特許第6244046号(P6244046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244046ワーク搬送装置及びそれを用いたワークの搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244046
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置及びそれを用いたワークの搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/08 20060101AFI20171127BHJP
   B65H 29/62 20060101ALI20171127BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20171127BHJP
   B65H 5/10 20060101ALI20171127BHJP
   B65G 59/04 20060101ALI20171127BHJP
   B21D 43/24 20060101ALI20171127BHJP
   B21D 43/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B65H3/08 310A
   B65H29/62
   B65H5/02 W
   B65H5/10 C
   B65G59/04
   B21D43/24 A
   B21D43/12
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-575975(P2016-575975)
(86)(22)【出願日】2016年12月13日
(86)【国際出願番号】JP2016005119
(87)【国際公開番号】WO2017104131
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2017年1月6日
(31)【優先権主張番号】特願2015-243628(P2015-243628)
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000238946
【氏名又は名称】株式会社エイチアンドエフ
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 朗
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−037537(JP,U)
【文献】 特開昭58−199629(JP,A)
【文献】 実開昭64−000545(JP,U)
【文献】 実開昭59−074077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00− 3/68
B65H 5/08− 5/14
B21D 43/00−45/00
B30B 1/00− 7/04
B30B 12/00−13/00
B30B 15/30−15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが複数積層されたスタックから、前記ワークを搬送するためのワーク搬送装置であって、
エンドレスベルトを有するコンベアと、
前記エンドレスベルトの下面に取り付けられた基部と、
該基部の下面に取り付けられた第1支持部と、
該基部の上流側の端から上流側に向かって、該基部に連続するように設けられた複数の支持杆と、
該支持杆それぞれの下面に取り付けられた第2支持部と、
前記第1支持部及び前記第2支持部の下面にそれぞれ設けられた複数の固定吸引カップ部と、
前記第1支持部の下方に設けられたアイドル部と、
前記第2支持部の上方に設けられ、昇降移動可能な移動吸引カップ部を有するディスタッカ装置と、
前記第2支持部の下方に設けられ、前記スタックが配置される配置部と、
前記エンドレスベルトの一部に取り付けられた回転軸を駆動させるためのサーボモータと、
を備え、
前記支持杆は、搬送方向とは垂直な方向に対して、複数本が互いに等間隔となるように並設されており、
上面視で、前記移動吸引カップ部が、前記支持杆同士の間を昇降移動可能となるように配置されており、
前記エンドレスベルトが、前記第1支持部が前記アイドル部の上方にある第1位置から、前記第2支持部が前記アイドル部の上方にある第2位置まで、往復移動可能となっており、
前記アイドル部がリフト又はエアシリンダを有し、それにより前記アイドル部に載置されたワークを上昇移動させ、該ワークが前記固定吸引カップ部に吸着保持されるようになっているワーク搬送装置。
【請求項2】
前記コンベアの下流側の先端の下方で、該先端と上下方向で重なるように配置され、該コンベアの先端よりも下流側に延びる搬送コンベアと、
前記アイドル部に載置された不良ワークを回収するためのDBバケットと、
を更に備える請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記第1支持部が、前記基部の長手方向に沿って取り付けられた上流側の第1上流支持部と、下流側の1下流支持部とからなり、
前記第1上流支持部、前記第1下流支持部及び前記第2支持部が、それぞれ、搬送方向とは垂直な方向に複数配列され、
前記第1上流支持部、前記第1下流支持部及び前記第2支持部が正方格子状に配置されている請求項1又は2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記第1支持部及び前記第2支持部それぞれには、固定吸引カップ部が、搬送方向とは垂直な方向に列以上配置され、
前記固定吸引カップ部同士の間隔が100mm以下であり、且つ、
前記固定吸引カップ部が千鳥格子状に配列されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記アイドル部にはレーザー変位センサーが取り付けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のワーク搬送装置を用いたワークの搬送方法であって、
前記配置部にスタックを配置する第1ステップと、
前記第1位置において、前記移動吸引カップ部を下降移動させ、第1ワークに吸着させ、その後、該移動吸引カップ部を上昇移動させ、該第1ワークを持ち上げると共に、該第1ワークを前記第2支持部の前記固定吸引カップ部に吸着させる第2ステップと、
