特許第6244047号(P6244047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244047
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20171127BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20171127BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20171127BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G03G15/01 Y
   G03G21/00 510
   G03G15/00 303
   G03G21/14
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-16972(P2017-16972)
(22)【出願日】2017年2月1日
(62)【分割の表示】特願2012-109929(P2012-109929)の分割
【原出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2017-111456(P2017-111456A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】榛葉 武士
(72)【発明者】
【氏名】中川 健
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 慎理
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−177587(JP,A)
【文献】 特開2005−070239(JP,A)
【文献】 特開2008−077066(JP,A)
【文献】 特開2012−042674(JP,A)
【文献】 特開2006−251686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に各色のトナー像を形成する画像形成手段と、
記像担持体に形成されたトナー像に光を照射する発光素子と前記発光素子から照射された光の反射光を受光する受光素子と、を有する検出手段と、
前記像担持体に形成したトナー像である第1の検出パターンを前記検出手段検出した検出結果と閾値とに基づき、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の相対的な位置ずれ量を検出し、前記像担持体に形成したトナー像である第2の検出パターンを前記検出手段で検出することで、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の濃度に関する値を検出する制御を行う制御手段と、
を備えており、
前記第1の検出パターンは、ブラックのトナー像の部分であるブラック部分と、その他の色の部分であるカラー部分とを含み、
記位置ずれ量の検出と前記濃度の検出を連続して行う場合前記画像形成手段は、前記像担持体の回転方向において前記第1の検出パターンに続いて前記第2の検出パターンを前記像担持体に形成、又は前記像担持体の回転方向において前記第2の検出パターンに続いて前記第1の検出パターンを前記像担持体に形成し、
前記制御手段は、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記検出手段が受光する前記ブラック部分からの拡散反射光の受光量が前記閾値未満であり、前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量が前記閾値より大きくなる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、前記閾値、又は、前記検出手段の感度を設定し、かつ、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記カラー部分からの拡散反射光の受光量が前記検出手段で受光できる拡散反射光の受光量の上限値未満となる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、又は、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段の発光量と、該発光量で前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量と、前記拡散反射光の受光量の上限値から第1の発光量を求め、前記検出手段の発光量を前記第1の発光量より小さい範囲で設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段の発光量と前記検出手段が受光する受光量との関係を示す基準値を使用して、前記第1の発光量を求めることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出手段の発光量と、該発光量で前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量と、前記閾値から第2の発光量を求め、前記検出手段の発光量と、該発光量で前記検出手段が受光する前記ブラック部分からの拡散反射光の受光量と、前記閾値から第3の発光量を求め、前記検出手段の発光量を、前記第2の発光量より大きく、かつ、前記第1の発光量及び前記第3の発光量の小さい方より小さい範囲で設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段の発光量と前記検出手段が受光する受光量との関係を示す基準値を使用して、前記第2の発光量および前記第3の発光量を求めることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の発光量より小さい範囲で設定した前記検出手段の発光量で前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量と、前記ブラック部分からの拡散反射光の受光量との間の値を前記閾値として設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記検出手段に設定した発光量で前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量が、前記拡散反射光の受光量の上限値未満となる様に、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記検出手段に設定した発光量で前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量が前記閾値より大きく、かつ、前記ブラック部分からの拡散反射光の受光量が前記閾値未満となる様に、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検出手段に設定した発光量で前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