり、下プレート部81の長手方向の両端部は、上プレート部71を介さずにプレート保持部62,63の底面に固定される。すなわち、
図3に示すプレート部材61と同様に、下プレート部81の長手方向の両端部は、プレート保持部62,63の底面に沿うようにして略隙間なく固定される。
【0084】
図12は、第2実施形態の変形例に係る上プレート部71aの上面の一部を拡大して示す概略平面図である。本変形例に係る上プレート部71aの上面には、上プレート部71aの長手方向であるY軸方向に延びる複数の溝712が設けられているとともに、該複数の溝712の内部に、上下に貫通する複数の貫通孔711aが所要ピッチで形成されている。
【0085】
上プレート部71aを上プレート部71の代わりに採用した場合、溝712によって、上プレート部71aに吐出された有機EL液を、溝712の延びる方向(Y軸方向)に広げることができる。このため、貫通孔711aを通じて有機EL液を下プレート部81に回収できる。
【0086】
隣り合う2つの溝712,712間に形成される凸バンク部713の表面には、撥水性処理を施してもよい。これによって、凸バンク部713に付着した有機EL液を、溝712に容易に導くことができる。
【0087】
図13は、第2実施形態の他の変形例に係る上プレート部71aの−X側端部を示す概略平面図である。
図13では、上プレート部71aの+X側端部が図示されている。また、
図13の下部には、上プレート部71aを−Y側から観た概略側面図が図示されている。
【0088】
上プレート部71aの−X側端部には、Y軸方向に延びるエッジ溝714を設けてもよい。また、該エッジ溝714の内部に、上下に貫通する貫通孔711aが所要ピッチで形成されている。これによって、−X側端部のエッジ溝714においても、有機EL液を、Y軸方向に広げつつ、貫通孔711aを通じて下プレート部81に回収できる。したがって、上プレート部71aの−X側端部に有機EL液が溜まることを抑制できるため、有機EL液が基板Pに落下することを低減できる。図示を省略するが、上プレート部71aの+X側端部にも、同様にエッジ溝714が形成されていてもよい。
【0089】
また、図示を省略するが、例えば
図13に示す上プレート部71aの表面に、X軸方向に横断する複数の溝を設けて、Y軸方向に延びる各溝712を相互に繋げるようにしてもよい。これによって、有機EL液が各溝712に行き渡り易くなる。さらに、X軸方向に横断する溝の内部に、上下に貫通する貫通孔711aを設けてもよい。
【0090】
図14は、第2実施形態の他の変形例に係る上プレート部71bの−X側端部を示す概略平面図である。該上プレート部71bにおいては、凸バンク部713にも、上下に貫通する貫通孔711bが形成されている。これによって、上プレート部71bに吐出された有機EL液が、上プレート部71bを通過しやすくなるため、下プレート部81に良好に回収できる。
【0091】
図15は、第2実施形態の他の変形例に係る下プレート部81aの一部を示す概略平面図である。
図15に示すように、下プレート部81aには、Y軸方向に延びる複数の溝811と共に、該複数の溝811を横断するように、X軸方向に延びる複数の溝813が形成されている。複数の溝811を複数の溝813によって互いに繋げることができるため、有機EL液を各溝811に行き渡らせることができる。これによって、有機EL液を吸引口641へ誘導しやすくなり、吸引口641から有機EL液を効率的に吸い上げることができる。
【0092】
なお、
図15に示す例では、各溝811と各溝813の交差部分の位置に、上プレート部71の貫通孔711が重なるようにしている。しかしながら、貫通孔711は、各溝811または各溝813のいずれかに対応する位置(すなわち、上下方向に重なる位置)に配されておればよい。
【0093】
図16は、第2実施形態の他の変形例に係る下プレート部81bの端部を示す概略正面図である。下プレート部81bにおいては、溝812が−X側端部よりも内側に位置している。このため、下プレート部81bの−X側端部には、長手方向(Y軸方向)に沿って側壁部82が形成されている。側壁部82には、最も−X側にある溝812に繋がる複数の貫通孔821が、Y軸方向に沿って所要ピッチで形成されている。側壁部82に複数の貫通孔821を設けることによって、側壁部82近傍に有機EL液が滞留することを防ぐことができる。
【0094】
また、上記実施形態では、ノズルユニット50をX軸方向に移動させ、基板PをY軸方向に移動させることによって、基板Pに対するノズルユニット50の主走査方向および副走査方向の相対的な移動が実現されている。しかしながら、ノズルユニット50をY軸方向へ、あるいは、基板PをX軸方向に移動させるように、塗布装置1が構成されていてもよい。また、ノズルユニット50および基板Pのいずれか一方のみを、X軸方向およびY軸方向の双方へ移動させるように、塗布装置1が構成されていてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、一対のプレート保持部62,63が、プレート部材61,61aを基板Pから浮かせて保持するとしているが、基板Pに載置されて接触した状態で保持してもよい。このとき、基板PがY軸方向に移動に同期して、一対のプレート保持部62,63もY軸方向に移動する機構を設けてもよい。これによって、プレート部材61,61aを基板Pに接触させた状態で保持されていても、基板Pが移動すると共に、プレート部材61,61aを同方向に移動させることができる。このため、プレート部材61,61aとの擦れによって、基板Pが損傷することを抑制できる。
【0096】
また、一対のプレート保持部62,63が、各プレート部材61をX軸方向に移動可能に保持してもよい。これによって、基板Pに形成するべき非塗布領域の位置にあわせて、各プレート部材61の配置間隔を変更することが可能となる。
【0097】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。