前記サーボモータが前記第1位置から前記第2位置となるように前記コンベアを駆動させ、該第2位置において、前記第2支持部が前記第1ワークを脱着し、前記アイドル部に載置する第3ステップと、
前記サーボモータが前記第2位置から前記第1位置となるように前記コンベアを駆動させ、該第1位置において、前記移動吸引カップ部を下降移動させ、第2ワークに吸着させ、その後、該移動吸引カップ部を上昇移動させ、該第2ワークを持ち上げると共に、該第2ワークを前記第2支持部の前記固定吸引カップ部に吸着させ、同時に、前記リフト又は前記エアシリンダが前記アイドル部に載置された前記第1ワークを上昇移動させ、前記第1支持部の前記固定吸引カップ部に吸着させる第4ステップと、
前記サーボモータが前記第1位置から前記第2位置となるように前記コンベアを駆動させ、該第2位置において、前記第2支持部が前記第2ワークを脱着して前記アイドル部に載置し、同時に、前記第1支持部が前記第1ワークを脱着する第5ステップと、
を備え、
前記第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを行った後、前記第4ステップと前記第5ステップとを交互に繰り返し行うワークの搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送装置及びそれを用いたワークの搬送方法に関し、更に詳しくは、スタックからワークを一枚ずつ下流側に搬送するためのワーク搬送装置及びそれを用いたワークの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス加工等のワークに加工を施す分野において、原材料となるワークは、一般に、複数枚が積み重ねられたいわゆるスタックとして搬入される。
そして、加工の際には、当該スタックから、ワークを1枚ずつ取り出して、下流側に搬送する。
【0003】
ここで、スタックからワークを1枚ずつ取り出して搬送する装置(以下「ワーク搬送装置」という。)としては、例えば、シートスタックが積載されたパレットをディスタック位置へ搬入するパレット搬送装置と、ディスタック位置に設置されたマグネットフロータと、マグネットフロータにより分離されたシート材を吸着してマグネットコンベヤへ受け渡すバキュームリフタとを具備するディスタックフィーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかるディスタックフィーダにおいては、バキュームリフタにより、スタックの最上位のワークが鉛直方向に搬送され、マグネットコンベヤにより、そのワークが水平方向に搬送される。
【0004】
近年、鉄板、鋼板等の磁性を有するワーク(以下「磁性ワーク」という。)の代替品として、アルミニウム板、FRP板等の非磁性のワークが注目されている。
非磁性のワークは、磁性ワークよりも一般的に軽量であるため、材料費が安く、搬送に必要なエネルギーコストも低減できるというメリットがある。
【0005】
ところが、上記特許文献1記載のディスタックフィーダは、マグネットコンベアに磁性ワークを磁着させて水平方向に搬送するものであるため、磁着しない非磁性のワークを搬送することはできない。
【0006】
これに対し、非磁性のワークを水平方向に搬送するため、上記マグネットコンベアの代わりとなる装置が開発されている。
例えば、一対のプーリ間に巻架され所定搬送方向へ搬送移動される無端環状のベルトと、そのベルトの外周面に形成されワークを吸着させる吸着面と、そのベルトの内周部に配設されて吸気装置と連通される吸気室とを備えたバキュームコンベアが知られている(例えば、特許文献2参照)。
バキュームコンベアにおいては、ベルトの外周面にワークを吸着させて搬送するため、非磁性のワークを水平方向に搬送することが可能である。
【0007】
また、グリッパを有するフィーダを備えるワーク搬送装置が知られている。
かかるワーク搬送装置においては、スタックの最上位の非磁性ワークを、バキュームカップで吸着して上昇させ、フィーダに取り付けられたグリッパで、非磁性ワークを把持し、その状態でフィーダを水平方向にスライドさせることにより、非磁性ワークを搬送することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−154918号公報
【特許文献2】特開2006−290555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したバキュームコンベアを使用する場合においては、非磁性のワークをベルトの外周面に吸着させる必要があるため、例えば、立体的な異形のワークは、搬送することができないという欠点がある。
また、上述したグリッパでワークを把持して搬送する装置においては、グリップされていないワークの外縁の部分が、重力により下方に垂れるため、ワークが変形するという欠点がある。この場合、ワークの外縁の部分は、当該変形による歪みが生じている恐れがあることから、製品として使用できない。そのため、ワークの外縁の部分をカットして除外する工程が新たに必要となり、その結果、歩留まりも低下することになる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁性の有無に拘らず、異形のワークであっても搬送することができ、且つ、搬送中のワークの変形を防止することができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、基部及び支持杆の下面に、支持部を介して複数の固定吸引カップ部を設け、且つ、ディスタッカ装置の移動吸引カップ部を、上面視で、支持杆同士の間を昇降移動可能となるように配置することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、(1)ワークが複数積層されたスタックから、ワークを搬送するためのワーク搬送装置であって、エンドレスベルトを有するコンベアと、エンドレスベルトの下面に取り付けられた基部と、該基部の下面に取り付けられた第1支持部と、該基部の上流側の端から上流側に向かって、該基部に連続するように設けられた複数の支持杆と、該支持杆それぞれの下面に取り付けられた第2支持部と、第1支持部及び第2支持部の下面にそれぞれ設けられた複数の固定吸引カップ部と、第1支持部の下方に設けられたアイドル部と、第2支持部の上方に設けられ、昇降移動可能な移動吸引カップ部を有するディスタッカ装置と、第2支持部の下方に設けられ、スタックが配置される配置部と、エンドレスベルトの一部に取り付けられた回転軸を駆動させるためのサーボモータと、を備え、支持杆は、搬送方向とは垂直な方向に対して、複数本が互いに等間隔となるように並設されており、上面視で、移動吸引カップ部が、支持杆同士の間を昇降移動可能となるように配置されており、エンドレスベルトが、第1支持部がアイドル部の上方にある第1位置から、第2支持部がアイドル部の上方にある第2位置まで、往復移動可能となっており、アイドル部がリフト又はエアシリンダを有し、それによりアイドル部に載置されたワークを上昇移動させ、該ワークが前記固定吸引カップ部に吸着保持されるようになっているワーク搬送装置に存する。