量と前記拡散反射光の受光量の上限値との差と、前記カラー部分からの拡散反射光の受光量と前記閾値との差と、前記ブラック部分からの拡散反射光の受光量と前記閾値との差との分散を求めて前記検出手段の感度を設定することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記検出手段に設定した発光量及び当該発光量で前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量が前記上限値未満となる様に設定した前記検出手段の感度において、前記カラー部分からの拡散反射光の受光量と前記ブラック部分からの拡散反射光の受光量との間の値を前記閾値として設定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記位置ずれ量の検出と前記濃度の検出を連続して行う場合、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンの両方を前記像担持体に形成し、さらに、前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が前記検出手段で受光できる正反射光の受光量の上限値未満となる様に、前記検出手段の発光量、又は、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
像担持体に各色のトナー像を形成する画像形成手段と、
記像担持体に形成されたトナー像に光を照射する発光素子と前記発光素子から照射された光の反射光を受光する受光素子と、を有する検出手段と、
前記像担持体に形成したトナー像である第1の検出パターンを前記検出手段検出した検出結果と閾値とに基づき、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の相対的な位置ずれ量を検出し、前記像担持体に形成したトナー像である第2の検出パターンを前記検出手段で検出することで、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の濃度に関する値を検出する制御を行う制御手段と、
を備えており、
記位置ずれ量の検出と前記濃度の検出を連続して行う場合前記画像形成手段は、前記像担持体の回転方向において前記第1の検出パターンに続いて前記第2の検出パターンを前記像担持体に形成、又は前記像担持体の回転方向において前記第2の検出パターンに続いて前記第1の検出パターンを前記像担持体に形成し、
前記制御手段は、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記検出手段が受光する前記第1の検出パターンからの正反射光の受光量が前記閾値未満であり、前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が前記閾値より大きくなる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、前記閾値、又は、前記検出手段の感度を設定し、かつ、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が前記検出手段で受光できる正反射光の受光量の上限値未満となる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、又は、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記検出手段の発光量と、該発光量で前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量と、前記正反射光の受光量の上限値から第1の発光量を求め、前記検出手段の発光量を前記第1の発光量より小さい範囲で設定することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記検出手段の発光量と前記検出手段が受光する受光量との関係を示す基準値を使用して、前記第1の発光量を求めることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記検出手段の発光量と、該発光量で前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量と、前記閾値から第2の発光量を求め、前記検出手段の発光量と、該発光量で前記検出手段が受光する前記第1の検出パターンからの正反射光の受光量と、前記閾値から第3の発光量を求め、前記検出手段の発光量を前記第2の発光量より大きく、かつ、前記第1の発光量及び前記第3の発光量の小さい方より小さい範囲で設定することを特徴とする請求項13又は14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記第1の発光量より小さい範囲で設定した前記検出手段の発光量で前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量と、前記第1の検出パターンからの正反射光の受光量との間の値を前記閾値として設定することを特徴とする請求項14又は15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記検出手段に設定した発光量で前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が、前記正反射光の受光量の上限値未満となる様に、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記検出手段に設定した発光量で前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が前記閾値より大きく、かつ、前記第1の検出パターンからの正反射光の受光量が前記閾値未満となる様に、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記検出手段に設定した発光量及び当該発光量で前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が前記上限値未満となる様に設定した前記検出手段の感度において、前記像担持体の表面からの正反射光の受光量と前記第1の検出パターンからの正反射光の受光量との間の値を前記閾値として設定することを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記制御手段は、前記第1の検出パターンを検出する場合と、前記第2の検出パターンを検出する場合とにおいて、前記検出手段の発光量、前記閾値、又は、前記検出手段の感度が同一となるように設定することを特徴とする請求項1又は12に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンは、前記像担持体上に形成された未定着画像であることを特徴とする請求項1又は12に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記像担持体は中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1又は12に記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記検出手段は、1つの発光素子と、前記像担持体の表面又は前記像担持体に形成されたトナー像から正反射した正反射光を受光する第1の受光素子と、前記像担持体の表面又は前記像担持体に形成されたトナー像から拡散反射した拡散反射光を受光する第2の受光素子と、を含むことを特徴とする請求項1又は12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に電子写真方式、静電記憶方式の複写機、プリンタなどの画像形成装置に関する。