(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドレンの貯留室と、該貯留室に設けられたフロートと、上記貯留室の側壁に貫通して設けられ、内部がドレンの排出路を構成すると共に上記貯留室側の端部に該貯留室のドレンが上記排出路に流入する連通口が形成されたシリンダ部材と、圧力室と、上記シリンダ部材に挿通され、上記貯留室のドレンが上記圧力室に流入するパイロット流路を有し、上記圧力室の圧力に応じて進退し上記排出路を開閉する排出弁とを備え、上記フロートが下降し上記排出弁に接して上記パイロット流路の開口を閉じることにより、上記排出弁が後退して上記排出路を閉じるドレントラップであって、
上記連通口は、上記貯留室のドレンが上記連通口へ向かうドレン流れによって生じる吸引力の合力が上記フロートを下方へ引っ張る力となるように、上記シリンダ部材の周方向における位置および大きさが設定されている
ことを特徴とするドレントラップ。
ドレンの貯留室と、該貯留室に設けられたフロートと、上記貯留室の側壁に貫通して設けられ、内部がドレンの排出路を構成すると共に上記貯留室側の端部に該貯留室のドレンが上記排出路に流入する連通口が形成されたシリンダ部材と、圧力室と、上記シリンダ部材に挿通され、上記貯留室のドレンが上記圧力室に流入するパイロット流路を有し、上記圧力室の圧力に応じて進退し上記排出路を開閉する排出弁とを備え、上記フロートが下降し上記排出弁に接して上記パイロット流路の開口を閉じることにより、上記排出弁が後退して上記排出路を閉じるドレントラップであって、
上記連通口は、上記シリンダ部材における上半部と下半部のうち下半部または上半部と下半部の両方に形成され、上半部と下半部の両方に形成された場合、下半部に形成された上記連通口の大きさの総和は上半部に形成された上記連通口の大きさの総和よりも大きい
ことを特徴とするドレントラップ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0013】
本実施形態のドレントラップ1は、パイロット式のスチームトラップを構成し、例えば蒸気システムに設けられ、蒸気の凝縮によって発生したドレン(復水)を貯留し自動的に排出するものである。
図1に示すように、ドレントラップ1は、密閉容器であるケーシング10と、排出機構20とを備えている。
【0014】
ケーシング10は、本体部11に蓋部12がボルトで締結されてなり、内部にドレンの貯留室13が形成されている。本体部11は、ドレンの流入通路14および排出通路15を有している。貯留室13の上部には、円筒状のスクリーン18が設けられている。流入通路14はスクリーン18を介して貯留室13の上部に連通しており、流入通路14のドレンはスクリーン18を通過して貯留室13に貯留される。
【0015】
貯留室13には、中空球形のフロート16が自由状態で設けられている。フロート16は、貯留室13のドレン水位に応じて上昇下降する。貯留室13のやや下部には、フロート16が着座する一対(2つ)のフロート座17が設けられている。一対のフロート座17は、
図1において紙面の奥側と手前側(図示省略)とに1つずつ設けられている。また、一対のフロート座17は、フロート16を排出機構20へ案内するガイド部材を構成している。以下で言及する「奥側」および「手前側」は、
図1や
図2において紙面の奥側および手前側を意味する。
【0016】
排出機構20は、貯留室13の下部に設けられ、貯留室13のドレンのみを排出通路15に排出するものである。具体的に、排出機構20は、貯留室13の側壁19に貫通して取り付けられている。側壁19は、ケーシング10の内部空間を貯留室13と排出通路15とに仕切る仕切部材である。側壁19は、略上下方向に延びている。排出機構20は、シリンダ部材21と、排出弁31とを備えている。
【0017】
図2にも示すように、シリンダ部材21は、略円筒状に形成されており、排出通路15側から貯留室13の側壁19にやや斜め上方へ向かって貫通している。つまり、シリンダ部材21は前端部(