【0013】
本発明は、(2)コンベアの下流側の先端の下方で、該先端と上下方向で重なるように配置され、該コンベアの先端よりも下流側に延びる搬送コンベアと、アイドル部に載置された不良ワークを回収するためのDBバケットと、を更に備える上記(1)記載のワーク搬送装置に存する。
【0014】
本発明は、(3)第1支持部が、基部の長手方向に沿って取り付けられた上流側の第1上流支持部と、下流側の1下流支持部とからなり、第1上流支持部、第1下流支持部及び第2支持部が、それぞれ、搬送方向とは垂直な方向に複数配列され、第1上流支持部、第1下流支持部及び第2支持部が正方格子状に配置されている上記(1)又は(2)に記載のワーク搬送装置に存する。
【0015】
本発明は、(4)第1支持部及び第2支持部それぞれには、固定吸引カップ部が、搬送方向とは垂直な方向に列以上配置され、固定吸引カップ部同士の間隔が100mm以下であり、且つ、固定吸引カップ部が千鳥格子状に配列されている上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のワーク搬送装置に存する。
【0016】
本発明は、(5)アイドル部にはレーザー変位センサーが取り付けられている上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のワーク搬送装置に存する。
【0018】
本発明は、()上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のワーク搬送装置を用いたワークの搬送方法であって、配置部にスタックを配置する第1ステップと、第1位置において、移動吸引カップ部を下降移動させ、第1ワークに吸着させ、その後、該移動吸引カップ部を上昇移動させ、該第1ワークを持ち上げると共に、該第1ワークを第2支持部の固定吸引カップ部に吸着させる第2ステップと、サーボモータが第1位置から第2位置となるようにコンベアを駆動させ、該第2位置において、第2支持部が第1ワークを脱着し、アイドル部に載置する第3ステップと、サーボモータが第2位置から第1位置となるようにコンベアを駆動させ、該第1位置において、移動吸引カップ部を下降移動させ、第2ワークに吸着させ、その後、該移動吸引カップ部を上昇移動させ、該第2ワークを持ち上げると共に、該第2ワークを第2支持部の固定吸引カップ部に吸着させ、同時に、リフト又はエアシリンダがアイドル部に載置された第1ワークを上昇移動させ、第1支持部の固定吸引カップ部に吸着させる第4ステップと、サーボモータが第1位置から第2位置となるようにコンベアを駆動させ、該第2位置において、第2支持部が第2ワークを脱着してアイドル部に載置し、同時に、第1支持部が第1ワークを脱着する第5ステップと、を備え、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを行った後、第4ステップと第5ステップとを交互に繰り返し行うワークの搬送方法に存する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のワーク搬送装置においては、昇降移動可能な移動吸引カップ部を有するディスタッカ装置を備えるので、ワークが複数積層されたスタックの最上位のワークを移動吸引カップ部が吸着し、昇降移動することにより、ワークを鉛直方向に搬送することができる。
このとき、移動吸引カップ部が、上面視で、支持杆同士の間に配置されているため、移動吸引カップ部の昇降移動が、支持杆によって妨げられることはない。
また、移動吸引カップ部がワークを上昇させることにより、支持杆の下面の第2支持部に設けられた固定吸引カップ部に当該ワークを受け渡すことができる。
そして、下側のエンドレスベルトが下流側に移動することにより、ワークを水平方向に搬送することができる。
【0020】
本発明のワーク搬送装置においては、基部の下面の第1支持部の下方にはアイドル部が設けられているので、第2位置において、第2支持部の固定吸引カップ部に吸着されたワークを一旦アイドル部に配置することができる。
そして、第1位置において、当該ワークを第1支持部の固定吸引カップ部が吸着し、下側のエンドレスベルトが下流側に移動することにより、更にワークを水平方向に搬送することができる。
また、ワーク搬送装置においては、アイドル部にて、ワーク同士が密着してワークを2枚送りしてしまう、いわゆるダブルブランクの発生の有無を確認することができる。これにより、ワーク搬送装置においては、ダブルブランクが発生することを抑制することができる。
【0021】
本発明のワーク搬送装置においては、移動吸引カップ部及び固定吸引カップ部を用いるので、磁性の有無に拘らず、異形のワークであっても吸着して当該ワークを搬送することができる。
また、移動吸引カップ部及び固定吸引カップ部を用いるので、搬送中のワークの変形も抑制することができる。その結果、ワークの外縁も製品として使用可能となるためカットの工程は不要となり、歩留まりも向上する。
【0022】
本発明のワーク搬送装置においては、コンベアの下流側の先端の下方で、当該先端と上下方向で重なるように配置され、当該コンベアの先端よりも下流側に延びる搬送コンベアを更に備える場合、第1支持部等を介して上記コンベアにより搬送されたワークを、搬送コンベアの上面に簡単に落下させることができる。
そして、搬送コンベアにより、ワークをより下流側に搬送することが可能となる。
【0023】
本発明のワーク搬送装置においては、DBバケットをアイドル部の下方に更に備える場合、いわゆるダブルブランク等の不良ワークがアイドル部に載置されたとしても、当該不良ワークをDBバケットに落下させることにより、排除すると共に、回収することができる。
【0024】
本発明のワーク搬送装置においては、第1支持部及び第2支持部それぞれには、固定吸引カップ部が、搬送方向とは垂直な方向に2列以上配置され、且つ、固定吸引カップ部同士の間隔が100mm以下である場合、ワークが異形であっても、確実に吸着することが可能となる。