特に、画像形成装置における濃度及び位置ずれの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の感光体を備えた画像形成装置は、感光体の機械的取り付けの誤差や、各色のレーザ光の光路長の誤差や、光路長の変化等により、各色間での相対的な位置ずれが発生する。また、使用環境やプリント枚数などの諸条件によって各色の画像濃度が変動し、カラーバランスが変動する。
【0003】
このため、特許文献1及び2は、中間転写ベルトに位置ずれと、濃度を検出するためのトナー像である検出パターンをそれぞれ形成し、位置ずれ及び濃度の補正を行う構成を開示している。特許文献1及び2では、位置ずれ及び濃度の検出パターンを同一の検出部で検出することで、装置の大型化及びコスト上昇を回避している。
【0004】
特許文献3は、位置ずれ及び濃度の補正を連続して行う必要がある場合、中間転写ベルトに位置ずれと、濃度の検出パターンの両方を形成して検出することで、補正制御処理の短縮を行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01-167769号公報
【特許文献2】特開平11-143171号公報
【特許文献3】特開2001−166553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
濃度検出のためのセンサは、中間転写ベルトや発光素子の劣化が生じても濃度検出を可能とする様に制御されている。これに対して位置ずれの検出は、検出パターン内のトナー濃度や、検出パターンと中間転写ベルト表面との濃度差を利用しているため、例えば、濃度差が小さい場合には、位置ずれを検出できない場合が生じる。位置ずれを検出できない場合には、濃度の検出結果からプロセス条件、例えば、レーザ光量、帯電バイアス、現像バイアス等を変更して、再度、位置ずれの検出を開始することになるが補正制御の時間が長くなってしまう。
【0007】
本発明は、同じ設定で位置ずれと濃度の両方の検出パターンを検出できる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、像担持体に各色のトナー像を形成する画像形成手段と、記像担持体に形成されたトナー像に光を照射する発光素子と前記発光素子から照射された光の反射光を受光する受光素子と、を有する検出手段と、前記像担持体に形成したトナー像である第1の検出パターンを前記検出手段検出した検出結果と閾値とに基づき、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の相対的な位置ずれ量を検出し、前記像担持体に形成したトナー像である第2の検出パターンを前記検出手段で検出することで、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の濃度に関する値を検出する制御を行う制御手段と、
を備えており、前記第1の検出パターンは、ブラックのトナー像の部分であるブラック部分と、その他の色の部分であるカラー部分とを含み、記位置ずれ量の検出と前記濃度の検出を連続して行う場合前記画像形成手段は、前記像担持体の回転方向において前記第1の検出パターンに続いて前記第2の検出パターンを前記像担持体に形成、又は前記像担持体の回転方向において前記第2の検出パターンに続いて前記第1の検出パターンを前記像担持体に形成し、前記制御手段は、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記検出手段が受光する前記ブラック部分からの拡散反射光の受光量が前記閾値未満であり、前記検出手段が受光する前記カラー部分からの拡散反射光の受光量が前記閾値より大きくなる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、前記閾値、又は、前記検出手段の感度を設定し、かつ、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記カラー部分からの拡散反射光の受光量が前記検出手段で受光できる拡散反射光の受光量の上限値未満となる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、又は、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、像担持体に各色のトナー像を形成する画像形成手段と、記像担持体に形成されたトナー像に光を照射する発光素子と前記発光素子から照射された光の反射光を受光する受光素子と、を有する検出手段と、前記像担持体に形成したトナー像である第1の検出パターンを前記検出手段検出した検出結果と閾値とに基づき、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の相対的な位置ずれ量を検出し、前記像担持体に形成したトナー像である第2の検出パターンを前記検出手段で検出することで、前記像担持体に形成される前記各色のトナー像の濃度に関する値を検出する制御を行う制御手段と、
を備えており、記位置ずれ量の検出と前記濃度の検出を連続して行う場合前記画像形成手段は、前記像担持体の回転方向において前記第1の検出パターンに続いて前記第2の検出パターンを前記像担持体に形成、又は前記像担持体の回転方向において前記第2の検出パターンに続いて前記第1の検出パターンを前記像担持体に形成し、前記制御手段は、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記検出手段が受光する前記第1の検出パターンからの正反射光の受光量が前記閾値未満であり、前記検出手段が受光する前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が前記閾値より大きくなる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、前記閾値、又は、前記検出手段の感度を設定し、かつ、前記第1の検出パターンの検出結果又は前記第2の検出パターンの検出結果に基づき、前記像担持体の表面からの正反射光の受光量が前記検出手段で受光できる正反射光の受光量の上限値未満となる様に、前記第1の検出パターン及び前記第2の検出パターンを検出するために用いられる前記検出手段の発光量、又は、前記検出手段の感度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