図2において左側端部)が側壁19から貯留室13に突出している。シリンダ部材21の内部は、その軸方向に延びる排出路22となっている。また、シリンダ部材21には、径方向に貫通して排出通路15と排出路22とを連通させる2つの連通口24が形成されている。2つの連通口24は、奥側と手前側(図示省略)とに設けられている。シリンダ部材21の内部には、内周面から突出して形成された環状の弁座25が設けられている。
【0018】
図3および
図4に示すように、シリンダ部材21の貯留室13に位置する前端部(即ち、貯留室13側の端部)には、径方向に貫通して貯留室13と排出路22とを連通させる連通口23が形成されている。つまり、排出機構20では、貯留室13側の連通口23、排出路22および排出通路15側の連通口24を介して、貯留室13と排出通路15とが連通している。貯留室13側の連通口23の詳細については後述する。
【0019】
排出弁31は、シリンダ部材21の排出路22に挿通されている。排出弁31は、ピストン部32およびロッド部33を有している。ロッド部33は、シリンダ部材21の軸方向に延びる部材であり、シリンダ部材21と同軸に設けられている。ピストン部32は、環状に形成され、ロッド部33の後端側(
図2において右側)に取り付けられている。ピストン部32は、外周面が排出路22の壁面(即ち、シリンダ部材21の内周面)と摺動自在に接しており、シリンダ部材21の内部を軸方向に仕切っている。ロッド部33の前端側(
図2において左側)は拡径された弁体34となっており、この弁体34が弁座25に離着座することにより排出路22が開閉される。また、ロッド部33には軸方向に貫通するパイロット流路35が形成されている。パイロット流路35は、前端側の開口(即ち、弁体34側の開口)がフロート16によって開閉される。
【0020】
シリンダ部材21の後方には、プラグ37が設けられている。シリンダ部材21は、プラグ37によって側壁19に押し付けられて固定されている。排出機構20では、シリンダ部材21の後端側の開口がプラグ37によって閉塞されることで、排出弁31の後方に圧力室36が形成されている。パイロット流路35は、貯留室13と圧力室36とを連通させる通路であり、貯留室13のドレンが圧力室36に流入する。なお、排出弁31のピストン部32には、圧力室36と排出路22とを連通させる微小な逃がし流路32aが設けられている。
【0021】
排出機構20では、圧力室36の圧力に応じて排出弁31がシリンダ部材21の軸方向に進退(変位)し排出路22を開閉するように構成されている。即ち、貯留室13の水位が低い場合、フロート16が排出弁31の弁体34(ロッド部33の前端)に接してパイロット流路35が閉じられる。そうすると、排出弁31の弁体34が弁座25に着座して排出路22が閉じられた状態となる(
図2に実線で示す状態)。このとき、フロート16はフロート座17に着座した状態になる。
【0022】
貯留室13の水位が上昇すると、それに伴ってフロート16が上昇し排出弁31の弁体34(ロッド部33の前端)から離隔する。そうすると、パイロット流路35が開き、貯留室13のドレンがパイロット流路35を通じて圧力室36に流入する。ここで、ドレントラップ1では、流入通路14および貯留室13が高圧側、排出通路15が低圧側となっている。また、圧力室36では、その圧力室36(高圧側)と排出通路15(低圧側)との圧力差によって、逃がし流路32a、排出路22および連通口24を介して排出通路15にドレンが流出するが、その流出するドレンの流量は貯留室13からパイロット流路35を介して圧力室36に流入するドレンの流量よりも少なくなるように構成されている。そのため、圧力室36ではドレンの流入に伴って圧力が上昇する。そして、圧力室36の圧力が所定の圧力に達すると、その圧力によって排出弁31が前進(
図2において左方向へ移動)する。これにより、排出弁31の弁体34が弁座25から離座して排出路22が開き(
図2に二点鎖線で示す状態)、連通口23と排出路22とが連通する。そうすると、貯留室13のドレンは、連通口23、排出路22および連通口24を通じて排出通路15に排出される。
【0023】