また、固定吸引カップ部同士の間隔が十分狭いため、ワークの変形も生じ難い。
【0025】
本発明のワーク搬送装置においては、ワークが非磁性ワークである場合であっても、確実に搬送することができる。
【0026】
本発明のワーク搬送装置においては、基部の下面に、当該基部の長手方向に沿って二箇所に第1支持部が取り付けられており、当該第1支持部それぞれの下方に、アイドル部が設けられている場合、二箇所のアイドル部でダブルブランクの有無を確認することができるので、当該ダブルブランクによる搬送トラブルをより回避することができる。
【0027】
本発明のワークの搬送方法においては、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップを備え、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを行った後、第4ステップと第5ステップとを交互に繰り返し行うことにより、磁性の有無に拘らず、異形のワークであっても当該ワークを確実に搬送することができる。
また、搬送中のワークが変形することも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明に係るワーク搬送装置の第1実施形態を模式的に示す側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るワーク搬送装置において、第1支持部及び第2支持部に対する固定吸引カップ部の配置状態を説明するための下面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るワークの搬送方法を示すフローチャートである。
図4図4の(a)〜図4の(c)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第1ステップ及び第2ステップを説明するための説明図である。
図5図5の(a)及び図5の(b)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第3ステップを説明するための説明図である。
図6図6の(a)及び図6の(b)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第4ステップを説明するための説明図である。
図7図7の(a)及び図7の(b)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第5ステップを説明するための説明図である。
図8図8は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第4ステップ及び第5ステップを繰り返した状態を説明するための説明図である。
図9図9は、本発明に係るワーク搬送装置の第2実施形態を模式的に示す側面図である。
図10図10の(a)〜図10の(f)は、他の実施形態に係るワーク搬送装置において、異形のワークを固定吸引カップ部が吸着保持した例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
本発明に係るワーク搬送装置は、ワークが複数積層されたスタックの最上位に位置するワークから順番に1枚ずつ取り出し、下流側に搬送するための装置である。なお、ワーク搬送装置の下流側においては、例えば、プレス機等により、ワークに対して1枚ずつ加工を施すことができる。
また、ワーク搬送装置においては、鉄板、鋼板等の磁性ワークだけでなく、アルミニウム板、FRP板等の非磁性のワークも好適に搬送することができる。
【0031】
(第1実施形態)
まず、本発明に係るワーク搬送装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るワーク搬送装置の第1実施形態を模式的に示す側面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るワーク搬送装置100は、エンドレスベルト10を有するコンベア1と、下側のエンドレスベルト10の下面に取り付けられた基部2と、当該基部2の下面の二箇所に取り付けられた第1支持部21と、当該基部2の上流側の端から上流側に向かって、当該基部2に連続するように設けられた複数の支持杆3と、当該支持杆3それぞれの下面に取り付けられた第2支持部31と、第1支持部21及び第2支持部31の下面にそれぞれ設けられた複数の固定吸引カップ部4と、二箇所の第1支持部21それぞれの下方に設けられたアイドル部5と、第2支持部31の上方に設けられ、昇降移動可能な移動吸引カップ部61を有するディスタッカ装置6と、第2支持部31の下方に設けられ、スタックSが配置される配置部Aと、を備える。
なお、基部2、第1支持部21、第2支持部31、支持杆3及び固定吸引カップ部4は、エンドレスベルト10と一体となって往復移動するようになっている。
一方、アイドル部5、ディスタッカ装置6及び配置部Aは、固定されている。
【0032】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100においては、ワークの鉛直方向の搬送に、移動吸引カップ部61を用い、水平方向の搬送に、固定吸引カップ部4を用いるので、磁性の有無に拘らず、異形のワークであっても、ワークを吸着して搬送することができる。
また、グリッパを用いないので、搬送中のワークの変形も抑制することができる。
【0033】
ワーク搬送装置100において、コンベア1は、一対のローラと、それに架設されたエンドレスベルト10とからなる。
そして、エンドレスベルト10の一部には、回転軸11が取り付けられており、当該回転軸11を回転させることにより、エンドレスベルト10が水平方向に移動するようになっている。
【0034】
ここで、回転軸11の駆動には、サーボモータMが用いられる。これにより、エンドレスベルト10の移動方向及び移動距離の制御が可能となる。
具体的には、サーボモータMにより、下側のエンドレスベルト10が、第1支持部21(第1上流支持部21a)がアイドル部5(上流アイドル部5a)の上方にある第1位置から、第2支持部31がアイドル部5(上流アイドル部5a)の上方にある第2位置まで、往復移動可能となっている。なお、往復移動の詳細については後述する。
ちなみに、図1は、コンベア1が第1位置にある状態を示している。
【0035】
ワーク搬送装置100においては、上述したように、下側のエンドレスベルト10の下面に基部2が固定されている。