画像形成装置は、同じ設定で位置ずれと濃度の両方の検出パターンを検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による画像形成装置の画像形成部の構成図。
図2】一実施形態によるセンサ部の構成図。
図3】一実施形態による画像形成装置の構成図。
図4】一実施形態による検出パターンを示す図。
図5】一実施形態による検出パターンと検出電圧との関係を示す図。
図6】一実施形態による発光素子の光量の決定の説明図。
図7】一実施形態による発光素子の光量決定制御のフローチャート。
図8】一実施形態による検出パターンを示す図。
図9】一実施形態による検出パターンと検出電圧との関係を示す図。
図10】一実施形態による発光素子の光量の決定の説明図。
図11】一実施形態による発光素子の光量決定制御のフローチャート。
図12】一実施形態による発光素子の光量の決定の説明図。
図13】一実施形態による発光素子の光量決定制御のフローチャート。
図14】一実施形態による受光素子を含むセンサ部の構成図。
図15】一実施形態による感度の決定の説明図。
図16】一実施形態によるセンサ部の感度決定制御のフローチャート。
図17】一実施形態による受光素子を含むセンサ部の構成図。
図18】一実施形態によるセンサ部の閾値及び感度決定制御のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)図1は、本実施形態による画像形成装置の画像形成部の概略的な構成図である。なお、以下の各図において、実施形態の理解に必要ではない構成要素は簡略化のため省略する。なお、図1において、参照符号の最後のアルファベットがaの構成要素は、イエロー(Y)のトナー像を中間転写ベルト80に形成するものである。同様に、参照符号の最後のアルファベットがb、c、dの構成要素は、それぞれ、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を中間転写ベルト80に形成するものである。なお、各色のトナー像を中間転写ベルト80に形成する構成要素の動作は現像剤であるトナーの色以外は各色の構成要素で同様であるため、以下では、代表してイエローのトナー像を中間転写ベルト80に形成する構成要素について説明する。
【0013】
帯電ローラ2aは、像担持体である感光体1aと当接し感光体表面を均一に帯電する。露光部11aは、画像信号に基づいて変調されたレーザ光12aを感光体1a上に照射して感光体1aに静電潜像を形成する。現像ユニット8aは、イエローのトナーを有し、感光体1aに当接された現像ローラ4aにより感光体1aの静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。1次転写ローラ81aは、感光体1aに形成されたトナー像を像担持体である中間転写ベルト80に転写する。クリーニングユニット3aは、中間転写ベルト80に転写されず、感光体1aに残ったトナーをクリーニングする。なお、感光体1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a及び現像ユニット8aは、画像形成装置から着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aとなっている。
【0014】
中間転写ベルト80は、二次転写対向ローラ86、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト80は感光体1a〜1dに対して順方向に略同速度で移動する。中間転写ベルト80に、各色のトナー像を重ね合わせて転写することでカラー画像が形成される。中間転写ベルト80に転写されたトナー像は、二次転写ローラ82により搬送経路87を搬送される記録材に転写される。記録材に転写されたトナー像は図示しない定着部により定着される。
【0015】
また、画像形成部には、図1に示す様に中間転写ベルト80と対向する位置に、位置ずれ及び濃度検出及び補正のためのセンサ部60が設けられている。図2は、本実施形態によるセンサ部60の構成図である。センサ部60は、中間転写ベルト80に向けて光を照射する発光素子203と、発光素子203が発光し、中間転写ベルト80の表面又はその表面に形成した検出パターンで反射した光を受光する受光素子204及び205を備えている。なお、受光素子204は、中間転写ベルト80の表面又は検出パターンで拡散反射した光を受光し、受光素子205は正反射した光を受光する様に設けられ、受光素子204及び205のそれぞれは受光量に応じた検出電圧を出力する。なお、中間転写ベルト80の各側に形成する検出パターンを検出する様に、発光素子203と、受光素子204及び205の組も、中間転写ベルト80の各側に設けられている。なお、図2は、位置ずれの検出パターン206と、濃度の検出パターン207が中間転写ベルト80に形成されている様子も示している。なお、本実施形態は、検出パターンを中間転写ベルトに形成してセンサ部60で検出するものであるが、検出パターンを形成するのは記録材を含む任意の像担持体とすることができる。
【0016】
図3は、画像形成装置のシステム構成を説明するためのブロック図である。コントローラ301は、ホストコンピュータ300及びエンジン制御部302と相互に通信が可能となっている。コントローラ301は、位置ずれ及び濃度の補正制御を実行する場合は、補正制御開始コマンドを、エンジン制御部302に出力する。CPU311は、インタフェース部310経由で補正制御開始コマンドを受信すると、画像制御部313に補正制御開始を指示する。画像制御部313は、補正制御開始の指示を受け取ると、画像形成部を制御して、検出パターンを形成するための準備を行う。準備完了後、CPU311は、コントローラ301に、検出パターンに対応する画像信号の送信を要求する。コントローラ301は、CPU311からの要求に応じて画像信号をエンジン制御部302に出力する。
【0017】
画像処理GA312は、コントローラ301から画像信号を受信すると、画像制御部313に画像形成データを送信し、画像制御部313は、画像形成データにより検出パターンを中間転写ベルト80に形成する様に画像形成部を制御する。その後、CPU311は、検出パターンの濃度に応じた電圧値をセンサ部60から取得する。CPU311は、取得したセンサ部60の検出電圧値により、形成した各色の検出パターンの濃度補正量と、主走査及び副走査方向それぞれについての各色の検出パターンの位置ずれ補正量を計算する。CPU311は、その後、計算した位置ずれ補正量及び濃度補正量を、インタフェース部310経由でコントローラ301に通知する。
【0018】
図4は、本実施形態で使用する検出パターンを示す図であり、図4(A)は位置ずれの検出パターン206(第1の検出パターン)を、図4(B)は濃度の検出パターン207(第2の検出パターン)を示している。なお、検出パターン206及び207は、図2に示す様にそれぞれ中間転写ベルト80の各側に形成する。また、本実施形態において、位置ずれ及び濃度の補正を連続して行うため、位置ずれの検出パターン206の中間転写ベルト80の進行方向の後ろ側に濃度検出用の検出パターン207を形成する。なお、検出パターン206及びその後の検出パターン207は、例えば、中間転写ベルト80の一周に渡り繰り返し形成することができる。