上記のドレン排出動作によって貯留室13の水位が低下すると、フロート16が下降して再びパイロット流路35がフロート16によって閉じられる。圧力室36では、その圧力室36(高圧側)と排出通路15(低圧側)との圧力差によって、ドレンが逃がし流路32aから排出通路15に流出していく。このドレンの流出に伴い、圧力室36の圧力は低下していき、排出弁31が後退(
図2において右方向へ移動)していく。そして、排出弁31の弁体34が弁座25に着座して排出路22が閉じられる(
図2に実線で示す状態)。
【0024】
〈連通口の構成〉
図3および
図4に示すように、貯留室13側の連通口23は、シリンダ部材21の前端部において下半部のみに設けられている。つまり、シリンダ部材21の前端部において上半部には連通口は設けられていない。連通口23は、シリンダ部材21の下半部において周方向に並んで2つ設けられている。2つの連通口23は、シリンダ部材21の下半部において最下部で仕切られて形成されている。つまり、連通口23はシリンダ部材21の下半部における周方向の概ね全域に設けられている。また、2つの連通口23は、
図3に示すように、上下に延びる中心線C1を対称軸として、互いが対称な位置に設けられており、大きさが互いに等しい。ここで、連通口23の大きさは、シリンダ部材21の外周面における連通口23の開口面積(
図4においてハッチングを付した領域の面積)をいう。本実施形態では、2つの連通口23は、互いに長さ(シリンダ部材21の外周面における周方向長さ)と幅(シリンダ部材21の外周面における軸方向長さ)が同じである。即ち、連通口23の開口面積は上述した長さと幅の積である。また、2つの連通口23は、
図3に示すように、左右に延びる中心線C2の位置(即ち、シリンダ部材21における上半部と下半部の境界位置)まで形成されている。なお、排出機構20では、一定のドレン排出流量が定められているところ、2つの連通口23の大きさの総和はその定められた排出流量を賄うことができる大きさとなっている。
【0025】
以上のように構成された排出機構20では、貯留室13のドレンがシリンダ部材21の下半部からのみ排出路22に流入する。これにより、フロート16の下方においてシリンダ部材21へ向かうドレン流れ(
図2に示す白抜きの矢印)が生じる。このドレン流れにより、フロート16の下方において圧力が低下する。一方、貯留室13のドレンはシリンダ部材21の上半部から流入しないので、フロート16の側壁19側(即ち、排出通路15側)においてシリンダ部材21へ向かうドレン流れ(
図2に示す実線の矢印)は生じない。そのため、フロート16の側壁19側では圧力低下は生じない。
【0026】
以上より、フロート16は、その下方においてのみ圧力低下が生じ、その圧力低下による吸引力が発生する。つまり、フロート16には概ね下向きの力のみが作用する。厳密に言えば、フロート16の奥側のやや下方寄りおよび手前側のやや下方寄りにおいてもドレン流れが生じ吸引力が発生するが、その奥側の吸引力と手前側の吸引力とは互いに打ち消し合う。そのため、フロート16には、実質、奥向きの力(フロート16を奥側へ引っ張る力)および手前向きの力(フロート16を手前側へ引っ張る力)は作用しない。これにより、フロート16は下向きの力によって下方へ引っ張られるので確実にフロート座17へ向かって下降する。そして、フロート16は、フロート座17によってシリンダ部材21へ案内され、弁体34(ロッド部33の前端)に接してパイロット流路35を閉じる。
【0027】
仮に、連通口がシリンダ部材21の前端部において上半部のみに設けられた場合、貯留室13のドレンはシリンダ部材21の上半部からのみ排出路22に流入する。そうすると、フロート16の側壁19側においてのみ、ドレン流れ(
図2に示す実線の矢印)による圧力低下が生じ、その圧力低下による吸引力が発生する。したがって、フロート16には概ね
図2において右向きの力(以下、単に右向きの力という。)のみが作用する。そうすると、フロート16は、側壁19側へ引っ張られるのでフロート座17へ向かって下降しにくくなり、弁体34(ロッド部33の前端)に接することができなくなる。そうすると、パイロット流路35が閉じられず排出路22が開いたままになるため、貯留室13に流入した蒸気までもが排出路22から漏れ出てしまう。
【0028】
また、例えば連通口がシリンダ部材21の前端部において左側(