したがって、基部2は、エンドレスベルト10と一体となって水平方向に往復移動することになる。
【0036】
ワーク搬送装置100において、基部2の下面には、基部2の長手方向(搬送方向)に沿って二箇所に第1支持部21が取り付けられている。なお、各第1支持部21は、基部2に固定されているので、各第1支持部21も基部2及びエンドレスベルト10と共に水平方向に往復移動することになる。
ここで、本明細書において、基部2の長手方向に沿って取り付けられた二箇所の第1支持部21のうち、上流側の第1支持部21を便宜的に「第1上流支持部21a」といい、下流側の第1支持部21を便宜的に「第1下流支持部21b」という。
【0037】
第1上流支持部21a及び第1下流支持部21bは、共に、同形状であり、それぞれの下面に多数の固定吸引カップ部4が設けられている。なお、固定吸引カップ部4の詳細及び配置については後述する。
このように、ワーク搬送装置100においては、第1上流支持部21a及び第1下流支持部21bのそれぞれに、多数の固定吸引カップ部4が設けられているので、ワークの形状が矩形状ではなく、円形状や三角形状であっても、また、ワークの内部に穴が形成された穴あきワークであっても、ワークの何れかの平坦な部分を固定吸引カップ部4が吸着保持することができる。
【0038】
ワーク搬送装置100においては、基部2の上流側の端から上流側に向かって、当該基部2に連続するように複数の支持杆3が突出するように設けられている。
そして、各支持杆3の下面には、支持杆3の長手方向(搬送方向)に沿って第2支持部31が取り付けられている。
したがって、ワーク搬送装置100においては、各第2支持部31が対応する支持杆3に固定されており、各支持杆3が基部2に固定されているので、各第2支持部31も基部2及びエンドレスベルト10と共に水平方向に往復移動することになる。
【0039】
図2は、第1実施形態に係るワーク搬送装置において、第1支持部及び第2支持部に対する固定吸引カップ部の配置状態を説明するための下面図である。
図2に示すように、ワーク搬送装置100において、第1上流支持部21aは、基部2の下面に対し、搬送方向とは垂直な方向(幅方向)に、互いに等間隔となるように複数配置されており、第1下流支持部21bも同様に、基部2の下面に対し、搬送方向とは垂直な方向(幅方向)に互いに等間隔となるように複数配置されている。
また、支持杆3は、搬送方向とは垂直な方向(幅方向)に複数本が互いに等間隔となるように基部2に並設されており、各支持杆3の下面に第2支持部31がそれぞれに取り付けられている。
【0040】
ワーク搬送装置100においては、隣り合う第1上流支持部21a同士の間の間隔と、隣り合う第1下流支持部21b同士の間の間隔と、隣り合う第2支持部31同士の間の間隔とが一致している。すなわち、第1上流支持部21a、第1下流支持部21b及び第2支持部31は、それぞれが正方格子状に配置されている。
これにより、第1下流支持部21b及び第2支持部31がワークを吸着する際には、第1上流支持部21aで使用された固定吸引カップ部4と、同じ位置の固定吸引カップ部4を用いればよいので、制御が容易となる。
【0041】
ワーク搬送装置100において、搬送方向とは垂直な方向(幅方向)に配列される第1上流支持部21a、第1下流支持部21b及び第2支持部31それぞれの個数は、少なくとも2個以上であり、3個以上であることが好ましい。
これにより、仮にワークが異形であっても確実に吸着保持することが可能となる。
【0042】
ここで、第1上流支持部21a、第1下流支持部21b及び第2支持部31の下面に設けられた固定吸引カップ部4は、全て同質であり、市販のものを適宜用いることができる。
また、固定吸引カップ部4は、先端のカップが弾性部材からなっているので、上下方向に弾性変形することが可能である。このため、仮に、ワークが立体形状であったとしても、高さ方向の起伏が比較的小さいものであれば、吸着することが可能である。
【0043】
第1上流支持部21a、第1下流支持部21b及び第2支持部31において、固定吸引カップ部4は、搬送方向とは垂直な方向(幅方向)に3列配置され、且つ、千鳥格子状に配列されている。なお、各固定吸引カップ部同士の間隔は、100mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましい。
このように、ワーク搬送装置100においては、多数の固定吸引カップ部が密に配置されているので、異形のワークであってもより確実に吸着することが可能となる。
【0044】
上述したように、ワーク搬送装置100において、支持杆3及び第2支持部31は、搬送方向とは垂直な方向(幅方向)に複数本が互いに等間隔となるように並設されており、上面視で、隣り合う支持杆3同士の間に、後述する移動吸引カップ部61が配置されている。このため、移動吸引カップ部61の昇降移動が、支持杆3によって妨げられることはない。
【0045】
図1に戻り、ディスタッカ装置6は、移動吸引カップ部61を有しており、支持杆3の上方に配置される。
移動吸引カップ部61は、上述したように、支持杆3同士の間を通過して、昇降移動可能となっている。なお、移動吸引カップ部61は、昇降移動可能となっていること以外は上述した固定吸引カップ部4と同じ構造である。
【0046】
ワーク搬送装置100において、第2支持部31の下方には、配置部Aが設けられている。
配置部Aは、リフト7を備える。すなわち、配置部Aにおいては、リフト7上にスタックSが配置されることになる。このため、ワーク搬送装置100においては、リフト7により、スタックSをリフトアップさせることができる。これにより、スタックS自体を上昇させることができるので、ディスタッカ装置6の移動吸引カップ部61の昇降移動距離を小さくすることができる。
なお、リフト7によるリフトアップは、1枚のワークが搬送される毎に上昇するピッチ送りであってもよく、数枚のワークが搬送された後、一定距離上昇するものであってもよい。
【0047】
配置部Aにおいては、スタックSが配置された場合に、スタックSの両側に位置するように、一対のマグネットフロータ71が設けられている。
これにより、例えば、スタックSが磁性ワークの積層体である場合、マグネットフロータ71がスタックSに磁力を付与することにより、最上位の磁性ワークを、その下の磁性ワークから剥がれ易くすることができる。
【0048】
アイドル部5は、第1上流支持部21aの下方、及び、第1下流支持部21bの下方にそれぞれ設けられる。