【0019】
図4(A)に示す様に、位置ずれの検出パターン206は、イエロー(Y)のトナー像の上にブラック(K)のトナー像を形成した検出パターンと、マゼンダ(M)及びシアン(C)単独のトナー像の検出パターンで構成される。なお、ブラックのトナー像を形成するのは、イエローのトナー像ではなく、マゼンダ又はシアンのトナー像の上であっても良い。濃度の検出パターン207は、各色について、複数の濃度のトナー像で構成される。なお、以下の説明において、位置ずれの検出パターン206のうち、イエロー、マゼンダ及びシアンの部分を、カラー部分と呼び、ブラックの部分をブラック部分と呼ぶものとする。
【0020】
CPU311は、センサ部60の受光素子204が出力する、受光した拡散反射光量に応じた検出電圧を閾値判定することにより各色部分の境界を判定し、これにより、各色間の相対的な位置ずれ量を検出する。ここで、中間転写ベルト80の表面からの拡散反射光は少ないため、センサ部60の検出領域に検出パターンが無い場合、受光素子204の検出電圧は低くなる。この状態で、図5(A)のイエローの部分がセンサ部60の検出領域に移動すると、カラー部分では拡散反射光の受光量が増加するため、受光素子204の検出電圧は上昇する。受光素子204の検出電圧が閾値を超えたときに、CPU311は中間転写ベルト80の表面とカラー部分の境界を越えたと判定する。その後、図5(A)のブラック部分がセンサ部60の検出領域に移動すると、ブラック部分からの拡散反射光は少ないため、受光素子204の検出電圧は減少する。CPU311は、検出電圧が閾値を下回った時にカラー部分とブラック部分の境界を越えたと判定する。その後、再度、受光素子204の検出電圧が上昇し、検出電圧が閾値を超えたときに、CPU311はブラック部分とカラー部分の境界を越えたと判定する。さらに、受光素子204の検出電圧が再度減少し、検出電圧が閾値を下回った時に、CPU311はカラー部分と中間転写ベルト80の表面との境界を越えたと判定する。なお、マゼンダ及びシアンの検出パターンの場合、受光素子204の検出電圧が上昇して閾値を超えたときと、その後の検出電圧の減少により閾値を下回った時に、それぞれ、検出パターン206と中間転写ベルト80の境界を越えたと判定する。
【0021】
したがって、検出パターン206のカラー部分を検知しているときの受光素子204の検出電圧は閾値より大きくなければならない。また、ブラック部分を検知しているときの受光素子204の検出電圧は閾値より小さくなければならない。
【0022】
また、濃度制御時、CPU311は、センサ部60の受光素子205が受光する正反射光及び受光素子204が受光する拡散反射光により濃度を判定する。ここで、受光素子204の出力や、出力をデジタル変換する際のA/D変換器において飽和が発生すると濃度の検出ができなくなる。したがって、飽和が発生しない検出電圧の上限値、つまり、受光素子204が受光できる上限値を決定し、図5(B)に示す様に、受光素子204の検出電圧が上限値未満となる様にしなければならない。
【0023】
例えば、カラー部分の濃度が薄く、かつ、発光素子203の光量が少ないことにより、カラー部分検出時の受光素子204の検出電圧が閾値を越えない場合、CPU311は、検出パターン206の位置を検出することができなくなる。また、ブラック部分の濃度が薄く、かつ、発光素子203の光量が多いことにより、ブラック部分検出時の受光素子204の検出電圧が閾値を下回らない場合にも、CPU311は、検出パターン206の位置を検出することができなくなる。さらに、発光素子203の光量が多いことにより、検出パターン207検出時の受光素子204の検出電圧が飽和する場合には、濃度を検出することができなくなる。
【0024】
位置ずれの検出パターン206は、通常、最大濃度で形成する。しかし、検出パターン206のトナー像の表面の状態は一様ではないため、拡散反射光には、ばらつきが生じる。よって、このばらつきを考慮した上で、受光素子204が検出するカラー部分の最小電圧値と、ブラック部分の最大電圧値を、補正制御の開始によりまず求める。この場合、求めた各電圧値が以下の条件を満たせば、位置検出ができなくなることを防ぐことができる。
カラー部分検出時の最小電圧値 > 閾値 (1)
ブラック部分検出時の最大電圧値 < 閾値 (2)
【0025】
同様に、受光素子204が検出する濃度の検出パターン207の最大電圧値を測定により求める。この場合、求めた各電圧値が以下の条件を満たせば、濃度検出ができなくなることを防ぐことができる。
検出パターン207検出時の最大電圧値 < 受光素子204の受光量の上限値 (3)
【0026】
なお、濃度検出において、拡散反射光が最大となるのは、最大濃度のトナー像を形成したときであり、位置検出の検出パターン206は最大濃度で形成することから、式(3)の条件は、
カラー部分検出時の最大電圧値 < 受光素子204の受光量の上限値 (4)
との条件に置きかえることができる。
【0027】
続いて、図6を用いて、式(1)、(2)及び(4)を満たす様に発光素子203の光量を変更する方法を説明する。図6において開始光量とは、発光素子203への電流を増加させたときに、初めて発光を開始する点である。なお、本実施形態においては、点616の開始光量及び受光素子204の暗電圧については、予め図示しない記憶部に保存しておくものとする。点616は、開始光量における検出電圧が暗電圧であることを示し、以下に述べる発光光量制御の基準値となる。なお、本実施形態においては、閾値は予め決められており、センサ部60の感度も、予め決められた値であるものとする。点614は、発光素子203を任意の測定光量にしてセンサ部60が検出したカラー部分の最小電圧値を示す点である。点614と点616を結ぶ直線611は、発光素子203の光量と、カラー部分検出時のセンサ部60の最小電圧値との関係を示すものとなる。式(1)より、発光素子203は、直線611が閾値より上となる光量は使用できるが、閾値以下となる光量は使用できない。よって、符号621で示す位置の光量は、発光素子203の最小光量となる。
【0028】
同様に、点615は、発光素子203を任意の測定光量にしてセンサ部60が検出したブラック部分の最大電圧値を示す点である。点616と点615を結ぶ直線612は、発光素子203の光量と、ブラック部分検出時のセンサ部60の最大電圧値との関係を示すものとなる。式(2)より、発光素子203は、直線612が閾値未満となる光量は使用できるが、閾値以上となる光量は使用できない。よって、発光素子203は、少なくとも、符号622で示す光量より小さい光量としなければならない。以下、符号622の位置の光量を最大光量候補と呼ぶものとする。
【0029】