図3において左側)に偏って設けられた場合、フロート16の手前側よりも奥側の方がドレン流れによる吸引力が大きくなる。そうすると、フロート16には、概ね奥向きの力のみが作用する。そのため、フロート16は、奥側へ引っ張られるのでフロート座17へ向かって下降しにくくなり、弁体34に接することができなくなる。また、連通口がシリンダ部材21の前端部において右側(
図3において右側)に偏って設けられた場合、フロート16の奥側よりも手前側の方がドレン流れによる吸引力が大きくなる。そうすると、フロート16には、概ね手前向きの力のみが作用する。そのため、フロート16は、手前側へ引っ張られるのでフロート座17へ向かって下降しにくくなる。
【0029】
このように、本実施形態の排出機構20では、貯留室13のドレンがシリンダ部材21の連通口23に向かうドレン流れによって生じる吸引力の合力が、フロート16を下方へ引っ張る力となるように、シリンダ部材21の前端部において連通口23が形成されている。つまり、ドレンが連通口23に向かうドレン流れによって、フロート16が下方へ引っ張られるように、シリンダ部材21の周方向において連通口23の位置および大きさが設定されている。なお、連通口23が大きいほど、その連通口23に向かうドレン流れによって生じる吸引力は大きくなる。このように連通口23が構成されることにより、貯留室13の水位の低下時において、確実にフロート16をフロート座17へ向かって下降させることができる。これにより、確実にパイロット流路35を閉じることができる。
【0030】
〈弁座および弁体の構成〉
上述したように、排出弁31の弁体34が弁座25に離着座することにより排出路22が開閉される。弁座25は、
図4に示すように、シリンダ部材21の前端部において連通口23の後端側に形成されている。
図5および
図6に示すように、弁座25は、シート面25aと突出端面25bを有している。シート面25aは、弁座25の前端側(
図5および
図6において左側)に位置し、テーパー状に形成されている。このテーパー状は、弁座25の開口径(即ち、排出路22の径)が後端側(
図5および
図6において右側)にいくに従って漸次小さくなる形状である。突出端面25bは、シート面25aの後端側に位置し、シート面25aに連続して形成されている。突出端面25bは、シリンダ部材21と同軸の円柱面状に形成されており、弁座25の開口径(排出路22の径)が一定の部分である。
【0031】
図5および
図6に示すように、排出弁31の弁体34は、円柱部34a、テーパー部34bおよび円柱部34cを有している。円柱部34aは、弁体34の前端側に位置し、外径がシリンダ部材21の前端部の内径と略同一に形成されている。なお、円柱部34aの前端側の端面は、中央部分が突出しており、その突出部にフロート16が接してパイロット流路35が閉じられる。テーパー部34bは、円柱部34aの後端側に位置し、円柱部34aに連続して形成されている。テーパー部34bは、外径が後端側にいくに従って漸次小さくなっており、弁座25のシート面25aと面接触する部分である。円柱部34cは、テーパー部34bの後端側に位置し、テーパー部34bに連続して形成されている。円柱部34cは、外径が円柱部34aよりも小さく形成されている。また、円柱部34cは、外径が弁座25の突出端面25bの開口径よりも若干小さく形成されている。また、円柱部34cは、軸方向長さが突出端面25bの長さ(シリンダ部材21の軸方向における長さ)と略同一に形成されている。
【0032】
図5に示すように、フロート16が弁体34に接してパイロット流路35が閉じられ弁体34が弁座25に着座した状態では、弁体34のテーパー部34bとシート面25aとが面接触する。こうして、弁体34のテーパー部34bとシート面25aとが面接触することにより、排出路22が閉じられる。一方、弁体34の円柱部34cと突出端面25bとには間隙S2が形成されている。なお、弁体34が弁座25に着座した状態では、弁体34のテーパー部34bはシート面25aの後端(即ち、シート面25aと突出端面25bとの連接部)から突出している。次に、貯留室13の水位が上昇し、フロート16が弁体34から離隔してパイロット流路35が開くと、貯留室13のドレンがパイロット流路35を通じて圧力室36に流入する。そして、圧力室36が所定の圧力に達すると、排出弁31が前進(