ここで、本明細書において、搬送方向に沿って設けられた二箇所のアイドル部5のうち、上流側のアイドル部5を便宜的に「上流アイドル部5a」といい、下流側のアイドル部5を便宜的に「下流アイドル部5b」という。
【0049】
上流アイドル部5a及び下流アイドル部5bは、いずれもリフトを有している。このため、上流アイドル部5a及び下流アイドル部5bは、その上面に載置されたワークをリフトにより上昇移動させることができる。これにより、ワークは、固定吸引カップ部4に当接され、吸着保持されることになる。
【0050】
第2支持部31の固定吸引カップ部4に吸着されたワークは、第2位置において、一旦上流アイドル部5aに配置され、その後、第1位置において、第1支持部21aの固定吸引カップ部4に吸着され、下側のエンドレスベルト10が移動することにより、更に下流側に搬送されることになる。なお、搬送の詳細については、後述する。
【0051】
ここで、上流アイドル部5aには、レーザー変位センサー9が取り付けられている。
したがって、ワーク搬送装置100においては、第2支持部31がワークを水平方向に搬送し、上流アイドル部5aの上方に到達した際に、レーザー変位センサー9が、ワーク同士が密着してワークを2枚送りしてしまう、いわゆるダブルブランク等の不良ワークが発生しているか否かを検知する。これにより、ダブルブランクの状態で、ワークが搬送されることを防止することができる。
【0052】
そして、ワーク搬送装置100において、上流アイドル部5a及び下流アイドル部5bの下方には、DBバケット8が配置されている。このため、上述したレーザー変位センサー9が、ダブルブランク等の不良ワークが搬送されていることを検知すると、上流アイドル部5a又は下流アイドル部5bは、載置されたダブルブランク等の不良のワークを、図示しないシュートを介して、DBバケット8に落下させることにより、不良のワークを排除すると共に、回収することができる。
【0053】
ワーク搬送装置100において、搬送コンベア15は、コンベア1の下流側の先端の下方で、該先端と上下方向で重なるように配置される。
搬送コンベア15は、コンベア1の下流側の先端よりも下流側に延びており、第1支持部21等を介してコンベア1により搬送されたワークを、搬送コンベア15の上面に落下させた後、当該ワークをより下流側に1枚ずつ搬送することができる。
これにより、例えば、ワークに対し、搬送コンベア15上に設置されたセンタリング装置Cで位置調整を行い、更に搬送コンベア15の下流側に設置されたプレス機Pによりプレス加工を施すことができる。
【0054】
次に、ワーク搬送装置100を用いたワークの搬送方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係るワークの搬送方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、第1実施形態に係るワークの搬送方法は、第1ステップS1と、第2ステップS2と、第3ステップS3と、第4ステップS4と、第5ステップSとを備える。
そして、第1ステップS1、第2ステップS2及び第3ステップS3を行った後、第4ステップS4と第5ステップSとが交互に繰り返し行われる。
【0055】
第1実施形態に係るワークの搬送方法においては、磁性の有無に拘らず、異形のワークであっても当該ワークを確実に搬送することができる。
また、搬送中のワークが変形することも抑制することができる。
【0056】
以下、各ステップについて更に詳細に説明する。
第1ステップS1は、配置部Aのリフト7にスタックSを配置するステップである。なお、リフト7に配置する方法は、特に限定されない。
また、第1ステップS1においては、配置部Aのリフト7にスタックSを配置した後、スタックSの両側に、マグネットフロータ71が設置される。なお、スタックSが非磁性のワークを積層したものである場合、マグネットフロータ71は不要である。
【0057】
図4の(a)〜図4の(c)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第1ステップ及び第2ステップを説明するための説明図である。
図4の(a)に示すように、第2ステップS2においては、第1位置において、ディスタッカ装置6の移動吸引カップ部61を下降移動させる。このとき、上述したように、移動吸引カップ部61は支持杆3同士の間を通過する。
そうすると、図4の(b)に示すように、移動吸引カップ部61は、スタックSに当接され、スタックSの最上位の第1ワークW1に吸着する。
そして、移動吸引カップ部61が、第1ワークW1を吸着保持した状態で上昇することにより、第1ワークW1が持ち上げられ、図4の(c)に示すように、第1ワークW1を第2支持部31の固定吸引カップ部4に受け渡す。このとき、固定吸引カップ部4は、第1ワークを吸着保持する。
【0058】
図5の(a)及び図5の(b)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第3ステップを説明するための説明図である。
第3ステップS3においては、まず、ワーク搬送装置100のサーボモータMが、コンベア1のエンドレスベルト10を駆動させ、第1位置から図5の(a)に示す第2位置まで水平移動させる。
このとき、レーザー変位センサー9が、第1ワークW1の厚さを検知することにより、ダブルブランクとなっているか否かの判断が行われる。
ダブルブランクとなっていない場合は、図5の(b)に示すように、第2位置において、第2支持部31が第1ワークW1を脱着し、第1ワークW1が上流アイドル部5aに載置される。
また、ダブルブランクになっていると判断した場合は、上流アイドル部5aに載置された後、図示しないシュートを介して、DBバケット8に落下し、回収される。
【0059】
図6の(a)及び図6の(b)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第4ステップを説明するための説明図である。
第4ステップS4においては、まず、ワーク搬送装置100のサーボモータMが、コンベア1のエンドレスベルト10を駆動させ、第2位置から図6の(a)に示す第1位置まで水平移動させる。
そして、第1位置において、ディスタッカ装置6の移動吸引カップ部61を下降移動させる。
そうすると、図6の(a)に示すように、移動吸引カップ部61は、スタックSに当接され、スタックSの最上位の第2ワークW2に吸着する。