さらに、点613は、発光素子203を任意の測定光量にしてセンサ部60が検出したカラー部分の最大電圧値を示す点である。点616と点613を結ぶ直線610は、発光素子203の光量と、カラー部分検出時のセンサ部60の最大電圧値との関係を示すものとなる。式(4)より、発光素子203は、直線610が上限値未満となる光量は使用できるが、上限値以上となる光量は使用できない。よって、発光素子203は、少なくとも、符号620で示す光量より小さい光量としなければならない。以下、符号620の位置の光量を最大光量候補と呼ぶものとする。
【0030】
したがって、図6に示す状態である場合、発光素子203に設定可能な光量の下限は符号621で示す最小光量(第2の発光量)となる。一方、発光素子203に設定可能な光量の上限は符号620で示す最大光量候補(第1の発光量)及び符号622で示す最大光量候補(第3の発光量)の小さい方となる。図6の例では、符号620で示す位置の光量が最大光量となる。よって、発光素子203に設定可能な光量の範囲は符号617で示す範囲となる。本実施形態においては、最小光量と最大光量の間の光量、例えば中間の光量を、発光素子203の光量に設定するが、最小光量と最大光量の間であれば、任意の光量に設定可能である。
【0031】
図7は、第一実施形態においてエンジン制御部302が実行する発光素子203の光量設定のフローチャートである。CPU311は、位置ずれ及び濃度検出制御の開始により、S10において、各検出パターンを画像形成部に形成させる。S11において、CPU311は、検出パターン206のカラー部分の検出電圧の最小値及び最大値と、ブラック部分の検出電圧の最大値を取得する。S12において、CPU311は、カラー部分の検出電圧の最小値により最小光量を判定する。S13において、CPU311は、カラー部分の検出電圧の最大値と、ブラック部分の検出電圧の最大値により、上述した様に最大光量を判定する。最後に、CPU311は、S14において、最小光量と最大光量の間の光量を発光素子203に設定する光量に決定する。一例として、最小光量と最大光量の中間の光量を発光素子203に設定することができる。なお、上記処理を行った後、CPU311は、形成した検出パターンにより位置ずれ及び濃度補正を実行する。
【0032】
以上の構成により、位置ずれ検出と濃度検出を連続して実行するための発光素子203の発光量を決定して設定することができる。
【0033】
(第二実施形態)第一実施形態は、位置ずれ及び濃度の検出の両方に使用する拡散反射光の受光素子204の受光量により発光素子203の光量を設定するものであった。本実施形態においては、受光素子205が受光する正反射光の受光量により位置ずれを決定する。よって、両方の制御で使用する正反射光の受光素子205の受光量により発光素子203の光量を設定する。なお、以下では、第一実施形態との相違点を中心に説明し、画像形成装置の構成等、第一実施形態と同様な部分については説明を省略する。
【0034】
本実施形態においては、位置ずれ検出のために、図4(A)の検出パターン206に代えて、図8に示す検出パターン206を使用する。図8の検出パターンは、イエローのトナー像の上にブラックのトナー像を形成するのではなく、それぞれ、個別に形成する点で、図4(A)の検出パターン206とは異なる。
【0035】
検出パターン206での正反射光は、中間転写ベルト80の表面での正反射光より小さく、かつ、検出パターン206の濃度が濃いほど小さくなる。よって、図9(A)に示す様に、検出パターン206を検出しているときの受光素子205の検出電圧は、中間転写ベルト80の表面を検出している場合より小さくなる。よって、受光素子205の検出電圧が閾値未満のとき、CPU311は検出パターン206を検出していると判定する。つまり、中間転写ベルト80の表面を検出しているときの受光素子205の検出電圧は閾値より大きく、かつ、検出パターン206を検出しているときの受光素子205の検出電圧は閾値より小さくなければならない。
【0036】
また、図9(B)に示す様に、濃度検出のためには、濃度の検出パターン207を検出しているときの受光素子205の検出電圧は、受光素子205の検出電圧の上限値、つまり、受光素子205が受光できる上限値より小さくなければならない。
【0037】
中間転写ベルト80や検出パターンからの正反射光は、中間転写ベルト80や検出パターンの表面状態が一様ではないためばらつきが生じる。よって、このばらつきを考慮した上で、受光素子205が検出する中間転写ベルト80の最小電圧値と、位置ずれの検出パターン206の最大電圧値を測定により求める。この場合、求めた各電圧値が以下の条件を満たせば、位置検出ができなくなることを防ぐことができる。
中間転写ベルト表面検出時の最小電圧値 > 閾値 (5)
検出パターン206検出時の最大電圧値 < 閾値 (6)
【0038】
同様に、受光素子205が検出する濃度の検出パターン207の最大電圧値を測定により求める。この場合、求めた電圧値が以下の条件を満たせば、濃度検出ができなくなることを防ぐことができる。
検出パターン207検出時の最大電圧値 < 受光素子205の受光量の上限値(7)
【0039】
なお、正反射光が最大となるのは、中間転写ベルト80表面の検出時であり、よって、式(7)の条件は、
中間転写ベルト表面検出時の最大電圧値 < 受光素子205の受光量の上限値(8)
との条件に置きかえることができる。
【0040】
続いて、図10を用いて、式(5)、(6)及び(8)を満たす様に発光素子203の光量を変更する方法を説明する。点916は既に説明した開始光量である。なお、本実施形態においても、点916の開始光量及び暗電圧については、予め図示しない記憶部に保存しておくものとする。また、点914は、発光素子203を任意の測定光量に設定し、受光素子205が中間転写ベルト80表面を検出しているときの最小電圧値を示す点である。点914と点916を結ぶ直線911は、発光素子203の光量と、中間転写ベルト80表面検出時の最小電圧値との関係を示すものとなる。式(5)より、発光素子203は、直線911が閾値より上となる光量は使用できるが、閾値以下となる光量は使用できない。よって、符号921で示す位置の光量は、発光素子203の最小光量となる。
【0041】
同様に、点915は、発光素子203を任意の測定光量に設定したときの、受光素子205による検出パターン206検出時の最大電圧値を示す点である。点916と点915を結ぶ直線912は、発光素子203の光量と、検出パターン206を検出しているときの最大電圧値との関係を示すものとなる。式(6)より、発光素子203は、直線912が閾値未満となる光量は使用できるが、閾値以上となる光量は使用できない。よって、発光素子203は、少なくとも、符号922で示す光量より小さい光量としなければならない。以下、符号922の位置の光量を最大光量候補と呼ぶものとする。
【0042】
さらに、点913は、発光素子203を任意の測定光量に設定したときの、受光素子205が中間転写ベルト80表面を検出しているときの最大電圧値を示す点である。点916と点913を結ぶ直線910は、発光素子203の光量と、中間転写ベルト80表面を検出している時の最大電圧値との関係を示すものとなる。式(8)より、発光素子203は、直線913が上限値未満となる光量は使用できるが、上限値以上となる光量は使用できない。よって、発光素子203は、少なくとも、符号920で示す光量より小さい光量としなければならない。以下、符号920の位置の光量を最大光量候補と呼ぶものとする。