図6に示す矢印の方向へ移動)する。
【0033】
図6に示すように、排出弁31の前進動作が開始されると、弁体34のテーパー部34bはシート面25aから離隔し、両者の間に間隙S1が形成される。これにより、排出路22が開き、貯留室13が連通口23を介して排出路22と連通する。一方、弁体34の円柱部34cは軸方向に変位するだけであるから、その円柱部34cと突出端面25bとの間隙S2は
図5に示す着座時と変わらず同じである。本実施形態の排出機構20では、間隙S2における開口面積(円柱部34cと突出端面25bとの間の開口面積)は間隙S1における開口面積(テーパー部34bとシート面25aとの間の開口面積)よりも小さくなるように構成されている。そのため、排出路22ではシート面25aの後端側(下流側)に開口面積が小さくなる絞り部が形成される。したがって、貯留室13から排出路22に流入する流量(即ち、ドレン排出量)がその絞り部の開口面積に応じた流量に抑えられる。
【0034】
テーパー部34bとシート面25aとの間隙S1は、排出弁31が前進するほど大きくなる。一方、円柱部34cと突出端面25bとの間隙S2は、排出弁31が前進しても円柱部34cが突出端面25bから完全に抜け出るまでは形成される。つまり、上述した絞り部が存在し続ける。したがって、排出弁31が
図5に示す着座状態から一定距離を前進する(一定のリフト量になる)まで、貯留室13から排出路22に流入する流量(ドレン排出量)は一定量に抑えられる。円柱部34cが突出端面25bから抜け出た後は、排出弁31が前進するに伴い、弁体34と弁座25との間隙は増加するので、貯留室13から排出路22に流入する流量は増加していく。そして、排出弁31は所定距離を前進すると停止し、弁体34と弁座25との間隙が最大となる(
図6に二点鎖線で示す状態)。
【0035】
以上のように、上記実施形態のドレントラップ1によれば、貯留室13のドレンが連通口23へ向かうドレン流れによって生じる吸引力の合力が、フロート16を下方へ引っ張る力となるように、シリンダ部材21の周方向において連通口23の位置および大きさを設定するようにした。具体的には、シリンダ部材21における下半部のみに連通口23を形成するようにした。これにより、貯留室13のドレンが連通口23を介して排出路22に流入するドレン排出時において、確実にフロート16を下降させることができる。これにより、排出弁31のパイロット流路35を確実にフロート16によって閉じることができるため、排出弁31を後退させて排出路22を閉じることができる。したがって、排出路22が開きっ放しとなり蒸気が漏れることを防止することができる。
【0036】
また、シリンダ部材21の下半部において最下部で仕切られた2つの連通口23を形成し、該2つの連通口23は、上下に延びる中心線C1を対称軸として互いに対称な位置に設け且つ大きさを互いに等しくするようにした。これにより、フロート16に作用する奥向きの力と手前向きの力とを互いに打ち消すことができるので、フロート16が奥側または手前側へ引っ張られることを防止することができる。したがって、フロート16をより確実に下降させることができる。
【0037】
また、上記実施形態のドレントラップ1では、貯留室13にフロート座17を設けるようにしたため、下降したフロート16を確実に排出弁31に案内することができる。これにより、ドレン排出時においてより確実に排出弁31のパイロット流路35を閉じることができる。
【0038】
また、上記実施形態のドレントラップ1によれば、弁体34においてテーパー部34bの後端側に連続する円柱部34cを形成し、円柱部34cと弁座25の突出端面25bとの間の開口面積を、テーパー部34bと弁座25のシート面25aとの間の開口面積よりも小さくなるようにした。これにより、排出弁31が排出路22を閉じた状態から一定距離を前進する(即ち、テーパー部34bとシート面25aとの開度が所定開度に達する)までの間、排出路22の途中において絞り部が形成されるので、ドレン排出量を一定量に抑えることができる。
【0039】