そして、移動吸引カップ部61が、第2ワークW2を吸着保持した状態で上昇することにより、第2ワークW2が持ち上げられ、図6の(b)に示すように、第2ワークW2を第2支持部31の固定吸引カップ部4に受け渡す。このとき、第2支持部31の固定吸引カップ部4は、第2ワークW2を吸着保持する。
また、一方で、上流アイドル部5aにおいては、リフトが、第1ワークW1を上昇移動させ、第1上流支持部21aの固定吸引カップ部4に当接させる。このとき、第1上流支持部21aの固定吸引カップ部4は、第1ワークW1を吸着保持する。
【0060】
図7の(a)及び図7の(b)は、第1実施形態に係るワークの搬送方法の第5ステップを説明するための説明図である。
第5ステップS5においては、まず、ワーク搬送装置100のサーボモータMが、コンベア1のエンドレスベルト10を駆動させ、第1位置から図7の(a)に示す第2位置まで水平移動させる。
そして、図7の(b)に示すように、第2位置において、第2支持部31が第2ワークW2を脱着し、第2ワークW2が上流アイドル部5aに載置され、第1上流支持部21aが第1ワークW1を脱着し、第1ワークW1が下流アイドル部5bに載置される。なお、ワーク搬送装置が第1下流支持部21b及び下流アイドル部5bを備えない場合には、第1上流支持部21aが第1ワークW1を脱着し、第1ワークW1が搬送コンベア15上に載置されることになる。
【0061】
次に、上述した第4ステップS4と同様にして、コンベア1のエンドレスベルト10を第1位置まで水平移動させ、第1位置において、ディスタッカ装置6の移動吸引カップ部61が第3ワークに吸着して上昇することにより、第3ワークW3を第2支持部31の固定吸引カップ部4に受け渡す。
また、一方で、上流アイドル部5aにおいては、リフトが、第2ワークW2を上昇移動させることにより、第1上流支持部21aの固定吸引カップ部4に吸着させ、同様にして、第1ワークW1を上昇移動させ、第1下流支持部21bの固定吸引カップ部4に吸着させる。
【0062】
そして、上述した第5ステップS5と同様にして、コンベア1のエンドレスベルト10を第2位置まで水平移動させ、第2位置において、第2支持部31が第3ワークW3を脱着し、第3ワークが上流アイドル部5aに載置され、第1上流支持部21aが第2ワークW2を脱着し、第2ワークW2が下流アイドル部5bに載置され、第1下流支持部21bが第1ワークW1を脱着し、第1ワークW1が搬送コンベアに載置されることになる(図8参照)。なお、搬送コンベアにより搬送されるワークは、下流側において、センタリング装置Cによる位置調整及びプレス機Pによるプレス加工等が施される。
【0063】
このように、ワークの搬送方法によれば、第1ステップS1から第5ステップS5までを順次行った後、第4ステップS4及び第5ステップS5を繰り返すことにより、スタックSの状態から、ワークを1枚ずつ順次搬送することができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るワーク搬送装置の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態に係るワーク搬送装置と重複する部分については説明を省略する。
図9は、本発明に係るワーク搬送装置の第2実施形態を模式的に示す側面図である。
図9に示すように、第2実施形態に係るワーク搬送装置101は、エンドレスベルト10を有するコンベア1と、下側のエンドレスベルト10の下面に取り付けられた基部2と、当該基部2の下面に取り付けられた第1支持部211と、当該基部2の上流側の端から上流側に向かって、当該基部2に連続するように設けられた複数の支持杆3と、当該支持杆3それぞれの下面に取り付けられた第2支持部31と、第1支持部211の下面に設けられた複数の固定吸引カップ部4と、第1支持部21の下方に設けられたアイドル部51と、第2支持部31の上方に設けられ、昇降移動可能な移動吸引カップ部61を有するディスタッカ装置6と、第2支持部31の下方に設けられ、スタックSが配置される配置部Aと、を備える。
すなわち、第2実施形態に係るワーク搬送装置101においては、第1支持部211が、基部2の下面の一箇所のみに取り付けられており、アイドル部51も、第1支持部211の下方の一箇所のみに設けられていること以外は、第1実施形態に係るワーク搬送装置100と同じである。
【0065】
ワーク搬送装置101においては、第1支持部211がアイドル部51の上方にある状態を第1位置、第2支持部31がアイドル部51の上方にある状態を第2位置とする。
ちなみに、図9は、コンベア1が第1位置にある状態を示している。
【0066】
ワーク搬送装置101において、第1支持部211は、上述した第1上流支持部21a又は第1下流支持部21bと同じ構造であり、アイドル部51は、上述した上流アイドル部5a又は下流側のアイドル部5bと同じ構造となっている。なお、アイドル部51の下方にもDBバケット8が配置されている。
【0067】
ワーク搬送装置101においては、第1支持部211及びアイドル部51をそれぞれ一箇所のみに設けることにより、装置自体をコンパクトにすることができる。
【0068】
次に、ワーク搬送装置101を用いたワークの搬送方法について説明する。
ワーク搬送装置101を用いたワークの搬送方法は、上述した第1実施形態に係るワーク搬送装置100を用いたワークの搬送方法と同様に行われる。
すなわち、第1ステップS1、第2ステップS2、第3ステップS3及び第4ステップS4がこの順序で行われ、第5ステップにおいて、第1支持部211が第1ワークを脱着し、搬送コンベア15上に載置することになる。
具体的には、第5ステップS5においては、まず、ワーク搬送装置101のサーボモータMが、コンベア1のエンドレスベルト10を駆動させ、第1位置から第2位置まで水平移動させる。
そして、第2位置において、第2支持部31が第2ワークを脱着し、第2ワークがアイドル部51に載置され、第1支持部211が第1ワークを脱着し、第1ワークが搬送コンベア上に載置されることになる。
【0069】
なお、その後は、上述した第4ステップS4と同様にして、コンベア1のエンドレスベルト10を第1位置まで水平移動させ、第1位置において、ディスタッカ装置6の移動吸引カップ部61が第3ワークに吸着して上昇することにより、第3ワークを第2支持部31の固定吸引カップ部4に受け渡す。
また、一方で、アイドル部5においては、リフトが、第2ワークを上昇移動させることにより、第1支持部211の固定吸引カップ部4に吸着させる。
【0070】