【0043】
CPU311は、第一実施形態と同様に最大光量候補の小さい方を最大光量とする。第一実施形態と同様、発光素子203に設定可能な光量の範囲は、符号917で示す最小光量より大きく最大光量未満の範囲となる。なお、本実施形態においては、最小光量と最大光量の中間の光量を、発光素子203の光量に設定するが、最小光量と最大光量の間であれば、任意の光量に設定可能である。
【0044】
図11は、第二実施形態においてエンジン制御部302が実行する発光素子203の光量設定のフローチャートである。CPU311は、位置ずれ及び濃度検出制御の開始により、S20において、各検出パターンを画像形成部に形成させる。S21において、CPU311は、受光素子205による中間転写ベルト80表面検出時の検出電圧の最小値及び最大値と、位置ずれの検出パターン206検出時の検出電圧の最大値を取得する。S22において、CPU311は、中間転写ベルト80表面検出時の受光素子205の検出電圧の最小値より最小光量を判定する。S23において、CPU311は、中間転写ベルト80検出時の受光素子205の検出電圧の最大値と、検出パターン206検出時の受光素子205の検出電圧の最大値により、最大光量を判定する。最後に、CPU311は、S24において、最小光量と最大光量の間の光量を発光素子203に設定する光量に決定する。一例として、最小光量と最大光量の中間の光量を発光素子203に設定することができる。
【0045】
以上の構成により、位置ずれ検出と濃度検出を連続して実行するための発光素子203の発光量を決定して設定することができる。
【0046】
(第三実施形態)第一実施形態及び第二実施形態は、受光素子204又は205の受光光量により発光素子203の光量を設定するものであった。しかしながら、いずれか一方の受光素子を使用して、発光素子203の光量を変更すると、他方の受光素子の受光光量も変化し、例えば、他方の受光素子の受光量が受光範囲外となることが生じ得る。本実施形態は、第一実施形態の構成において、受光素子205の検出電圧、つまり正反射光の受光量も考慮して発光素子203の光量の設定を行うものである。なお、以下では、第一実施形態との相違点を中心に説明し、画像形成装置の構成等、第一実施形態と同様な部分については説明を省略する。
【0047】
本実施形態は、第一実施形態における式(1)、式(2)及び式(4)の条件に加えて、第二実施形態における式(8)を条件とすることで、発光素子203の光量を設定するものである。
【0048】
続いて、図12を用いて、式(1)、(2)、(4)及び式(8)を満たす様に発光素子203の光量を変更する方法を説明する。なお、図12は、図6のグラフに、式(8)に関する関係を追加したものであり、図6にて説明した内容については再度の説明を省略する。
【0049】
図12の符号670は、受光素子205の開始光量と暗電圧の関係を示している。つまり、点670は、図10の点916に対応するものである。点671は、任意の測定光量において、中間転写ベルト80表面検出時の受光素子205の最大電圧値を示す点である。点671と点670を結ぶ直線672は、発光素子203の光量と、受光素子205が検出する中間転写ベルト80の最大電圧値との関係を示すものとなる。式(8)より、発光素子203は、直線672が、受光素子205の上限値未満となる光量は使用できるが、受光素子205の上限値以上となる光量は使用できない。よって、符号673で示す光量も、符号622及び620で示す光量と共に発光素子203の最大光量候補となる。
【0050】
したがって、図12に示す状態である場合、発光素子203に設定可能な光量の下限は符号621で示す最小光量となる。一方、発光素子203に設定可能な光量の上限は符号620、622及び673で示す3つの最大光量候補の最も小さいものとなる。つまり、符号673で示す位置の光量が最大光量となる。よって、発光素子203に設定可能な光量の範囲は符号617で示す範囲となる。本実施形態においては、最小光量と最大光量の中間の光量を、発光素子203の光量に設定するが、最小光量と最大光量の間であれば、任意の光量に設定可能である。
【0051】
図13は、第三実施形態においてエンジン制御部302が実行する発光素子203の光量設定のフローチャートである。CPU311は、位置ずれ及び濃度検出制御の開始により、S30において、各検出パターンを画像形成部に形成させる。S31において、CPU311は、受光素子204が検出するカラー部分の検出電圧の最小値及び最大値と、ブラック部分の検出電圧の最大値を取得する。さらに、受光素子205が検出する中間転写ベルト80表面の検出電圧の最大値を取得する。S32において、CPU311は、カラー部分の検出電圧の最小値により最小光量を判定する。S33において、CPU311は、カラー部分の検出電圧の最大値と、ブラック部分の検出電圧の最大値と、中間転写ベルト80の検出電圧の最大値から、上述した様に最大光量を判定する。最後に、CPU311は、S34において、最小光量と最大光量の間の光量を発光素子203に設定する光量に決定する。
【0052】
以上の構成により、位置ずれ検出と濃度検出を連続して実行するための発光素子203の発光量を決定して設定することができる。
【0053】
なお、上記各実施形態において、正反射光や拡散反射光のばらつきを考慮して、受光素子204及び205が検出する検出電圧の最大値や最小値を求めたが本発明はこれに限定されない。つまり、1回の測定の値を使用する構成であっても良い。また、複数回の測定の最大値や最小値ではなく平均値等を使用する構成であっても良い。
【0054】
(第四実施形態)第一実施形態から第三実施形態は、受光素子204又は205の受光光量により発光素子203の光量を設定するものであった。本実施形態では、受光素子204の受光感度を変更することで、同時に位置ずれ検出と濃度検出を成功させる方法を説明する。なお、以下では、第一実施形態との相違点を中心に説明し、画像形成装置の構成等、第一実施形態と同様な部分については説明を省略する。
【0055】
図14は、センサ部60の受光素子204の受光感度を変更する構成を示している。CPU311からの駆動信号Vledonは、ベース抵抗1403を介してトランジスタなどのスイッチング素子1404を駆動し、電流制限抵抗1405で発光素子203に流れる電流を制御することで発光制御を行う。中間転写ベルト80及び検出パターンからの拡散反射光を受光素子204で検出し、検出した反射光量に応じた光電流が抵抗1401に流れることにより、反射光量は、アナログ信号として検出される。分圧抵抗1406及び1407で設定する所望の閾値電圧である基準電圧と、検出したアナログ信号とをコンパレータ1402などを用いて比較することにより、アナログ信号はデジタル信号Vdoutに変換される。Vdoutは、例えば、CPU311に入力され、CPU311は、Vdoutの変化から検出パターン206の各色の境界を検出する。つまり、閾値電圧は、例えば、図6に示す位置ずれの検出パターン206を検出するための閾値に対応する。感度調整部1408は、トランジスタなどを用いてコンパレータ1402に入力されるアナログ信号を分圧することで、その電圧レベルを調整する。つまり、感動調整部1406は、受光素子204の受光感度(ゲイン)を変更する。