上述した絞り部が形成されない従来の形態では、排出弁が排出路を閉じた状態から前進するに従って、ドレン排出量は増加するので、貯留室13のドレン水位が比較的早く低下する。そのため、排出路が開いてから排出弁が再び弁座に着座して排出路を閉じるまでの時間が早くなる。これにより、排出弁は頻繁に開閉動作を繰り返すことになり、排出弁が弁座に着座するときの衝突音が頻繁に発生してしまう。上記実施形態のドレントラップ1では、上述したように排出路22が開いてから所定開度に達するまではドレン排出量が一定量に抑えられるため、貯留室13のドレン水位の低下速度が遅くなる。これにより、排出弁31が開動作を行ってから閉動作を行うまでの時間が遅くなるので、上述した衝突音の発生頻度を抑えることができる。
【0040】
なお、上記実施形態のドレントラップ1では以下のように構成するようにしてもよい。
【0041】
例えば、上記実施形態では、シリンダ部材21の下半部において最下部で仕切られた2つの連通口23を形成するようにしたが、シリンダ部材21の下半部において互いに仕切られた3つ以上の連通口23を形成するようにしてもよい。また、シリンダ部材21の下半部における全領域を1つの連通口23とするようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、シリンダ部材21の下半部のみに連通口23を形成するようにしたが、本願のドレントラップ1は、シリンダ部材21の上半部と下半部の両方に連通口を形成するようにしてもよい。例えば、上記実施形態で説明した連通口23において、その上端を、
図3に示す中心線C2を超えて上半部まで延ばすようにしてもよい。このように形成された連通口では、下半部の最下部から中心線C2までの部分が下半部の連通口となり、中心線C2から上端までの部分が上半部の連通口となる。そして、下半部の連通口の大きさの総和は、上半部の連通口の大きさの総和よりも大きくなるように形成される。
【0043】
また別の例として、上記実施形態で説明した下半部の連通口23に加え、上半部において最上部に1つの連通口を形成するようにしてもよい。また、上記実施形態で説明した下半部の連通口23に加え、上半部において互いに仕切られた複数の連通口を形成するようにしてもよい。これらの場合も、下半部の連通口23の大きさの総和は、上半部の連通口の大きさの総和よりも大きくなるように形成される。
【0044】
以上のように、シリンダ部材21の上半部と下半部の両方に連通口を形成する場合、下半部に形成する連通口の大きさの総和は、上半部に形成する連通口の大きさの総和よりも大きくなるように構成される。このように構成することにより、貯留室13のドレンが連通口へ向かうドレン流れによって生じる吸引力の合力が、フロート16を下方へ引っ張る力となる。これにより、上記実施形態と同様、ドレン排出時において、確実にフロート16を下降させることができ、排出弁31のパイロット流路35をフロート16によって閉じることができる。
【0045】
また、上記実施形態における連通口23は、その上端が
図3に示す中心線C2よりも下方に位置するものであってもよいことは勿論である。このように、本願のドレントラップ1は、貯留室13のドレンが連通口23へ向かうドレン流れによって生じる吸引力の合力が、フロート16を下方へ引っ張る力となるように連通口23の位置および大きさが設定されていればよい。
【0046】
また、上記実施形態のドレントラップ1では、ドレン(復水)と蒸気を対象流体としたが、他の流体を対称とするものであってもよい。
ドレントラップ1は、貯留室13と、フロート16と、貯留室13の側壁19に貫通して設けられ、内部がドレンの排出路22を構成すると共に貯留室13側の端部にドレンが排出路22に流入する連通口23が形成されたシリンダ部材21と、圧力室36と、シリンダ部材21に挿通され、貯留室13のドレンが圧力室36に流入するパイロット流路35を有し、圧力室36の圧力に応じて進退し排出路22を開閉する排出弁31とを備える。連通口23は、貯留室13のドレンが連通口23へ向かうドレン流れによって生じる吸引力の合力がフロート16を下方へ引っ張る力となるように、シリンダ部材21の周方向における位置および大きさが設定されている。