そして、上述した第5ステップS5と同様にして、コンベア1のエンドレスベルト10を第2位置まで水平移動させ、第2位置において、第2支持部31が第3ワークを脱着し、第3ワークがアイドル部51に載置され、第1支持部211が第2ワークを脱着し、第2ワークが搬送コンベアに載置されることになる。なお、搬送コンベアにより搬送されるワークは、下流側において、センタリング装置Cによる位置調整及びプレス機Pによるプレス加工等が施される。
【0071】
このように、ワークの搬送方法によれば、第1ステップS1から第5ステップS5までを順次行った後、第4ステップS4及び第5ステップS5を繰り返すことにより、スタックSの状態から、ワークを1枚ずつ順次搬送することができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0073】
例えば、第1実施形態に係るワーク搬送装置100においては、基部2の下面の搬送方向に対して二箇所に第1支持部21が取り付けられており、第2実施形態に係るワーク搬送装置100においては、基部2の下面の搬送方向に対して一箇所に第1支持部211が取り付けられているが、三箇所以上に取り付けられていてもよい。なお、アイドル部5は、基部2の下面の搬送方向に対する第1支持部の数に対応した数とすることが好ましい。
【0074】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100及び第2実施形態に係るワーク搬送装置101において、第2支持部31の下方に設けられた配置部Aは、リフトを有しているが、必ずしも必須ではない。
【0075】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100における第1上流支持部21a、第1下流支持部21b及び第2支持部31のそれぞれの下面、並びに、第2実施形態に係るワーク搬送装置101における第1支持部211及び第2支持部31のそれぞれの下面には、固定吸引カップ部4が搬送方向とは垂直な方向(幅方向)に3列配置されているが、2列配置されていてもよく、4列以上が配置されていてもよい。
また、固定吸引カップ部4が千鳥格子状に配列されているが、正方格子状に配列されていてもよい。
【0076】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100及び第2実施形態に係るワーク搬送装置101において、図2では矩形状のワークを用いた例を示しているが、ワークの形状はこれに限定されない。
図10の(a)〜図10の(f)は、他の実施形態に係るワーク搬送装置において、異形のワークを固定吸引カップ部が吸着保持した例を示す模式図である。
図10の(a)〜図10の(f)に示すように、ワークは、異形のワークの例を示す。
ワークは、小型のワーク、内部に穴が設けられた穴あきワーク、矩形状ワークの一部が欠けた異形ワーク等であってもよい。
【0077】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100及び第2実施形態に係るワーク搬送装置101において、移動吸引カップ部61は、昇降移動可能となっていること以外は固定吸引カップ部4と同じ構造であるとしているが、ワークを昇降移動させることが可能であれば、固定吸引カップ部4とは異なる構造としてもよい。
【0078】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100及び第2実施形態に係るワーク搬送装置101においては、配置部Aに、一対のマグネットフロータ71が設けられているが、必ずしも設ける必要はない。
また、マグネットフロータ71の代わりに、エアーを吹き付けるエアー管が設けられていてもよい。この場合、スタックの最上位のワークを吸着保持して上昇させる際に、当該ワークと、その直下のワークとの間にエアーを吹き付けることで、最上位のワークを剥がれ易くすることができる。
【0079】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100における上流アイドル部5a及び下流アイドル部5b、並びに、第2実施形態に係るワーク搬送装置101におけるアイドル部51は、いずれもリフトを有しているが、ワークを昇降移動させることができるものであればリフトに限定されず、エアシリンダ等を有していてもよい。
【0080】
第1実施形態に係るワーク搬送装置100における上流アイドル部5a、及び、第2実施形態に係るワーク搬送装置101におけるアイドル部51には、レーザー変位センサー9が取り付けられているが、ワークの厚みを検知することが可能であればレーザー変位センサー9に限定されず、渦電流式や超音波式等が取り付けられていてもよい。
また、下流アイドル部5bにもレーザー変位センサー9が取り付けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るワーク搬送装置は、プレス加工等のワークに加工を施す分野において、スタックからワークを1枚ずつ取り出して搬送する装置として用いられ、本発明に係るワークの搬送方法は、プレス加工等のワークに加工を施す分野において、スタックからワークを1枚ずつ取り出して搬送する方法として用いられる。
本発明に係るワーク搬送装置及びそれを用いたワークの搬送方法によれば、磁性の有無に拘らず、異形のワークであっても搬送することができ、且つ、搬送中のワークの変形を防止することができる。
【符号の説明】
【0082】
1・・・コンベア
10・・・エンドレスベルト
100,101・・・ワーク搬送装置
11・・・回転軸
15・・・搬送コンベア
2・・・基部
21,211・・・第1支持部
21a・・・第1上流支持部
21b・・・第1下流支持部
3・・・支持杆
31・・・第2支持部
4・・・固定吸引カップ部
5,51・・・アイドル部
5a・・・上流アイドル部
5b・・・下流アイドル部
6・・・ディスタッカ装置
61・・・移動吸引カップ部
7・・・リフト
71・・・マグネットフロータ
8・・DBバケット
9・・・レーザー変位センサー
A・・・配置部
C・・・センタリング装置
M・・・サーボモータ
P・・・プレス機
S・・・スタック
S1・・・第1ステップ
S2・・・第2ステップ
S3・・・第3ステップ
S4・・・第4ステップ
S5・・・第5ステップ
W1・・・第1ワーク
W2・・・第2ワーク
W3・・・第3ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10