【0056】
図15は、図6のグラフに、各検出電圧との差の値1517から1519を追加したものである。なお、差の値1517は、受光素子204の受光可能な上限値からカラー部分の検出電圧の最大値613を減じたものである。また、差の値1518は、カラー部分の検出電圧の最小値614から閾値を減じたものである。さらに、差の値1519は、閾値からブラック部分の検出電圧の最大値615を減じたものである。なお、図6にて説明した内容については再度の説明を省略する。
【0057】
図15に示す各値の測定時の感度調整部1408の感度をGとし、開始光量と測定光量の差をXとすると、
最大電圧613−受光素子204の暗電圧=G・α1・X (9)
最小電圧614−受光素子204の暗電圧=G・α2・X (10)
最大電圧615−受光素子204の暗電圧=G・α3・X (11)
となる。なお、α1及びα2はカラー部分からの拡散反射光の反射率及びそのばらつきにより決まる係数であり、α3はブラック部分からの拡散反射光の反射率及びそのばらつきにより決まる係数である。
【0058】
式(9)〜(11)より、差の値1517、1518及び1519はいずれも感度調整部1408の感度Gの関数となる。本実施形態においては、例えば、差の値1517、1518及び1519の分散が最小になる様に感度Gを設定することで、位置ずれ及び濃度の検出に関するマージンを最適化する。しかしながら、最大値613が上限値を超えず、最小値614が閾値より大きく、最大値615が閾値を超えない任意の感度Gを使用することができる。つまり、各差の値1517、1518及び1519が共に0未満とならない感度Gを使用することができる。なお、分散は、差の値1517、1518及び1519をそれぞれD1、D2、D3とし、D1からD3の平均値をAとすると、
((D1−A)+(D2−A)+(D3−A))/3
である。
【0059】
図16は、第四実施形態においてエンジン制御部302が実行する受光素子204の感度設定のフローチャートである。CPU311は、位置ずれ及び濃度検出制御開始により、S40において、各検出パターンを画像形成部に形成させる。S41において、CPU311は、受光素子204が検出するカラー部分の検出電圧の最小値及び最大値と、ブラック部分の検出電圧の最大値を取得する。S42において、CPU311は、受光素子204の上限電圧からカラー部分の検出電圧の最大値を減じることで図15の差1517に対応する濃度検知マージンを計算する。S43において、CPU311は、カラー部分の検出電圧の最小値から閾値を減じることにより、図15の差1518に対応するカラー部分の位置ずれ検知マージンを計算する。S44において、CPU311は、閾値からブラック部分の検出電圧の最大値を減じることにより、図15の差1519に対応するブラック部分の位置ずれ検知マージンを計算する。最後に、CPU311は、S45において、例えば、上記3つのマージンの分散が最小になる感度を求める。なお、各マージンが0未満とならない任意の感度とすることができる。
【0060】
以上の構成により、位置ずれ検出と濃度検出を連続して実行するための受光素子204の感度を決定して設定することができる。なお、拡散反射光の受光素子204ではなく正反射光の受光素子205を使用する場合においても、同様に、受光素子205の感度を調整することにより位置ずれ検出と濃度検出を連続して実行することができる。つまり、第二実施形態における発光光量の制御に代えて、受光素子205の感度を制御することができる。
【0061】
(第五実施形態)第四実施形態は、受光素子の受光感度を変更するものであった。本実施形態は、受光素子の受光感度に加え、閾値も変更することで、同時に位置ずれ検出と濃度検出を成功させる。なお、以下では、第四実施形態との相違点を中心に説明し、画像形成装置の構成等、第四実施形態と同様な部分については説明を省略する。
【0062】
図17は、図14に示す検出部に、位置ずれの検出パターン206を検出するための閾値を変更する切替部1409を追加したものである。切替部1409は、トランジスタなどを用いてコンパレータ1402に入力される基準電圧を分圧することで閾値を変更する。
【0063】
図18は、本実施形態においてエンジン制御部302が実行する閾値及び受光素子の感度設定制御のフローチャートである。なお、S50からS54は、図16のS40からS44と同様であるため説明は省略する。CPU311は、S55において、S52からS54で求めた3つの検知マージンが等しくなるように受光素子204の感度及び閾値を変更する。しかしながら、最大値613が、受光素子204の上限未満であり、閾値が最小値614と最大値615の間にあれば良く、その範囲で閾値及び感度を設定する。
【0064】
例えば、最大値613が、受光素子204の上限未満であれば、閾値を最小値614と最大値615の間となる様に調整すれば良い。また、例えば、最大値613が、受光素子204の上限値を超えている場合や、超えていないがマージンが少ない場合いは、十分なマージンを確保できる感度を決定する。その後、CPU311は、決定した感度での最小値615と最小値614の変化を計算し、計算した最小値615と最小値614の間となる閾値を決定することができる。なお、その場合には、例えば、発光素子203の光量は一定としておく。
【0065】
以上の構成により、位置ずれ検出と濃度検出を連続して実行するための受光素子204の受光感度と、位置ずれの検出パターン206検出用の閾値を設定することができる。
【0066】
なお、上記実施形態において、拡散反射光の受光素子204の感度と閾値を制御したが、本発明はこれに限定されない。つまり、第二実施形態と同様に正反射光を使用する構成であっても良い。さらに、上記実施形態においては、受光素子204の感度と閾値を制御対象としていたが、発光素子203の発光光量と閾値とすることもできる。つまり、例えば、図6の最大値613が上限値より大きい場合には、発光光量を制御し、最小値614と最大値615については、閾値を変更する形態であっても良い。より具体的には、図6及び図10の最大値913が受光素子の上限値未満とするために、発光素子203の発光光量及び/又は受光素子の感度を調整する。そして、決定した発光光量及び感度における図6の最小値614及び最大値615や、図10の最小値914と最大値915を計算する。そして閾値が、図6の計算した最小値614及び最大値615の間や、図10の最小値914及び最大値915の間となる様に、発光光量、感度及び/又は閾値を調整すれば良い。
【符号の説明】
【0067】
80:中間転写ベルト、60:センサ部、302:エンジン制御部
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